図面 (/)

技術 刃先調整装置

出願人 株式会社タンガロイ
発明者 佐治龍一
出願日 2016年10月17日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-203562
公開日 2017年1月19日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2017-013227
状態 特許登録済
技術分野 バイト、中ぐり工具、ホルダ及びタレット フライス加工
主要キーワード 略円筒状部分 変位伝達機構 当接対象 凹状湾曲 凹状湾曲面 ダイヤルインジケータ 横断面形 変位伝達部材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

カム等の回転部材によって容易かつ高精度に刃先位置を調整することが可能な刃先調整装置を提供する。

解決手段

そのために、切削インサート(4)を移動させてその刃先の位置の調整を行うための切削工具の刃先調整装置(1)は、前記移動を生じさせるための回転部材(5)を備える。回転部材(5)は、半径が一定の略円筒状部分(17,18)と、前記移動の量に対応させて半径が漸次拡大するカム面を有するカム部分(19)と、が回転中心軸(O)方向に並んだ形状を有する。半径が線形的に拡大する区間を有するようにカム面を構成することで、回転中心軸を中心とした回転部材(5)の単位回転角度と切削インサート(4)の単位移動量とが比例関係にあるようにする。

概要

背景

従来、刃先交換式切削工具の分野においては、切削インサート刃先の位置を微調整するための刃先調整装置が多数存在している。刃先調整装置は、主に、転削工具において複数個の切削インサートの切れ刃位置を一定に揃えるために使用される。それに限らず、旋削工具穴あけ工具においても、工具ボデーに対する刃先の飛び出し量を調整したい場合などに用いられている。

刃先調整装置の一例として、特許文献1には、カムを利用した刃先調整装置のいくつかの実施形態が開示されている。この刃先調整装置は、工具ボデー(フライス本体)に装着される切削インサートの切削インサートに当接する2つのカム面と、切削インサートを工具ボデーに固定するくさびと、から基本的に構成されており、カムを回転させることによって切削インサートが直接的に押圧されて、切削インサートの刃先位置の調整が行われている。

概要

カム等の回転部材によって容易かつ高精度に刃先位置を調整することが可能な刃先調整装置を提供する。そのために、切削インサート(4)を移動させてその刃先の位置の調整を行うための切削工具の刃先調整装置(1)は、前記移動を生じさせるための回転部材(5)を備える。回転部材(5)は、半径が一定の略円筒状部分(17,18)と、前記移動の量に対応させて半径が漸次拡大するカム面を有するカム部分(19)と、が回転中心軸(O)方向に並んだ形状を有する。半径が線形的に拡大する区間を有するようにカム面を構成することで、回転中心軸を中心とした回転部材(5)の単位回転角度と切削インサート(4)の単位移動量とが比例関係にあるようにする。

目的

本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、カムなどの回転部材を利用した刃先位置の調整を容易且つ迅速にしてしかも精度高く行うことができるようにすることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

切削インサート(4)を移動させてその刃先の位置の調整を行うための切削工具の刃先調整装置(1)であって、前記移動を生じさせるための少なくとも1つの回転部材(5)を備え、前記回転部材(5)は、半径が一定の外周面を有する少なくとも1つの略円筒状部分(17,18)と、前記移動の量に対応させて半径が漸次拡大するカム面を有する少なくとも1つのカム部分(19)と、が回転中心軸(O)方向に並んだ形状を有し、前記回転部材(5)を前記回転中心軸(O)を中心に回転させることに伴う前記カム面の作用によって、前記切削インサート(4)が前記回転部材(5)に直接的に又は間接的に押圧されることで、前記刃先の位置を調整する、刃先調整装置(1)。

請求項2

前記カム面は略全周にわたって半径が線形的に拡大している、請求項1に記載の刃先調整装置(1)。

請求項3

前記回転部材(5)の単位回転角度と前記切削インサート(4)の単位移動量とが比例関係にある、請求項1又は2に記載の刃先調整装置(1)。

請求項4

前記切削インサート(4)は前記略円筒状部分(17,18)及び前記カム部分(19)の一方に対する当接対象となる部分(30)を有するカートリッジ(3)に固定されており、前記カートリッジ(3)は前記略円筒状部分(17,18)及び前記カム部分(19)の他方に対する当接対象となる部分(13)を有する工具ボデー(2)上に配置されており、前記回転部材(5)の回転に伴って前記カム部分(19)の前記カム面が、当接対象となる前記当接対象に当接する位置を変えることによって、前記回転部材(5)が前記カートリッジ(3)を押圧することで前記刃先の位置を調整する、請求項1から3のいずれかに記載の刃先調整装置(1)。

請求項5

前記カートリッジ(3)は、前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲面部(31,32)を有している、請求項4に記載の刃先調整装置(1)。

請求項6

前記カートリッジ(3)は、前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲面部(31,32)と、前記カム部分(19)と隣接するが当接しない凹状湾曲面部(33)と、をそれぞれ少なくとも1つ有する、請求項5に記載の刃先調整装置(1)。

請求項7

前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲面部(31,32)は、前記回転中心軸に平行な方向から見て、前記回転部材(5)側に端部を有する略C字形状をなしており、前記略C字形状の端部間の距離(L)は、前記回転部材(5)の前記略円筒部分(17,18)の直径よりも小さく、前記略C字形状の少なくとも一方の端部は、弾性変形することが可能な弾性変形部(39)として形成されている、請求項6に記載の刃先調整装置(1)。

請求項8

前記回転部材(5)は、半径が一定の第1および第2の略円筒状部分(17,18)と、前記カム部分(19)と、を有し、前記第1の略円筒状部分(17)と、前記カム部分(19)と、前記の第2の略円筒状部分(18)と、が回転中心軸(O)方向に順に接続されており、前記カートリッジ(3)は、前記第1の略円筒状部分(17)の外周面と当接するように設けられた第1の凹状湾曲面部(31)と、前記第2の略円筒状部分(18)の外周面と当接するように設けられた第2の凹状湾曲面部(32)と、前記第1及び2の凹状湾曲面部(31,32)よりも深く凹陥することで、前記カム部分(19)の前記カム面とは隣接するが当接しないように設けられた第3の凹状湾曲部(33)と、を有している、請求項6又は7に記載の刃先調整装置(1)。

請求項9

前記カートリッジ(3)の前記第1及び第2の凹状湾曲面部(33)は、それぞれ、部分的にのみ前記回転部材(5)の前記第1及び第2の略円筒状部分(17,18)の外周面と当接する、請求項8に記載の刃先調整装置(1)。

請求項10

前記カートリッジ(3)の前記第1及び第2の凹状湾曲面部における前記回転部材(5)の前記第1及び第2の略円筒状部分(17,18)の外周面と当接する部分(34,36,38)は、前記切削インサート(4)の移動方向に向くように設けられた当接面(36)及び前記切削インサート(4)の移動方向に略直交する方向に向くように設けられた当接面(34,38)である、請求項9に記載の刃先調整装置(1)。

請求項11

前記カートリッジ(3)には、前記工具ボデー(2)への固定を行うために固定ネジ(9)が挿通される貫通穴の形態の固定穴(25)が設けられており、前記固定穴(25)は、前記切削インサート(4)の移動方向に相対的に長く伸びた略長穴形状又は略楕円形状を有している、請求項4から10のいずれかに記載の刃先調整装置(1)。

請求項12

前記固定穴(25)は、相対的に径が大きな大径穴(26)と、相対的に径の小さな小径穴(27)と、が段部を介して深さ方向に接続した形状を有しており、前記大径穴(26)の直径は前記固定ネジ(9)の頭部(29)の直径よりも大きく、前記小径穴(27)の直径は前記固定ネジ(9)の頭部(29)の直径よりも小さく且つ前記固定ネジ(9)の体部(28)の直径よりは大きく、及び、前記大径穴(26)の深さは前記固定ネジ(9)の頭部(29)の高さよりも深い、請求項11に記載の刃先調整装置。

請求項13

前記カートリッジ(3)の固定穴(25)は、その深さ方向の軸が、前記切削インサート(4)の移動方向と略直交し且つ前記固定穴(25)が開口する前記カートリッジ(3)の上面に対して傾斜している、請求項11又は12に記載の刃先調整装置(1)。

請求項14

前記切削インサート(4)は、前記回転部材(5)によって直接的に押圧されるために前記回転部材(5)と当接する部分(30’)を有している、請求項1から3のいずれかに記載の刃先調整装置(1)。

請求項15

前記回転部材(5)と前記切削インサート(4)との間には少なくとも1つの押圧部材が介在しており、前記切削インサート(4)は、前記押圧部材を介して前記回転部材(5)に押圧され、前記押圧部材は、前記回転部材(5)と当接する部分(30)を有している、請求項1から3のいずれかに記載の刃先調整装置(1)。

請求項16

前記回転部材(5)と当接する部分は、前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲面部と、前記カム部分(19)と隣接するが当接しない凹状湾曲面部と、をそれぞれ少なくとも1つ有する、請求項14又は15に記載の刃先調整装置(1)。

請求項17

前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲面は、前記回転中心軸に平行な方向から見て、前記回転部材(5)側に端部を有する略C字形状をなしており、前記略C字形状の端部間の距離は、前記回転部材(5)の前記略円筒部分(17,18)の直径よりも小さく、前記略C字形状の少なくとも一方の端部は、弾性変形することが可能な弾性変形部として形成されている、請求項16に記載の刃先調整装置(1)。

請求項18

前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)と当接する凹状湾曲部は、部分的にのみ、前記回転部材(5)前記略円筒状部分(17,18)の外周面と当接する、請求項17に記載の刃先調整装置(1)。

請求項19

前記回転部材(5)の前記略円筒状部分(17,18)の外周面と当接する部分は、前記切削インサート(4)の移動方向に向くように設けられた当接面及び前記切削インサート(4)の移動方向に略直交する方向に向くよう設けられた当接面である、請求項18に記載の刃先調整装置(1)。

請求項20

前記回転部材(5)の回転量を表示するための目盛及びこれを指示する指示マークを備え、前記回転部材(5)は視認可能な端面を有し、前記端面に前記目盛または前記指示マークが設けられている、請求項1から19のいずれかに記載の刃先調整装置(1)。

請求項21

前記略円筒状部分(17,18)と前記カム部分(19)とを備え、請求項1から20のいずれかに記載の刃先調整装置(1)に適用される、回転部材(5)。

請求項22

前記切削インサート(4)が直接的又は間接的に取り付けられるとともに、請求項1から20のいずれかに記載の刃先調整装置(1)を搭載するための構造を備えた、工具ボデー(2)。

請求項23

前記切削インサート(4)を連結するとともに、請求項4から13のいずれかに記載の刃先調整装置(1)に適用される、カートリッジ(3)。

請求項24

請求項14に記載の刃先調整装置(1)に適用される回転部材(5)に直接的に押圧されるために、当該回転部材(5)と当接する凹状湾曲面部を備えた、切削インサート(4’)。

技術分野

0001

本発明は、刃先調整装置、該装置に適用される回転部材、並びに、前記装置に適した構造を有する工具ボデーカートリッジ及び切削インサートに関する。より詳細には、本発明は、刃先交換式切削工具に装着された切削インサートの刃先位置の調整を可能とする刃先調整装置並びにこれに関連した回転部材、工具ボデー、カートリッジ及び切削インサートの構造に関する。

背景技術

0002

従来、刃先交換式切削工具の分野においては、切削インサートの刃先の位置を微調整するための刃先調整装置が多数存在している。刃先調整装置は、主に、転削工具において複数個の切削インサートの切れ刃位置を一定に揃えるために使用される。それに限らず、旋削工具穴あけ工具においても、工具ボデーに対する刃先の飛び出し量を調整したい場合などに用いられている。

0003

刃先調整装置の一例として、特許文献1には、カムを利用した刃先調整装置のいくつかの実施形態が開示されている。この刃先調整装置は、工具ボデー(フライス本体)に装着される切削インサートの切削インサートに当接する2つのカム面と、切削インサートを工具ボデーに固定するくさびと、から基本的に構成されており、カムを回転させることによって切削インサートが直接的に押圧されて、切削インサートの刃先位置の調整が行われている。

先行技術

0004

特開平1−295709号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に開示されているような、カムを用いる従来の刃先調整装置においては、カムの回転量と刃先の移動量との関係については考慮されていない。したがって、従来の刃先調整装置では、作業者にとってカムを回転させる動作に関連付けて必要な距離だけ刃先を移動させることが困難となり、刃先位置を正確に調整する作業が難しく、且つ時間も要するという問題があった。

0006

本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、カムなどの回転部材を利用した刃先位置の調整を容易且つ迅速にしてしかも精度高く行うことができるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の第1の形態では、切削インサート(4)を移動させてその刃先の位置の調整を行うための切削工具の刃先調整装置(1)であって、
前記移動を生じさせるための少なくとも1つの回転部材(5)を備え、
前記回転部材(5)は、半径が一定の外周面を有する少なくとも1つの略円筒状部分(17,18)と、前記移動の量に対応させて半径が漸次拡大するカム面を有する少なくとも1つのカム部分(19)と、が回転中心軸(O)方向に並んだ形状を有し、
前記回転部材(5)を前記回転中心軸(O)を中心に回転させることに伴う前記カム面の作用によって、前記切削インサート(4)が前記回転部材(5)に直接的に又は間接的に押圧されることで、前記刃先の位置を調整する、刃先調整装置(1)が提供される。

0008

また、本発明の第2の形態では、前記略円筒状部分(17,18)と前記カム部分(19)とを備え、上記刃先調整装置(1)に適用される、回転部材(5)が提供される。

0009

さらに、本発明の第3の形態では、前記切削インサート(4)が直接的又は間接的に取り付けられるとともに、上記刃先調整装置(1)を搭載するための構造を備えた、工具ボデー(2)が提供される。

0010

また、本発明の第4の形態では、前記切削インサート(4)を保持するとともに、上記刃先調整装置(1)の回転部材(5)が有する前記略円筒状部分(17,18)又は前記カム部分(19)に対する当接対象となる部分(30)を有するカートリッジ(3)が提供される。

0011

加えて、本発明の第5の形態では、上記刃先調整装置(1)に適用される回転部材(5)に直接的に押圧されるために、当該回転部材(5)と当接する凹状湾曲面部を備えた、切削インサート(4’)が提供される。

発明の効果

0012

本発明によると、刃先の位置の調整に際して回転部材の回転量と刃先の移動量との対応を把握し、刃先位置調整作業の容易化、迅速化及び高精度化に資することが可能となる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の刃先調整装置の一実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図である。
図1に示されている刃先調整装置における工具ボデーの構成例を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は(A)のIIC方向から見た側面図である。
図1に示されている刃先調整装置における回転部材の構成例を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は(B)のIIIC方向から見た側面図である。
図1に示されている刃先調整装置におけるカートリッジの構成例を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は(A)のIVC方向から見た側面図である。
図4のカートリッジの回転部材保持部の構成例を示し、(A)〜(C)はそれぞれ異なる方向から見た拡大斜視図である。
本発明の一実施形態に係る刃先調整装置の組立工程を説明するための図であり、(A-1)及び(A-2)は、それぞれ、カートリッジの平面図及びその固定穴付近のVIA-2−VIA-2線断面図、(B-1)及び(B-2)は、それぞれ、固定ネジが挿入されているときのカートリッジの平面図及びその固定穴付近のVIB-2−VIB-2線断面図、(C-1)及び(C-2)は、それぞれ、カートリッジが工具ボデー上に載置されている状態の平面図及びその固定穴付近のVIC-2−VIC-2線断面図、(D-1)及び(D-2)は、それぞれ、カートリッジが工具ボデー上に載置されて固定ネジが挿入されている状態の平面図及びその固定穴付近のVID-2−VID-2線断面図である。
カートリッジに回転部材が組み付けられている状態を示し、(A)はその平面図、(B)は側面図である。
本発明の一実施形態に係る刃先調整装置の初期状態(刃先の移動量がゼロ)を示し、(A)は平面図、(B)は(A)のVIIIB−VIIIB線断面図である。
図8の状態から刃先を移動させた状態での刃先調整装置を示し、(A)は平面図、(B)は(A)のIXB−IXB線断面図である。
本発明の別の実施形態に適用される切削インサートの構成例を示す模式的な平面図である。

実施例

0014

以下、本発明の刃先調整装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

0015

本実施形態の刃先調整装置1は、図1の(A)及び(B)に示されているように、工具ボデー2に、切削インサート4が着脱自在に装着されたカートリッジ3と、カム面を有する回転部材5と、が隣接して配置された構成を基本的に有している。ここで図示されている工具ボデー2は、工具ボデー全体のうち刃先調整装置1のみを示した図である。本実施形態の刃先調整装置1は、旋削工具、転削工具、穴あけ工具といった全ての切削工具に適用することが可能である。すなわち、本実施形態の刃先調整装置1は、工具ボデー2を含めた全体的形状が略直方体であるが、工具ボデー2ないし刃先調整装置1は、適用される切削工具に応じて適宜の形態及び形状を有し得ることは勿論である。

0016

なお、略直方体の全体形状を有した本実施形態の刃先調整装置1において、切削インサート4が取り付けられる側の端部を先端、それと反対側の端部を基端と称する。そして、以下の説明においては、その基端から先端に向かう方向に平行な軸をX軸、これと直交する2軸をそれぞれY軸及びZ軸として定義する。また、本実施形態の刃先調整装置1はX軸の方向に最も長い寸法を有するものとし、その方向にカートリッジ3を移動させることによって刃先調整すなわち切削インサート4の位置の調整が実現されるものとする。

0017

工具ボデー2には、図2の(A)〜(C)に示されているように、カートリッジ3及び回転部材5を収納及び固定するための凹部6が設けられている。この凹部6は、工具ボデー2の先端側から基端側に向かって一定距離にわたって設けられ、X−Z平面と平行に延在する側面10と、これに直交してY−Z平面と平行に延在する基端側の側面11とによって画成されている。以下では、かかる凹部6の側面10を含め、X−Z平面と平行に延在する側面を長手側側面とし、凹部6の側面11を含め、長手側側面に直交してY−Z平面と平行に延在する側面を短手側側面として参照することがある。

0018

凹部6の底面7はX−Y平面と平行に延在する実質的に平坦な面より構成されており、略中央部にはネジ穴8が設けられている。これはカートリッジ3を工具ボデー2に固定するための固定ネジ9を挿入するための穴である。このネジ穴8は、X軸に平行なカートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)とは略直交し且つ底面7に対して傾斜している方向に形成されている。本実施形態においては、ネジ穴の奥側が凹部6の長手側側面10の側に偏倚するように形成されている。また、凹部6の底面7上には、凹部6の短手側側面11と隣接して、回転部材5のZ軸方向の回転中心軸を中心とした回転とX軸方向への移動を許容しつつ回転部材5を保持するための略長穴形状又は略楕円形状を有する回転部材保持穴12が設けられている。凹部6の長手側側面10はX−Z平面と平行に延在する実質的に平坦な面より構成されており、カートリッジ3の長手側側面と当接する。

0019

凹部6の短手側側面11には、回転部材5を保持することが可能な回転部材収納部13が設けられている。この回転部材収納部13は、Z軸方向に並ぶ3つの凹状湾曲部分14,15,16から構成されている。第1の凹状湾曲部分14は、短手側側面11のY軸の方向の略中央の位置において、工具ボデー2の上面に沿って形成されている。第2の凹状湾曲部分15は、Y軸の方向の略中央の位置において、底面7の回転部材保持穴12の側面と一体的に形成されている。第3の凹状湾曲部分16は、第1及び第2の凹状湾曲部分14,15の間において、第1及び第2の凹状湾曲部分14,15よりも深く凹陥するように形成されている。この第3の凹状湾曲部16はさらに3つの部分から構成されている。すなわち、帯状をしている第3の凹状湾曲部分16において、両端部側に設けられた2つの曲面部分の間に1つの平面部分が挟まれた形状となっている。

0020

回転部材5は、図3の(A)〜(C)に示されているように、2つの端面と、それら端面を接続する外周面と、を有する略円筒状の部材であり、回転中心軸Oを有する。この回転部材5は、同一の回転中心軸Oを有する2つの略円筒状部分17及び18と、回転中心軸Oに対して偏心している第3の略円筒状部分(以下、カム部分としても参照される)19と、が回転中心軸O方向(Z軸の方向)に並んだ構成となっている。第1の略円筒状部分17は、略円形横断面形状を有しており、回転部材5の一方の端面を有する。第2の略円筒状部分18は、略円形の横断面形状を有しており、回転部材5の他方の端面を有する。この実施形態では、第1の略円筒状部分17の横断面円形の直径と第2の略円筒状部分18の横断面円形の直径とは略同一である。カム部分19は、第1の略円筒状部分17と第2の略円筒状部分18と間に設けられている。すなわち、この実施形態では、第1の略円筒状部分17とカム部分19とが接続され、さらにカム部分19と第2の略円筒状部分18とが接続されている。

0021

カム部分19の横断面形状は、図3の(B)に示されているように、回転中心軸Oから外周面までの距離(すなわち、半径)が、周方向に沿って漸次増大していく形状となっている。すなわち、図3の(B)における地点Aから、図面の反時計方向で地点Bに向かって回転中心軸Oから外周面までの半径が漸次増大するスパイラル形状をなしている。したがって、地点Aにおいて半径は最小であり、地点Aから反時計方向に略1周した地点Bにおいて半径は最大となっている。地点Aから地点Bに向かって半径が増大する比率は一定に維持され、したがってカム部分19は半径が線形的に増大するカム面を有するように形成されている。すなわち、地点Aから地点B方向への回転角度をθ°とし、カム部分19の半径の変化量をΔRとすると、ΔR=a×θの関係式を満たす。ここで、aは任意の比例定数である。また、地点Aにおける半径(カムの最小半径)は、第1及び第2の略円筒状部分17,18の円形横断面の半径よりも大きい。

0022

回転部材5の一方の端面、すなわち操作を受容可能かつ視認可能な端面の中央には、回転部材5を回転させるための道具(例えばレンチドライバ)を挿入するための係合穴20が形成されている。また、その係合穴20の周囲には例えば線状のマーク21が刻設によって複数形成されている。これらのマーク21は刃先の移動量に対応した角度位置に形成されることで目盛を構成しており、作業者はこの目盛と後述の指示マークとを参照することで、必要な距離だけ刃先を移動させることができる。この目盛を構成するマーク21のピッチ(間隔)は、例えば0.01mmまたは0.1mmなど、刃先の移動量に対応するようにするとよい。カム部分19の形状、すなわち比例定数aを任意に調整することにより、刃先の位置の調整可能な範囲を選択できる。

0023

なお、図3の(A)及び(B)に示すように、回転部材5を略1周する範囲にわたって半径が線形的に増大するようにカム部分19を形成するとともに、上面側の円形端面を略1周する範囲にわたって複数のマーク21を等間隔(等回転角度)に形成することが最も望ましいが、本発明はこれに限定されない。例えば、地点Aから地点Bまでの間で、段階的に比例定数aが変化するような構成も可能である。このような構成にあってマーク21の間隔と刃先の移動量とを一対一対応付ける場合、比例定数aが一定のそれぞれの区間内においてはマーク21の間隔がそれぞれ一定となる一方、異なる区間の間の関係ではマークの間隔が異なっているようにする(比例定数が大きい区間ではマーク間隔を相対的に小とし、小さい区間ではマーク間隔を相対的に大とする)ことができる。また、比例定数aが連続的に変化(例えば漸増)するような構成とすることも可能であり、それに合わせてマークの間隔が変化(例えば漸減)するようにすればよい。これらのような構成でも、目盛に合わせて一目瞭然に刃先の位置を調整できるという利点が得られる。

0024

図3において複数のマークのうち、線状ではなく円形状に形成したマーク22は、刃先の初期状態(すなわち、カートリッジ3ないしは切削インサート4の移動量がゼロである状態)を示すためのセットマークとなるものであり、この実施形態では、地点Aに対して回転中心軸Oを中心として180°反対の位置に形成されている。すなわち、後述するカートリッジ3に形成された指示マーク41の位置にセットマーク22を合わせたときの回転位置がカートリッジ3ないしは切削インサート4の移動量がゼロである基準位置となり、その位置から回転部材5を時計方向に回転させることによって、カートリッジ3ひいては切削インサート4の刃先を基準位置から基端方向に移動させることが可能となる。

0025

なお、この実施形態では、回転部材5の略1回転の範囲において半径が反時計方向に線形的に増大するようなカム面を有するカム部分19を用いたが、本発明はかかる実施形態には限定されない。例えば、カムの半径は時計方向に増大するものであってもよいし、カム面として機能する範囲は回転部材5の1回転未満の適切な範囲とすることができる。

0026

また、回転部材5は、前述した形状に限定されることはない。例えば、回転部材5は、カム部分、略円筒状部分、カム部分、の順に並んだ構成とされていてもよいし、1つのカム部分と1つの略円筒状部分のみから構成されていてもよい。すなわち、半径が一定の少なくとも1つの略円筒状部分と、回転角度に応じて半径が漸増する少なくとも1つのカム部分と、を有していればよい。当然ながら、工具ボデー2の短手側側面11の回転工具保持面13の構成は、回転部材5の形状に合わせて適宜変更することが可能である。

0027

さらに、本実施形態においては、上述した略長穴形状又は略楕円形状を有する回転部材保持穴12に保持された回転部材5は、回転中心軸の周りに回転するだけではなく、半径拡大方向への回転に伴ってX方向へのずれが許容されるようにした。しかしこのような構成とする代わりに、回転部材5についてはその回転中心軸のまわりの回転のみが許容されるようにする一方、略円筒状部分17及び18が回転中心軸Oに対して適宜偏心しているようになし、回転中心軸からの距離が大きい略円筒状部分17及び18上の地点が回転部材保持部30の対応部位と漸次接触してゆくように構成することも可能である。

0028

カートリッジ3は、図4の(A)〜(C)に示されているように、上面と、下面と、それらを接続する側面と、から構成された略直方体形状の全体形状を有している。上面において、略直方体の一方の短手側側面(先端側側面)及び長手側側面に隣接する箇所には、切削インサート4を装着するためのインサート座23が設けられている。より詳細には、上面の1つの隅部を切り欠くように、インサート座23としての凹部が形成されている。インサート座23の底面には切削インサート4をカートリッジ3に固定するためのネジ穴24が設けられている。インサート座23の形状は、装着する切削インサート4の形状にあわせて適宜変更することが可能である。また、上面の略中央には、カートリッジ3を工具ボデー2に固定ネジ9によって固定するための固定穴25が設けられている。この固定穴25は、後述のようにカートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)に長く伸びた略長穴形状又は略楕円形状をなす小径穴を有している(図4の(B)参照)。

0029

図6の特に(A-2)に最もよく示されているように、固定穴25の内部には、上面側から下面側に向かって径が縮小する段部が形成されている。すなわち、固定穴25は、カートリッジ3の上面側から下面側に向けて、相対的に径が大きな大径穴26と、相対的に径が小さな小径穴27と、が段部を介して接続した形状となっている。大径穴26は固定ネジ9の体部28及び頭部29の直径よりも大きな直径を有しており、小径穴27は固定ネジ9の体部28の直径よりは大きいが頭部29の直径よりは小さい直径を有している。そのため、固定ネジ9の頭部29は、大径穴26を通過することはできるが小径穴27には入らずに段部上面に当接することになる。大径穴26の深さは、固定ネジ9の頭部29の高さ以上の長さであることが好ましい。また、少なくとも小径穴27は、カートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)に長く伸びた略長穴形状又は略楕円形状をなしている。この固定穴25は、工具ボデー2に設けられたネジ穴8と同じ方向に向けて傾けて形成されている。すなわち本実施形態の場合、固定穴25は、その深さ方向がインサート座23として切り欠かれている長手側側面とは反対方向の長手側側面に向うように傾けて形成されている。そして、カートリッジ3を工具ボデー2に装着したとき、カートリッジ3の固定穴25と工具ボデー2のネジ穴8とは、一直線上に並ぶ(図6の(C-2)および(D-2)参照)。

0030

また、図4の(A)及び(B)に示されているように、インサート座23が形成されている側とは反対の短手側側面には、回転部材5を保持するための回転部材保持部30が設けられている。回転部材保持部30はカートリッジ内方に向かって湾曲する(X軸の方向に窪む)ように形成された凹部であり、3つの凹状湾曲面部分31,32,33より構成されている(図4の(C)参照)。より詳細には、回転部材5の2つの略円筒状部分17及び18とそれぞれ当接する部分を有する2つの凹状湾曲面部(第1の凹状湾曲面部31及び第2の凹状湾曲面部32)と、回転部材5のカム部分19と隣接するが当接はしない1つの凹状湾曲面部(第3の凹状湾曲面部33)と、からなっている。

0031

図5の(A)及び(B)に示されているように、第1の凹状湾曲面部31は、カートリッジ3の上面に隣接して形成されており、主に5つの部分から構成されている。すなわち、帯状である曲面部の端部から順に、回転部材5と当接する面34と、回転部材5とは当接しない逃がし面35と、回転部材5と当接する面36と、回転部材5とは当接しない逃がし面37と、回転部材5と当接する当接面38と、が連続して設けられている。回転部材5と当接しない逃がし面35,37は、回転部材5と当接する面34,36,38よりもカートリッジ内方に向かって凹陥した形状を有している。そして、帯状の曲面全体において、回転部材5と当接する3つの面34,36,38のうち、当接面36はX軸に平行なカートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)に向くように設けられ、他の2つの当接面34,38はカートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)と略直交するY軸の方向にそれぞれ向くように設けられている。第2の凹状湾曲面部32は、カートリッジ3の下面に隣接していており、第1の凹状湾曲面部31と同様の5つの面34〜38を有している。

0032

第3の凹状湾曲面部33は、第1の凹状湾曲面部31と第2の凹状湾曲面部32との間に設けられており、第1及び第2の凹状湾曲面部31,32よりもカートリッジ内方に向かって大きく凹陥した形状を有している。この第3の凹状湾曲面部33は全体が連続した1つの曲面より構成されており、これによって回転部材5のカム部分19を収納するための空間が画定されている。ここで、第1及び第2の凹状湾曲面部31,32と第3の凹状湾曲面部33との間の最小の段差C(図5の(C)参照)は、回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の半径とカム部分19の地点Bにおける半径(カムの最大半径)との差分D(図3の(B)参照)よりも大きい。

0033

さらに、第1及び第2の凹状湾曲面部31,32は、図4の(B)に示されているように、カートリッジ3を平面視した場合、すなわちZ軸に平行な方向から見た場合において略C字形状に形成されており、このC字形状の2つの端部間の長さLは回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の直径よりも短い。また、第1及び第2の凹状湾曲面部31,32の各々の一方の端部は、他方の端部と比較してY軸の方向の厚さが薄くなるように形成されている。この厚さが薄く形成されている端部は、凹曲面の内側から力を加えることによって外方に弾性変形することが可能な弾性変形部39となる。この弾性変形部39の端部内側には、面取り40が施されていてもよい。また、第1の凹状湾曲面部31に隣接した上面部分には、例えば円形状とした指示マーク41が付けられており、これは、カートリッジ3ないしは切削インサート4の移動量すなわち刃先の移動量を示すための基準となるセットマークである。回転部材5を回転させ、指示マーク41に対して略円筒状部分17のいずれかのマーク21を適切に位置合わせすることで、所望の距離だけ刃先を移動させることが可能となる。

0034

以上説明したカートリッジ3の回転部材保持部30の形状は、回転部材5の形状に合わせて適宜変更することが可能である。例えば、回転部材5が、カム部分と、略円筒状部分と、カム部分と、が順に並んだ構成をなしている場合であっても、カートリッジ3の回転部材保持部30の形状をそれに合わせた形状にすることが可能である。

0035

次に、工具ボデー2に対するカートリッジ3及び回転部材5の組み付けについて詳細に説明する。

0036

カートリッジ3は、図6の(A-1)及び(A-2)に示すように、上面側から下面側に向けて、相対的に径が大きな大径穴26と、相対的に径が小さな小径穴27と、が段部を介して接続された形状の固定穴25を有している。そのため、図6の(B-1)に示すように固定ネジ9を固定孔25に挿入した場合、図6の(B-2)に示すように、固定ネジ9の頭部29は小径穴27には入らずに段部上面に当接することになる。一方、固定穴25は、工具ボデー2に設けられたネジ穴8と同じ方向に向けて傾けて形成されているので、図6の(C-1)に示すようにカートリッジ3を工具ボデー2に載置すると、図6の(C-2)に示すようにカートリッジ3の固定穴25と工具ボデー2のネジ穴8とは一直線上に整列することになる。

0037

回転部材5は、図7の(A)及び(B)に示されているようにカートリッジ3及び工具ボデー2に組み付けられる。このとき、回転部材5は、カートリッジ3の上面と回転部材5の目盛が形成されている方の端面とが一致するように組み付けられる。前述したように、カートリッジ3の第1及び第2の凹状湾曲面部31,32は略C字形状をなしており、略C字形状の2つの端部間の距離Lは回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の直径よりも短い。しかし略C字形状をなす回転部材保持部30の開放部に対しX軸の方向に回転部材5を押し込むことによって、第1及び第2の略円筒状部分17,18の弾性変形部39は弾性変形を起こしてカートリッジ3の外方に広がる。そのため、回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18が通過できる程度に弾性変形部39が広がれば、回転部材5をカートリッジ3の回転部材保持部30に挿入することが可能になる。これによって、回転部材5がカートリッジ3の回転部材保持部30に保持されるとともに、弾性変形部39によって確実に支持される。

0038

この状態で、回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の外周面は、カートリッジ3の第1及び第2の凹状湾曲面部31,32の各々3か所の当接面34,36,38とのみ接触する。回転部材5の第3の略円筒状部分(カム部分)19の外周面は、カートリッジ3の第3の凹状湾曲面部33とは隣接するが接触しない。さらに、前述したようにカートリッジ3における最小の段差Cは回転部材5における差分Dよりも大きいため、回転部材5を回転させても、半径が漸次拡大していていくカム部分19がカートリッジ3の第3の凹状湾曲面部33に当接することがない。よって、回転部材5の回転が妨げられることがない。このようにして、回転部材5はカートリッジ3に保持される。また、インサート座23には切削インサート4が装着される。

0039

このように回転部材5を保持しているカートリッジ3は、図8の(A)及び(B)に示されているように、カートリッジ3の上面が工具ボデー2の上面と一致するように工具ボデー2に取り付けられる。このとき、カートリッジ3に保持された回転部材5の外周面と工具ボデー2の回転部材収納部13とが接するようにカートリッジ3は取り付けられる。回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の外周面は、工具ボデー2の第1及び第2の凹状湾曲部分14,15とそれぞれ当接する。回転部材5の第3の略円筒状部分(カム部分)19の外周面は、工具ボデー2の第3の凹状湾曲部分16と当接する。

0040

工具ボデー2において、第3の凹状湾曲部分16の平坦面(カム受け面)と第1及び第2の凹状湾曲部分14,15と間の段差E(図8の(B)参照)は、回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の半径とカム部分19の地点Aにおける半径(カムの最小半径)との差分F(図3の(B)参照)と実質的に同一の長さである。したがって、回転部材5の第3の略円筒状部分19の最小半径にあたる地点Aが工具ボデー2の第3の凹状湾曲部分16の平坦面と当接するときに、回転部材5及びカートリッジ3は工具ボデー2にほぼ隙間なく組み付けられる。すなわち、図8の(A)及び(B)に示されているように、このときが刃先の移動量がゼロ(つまり、切削インサート4の移動量がゼロ)の初期状態である。カートリッジ3は、図6の(D-1)及び(D-2)に示すように固定ネジ9をネジ穴8に螺合させることによって工具ボデー2に固定される。このとき、カートリッジ3側のセットマークである指示マーク41と回転部材5側のセットマーク22とが一致している。このようにして、工具ボデー2に対してカートリッジ3及び回転部材5が装着されて、本実施形態の刃先調整装置1が組みあがる。

0041

なお、回転部材5が図3に示されている実施形態のように構成されていない場合であっても、例えば、回転部材5が、カム部分と、略円筒状部分と、カム部分と、が順に並んだ構成をなしている場合であっても、前述したように、工具ボデー2及びカートリッジ3における回転部材5を保持する部分は回転部材5の形状に合わせた形状を有し得るので、基本的に上記と同様に組み付けることが可能である。

0042

次に、本実施形態の刃先調整装置1における刃先調節の態様、作用及び効果について詳細に説明する。

0043

初期状態においてはセットマーク22と指示マーク41とが位置合わせされている。この状態では、カムの最小半径にあたる地点Aが工具ボデー2の第3の凹状湾曲部分16の平坦面と当接していることで、カートリッジ3ひいては切削インサート4が最も基端側に偏倚した位置(刃先の最後退位置)にある。本実施形態の刃先調整装置1によって刃先を調整するとき、レンチ等を係合穴20に係合させ、回転部材5の第3の略円筒状部分19の半径(カムの半径)が拡大する方向に回転部材5を回転させる。回転前には、図8の(A)及び(B)に示されているように、カートリッジ3の回転部材5を保持する側の側面と工具ボデー2とはほぼ隙間なく接しているので、半径を拡大するための回転方向は回転部材5の端部に形成されたマーク21の配列を参照することによって容易に理解することが可能である。しかし半径を拡大するための回転方向を示す矢印等の表示が設けられていてもよい。また、半径の拡大方向を示す表示(例えば「+」)が回転方向を示す矢印とともに設けられていてもよい。

0044

回転部材5を初期位置からカム部分19の半径が拡大する方向に回転させると、半径が拡大するにつれて、すなわち半径がより大きいカム面の部位が工具ボデー2の第3の凹状湾曲部分16の平坦面と当接してゆくのにつれて、回転部材5の第1及び第2の略円筒状部分17,18の外周面と工具ボデー2の第1及び第2の凹状湾曲部分14,15との間に距離が生まれ、さらなる回転にしたがってその距離は大きくなる。すなわち、回転部材5を半径が拡大する方向に回転させることによって、カートリッジ3が先端方向(X軸の方向)に移動する(図9の(A)及び(B)参照)。

0045

このカートリッジ3の移動は、カートリッジ3を工具ボデー2に対して固定している固定ネジ9を固定穴25から抜き取っておかなくても、当該移動方向に長く伸びた略長穴形状又は略楕円形状をなしている固定穴25の小径穴27によって許容される。すなわち、固定ネジ9は、カートリッジ3を仮止めできる程度にネジ穴8に締め込まれている状態であってもよいし、完全に締め付けられている状態であってもよい。固定ネジ9の締め付けによって発生するカートリッジ拘束力最大値よりも、回転部材5の回転よって発生する押圧力の方が十分に大きければ、固定ネジ9を締め付けた状態であってもカートリッジ3を移動させることができるのである。そして、カートリッジ3に設けられている固定穴25は、カートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)に長く伸びた形状をしているため、固定穴25においては予め刃先調整方向に遊びが設けられている。したがって、固定ネジ9を締めている状態であっても、その遊びの分だけカートリッジ3を移動させることが可能である。このようにして回転部材5を回転させることで、カートリッジ3を移動させて所望の位置に刃先を調整することができる。固定ネジ9を仮止めしている場合には、それを調整後に完全に締め付ける操作を行えばよい。

0046

回転部材5のカム部分19は、平面視した図3の(B)に示されているように、地点Aから地点Bに向けて半径が略全周にわたって反時計方向に線形的に拡大する形状を有しており、本実施形態では回転部材5の単位回転角度量と径の単位拡大量とが比例関係にあるようにしている。したがって、回転部材5の単位回転角度量とカートリッジ3の単位移動量も比例関係にあるので、特許文献1に開示されたような従来のカム式刃先調整装置と異なり、作業者にとって刃先の移動量を調整することが非常に容易である。また、回転部材5の回転量と刃先の移動量とが無段階の比例関係にあるようにしたことで、刃先の位置を高精度に調整することも可能となる。この際、例えばL字形状のレンチを用いれば、係合穴20に係合していない方のレンチ部分の向きによって回転部材5の回転量ひいては刃先の移動量を知ることができる。しかし本実施形態のようにさらに回転部材5の端面に複数のマーク21およびセットマーク22で構成される目盛を設けることによって、刃先移動量の調節はより容易となる。すなわち、ダイヤルインジケータなどの測定器具を併用しなくても、正確且つ迅速に刃先の位置調整を行うことができる。また、刃先の移動量がゼロであることを示すセットマーク22を設けて指示マーク41と対応付けることで、刃先の移動量の管理はさらに容易となる。

0047

なお、マーク21、セットマーク22および指示マーク41の形状や形態は、図3の(B)等に示されているものに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、三角形四角形といった形状であってもよい。また、セットマークを表す「S」や、原点を表す「O」などの有意の文字記号又は数字であってもよい。さらに、それらのマークないし目盛は、上述のように刻設によって形成された形態とするほか、印刷あるいは印刷物の貼着によって形成された形態であってもよく、あるいは凸状に形成された形態であってもよい。加えて、指示マークを回転部材5の略円筒状部分17の端面に形成する一方、当該端面に隣接するカートリッジ3および/または工具ボデー2の上面部分に複数のマークを適宜形成して目盛を構成するようにすることもできる。

0048

また、回転部材5は、前述したように、カートリッジ3の弾性変形部39による弾性力によって第1及び第2の凹状湾曲面部31,32の各々の両端部間に確実に挟持される。そのため、カートリッジ3と回転部材5とが一体として高い剛性を有し、回転部材5を回転させて刃先を調整した後においても、回転部材5がずれ動いたりすることが抑制される。特に、切削加工においては、回転部材5には切削抵抗切削対象または工具ボデーの回転に伴う遠心力等に起因して大きな力がかかるため、このように取付剛性を高めることは大きな利点となる。さらに、回転部材5をカートリッジ3又は工具ボデー2に固定するためのネジ等が必要ないので、必要な部材点数が少なくてすむ。また、カートリッジ3を工具ボデー2から外した際に回転部材5が離脱するおそれがないため、回転部材5の紛失を防止することができる。さらに、弾性変形部39の端部に面取り40を施すことによって、回転部材5を滑らかにガイドすることが可能となり、弾性変形部39の破損を防止することができる。しかしながら、このように弾性変形を利用することによって達成される有利な利点を得ることはできないものの、本発明は、ネジ等の固定手段で回転部材5を固定する構成の採用を排除するものではない。

0049

さらに、カートリッジ3の第1及び第2の凹状湾曲面部31,32において、回転部材5と当接する部分は、X軸に平行なカートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)に向く当接面36と、カートリッジ3の移動方向とは略直交するY軸の方向に向く当接面34,38との3つの面に限定されており、それ以外の部分は逃がし面35,37となっている(図7の(A)参照)。これによって、第1又は第2の略円筒状部分17,18が製造上の公差によって若干変形していたとしても、安定した当接状態を常に保つことが可能である。したがって、回転部材5の製造上の公差による変形に起因する回転部材5のがたつきを抑制し、正確な刃先調整を行うことができる。さらに、カートリッジ3の第1及び第2の凹状湾曲面部31,32に対して、カートリッジ3の移動方向(すなわち、切削インサート4の位置の調整方向)は切削加工や刃先調整において最も力がかかる方向である。従って、その方向及びそれと略直交する方向に向く当接面を設けることによって、切削抵抗や刃先調整によって生じた力を確実に受け止め、横方向へのずれを防止することができる。よって、回転部材5を安定的に支持することができるのと同時に、回転部材5やカートリッジ3の破損を効果的に防止する効果も得られる。

0050

また、固定ネジ9が挿入されるカートリッジ3の固定穴25及び工具ボデー2のネジ穴8によって一体に形成される穴は、その深さ方向の軸が切削インサート4の移動方向(X軸の方向)に略直交し、且つ奥側が工具ボデー2の凹部6を画成する内側側面すなわち長手側側面10を向く方向(すなわち、カートリッジ3の上面に対して傾斜した方向)に傾けて設けられている。これにより、固定ネジ9を締め付けたとき、カートリッジ3には工具ボデー2の内側側面に押し付けられる力が加えられる。したがって、カートリッジ3の長手側側面と工具ボデー2の内側側面との間に隙間が生じることがないため、高精度の刃先調整を行うことが可能となるとともに、切りくずがその隙間に挟まって切り屑排出性が低下することがない。さらに、カートリッジ3の固定穴25は大径穴26と小径穴27とが段部によって接続した形状をしているので、固定ネジ9の頭部29をカートリッジ3の表面下に完全に収納することが可能である。そのため、切削加工によって生じた切りくずが固定ネジ9の頭部29によって阻害されることがなく、優れた切りくず排出性を得ることができる。

0051

以上説明したように、本実施形態の刃先調整装置1は、基本的に、工具ボデー2と、カートリッジ3と、切削インサート4と、回転部材5と、固定ネジ9と、からなる非常にシンプルな構成を有しているため、必要な部材点数を従来のものと比較して大幅に少なくすることができる。したがって、容易且つ迅速にしてしかも高精度に刃先を調整することができる刃先調整装置1を低コストで製造することが可能となる。

0052

なお、本発明は、上述した実施形態及びそれに関連して各所で説明した変形例に限られることなく、本願の請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、置換、変更が可能である。

0053

例えば、回転部材5の取付位置や取付方向を変更することによって、刃先の移動方向を任意に変更することも可能である。すなわち、本発明は、刃先を移動させることが必要とされる、もしくは好ましいと考えられる場合の全ての移動方向に対応して適用することが可能な調整装置を提供する。また、本発明に用いられる回転部材5の数は、上述のように1つに限られるものではなく、複数の回転部材5を組み合わせることもでき、それによってより複雑な位置調整を行うことも可能である。さらに、本発明は、旋削工具、転削用工具、穴あけ用工具等の全ての切削工具に適用することが可能であり、それぞれの工具ないし工具ボデーの形状や調節の目的に応じて、カートリッジ3や回転部材5の形状および配置場所を適宜変更することができる。

0054

また、上述のようなカートリッジ5を用いずに、切削インサート4を回転部材5が直接押圧するように構成することも可能である。この場合、図10に示すように、短手側側面に上記回転部材保持部30と同様の回転部材保持部30’を形成し、ここに回転部材5を受ける凹状湾曲面部を設けた切削インサート4’を構成することによって、回転部材5の固定性を向上させることができる。また、弾性変形部39’を設けること、さらにその端部内側に面取り40’を設けることも好ましい。さらに、切削インサート4’を工具ボデーに固定するための固定穴24’を上述したカートリッジ3の固定穴25と同様に構成することもできる。このとき、切削インサート4の大きさや加工性を考慮して、上述したカートリッジ3におけるものと同様の構成を切削インサート4に適用することが可能である。また、切削インサート4を保持し、さらに工具ボデー2に搭載されるカートリッジ3を設ける代わりに、切削インサート4と回転部材5との間に変位伝達部材としての別の押圧部材を少なくとも1つ介在させ、その押圧部材を介して回転部材5が切削インサート4を押圧する構成とすることも可能である。このときにおいても、押圧部材の大きさや加工性を考慮して、上述したカートリッジ3におけるものと同様の構成を押圧部材に適用することが可能である。なお、かかる押圧部材も、上述したような切削インサート4の保持による連結は行わないが、工具ボデー2に搭載された状態で切削インサート4に対し変位伝達機構として連結されるカートリッジをなすものと言い得る。

0055

また、カートリッジ3に設けた略C字形の回転部材保持部30を工具ボデー2に設ける一方、工具ボデー2に設けた回転部材収納部13をカートリッジ3に設ける構成とすることも可能である。すなわち、カートリッジ3と工具ボデー2とで回転部材5を保持する構成及び機能が上述した実施形態とは交換された形態とすることもできる。このような場合においても、上述した様々な有利な効果が同様に達成される。

0056

また、バネ等の付勢部材を取り付けることによって、カートリッジ3を常に一定の力で回転部材5側に押し付ける機構を設けてもよい。この場合、刃先位置を調整するために固定ネジ9を緩めたとしても、カートリッジ3は常に回転部材5に密着しているので、重力等の影響によってカートリッジ3が切削インサート4側にずれ動くことがなく、刃先位置の調整がより容易になる。さらに回転部材5を工具ボデー2の第3の凹状湾曲部分16の平坦面側に押し付ける機構を設け、カートリッジ3ないし切削インサート4の移動が先端に向かう方向だけでなく基端方向にも可能となるようにしてもよい。これによれば、例えば回転部材5を過剰に回転させてカートリッジ3ないし切削インサート4を必要以上に移動させたような場合、回転部材5の回転位置を適宜戻すことで刃先を最適な位置に調整することが可能となる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 住友電工ハードメタル株式会社の「 回転切削工具」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】回転切削工具は、本体部と、シャンク部とを有する。本体部は、先端を有する。シャンク部は、先端とは反対側において本体部に連なる。本体部には、正のねじれ角を有する第1切れ刃と、負のねじれ角... 詳細

  • 株式会社滋賀山下の「 バリ除去装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】駆動性能を維持し、小型化することができるバリ除去装置を提供する。【解決手段】第1ベース部14aと、第1ベース部14aの端部から第1ベース部14aの延在方向に対して直交する方向に延在する第2ベー... 詳細

  • 株式会社滋賀山下の「 バリ除去装置」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】駆動性能を維持するとともに、部品点数を削減することができるバリ除去装置を提供する。【解決手段】加工対象物のバリを除去するためのバリ除去装置10であって、刃24を回転駆動する回転駆動部材12と、... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ