図面 (/)

技術 板材溶接部検査方法および検査装置

出願人 株式会社日立パワーソリューションズ
発明者 北澤聡菊池修浅見研一田山賢治塙晴行
出願日 2015年7月7日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-135745
公開日 2017年1月19日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-015668
状態 特許登録済
技術分野 超音波による材料の調査、分析
主要キーワード 連続ウェーブレット変換 パワースペクトル値 たがね 溶接検査 溶接部検査装置 溶融凝固組織 時間周波数解析 像格子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

本発明は、スポット溶接良否を精度良く評価できるようにしたものである。

解決手段

本発明は、複数の板材を重ね合せて溶接することによって形成された溶接部接合状態検査する検査方法であって、前記板材上の第一位置において前記溶接部の外側の複数の送信位置から前記板材を伝播するガイド波を送信する送信ステップと、前記板材上の第二位置において前記溶接部の外側の複数の受信位置において前記板材を伝播するガイド波を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信されたガイド波信号ウェーブレット変換して得られる時間周波数解析の結果に基づいて前記溶接部の接合の良否を判定する判定ステップを含むことを特徴とする。

概要

背景

自動車家電製品の多くは金属板材を多数のスポット溶接接合して用いている。例えば、自動車製造工場では、スポット溶接部の検査現場で短時間で精度良く行う必要がある。特に、溶融凝固部(ナゲット)が生成されている部分(以下、溶着部)と、金属板の界面が局部的に溶着しているだけでナゲットが生成されていない部分(以下、溶着不良部)とを簡便に判定できるスポット溶接検査方法が必要とされている。自動車の車体は、数千点にも及ぶスポット溶接によって組立てられており、溶接良否が車体の強度や耐久性に影響するため、スポット溶接が適切に行なわれているか否かを検査することが極めて重要である。

自動車工場では、スポット溶接の品質はナゲットの径(以下、ナゲット径)の大きさが基準以上あるかどうかで判断している。そのため、実際に破壊してナゲット径を測定する必要があるが、実際の製品を破壊してナゲット径を測定することはできないため、事前品質確認用の製品を準備し、スポット溶接部の破壊試験を行って良好な品質が確認されたときの溶接条件を製品に適用している。この溶接条件を維持管理することによってスポット溶接の品質を保証している。さらに、定期的に実際の製品を抜き取りたがね試験を実施している。たがね試験は、溶接部近傍にたがねを打ち込んでナゲットの接合状態チェックする方法であるが、たがね試験を実施するためには試験作業のために生産ラインを停止する必要があり、生産コストの観点から課題となっていた。

そこで、近年は、超音波を用いてスポット溶接部の健全性非破壊で検査する、さまざまな装置および方法が提案されている。

例えば特許文献1および2には、2枚の板を重ねて溶接され製作されるスポット溶接部の溶着状態を検査するために、板面に垂直に超音波探触子を当接させ、超音波を入射させて反射波を検出する方法や装置が開示されている。
特許文献1および2では、スポット溶接部に垂直に入射させた縦波超音波が、溶接部表裏面間多重反射して超音波探触子へ戻る底面多重反射エコーを観察する。この方法は、底面多重反射エコーのエコー高さ伝搬に伴い減衰していく現象が、溶着部と溶着不良部との間で相違することを利用している。ナゲットの金属組織は一方向へ延びた粗い結晶集まりであるため鋼板に比べ超音波の減衰が大きいのに対し、溶着不良部の金属組織は結晶粒微細であるため超音波の減衰が小さいことが知られている。従って、溶着部では底面エコー振幅が、底面での反射回数の増大に伴って急激に減衰する。この違いを利用して溶着部と溶着不良部との識別を行う。

しかし、特許文献1および2では、平板上の被検体に対して垂直方向に超音波を送受信するため、溶接部表裏面間で多重反射して超音波探触子に戻る底面多反射エコーの振幅は、スポット溶接部に形成されるくぼみ周囲の傾斜面や、スポット溶接部表面の微細な凹凸の影響を受け、溶着部と溶着不良部の識別を正確に行うことが難しい。

これを解決するために、特許文献3から5には、スポット溶接部の外側に送信用の超音波探触子と受信用の超音波探触子をスポット溶接を挟むように複数設置し、複数の経路伝播するラム波の信号を用いる手法が開示されている。これにより、スポット溶接部表面の凹凸や溶接部周辺の傾斜面の影響を受けずに、スポット溶接の健全性を評価できる。弾性体表面を伝搬する波動は総じてガイド波と呼ばれ、伝播方向に対して垂直変位を持つものは特にラム波や板波と呼ばれるが、ここでは特に区別せずにガイド波と呼ぶこととする。

特許文献4では、特許文献3の発明を改良し、スポット溶接部を含まない経路を伝播してきたガイド波信号と、スポット溶接を含む経路を伝播してきたガイド波信号の相互相関演算を行ったり、フーリエ変換して周波数解析を行い、短時間でスポット溶接の良否を判断できるように改良している。

さらに、特許文献5では、ガイド波が溶着部を通過する際に、ナゲットの金属組織の影響を受けて波形周波数成分が変化し、溶着部と溶着不良部の識別に悪影響を与える影響を回避する方法が開示されている。特許文献5では、受信された信号の中に基本信号の成分がどの程度含まれているかをウェーブレット変換を用いて判定し、それを溶着部と未溶着部の識別に用いている。

概要

本発明は、スポット溶接の良否を精度良く評価できるようにしたものである。本発明は、複数の板材を重ね合せて溶接することによって形成された溶接部の接合状態を検査する検査方法であって、前記板材上の第一位置において前記溶接部の外側の複数の送信位置から前記板材を伝播するガイド波を送信する送信ステップと、前記板材上の第二位置において前記溶接部の外側の複数の受信位置において前記板材を伝播するガイド波を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信されたガイド波信号をウェーブレット変換して得られる時間周波数解析の結果に基づいて前記溶接部の接合の良否を判定する判定ステップを含むことを特徴とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数の板材を重ね合せて溶接することによって形成された溶接部接合状態検査する検査方法であって、前記板材上の第一位置において前記溶接部の外側の複数の送信位置から前記板材を伝播するガイド波を送信する送信ステップと、前記板材上の第二位置において前記溶接部の外側の複数の受信位置において前記板材を伝播するガイド波を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信されたガイド波信号ウェーブレット変換して得られる時間周波数解析の結果に基づいて前記溶接部の接合良否を判定する判定ステップを含むことを特徴とする板材溶接部検査方法。

請求項2

請求項1に記載の板材溶接部検査方法において、前記第二位置は前記板材と接合されている第二の板材上であり、前記受信ステップは前記板材と接合されている第二の板材を伝播するガイド波を受信することを特徴とする板材溶接部検査方法。

請求項3

請求項1または2のいずれか1項に記載の板材溶接部検査方法において、前記判定ステップが、前記ガイド波の伝播経路に前記溶接部を含むガイド波信号をウェーブレット変換して得られるスペクトルパワー時間変化量と、前記ガイド波の伝播経路に前記溶接部を含まないガイド波信号をウェーブレット変換して得られるスペクトルパワーの時間変化量とに基づいて画像を生成し、前記画像に基づいて溶接部の接合の良否を判定することを特徴とする板材溶接部検査方法。

請求項4

請求項3に記載の板材溶接部検査方法において、前記判定ステップは、前記生成した複数の画像内で、溶接による影響の差か大きい解析図上の点を選択し、収録した複数の波形データをウェーブレット変換し、前記ウェーブレット変換した各波形データについて前記選択した点でのパワースペクトル値を抽出し、伝播経路にそって前記パワースペクトル値を割り当てて、溶着状態分布を示す画像データを作成することを特徴とする板材溶接部検査方法。

請求項5

請求項1から4のいずれか1項に記載の板材溶接部検査方法において、前記判定ステップが、前記ガイド波の一つまたは複数の振動モードに基づいて溶接部の接合の良否を判定することを特徴とする板材溶接部検査方法。

請求項6

複数の板材を重ね合せて溶接することによって形成された溶接部の接合状態を検査する検査装置であって、前記板材上の第一位置において前記溶接部の外側の複数の送信位置から前記板材を伝播するガイド波を送信する送信部と、前記板材上の第二位置において前記溶接部の外側の複数の受信位置において前記板材を伝播するガイド波を受信する受信部と、前記受信手段によって受信されたガイド波信号をウェーブレット変換して得られる時間周波数解析の結果に基づいて前記溶接部の接合の良否を判定する判定部を備えることを特徴とする板材溶接部検査装置

請求項7

請求項6に記載の板材溶接部検査装置において、前記第二位置は前記板材と接合されている第二の板材上であり、前記受信部は前記板材と接合されている第二の板材を伝播するガイド波を受信することを特徴とする板材溶接部検査装置。

請求項8

請求項6または7のいずれか1項に記載の板材溶接部検査装置において、前記判定部が、前記ガイド波の伝播経路に前記溶接部を含むガイド波信号をウェーブレット変換して得られるスペクトルパワーの時間変化量と、前記ガイド波の伝播経路に前記溶接部を含まないガイド波信号をウェーブレット変換して得られるスペクトルパワーの時間変化量とに基づいて画像を生成し、前記画像に基づいて溶接部の接合の良否を判定することを特徴とする板材溶接部検査装置。

請求項9

請求項8に記載の板材溶接部検査装置において、前記判定部は、前記生成した複数の画像内で、溶接による影響の差か大きい解析図上の点を選択し、収録した複数の波形データをウェーブレット変換し、前記ウェーブレット変換した各波形データについて前記選択した点でのパワースペクトル値を抽出し、伝播経路にそって前記パワースペクトル値を割り当てて、溶着状態の分布を示す画像データを作成することを特徴とする板材溶接部検査装置。

請求項10

請求項6から9のいずれか1項に記載の板材溶接部検査装置において、前記判定部が、前記ガイド波の一つまたは複数の振動モードに基づいて溶接部の接合の良否を判定することを特徴とする板材溶接部検査装置。

技術分野

0001

本発明は、非破壊検査技法一種である超音波探傷法に係り金属板溶接部溶着状態を超音波の一種であるガイド波を利用して検査する方法および装置に関する。

背景技術

0002

自動車家電製品の多くは金属板材を多数のスポット溶接接合して用いている。例えば、自動車製造工場では、スポット溶接部の検査を現場で短時間で精度良く行う必要がある。特に、溶融凝固部(ナゲット)が生成されている部分(以下、溶着部)と、金属板の界面が局部的に溶着しているだけでナゲットが生成されていない部分(以下、溶着不良部)とを簡便に判定できるスポット溶接検査方法が必要とされている。自動車の車体は、数千点にも及ぶスポット溶接によって組立てられており、溶接良否が車体の強度や耐久性に影響するため、スポット溶接が適切に行なわれているか否かを検査することが極めて重要である。

0003

自動車工場では、スポット溶接の品質はナゲットの径(以下、ナゲット径)の大きさが基準以上あるかどうかで判断している。そのため、実際に破壊してナゲット径を測定する必要があるが、実際の製品を破壊してナゲット径を測定することはできないため、事前品質確認用の製品を準備し、スポット溶接部の破壊試験を行って良好な品質が確認されたときの溶接条件を製品に適用している。この溶接条件を維持管理することによってスポット溶接の品質を保証している。さらに、定期的に実際の製品を抜き取りたがね試験を実施している。たがね試験は、溶接部近傍にたがねを打ち込んでナゲットの接合状態チェックする方法であるが、たがね試験を実施するためには試験作業のために生産ラインを停止する必要があり、生産コストの観点から課題となっていた。

0004

そこで、近年は、超音波を用いてスポット溶接部の健全性非破壊で検査する、さまざまな装置および方法が提案されている。

0005

例えば特許文献1および2には、2枚の板を重ねて溶接され製作されるスポット溶接部の溶着状態を検査するために、板面に垂直に超音波探触子を当接させ、超音波を入射させて反射波を検出する方法や装置が開示されている。
特許文献1および2では、スポット溶接部に垂直に入射させた縦波超音波が、溶接部表裏面間多重反射して超音波探触子へ戻る底面多重反射エコーを観察する。この方法は、底面多重反射エコーのエコー高さ伝搬に伴い減衰していく現象が、溶着部と溶着不良部との間で相違することを利用している。ナゲットの金属組織は一方向へ延びた粗い結晶集まりであるため鋼板に比べ超音波の減衰が大きいのに対し、溶着不良部の金属組織は結晶粒微細であるため超音波の減衰が小さいことが知られている。従って、溶着部では底面エコー振幅が、底面での反射回数の増大に伴って急激に減衰する。この違いを利用して溶着部と溶着不良部との識別を行う。

0006

しかし、特許文献1および2では、平板上の被検体に対して垂直方向に超音波を送受信するため、溶接部表裏面間で多重反射して超音波探触子に戻る底面多反射エコーの振幅は、スポット溶接部に形成されるくぼみ周囲の傾斜面や、スポット溶接部表面の微細な凹凸の影響を受け、溶着部と溶着不良部の識別を正確に行うことが難しい。

0007

これを解決するために、特許文献3から5には、スポット溶接部の外側に送信用の超音波探触子と受信用の超音波探触子をスポット溶接を挟むように複数設置し、複数の経路伝播するラム波の信号を用いる手法が開示されている。これにより、スポット溶接部表面の凹凸や溶接部周辺の傾斜面の影響を受けずに、スポット溶接の健全性を評価できる。弾性体表面を伝搬する波動は総じてガイド波と呼ばれ、伝播方向に対して垂直変位を持つものは特にラム波や板波と呼ばれるが、ここでは特に区別せずにガイド波と呼ぶこととする。

0008

特許文献4では、特許文献3の発明を改良し、スポット溶接部を含まない経路を伝播してきたガイド波信号と、スポット溶接を含む経路を伝播してきたガイド波信号の相互相関演算を行ったり、フーリエ変換して周波数解析を行い、短時間でスポット溶接の良否を判断できるように改良している。

0009

さらに、特許文献5では、ガイド波が溶着部を通過する際に、ナゲットの金属組織の影響を受けて波形周波数成分が変化し、溶着部と溶着不良部の識別に悪影響を与える影響を回避する方法が開示されている。特許文献5では、受信された信号の中に基本信号の成分がどの程度含まれているかをウェーブレット変換を用いて判定し、それを溶着部と未溶着部の識別に用いている。

先行技術

0010

特開平2−87060号公報
特開平4−265854号公報
特開2006−71422号公報
特開2008−109230号公報
特開2011−196862号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、特許文献3から5の技術では、ガイド波に含まれる複数の振動モードを区別しておらず、振動モードが混在した状態のガイド波信号を評価に用いているため、ナゲットを通過する際に受ける減衰の影響を精度良く評価できていない可能性がある。超音波は、一般的に振動モードによって金属組織での散乱のされ方が異なるため、信号の減衰の仕方も異なる。ガイド波は複数の振動モードから構成されており、音速が周波数の関数になる分散性という特徴を持っている。これらのモードはそれぞれ独立に伝播していくため、例えば、単一のパルス波形を入力超音波として金属板に入射した場合でも、伝播とともに、各振動モードに対応した速度の異なる複数のパルス波形に分離していく。これらの複数のパルス波形は重複した周波数成分を含むため、特許文献4に開示された方法のように、受信波形信号をフーリエ変換しただけでは振動モードを分離することはできない。

0012

そこで、本発明は、受信したガイド波信号に含まれる振動モードを、連続ウェーブレット変換による時間周波数解析によって分離し、単一もしくは複数の選択された振動モードの情報を選択的に用いることで、スポット溶接の良否を精度良く評価できるようにしたものである。また、複数の経路を伝播するガイド波信号について時間周波数解析を行い、単一もしくは複数の選択された振動モードの波形を抽出し、それらの波形から合成した画像を評価に用いることで、視覚的に分かり易く、効率良くスポット溶接の良否を判断できるようにしたものである。

0013

なお、特許文献5に開示された方法でもウェーブレット変換を用いているが、これは特許文献5に明確に記載されているように、超音波信号時間毎の周波数成分を算出する、すなわち時間周波数解析を行うためではなく、受信超音波信号の中に基本信号の成分がどれだけ含まれているかを算出するために用いたものであり、本発明とはその使用方法が大きく異なる。

課題を解決するための手段

0014

上記目的を達成するために、本発明は、複数の板材を重ね合せて溶接することによって形成された溶接部の接合状態を検査する検査方法であって、前記板材上の第一位置において前記溶接部の外側の複数の送信位置から前記板材を伝播するガイド波を送信する送信ステップと、前記板材上の第二位置において前記溶接部の外側の複数の受信位置において前記板材を伝播するガイド波を受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信されたガイド波信号をウェーブレット変換して得られる時間周波数解析の結果に基づいて前記溶接部の接合の良否を判定する判定ステップを含むことを特徴とする。

発明の効果

0015

本発明によれば、複数の金属板を重ねて溶接するスポット溶接部の溶着状態を正確に検査することができる。

図面の簡単な説明

0016

実施例1における検査装置概要を説明する図。
アレイ型超音波センサの上面図。
実施例1におけるアレイ型超音波センサの側面図。
他のアレイ型超音波センサの上面図。
アレイ型超音波センサの圧電振動素子の拡大図。
振動モードの分散性を示すグラフ
連続ウェーブレット変換により、時間周波数解析した時間周波数解析図の一例を示す図。
振動モードを識別してナゲットの大きさを評価する処理のフロー図。
溶着状態の分布を示す画像データの作成を説明する図。
溶着状態の分布を示す画像データの一例を示す図。
閾値以下の領域に含まれる溶着状態の分布を示す図。
実施例2における検査装置の概要を説明する図。
第二のアレイ型超音波センサの上面図。
実施例2における型超音波センサの側面図。
溶着状態の分布を示す画像データの一例を示す図。

0017

以下、本発明の好適な実施例について、図面を用いて詳細に説明する。尚、下記はあくまでも実施例に過ぎず、発明の内容は下記態様に限定されるものでないことは言うまでもない。

0018

図1は、実施例1で、スポット溶接部100にガイド波を送信または受信するためのアレイ型超音波センサ101と、アレイ型超音波センサ101で受信したガイド波の電圧信号増幅デジタル信号に変換する送・受信部102、受信信号及び検査結果を画像として表示する表示部103で構成されている。送・受信部102はコンピュータ等による演算機能も備えており、デジタル信号に変換されたガイド波信号の時間周波数解析をする機能も持っている。もちろん送・受信部102と別のコンピュータを演算に用いても構わない。スポット溶接部は複数の金属板が接合されたものである。金属板の枚数は特に限定されるものではないが、本実施例では一例として二枚の金属板を接合した場合で説明する。

0019

図2図3は、それぞれ図1のアレイ型超音波センサ101付近の上面図と側面図である。図2に示すように、アレイ型超音波センサ101の内部には環状に複数の圧電振動素子201が内蔵されており、超音波が透過する材質で作製されたくさび202を介して上部金属板104に超音波が入射される。圧電振動素子201は必ずしも環状に配置されている必要はなく、スポット溶接部100を取り囲むように配置されていれば構わない。多角形状に配置されていても構わない。ただし、圧電振動素子201で囲まれている面積はスポット溶接部100よりも大きい必要がある。圧電振動素子201の数は通常は8個から64個が用いられるが、この範囲以外の数でももちろん構わない。しかし、圧電振動素子201の数が多いほうがスポット溶接部100を様々方向から測定できるため、精度の良い結果が得られる。圧電振動素子の数と配置は、必要とされる検査精度に応じて、適宜選択すればよい。また、くさびも一体型の環状に限定されるものではなく、図4に示すように、複数に分割されていても構わない。さらに、必ずしも中央部が中空になっている必要もない。たとえば、スポット溶接部100の上部だけ空洞が設けられており、全体としては円柱形状等になっている構造でも構わない。

0020

図5は圧電振動素子201付近の拡大図であるが、圧電振動素子201からは縦波超音波501が発生する。発生した縦波超音波501は、超音波を透過させる樹脂製くさび202の中を通過して上部金属板104表面に到達する。圧電振動素子201で発生させる縦波超音波501の周波数は、通常は数MHzから数十MHzの範囲が使用される。上部金属板104の厚さは、通常は0.5mm程度から数mm程度である。上部金属板104に入射された超音波の波長が上部金属板104の板厚と同程度か、それよりも長い場合には、くさびを伝播してきた縦波超音波501はガイド波502となって上部金属板104を伝播していく。

0021

図示しないが、圧電振動素子201に含まれる圧電振動素子を201−1、201−2、201−3、・・・201−n(nは圧電振動素子の総数)と呼ぶことにすると、圧電振動素子201−1から送信されたガイド波を圧電振動素子201−1を含む全ての圧電振動素子で受信する。ガイド波502は上部金属板104に沿って広がりをもって伝播していき、スポット溶接部100で散乱されたり反射されるため、圧電振動素子201−1から送信されたガイド波104は、自身を含むすべての圧電振動素子(すなわち圧電振動素子201−1から201−n)で受信できる。一度に受信して送・受信部102で収録するのが検査時間を短縮する観点から望ましいが、もちろん個別に受信を行っても構わない。すなわち、圧電振動素子201−1で送信し圧電振動素子201−1で受信、圧電振動素子201−1で送信し圧電振動素子201−2で受信、圧電振動素子201−1で送信し圧電振動素子201−3で受信・・・、という具合に複数回に分けて波形を収録しても構わない。

0022

同様に、圧電振動素子201−2から送信されたガイド波を圧電振動素子201−2を含む全ての圧電振動素子で受信する。このようにして、圧電振動素子201の全ての組み合わせに対応する波形データを収録する。

0023

圧電振動素子201はスポット溶接部100を取り囲むように設置されるため、収録した波形データには、伝播経路203および伝播経路204のように、必ず伝播経路にスポット溶接部100を含むものと含まないものが存在する。ここで、必ずしもすべての組合せに対応する波形データを収録する必要はなく、必要に応じて、一部の組合せの波形データだけを収録しても構わない。送・受信部102の処理能力等を案して適宜決めれば良い。ただし、組合せの中には、伝播経路にスポット溶接を含むものと、含まないものとか含まれていることが望ましい。

0024

スポット溶接部100に生成されるナゲット301は溶融凝固組織となっている。この溶融凝固組織は、ほぼ板厚方向へ延びた粗い柱状の組織の集まりであるため、スポット溶接部がない金属板の組織に比べ、超音波の伝達が悪く、減衰も大きい。よって、ナゲット301を通過するガイド波502は、伝播経路に沿ってナゲット301を通過する距離に応じて減衰の影響を受ける。これに対し、伝播経路にナゲット301を含まないガイド波502は、ほとんど減衰せずに圧電振動素子201で受信される。よってガイド波502の減衰量分析することにより、ナゲット301の大きさを推定することが可能である。

0025

ガイド波は振動の幾何形状からS(対称)モードとA(非対称)モードの2種類の振動モードを持つ。SモードとAモードも、それぞれ更に細かく分類されており、次数の低いほうから順にそれぞれS0、S1、S2・・・、A0、A1、A2・・・と名前がついている。これらの振動モードは、それぞれ独立に伝播していくが、伝播速度が周波数の関数になる分散性という特徴を持っている。図6はこれらの振動モードの分散性を示すグラフである。横軸が周波数、縦軸は音速(群速度)である。音速には位相速度と群速度があるが、本発明はパルス状のガイド波を使用するため、群速度で説明する。図示のように、同じ周波数でも複数の振動モードが存在するため、通常の周波数解析のように波形データをフーリエ変換しただけでは、ガイド波の振動モードを区別することはできない。

0026

これらの振動モードは、ナゲット301の溶融凝固組織からの影響の受け方も同一ではない。例えば図7は、本発明による方法で波形データを収録し、伝播経路にナゲット301を含まない波形と含む波形を連続ウェーブレット変換により、それぞれ時間周波数解析した時間周波数解析図の一例である。時間周波数解析は波形データに含まれる周波数成分の時間変化解析するものである。連続ウェーブレット変換の結果は複素数となり実部虚部を持つため、パワースペクトルを用いるのが良い。また、時間周波数解析図は通常、周波数と時間の二軸で表されるが、伝播経路があらかじめ分かっている場合には、伝播経路を時間で除すことにより、周波数と音速の二軸で表すこともできる。ここでは図6に示した分散関係と比較しやすいように周波数と音速で表す。

0027

図7は、黒い部分が小さく、白い部分が値の大きいところである。図から明らかなように、全ての周波数成分が同じように減衰するわけではない。ナゲット301の影響が大きいものもあれば、小さいものもある。もし振動モードが混在した波形データで減衰量を評価すると、ナゲット301の影響を受けにくい振動モードが支配的な領域(例えば図7の領域701)の影響を受け、精度良くナゲット301の大きさを評価することができない。よってナゲット301の溶融凝固組織の影響を受けやすい振動モードが支配的な領域(例えば図7の領域702)を選択することが重要となる。

0028

本発明は、振動モードを識別してナゲット301の大きさを精度良く評価するための方法を開示したものであり、以下に、振動モードの識別方法を具体的に述べる。

0029

図8は本発明で振動モードを識別してナゲット301の大きさを評価する処理のフロー図である。

0030

ステップ1:上部金属板104上のスポット溶接部100が存在しない位置にアレイ型超音波センサ101を設置する。上部金属板104と材質や厚さ等の材料特性が同じであれば、上部金属板104とは別の金属板上でも構わない。

0031

ステップ2:圧電振動素子201の全て、または必要に応じて一部の組合せに対応する波形データを収録する。

0032

ステップ3:収録した波形データを連続ウェーブレット変換して時間周波数解析図を作成する。この時、ステップ1で収録した全波形データに対して時間周波数解析を行う必要はなく、代表的な一つの波形データを選択すれば良い。好ましくは、圧電振動素子201で囲まれた領域の中央付近を通過する伝播経路(例えば伝播経路203)に対応する波形データを選択する。

0033

ステップ4:上部金属板104上のスポット溶接部100が存在する位置にアレイ型超音波センサ101を設置する。

0034

ステップ5:圧電振動素子201の全て、または必要に応じて一部の組合せに対応する波形を収録する。

0035

ステップ6:ステップ3で選択した伝播経路と同じ伝播経路に対応する波形データを選択し、連続ウェーブレット変換して時間周波数解析図を作成する。

0036

ステップ7:ステップ3およびステップ6で得られた時間周波数解析図を比較し、溶着状態の評価に用いる時間周波数解析図上の点を選択する(例えば図7の点703)。すなわち周波数f0と音速V0が選択される。今、この点を点Qと呼ぶことにすると、点Qは、振動モードの理論曲線上にあり、かつナゲット301を通過した場合と、しない場合との差が大きい点を選ぶのが好ましい。しかし、点Qは必ずしも理論曲線上にある必要はない。

0037

ステップ8:ステップ5で収録した波形データを全て連続ウェーブレット変換する。

0038

ステップ9:ステップ8にて連続ウェーブレット変換した各波形データについて、ステップ7で選択した点Q(周波数f0、音速V0)のパワースペクトル値Pを時間周波数解析結果から抽出する。

0039

ステップ10:溶着状態の分布を示す画像データを生成するため、図9に示すように、検査領域(圧電振動素子201で囲まれた領域を含む領域)に対応した画像格子901において、波形データの伝播経路902に沿った画素(例えば図9の画素903)にPを加算する。これを全ての伝播経路について行う。画像格子点と伝播経路が正確に一致しない場合は、隣り合う伝播経路に対して適当な内挿処理を用い、各画素に加算する値を算出するとよい。

0040

ステップ11:伝播経路が多く通過する画素とそうでない画素が存在し、画素によってPを加算した回数が異なるため、それぞれの画素について、Pを加算した回数で除して平均化する。図10にステップ11までの処理で得られるスポット溶接部100の溶着状態を表す画像例を示す。ここでは白黒濃淡で溶着状態の分布を表しているが、画素値を好みの色調テーブル割り振ることで、使用者が最も見易いように調整すればよい。適当な色調テーブルの選択によってカラー表示も可能である。例えば、図10では領域1001が概ねナゲット301に相当し、黒色が濃い部分が溶着状態が良い部分である。

0041

ステップ12:ステップ11で得られた画像において、一定の閾値以下の部分は溶着領域と判断し、閾値以下の領域の面積を算出し、溶着面積を算出する。例えば、図10の画像で閾値以上の領域は図11に示した領域1101となるため、この領域に含まれる画素の数を数えれば面積に比例した数値が簡単に得られる。閾値は、ナゲット301が存在しない位置の画素値の50%程度にすると経験的に良い結果が得られているが、必ずしもこの値に設定する必要はない。基準となる試験片等を用いて、適宜設定しても構わない。

0042

ステップ1からステップ4、およびステップ6からステップ7については、検査するスポット溶接部を変える毎に実施する必要はなく、最初に一度だけ実施して点Qを決定しておき、ステップ5、およびステップ8からステップ12を繰り返すだけでよい。点Qを指定すれば、ステップ5、およびステップ8からステップ12は全て自動的に処理することが可能である。

0043

また、一般的に点Qの候補は複数存在するため、複数の点Qについてステップ9からステップ12を繰り返し、複数の画像から溶着状態を判断、もしくは、それらの画素を合算した画像から溶着状態を判断しても構わない。

0044

上記の手段により、スポット溶接の良否を精度良く、視覚的に分かり易く、効率良く判断することが可能となる。

0045

以上の説明においては、本発明が金属板のスポット溶接検査に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されない。アルミ板溶接検査や他の無機および有機材質の板の溶接検査にも適用可能である。溶接部もスポット溶接によるものだけでなく、一般的な溶接方法によって形成された溶接部に適用できる。又、溶接枚数も2枚に限定されず、スポット溶接部の健全性の評価も、ナゲット部の識別のみに限定されない。

0046

実施例1では、アレイ型超音波センサ101を上部金属板104上に一つだけ設置していたが、図12に示すように、第一のアレイ型超音波センサ101を上部金属板104上に設置し、第二のアレイ型超音波センサ1201を下部金属板105上に第一のアレイ型超音波センサ101と金属板を挟んで対称な位置に設置する構成でも良い。溶接する金属板の枚数が三枚以上の場合は、最下部の金属板に第二のアレイ型超音波センサ1201を設置すればよい。図13に示すように、第二のアレイ型超音波センサ1201の内部には、第一のアレイ型超音波センサ101と同様に、環状に複数の圧電振動素子1301が内蔵されており、超音波が透過する材質で作製されたくさび1302を介して下部金属板105に超音波が入射される。第二のアレイ型超音波センサ1201の圧電振動子1301の配置は第一のアレイ型超音波センサ101の圧電振動素子201と必ずしも同じである必要はないが、好ましくは圧電振動素子1301の配置も圧電振動素子201と金属板を挟んで対象な位置となっていることが望ましい。

0047

ここで、第二のアレイ型超音波センサ1201に内蔵された圧電振動素子1301に含まれる各々の圧電振動素子を1301−1、1301−2、1301−3、・・・1301−n(nは第一のアレイ型超音波センサ101の圧電振動素子201の総数、または第二のアレイ型超音波センサ1201の圧電振動素子1301の総数)と呼ぶことにする。また、第一のアレイ型超音波センサ101に内蔵された圧電振動素子201−mと、金属板を挟んで対称な位置にある圧電振動素子を圧電振動素子1301−mとする。

0048

第一のアレイ型超音波センサ101の圧電振動素子201−1から送信されたガイド波を圧電振動素子1301−1から1301−nで受信する。圧電振動素子201−1から発信されたガイド波は、上部金属板104上を伝播していき、減衰しながらスポット溶接部100を透過し、上部金属板104と下部金属板105に伝播する。このとき、下部金属板に伝播した成分は、圧電振動素子1301で受信することが可能である。下部金属板105に伝播するのは、溶着している部分だけである。

0049

圧電振動素子201を圧電振動素子1301と読み替えて、実施例1の図8処理フローを実施すれば、図15に示すような、溶着している部分だけが着色された画像が得られる。これを用いて実施例1と同様の方法で溶着部の面積を算出することも可能である。
その他の処理については実施例1と同様であるため説明は省略する。

0050

上記の手段により、スポット溶接の良否を精度良く、視覚的に分かり易く、効率良く判断することが可能となる。

0051

以上の説明においては、金属板のスポット溶接検査に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されない。アルミ板の溶接検査や他の無機および有機材質の板の溶接検査にも適用可能である。溶接部もスポット溶接によるものだけでなく、一般的な溶接方法によって形成された溶接部に適用できる。又、溶接枚数も2枚に限定されず、スポット溶接部の健全性の評価も、ナゲット部の識別のみに限定されない。

実施例

0052

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0053

100…スポット溶接部
101…アレイ型超音波センサ
102…送・受信部
103…表示部
104…上部金属板
105…下部金属板
201…圧電振動素子
202…くさび
203…伝播経路
204…伝播経路
301…ナゲット
501…縦波超音波
502…ガイド波
701…領域
702…領域
703…点
901…画像格子
902…伝播経路
903…画素
1201…第二のアレイ型超音波センサ
1301…圧電振動素子
1302…くさび

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社日立製作所の「 超音波計測装置および方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】本発明の目的は、得られる信号に対してノイズが強い場合でも、信号とノイズを識別できる超音波計測置及び方法を提供することにある。【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、複数の参照波形を記憶... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 ろう付け装置及びろう付け異常検出方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】効率的なろう付けを行うことを課題とする。【解決手段】正常にろう付けされた状態に関する情報である基準データを格納する記憶部130と、ろう付け箇所の表面外形に関する情報を取得する監視部110と、ろ... 詳細

  • 今西直人の「 構造内部変状特性検出装置」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】構造内部に存在する内部変状の特性を、構造に加えた刺激と、それに対する構造の応答とを用いて検出する方法の適用において、実測によって内部変状の特性を外部から観察又は測定することが困難であるため内部... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ