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課題

200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、エポキシ樹脂硬化物を簡単・迅速に解重合することができ、コスト及びエネルギー節減可能なエポキシ樹脂解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。

解決手段

化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物および反応溶媒を含む組成物であって、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得る組成物を利用し、難分解性のエポキシ樹脂硬化物を含む樹脂を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、環境への負荷を与えることなく、迅速かつ高効率で解重合可能であるとともに、エポキシ樹脂硬化物の分解後に回収されるフィラー特性低下を防止し、再利用を可能とした。

概要

背景

エポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ単量体硬化剤と混合させた際に発生するエポキシ基の開環によって形成されるネットワーク高分子を含む熱硬化性樹脂である。このようなエポキシ樹脂は、化学成分に対する抵抗性耐久性に優れ、硬化時の体積収縮率が低いことから、接着剤塗料電子電気土木工学建築産業などを含む多様な産業分野において必須的な高機能性原料として使用されている。

最近注目されている複合素材分野において、エポキシ樹脂は、多様なフィラー物質と組み合わされて、宇宙航空分野情報通信技術分野、新エネルギー分野など、多様な分野で使用される。したがって、エポキシ樹脂に対する需要が増加している。特に、炭素繊維と混合して作られる炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic,CFRP)は、軽量でかつ優れた物理的特性と耐久性を示すため、自動車分野や航空宇宙分野における核心的な重要な素材として広く使用されている。また、エポキシ樹脂は、他の高分子樹脂物質と混合して、より高性能の材料を生産するのにも広く使用されている。

エポキシ樹脂は、硬化すると3次元的な網状架橋構造を形成するが、この構造は、化学薬品に非常に強い特性を持っている。このことは、材料に優れた耐久性と耐腐食性を付与するという長所を持つが、一方では、使用の終わった材料を処理し、再利用することが非常に難しいという短所もまた持っている。

現在、大部分のエポキシ樹脂硬化物は埋め立てる方式で処理されているが、これは、経済的にも大きな浪費であり、深刻な環境汚染を引き起こすおそれがある。

最近、エポキシ樹脂とフィラーの複合素材の使用量が次第に増大するにつれ、エポキシ樹脂に比べて相対的に高価なフィラー物質を効果的に分離するために、エポキシ樹脂を選択的に分解する技術に関する研究が活発に行われている。

現在、エポキシ樹脂の分解およびフィラー物質の分離において最も普遍的に使用される方法は、熱分解である。たとえば、炭素繊維をフィラー物質として使用した炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic,CFRP)の場合、Toray、Teijin、Mitsubishiなど、日本企業主導の下で年間1000トン程度を熱分解で処理および再活用している。しかし、熱分解工程を通じた炭素繊維の分離のためには、事前にCFRPを機械的に粉砕する前処理工程が必要であり、数mmサイズまでCFRPを粉砕する過程において炭素繊維も粉砕されてしまう可能性があり、これにより再活用される炭素繊維の長さが短くなるため、炭素繊維の特性に悪影響を及ぼすという問題が発生するようになった。また、何よりも熱分解工程は500℃以上の高い温度が要求され、こうした高温においては、有機化合物燃焼によりダイオキシンといった人体に有害な物質が生成される問題もまた発生するようになる。

したがって、より低い温度で効率的にエポキシ樹脂を分解するために、様々な化学的分解方法が研究された。

たとえば、超臨界または準臨界流体下でエポキシ樹脂を分解する場合、約250〜400℃程度と熱分解工程の温度に比べて低い温度で効率的にエポキシ樹脂硬化物を処理することができる。このような方法を使用する場合、回収するフィラー物質の特性が熱分解方法に比べて比較的低下しにくい長所を持っている。

しかし、本発明者らの研究結果によると、当該方法は、依然として高い温度と10気圧以上の高い圧力を必要とするため、こうした条件に耐え得る特殊な工程設備が必要になるので、経済性が高くないという制約がある。

一方、より一般的かつマイルド工程条件でエポキシ樹脂を分解することができる研究もまた進められているが、たとえば、多官能性エポキシ樹脂、または酸無水物系硬化剤もしくは芳香族ジアミン系硬化剤を使用したエポキシ樹脂硬化物など、相対的に分解が困難な多様なエポキシ樹脂硬化物を分解できないという短所があり、依然として反応時間が長く、反応エネルギーが多く所要される。また、人体に有害ないくつかの有機溶媒を反応系の主溶媒として使用するなどの問題点を依然として内包している。

特に、有機溶媒をエポキシ樹脂の分解のための主溶媒として使用する従来技術が多数知られている。

たとえば、アルカリ族金属を含む電解質を入れ、有機溶媒を添加して廃印刷回路基板解重合することが公開されている(特許文献2)。

また、エポキシ樹脂を粉砕および酸処理した後、シーリングされた反応容器において有機溶媒および酸化剤で処理する技術も公開されている(特許文献3)。

また、エポキシ樹脂を過酸化水素アセトンを利用して分解することが公開されている(非特許文献2)。

また、水分を除去したアルカリ金属化合物と有機溶媒を含む処理液エポキシ樹脂複合材料を処理する技術が公開されている(特許文献4)。

また、エポキシ樹脂プレポリマー双極子モーメント3.0以上の非プロトン性有機溶媒と接触させて、溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることが開示されている(特許文献5)。

また、CFRPから炭素繊維を分離するために、抽出溶媒またはクラッキング溶媒としてfuran‐2‐carbaldehydeを含む有機溶媒を使用することを公開する(特許文献6)。

前記各技術は、比較的低い温度のマイルドな条件で、有機溶媒でエポキシを分解することができることを記載している。

しかし、これらの技術は、有機溶媒自体を、エポキシ樹脂を溶解させるための主な手段として使用する有機溶媒反応システムであって、有機溶媒自体がさらに汚染源として作用するため、有機溶媒による汚染の問題を解決しなければならないという本質的な限界を持っている。また、分解が困難なエポキシ樹脂などに適用しにくい適用性の問題があったり、反応に多くのエネルギーが所要されることから反応効率などの側面においても依然として満足できるものではない。

概要

200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、エポキシ樹脂硬化物を簡単・迅速に解重合することができ、コスト及びエネルギーを節減可能なエポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物および反応溶媒を含む組成物であって、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得る組成物を利用し、難分解性のエポキシ樹脂硬化物を含む樹脂を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、環境への負荷を与えることなく、迅速かつ高効率で解重合可能であるとともに、エポキシ樹脂硬化物の分解後に回収されるフィラーの特性低下を防止し、再利用を可能とした。

目的

本発明の例示的な具現例においては、一側面において、たとえば、200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、エポキシ樹脂硬化物を非常に簡単かつ迅速に解重合することができ、工程費用および所要エネルギーを節減することができるエポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エポキシ樹脂硬化物解重合組成物であって、化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物;および、反応溶媒;を含み、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得ることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項2

反応溶媒は、誘電率が65以上、または70以上、または75以上、または80以上であることを特徴とする、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項3

反応溶媒は、H2Oを含み、誘電率が65以上、または70以上、または75以上、または80以上であるH2Oベースの反応溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項4

H2Oは、液相、気相または超臨界状態であることを特徴とする、請求項3に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項5

反応溶媒は、水単独であることを特徴とする、請求項3に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項6

前記組成物は、Xがアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるとき、pH1〜14または8〜14を示すことを特徴とする、請求項5に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項7

前記化合物は、HOF、HOCl、HOBr、HOI、NaOF、NaOCl、NaOBr、NaOI、LiOF、LiOCl、LiOBr、LiOI、KOF、KOCl、KOBr、KOI、HO2F、HO2Cl、HO2Br、HO2I、NaO2F、NaO2Cl、NaO2Br、NaO2I、LiO2F、LiO2Cl、LiO2Br、LiO2I、KO2F、KO2Cl、KO2Br、KO2I、Ca(OF)2、Ca(OCl)2、Ca(OBr)2、Ca(OI)2、HO3F、HO3Cl、HO3Br、HO3I、NaO3F、NaO3Cl、NaO3Br、NaO3I、LiO3F、LiO3Cl、LiO3Br、LiO3I、KO3F、KO3Cl、KO3Br、KO3I、HO4F、HO4Cl、HO4Br、HO4I、NaO4F、NaO4Cl、NaO4Br、NaO4I、LiO4F、LiO4Cl、LiO4Br、LiO4I、KO4F、KO4Cl、KO4Br、KO4I、NaOCl6、MgO6F2、MgO6Cl2、MgO6Br2、MgO6I2、CaO6F2、CaO6Cl2、CaO6Br2、CaO6I2、SrO6F2、SrO6Cl2、SrO6Br2、SrO6I2、BaO6F2、BaO6Cl2、BaO6Br2、BaO6I2、NaOCl3、NaOCl4、MgO8Cl2、CaO8Cl2、SrO8Cl2、BaO8Cl2からなるグループより選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項8

前記化合物は、解重合組成物に対して0.001〜99重量%含有されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項9

前記解重合組成物は、XOmYnのラジカル生成反応を促進することのできるラジカル提供添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項10

前記ラジカル提供添加剤は、ラジカル含有化合物または反応系内でラジカルを生成する化合物の中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項9に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項11

前記ラジカル提供添加剤は、組成物全体100重量%を基準としたとき、0.00001〜99重量%含まれることを特徴とする、請求項9または10に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物。

請求項12

エポキシ樹脂硬化物の解重合生成物であって、前記生成物は、炭素にYが結合されたC‐Y(Yはハロゲン)結合を含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化物の解重合生成物。

請求項13

エポキシ樹脂硬化物解重合生成物は、フィラーおよび高分子樹脂の中から選択される一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合生成物。

請求項14

フィラーを含むエポキシ樹脂硬化物を解重合して得られるフィラーであって、請求項1〜11のいずれか一項による解重合組成物でエポキシ樹脂硬化物を解重合して得られることを特徴とするフィラー。

請求項15

フィラーは、炭素繊維黒鉛グラフェン酸化グラフェン還元グラフェン炭素ナノチューブガラス繊維無機塩金属粒子セラミック単分子有機化合物、単分子珪素化合物シリコーン樹脂からなるグループより選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項14に記載のフィラー。

請求項16

エポキシ樹脂硬化物の解重合方法であって、エポキシ樹脂硬化物解重合組成物を利用してエポキシ樹脂硬化物を解重合するものであり、前記エポキシ樹脂解重合組成物は、化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物;および、反応溶媒;を含み、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得ることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項17

反応溶媒は、誘電率が65以上、または70以上、または75以上、または80以上であることを特徴とする、請求項16に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項18

反応溶媒は、H2Oを含み、誘電率が65以上、または70以上、または75以上、または80以上であるH2Oベースの反応溶媒であることを特徴とする、請求項16に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項19

前記解重合組成物は、前記化合物を含む水溶液であることを特徴とする、請求項16に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項20

解重合反応温度は、20〜200℃または20〜100℃であることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項21

解重合組成物100重量部を基準として、エポキシ樹脂硬化物を1〜90重量部使用することを特徴とする、請求項16〜20のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項22

前記方法は、エポキシ樹脂硬化物を解重合した後、残った反応溶媒に新たなエポキシ樹脂硬化物を添加して解重合プロセスを繰り返すことを特徴とする、請求項16〜21のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項23

前記方法は、エポキシ樹脂硬化物を解重合反応に提供する前に、エポキシ樹脂硬化物の反応表面積を増加させるように前処理することを特徴とする、請求項16〜22のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項24

前記前処理として、物理的前処理および化学的前処理のいずれか一つ、またはこれらを並行使用することを特徴とする、請求項23に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項25

前記物理的前処理は、乾式粉砕および湿式粉砕方法から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項24に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項26

前記化学的前処理は、酸性組成物にエポキシ樹脂硬化物を含浸させることを特徴とする、請求項24に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項27

XOmYn化合物を製造するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項16〜26のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項28

XOmYn化合物は、HOY(Yはハロゲン)であり、水にYガスバブリングしてHOY化合物を含む水溶液を作ることを特徴とする、請求項27に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項29

XOmYn化合物は、XOY(ここで、Xはアルカリ金属、Yはハロゲン)であり、XYを水において電気分解してXOY化合物を含む水溶液を作ることを特徴とする、請求項27に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項30

エポキシ樹脂硬化物の解重合反応器においてXOmYn化合物を化学的または物理的に生成し、エポキシ樹脂硬化物の解重合を行うことを特徴とする、請求項27に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項31

XOmYn化合物は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であり、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応器において水酸化ナトリウム(NaOH)と塩素(Cl2)の混合物から次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を生成し、エポキシ樹脂硬化物の解重合を行うことを特徴とする、請求項30に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項32

前記解重合組成物に、XOmYnのラジカル生成反応を促進することのできるラジカル提供添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項16〜31のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項33

前記ラジカル提供添加剤は、ラジカル含有化合物または反応系内でラジカルを生成する化合物の中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項32に記載のエポキシ樹脂硬化物の解重合方法。

請求項34

エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離する方法であって、エポキシ樹脂硬化物解重合組成物を利用してエポキシ樹脂硬化物を解重合するステップ;および前記解重合されたエポキシ樹脂硬化物からフィラーを収得するステップ;を含むものであり、前記エポキシ樹脂解重合組成物は、化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物;および、反応溶媒;を含み、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得ることを特徴とする、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離する方法。

技術分野

0001

本明細書は、エポキシ樹脂硬化物解重合方法および組成物に関し、具体的には、エポキシ樹脂硬化物を解重合する方法と、これに使用される組成物、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離するための方法、これを通じて得られるフィラー等に関する。

背景技術

0002

エポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ単量体硬化剤と混合させた際に発生するエポキシ基の開環によって形成されるネットワーク高分子を含む熱硬化性樹脂である。このようなエポキシ樹脂は、化学成分に対する抵抗性耐久性に優れ、硬化時の体積収縮率が低いことから、接着剤塗料電子電気土木工学建築産業などを含む多様な産業分野において必須的な高機能性原料として使用されている。

0003

最近注目されている複合素材分野において、エポキシ樹脂は、多様なフィラー物質と組み合わされて、宇宙航空分野情報通信技術分野、新エネルギー分野など、多様な分野で使用される。したがって、エポキシ樹脂に対する需要が増加している。特に、炭素繊維と混合して作られる炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic,CFRP)は、軽量でかつ優れた物理的特性と耐久性を示すため、自動車分野や航空宇宙分野における核心的な重要な素材として広く使用されている。また、エポキシ樹脂は、他の高分子樹脂物質と混合して、より高性能の材料を生産するのにも広く使用されている。

0004

エポキシ樹脂は、硬化すると3次元的な網状架橋構造を形成するが、この構造は、化学薬品に非常に強い特性を持っている。このことは、材料に優れた耐久性と耐腐食性を付与するという長所を持つが、一方では、使用の終わった材料を処理し、再利用することが非常に難しいという短所もまた持っている。

0005

現在、大部分のエポキシ樹脂硬化物は埋め立てる方式で処理されているが、これは、経済的にも大きな浪費であり、深刻な環境汚染を引き起こすおそれがある。

0006

最近、エポキシ樹脂とフィラーの複合素材の使用量が次第に増大するにつれ、エポキシ樹脂に比べて相対的に高価なフィラー物質を効果的に分離するために、エポキシ樹脂を選択的に分解する技術に関する研究が活発に行われている。

0007

現在、エポキシ樹脂の分解およびフィラー物質の分離において最も普遍的に使用される方法は、熱分解である。たとえば、炭素繊維をフィラー物質として使用した炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic,CFRP)の場合、Toray、Teijin、Mitsubishiなど、日本企業主導の下で年間1000トン程度を熱分解で処理および再活用している。しかし、熱分解工程を通じた炭素繊維の分離のためには、事前にCFRPを機械的に粉砕する前処理工程が必要であり、数mmサイズまでCFRPを粉砕する過程において炭素繊維も粉砕されてしまう可能性があり、これにより再活用される炭素繊維の長さが短くなるため、炭素繊維の特性に悪影響を及ぼすという問題が発生するようになった。また、何よりも熱分解工程は500℃以上の高い温度が要求され、こうした高温においては、有機化合物燃焼によりダイオキシンといった人体に有害な物質が生成される問題もまた発生するようになる。

0008

したがって、より低い温度で効率的にエポキシ樹脂を分解するために、様々な化学的分解方法が研究された。

0009

たとえば、超臨界または準臨界流体下でエポキシ樹脂を分解する場合、約250〜400℃程度と熱分解工程の温度に比べて低い温度で効率的にエポキシ樹脂硬化物を処理することができる。このような方法を使用する場合、回収するフィラー物質の特性が熱分解方法に比べて比較的低下しにくい長所を持っている。

0010

しかし、本発明者らの研究結果によると、当該方法は、依然として高い温度と10気圧以上の高い圧力を必要とするため、こうした条件に耐え得る特殊な工程設備が必要になるので、経済性が高くないという制約がある。

0011

一方、より一般的かつマイルド工程条件でエポキシ樹脂を分解することができる研究もまた進められているが、たとえば、多官能性エポキシ樹脂、または酸無水物系硬化剤もしくは芳香族ジアミン系硬化剤を使用したエポキシ樹脂硬化物など、相対的に分解が困難な多様なエポキシ樹脂硬化物を分解できないという短所があり、依然として反応時間が長く、反応エネルギーが多く所要される。また、人体に有害ないくつかの有機溶媒を反応系の主溶媒として使用するなどの問題点を依然として内包している。

0012

特に、有機溶媒をエポキシ樹脂の分解のための主溶媒として使用する従来技術が多数知られている。

0013

たとえば、アルカリ族金属を含む電解質を入れ、有機溶媒を添加して廃印刷回路基板を解重合することが公開されている(特許文献2)。

0014

また、エポキシ樹脂を粉砕および酸処理した後、シーリングされた反応容器において有機溶媒および酸化剤で処理する技術も公開されている(特許文献3)。

0015

また、エポキシ樹脂を過酸化水素アセトンを利用して分解することが公開されている(非特許文献2)。

0016

また、水分を除去したアルカリ金属化合物と有機溶媒を含む処理液エポキシ樹脂複合材料を処理する技術が公開されている(特許文献4)。

0017

また、エポキシ樹脂プレポリマー双極子モーメント3.0以上の非プロトン性有機溶媒と接触させて、溶媒にエポキシ樹脂プレポリマーを溶解させることが開示されている(特許文献5)。

0018

また、CFRPから炭素繊維を分離するために、抽出溶媒またはクラッキング溶媒としてfuran‐2‐carbaldehydeを含む有機溶媒を使用することを公開する(特許文献6)。

0019

前記各技術は、比較的低い温度のマイルドな条件で、有機溶媒でエポキシを分解することができることを記載している。

0020

しかし、これらの技術は、有機溶媒自体を、エポキシ樹脂を溶解させるための主な手段として使用する有機溶媒反応システムであって、有機溶媒自体がさらに汚染源として作用するため、有機溶媒による汚染の問題を解決しなければならないという本質的な限界を持っている。また、分解が困難なエポキシ樹脂などに適用しにくい適用性の問題があったり、反応に多くのエネルギーが所要されることから反応効率などの側面においても依然として満足できるものではない。

0021

韓国特許出願公開第2002‐66046号
韓国特許出願公開第2011‐0113428号
中国特許第102391543号
日本特許出願公開第2005‐255899号
日本特許出願公開第2013‐107973号
米国特許出願公開第2014‐0023581号

先行技術

0022

Mater.Res.Bull.2004,39,1549
Green Chem.,2012,14,3260

発明が解決しようとする課題

0023

本発明の例示的な具現例においては、一側面において、たとえば、200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、エポキシ樹脂硬化物を非常に簡単かつ迅速に解重合することができ、工程費用および所要エネルギー節減することができるエポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。

0024

本発明の例示的な具現例においては、他の一側面において、有機溶媒を主溶媒とする反応システムである有機溶媒反応系を代替することができ、これにより、有機溶媒が別の汚染源として作用することによる汚染問題を解決することができるため、環境汚染や公害を最小化することができる、エポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。

0025

本発明の例示的な具現例においては、また他の一側面において、有機溶媒を主溶媒とする反応システムである有機溶媒反応系を使用しなくとも、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応効率を高めることができる、エポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。

0026

本発明の例示的な具現例においては、また他の一側面において、相対的に分解が困難なエポキシ樹脂硬化物も、容易に分解することができる、エポキシ樹脂の解重合方法およびこれに使用される組成物、これを利用して得られる解重合生成物を提供する。

0027

本発明の例示的な具現例においては、また他の一側面において、エポキシ樹脂硬化物の分解後に回収されるフィラーの特性低下を防止して、特性に優れた再活用フィラーを得ることができる、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを回収する方法、これを通じて得られるフィラーを提供する。

課題を解決するための手段

0028

本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物の解重合組成物であって、化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)で表される化合物および反応溶媒を含み、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得ることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物解重合組成物を提供する。

0029

例示的な具現例において、反応溶媒は、誘電率が約65以上、または約 70以上、または約75以上、または約80以上であってよい。

0030

例示的な具現例において、反応溶媒は、H2Oを含み、誘電率が約65以上、または約70以上、または約75以上、または約80以上であるH2Oベースの反応溶媒であってよい。

0031

例示的な具現例において、H2Oは、液相、気相または超臨界状態であってよい。

0032

例示的な具現例において、反応溶媒は、水単独であってよい。

0033

例示的な具現例において、前記組成物は、Xがアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるとき、pH1〜14または8〜14を示すものであってよい。

0034

例示的な具現例において、前記化合物は、HOF、HOCl、HOBr、HOI、NaOF、NaOCl、NaOBr、NaOI、LiOF、LiOCl、LiOBr、LiOI、KOF、KOCl、KOBr、KOI、HO2F、HO2Cl、HO2Br、HO2I、NaO2F、NaO2Cl、NaO2Br、NaO2I、LiO2F、LiO2Cl、LiO2Br、LiO2I、KO2F、KO2Cl、KO2Br、KO2I、Ca(OF)2、Ca(OCl)2、Ca(OBr)2、Ca(OI)2、HO3F、HO3Cl、HO3Br、HO3I、NaO3F、NaO3Cl、NaO3Br、NaO3I、LiO3F、LiO3Cl、LiO3Br、LiO3I、KO3F、KO3Cl、KO3Br、KO3I、HO4F、HO4Cl、HO4Br、HO4I、NaO4F、NaO4Cl、NaO4Br、NaO4I、LiO4F、LiO4Cl、LiO4Br、LiO4I、KO4F、KO4Cl、KO4Br、KO4I、NaOCl6、MgO6F2、MgO6Cl2、MgO6Br2、MgO6I2、CaO6F2、CaO6Cl2、CaO6Br2、CaO6I2、SrO6F2、SrO6Cl2、SrO6Br2、SrO6I2、BaO6F2、BaO6Cl2、BaO6Br2、BaO6I2、NaOCl3、NaOCl4、MgO8Cl2、CaO8Cl2、SrO8Cl2、BaO8Cl2からなるグループより選択される一つ以上であってよい。

0035

例示的な具現例において、前記化合物は、解重合組成物に対して0.001〜99重量%含有されるものであってよい。

0036

例示的な具現例において、前記解重合組成物は、XOmYnのラジカル生成反応を促進することのできるラジカル提供添加剤をさらに含むものであってよい。

0037

例示的な具現例において、前記ラジカル提供添加剤は、ラジカル含有化合物または反応系内でラジカルを生成する化合物の中から選択される一つ以上のものであってよい。

0038

例示的な具現例において、前記ラジカル提供添加剤は、組成物全体100重量%を基準としたとき、0.00001〜99重量%含まれるものであってよい。

0039

本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物の解重合方法であって、前記エポキシ樹脂硬化物解重合組成物を利用してエポキシ樹脂硬化物を解重合することを特徴とするエポキシ樹脂硬化物解重合方法を提供する。

0040

例示的な具現例において、反応溶媒は、誘電率が約65以上、または約70以上、または約75以上、または約80以上であってよい。

0041

例示的な具現例において、反応溶媒は、H2Oを含み、誘電率が約65以上、または約70以上、または約75以上、または約80以上であるH2Oベースの反応溶媒であってよい。

0042

例示的な具現例において、前記解重合組成物は、前記化合物を含む水溶液であってよい。

0043

例示的な具現例において、解重合反応温度は、20〜200℃または20〜100℃であってよい。

0044

例示的な具現例において、解重合組成物100重量部を基準として、エポキシ樹脂硬化物を1〜90重量部使用するものであってよい。

0045

例示的な具現例において、前記方法は、エポキシ樹脂硬化物を解重合した後、残った反応溶媒に新たなエポキシ樹脂硬化物を添加して解重合プロセスを繰り返すものであってよい。

0046

例示的な具現例において、前記方法は、エポキシ樹脂硬化物を解重合反応に提供する前に、エポキシ樹脂硬化物の反応表面積を増加させるように前処理するものであってよい。

0047

例示的な具現例において、前記前処理として、物理的前処理および化学的前処理のいずれか一つ、またはこれらを並行使用するものであってよい。

0048

例示的な具現例において、前記物理的前処理は、乾式粉砕および湿式粉砕方法から選択された一つ以上のものであってよい。

0049

例示的な具現例において、前記化学的前処理は、酸性組成物にエポキシ樹脂硬化物を含浸させるものであってよい。

0050

例示的な具現例において、前記方法は、XOmYn化合物を製造するステップをさらに含むものであってよい。

0051

例示的な具現例において、XOmYn化合物の製造時、XOmYn化合物は、HOY(Yはハロゲン)であり、水にYガスバブリングしてHOY化合物を含む水溶液を作るものであってよい。

0052

例示的な具現例において、XOmYn化合物の製造時、XOmYn化合物は、XOY(ここで、Xはアルカリ金属、Yはハロゲン)であり、XYを水において電気分解してXOY化合物を含む水溶液を作るものであってよい。

0053

例示的な具現例において、前記方法は、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応器においてXOmYn化合物を化学的または物理的に生成し、エポキシ樹脂硬化物の解重合を行うものであってよい。

0054

例示的な具現例において、前記方法は、XOmYn化合物が次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であり、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応器において水酸化ナトリウム(NaOH)と塩素(Cl2)の混合物から次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)を生成し、エポキシ樹脂硬化物の解重合を行うものであってよい。

0055

例示的な具現例において、前記方法は、前記解重合組成物にXOmYnのラジカル生成反応を促進することのできるラジカル提供添加剤をさらに含むものであってよい。

0056

例示的な具現例において、前記ラジカル提供添加剤は、ラジカル含有化合物または反応系内でラジカルを生成する化合物の中から選択される一つ以上のものであってよい。

0057

本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物の解重合生成物であって、前記生成物は、炭素にYが結合されたC‐Y(Yはハロゲン)結合を含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化物解重合生成物を提供する。

0058

例示的な具現例において、エポキシ樹脂硬化物解重合生成物は、フィラーおよび高分子樹脂の中から選択される一つ以上をさらに含んでよい。

0059

本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離する方法であって、前記エポキシ樹脂硬化物解重合組成物を利用してエポキシ樹脂硬化物を解重合するステップ;および、前記解重合されたエポキシ樹脂硬化物からフィラーを収得するステップ;を含む、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離する方法、およびこれから分離されたフィラーを提供する。

0060

例示的な具現例において、前記フィラーは、炭素繊維、黒鉛グラフェン酸化グラフェン還元グラフェン炭素ナノチューブガラス繊維無機塩金属粒子セラミック単分子有機化合物、単分子珪素化合物シリコーン樹脂からなるグループより選択される一つ以上であってよい。

発明の効果

0061

本発明の例示的な具現例によれば、たとえば、200℃以下、より好ましくは100℃以下の条件で、エポキシ樹脂硬化物の解重合を非常に簡単かつ迅速に処理することができ、工程費用および所要エネルギーを節減することができる。また、有機溶媒を主溶媒とする反応システムを代替することができ、これにより、有機溶媒が別の汚染源として作用することによる汚染問題を解決することができるため、環境汚染や公害を最小化することができる。また、有機溶媒を主溶媒とする反応システムを使用しなくとも、解重合反応効率を高めることができる。また、相対的に分解が困難なエポキシ樹脂硬化物も、容易に分解することができる。また、エポキシ樹脂硬化物の分解後に回収されるフィラーの特性低下を防止して、特性に優れた再活用フィラーを得ることができる。

図面の簡単な説明

0062

本発明の実施例1における、解重合前のCFRP(図1A)と実施例1の結果回収した炭素繊維(図1B)を撮影した写真である。
本発明の実施例1における、解重合前のCFRP(図1A)と実施例1の結果回収した炭素繊維(図1B)を撮影した写真である。
本発明の実施例1における、時間の経過(0h→6h)に伴う次亜塩素酸ナトリウム水溶液の変化を撮影した写真である。
本発明の実施例1における反応系である次亜塩素酸ナトリウム水溶液と比較例3における反応系である硝酸水溶液のpHをそれぞれ測定した結果である。
本発明の比較例3における、時間の経過(0h→12h)に伴う硝酸水溶液の変化を示す写真である。
本発明の実施例1のCFRPに使用された炭素繊維(原料炭素繊維)と実施例1の結果回収された炭素繊維の、引張強度の測定により得られた結果を比較するグラフである。
図6Aは、実施例1の解重合生成物1を示す。
図6Bは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。
図6Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)6.125におけるGC‐MSを示す。
図6Dは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。
図6Eは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。
図6Fは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、6‐3ppm範囲におけるH分析の結果を示す。
図7Aは、実施例1の解重合生成物2を示す。
図7Bは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。
図7Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)7.925におけるGC‐MSを示す。
図7Dは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。
図7Eは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。
図8Aは、実施例1の解重合生成物3を示す。
図8Bは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。
図8Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)8.575におけるGC‐MSを示す。
図8Dは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。
図8Eは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。
図8Fは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、3‐1ppm範囲におけるH分析結果を示す。
本発明の実施例10における解重合工程前後の酸化グラフェンのX線光電子分光分析の結果である。図9Aは、解重合工程前の原料酸化グラフェン(GO)の場合であり、図9Bは、解重合後に回収された酸化グラフェン(recycled GO)の場合である。
本発明の実施例10における解重合工程前後の酸化グラフェンのX線光電子分光分析の結果である。図9Aは、解重合工程前の原料酸化グラフェン(GO)の場合であり、図9Bは、解重合後に回収された酸化グラフェン(recycled GO)の場合である。
本発明の実施例12のエポキシ樹脂硬化物に使用されたガラス繊維と、実施例12の結果回収されたガラス繊維に対する引張強度の測定により得られた結果を比較するグラフである。
本発明の実験2における、各混合溶媒での誘電率(dielectric constant)に伴うエポキシ樹脂硬化物の解重合効率(depolymerization ratio)を示すグラフである。
本発明の実験3において、ラジカル提供添加剤を添加した場合における、実施例1の解重合の結果を示すグラフである。
本発明の実験3において、ラジカル提供添加剤を添加した場合における、比較例1の解重合の結果を示すグラフである。

0063

用語の定義
本明細書において、エポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂を含む多様な複合材料を意味する。また、エポキシ樹脂硬化物は、硬化したエポキシ樹脂だけでなく、一部硬化したエポキシ樹脂または硬化反応中に生成される中間物質(いわゆるエポキシ樹脂プレポリマーまたはプリプレグ)もまた含むように定義される。

0064

前記複合材料は、各種フィラーおよび/または各種高分子樹脂を含んでよい。参考までに、エポキシ樹脂は、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と硬化剤の硬化反応により生成されるものである。エポキシ化合物と硬化剤は、特に制限されない。エポキシ化合物は、たとえば、多官能性エポキシ化合物などを含んでよい。また、硬化剤は、たとえば、芳香族基脂肪族基を有するものを含み、また、たとえば、分子内にアミン基酸無水物基イミダゾール基メルカプタン基の中から選択されるいずれか一つ、または2以上の基を一つ以上有するもの等であってよい。

0065

本明細書において、フィラー(filler)とは、エポキシ樹脂とともにエポキシ樹脂複合材料を構成する充填物質を意味する。

0066

本明細書において、高分子樹脂とは、エポキシ樹脂の他にエポキシ樹脂複合材料を構成する高分子樹脂を意味する。

0067

本明細書において、反応溶媒は、特定の相に局限されない。したがって、主に液体であってよいが、気体相を含んでよい。また、超臨界相も含んでよい。

0068

本明細書において、H2Oは、主に液相の水である、液相に局限されず、気体相を含んでよく、また、超臨界相も含んでよい。

0069

本明細書において、水溶液は、特に気体状態または超臨界状態であることを指示しない限り、液相である。また、特に他の溶媒が混合されていることの指示がない限り、水単独の溶媒である。

0070

本明細書において、有機溶媒反応系とは、エポキシ樹脂硬化物の分解反応の主溶媒として有機溶媒を利用する反応システムを意味する。

0071

本明細書において、H2O反応系とは、エポキシ樹脂硬化物の分解反応の主溶媒としてH2Oを利用する反応システムを意味する。これは、有機溶媒反応系と対比されるものであり、解重合反応時にH2Oベースの反応溶媒を使用するものである。H2Oベースの反応溶媒は、H2O以外に他の溶媒が含まれてよいが(すなわち、混合溶媒として適用可能であるが)、このような混合溶媒を使用するとしても、誘電率が少なくとも約65以上、または好ましくは約70以上、または約75以上、または約80以上でなければならない。特に好ましい例は、H2Oベースの反応溶媒がH2O単独で構成されるものである(水の誘電率は、約80.2)。

0072

本明細書において、解重合時間は、解重合反応に提供されたエポキシ樹脂硬化物がすべて解重合されるのに所要される解重合反応時間を意味する。ここで、すべて解重合されるというのは、残留するエポキシ樹脂硬化物(固形物)が実質的に存在しないこと(エポキシ樹脂の残留率5%以下)を意味する。これは、たとえば、熱重量分析器(TGA)で測定されてよい。

0073

また、参考として、エポキシ樹脂硬化物におけるエポキシ樹脂の分解率(%)は、次のように計算されてよい。すなわち、分解率(%)=[(エポキシ樹脂硬化物中のエポキシ樹脂含有量−分解後のエポキシ樹脂残留量)/(エポキシ樹脂複合材料中のエポキシ樹脂含有量)]×100。エポキシ樹脂残留率は、100%−分解率である。

0074

本明細書において、相対的に分解しにくいエポキシ樹脂硬化物とは、相対的に分解することが困難なエポキシ化合物および/または硬化剤を使用したエポキシ樹脂硬化物を意味する。たとえば、多環類のノボラック樹脂は、BPAと対比して相対的に分解しにくいエポキシ化合物である。また、たとえば、芳香族系硬化剤、酸無水物系硬化剤は、脂肪族系硬化剤と比べて相対的に分解しにくい硬化剤である。

0075

本明細書において、誘電率は、液体誘電率測定器(dielectric constant meter)を利用して測定されてよい。

0076

本明細書において、Y(Yはハロゲン)ラジカルとは、非共有ホール電子を有する・Yを意味する。たとえば、・F、・Cl、・Br、・Iを意味する。

0077

本明細書において、解重合生成物がC‐Y(Yはハロゲン)結合を含むということは、エポキシ樹脂硬化物の解重合後に生成された化合物の構造式中の炭素(たとえば、ベンゼン環の炭素のような炭素)にYが結合していることを意味する。ここで、Yは、解重合に利用された化合物XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する)由来のYである。

0078

本明細書において、前処理とは、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応に先立ち、解重合反応面積を広げるための処理を意味する。

0079

本明細書において、酸性組成物は、化学的前処理を遂行することができる、酸性を有する組成物を意味する。

0080

本明細書において、ラジカル提供添加剤とは、XOmYnのラジカル生成反応系にさらに添加されて、XOmYnのラジカル生成反応を促進することができるようにラジカルを提供する化合物を意味する。

0081

本明細書において、ラジカル含有化合物とは、反応系に添加される以前にラジカルを持ちながらも、安定した状態の化合物を意味する。

0082

本明細書において、ラジカル生成化合物は、反応系内でラジカルを生成する化合物を意味する。

0083

例示的な具現例の説明
以下、本発明の例示的な具現例について詳細に説明する。
本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物解重合組成物であって、化学式XOmYn(ここで、Xは水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、Yはハロゲンであり、mは1≦m≦8を満足し、nは1≦n≦6を満足する数である)で表される化合物および反応溶媒を含み、前記反応溶媒において、XOmYnからXが解離され、Yラジカルが提供され得るエポキシ樹脂硬化物解重合組成物と、当該組成物でエポキシ樹脂硬化物を解重合する方法を提供する。

0084

驚くべきことに、エポキシ樹脂硬化物が、有機溶媒ベースの反応系を使用せずとも、前記特定の化合物および反応溶媒(特に、H2Oベースの反応溶媒)が組み合わされた組成物において、非常に迅速かつ簡単に解重合できるというのが、本発明者らによって明らかになった。低い温度のマイルドな条件において、少ないエネルギーでエポキシ樹脂硬化物を解重合し、反応効率を高めるためには、反応溶媒およびこれとともに使用する特定の化合物の選択が重要であるものと考えられる。また、以下においてより詳細に説明するが、前記化合物のエポキシ樹脂硬化物の解重合を可能にし、解重合効率を高めるために、反応溶媒の誘電率を一定の値以上に調節することが重要であるものと考えられる。

0085

理論に局限されるものではないが、本発明の例示的な具現例による解重合の際、反応溶媒(特に、H2Oベースの反応溶媒)においてXがまず解離され、最終的にYラジカルが[当該ラジカルは、非共有ホール電子を有する(すなわち、・Y)]が生成されると考えられ、当該Yラジカル(・Y)がエポキシ樹脂硬化物のCに結合してC‐Yを形成しつつ、エポキシ樹脂硬化物を解重合するものと考えられる。また、このようなXの解離とYラジカルの生成および当該Yラジカルのエポキシ樹脂硬化物に対する解重合反応を低いエネルギーで遂行可能にするために、反応溶媒の誘電率が一定値以上に調節されなければならない。

0086

したがって、本発明の例示的な具現例において、反応溶媒は、イオン結合をしているXOmYnからXを解離させることができるように選択され、また、Xが解離された後にYラジカルが効果的に生成され得なければならない。また、反応効率を高めるために、反応溶媒の誘電率は、約65以上、または約70以上、または約75以上、または約80以上でなければならない。

0087

例示的な具現例において、このような反応溶媒は、好ましくは、H2Oベースの反応溶媒である。化学式XOmYnで表される化合物を利用して、エポキシ樹脂硬化物を解重合するに当たり、ともに使用されるH2Oベースの反応溶媒の誘電率が、エポキシ樹脂重合物の解重合反応の効率に影響を及ぼす。その理由は、有機溶媒反応系における有機溶媒とは異なり、H2Oベースの反応溶媒がエポキシ樹脂硬化物を直接分解させるのではなく、エポキシ樹脂硬化物を解重合する化合物XOmYnからXの解離とYラジカルの生成に関与し、それに伴いエポキシ樹脂解重合反応の効率に関与するためであると考えられる。H2Oベースの反応溶媒の誘電率は、少なくとも約65以上でなければならず、または約70以上、または約75以上、または約80以上でなければならない。誘電率が約65以上で、反応効率は急激に増加し始める。特に好ましい例は、H2Oベースの反応溶媒がH2O単独で構成されるものであるが(水の誘電率は、約80.2)、H2Oベースの反応溶媒がH2O単独となると、エポキシ樹脂硬化物の分解効率飛躍的に増加する(後述する実験例2を参照)。

0088

これとは異なり、前述した先行技術の有機溶媒ベースの反応系においては、有機溶媒を主溶媒としてエポキシ樹脂硬化物を直接溶解する。有機溶媒には、XOmYnを入れてもXを解離させることができず、Yラジカルを生成してエポキシ樹脂硬化物の解重合に提供することができない。たとえば、NMPの場合、誘電率が約32であり、XOmYnが溶解されない。

0089

これと関連して、本発明者らは、誘電率に応じたエポキシ樹脂硬化物の分解効率について調べてみた。その結果、イオン結合をするXOmYnは、水と有機溶媒における解離と反応性に違いを見せ、結果的にエポキシ樹脂硬化物の分解効率に差をもたらした。

0090

その理由としては、水と有機溶媒におけるXOmYn化合物の溶解度の差とラジカル生成反応の差を挙げることができる。

0091

まず、溶解度の差の場合、水と有機溶媒の極性(すなわち、誘電率)の差によってイオン結合物質であるXOmYnの溶解度に差が生じることになる。これは、溶媒の双極子イオン間の結合力が、イオン結合物質のイオン‐イオン格子エネルギーよりも大きくなって初めてイオンを解離させることができるためである。

0092

一方、ラジカル生成反応の場合、XOmYnが水の中で最初にラジカルを生成する反応式は、下記[反応式1]のとおりである。したがって、XOmYnのラジカル生成反応が起こり得るようにしなければならず、また、当該ラジカル生成反応が十分に起こり得るために、XOmYnと同じ当量の水が存在して初めて、XOmYnが効果的にラジカルを生成することができる。

0093

以上のような点を基にして見た場合、XOmYnを効果的に解離させ、Yラジカルを効果的に提供することができる誘電率の高い溶媒、好ましくは、H2Oベースの溶媒を使用することが、解重合に必要であることが分かる。また、有機溶媒を使用する場合には、有機溶媒による汚染と有機溶媒のリサイクル問題が発生するため、環境的側面において、H2Oベースの溶媒を使用することが好ましく、特に、H2O単独溶媒(反応溶媒中、H2Oが100重量%または100体積%)を使用することが最も好ましい。

0094

さらに、前述したY(ハロゲン)ラジカルは、ラジカルの生成に必要な均一解離反応エネルギー(hemolytic dissociation energy)が低いため、ラジカルがよりよく生成されるものと考えられる。たとえば、Y(ハロゲン)ラジカルは、たとえば、非特許文献2のアセトンおよび過酸化水素システムにおけるOHラジカルと対比して、均一解離反応エネルギー(hemolytic dissociation energy)の値が低い。これは、Y(ハロゲン)ラジカルを採用した場合、たとえば、過酸化水素などの物質と比べてより小さなエネルギーで効果的にラジカルを形成させるため、エポキシ樹脂硬化物の解重合をより少ないエネルギーで行うことができることを意味する。これにより、より低い温度でエポキシ樹脂硬化物を解重合することができ、同時に、分解が困難な既存のエポキシ樹脂硬化物も、効果的に解重合することができる。

0095

上記のように、XOmYnが解離される反応に伴って生成されるYラジカルにより、解重合生成物は、Yラジカルに置換されることになる。すなわち、C‐Y結合を有することになる。

0096

こうした反応のメカニズムは、たとえば、下記反応式のように説明することができる。

0097

前記反応式2のように、たとえば、解重合生成物は、生成物例(Product Example)1、生成物例(Product Example)2、または生成物例(Product Example)3などといったものを一つ以上含んでよい。すなわち、解重合生成物は、一部の炭素(たとえばベンゼン環の一部の炭素)がYと結合するC‐Y結合を有することになる。

0098

したがって、本発明の例示的な具現例においては、エポキシ樹脂硬化物の解重合生成物として、当該解重合生成物の炭素にYが結合されたC‐Y(Yはハロゲン)結合を含むエポキシ樹脂硬化物の解重合生成物を提供する。参考までに、後述する実験1には、このようなC‐Y結合が形成された解重合生成物の例3種類を分析した結果を示しているが、その分析結果は、本発明の例示的な具現例による解重合生成物がC‐Y結合を有することになることを示す。

0099

以上のようなエポキシ樹脂硬化物の解重合組成物を利用してエポキシ樹脂硬化物の解重合を行えば、寿命の尽きたエポキシ樹脂硬化物を、従来とは異なり、たとえば、200℃以下、より好ましくは100℃以下のマイルドな条件において、少ないエネルギーで非常に簡単かつ迅速に処理することができる。このような結果は、従来の熱分解方法(約200〜400度)と異なり、反応温度を大きく下げるものである。
それだけでなく、反応溶媒との混合物を変えて組み合わせた場合、たとえば過酸化水素水とアセトンを混合した比較例1(溶けない)や次亜塩素酸ナトリウムをアセトンとともに混合した比較例2(溶けない)のように有機溶媒を使用したことから誘電率が低い場合や、硝酸水溶液を使用した比較例3(反応時間12時間)と対比しても、著しく反応効率が高いことが分かる。さらに、従来の有機溶媒ベースの反応系を使用する技術とは異なり、H2Oベースの反応系を使用するため、人体に有害な有機溶媒を使用しないことができるため、環境的に有利である。

0100

一方、本発明の例示的な具現例においては、上記のように処理することにより、エポキシ樹脂硬化物に含有されたフィラーを容易に分離して再活用することができる。これによって得られたフィラーは、分解過程を経たにもかかわらず、フィラーの特性低下を防止することができるため、再活用に非常に有利である。

0101

例示的な具現例において、前記XOmYnのうち、Xは、水素であるか、またはリチウムカリウムナトリウムなどのアルカリ金属であるか、またはカルシウムマグネシウムなどのアルカリ土類金属である。例示的な具現例において、前記XOmYnのうち、Yは、F、Cl、Br、I等のハロゲン元素である。

0102

非制限的な例示において、m、nは前記範囲内の自然数であってよい。しかし、自然数に局限されず、たとえば、錯体を形成する場合などには、小数であってもよい。

0103

非制限的な例示において、前記XOmYnにおいて、たとえば、mが1である場合およびnが1である場合には、たとえば、HOF、HOCl、HOBr、HOI、NaOF、NaOCl、NaOBr、NaOI、LiOF、LiOCl、LiOBr、LiOI、KOF、KOCl、KOBr、KOIなどであってよい。

0104

また、mが2であり、nが1である場合には、たとえば、HO2F、HO2Cl、HO2Br、HO2I、NaO2F、NaO2Cl、NaO2Br、NaO2I、LiO2F、LiO2Cl、LiO2Br、LiO2I、KO2F、KO2Cl、KO2Br、KO2Iなどであってよい。

0105

また、m、nがそれぞれ2である場合には、たとえば、Ca(OF)2、Ca(OCl)2、Ca(OBr)2、Ca(OI)2などであってよい。

0106

また、mが3であり、nが1である場合には、たとえば、HO3F、HO3Cl、HO3Br、HO3I、NaO3F、NaO3Cl、NaO3Br、NaO3I、LiO3F、LiO3Cl、LiO3Br、LiO3I、KO3F、KO3Cl、KO3Br、KO3Iなどであってよい。

0107

また、mが4であり、nが1である場合には、たとえば、HO4F、HO4Cl、HO4Br、HO4I、NaO4F、NaO4Cl、NaO4Br、NaO4I、LiO4F、LiO4Cl、LiO4Br、LiO4I、KO4F、KO4Cl、KO4Br、KO4Iなどであってよい。

0108

また、m=6、n=2である場合には、たとえば、MgO6F2、MgO6Cl2、MgO6Br2、MgO6I2、CaO6F2、CaO6Cl2、CaO6Br2、CaO6I2、SrO6F2、SrO6Cl2、SrO6Br2、SrO6I2、BaO6F2、BaO6Cl2、BaO6Br2、BaO6I2などであってよい。

0109

また、m=1、n=3である場合には、たとえば、NaOCl3などであってよく、m=1、n=4である場合には、NaOCl4などであってよい。

0110

XOmYnを形成するためのmの最大値は8であり、たとえば、MgO8Cl2、CaO8Cl2、SrO8Cl2、BaO8Cl2などであってよい。また、XOmYnを形成するためのnの最大値は、6である場合は、たとえば、NaOCl6であってよい。

0111

例示的な具現例において、前記H2Oベースの溶媒は、前述したところのように、水溶液(反応溶媒はH2O単独、液相である場合は水単独)が特に好ましい。

0112

例示的な具現例において、XOmYnにおいてXがアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるとき、解重合組成物(または水溶液)のpH条件をpH1以上の弱酸性中性塩基性に調節する。このようにpH条件を調整して初めて、H2Oベースの反応系においてX(アルカリ金属またはアルカリ土類金属)がより容易にXOHまたはX(OH)2などに分解されるものと考えられる。

0113

非制限的な例示において、解重合組成物(または水溶液)のpHは、1〜14であり、反応性の側面から、より具体的には、pH8〜14であることが望ましい。

0114

例示的な具現例において、解重合反応温度は、たとえば250℃未満(たとえば、20℃以上250℃未満)、または200℃以下(たとえば、20〜200℃)、または100℃以下(たとえば、20〜100℃、または20〜70℃)であってよい。

0115

例示的な具現例において、H2Oベースの反応溶媒は、液相であってよく、気相であってよく、超臨界状態であってよい。液相である場合を使用することが、工程が単純でかつ反応エネルギーの所要が少ない。本発明の具現例においては、液相である場合を利用したとしても低い温度で急速に解重合することができるが、意図的に気相、超臨界状態を使用してよいことはもちろんである。このように超臨界状態にすると、反応時間をより一層短くすることができるが、反応装置や工程が複雑になるという短所がある。

0116

例示的な具現例において、前記XOmYnとともにラジカル提供添加剤を追加でさらに含むことが、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応をより促進させることができるという側面から好ましい。先に定義されたところのように、ラジカル提供添加剤とは、XOmYnのラジカル生成反応系にさらに添加されて、XOmYnのラジカル生成反応を促進することができるようにラジカルを提供する化合物を意味する。

0117

こうしたラジカル提供添加剤は、反応系に添加される以前に既にそれ自体がラジカルを持ちながらも安定した形態の化合物(これをラジカル含有化合物と称する)、または反応系内に添加されてラジカルを生成する化合物であってよい。反応系内でラジカルを生成する化合物(これをラジカル生成化合物と称する)は、化学的反応または物理的作用を通じてラジカルを生成する化合物であってよい。

0118

非制限的な例示において、このようなラジカル提供添加剤の例として、BPO(ベンゾイルパーオキサイド、Benzoyl peroxide)、過炭酸ナトリウム、Fremy塩[ニトロソ二スルホン酸二ナトリウム(disodium nitrosodisulfonate)]、TEMPO[(2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン‐1‐イルオキシ;(2,2,6,6‐Tetramethyl‐piperidin‐1‐yl)oxyl]などを挙げることができる。

0119

このうち、Fremy塩やTEMPOなどは、それ自体がラジカルを有するラジカル含有化合物であり、BPOや過炭酸ナトリウムなどは、反応系においてラジカルを生成する化合物である。

0120

具体的に、たとえば、過炭酸ナトリウムによる反応系内でのラジカル生成のメカニズムは、たとえば、下記反応式のように説明することができる。

0121

前記[反応式3]のように、過炭酸ナトリウムの場合、反応系内において、水によって過酸形態反応種を生成し、この過酸反応種が、反応系内において炭酸ラジカルと水産ラジカルとして存在することができるようになる。

0122

このように生成されたラジカルは、XOmYnからのラジカル生成反応を促進する。すなわち、下記反応式4のように、単純にHOmYn(HOmYnと関連しては、前述した反応式1を参照)が3つのラジカルとなる反応に比べて、反応前に既にラジカルが存在することによって反応後に安定した化合物が生成されることで、反応の平衡がさらに右側に移動することになる。

0123

一方、BPO(ラジカル生成化合物)の場合、熱によって2つのフェニルラジカルが生成され(反応式5)、Fremy塩やTEMPO(ラジカル含有化合物)の場合、化合物自体がラジカルの形態で存在する(化学式1、化学式2)。過炭酸ナトリウムのように、これら化合物は、XOmYnのラジカル生成反応系にさらに添加されて、XOmYnのラジカル生成反応を促進することができるようにラジカルを提供することになる。

0124

このようにXOmYnのラジカル生成反応を促進することにより、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応もまた促進される。ラジカルを利用した炭素‐炭素結合の分解反応の反応速度式は、下記反応式6のように、反応系中のラジカル濃度指数的に比例する。このような反応速度式は、本発明の具現例の反応において適用され得る。したがって、前述したラジカル提供添加剤により、反応系中のラジカル濃度が増加することになり、これにより反応速度が上がってエポキシ樹脂硬化物の解重合反応が促進され得る。

0125

例示的な具現例において、前記ラジカル提供添加剤は、組成物全体(反応溶媒+XOmYn化合物)100重量%を基準としたとき、0.00001〜99重量%、好ましくは0,1〜10重量%含まれてよい。

0126

例示的な具現例において、エポキシ樹脂硬化物を解重合反応に提供する前に、エポキシ樹脂硬化物の反応表面積を増加させるように前処理する過程をさらに遂行してよい。先に説明したように、本発明の例示的な具現例によれば、別途の前処理を遂行しないとしても、低い温度で反応時間を著しく減らすことができるが、反応表面積を増加する前処理を通じて、このように減少した反応時間をさらに減らすことができる。すなわち、前述した前処理を通じてエポキシ樹脂硬化物の反応面積を増加させて、以降の解重合反応がより円滑に起こり得るようにする。

0127

例示的な具現例において、前記前処理としては、物理的前処理および化学的前処理のいずれか一つ、またはこれらを並行使用してよい。

0128

非制限的な例示において、前記物理的前処理は、たとえば、粉砕であってよい。粉砕方法は、乾式粉砕方法および湿式粉砕方法から選択されたいずれか一つまたは二つ以上であってよく、ハンマーミルカッターミルフレーククラッシャーフェザーミルフィン粉砕機衝撃式粉砕機微粉砕機ジェットミルミクロンミル、ボールミル遊星ミルハイドロミル、アクアライザーからなるグループより選択された一つまたは二つ以上を利用して粉砕してよい。例示的な具現例において、粉砕されたエポキシ樹脂硬化物は、1μm〜10cmのサイズを有するものであってよい。

0129

非制限的な例示において、前記化学的前処理は、酸性組成物にエポキシ樹脂硬化物を含浸させるもの(すなわち、酸処理)であってよい。

0130

非制限的な例示において、含浸方法に使用される酸性組成物は、5.0以下のpH、20〜250℃の温度を有してよく、酸性組成物にエポキシ樹脂硬化物を含浸させた後、エポキシ樹脂硬化物を分離するまでの時間は、0.1〜24時間であってよい。続いて、分離されたエポキシ樹脂硬化物を、洗浄してよい。

0131

非制限的な例示において、前記酸性組成物は、たとえば、空気、窒素アルゴンヘリウム水蒸気からなるグループより選択された一つ以上および酸性物質を含む気相組成物であってよい。また、前記酸性組成物は、水、アセトン、酢酸酢酸エチルメチルエチルケトンN‐メチル‐2‐ピロリドン(N‐methyl‐2‐pyrrolidone)、N,N‐ジメチルホルムアミド(N,N‐dimethylformamide)、N,N‐ジメチルアセトアミド(N,N‐dimethylacetamide)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、アセトニトリル(acetonitrile)、t‐ブタノール(t‐butanol)、n‐ブタノール(n‐butanol)、n‐プロパノール(n‐propanol)、i‐プロパノール(i‐propanol)、エタノールメタノールエチレングリコール(ethylene glycol)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、1,4‐ジオキサン(1,4‐dioxane)からなるグループより選択された一つ以上および酸性物質を含む液相組成物であってよい。また、前記気相または液相組成物を、単独または併用して使用してよい。しかし、上記酸性組成物のうち有機溶媒を使用する場合は、環境的な側面において好ましくない。

0132

例示的な具現例において、分解対象となるエポキシ樹脂硬化物は、各種フィラーおよび/またはポリマー樹脂を含んでよい。

0133

例示的な具現例において、フィラーは、炭素繊維やその他の黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、還元グラフェン、炭素ナノチューブ、ガラス繊維、無機塩、金属粒子、セラミック材料、単分子有機化合物、単分子珪素化合物、シリコーン樹脂などから選択される一つ以上であってよい。

0135

例示的な具現例において、前記XOmYn化合物は、組成物全体(反応溶媒+XOmYn化合物)100重量を基準としたとき、0.001〜99重量%であってよい。非制限的な例示において、反応溶媒が、たとえば水溶液である場合、XOmYn化合物が含まれている水溶液全体を基準として、XOmYn化合物は、0.001〜99重量%含まれてよい。

0136

例示的な具現例において、エポキシ樹脂硬化物は、解重合組成物(反応溶媒+XOmYn化合物)の質量100重量部を基準としたとき、1〜90重量部であってよい。非制限的な例示において、反応溶媒が水溶液である場合、XOmYn化合物を含む水溶液100重量部に対して、エポキシ樹脂硬化物(たとえば、CFRP)は、1〜90重量部であってよい。

0137

例示的な具現例において、前記XOmYn化合物を製造するステップをさらに含んでよい。このように製造されたXOmYnをエポキシ樹脂硬化物に提供して、化学的解重合を遂行する。

0138

非制限的な例示において、たとえば、前記XOmYn化合物がたとえばHOYである場合、ハロゲン(たとえば、Clなど)ガスを水にバブリングしてHOY水溶液を作製し、ここにエポキシ樹脂硬化物を入れる方式で、解重合組成物をエポキシ樹脂硬化物に提供してよい。

0139

すなわち、非制限的な例示において、化合物がたとえばHOClである場合、水にCl2ガスをバブリングしてHOCl水溶液を作製した後、ここに、CFRPなどのエポキシ樹脂硬化物を入れて解重合を行ってよい。

0140

または、非制限的な例示において、前記XOmYn化合物がXOY(ここで、Xはアルカリ金属、Yはハロゲン)であり、XYを水において電気分解してXOY化合物を含む水溶液を作製し、ここにエポキシ樹脂硬化物を入れる方式で、解重合組成物をエポキシ樹脂硬化物に提供してよい。

0141

すなわち、非制限的な例示において、化合物がNaOClである場合、NaClを水において電気分解してNaOClを含む水溶液を作製した後、ここにCFRPなどのエポキシ樹脂硬化物を入れて解重合を遂行してよい。

0142

一方、非制限的な例示において、前記XOmYn化合物は、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応器(解重合反応系)内で化学的または物理的反応を通じて製造してよい。

0143

たとえば、非制限的な例示において、解重合反応器内で水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と塩素(Cl2)の混合を通じて次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を生成し、これを利用してエポキシ樹脂硬化物を解重合してよい。

0144

一方、本発明の例示的な具現例においては、前述したところのように、XOmYn化合物および反応溶媒を含む解重合組成物でエポキシ樹脂硬化物を解重合するステップ;および、解重合されたエポキシ樹脂硬化物から、たとえば濾過や抽出などを通じてフィラーを収得するステップ;を含む、エポキシ樹脂硬化物からフィラーを分離する方法と、これにより得られるフィラーを提供する。

0145

エポキシ樹脂硬化物から分離、回収されたフィラーは、エポキシ樹脂硬化物の解重合工程を経る前と対比して、特性の低下を防止することができ、これにより、特性に優れた再活用フィラーを得ることができる。

0146

たとえば、後述する実施例から確認できるように、前記フィラーが炭素繊維である場合、エポキシ樹脂硬化物に含まれている原料フィラー炭素繊維と比べた引張強度や伸びなどの特性劣化が、たとえば約13%以下と非常に少なくてよい。これと関連して、熱分解法を利用してCFRPから回収した炭素繊維の場合、原料炭素繊維に比べて約15%以上の引張強さの低下を示す(非特許文献1)。これに対し、本発明の具現例に基づいて解重合する場合、非常に少ない炭素繊維の引張強度特性の低下で炭素繊維を回収することができる。

0147

例示的な具現例において、前記方法は、エポキシ樹脂硬化物を解重合した後、残った反応溶媒に新たなエポキシ樹脂硬化物を添加して、分解過程を繰り返してよい。

0148

以上の方法に基づいてエポキシ樹脂硬化物を解重合して得られた生成物は、低粘度の水溶液の状態で、ゲル状の不溶性浮遊物がなく、当該水溶液から、たとえば濾過や抽出を通じてフィラーを分離することができる。

0149

以下、本発明の例示的な具現例による具体的な実施例をさらに詳細に説明する。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲内において多様な形態の実施例が具現でき、下記実施例は、ただ本発明の開示が完全となるようにするとともに、当業界における通常の知識を有する者に発明の実施を容易にさせるものであることが理解されよう。

0150

[実験1]
以下の実施例においては、反応溶媒として水単独の溶媒を使用した。実施例3における気体状態の水溶液、実施例4における超臨界状態の水溶液を除き、他の実施形態においては、水溶液(液相)を使用した。水の誘電率は約80.2である。
一方、比較例1および2においては、水とアセトンの混合溶媒を使用し、誘電率は約44であった。
一方、実施例5は、廃CFRPの量を実施例1と比べて16倍になるように増加させたものであり、実施例6〜9は、廃CFRPの量を実施例1と比べて10倍になるように増加させ、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量も増加した。
また、実施例7は、廃CFRPの粉砕後に解重合を実施したもの、実施例8は、廃CFRPの酢酸含浸後に解重合を実施したもの、実施例9は、廃CFRPの粉砕および含浸後に解重合したものである。

0151

[実施例1:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離]
本実施例1において使用されたエポキシ樹脂硬化物は、廃CFRPである。前記廃CFRPは、ハロゲン元素を含むビスフェノールAのジグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む芳香族系硬化剤を利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、炭素繊維とからなるものである。このCFRPは、芳香族系硬化剤を使用するので、一般的に分解することが相当に難しいものと知られている。
前記廃CFRP0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
6時間後、エポキシ樹脂が完全に解重合されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を濾過させて分離後に乾燥した。
図1は、本発明の実施例1に使用された解重合前のCFRP(図1A)と実施例1において回収された炭素繊維(図1B)を示す写真である。
図2は、本発明の実施例1における、時間の経過(0h→6h)に伴うCFRPが含まれた次亜塩素酸ナトリウム水溶液の変化を示す写真である。
図3は、CFRPが含まれた次亜塩素酸ナトリウム水溶液のpHを測定した結果を示す。

0152

一方、エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に、炭素繊維を濾過した後に得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液の粘度を、Brookfield粘度計を利用して測定した結果とpHを測定した結果を表2に、分解工程前後の炭素繊維の引張強度および電気伝導度の変化を表3に示した。また、電気伝導度の変化の詳細を表4に示した。

0153

また、本発明の実施例1の解重合生成物にYラジカル(実施例1においては、Clラジカル)が置換されてC‐Y結合が形成されていることを確認するために、NMRなどの分析を行った。
具体的に、実施例1において、炭素繊維を濾過した後に残った水溶液形態の生成物を、ジクロロメタンを利用して抽出した後、乾燥させて得られた固形の混合物を分析した。
NMR分析の場合、Agilent Technology社の600MHz NMR Spectrometer機器を使用し、重水素で置換されたクロロホルムを溶媒として使用して、水素核種を測定した。
GC分析の場合、Shimadzu社のGC‐2010 Plus機器を使用し、ジクロロメタンを溶媒として使用して、混合物のガスクロマトグラフィーを測定した。
GC‐MS分析の場合、Shimadzu社のGCMS‐QP2010機器を使用し、先に分析したGCの結果を基に、30〜350の間の分子量を持つ化合物を検出した。
FT‐IR分析の場合、ThermoScientific社のNicolet iS 10機器を使用し、固形の混合物と臭化カリウムを利用してペレットを作製した後、500cm−1〜4000cm−1の波数区間を測定した。

0154

図6〜8は、本発明の実施例1の結果得られた複数の生成物の構造解析(NMR、GC、GCMS、FT‐IR分析)の結果である。
具体的には、図6Aは、実施例1の解重合生成物1を示す。図6Bは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。図6Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)6.125におけるGC‐MSを示す。図6Dは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。図6Eは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。図6Fは、実施例1の解重合生成物1に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、6‐3ppm範囲におけるH分析の結果を示す。

0155

図7Aは、実施例1の解重合生成物2を示す。図7Bは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。図7Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)7.925におけるGC‐MSを示す。図7Dは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。図7Eは、実施例1の解重合生成物2に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。

0156

図8Aは、実施例1の解重合生成物3を示す。図8Bは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のGC分析の結果を示す。図8Cは、前記GC分析の結果、リテンションタイム(retention time)8.575におけるGC‐MSを示す。図8Dは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のFT‐IRの結果を示す。図8Eは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、9‐6ppm範囲におけるH分析の結果を示す。図8Fは、実施例1の解重合生成物3に対する解重合後のH2O反応系のH1‐NMRの結果であって、3−1ppm範囲におけるH分析の結果を示す。

0157

図6〜8から確認できるように、NMRの結果とGC‐MSの結果とIRの結果から、共通してC‐Y結合を有する3種類の化合物の存在を確認することができた。したがって、固形の混合物(すなわち、エポキシ樹脂硬化物の解重合生成物)は、C‐Y結合を有する化合物が含まれていることがわかった。

0158

[実施例2:次亜塩素酸(HOCl)水溶液を利用したフィラー(グラフェン)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(グラフェン)の分離]
本実施例2において使用された硬化物は、クレゾールノボラックグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂と、グラフェンとからなる。このCFRPも、ノボラックエポキシ化合物と芳香族系硬化剤を使用するので、一般的に分解することが相当に難しいものと知られている。
前記エポキシ樹脂硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L次亜塩素酸水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
5.5時間後、エポキシ樹脂が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中のグラフェンを濾過させて分離後に乾燥した。
エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に、本発明の実施例2のエポキシ樹脂硬化物に使用されたグラフェンと、実施例2の結果回収したグラフェンの熱伝導度を測定した結果を表3に示した。

0159

[実施例3:気体状態の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離]
実施例1において使用されたものと同一のCFRP0.1gを、2mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液70mLが入った加圧容器上部の金網の上に載せた後、加圧容器の液体投入口とCFRP投入口を密閉した後に120℃で加熱した。これにより、気体状態の次亜塩素酸ナトリウム水溶液が、当該CFRPに提供された。
CFRPの解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。
8時間後、CFRPが完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、加圧容器上部から水を投入して、金網上にあるエポキシ樹脂が分解されて生じた生成物を溶解させて加圧容器下部に移動させた後、金網上に残された炭素繊維を分離後に乾燥した。

0160

[実施例4:超臨界状態の次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離]
実施例1において使用されたものと同一のCFRP0.1gを、圧力計が取り付けられた回分式反応器に入れた2mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液70mLに投入した後、反応器を密閉した後に電気加熱ジャケットを利用して374℃で加熱した。このとき、圧力計に表示された圧力は、221barであった。
1時間後、反応器を常温まで冷却させた後、反応器内部のCFRPが分解されたかを確認した。
時間単位で反応時間を増やしていき、エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。
2時間後、エポキシ樹脂が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、反応器内の炭素繊維を分離後に乾燥した。

0161

[実施例5:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離:CFRP量増加]
一方、今回は、本実施例1において、他の条件は同一とするが(すなわち、2mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌し)、廃CFRPの量を16倍となるように増加させ(すなわち、1.6g)、結果を調べた。12時間後、エポキシ樹脂の解重合(分解)を熱重量分析(TGA)で確認した後、水溶液中の炭素繊維を濾過させて、分離後に乾燥した。解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。

0162

[実施例6:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離:CFRP量増加]
今回は、実施例1において使用された廃CFRP1.0g(実施例1と比べて10倍増加)を、開放されたガラス容器に入れた4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLに投入した後、90℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
8時間後、CFRPが完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を分離後に乾燥した。
解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。また、本実施例6の結果回収された炭素繊維の引張強度および電気伝導度の測定結果を表3に示した。

0163

[実施例7:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離:CFRP粉砕後に解重合実行]
廃CFRP1.0kgを、中国Wellbom社のBarley Grinder Crusher手動粉砕機を利用して、平均直径2.0mmの断片に粉砕した。
他の条件は、実施例6と同一にした。すなわち、粉砕されたエポキシ樹脂硬化物の断片1.0gを、開放されたガラス容器に入れた4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLに投入した後、90℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
4時間後、CFRPが完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を分離後に乾燥した。解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。

0164

[実施例8:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離:CFRP含浸後に解重合遂行]
廃CFRP1.0gを99%酢酸100mLに入れ、120℃で30分間加熱した。エポキシ樹脂硬化物を分離した後、アセトン20mLで洗浄した。
他の条件は、実施例6と同一にした。すなわち、洗浄されたエポキシ樹脂硬化物を、開放されたガラス容器に入れた4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLに投入した後、90℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を分離後に乾燥した。
エポキシ樹脂硬化物の解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。また、本発明の実施例8で使用される炭素繊維の引張強度および電気伝導度の測定結果を表3に示した。

0165

[実施例9:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離:CFRP粉砕および含浸後に解重合遂行]
前記実施例6において、他の条件は同一にするが、廃CFRP1.0kgを、イギリスGlen Creston社のMicro Hammer Cutter Mill自動粉砕機を利用して、平均直径2.0mmの断片に粉砕した。
次に、粉砕された廃CFRP断片1.0gを99%酢酸100mLに入れ、120℃で30分間加熱した後、Advantec社のセルロース濾紙を利用して濾過させて廃CFRPを分離した後、アセトン20mLで洗浄した。
洗浄された廃CFRP断片1.0gを、開放されたガラス容器に入れた4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液100mLに投入した後、90℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
3時間後、CFRPが完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を分離後に乾燥した。解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。

0166

[実施例10:ヨウ素酸(HIO3)水溶液を利用したフィラー(酸化グラフェン)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(酸化グラフェン)の分離]
本実施例10において使用された硬化物は、グリシジルアミン形態のエポキシ化合物と酸無水物基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、酸化グラフェンとからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/Lヨウ素酸水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の酸化グラフェンを濾過させて、分離後に乾燥した。表1に解重合(分解)の完了時間を表示した。
一方、図9は、本発明の実施例10における解重合工程前後の酸化グラフェンのX線光電子分光分析結果である。図9Aが、本発明の実施例10における、解重合工程前の原料酸化グラフェン(GO)の場合であり、図9Bが、本発明の実施例10における、解重合後回収された酸化グラフェン(recycled GO)の場合である。また、X線光電子分光分析の結果から導き出された各結合および炭素、酸素元素の含有量を表5に示した。その結果から、分解工程前後の酸化グラフェンの特性変化がほとんどないことを確認することができる。

0167

[実施例11:過塩素酸(HClO4)水溶液を利用したフィラー(炭素ナノチューブ)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(炭素ナノチューブ)の分離]
本実施例11において使用された硬化物は、実施例2において使用されたものと同様に、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、炭素ナノチューブとからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L過塩素酸水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
3.5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素ナノチューブを濾過させて分離後に乾燥した。
エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示し、本発明の実施例11のエポキシ樹脂硬化物に使用された炭素ナノチューブと、実施例11の結果回収した炭素ナノチューブの熱伝導度を測定した結果を表3に示した。

0168

[実施例12:臭素酸(HBrO3)水溶液を利用したフィラー(ガラス繊維)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(ガラス繊維)の分離]
本実施例12において使用された硬化物は、実施例2において使用されたものと同様に、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、ガラス繊維とからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L臭素酸水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
4.5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中のガラス繊維を濾過させて分離後に乾燥した。表1に解重合(分解)の完了時間を表示した。
図10は、本発明の実施例12のエポキシ樹脂硬化物に使用されたガラス繊維と、実施例12の結果回収されたガラス繊維の引張強度の測定から得られた結果を比較するグラフである。また、引張強度の測定結果から得られた分解工程前後のガラス繊維の引張強度の変化を表3に示した。当該結果から、特性の変化が小さいことを確認することができる。

0169

[実施例13:亜塩素酸(HClO2)水溶液を利用したフィラー(アルミナ)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(アルミナ)の分離]
本実施例13において使用された硬化物は、実施例2において使用されたものと同様に、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、アルミナとからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L次亜塩素酸水溶液70mLに投入した後、70℃攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中のアルミナを濾過させて分離後に乾燥した。
エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示し、本発明の実施例13のエポキシ樹脂硬化物に使用されたアルミナと、実施例13の結果回収したアルミナの熱伝導度を測定した結果を表3に示した。

0170

[実施例14:塩素酸(HClO3)水溶液を利用したフィラー(シリコンカーバイド)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(シリコンカーバイド)の分離]
本実施例14において使用された硬化物は、実施例2において使用されたものと同様に、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、シリコンカーバイドとからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L塩素酸水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。一方、塩素酸水溶液をエポキシ樹脂硬化物に提供するためには、水に塩素ガスをバブリングし、ここにエポキシ樹脂硬化物を浸す方式を遂行してもよい。
4時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中のシリコンカーバイドを濾過させて分離後に乾燥した。
エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示し、本発明の実施例14のエポキシ樹脂硬化物に使用されたシリコンカーバイドと、実施例14の結果回収したシリコンカーバイドの熱伝導度を測定した結果を表3に示した。

0171

[実施例15:塩素酸ナトリウム(NaClO3)水溶液を利用したフィラー(単分子有機化合物)を含むエポキシ樹脂硬化物の分解およびフィラー(有機化学物)の分離]
本実施例15において使用された硬化物は、実施例2において使用されたものと同様に、クレゾールノボラックのグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と芳香族アミン基を含む硬化剤とを利用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、単分子有機化合物であるBASF社のEFKA 5207とからなる。
エポキシ樹脂を含む硬化物0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L塩素酸ナトリウム水溶液70mLに投入した後、70℃で攪拌した。加圧リアクター(Autoclave)は使用しなかった。
4.5時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中のEFKA 5207を、Agilent社の1200series高性能液体クロマトグラフィーを利用して分離後に乾燥した。エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。

0172

[実施例16:水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液と塩素(Cl2)の混合を通じた次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液の生成と、これを利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解およびフィラー(炭素繊維)の分離]
実施例1において使用されたものと同じ廃CFRP0.1gを、加圧容器に入れた2mol/L水酸化ナトリウム水溶液70mLに投入した後、別途の投入口を介して加圧容器の圧力全体が3気圧以下に下がらないように塩素気体を投入しつつ、70℃で攪拌した。
8時間後、エポキシ樹脂が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を濾過させて分離後に乾燥した。エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に示した。

0173

[比較例1:過酸化水素水とアセトンの混合液(H2O2+水+アセトン)を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解および炭素繊維の分離]
実施例1において使用されたものと同一のCFRP0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L過酸化水素水と33%(全溶媒中体積比)アセトンの混合液11mL(すなわち、全溶媒中、アセトンが33体積%、水が67体積%)に投入した後、70℃で攪拌した。
エポキシ樹脂の分解可否を表1に示した。比較例1においては、エポキシ樹脂が溶けず、炭素繊維を分離することができなかった。
ここでは、エポキシの分解のためにOHラジカルを使用し、また、溶液の誘電率が44程度であった。誘電率が低いためラジカルの発生が難しく、OHラジカルの形成が少量であったため、本比較例においては溶けないという結果が出されたものと考えられる。実施例と同一のCFRPを使用したにもかかわらず(エポキシ樹脂硬化物の硬化剤が芳香族ジアミン系で相当に分解が難しい)、実施例とは異なり、全く溶けないという結果が出たことが注目される。

0174

[比較例2:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液とアセトンの混合溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解および炭素繊維の分離]
実施例1において使用されたものと同一のCFRP0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液と33%(全溶媒中体積比)アセトンの混合液(すなわち、全溶媒中、アセトンが33体積%、水が67体積%)に投入した後、70℃攪拌した。
エポキシ樹脂の分解可否を表1に示した。比較例2においても、エポキシ樹脂が溶けず、炭素繊維を分離することができなかった。本比較例においても、使用した溶液の誘電率は44程度であった。誘電率が低く、効果的にラジカルを発生させることができないため、本比較例においては溶けないという結果が出されたものと考えられる。実施例と同一のCFRPを使用したにもかかわらず(エポキシ樹脂硬化物の硬化剤が芳香族ジアミン系で相当に分解が難しい)、実施例とは異なり、全く溶けないという結果が出たことが注目される。

0175

[比較例3:硝酸水溶液を利用したエポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解および炭素繊維の分離]
実施例1において使用されたものと同一のCFRP0.1gを、開放されたガラス容器に入れた2mol/L硝酸水溶液に投入した後、70℃で攪拌した。
図4は、時間の経過(0h→12h)に伴うCFRPが含まれた硝酸水溶液の変化を示す写真であり、図3には、CFRPが含まれた硝酸水溶液のpHを測定した結果を示した。また、エポキシ樹脂の解重合(分解)が完了した時間を表1に、炭素繊維を濾過した後に得られた硝酸水溶液の粘度を、Brookfield粘度計を利用して測定した結果とpHを測定した結果を表2に示した。
12時間後、エポキシ樹脂硬化物が完全に解重合(分解)されたことを確認した後(解重合後、熱重量分析(TGA)の測定を通じて、エポキシ樹脂残留物がないことを確認した)、水溶液中の炭素繊維を濾過させて分離後に乾燥した。

0176

[実施例および比較例のエポキシ分解実験結果ならびに回収されたフィラーの特性分析]
実施例および比較例における、エポキシ樹脂の解重合(分解)に必要な時間を表1に示した。また、実施例1および比較例3において、炭素繊維を濾過した後に得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液および硝酸水溶液のpHと粘度を測定した結果を表2に示した。
表3は、実施例におけるフィラーの解重合前後の熱伝導度、引張強度、電気伝導度の特性を示したものである。表4は、実施例1の電気伝導度の結果について、より詳細に示したものである。表5は、実施例10におけるX線光電子分光分析の結果から導き出された、各結合および炭素、酸素元素の含有量を示したものである。

0177

0178

0179

0180

0181

0182

前記表1の実施例および比較例から分かるように、実施例の場合、反応温度が低いながらも反応時間が相対的に非常に早かった。一方、特に比較例1および2において、アセトンを反応溶媒中33体積%程度含ませた場合(誘電率が約44)、エポキシ樹脂硬化物の分解が進まないことを確認することができた。

0183

一方、比較例3の場合、硝酸水溶液を使用したが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用した実施例1と比べて反応時間が2倍と非常に遅かった。また、前記表2から確認できるように、実施例1で使用した組成物は、硝酸水溶液よりも高いpH値を示し、エポキシ樹脂硬化物を分解させた後に生成された混合液もまた、硝酸を利用したときよりも低い粘度を示したことから、ゲル相を示さないことを確認した。このように、粘度が相対的に非常に低いため、工程遂行がはるかに容易となり得る。

0184

前記図5は、本発明の実施例1のCFRPに使用された炭素繊維(原料炭素繊維)と、実施例1の結果回収された炭素繊維の引張強度の測定により得られた結果を比較するグラフである。

0185

実施例1から回収された炭素繊維の引張強度の測定結果から、本発明の具現例の方法を利用してCFRPを分解することにより、引張強度の低下が少ない(約13%以内)炭素繊維をCFRPから回収することができることを確認した。これは、熱分解法を利用してCFRPから回収した炭素繊維が原料比15%以上の引張強さの低下を示すこと(非特許文献1)と比較したとき、本発明の具現例による解重合方法が、高い特性の炭素繊維を回収することができることを示す。

0186

また、前記表3に示されているように、解重合前後のフィラーの特性の結果から、本発明の具現例の方法を利用してエポキシ樹脂硬化物を分解することにより、特性の変化が少ないフィラーをエポキシ樹脂硬化物から回収することができることを確認した。

0187

一方、前記表1の実施例7〜9および実施例6は、それぞれ同一のエポキシ樹脂硬化物と解重合組成物を使用するが、実施例7〜9は、前処理工程を含めて進められ、実施例6は、前処理工程を含めずに進められた。実施例6の場合にも、解重合が急速に行われたが、前処理工程を含むことにより、エポキシ樹脂硬化物がより早い時間に解重合され、粉砕および含浸工程をいずれも含む実施例9において最も早い時間にエポキシ樹脂硬化物の解重合が完了した。

0188

このように解重合完了時間が短縮された理由は、前処理によるエポキシ樹脂硬化物の解重合反応面積の増加に伴い、解重合がさらに活性化されたためと見られる。このような解重合の活性化は、粉砕などの物理的方法を利用した反応面積の増加だけでなく、含浸方法のような化学的な方法を通じた反応面積の増加によっても、すべて発生することになる。

0189

また、前記表3から確認できるように、含浸工程を含む実施例8の結果回収した炭素繊維の引張強度および電気伝導度が、含浸工程を含んでいない実施例6の結果回収した炭素繊維の引張強度および電気伝導度よりも優れることを確認した。これは、前処理工程を通じてエポキシ樹脂硬化物の解重合に所要される時間が減少したことにより、解重合工程中において発生し得る炭素繊維の特性低下がさらに減少したことを示す。

0190

一方、本発明の実施例1のCFRPに使用された炭素繊維と、実施例1の結果回収された炭素繊維の電気伝導度の測定により得られた結果を、前記表4においてより詳細に示した。前記表4からも分かるように、本発明の具現例の方法を利用してCFRPを分解することにより、電気伝導度が30%向上した炭素繊維をCFRPから回収することができることを確認した。このような引張強度の測定と電気伝導度の測定結果から、本発明の具現例の方法を利用してCFRPを分解することにより、物性に優れた炭素繊維をCFRPから回収することができることを確認した。

0191

[実験2]
反応溶媒として水とNMPの混合溶媒を使用
本実験2においては、反応溶媒として水とNMPの混合溶媒を使用して、混合比率を変えながら誘電率を変化させ、それに伴うエポキシ解重合の程度を測定した。化合物は、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムを使用した。表6に、実験条件および結果を示した。

0192

0193

反応溶媒として水とDMFの混合溶媒を使用
反応溶媒として水とDMFの混合溶媒を使用して、混合比率を変えながら誘電率を変化させ、それに伴うエポキシ解重合の程度を測定した。化合物は、次亜塩素酸ナトリウムを使用した。表7に、実験条件および結果を示した。

0194

0195

反応溶媒として水とアセトンの混合溶媒を使用
反応溶媒として水とアセトンの混合溶媒を使用して、混合比率を変えながら誘電率を変化させ、それに伴うエポキシ解重合の程度を測定した。化合物は、次亜塩素酸ナトリウムを使用した。表8に、実験条件および結果を示した。

0196

0197

図11は、本発明の例示的な具現例において、各混合溶媒の場合における誘電率(dielectric constant)に伴うエポキシ樹脂硬化物の解重合率(depolymerization ratio)を示すグラフである。
これらから分かるように、誘電率が約65以上であるときに解重合効率の傾きが急激に増加することが分かる。特に、WATER/NMPのデータから見られるように、水単独の場合には、24時間でなく5時間以内に分解率100%を達成することから、有機溶媒との混合の場合と対比して、水単独での使用時に、分解率が飛躍的に増加することを示した。

0198

[実験3]
一方、本実験3においては、ラジカル提供添加剤をさらに使用した場合に、エポキシ樹脂硬化物の解重合反応が促進されるかどうかについて実験した。
本実験3の実施例1および比較例は、以下のとおりである。

0199

[実施例1:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液と過炭酸ナトリウムを利用した、エポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解および炭素繊維の分離]
本実験3の実施例1において使用されたエポキシ樹脂硬化物は、廃CFRPである。前記廃CFRPは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル形態のエポキシ化合物と脂肪族アミングループを含む硬化剤を使用して生成されたエポキシ樹脂硬化物と、炭素繊維とからなるものである。
前記廃CFRP10.7gと過炭酸ナトリウム(2Na2CO33H2O2)1gを、加圧リアクター内に入れた0.4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液2.5Lに入れ、150℃で攪拌した。3時間後、水溶液中の炭素繊維を分離した後に乾燥した。
回収された炭素繊維の熱重量分析の結果を図12に示した。また、熱重量分析の結果から表される300〜400℃における重量変化量から、下記式を利用してエポキシ樹脂硬化物の分解率を計算し、その結果を表9に示した。
分解率(%)=[(CFRPの解重合反応前のエポキシ樹脂の含有量(%)−CFRPの解重合反応後のエポキシ樹脂の含有量(すなわち、残留量)(%))/CFRPの解重合反応前のエポキシ樹脂の含有量(%)]×100

0200

[比較例1:次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)水溶液を利用した、エポキシ樹脂硬化物、CFRPの分解および炭素繊維の分離]
実施例1において使用されたものと同一の廃CFRP10.7gを使用するが、実施例1とは異なり、過炭酸ナトリウム(2Na2CO33H2O2)を使用しなかった。加圧リアクター内に入れた0.4mol/L次亜塩素酸ナトリウム水溶液2.5Lに入れ、150℃で攪拌した。3時間後、水溶液中の炭素繊維を分離した後に乾燥した。
回収された炭素繊維の熱重量分析の結果を図13に示した。また、熱重量分析の結果から表される300〜400℃における重量変化量から、実施例1と同一の式を利用してエポキシ樹脂硬化物の分解率を計算し、その結果を表9に示した。

0201

0202

図12は、本発明の実験3において、ラジカル提供添加剤を添加した場合における実施例1の解重合の結果を示すグラフであり、図13は、本発明の実験3において、ラジカル提供添加剤を添加した場合における比較例1の解重合の結果を示すグラフである。

0203

図12および図13の結果ならびに表9から分かるように、ラジカル提供添加剤である過炭酸ナトリウムをともに添加した場合、同一時間における解重合反応効率が約35%さらに高く、ラジカル提供添加剤によって解重合反応が促進されたことが分かる。これにより、エポキシ樹脂硬化物の解重合工程に所要される時間および費用を大きく短縮させることができる。

実施例

0204

以上から分かるように、本発明の具現例による解重合組成物において、反応溶媒は、水単独が特に好ましいことがわかる。水を含むが他の溶媒を混合する場合、混合溶媒の誘電率が少なくとも約65以上において分解率の急激な増加が示される。特に、水単独の場合には、反応時間自体が著しく減少し、飛躍的な反応効率の上昇を示した。

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