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技術 義歯安定剤

出願人 小林製薬株式会社
発明者 宇野明安藤宏奈
出願日 2015年8月5日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-155385
公開日 2017年2月9日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-031123
状態 特許登録済
技術分野 歯科用製剤 歯科補綴
主要キーワード 測定品 クッション状 密着タイプ ペラルゴン酸エステル B型粘度計 口腔温度 プラスチックパウダー ペースト状物質
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課題

弾性持続性に優れ、口腔内でのクッション効果を長期に発揮することができる義歯安定剤を提供する。

解決手段

酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有することを特徴とする義歯安定剤。

概要

背景

義歯安定剤は、従来から、多くの義歯装着者により、義歯(義歯床)を非咀嚼及び咀嚼時に口腔内所定位置に固定するために使用されている。このため、義歯安定剤の特性として、義歯床の口腔内への装着及び脱離(剥離)が簡便で容易であることに加えて、口腔内への装着後、つまり使用時において口腔内での粘着性及び軟弾性が優れること、またその粘着性及び軟弾性が長期に持続することが求められる。

種々義歯安定剤のなかでも酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤は、ペースト状の形態を有しており、義歯と歯茎との隙間を埋めて中の空気を追い出し、吸盤のように義歯を歯茎に密着固定させるという作用機構から「密着タイプ」と称される。かかる義歯安定剤は、主基剤である酢酸ビニル樹脂が口腔内で唾液を吸収することで収縮してクッション状を呈し、その結果、義歯が歯茎からずれないように固定する効果(この効果を「義歯安定効果」という)、および軟弾性(クッション性)を発現して歯茎への負担を軽減する効果(この効果を「クッション効果」という)を発揮するようになる。このため、当該密着タイプの義歯安定剤は、その軟弾性(クッション性)から「クッションタイプ」とも称される。なお、ここで「軟弾性(クッション性)」とは軟性と弾性を兼ね備えることを意味する。

こうした密着タイプの義歯安定剤に関して、前述する特性の改良及び向上を目指して、従来から多くの研究がなされ、種々の義歯安定剤が提案されている。例えば、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤に関して、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂中重合度酢酸ビニル樹脂高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で組み合わせて使用すること(特許文献1及び2)、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で併用し、これに特定の割合でエタノールと水を配合してペースト状にすること(特許文献3)、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と中重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを併用するとともに、アクリル酸低級アルキルメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を用いること(特許文献4及び5)、酢酸ビニル樹脂に、ポリプロピレンオキサイド系重合体グリセリンアセチル誘導体又はエチレングリコールのアセチル誘導体を併用すること(特許文献6)、酢酸ビニル樹脂に可塑剤としてエタノールに代えて特定のグリセリンのアセチル誘導体を併用すること(特許文献7)などが提案されている。

なかでも特許文献3、6及び7は、口腔内における使用時の軟弾性及びその持続性を向上するための技術を開示するものであるが、軟弾性の持続という点からは、さらなる改良が必要である。

概要

軟弾性の持続性に優れ、口腔内でのクッション効果を長期に発揮することができる義歯安定剤を提供する。酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有することを特徴とする義歯安定剤。なし

目的

本発明は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする、いわゆる「密着タイプ」と称される義歯安定剤に関する上記問題点に鑑み、口腔内での使用において軟弾性が長期に亘って持続し、長くクッション効果が得られる、いわゆる軟弾性の持続(クッション効果の持続性)に優れた義歯安定剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有することを特徴とする義歯安定剤。

請求項2

プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸炭素数が8〜12であることを特徴とする、請求項1に記載する義歯安定剤。

請求項3

酢酸ビニル樹脂100質量部に対するプロピレングリコール脂肪酸エステルの割合が1〜100質量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載する義歯安定剤。

請求項4

酢酸ビニル樹脂を基剤とする義歯安定剤の口腔内での軟弾性持続向上方法であって、酢酸ビニル樹脂とプロピレングリコール脂肪酸エステルとを併用することを特徴とする方法。

技術分野

0001

本発明は酢酸ビニル樹脂を主基剤とする密着タイプクッションタイプ)の義歯安定剤に関する。好ましくは、本発明は、口腔内での使用時の軟弾性クッション性)が長期に持続する、すなわち軟弾性の持続に優れた義歯安定剤に関する。

背景技術

0002

義歯安定剤は、従来から、多くの義歯装着者により、義歯(義歯床)を非咀嚼及び咀嚼時に口腔内の所定位置に固定するために使用されている。このため、義歯安定剤の特性として、義歯床の口腔内への装着及び脱離(剥離)が簡便で容易であることに加えて、口腔内への装着後、つまり使用時において口腔内での粘着性及び軟弾性が優れること、またその粘着性及び軟弾性が長期に持続することが求められる。

0003

種々義歯安定剤のなかでも酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤は、ペースト状の形態を有しており、義歯と歯茎との隙間を埋めて中の空気を追い出し、吸盤のように義歯を歯茎に密着固定させるという作用機構から「密着タイプ」と称される。かかる義歯安定剤は、主基剤である酢酸ビニル樹脂が口腔内で唾液を吸収することで収縮してクッション状を呈し、その結果、義歯が歯茎からずれないように固定する効果(この効果を「義歯安定効果」という)、および軟弾性(クッション性)を発現して歯茎への負担を軽減する効果(この効果を「クッション効果」という)を発揮するようになる。このため、当該密着タイプの義歯安定剤は、その軟弾性(クッション性)から「クッションタイプ」とも称される。なお、ここで「軟弾性(クッション性)」とは軟性と弾性を兼ね備えることを意味する。

0004

こうした密着タイプの義歯安定剤に関して、前述する特性の改良及び向上を目指して、従来から多くの研究がなされ、種々の義歯安定剤が提案されている。例えば、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤に関して、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂中重合度酢酸ビニル樹脂高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で組み合わせて使用すること(特許文献1及び2)、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で併用し、これに特定の割合でエタノールと水を配合してペースト状にすること(特許文献3)、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と中重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを併用するとともに、アクリル酸低級アルキルメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を用いること(特許文献4及び5)、酢酸ビニル樹脂に、ポリプロピレンオキサイド系重合体グリセリンアセチル誘導体又はエチレングリコールのアセチル誘導体を併用すること(特許文献6)、酢酸ビニル樹脂に可塑剤としてエタノールに代えて特定のグリセリンのアセチル誘導体を併用すること(特許文献7)などが提案されている。

0005

なかでも特許文献3、6及び7は、口腔内における使用時の軟弾性及びその持続性を向上するための技術を開示するものであるが、軟弾性の持続という点からは、さらなる改良が必要である。

先行技術

0006

特開昭60−253440号公報
特開2004−352612号公報
特開昭53−148197号公報
特開2004−350695号公報
特開2004−350694号公報
特開平7−157408号公報
特開2014−18488号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする、いわゆる「密着タイプ」と称される義歯安定剤に関する上記問題点に鑑み、口腔内での使用において軟弾性が長期に亘って持続し、長くクッション効果が得られる、いわゆる軟弾性の持続(クッション効果の持続性)に優れた義歯安定剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題の解決をめざして日夜研究を重ねていたところ、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤において、酢酸ビニル樹脂にプロピレングリコール脂肪酸エステルを併用することで、口腔内での使用時において軟弾性が長期にわたって持続することを見出し、クッション効果の持続性に優れた密着タイプの義歯安定剤が開発提供できることを確認した。

0009

本発明はかかる知見に基づいて完成したものであって、下記の実施形態を包含する。

0010

(I)義歯安定剤
(I-1)酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有することを特徴とする義歯安定剤。
(I-2)プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸炭素数が8〜12であることを特徴とする(I-1)に記載する義歯安定剤。
(I-3)酢酸ビニル樹脂100質量部に対するプロピレングリコール脂肪酸エステルの割合が1〜100質量部であることを特徴とする、(I-1)または(I-2)に記載する義歯安定剤。
(I-4)さらにエタノールまたは/および水を含有することを特徴とする(I-1)〜(I-3)のいずれかに記載する義歯安定剤。
(I-5)酢酸ビニル樹脂が平均重合度300〜7000を有するものである(I-1)〜(I-4)のいずれかに記載する義歯安定剤。
(I-6)酢酸ビニル樹脂が平均重合度300以上1000未満の低重合度酢酸ビニル樹脂、平均重合度1000以上3000未満の中重合度酢酸ビニル樹脂、及び平均重合度3000以上7000以下の高重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載する義歯安定剤。
(I-7)酢酸ビニル樹脂の配合割合が30〜80質量%である(I-1)〜(I-6)のいずれかに記載する義歯安定剤。
(I-8)義歯床がプラスチック製である総義歯または部分義歯用の義歯安定剤である(I-1)〜(I-7)のいずれかに記載する義歯安定剤。

0011

(II)口腔内での軟弾性の持続向上方法
(II-1)酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤について、口腔内での軟弾性の持続向上方法であって、酢酸ビニル樹脂とプロピレングリコール脂肪酸エステルを併用することを特徴とする方法。
(II-2)プロピレングリコール脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数が8〜12であることを特徴とする(II-1)に記載する方法。
(II-3)酢酸ビニル樹脂100質量部に対するプロピレングリコール脂肪酸エステルの割合を1〜100質量部とすることを特徴とする、(II-1)または(II-2)に記載する方法。
(II-4)さらにエタノールまたは/および水を配合することを特徴とする(II-1)〜(II-3)のいずれかに記載する方法。
(II-5)酢酸ビニル樹脂の平均重合度が300〜7000である(II-1)〜(II-4)のいずれかに記載する方法。
(II-6)酢酸ビニル樹脂として、平均重合度300以上1000未満の低重合度酢酸ビニル樹脂、平均重合度1000以上3000未満の中重合度酢酸ビニル樹脂、及び平均重合度3000以上7000以下の高重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を用いる、(II-1)〜(II-5)のいずれかに記載する方法。
(I-7)義歯安定剤中の酢酸ビニル樹脂の配合割合が30〜80質量%である、(II-1)〜(II-6)のいずれかに記載する方法。
(II-8)前記義歯安定剤が、義歯床がプラスチック製である総義歯または部分義歯用の義歯安定剤であり、前記軟弾性が口腔内の上記義歯と歯茎との間における軟性及び弾性である、(II-1)〜(II-7)のいずれかに記載する方法。

発明の効果

0012

本発明の義歯安定剤は、好ましくは口腔内での軟弾性の持続性が向上しているため、使用時に口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させたときのクッション効果を長期にわたって発揮することができる。

0013

本発明の義歯安定剤は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とし、他成分として少なくともプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有するものである。以下、各成分について説明する。

0014

(I)酢酸ビニル樹脂
本発明において酢酸ビニル樹脂は、平均重合度が300〜7000程度のものを使用することができる。好ましくは平均重合度450〜6000程度、より好ましくは平均重合度450〜1500程度である。

0015

本発明では、かかる平均重合度の範囲にある酢酸ビニル樹脂を1種単独で用いてもよいし、また重合度の異なる酢酸ビニル樹脂をそれらの平均重合度が上記範囲になるように2種以上組み合わせて使用することもできる。この場合、平均重合度が300以上1000未満の低重合度酢酸ビニル樹脂、平均重合度が1000以上3000未満の中重合度酢酸ビニル樹脂、及び平均重合度が3000以上7000以下の高重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される酢酸ビニル樹脂を2種以上組み合わせて使用してもよい。ここで低重合度酢酸ビニル樹脂の中でも、好ましくは平均重合度が400〜800の低重合度酢酸ビニル樹脂であり、また中重合度酢酸ビニル樹脂の中でも好ましくは平均重合度が1000〜2000の中重合度酢酸ビニル樹脂であり、さらに高重合度酢酸ビニル樹脂の中でも好ましくは平均重合度が4000〜6000の高重合度酢酸ビニル樹脂である。

0016

本発明の義歯安定剤における酢酸ビニル樹脂の配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の30〜80質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは45〜75質量%であり、より好ましくは55〜75質量%である。なお、酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、酢酸ビニル樹脂の溶液を作り、オストワルド粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度と溶液濃度等から計算で平均重合度を測定することができる。

0017

(2)プロピレングリコール脂肪酸エステル
プロピレングリコール脂肪酸エステルとは、脂肪酸とプロピレングリコールとのエステル、または油脂とプロピレングリコールとのエステル交換物を意味する。好ましくはプロピレングリコールの2つの水酸基のいずれか少なくとも一つが脂肪酸でエステル化されたアシル基を有するモノエステル若しくはジエステル、またはこれらの混合物である。また、プロピレングリコール脂肪酸エステルの結合脂肪酸は、好ましくは炭素数8〜12の飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数8、10または12の飽和脂肪酸、更に好ましくは炭素数8または12の飽和脂肪酸を挙げることができる。具体的には、プロピレングリコールモノカプリル酸エステル、プロピレングリコールモノペラルゴン酸エステルプロピレングリコールモノカプリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステルなどのプロピレングリコールモノエステル系;プロピレングリコール酢酸カプリン酸エステル、プロピレングリコール酢酸ラウリン酸エステル、プロピレングリコールジカプリル酸エステル、プロピレングリコールジカプリン酸エステル、プロピレングリコールジラウリン酸エステルなどのプロピレングリコールジエステル系;並びにこれら2種以上の混合物を挙げることができる。

0018

プロピレングリコール脂肪酸エステルとして好ましくはモノエステルである。モノエステルとジエステルとの混合物を用いる場合、モノエステル含量として好ましくは40〜100%未満、より好ましくは60〜100%未満、さらに好ましくは80〜100%未満である。

0019

本発明においてプロピレングリコール脂肪酸エステルとして、好ましくは炭素数8〜12の飽和脂肪酸とプロピレングリコールとのモノエステルであり、具体的にはプロピレングリコールモノカプリル酸エステル、及びプロピレングリコールモノラウリル酸エステルを挙げることができる。

0020

本発明の義歯安定剤におけるプロピレングリコール脂肪酸エステルの配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の1〜70質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。また本発明の義歯安定剤中の酢酸ビニル樹脂100質量部に対するプロピレングリコール脂肪酸エステルの割合として、1〜100質量部、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは1〜30質量部の範囲を挙げることができる。この範囲でプロピレングリコール脂肪酸エステルを酢酸ビニル樹脂と併用することで、義歯安定剤を口腔内に装着して使用した場合のクッション効果の持続性が、プロピレングリコール脂肪酸エステルを併用しない義歯安定剤と比較して、有意に長く続き、軟弾性の持続に優れた義歯安定剤を調製し提供することができる。

0021

(3)その他の成分
(3−1)エタノール
本発明の義歯安定剤は、制限されないものの、上記酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルに加えて、さらにエタノールが配合されていることが好ましい。ここでエタノールは、本発明の義歯安定剤の主基剤である酢酸ビニル樹脂を軟化させる溶剤として機能する。

0022

エタノールを配合する場合、その配合量は、通常、義歯安定剤全体の10〜40質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは10〜30質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。

0023

また制限はされないものの、エタノールを配合する場合、前述する酢酸ビニル樹脂100質量部に対して10〜40質量部となるような割合で配合することが好ましい。より好ましくは15〜40質量部である。プロピレングリコール脂肪酸エステルの配合に加えて、かかる割合でエタノールを配合することで、口腔内に装着した際に軟弾性に優れたクッション状を形成して良好なクッション効果を発現するように義歯安定剤を調製することができる。さらにエタノールと酢酸ビニル樹脂の配合割合は、義歯安定剤のチューブからの出し易さ、義歯への塗り広げ易さ、手指への付着防止を発揮するうえでも重要である。

0024

また前述するプロピレングリコール脂肪酸エステルに対するエタノールの配合割合も、上記クッション効果に加えて、本発明の効果であるクッション効果の持続性がより良好に得られるように適宜調整することができる。制限されないが、プロピレングリコール脂肪酸エステル1質量部に対するエタノールの割合として、好ましくは0.1〜30質量部となるように設定される。より好ましくは0.3〜20質量部である。

0025

(3−2)水
本発明の義歯安定剤には、制限されないものの、上記酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステルに加えて、また必要に応じて上記エタノールに加えて、さらに水が配合されていることが好ましい。ここで水は、本発明の義歯安定剤の主基剤である樹脂軟化調整剤として機能する。

0026

水の配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の5〜25質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは7〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。

0027

前述するエタノールとの配合割合は、義歯安定剤が口腔内で軟弾性に優れたクッション状を形成してクッション効果を発現するうえで重要であり、通常、水1質量部に対してエタノールの割合が0.8〜4.5質量部となるように設定される。好ましくは1〜3質量部である。さらに水とエタノールの配合割合は、義歯安定剤のチューブからの出し易さ、義歯への塗り広げ易さ、手指への付着防止効果を発揮するうえでも重要である。

0028

(4)その他の任意成分
本発明による義歯安定剤には、上記酢酸ビニル樹脂及びプロピレングリコール脂肪酸エステル、並びに必要に応じてエタノールまたは/および水以外に、さらに義歯安定剤に所望の性状を与えるために任意成分として可塑剤、乳化剤粘度調整剤水浸透性向上剤剥離向上剤水不溶性粉体湿潤剤防腐剤金属石けん香料着色料歯垢分解酵素などの公知の添加剤を、この発明の効果を損なわない限りにおいて、適宜配合することができる。

0029

可塑剤としては、ミツロウ、木ロウカルナウバロウキャンデリラワックス等が例示される。

0030

乳化剤としては、グリセリンモノステアレートのようなグリセリンの脂肪酸エステルソルビタンモノステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステル等が例示される。

0031

粘度調整剤は義歯安定剤の粘度を調整するもので、必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコール等が併用される。なお、本発明の義歯安定剤の粘度は、1000〜5000000センチポイズの範囲になるように調整されることが好ましい(測定品温:37±1℃)。より好ましくは10000〜3000000センチポイズの範囲である。特に部分義歯用には当該粘度は、100000〜800000センチポイズの範囲になるように調整されることが好ましい。より好ましくは200000〜700000センチポイズの範囲である。当該粘度は、義歯安定剤をマヨネーズ瓶(柏洋硝子(株)製 M−70)に60cc充填し、12時間以上、温度37±1℃に保温した後、B型粘度計(BROOKFIELD社製「DV−II+」、スピンドルC型回転数0.5rpm)を用い、測定して得られる粘度である。

0032

なお、本発明の義歯安定剤のちょう度(測定品温:25℃)は、15mm以上であることが好ましく、より好ましくは20〜40mmの範囲である。さらに好ましくは20〜30mmの範囲である。なおちょう度はペースト状物質の硬さ、軟らかさ及び流動性などを示す物性値である。当該ちょう度は、義歯安定剤0.5mLをアクリル板(80mm×80mm×5mm)に乗せ、上からもう一枚のアクリル板(80mm×80mm×5mm)で挟み込み、1500gの重りを乗せて30秒間荷重し、円形に広がった義歯安定剤の直径を4ヶ所測定し、その平均値を算出することで求めることができる。

0033

水浸透性向上剤は、義歯安定剤の水浸透性を向上させる機能を有するものである。具体的には、義歯安定剤を口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させたときに、水接触面が少ないにもかかわらず、速やかに唾液が浸透し、その結果、酢酸ビニル樹脂が収縮して、優れた義歯安定効果とクッション効果を発揮するように機能する。かかる水浸透性向上剤として白色ワセリン及び黄色ワセリンなどのワセリンを挙げることができる。なお、ワセリンは、義歯安定剤を義歯床に塗り広げるときに、それが指に付着することを抑制する調整剤としても有用である。

0034

剥離向上剤は、義歯の使用後に義歯安定剤を義歯床の接触面から剥し易くするもので、ポリブテンポリイソブチレン炭酸カルシウムリン酸カルシウムベントナイト二酸化ケイ素、三元共重合体等が例示される。

0035

ここで三元共重合体としては、アクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を例示することができる。ここで低級アルキルは、メチルエチルプロピルブチル等の炭素数1〜6のアルキルを示す。特に好ましい三元共重合体はアクリル酸エチルメタアクリル酸メチルと比較的少量のメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとからなるものであり、かかる三元共重合体としては、EVONIK社から「オイドラギット(EUDRAGIT) RS」の登録商標で市販されている分子量約150,000のランダム共重合体を挙げることができる(以下、この市販品を「市販三元共重合体」という)。ただし、この発明で用いられる三元共重合体は市販三元共重合体に限定されない。

0036

水不溶性粉体としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、プラスチックパウダータルクシリカ等が例示される。

0037

湿潤剤としては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビット等が例示される。

0038

防腐剤としては、メチルパラベンエチルパラベン等が例示される。

0039

金属石けんとしては、ステアリン酸カルシウム等が例示される。

0041

油脂・ワックス類としては、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックスカルナバロウ、キャンデリラワックス等が例示される。その他、香料、色素等を添加してもよい。

0042

本発明の義歯安定剤は、酢酸ビニル樹脂と水を混合し、均一に分散するように混合させたあと、プロピレングリコール脂肪酸エステルとエタノールを配合し、必要に応じてその他成分を配合した後、減圧下で脱泡させながら温度50〜60℃にて20〜50分間程度攪拌することによって、ペースト状(クリームタイプジェルタイプ等)に調製することができる。かかる調製は、例えばプラネタリーミキサーなどの攪拌機を用いることで簡単に実施することができる。このように、本発明が対象とする義歯安定剤は、クリームタイプ、ジェルタイプ等のペースト状を有するものである。

0043

本発明の義歯安定剤は、義歯と顎堤(歯茎)との間を密着させて、上顎上または下顎上に装着固定化するために使用される。対象とする義歯は通常、総義歯である。なお、対象とする義歯の床の材質は、特に制限はなく、レジン床に対して適用することができる。レジン床として具体的にはプラスチック製の床を挙げることができる。

0044

また本発明の義歯安定剤は、通常の密着タイプの義歯安定剤と同様の方法で使用することができる。例えば、水分を除いた義歯床(入れ歯土台)の上顎若しくは下顎と接触する面全体に薄く伸ばしながら塗布付着させることで用いられる。斯くして義歯安定剤を付着させた義歯は、口腔内に入れて上顎若しくは下顎に装着すると、義歯安定剤が唾液の水分を吸収し収縮することでクッション状になり、歯茎(上顎または下顎)に密着することで安定に固定される。

0045

(II)義歯安定剤の口腔内での軟弾性の持続向上方法
本発明は、義歯安定剤について口腔内での軟弾性の持続向上方法に関する。より詳細には、前述する酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤について口腔内での軟弾性を持続向上させる方法に関する。当該方法は、酢酸ビニル樹脂に、プロピレングリコール脂肪酸エステルを併用することを特徴とする。

0046

酢酸ビニル樹脂、及びこれに組み合わせて配合するプロピレングリコール脂肪酸エステルについては、すでに(I)で説明した通りであり、ここに上記(I)の説明が援用される。

0047

口腔内での軟弾性の持続性を向上させる対象の義歯安定剤は、義歯安定剤中に平均重合度が300〜7000の範囲にある酢酸ビニル樹脂を30〜80質量%の割合で含有するものであることが好ましい。好ましくは45〜75質量%、より好ましくは55〜75質量%である。

0048

当該義歯安定剤に対するプロピレングリコール脂肪酸エステルの配合割合としては、上記義歯安定剤組成物中に含まれる酢酸ビニル樹脂の総量100質量部に対して、1〜100質量部の割合を挙げることができる。好ましくは1〜60質量部、より好ましくは1〜30質量部である。また、最終の義歯安定剤(最終義歯安定剤)100質量%中のプロピレングリコール脂肪酸エステルの割合としては、1〜70質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜15質量%を挙げることができる。

0049

さらに上記義歯安定剤にはエタノールまたは/および水を配合することができる。これらエタノールまたは/および水の配合割合についても(I)で説明した通りであり、ここに上記(I)の説明が援用される。
斯くして調製される義歯安定剤は、プロピレングリコール脂肪酸エステルを含有しない義歯安定剤、つまり酢酸ビニル樹脂にプロピレングリコール脂肪酸エステルを併用しないで調製される義歯安定剤(対照義歯安定剤)と比較して、口腔内での使用、具体的には口腔内温度(36〜38℃)での水存在下での使用において軟弾性がより長く持続する。また、途中で熱いおなど(45〜65℃程度)を飲んでも持続性に問題は生じない。このため、本発明の方法を利用して調製される義歯安定剤は、口腔内での軟弾性の持続、つまりクッション効果の持続性に優れているという効果を有している。このため、本発明の方法を利用して調製される義歯安定剤は、口腔内での使用においてクッション効果の持続性に優れており、1回装着すると、洗っても2〜3日間に亘りクッション効果を維持しながら、長期間使用することできるという効果を有している。

0050

以下、試験例及び実施例に基づいて、本発明の構成及び効果を説明する。但し、本発明はかかる試験例及び実施例に制限されるものではない。なお、特に言及しないかぎり、以下に記載する%は「質量%」を意味するものとする。

0051

試験例1口腔温度下でのクッション性(軟弾性)の評価
(1)試料の調製、及び試験方法
表1〜3に記載する各成分を同表に記載する割合で配合し、各成分が均一に分散するようにプラネタリーミキサーを用いて撹拌しながら混合し、各種の義歯安定剤(実施例1〜10、比較例1〜5)を調製した。
これらの義歯安定剤について、ゴム硬度計で測定される硬度を軟弾性(クッション性)とみなして、その持続性(クッション効果の持続性)を評価した。

0052

具体的には、各義歯安定剤をそれぞれアクリル板上に2.5gずつ乗せ、直径約40mmの円状になるように指で均一に広げ、試料表面の硬度を、ゴム硬度計(ASKER製、タイプ:C型)を用いて測定した(測定試料温度:25℃)(硬度[初期])。次いで、試料を37℃の湯浴中に24時間浸漬し、その後、速やかに湯浴から取り出し、一旦室温(25℃)に戻してから、再び試料表面の硬度をゴム硬度計(ASKER製、タイプ:C型)を用いて測定した(測定試料温度:25℃)(硬度[24H後])。

0053

なお、各硬度測定は、1測定試料あたり任意の5箇所について行い、その平均値を当該試料(実施例1〜10、比較例1〜5)の口腔温度下での軟弾性(クッション性)とした。

0054

(2)試験結果
結果を表1〜3に示す。

0055

0056

0057

0058

表1〜3に示すように、酢酸ビニル樹脂にプロピレングリコール脂肪酸エステルを併用することで、軟弾性が長期にわたって持続することがわかる。

0059

処方例
本発明の義歯安定剤の処方を表4に記載する。表4に記載する各成分を同表に記載する割合で配合し、各成分が均一に分散するようにプラネタリーミキサーを用いて撹拌しながら混合することで、本発明の義歯安定剤を調製することができる。なお、下記処方にさらに微量の顔料を配合することもできる。

実施例

0060

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