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技術 地盤注入材及びこれを利用した地盤注入工法

出願人 東曹産業株式会社日本基礎技術株式会社強化土エンジニヤリング株式会社
発明者 金高鉄次利田靖治岡田和成
出願日 2015年7月30日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-150770
公開日 2017年2月9日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-031279
状態 特許登録済
技術分野 地盤中に固結物質を施すことによる地盤強化 土壌改良剤および土壌安定剤
主要キーワード 材料収縮 初期せん断 アルミ成分 浸透限界 排水条件 粗い砂 片振幅 アルカリ性分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

粗粒土から細粒土までのあらゆる粒度組成地盤を改良し、改良後地盤の止水性及びせん断剛性を高める。

解決手段

地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である。このため、アルカリ性シリカ分散液と酸性反応剤とが反応して、シロキサン結合を含むシリカゾルが形成されるだけでなく、上記の粘土鉱物からアルミ成分が徐々に溶け出し、シリカゾルの結合が強固になり安定化する。更には、材料収縮が低減される。これにより、長期に渡って、地盤の間隙を強固に固結できると共に、地盤のせん断剛性及び止水性を向上することができる。又、粘土鉱物により地盤の粘土分が増加し、地盤の10%粒径が低下して透水係数も低下するため、地盤の止水性を更に向上させることが可能となる。

概要

背景

一般的に、止水地盤強化を目的とする地盤注入工法では、水ガラス系溶液型の地盤注入材が用いられており、地盤砂粒子間隙ゲル充填することによって、透水性を低下させて止水効果を得ると共に、ゲル強度により地盤の粘着力及びせん断強さを増加させている。しかしながら、シリカ溶脱量が大きく、更に、シロキサン結合に伴う収縮が25%以上と大きいため、長期耐久性は期待できない。
一方、液状化対策を目的とする地盤注入工法では、コロイダルシリカ珪酸ソーダ及び酸を混合してなる溶液型の地盤注入材が用いられており、砂粒子の間隙にゲルを充填することによって、間隙水圧の上昇を抑えて液状化を防ぐものである。このようなコロイダルシリカ、珪酸ソーダ及び酸を混合して得られる特殊シリカ系注入材は、シリカ溶脱量が少なく、更にシロキサン結合(重合)に伴うゲルの収縮量が8%程度と小さいことから、長期耐久性があると考えられ、液状化対策に用いられている(例えば、特許文献1参照)。

又、地盤強化や液状化対策を目的とする地盤注入工法において、改良対象地盤礫質地盤混じり砂地盤である場合、地盤注入材には、超微粒子セメントスラグ微粉末、極超微粒子セメント、球状シリカホワイトカーボン等を主材とした、比較的浸透性が良いとされる懸濁液型注入材が用いられている。超微粒子セメント及びスラグ微粉末を主材とする注入材は、粒子平均粒径が4〜6μm程度、95%粒径G95が10μm程度であり、地盤の10%粒径D10とG95との比(グラウタビリティー比)D10/G95≧8が浸透可能な範囲とする既往の研究によると、細粒分含有率FC=10%程度のシルト混じり砂地盤が浸透限界である。極超微粒子セメントを主材とする注入材は、粒子の平均粒径が1.5μm程度、95%粒径G95が3μm程度であり、FC=20〜30%程度のシルト質砂地盤が浸透限界である。

一方、特許文献2に記載の注入材は、平均粒径1.0μm以下である超微粒子シリカカルシウム化合物分散剤を混合して得られる注入材であり、超微粒子シリカの平均粒径が、超音波分散処理を行うことなく、レーザー回折式粒度分布計による測定値で1.0μm以下であるため、極超微粒子セメント注入材と同程度の浸透性を持つものである。又、例えば特許文献3に記載の注入材は、ホワイトカーボン、シリカ溶液及び酸性反応剤を混合して得られる注入材であり、粒径の粗い砂地盤への浸透性が良く、改良後地盤の密度を増加させることによって液状化し難い地盤を形成するものである。

概要

粗粒土から細粒土までのあらゆる粒度組成の地盤を改良し、改良後地盤の止水性及びせん断剛性を高める。本地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である。このため、アルカリ性シリカ分散液と酸性反応剤とが反応して、シロキサン結合を含むシリカゾルが形成されるだけでなく、上記の粘土鉱物からアルミ成分が徐々に溶け出し、シリカゾルの結合が強固になり安定化する。更には、材料収縮が低減される。これにより、長期に渡って、地盤の間隙を強固に固結できると共に、地盤のせん断剛性及び止水性を向上することができる。又、粘土鉱物により地盤の粘土分が増加し、地盤の10%粒径が低下して透水係数も低下するため、地盤の止水性を更に向上させることが可能となる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液であることを特徴とする地盤注入材

請求項2

前記アルミノ珪酸塩微粒子が、カオリナイトベントナイトモンモリロナイトイライト、及び、ゼオライトから、1種又は2種以上選ばれることを特徴とする請求項1記載の地盤注入材。

請求項3

前記アルカリ性シリカ分散液及び前記酸性反応剤との混合状態における、前記アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径が、レーザー回析散乱法による測定値で、25μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の地盤注入材。

請求項4

Aをアルカリ金属、nをモル数として、前記アルカリ性シリカ分散液をA2O・nSiO2で表したとき、該アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oが、1〜4であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の地盤注入材。

請求項5

前記アルミノ珪酸塩微粒子が前記アルカリ性シリカ分散液で分散された溶液と、前記酸性反応剤とが混合されて製造され、pHが非アルカリ領域であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の地盤注入材。

請求項6

当該地盤注入材400ミリリットル当たりの前記アルミノ珪酸塩が1.5〜160gであり、当該地盤注入材中のSiO2濃度が1〜12wt%/volであり、当該地盤注入材のpHが1〜8であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の地盤注入材。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項記載の地盤注入材を地盤注入し、改良地盤を形成することを特徴とする地盤注入工法

請求項8

前記改良地盤の透水係数を1×10−4cm/sec以下にすることを特徴とする請求項7記載の地盤注入工法。

請求項9

前記改良地盤のせん断剛性を、改良前の地盤の1.1倍以上に高めることを特徴とする請求項7又は8記載の地盤注入工法。

技術分野

0001

本発明は、地盤注入材、及び、この地盤注入材を利用した地盤注入工法に関するものである。

背景技術

0002

一般的に、止水地盤強化を目的とする地盤注入工法では、水ガラス系溶液型の地盤注入材が用いられており、地盤砂粒子間隙ゲル充填することによって、透水性を低下させて止水効果を得ると共に、ゲル強度により地盤の粘着力及びせん断強さを増加させている。しかしながら、シリカ溶脱量が大きく、更に、シロキサン結合に伴う収縮が25%以上と大きいため、長期耐久性は期待できない。
一方、液状化対策を目的とする地盤注入工法では、コロイダルシリカ珪酸ソーダ及び酸を混合してなる溶液型の地盤注入材が用いられており、砂粒子の間隙にゲルを充填することによって、間隙水圧の上昇を抑えて液状化を防ぐものである。このようなコロイダルシリカ、珪酸ソーダ及び酸を混合して得られる特殊シリカ系注入材は、シリカ溶脱量が少なく、更にシロキサン結合(重合)に伴うゲルの収縮量が8%程度と小さいことから、長期耐久性があると考えられ、液状化対策に用いられている(例えば、特許文献1参照)。

0003

又、地盤強化や液状化対策を目的とする地盤注入工法において、改良対象地盤礫質地盤混じり砂地盤である場合、地盤注入材には、超微粒子セメントスラグ微粉末、極超微粒子セメント、球状シリカホワイトカーボン等を主材とした、比較的浸透性が良いとされる懸濁液型注入材が用いられている。超微粒子セメント及びスラグ微粉末を主材とする注入材は、粒子平均粒径が4〜6μm程度、95%粒径G95が10μm程度であり、地盤の10%粒径D10とG95との比(グラウタビリティー比)D10/G95≧8が浸透可能な範囲とする既往の研究によると、細粒分含有率FC=10%程度のシルト混じり砂地盤が浸透限界である。極超微粒子セメントを主材とする注入材は、粒子の平均粒径が1.5μm程度、95%粒径G95が3μm程度であり、FC=20〜30%程度のシルト質砂地盤が浸透限界である。

0004

一方、特許文献2に記載の注入材は、平均粒径1.0μm以下である超微粒子シリカカルシウム化合物分散剤を混合して得られる注入材であり、超微粒子シリカの平均粒径が、超音波分散処理を行うことなく、レーザー回折式粒度分布計による測定値で1.0μm以下であるため、極超微粒子セメント注入材と同程度の浸透性を持つものである。又、例えば特許文献3に記載の注入材は、ホワイトカーボン、シリカ溶液及び酸性反応剤を混合して得られる注入材であり、粒径の粗い砂地盤への浸透性が良く、改良後地盤の密度を増加させることによって液状化し難い地盤を形成するものである。

先行技術

0005

特許第5640198号公報
特開2011−26572号公報
特許第5531234号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上述した特殊シリカ系注入材は、地盤の間隙率が大きいと、ゲルの収縮量が小さくても大きな水みちが生じることになり、止水目的には用いることができない。更に、礫質地盤や礫混じり地盤においては、ホモゲル強度が低いことから注入固結地盤の剛性の増加は見込めず、地震時においては大きな変形量が生じることになる。
又、上述した懸濁液型注入材は、砂粒子の接点に懸濁粒子が付着して強固な骨格を形成することで高いせん断剛性が得られるが、既往の研究によれば、地盤の砂粒子の間隙内で懸濁粒子が沈降して間隙に残留することにより、改良後地盤の透水係数が、溶液型による改良後地盤と比較して10倍以上となるため、止水性能は溶液型に大きく劣ってしまう。更に、ホワイトカーボンを主剤とした注入材は、ホワイトカーボンの一次粒子径が55〜5nmであるが凝集粒子径が10μm以上となり、細粒土地盤においてはフィルトレーションが生じて浸透しないため、適用地盤は粗粒土地盤に限定されてしまう。又、ホワイトカーボンは多孔質で軽く硬化性が無いため、ホモゲル強度が低いことから改良後地盤のせん断剛性は水ガラス系溶液型と同等であり、すなわち、ホワイトカーボンを主剤とした注入材による改良土は、地震時には変形量が大きくなることが予測される。
一方で、水ガラス系溶液型や特殊シリカ系などの珪酸ソーダを混合してなる地盤注入材による注入固結地盤の強度は、地盤注入材中のSiO2濃度の増加に対応して大きくなることから、SiO2濃度を12wt%/vol以上に増やして高強度を得られる地盤注入材が開発されている。
しかしながら、SiO2濃度が12wt%/vol以上の地盤注入材は、ゲル化に必要な酸性反応剤の添加量が増加し、例えば、酸性反応剤が硫酸の場合はゲル化物から硫酸イオン溶出してコンクリート腐食させる懸念が高まり、有機酸の場合は法令に定める水質基準適合しないリスクが増すため、採用に当たっては入念な事前調査・検討が必要となることから、工期遅延工事費増大が課題となる。

0007

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粗粒土から細粒土までのあらゆる粒度組成の地盤を改良し、改良後地盤の止水性及びせん断剛性を高めることにある。

課題を解決するための手段

0008

(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。

0009

(1)アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である地盤注入材(請求項1)。

0010

本項に記載の地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である。本地盤注入材では、まず初めに、本地盤注入材に含まれるアルカリ性シリカ分散液と酸性反応剤とが反応することで、アルカリ性シリカ分散液のSi−O−A(Aはアルカリ金属)がSi−O−Hになり、Si−O−Siのシロキサン結合を含むシリカゾルを形成する。ここで、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含まないシリカゾルの場合、反応が進むにつれ、末端のSi−O−H同士が脱水縮合反応をするため、材料収縮により長期的安定性欠ける。しかしながら、本項に記載の地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいるため、粘土鉱物からアルミ成分が徐々に溶け出し、シリカゾルの末端にあるSi−O−Hと反応してSi−O−Alとなることで、シリカゾルの結合が強固になり安定化する。従って、本地盤注入材が地盤に注入されると、上記のような反応によって地盤の間隙が強固に固結されるため、地盤のせん断剛性及び止水性が高められるものである。更に、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいない場合と比較して、材料の収縮が低減され、長期に渡って止水性及び固結強度が維持される。

0011

又、本項に記載の地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいることで、地盤に注入されると粘土鉱物が地盤に浸透する。これにより、地盤の細粒分のうち、特に粘土分が増加されることとなるため、地盤の10%粒径D10が低下する。この10%粒径D10の低下により、例えば、従来から透水係数の推定に用いられるHazenの式に基づくと、地盤の透水係数が低下することとなるため、上述したシリカゾルの結合による止水性の向上と相まって、地盤の止水性が更に向上するものである。

0012

(2)上記(1)項において、前記アルミノ珪酸塩微粒子が、カオリナイトベントナイトモンモリロナイトイライト、及び、ゼオライトから、1種又は2種以上選ばれる地盤注入材(請求項2)。
本項に記載の地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子として、カオリナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、及び、ゼオライトのうち、1種又は2種以上を含むものである。すなわち、工業的な入手容易性や、地盤への浸透性等を考慮して、適切なアルミノ珪酸塩微粒子が選択されるものである。

0013

(3)上記(1)(2)項において、前記アルカリ性シリカ分散液及び前記酸性反応剤との混合状態における、前記アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径が、レーザー回析散乱法による測定値で、25μm以下である地盤注入材(請求項3)。
本項に記載の地盤注入材は、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤との混合状態における、アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径を、レーザー回析・散乱法による測定値で、25μm以下としたものである。すなわち、アルミノ珪酸塩微粒子は、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤と混合されると、膨潤して粒子径が増大するが、この膨潤状態におけるアルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径を25μm以下とすることで、地盤への浸透性を高めるものである。これにより、特に細粒土に対しても注入材粒子のフィルトレーションを生じることなく、粗粒土から細粒土までのあらゆる粒土組成の地盤を、均質に改良するものである。

0014

(4)上記(3)項において、前記アルミノ珪酸塩微粒子の前記90%粒子径が、レーザー回析・散乱法による測定値で、15μm以下である地盤注入材。
本項に記載の地盤注入材は、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤との混合状態における、アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径を15μm以下とすることで、地盤への浸透性を更に高めるものである。

0015

(5)上記(1)から(4)項において、Aをアルカリ金属、nをモル数として、前記アルカリ性シリカ分散液をA2O・nSiO2で表したとき、該アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oが、1〜4である地盤注入材(請求項4)。
本項に記載の地盤注入材は、水溶液としての安定性を考慮して、アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oを1〜4とするものである。

0016

(6)上記(5)項において、前記アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oが、3〜4である地盤注入材。
本項に記載の地盤注入材は、アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oを3〜4とすることで、酸性反応剤の使用量を抑制するものである。

0017

(7)上記(6)項において、前記アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oが、3〜3.8である地盤注入材。
本項に記載の地盤注入材は、アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oを3〜3.8とすることで、アルカリ性シリカ分散液の粘性を抑制し、当該地盤注入材の製造時等の作業性を高めるものである。

0018

(8)上記(1)から(7)項において、前記アルミノ珪酸塩微粒子が前記アルカリ性シリカ分散液で分散された溶液と、前記酸性反応剤とが混合されて製造され、pHが非アルカリ領域である地盤注入材(請求項5)。
本項に記載の地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子がアルカリ性シリカ分散液で分散された溶液と、酸性反応剤とが混合されることで、アルカリ性シリカ分散液中にアルミノ珪酸塩微粒子が均一に分散された状態で、酸性反応剤との混合が行われることになる。これにより、地盤注入材中においても、アルミノ珪酸塩微粒子の分散の均一化を図るものである。更に、上記のように製造した地盤注入材のpHが非アルカリ領域であることで、シリカゾル構造を破壊して改良地盤劣化させる要因となるアルカリイオンが除去されているため、改良地盤の長期安定性が確保されることとなる。

0019

(9)上記(1)から(7)項において、当該地盤注入材400ミリリットル当たりの前記アルミノ珪酸塩が1.5〜160gであり、当該地盤注入材中のSiO2濃度が1〜12wt%/volであり、当該地盤注入材のpHが1〜8である地盤注入材(請求項6)。
本項に記載の地盤注入材は、当該地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が1.5〜160gである。すなわち、地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が1.5gより少ないと、アルミ濃度が不十分であるため材料収縮を抑制することができず、アルミノ珪酸塩が160gより多いと、砂地盤への浸透性が確保できない。このため、これらの範囲を除外して、アルミノ珪酸塩の分量が設定されたものである。更に、当該地盤注入材中のSiO2濃度が1〜12wt%/volであることで、地盤注入材の粘性を抑えて浸透性を確保しながら、改良地盤の必要強度を保つものである。なお、本項に記載の地盤注入材は、上述した成分の分量の都合上、pHが1〜8のものを含んでいる。

0020

(10)上記(9)項において、当該地盤注入材400ミリリットル当たりの前記アルミノ珪酸塩が3〜100gである地盤注入材。
本項に記載の地盤注入材は、当該地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が3〜100gであることで、細粒分を含む砂地盤への浸透性を確保しながら、シリカゾルの結合を十分に強化するものである。

0021

(11)上記(10)項において、当該地盤注入材400ミリリットル当たりの前記アルミノ珪酸塩が6〜60gである地盤注入材。
本項に記載の地盤注入材は、当該地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が6〜60gであることで、シルトを含む地盤への浸透性を確保しながら、改良地盤のせん断剛性を十分に高めるものである。

0022

(12)上記(1)〜(11)項の地盤注入材を地盤に注入し、改良地盤を形成することを特徴とする地盤注入工法(請求項7)。
本項に記載の地盤注入工法は、上述したような地盤注入材を用いて地盤を改良することで、改良地盤の止水性とせん断剛性との双方を、より確実に高めるものである。

0023

(13)上記(12)項において、前記改良地盤の透水係数を1×10−4cm/sec以下にする地盤注入工法(請求項8)。
本項に記載の地盤注入工法は、改良地盤の透水係数が、止水性を評価する上での1つの目標値とされている1×10−4cm/sec以下になるように、改良対象地盤を改良することで、例えば、地震が発生した場合でも止水性が維持されるような、必要十分な止水性を確保するものである。

0024

(14)上記(12)(13)項において、前記改良地盤のせん断剛性を、改良前の地盤の1.1倍以上に高める地盤注入工法(請求項9)。
本項に記載の地盤注入工法は、改良地盤のせん断剛性が、改良前の地盤の1.1倍以上に高められるように、改良対象地盤を改良するものである。これにより、例えば、地震が発生した場合でも地盤の変形量が抑制されるような、必要十分なせん断剛性を確保するものである。

発明の効果

0025

本発明は上記のような構成であるため、粗粒土から細粒土までのあらゆる粒度組成の地盤を改良し、改良後地盤の止水性及びせん断剛性を高めることが可能となる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施の形態に係る地盤注入材により2種の試料を改良して形成した、各改良土の特性を示す図表である。
図1で透水係数が1×10−4cm/sec以下を示した条件の改良土の、改良前後の粒径加積曲線のうち代表例を示したグラフであり、(a)は試料が珪砂6号のもの、(b)は試料が珪砂7号のものである。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材を試料に注入して形成した改良土の、繰り返し三軸試験の結果を示す図表である。
図3に示した一部の条件の改良土の、せん断力に対するせん断剛性の変化を示したグラフであり、(a)は片振幅せん断ひずみに対する等価せん断剛性率の変化、(b)は片振幅せん断ひずみに対する等価せん断剛性率比の変化を示している。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材の浸透試験の結果を、比較例と共に示す図表である。
図5と同様の浸透試験の結果を示すグラフである。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材の図5と異なる浸透試験の結果を、比較例と共に示す図表である。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材の図5及び図7と異なる浸透試験の結果を、比較例と共に示す図表である。
図8と同様の浸透試験の結果を示すグラフである。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材により試料を改良して形成した改良土の、一軸圧縮強度試験の結果を比較例と共に示す図表である。
本発明の実施の形態に係る地盤注入材の材料収縮試験の結果を、比較例と共に示す図表である。

0027

以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る地盤注入材の構成について説明すると、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である。本地盤注入材で用いるアルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物は、例えば、カオリナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、ゼオライト等が挙げられ、特に限定されるものではないが、工業的な入手の容易性等から、カオリナイト、ベントナイトが好ましい。特に、砂質地盤へ均等に浸透させることを考慮すると、微粒子のカオリナイトを用いることが更に好ましい。

0028

ここで、アルミノ珪酸塩微粒子の粒子径は、アルミノ珪酸塩微粒子がアルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤と混合された後の、レーザー回析・散乱法による測定値で、90%粒子径が25μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。これは、混合前のアルミノ珪酸塩微粒子自体の粒子径が小さくても、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤と混合されて膨潤した状態で、90%粒子径が25μm以上になってしまうと、砂地盤への浸透が阻害されるためである。

0029

又、本地盤注入材で用いるアルカリ性分散液は、Aをアルカリ金属、nをモル数としたとき、A2O・nSiO2で表される水ガラスが好ましい。アルカリ金属としては、ナトリウムリチウムカリウムが例示でき、工業的入手の容易性や価格の観点から、好ましくはナトリウムである。ここで、水ガラスのモル比(SiO2/A2O)は、珪素酸化物換算(SiO2)と、アルカリの酸化物換算(A2O)との比として定義される。このモル比は、水溶液の安定性から1〜4の範囲が好ましく、モル比が低くなると酸性反応剤の使用量が増えるため、3〜4の範囲が更に好ましい。又、モル比が3.8以上になると溶液の粘性が上がるため、モル比の範囲は、作業性の観点から3〜3.8が最も好ましい。

0030

一方、本地盤注入材で使用する酸性反応剤は、硫酸、硝酸塩酸リン酸等の無機酸、クエン酸グリオキザール酸等の有機酸が例示でき、特に限定されるものではないが、工業的入手の容易性、価格、現場での取り扱い易さ等の観点から、硫酸が好ましい。

0031

又、本発明の実施の形態に係る地盤注入材の、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物の添加量は、地盤への浸透性と固化物の材料収縮を考慮すると、注入材400ml当たり1.5〜160gが好ましい。1.5gより少ない場合、地盤への浸透性に関しては問題ないが、アルミ濃度が十分ではないため、固化物の材料収縮を抑えられず、又、160gより多くなると、砂地盤への浸透性が確保できない。更に、強度面及び細粒分を含む地盤への浸透性を考慮した場合、3〜100gであることが好ましい。3gより少ない場合、浸透性及び材料収縮に関しては問題ないが、固結物に対する強度増加が小さく、又、100gより多いと、細粒分を含む砂地盤への浸透性が悪くなる。更に、改良地盤のせん断剛性や、シルト交じりの地盤への浸透性を考慮した場合、6〜60gが最も好ましい。6gより少ない場合、改良地盤のせん断剛性が現地盤の1.1倍以上にならず、液状化対策として十分とは言えない。又、60gより多い場合、シルトを含む地盤への浸透が阻害される。

0032

又、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物の添加方法は、特に限定されるものではないが、アルカリ性シリカ分散液に分散後、酸性反応剤と合わせてもよく、酸性反応剤に分散後、アルカリ性シリカ分散液と混合してもよい。更に、アルカリ性シリカ分散液と酸性反応剤とを混合後、この混合液にアルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を混ぜてもよい。本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、どのような混合方法を用いても、地盤への浸透性や固化物の材料収縮及び強度に対して、影響を受けるものではない。

0033

次に、本発明の実施の形態に係る地盤注入材により、改良地盤の止水性が向上することについて説明する。
地盤注入工法における止水性評価の指標には、透水係数が広く用いられており、透水係数k=1×10−4cm/sec以下を改良目標値とするのが一般的である。透水係数kは、地盤の粘土分が多いほど小さくなり、例えば、下記の〔数1〕に示すHazenの式を用いれば、地盤の10%粒径D10から透水係数kを推定することができる。
[数1]
kH=C(0.7+0.03T)D102
ここで、kHは透水係数(cm/sec)、Cは下記に別途示す係数、Tは温度(℃)、D10は地盤の10%粒径(cm)を示している。又、係数Cは、地盤の砂の状態が、均等な粒子の場合(極大値)でC=150、細砂の緩く締まった状態でC=116、細砂のよく締まった状態でC=70、大小粒子混合の場合(極小値)でC=60、非常に汚れているときでC=46である。

0034

又、地盤注入工法を用いて低透水性地盤を形成する場合、地盤注入材を地盤の間隙に注入して固結させる以外にも、地盤の10%粒径D10を低下させることによっても、低透水性地盤が形成される。すなわち、固結に加えて、地盤のD10を低下させることができれば、より止水性能が担保されることになる。そこで、本発明の実施の形態に係る地盤注入材を、2種類の試料(珪砂6号及び7号)に注入し、形成された改良土の10%粒径D10を調べ、D10からHazen式による透水係数kHを推定すると共に、室内透水試験を実施した。その結果をまとめた図表を、図1に示している。なお、図1における改良材とは、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤との混合状態における90%粒子径が25μm以下のアルミノ珪酸塩微粒子である。
図1の図表から、改良材の添加量を増加させると、改良土のD10が低下し、Hazen式による透水係数kHも低下することが分かる。又、JIS A 1218に準拠して実施した室内透水試験による透水係数kLは、試料が珪砂6号・7号の場合の双方で、改良材の添加量1.5〜160g/400mlの範囲において、1×10−4cm/sec以下になる。更に、改良材の添加量が増加するにつれて、透水係数kLの低下(止水性の向上)が図れており、Hazen式による透水係数kHの傾向と対応している。加えて、改良地盤の密度が改良前と比べて増加しており、副次的に地盤密度の増大を図れることが分かる。

0035

図2には、図1の図表で透水係数kが1×10−4cm/sec以下となった条件の改良土の、改良前後の粒径加積曲線のうち代表例を示している。図2のグラフから、改良土の細粒分のうち、特に粘土分が増加していることが分かる。この粘土分の増加によりD10が低下しているが、20%粒径D20はほとんど変化していない。

0036

続いて、本発明の実施の形態に係る地盤注入材により、改良地盤のせん断剛性が増加されることで、繰り返し載荷時の変形が抑制されることについて説明する。
従来の溶液型地盤注入材による改良地盤のせん断剛性は、未改良土に対して同等若しくは1.1倍程度であるため、地震によるせん断力が大きい場合や、繰り返し回数が多い地震時には、大きなせん断変形が生じてしまう。そこで、本発明の実施の形態に係る地盤注入材を用いた場合のせん断剛性を調べるために、本地盤注入材を珪砂7号に注入し、改良土の繰返し三軸試験を実施した。試験では、改良土及び未改良土を拘束圧100kPaで等方圧密した後、一軸圧縮強さの1/2に相当する初期せん断荷重を載荷し、非排水条件で繰り返し載荷を与えた。この試験結果を、図3の図表に示している。なお、初期せん断剛性は、所謂H−Dモデル(Hardin−Drnevichモデル)により求めた、γ=0.0001%のときのせん断剛性である。図3の図表から、改良材の添加量が6g/400ml以下の場合、初期せん断剛性は、未改良と比較して1.1〜1.2倍程度であり、従来の溶液型地盤注入材による改良地盤のせん断剛性と同程度以上であった。一方、改良材の添加量が20g/400ml以上になると、未改良と比較して2倍以上の初期せん断剛性が得られる結果となった。

0037

又、図4には、図3で未改良の場合から2倍以上の初期せん断剛性を示した条件の改良土の、せん断力に対するせん断剛性の変化を示しており、図4(a)は等価せん断剛性率Geqと片振幅せん断ひずみγSAとの関係のグラフ、図4(b)は等価せん断剛性率Geqを初期値Geq0で正規化したGeq/Geq0と片振幅せん断ひずみγSAとの関係を示している。なお、図4(a)(b)の何れも、繰り返し回数10回目における結果である。図4のグラフから、改良土のGeq/Geq0は、未改良と比較して、ひずみレベルが大きくなっても高い剛性を維持している。これにより、地震によるせん断力が大きい場合や、繰り返し回数が多い地震時において、本発明の実施の形態に係る地盤注入材による改良土は、せん断変形が抑制され、又、ひずみレベルが大きくなっても高い剛性を維持していることが分かる。

0038

次に、本発明の実施の形態に係る地盤注入材について、実施例を挙げてより具体的に説明する。しかしながら、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、以下に示す実施例の内容に限定されるものではない。なお、以下の実施例では、HORIBAのLA−920(レーザー回折散乱式粒度分布測定装置)を用いて粒子径の測定を行っている。
まず、本発明の実施の形態に係る地盤注入材の浸透性を調査するために実施した浸透試験について、模擬地盤(1)〜(3)を用いた3つの浸透試験に分けて説明する。

0039

模擬地盤(1)を用いた浸透試験では、砂が抜けないように底にメッシュの網を取り付けた、内径3cmの塩ビ管に対して、東珪砂6号を相対密度60%になるように高さ30cmまで詰めて、模擬地盤(1)を作製した。そして、以下に示す条件で作液した、比較例1〜3及び実施例1〜2として示す各混合液を、模擬地盤(1)上部より静かに注ぎ、砂上部より混合液の高さが5cmを維持するようにしながら自然浸透させ、浸透時間浸透距離とを測定した。

0040

比較例1:珪酸ソーダ(比重1.4、Na2O;9.1%、SiO2;27.7%、モル比SiO2/Na2O;3.1、以下では単に珪酸ソーダAとする)60mlと水道水140mlとを混合しA液を作製した。次に75%希硫酸11.5mlと水道水188.5mlとを混合しB液を作製した。A液とB液とを混合し混合液Aを作製した。混合液のpHは1.8でSiO2濃度は5.8wt%/volであった。
比較例2:珪酸ソーダA60mlと水137.3mlとを混合し、そこに50%粒子径が5.3μmで90%粒子径が36.4μmのカオリン(カオリナイト)を6g加えA液とした。B液は比較例1と同様な配合で作液し、A液とB液とを混合して混合液Bを作製した。混合液Bは、pHが1.8、SiO2濃度が5.8wt%/vol、カオリンの90%粒子径が30.6μmであった。同様に、カオリン量を18gにした混合液B−2も作製した。混合液B−2中のカオリンの90%粒子径は49.9μmであった。

0041

比較例3:珪酸ソーダA60mlと水137.3mlとを混合し、50%粒子径が2.5μmで90%粒子径が6.0μmのシリカフュームを6g加えA液とした。B液は比較例1と同様な配合で作液し、A液とB液とを混合して混合液Cを作製した。混合液Cは、pHが1.8、SiO2濃度が5.8wt%/vol、シリカフュームの90%粒子径が50.3μmであった。
実施例1:珪酸ソーダA60mlと水130.9mlとを混合し、そこに平均粒子径が3.8μmで90%粒子径が12.7μmのカオリンを20g加えA液とした。B液は比較例1と同様な配合で作液し、A液とB液とを混合して混合液Dを作製した。混合液Dは、pHが1.8、SiO2濃度が5.8wt%/vol、カオリンの90%粒子径が12.6μmであった。同様に、カオリン量を60gに増やした混合液D−2も作製した。混合液D−2中のカオリンの90%粒子径は19.9μmであった。

0042

実施例2:珪酸ソーダA60mlと水112.7mlとを混合し、そこに50%粒子径が2.9μmで90粒子径が6.2μmのカオリンを60g加えA液とした。B液は比較例1と同様な配合で作液し、A液とB液とを混合して混合液Eを作製した。混合液Eは、pHが1.8、SiO2濃度が5.8wt%/vol、カオリンの90%粒子径が5.8μmであった。同様に、カオリン量を100gに増やした混合液E−2も作製した。混合液E−2中の90%粒子径は6.9μmであった。
上記の比較例1〜3及び実施例1〜2の夫々の試験結果を、図5の図表及び図6のグラフに示す。

0043

図5の図表に示したように、カオリンやシリカフュームを混合していない比較例1の混合液Aと比較すると、混合液中の90%粒子径が30μm以上のカオリンを添加した比較例2の混合液B及びB−2や、混合液の90%粒子径が50μm以上のシリカフュームを添加した比較例3の混合液Cは、途中で浸透が止まってしまう。すなわち、粒子自体の50%粒子径や90%粒子径が10μm以下の微粒子であっても、混合液となった際に大粒子になると、浸透性が阻害されることが確認された。一方、実施例1の混合液D及びD−2や、実施例2の混合液Eのように、混合液の状態で20μm以下の粒子径を維持するカオリンを用いた場合には、浸透が阻害されることなく、全量浸透することが確認された。なお、実施例2の混合液E−2は、模擬地盤(1)の状態に対して、混合液へのカオリンの添加量が多過ぎたため、浸透が阻害されたものと考えられる。

0044

次に、模擬地盤(2)を用いた浸透試験では、砂が抜けないように底にメッシュの網を取り付けた、内径3cmの塩ビ管に対して、三河珪砂5号を相対密度60%になるように高さ30cmまで詰めて、模擬地盤(2)を作製した。そして、以下に示す条件で作液した、比較例4及び実施例3として示す各混合液を、模擬地盤(2)の上部より静かに注ぎ、砂上部より混合液の高さが5cmを維持するようにしながら自然浸透させ、浸透時間と浸透距離とを測定した。

0045

比較例4:比較例1で使用したものと同様の混合液Aを作製した。
実施例3:珪酸ソーダA60mlと水67.3mlとを混合し、更に比較例1と同様な配合で作液したB液と混合して混合液Fを作製した。そこに、実施例2で使用した50%粒子径が2.9μmで90粒子径が6.2μmのカオリン160gを加えて混合し、混合液F−1を作製した。
上記の比較例4及び実施例3の夫々の試験結果を、図7の図表に示す。この結果から、珪酸ソーダAと75%希硫酸とを先に混合し、後からカオリンを添加した場合でも、浸透性に影響がないことが確認された。又、模擬地盤(2)に対しては、実施例3の混合液F−1へのカオリンの添加量でも、浸透性が阻害されないことが確認された。

0046

続いて、模擬地盤(3)を用いた浸透試験では、砂が抜けないように底にメッシュの網を取り付けた、内径3cmの塩ビ管に対して、東北珪砂7号を相対密度60%になるように高さ30cmまで詰めて、模擬地盤(3)を作製した。そして、以下に示す条件で作液した、比較例5〜7及び実施例4、5として示す各混合液を、模擬地盤(3)の上部より静かに注ぎ、砂上部より混合液の高さが5cmを維持するようにしながら自然浸透させ、浸透時間と浸透距離とを測定した。

0047

比較例5:比較例1で使用したものと同様の混合液Aを作製した。
比較例6:比較例2で使用したものと同様の混合液Bを作製した。
比較例7:比較例3で使用したものと同様の混合液Cを作製した。
実施例4:実施例1で使用したものと同様の混合液Dを作製した。
実施例5:実施例2で使用したものと同様の混合液Eを作製した。

0048

上記の比較例5〜7及び実施例4、5の夫々の試験結果を、図8の図表及び図9のグラフに示す。これらの結果から、模擬地盤(1)と同様に、模擬地盤(3)においても、混合液中の90%粒子径が30μm以上のカオリンを添加した比較例6の混合液Bや、混合液の90%粒子径が50μm以上のシリカフュームを添加した比較例7の混合液Cは、途中で浸透が止まってしまい、混合液中で大粒子になってしまうカオリンやシリカフュームを添加した場合には、浸透性が阻害されることが再度確認された。又、実施例4の混合液Dや、実施例5の混合液Eのように、混合液の状態で20μm以下の粒子径を維持するカオリンを用いた場合には、浸透性が阻害されないことが再度確認された。

0049

次に、本発明の実施の形態に係る地盤注入材を用いて形成する、改良地盤の強度を調査するために実施した一軸圧縮強度試験について説明する。この試験では、まず、直径5cm×高さ10cmの塩ビモールドを、高さが13cmになるようにテープで覆い、そこに、以下に示す条件で作液した比較例8〜11及び実施例6〜10として示す各混合液を、100ml入れた。そして、塩ビモールドを叩きながら東北7号珪砂を350g加えて供試体を作製し、乾燥しないようにビニール袋に入れた状態で20℃で28日間養生した。養生後、高さ10cmになるように成型し、一軸圧縮試験機により強度測定を行った。

0050

比較例8:比較例1で使用したものと同様の混合液Aを作製した。
比較例9:比較例3で使用したものと同様の混合液Cを作製した。
比較例10:比較例3で使用したシリカフュームを6gから20gに増量させた混合液C−1を作製した。
比較例11:比較例3で使用したシリカフュームを6gから60gに増量させた混合液C−2を作製した。

0051

実施例6:実施例1で使用したものと同様の混合液Dを作製した。
実施例7:実施例1で使用したカオリンを20gから3gに減量させた混合液D−1を作製した。
実施例8:実施例1で使用したカオリンを20gから6gに減量させた混合液D−3を作製した。
実施例9:実施例1で使用したものと同様の混合液D−2を作製した。
実施例10:実施例1で使用したカオリンを20gから1.5gに減量させた混合液D−4を作製した。

0052

上記の比較例8〜11及び実施例6〜10の夫々の試験結果を、図10の図表に示す。図10の図表から、シリカヒュームを添加した場合、シリカヒュームを20g加えても(比較例10)、無添加(比較例8)と同強度しか得られず、シリカヒュームを60g加えたもの(比較例11)でないと、強度増加が確認できなかった。これに対し、カオリンを添加した場合は、添加量が3g(実施例7)でも無添加(比較例8)と比較して強度が増加しており、更に、添加量に応じて強度が増加していく(実施例8、6.9)ことが確認された。なお、カオリンを1.5g添加した場合(実施例10)は、特に強度の増加が確認できなかった。

0053

続いて、本発明の実施の形態に係る地盤注入材の材料収縮を調査するために実施した、離しょう測定試験について説明する。この試験では、以下に示す条件で作液した比較例12〜14及び実施例11〜14として示す各混合液を、60mlの容器に50ml入れ、乾燥しないように密閉した状態で20℃で養生した。そして、28日経過後、発生した離しょう水量を測定した。
比較例12:比較例1で使用したものと同様の混合液Aを作製した。
比較例13:比較例3で使用したものと同様の混合液Cを作製した。
比較例14:比較例11で使用したものと同様の混合液C−2を作製した。
実施例11:実施例10で使用したものと同様の混合液D−4を作製した。
実施例12:実施例7で使用したものと同様の混合液D−1を作製した。
実施例13:実施例1で使用したものと同様の混合液Dを作製した。
実施例14:実施例1で使用したものと同様の混合液D−2を作製した。

0054

上記の比較例12〜14及び実施例11〜14の夫々の試験結果を、図11の図表に示す。図11の図表から、シリカヒュームを添加した比較例13、14は、無添加の比較例12と比べて、離しょう水の量が増加していることが確認できる。一方、カオリンを添加した実施例11〜14は、何れも、無添加の比較例12と比べて、離しょう水の量が減少していることが確認できる。すなわち、実施例11〜14は、固結する過程で発生する離しょう水の量が減少しているため、材料収縮が低減されることが分かる。更に、上述した一軸圧縮強度試験において、特に強度の増加が確認できなかった実施例10と同様の、混合液D−4を用いた実施例11は、最も離しょう水の量が減少している。このことから、カオリンの添加量が少ない場合には、無添加の場合と同等の強度発現性を維持しながら、材料収縮を低減することが分かる。

0055

さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物と、アルカリ性シリカ分散液と、酸性反応剤とにより構成された、非アルカリ性アルミノ珪酸塩微粒子懸濁液である。本地盤注入材では、まず初めに、本地盤注入材に含まれるアルカリ性シリカ分散液と酸性反応剤とが反応することで、アルカリ性シリカ分散液のSi−O−A(Aはアルカリ金属)がSi−O−Hになり、Si−O−Siのシロキサン結合を含むシリカゾルを形成する。ここで、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含まないシリカゾルの場合、反応が進むにつれ、末端のSi−O−H同士が脱水縮合反応をするため、材料収縮により長期的安定性に欠ける。

0056

しかしながら、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいるため、粘土鉱物からアルミ成分が徐々に溶け出し、シリカゾルの末端にあるSi−O−Hと反応してSi−O−Alとなることで、シリカゾルの結合が強固になり安定化する。従って、本地盤注入材が地盤に注入されると、上記のような反応によって地盤の間隙を強固に固結することができ、地盤のせん断剛性及び止水性を高めることができる。更に、図11で確認できるように、本発明の実施の形態に係る地盤注入材(実施例11〜14)は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいない場合(比較例12〜14)と比較して、材料の収縮を低減することができ、長期に渡って止水性及び固結強度を維持することが可能となる。

0057

更に、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子からなる粘土鉱物を含んでいることで、地盤に注入されると粘土鉱物が地盤に浸透する。これにより、図2で確認できるように、地盤の細粒分のうち、特に粘土分が増加されることとなるため、地盤の10%粒径D10が低下する。この10%粒径D10の低下により、例えば、〔数1〕として示したHazenの式に基づくと、図1で確認できるように、地盤の透水係数kHが低下することとなるため、上述したシリカゾルの結合による止水性の向上と相まって、地盤の止水性を更に向上させることが可能となる。

0058

又、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子として、カオリナイト、ベントナイト、モンモリロナイト、イライト、及び、ゼオライトのうち、1種又は2種以上を含むものである。すなわち、工業的な入手の容易性や、地盤への浸透性等を考慮して、適切なアルミノ珪酸塩微粒子を選択することができる。

0059

又、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤との混合状態における、アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径が、レーザー回析・散乱法による測定値で、25μm以下のものである。すなわち、アルミノ珪酸塩微粒子は、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤と混合されると、膨潤して粒子径が増大するが、この膨潤状態におけるアルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径が25μm以下であることで、特に図5及び図6に示した実施例1及び実施例2と比較例2とを比較すると明らかなように、地盤への浸透性を高めることができる。これにより、特に細粒土に対しても注入材粒子のフィルトレーションを生じることなく、粗粒土から細粒土までのあらゆる粒度組成の地盤を、均質に改良することが可能となる。更に、アルカリ性シリカ分散液及び酸性反応剤との混合状態における、アルミノ珪酸塩微粒子の90%粒子径が15μm以下であるとすれば、地盤への浸透性を更に高めることができる。

0060

又、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、水溶液としての安定性を考慮して、アルカリ性シリカ分散液のモル比SiO2/A2Oを1〜4とするものである。更に、このモル比SiO2/A2Oを3〜4とすれば、酸性反応剤の使用量を抑制することができる。より限定して、モル比SiO2/A2Oを3〜3.8とすれば、アルカリ性シリカ分散液の粘性を抑制することができるため、本地盤注入材の製造時等の作業性を高めることができる。

0061

更に、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、アルミノ珪酸塩微粒子がアルカリ性シリカ分散液で分散された溶液と、酸性反応剤とが混合されて製造されることとすれば、アルカリ性シリカ分散液中にアルミノ珪酸塩微粒子が均一に分散された状態で、酸性反応剤との混合が行われることになる。これにより、地盤注入材中においても、アルミノ珪酸塩微粒子の分散の均一化を図ることができる。更に、上記のように製造した地盤注入材のpHが非アルカリ領域であることで、シリカゾル構造を破壊して改良地盤を劣化させる要因となるアルカリイオンが除去されているため、改良地盤の長期安定性を確保することができる。

0062

又、本発明の実施の形態に係る地盤注入材は、当該地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が1.5〜160gである(実施例1〜14参照)。すなわち、地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩が1.5gより少ないと、アルミ濃度が不十分であるため材料収縮を抑制することができず、アルミノ珪酸塩が160gより多いと、砂地盤への浸透性が確保できない。このため、これらの範囲を除外して、アルミノ珪酸塩の分量を設定すればよい。この際、地盤注入材400ミリリットル当たりのアルミノ珪酸塩を3〜100gとすれば(実施例1、2、4〜9、12〜14参照)、細粒分を含む砂地盤への浸透性を確保しながら、シリカゾルの結合を十分に強化することができ、更に、アルミノ珪酸塩を6〜60gとすれば(実施例1、2、4〜6、8、9、13、14参照)、シルトを含む地盤への浸透性を確保しながら、改良地盤のせん断剛性を十分に高めることができる。又、本地盤注入材は、当該地盤注入材中のSiO2濃度が1〜12wt%/volであることで、地盤注入材の粘性を抑えて浸透性を確保することができると共に、改良地盤の必要強度を保つことができる。

実施例

0063

一方、本発明の実施の形態に係る地盤注入工法は、上述したような地盤注入材を用いて地盤を改良することで、改良地盤の止水性とせん断剛性との双方を、より確実に高めることができる。更に、改良地盤の透水係数kを、止水性を評価する上での1つの目標値とされている1×10−4cm/sec以下になるように、改良対象地盤を改良することで、例えば、地震が発生した場合でも止水性が維持されるような、必要十分な止水性を確保することができる。又、改良地盤のせん断剛性が、改良前の地盤の1.1倍以上に高められるように、改良対象地盤を改良することとすれば、例えば、地震が発生した場合でも地盤の変形量が抑制されるような、必要十分なせん断剛性を確保することが可能となる。

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