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技術 レーザ装置及びこれに使用可能な装置

出願人 国立研究開発法人理化学研究所
発明者 高橋栄治付玉喜緑川克美
出願日 2015年6月23日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2015-125244
公開日 2017年1月12日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2017-011105
状態 特許登録済
技術分野 レーザ(2)
主要キーワード 静止構造体 参照パルス 伸張パルス 光学分散 遮断タイミング 短レーザパルス 各時間区間 熱的効果
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

低周波数レーザパルス光を出力するレーザ装置において、出力レーザパルス光のCEPを安定化できるようにする。

解決手段

レーザ装置10は、発振器3からのパルス光増幅して第1パルス列を生成する第1増幅装置5と、第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列を増幅して第2パルス列を生成する第2増幅装置7とを備える。第2パルス列は、第2増幅装置7により増幅された第2周波数の低頻度増幅パルス光と、強度が低く高頻度の非増幅パルス光とが混在したものである。レーザ装置10は、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出する参照光生成装置9と、増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置13とを備える。

概要

背景

図1は、非特許文献1に記載されているレーザ装置30の構成を示す。レーザ装置30は、発振器31とストレッチャ33と第1増幅器35と第2増幅器37とコンプレッサ39とCEP測定器41と制御部43とを備える。

発振器31は、微弱超短パルス光(例えば80Mhzのパルス光)を生成して出力する。ストレッチャ33は、発振器31からの超短パルス光の時間幅を伸張する。第1増幅器35は、ストレッチャ33により伸張されたパルス光を増幅して、高周波数(1kHz)のパルス光を生成する。第2増幅器37は、第1増幅器35により生成された高周波数のパルス光をさらに増幅して、低周波数(10Hz)のパルス光を生成する。コンプレッサ39は、第2増幅器37により生成された低周波数のパルス光の時間幅を圧縮する。コンプレッサ39により時間圧縮されたレーザパルス光は、レーザ装置30から出力される。

レーザ装置から出力されるレーザパルス光の特性として、後述のイオン化現象や極短レーザパルス光の生成に影響を与える搬送波包絡線位相(CEP:Carrier−Envelope Phase)がある。図2は、CEPの説明図である。図2において、横軸は時間を示し、縦軸は、レーザパルス光の電場の強度を示す。図2において、実線は、1つのレーザパルス光の電場振動を示し、破線は、1つのレーザパルス光の包絡線を示す。CEPは、包絡線上の点が最大値をとる位相(時点)と、レーザパルス光の電場強度が最大値をとる位相(時点)との位相差時間差)である。包絡線の形状(パルス光の時間幅に対応)が同じでも、包絡線に対するレーザパルス光の電場強度の位相は異なる。

レーザ装置30(コンプレッサ39)から出力される低周波数のレーザパルス光は、原子分子イオン化研究や、極短パルス軟X線の発生に用いられる。前者については、出力レーザパルス光を、試験対象の原子や分子に当て、これによる原子や分子のイオン化現象の発現を調べる。後者については、出力レーザパルス光を、原子や分子に当てて、その波長を変換させてパルス時間幅が極短(例えばアトオーダー)のレーザパルス光(以下、極短レーザパルス光という)を新たに生成する。

イオン化現象は、原子や分子に当てるレーザパルス光のCEPの値(以下、単にCEPという)により影響を受ける。極短レーザパルス光の特性(強度および時間幅)も、これを生成するために原子や分子に当てるレーザパルス光のCEPにより変化する。

したがって、レーザパルス光のCEP(Carrier−Envelope Phase)を安定させる必要がある。

CEPの変動として、高速および低速のものがある。発振器31において発生するCEPの高速変動(例えば1MHz〜100MHzでのCEP変動)は、発振器31において安定化させることができる。レーザパルス光の増幅過程において発生するCEPの低速変動(例えば、100Hz以上1kHz未満でのCEP変動)は、以下の要因を考慮して以下のように安定化される。

CEPの低速変動の要因として、ストレッチャ33およびコンプレッサ39を構成する光学素子微小振動微小変位がある。この微小振動や微小変位は、外乱により生じる。外乱は、例えば、付近機器や自然界で生じた振動や音波などである。例えば,コンプレッサ39は、互いに向き合う2つの回折格子を含み、その回折角が45度であり、その溝間隔が1umであるとして、回折格子同士の間隔が10nm変位すると,CEPは約130mrad変位する。

出力レーザパルス光のCEPの低速変動を補償するために、非特許文献1のレーザ装置30では、第1増幅器35から出力される高周波数(1kHz)のパルス光の一部を、サンプルパルス光として、第2増幅器37に入射させずに第2増幅器37をバイパスさせ、コンプレッサ39に入射させるようになっている。

CEP測定器41は、コンプレッサ39を通過したサンプルパルス光のCEPを測定する。制御部43は、測定されたCEPに基づいてストレッチャ33を構成する回折格子同士の間隔を調整する。この処理が時々刻々と行われることにより、CEPの低速変動を補償することができる。なお、下記の特許文献1にも、測定されたCEPに基づいてストレッチャを構成する回折格子の位置を調整する点が記載されている。

このように、非特許文献1では、第1増幅器35からの高周波数(1kHz)のパルス光の一部をサンプルパルス光としている。第2増幅器37からのパルス光は、100Hz以上で変動するCEPの安定化に用いるには、その繰り返し周波数が10Hzと低すぎるからである。

概要

低周波数のレーザパルス光を出力するレーザ装置において、出力レーザパルス光のCEPを安定化できるようにする。レーザ装置10は、発振器3からのパルス光を増幅して第1パルス列を生成する第1増幅装置5と、第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列を増幅して第2パルス列を生成する第2増幅装置7とを備える。第2パルス列は、第2増幅装置7により増幅された第2周波数の低頻度増幅パルス光と、強度が低く高頻度の非増幅パルス光とが混在したものである。レーザ装置10は、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出する参照光生成装置9と、増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置13とを備える。

目的

本発明の目的は、低周波数のレーザパルス光を出力するレーザ装置において、非特許文献1とは異なる手段により、出力レーザパルス光のCEP変動を補償できるレーザ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

パルス光を生成する発振器と、発振器からのパルス光を増幅することにより、第1周波数で繰り返されるパルス光の第1パルス列を生成する第1増幅装置と、第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列に対して増幅を行うことにより第1パルス列を第2パルス列に変える第2増幅装置とを備え、第2パルス列は、第2増幅装置により増幅され第2周波数で繰り返される相対的に低頻度増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列であり、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、測定されたCEPに基づいて、前記増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置を備える、ことを特徴とするレーザ装置

請求項2

前記調整装置は、測定されたCEPに基づいて、第1増幅装置もしくは第2増幅装置を構成する光学素子の位置または向きを調整し、前記発振器を励起するレーザ光パワーを調整し、または第1増幅装置を構成するストレッチャと第1増幅器との間に設けられた電気光学結晶印加する電圧を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。

請求項3

第1増幅装置は、発振器により生成されたパルス光のパルス時間幅を伸張するストレッチャと、ストレッチャで伸張された伸張パルス光を第1周波数で増幅することにより、該伸張パルス光から、第1周波数の第1パルス列を生成する第1増幅器とを備え、前記調整装置は、測定されたCEPに基づいて、前記ストレッチャの光学素子の位置または向きを調整する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。

請求項4

第2増幅装置は、第1増幅装置からの第1パルス列を第2周波数で増幅する第2増幅器と、第2増幅器からの各パルス光のパルス時間幅を圧縮し、圧縮された該パルス光の列を前記第2パルス列として出力するコンプレッサとを備える、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のレーザ装置。

請求項5

参照光生成装置は、第2増幅装置から出力された第2パルス列の一部を抽出するビームスプリッタと、ビームスプリッタで抽出された第2パルス列の一部から中間周波数で参照パルス光を抽出して出力するチョッパと、を備える、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ装置。

請求項6

前記チョッパは、第2パルス列のうち、低頻度の増幅パルス光を遮断し、高頻度の非増幅パルス光を中間周波数で通過させることにより、高頻度の非増幅パルス光から参照パルス光を抽出して出力する、ことを特徴とする請求項5に記載のレーザ装置。

請求項7

相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列が入射され、入射された該パルス列から、参照パルス光を抽出し、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成することを特徴とする参照光生成装置。

請求項8

相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列が入射され、入射された該パルス列から、参照パルス光を抽出し、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、を備えるCEP測定装置

請求項9

増幅パルス光生成装置に対して設けられる補償装置であって、前記増幅パルス光生成装置は、パルス光を生成する発振器と、発振器からのパルス光を増幅することにより、第1周波数で繰り返されるパルス光の第1パルス列を生成する第1増幅装置と、第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列に対して増幅を行うことにより第1パルス列を第2パルス列に変える第2増幅装置とを備え、第2パルス列は、第2増幅装置により増幅され第2周波数で繰り返される相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列であり、前記補償装置は、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、測定されたCEPに基づいて、前記増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置と、を備える補償装置。

技術分野

0001

本発明は、発振器からのパルス光増幅して低周波数レーザパルス光を生成し出力するレーザ装置であって、出力するレーザパルス光の搬送波包絡線位相を安定化させる機能を有するレーザ装置及びこれに使用可能な装置に関する。

背景技術

0002

図1は、非特許文献1に記載されているレーザ装置30の構成を示す。レーザ装置30は、発振器31とストレッチャ33と第1増幅器35と第2増幅器37とコンプレッサ39とCEP測定器41と制御部43とを備える。

0003

発振器31は、微弱超短パルス光(例えば80Mhzのパルス光)を生成して出力する。ストレッチャ33は、発振器31からの超短パルス光の時間幅を伸張する。第1増幅器35は、ストレッチャ33により伸張されたパルス光を増幅して、高周波数(1kHz)のパルス光を生成する。第2増幅器37は、第1増幅器35により生成された高周波数のパルス光をさらに増幅して、低周波数(10Hz)のパルス光を生成する。コンプレッサ39は、第2増幅器37により生成された低周波数のパルス光の時間幅を圧縮する。コンプレッサ39により時間圧縮されたレーザパルス光は、レーザ装置30から出力される。

0004

レーザ装置から出力されるレーザパルス光の特性として、後述のイオン化現象や極短レーザパルス光の生成に影響を与える搬送波包絡線位相(CEP:Carrier−Envelope Phase)がある。図2は、CEPの説明図である。図2において、横軸は時間を示し、縦軸は、レーザパルス光の電場の強度を示す。図2において、実線は、1つのレーザパルス光の電場振動を示し、破線は、1つのレーザパルス光の包絡線を示す。CEPは、包絡線上の点が最大値をとる位相(時点)と、レーザパルス光の電場強度が最大値をとる位相(時点)との位相差時間差)である。包絡線の形状(パルス光の時間幅に対応)が同じでも、包絡線に対するレーザパルス光の電場強度の位相は異なる。

0005

レーザ装置30(コンプレッサ39)から出力される低周波数のレーザパルス光は、原子分子イオン化研究や、極短パルス軟X線の発生に用いられる。前者については、出力レーザパルス光を、試験対象の原子や分子に当て、これによる原子や分子のイオン化現象の発現を調べる。後者については、出力レーザパルス光を、原子や分子に当てて、その波長を変換させてパルス時間幅が極短(例えばアトオーダー)のレーザパルス光(以下、極短レーザパルス光という)を新たに生成する。

0006

イオン化現象は、原子や分子に当てるレーザパルス光のCEPの値(以下、単にCEPという)により影響を受ける。極短レーザパルス光の特性(強度および時間幅)も、これを生成するために原子や分子に当てるレーザパルス光のCEPにより変化する。

0007

したがって、レーザパルス光のCEP(Carrier−Envelope Phase)を安定させる必要がある。

0008

CEPの変動として、高速および低速のものがある。発振器31において発生するCEPの高速変動(例えば1MHz〜100MHzでのCEP変動)は、発振器31において安定化させることができる。レーザパルス光の増幅過程において発生するCEPの低速変動(例えば、100Hz以上1kHz未満でのCEP変動)は、以下の要因を考慮して以下のように安定化される。

0009

CEPの低速変動の要因として、ストレッチャ33およびコンプレッサ39を構成する光学素子微小振動微小変位がある。この微小振動や微小変位は、外乱により生じる。外乱は、例えば、付近機器や自然界で生じた振動や音波などである。例えば,コンプレッサ39は、互いに向き合う2つの回折格子を含み、その回折角が45度であり、その溝間隔が1umであるとして、回折格子同士の間隔が10nm変位すると,CEPは約130mrad変位する。

0010

出力レーザパルス光のCEPの低速変動を補償するために、非特許文献1のレーザ装置30では、第1増幅器35から出力される高周波数(1kHz)のパルス光の一部を、サンプルパルス光として、第2増幅器37に入射させずに第2増幅器37をバイパスさせ、コンプレッサ39に入射させるようになっている。

0011

CEP測定器41は、コンプレッサ39を通過したサンプルパルス光のCEPを測定する。制御部43は、測定されたCEPに基づいてストレッチャ33を構成する回折格子同士の間隔を調整する。この処理が時々刻々と行われることにより、CEPの低速変動を補償することができる。なお、下記の特許文献1にも、測定されたCEPに基づいてストレッチャを構成する回折格子の位置を調整する点が記載されている。

0012

このように、非特許文献1では、第1増幅器35からの高周波数(1kHz)のパルス光の一部をサンプルパルス光としている。第2増幅器37からのパルス光は、100Hz以上で変動するCEPの安定化に用いるには、その繰り返し周波数が10Hzと低すぎるからである。

0013

特表2009−542009号公報

先行技術

0014

Yi Wu et al, Carrier−Envelope Phase Stabilization of a 10 Hz, 20 TW Laser for High−Flux Attosecond Pulse Generation, CLEO (Conference on Lasers and Electro−Optics), 2014, OSA(Optical Sciety)

発明が解決しようとする課題

0015

しかし、図1の構成においては、サンプルパルス光の伝播経路は、出力用の低周波数パルス光の伝播経路と異なるので、第2増幅器37に要因があるCEPの低速変動が発生した場合それを補償することができない。さらに低周波数パルス光とサンプルパルス光はコンプレッサ39の異なる表面で回折されているので,低周波数パルス光の熱的効果によりコンプレッサ39に表面膨張誘起されCEPが変動したとしても、それを補正することはできない。

0016

そこで、本発明の目的は、低周波数のレーザパルス光を出力するレーザ装置において、非特許文献1とは異なる手段により、出力レーザパルス光のCEP変動を補償できるレーザ装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、出力レーザパルス光のCEP変動を補償できるレーザ装置に使用可能な参照光生成装置、CEP測定装置、および補償装置を提供することにある。すなわち、本発明の別の目的は、レーザ装置からの出力レーザパルス光のCEPの補償に用いることができる参照パルス光を生成する参照光生成装置と、レーザ装置からの出力レーザパルス光のCEPの補償に用いることできるCEPを測定するCEP測定装置と、レーザ装置からの出力レーザパルス光のCEP変動を補償する補償装置とを提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

上述の目的を達成するため、本発明によると、パルス光を生成する発振器と、
発振器からのパルス光を増幅することにより、第1周波数で繰り返されるパルス光の第1パルス列を生成する第1増幅装置と、
第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列に対して増幅を行うことにより第1パルス列を第2パルス列に変える第2増幅装置とを備え、
第2パルス列は、第2増幅装置により増幅され第2周波数で繰り返される相対的に低頻度増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列であり、
第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、
参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、
測定されたCEPに基づいて、前記増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置を備える、ことを特徴とするレーザ装置が提供される。

0018

上述のレーザ装置は、例えば、以下のように構成されてよい。

0019

前記調整装置は、測定されたCEPに基づいて、
第1増幅装置もしくは第2増幅装置を構成する光学素子の位置または向きを調整し、
前記発振器を励起するレーザ光パワーを調整し、または
第1増幅装置を構成するストレッチャと第1増幅器との間に設けられた電気光学結晶印加する電圧を調整する。

0020

第1増幅装置は、
発振器により生成されたパルス光のパルス時間幅を伸張するストレッチャと、
ストレッチャで伸張された伸張パルス光を第1周波数で増幅することにより、該伸張パルス光から、第1周波数の第1パルス列を生成する第1増幅器とを備え、
前記調整装置は、測定されたCEPに基づいて、前記ストレッチャの前記光学素子の位置または向きを調整する。

0021

第2増幅装置は、
第1増幅装置からの第1パルス列を第2周波数で増幅する第2増幅器と、
第2増幅器からの各パルス光のパルス時間幅を圧縮し、圧縮された該パルス光の列を前記第2パルス列として出力するコンプレッサとを備える。

0022

参照光生成装置は、
第2増幅装置から出力された第2パルス列の一部を抽出するビームスプリッタと、
ビームスプリッタで抽出された第2パルス列の一部から中間周波数で参照パルス光を抽出して出力するチョッパと、を備える。

0023

前記チョッパは、第2パルス列のうち、低頻度の増幅パルス光を遮断し、高頻度の非増幅パルス光を中間周波数で通過させることにより、高頻度の非増幅パルス光から参照パルス光を抽出して出力する。

0024

また、上記別の目的を達成するため、本発明によると、相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列が入射され、入射された該パルス列から、参照パルス光を抽出し、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成することを特徴とする参照光生成装置が提供される。

0025

また、上記別の目的を達成するため、本発明によると、相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列が入射され、入射された該パルス列から、参照パルス光を抽出し、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、
参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、を備えるCEP測定装置が提供される。

0026

また、上記別の目的を達成するため、本発明によると、増幅パルス光生成装置に対して設けられる補償装置であって、
前記増幅パルス光生成装置は、
パルス光を生成する発振器と、
発振器からのパルス光を増幅することにより、第1周波数で繰り返されるパルス光の第1パルス列を生成する第1増幅装置と、
第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列に対して増幅を行うことにより第1パルス列を第2パルス列に変える第2増幅装置とを備え、
第2パルス列は、第2増幅装置により増幅され第2周波数で繰り返される相対的に低頻度の増幅パルス光と、低頻度の増幅パルス光よりも強度が低く相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在したパルス列であり、
前記補償装置は、
第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される該参照パルス光の参照パルス列を生成する参照光生成装置と、
参照パルス列が入射され参照パルス列の参照パルス光のCEPを測定するCEP測定器と、
測定されたCEPに基づいて、前記増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う調整装置と、を備える補償装置が提供される。

発明の効果

0027

上述した本発明のレーザ装置は、次のように構成されている。第1増幅装置は、入射光から、第1周波数の第1パルス列を生成する。第2増幅装置は、第1パルス列から、相対的に低頻度の増幅パルス光と相対的に高頻度の非増幅パルス光とが混在した第2パルス列を生成する。参照光生成器は、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で第2パルス列の一部から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される参照パルス光の参照パルス列を生成する。CEP測定器は、参照パルス光のCEPを測定する。調整装置は、測定されたCEPに基づいて、前記増幅パルス光のCEPの変動を補償する調整を行う。
このように、レーザ装置は、相対的に低い第2周波数の低頻度の増幅パルス光を出力用パルス光として生成する場合に、低頻度の増幅パルス光と高頻度のパルス光とが混在した第2パルス列を生成し、この第2パルス列から、第2周波数よりも高い中間周波数の参照パルス列を抽出して生成する。したがって、このように、出力用パルス光(増幅パルス光)の第2周波数ではなく、これよりも高い中間周波数の参照パルス光のCEPに基づいて調整がなされるので、出力用パルス光(増幅パルス光)の周波数が低くても、より高い周波数の参照パルス光に基づいて、出力用パルス光のCEPの変動を補償することができる。

0028

また、参照パルス光は、非特許文献1と違って、レーザ装置から出力されるレーザパルス光と同じ経路を通ったものである。すなわち、参照パルス光は、第2増幅装置内を通過したものである。よって、第2増幅装置に要因があるCEPの変動も補償することができる。

図面の簡単な説明

0029

非特許文献1のレーザ装置の構成を示す。
CEPの説明図である。
本発明の実施形態によるレーザ装置の構成を示す。
(A)は第1パルス列を示し、(B)は第2パルス列を示し、(C)はチョッパによる遮断タイミングを示し、(D)は参照パルス列を示す。
調整装置による調整の一例を示す図である。
本実施形態によるレーザ装置が出力するレーザパルス光の長期間にわたるCEPを示す。
本実施形態によるレーザ装置が出力するレーザパルス光の短期間にわたるCEPを示す。
本発明の他の実施形態によるレーザ装置の構成例を示す。
本発明の他の実施形態によるレーザ装置の構成例を示す。

実施例

0030

本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。

0031

図3は、本発明の実施形態によるレーザ装置10の構成を示す。レーザ装置10は、発振器3、第1増幅装置5、第2増幅装置7、参照光生成装置9、CEP測定器11、および調整装置13を備える。図3に示す実施形態では、レーザ装置10は、後述するように、パルス光に対して、時間幅の伸張と強度の増幅と時間幅の圧縮とを行うチャープパルス増幅法を用いたものである。

0032

発振器3は、所望の発振周波数のパルス光を生成して出力する。すなわち、発振器3は、発振周波数で繰り返しパルス光を出力する。発振器3として、CEPが安定化された超短パルス発振器を用いることができる。発振器3は、励起レーザ源19から入射されるレーザ光で励起されることによりパルス光を出力する。発振器3が出力するパルス光は、例えば80MHz程度の発振周波数を有し、500mW程度の強さを持つ微弱光である。発振器3から出力されたパルス光は、シード光として第1増幅装置5に入射される。

0033

第1増幅装置5には、発振周波数で繰り返されるパルス光が発振器3から入射される。第1増幅装置5は、発振器3からの入射パルス光を増幅することにより、第1周波数で繰り返されるパルス光の第1パルス列を生成する。図4(A)は、第1周波数のパルス光PHにより形成される第1パルス列L1を示す。図4(A)において、横軸は時間を示し、縦軸はパルス光の強度(ここではエネルギー)を示す。

0034

第1増幅装置5は、ストレッチャ5aと第1増幅器5bと励起レーザ源5cとを有する。

0035

ストレッチャ5aは、発振器3から出力された発振周波数の入射パルス光のパルス時間幅を伸張する。ストレッチャ5aは、回折格子、プリズム反射鏡レンズ、または、これらの組み合わせにより構成されたものであってよい。ストレッチャ5aで伸張されたパルス光(伸張パルス光という)は、第1増幅器5bに入射される。

0036

第1増幅器5bは、ストレッチャ5aで伸張された伸張パルス光を第1周波数で増幅することにより、伸張パルス光から、第1周波数で繰り返されるパルス光PHの第1パルス列L1を生成する。第1増幅器5bは、ポッケルスセルを内包したチタンサファイア結晶を有する再生増幅器マルチパス増幅器)であってよい。この場合、チタンサファイア結晶は、励起レーザ源5cからの第1周波数(例えば1kHz)の励起レーザによりポンプされて、入射する伸張パルス光を、例えばエネルギーが1Wのパルス光に増幅する。この場合、増幅されたパルス光は、1パルスあたりmJオーダーのエネルギーを有する。このように、第1増幅器5bは、上述のように、伸張パルス光を増幅することにより、第1周波数(例えば1kHz)の第1パルス列L1を出力する。出力された第1パルス列L1は、第2増幅器7aに入射される。なお、励起レーザ源5cは、トリガ生成装置12から入力される第1周波数の基本トリガのタイミングに従って、第1周波数の励起レーザを出力して上述のチタンサファイア結晶に入射させる。

0037

第2増幅装置7は、第1周波数よりも低い第2周波数で第1パルス列L1に対して増幅を行うことにより第1パルス列L1を第2パルス列に変え、第2パルス列を出力する。図4(B)は、第2パルス列L2を示す。図4(B)において、横軸は時間を示し、縦軸はパルス光の強度(ここでは、エネルギー)を示す。第2パルス列L2は、第2増幅装置7により増幅され第2周波数で繰り返される相対的に低頻度の増幅パルス光PLと、低頻度の増幅パルス光PLよりも強度(エネルギー)が低く相対的に(すなわち増幅パルス光PLよりも)高頻度の非増幅パルス光PHとが混在したパルス列である。例えば、後述の励起レーザ源7bからの励起レーザにより増幅されない高頻度の非増幅パルス光PHのエネルギーは、低頻度の増幅パルス光PLのエネルギーの千分の一以下であり、第2増幅装置7において光学ロスがない場合、非増幅パルス光PHは、第1増幅器5bから出力されたパルス光と同じパルスエネルギーを持つ。

0038

なお、一例では、発振周波数は、50MHz〜100MHzの範囲内の値であり、第1周波数は、100Hz〜10kHzの範囲内の値であり、第2周波数は、100Hz以下の値である。

0039

第2増幅装置7は、第2増幅器7aと励起レーザ源7bとコンプレッサ7cを備える。

0040

第2増幅器7aは、第1増幅装置5からの第1パルス列L1を第2周波数で増幅する。第2増幅器7aは、チタンサファイア結晶を有するマルチパス増幅器であってよい。この場合、チタンサファイア結晶は、励起レーザ源7bからの第2周波数(例えば10Hz)の励起レーザによりポンプされて、第1パルス列L1の一部のパルス光を、例えばエネルギーが10Wの増幅パルス光に増幅する。この場合、増幅パルス光は、1パルスあたり数100mJ(例えば、100mJ〜500mJ範囲内)のエネルギーを有する。このように、第2増幅器7aは、第1パルス列L1を第2周波数で増幅する。したがって、第2増幅器7aから出力されるパルス列は、低頻度(第2周波数)の増幅パルス光(図4(B)のパルス光PLに対応)と、第2増幅器7aで増幅されなかった高頻度の非増幅パルス光(図4(B)の非増幅パルス光PHに対応)とにより形成されている。なお、励起レーザ源7bは、トリガ生成装置12から入力される第1周波数の基本トリガのタイミングに従って(同期して)、第2周波数の励起レーザを出力して上述のチタンサファイア結晶に入射させる。

0041

コンプレッサ7cは、第2増幅器7aからの各パルス光のパルス時間幅を圧縮し、圧縮されたパルス光の列を第2パルス列L2として出力する。本実施形態では、コンプレッサ7cは、図4(B)の第2パルス列L2を出力する。コンプレッサ7cは、回折格子、プリズム、反射鏡、レンズ、または、これらの組み合わせにより構成されたものであってよい。

0042

参照光生成装置9には、第1周波数で繰り返されるパルス光の第2パルス列L2が入射される。第2パルス列L2は、第2周波数で繰り返される低頻度の増幅パルス光PLと、高頻度の非増幅パルス光PHとにより形成され、これらの増幅パルス光PLと非増幅パルス光PHは、第1周波数で繰り返されるパルス光となる。
参照光生成装置9は、第1周波数よりも低く第2周波数よりも高い中間周波数で、第2パルス列L2から参照パルス光を抽出することにより、中間周波数で繰り返される参照パルス光の参照パルス列を生成する。本実施形態では、中間周波数は、第1周波数の整数分の一(図4では二分の一)であって、第2周波数の整数倍図4では50倍)である。この場合、好ましくは、中間周波数は、第1周波数の二分の一以下であって、第2周波数の十倍以上であるのがよい。

0043

参照光生成装置9は、ビームスプリッタ9aとチョッパ9bとモータ9cを備える。ビームスプリッタ9aは、第2増幅装置7(コンプレッサ7c)から出力された第2パルス列L2の一部を抽出してチョッパ9bへ入射させる。すなわち、ビームスプリッタ9aに入射する直前の第2パルス列L2よりもエネルギーが大幅に小さいサンプル光としての第2パルス列L2が、チョッパ9bへ入射される。

0044

チョッパ9bは、第2パルス列L2のうち、低頻度の増幅パルス光PLを遮断し、高頻度の非増幅パルス光PHを中間周波数で通過させることにより、高頻度の非増幅パルス光PHから参照パルス光を抽出して出力する。チョッパ9bは、モータ9cにより回転駆動される回転体(例えば円板)により構成される機械式チョッパであってよい。この回転体の一部に孔が形成されている。この回転体の回転で、第2パルス列L2の一部が入射される位置に、孔が断続的に(中間周波数で)到達する。これにより、第2パルス列L2の一部の各パルス光のうち中間周波数で孔を通過するパルス光が、参照パルス光として抽出され、チョッパ9bから出力される。中間周波数で繰り返される参照パルス光の参照パルス列は、CEP測定器11に入射される。

0045

図4(C)は、チョッパ9bによる遮断タイミングを示す。図4(C)において、横軸は時間を示し、縦軸はチョッパ9bの遮断を示す。すなわち、縦軸の値がゼロの各時間区間において、チョッパ9bに入射したパルス光が、チョッパ9bを通過して参照パルス光として抽出され、縦軸の値がゼロでない各時間区間において、チョッパ9bに入射したパルス光が、チョッパ9bにより遮断されチョッパ9bを通過できない。

0046

図4(D)は、チョッパ9bにより抽出された参照パルス列を示す。横軸は時間を示し、縦軸は、パルス光の強度(ここではエネルギー)を示す。本実施形態では、中間周波数は、500Hzであり、参照パルス光は、500Hzで(2ミリ秒毎に)繰り返される。

0047

チョッパ9bが上述の参照パルス列を抽出するために、チョッパ9bの回転は、次の構成と動作により制御される。
レーザ装置10は、上述の第1周波数で繰り返される基本トリガを生成するトリガ生成装置12を備える。参照光生成装置9は、チョッパ9bを回転駆動するモータ9cの回転速度と回転位相を制御する回転制御装置9dと、チョッパ9bの回転位相の調整量を生成する調整量生成装置9fとを備える。

0048

トリガ生成装置12は、第1周波数の基本トリガを励起レーザ源5c、励起レーザ源7bおよび回転制御装置9dに出力する。トリガ生成装置12は、発振器3から出力される周波数信号に従って(同期して)、第1周波数の基本トリガを出力してよい。ここで、周波数信号とは、上述の発振周波数で繰り返されるパルス信号である。
回転制御装置9dは、トリガ生成装置12から入力される基本トリガの周波数に基づいてチョッパ9b(上述の回転体)の回転速度を制御する。すなわち、回転制御装置14は、1秒間におけるチョッパ9bの回転数が、基本トリガの周波数の定数倍になるように、チョッパ9b(上述の回転体)の回転速度を制御する。ここで、定数倍は、例えば、チョッパ9bにおいて回転方向に間隔をおいて形成されている上記孔の数、上述の中間周波数、および、上述の中間周波数と上述の第1周波数との関係(両者の比率)などに基づいて予め定められている。
ビームサンプラー9eは、チョッパ9bを通過したパルス列の一部を抽出する。

0049

調整量生成装置9fには、ビームサンプラー9eにより抽出されたパルス列が入射される。調整量生成装置9fは、入射されたパルス列が予め設定された参照周波数のパルス光のパルス列となっているかどうかを判断する(この判断を第1の判断という)。第1の判断の結果が否定である場合には、調整量生成装置9fは、(例えば予め設定した値の)位相調整量を回転制御装置9dへ出力する。
好ましくは、調整量生成装置9fは、入射されたパルス列に、増幅パルス光PLが含まれているかどうかを、さらに判断する(この判断を第2の判断という)。第1および第2の判断の両方が行われる場合に、第1の判断の結果が否定であることと、第2の判断の結果が肯定であることとの少なくともいずれかが満たされた場合に、調整量生成装置9fは、(例えば予め設定した値の)位相調整量を回転制御装置9dへ出力する。調整量生成装置9fは、例えばフォトダイオードを用いて、入射されたパルス列を電気信号に変換して、このパルス列を認識してよい。

0050

回転制御装置9dは、調整量生成装置9fから受けた位相調整量だけ、トリガ生成装置12から入力される基本トリガに対するチョッパ9bの回転位相を変化させる。すなわち、回転制御装置9dは、回転制御装置9dが基本トリガを受ける時点におけるチョッパ9bの回転位相を、調整量生成装置9fから受けた位相調整量だけ変化させる。なお、回転位相とは、チョッパ9bの回転角度であって、チョッパ9bの回転中心から見たチョッパ9bの上記孔(基準となる1つの上記孔)の向きを意味する。

0051

なお、調整量生成装置9fを設ける代わりに、ビームサンプラー9eにより抽出されたパルス列が、フォトダイオードを用いて、このパルス列を表わす電気信号に変換されてディスプレイに表示されてよい。人は、ディスプレイに表示された電気信号を見て、この電気信号が、上述の参照パルス列であるかを判断する。すなわち、上述の第1の判断、または第1および第2の判断を行う。第1の判断の結果が否定であることと、第2の判断の結果が肯定であることとの少なくともいずれかが満たされた場合に、人は、入力装置を用いて上述の位相調整量を回転制御装置9dに入力する。この場合、他の点は上述と同じである。

0052

CEP測定器11には、参照光生成装置9から参照パルス列が入射される。CEP測定器11は、参照パルス列の各参照パルス光のCEP(すなわち、CEPの値)を測定する。CEP測定器11は、例えばf−2f干渉計である。なお、参照光生成装置9とCEP測定器11とは、本発明の実施形態によるCEP測定装置20を構成する。

0053

調整装置13は、測定されたCEPと、予め定められた基準CEPとに基づいて、第1増幅装置5のストレッチャ5aを構成する光学素子の位置または向きを調整する。基準CEPは、目標とする値である。すなわち、調整装置13は、測定されたCEPが基準CEPからずれている場合には、このずれを無くす又は減らすようにストレッチャ5aの光学素子の位置または向きを調整する。

0054

調整装置13は、制御部13aと駆動部13bを有する。制御部13aは、測定CEPと基準CEPとに基づいて駆動部13bを制御する。これにより、駆動部13bは、測定CEPと基準CEPとのずれ量に応じた量だけ、ストレッチャ5aを構成する光学素子の位置または向きを変える。駆動部13bは、例えば、第1増幅装置5のストレッチャ5aを構成する光学素子に取り付けられたピエゾアクチュエータである。ピエゾアクチュエータ13bは、印加される電圧に応じた量だけ伸縮する圧電素子(例えば複数層の圧電素子)により構成される。この場合、この伸縮の方向におけるピエゾアクチュエータ13bの一端は、適宜の静止構造体に取り付けられ、この伸縮の方向におけるピエゾアクチュエータ13bの他端は、ストレッチャ5aを構成する光学素子に取り付けられる。制御部13aは、測定CEPと基準CEPとのずれに応じた電圧をピエゾアクチュエータ13b(すなわち、圧電素子)に印加する。これにより、ピエゾアクチュエータ13bは、測定CEPと基準CEPとのずれ量に応じた量だけ伸縮して光学素子の位置または向きを変える。ここで、光学素子の向きを変える場合には、例えば、この光学素子は、所定の軸まわり揺動可能になっており、ピエゾアクチュエータ13bは、この軸から離れた位置において、その他端が光学素子に取り付けられている。

0055

図5は、ストレッチャ5aの調整装置13による調整の一例を示す。図5において、ストレッチャ5aは、回折格子15,16とミラー17を含む。2つの回折格子15,16は、互いに平行に向き合っている。ストレッチャ5aへの入射パルス光は、回折格子15と回折格子16を、この順で通過してミラー17へ至り、ミラー17で反射され、再び、回折格子16と回折格子15を、この順で通過してストレッチャ5aから伸張パルス光として出力される。なお、図5において、ストレッチャ5aへの入射パルス光と、ストレッチャ5aから出力される伸張パルス光とは、図5紙面と垂直な方向(高さ方向)にずれている。図5において、2つの回折格子15,16間の距離GにCEPの値は依存する(例えば特許文献1を参照)。

0056

制御部13aは、測定されたCEPと、予め定められた基準CEPとに基づいて、ピエゾアクチュエータ13bによる駆動量を制御して、2つの回折格子15,16間の距離Gを調整する。この調整が時々刻々と行われることにより、レーザ装置10が出力するレーザパルス光のCEPが基準CEPからずれても、このずれを無くす(または減らす)ことができる。なお、調整装置13による距離Gの調整量は、例えば数十ナノメートル程度である。

0057

なお、参照光生成装置9とCEP測定器11と調整装置13とは、本発明の実施形態による補償装置30を構成する。補償装置30は、レーザ装置10が出力するレーザパルス光(すなわち、増幅パルス光PL)のCEPの変動を補償する。補償装置30は、発振器3と第1増幅装置5と第2増幅装置7とからなる増幅パルス光生成装置に対して設けられる。

0058

図6は、本実施形態によるレーザ装置10が出力するレーザパルス光(すなわち、増幅パルス光PL)の長期間にわたるCEP(搬送波包絡線位相)を示す。図6において、実線で示す上側のグラフは、レーザ装置10からの出力レーザパルス光のCEPを示す。すなわち、実線のグラフは、コンプレッサ7cからの第2パルス列L2における10Hzの増幅パルス光PLであって、ビームスプリッタ9aによりその一部が抽出された後の増幅パルス光PLのCEPを示す。このCEPは、f−2f干渉計(図示せず)により測定された値である。図6において、破線で示す下側のグラフは、CEP測定器11(f−2f干渉計)により測定された、500Hzの参照パルス光のCEPを示す。図6では、フィードバックオフ時点tc以降において、調整装置13による調整を停止している。図6から分かるように、経過時間がゼロの時からtcまでの時間範囲においては、パルス光の時間幅(図2の包絡線の時間幅)を2πラジアンとして、CEPの値は、ほとんどの経過時間にわたって、基準CEP(図6において、縦軸の目盛が5ラジアンの位置)から1ラジアン以内の範囲内になっている。これに対し、調整装置13による調整を停止した時点tc以降において、CEPの値は、基準CEPから大きくずれて、そのずれが、2〜3ラジアン以上に達している。

0059

図7は、本実施形態によるレーザ装置10が出力するレーザパルス光(すなわち、増幅パルス光PL)の短期間にわたるCEPを示す。すなわち、図7のグラフは、コンプレッサ7cからの第2パルス列L2における増幅パルス光PLであって、ビームスプリッタ9aによりその一部が抽出された後の増幅パルス光PLのCEPを示す。図7から分かるように、パルス光の時間幅を2πラジアンとして、CEPの値は、ほとんどの時間にわたって、基準CEP(図7において、縦軸の目盛がゼロの位置)から1ラジアン以内の範囲内になっている。

0060

本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の他の実施形態を採用してよい。この場合、以下で説明しない点は、上述と同じであってよい。

0061

(他の実施形態)
上述では、調整装置13は、第1増幅装置5を構成する光学素子(ストレッチャ5aの回折格子16)の位置を調節したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、調整装置13は、CEP測定器11で測定されたCEPに基づいて、上述した増幅パルス光PLのCEPの変動を補償する調整を行う装置(例えば公知の任意の装置)であればよい。調整装置13は、上述した増幅パルス光PLの元になるパルス光(例えば第1パルス列L1)の経路に設けられた光学素子に対して調整(位置または向きの調整)を行うものであってよいが、これに限定されない。例えば、調整装置13は、第1増幅装置5もしくは第2増幅装置7を構成する光学素子の位置または向きを調整し、発振器3を励起するレーザ光のパワーを調整し、または、ストレッチャ5aと第1増幅器5bとの間に設けられた電気光学結晶21(後述の図9を参照)への印加電圧を調整するものであってよい。

0062

調整装置13が第1増幅装置5の光学素子の位置または向きを調整する場合、第1増幅装置5の光学素子は、好ましくは、上述のストレッチャ5aを構成する光学素子である。ストレッチャ5aが、回折格子、プリズム、反射鏡、レンズ、または、これらの組み合わせにより構成されている場合には、調整装置13が位置または向きを調整する光学素子は、回折格子、プリズム、反射鏡、またはレンズであってもよい。

0063

調整装置13が第2増幅装置7の光学素子の位置または向きを調整する場合、第2増幅装置7の光学素子は、好ましくは、上述のコンプレッサ7cを構成する光学素子である。コンプレッサ7cが、回折格子、プリズム、反射鏡、レンズ、または、これらの組み合わせにより構成されている場合には、調整装置13が位置または向きを調整する光学素子は、回折格子、プリズム、反射鏡、またはレンズであってもよい。

0064

図8は、調整装置13が発振器3を励起するレーザ光のパワーを調整する場合のレーザ装置10の構成例を示す。この場合、調整装置13は、CEP測定器11に測定されたCEPに基づいて、発振器3を励起するレーザ光(以下、発振器励起用のレーザ光ともいう)のパワーを調整する。そのための構成例と動作例を説明する。

0065

図8では、レーザ装置10において励起レーザ源19と発振器3との間に音響光学素子18(AOM:acousto−optic modulator)が設けられている。励起レーザ源19からの発振器励起用のレーザ光は、音響光学素子18を通って発振器3に入力される。これにより、発振器3は、励起されて、パルス光を生成し第1増幅装置5へ出力する。

0066

調整装置13は、CEP測定器11に測定されたCEPに基づいて、音響光学素子18へ印加する電圧を調整する。これにより、調整装置13は、発振器3へ入力する発振器励起用のレーザ光のパワーを調整する。発振器3へ入力される発振器励起用のレーザ光のパワーに応じて、上述した増幅パルス光PLのCEPが変化する。

0067

図9は、電気光学結晶21を用いる場合のレーザ装置10の構成を示す。図9では、レーザ装置10は、第1増幅装置5を構成するストレッチャ5aと第1増幅器5bとの間に設けられた電気光学結晶21(electro−optic crystal)と、電気光学結晶21に電圧を印加する電圧印加装置23とを備える。ストレッチャ5aからの伸張パルス光は、電気光学結晶21の内部を通過して、第1増幅器5bへ入射される。電気光学結晶21は、例えばLiNbO3結晶である。

0068

調整装置13は、CEP測定器11に測定されたCEPに基づいて、電気光学結晶21に印加する電圧の大きさを調整する。すなわち、調整装置13は、電圧印加装置23を制御することにより、電圧印加装置23が電気光学結晶21に印加する電圧の大きさを調整する。電圧印加装置23が電気光学結晶21に印加する電圧の大きさに応じて、上述した増幅パルス光PLのCEPが変化する。

0069

なお、CEP測定器11に測定されたCEPと基準CEPとのずれと、調整装置13による調整量との関係は、予め実験的に定められて、調整装置13に設定されていてよい。すなわち、調整装置13は、当該ずれを補償するように上述した調整を行うように構成されている。

0070

(実施形態の効果)
上述したレーザ装置10は、相対的に低い第2周波数の低頻度の増幅パルス光PLを出力用レーザパルス光として生成する場合に、低頻度の増幅パルス光PLと高頻度の非増幅パルス光PHとが混在した第2パルス列L2を生成し、この第2パルス列L2から、第2周波数よりも高い中間周波数の参照パルス列を抽出して生成する。したがって、このように、出力用レーザパルス光(増幅パルス光PL)の第2周波数ではなく、これよりも高い中間周波数の参照パルス光のCEPに基づいて調整がなされるので、出力用パルス光(増幅パルス光PL)の周波数が低くても、より高い周波数の参照パルス光に基づいて、第1増幅装置5もしくは第2増幅装置7を構成するストレッチャ5aもしくはコンプレッサ7cにおける光学素子(例えば、回折格子のような分散光学素子)の位置または向きを調整し、発振器3を励起するレーザ光のパワーを調整し、または、電気光学結晶21に印加する電圧の大きさを調整できる。これにより、出力用レーザパルス光のCEPの変動を補償することができる。

0071

また、参照パルス光は、非特許文献1と違って、レーザ装置10から出力されるレーザパルス光と同じ経路を通ったものである。すなわち、参照パルス光は、第2増幅装置7内を通過したものである。よって、第2増幅装置7に要因があるCEPの変動も補償することができる。

0072

さらにコンプレッサ7cを構成する回折格子の表面における増幅パルス光PLの熱的効果に由来したCEP変動も補償することができる。また参照パルス光は増幅パルス光PLと同一の光学経路伝搬するため、全く同一の光学分散量を持つことになる。結果、非特許文献1のように参照パルス光に対して補正分散量別途与える必要がない。

0073

3発振器、5 第1増幅装置、5aストレッチャ、5b 第1増幅器、5c励起レーザ源、7 第2増幅装置、7a 第2増幅器、7b 励起レーザ源、7cコンプレッサ、9参照光生成装置、9aビームスプリッタ、9bチョッパ、9cモータ、9d回転制御装置、9eビームサンプラー、9f 調整量生成装置、10レーザ装置、11 CEP測定器、12トリガ生成装置、13調整装置、13a 制御部、13b 駆動部(ピエゾアクチュエータ)、14 回転制御装置、15,16回折格子、17ミラー、19 励起レーザ源、20 CEP測定装置、21電気光学結晶、23電圧印加装置、30 補償装置

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