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技術 切削装置及び切削方法

出願人 株式会社ジェイテクト
発明者 東孝幸山田良彦渡邉浩史
出願日 2015年7月14日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2015-140323
公開日 2017年1月26日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-019071
状態 特許登録済
技術分野 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット 旋削加工 仕上研磨、刃砥ぎ、特定研削機構による研削 工作機械の検出装置 数値制御
主要キーワード 直円錐台 摩耗箇所 摩耗検査 刃先角α 次切削加工 小径端面 直円錐 切削抵抗力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

難切削材でなる工作物切削加工したとき、工具寿命の向上を図ることができ、機上において簡易工具修正可能な切削装置及び切削方法を提供する。

解決手段

切削装置1は、環状の切れ刃を有する環状工具90と、環状工具の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、工具主軸と工作物保持台との相対位置及び工具主軸の回転を制御する制御装置80と、を備える。そして、制御装置は、環状工具の外周面すくい面となり、端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、環状工具を回転させながら工作物の加工を行い、環状工具の修正が必要になったとき、環状工具と工作物との相対角度を加工時とは異なる角度に変化させ、環状工具を回転させながら工作物に接触させて環状工具の修正を行う。

概要

背景

切削装置では、切削工具切れ刃工作物と大きな切削抵抗力で長時間接触することになるので、切れ刃の接触部分に高温切削熱が発生し易く、工具寿命が低下するおそれがある。そこで、例えば、特許文献1,2には、切れ刃の有効角度範囲内で切削工具と工作物との接触角度を変化させて切削加工を行う切削装置が記載されている。この切削装置によれば、工具寿命を延ばすことができる。

概要

難切削材でなる工作物を切削加工したとき、工具寿命の向上をることができ、機上において簡易工具修正可能な切削装置及び切削方法を提供する。切削装置1は、環状の切れ刃を有する環状工具90と、環状工具の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、工具主軸と工作物保持台との相対位置及び工具主軸の回転を制御する制御装置80と、を備える。そして、制御装置は、環状工具の外周面すくい面となり、端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、環状工具を回転させながら工作物の加工を行い、環状工具の修正が必要になったとき、環状工具と工作物との相対角度を加工時とは異なる角度に変化させ、環状工具を回転させながら工作物に接触させて環状工具の修正を行う。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、難切削材でなる工作物を切削加工したとき、工具寿命の向上を図ることができ、機上において簡易に工具修正可能な切削装置及び切削方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、前記工具主軸と前記工作物保持台との相対位置及び前記工具主軸の回転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面すくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、前記環状工具を回転させながら前記環状工具で前記工作物の加工を行い、前記環状工具の修正が必要になったとき、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させ、前記環状工具を回転させながら前記環状工具を前記工作物に接触させて前記環状工具の修正を行う、切削装置

請求項2

前記制御装置は、前記環状工具の端面及び外周面の少なくとも一つの面を前記工作物に接触させて、前記環状工具の現状の刃先角より小さい刃先角となるように前記環状工具の修正を行う、請求項1に記載の切削装置。

請求項3

前記制御装置は、前記環状工具の現状の切れ刃の刃先摩耗して再研磨が必要になったとき、少なくとも新しい刃先の位置まで前記環状工具の端面及び外周面の少なくとも一つの面を摩耗させて前記環状工具の修正を行う、請求項1又は2に記載の切削装置。

請求項4

前記制御装置は、前記環状工具の切れ刃の刃先を前記工作物に接触させて、前記環状工具の刃先形状面取りして前記環状工具の修正を行う、請求項1又は2に記載の切削装置。

請求項5

前記制御装置は、前記工作物の加工数、加工時間及び加工量の少なくとも一つが所定の加工数、所定の加工時間及び所定の加工量に到達したとき、前記環状工具の修正を行う、請求項1−4の何れか一項に記載の切削装置。

請求項6

前記切削装置は、前記環状工具を前記工具主軸に取り付けた状態で前記環状工具の工具状態計測する計測装置を備え、前記制御装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記環状工具の修正を行う、請求項1−4の何れか一項に記載の切削装置。

請求項7

前記制御装置は、前記環状工具の修正時に前記環状工具を前記工作物に対し往復移動又は振動させる、請求項1−5の何れか一項に記載の切削装置。

請求項8

環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、前記工具主軸と前記工作物保持台との相対位置及び前記工具主軸の回転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、前記環状工具で前記工作物の加工を行い、前記加工時に前記環状工具の修正が必要になったとき、当該加工時における前記環状工具の前記工作物に対する接触箇所を異なる接触箇所にするために、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させ、前記環状工具を前記異なる接触箇所を前記工作物に接触させて次加工を行う、切削装置。

請求項9

前記制御装置は、前記異なる接触箇所として前記環状工具と前記工作物との相対角度を変化させた後の前記環状工具の端面には接しない外周面側に存在する切れ刃の刃先を前記工作物に接触させて次加工を行う、請求項8に記載の切削装置。

請求項10

前記制御装置は、前記環状工具と前記工作物との相対角度の変化を、前記工作物の加工数、加工時間及び加工量の少なくとも一つが所定の加工数、所定の加工時間及び所定の加工量に到達したときに行う、請求項8又は9に記載の切削装置。

請求項11

前記切削装置は、前記環状工具を前記工具主軸に取り付けた状態で前記環状工具の工具状態を計測する計測装置を備え、前記制御装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記環状工具と前記工作物との相対角度の変化を行う、請求項8又は9に記載の切削装置。

請求項12

環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、を備える切削装置の切削方法であって、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置する配置工程と、前記環状工具を回転させながら前記環状工具で前記工作物の加工を行う加工工程と、前記環状工具の修正が必要になったとき、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、前記環状工具を回転させながら前記環状工具を前記工作物に接触させて前記環状工具の修正を行う修正工程と、を備える、切削方法。

請求項13

前記環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、を備える切削装置の切削方法であって、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置する配置工程と、前記環状工具で前記工作物の加工を行う第一加工工程と、前記第一加工工程において前記環状工具の修正が必要になったとき、当該加工時における前記環状工具の前記工作物に対する接触箇所を異なる接触箇所にするために、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、前記環状工具を前記異なる接触箇所を前記工作物に接触させて次加工を行う第二加工工程と、を備える、切削方法。

技術分野

0001

本発明は、切削装置及び切削方法に関する。

背景技術

0002

切削装置では、切削工具切れ刃工作物と大きな切削抵抗力で長時間接触することになるので、切れ刃の接触部分に高温切削熱が発生し易く、工具寿命が低下するおそれがある。そこで、例えば、特許文献1,2には、切れ刃の有効角度範囲内で切削工具と工作物との接触角度を変化させて切削加工を行う切削装置が記載されている。この切削装置によれば、工具寿命を延ばすことができる。

先行技術

0003

特開2006−231428号公報
特開平6−277901号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上述の切削装置は、切削工具としてバイトを用いており、チタン合金インコネル等の難切削材でなる工作物を切削加工したときは工具寿命の延命限界がある。切削装置によっては、機上に工具修正装置を設け、切削工具としてバイトを修正しながら工作物を切削加工できるものが提案されているが、工具修正装置の分だけコスト高となる傾向にある。特に、バイトは、3次元的に複雑な形状をしており、この形状に対応可能な工具修正装置の構造は複雑となって高コストになる。

0005

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、難切削材でなる工作物を切削加工したとき、工具寿命の向上を図ることができ、機上において簡易に工具修正可能な切削装置及び切削方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

(切削装置)
本発明の第一の切削装置は、環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、前記工具主軸と前記工作物保持台との相対位置及び前記工具主軸の回転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面すくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、前記環状工具を回転させながら前記環状工具で前記工作物の加工を行い、前記環状工具の修正が必要になったとき、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させ、前記環状工具を回転させながら前記環状工具を前記工作物に接触させて前記環状工具の修正を行う。

0007

この環状工具による切削加工では、環状工具のすくい面が回転しながら工作物の外周面に対し切り込んでいく引き切り作用を示すため、切削抵抗力を低減して切れ刃の温度を低減でき、環状工具の工具寿命の向上を図れる。そして、環状工具は、外周面と端面とを有する簡単な形状であるため、環状工具の修正は、環状工具を工作物に接触させて行えるので、機上に従来のような工具修正装置を設ける必要がなく、切削装置の高コスト化を抑制できる。

0008

本発明の第二の切削装置は、環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、前記工具主軸と前記工作物保持台との相対位置及び前記工具主軸の回転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置し、前記環状工具で前記工作物の加工を行い、前記加工時に前記環状工具の修正が必要になったとき、当該加工時における前記環状工具の前記工作物に対する接触箇所を異なる接触箇所にするために、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させ、前記環状工具を前記異なる接触箇所を前記工作物に接触させて次加工を行う。

0009

この環状工具による切削加工では、環状工具のすくい面が回転しながら工作物の外周面に対し切り込んでいく引き切り作用を示すため、切削抵抗力を低減して切れ刃の温度を低減でき、環状工具の工具寿命の向上を図れる。そして、この環状工具による切削加工は、環状工具の工作物に対する接触箇所を変化させて行うので、再研磨時間分の切削加工時間の短縮化を図れるとともに、機上に工具修正装置を設ける必要がなく、切削装置の高コスト化を抑制できる。

0010

(切削方法)
本発明の第一の切削方法は、環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、を備える切削装置の切削方法であって、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置する配置工程と、前記環状工具を回転させながら前記環状工具で前記工作物の加工を行う加工工程と、前記環状工具の修正が必要になったとき、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、前記環状工具を回転させながら前記環状工具を前記工作物に接触させて前記環状工具の修正を行う修正工程と、を備える。本発明の切削方法によれば、上述した第一の切削装置における効果と同様の効果を奏する。

0011

本発明の第二の切削方法は、前記環状の切れ刃を有する環状工具と、前記環状工具を取り付け、前記環状工具を当該環状工具の軸線回りに回転させる工具主軸と、工作物を保持する工作物保持台と、を備える切削装置の切削方法であって、前記工具主軸及び前記工作物保持台を、前記環状工具の外周面がすくい面となり、前記環状工具の端面が逃げ面となる相対位置関係に配置する配置工程と、前記環状工具で前記工作物の加工を行う第一加工工程と、前記第一加工工程において前記環状工具の修正が必要になったとき、当該加工時における前記環状工具の前記工作物に対する接触箇所を異なる接触箇所にするために、前記環状工具と前記工作物との相対角度を前記加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、前記環状工具を前記異なる接触箇所を前記工作物に接触させて次加工を行う第二加工工程と、備える。本発明の切削方法によれば、上述した第二の切削装置における効果と同様の効果を奏する。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施の形態に係る切削装置の全体構成を示す図である。
図1の切削装置に用いられる環状工具を示す正面図である。
図2Aの環状工具の側面図である。
図1の切削装置の切削加工制御及び修正制御を説明するためのフローチャートである。
環状工具のすくい面の修正制御状態を示す工作物の回転主軸線方向から見た図である。
環状工具の端面の修正制御状態を示す工作物の回転主軸線方向から見た図である。
環状工具による切削加工状態を示す工作物の回転主軸線方向から見た図である。
図5Aの環状工具の切れ刃の周辺の拡大図である。
図1の切削装置の切削加工制御及び修正制御の別形態を説明するためのフローチャートである。
環状工具による別形態の切削加工状態を示す工作物の回転主軸線方向から見た図である。
図5Aの環状工具の切れ刃の周辺の拡大図である。
環状工具にラジアル方向の初期振れが発生している状態を環状工具の回転軸線方向から見た図である。
ラジアル方向の初期振れの修正方法を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具にアキシャル方向の初期振れが発生している状態を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
アキシャル方向の初期振れの修正方法を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具の刃先近辺摩耗が発生している状態を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具の逃げ面を研磨して摩耗箇所を除去する方法を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具のすくい面を研磨して摩耗箇所を除去する方法を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具の切れ刃の刃先をR形状に研磨した状態を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。
環状工具の切れ刃の刃先をC面取り形状に研磨した状態を環状工具の回転軸線に直角な方向から見た図である。

実施例

0013

(1.切削装置の機械構成
図1に示すように、切削装置1は、工作物保持台10と、ベッド20と、心押し台30と、往復台40と、送り台50と、チルト台60と、刃物台70と、計測装置75と、制御装置80等とを備える。なお、以下の説明では、工作物保持台10に設けられている回転主軸11の回転主軸線Rw方向をZ軸線方向、回転主軸11の回転主軸線Rw方向と水平面内で直交する方向をX軸線方向、Z軸線方向及びX軸線方向と直交する方向をY軸線方向と称する。

0014

工作物保持台10は、直方体状に形成され、ベッド20上に設置される。工作物保持台10には、回転主軸11が回転主軸線Rw回りに回転可能に設けられる。回転主軸11には、一端側に工作物Wの一端側の周面を把持可能な爪12aを備えたチャック12が取り付けられる。回転主軸11は、工作物保持台10内に収容された主軸モータ13により回転駆動される。

0015

ベッド20は、直方体状に形成され、回転主軸11の下方において工作物保持台10からZ軸線方向に延びるように床上に設置される。ベッド20の上面には、心押し台30及び往復台40が摺動可能な一対のZ軸ガイドレール21a,21bが、Z軸線方向に延びるように、且つ、相互に平行に設けられる。さらに、ベッド20には、一対のZ軸ガイドレール21a,21bの間に、往復台40をZ軸線方向に駆動するための、図略のZ軸ボールねじが配置され、このZ軸ボールねじを回転駆動するZ軸モータ22が配置される。

0016

心押し台30は、ベッド20に対してZ軸線方向に移動可能なように、一対のZ軸ガイドレール21a,21b上に設けられる。心押し台30には、チャック12に把持された工作物Wの自由端面を支持可能なセンタ31が設けられる。すなわち、センタ31は、センタ31の軸線が回転主軸11の回転主軸線Rwと一致するように心押し台30に設けられる。

0017

往復台40は、矩形板状に形成され、ベッド20に対してZ軸線方向に移動可能なように、一対のZ軸ガイドレール21a,21b上の工作物保持台10と心押し台30との間に設けられる。往復台40の上面には、送り台50が摺動可能な一対のX軸ガイドレール41a,41bが、X軸線方向に延びるように、且つ、相互に平行に設けられる。さらに、往復台40には、一対のX軸ガイドレール41a,41bの間に、送り台50をX軸線方向に駆動するための、図略のX軸ボールねじが配置され、このX軸ボールねじを回転駆動するX軸モータ42が配置される。

0018

送り台50は、矩形板状に形成され、往復台40に対してX軸線方向に移動可能なように、一対のX軸ガイドレール41a,41b上に設けられる。送り台50の上面には、チルト台60を支持する一対のチルト台支持部61がZ軸線方向に所定間隔をあけて配置される。

0019

チルト台60は、クレードル状に形成され、送り台50に対してチルト軸線Rc回りに回転(揺動)可能なように、一対のチルト台支持部61に支持される。チルト台60の上面には、刃物台70が配置される。一方のチルト台支持部61には、チルト台60をチルト軸線Rc回りに回転(揺動)駆動するチルトモータ62が配置される。

0020

刃物台70には、工具主軸71が工具軸線Rt回りに回転可能に設けられる。そして、刃物台70には、工具主軸71を工具軸線Rt回りに回転駆動する工具用モータ72が配置される。工具主軸71には、後述する環状工具90がチャッキングされる。また、刃物台70には、環状工具90を冷却するための切削油を供給する図略の切削油供給装置と繋がる供給ノズル73が備えられる。

0021

計測装置75は、例えば、環状工具90を撮像可能なビデオマイクロスコープであり、Z軸線方向に撮像可能な第1計測装置75a及びX軸線方向に撮像可能な第2計測装置75bを備える。第1計測装置75aは、環状工具90をZ軸線方向に撮像可能なように、チルト台支持部61上に設けられる。第2計測装置75bは、環状工具90をX軸線方向に撮像可能なように、X軸モータ42のハウジング上に設けられる。

0022

制御装置80は、主軸回転制御部81と、往復台移動制御部82と、送り台移動制御部83と、チルト制御部84と、工具回転制御部85と、工具修正制御部86とを備える。ここで、各部81〜86は、それぞれ個別のハードウエアによる構成することもできるし、ソフトウエアによりそれぞれ実現する構成とすることもできる。

0023

主軸回転制御部81は、主軸モータ13を制御して回転主軸11を所定の回転数で回転駆動させる。
往復台移動制御部82は、Z軸モータ22を制御して往復台40を一対のZ軸ガイドレール21a,21bに沿って往復移動させる。
送り台移動制御部83は、X軸モータ42を制御して送り台50を一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って往復移動させる。

0024

チルト制御部84は、チルトモータ62を制御してチルト台60を回転(揺動)駆動させる。
工具回転制御部85は、工具用モータ72を制御して環状工具90を工具主軸71とともに回転駆動させる。
工具修正制御部86は、計測装置75から環状工具90の画像を入力し、環状工具90の修正の要否を判断し、環状工具90の修正が必要な場合は主軸回転制御部81、往復台移動制御部82、送り台移動制御部83、チルト制御部84及び工具回転制御部85に修正動作指令送出する。

0025

制御装置80は、チルトモータ62を制御して環状工具90を所定角度に傾斜させ、主軸モータ13及び工具用モータ72を制御して、工作物Wを回転させるとともに環状工具90を回転させ、X軸モータ42及びZ軸モータ22を制御して、工作物Wと環状工具90とをX軸方向及びZ軸方向に相対移動することにより、環状工具90の外周面を工作物Wに切り込ませて工作物Wの切削加工を行う。

0026

また、制御装置80は、第1計測装置75aで計測した図2Aに示す環状工具90の回転軸線Rt方向から見た切れ刃91rの刃先の輪郭と、回転軸線Rtと直角でX軸線と平行な直線Hとが交わる2点のうち一方の交点の位置(以下、「逃げ面91c側の刃先位置Q1」という)を求める。また、第2計測装置75bで計測した図2Bに示す環状工具90の回転軸線Rtと直角でY軸線と平行な方向から見た切れ刃91rの刃先の2点のうち一方の点の位置(以下、「すくい面91b側の刃先位置Q2」という)を求める。そして、求めた逃げ面91c側の刃先位置Q1又はすくい面91b側の刃先位置Q2に基づいて、工具状態、すなわち環状工具90の回転振れ量や端面振れ量及び環状工具90の切れ刃91rの刃先摩耗量を求める。

0027

そして、制御装置80は、求めた工具状態に基づいて、チルトモータ62を制御して環状工具90を所定角度に傾斜させ、主軸モータ13及び工具用モータ72を制御して、工作物Wを回転させるとともに環状工具90を回転させる。そして、X軸モータ42及びZ軸モータ22を制御して、工作物Wと環状工具90とをX軸方向及びZ軸方向に相対移動することにより、機上において、つまり工具主軸71から環状工具90を取り外さないで環状工具90の逃げ面91cやすくい面91bを工作物Wで研磨して環状工具90の修正を行う。

0028

(2.環状工具の形状)
図2A及び図2Bに示すように、環状工具90は、直円錐台状の工具本体91と、工具本体91の根元側の小径端面91aから延びる円柱状の工具軸92とで構成される。工具本体91の外周面は、直円錐面状のすくい面91bとして形成され、工具本体91の大径端面は、平坦な逃げ面91cとして形成される。そして、工具本体91のすくい面91bと逃げ面91cとの成す稜線は、連続した円形状、すなわち途中で分断されていない円形状の切れ刃91rとして形成される。工具軸線Rtに対し直角な方向から見たときの環状工具90のすくい面91bと逃げ面91cとの成す刃先角αは、切れ刃91rの強度を保持するため、45度以上、好ましくは70度から80度で形成される。

0029

上述の環状工具90では、工具本体91の工具外周面をすくい面91bとして切削加工を行う。この環状工具90による切削加工では、環状工具90のすくい面91bが回転しながら工作物Wの外周面Wsに対し切り込んでいく引き切り作用、及び切屑Kが回転する環状工具90のすくい面91bに引っ張られて流出する引っ張り作用を示す。このため、上記引き切り作用により切削抵抗力を低減して切れ刃91rの温度を低減できるので、環状工具90の工具寿命の向上を図れる。

0030

(3.環状工具の修正方法)
次に、環状工具90の修正方法について説明する。環状工具90の修正は、特別な修正装置を必要とせず、機上において環状工具90を工作物Wで研磨して環状工具90の修正を行う。環状工具90の修正項目としては、振れ取り、再研磨、刃先処理チャンファホーニング)がある。

0031

振れ取りとは、環状工具90の工具本体91の中心軸線が工具軸92の回転軸線Rtに対しズレて形成された場合等に起因する初期の回転振れを除去することをいい、すくい面91bの研磨によるラジアル方向の初期振れ除去がある。また、振れ取りとは、環状工具90の逃げ面91cが回転軸線Rtに直角な平面に対し傾斜して形成された場合等に起因する初期の端面振れを除去することをいい、逃げ面91cの研磨によるアキシャル方向の初期振れ除去がある。再研磨とは、工作物Wに対する切削加工後の環状工具90の刃先近辺の摩耗箇所を除去することをいい、逃げ面91cの研磨による摩耗箇所の除去及びすくい面91bの研磨による摩耗箇所の除去がある。刃先処理とは、高硬度な難切削材を切削加工する際の工具チッピング防止のため、環状工具90の切れ刃91rの刃先を面取り、すなわちR面取り形状又はC面取り形状に研磨することをいう。

0032

詳細には、ラジアル方向の初期の回転振れとして、図8Aに示すように、環状工具90の工具本体91の中心軸線Rt´が、工具軸92の回転軸線Rtに対し径方向にdeだけズレて形成された場合、図8Bに示すように、環状工具90のすくい面91bを工作物Wの外周面Wsで研磨して回転振れ量deを除去する。
また、アキシャル方向の初期の端面振れとして、図9Aに示すように、環状工具90の逃げ面91cが、回転軸線Rtに直角な平面に対し回転軸線Rt方向に最大でdfだけズレるように傾斜して形成された場合、図9Bに示すように、環状工具90の逃げ面91cを工作物Wの外周面Wsで研磨して端面振れ量dfを除去する。

0033

本実施形態の切削装置1では、環状工具90を回転させるため、必然的に環状工具90の回転振れの影響が加工精度に影響する。加工精度を高めるには、環状工具90の回転振れを小さくする必要がある。ところが、機外の装置で環状工具90の工具形状を修正する場合、工具形状自体に起因する回転振れの影響は小さくできても、工具主軸7への工具取り付けに起因する回転振れが残って加工精度が低下するおそれがある。そして、工具取り付けに起因する回転振れを小さくするための調整工程が必要となり、作業効率が低下する。本実施形態の切削装置1によれば、工具形状自体に起因する回転振れと、工具取り付けに起因する回転振れとを機上で同時に取り除けるため、加工精度及び作業効率を向上できる。

0034

また、図10Aに示すように、環状工具90の切れ刃91rの刃先近辺は、研削加工により一点鎖線で示す初期状態から実線で示す摩耗状態になる。この摩耗状態では、環状工具90の逃げ面91c及びすくい面91bが侵食、すなわち逃げ面91c側には切れ刃91rの刃先から径方向に距離drの分の刃先摩耗量が発生し、すくい面91b側には切れ刃91rの刃先から回転軸線Rt方向に距離dhの分の刃先摩耗量が発生している。この場合、図10Bに示すように、環状工具90の逃げ面91cを、距離dhだけ工作物Wの外周面Wsで研磨して摩耗箇所を除去して新しい切れ刃91r3の刃先を形成する方法と、図10Cに示すように、環状工具90のすくい面91bを、距離drだけ工作物Wsの外周面Wsで研磨して摩耗箇所を除去して新しい切れ刃91r3の刃先を形成する方法がある。この環状工具90では、すくい面91bの摩耗よりも逃げ面91cの摩耗の方が多くなる傾向にあるので、逃げ面91cを研磨する方がすくい面91bを研磨するよりも少なくて済み、工具寿命を延ばすことができる。

0035

また、図11A及び図11Bに示すように、環状工具90の切れ刃91rの刃先が一点鎖線で示すように鋭角になっていると欠け易いので、環状工具90の切れ刃91rの刃先を実線で示すR形状又はC面取り形状に工作物Wsの外周面Wsで研磨する。
なお、環状工具90の修正を行う場合、環状工具90を工作物Wに対し往復移動、例えばすくい面91bを工具軸線Rt方向に往復移動、もしくは逃げ面91cを径方向に往復移動させ、又は環状工具90自体を振動させるようにしてもよい。これにより、環状工具90の修正効率が向上して修正時間の短縮化を図ることができる。

0036

(4.切削加工制御及び修正制御)
次に、環状工具90による切削加工制御及び環状工具90の修正制御の概略について、図3フローチャートを参照して円筒状の工作物Wの外周面Wsを周方向に切削加工する場合について説明する。

0037

制御装置80は、環状工具90を回転させ(図3のステップS1)、計測装置75の計測結果に基づいて環状工具90の回転振れ量及び端面振れ量を求める(図3のステップS2)。そして、求めた環状工具90の回転振れ量が、予め記憶している回転振れ量閾値以下であるか否かを判断する(図3のステップS3)。そして、求めた環状工具90の回転振れ量が、回転振れ量閾値を越えたと判断したときは、環状工具90の振れ取りを行い(図3のステップS4)、ステップS2に戻って上述の処理を行う。

0038

具体的には、工具修正制御部86は、図8Aに示すように、上記ズレが無いときの環状工具90の回転軸線Rt方向から見た切れ刃91rの輪郭E1(図示一転鎖線)及び計測装置75で計測した環状工具90の回転軸線Rt方向から見た切れ刃91rの輪郭E2(図示実線)と、回転軸線Rtと中心軸線Rt´とを通る直線L1とが交わる逃げ面91c側の刃先位置Pe1,Pe2を入力し、刃先位置Pe1,Pe2間の距離を回転振れ量deとして求める。そして、工具修正制御部86は、主軸回転制御部81、往復台移動制御部82、送り台移動制御部83、チルト制御部84及び工具回転制御部85に修正動作指令を送出する。

0039

そして、チルト制御部84は、図4Aに示すように、環状工具90のすくい面91bと工作物Wの外周面Wsとが接するように、チルトモータ62の回転駆動を制御して工作物Wをチルト軸線Rc回りに回転(揺動)駆動させる。そして、主軸回転制御部81は、主軸モータ13の回転駆動を制御して、工作物Wを回転軸線Rw回りで回転方向rwに回転駆動させる。そして、往復台移動制御部82及び送り台移動制御部83は、X軸モータ42及びZ軸モータ22を制御して、工作物Wと環状工具90とをX軸方向及びZ軸方向に相対移動することにより、環状工具90のすくい面91bを回転振れ量de分だけ工作物Wの外周面Wsで研磨してラジアル方向の初期の回転振れを除去する。

0040

一方、制御装置80は、ステップS3において、求めた環状工具90の回転振れ量が、回転振れ量閾値以下であると判断したときは、求めた環状工具90の端面振れ量が、予め記憶している端面振れ量閾値以下であるか否かを判断する(図3のステップS5)。そして、求めた環状工具90の端面振れ量が、端面振れ量閾値を越えたと判断したときは、環状工具90の振れ取りを行い(図3のステップS4)、ステップS2に戻って上述の処理を行う。

0041

具体的には、工具修正制御部86は、図9Aに示すように、上記傾斜が無いときの環状工具90の回転軸線Rt直角でY軸線と平行な方向から見た切れ刃91rのすくい面91b側の刃先位置Pf1と、計測装置20で計測した環状工具90の回転軸線Rtと直角でY軸線と平行な方向から見た切れ刃91rのすくい面91b側の刃先位置Pf2を入力し、刃先位置Pf1,Pf2間の距離を端面振れ量dfとして求める。そして、工具修正制御部86は、主軸回転制御部81、往復台移動制御部82、送り台移動制御部83、チルト制御部84及び工具回転制御部85に修正動作指令を送出する。

0042

そして、チルト制御部84は、図4Bに示すように、環状工具90の端面91cと工作物Wの外周面Wsとが接するように、チルトモータ62の回転駆動を制御して工作物Wをチルト軸線Rc回りに回転(揺動)駆動させる。そして、主軸回転制御部81は、主軸モータ13の回転駆動を制御して、工作物Wを回転軸線Rw回りで回転方向rwに回転駆動させる。そして、往復台移動制御部82及び送り台移動制御部83は、X軸モータ42及びZ軸モータ22を制御して、工作物Wと環状工具90とをX軸方向及びZ軸方向に相対移動することにより、環状工具90の逃げ面91cを回転振れ量df分だけ工作物Wの外周面Wsで研磨してアキシャル方向の初期の端面振れを除去する。

0043

一方、制御装置80は、ステップS5において、求めた環状工具90の端面振れ量が、端面振れ量閾値以下であると判断したときは、チルト台60をチルト軸線Rc回りで回転(揺動)させ、環状工具90の工具軸線Rtを傾斜させる(図3のステップS6)。具体的には、チルト制御部84は、チルトモータ62を制御してチルト台60をチルト軸線Rc回りで回転(揺動)駆動させ、環状工具90の工具軸線Rtを以下の状態になるまで傾斜させる。すなわち、図5Aに示すように、工作物Wの回転主軸線Rwと直角であって工作物Wの外周面Wsの切削点Ptを通る直線Ltを、工作物Wの回転主軸線Rwを中心に切削方向Gに所定角度θ傾斜させ、得られる直線Lcと平行になるように、環状工具90の工具軸線Rtを傾斜させる。

0044

次に、制御装置80は、工作物Wの外周面Wsの切削点Ptに環状工具90の切れ刃91rを位置決めする(図3のステップS7)。具体的には、往復台移動制御部82は、Z軸モータ22を制御して往復台40を一対のZ軸ガイドレール21a,21bに沿って移動させ、送り台移動制御部83は、X軸モータ42を制御して送り台50を一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動させることで、図5Aに示すように、工作物Wの外周面Wsの切削点Ptに環状工具90の切れ刃91rを位置決めする。

0045

そして、制御装置80は、環状工具90を工作物Wに対しX軸線方向に移動させて工作物Wの外周面Wsを周方向に切削加工する(図3のステップS8)。具体的には、送り台移動制御部83は、X軸モータ42を制御して送り台50を一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動させることで、図5Aに示すように、環状工具90で工作物Wの外周面Wsを周方向に切削加工する。

0046

制御装置100は、切削加工において摩耗検査条件に該当、例えば、工作物Wの切削回数所定回数超過したか否かを判断する(図3のステップS9)。そして、摩耗検査条件に該当したと判断したときは、環状工具90の再研磨を行う(図3のステップS10)。具体的には、工具修正制御部86は、図8Aを参照して説明したラジアル方向の初期の回転振れを測定する方法と同様の方法で、図10Aに示す切れ刃91rの刃先の径方向の摩耗量drを求め、図8B及び図4Aを参照して説明したラジアル方向の初期の回転振れを除去する方法と同様の方法で切れ刃91rの刃先の径方向の摩耗量drを除去する。また、図9Aを参照して説明したアキシャル方向の初期の端面振れを除去する方法と同様の方法で、図10Aに示す切れ刃91rの刃先の高さ方向の摩耗量dhを求め、図9B及び図4Bを参照して説明したアキシャル方向の初期の回転振れを除去する方法と同様の方法で切れ刃91rの刃先の高さ方向の摩耗量dhを除去する。

0047

そして、制御装置100は、環状工具90の再研磨が完了したらステップS6に戻って上述の処理を繰り返す。一方、ステップS9において、摩耗検査条件に該当していないと判断したときは、工作物Wの切削加工が完了したか否かを判断し(図3のステップS11)、工作物Wの切削加工が完了していないと判断したときは、ステップS9に戻って上述の処理を繰り返す。一方、ステップS11において、工作物Wの切削加工が完了したと判断したときは、次に切削加工すべき工作物Wが有るか否かを判断し(図3のステップS12)、次に切削加工すべき工作物Wが有ると判断したときは、ステップS6に戻って上述の処理を行う。一方、次に切削加工すべき工作物Wが無いと判断したときは、環状工具90を回転を停止させ(図3のステップS13)、全ての処理を終了する。

0048

なお、環状工具90の切れ刃91rの刃先位置座標は、環状工具90の修正動作により多少変化するため、制御装置80は、切削加工動作開始前に新しい刃先位置座標を求めて当該刃先位置に環状工具90の切れ刃91rを位置決めすることにより、加工精度をさらに向上させるようにしてもよい。環状工具90の修正動作により変化した環状工具90の切れ刃91rの刃先位置座標は、環状工具90の刃先摩耗の修正動作や回転振れ、端面振れの修正動作と並行して検出してもよく、また当該修正動作終了後から切削加工動作開始前までに検出してもよい。また、検出手段としては、撮像装置による画像解析センサによる接触検知等で直接的に検出し、又は環状工具90の修正動作時の移動軌跡等から演算推定により間接的に検出するようにしてもよい。

0049

また、制御装置80は、摩耗検査条件に該当したか否かで環状工具90の再研磨を行うようにしたが、以下の条件で環状工具90の再研磨を行うようにしてもよい。すなわち、計測装置75の計測結果に基づいて環状工具90の刃先摩耗量を求め、求めた環状工具90の刃先摩耗量が、予め記憶している摩耗量閾値以下であるか否かを判断し、求めた環状工具90の刃先摩耗量が、摩耗量閾値を越えたと判断したとき、環状工具90の再研磨を行うようにしてもよい。

0050

(5.切削加工制御及び修正制御の別形態)
次に、環状工具90を用いた切削加工制御及び修正制御の別形態の概略について、図3に対応させて示す図6のフローチャートを参照して円筒状の工作物Wの外周面Wsを周方向に切削加工する場合について説明する。なお、図6においては、図3の処理と同一の処理は同一番号を付して詳細な説明を省略する。図6においては、図3のステップS10の再研磨は行わずに環状工具90と工作物Wとの相対角度を変更して切削加工を行う点で図3の処理と異なる。

0051

制御装置80は、図3で説明したステップS1−S8までの処理を行い、切削加工において摩耗検査条件に該当、例えば、工作物Wの切削回数が所定回数を超過したと判断したときは(図6のステップS9)、ステップS6に戻って以下の処理を行う。
すなわち、制御装置80は、工作物Wの外周面Wsの切削点Ptに接触する環状工具90の切れ刃91rの接触箇所を変更するため、チルト台60をチルト軸線Rc回りで回転(揺動)させ、環状工具90の切れ刃91rの変更した接触箇所を工作物Wの外周面Wsの切削点Ptに位置決めするため、往復台40をZ軸線方向に移動させるとともに、送り台50をX軸線方向に移動させる(図6のステップS6,S7)。環状工具90の切れ刃91rの変更した接触箇所としては、例えば環状工具90の端面には接しない外周面側に存在する切れ刃91r2(図7B参照)の刃先がある。

0052

具体的には、環状工具90の切れ刃91rの刃先が、図5Bハッチングで示すように摩耗したとする。チルト制御部84は、チルトモータ62を制御してチルト台60をチルト軸線Rc回りで回転(揺動)駆動させ、環状工具90の工具軸線Rtを前切削加工時の傾斜角度図5A参照)とは異なる次切削加工時の傾斜角度(図7A参照)に変更する。そして、往復台移動制御部82は、Z軸モータ22を制御して往復台40を一対のZ軸ガイドレール21a,21bに沿って移動させ、送り台移動制御部83は、X軸モータ42を制御して送り台50を一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動させることで、工作物Wの外周面Wsの切削点Ptに前切削加工時の接触箇所91r1(図5B参照)とは異なる次切削加工時の接触箇所91r2(図7B参照)を位置決めする。以降、図5のステップS8からの処理を実行する。

0053

(6.その他)
なお、上述の実施形態では、工具修正制御部86は、ビデオマイクロスコープの計測結果に基づいて環状工具90の工具状態を計測するように構成したが、主軸モータ72の駆動電流の変動により切削抵抗を推定して環状工具90の工具状態を予測するように構成してもよい。
また、工具修正制御部86は、ビデオマイクロスコープの計測結果に基づいてすくい面に及んでいる摩耗分drを求める構成としたが、逃げ面91cに及んでいる摩耗分dhからすくい面に及んでいる摩耗分drを推定するように構成してもよい。

0054

また、摩耗検査条件としては、工作物Wの切削回数が所定回数を超過したときとしたが、工作物Wの切削時間が所定時間を経過したとき、工作物Wの切削量が所定量を超えたとき又は工作物Wの切削加工が完了したときとしてもよい。
また、工具修正制御部86は、上記摩耗検査条件に基づいて環状工具90の摩耗量を推定もしくは演算するようにしてもよい。これにより、計測装置75は不要となる。

0055

また、工具修正制御部86は、工作物Wを回転させた状態で環状工具90を接触させて修正を行ったが、工作物Wを回転停止させた状態で環状工具90を接触させて修正を行ってもよい。また、工作物Wの代わりにブロック体を機上に備えて環状工具90を接触させて修正を行うようにしてもよい。
また、環状工具90の工具本体91を円錐台状に形成したが、軸直角断面が円であればよく、例えば円柱状もしくは逆円錐台状に形成してもよい。この場合の環状工具は、すくい面を正とすると逃げ面が工作物Wと干渉するおそれがあるため、すくい面を負とするか逃げ面となる部分を凹ませて工作物Wとの干渉を防止する。

0056

(7.効果)
本実施形態の切削装置1は、環状の切れ刃91rを有する環状工具90と、環状工具90を取り付け、環状工具90を当該環状工具90の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、工具主軸71と工作物保持台10との相対位置及び工具主軸71の回転を制御する制御装置80と、を備える。そして、制御装置80は、工具主軸71及び工作物保持台10を、環状工具90の外周面がすくい面91bとなり、環状工具90の端面が逃げ面91cとなる相対位置関係に配置し、環状工具90を回転させながら環状工具90で工作物Wの加工を行い、環状工具90の修正が必要になったとき、環状工具90と工作物Wとの相対角度を加工時とは異なる角度に変化させ、環状工具90を回転させながら環状工具90を工作物Wに接触させて環状工具90の修正を行う。

0057

この環状工具90による切削加工では、環状工具90のすくい面91bが回転しながら工作物Wの外周面Wsに対し切り込んでいく引き切り作用を示すため、切削抵抗力を低減して切れ刃91rの温度を低減でき、環状工具90の工具寿命の向上を図れる。そして、環状工具90は、外周面と端面とを有する簡単な形状であるため、環状工具90の修正は、環状工具90を工作物Wに接触させて行えるので、機上に従来のような工具修正装置を設ける必要がなく、切削装置1の高コスト化を抑制できる。

0058

また、制御装置80は、環状工具90の端面及び外周面の少なくとも一つの面を工作物Wに接触させて、環状工具90の現状の刃先角より小さい刃先角となるように環状工具90の修正を行うので、環状工具90の磨滅した部分を確実に除去できる。
また、制御装置80は、環状工具90の現状の切れ刃91rの刃先が摩耗して再研磨が必要になったとき、少なくとも新しい刃先の位置まで環状工具90の端面及び外周面の少なくとも一つの面を摩耗させて環状工具90の修正を行うので、環状工具90の切削性能回復できる。
また、制御装置80は、環状工具90の切れ刃91rの刃先を工作物Wに接触させて、環状工具90の刃先形状を面取りして環状工具90の修正を行うので、環状工具90の刃先処理を行うことができる。
また、制御装置80は、工作物Wの加工数、加工時間及び加工量の少なくとも一つが所定の加工数、所定の加工時間及び所定の加工量に到達したとき、環状工具90の修正を行うので、切削加工の精度を高精度に維持できる。

0059

また、切削装置1は、環状工具90を工具主軸71に取り付けた状態で環状工具90の工具状態を計測する計測装置75を備え、制御装置80は、計測装置75の計測結果に基づいて、環状工具90の修正を行うので、当該修正精度を向上できる。
また、制御装置80は、環状工具90の修正時に環状工具90を工作物Wに対し往復移動又は振動させるので、環状工具90の修正効率が向上して修正時間の短縮化を図ることができる。

0060

本実施形態の切削装置1は、環状の切れ刃91rを有する環状工具90と、環状工具90を取り付け、環状工具90を当該環状工具90の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、工具主軸71と工作物保持台10との相対位置及び工具主軸71の回転を制御する制御装置80と、を備える。そして、制御装置80は、工具主軸71及び工作物保持台10を、環状工具90の外周面がすくい面91bとなり、環状工具90の端面が逃げ面91cとなる相対位置関係に配置し、環状工具90で工作物Wの加工を行い、加工時に環状工具90の修正が必要になったとき、当該加工時における環状工具90の工作物Wに対する接触点を異なる接触点にするために、環状工具90と工作物Wとの相対角度を加工時とは異なる角度に変化させ、環状工具90を異なる接触点で工作物Wに接触させて次加工を行う。

0061

この環状工具90による切削加工では、環状工具90のすくい面91bが回転しながら工作物Wの外周面Wsに対し切り込んでいく引き切り作用を示すため、切削抵抗力を低減して切れ刃91rの温度を低減でき、環状工具90の工具寿命の向上を図れる。そして、この環状工具90による切削加工は、環状工具90の工作物Wに対する接触箇所を変化させて行うので、再研磨時間分の切削加工時間の短縮化を図れるとともに、機上に工具修正装置を設ける必要がなく、切削装置1の高コスト化を抑制できる。

0062

また、制御装置80は、異なる接触箇所として環状工具90と工作物Wとの相対角度を変化させた後の環状工具90の端面には接しない外周面側に存在する切れ刃91r2の刃先を工作物Wに接触させて次加工を行うので、切削時間を短縮できる。
また、制御装置80は、環状工具90と工作物Wとの相対角度の変化を、工作物Wの加工数、加工時間及び加工量の少なくとも一つが所定の加工数、所定の加工時間及び所定の加工量に到達したときに行うので、切削加工の精度を高精度に維持できる。
また、切削装置1は、環状工具90を工具主軸71に取り付けた状態で環状工具90の工具状態を計測する計測装置75を備え、制御装置80は、計測装置75の計測結果に基づいて、環状工具90と工作物Wとの相対角度の変化を行うので、当該修正精度を向上できる。

0063

本実施形態の切削方法は、環状の切れ刃91rを有する環状工具90と、環状工具90を取り付け、環状工具90を当該環状工具90の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、を備える切削装置1の切削方法である。そして、工具主軸71及び工作物保持台10を、環状工具90の外周面がすくい面91bとなり、環状工具90の端面が逃げ面91cとなる相対位置関係に配置する配置工程と、環状工具90を回転させながら環状工具90で工作物Wの加工を行う加工工程と、環状工具90の修正が必要になったとき、環状工具90と工作物Wとの相対角度を加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、環状工具90を回転させながら環状工具90を工作物Wに接触させて環状工具90の修正を行う修正工程と、を備える。本発明の切削方法によれば、上述した切削装置1における効果と同様の効果を奏する。

0064

本実施形態の切削方法は、環状の切れ刃91rを有する環状工具90と、環状工具90を取り付け、環状工具90を当該環状工具90の軸線Rt回りに回転させる工具主軸71と、工作物Wを保持する工作物保持台10と、を備える切削装置1の切削方法である。そして、工具主軸71及び工作物保持台10を、環状工具90の外周面がすくい面91bとなり、環状工具90の端面が逃げ面91cとなる相対位置関係に配置する配置工程と、環状工具90で工作物Wの加工を行う第一加工工程と、第一加工工程において環状工具90の修正が必要になったとき、当該加工時における環状工具90の工作物Wに対する接触点を異なる接触点にするために、環状工具90と工作物Wとの相対角度を加工時とは異なる角度に変化させる角度変化工程と、環状工具90を異なる接触点で工作物Wに接触させて次加工を行う第二加工工程と、を備える。本発明の切削方法によれば、上述した切削装置における効果と同様の効果を奏する。

0065

1:切削装置、 10:工作物保持台、 71:工具主軸、 75:計測装置、 80:制御装置、 90:環状工具、 91b:すくい面、 91c:逃げ面、 91r:切れ刃、 W:工作物

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