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技術 質量分析方法

出願人 花王株式会社
発明者 井上陽介辻村久
出願日 2015年7月9日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-137688
公開日 2017年1月26日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2017-020858
状態 特許登録済
技術分野 その他の電気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 高性能装置 イオン化促進剤 酢酸分子 例示的実施 分析対象化合物 シングル型 測定対象分子 四重極型質量分析装置
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図面 (1)

課題

m/zが同一となる又は隣接するイオンを生成する試料分子質量分離を可能とする質量分析方法の提供。

解決手段

移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1)と、当該分子が付加されずにイオン化される分子(M2)とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出する質量分析方法であって、移動相溶媒又は添加剤として少なくとも1個の原子安定同位体で標識された化合物を用いる方法。

概要

背景

質量分析は、分子イオン化し、生じたイオンを、真空中でm/z(質量数電荷)に応じて分離及び検出する手法である。分子をイオン化する際、分子及び条件により生成するイオンの種類が変わる場合が存在する。例えば、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)においては、液体クロマトグラフィーと質量分析装置との間のインターフェイスとして主に大気圧イオン化法API)が採用され、試料分子移動相溶媒との間のプロトン移動によってイオン化が行なわれるが、その際に移動相溶媒由来の分子が試料分子に付加したイオンが生成されることがある。また、LC/MSに限らず、イオン化効率を上げるためにイオン化促進剤(例えば、酢酸ギ酸又はそれらの塩)のような添加剤を用いることがあるが、それに起因するイオンが生成することも知られている。

例えば、ポジティブイオンモードでは、アンモニウム塩アンモニア等の添加によって生成するアンモニウムイオン付加分子([M+NH4]+)やナトリウム塩等の添加によって生成するナトリウムイオン付加分子([M+Na]+)等が検出され、ネガティブイオンモードでは、酢酸や酢酸アンモニウム等の添加によって生成する酢酸イオン付加分子([M+CH3COO]−)やギ酸やギ酸アンモニウム等の添加によって生成するギ酸イオン付加分子([M+HCOO]−)等が検出される。
このような多種のイオン種がイオン化の工程で生成することによって、成分同士のm/zが重なり質量で分離することが困難な場合がある。また、成分の同位体も同時に検出されるため、m/zの差が2以内に隣接する場合でも、質量分離が困難な場合がある。
通常は、液体クロマトグラフィーの分子間相互作用による分離と組み合わせて成分を分離するのが一般的ではあるが、液体クロマトグラフィーによる迅速分析の場合、このような付加分子を分離することは困難な場合がある。

同一m/zの化合物を分離する手法としては、LC/MS/MSによる衝突誘起解離を用いて構造の違いにより分離すること(非特許文献1)、高質量分解能を持つ質量分析計を使用した精密質量により分離を行うこと(非特許文献2)等が知られている。また一般的に使用される添加剤の種類を変更し生成するイオン種を変えることでも分離できる場合がある。
しかしながら、非特許文献1の方法では、MS/MSが使用可能な高性能装置が必要であるだけでなく、衝突誘起解離が起こりやすい分子のみに限定される。また、非特許文献2では、同一の組成式の分子を分離することができない。また、一般的な添加剤では分離が困難な場合が存在する。

一方、LC/MS等の移動相あるいは添加剤に重水重水素化メタノール等の安定同位体標識試薬を使用した報告はあるが(非特許文献3)、これは分析対象化合物構造解析を目的とするものである。また、高速原子衝撃法(FAB)やマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等の質量分析で、マトリクスを安定同位体標識している報告(特許文献1)もあるが、これはマトリクスと成分を分離するという観点から使用されているものである。斯様に、安定同位体標識試薬を用いて、成分同士の質量分離を行った例はこれまでに報告されていない。

概要

m/zが同一となる又は隣接するイオンを生成する試料分子の質量分離を可能とする質量分析方法の提供。移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1)と、当該分子が付加されずにイオン化される分子(M2)とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出する質量分析方法であって、移動相溶媒又は添加剤として少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物を用いる方法。なし

目的

一方、LC/MS等の移動相あるいは添加剤に重水や重水素化メタノール等の安定同位体標識試薬を使用した報告はあるが(非特許文献3)、これは分析対象化合物の構造解析を目的とする

効果

実績

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請求項1

移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1)と、当該分子が付加されずにイオン化される分子(M2)とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出する質量分析方法であって、移動相溶媒又は添加剤として少なくとも1個の原子安定同位体で標識された化合物を用いる方法。

請求項2

前者により生じたイオンが[M1+HCOO]−又は[M1+CH3COO]−であり、後者により生じたイオンが[M2−H]−である請求項1記載の質量分析方法。

請求項3

前者により生じたイオンが[M1+NH4]+であり、後者により生じたイオンが[M2+H]+である請求項1記載の質量分析方法。

請求項4

少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物が、重水メタノール−d4、エタノールd6、アセトニトリル−d3、酢酸メチル−d3、酢酸−d4、酢酸ナトリウム−d3、酢酸アンモニウム−d7、ギ酸−d2、ギ酸ナトリウム−d1、アンモニア−d3、アンモニア−15N、アンモニア−15N,d3、水酸化アンモニウム−d5、クロロホルム−37Clから選択される請求項1〜3の何れか1項記載の質量分析方法。

請求項5

試料が、高速液体クロマトグラフィーによって質量分析装置に導入される、請求項1〜4の何れか1項記載の質量分析方法。

技術分野

0001

本発明は、安定同位体標識試薬を用いた質量分析方法に関する。

背景技術

0002

質量分析は、分子イオン化し、生じたイオンを、真空中でm/z(質量数電荷)に応じて分離及び検出する手法である。分子をイオン化する際、分子及び条件により生成するイオンの種類が変わる場合が存在する。例えば、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)においては、液体クロマトグラフィーと質量分析装置との間のインターフェイスとして主に大気圧イオン化法API)が採用され、試料分子移動相溶媒との間のプロトン移動によってイオン化が行なわれるが、その際に移動相溶媒由来の分子が試料分子に付加したイオンが生成されることがある。また、LC/MSに限らず、イオン化効率を上げるためにイオン化促進剤(例えば、酢酸ギ酸又はそれらの塩)のような添加剤を用いることがあるが、それに起因するイオンが生成することも知られている。

0003

例えば、ポジティブイオンモードでは、アンモニウム塩アンモニア等の添加によって生成するアンモニウムイオン付加分子([M+NH4]+)やナトリウム塩等の添加によって生成するナトリウムイオン付加分子([M+Na]+)等が検出され、ネガティブイオンモードでは、酢酸や酢酸アンモニウム等の添加によって生成する酢酸イオン付加分子([M+CH3COO]−)やギ酸やギ酸アンモニウム等の添加によって生成するギ酸イオン付加分子([M+HCOO]−)等が検出される。
このような多種のイオン種がイオン化の工程で生成することによって、成分同士のm/zが重なり質量で分離することが困難な場合がある。また、成分の同位体も同時に検出されるため、m/zの差が2以内に隣接する場合でも、質量分離が困難な場合がある。
通常は、液体クロマトグラフィーの分子間相互作用による分離と組み合わせて成分を分離するのが一般的ではあるが、液体クロマトグラフィーによる迅速分析の場合、このような付加分子を分離することは困難な場合がある。

0004

同一m/zの化合物を分離する手法としては、LC/MS/MSによる衝突誘起解離を用いて構造の違いにより分離すること(非特許文献1)、高質量分解能を持つ質量分析計を使用した精密質量により分離を行うこと(非特許文献2)等が知られている。また一般的に使用される添加剤の種類を変更し生成するイオン種を変えることでも分離できる場合がある。
しかしながら、非特許文献1の方法では、MS/MSが使用可能な高性能装置が必要であるだけでなく、衝突誘起解離が起こりやすい分子のみに限定される。また、非特許文献2では、同一の組成式の分子を分離することができない。また、一般的な添加剤では分離が困難な場合が存在する。

0005

一方、LC/MS等の移動相あるいは添加剤に重水重水素化メタノール等の安定同位体標識試薬を使用した報告はあるが(非特許文献3)、これは分析対象化合物構造解析を目的とするものである。また、高速原子衝撃法(FAB)やマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等の質量分析で、マトリクスを安定同位体標識している報告(特許文献1)もあるが、これはマトリクスと成分を分離するという観点から使用されているものである。斯様に、安定同位体標識試薬を用いて、成分同士の質量分離を行った例はこれまでに報告されていない。

0006

特開2010−160086号公報

先行技術

0007

Analytical Biochemistry, 302(2002)
Analytical Chemistry, Vol. 78, January 2006
Journal of Chromatographic Science, Vol. 41, September 2003

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、m/zが同一となる又は隣接するイオンを生成する試料分子の質量分離を可能とする質量分析方法を提供することに関する。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、類似の基本構造を有し総炭素数が異なるセラミド分子において、プロトン脱離イオンが、酢酸や酢酸アンモニウム等の付加によって生じる付加イオンのm/zと重複して質量分離できない場合であっても、安定同位体標識試薬を用いることにより、それらを質量分離して検出可能であることを見出した。

0010

すなわち、本発明は、移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1)と、当該分子が付加されずにイオン化される分子(M2)とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出する質量分析方法であって、移動相溶媒又は添加剤として少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物を用いる方法、に係るものである。

発明の効果

0011

本発明によれば、移動相溶媒又はイオン化促進剤の存在下で分子をイオン化した場合に、m/zが重複して区別して検出できない分子同士を質量分離することが可能となる。本発明の方法は、脂質等の類似の基本構造を有し且つ広い鎖長分布を持つ成分の質量分離に特に有用である。

図面の簡単な説明

0012

セラミド及びジアシルグリセロールマススペクトル。左側:移動相として酢酸−d4を使用、右側:移動相として酢酸を使用。

0013

本発明の質量分析方法は、移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子と、当該分子が付加されずにイオン化される分子とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出するものである。
LC/MS等の質量分析法において、分子のイオン化は、通常大気圧イオン化(API)法等のインターフェイスを用いて行われ、一般的には、ポジティブイオンモードでは[M+H]+、ネガティブイオンモードでは[M−H]−が検出される。この際、分子の種類や条件によっては、移動相溶媒又は添加剤に由来する分子が付加したイオンが生じる場合がある。
本発明において、移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1とする)とは、イオン化に際して、移動相溶媒又は添加剤に由来する分子が付加されて付加イオンを生じる測定対象分子を意味する。
ここで、移動相溶媒としては、LC/MSにおける、液体クロマトグラフィーの移動相として用いられる溶媒が挙げられ、例えば、メタノールエタノールアセトニトリル2−プロパノールアセトン、水、テトラヒドロフランクロロホルム等が例示される。
添加剤としては、質量分析においてイオン化効率を向上させるためのイオン化促進物質や、分離度を向上するための物質が挙げられであり、例えば、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸又はそれらの塩、好ましくは酢酸、酢酸アンモニウム、ギ酸、ギ酸アンモニウム等が例示される。

0014

斯かる移動相溶媒又は添加剤に由来する分子が付加してイオン化されたイオンとしては、例えば、ポジティブイオンモードにおける、[M1+NH4]+、[M1+K]+、[M1+Na]+、[M1+H+CH3OH]+、[M1+H+CH3CN]+、ネガティブイオンモードにおける、[M1+HCOO]−、[M1+CH3COO]−、[M1+Cl]−等が挙げられる。

0015

一方、移動相溶媒又は添加剤に由来する分子が付加されずにイオン化される分子(M2とする)とは、イオン化に際し、移動相溶媒又は添加剤が存在する場合であっても、これらに由来する分子が付加する割合が低く、主にプロトン脱離又はプロトン付加(これらからH2Oが脱離したものも包含する)されてイオン化される測定対象分子を意味する。斯かる分子により生じるイオンとしては、例えば、ポジティブイオンモードにおける、[M2+H]+、[M2+H−H2O]+、ネガティブイオンモードにおける、[M2−H]−が挙げられる。

0016

本発明において、上記の測定対象分子は、それぞれの分子から生じたイオンのm/z(質量数/電荷)が同一となる又は隣接するものであれば、その種類は特に限定されるものではない。

0017

移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化されて生じたイオンと、当該分子が付加されずにイオン化されて生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合としては、M2の分子中にM1のイオン化の際に付加された移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の構成原子が含まれ、結果としてM1から生じた付加イオンとM2から生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合が挙げられる。
例えば、M1が、[M1+HCOO]−や[M1+CH3COO]−を生じる場合、類似の基本構造を有し且つ広い鎖長分布を持つ成分、例えば、セラミド等のスフィンゴ脂質トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール等のアシルグリセロールホスファチジルコリン等のリン脂質脂肪酸界面活性剤等においては、M2から生じる[M2−H]等とm/zが同一となる又は隣接する場合が多く存在すると考えられる。
ここで、m/zが隣接するとは、成分中の天然同位体の影響を大きく受けるほどm/zが近いことを意味し、具体的には成分同士のm/zの差が2以内であることを意味する。

0018

具体的には、以下に示すN−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド(AP型セラミド)は、プロトンが脱離して[M2−H]−を生じる分子であり、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(NDS型セラミド)は、酢酸分子が付加して付加イオン[M1+CH3COO]−を生じる分子である。そして、スフィンゴシン炭素数と脂肪酸の炭素数を合計した総炭素数(TC)42、44、46,48及び50のAP型セラミドから生成する[M2−H]−と、総炭素数40、42、44、46及び48のNDS型セラミドから生成する[M1+CH3COO]−のm/zは、683、711、739,767,795でそれぞれ同一となる。

0019

0020

0021

以下に、[M2−H]−と、[M1+HCOO]−、[M1+CH3COO]−、[M1+Cl]−のm/zが同一となる又は隣接する分子、及び[M2+H]+又は[M2+H−H2O]+と、[M1+NH4]+、[M1+K]+、[M1+H+CH3OH]+、[M1+H+CH3CN]+のm/zが同一となる又は隣接する分子の例を示す。なお、表2に示すCはグリセリンの炭素数を含まない、グリセリドの脂肪酸骨格合計炭素数不飽和度である。

0022

0023

本発明の方法においては、移動相溶媒又は添加剤として、少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物が用いられる。
斯かる化合物としては、上述した移動相溶媒(メタノール、アセトニトリル、2−プロパノール、アセトン、水等)、緩衝液あるいは添加剤(酢酸、酢酸アンモニウム、ギ酸、ギ酸アンモニウム等)における水素原子窒素原子炭素原子を、重水素、14N、15N、13Cに置換した化合物が挙げられる。
具体的には、重水、メタノール−d4、エタノールd6、アセトニトリル−d3、酢酸メチル−d3、酢酸−d4、酢酸ナトリウム−d3、酢酸アンモニウム−d7、ギ酸−d2、ギ酸ナトリウム−d1、アンモニア−d3、アンモニア−15N、アンモニア−15N,d3、水酸化アンモニウム−d5、クロロホルム-37Cl、等が挙げられる。
また、これらを使用することによって、生成し得る付加イオンとしては、例えば、[M1+D]+、[M1+ND4]+、[M1+ND3H]+、[M1+15NH4]+、[M1+15ND3H]+、[M1+15ND4]+、[M1+D+CD3OD]+、[M1+D+CD3CN]+、[M1+41K]+、[M1+DCOO]−、[M1+CD3COO]−、[M1+37Cl]−等が挙げられる。

0024

斯かる標識化合物は、検出すべき測定対象分子や検出モードに合わせて、適宜選択して用いればよいが、基本的には、例えば[M1+CH3COO]−を生成しやすい分子には、対応する[M1+CD3COO]−を生成する安定同位体標識化合物(酢酸−d4、酢酸ナトリウム−d3)を用いるのが好ましい。
例えば、上述したN−(α−OH−アシル)−フィトスフィンゴシン・セラミド(AP型セラミド)と、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミド(NDS型セラミド)を分離して検出する場合、移動相溶媒として酢酸−d4を用い、N−アシル−ジヒドロスフィンゴシン・セラミドを[M1+CD3COO]−として検出することにより、総炭素数42、44、46,48及び50のAP型セラミドと、総炭素数40、42、44、46及び48のNDS型セラミドを質量分離することができる。

0025

0026

本発明の方法において適用される試料は、移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子と、当該分子が付加されずにイオン化される分子とをそれぞれ少なくとも1種以上含む試料であれば特に限定されない。例えば、脂質分子を測定する場合には、ヒトや動物等の生物生体死体から採取した皮膚、皮膚角質層、毛、臓器、血液、体液、及びそれらから再構成した細胞組織等を用い、適宜溶媒抽出して目的の分子を含む試料溶液を調製し、液体クロマトグラフィーに供すればよい。

0027

本発明の質量分析方法は、試料を、移動相溶媒又はイオン化促進剤の存在下、移動相溶媒又はイオン化促進剤に由来する分子が付加したイオンを生じるような、イオン化インターフェイス装備した質量分析装置に導入することにより行われる。
斯かるインターフェイスとしては、エレクトロスプレーESI)法、大気圧化学イオン化APCI)法、大気圧光イオン化(APPI)法等の大気圧イオン化(API)法や、サーモスプレー(TSP)法、パーティクルビーム(PB)法、フローFAB法等の真空中イオン化法が挙げられ、このうち大気圧イオン化(API)法が好ましく、エレクトロスプレー(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法がより好ましい。
また、質量分析装置としては、四重極型質量分析装置(Q−MS)、飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)、イオントラップ型質量分析装置(IT−MS)、フーリエ変換型質量分析装置(FT−MS)等のシングル型の質量分析装置、Q−TOF、IT−TOF等のハイブリッド型質量分析装置、又はトリプル四重極型等のタンデム質量分析装置(MS/MS等)等の公知の質量分析装置を用いることができる。
また、試料を、インターフェイスを装備した質量分析装置に導入する手段としては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(LC)、シリンジポンプ等を挙げることができるが、好ましくは、高速液体クロマトグラフィーである。すなわち、本発明の方法を実行するための好適な装置としては、液体クロマトグラフィー−質量分析装置(LC/MS)が挙げられる。

0028

本発明の例示的実施形態として、さらに以下の組成物、製造方法、用途あるいは方法を本明細書に開示する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。

0029

<1>移動相溶媒又は添加剤の存在下、当該移動相溶媒又は添加剤に由来する分子の付加によりイオン化される分子(M1)と、当該分子が付加されずにイオン化される分子(M2)とを含む試料において、前者により生じたイオンと後者により生じたイオンのm/zが同一となる又は隣接する場合に、当該分子同士を区別して検出する質量分析方法であって、移動相溶媒又は添加剤として少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物を用いる方法。
<2>前者により生じたイオンが[M1+HCOO]−又は[M1+CH3COO]−であり、後者により生じたイオンが[M2−H]−である上記<1>の質量分析方法。
<3>前者により生じたイオンが[M1+NH4]+であり、後者により生じたイオンが[M2+H]+又は[M2+H−H2O]+である上記<1>の質量分析方法。
<4>少なくとも1個の原子が安定同位体で標識された化合物が、重水、メタノール−d4、エタノールd6、アセトニトリル−d3、酢酸メチル−d3、酢酸−d4、酢酸ナトリウム−d3、酢酸アンモニウム−d7、ギ酸−d2、ギ酸ナトリウム−d1、アンモニア−d3、アンモニア−15N、アンモニア−15N,d3、水酸化アンモニウム−d5、クロロホルム−37Clから選択される上記<1>〜<3>の何れかの質量分析方法。
<5>試料が、高速液体クロマトグラフィーによって質量分析装置に導入される、上記<1>〜<4>の何れかの質量分析方法。

0030

<6>上記<2>において、試料は、セラミド等のスフィンゴ脂質、トリアシルグリセロール等のアシルグリセロール、ホスファチジルコリン等のリン脂質、脂肪酸、又は界面活性剤である。

0031

以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
(1)セラミド・ジアシルグリセロールの標準試料の調製
M2:AP型セラミド(N−(2’−(R)−Hydroxylignoceroyl)−Phytosphingosine)を5mg量しエタノール100mLに溶解した。その後、エタノールで10μg/mLに希釈し、試料溶液を調製した。
M1:ジアシルグリセロール(1,3−Dioctadecanoylglycerol)を5mg秤量、エタノール100mLで溶解し、試料溶液を調製した。

0032

(2)LC−MSによる分析
(1)で調整した試料溶液を、下記のLC−MS測定条件にてフローインジェクション分析により、セラミド及びジアシルグリセロールの検出を行った。

0033

(LC−MS測定条件)
液体クロマトグラフ:LC−30Aシステム島津製作所)
流速:0.2mL/min、注入量5μL、分析時間2min
移動相:0.05%(v/v)酢酸−d4含有エタノール、又は0.05%(v/v)酢酸含有エタノール
質量分析計:LCMS−2020(島津製作所)
イオン化法:APCI
極性負イオン
インターフェイス電圧:−4500V
イベント時間:0.40sec
測定開始m/z:600
測定終了m/z:750
マススペクトル積算時間:0−0.5min

実施例

0034

(3)結果
結果を図1に示す。
図1より、酢酸を使用した場合、ジアシルグリセロールの[M+CH3COO]−のm/zがセラミドの同位体の[M−H]−に重複するが、酢酸−d4を使用することにより、ジアシルグリセロールとセラミドとの重複を回避することが可能となる。

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