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技術 水系接着用組成物

出願人 ヘンケルジャパン株式会社
発明者 角田敦吉田良夫
出願日 2015年8月5日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-154777
公開日 2017年2月9日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-031361
状態 特許登録済
技術分野 繊維板等の乾式成形 接着剤、接着方法 単板の加工・合板製造
主要キーワード pH測定 無機酸アンモニウム塩 はく離強さ リン酸二水素マグネシウム 有機系増 接着用組成物 pHメーター プレス成形条件
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課題

本発明は、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さバランスよく優れ、金属が錆び難い、特に、木質材料を製造するために有用である水系接着用組成物、及びその水系接着用組成物を用いて得られる木質材料を提供する。

解決手段

(A)糖類、(B)リン酸塩及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物アンモニアから選択される少なくとも一種中和剤を含む、水系接着用組成物は、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さにバランスよく優れ、金属が錆び難い。本発明に係る水系接着用組成物は、木質材料を製造するために有用に使用することができる。

概要

背景

木質材料(例えば、合板ベニヤ板など)、パーティクルボード繊維板中密度繊維板MDFなど)及び集成材など)は、一般に、木質要素原料)(例えば、木材又は草本植物細分化された種々の寸法の繊維、小片及び単板など)に接着剤等を塗布又は散布し、必要に応じて加圧及び加熱し、成形して、製造される。木質材料は、天然系の再生可能な材料であり、木材の有する長所を活かしながら、寸法及び強度の安定性を高め、木材特有の欠点が除去された材料である。地球環境の保護及び木質材料製造の作業者の保護の観点から、使用される接着剤として、ホルムアルデヒド放散がなく、有機溶剤を含まない、水系接着剤の開発が行われている。

ユリア樹脂及びフェノール樹脂等を使用して木質材料(例えば、パーティクルボード)を製造する場合、一般に、約130〜170℃の温度に、木質要素と接着剤の混合物は加熱され、成形される。従って、水系接着剤も、同程度の温度に加熱して、木質材料を製造できることが好ましい。しかし、水系接着剤を用いると、より高温を要することが多い。
更に、得られる木質材料(例えば、パーティクルボード)が、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さ等の性質に優れることも求められる。しかし、水系接着剤を用いると、性質が不十分なことが多い。

特許文献1は、木材を結合するために、澱粉小麦粉など)及び糖類(しょ糖及び糖みつなど)と、それらの変換を行うことができる触媒塩化アンモニウム塩化亜鉛塩化アルミニウム硫酸アンモニム、硝酸アンモニム及びリン酸二アンモニムなど)を含む水溶液を開示する(特許文献1実施例等参照)。
特許文献1は、加熱温度を低下させる触媒として無水塩化アルミニウムを教示する。塩化アルミニウムを用いると、175℃〜190℃のプレス温度で、パーティクルマットを得ることができ、厚さ膨張は、約3〜10%であることを開示する(特許文献1実施例の表1及び2参照)。しかし、塩化アルミニウムは、人体に対する腐食性を有し、水と激しく反応して、塩化水素を発生し、刺激臭を有するので、適切ではない。

特許文献2は、木材を結合するために、糖類(スクロースなど)と多価カルボン酸クエン酸など)を含む接着剤を開示する。多価カルボン酸を含むことで、木材との間の結合力を向上させる。しかし、木質材料を製造する際の温度は200℃であり高い。更に、吸水厚さ膨張率は、約25%であり大きい(特許文献2表10試験2参照)。また、多価カルボン酸を含むので、接着剤はpHが低くなることによって保管し難くなり、更に、接着剤を塗布装置で塗布する際、装置の金属部品等が錆び易くなる。

特許文献3は、木材を結合するために、糖類(スクロース及びマルトースなど)と多価カルボン酸(クエン酸、リンゴ酸無水マレイン酸ポリマレイン酸及びポリアクリル酸など)を含む接着剤を開示する。多価カルボン酸を含むことで、木材との間の結合力を向上させる。しかし、木質材料を成形し製造する際の製造温度は180〜200℃であり高い。フラン化合物などを加えることで、製造温度を低下させ、吸水厚さ膨張率も低下させ得るが(特許文献3表2〜7参照)、多価カルボン酸を含むので、接着剤はpHが低くなり保管し難くなり、接着剤塗布装置の金属部品等が錆び易くなる。

従って、木質材料を製造するために用いられる水系接着剤には、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等の性能にすぐれ、更に、保管し易く、塗布装置の金属部品に錆を生じさせないことが求められる。

概要

本発明は、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さにバランスよく優れ、金属が錆び難い、特に、木質材料を製造するために有用である水系接着用組成物、及びその水系接着用組成物を用いて得られる木質材料を提供する。(A)糖類、(B)リン酸塩及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物アンモニアから選択される少なくとも一種中和剤を含む、水系接着用組成物は、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さにバランスよく優れ、金属が錆び難い。本発明に係る水系接着用組成物は、木質材料を製造するために有用に使用することができる。なし

目的

本発明は、このような事情を鑑みなされたものであり、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等に優れ、金属が錆びにくく、特に、木質材料を製造するために有用である水系接着用組成物、及びその水系接着用組成物を用いて得られる木質材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

(A)糖類、(B)リン酸塩及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物アンモニアから選択される少なくとも一種中和剤を含む、水系接着用組成物

請求項2

(C)中和剤は、沸点が300℃以下である、請求項1に記載の接着用組成物。

請求項3

pHが、6.5〜10.0である、請求項1又は2に記載の接着用組成物。

請求項4

(A)糖類が、非還元糖を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の接着用組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の接着用組成物が塗布された木質材料

技術分野

0001

本発明は、水系接着剤を製造可能な水系接着用組成物、及びそのような水系接着用組成物を用いて製造される木質材料に関する。

背景技術

0002

木質材料(例えば、合板ベニヤ板など)、パーティクルボード繊維板中密度繊維板MDFなど)及び集成材など)は、一般に、木質要素原料)(例えば、木材又は草本植物細分化された種々の寸法の繊維、小片及び単板など)に接着剤等を塗布又は散布し、必要に応じて加圧及び加熱し、成形して、製造される。木質材料は、天然系の再生可能な材料であり、木材の有する長所を活かしながら、寸法及び強度の安定性を高め、木材特有の欠点が除去された材料である。地球環境の保護及び木質材料製造の作業者の保護の観点から、使用される接着剤として、ホルムアルデヒド放散がなく、有機溶剤を含まない、水系接着剤の開発が行われている。

0003

ユリア樹脂及びフェノール樹脂等を使用して木質材料(例えば、パーティクルボード)を製造する場合、一般に、約130〜170℃の温度に、木質要素と接着剤の混合物は加熱され、成形される。従って、水系接着剤も、同程度の温度に加熱して、木質材料を製造できることが好ましい。しかし、水系接着剤を用いると、より高温を要することが多い。
更に、得られる木質材料(例えば、パーティクルボード)が、曲げ強さ、湿潤時の曲げ強さ、吸水厚さ膨張率及びはく離強さ等の性質に優れることも求められる。しかし、水系接着剤を用いると、性質が不十分なことが多い。

0004

特許文献1は、木材を結合するために、澱粉小麦粉など)及び糖類(しょ糖及び糖みつなど)と、それらの変換を行うことができる触媒塩化アンモニウム塩化亜鉛塩化アルミニウム硫酸アンモニム、硝酸アンモニム及びリン酸二アンモニムなど)を含む水溶液を開示する(特許文献1実施例等参照)。
特許文献1は、加熱温度を低下させる触媒として無水塩化アルミニウムを教示する。塩化アルミニウムを用いると、175℃〜190℃のプレス温度で、パーティクルマットを得ることができ、厚さ膨張は、約3〜10%であることを開示する(特許文献1実施例の表1及び2参照)。しかし、塩化アルミニウムは、人体に対する腐食性を有し、水と激しく反応して、塩化水素を発生し、刺激臭を有するので、適切ではない。

0005

特許文献2は、木材を結合するために、糖類(スクロースなど)と多価カルボン酸クエン酸など)を含む接着剤を開示する。多価カルボン酸を含むことで、木材との間の結合力を向上させる。しかし、木質材料を製造する際の温度は200℃であり高い。更に、吸水厚さ膨張率は、約25%であり大きい(特許文献2表10試験2参照)。また、多価カルボン酸を含むので、接着剤はpHが低くなることによって保管し難くなり、更に、接着剤を塗布装置で塗布する際、装置の金属部品等が錆び易くなる。

0006

特許文献3は、木材を結合するために、糖類(スクロース及びマルトースなど)と多価カルボン酸(クエン酸、リンゴ酸無水マレイン酸ポリマレイン酸及びポリアクリル酸など)を含む接着剤を開示する。多価カルボン酸を含むことで、木材との間の結合力を向上させる。しかし、木質材料を成形し製造する際の製造温度は180〜200℃であり高い。フラン化合物などを加えることで、製造温度を低下させ、吸水厚さ膨張率も低下させ得るが(特許文献3表2〜7参照)、多価カルボン酸を含むので、接着剤はpHが低くなり保管し難くなり、接着剤塗布装置の金属部品等が錆び易くなる。

0007

従って、木質材料を製造するために用いられる水系接着剤には、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等の性能にすぐれ、更に、保管し易く、塗布装置の金属部品に錆を生じさせないことが求められる。

先行技術

0008

特表昭56−500414号公報
WO 2010/001988A1
WO 2012/133219A1

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、このような事情を鑑みなされたものであり、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等に優れ、金属が錆びにくく、特に、木質材料を製造するために有用である水系接着用組成物、及びその水系接着用組成物を用いて得られる木質材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

そこで、本研究者らは、鋭意研究を続けた結果、糖類、リン酸塩、及び水酸基を有するアミン化合物アンモニアから選択される特定の中和剤を含む、水系接着用組成物は、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等に優れ、金属が錆びにくく、特に木質材料を製造するために有用であることを見いだし、本発明を完成するに至った。

0011

本発明は、一の要旨において、
(A)糖類、(B)リン酸塩、及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物とアンモニアから選択される少なくとも一種の中和剤を含む、水系接着用組成物を提供する。

0012

本発明の一の態様において、(C)中和剤は、沸点が300℃以下である、水系接着用組成物を提供する。
本発明の他の態様において、pHが、6.5〜10.0である、水系接着用組成物を提供する。

0013

本発明の更なる態様において、(A)糖類が、非還元糖を含む、水系接着用組成物を提供する。
本発明の他の要旨において、本発明の形態の水系接着用組成物を用いて得られる木質材料を提供する。

発明の効果

0014

本発明の形態の水系接着用組成物は、(A)糖類、(B)リン酸塩、及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物とアンモニアから選択される少なくとも一種の中和剤を含むので、比較的低い温度で接着可能で有りながら、吸水厚さ膨張率等に優れ、金属が錆びにくく、特に木質材料を製造するために有用である。

0015

本発明の形態の水系接着用組成物は、(A)糖類、(B)リン酸塩、及び(C)少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物とアンモニアから選択される少なくとも一種の中和剤を含む。
本発明において、「(A)糖類」とは、一般に糖類と呼ばれ、本発明が目的とする水系接着組成物を得られる限り特に制限されることはない。(A)糖類は、例えば、単糖類二糖類三糖類四糖類多糖類、及びその他オリゴ糖を含む。

0017

「二糖類」として、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースツラノース及びセロビオースを例示できる。
「三糖類」として、例えば、ラフィノースエレジトース及びマルトトリオースを例示できる。
「四糖類」として、例えば、アカルボース及びスタキオースを例示できる。
「多糖類」として、例えば、グリコーゲンデンプンアミロースアミロペクチン)、セルロースデキストリングルカンN-アセチルグルコサミンキチン質及びイヌリンを例示できる。
「その他のオリゴ糖」として、例えば、フラクオリゴ糖、ガラクオリゴ糖及びマンナンオリゴ糖を例示できる。

0018

これらの「糖類」は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
「糖類」は、非還元糖を含むことが好ましい。「糖類」は、非還元糖を含む場合、本発明の水系接着用組成物は、耐水性により優れるので、本発明の木質材料は、吸水厚さ膨張率がより小さくなり得る。
そのような非還元糖として、スクロース、トレハロース、マルトリオース、イヌリン、オリゴ糖、デキストリンを例示することができる。非還元糖が、スクロースを含む場合、木質材料の吸水厚さ膨張率がより小さくなり得る。尚、イヌリンとは、通常、その末端にグルコースが結合した、フルクトースの重合体をいう。従って、イヌリンには、例えば、具体的には、最も単純な三糖類に含まれる1−ケストース(GF2)、四糖類に含まれるニストース(GF3)、多糖類に含まれるフラクトフラノシルニストース(GF4)等も含まれる。
「糖類」として、市販品を使用することができる。

0019

本発明において(B)リン酸塩とは、一般に、リン酸塩と呼ばれるものであって、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り、特に制限されることはない。
「リン酸塩」は、リン酸水素塩及びリン酸二水素塩を含む。
「リン酸塩」として、例えば、リン酸アンモニウム塩(リン酸アンモニム、リン酸水素アンモニム及びリン酸二水素アンモニウム)、リン酸ナトリウム塩リン酸ナトリウムリン酸水素ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウム)、リン酸カリウム塩(リン酸カリウム、リン酸水素カリウム及びリン酸二水素カリウム)、リン酸カルシウム塩リン酸カルシウムリン酸水素カルシウムリン酸二水素カルシウム)、リン酸マグネシウム塩リン酸マグネシウムリン酸水素マグネシウムリン酸二水素マグネシウム)などを例示することができる。

0020

「リン酸塩」として、リン酸アンモニウム塩(リン酸アンモニム、リン酸水素アンモニム及びリン酸二水素アンモニウム)から選択される少なくとも一種が好ましい。
「(B)リン酸塩」が、リン酸アンモニウム塩(リン酸アンモニム、リン酸水素アンモニム及びリン酸二水素アンモニウム)から選択される一種である場合、本発明の水系接着用組成物は、硬化性により優れる。
「(B)リン酸塩」は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
「(B)リン酸塩」として、市販品を使用することができる。

0021

本発明において(C)中和剤とは、少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物とアンモニアから選択される少なくとも一種を含む。
「少なくとも一の水酸基を有するアミン化合物」とは、一又はそれ以上の水酸基を有するアミン化合物をいい、本発明が目的とする水系接着用組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
また、「アンモニア」とは、一般にアンモニアと呼ばれる化合物をいい、水に溶解した水溶液(通常、アンモニア水とよぶ)の形態であってよく、本発明が目的とする水系接着用組成物を得られる限り、特に制限されることはない。

0022

「(C)中和剤」として、例えば、アンモニア、2−アミノ−2−メチルプロパノールジエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール及びトリエタノールアミン等を例示することができ、
アンモニア、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン及びN,N-ジメチルアミノエタノールから選択される少なくとも一種であることがより好ましい。

0023

(C)中和剤が、アンモニア、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン及びN,N-ジメチルアミノエタノールから選択される少なくとも一種である場合、木質材料の吸水厚さ膨張率が低くなり得る。

0024

(C)中和剤は、沸点が300℃以下であることが好ましく、−40℃〜280℃であることがより好ましい。中和剤の沸点が、300℃以下である場合、本発明の水系接着用組成物を使用すると、接着剤塗布装置の金属部品はより錆び難く、木質材料の吸水厚さ膨張率はより低下し得る。
(C)中和剤は、単独で又は組み合わせて使用できる。
(C)中和剤は、市販品を使用することができる。

0025

(A)〜(C)の合計100重量部当たり、(A)は、20〜95重量部含まれることが好ましく、50〜90重量部含まれることがより好ましく、60〜85重量部含まれることが特に好ましい。
(A)〜(C)の合計100重量部当たり、(B)は、1〜50重量部含まれることが好ましく、3〜35重量部含まれることがより好ましく、5〜25重量部含まれることが特に好ましい。
(A)〜(C)の合計100重量部当たり、(C)は、0.5〜50重量部含まれることが好ましく、1〜35重量部含まれることがより好ましく、2〜25重量部含まれることが特に好ましい。

0026

(A)が、20〜95重量部含まれる場合、本発明の木質材料は、吸水厚さ膨張率がより低下しえる。
(B)が、1〜50重量部含まれる場合、本発明の水系接着用組成物は、より優れる硬化性を有しえる。
(C)が、0.5〜50重量部含まれる場合、本発明の水系接着用組成物を使用すると、接着剤塗布装置の金属部品はより錆び難く、木質材料の吸水厚さ膨張率はより低下しえる。

0027

本発明に係る水系接着用組成物は、水を含み、上述の(A)〜(C)成分の全てが、水に溶解された水溶液の形態、又は、上述の(A)〜(C)成分の少なくともいずれか一種が水に溶解すること無く分散された分散液の形態を有する。
本明細書において「水」とは、一般的に「水」と呼ばれ、本発明の目的の水系接着用組成物を得ることができる限り、特に制限されることはないが、例えば、蒸留水イオン交換水、純水、水道水及び工業用水等を例示することができる。
本発明の形態の水系接着用組成物に含まれる水の量は、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り特に制限されることはなく、使用される(A)〜(C)成分及び添加剤などを考慮して、適宜選択される。

0028

本発明の形態の水系接着用組成物は、上述の(A)〜(C)成分の合計100重量部当たり、水を10〜90重量部含むことが好ましく、水を20〜80重量部含むことがより好ましく、水を30〜60重量部含むことが特に好ましい。
本発明に係る水系接着用組成物は、水溶液又は水分散液なので、被着体への塗布及び散布が容易である。更に、本発明に係る水系接着用組成物は、有機溶媒を好ましくは使用せず、地球環境の保護、及び作業者の作業環境の保護に優れる。

0029

本発明の形態の水系接着組成物は、その他の成分を含むことができる。そのような成分として、例えば、増粘剤防腐剤防黴剤防錆剤及び分散安定化剤等を例示できる。
増粘剤とは、加圧し、加熱する際に、組成物の粘度低下を防止するために使用し、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような増粘剤は、例えば、有機系増粘剤と無機系増粘剤に分類される。
無機系増粘剤として、例えば、クレイタルク及びシリカなどを例示できる。
有機系増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロースポリビニルアルコール植物粉末の小麦粉、コーンスターチ上新粉クルミ粉及びヤシ粉などを例示できる。
増粘剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。

0030

本発明の形態の水系接着用組成物のpHは、6.5〜10.0であることが好ましく、7.5〜9.5であることがより好ましく、7.0〜9.0であることが特に好ましい。
水系接着用組成物のpHは、6.5〜10.0である場合、本発明の水系接着用組成物は、より保管し易く、塗布装置の金属部品は錆を生じ難く、より好ましい。

0031

本発明の形態の水系接着用組成物は、上述の(A)〜(C)成分、必要に応じて他の成分及び水を混合し、攪拌して製造することができる。混合する順序、混合する方法及び攪拌方法などは、本発明が目的とする水系接着用組成物を得ることができる限り、特に限定されることはない。

0032

本発明に係る木質材料は、本発明の形態の水系接着用組成物が、木質要素(原料)(例えば、木質又は草本植物の繊維、小片及び単板など)に、塗布又は散布され、木質要素が加熱、加圧されるとともに、水系接着用組成物が硬化して、木質要素が接着され、成形されて製造される材料である。
木質要素(原料)として、木材から切削等して得られる、例えば、挽き板、単板、木質ストランド木質チップ木質繊維及び植物繊維などを例示することができる。木質要素は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
木質材料として、例えば、木質要素が接着剤によって接着されて得られる、集成材、合板、パーティクルボード、繊維板、MDF等を例示することができる。
本発明の形態の水系接着用組成物は、種々の被着体(例えば、紙、木質繊維、合板等)を接着するために使用することができるが、木質材料を製造するために好適に使用することができる。

0033

木質材料を成形して製造する際の、水系接着用組成物の塗布量、塗布方法成形圧力成形温度、成形時間などの製造条件は、木質要素の種類、形状及び寸法、製造される木質材料の寸法などによって、適宜選択され、本発明が目的とする木質材料を得ることができる限り特に制限されることはない。
水系接着用組成物の塗布量は、乾燥した木質要素100重量部当たり、5〜80重量部であることが好ましく、10〜60重量部であることがより好ましく、20〜40重量部であることが特に好ましい。

0034

水系接着用組成物の塗布方法は、ロール及び刷毛などを用いる塗布、スプレー等を用いる散布、水系接着用組成物中への含浸などが好ましい。
成形圧力は、0.5〜6.0MPaであることが好ましい。成形圧力が、6.0MPa以下の場合、圧力が大きすぎないので、木質材料に痛みを生じにくい。成形圧力が、0.5MPa以上の場合、十分に木質要素を接着することができる。

0035

成形温度は、150〜230℃であることが好ましく、155〜200℃であることがより好ましく、160〜180℃であることが特に好ましい。成形温度が、230℃以下の場合、温度が高すぎず、エネルギー消費が小さく、木質材料も痛みにくい。成形温度が、150℃以上の場合、接着が適度の時間で進行し得る。

0036

成形時間は、5〜10分であることが好ましく、6〜9分であることがより好ましく、7〜8分であることが特に好ましい。成形時間が、10分以下の場合、時間が長くかかりすぎないので、エネルギーの消費が小さく、木質材料も痛みにくい。成形時間が、5分以上の場合、適度の接着時間が確保され、適度の接着強度を確保できる。

0037

上述のようにして得られる木質材料は、従来の木質材料と同様に、例えば、建築資材家具等の種々の用途に使用することができる。

0038

以下に本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。

0039

まず、水系接着用組成剤の成分として、以下の成分を準備した。()内に、商品名及び製造会社名を記載した。尚、部とは重量部を意味する。
[(A)糖類]
(A-1)スクロース(和光純薬工業(株))

0040

[(B)無機酸アンモニウム塩
(B-1)リン酸二水素アンモニウム(和光純薬工業(株))
[(C)中和剤]
(C-1)アンモニア(25%アンモニア水、和光純薬工業(株))
(C-2)2−アミノ−2−メチルプロパノール(和光純薬工業(株))
(C-3)ジエタノールアミン(和光純薬工業(株))
(C-4)トリエタノールアミン(和光純薬工業(株))
(C'-5)水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株))

0041

実施例1の水系接着用組成物を、下記のように製造した。
[実施例1]水系接着用組成物の製造
78.0部の(A-1)スクロース(和光純薬工業(株))及び19.5部の(B-1)リン酸二水素アンモニウム(和光純薬工業(株))を、92.5部の蒸留水に溶解した。この水溶液に、2.5部の(C-1)アンモニア(10.0部の25%アンモニア水、和光純薬工業(株)を使用したので、2.5部のアンモニアと7.5部の水を含む)を、加えた。常温で攪拌して、実施例1の水系接着用組成物を得た。実施例1の水系接着用組成物の組成を表1に示す。

0042

pH測定
実施例1の水系組成物のpHを、23℃にて、pHメーター(東亜ディーケーケー(株)製HM-25R型(商品名))を用いて測定した。pHは、7.0であった。結果は、表1に示した。

0043

<錆び試験>
40gの実施例1の水系接着用組成物を、100mLの蓋付ガラス容器に入れた。イゾプロパノール脱脂した、長さ70mmの市販の鉄を、水系接着剤組成物中に投入した。23℃で7日間静置した後、錆の発生を観察した。
A:7日間、錆の発生なし。
B:3日〜7日以内に錆が発生。
C:1日〜3日以内に錆が発生。
D:1日以内に錆が発生。

0044

[実施例2〜6]及び[比較例7〜10]水系接着用組成物の製造
実施例2〜6及び比較例7〜10の水系接着用組成物の組成を表1〜2に示す。
実施例1で使用した(A)、(B)及び(C)を、表1〜3に記載した成分とその量に変更した他は、実施例1と同様の方法を用いて、実施例2〜6及び比較例7〜10の水系接着用組成物を製造した。
実施例1と同様の方法を用いてpHを測定し、更に、錆び試験を行った。それらの結果は、表1〜2に示した。

0045

0046

0047

上述の実施例1〜6及び比較例7〜10の水系接着用組成物を用いて、実施例11〜16及び比較例17〜20の木質材料(パーティクルボード)を製造した。
[実施例11]木質材料の製造
木質要素(原料)として、60メッシュを通過した針葉樹の木質繊維を使用した。76部の木質要素に、固形分換算で24部となるように、実施例1の水系接着剤組成物をスプレーで均一に塗布した。塗布した木質要素を80℃のオーブンで2時間乾燥した。その後、熱盤温度170℃、圧力4MPaで、9分間プレス成形して、厚さ9mm、密度0.8g/cm3の実施例19の木質材料(パーティクルボード)を製造した。実施例11の木質材料の原料及び製造条件などを図3に示す。

0048

[実施例12〜16]及び[比較例17〜20]木質材料の製造
実施例12〜16及び比較例17〜20のパーティクルボードの製造のために使用された原料とその量、及びプレス成形条件などを表3〜4に示す。
実施例11で使用した水系接着剤組成物、その量、木質要素の量、プレス形成条件(熱盤温度、圧力、及び成形時間)を、表3〜4に記載した値に変更した他は、実施例11に記載の方法と同様の方法を用いて、実施例12〜16及び比較例17〜20の木質材料(パーティクルボード)を製造した。各パーティクルボードの寸法と密度などの他の条件は、実施例11のパーティクルボードのものと同様である。

0049

得られたパーティクルボードは、JISA5908:2003に準じて、各々の吸水厚さ膨張率(%)を測定した。
「吸水厚さ膨張率(%)」は、12以下であることが好ましい。
尚、上述のパーティクルボードは、JISA5908:2003に記載された「素地パーティクルボード」の「無研磨板」に該当する。

0050

0051

崩壊:木質材料が評価中に全体的にその形態を維持できないほど壊れた。

0052

表3及び4に示すように、実施例1〜6の水系接着用組成物を用いて製造された、実施例11〜16の木質材料は、吸水厚さ膨張率が小さかった。更に、実施例1〜6の水系接着用組成物は、釘に錆が発生することを防止することが可能である。従って、本発明に係る接着用組成物は、木質要素に使用する木質材料を製造するために好適に使用することができる。
表4に示すように、比較例7〜10の水系接着用組成物で製造された、比較例17〜20の木質材料は、吸水厚さ膨張率に劣る。更に、比較例9及び10の水系接着用組成物は、pHが小さく、釘に錆が発生することを防止できない。

実施例

0053

これらの結果から、上述の3成分(A)〜(C)を有する水系接着用組成物は、木質要素(原料)の接着に有用であり、それを用いて木質要素を成形することで優れた木質材料を成形可能なことが明らかとなった。

0054

本発明は、木質要素の接着に有用な水系接着用組成物を提供できる。本発明に係る水系接着用組成物を用いて木質要素を成形することで、木質材料を好適に製造することができる。

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