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技術 エピタキシャルシリコンウェーハ

出願人 株式会社SUMCO
発明者 鳥越和尚小野敏昭
出願日 2015年7月28日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-148558
公開日 2017年2月2日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2017-024965
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 厚み中心 引き上げ長 ヒータパワー 選択エッチング処理 ボロン濃度分布 初期酸素濃度 ポリッシュドウェーハ 表層付近
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

デバイス工程における任意の熱処理によって酸素析出物成長する場合でもシリコン基板中ボロン増速拡散を抑制することが可能なエピタキシャルシリコンウェーハを提供する。

解決手段

エピタキシャルシリコンウェーハ10は、ボロンがドープされたシリコン基板11と、シリコン基板11の表面に形成されたエピタキシャル層13とを備え、シリコン基板中のボロン濃度が2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であり、シリコン基板中の初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3以下である。このエピタキシャルシリコンウェーハ10は、例えば700℃で3時間の熱処理と1000℃で16時間の熱処理とを順に行う酸素析出物評価熱処理を施した場合に、シリコン基板11中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下である。

概要

背景

半導体デバイス基板材料としてエピタキシャルシリコンウェーハが広く使用されている。エピタキシャルシリコンウェーハは、バルクシリコン基板の表面にエピタキシャル層が形成されたものであり、結晶完全性が高いため、高品質信頼性が高い半導体デバイスを製造することが可能である。

固体撮像素子パワー半導体デバイスなどの用途に用いられるエピタキシャルシリコンウェーハにはp型またはn型の不純物高濃度に含むシリコン基板が用いられる。例えば特許文献1には、窒素濃度が1×1012atoms/cm3以上、または、ボロンドープによって比抵抗が20mΩ・cm以下に設定されたウェーハと、ウェーハ表面に設けられたエピタキシャル層とを備え、ウェーハの初期酸素濃度が14×1017atoms/cm3以下であるエピタキシャルシリコンウェーハが記載されている。

窒素ボロン酸素析出核の安定性を増大させるため、それらが高濃度にドープされたシリコンウェーハは、通常のウェーハと比べるとデバイス工程において酸素析出物が形成されやすく、板状の酸素析出物が大きく成長した状態でLSA(Laser Spike Anneal)を行った場合にはこの酸素析出物を起点として転位が発生しやすい。しかし上記エピタキシャルシリコンウェーハによれば、デバイス工程においてLSAを行った場合であっても酸素析出物を起点とした転位の発生を防止することが可能である。

また、特許文献2には、炭素および窒素が添加され、抵抗率が100Ω・cm未満であるp型シリコン基板と、p型シリコン基板上のp型第1エピタキシャル層と、p型第1エピタキシャル層上のp型またはn型第2エピタキシャル層とを有し、p型シリコン基板中の格子間酸素濃度が10×1017〜20×1017atoms/cm3であり、p型シリコン基板の深さ方向中心部における析出物密度が5×105/cm2以上5×107/cm2以下である裏面照射型固体撮像素子エピタキシャルウェーハが記載されている。このエピタキシャルウェーハによれば、裏面照射型固体撮像素子をより高い歩留りで製造することが可能である。

概要

デバイス工程における任意の熱処理によって酸素析出物が成長する場合でもシリコン基板中のボロンの増速拡散を抑制することが可能なエピタキシャルシリコンウェーハを提供する。エピタキシャルシリコンウェーハ10は、ボロンがドープされたシリコン基板11と、シリコン基板11の表面に形成されたエピタキシャル層13とを備え、シリコン基板中のボロン濃度が2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であり、シリコン基板中の初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3以下である。このエピタキシャルシリコンウェーハ10は、例えば700℃で3時間の熱処理と1000℃で16時間の熱処理とを順に行う酸素析出物評価熱処理を施した場合に、シリコン基板11中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下である。

目的

しかしながら、デバイス工程に酸化性雰囲気での熱処理が含まれない場合でもボロンの拡散によってデバイス特性が悪化する事態が発生しており、ボロンの増速拡散を抑制するためのさらなる改善が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ボロンがドープされたシリコン基板の表面にエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであって、前記シリコン基板中ボロン濃度が2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であり、前記シリコン基板中の初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3以下であり、前記エピタキシャルシリコンウェーハに対して酸素析出物評価熱処理を施した場合に、前記シリコン基板中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハ。

請求項2

前記ボロン濃度Y(atoms/cm3)および前記初期酸素濃度X(×1017atoms/cm3)が、X≦−4.3×10−19Y+16.3の関係式を満たす、請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハ。

技術分野

0001

本発明は、エピタキシャルシリコンウェーハに関し、特に、ボロンがドープされたp型シリコン基板の表面にエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハに関するものである。

背景技術

0002

半導体デバイス基板材料としてエピタキシャルシリコンウェーハが広く使用されている。エピタキシャルシリコンウェーハは、バルクシリコン基板の表面にエピタキシャル層が形成されたものであり、結晶完全性が高いため、高品質信頼性が高い半導体デバイスを製造することが可能である。

0003

固体撮像素子パワー半導体デバイスなどの用途に用いられるエピタキシャルシリコンウェーハにはp型またはn型の不純物高濃度に含むシリコン基板が用いられる。例えば特許文献1には、窒素濃度が1×1012atoms/cm3以上、または、ボロンドープによって比抵抗が20mΩ・cm以下に設定されたウェーハと、ウェーハ表面に設けられたエピタキシャル層とを備え、ウェーハの初期酸素濃度が14×1017atoms/cm3以下であるエピタキシャルシリコンウェーハが記載されている。

0004

窒素やボロンは酸素析出核の安定性を増大させるため、それらが高濃度にドープされたシリコンウェーハは、通常のウェーハと比べるとデバイス工程において酸素析出物が形成されやすく、板状の酸素析出物が大きく成長した状態でLSA(Laser Spike Anneal)を行った場合にはこの酸素析出物を起点として転位が発生しやすい。しかし上記エピタキシャルシリコンウェーハによれば、デバイス工程においてLSAを行った場合であっても酸素析出物を起点とした転位の発生を防止することが可能である。

0005

また、特許文献2には、炭素および窒素が添加され、抵抗率が100Ω・cm未満であるp型シリコン基板と、p型シリコン基板上のp型第1エピタキシャル層と、p型第1エピタキシャル層上のp型またはn型第2エピタキシャル層とを有し、p型シリコン基板中の格子間酸素濃度が10×1017〜20×1017atoms/cm3であり、p型シリコン基板の深さ方向中心部における析出物密度が5×105/cm2以上5×107/cm2以下である裏面照射型固体撮像素子エピタキシャルウェーハが記載されている。このエピタキシャルウェーハによれば、裏面照射型固体撮像素子をより高い歩留りで製造することが可能である。

先行技術

0006

特開2011−228459号公報
特開2012−138576号公報

発明が解決しようとする課題

0007

固体撮像素子などの用途に用いられるエピタキシャルウェーハにおいて、シリコン基板中のボロンはゲッタリング能力の確保や基板の低抵抗化のためになくてはならないものである。しかし、シリコン基板からエピタキシャル層側に多量のボロンが拡散すると、エピタキシャル層の不純物プロファイルが変化し、ウェーハ面内における抵抗率の均一性が悪化するという問題がある。またシリコン基板との境界付近におけるエピタキシャル層中のボロン濃度遷移領域(抵抗変動層)の幅が広がり、エピタキシャル層の実効的な厚さが薄くなり、半導体デバイスの特性が悪化するおそれがある。そのため、シリコン基板中のボロンの拡散をできるだけ抑制する必要がある。

0008

シリコン基板中のボロンは、酸化性雰囲気での熱処理によって増速拡散することが知られている。シリコン基板の表面に熱酸化膜が形成されるとき、SiO2に空間を占有されて居場所を失ったSi原子結晶格子の外に押し出され、格子間シリコンが増加する。一方、ボロンは格子間シリコンと入れ替わりながらキックアウト拡散するので、格子間シリコンの増加によってボロンは増速拡散することになる。そのため、ボロンの増速拡散を抑える一つの方法は、酸化性雰囲気での熱処理工程をできるだけ行わないことである。

0009

しかしながら、デバイス工程に酸化性雰囲気での熱処理が含まれない場合でもボロンの拡散によってデバイス特性が悪化する事態が発生しており、ボロンの増速拡散を抑制するためのさらなる改善が望まれている。

0010

本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、シリコン基板中のボロンの増速拡散が抑制されたエピタキシャルシリコンウェーハを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本願発明者らは、シリコンウェーハ中のボロンが拡散するメカニズムについて鋭意研究を重ねた結果、酸化性雰囲気での熱処理に限らず、任意の熱処理によってシリコン基板中の酸素析出物が成長する際にも格子間シリコンが放出され、この格子間シリコンを介してボロンのキックアウト拡散が促進されることが明らかとなった。特に、酸素析出物に起因するボロンの拡散は、シリコン基板中の酸素析出物密度がある閾値レベルを超えたときから急激に進展することに着目して本発明をなし得たものである。

0012

本発明はこのような技術的知見に基づくものであり、本発明によるエピタキシャルシリコンウェーハは、ボロンがドープされたシリコン基板の表面にエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであって、前記シリコン基板中のボロン濃度が2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であり、前記シリコン基板中の初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3以下であり、前記エピタキシャルシリコンウェーハに対して酸素析出物評価熱処理を施した場合に、前記シリコン基板中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であることを特徴とする。

0013

本発明によれば、デバイス工程における任意の熱処理によってシリコン基板中の酸素析出物が成長した場合でも、シリコン基板中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であるので、酸素析出物密度の増加に伴って格子間シリコンが増加し、格子間シリコンを介してシリコン基板中のボロンがエピタキシャル層側へキックアウト拡散することを抑制することができ、酸素析出物密度が実質的にゼロである場合と同等の拡散レベルに抑えることができる。

0014

本発明において、前記シリコン基板中のボロン濃度は2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であることが好ましく、前記シリコン基板中の初期酸素濃度は11×1017atoms/cm3以下であることが好ましい。シリコン基板中の初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3以下であれば、デバイス工程における任意の熱処理によってシリコン基板中の酸素析出物が成長した場合でもシリコン基板中の酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下に抑えることができる。

0015

本発明において、前記ボロン濃度Y(atoms/cm3)および前記初期酸素濃度X(×1017atoms/cm3)は、X≦−4.3×10−19Y+16.3の関係式を満たすことが好ましい。シリコン基板中のボロン濃度および初期酸素濃度がこの条件を満たす場合には、シリコン基板中のボロン濃度によらず酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下に抑えることができる。したがって、酸素析出物に起因するボロンの増速拡散を抑制することができる。

発明の効果

0016

このように、本発明によれば、デバイス工程における任意の熱処理によって酸素析出物が成長した場合でもシリコン基板中のボロンの増速拡散を抑制することが可能なエピタキシャルシリコンウェーハを提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の実施の形態によるエピタキシャルシリコンウェーハの構造を示す略断面図である。
エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を説明するためのフローチャートである。
酸素析出物評価熱処理前後のエピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#1〜#4のボロン濃度の深さ分布を示すグラフである。
酸素析出物密度と初期酸素濃度およびボロン濃度との関係を示すグラフである。

0018

以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。

0019

図1は、本発明の実施の形態によるエピタキシャルシリコンウェーハの構造を示す略断面図である。

0020

図1に示すように、本実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ10は、シリコン基板11と、シリコン基板11の表面に形成されたエピタキシャル層12によって構成されている。シリコン基板11は、チョクラルスキー法CZ法)によって育成されたシリコン単結晶インゴットから切り出され、表面が鏡面研磨されたポリッシュトウェーハである。シリコン基板11はエピタキシャルシリコンウェーハ10の機械的強度を確保すると共に、重金属捕獲するゲッタリングシンクとしての役割を果たす。シリコン基板11の厚さは機械的強度を確保できる限り特に限定されないが、例えば725mmとすることができる。

0021

シリコン基板11はボロンがドープされたp型シリコン基板である。シリコン基板11中のボロン濃度は2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であることが好ましく、シリコン基板11の比抵抗は20mΩ・cm以下であることが好ましい。このようにボロンが高濃度にドープされたシリコン基板11を用いることによりシリコン基板11の低抵抗化を図ることができ、また十分なゲッタリング能力を確保することができる。

0022

シリコン基板11の表面にはエピタキシャル層12が形成されており、MOSトランジスタなどの半導体デバイスはエピタキシャル層12に形成される。エピタキシャル層12の厚さは1〜10μmであることが好ましい。エピタキシャル層12は特性が異なる複数のエピタキシャル層が積層された多層構造であってもよい。通常、エピタキシャル層12の比抵抗はシリコン基板11よりも高く設定され、p型ドーパント(ボロン)あるいはn型ドーパント(リン砒素アンチモン)が添加されたものである。

0023

エピタキシャルシリコンウェーハ10に酸素析出物評価熱処理を施した場合、シリコン基板11中の酸素析出物密度は1×1010個/cm3以下である。詳細は後述するが、酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であればシリコン基板11中の酸素析出物がボロンの拡散に与える影響は非常に小さく、酸素析出物密度が実質的にゼロである場合と同等の拡散レベルに抑えることができる。

0024

酸素析出物評価熱処理は、例えば700℃で3時間の熱処理(核形成工程)と1000℃で16時間の熱処理(核成長工程)とを順に行う2段階の熱処理であり、デバイス工程を模擬した熱処理である。これらの熱処理はいずれも酸化性雰囲気ではなく窒素雰囲気で行われるので、熱酸化膜が形成されることはなく、熱酸化膜の発生によるボロンの増速拡散の問題はない。しかし、シリコン基板11中の酸素析出核が成長することにより酸素析出物密度が高くなり、これがボロン拡散の新たな原因となる。またシリコン基板11中のボロンには酸素析出を促進させる作用があり、ボロン濃度が高くなるほどシリコン基板中の酸素析出物密度が高くなることが知られている。酸素析出物はゲッタリング能力の確保のためにある程度必要であるが、酸素析出量の増加によりボロンは増速拡散する。

0025

シリコン基板11中の酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下とするためには、シリコン基板11の格子間の初期酸素濃度を11×1017atoms/cm3以下とする必要がある。初期酸素濃度が11×1017atoms/cm3よりも高い場合には、酸素析出物密度の増加と共に格子間シリコンが増加し、格子間シリコンを介してボロンが増速拡散してしまう。また、初期酸素濃度は低くければ低いほどよく、特に下限値は限定されないが、現状、CZ法により初期酸素濃度が1×1017atoms/cm3よりも低いシリコン単結晶を育成することは製造上困難である。なお本明細書で記載する酸素濃度はすべてASTMF−121(1979)に規格されたフーリエ変換赤外分光光度法(FT−IR)による測定値である。

0026

シリコン基板11中の初期酸素濃度の好ましい範囲はボロン濃度に応じて変化する。シリコン基板11中のボロン濃度が低い場合には初期酸素濃度が多少高くても問題はないが、ボロン濃度が高い場合には酸素析出核が成長しやすいので初期酸素濃度を低くしなければ発生する酸素析出物が過多になり、酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下に抑えることができないからである。シリコン基板11中の初期酸素濃度X(×1017atoms/cm3)とし、ボロン濃度Y(atoms/cm3)とするとき、それらは、X≦−4.3×10−19Y+16.3の関係式を満たすことが好ましい。この関係式を満たす場合には、ボロン濃度によらずシリコン基板11中の酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下に抑えることができる。

0027

図2は、エピタキシャルシリコンウェーハ10の製造方法を説明するためのフローチャートである。

0028

図2に示すように、エピタキシャルシリコンウェーハ10の製造ではまずボロンがドープされたシリコン単結晶インゴットをCZ法により育成する(ステップS1)。このときシリコン単結晶には2.7×1017〜1.3×1019atoms/cm3のボロンがドープされる。またシリコン単結晶には石英ルツボより溶出した酸素過飽和に含まれているが、引き上げ条件を制御することでシリコン単結晶中の酸素濃度が制御される。すなわち上記のように、シリコン単結晶中の酸素濃度X(×1017atoms/cm3)およびボロン濃度Y(atoms/cm3)が、X≦−4.3×10−19Y+16.3の関係式を満たすように引き上げ条件が制御される。

0029

単結晶中のボロンは、石英ルツボ内シリコン原料仕込む際に、シリコン原料と共に所定量のボロンを充填ことにより添加される。ボロンは単結晶のトップの位置にて狙いの抵抗率となる量が充填され、シリコン原料と一緒にボロンを融解することにより、ボロンを含むシリコン融液が生成される。このシリコン融液から引き上げられる単結晶にはボロンが一定の割合で含まれるが、ボロン濃度は偏析により結晶成長が進むにつれてインゴット引き上げ長さ方向に高くなるため、上記関係式を満足させるように、単結晶中の酸素濃度をインゴット引き上げ長さ方向に低下させる必要がある。

0030

単結晶中の酸素濃度は、石英ルツボの回転速度やヒータパワーを調整することにより制御することができる。単結晶中の酸素濃度を低くする場合、石英ルツボを低速回転させるか、あるいはヒータパワーを低出力に設定すればよい。このように引き上げ条件を制御することで単結晶中の酸素濃度を低く抑えることができる。

0031

単結晶中の酸素濃度を低くする方法としては、シリコン融液に磁場を印加しながら単結晶を引き上げるMCZ法も非常に有効である。MCZ方法によれば磁場の影響で融液対流が抑えられるので、石英ルツボからシリコン融液への酸素の溶出を抑えることができ、シリコン融液から引き上げられる単結晶中の酸素濃度を低く抑えることができる。

0032

次に、シリコン単結晶インゴットを加工してシリコン基板11を作製する(ステップS2)。上記のように、シリコン基板11はシリコン単結晶インゴットから切り出され、表面が鏡面研磨されたポリッシュドウェーハである。このシリコン基板11のボロン濃度は2.7×1017atoms/cm3以上かつ1.3×1019atoms/cm3以下であり、シリコン基板11中の初期酸素濃度は11×1017atoms/cm3以下である。

0033

次に、このシリコン基板11の表面にエピタキシャル層12を周知の方法により形成する(ステップS3)。以上により、エピタキシャルシリコンウェーハ10が完成する。

0034

こうして製造されたエピタキシャルシリコンウェーハ10は半導体デバイスの基板材料として用いられ、様々な加工工程を経て種々の半導体デバイスとなる。加工工程には様々な熱処理工程が含まれ、これによりシリコン基板中に酸素析出核が形成され、酸素析出核が成長し、シリコン基板中の酸素析出物密度が増加する。しかし、シリコン基板中の酸素析出物密度は1×1010個/cm3以下となるので、酸素析出物に起因するボロンの増速拡散を防止することができる。

0035

シリコン基板中のボロン濃度および初期酸素濃度が分かり、さらにデバイス工程における熱処理条件熱履歴)が分かれば、そのようなエピタキシャルシリコンウェーハがデバイス工程で熱処理されたときの、シリコン基板中の酸素析出物密度およびボロンの増速拡散量をシミュレーション予測することができる。そしてシミュレーションの結果、ボロンの増速拡散によって広がった遷移領域の幅が許容範囲内に収まらない場合には、許容範囲内に収まるように初期酸素濃度を調整すればよい。このように、任意の酸素析出物密度を得るために必要なシリコン基板中の初期酸素濃度をデバイス工程における熱処理条件から予測することができ、これによりボロンの増速拡散を許容範囲内に収めることができる。

0036

以上説明したように、本実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ10は、ボロンがドープされたシリコン基板11と、シリコン基板11の表面に形成されたエピタキシャル層12とを備え、酸素析出物評価熱処理を施した場合に、シリコン基板11中の酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であるので、酸素析出物密度の増加に伴ってシリコン基板11中のボロンがエピタキシャル層12側へ増速拡散することを抑制することができる。

0037

本実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ10は、裏面照射型固体撮像素子の基板材料として好ましく用いることができる。裏面照射型固体撮像素子を製造する際、シリコン基板中の金属不純物センサー部の暗電流を増加させ、白傷欠陥と呼ばれる欠陥を生じさせる要因となる。しかし、ボロンが高濃度にドープされたp型シリコン基板を用いた場合、シリコン基板がゲッタリングシンクとなるため、金属不純物の問題を解決することができる。

0038

また裏面照射型固体撮像素子は配線層などがセンサー部よりも下層に配置されているので、外からの光をセンサー部に直接取り組むことができ、これにより鮮明な画像や動画撮影できるが、配線層などをセンサー部よりも下層に配置するためにシリコン基板11を研削によって除去し、エピタキシャル層12のみを残す加工が必要となる。ここで、ボロンの増速拡散によってエピタキシャル層12中の遷移領域の幅が広がり、ウェーハ面内における抵抗率の均一性も悪化した場合、シリコン基板11の適切な研削量の決定が困難となり、またエピタキシャル層12の実効的な厚さが薄くなることにより固体撮像素子の特性が悪化するおそれがある。しかし、遷移領域の幅が狭くエピタキシャル層12の実効的な厚さが十分に厚い場合にはそのような問題を解決することができ、高品質な裏面照射型固体撮像素子を製造することが可能である。

0039

以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。

0040

CZ法により育成したシリコン単結晶インゴットから面方位(100)のシリコン基板を切り出し、シリコン基板の表面を鏡面研磨した。このシリコン基板は1.0×1019atoms/cm3のボロンが添加されたものであった。またシリコン基板の初期酸素濃度は6×1017atoms/cm3であった。このシリコン基板の表面に5μmのエピタキシャル層を1150℃の温度で気相成長させて、エピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#1を得た。さらに、サンプル#1とは初期酸素濃度が異なるエピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#2〜#4をサンプル#1と同様に準備した。サンプル#2の初期酸素濃度は10×1017atoms/cm3、サンプル#3の初期酸素濃度は11×1017atoms/cm3、サンプル#4の初期酸素濃度は13×1017atoms/cm3であった。

0041

次に、エピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#1〜#4に対して酸素析出物評価熱処理を行った。酸素析出物評価熱処理では、700℃の窒素雰囲気で3時間の熱処理を行った後、1000℃の窒素雰囲気で16時間の熱処理を行った。さらに、酸素析出物評価熱処理前と処理後におけるサンプル#1〜#4のボロン濃度の深さ分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy:二次イオン質量分析法)によって測定した。

0042

図3は、酸素析出物評価熱処理前後のエピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#1〜#4のボロン濃度の深さ分布を示すグラフであり、横軸はウェーハの最表面からの深さ(相対値)、縦軸はボロン濃度(相対値)をそれぞれ示している。

0043

図3に示すように、酸素析出物評価熱処理前のウェーハのサンプル#1〜#4はほぼ同じボロン濃度プロファイルとなり、シリコン基板とエピタキシャル層との境界付近で急峻に変化し、エピタキシャル層へのボロン拡散量はいずれも非常に少なかった。図中の長い破線Xは、酸素析出物評価熱処理前のサンプル#1〜#4のボロン濃度プロファイルを共通の線で示したものである。

0044

一方、酸素析出物評価熱処理後のサンプル#1〜#4は、評価熱処理前に比べて濃度プロファイルが大きく変化し、エピタキシャル層へのボロン拡散量は大幅に増加した。このようにボロン濃度プロファイルが大きく変化したのは評価熱処理によるボロンの熱拡散が主な原因であると考えられる。

0045

このうち、"サンプル#1"のボロン濃度分布実線)は、エピタキシャル層の表層付近にボロンが実質的に存在せず、良好な結果となった。ボロン濃度は深さ0.7くらいから急に増加し始め、深さ0.8のときのボロン濃度は0.015となり、深さ0.9のときのボロン濃度は0.2となり、深さ1のときのボロン濃度は0.5となった。また、"サンプル#2"(短い破線)および"サンプル#3"(点線)のボロン濃度分布もサンプル#1のボロン濃度分布とほぼ同じ濃度分布であった。

0046

"サンプル#4"のボロン濃度分布(一点鎖線)は、サンプル#1〜#3と大きく異なり、エピタキシャル層の表層付近までボロンの拡散が進展した結果となった。すなわち、ボロン濃度は深さ0.6くらいから増加し始め、深さ0.7のときのボロン濃度は0.004、深さ0.8のときのボロン濃度は0.07、深さ0.9のときのボロン濃度は0.25となった。深さ1のときのボロン濃度はサンプル#1〜#3と同じく0.5となった。

0047

以上の結果から、サンプル#1〜#3ではボロンの拡散がほとんど見られないが、サンプル#4ではボロンが非常に拡散することが明らかとなった。サンプル#4のボロン濃度プロファイルが特に大きく変化した理由はボロンの増速拡散によるものと考えられる。

0048

次に、酸素析出物評価熱処理後のエピタキシャルシリコンウェーハのサンプル#1〜#4を厚み方向に劈開して、劈開断面をライトエッチング(Wright Etching)液を用いて深さ2μmエッチングする選択エッチング処理を行った後、シリコンウェーハの厚み中心部における劈開断面を光学顕微鏡で観察し、100μm×100μm角エリア内のエッチピットを酸素析出物密度として測定した。その結果を表1に示す。

0049

0050

表1に示すように、サンプル#1の酸素析出物密度は測定限界以下(1×107個/cm3未満)となった。またサンプル#2の酸素析出物密度は1×109個/cm3となり、サンプル#3の酸素析出物密度は1×1010個/cm3となり、サンプル#4の酸素析出物密度は3×1010個/cm3となった。そして表1の結果および図3のグラフから、酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であるサンプル#1〜#3ではボロンの増速拡散がほとんど見られないことが分かった。

0051

次に、初期酸素濃度とボロン濃度と酸素析出物密度との関係について考察するため、シリコン基板中の初期酸素濃度とボロン濃度をパラメータとした様々なエピタキシャルシリコンウェーハのサンプル28枚を用意し、それらに対して酸素析出物評価熱処理を行った後、酸素析出物の密度を測定した。

0052

図4は、酸素析出物密度と初期酸素濃度およびボロン濃度との関係を示すグラフであり、横軸は酸素濃度(×1017atoms/cm3)、縦軸はボロン濃度(atoms/cm3)を示している。そして、酸素析出物密度が1×1010個/cm3以下であったサンプルのプロットマークを「○」とし、1×1010個/cm3超であったサンプルのプロットマークを「×」とした。

0053

図4から明らかなように、ボロン濃度が高いほど初期酸素濃度を低くしなければ、1×1010個/cm3以下の酸素析出物密度を満たすことができないことが分かった。例えば、ボロン濃度が4.8×1018atoms/cm3と低いとき、1×1010個/cm3以下の酸素析出物密度を満たすことができる初期酸素濃度の最大値は約14×1017atoms/cm3であった。また、ボロン濃度が1.6×1019atoms/cm3と高いとき、1×1010個/cm3以下の酸素析出物密度を満たすことができる初期酸素濃度の最大値は約9×1017atoms/cm3であった。

実施例

0054

そしてプロットマーク「○」と「×」との境界線を酸素濃度とボロン濃度の一次関数で表し、プロットマーク「○」の領域を定義した。以上の結果から、酸素濃度X(×1017atoms/cm3)およびボロン濃度Y(atoms/cm3)が、X≦−4.3×10−19Y+16.3の条件を満たすときに、酸素析出物密度を1×1010個/cm3以下にすることができることが明らかとなった。

0055

10エピタキシャルシリコンウェーハ
11シリコン基板
12 エピタキシャル層

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