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技術 モータ制御装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 夏目洋平
出願日 2015年7月27日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-148047
公開日 2017年2月2日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-028944
状態 特許登録済
技術分野 無整流子電動機の制御 交流電動機の制御一般
主要キーワード 延長フランジ 通電直後 インペラ部材 台形波状 ポンプ駆動用モータ センサレス位置検出 誘起電圧検出 配管抵抗
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図面 (12)

課題

回転速度に応じて電圧生成駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制し得るモータ制御装置を提供する。

解決手段

モータの始動前に駆動Aで生成した電圧をモータの巻線印加した後、駆動Bで生成した電圧をモータの巻線に印加する。駆動A及び駆動Bで生成した電圧がモータの巻線に各々印加されることにより検出されたU−V相間の平均電圧176に基づいて、駆動方式を駆動Bから駆動Aに変更する場合の補正値を算出し、駆動方式を変更する場合には当該補正値でPWM制御信号であるPWM DUTY172を補正し、補正したPWM DUTY172に基づいてモータの巻線に通電する電圧を生成する。

概要

背景

水冷式エンジンでは、エンジンブロック等に設けられた冷却水流路であるウォータジャケット不凍液を添加した冷却水を循環させることにより、エンジンを冷却している。水冷式エンジンのエンジンブロックには、冷却水を循環させるためのウォータポンプが取り付けられており、ウォータポンプは、車両が備えるECU(Electronic Control Unit)によって回転速度が制御されるポンプ駆動用モータによって駆動される。

ポンプ駆動用モータには、ブラシレスDCモータが主に用いられるが、ブラシレスDCモータ(以下、「モータ」と称する)等の同期モータ巻線印加する電圧を生成するための制御には種々の方式が存在し、目的に応じて使い分けられる場合がある。

特許文献1には、モータの巻線の電流位相進角させる場合には矩形波状の電圧を生成する矩形波制御を行い、モータの巻線の位相を進角させる必要がない場合には、正弦波波形の電圧を生成するPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う交流電動機駆動制御装置が開示されている。

概要

回転速度に応じて電圧生成駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制し得るモータ制御装置を提供する。モータの始動前に駆動Aで生成した電圧をモータの巻線に印加した後、駆動Bで生成した電圧をモータの巻線に印加する。駆動A及び駆動Bで生成した電圧がモータの巻線に各々印加されることにより検出されたU−V相間の平均電圧176に基づいて、駆動方式を駆動Bから駆動Aに変更する場合の補正値を算出し、駆動方式を変更する場合には当該補正値でPWM制御信号であるPWM DUTY172を補正し、補正したPWM DUTY172に基づいてモータの巻線に通電する電圧を生成する。

目的

本発明は上記に鑑みてなされたもので、回転速度に応じて電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制し得るモータ制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

異なる2つの駆動方式での制御が可能で、制御されることによって生成した電圧三相モータ巻線印加する駆動回路と、前記三相モータの巻線の電圧を検出する電圧検出部と、前記三相モータの始動前に、異なる2つの駆動方式の各々で電圧を生成するように前記駆動回路を制御し、前記電圧検出部で各々検出された電圧に基づいて、前記2つの駆動方式の一方の駆動方式から他方の駆動方式に変更する場合の補正値を算出すると共に、前記三相モータの始動後、前記駆動回路の駆動方式を変更する場合に、入力された指令信号に基づいたPWM制御信号を前記補正値に基づいて補正し、前記2つの異なる駆動方式のいずれか一方で補正したPWM制御信号を用いて前記駆動回路を制御する駆動回路制御部と、を含むモータ制御装置

請求項2

前記駆動回路制御部は、前記三相モータの始動前に、所定のPWM制御信号に基づいて前記一方の駆動方式で前記駆動回路を制御した後に、該所定のPWM制御信号に基づいて前記他方の駆動方式で前記駆動回路を制御し、前記他方の駆動方式で生成された電圧が前記三相モータの巻線に印加されることにより前記電圧検出部で検出された電圧が、前記一方の駆動方式で生成した電圧が前記三相モータの巻線に印加されることにより前記電圧検出部で検出された電圧と一致するように該所定のPWM制御信号を変化させ、該所定のPWM制御信号と該変化させたPWM制御信号との差異に基づいて前記補正値を算出する請求項1記載のモータ制御装置。

請求項3

前記駆動回路制御部は、前記三相モータの始動前に、前記一方の駆動方式で前記駆動回路を制御して第1相の巻線から第2相の巻線を介して接地領域通電させた後に、前記他方の駆動方式で前記駆動回路を制御して前記第1相の巻線から前記第2相の巻線を介して接地領域に通電させることにより、前記三相モータのロータを回転させずに前記補正値を算出する請求項1又は2記載のモータ制御装置。

請求項4

前記駆動回路制御部は、前記三相モータの初回の始動時前に前記補正値を算出して記憶し、初回以後の前記三相モータの始動では該記憶した補正値に基づいて前記PWM制御信号を補正する請求項1〜3のいずれか1項記載のモータ制御装置。

請求項5

前記2つの駆動方式は、ロータの回転位置に応じていずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電されるように前記駆動回路を制御する第1駆動方式と、ロータの回転位置に応じていずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電された後、前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流減衰させる通電がされるように前記駆動回路を制御する第2駆動方式と、を含む請求項1〜4のいずれか1項記載のモータ制御装置。

請求項6

三相モータのロータの回転位置に応じて前記三相モータのいずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電する第1駆動方式と、前記三相モータのロータの回転位置に応じて前記三相モータのいずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電された後、前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流を減衰させる通電をする第2駆動方式との2つの駆動方式での制御が可能で、制御されることによって生成した電圧を前記三相モータの巻線に印加する駆動回路と、前記第2駆動方式において前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流を減衰させる通電の時間に基づいて前記2つの駆動方式の一方の駆動方式から他方の駆動方式に変更する場合の補正値を算出すると共に、前記三相モータの始動後、前記駆動回路の駆動方式を変更する場合に、入力された指令信号に基づいたPWM制御信号を前記補正値に基づいて補正し、前記第1駆動方式及び前記第2駆動方式のいずれか一方で補正したPWM制御信号を用いて前記駆動回路を制御する駆動回路制御部と、を含むモータ制御装置。

請求項7

前記駆動回路制御部は、前記三相モータの回転速度が高速の場合には前記第1駆動方式で、前記三相モータの回転速度が低速の場合には前記第2駆動方式で、前記駆動回路を各々制御する請求項5又は6記載のモータ制御装置。

技術分野

0001

本発明は、車両のウォータポンプ駆動用モータ制御装置に関する。

背景技術

0002

水冷式エンジンでは、エンジンブロック等に設けられた冷却水流路であるウォータジャケット不凍液を添加した冷却水を循環させることにより、エンジンを冷却している。水冷式エンジンのエンジンブロックには、冷却水を循環させるためのウォータポンプが取り付けられており、ウォータポンプは、車両が備えるECU(Electronic Control Unit)によって回転速度が制御されるポンプ駆動用モータによって駆動される。

0003

ポンプ駆動用モータには、ブラシレスDCモータが主に用いられるが、ブラシレスDCモータ(以下、「モータ」と称する)等の同期モータ巻線印加する電圧を生成するための制御には種々の方式が存在し、目的に応じて使い分けられる場合がある。

0004

特許文献1には、モータの巻線の電流位相進角させる場合には矩形波状の電圧を生成する矩形波制御を行い、モータの巻線の位相を進角させる必要がない場合には、正弦波波形の電圧を生成するPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う交流電動機駆動制御装置が開示されている。

先行技術

0005

特許第3683135号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、電圧を生成する制御の方式が異なれば、生成される電圧及び電流は同一ではない。特許文献1に記載の発明では、モータが回転中に電圧生成駆動方式を変更するので、駆動方式の変更の際に、生成される電圧及び電流に差異が生じ、その結果、モータの回転速度に意に反して変動するおそれがあるという問題点があった。

0007

本発明は上記に鑑みてなされたもので、回転速度に応じて電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制し得るモータ制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を解決するために、請求項1に記載のモータ制御装置は、異なる2つの駆動方式での制御が可能で、制御されることによって生成した電圧を三相モータの巻線に印加する駆動回路と、前記三相モータの巻線の電圧を検出する電圧検出部と、前記三相モータの始動前に、異なる2つの駆動方式の各々で電圧を生成するように前記駆動回路を制御し、前記電圧検出部で各々検出された電圧に基づいて、前記2つの駆動方式の一方の駆動方式から他方の駆動方式に変更する場合の補正値を算出すると共に、前記三相モータの始動後、前記駆動回路の駆動方式を変更する場合に、入力された指令信号に基づいたPWM制御信号を前記補正値に基づいて補正し、前記2つの異なる駆動方式のいずれか一方で補正したPWM制御信号を用いて前記駆動回路を制御する駆動回路制御部と、を含んでいる。

0009

このモータ制御装置によれば、2つの駆動方式で駆動回路を各々動作させて生成した電圧が三相モータの巻線に各々印加されることにより検出された電圧に基づいて、駆動方式を変更する場合の補正値を算出している。そして、PWM制御信号を算出した補正値で補正することにより、電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制できる。

0010

請求項2に記載のモータ制御装置は、請求項1記載のモータ制御装置において、前記駆動回路制御部は、前記三相モータの始動前に、所定のPWM制御信号に基づいて前記一方の駆動方式で前記駆動回路を制御した後に、該所定のPWM制御信号に基づいて前記他方の駆動方式で前記駆動回路を制御し、前記他方の駆動方式で生成された電圧が前記三相モータの巻線に印加されることにより前記電圧検出部で検出された電圧が、前記一方の駆動方式で生成した電圧が前記三相モータの巻線に印加されることにより前記電圧検出部で検出された電圧と一致するように該所定のPWM制御信号を変化させ、該所定のPWM制御信号と該変化させたPWM制御信号との差異に基づいて前記補正値を算出する。

0011

このモータ制御装置によれば、他方の駆動方式で生成した電圧が三相モータの巻線に印加されることにより検出された電圧が、一方の駆動方式で生成した電圧が三相モータの巻線に印加されることにより検出された電圧と一致するようにPWM制御信号を変化させている。変化前と変化後とのPWM制御信号の差異に基づいて補正値を算出し、PWM制御信号を算出した補正値で補正することにより、電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制できる。

0012

請求項3に記載のモータ制御装置は、請求項1又は2記載のモータ制御装置において、前記駆動回路制御部は、前記三相モータの始動前に、前記一方の駆動方式で前記駆動回路を制御して第1相の巻線から第2相の巻線を介して接地領域通電させた後に、前記他方の駆動方式で前記駆動回路を制御して前記第1相の巻線から前記第2相の巻線を介して接地領域に通電させることにより、前記三相モータのロータを回転させずに前記補正値を算出する。

0013

このモータ制御装置によれば、三相モータのロータを回転させないようにすることにより、補正値の算出に特化した制御が可能になる。

0014

請求項4に記載のモータ制御装置は、請求項1〜3のいずれか1項記載のモータ制御装置において、前記駆動回路制御部は、前記三相モータの初回の始動時前に前記補正値を算出して記憶し、初回以後の前記三相モータの始動では該記憶した補正値に基づいて前記PWM制御信号を補正する。

0015

このモータ制御装置によれば、記憶した補正値を用いることにより、三相モータの始動毎に補正値を算出することを要しないので、三相モータの制御を簡易迅速化できる。

0016

請求項5に記載のモータ制御装置は、請求項1〜4のいずれか1項記載のモータ制御装置において、前記2つの駆動方式は、ロータの回転位置に応じていずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電されるように前記駆動回路を制御する第1駆動方式と、ロータの回転位置に応じていずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電された後、前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流を減衰させる通電がされるように前記駆動回路を制御する第2駆動方式と、を含む。

0017

このモータ制御装置によれば、第2駆動方式では通電した巻線に残留する電流を減衰させる通電をしている。かかる通電により、無通電の相の誘起電圧に生じるノイズを軽減でき、低速回転時に誘起電圧に基づくロータの位置の検出が容易となる。

0018

前記課題を解決するために、請求項6に記載のモータ制御装置は、三相モータのロータの回転位置に応じて前記三相モータのいずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電する第1駆動方式と、前記三相モータのロータの回転位置に応じて前記三相モータのいずれか1相の巻線を無通電にし、他の2相の巻線の一方の巻線から他方の巻線に通電された後、前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流を減衰させる通電をする第2駆動方式との2つの駆動方式での制御が可能で、制御されることによって生成した電圧を前記三相モータの巻線に印加する駆動回路と、前記第2駆動方式において前記一方の巻線から前記他方の巻線に流れる電流を減衰させる通電の時間に基づいて前記2つの駆動方式の一方の駆動方式から他方の駆動方式に変更する場合の補正値を算出すると共に、前記三相モータの始動後、前記駆動回路の駆動方式を変更する場合に、入力された指令信号に基づいたPWM制御信号を前記補正値に基づいて補正し、前記第1駆動方式及び前記第2駆動方式のいずれか一方で補正したPWM制御信号を用いて前記駆動回路を制御する駆動回路制御部と、を含んでいる。

0019

このモータ制御装置によれば、設計時等に算出された理論上の補正値に基づいてPWM制御信号を補正することにより、電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制できる。

0020

請求項7に記載のモータ制御装置は、請求項5又は6記載のモータ制御装置において、前記駆動回路制御部は、前記三相モータの回転速度が高速の場合には前記第1駆動方式で、前記三相モータの回転速度が低速の場合には前記第2駆動方式で、前記駆動回路を各々制御する。

0021

このモータ制御装置によれば、三相モータの回転速度が低速の場合にはロータの位置検出が容易な第2駆動方式を用い、三相モータの回転速度が高速の場合には駆動回路のスイッチング動作が少ない第1駆動方式を用いることにより、回転速度に応じて三相モータの制御を最適化できる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の実施の形態に係るポンプ駆動用モータの分解斜視図である。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の一例を示す概略図である。
冷却水を吐出する際の配管抵抗を流量と圧力の比で表したグラフである。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置のマイコンに設けられたPWMの演算回路の一例を示した概略図である。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置におけるインバータFETゲートに印加される信号、センサレス位置検出イミング、W相電圧誘起電圧検出期間の一例を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡駆動の場合を各々示している。
本発明の実施の形態において、モータのU相コイルからV相コイルへの通電におけるインバータ回路の動作を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡PWM駆動の場合を各々示している。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置における指令信号、インバータFETのゲートに印加される信号、U相電圧、V相電圧、U−V間電圧の一例を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡駆動の場合を各々示している。
本発明の実施の形態に係るモータ制御装置におけるモータの始動のセンサレス制御の一例を示したフローチャートである。
本発明の実施の形態におけるセンサレス駆動の一例を示したフローチャートである。
本発明の実施の形態における位置決め制御の一例を示したフローチャートである。
本発明の実施の形態における位置決め制御におけるロータの回転速度、プリドライバに出力されるPWM制御信号であるPWM DUTY、U相端子電圧、V相端子電圧、U−V相間の平均電圧の各々の変化を記したタイミングチャートの一例である。

実施例

0023

図1は、本実施の形態に係るポンプ駆動用モータ10(以下、「モータ10」と略記)の分解斜視図である。図1に示されるように、モータ10は、ハウジング12と、ベース部材14と、ロータ16と、ステータ18と、制御基板20と、シールドカバー22と、ステータホルダ24とを備えている。

0024

ハウジング12は、樹脂製とされている。このハウジング12は、板状のハウジング本体26と、ロータ16を収容する開口28Aを備えたロータ16収容室28の周壁部30とを一体に有している。ハウジング本体26の一端部には、コネクタ32が設けられており、ロータ16収容室28の周壁部30は、ハウジング本体26の中央部よりも他端部寄りの位置に円筒状に形成されている。

0025

モータ10は、例えばエンジン冷却水を循環させるウォータポンプとして好適に用いられるものであり、ロータ16収容室28は、ハウジング12が自動車のエンジンブロック等に取り付けられた場合に、エンジンブロックに形成されたポンプ室と連通される。

0026

ベース部材14は、伝熱性が高く導電性を有する金属の一例として、例えば、アルミニウム合金製とされている。このベース部材14には、ロータ16収容室28の底壁部31が形成されており、この底壁部31には、接合部38及びシャフト支持部40が形成されている。この接合部38及びシャフト支持部40は、それぞれ円筒状に形成されている。

0027

接合部38は、シャフト支持部40の径方向外側に形成されると共に、周壁部30の先端部と同軸上に形成されている。この接合部38は、ロータ16収容室28側に突出しており、周壁部30の先端部における外周部と接合されている。この接合部38の内周部と周壁部30の先端部における外周部との間には、例えばOリング等のシール材が設けられている。

0028

シャフト支持部40は、周壁部30の径方向内側に形成されており、ロータ16収容室28の内部に突出されている。このシャフト支持部40の内側には、ロータ16収容室28の軸方向に延びるシャフト44の一端が圧入されており、これにより、シャフト44は、シャフト支持部40に支持されている。

0029

ロータ16は、ロータ16収容室28に回転可能に収容されている。このロータ16は、軸受46を介してシャフト44に回転可能に支持されている。ロータ16は、永久磁石で構成されており、シャフト44の軸方向にインペラ部材48が設けられている。

0030

インペラ部材48にはインペラ56が形成されている。インペラ56は、エンジンブロックのポンプ室に収容される。ポンプ室内でインペラ56が回転することにより、ポンプ室内に液体が流入されると共に、ポンプ室から液体が吐出される。なお、ロータ16収容室28は、ポンプ室と連通されるので、ポンプ室36に液体が流入すると、ロータ16収容室28は、液体で充満される。

0031

ステータ18は、周壁部30の周囲に設けられており、この周壁部30を介してロータ16と径方向に対向されている。このステータ18は、環状のステータコア巻装された巻線を有している。ステータ18の巻線に印加する電圧の極性を制御することによって、ステータ18にはいわゆる回転磁界生じる。ロータ16を構成する永久磁石が、ステータ18に生じた回転磁界に吸引又は反発することにより、ロータ16が回転磁界に追随して回転する。

0032

制御基板20は、プリント基板等の基板本体64に複数の素子実装されている。基板本体64は、底壁部31にロータ16収容室28と反対側から重ね合わされている。なお、基板本体64は、底壁部31との間に例えば伝熱シート伝熱ゲル等の介在物を介して底壁部31に重ね合わされていても良い。

0033

シールドカバー22は、例えば鉄等の強磁性体により形成されている。このシールドカバー22は、上述の制御基板20及びベース部材14と後述するステータホルダ24の保持部76とを包囲する包囲部72と、制御基板20に対する底壁部31と反対側から制御基板20を覆う被覆部74とを有している。このシールドカバー22は、モータ10の外形部を形成している。

0034

ステータホルダ24は、例えば鉄等の強磁性体により形成されている。このステータホルダ24は、円筒状の保持部76を有している。この保持部76は、ステータ18と包囲部72との間に設けられている。この保持部76の内周部に、巻線が巻回されたステータコアが圧入されることにより、ステータ18は、保持部76によって保持されている。

0035

また、この保持部76におけるハウジング本体26側の端部には、この板状のハウジング本体26に沿って包囲部72に向けて延びる延長フランジ78が形成されている。さらに、上述のシールドカバー22の周縁部には、第1フランジ80が形成されており、ステータホルダ24の周縁部には、第2フランジ82が形成されている。この第1フランジ80及び第2フランジ82は、締結具等により互いに結合されている。なお、この第1フランジ80及び第2フランジ82は、シールドカバー22とステータホルダ24との接続部の一例である。

0036

シールドカバー22及びステータホルダ24が互いに固定された際に形成される空間に、上述の制御基板20が収容されている。

0037

制御基板20の基板本体64には、上述の延長フランジ78と同じ側に延びる延長部86が形成されている。保持部76の側方で延長フランジ78と延長部86との間に形成された空間には、基板本体64に実装されている素子よりも大型の電気部品90が配置されている。電気部品90は、例えば雑防素子とされており、基板本体64における底壁部側の面に実装されている。なお、ベース部材14には、底壁部31から延長部86と同じ側に延びる支持部92が形成されており、延長部86は、支持部92に重ね合わされている。

0038

図2は、本実施の形態に係るモータ制御装置100の一例を示す概略図である。インバータ回路114は、イグニッションスイッチ124がオンになり、車載バッテリ120から供給された電力スイッチングし、モータ本体118(以下、「モータ118」と略記)のステータ18のコイルに印加する電圧を生成する。例えば、インバータFET114A,44DはU相のコイルに、インバータFET114B,44EはV相のコイルに、インバータFET114C,44FはW相のコイルに、各々印加する電圧を生成するスイッチングを行う。

0039

インバータFET114A,114B,114Cの各々のドレインは車載のバッテリ120の正極に接続されている。また、インバータFET114D,114E,114Fの各々のソースはバッテリ120の負極に接続されている。

0040

本実施の形態では、モータ118のロータ16が回転によって生じる誘起電圧によりロータ16の回転速度及び位置(回転位置)を検出する。一般に、ブラシレスDCモータは、シャフト44と同軸に設けられたロータ16のマグネット又はセンサマグネット磁界ホール素子で検出し、検出された磁界に基づいてロータ16の回転速度及び位置(回転位置)を検出する。しかしながら、本実施の形態に係るモータ118は、エンジンのウォータポンプ128に用いられるので、作動時には、エンジンの熱にさらされる。半導体であるホール素子は熱に弱いので、本実施の形態に係るモータ118では、ホール素子は使用せず、無通電の相のコイルに生じた誘起電圧によってロータ16の回転速度及び位置を検出する。

0041

誘起電圧は、ロータ16の回転に応じて変化する正弦波状のアナログ信号であるが、本実施の形態では、コンパレータを含む位置検出回路116により、矩形波状のパルス信号に変換してマイコン110に入力する。

0042

マイコン110は、位置検出回路116から入力された信号からロータ16の位置を算出し、算出したロータ16の位置と上位の制御装置であるECU122から入力された指令信号とに基づいて、インバータ回路114のスイッチングの制御に係るPWM(Pulse Width Modulation)制御のデューティ比を算出する。ECU122には、エンジンの冷却水の温度を検知する水温センサ126が接続されており、冷却水の温度が上昇するに従って、ウォータポンプ128の冷却水の吐出量が多くなるようにモータ118の回転速度を制御する。また、水温センサ126は、エンジンのウォータジャケット又はラジエータ等の冷却水の流路の一角に設けられている。また、本実施の形態では、バッテリ120とインバータ回路114とモータ118とで構成された回路の電圧を計測する電圧センサ130が設けられている。

0043

マイコン110によって算出されたデューティ比の信号(PWM制御信号)は、プリドライバ112を介してインバータ回路114に出力され、インバータ回路114は当該デューティ比に基づいて電圧を生成し、モータ118のコイルに印加する。

0044

図3は、冷却水を吐出する際の配管抵抗を流量と圧力の比で表したグラフである。図3に示したように、ウォータポンプが吐出する冷却水の流量が増えるに従って、高い圧力を要するようになり、配管抵抗が大きくなっている。本実施の形態では、流量が少ない場合には、インペラ56を駆動するモータ118の回転速度を低くし、流量が大きくなるに従って、インペラ56を駆動するモータ118の回転速度を高くしていく。

0045

後述するように、モータ118のコイルに印加する電圧を生成する駆動方式は、モータ118の回転速度によって至適な方式が存在する。本実施の形態では、流量が少なくモータ118の回転速度が低い場合には平衡PWM駆動と称する駆動方式で、流量が多くモータ118の回転速度が高い場合には片側PWM駆動と称する駆動方式で、各々モータ118のコイルに印加する電圧を生成する。

0046

図4は、本実施の形態に係るモータ制御装置100のマイコン110に設けられたPWMの演算回路の一例を示した概略図である。図4に示した演算回路は、ECU122から指令信号である指令DUTYが入力される演算回路選択部132と、片側PWM駆動DUTYT演算回路134Aと、平衡PWM駆動DUTYT演算回路134Bとを備えている。

0047

演算回路選択部132は、入力された指令信号の指令値であるデューティ比が所定の閾値X%以上か否かにより、モータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を算出する演算回路を選択する。例えば、指令信号のデューティ比がX%以上の場合は、モータ118を高速で回転させる場合なので、片側PWM駆動DUTYT演算回路134Aに指令信号を入力する。片側PWM駆動DUTYT演算回路134Aは、モータ印加DUTY演算部136Aによって入力された指令信号に基づいてモータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を算出する。算出されたデューティ比の信号はPWM制御信号としてプリドライバ112に入力される。

0048

指令信号のデューティ比がX%未満の場合は、モータ118を低速で回転させる場合なので、平衡PWM駆動DUTYT演算回路134Bに指令信号を入力する。平衡PWM駆動DUTYT演算回路134Bは、モータ印加DUTY演算部136Bによって入力された指令信号に基づいてモータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を算出する。そして、モータ印加DUTY演算部136Bによって算出されたデューティ比は、補正部138により、平衡PWM駆動から片側PWM駆動に駆動方式が変更された際に、モータ118の回転速度が変動しないように補正される。補正されたデューティ比の信号はPWM制御信号としてプリドライバ112に入力される。なお、所定の閾値Xは、モータ118の仕様等によって異なるので、製品に応じて適宜設定する。

0049

図5は、本実施の形態に係るモータ制御装置100におけるインバータFET114A,114B,114D,114Eのゲートに印加される信号、センサレス位置検出タイミング、W相電圧、誘起電圧検出期間の一例を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡駆動の場合を各々示している。図5PWM周期Tは、1のコイルから他のコイルを介して接地領域への通電するためのPWM制御に必要な周期で、図5では、U相コイルからV相コイルを介して接地領域に1パルスを通電するためのPWM制御に要する周期である。本実施の形態では、PWM周期Tは、略50μ秒である。

0050

図5(A)の「U相上段FETゲート波形」に示したように、U相コイルへの通電に係るインバータFET114Aのゲートには連続的にハイレベルの信号が印加され、その結果、インバータFET114AはPWM周期Tにおいて連続的にオンになっている。また、図5(A)の「V相下段FETゲート波形」に示したように、V相コイルの通電に係るインバータFET114Eのゲートにはデッドタイム152の直後にハイレベル信号が印加されてインバータFET114Eがオンになり、U相コイル18U及びV相コイル18Vが通電される。なお、デッドタイム152は、直列に接続されたインバータFETが同時にオンにならないようにするために設けられた時間である。

0051

その後、インバータFET114Eがオフになって、デッドタイム152が経過した後に、インバータFET114Bのゲートにハイレベル信号が印加されてインバータFET114Bがオンになる。

0052

図5(A)に示したように、U相コイル18Uに通電するためのスイッチングを行うインバータFETを連続的にオンにする一方で、V相コイル18Vに通電するためのスイッチングを行うインバータFETをPWM制御でオンオフさせているので、本実施の形態では、図5(A)のような場合を片側PWM駆動と呼称する。

0053

図5(A)の場合は、W相は無通電相なので、回転する永久磁石であるロータ16の磁界の影響で生じた誘起電圧が観測される。誘起電圧は、前述のように、電気角360度等の巨視的なスケールでは正弦波状の波形を示し、図5(A)のような微視的なスケールでは、単調増加又は単調減少する略直線状の波形として理論上は表現される。

0054

しかしながら、実際には図5(A)に示したように、無通電相であっても、U相、V相の通電の影響を受け、台形波状のパルスが現れている。

0055

本実施の形態に係るモータ118は、前述のようにホール素子を用いず、バッテリ120の電力が通電されていない相のコイルに生じた誘起電圧を検出して、ロータ16の位置を検出する。しかしながら、図5(A)のW相電圧のように、台形波状のパルスが生じると、センサレス位置検出タイミング154Aが台形波状のパルスの影響を受け、ロータ16の位置検出に至適な信号が抽出可能なタイミングが限られるおそれがある。

0056

図5(A)において、W相において誘起電圧が単調増加を示す誘起電圧検出可能期間156Aで、理論上は誘起電圧が検知できるが、実効的な電圧値の検知が可能なタイミングは、図5(A)に示した最低検出期間156Mに限られる。

0057

ロータ16の位置検出に至適な信号が抽出可能なタイミングが限られると、モータ118の回転速度が低速な場合ほどロータ16の位置検出が困難になりやすい。モータ118の回転速度が小さくなるほど、図5(A)に示したW相コイル18Wのような無通電のコイルが出現するタイミングが単位時間に対して少なくなるからである。従って、モータ118の回転速度が小さい場合、本実施の形態であれば、インペラ56を低速回転させるような場合には、図5(A)に示した片側PWM駆動とは異なる駆動方式である平衡PWM制御を要する。

0058

図5(B)の「U相上段FETゲート波形」に示したように、平衡駆動では、PWM周期Tにおいて、デッドタイム152の経過後にU相コイルへの通電に係るインバータFET114Aがオンになる。同時に図5(B)の「V相下段FETゲート波形」に示したように、V相コイルへの通電に係るインバータFET114Eのゲートにハイレベル信号が印加されてインバータFET114Eがオンになる。その結果、周期T1において、U相コイル18U及びV相コイル18Vが通電される。

0059

その後、図5(B)の「U相上段FETゲート波形」及び「V相下段FETゲート波形」に示したように、インバータFET114A及びインバータFET114Eは同時にオフになる。そして、デッドタイム152が経過した後に、図5(B)の「U相下段FETゲート波形」及び「V相上段FETゲート波形」に示したように、インバータFET114B及びインバータFET114Dのゲートにハイレベル信号が印加されて、インバータFET114B及びインバータFET114Dがオンになる。その結果、周期T2において、周期T1の通電によって生じたU相コイル18U及びV相コイル18Vの電流を減衰させる。

0060

図5(B)の場合は、周期T1で通電した電流を周期T2で減衰させることにより、インバータ回路114及びモータ118のコイルの電位を平衡にする。本実施の形態では、図5(B)に示した場合を平衡駆動と呼称する。

0061

周期T1で通電した電流を周期T2で打ち消すことにより、無通電相であるW相に対するU相、V相の通電の影響を軽減でき、その結果、無通電相に生じた誘起電圧の検知が容易になる。図5(B)に示したように、W相コイル18Wに生じる誘起電圧は、多少はスパイク波が生じるものの、パルス状のノイズは解消され、センサレス位置検出タイミング154Bを誘起電圧検出可能期間156Bのいずれかに設定でき、ロータ16の位置検出に至適な信号の抽出が容易となる。

0062

図6は、モータ118のU相コイル18UからV相コイル18Vへの通電におけるインバータ回路114の動作を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡PWM駆動の場合を各々示している。

0063

図6(A)に示した片側PWM駆動の場合は、モータ118に印加する電圧のデューティ比を大きくする場合である。図6(A)では、バッテリ120から供給された電力を、インバータFET114AをオンにしてU相コイル18Uに印加し、V相コイル18VとインバータFET114Eとを経由して接地させている。

0064

図6(A)において、電流140はインバータFET114Eがオンになった場合の電流である。電流140は、連続的にオンになっているインバータFET114Aを介してU相コイル18Uに流れ、さらにV相コイル18VとインバータFET114Eとを経由して接地領域に流れている。

0065

図6(A)において、電流142は、電流142は、インバータFET114Eがオフになり、インバータFET114Bがオンになった場合の電流である。電流142は、電流140が流れた影響によるものであり、インバータFET114Eがオフになっても、直前に流れた電流140の影響により、電流140と同一方向、すなわちU相コイル18UからV相コイル18Vへ電流を流そうとする起電力によるものである。

0066

電流142は、インバータFET114Eがオフになっているので、接地領域には流れず、U相コイル18U、V相コイル18V、インバータFET114B、インバータFET114Aを構成された回路を循環するに留まる。しかしながら、後述するように、電流140,142によって、前述のように、W相コイル18Wに生じる誘起電圧が影響されるというおそれがある。

0067

図6(B)に示した平衡PWM駆動の場合は、モータ118に印加する電圧のデューティ比を小さくする場合である。図6(B)において、電流144はインバータFET114A及びインバータFET114Eがオンになった場合の電流である。電流144は、インバータFET114Aを介してU相コイル18Uに流れ、さらにV相コイル18VとインバータFET114Eとを経由して接地領域に流れている。

0068

図6(B)において、電流146は、インバータFET114B及びインバータFET114Dがオンになった場合の電流である。電流146は、U相コイル18U及びV相コイル18Vにおいて電流144と順方向の電流である。インバータFET114B及びインバータFET114Dをオンにする制御は、電流144と逆方向の電流を流すものであるが、電流144の影響により、インバータFET114B及びインバータFET114Dがオンになった場合であっても、なおも電流144と順方向の電流が実際には観測される。しかしながら、インバータFET114B及びインバータFET114Dがオンになることで、電流144の影響による電流146を減衰させる効果がある。

0069

電流144の影響による電流146を減衰させるためにインバータFET114B及びインバータFET114Dをオンにする周期T2は、インバータFET114A及びインバータFET114Eをオンにする周期T1よりも短時間でよい。周期T1に対する周期T2は、モータ118の仕様等によって異なるので、実機を用いた実験等を通じて具体的に決定する。

0070

図7は、本実施の形態に係るモータ制御装置100における指令信号、インバータFET114A,114B,114D,114Eのゲートに印加される信号、U相電圧、V相電圧、U−V間電圧の一例を示した概略図であり、(A)は片側PWM駆動の場合、(B)は平衡駆動の場合を各々示している。

0071

図7(A)の「U相上段FETゲート波形」に示したように、指令信号が変化しても、U相コイルへの通電に係るインバータFET114Aのゲートには連続的にハイレベルの信号が印加され、インバータFET114AはPWM周期Tにおいて連続的にオンになっている。また、図7(A)の「V相下段FETゲート波形」に示したように、V相コイルの通電に係るインバータFET114Eのゲートには指令信号に基づいて周期T'2のハイレベル信号が印加されてインバータFET114Eがオンになる。その結果、U相コイル18U及びV相コイル18Vが通電され、周期T'2において、U相電圧160UAはバッテリ120の正極の電圧であるVb、V相電圧160VAは0となってU相コイルとV相コイルとに電位差が生じる。なお、図7(A)に示したように、インバータFET114Eのスイッチング動作の影響により、V相電圧160VAの波形は完全な矩形波ではなく略台形状を呈する。

0072

周期T'2経過後の周期Tdのデットタイム152ではインバータFET114Eはオフになるので、U相電圧160UAはバッテリ120の正極の電圧であるVb、V相電圧160VAはVb以上の電圧を示す。デッドタイム152においてV相電圧160VAがVb以上の電圧を示すのは、オフになっているインバータFET114Bの寄生ダイオードを介して電流が流れるためである。当該寄生ダイオードの順電圧VFであれば、デッドタイム152である周期TdにおいてV相電圧160VAはVbよりも順電圧VFの分で高い電圧を示す。しかしながら順電圧VFは、シリコン系半導体の場合、0.65V程度の値なので、本実施の形態では、以下、順電圧VFは略0であるとして、近似的に電圧の算出を行う。

0073

片側PWM駆動のPWM周期TにおけるU−V間電圧162Aは、U相電圧160UAとV相電圧160VAとの差である。そして、U−V間平均電圧164Aは、以下の式(1)によって算出される。
U−V間平均電圧=Vb×T'2/T …(1)

0074

図7(B)の「U相上段FETゲート波形」に示したように、平衡駆動では、指令信号のエッジ立ち上がってからデッドタイム152の経過後にU相コイルへの通電に係るインバータFET114Aがオンになる。同時に図7(B)の「V相下段FETゲート波形」に示したように、V相コイルへの通電に係るインバータFET114Eのゲートにハイレベル信号が印加されてインバータFET114Eがオンになる。その結果、周期T"2において、U相電圧160UBはバッテリ120の正極の電圧であるVb、V相電圧160VBは0となってU相コイルとV相コイルとに電位差が生じる。

0075

その後、図7(B)の「U相上段FETゲート波形」及び「V相下段FETゲート波形」に示したように、指令信号のエッジが立ち下がるとインバータFET114A及びインバータFET114Eは同時にオフになる。そして、デッドタイム152が経過した後に、図7(B)の「U相下段FETゲート波形」及び「V相上段FETゲート波形」に示したように、インバータFET114B及びインバータFET114Dのゲートにハイレベル信号が印加されて、インバータFET114B及びインバータFET114Dがオンになる。

0076

平衡PWM駆動のPWM周期TにおけるU−V間電圧162Bは、U相電圧160UBとV相電圧160VBとの差である。そして、U−V間平均電圧164Bは、以下の式(2)によって算出される。
U−V間平均電圧=Vb×(T"2−T"4−2Td)/T …(2)

0077

一般に指令信号のデューティ比が片側PWM駆動と平衡PWM駆動とで同じであれば、図7の周期T'2=周期T"2となるが、上記の式(1),(2)より、片側PWM駆動の方がU−V間平均電圧は高くなる。また、片側PWM駆動の方がスイッチング素子動作回数が少なくなるので、インバータ回路114の負荷も少なくなる。

0078

しかしながら、上述のように、片側PWM駆動では低速回転時にはロータ16の位置検出に至適な信号の抽出が容易ではない。従って、モータ118の高速回転時には片側PWM駆動を行い、モータ118の低速回転時には平衡PWM駆動を行う事が望ましい。

0079

本実施の形態では、前述のように、指令信号のデューティ比が所定の値X%を超えた場合には片側PWM駆動によってモータ118に印加する電圧を生成する。又は、モータ118の回転速度が所定の回転速度を超えた場合、若しくは別途備えた電流センサが検知したコイルの電流が所定の値を超えた場合に片側PWM駆動によってモータ118に印加する電圧を生成してもよい。

0080

駆動方式を平衡PWM駆動から片側PWM駆動に切り換える場合には、デューティ比が同じ指令信号の場合には、上述のように、平衡PWM駆動によって生成される電圧が片側PWM駆動によって生成される電圧よりも低くなることが問題となる。本実施の形態では、図7(B)に示したインバータFETのスイッチング動作による遅延時間Toffを補正項として、上述の式(2)を変形した式(3)によって平衡PWM駆動におけるU−V間平均電圧を想定する。
U−V間平均電圧=Vb×(T"2−T"4−2Td+Toff)/T…(3)

0081

本実施の形態では、周期T'2=周期T"2の場合に、下記の式(4)によって、Toffを算出する。
Vb×T'2/T=Vb×(T"2−T"4−2Td+Toff)/T
T'2=T"2−T"4−2Td+Toff
Toff=T"4+2Td …(4)

0082

上記の式(4)に示したように、補正項Toffは、周期T"4に基づいた値を示す。

0083

本実施の形態では、図4に示した補正部138で、算出した補正項Toffを用いてモータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を補正する。

0084

しかしながら、補正項Toffの値は製品毎にばらつきがある場合があり、かかる場合には上記の式(4)で算出される値が補正値として至適であるとは限らないこともある。本実施の形態では、モータ118の出荷前の始動テスト時に補正値を算出する場合もある。

0085

図8は、本実施の形態に係るモータ制御装置100におけるモータ118の始動のセンサレス制御の一例を示したフローチャートである。センサレス制御とは、本実施の形態に係るモータ118のようにホール素子を用いず、無通電相に生じた誘起電圧を検出してロータ16の位置を検出する制御を意味する。

0086

図8のステップ500では、モータ118の始動前に位置決め制御が行われる。位置決め制御の詳細については、図10,11を用いて後述するが、位置決め制御では、平衡PWM駆動から片側PWM駆動に切り換える際のモータ118の回転速度の変動を抑制するためのデューティ比の補正値の算出が行われる。

0087

ステップ502では、位置決め制御から規定時間が経過したか否かを判定し、肯定判定の場合には、ステップ504において強制転流制御が行われる。ステップ504では、低速の一定周期で各相のコイルに順番に通電し、通電の電圧を徐々に上げながらモータ118のロータ16を回転させる。

0088

ステップ506では、センサレス駆動条件を充足するか否かを判定する。具体的には、ロータ16の回転速度が向上し、誘起電圧によるロータ16の位置検出可能な速度になった場合に肯定判定を行う。ステップ506で肯定判定の場合には、ステップ508において誘起電圧によるロータ16の位置検出に基づくセンサレス駆動を実行する。

0089

図9は、図8のステップ508のセンサレス駆動のフローチャートである。ステップ600では、駆動条件Aを充足するか否かを判定する。具体的には、指令信号のデューティ比が所定の値X%を超えた場合に駆動A条件を充足すると判定し、ステップ602で片側PWM駆動(以下、「駆動A」と称する)によってモータ118に印加する電圧を生成して処理を終了する。

0090

ステップ600で否定判定の場合には、ステップ604で平衡PWM駆動(以下、「駆動B」と称する)によってモータ118に印加する電圧を生成して処理を終了する。

0091

図10は、図8のステップ500の位置決め制御の一例を示したフローチャートである。ステップ700では、U相、V相、W相の各相のコイルのうち、例えばU相コイルからV相コイルへのような、特定の2相のコイル間にのみ規定のデューティ比のPWM制御信号に基づき駆動Aによって生成した電圧を印加する。特定の2相のコイル間にのみ通電する理由は、モータ118のロータ16を回転させないようにするためである。本実施の形態では、駆動A及び駆動Bの各々で生成した電圧をロータ16を回転させないように特定の1相のコイルからもう1相のコイルへ通電した際に電圧センサ130によって各々検知した電圧に基づいて、PWM制御信号の補正値を算出する。後述するように、本実施の形態では、U相からV相へ通電するが、V相からW相、W相からU相に各々通電してもよい。また、ロータ16を回転させても構わないのであれば、上述のように特定の1相のコイルからもう1相のコイルへ通電することを重視しなくてもよい。

0092

ステップ702では、ステップ700での通電の結果生じた電圧を電圧センサ130で検出する。電圧センサ130が検知した電圧は、例えば、図11の時間t0からt1の間に検知されるU相端子電圧174U、V相端子電圧174Vである。本実施の形態では、U相端子電圧174UとV相端子電圧174Vの所定時間の積分値を時間で微分する等の既知の方法によってU−V相間の平均電圧176を算出する。ここで、図11は、本実施の形態における位置決め制御におけるロータ16の回転速度170、プリドライバ112に出力されるPWM制御信号であるPWM DUTY172、U相端子電圧174U、V相端子電圧174V、U−V相間の平均電圧176の各々の変化を記したタイミングチャートの一例である。

0093

図7の時間t0で初期値(START_DUTY)のPWM制御信号が入力されたことをトリガとして、駆動Aにより生成した電圧をU相コイル18UからV相コイル18Vを介して接地領域に通電する。具体的には、インバータFET114Aをオン状態に保ち、インバータFET114EをPWM制御信号の初期値に応じてオン、オフさせる。かかる通電直後は、図11の回転速度170が示すように、ロータ16は微動することがある。

0094

ステップ702では、電圧センサ130が検知したU相端子電圧174U及びV相端子電圧174VからU−V相間の平均電圧176を算出する。

0095

ステップ704では、規定時間が経過したか否かを判定する。規定時間は、例えば、図11の時間t1が経過したか否かによって判定する。ステップ704で肯定判定の場合には手順をステップ706に移行させる。ステップ704で否定判定の場合には手順をステップ700に戻し、駆動Aによるコイルへの通電と電圧の検出を継続する。

0096

ステップ706では、初期値のPWM制御信号(START_DUTY)に基づき駆動Bによって生成した電圧をコイルに印加する。ステップ708では、ステップ706での通電の結果生じた電圧を検出する。デューティ比が同じPWM制御信号に基づいた場合、平衡PWM駆動(駆動B)の方が片側PWM駆動(駆動A)よりも生成される電圧が低くなる。図11においても、U−V相間の平均電圧176は駆動Bが始まった時間t1で低下している。

0097

ステップ710では、規定時間が経過したか否かを判定する。規定時間は、例えば、図11の時間t2が経過したか否かによって判定する。ステップ710で肯定判定の場合には手順をステップ712に移行させる。ステップ710で否定判定の場合には手順をステップ706に戻し、駆動Bによるコイルへの通電と電圧の検出を継続する。

0098

ステップ712では、駆動AによるU−V相間の平均電圧と駆動BによるU−V相間の平均電圧とに差異があるか否かを判定し、肯定判定の場合には、ステップ714で駆動AのU−V相間の平均電圧と駆動BのU−V相間の平均電圧とが一致するようにPWM制御信号のデューティ比を調整する。そして、ステップ716で駆動Bの電圧を検出し、再びステップ712で駆動AのU−V相間の平均電圧と駆動BのU−V相間の平均電圧とに差異があるか否かを判定する。

0099

図11の時間t2から時間t3の間の処理が、図10のステップ712〜716の処理に該当する。図11に示すように、時間t2から徐々にPWM制御信号であるPWM DUTY172を上げてゆき、U−V相間の平均電圧176が時間t1までの駆動AによるU−V相間の平均電圧176と一致した場合のデューティ比をEND_DUTYとして抽出する。

0100

ステップ712で否定判定の場合、すなわち駆動AのU−V相間の平均電圧と駆動BのU−V相間の平均電圧とが一致した場合に、END_DUTYに基づいてPWM制御信号の補正値を算出して処理を終了する。PWM制御信号の補正値は、END_DUTYとSTART_DUTYとの差異に基づくが、END_DUTYとSTART_DUTYとの差でもよいし、END_DUTYとSTART_DUTYとの比でもよい。END_DUTYとSTART_DUTYとの差を補正値とした場合は、駆動Bによってモータ118のコイルに印加する電圧を生成する際に、PWM制御信号のデューティ比に補正値を加算して補正したデューティ比に基づいて駆動Bで電圧を生成する。END_DUTYとSTART_DUTYとの比を補正値とした場合は、駆動Bによってモータ118のコイルに印加する電圧を生成する際に、PWM制御信号のデューティ比に補正値を乗算して補正したデューティ比に基づいて駆動Bで電圧を生成する。

0101

本実施の形態では、片側PWM駆動である駆動Aに比してU−V相間の平均電圧が低下する平衡PWM駆動である駆動BのPWM制御信号のデューティ比を補正することにより、駆動BのU−V相間の平均電圧を駆動AのU−V相間の平均電圧に一致させている。

0102

上述の本実施の形態とは逆に、平衡PWM駆動である駆動Bに比してU−V相間の平均電圧176が大きくなる片側PWM駆動である駆動AのPWM制御信号のデューティ比を補正することにより、駆動AのU−V相間の平均電圧を駆動BのU−V相間の平均電圧に一致させてもよい。かかる場合には、駆動Aによってモータ118のコイルに印加する電圧を生成する際に、PWM制御信号のデューティ比からEND_DUTYとSTART_DUTYとの差である補正値を減算して補正したデューティ比に基づいて駆動Aで電圧を生成する。又は、駆動Aによってモータ118のコイルに印加する電圧を生成する際に、PWM制御信号のデューティ比にEND_DUTYとSTART_DUTYとの比である補正値を除算して補正したデューティ比に基づいて駆動Aで電圧を生成する。

0103

又は、図11の場合とは逆に、駆動Bで生成した電圧を印加した後、駆動Aで生成した電圧を印加し、駆動AのPWM制御信号のデューティ比を補正する補正値を算出してもよい。

0104

本実施の形態では、モータ118の始動時に上述の補正値を算出するが、出荷前の動作テスト等の初回の始動時に補正値を算出して記憶装置に記憶しておき、以後、記憶した補正値を用いてPWM制御信号のデューティ比を補正する。

0105

以上説明したように、本実施の形態によれば、モータ118の始動時にモータの特定の2相のコイルに異なる2つの駆動方式で生成した電圧を各々印加した際の各々のU−V相間の平均電圧176の値から駆動方式を切り換える際のPWM制御信号のデューティ比の補正値を算出している。かかる補正値で一方の駆動方式のPWM制御信号のデューティ比を補正することにより、回転速度に応じて電圧生成の駆動方式を変更する場合に、モータの回転速度の変動を抑制できる。

0106

10…ポンプ駆動用モータ、12…ハウジング、14…ベース部材、16…ロータ、18…ステータ、18U…相コイル、18V…相コイル、18W…相コイル、20…制御基板、22…シールドカバー、24…ステータホルダ、26…ハウジング本体、28…収容室、28A…開口、30…周壁部、31…底壁部、32…コネクタ、36…ポンプ室、38…接合部、40…シャフト支持部、44…シャフト、46…軸受、48…インペラ部材、56…インペラ、64…基板本体、72…包囲部、74…被覆部、76…保持部、78…延長フランジ、80…フランジ、82…フランジ、86…延長部、90…電気部品、92…支持部、100…モータ制御装置、110…マイコン、112…プリドライバ、114…インバータ回路、FET114A,114B,114C,114D,114E,114F…インバータFET、116…位置検出回路、118…モータ本体、120…バッテリ、124…イグニッションスイッチ、126…水温センサ、128…ウォータポンプ、130…電圧センサ、132…演算回路選択部、134A…片側PWM駆動DUTYT演算回路、134B…平衡PWM駆動DUTY演算回路、136A…モータ印加DUTY演算部演算部、136B…モータ印加DUTY演算部演算部、138…補正部、140,142,144,146…電流、152…デッドタイム、154A,154B…センサレス位置検出タイミング、156A,156B…誘起電圧検出可能期間、156M…最低検出期間、160UA,160UB…U相電圧、160VA,160VB…V相電圧、162A,162B…U−V間電圧、164A,164B…U−V間平均電圧、170…回転速度、172…PWM DUTY、174U…U相端子電圧、174V…V相端子電圧、176…U−V相間の平均電圧

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