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技術 GaN基板

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 梶本哲治塚田悠介田代雅之
出願日 2016年5月25日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-104578
公開日 2017年1月26日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-019709
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 各境界領域 X線回折法 溶解ゾーン TiW合金 スキャン測定 出発素材 アルカリ金属濃度 公称直径
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径2インチ(約5cm)以上の非極性または半極性GaN基板を提供すること。

解決手段

(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径2インチ(約5cm)以上の円盤形GaN基板が、その中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を側面上に有する。第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われる。

概要

背景

GaNは、III−V族化合物半導体一種であり、六方晶系に属するウルツ鉱型結晶構造を備える。
GaN基板は、GaN結晶のみで構成された基板である。C面GaN基板は商業的に生産されており、主にInGaN系発光デバイスレーザダイオードおよび発光ダイオード)用の基板として使用されている。
一方、非極性または半極性GaN基板が、発光デバイスを含む窒化物半導体デバイスのための新たな基板として注目されている(非特許文献1)。
非極性GaN基板の中で特に注目されているのは、M面基板すなわち(10−10)基板である。半極性GaN基板の中で特に注目されているのは、(20−21)基板、(20−2−1)基板、(30−31)基板および(30−3−1)基板である。

GaN基板の名称に付される結晶面の名称またはミラー指数は、当該基板のおもて面と平行または最も平行に近い低指数面のそれである。おもて面とは、基板の2つの主表面のうち、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された面である。おもて面ではない方の主表面は、裏面と呼ばれる。
故に、M面基板または(10−10)基板と呼ばれるGaN基板は、おもて面と平行または最も平行に近い低指数面がM面すなわち{10−10}であるGaN基板のことである。通常は、ミラー指数{hkml}における整数h、k、mおよびlの絶対値がいずれも3以下である結晶面が、低指数面とされる。

非極性または半極性GaN基板は、HVPE法を用いてC面GaNテンプレート上にc軸方向に成長させたバルクGaN結晶を、所望する非極性または半極性面に平行にスライス方法で製造し得る。
ただし、この方法で作製される非極性または半極性GaN基板は、細長い形状となり、主表面上におけるc軸の正射影の方向のサイズはmmオーダーである。なぜなら、C面GaNテンプレート上にHVPE法で安定的に成長させ得る、低転位密度のバルクGaN結晶の厚さはmmオーダーだからである。この方法では、2インチ基板(直径2インチの円盤形基板)のような大面積基板を得ることは不可能である。

上記問題を解決するために、タイリング法が考案されている。タイリング法では、集合シード上にGaN結晶を成長させる。集合シードとは、同じ面方位を有する複数のGaN基板(タイルシード)を、平面上に密に並べることにより構成されるものであり、一例を図1に示す。
図1を参照すると、4枚のタイルシード10が平坦面上に並べられて、ひとつの集合シードS10を構成している。HVPE法を用いると、図2に示すように、GaN結晶20を集合シードS10の主表面上に、該主表面の法線方向に成長させることができる。すなわち、複数のタイルシード10を一括して覆うGaN結晶20を成長させることができる(特許文献1および2)。
集合シード上に成長したGaN結晶が、円盤形のGaN基板に加工される。あるいは、このGaN結晶から再びシード基板が作製され、そのシード基板上に気相法でエピタキシャル成長させたGaN結晶が、円盤形のGaN基板に加工される。

図3に示すように、円盤形のGaN基板では、外周にオリエンテーションフラット
OF)と呼ばれる平坦面が設けられる。
基板を平面視したとき、OFが設けられた部分では外周が直線となる。この外周が直線となった部分の長さを、OF長と呼ぶ。OF長について、直径が公称2インチ(約5cm)の基板であれば20mm未満、公称4インチ(約10cm)の基板であれば40mm未満、公称6インチ(約15cm)の基板であれば60mm未満であることが求められる。

概要

c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径2インチ(約5cm)以上の非極性または半極性GaN基板を提供すること。(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径2インチ(約5cm)以上の円盤形GaN基板が、その中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を側面上に有する。第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われる。

目的

本発明は、この問題を解決するために本発明者等が行った検討の過程で完成されたものであり、その主たる目的は、c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径が公称2インチ(約5cm)以上の非極性または半極性GaN基板を提供する

効果

実績

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請求項1

(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径45mm以上80mm以下の円盤GaN基板であって、単一の単結晶領域から構成されているか、または、該おもて面上におけるc軸正射影の方向に一列に並び、各々が該おもて面と該裏面の両方に露出する、複数の単結晶領域を含んでおり、さらに、当該基板の中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を当該基板の側面上に有し、該第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われることを特徴とするGaN基板。

請求項2

当該基板の外周に設けられた長さ20mm未満のオリエンテーションフラットの上に、前記第1の点を有する、請求項1に記載のGaN基板。

請求項3

(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径70mm以上の円盤形GaN基板であって、当該基板の中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を当該基板の側面上に有し、該第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われることを特徴とするGaN基板。

請求項4

直径が95mm以上105mm以下であり、前記おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列または二列に並ぶ複数の単結晶領域を含んでおり、該複数の単結晶領域の各々は前記おもて面および前記裏面の両方に露出している、請求項3に記載のGaN基板。

請求項5

直径が105mm以下であり、当該基板の外周に設けられた長さ40mm未満のオリエンテーション・フラットの上に、前記第1の点を有する、請求項3または4に記載のGaN基板。

請求項6

直径が145mm以上155mm以下であり、前記おもて面上におけるc軸の正射影の方向に二列または三列に並ぶ複数の単結晶領域を含んでおり、該複数の単結晶領域の各々は前記おもて面および前記裏面の両方に露出している、請求項3に記載のGaN基板。

請求項7

直径145mm以上155mm以下であり、当該基板の外周に設けられた長さ60mm未満のオリエンテーション・フラットの上に、前記第1の点を有する、請求項3または6に記載のGaN基板。

請求項8

前記回折ピークの半値幅が0.5°未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のGaN基板。

請求項9

前記おもて面と最も平行に近い低指数面が、{10−10}、{30−31}、{30−3−1}、{20−21}、{20−2−1}、{30−32}、{30−3−2}、{10−11}または{10−1−1}から選ばれるいずれかの結晶面である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のGaN基板。

請求項10

アルカリ金属およびハロゲンの濃度が1×1015cm-3未満かつ450nmにおける吸収係数が2cm-1以下のGaN結晶を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のGaN基板。

請求項11

赤外吸収スペクトルの3100〜3500cm−1にガリウム空孔水素複合体(gallium vacancy‐hydrogen complex)に帰属するピークが観察されないGaN結晶を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のGaN基板。

技術分野

0001

本発明は、GaN基板に関する。

背景技術

0002

GaNは、III−V族化合物半導体一種であり、六方晶系に属するウルツ鉱型結晶構造を備える。
GaN基板は、GaN結晶のみで構成された基板である。C面GaN基板は商業的に生産されており、主にInGaN系発光デバイスレーザダイオードおよび発光ダイオード)用の基板として使用されている。
一方、非極性または半極性GaN基板が、発光デバイスを含む窒化物半導体デバイスのための新たな基板として注目されている(非特許文献1)。
非極性GaN基板の中で特に注目されているのは、M面基板すなわち(10−10)基板である。半極性GaN基板の中で特に注目されているのは、(20−21)基板、(20−2−1)基板、(30−31)基板および(30−3−1)基板である。

0003

GaN基板の名称に付される結晶面の名称またはミラー指数は、当該基板のおもて面と平行または最も平行に近い低指数面のそれである。おもて面とは、基板の2つの主表面のうち、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された面である。おもて面ではない方の主表面は、裏面と呼ばれる。
故に、M面基板または(10−10)基板と呼ばれるGaN基板は、おもて面と平行または最も平行に近い低指数面がM面すなわち{10−10}であるGaN基板のことである。通常は、ミラー指数{hkml}における整数h、k、mおよびlの絶対値がいずれも3以下である結晶面が、低指数面とされる。

0004

非極性または半極性GaN基板は、HVPE法を用いてC面GaNテンプレート上にc軸方向に成長させたバルクGaN結晶を、所望する非極性または半極性面に平行にスライス方法で製造し得る。
ただし、この方法で作製される非極性または半極性GaN基板は、細長い形状となり、主表面上におけるc軸の正射影の方向のサイズはmmオーダーである。なぜなら、C面GaNテンプレート上にHVPE法で安定的に成長させ得る、低転位密度のバルクGaN結晶の厚さはmmオーダーだからである。この方法では、2インチ基板(直径2インチの円盤形基板)のような大面積基板を得ることは不可能である。

0005

上記問題を解決するために、タイリング法が考案されている。タイリング法では、集合シード上にGaN結晶を成長させる。集合シードとは、同じ面方位を有する複数のGaN基板(タイルシード)を、平面上に密に並べることにより構成されるものであり、一例を図1に示す。
図1を参照すると、4枚のタイルシード10が平坦面上に並べられて、ひとつの集合シードS10を構成している。HVPE法を用いると、図2に示すように、GaN結晶20を集合シードS10の主表面上に、該主表面の法線方向に成長させることができる。すなわち、複数のタイルシード10を一括して覆うGaN結晶20を成長させることができる(特許文献1および2)。
集合シード上に成長したGaN結晶が、円盤形のGaN基板に加工される。あるいは、このGaN結晶から再びシード基板が作製され、そのシード基板上に気相法でエピタキシャル成長させたGaN結晶が、円盤形のGaN基板に加工される。

0006

図3に示すように、円盤形のGaN基板では、外周にオリエンテーションフラット
OF)と呼ばれる平坦面が設けられる。
基板を平面視したとき、OFが設けられた部分では外周が直線となる。この外周が直線となった部分の長さを、OF長と呼ぶ。OF長について、直径が公称2インチ(約5cm)の基板であれば20mm未満、公称4インチ(約10cm)の基板であれば40mm未満、公称6インチ(約15cm)の基板であれば60mm未満であることが求められる。

0007

特開2006−315947号公報
特開2008−143772号公報

先行技術

0008

Po Shan Hsu, Matthew T. Hardy, Erin C. Young, Alexey E. Romanov, Steven P. DenBaars, Shuji Nakamura, and James S. Speck, Applied Physics Letters 100, 171917 (2012)

発明が解決しようとする課題

0009

詳細を後述するように、本発明者等は、a軸方向とc軸方向のサイズが52mmの角形M面GaN基板をシードに用いて、HVPE法でGaN結晶を成長させ、そのGaN結晶から直径50mmのM面GaN基板を作製する実験を行った。ところが、作製したM面GaN基板の、a軸方向の端部に、{11−20}に平行なOFを形成しようと試みたところ、精度よく形成することが難しかった。理由は、このM面GaN基板のa軸方向の端部を切り落として形成した仮OFにX線入射してθスキャンを行ったところ、得られるX線回折パターンに{11−20}の回折ピークが現われず、仮OFの面方位を正確に特定できなかったからである。
本発明は、この問題を解決するために本発明者等が行った検討の過程で完成されたものであり、その主たる目的は、c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径が公称2インチ(約5cm)以上の非極性または半極性GaN基板を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明の実施形態には、以下に記載するGaN基板が含まれる。
(1)(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径45mm以上80mm以下の円盤形GaN基板であって、単一の単結晶領域から構成されているか、または、該おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列に並び、各々が該おもて面と該裏面の両方に露出する、複数の単結晶領域を含んでおり、さらに、当該基板の中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を当該基板の側面上に有し、該第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm
)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われることを特徴とするGaN基板。
(2)当該基板の外周に設けられた長さ20mm未満のオリエンテーション・フラットの上に、前記第1の点を有する、(1)に記載のGaN基板。
(3)(0001)面に対し、傾斜角度が45°以上135°以下で、傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向であるおもて面と、該おもて面とは反対側の主表面である裏面とを有する、直径70mm以上の円盤形GaN基板であって、当該基板の中心から見てc軸と直交する方向に位置する第1の点を当該基板の側面上に有し、該第1の点にX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角
を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行うことにより得られるX線回折パターンに、単一の回折ピークが現われることを特徴とするGaN基板。
(4)直径が95mm以上105mm以下であり、前記おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列または二列に並ぶ複数の単結晶領域を含んでおり、該複数の単結晶領域の各々は前記おもて面および前記裏面の両方に露出している、(3)に記載のGaN基板。
(5)直径が105mm以下であり、当該基板の外周に設けられた長さ40mm未満のオリエンテーション・フラットの上に、前記第1の点を有する、(3)または(4)に記載のGaN基板。
(6)直径が145mm以上155mm以下であり、前記おもて面上におけるc軸の正射影の方向に二列または三列に並ぶ複数の単結晶領域を含んでおり、該複数の単結晶領域の各々は前記おもて面および前記裏面の両方に露出している、(3)に記載のGaN基板。(7)直径が145mm以上155mm以下であり、当該基板の外周に設けられた長さ60mm未満のオリエンテーション・フラットの上に、前記第1の点を有する、(3)または(6)に記載のGaN基板。
(8)前記回折ピークの半値幅が0.5°未満である、(1)〜(7)のいずれかに記載のGaN基板。
(9)前記おもて面と最も平行に近い低指数面が、{10−10}、{30−31}、{30−3−1}、{20−21}、{20−2−1}、{30−32}、{30−3−2}、{10−11}または{10−1−1}から選ばれるいずれかの結晶面である、(1)〜(8)のいずれかに記載のGaN基板。
(10)アルカリ金属およびハロゲンの濃度が1×1015cm-3未満、かつ450nmにおける吸収係数が2cm-1以下のGaN結晶を含む、(1)〜(9)のいずれかに記載のGaN基板。
(11)赤外吸収スペクトルの3100〜3500cm−1にガリウム空孔水素複合体(gallium vacancy‐hydrogen complex)に帰属するピークが観察されないGaN結晶を
含む、(1)〜(10)のいずれかに記載のGaN基板。

発明の効果

0011

本発明によれば、c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径が公称2インチ(約5cm)以上の非極性または半極性GaN基板が提供される。このようなGaN基板を用いることは、窒化物半導体デバイスを歩留りよく製造するうえで、有利である。

図面の簡単な説明

0012

図1は、集合シードの構成例を示す斜視図である。
図2は、集合シード上にバルクGaN結晶が成長したところを示す斜視図である。
図3は、オリエンテーション・フラットが形成された円盤形GaN基板を示す斜視図である。
図4(a)および図4(b)は、それぞれ、「第1の点」を説明するための、円盤形GaN基板の斜視図である。
図5は、第1の点のひとつをオリエンテーション・フラットの表面に有する円盤形GaN基板の斜視図である。
図6は、バルクGaN結晶からGaN基板をスライスする工程を示す断面図であり、図6(a)は、集合シードと、その上に成長したバルクGaN結晶を示しており、図6(b)は、該バルクGaN結晶がスライスされた状態を示している。
図7は、バルクGaN結晶からGaN基板をスライスする工程を示す断面図であり、図7(a)は、シード基板と、その上に成長したバルクGaN結晶を示しており、図7(b)は、該バルクGaN結晶がスライスされた状態を示している。
図8は、集合シードの構成例を示す斜視図である。
図9は、オリエンテーション・フラットを2ステップで形成する方法を説明する平面図である。
図10は、タイルシードの一例を示す斜視図である。
図11は、X線回折パターンを示す。
図12は、X線回折測定の方法を説明する図面である。
図13は、X線回折パターンを示す。
図14は、c軸に直交する方向のサイズに余裕を持たせたバルクGaN結晶の平面図である。
図15は、4個の単結晶領域がおもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って一列に並んだ構造を備える、GaN(20−21)基板の斜視図である。
図16は、8個の単結晶領域がおもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って二列に並んだ構造を備える、GaN(20−21)基板の斜視図である。
図17は、集合シードの一例を示す平面図である。
図18は、集合シードの一例を示す平面図である。
図19(a)および図19(b)は、それぞれ、X線回折パターンを示す。
図20は、X線回折パターンを示す。
図21(a)および図21(b)は、それぞれ、X線回折パターンを示す。

実施例

0013

GaN結晶では、[0001]および[000−1]に平行な結晶軸がc軸、<10−10>に平行な結晶軸がm軸、<11−20>に平行な結晶軸がa軸と呼ばれる。また、c軸に直交する結晶面がC面、m軸に直交する結晶面がM面、a軸に直交する結晶面がA面と呼ばれる。
以下において、結晶軸、結晶面、結晶方位等に言及する場合には、特に断らない限り、GaN結晶の結晶軸、結晶面、結晶方位等を意味するものとする。

0014

以下では、実施形態に即して本発明を詳しく説明する。
1.GaN基板
本発明のGaN基板は、GaN結晶のみから構成される。GaN結晶の導電率および導電型に限定はない。
GaN結晶は、アンドープでも弱いn型導電性を示すが、十分なn型キャリア濃度が必要な場合には、酸素(O)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)等を不純物として添加すればよい。GaN結晶にp型導電性を付与するために添加される不純物としては、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)等が知られている。GaN結晶を絶縁体とするために添加される不純物として、鉄(Fe)等が知られている。

0015

本発明のGaN基板を構成するGaN結晶は、HVPE法に代表される気相法で成長させる。
HVPE法では、フラックス法アモノサーマル法に比べ、所望しない不純物の濃度を低く抑えたGaN結晶を成長させることが容易である。
例えば、フラックス法では、アルカリ金属濃度が低減されたGaN結晶を得ることが課題となっている(特開2009−18961号公報)。アルカリ金属を鉱化剤に用いたアモノサーマル法においても同じである(特開2011−523931号公報)。それに対し、HVPE法で成長させたGaN結晶は、通常、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)を合わせたアルカリ金属濃度が1×1015cm-3未満となる。
更に、HVPE法で成長させたGaN結晶は、塩素フッ素等のハロゲンの濃度も、通常、1×1015cm-3未満である。
アルカリ金属およびハロゲンの濃度は、ダイナミックSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)で測定することができる。GaN基板を構成する結晶中のアルカリ金属お
よびハロゲンの濃度が低いことは、その上に形成される窒化物半導体デバイスの信頼性向上にとって有利である。

0016

HVPE法で成長させたGaN結晶には、近紫外可視波長域における透明度が高いという特徴もあり、そのために、発光デバイス用のGaN基板の素材に適している。例えば、白色LEDで使用される励起用青色LEDの発光波長である450nmにおいて、アモノサーマル法で成長させたGaN結晶の吸収係数は4〜20cm-1であるのに対し、HVPE法で成長させたGaN結晶の吸収係数は2cm-1以下である(T. Hashimoto, et al., Sensors and Materials, Vol. 25, No. 3 (2013) 155-164)。
その他、HVPE法で成長させたGaN結晶は、その赤外吸収スペクトルの3100〜3500cm−1に、ガリウム空孔−水素複合体(gallium vacancy‐hydrogen complex
)に帰属するピークが観察されない点においても、アモノサーマル法で成長させたGaN結晶と異なっている(国際公開WO2004/061923号)。

0017

本発明のGaN基板は円盤形であり、その直径は通常45mm以上かつ305mm以下である。典型的な直径は、2インチ(45〜55mm)、3インチ(70〜80mm)、4インチ(95〜105mm)、6インチ(145〜155mm)である。公称直径が2インチの基板についていえば、大抵の需要者好む直径は48mm以上、より好ましくは49mm以上である。
本発明のGaN基板は、おもて面を有する。おもて面とは、基板の2つの主表面のうち、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された面である。おもて面とは反対側の主表面は、裏面と呼ばれる。両方の主表面を、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用できるように仕上げることも可能であり、その場合はいずれか一方の主表面がおもて面で、他方が裏面であるとみなせばよい。

0018

本発明のGaN基板は、(0001)面に対する傾斜角度が45°以上135°以下であり、その傾斜方向が<10−10>方向を中心とする±5°の範囲内の方向である、おもて面を有する。該傾斜方向は、好ましくは<10−10>方向を中心とする±2.5°の範囲内の方向であり、より好ましくは<10−10>方向を中心とする±1°の範囲内の方向であり、最も好ましくは<10−10>方向中心とする±0.5°の範囲内の方向である。
本発明のGaN基板のおもて面と最も平行に近い低指数面は、{10−11}、{30−32}、{20−21}、{30−31}、{10−10}、{30−3−1}、{20−2−1}、{30−3−2}または{10−1−1}から選ばれるいずれかであり得る。これらの結晶面は、いずれも(0001)面に対する傾斜方向が<10−10>方向である。(0001)面に対する傾斜角度は、例えば、{10−11}が62°、{10−10}が90°、{10−1−1}が118°である。

0019

本発明においては、「第1の点」を次のように定義する。すなわち、円盤形のGaN基板において、基板の中心から見てc軸と直交する方向に位置する、基板の側面上の点を、「第1の点」と定義する。

0020

図4を参照して説明すると、おもて面の中心Cfと裏面の中心Cbを結ぶ線分中点が、基板の中心Cである。
図4(a)に示すように、基板の側面上の点Aが「第1の点」である場合、すなわち、基板の中心Cから見てc軸と直交する方向に位置する場合には、点Aと基板の中心Cを結ぶ直線ACが、基板の中心Cを通り[0001]に平行な直線と、基板の中心Cにおいて直角に交わる。
更に、図4(b)に示すように、基板の側面上の点Aが「第1の点」である場合、同じ基板の側面上の、基板の中心Cを挟んで点Aの反対側に位置する点A´、すなわち直線ACの延長線が基板の側面と交わる点も、「第1の点」に該当する。
例えば、(0001)面に対するおもて面の傾斜方向が<10−10>方向である場合には、「第1の点」とは、a軸に平行で基板の中心を通る直線と、基板の側面との交点である。

0021

本発明のGaN基板の特徴は、上記のように定義される第1の点に、X線(CuKα1
:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍(2θyagg)に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθス
キャンを行うことにより得られるX線回折パターンが、単一の回折ピークを示す点にある。
θスキャンにより得られるX線回折パターンとは、横軸入射角縦軸回折強度とする座標平面に、θスキャンの結果をプロットして得られるパターンである。該パターンが単一の回折ピークを示すということは、すなわち、上記のθスキャンによって{11−20}面の方位が特定できる程度に、第1の点を含む基板端部における結晶品質が良好であることを意味している。
この回折ピークの半値幅(半値全幅)も、第1の点を含む基板端部における結晶品質の指標となる。結晶品質が良好である程、半値幅は狭くなるので、この回折ピークの半値幅は、好ましくは0.5°以下、より好ましくは0.4°以下、より好ましくは0.3°以下、より好ましくは0.2°以下である。

0022

本発明のGaN基板は、図5に示す例のように、第1の点のひとつを、基板の側面に設けられたオリエンテーション・フラット(OF)の表面に有していてもよい。
基板をおもて面側から見たとき、OFが設けられた部分では外周が直線となる。この直線の方向を、OFの方向と呼ぶとき、第1の点をOFの表面に有するGaN基板では、OFの方向と、おもて面上におけるc軸の正射影との、平行度が高いことが好ましい。OFの方向と、おもて面上におけるc軸の正射影とがなす角度の絶対値は、好ましくは1°以下、より好ましくは0.5°以下、より好ましくは0.2°以下である。

0023

GaN基板の直径が公称2インチ(45〜55mm)の場合、OF長は20mm未満であることが求められる。
GaN基板の直径が公称4インチ(95〜105mm)の場合、OF長は40mm未満であることが求められる。
GaN基板の直径が公称6インチ(145〜155mm)の場合、OF長は60mm未満であることが求められる。

0024

本発明のGaN基板は、タイリング法を用いて成長させたバルクGaN結晶から切り出されたものであり得る。かかる手順で製造されたGaN基板は、通常、各々がおもて面および裏面に露出する複数の単結晶領域を有するという、特徴的な構造を備える。
図6を参照して説明すると、タイリング法を用いた場合、図6(a)に示すように、集合シードS10の主表面上に成長するバルクGaN結晶20は、各タイルシード10の上方に形成される単結晶領域と、単結晶領域間の境界に存在する境界領域とを備えるものとなる。図6(a)では、境界領域を点線で表示している。

0025

このバルクGaN結晶20を、図6(b)に示すように、各境界領域分断されるようにスライスすると、得られるGaN基板21においては、単結晶領域と境界領域のそれぞれがおもて面と裏面に露出する。
境界領域は単結晶領域に比べて結晶欠陥密度が高いことから、GaN基板21のおもて面における境界領域の位置は、PLマッピングにより見つけられる場合がある。転位
度が高い領域では、PL(フォトルミネッセンス)強度が相対的に低下するからである。
また、大抵の場合、隣接する単結晶領域の間では結晶方位が僅かに異なっており、境界領域において結晶方位が不連続となるため、X線トポグラフ分析により境界領域を検知することが可能である。

0026

各々がおもて面および裏面に露出する複数の単結晶領域を有する構造を備えるのは、タイリング法を用いて成長させたバルクGaN結晶から切り出されるGaN基板だけではない。図7(a)に示すように、この構造を備えるシード基板S21の主表面上にバルクGaN結晶30を成長させると、そのバルクGaN結晶30もシード基板S21の構造を引き継いで、単結晶領域と、単結晶領域間の境界に存在する境界領域とを備えるものとなる。図7(a)では、境界領域を点線で表示している。
このバルクGaN結晶30を、図7(b)に示すように、各境界領域が分断されるようにスライスすると、得られるGaN基板31においては、単結晶領域と境界領域のそれぞれがおもて面と裏面に露出する。

0027

本発明のGaN基板は、その直径が45〜80mm(公称2〜3インチ)の場合、好ましくは1〜4個、より好ましくは1または2個の単結晶領域から構成される。このサイズのGaN基板が複数の単結晶領域から構成される場合、その複数の単結晶領域は、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って一列に並ぶ。
複数の単結晶領域がc軸の正射影の方向に沿って並ぶとは、その並んだ複数の単結晶領域から隣接する2つを任意に選んだとき、その2つの単結晶領域間の境界と、おもて面上におけるc軸の正射影とが、おもて面内において形成する角度が90°±10°の範囲内であることをいう。
図15に、4個の単結晶領域がおもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って一列に並んだ構造を備える、GaN(20−21)基板の斜視図を示す。

0028

本発明のGaN基板は、その直径が95〜105mm(公称4インチ)の場合、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って一列または二列に並んだ複数の単結晶領域を含み得る。二列の場合、いずれの列においても、当該列に含まれる複数の単結晶領域から隣接する2つを任意に選んだとき、その2つの単結晶領域間の境界と、おもて面上におけるc軸の正射影とが、おもて面内において形成する角度は90°±10°の範囲内である。
直径95〜105mmのGaN基板に含まれる複数の単結晶領域が、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って一列に並ぶ場合、該複数の単結晶領域の数は、好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個である。
直径95〜105mmのGaN基板に含まれる複数の単結晶領域が、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って二列に並ぶ場合、各列に含まれる単結晶領域の数は、好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個である。一方の列に含まれる単結晶領域の数と、他方の列に含まれる単結晶領域の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図16に、8個の単結晶領域がおもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って二列に並んだ構造を備える、GaN(20−21)基板の斜視図を示す。この例では、各列に含まれる単結晶領域の数が4個である。

0029

本発明のGaN基板は、その直径が145〜155mm(公称6インチ)の場合、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に沿って二列または三列に並んだ複数の単結晶領域を含み得る。いずれの列においても、当該列に含まれる複数の単結晶領域から隣接する2つを任意に選んだとき、その2つの単結晶領域間の境界と、おもて面上におけるc軸の正射影とが、おもて面内において形成する角度は90°±10°の範囲内である。各列に含まれる単結晶領域の数は、好ましくは3〜12個、より好ましくは3〜6個である。ある列に含まれる単結晶領域の数と、他の列に含まれる単結晶領域の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。

0030

2.GaN基板の用途
本発明のGaN基板は、窒化物半導体デバイスの製造に使用される。
窒化物半導体は、窒化物系III−V族化合物半導体、III族窒化物系化合物半導体、Ga
系半導体、などとも呼ばれ、GaN(窒化ガリウム)を含む他に、GaNのGaの一部または全部が、他の周期表13族元素(B、Al、In等)に置換された化合物を含む。例えば、AlN、InN、AlGaN、AlInN、GaInN、AlGaInN等である。

0031

窒化物半導体デバイスは、本発明のGaN基板上に一種以上の窒化物半導体を気相エピタキシャル成長させて、デバイス構造を形成することによって、製造することができる。エピタキシャル成長法として、薄膜の形成に適したMOCVD法MBE法パルス蒸着法などを好ましく用いることができる。
窒化物半導体デバイスの具体例としては、発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光デバイス、整流器バイポーラトランジスタ電界効果トランジスタHEMT(High
Electron Mobility Transistor)などの電子デバイス温度センサ圧力センサ放射
線センサ可視紫外光検出器などの半導体センサSAW(Surface Acoustic Wave)
デバイス振動子共振子発振器、MEMS(Micro Electro Mechanical System)部
品、電圧アクチュエータ太陽電池などがある。

0032

3.GaN基板の製造方法
本発明のGaN基板は、シードの主表面上にバルクGaN結晶を成長させ、そのバルクGaN結晶を加工することにより製造することができる。
GaN結晶からなるタイルシードを複数集めて構成した集合シード、または、GaN基板が、シードとして用いられる。集合シードは、タイルシードを2つの異なる方向に並べて構成したものであってもよい。例えば、図8に示す集合シードS10は、方向Aと方向Bという2つの方向に並べられたタイルシード10で構成されている。

0033

シードの主表面の面方位と、製造しようとするGaN基板の主表面(おもて面または裏面)の面方位とのズレは、好ましくは10°以下、より好ましくは7.5°以下、より好ましくは5°以下、より好ましくは2.5°以下である。最も好ましくは、このズレを実質的にゼロとする。
シード上にバルクGaN結晶を成長させる際には、HVPE法、MOVPE法のような気相成長法を用いる。好ましくはHVPE法を用いる。

0034

シードのサイズは、製造しようとするGaN基板のサイズを考慮して決定する。シードのサイズとは、平面視したときのサイズであり、その主表面のサイズといってもよい。
特に重要なのは、シードの、c軸に直交する方向のサイズである。例えば、シードの主表面が、(0001)面に対してちょうど<10−10>方向に傾斜している場合、シードのc軸に直交する方向のサイズとは、a軸方向のサイズを意味する。
以下の説明では、便宜のために、「c軸に直交する方向」のことを「⊥c方向」と略称する。

0035

シードのサイズのうち、⊥c方向のサイズが重要であるとする理由は、シード上に成長するバルクGaN結晶が、予想外に結晶品質の低い部分を⊥c方向の端部に含むことを、本発明者等が見出したからである。本明細書において、バルクGaN結晶における⊥c方向とは、当該バルクGaN結晶の成長方向(厚さ方向)に垂直かつc軸に直交する方向のことをいう。シード上にバルクGaN結晶が成長するとき、その成長方向は、シードの主表面に垂直な方向である。
本発明のGaN基板を製造するには、⊥c方向のサイズに余裕を持たせたシード上にバ
ルクGaN結晶を成長させ、そのバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の端部を除いた部分を用いて、GaN基板を作製する。
具体的には、シードの⊥c方向のサイズは、製造すべきGaN基板の直径に好ましくは8mm以上、より好ましくは10mm以上、より好ましくは12mm以上を加えたサイズとする。そして、シード上に成長したバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の各端部から好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上離れた部分を、GaN基板の作製に用いる。

0036

バルクGaN結晶を加工してGaN基板を作製するために必要な技法については、公知技術を適宜参照することができる。コアリングスライシンググラインディングラッピング、CMP、エッチングベベリング等、要求される基板の仕様に応じて、必要な加工を任意に行うことができる。
オリエンテーション・フラット(OF)となる部分を形成するための加工は、インゴットに対して行ってもよいし、あるいは、ウエハに対して行ってもよい。

0037

OFの形成は、次の2ステップで行うことが好ましい。すなわち、図9に示すように、第1ステップでは、グラインディングまたはソーイングによって、インゴットまたはウエハの一部に仮OFとして平坦面を形成する。次いで、この仮OFの方位をX線回折法で特定する。第2ステップでは、その仮OFの方位に基づいて補正された方位を有する最終OFを、グラインディングまたはソーイングによってインゴットまたはウエハの一部に形成する。

0038

従来技術においては、⊥c方向のサイズに余裕の無いシードを用いていたため、その上に成長させたバルクGaN結晶が⊥c方向の端部に有する、結晶品質の著しく低い部分も、インゴットまたはウエハに含めざるをえなかった。その結晶品質の著しく低い部分が、インゴットまたはウエハの端部に含まれるせいで、仮OFを形成したときに、その方位をX線回折法で特定することができず、結果として、方位精度の高いOFを形成することができなかった。
それに対し、本発明のGaN基板の製造過程では、シード上に成長したバルクGaN結晶が⊥c方向の端部に有する結晶品質の低い部分が、インゴットまたはウエハに含まれないようにするので、前述の2ステップの加工によって、方位精度の高いOFを形成することが可能となる。

0039

直径50mmの円盤形GaN基板を製造する場合を例に、製造方法のいくつかの好適態様を以下に示す。
(態様1)
アモノサーマル法で成長させたGaN結晶からなる単結晶基板を、シードとして準備する。このシードは単一の単結晶領域からなり、2辺が⊥c方向に平行で他の2辺が⊥c方向に垂直な、矩形の主表面を有するものとする。該主表面の⊥c方向のサイズは58mm以上とし、⊥c方向に直交する方向のサイズは52mm以上とする。
かかるシードの主表面上に、HVPE法でバルクGaN結晶を成長させ、得られたバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の末端から好ましくは4mm以上離れた部分を加工して、GaN基板を作製する。
得られるGaN基板は、単一の単結晶領域から構成されたものとなる。

0040

(態様2)
シード基板として、それぞれがアモノサーマル法で成長させたGaN結晶からなる、3枚の単結晶基板を準備する。いずれも、単一の単結晶領域からなり、2辺が⊥c方向に平行で他の2辺が⊥c方向に垂直な、矩形の主表面を有するものとする。3枚のうち1枚は、主表面の⊥c方向のサイズを52mm、⊥c方向に直交する方向のサイズを52mm以
上とする。他の2枚は、主表面の⊥c方向のサイズを5〜10mm、⊥c方向に直交する方向のサイズを52mm以上とする。主表面の面方位は3枚とも同じである。
この3枚のシード基板(GaN単結晶基板)を、図17に示すように、⊥c方向に並べて、集合シードを構成する。その集合シード上に、HVPE法でバルクGaN結晶を成長させ、得られたバルクGaN結晶のうち、中央の大型単結晶基板上に成長した部分を加工して、GaN基板を作製する。
得られるGaN基板は、単一の単結晶領域から構成されたものとなる。

0041

(態様3)
それぞれがアモノサーマル法で成長させたGaN結晶からなる、4枚の単結晶基板を準備する。いずれも、単一の単結晶領域からなり、2辺が⊥c方向に平行で他の2辺が⊥c方向に垂直な、矩形の主表面を有するものとする。いずれも、主表面の⊥c方向のサイズは58mm以上であり、⊥c方向に直交する方向のサイズは15mmである。主表面の面方位は4枚とも同じである。
この4枚の単結晶基板(タイルシード)を、その主表面上におけるc軸の正射影の方向に並べて集合シードを構成し、その集合シード上に、HVPE法でバルクGaN結晶を成長させる。得られたバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の末端から好ましくは4mm以上離れた部分を加工して、GaN基板を作製する。
得られるGaN基板は、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列に並んだ4個の単結晶領域を含むものとなる。

0042

(態様4)
態様3で集合シード上に成長させたバルクGaN結晶をスライスして、2辺が⊥c方向に略平行で他の2辺が⊥c方向に略垂直な、略矩形の主表面を有するシード基板を作製する。このシード基板は、主表面の⊥c方向のサイズを58mm以上、⊥c方向に直交する方向のサイズを約60mmとする。集合シード上に成長したGaN結晶から作製されるので、このシード基板は、主表面上におけるc軸の正射影の方向に並んだ4個の単結晶領域を含む。
このシード基板の主表面上に、HVPE法でバルクGaN結晶を成長させ、得られたバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の末端から好ましくは4mm以上離れた部分を加工して、GaN基板を作製する。
得られるGaN基板は、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列に並んだ4個の単結晶領域を含むものとなる。

0043

(態様5)
態様3で集合シード上に成長させたバルクGaN結晶を加工して、3枚のシード基板を準備する。いずれも、2辺が⊥c方向に平行で他の2辺が⊥c方向に垂直な、矩形の主表面を有するものとする。3枚のうち1枚は、主表面の⊥c方向のサイズを52mm、⊥c方向に直交する方向のサイズを約60mmとする。他の2枚は、主表面の⊥c方向のサイズを5〜10mm、⊥c方向に直交する方向のサイズを約60mmとする。主表面の面方位は3枚とも同じである。また、3枚とも同じ集合シード上に成長したGaN結晶から作製されるので、主表面上におけるc軸の正射影の方向に並んだ4個の単結晶領域を含む。
この3枚のシード基板を図18に示すように並べて、集合シードを構成する。その集合シード上に、HVPE法でバルクGaN結晶を成長させ、得られたバルクGaN結晶のうち、中央の大型シード基板上に成長した部分を加工して、GaN基板を作製する。
得られるGaN基板は、おもて面上におけるc軸の正射影の方向に一列に並んだ4個の単結晶領域を含むものとなる。

0044

4.実験結果
以下では、本発明者等が行った実験の結果について説明する。
4.1.M面GaN基板の作製(その1)
以下に述べる手順で、M面GaN基板を作製した。作製したM面GaN基板は、直径50mmの円盤形基板である。
[1]タイルシードの作製
面サファイア基板の表面にMOVPE法でGaN膜をエピタキシャル成長させてなるGaNテンプレートを準備した。その上に、HVPE法によって、c軸配向したバルクGaN結晶を成長させた。このバルクGaN結晶をスライスして、C面GaN基板を作製した。次の工程でエピタキシャル成長の下地面として用いるために、このC面GaN基板の窒素極性面をラッピングおよびCMPにより平坦化した。

0045

作製したC面GaN基板の窒素極性面上に、幅100μmのライン形開口部を有するストライプパターン成長マスクを、TiW合金で形成した。開口部の長手方向、すなわちストライプ方向は、GaNのa軸に平行とした。このマスクパターンを形成したC面GaN基板の窒素極性面上に、アモノサーマル法によりGaN結晶を成長させた。
原料には多結晶GaNを用い、鉱化剤にはフッ化アンモニウム(NH4F)およびヨウ
化水素(HI)を用いた。NH4FおよびHIの仕込み量は、NH3に対するフッ素原子モル比が0.5〜1.5%、NH3に対するヨウ素原子のモル比が1.5〜3.5%とな
るように、かつ、ヨウ素原子に対するフッ素原子のモル比が0.2〜0.5となるように決定した。

0046

成長条件は、成長容器内平均温度結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度の平均値)を590〜630℃、結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度差を5〜20℃、成長容器内の圧力を200〜220MPaとした。
前記成長マスクを窒素極性面上に設けたC面GaN基板を成長容器内に設置し、上記条件下でトータル100日間の結晶成長を行うことにより(途中、原料が消費されたら成長容器交換して、再成長を行った)、m軸方向を厚さ方向とする板状で、c軸方向に最大で20mmの寸法を有するGaN結晶を得ることができた。

0047

この板状GaN結晶の外形を整え、両方の主表面の平坦化およびCMP仕上げを行うことによって、長方形の主表面を有するM面GaN基板を作製した。
次いで、このM面GaN基板をシードに用いて、再びアモノサーマル法でGaN結晶を成長させた。この2回目のアモノサーマル成長では、NH4FおよびHIの仕込み量を、
NH3に対するフッ素原子とヨウ素原子のモル比が、それぞれ0.5%および1.5%と
なるようにし、成長容器内の平均温度を600〜611℃、結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度差を9〜13℃、成長容器内の圧力を200〜220MPaとした。

0048

上記2回目のアモノサーマル成長で得たバルクGaN結晶をスライスして、板状のGaN結晶片を得たうえ、そのGaN結晶片の外周部をダイシング・ソーを用いて切断することにより、図10に示すような、長方形の主表面を有するタイルシードを作製した。
タイルシードの主表面の面方位はM面とし、主表面の長辺はa軸に平行、短辺はc軸に平行とした。
タイルシードのサイズは、a軸方向52mm、c軸方向5〜15mm、m軸方向約330μmとした。
タイルシードのおもて面は、ラッピングとCMPにより平坦化した。

0049

[2]シード基板の作製
前記[1]で作製したタイルシードを、HVPE装置サセプター上にc軸方向に一列に並べて、集合シードを構成した。並べる際、隣接するタイルシード間では、一方の[0001]側の側面と他方の[000−1]側の側面とが接するようにした。
次いで、この集合シード上に、窒素ガスキャリアガスに用いて塩化ガリウムアンモ
ニアを供給し、成長温度1050℃で、GaN結晶をm軸方向に5mm成長させた。

0050

次いで、集合シード上に成長したバルクGaN結晶を加工して、2辺がa軸に平行で他の2辺がc軸に平行な正方形の主表面を有する、角型M面GaN基板を作製した。この基板のa軸方向およびc軸方向のサイズはそれぞれ52mmとし、厚さは300μmとした。
次の工程では、この角型M面GaN基板をシード基板に用いて、更にバルクGaN結晶を成長させた。

0051

[3]円盤形GaN基板の作製
前記[2]で作製した角型M面GaN基板をシード基板に用いて、再びHVPE法でバルクGaN結晶を成長させた。成長条件は、先に集合シード上にGaN結晶を成長させたときと同じとした。
得られたバルクGaN結晶を加工して、直径50mm、厚さ約300μmの円盤形M面GaN基板を作製した。

0052

詳しくいうと、バルクGaN結晶の外周を加工して円筒形インゴットを得た後、そのインゴットをM面に平行にスライスして、直径50mmの円盤形ウエハを得た。
次いで、そのウエハのa軸方向(=⊥c方向)の端部から一部分を回転ブレードで切り落として、オリエンテーョン・フラット(OF)を形成した。OF形成工程の詳細については後述する。
次いで、ウエハ表面のダメージ層をエッチングにより除去し、更に、主表面の一方にグラインディング、ラッピングおよびCMPを順次施して、M面GaN基板を完成させた。

0053

4.2.オリエンテーション・フラット形成工程
前記4.1.[3]で、ウエハにオリエンテーション・フラット(OF)を形成する際には、図9に示すように、まず第1ステップでウエハの外周部の一部を浅く切り落として仮OFを形成し、次いで、その仮OFの方位をX線回折により調べ、続く第2ステップで、仮OFの方位を基準として方位を修正した最終OFを形成する予定であった。
ところが、実際には、仮OFの方位をX線回折により特定することができなかったため、方位精度の高い最終OFを形成することができなかった。

0054

詳しくいうと、第1ステップで仮OFを形成した後、その仮OFの表面に、入射方向がウエハ主表面と平行となるようにX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射し、
回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行った。そして、θスキャンの結果を、横軸を入射角、縦軸を回折強度とする座標平面にプロットした。しかし、得られたX線回折パターンに全くピークが現われなかったため、仮OFの方位を特定することができなかった。

0055

4.3.検証実験
前記4.2.で述べたように、仮OFの表面では{11−20}面のX線回折ピークが得られなかった。その原因について、本発明者等は、前記4.1.[3]で成長させたバルクGaN結晶が、⊥c方向の端部に結晶品質の低い部分を含んでおり、仮OFを形成したのがその結晶品質の低い部分だったからであるという仮説を立てた。
本発明者等は、この仮説を検証するために、更に、以下に述べる実験を行った。

0056

[1]試験片の作製
前記4.1.[1]〜[2]と同様の手順で、主表面のサイズが52mm×52mmの角型M面GaN基板を作製した。次いで、この角型M面GaN基板上に、窒素ガスをキャリアガスに用いて塩化ガリウムとアンモニアを供給し、成長温度1050℃でGaN結晶
を成長させることにより、前記4.1.[3]で円盤形GaN基板の素材に用いたものと同品質のバルクGaN結晶を得た。
本実験では、このバルクGaN結晶をM面に平行にスライスして、厚さ約300μmの板状試験片を作製した。試験片のa軸方向(=⊥c方向)のサイズは55mmであった。試験片のa軸方向の端にある側面(試験片の中心から見て⊥c方向に位置する側面)はアズグロン表面であった。

0057

[2]評価
最初に、試験片のa軸方向の端にある側面にX線を入射したときに、{11−20}面のX線回折ピークが得られるかどうかを調べた。測定には、(株)リガク製の「自動X線結晶方位測定装置FSAS III」を用いた。
具体的には、試験片の該側面に、入射方向が試験片の主表面と平行となるようにX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射し、回折X線の2θ角を{11−20}面の
ブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行った。スキャンは、入射角が略ブラッグ角となる角度を中心に、その前後±5°の範囲で行った。
θスキャンの結果を、横軸を入射角、縦軸を回折強度とする座標平面にプロットして、X線回折パターンを得た。

0058

得られたX線回折パターンを図11に示す。図11の横軸においては、入射角が略ブラッグ角である点を原点(0°)としている。
図11に示すX線回折パターンには、回折ピークが全く現れておらず、結晶品質が低いことが分る。注記すると、図11のX線回折パターンの、θ=1°〜θ=4°の範囲に見られるピーク様形状は、スキャン方向を180°反転させて取得したX線回折パターンにおいても同じ位置に現われたことから、回折ピークではないことが確認された。

0059

次に、図12に示すように、試験片のa軸方向の端部を研削して除去し、新しく現われた表面にX線を入射させて上記と同様のθスキャン測定を行い、X線回折パターンを取得した。
その結果、研削長3mmのときには、新しく現われた表面においても、アズグロン表面と同様、X線回折パターンに回折ピークが認められなかったが、研削長4mmでは、半値幅0.64°で肩のある回折ピークがひとつだけX線回折パターンに現われた。

0060

更に、研削長を5mmとしたときには、図13に示すように、X線回折パターンに半値幅0.29°の鋭い回折ピークがひとつだけ現われた。
なお、実験結果にはバラツキがあり、研削長が6mmを超えたときに初めて、X線回折パターンに回折ピークが現われる試験片もあった。
回折ピークの半値幅は、研削長とともに減少した後、所定値収束する傾向があった。
この結果から、仮説通り、前記4.1.[3]で成長させたバルクGaN結晶は、a軸方向(=⊥c方向)の端部、具体的には、a軸方向の末端からの距離が6mmまでの部分に、結晶品質の著しく低い部分を含んでいたと考えられた。

0061

[3]考察
本検証実験の結果から、M面GaN基板に設けるOFの位置を⊥c方向の端部とする場合には、出発素材であるバルクGaN結晶の⊥c方向の末端から、好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上離れた位置に、仮OFを形成すればよいことが分る。
かかる位置に形成した仮OFの方位はX線回折により特定できるので、それを基準に用いて、方位精度の高い最終OFを形成することが可能となる。その最終OFの方位も、X線回折により精密に評価することが可能である。

0062

ここで注意すべきは、バルクGaN結晶の⊥c方向のサイズに余裕を持たせないと、OF長が許容値を超えてしまうことである。例えば、⊥c方向のサイズが50mmのバルクGaN結晶から、直径50mmのM面GaN基板を取得しようとした場合、バルクGaN結晶の⊥c方向の末端から4mm離れた位置に仮OFを形成すると、仮OFの長さが27mmとなる。この仮OFを利用して形成される最終OFの長さは27mm以上となり、直径2インチ(約5cm)の基板で許容されるOF長の上限値20mmを超える。

0063

この検証実験から得られた知見は、M面GaN基板の⊥c方向の端部に設けるOFの方位精度向上に役立つだけではない。この知見のおかげで、⊥c方向の端部に結晶品質の著しく低下した部分を有さない、非極性または半極性GaN基板を得ることが初めて可能となる。
詳しくいうと、図14に示すように、⊥c方向のサイズが、取得すべきGaN基板の直径より好ましくは8mm、好ましくは10mm以上、より好ましくは12mm以上大きなバルクGaN結晶を成長させる。そして、そのバルクGaN結晶のうち、⊥c方向の末端から好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上離れた部分(図14において、二つの破線に挟まれた部分)のみを用いて、GaN基板を作製する。そうすれば、得られるGaN基板は、⊥c方向のいずれの端部にも、結晶品質の著しく低い部分を有さないものとなる。
このようなバルクGaN結晶を歩留りよく成長させるためには、主表面の⊥c方向のサイズが、取得すべきGaN基板の直径より好ましくは8mm、より好ましくは10mm以上、より好ましくは12mm以上大きなシードを用いればよいと考えられる。

0064

4.4.M面GaN基板の作製(その2)
前記4.1.[1]に記した手順と同じ手順により、M面に平行な長方形の主表面を有し、その長辺がa軸に平行、短辺がc軸に平行であるタイルシードを作製した。
このタイルシードを、HVPE装置のサセプター上にc軸方向に一列に並べて集合シードを構成し、その上にHVPE法でバルクGaN結晶を成長させた。

0065

成長させたバルクGaN結晶を加工して、2辺がa軸に平行で他の2辺がc軸に平行な矩形の主表面を有する、角型M面GaN基板を作製した。この基板のa軸方向のサイズは57.2mmであった。
次いで、この角型M面GaN基板をシード基板に用いてバルクGaN結晶を成長させ、そのバルクGaN結晶を加工して、2辺がa軸に平行で他の2辺がc軸に平行な矩形の主表面を有する、角型M面GaN基板を作製した。この基板のa軸方向のサイズは55.1mmであった。

0066

更に、この角型M面GaN基板をシード基板に用いて、バルクGaN結晶を成長させた。このバルクGaN結晶のa軸方向のサイズは55.5mmであった。
このバルクGaN結晶のうち、a軸方向の各末端から7mm以上離れた部分のみを用いて、直径40mmの円盤形M面GaN基板を作製した。
作製したM面GaN基板の側面上の、基板の中心から見てa軸方向(=⊥c方向)に位置する点に、入射方向が主表面と平行となるようにX線(CuKα1:波長0.1542
nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行った。基板の中心を挟んで向かい合う2つの点で行ったθスキャンから取得したX線回折パターンを、図19(a)および(b)にそれぞれ示す。図19(a)および(b)から分かるように、各点での測定から得たX線回折パターンに単一の回折ピークが認められ、その半値幅は0.15°であった。

0067

4.5.参考実験
最初に作製するC面GaN基板のサイズを大きくしたこと以外は前記4.1.[1]と同じ手順により、M面に平行な長方形の主表面を有し、その長辺がa軸に平行、短辺がc軸に平行であるタイルシードを作製した。得られたタイルシードは、主表面のa軸方向のサイズが60mmであった。
このタイルシードを、HVPE装置のサセプター上にc軸方向に一列に並べて集合シードを構成し、その上に窒素ガスをキャリアガスに用いて塩化ガリウムとアンモニアを供給し、成長温度1050℃でバルクGaN結晶を成長させた。得られたバルクGaN結晶は、厚さが約5mmで、a軸方向のサイズは62mm、c軸方向のサイズは52mm超であった。

0068

このバルクGaN結晶をスライスして、M面から[000−1]方向に5°傾斜したおもて面を有するM面GaNウエハを得た。該M面GaNウエハの主表面は略矩形で、側面はアズグロン表面であった。
該M面GaNウエハのa軸方向(=⊥c方向)の端にある側面に、入射面が主表面と平行となるようにX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ
角を{11−20}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行った。該θスキャンから取得したX線回折パターンを、図20に示す。
図20に示す通り、得られたX線回折パターンには、回折ピークを見出すことができなかった。上記M面GaNウエハの、a軸方向の他方端側の側面にて同様の測定を行って得たX線回折パターンにも、回折ピークは現れなかった。

0069

次いで、上記M面GaNウエハのa軸方向の各端部において、末端から4mmまで部分をダイシング・ソーで切り落とし、アズグロン表面から4mm離れた位置に新たな側面を形成した。
この新たに形成した側面に、入射面が該M面GaNウエハの主表面と平行となるようにX線(CuKα1:波長0.1542nm)を入射して、回折X線の2θ角を{11−2
0}面のブラッグ角28.99°の2倍に固定しつつ入射X線の入射角θを変化させるθスキャンを行った。上記新たに形成した側面の各々におけるθスキャンから取得したX線回折パターンを、図21(a)および(b)にそれぞれ示す。
図21(a)および(b)から分かるように、各側面での測定から得たX線回折パターンに単一の回折ピークが認められ、半値幅は0.16°であった。
この結果は、c軸に直交する方向の端部に結晶性の著しく低下した部分を有さない、直径54mmの円盤形基板を、上記バルクGaN結晶から切り出し得ることを示している。

0070

以上、本発明を実施形態に即して具体的に説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。

0071

10タイルシード
S10集合シード
20バルクGaN結晶
21GaN基板
S21シード基板
30 バルクGaN結晶
31 GaN基板

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