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技術 医療診断支援装置及び医療診断支援方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 宮狭和大佐藤清秀丹羽光行
出願日 2016年8月25日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2016-164828
公開日 2017年1月12日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-010577
状態 特許登録済
技術分野 放射線診断機器 医療・福祉事務
主要キーワード 第一印象 影響情報 凹凸度 直線モデル 医療診断支援 関数モデル 所見なし 所見項目
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月12日)のものです。
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図面 (12)

課題

CAD所見を参考にして、医師読影所見の見直しを行うことに価値があるか否かを適切に判断可能な情報を提供できるようにする。

解決手段

検体検査データを解析してCAD所見を生成するCAD所見生成部102と、当該検査データに対する医師による読影所見を取得する読影所見取得部104と、CAD所見が提示された後に、読影所見に対する医師の変更情報を取得する所見管理部105と、読影所見に対する医師の変更情報に基づいて、CAD所見および読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する所見評価部107を備える。

概要

背景

医療の分野において、医師は、患者撮影した医用画像モニタに表示し、モニタに表示された医用画像を読影して、病変部の状態や経時変化を観察する。医用画像を用いた画像診断において、医師は、診断対象である医用画像から異常陰影等を発見して、その異常陰影等が何であるかを診断する。画像診断の際に医師が作成する読影レポートには、発見した異常陰影等が何であるかを判断した結果(推定病名)と、その判断の根拠となる読影所見が記載される。このとき、医師が記した読影所見や推定病名は、以下のような場合には必ずしも正しいとは限らなかった。例えば、非常に忙しく1つの症例に対して多くの時間を費やせない医師や読影経験が浅い医師が、画像上で見つけにくい異常陰影や特徴を捉えづらい異常陰影を観察した場合には、異常陰影を見落とす可能性や、読影所見や推定病名の判断を誤る可能性があった。なお、以下の説明では、推定病名も広い意味における「所見(読影所見)」の1つと考える。

そこで、医師による画像診断の精度を向上させる情報を提供することを目的として、医用画像をデジタル化して画像解析することにより疾患部位等を自動的に検出して、コンピュータ支援診断を行う医用画像処理装置が開発されている。以下、コンピュータ支援診断を、CAD(Computer-Aided Diagnosis)と称する。このようなCADでは、自動的に異常陰影候補を疾患部位として検出する。この異常陰影の検出処理では、医用画像データコンピュータ処理することにより、癌等による異常な腫留陰影や高濃度微小石灰化陰影等を検出する。そして、この検出結果を提示することにより、医師の読影に対する負荷を軽減し、また、読影結果の精度を向上させることができる。

例えば、下記の特許文献1に記載されている装置では、CADにより異常陰影を検出した後、検出した異常陰影から医師が診断に用いる所見に対応する所見(の一部)を自動生成する。そして、自動生成した所見と医師が記した読影所見とを自動比較し、比較結果が異なる場合に警告情報を提示する。ここで、CADを利用して自動生成した所見を「CAD所見」と呼ぶことにする。この技術により、医師が記した読影所見とCAD所見が異なる場合に、医師に読影所見の見直しを促すことができ、精度の高い診断を実現できる。

概要

CAD所見を参考にして、医師が読影所見の見直しを行うことに価値があるか否かを適切に判断可能な情報を提供できるようにする。被検体検査データを解析してCAD所見を生成するCAD所見生成部102と、当該検査データに対する医師による読影所見を取得する読影所見取得部104と、CAD所見が提示された後に、読影所見に対する医師の変更情報を取得する所見管理部105と、読影所見に対する医師の変更情報に基づいて、CAD所見および読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する所見評価部107を備える。

目的

本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、CAD所見を参考にして、医師が読影所見の見直しを行うことに価値があるか否かを適切に判断可能な情報を提供できるようにすることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

検体の第1の検査データを解析して生成される第1の自動生成所見と、前記第1の検査データに対し操作部から入力された第1の読影所見とを取得する第1の所見得手段と、前記第1の自動生成所見を提示し、前記第1の読影所見に対し操作部から入力された変更情報を取得する変更情報取得手段と、前記第1の読影所見に対する前記変更情報に基づいて、前記第1の自動生成所見および前記第1の読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する評価手段とを有することを特徴とする医療診断支援装置

請求項2

前記評価手段は、前記第1の読影所見を評価するものであり、前記第1の自動生成所見が提示された後に、操作部から入力された、前記第1の読影所見を変更しないか否かを示す情報に基づいて、当該第1の読影所見が信頼できるか否かを評価することを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。

請求項3

前記評価手段は、前記第1の読影所見を評価するものであり、前記第1の自動生成所見が提示された後に、前記第1の読影所見が変更された度合いに基づいて、当該第1の読影所見の信頼度を評価することを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。

請求項4

前記評価手段は、前記第1の自動生成所見を評価するものであり、前記第1の自動生成所見が提示された後に、前記第1の読影所見を前記第1の自動生成所見に一致させる変更の指示が操作部から入力されたか否かに基づいて、前記第1の自動生成所見が医師診断に参考になるか否かを評価することを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。

請求項5

前記評価手段は、前記第1の自動生成所見を評価するものであり、前記第1の自動生成所見が提示された後に、前記第1の読影所見を変更した結果生じた、前記第1の自動生成所見と前記第1の読影所見との差異の変化に基づいて、前記第1の自動生成所見が与えた医師の診断への影響度を評価することを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。

請求項6

前記評価手段は、前記第1の自動生成所見を評価するものであり、前記第1の自動生成所見が提示された後に、前記第1の読影所見が変更された結果と、前記第1の自動生成所見との差異に基づいて、前記第1の自動生成所見の信頼度を評価することを特徴とする請求項1に記載の医療診断支援装置。

請求項7

前記第1の検査データよりも新しい前記被検体の第2の検査データを解析して生成される第2の自動生成所見と、前記第2の検査データに対し操作部から入力された第2の読影所見とを取得する第2の所見取得手段と、前記第1の読影所見に対する前記変更情報に基づく前記第1の読影所見における信頼性の情報を、前記第2の自動生成所見と前記第2の読影所見とともに提示する提示手段とを更に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療診断支援装置。

請求項8

前記第1の検査データは、前記被検体の複数の時系列検査データであり、前記第1の所見取得手段は、前記第1の自動生成所見として前記複数の時系列検査データにおける自動生成所見を取得し、前記第1の読影所見として前記複数の時系列検査データにおける読影所見を取得し、前記評価手段は、前記複数の時系列検査データの中から前記第2の検査データに関連する検査データを選択し、当該選択した検査データにおける前記第1の読影所見に対する前記変更情報に基づいて、前記第1の読影所見の信頼性を評価することを特徴とする請求項7に記載の医療診断支援装置。

請求項9

前記評価手段は、前記第2の検査データの特性と前記複数の時系列検査データの特性との間の差異に基づいて、前記複数の時系列検査データの中から前記第2の検査データに関連する検査データを選択することを特徴とする請求項8に記載の医療診断支援装置。

請求項10

前記評価手段は、前記第2の検査データと前記複数の時系列検査データからなる検査データの特性の経時変化に基づいて、前記複数の時系列検査データの中から前記第2の検査データに関連する検査データを選択することを特徴とする請求項8に記載の医療診断支援装置。

請求項11

被検体の第1の検査データを解析して生成される第1の自動生成所見と、前記第1の検査データに対し操作部から入力された第1の読影所見とを取得する第1の所見取得工程と、前記第1の自動生成所見を提示し、前記第1の読影所見に対し操作部から入力された変更情報を取得する変更情報取得工程と、前記第1の読影所見に対する前記変更情報に基づいて、前記第1の自動生成所見および前記第1の読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する評価工程とを有することを特徴とする医療診断支援方法。

請求項12

コンピュータを、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療診断支援装置の各手段として機能させるためのプログラム

請求項13

コンピュータに、請求項11に記載の医療診断支援方法の各工程を実行させるためのプログラム。

請求項14

請求項12または13に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

技術分野

0001

本発明は、医療診断支援する情報を提供する技術に関するものである。

背景技術

0002

医療の分野において、医師は、患者撮影した医用画像モニタに表示し、モニタに表示された医用画像を読影して、病変部の状態や経時変化を観察する。医用画像を用いた画像診断において、医師は、診断対象である医用画像から異常陰影等を発見して、その異常陰影等が何であるかを診断する。画像診断の際に医師が作成する読影レポートには、発見した異常陰影等が何であるかを判断した結果(推定病名)と、その判断の根拠となる読影所見が記載される。このとき、医師が記した読影所見や推定病名は、以下のような場合には必ずしも正しいとは限らなかった。例えば、非常に忙しく1つの症例に対して多くの時間を費やせない医師や読影経験が浅い医師が、画像上で見つけにくい異常陰影や特徴を捉えづらい異常陰影を観察した場合には、異常陰影を見落とす可能性や、読影所見や推定病名の判断を誤る可能性があった。なお、以下の説明では、推定病名も広い意味における「所見(読影所見)」の1つと考える。

0003

そこで、医師による画像診断の精度を向上させる情報を提供することを目的として、医用画像をデジタル化して画像解析することにより疾患部位等を自動的に検出して、コンピュータ支援診断を行う医用画像処理装置が開発されている。以下、コンピュータ支援診断を、CAD(Computer-Aided Diagnosis)と称する。このようなCADでは、自動的に異常陰影候補を疾患部位として検出する。この異常陰影の検出処理では、医用画像データコンピュータ処理することにより、癌等による異常な腫留陰影や高濃度微小石灰化陰影等を検出する。そして、この検出結果を提示することにより、医師の読影に対する負荷を軽減し、また、読影結果の精度を向上させることができる。

0004

例えば、下記の特許文献1に記載されている装置では、CADにより異常陰影を検出した後、検出した異常陰影から医師が診断に用いる所見に対応する所見(の一部)を自動生成する。そして、自動生成した所見と医師が記した読影所見とを自動比較し、比較結果が異なる場合に警告情報を提示する。ここで、CADを利用して自動生成した所見を「CAD所見」と呼ぶことにする。この技術により、医師が記した読影所見とCAD所見が異なる場合に、医師に読影所見の見直しを促すことができ、精度の高い診断を実現できる。

先行技術

0005

特許第3085724号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1では、CAD所見が100%正しい場合には、医師による読影所見に誤りがある時に必ず見直しが促されるが、実際には、CAD所見は必ずしも正しい訳ではない。従って、実際には、CAD所見が間違っていて、かつ医師の読影所見が正しい場合にも警告提示されることとなり、誤った方向に所見の見直しが促される可能性がある。このように、医師が記した読影所見とCAD所見が異なる時に常に読影所見の見直しを促すことは、必ずしも適切であるとは限らなかった。

0007

本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、CAD所見を参考にして、医師が読影所見の見直しを行うことに価値があるか否かを適切に判断可能な情報を提供できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の医療診断支援装置は、被検体の第1の検査データを解析して生成される第1の自動生成所見と、前記第1の検査データに対し操作部から入力された第1の読影所見とを取得する第1の所見取得手段と、前記第1の自動生成所見を提示し、前記第1の読影所見に対し操作部から入力された変更情報を取得する変更情報取得手段と、前記第1の読影所見に対する前記変更情報に基づいて、前記第1の自動生成所見および前記第1の読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する評価手段とを有する。
また、本発明は、上述した医療診断支援装置による医療診断支援方法を含む。また、本発明は、上述した医療診断支援装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム、及び、医療診断支援方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。さらに、本発明は、当該プログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。

発明の効果

0009

本発明によれば、自動生成所見(CAD所見)を参考にして、医師が読影所見の見直しを行うことに価値があるか否かを適切に判断可能な情報を提供することができる。それにより、医師は、読影所見の見直しを効率よく行うことができるので、医師の診断の精度を向上させることが可能になる。

図面の簡単な説明

0010

第1の実施形態に係る医療診断支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る医療診断支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る医療診断支援装置における医療診断支援方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3のステップS308における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1の実施形態を示し、図3のステップS305における所見入力画面の一例を示す模式図である。
第1の実施形態を示し、図3のステップS307における所見確認・変更画面の一例を示す模式図である。
第1の実施形態を示し、図3のステップS311において医師が読影所見を変更した後の所見確認・変更画面の一例を示す模式図である。
第1の実施形態を示し、CAD所見と読影所見との関係を示す模式図である。
第1の実施形態を示し、所見項目ごとの第一印象の読影所見の信頼性とCAD所見の影響の情報をまとめた図である。
第1の実施形態を示し、図3のステップS310における所見確認・変更画面の一例を示す模式図である。
第2の実施形態を示し、特徴量Sを時系列プロットした特性図である。

実施例

0011

以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。

0012

[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る医療診断支援装置では、まず、被検体の異常陰影を含む医用画像(第1の検査データ)を画像解析して生成されるCAD所見(第1の自動生成所見)と、前記第1の検査データに対する医師による読影所見(第1の読影所見)を取得する。この第1の自動生成所見及び第1の読影所見を取得する医療診断支援装置の手段は、「第1の所見取得手段」を構成する。

0013

続いて、第1の実施形態に係る医療診断支援装置では、前記第1の検査データに対して医師が第一印象で読影所見(第1の読影所見)を記した後にCAD所見(第1の自動生成所見)を提示する。そして、当該CAD所見を参照した医師が第一印象の読影所見(第1の読影所見)を変更したか否かを変更情報として取得し記録する。このCAD所見を提示して、医師が第一印象の読影所見(第1の読影所見)を変更したか否かを変更情報として取得する医療診断支援装置の手段は、「変更情報取得手段」を構成する。

0014

そして、第1の実施形態に係る医療診断支援装置では、前記変更情報に基づいて、前記第1の検査データに対するCAD所見(第1の自動生成所見)及び前記第1の読影所見のうちの少なくともいずれか一方を評価する。

0015

さらに、第1の実施形態に係る医療診断支援装置では、同一の被検体の同一の異常陰影の新たな医用画像(第2の検査データ)が診断対象となったとき、当該第2の検査データを画像解析して生成されるCAD所見(第2の自動生成所見)と、当該第2の検査データに対する医師による読影所見(第2の読影所見)を取得する。この第2の自動生成所見及び第2の読影所見を取得する医療診断支援装置の手段は、「第2の所見取得手段」を構成する。

0016

そして、第1の実施形態に係る医療診断支援装置では、同一の被検体の同一の異常陰影の新たな医用画像が診断対象となったとき、過去の第一印象の読影所見(第1の読影所見)の変更情報に基づいて、医師の第一印象の読影所見の信頼性等を評価する。そして、その信頼性等の情報を、診断対象画像(診断対象の医用画像)に記した読影所見(第2の読影所見)と関連付けて提示する。これにより、医師に、現在自分が第一印象で記した読影所見の信頼性等がどの程度かを把握させ、より精度の高い診断の実現を試みる

0017

さらに、過去のCAD所見(第1の自動生成所見)が医師の診断にどの程度影響を与えたかを評価し、その情報を診断対象画像に対するCAD所見(第2の自動生成所見)に関連付けて表示する。これにより、医師は、診断対象画像に対して提示されたCAD所見がどの程度診断の参考になるかを判断することができる。

0018

これらの支援情報に基づき、医師は、CAD所見を参考にして自身の所見の見直しを行うことに価値がありそうか否かを判断できるので、より効率的な診断を行うことができる。

0019

図1は、第1の実施形態に係る医療診断支援装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す医療診断支援装置10は、医用情報取得部100、異常陰影検出部101、CAD所見生成部102、医用情報提示部103、読影所見取得部104、所見管理部105、所見提示部106、及び、所見評価部107の各機能構成を有している。

0020

医用情報取得部100は、診断対象である症例に関する医用情報(医用画像や電子カルテの情報など)を不図示のサーバから取得する。或いは、医用情報取得部100は、外部記憶装置、例えばFDD、HDDCDドライブDVDドライブMOドライブ、ZIPドライブ等を接続し、それらのドライブから医用情報を取得するようにしてもよい。そして、医用情報取得部100は、取得した医用情報を異常陰影検出部101及び医用情報提示部103へと出力する。

0021

異常陰影検出部101は、医用情報取得部100から取得した診断対象である医用画像を画像解析して異常陰影を検出し、検出結果(例えば、異常陰影を囲む関心領域の情報)をCAD所見生成部102及び医用情報提示部103へと出力する。

0022

CAD所見生成部102は、異常陰影検出部101から取得した異常陰影の検出結果からCAD所見を生成し、所見管理部105へと出力する。

0023

医用情報提示部103は、医用情報取得部100から取得した診断対象である医用情報を、異常陰影検出部101から取得した異常陰影の検出結果と共に、医師が読影可能な形でモニタに表示して提示する。

0024

読影所見取得部104は、医用情報提示部103で表示された情報を参照した医師が記した第一印象の読影所見を取得する。また、読影所見取得部104は、所見提示部106で表示された支援情報をさらに参照した後に医師が入力した読影所見の変更情報(以下、「所見変更情報」と呼ぶ)を取得する。そして、読影所見取得部104は、取得したこれらの情報を所見管理部105へと出力する。

0025

所見管理部105は、CAD所見生成部102から取得したCAD所見の情報、読影所見取得部104から取得した第一印象の読影所見の情報及び所見変更情報を、当該異常陰影に関する読影レポートの一部をなす所見情報として磁気ディスクに格納する。また、所見管理部105は、それらの情報を所見提示部106及び所見評価部107へと出力する。

0026

所見提示部106は、CAD所見生成部102で取得したCAD所見と第一印象の読影所見を表示して提示する。また、所見提示部106は、所見評価部107からそれぞれの所見項目に関する評価情報を取得した場合には、その評価情報をCAD所見及び第一印象の読影所見と関連付けて表示して提示する。

0027

所見評価部107は、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影の医用画像を過去に読影した読影レポートが存在している場合には、過去の読影レポート内に保存されている当該異常陰影の所見情報を所見管理部105から取得する。そして、所見評価部107は、取得した所見情報に基づきそれぞれの所見項目を評価して評価情報(詳細は後述)を得る。そして、所見評価部107は、評価した信頼性情報等を所見提示部106へと出力する。

0028

なお、図1に示した医療診断支援装置10の各機能構成部の少なくとも一部は、独立した装置として実現されてもよい。また、医療診断支援装置10の各機能構成部は、それぞれが機能を実現するソフトウェアとして実現されてもよい。本実施形態では、図1に示した医療診断支援装置10の各機能構成部は、それぞれ、ソフトウェアにより実現されているものとする。

0029

図2は、第1の実施形態に係る医療診断支援装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。即ち、図2は、図1に示した各機能構成部のそれぞれの機能を、ソフトウェアで実現するためのコンピュータの基本構成(ハードウェア構成)を示す図である。

0030

図2に示す医療診断支援装置10は、CPU200、主メモリ201、磁気ディスク202、表示メモリ203、モニタ204、マウス205、キーボード206、及び、共通バス207の各ハードウェア構成を有している。

0031

CPU200は、主として各構成要素の動作を制御して、医療診断支援装置10における動作を統括的に制御する。

0032

主メモリ201は、CPU200が実行する制御プログラムを格納したり、CPU200によるプログラム実行時の作業領域を提供したりする。

0033

磁気ディスク202は、オペレーティングシステム(OS)、周辺機器デバイスドライブ、後述する処理等を行うためのプログラムを含む各種アプリケーションソフト等を格納する。

0034

表示メモリ203は、図1に示す医用情報提示部103や所見提示部106が生成する表示用データを一時記憶する。

0035

モニタ204は、例えばCRTモニタ液晶モニタ等であり、表示メモリ203からの表示用データに基づいて画像やテキストなどの表示を行う。

0036

マウス205及びキーボード206は、それぞれ、ユーザによるポインティング入力及び文字等の入力を行う。

0037

共通バス207は、上記各構成要素(200〜206)を互いに通信可能に接続している。

0038

ここで、例えば、図1に示す、医用情報取得部100、異常陰影検出部101、CAD所見生成部102及び所見評価部107は、図2に示す、CPU200、及び、主メモリ201及び/又は磁気ディスク202に記憶されているプログラムから構成されている。また、例えば、図1に示す医用情報提示部103及び所見提示部106は、図2に示す、CPU200、主メモリ201及び/又は磁気ディスク202に記憶されているプログラム、表示メモリ、及び、モニタから構成されている。また、例えば、図1に示す読影所見取得部104は、図2に示す、CPU200、主メモリ201及び/又は磁気ディスク202に記憶されているプログラム、マウス205及びキーボード206から構成されている。また、例えば、図1に示す所見管理部105は、図2に示す、CPU200、主メモリ201及び/又は磁気ディスク202に記憶されているプログラム、及び、磁気ディスク202から構成されている。

0039

次に、図3のフローチャートを用いて、医療診断支援装置10が行う全体の処理を説明する。

0040

図3は、第1の実施形態に係る医療診断支援装置10における医療診断支援方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図3のフローチャートは、CPU200が主メモリ201に格納されている各部の機能を実現するプログラムを実行することにより実現される。また、図4は、図3のステップS308における詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、まず、図3の説明を行い、図4については後述する。

0041

まず、図3のステップS301において、医用情報取得部100は、不図示のサーバ等から医療診断支援装置10へと入力された医用情報(医用画像や電子カルテの情報など)を取得する。そして、医用情報取得部100は、取得した医用情報を異常陰影検出部101及び医用情報提示部103へと出力する。

0042

続いて、ステップS302において、異常陰影検出部101は、医用情報取得部100から取得した医用情報に含まれる診断対象の医用画像を画像解析し、異常陰影を検出する。ここで、本実施形態では、医用画像は胸部CT画像であり、そこからの異常陰影(腫瘤影)を検出するものとする。そして、例えば、異常陰影検出部101は、特許文献1に記載されているCAD技術により、医用画像を画像解析することにより異常陰影の存在位置を自動的に検出して、さらに、異常陰影を囲む関心領域を自動設定する。そして、異常陰影検出部101は、自動設定した関心領域の画像をCAD所見生成部102へと出力する。また、異常陰影検出部101は、自動設定した関心領域の範囲を表す情報を医用情報提示部103へと出力する。なお、異常陰影の検出や関心領域の設定は、医師が行ってもよい。また、異常陰影が予め検出されていて医用情報とともに不図示のサーバ等に保存されている場合には、医用情報とともにこれを取得する構成であってもよい。

0043

ステップS303において、CAD所見生成部102は、異常陰影検出部101から取得した異常陰影の関心領域から画像特徴量を抽出して、これに基づいて医師が診断に利用し得る所見を生成し、これをCAD所見とする。なお、CAD所見の生成処理は、当該分野において実施可能ないずれの方法に基づいて行ってもよい。例えば、CAD所見生成部102は、画像特徴量の1つである腫瘤のサイズ(最大径)から、所見項目名:{大きさ}の所見を生成する。また、CAD所見生成部102は、画像特徴量の1つである辺縁凹凸度を利用して、所見項目名:{全体形状}の所見を生成する。また、CAD所見生成部102は、画像特徴量の1つである辺縁の距離の分散に基づいて、所見項目名:{放射状}の所見を選択するなどの処理を行うことができる。これらの処理は、本実施形態の特徴を表す部分ではないので、その説明は省略する。

0044

また、CAD所見生成部102は、上記で抽出した画像特徴量セットを用いて所見項目名:{推定病名}の所見を推論する。本実施形態では、{推定病名−原発性肺がん}、{推定病名−転移性肺腫瘍}、{推定病名−その他}の3つの病名に分類する。病名を推定するための推論器としては、例えば、サポートベクターマシンニューラルネットワークベイジアンネットワークを用いることができる。但し、推論器はこの手法に限定されるものではない。

0045

そして、CAD所見生成部102は、上記で生成したCAD所見を所見管理部105へと出力する。

0046

続いて、ステップS304において、医用情報提示部103は、医用情報取得部100から取得した医用情報(診断対象の症例に関する電子カルテの情報や医用画像)を、ステップS302で得た異常陰影の検出結果と共に医師が読影可能な形でモニタ204に表示する。

0047

続いて、ステップS305において、読影所見取得部104は、モニタ204に表示された医用画像を読影した医師が第一印象で入力した異常陰影の読影所見を取得する。本実施形態では、医師は、モニタ204に表示された医用画像の読影所見を、マウス205やキーボード206等の操作部を用いて入力する。なお、この処理は、例えば、テンプレート形式の読影所見入力支援方法を用いて、それぞれの所見項目に関する所見をGUIにより選択できるような機能を備えることで実現される。

0048

図5は、第1の実施形態を示し、図3のステップS305における所見入力画面500の一例を示す模式図である。
図5の所見入力画面500には、診断対象の医用画像501、異常陰影を囲む関心領域502、CAD所見を表示する領域(CAD所見表示領域)503、医師による読影所見の入力領域(読影所見入力領域)504、操作部を介して入力された読影所見の入力完了の指示を入力する入力完了ボタン505が設けられている。医師は、所見入力画面500に表示された医用画像501を参照しながら読影し、関心領域502内の異常陰影に関する読影所見を読影所見入力領域504に入力する。入力された読影所見は読影所見入力領域504に表示される。次に、医師は、入力完了ボタン505を押下することで読影を完了する。

0049

読影所見取得部104は、医師による入力完了ボタン505が押下された時に、読影所見入力領域504に入力されている読影所見の情報を取得し、第一印象の読影所見としてこれを所見管理部105へと出力する。なお、ステップS305の処理においては、CAD所見表示領域503には、CAD所見は表示されない。これは、医師が読影する際にCAD所見が表示されてしまうと、CAD所見に医師の判断が引きずられ、先入観を持った状態で読影する可能性があり、それを防ぐためである。

0050

ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS305の処理が終了すると、ステップS306に進む。
ステップS306に進むと、所見管理部105は、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが、磁気ディスク202に格納されていて存在するか否かを判断する。ここで、診断対象である異常陰影と過去の読影レポート中の異常陰影との対応付けは、例えば、肺野内における異常陰影の位置情報などに基づいて、公知の方法で行うものとする。

0051

そして、ステップS306の判断の結果、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在する場合には、磁気ディスク202から当該異常陰影の所見情報を取得して所見評価部107へ出力し、ステップS308へと処理を進める。一方、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在しない場合には、ステップS307へと処理を進める。

0052

ステップS307(過去の読影レポートが存在しない場合)に進むと、所見提示部106は、所見管理部105から取得したCAD所見と読影所見とをモニタ204に表示する。そして、ステップS311へと処理を進める。

0053

図6は、第1の実施形態を示し、図3のステップS307における所見確認・変更画面600の一例を示す模式図である。図6において、601、602及び603は、それぞれ、図5の501、502、503と同様のものを表す。また、図6に示す所見確認・変更画面600には、読影所見を変更するための入力領域(読影所見変更領域)604、読影所見の変更完了の指示を入力する変更完了ボタン605が設けられている。このとき、CAD所見表示領域603にはCAD所見が表示され、読影所見変更領域604には第一印象の読影所見が初期状態として表示される。これは、医師に第一印象の読影所見とCAD所見を並べて提示することで、第一印象の読影所見に対する見直しを促すためである。

0054

ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS307の処理が終了すると、ステップS311に進む。
ステップS311に進むと、読影所見取得部104は、医師がCAD所見を参照することで第一印象の読影所見を見直して変更した後の読影所見を取得する。これを「変更後の読影所見」と呼ぶことにする。

0055

図7は、第1の実施形態を示し、図3のステップS311において医師が読影所見を変更した後の所見確認・変更画面700の一例を示す模式図である。図7において、701〜705は、それぞれ、図6の601〜605と同様のものを表す。
図7において、読影所見706及び707は、それぞれ、医師によって第一印象の読影所見が変更された後の読影所見を表す。図7の例では、読影所見706に関して、医師は、CAD所見{切れ込み−弱い}を参照することで、第一印象の読影所見{切れ込み−強い}を、{切れ込み−弱い}に変更している。また、読影所見707に関して、医師は、CAD所見{放射状−非常に強い}を参照することで、第一印象の読影所見{放射状−弱い}を、{放射状−中程度}に変更している。そして、医師は、変更完了ボタン705を押下することで、読影所見の変更を完了する。

0056

そして、読影所見取得部104は、医師によって変更完了ボタン705が押下された時に、読影所見変更領域704で変更された後の読影所見を取得し、所見管理部105へと出力する。

0057

ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS311の処理が終了すると、ステップS312に進む。
ステップS312に進むと、所見管理部105は、変更後の読影所見を第一印象の読影所見と比較することで、所見変更情報(どの項目の所見が何から何へ変更されたかを表す情報)を抽出する。そして、これまでの処理で取得したCAD所見、第一印象の読影所見、変更後の読影所見、及び、所見変更情報を、当該異常陰影に関する読影レポートの一部をなす所見情報として、磁気ディスク202に格納して記録する。なお、所見変更情報には、実際に変更された所見が存在しない場合にも、「変更所見なし」という情報が記録される。この場合には、所見変更情報自体は存在することになるため、この情報が過去の異常陰影で記録された状態でステップS306における判断処理を行った場合には、過去の読影レポートが存在するという判断が行われ、次に、ステップS308へと進むことになる。

0058

以上が、診断対象の異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在しない場合の処理(ステップS307以降の処理)の説明が完了した。
次に、診断対象の異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在する場合の処理(ステップS308以降の処理)を説明する。

0059

ステップS308(診断対象の異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在する場合)において、所見評価部107は、ステップS306で取得した過去の所見情報に基づいて、それぞれの所見項目の評価を行う。

0060

本ステップでは、ある所見項目に関して過去の第一印象の読影所見が変更されている場合には、その所見項目は医師が第一印象で誤って判断したとみなし、「医師が第一印象で付けた読影所見の信頼性は確実ではない」と判定する。逆に、ある所見項目に関して過去の第一印象の読影所見が変更されていない場合には、その所見項目は医師が第一印象で正しい判断したとみなし、「医師が第一印象で付けた読影所見の信頼性は確実である」と判定する。

0061

さらに、ある所見項目に関して医師がCAD所見と同じに読影所見を変更した場合には、「CAD所見は医師の判断に重大な影響を与えた」と判定する。この場合、医師の視点からは、自分の読影所見をCAD所見と同じに変更するほどCAD所見が参考になったと見なせるため、「CAD所見は医師の診断に確実に参考になる」とも判定する。一方、医師は読影所見を変更したがCAD所見と同じには変更しなかった場合には、「CAD所見は医師の判断に影響を与えたが、与えた影響は重大ではない」と判定する。また、医師が読影所見を変更しなかった場合には、「CAD所見は医師の判断に影響を与えなかった」と判定する。この場合、医師の視点からは、自分の読影所見をCAD所見と同じに変更するほどにはCAD所見は参考にならなかったと見なせるため、「CAD所見は医師の診断に確実には参考にならない」とも判定する。

0062

次に、図4のフローチャートを用いて、上述した所見評価部107が行う判定処理図3のステップS308における過去の所見項目の評価処理)を説明する。

0063

図3のステップS308の処理が開始すると、まず、図4のステップS401において、所見評価部107は、処理対象の読影所見の所見番号i=1と設定するとともに、その所見数nを取得する。

0064

続いて、ステップS402において、所見評価部107は、所見変更情報からi番目の読影所見(読影所見i)を取得し、医師によって変更された記録があるか否かを判断する。この判断の結果、読影所見iが変更された場合には、ステップS403へと処理を進め、一方、読影所見iが変更されていない場合には、ステップS404へと処理を進める。

0065

図7で示した例が診断対象の異常陰影に対応する過去の異常陰影であった場合を考えると、所見4{切れ込み}及び所見5{放射状}に関しては、医師が第一印象の読影所見を変更している。従って、i=4,5の場合には、ステップS403へと処理を進めることになる。一方、所見1{大きさ}、所見2{全体形状}、所見3{気管支透瞭像}、所見20{推定病名}に関しては、医師は第一印象の読影所見を変更していない。従って、i=1,2,3,20の場合には、ステップS404へと処理を進めることになる。

0066

ステップS403に進むと、所見評価部107は、医師によって過去に読影所見iが変更されているという判定結果を受けて、「医師が第一印象で付けた読影所見iの信頼性は確実ではない」と判断する。そして、所見評価部107は、医師の第一印象の読影所見iがどの程度信頼できるかを表す信頼度を算出した後に、ステップS405へと処理を進める。

0067

本実施形態では、医師が第一印象の読影所見を変更している程度が小さいほど信頼性が高いとみなし、逆に、第一印象の読影所見を変更している程度が大きいほど信頼性が低いとみなす。ここで、所見項目である読影所見iの値が程度や確率の大きさで表現される場合、その値の取り得る最大値をViMAX、変更前の読影所見iの値をViPRE、変更後の読影所見iの値をViPOSTとする。このとき、医師の読影所見iの信頼度RiDOCは、次式で表される。
RiDOC=(ViMAX−|ViPOST−ViPRE|)/ViMAX ・・・(1)
但し、読影所見i自体が程度や確率の大きさで表現できない場合には、医師が読影所見を変更した程度の大きさを評価できないため、信頼度は算出しない。

0068

図8は、第1の実施形態を示し、CAD所見と読影所見との関係を示す模式図である。図8(a)の例では、所見4{切れ込み}について、医師は{切れ込み−強い}を{切れ込み−弱い}に変更している。従って、信頼度は、R4DOC=(4−|1−3|)/4=0.5と求まる。また、図8(b)の例では、所見5{放射状}について、医師は{放射状−弱い}を{放射状−中程度}に変更している。従って、信頼度は、R5DOC=(4−|2−1|)/4=0.75と求まる。即ち、本実施形態では、所見評価部107は、図8に示すように、CAD所見が提示された後に、医師が読影所見を変更した度合いに基づいて、当該読影所見の信頼度を評価するようにしている。

0069

ここで、再び、図4の説明に戻る。
図4のステップS404に進むと、所見評価部107は、医師によって過去に読影所見iが変更されていないという判定結果を受けて、「医師が第一印象で付けた読影所見iの信頼性は確実である」と判断する。そして、所見評価部107は、医師の第一印象の読影所見の信頼度をRiDOC=1.0とした後に、ステップS408へと処理を進める。図7の例では、所見1{大きさ}、所見2{全体形状}、所見3{気管支透瞭像}、所見20{推定病名}に関しては、第一印象の読影所見iの信頼度は、1.0(100%)となる。

0070

ステップS403の処理が終了すると、ステップS405に進む。
ステップS405に進むと、所見評価部107は、過去に医師が読影所見iを変更した結果が、対応する所見項目のCAD所見iと一致するか否かを判断する。この判断の結果、過去に医師が読影所見iを変更した結果が対応する所見項目のCAD所見iと一致しない場合には、ステップS406へと処理を進める。一方、過去に医師が読影所見iを変更した結果が対応する所見項目のCAD所見iと一致する場合には、ステップS407へと処理を進める。

0071

図7の例では、所見4{切れ込み}については、医師は、読影所見をCAD所見と同じ{切れ込み−弱い}に変更しているため、ステップS407へと処理を進める。一方、所見5{放射状}については、医師は読影所見をCAD所見{放射状−非常に強い}とは異なる{放射状−中程度}に変更しているため、ステップS406へと処理を進める。

0072

ステップS406に進むと、所見評価部107は、医師による過去の読影所見iの変更結果がCAD所見iと一致しないという判定結果を受けて、「CAD所見iは医師の判断に影響を与えたが、与えた影響は重大ではない」と判断する。このとき、所見評価部107は、CAD所見が医師の判断にどの程度影響を与えたかを表す影響度を算出する。

0073

本実施形態では、医師の読影所見とCAD所見の差の縮まり方が大きいほど、CAD所見の影響が高いとみなす。逆に、医師の読影所見とCAD所見の差の縮まり方が小さいほど、CAD所見の影響が小さいとみなす。即ち、本実施形態では、医師が読影所見を変更した結果生じた、当該読影所見とCAD所見との差異の変化に基づいて、CAD所見が与えた医師の診断への影響度を評価する。ここで、CAD所見iの値をViCADとすると、CAD所見iの影響度EiCADは次式で表される。
EiCAD=(|ViCAD−ViPRE|−|ViCAD−ViPOST|)
/|ViCAD−ViPRE| ・・・(2)
但し、EiCAD<0となる場合には、医師がCAD所見を参照した結果、医師の読影所見とCAD所見との差が拡大していることを示すため、CAD所見による影響度は不明であり、ここでは無効な値とし、影響度は算出しない。また、読影所見i自体が程度で表現できない場合には、医師の読影所見とCAD所見との差を表すことができないため、影響度は算出しない。

0074

図8(b)の例では、所見5{放射状}について、CAD所見{放射状−非常に強い}を見て、医師は{放射状−弱い}を{放射状−中程度}に変更している。従って、CAD所見の影響度E5CAD=(|4−1|−|4−2|)/|4−1|≒0.33と求まる。

0075

また、ステップS407に進むと、所見評価部107は、医師による過去の読影所見iの変更結果がCAD所見iと一致するという判定結果を受けて、「CAD所見iは医師の判断に重大な影響を与えた」と判断する。このとき、医師は、読影所見をCAD所見と一致させているため、式(2)よりCAD所見の影響度EiCADは、EiCAD=1.0と求まる。従って、図7の例では、所見4{切れ込み}に関しては、医師の判断へのCAD所見iの影響度は、1.0(100%)となる。

0076

また、ステップS408に進むと、所見評価部107は、ステップS402で読影所見iは変更されていないという判定結果を受けて、「CAD所見iは医師の判断に影響を与えなかった」と判断する。このとき、医師は、読影所見を変更していないため、CAD所見の影響度EiCADは、EiCAD=0とする。従って、図7の例では、所見1{大きさ}、所見2{全体形状}、所見3{気管支透瞭像}、所見20{推定病名}に関しては、医師の判断へのCAD所見iの影響度は、0(0%)となる。

0077

ステップS406、ステップS407或いはステップS408の処理が終了すると、ステップS409に進む。
ステップS409に進むと、所見評価部107は、所見番号iに1を加える。

0078

続いて、ステップS410において、所見評価部107は、所見番号iを所見数nと比較し、所見番号iが所見数nよりも大きい場合には、図4のフローチャートの処理を終了させる。一方、所見番号iが所見数n以下の場合には、ステップS402へと処理を進め、その後、ステップS402以降の処理が再度行われる。

0079

以上により、図4のフローチャートの説明を終了する。
以上のようにして、過去画像(過去の医用画像)における医師の第一印象の読影所見の信頼性とCAD所見が医師に与えた影響を、所見項目ごとに評価することができる。

0080

図9は、第1の実施形態を示し、所見項目ごとの第一印象の読影所見の信頼性とCAD所見の影響の情報をまとめた図である。所見評価部107は、図9に記載された所見項目ごとの第一印象の読影所見の信頼性情報とCAD所見の影響情報を、所見提示部106へと出力する。

0081

ここで、再び、図3の説明に戻る。
図3のステップS308の処理が終了すると、ステップS309に進む。
ステップS309に進むと、所見提示部106は、所見評価部107から取得した過去画像における第一印象の読影所見の信頼性情報と医師の判断へのCAD所見の影響情報を、所見管理部105から取得した診断対象画像における所見情報に関連付ける。

0082

本ステップでは、過去画像での医師の第一印象の読影所見の信頼性が高ければ、同一の所見項目に関して、診断対象画像でも医師の第一印象の読影所見は信頼できると判断する。また、過去画像でのCAD所見が医師の判断に影響を与えていれば(過去画像において医師がCAD所見を参考にして読影所見を見直していれば)、同一の所見項目に関して、診断対象画像でもCAD所見は医師の判断に影響を与えるであろう(診断対象画像においても医師はCAD所見を参考にして読影所見を見直すであろう)と判断する。

0083

そこで、本ステップでは、所見項目ごとに診断対象画像に対する第一印象の読影所見には、過去画像で求めた第一印象の読影所見の信頼性情報を関連付ける。一方、診断対象画像に対するCAD所見には、過去画像で求めた医師の診断へのCAD所見の影響情報を関連付ける。

0084

例えば、図9に示すように、所見項目1{大きさ}に関しては、診断対象画像で医師が付けた第一印象の読影所見に対して、「第一印象の読影所見の信頼性:確実(信頼度100%)」の情報が関連付けられる。一方、診断対象画像のCAD所見に対して、「医師の判断へのCAD所見の影響:なし(影響度0%)」の情報が関連付けられる。同様に、図9に示すように、所見項目4{切れ込み}に関しては、診断対象症例の第一印象の読影所見に対して、「第一印象の読影所見の信頼性:確実ではない(信頼度50%)」が関連付けられ、CAD所見に対して、「医師の判断へのCAD所見の影響:重大(影響度100%)」が関連付けられる。

0085

続いて、ステップS310において、所見提示部106は、ステップS309で関連付け処理が行われた診断対象症例の第一印象の読影所見とCAD所見をモニタ204に表示する。

0086

図10は、第1の実施形態を示し、図3のステップS310における所見確認・変更画面1000の一例を示す模式図である。図10において、1001〜1005は、それぞれ、図6の601〜605と同様のものを表す。また、図10に示す所見確認・変更画面1000には、医師の第一印象の読影所見に誤りがある可能性を警告する警告メッセージ1006、警告メッセージ1006によって警告された読影所見の所見項目1007及び1008が示されている。さらに、図10に示す所見確認・変更画面1000には、警告メッセージ1006で警告された所見項目1007及び1008にそれぞれ対応する、CAD所見が医師の判断に与える影響度を表すメッセージ1009及び1010が示されている。

0087

図10において、所見項目1007及び1008は、過去画像で医師の第一印象の読影所見が訂正(変更)されており、診断対象画像においても第一印象の読影所見の信頼性は確実ではないと判断されたため、警告メッセージ1006によって警告されている。一方、所見項目1、2、3、20については、過去画像で第一印象の読影所見は訂正(変更)されておらず、診断対象画像においても第一印象の読影所見の信頼性は確実であると判断されたため、警告提示されていない。このように、信頼性が確実ではないと判断された所見項目についてのみ警告提示することにより、見直しの必要度の高い項目についてのみ医師に読影所見の見直しを促すことができる。その結果、医師による見直しの手間を効率良く低減できる。なお、図10に示す所見確認・変更画面1000には、過去画像における第一印象の読影所見の信頼性情報(信頼度に関する情報)が示されていないが、所見項目毎に、過去画像における第一印象の読影所見の信頼性情報を表示するようにしてもよい。

0088

ここで、再び、図3の説明に戻る。
図3のステップS310の処理が終了すると、ステップS311に進む。
ステップS311に進むと、読影所見取得部104は、医師がCAD所見を参照することで第一印象の読影所見を見直して変更した後の読影所見(変更後の読影所見)を取得する。そして、読影所見取得部104は、医師によって変更完了ボタン1005が押下された時に、読影所見変更領域1004で変更された後の読影所見を取得し、所見管理部105へと出力する。

0089

続いて、ステップS312において、所見管理部105は、変更後の読影所見を第一印象の読影所見と比較することで、所見変更情報(どの項目の所見が何から何へ変更されたかを表す情報)を抽出する。そして、これまでの処理で取得したCAD所見、第一印象の読影所見、変更後の読影所見、及び、所見変更情報を、当該異常陰影に関する読影レポートの一部をなす所見情報として、磁気ディスク202に格納する。なお、所見変更情報には、実際に変更された所見が存在しない場合にも、「変更所見なし」という情報が記録される。

0090

以上により、図3のフローチャートの説明を終了する。

0091

なお、本実施形態では、第一印象の読影所見の信頼性が確実であるか否かの判断に応じて警告提示するか否かを変更しているが、表示方法はこれに限らない。例えば、図3のステップS309で第一印象の読影所見に関連付けられた信頼度情報を提示してもよい。例えば、信頼性が確実であると判断された場合には、「信頼度:確実」を表示する。これにより、医師は、その所見項目の見直しの必要性は低いと認識できる。一方、信頼性が確実ではないと判断された場合には、信頼性の程度に応じて異なる信頼度が表示される。例えば、所見項目4については、ステップS309で関連付けられた「信頼度:50%」の情報が表示される。この場合、信頼性があまり高くないため、医師は、その所見項目は見直しの必要性が高いと認識できる。このように、医師は、自分の第一印象の読影所見がどの程度信頼できるかという情報を診断の参考にすることができる。

0092

さらに、図10の警告メッセージ1006では、医師が過去画像で読影所見をCAD所見と一致させて訂正した場合と、一致させずに訂正した場合とで情報の種類を分けて提示している。これは、過去に医師が読影所見をCAD所見に一致させたか否かで、CAD所見が医師に与えた影響が異なり、診断においてどの程度CAD所見が参考になりそうかが変わるためである。図10の所見項目1007は、過去に医師が読影所見をCAD所見と一致させた所見項目であり、対応するCAD所見上にステップS309で関連付けられた「医師の判断へのCAD所見の影響:重大」の情報がメッセージ1009として表示されている。この情報を参照することで、医師は、所見項目1007に関してCAD所見が自分の読影所見を決定付けるほどに参考になる可能性があると判断することができる。一方、所見項目1008は、過去に医師が読影所見をCAD所見と一致させずに訂正した所見項目であり、対応するCAD所見上にステップS309で関連付けられた「医師の判断への影響度:33%」の情報がメッセージ1010として表示されている。この情報を参照することで、医師は、所見項目1008に関してCAD所見が自分の読影所見を決める上で決定的ではないがある程度参考になる可能性があると判断することができる。

0093

上述した構成によれば、過去における第一印象の読影所見の信頼性情報を、診断対象画像に対する読影所見と関連付けて提示することで、医師は、自分の第一印象の読影所見の信頼性を判断する参考にすることができ、より精度の高い診断を実現することができる。さらに、CAD所見が医師の判断に与える影響情報を、診断対象画像に対するCAD所見に関連付けて提示することで、医師は、提示されたCAD所見がどの程度診断の参考になるかを判断することができ、より効率的な診断を行うことができる。

0094

(第1の実施形態の変形例1)
上述した第1の実施形態では、CAD所見がどの程度診断の参考になるかの判断材料として、ステップS308においてCAD所見が医師の判断に与えた影響を評価したが、判断材料はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS308においてCAD所見自体の信頼性(信頼度)を評価してもよい。具体的には、ステップS308の中のステップS406の処理において、CAD所見の信頼度を算出する。この指標は、医師がCAD所見の影響を受けてどの程度読影所見を変更したかとは無関係に、医師が最終的に確定した読影所見に対してCAD所見がどの程度近いか、という観点で算出する。即ち、CAD所見iの信頼度RiCADは次式で表される。
RiCAD=(ViMAX−|ViPOST−ViCAD|)/ViMAX ・・・(3)

0095

図8(a)の例では、所見4{切れ込み}について、医師は、CAD所見{切れ込み−弱い}と同じに変更している。従って、信頼度はR4CAD=(4−|1−1|)/4=1.0と求まる。また、図8(b)の例では、所見5{放射状}について、医師は、CAD所見{放射状−非常に強い}を参照して{放射状−中程度}に変更している。従って、信頼度R5CAD=(4−|2−4|)/4=0.5と求められる。

0096

また、医師が第一印象の読影所見を変更しなかった場合には、ステップS408によりCAD所見の影響度は常にECAD=0と算出されていたが、信頼度を適用する場合は、最終的な読影所見とCAD所見が一致する程度に応じて値が変わる。例えば、図9における所見項目1に関して、医師は読影所見を変更していないので、CAD所見の影響度はE1CAD=0である。一方、CAD所見と医師の最終的な読影所見は、それぞれ、「小さい(2)」、「中程度(3)」と異なるため、RCAD=(4−|3−2|)/4=0.75と求められる。このことから、CAD所見の信頼度は比較的高いことが分かる。

0097

このように、最終的に確定した読影所見にどの程度近いかに基づいて、CAD所見の信頼度を評価することで、医師が第一印象の所見を変更しなかった場合でも、CAD所見の信頼度を算出することができる。これにより、CAD所見がどの程度診断の参考になるかの判断材料にすることができる。

0098

(第1の実施形態の変形例2)
上述した第1の実施形態では、過去画像の所見変更情報を所見管理部105で記録しておき、新しい画像が診断対象となったときに所見変更情報を読み込み、信頼性の評価を行って所見情報と関連付けて信頼性情報の提示をした。しかしながら、信頼性情報の提示までの流れはこの方法に限らない。例えば、過去画像の所見変更情報から所見の評価を行った結果を記録しておくことで、新しい画像が診断対象となったときに予め記録された信頼性情報を読み込み、これを所見情報と関連付けて提示してもよい。
これにより、診断対象画像が入力された際に、所見の評価を行う処理を省くことができ、処理を効率化できる。

0099

[第2の実施形態]
第1の実施形態では、同一異常陰影の過去画像1つからそれぞれの所見項目を評価していた。しかしながら、第一印象の読影所見の信頼性の評価方法はこれに限らず、他であってもよい。本実施形態では、同一異常陰影の過去画像が複数存在する場合に、それらの複数の過去画像(以降、「時系列過去画像(時系列検査データ)」と呼ぶ)の中から評価に用いる過去画像の所見情報を選択する。そして、選択された過去画像の所見情報のみに基づき第一印象の読影所見の信頼性を評価する。例えば、過去に腫瘤を除去する手術などにより被検体(被験者)の医用画像の特徴が著しく変化している場合には、術後の過去画像における所見情報のみが選ばれるようにする。これにより、診断対象画像と特徴が著しく異なる術前の過去画像を評価対象から除くことで、所見項目の評価を高精度に行う。

0100

なお、本実施形態に係る医療診断支援装置10の機能構成は、第1の実施形態における図1と同様である。但し、CAD所見生成部102が医用画像から抽出した画像特徴量を保存し、所見管理部105が時系列過去画像における所見情報を管理し、所見評価部107が時系列過去画像の中から評価に用いる過去画像の所見情報のみに基づき第一印象の読影所見の信頼性を評価する点が、第1の実施形態とは異なっている。また、図1に示した各機能構成部のそれぞれの機能をソフトウェアで実現するためのコンピュータの基本構成(ハードウェア構成)は、第1の実施形態における図2と同様である。

0101

また、医療診断支援装置10が行う全体の処理手順のフローチャートは、図3と同様である。但し、ステップS303、S306及びS308の処理の一部が第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違部分についてのみ説明する。

0102

図3のステップS301における医用情報の取得処理及びステップS302における異常陰影の検出処理は、第1の実施形態と同様である。

0103

本実施形態では、続いて、ステップS303において、CAD所見生成部102は、異常陰影検出部101から取得した異常陰影の関心領域から画像特徴量を抽出して、医師が診断に利用し得る所見を生成し、これをCAD所見とする。CAD所見の生成方法は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。本実施形態では、CAD所見の生成に用いた画像特徴量を、医用画像のIDと対応付けて磁気ディスク202に格納する。このIDは、例えば、同一異常陰影の医用画像に関して、撮影日時が古い順に1、2、3、・・・と割り振られるものとする。

0104

図3のステップS304における医用情報の提示処理及びステップS305における第一印象の読影所見取得処理は、第1の実施形態と同様である。

0105

本実施形態では、続いて、ステップS306において、所見管理部105は、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが、磁気ディスク202に格納されていて存在するか否かを判断する。ここで、診断対象である異常陰影と過去の読影レポート中の異常陰影との対応付けは、例えば、肺野内における異常陰影の位置情報などに基づいて、公知の方法で行うものとする。そして、ステップS306の判断の結果、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在する場合には、記録されている全ての時系列過去画像についての当該異常陰影の所見情報を磁気ディスク202から取得する。そして、取得した時系列過去画像についての所見情報と、診断対象画像の所見情報を所見評価部107へ出力し、ステップS308へと処理を進める。一方、ステップS306の判断の結果、診断対象である異常陰影と同一の異常陰影に関する過去の読影レポートが存在しない場合には、ステップS307へと処理を進める。

0106

本実施形態では、ステップS308に進むと、所見評価部107は、ステップS303でCAD所見生成部102が磁気ディスク202に格納した画像特徴量を全ての時系列過去画像に関して取得する。そして、所見評価部107は、取得した画像特徴量に基づいて、時系列過去画像の中から評価に用いる過去画像を選択し、その所見情報を抽出する。次に、所見評価部107は、抽出した所見情報のみに基づき、それぞれの所見の評価を行う。

0107

ここで、最初に、評価に用いる過去画像の所見情報を画像特徴量に基づいて抽出する方法を具体的に説明する。
本実施形態では、CAD所見を生成するために抽出した少なくとも1種類の画像特徴量に基づいて、評価に用いる所見情報を抽出する。ステップS303で磁気ディスク202に格納された画像特徴量を少なくとも1種類選択し、時系列過去画像及び診断対象画像から該当する種類の画像特徴量を全て取得する。例えば、所見項目1:{大きさ}を生成するために抽出した腫瘤のサイズ(最大径)の特徴量Sを、時系列過去画像全てと診断対象画像について取得する。ここで、時系列過去画像に含まれるある画像のIDをiとしたとき、画像ID:iに対応する腫瘤のサイズの特徴量をSiと表す。また、診断対象画像に対応する腫瘤のサイズの特徴量をStと表す。このとき、以下の条件1及び条件2の両方を満たす全ての特徴量Siを選定する。そして、選定したSiを有する画像の所見情報を抽出する。

0108

条件1:特徴量Stからの差異が所定の範囲内となる全ての特徴量Si
条件2:特徴量Stを起点にして時系列を遡ったとき、時系列で隣り合う2つの特徴量間変化率の大きさが所定の閾値を最初に超えるまでに含まれる全ての特徴量Si

0109

上記の条件1は、診断対象画像の画像特徴量に近い画像特徴量を持つ過去画像のみを選択することを目的とする。即ち、上記の条件1は、診断対象画像の特性と複数の時系列過去画像の特性との間の差異に基づいて、複数の時系列過去画像の中から診断対象画像に関連する過去画像を選択する。

0110

また、上記の条件2は、時系列過去画像の間で、画像特徴量が急激に変化した時期がある場合には、それ以降の過去画像のみを選択することを目的とする。即ち、上記の条件2は、診断対象画像と複数の時系列過去画像からなる画像系列の特性の経時変化に基づいて、複数の時系列過去画像の中から診断対象画像に関連する過去画像を選択する。

0111

図11は、第2の実施形態を示し、特徴量Sを時系列にプロットした特性図である。
上記の条件1及び条件2を満たす集合を選定する具体例を、図11を用いて説明する。

0112

図11において、時系列の特徴量S1〜S10及び診断対象画像の特徴量Stがグラフ上にプロットされている。範囲Dは、特徴量Stを中心とする所定の特徴量の値の範囲を表す。このとき、条件1を満たす特徴量Siは、Stを中心に範囲Dに含まれる点であるので、{S2,S3,S4,S8,S9,S10}の6点である。

0113

続いて、時系列で隣り合う2つの特徴量をSjとSj+1とするとき、特徴量SjとSj+1の間の変化率をGjとする。図11のG5は、特徴量S5と特徴量S6との間の変化率を表す。ここで、変化率Gjに関する所定の閾値をGth(不図示)とする。このとき、条件2を満たす特徴量Siは、Stを起点にして時系列を遡ったとき、ある変化率Gjが最初にGj>Gthを満たすとき、Sj+1からStの間に含まれる全ての特徴量を表す。図11の例では、変化率G5が最初にG5>Gthを満たしており、条件2を満たす特徴量は{S6,S7,S8,S9,S10}の5点である。

0114

従って、条件1及び条件2の両方を満たす特徴量の集合Sgrは、{S8,S9,S10}の3点となる。そして、評価に用いる過去画像として、選定した特徴量の集合Sgrに対応する画像ID:8,9,10の画像に付与された所見情報を取得(抽出)する。

0115

このように、条件1及び条件2を用いて特徴量Stに関連する特徴量の集合Sgrを選択することで、手術などにより関心領域の画像特徴が著しく変化した場合に、それ以降の時系列過去画像のみを選択することができる。さらに、その中で、診断対象画像に対して画像特徴の値が近い(類似する)時系列過去画像のみを選択することができる。

0116

本実施形態では、特徴量の変化を考慮して評価に用いる特徴量を選択する方法として、時系列で隣接する特徴量間の変化率に閾値を設けて特徴量を選択したが、特徴量の選択方法はこれに限らない。例えば、診断対象画像の特徴量Stを基点にして、特定の関数モデルフィッティングさせ、フィッティングされたモデルから所定の範囲に存在する特徴量Siのみを選択するようにしてもよい。このモデルとして、例えば、直線モデルを適用してもよい。これは、疾患が自然に進行する、または投薬などにより治療する際の変化は直線的に近似できると仮定した場合に適応される。或いは、疾患の進行または治療の変化を表す非線形の関数モデルを医学的な統計情報に基づき構築し、これを適用してもよい。このように、関数モデルを用いることで、時系列で隣接する特徴量間の変化が、疾患が自然に進行する或いは投薬などにより治療する際の変化に沿っているか否かで、評価に用いる特徴量Siを選択することができる。

0117

また、本実施形態では、所見項目1{大きさ}に対応する画像特徴量:腫瘤のサイズを用いて、評価に用いる過去画像を選択する方法を説明したが、過去画像の選択方法はこの方法に限らない。例えば、上述と同様の方法でその他の複数の所見項目についてそれぞれ関連する過去画像を選択してもよい。また、複数の所見項目ごとに得られた過去画像の中で共通する過去画像のみを抽出することで、全ての所見項目に対して共通する過去画像を用いて評価を行うようにしてもよい。或いは、複数の所見項目ごとに独立して、それぞれで得られた過去画像を用いて評価を行うようにしてもよい。

0118

さらに、本実施形態では、画像特徴量に基づいて評価に用いる過去画像を選択したが、過去画像を選択するための判断材料はこれに限らない。例えば、画像特徴量から生成したCAD所見または医師が記した読影所見に基づいて選択してもよい。この場合、図11における縦軸を、特徴量の代わりに所見項目の程度の大きさに置き換えることで、上述と同様の方法で選択することができる。

0119

次に、上述で取得した時系列過去画像の所見情報に基づいて、第一印象の読影所見の信頼性を評価する方法を説明する。
上述の例では、画像ID:8,9,10に対応する時系列過去画像の所見情報に基づいて信頼性の評価を行う。まず、個々の画像ごとに所見項目の評価を行う。この方法は、第1の実施形態における図3のステップS308と同様の方法であるので、説明を省略する。そして、個々の画像ごとに評価された情報を総合して、最終的な評価を行う。本実施形態では、得られた個々の画像による信頼性の情報の平均値を取ることで、最終的な信頼性の情報を求める。図11の例において、所見項目1:{大きさ}に関して画像ID:8,9,10の信頼性の評価結果が、次のようになっていたとする。
・ID:8 信頼性:確実ではない信頼度R1CAD:75%
・ID:9 信頼性:確実である 信頼度R1CAD:100%
・ID:10 信頼性:確実である 信頼度R1CAD:100%
このとき、最終的なCAD所見の信頼度をR1CAD,ALLとすると、R1CAD,ALL=(1.0+1.0+0.75)/3≒0.92と求められる。そして、信頼度が100%ではないので、所見評価部107では、信頼性は「確実ではない」と判定する。従って、最終的なCAD所見の信頼性の情報は以下のようになる。
・総合 信頼性:確実ではない 信頼度R1CAD,ALL:92%

0120

但し、本実施形態では、個々の評価の平均値により最終的な評価を行ったが、評価方法はこの方法に限らない。例えば、個々の画像の撮影時期が診断対象画像にどの程度近いかで画像IDごとに重み付け行い(診断対象画像より古いほど重み付けを小さくして)、その上で平均値を取ってもよい。これにより、診断対象画像よりも古い画像ほど状態がかけ離れている可能性が高いため、それらが信頼度に及ぼす影響を少なくすることができる。また、個々の信頼度の最頻値を用いてもよい。これにより、殆どのデータの信頼性が「確実である」にも関わらず1つでも信頼性が「確実ではない」ものが含まれる場合に、「確実ではない」と判定され、警告表示の対象になることを防ぐことができる。影響度に関しても同様の方法で求めることができるため、説明は省略する。

0121

そして、所見評価部107は、以上のようにして評価された所見項目ごとの第一印象の読影所見の信頼性の情報とCAD所見の影響の情報を、所見提示部106へと出力する。

0122

上述した構成によれば、診断対象画像との類似性等に基づいて選別された過去画像の所見情報のみに基づき評価することで、手術などの影響により診断対象画像と特徴が著しく異なる過去画像を、評価対象から取り除くことができる。その結果、第一印象の読影所見の信頼性やCAD所見の影響度を高精度に評価することができる。

0123

[その他の実施形態]
上述の実施形態では、読影所見はマウス205やキーボード206等の操作部を介して入力されることとしていたが、これに限らず、表示部のタッチパネル機能でもよい。また医師等のジェスチャ音声入力を検知して読影所見に関する情報を取得することとしてもよい。これらの例のように、診断に携わる者からの情報を入力するためのユーザインタフェースも本発明の操作部に含まれるものとする。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。

0124

なお、上述した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。

0125

10医療診断支援装置、100医用情報取得部、101 異常陰影検出部、102CAD所見生成部、103 医用情報提示部、104読影所見取得部、105所見管理部、106 所見提示部、107 所見評価部

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