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技術 固形状の魚類用経口投与薬剤、当該薬剤を含む養魚用飼料、および当該薬剤を魚に投与する方法

出願人 株式会社トーヨー技術研究所
発明者 後藤清
出願日 2015年6月26日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2015-128214
公開日 2017年1月12日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-008012
状態 特許登録済
技術分野 医薬品製剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 特定動物用飼料 化合物または医薬の治療活性 飼料(2)(一般)
主要キーワード 科学研究費 リグニン酸 常圧環境 ペレットマシン 駆除作業 略楕円体 物理的性 マツカワ
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重要な関連分野

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課題

従来技術の過酸化水素水処理によりもたらされる魚体へのダメージ止めによる経済不利益を克服でき、さらにプラジクアンテルのような薬効成分に起因する魚類の摂餌量の低下を軽減もしくは抑制できる魚類用経口投与薬剤およびこれを含む養魚用飼料の提供。

解決手段

プラジクアンテルなどの薬効成分および炭素粉末、さらにバインダーを含む混合物エクストルーダーにて造粒する工程を含む方法によって形成された固形状の魚類用経口投与薬剤、およびこれを含む養魚用飼料。

概要

背景

魚類養殖においては、を養殖している生簀の外から中へ病原菌および寄生虫侵入しうるので、これらに起因する養殖魚魚病の予防、治療を常に考えておかなければならない。例えば、ブリカンパチの養殖においては、特に、ハダムシ(Benedenia seriolae)の寄生が大きな問題となっている。魚体からハダムシを駆除する方法として、魚体を淡水または過酸化水素水で一定時間処理することが行われているが、これらの処理では魚体に負荷がかかるという問題がある。具体的には、現状の過酸化水素水でのハダムシ駆除作業においては、生簀の回りを防水シートで囲んで生簀を外側の海水から遮断し、そのシートの内側の海水中に過酸化水素水を所定量投入して、ハダムシが付着したカンパチなどの魚を5〜10分程度浸せきして泳がせることにより、カンパチなどの魚に付着したハダムシがダメージを受けて魚体から脱落するが、これと同時にカンパチなどの魚本体も健康面のダメージを受けるという問題が生じている。この過酸化水素水処理による魚本体へのダメージを軽減させるために、一般的には、薬浴前日および当日の合計2日間の止めを行っている。ハダムシ駆除作業が多い時期(7〜11月)では、この過酸化水素水処理を週に一度の頻度で行う必要がある場合があり、毎週2日間の餌止め、すなわち、全日数のうちの20〜40%にもなる期間の餌止めによって魚体の成長遅れるという問題が生じる。特に、7〜11月は、カンパチが最も成長する水温環境でもあるために、できるだけ多量の飼料を食べさせたい時期でもあり、この魚体の成長の遅れは重大な問題である。また、過酸化水素水処理は、養殖作業者の安全性にも注意して行われなければならないという問題もある。

このような様々な問題点を克服する技術として、ハダムシを駆除できる薬剤であるプラジクアンテルモイストペレット等の養魚用飼料に添加してブリ、カンパチなどの魚に経口投与してハダムシを駆除する技術が開発されている(非特許文献1)。このプラジクアンテルはハダムシを駆除できるだけでなく、血管内吸虫住血吸虫)(特許文献1、非特許文献2)、トラフグなどの魚の寄生虫であるトラフグえらむし(Heterobothrium okamotoi)も駆除できることが報告されている(特許文献2)。非特許文献2には、プラジクアンテルがインビトロクロマグロの血管内吸虫に対して0.2ppmの濃度で有効であったことが報告されている。しかし、プラジクアンテルは、原因は不明であるが、魚類が経口摂取するのを著しく嫌う性質を有しており、プラジクアンテルを配合した飼料では摂餌量が低下し、その結果、薬効が不充分となったり、魚体の成長が鈍化したりするので、単にプラジクアンテルを養魚用飼料に添加して魚に自発的に経口摂取させるのは、養殖の経済性という点で問題があるのが現状である。一方で、この摂餌量の低下を回避するためにプラジクアンテルを魚に強制的に経口投与することも考えられるが、実際の養殖の現場では多数の魚体に強制的に経口投与するのは不可能である。また、プラジクアンテルを海水中に溶解して使用することもハダムシ駆除に有効であることが推察されるが(非特許文献1)、通常の魚類の養殖に使用するにはプラジクアンテルの必要量が多すぎて養殖の現場では実施できない。

一般的に、活性炭などの炭は、様々な物質吸着する性質を持つことが知られており、例えば、プラジクアンテル、活性炭およびコロイド状二酸化ケイ素から形成される混合物がプラジクアンテルの苦みマスキングすることが報告されている(特許文献3)。また、特許文献4には、炭素粉末を含有する動物飼料用展着剤によって、固形飼料の表面に薬剤が展着された動物用固形飼料が開示されている。さらに、特許文献5には、サリチルアニリド系薬剤を含む魚類の寄生虫駆除剤、およびこの駆除剤の味や臭いに敏感な魚の場合には、これをコーティングするなどしてこの駆除剤を含む飼料の嗜好性の低下を防止することが示唆されている。しかし、本発明者が、粉体プラジクアンテル、炭素粉末および養魚用飼料の原料を混合して養魚用モイストペレットを作成し、カンパチに対してこの飼料の嗜好性を検討したところ、本願明細書に比較例として示される通り、プラジクアンテルを配合したことによる養魚用モイストペレットの嗜好性の低下は、炭素粉末を単に配合しただけでは改善されなかったことが確認された。よって、特許文献3に示される様にヒトでは炭素粉末によるプラジクアンテルの苦みのマスキングが確認されているものの、特許文献3に示される技術は魚類に対する嗜好性の低下を克服するには有効ではなかった。

魚類の養殖においては、特に水温の高い6月〜11月に、養殖魚の様々な種類の病気、例えば、類結節症連鎖球菌症、ハダムシと連鎖球菌症、エラムシノカルジア症、血管内吸虫と類結節症などが同時多発的に集中して発生する傾向がある。このような場合に、同時に発生した複数の病気を一度に治療するためには、複数種類の薬効成分を養殖魚に投与する必要があるが、薬効成分には上述したプラジクアンテル以外にも、魚の嗜好性の悪い薬効成分が多くあり(例えば、プラジクアンテル以外に、エリスロマイシン塩酸オキシテトラサイクリンフロルフェニコールチアンフェニコールスルファモノメトキシンナトリウム(ダイメトン登録商標ソーダ)、スルフィゾールナトリウム(イスラン(登録商標)ソーダ)など)、薬効成分を含む飼料を魚に経口投与する場合に、嗜好性の悪い薬効成分が1種類でも含まれていれば、その嗜好性の悪い薬効成分のせいで摂餌量が低下し、結果的に他の薬効成分の効果も不充分になってしまうという問題もあった。よって、現在までは、このような複合型疾病を一度に治療することは困難であった。

概要

従来技術の過酸化水素水処理によりもたらされる魚体へのダメージ、餌止めによる経済不利益を克服でき、さらにプラジクアンテルのような薬効成分に起因する魚類の摂餌量の低下を軽減もしくは抑制できる魚類用経口投与薬剤およびこれを含む養魚用飼料の提供。プラジクアンテルなどの薬効成分および炭素粉末、さらにバインダーを含む混合物をエクストルーダーにて造粒する工程を含む方法によって形成された固形状の魚類用経口投与薬剤、およびこれを含む養魚用飼料。なし

目的

本発明は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

薬効成分および炭素粉末を含む混合物造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤

請求項2

薬効成分および炭素粉末を含む前記混合物がさらにバインダーを含む、請求項1に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項3

前記混合物を造粒する工程が、前記混合物を加圧し、押出造粒する工程である、請求項1または2に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項4

前記混合物を加圧し、押出造粒する工程がエクストルーダーにおいて行われる、請求項3に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項5

前記固形状の魚類用経口投与薬剤が膨化構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項6

油脂を吸着させた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項7

薬効成分がプラジクアンテルを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料

請求項9

前記養魚用飼料がモイストペレットまたはエクストルーダーペレットである、請求項8に記載の養魚用飼料。

請求項10

請求項8または9に記載の養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類に薬剤投与する方法。

請求項11

請求項8または9に記載の養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類の疾病を予防および/または治療する方法。

請求項12

薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む、固形状の魚類用経口投与薬剤を製造する方法。

技術分野

0001

本発明は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤に関する。さらに、本発明は、当該固形状の魚類用経口投与薬剤の製造方法、当該固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料、並びに当該養魚用飼料を用いた魚類への薬剤投与方法、並びに魚類の疾病を予防および/または治療する方法に関する。

背景技術

0002

魚類の養殖においては、を養殖している生簀の外から中へ病原菌および寄生虫侵入しうるので、これらに起因する養殖魚魚病の予防、治療を常に考えておかなければならない。例えば、ブリカンパチの養殖においては、特に、ハダムシ(Benedenia seriolae)の寄生が大きな問題となっている。魚体からハダムシを駆除する方法として、魚体を淡水または過酸化水素水で一定時間処理することが行われているが、これらの処理では魚体に負荷がかかるという問題がある。具体的には、現状の過酸化水素水でのハダムシ駆除作業においては、生簀の回りを防水シートで囲んで生簀を外側の海水から遮断し、そのシートの内側の海水中に過酸化水素水を所定量投入して、ハダムシが付着したカンパチなどの魚を5〜10分程度浸せきして泳がせることにより、カンパチなどの魚に付着したハダムシがダメージを受けて魚体から脱落するが、これと同時にカンパチなどの魚本体も健康面のダメージを受けるという問題が生じている。この過酸化水素水処理による魚本体へのダメージを軽減させるために、一般的には、薬浴前日および当日の合計2日間の止めを行っている。ハダムシ駆除作業が多い時期(7〜11月)では、この過酸化水素水処理を週に一度の頻度で行う必要がある場合があり、毎週2日間の餌止め、すなわち、全日数のうちの20〜40%にもなる期間の餌止めによって魚体の成長遅れるという問題が生じる。特に、7〜11月は、カンパチが最も成長する水温環境でもあるために、できるだけ多量の飼料を食べさせたい時期でもあり、この魚体の成長の遅れは重大な問題である。また、過酸化水素水処理は、養殖作業者の安全性にも注意して行われなければならないという問題もある。

0003

このような様々な問題点を克服する技術として、ハダムシを駆除できる薬剤であるプラジクアンテルモイストペレット等の養魚用飼料に添加してブリ、カンパチなどの魚に経口投与してハダムシを駆除する技術が開発されている(非特許文献1)。このプラジクアンテルはハダムシを駆除できるだけでなく、血管内吸虫住血吸虫)(特許文献1、非特許文献2)、トラフグなどの魚の寄生虫であるトラフグえらむし(Heterobothrium okamotoi)も駆除できることが報告されている(特許文献2)。非特許文献2には、プラジクアンテルがインビトロクロマグロの血管内吸虫に対して0.2ppmの濃度で有効であったことが報告されている。しかし、プラジクアンテルは、原因は不明であるが、魚類が経口摂取するのを著しく嫌う性質を有しており、プラジクアンテルを配合した飼料では摂餌量が低下し、その結果、薬効が不充分となったり、魚体の成長が鈍化したりするので、単にプラジクアンテルを養魚用飼料に添加して魚に自発的に経口摂取させるのは、養殖の経済性という点で問題があるのが現状である。一方で、この摂餌量の低下を回避するためにプラジクアンテルを魚に強制的に経口投与することも考えられるが、実際の養殖の現場では多数の魚体に強制的に経口投与するのは不可能である。また、プラジクアンテルを海水中に溶解して使用することもハダムシ駆除に有効であることが推察されるが(非特許文献1)、通常の魚類の養殖に使用するにはプラジクアンテルの必要量が多すぎて養殖の現場では実施できない。

0004

一般的に、活性炭などの炭は、様々な物質吸着する性質を持つことが知られており、例えば、プラジクアンテル、活性炭およびコロイド状二酸化ケイ素から形成される混合物がプラジクアンテルの苦みマスキングすることが報告されている(特許文献3)。また、特許文献4には、炭素粉末を含有する動物飼料用展着剤によって、固形飼料の表面に薬剤が展着された動物用固形飼料が開示されている。さらに、特許文献5には、サリチルアニリド系薬剤を含む魚類の寄生虫駆除剤、およびこの駆除剤の味や臭いに敏感な魚の場合には、これをコーティングするなどしてこの駆除剤を含む飼料の嗜好性の低下を防止することが示唆されている。しかし、本発明者が、粉体プラジクアンテル、炭素粉末および養魚用飼料の原料を混合して養魚用モイストペレットを作成し、カンパチに対してこの飼料の嗜好性を検討したところ、本願明細書に比較例として示される通り、プラジクアンテルを配合したことによる養魚用モイストペレットの嗜好性の低下は、炭素粉末を単に配合しただけでは改善されなかったことが確認された。よって、特許文献3に示される様にヒトでは炭素粉末によるプラジクアンテルの苦みのマスキングが確認されているものの、特許文献3に示される技術は魚類に対する嗜好性の低下を克服するには有効ではなかった。

0005

魚類の養殖においては、特に水温の高い6月〜11月に、養殖魚の様々な種類の病気、例えば、類結節症連鎖球菌症、ハダムシと連鎖球菌症、エラムシノカルジア症、血管内吸虫と類結節症などが同時多発的に集中して発生する傾向がある。このような場合に、同時に発生した複数の病気を一度に治療するためには、複数種類の薬効成分を養殖魚に投与する必要があるが、薬効成分には上述したプラジクアンテル以外にも、魚の嗜好性の悪い薬効成分が多くあり(例えば、プラジクアンテル以外に、エリスロマイシン塩酸オキシテトラサイクリンフロルフェニコールチアンフェニコールスルファモノメトキシンナトリウム(ダイメトン登録商標ソーダ)、スルフィゾールナトリウム(イスラン(登録商標)ソーダ)など)、薬効成分を含む飼料を魚に経口投与する場合に、嗜好性の悪い薬効成分が1種類でも含まれていれば、その嗜好性の悪い薬効成分のせいで摂餌量が低下し、結果的に他の薬効成分の効果も不充分になってしまうという問題もあった。よって、現在までは、このような複合型の疾病を一度に治療することは困難であった。

0006

特開2012−162524号公報
特開平11−60485号公報
特開2007−523108号公報
特開2006−340622号公報
国際公開第2012/002379号

先行技術

0007

動薬研究2000.8.No.60、1〜12ページ「経口投与タイプの魚類の寄生虫駆除剤「ハダクリーン
小川和夫、科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書平成25年3月31日、「クロマグロ住血吸虫症対策に向けての基礎研究」[online][平成27年6月18日検索](https://kaken.nii.ac.jp/pdf/2012/seika/C-19_1/72645/22380105seika.pdf)

発明が解決しようとする課題

0008

従って、ブリ、カンパチをはじめとする魚類の養殖において、モイストペレット、ドライペレットなどの養魚用飼料にプラジクアンテルのような薬効成分を添加しても、この薬効成分に起因する摂餌量の低下を軽減もしくは抑制でき、かつ魚体において薬効を充分に発揮でき、さらに複雑な技術を必要とせず安価かつ簡便に製造できる薬効成分含有養魚用飼料の開発が長年の間強く求められていたものの実現されていなかった。

0009

本発明者らは、上記問題点を解決できるような薬効成分含有養魚用飼料について鋭意検討を行ったところ、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む方法によって形成された固形状の魚類用経口投与薬剤、特に、薬効成分、炭素粉末およびバインダーを含む混合物を加圧し、押出造粒する工程を含む方法によって形成された固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料が極めて有用であることを見いだした。すなわち、この養魚用飼料に含まれる薬効成分自体がプラジクアンテルのように魚に対して嗜好性の低いものであるとしても、この薬効成分に起因する摂餌量の低下を軽減もしくは抑制でき、かつ有効な薬効を発揮することができるので、魚の養殖の経済性を損なうことがなく、ひいては過酸化水素水処理における上記問題点も解決できることを見いだし、これに基づいて本発明を完成するに至った。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、薬効成分および炭素粉末を含む前記混合物がさらにバインダーを含む、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、前記混合物を造粒する工程が、前記混合物を加圧し、押出造粒する工程である、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、前記混合物を加圧し、押出造粒する工程がエクストルーダーにおいて行われる、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、前記固形状の魚類用経口投与薬剤が膨化構造を有する、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、油脂を吸着させた前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、薬効成分がプラジクアンテルを含む、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を提供する。
また、本発明は、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料を提供する。
また、本発明は、前記養魚用飼料がモイストペレットまたはエクストルーダーペレットである、前記養魚用飼料を提供する。
また、本発明は、前記養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類に薬剤を投与する方法を提供する。
また、本発明は、前記養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類の疾病を予防および/または治療する方法を提供する。
また、本発明は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む、固形状の魚類用経口投与薬剤を製造する方法を提供する。

発明の効果

0011

本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、これを含む養魚用飼料として使用される場合に、当該薬剤に含まれる薬効成分自体が、プラジクアンテルのように、魚に対する嗜好性が低い場合であっても、この薬効成分に起因する摂餌量の低下を軽減もしくは抑制でき、かつ充分な薬効を発揮することができるので、従来技術であるプラジクアンテルのような薬効成分を単に養魚用飼料に添加し、投与した場合の養殖の経済性の悪化をもたらさないという有利な効果を奏する。この効果は、特に、薬効成分、炭素粉末およびバインダーを含む混合物をエクストルーダーにおいて加圧し、押出造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤において顕著であった。本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、炭素粉末を含まずに造粒されたものと比較して高い硬度を有するので、取り扱いが容易であり、当該薬剤を含む養魚用飼料を作成する際に当該薬剤の固形状の状態が崩壊し難いという有利な効果を奏する。また、当該薬剤が油脂を吸着させた固形状の薬剤である場合には、養魚用飼料作成の際に、例えば、冷凍生餌が固形状薬剤と共に攪拌される物理的衝撃を比較的受けやすいような条件下であっても、固形状薬剤の崩壊を低減、抑制できるという有利な効果を奏する。さらに、この油脂を吸着させた態様においては、吸着した油脂自体が、固形状の薬剤から薬効成分の放出を抑制する効果を有するので、当該固形状の薬剤が物理的に崩壊した場合や、当該固形状の薬剤に含まれる薬効成分の量が多くなった場合に顕著になりうる当該薬剤からの薬効成分の放出に起因する摂餌量の低下をさらに抑制できるという有利な効果を奏する。また、従来の過酸化水素水処理における、生簀の回りを防水シートで囲んで、そのシートの内側の海水中に過酸化水素水を所定量投入して、ハダムシなどの寄生虫が付着したブリ、カンパチなどの魚を一定時間浸漬後、このシートを外すという労力のかかる操作をなくすることができ、かつこの過酸化水素水処理による魚体へのダメージをなくし、かつ過酸化水素水処理に一般的に必要な薬浴前日および当日の合計2日間の餌止めもなくすることができるので、魚類の養殖において経済的に有利であり、かつ養殖作業者も過酸化水素水の危険性から回避できるという有利な効果も奏する。すなわち、本発明は、魚類の養殖において、寄生虫、特に、ハダムシ駆除作業の過酸化水素水による薬浴作業が根本的に必要無くなるもので、従って、養殖作業そのものが、革命的に改善される発明と言えるものである。

図面の簡単な説明

0012

膨化構造を有する本発明(製造例3)の固形状の魚類用経口投与薬剤の断面の顕微鏡観察結果を図示したものである。
炭素粉末を使用せずに造粒された、比較製造例3の膨化構造を有する固形状の魚類用経口投与薬剤の断面の顕微鏡観察結果を図示したものである。

0013

本発明の一態様は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤である。本発明においては、薬効成分は、魚類の疾病を予防および/または治療するような薬効成分であれば特に限定されるものではなく、例えば、抗生物質合成抗菌剤および駆虫剤が挙げられるがこれらに限定されず、例えば、プラジクアンテル、サリチルアニリド系の薬剤、イベルメクチン、エリスロマイシン、オキシテトラサイクリン、フロルフェニコール、チアンフェニコール、アンピシリンオキソリン酸、スルファモノメトキシンナトリウム(ダイメトン(登録商標)ソーダ)、スルフィゾールナトリウム(イスラン(登録商標)ソーダ)などが挙げられる。また、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤に含まれる薬効成分は1種類だけでなく複数種類であってもよく、複数種類のものとしては、プラジクアンテルとオキシクロザニドを含む合剤が挙げられるがこれに限定されない。魚の嗜好性の悪い薬効成分であっても、養魚用飼料に含まれて経口投与される場合に、魚の自発的な摂餌の低下を軽減もしくは抑制するという効果の観点からは、薬効成分としては、好ましくは、薬効成分自体が魚類の嗜好性の低い物質、例えば、プラジクアンテル、エリスロマイシン、塩酸オキシテトラサイクリン、フロルフェニコール、チアンフェニコール、スルファモノメトキシンナトリウム(ダイメトン(登録商標)ソーダ)、スルフィゾールナトリウム(イスラン(登録商標)ソーダ)などが挙げられる。より好ましくは、薬効成分はプラジクアンテルを含む。本発明においては、プラジクアンテルとしては、市販のもの(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)を使用できる。

0014

本発明においては、炭素粉末は任意の物質に由来するものであって良く、例えば備長炭黒炭等の木炭ヤシガラ炭コーヒー炭、竹炭、活性炭など任意の炭を粉末にすることにより調製することができる。炭素粉末の大きさは本発明の目的に反しない限り特に限定されるものではないが、好ましくは、10メッシュ以上を通過する大きさの、より好ましくは50メッシュ以上を通過する大きさの、さらにより好ましくは100メッシュ以上を通過する大きさの炭素粉末である。

0015

本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を製造するために使用される混合物は、薬効成分および炭素粉末以外に、バインダーを含んでいてもよい。本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を形成する方法が原料混合物を加圧し、押出造粒する工程を含む場合には、当該原料混合物はバインダーを含むのが好ましい。本発明の好ましい一態様は、薬効成分、炭素粉末およびバインダーを含む混合物を加圧し、押出造粒する工程を含む方法によって形成された、固形状の魚類用経口投与薬剤である。バインダーは固形状の魚類用経口投与薬剤を形成できるのであれば特に限定されるものではない。例えば、バインダーとしては、小麦粉米粉大豆粕、グルテン、米、トウモロコシ馬鈴薯甘藷などから得られる各種澱粉アルファ化澱粉アルギン酸ナトリウムカゼインナトリウムカルボキシメチルセルロースナトリウムプロピレングリコールポリアクリル酸ナトリウムリグニン酸無機物、例えば、炭酸カルシウムタルクベントナイト、および油脂類、例えば、常温固体の油脂、例えば、パーム油脂牛脂などが挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、バインダーとしては、小麦粉、米粉、大豆粕、グルテン、米、トウモロコシ、馬鈴薯、甘藷などから得られる各種澱粉、アルファ化澱粉が挙げられる。より好ましくは、バインダーとしては、澱粉、アルファ化澱粉が挙げられる。

0016

本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を製造するために使用される薬効成分、炭素粉末および場合によってバインダーを含む混合物は、本発明の目的に反しない限りは、賦形剤、水、油脂などの任意の他の材料をさらに含んでいてもよい。賦形剤としては、乳糖、澱粉、炭酸カルシウム、タルク、ベントナイトなどが挙げられるが、特に限定されない。この混合物における各成分の割合は、固形状経口投与薬剤が形成可能であって、かつ本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではないが、例えば、薬効成分1〜50重量%、炭素粉末2〜50重量%、および賦形剤10〜90重量%を含む。また、本発明の別の態様における薬効成分、炭素粉末およびバインダーを含む混合物も、本発明の目的に反しない限りは、水、油脂類、例えば、パーム油脂、牛脂などの任意の他の材料を含んでいてもよい。この混合物における各成分の割合は、固形状経口投与薬剤が形成可能であって、かつ本発明の目的に反しない限りは特に限定されるものではないが、例えば、薬効成分1〜50重量%、炭素粉末2〜50重量%、およびバインダー5〜90重量%、好ましくは、薬効成分2〜30重量%、炭素粉末5〜50重量%、およびバインダー10〜70重量%を含む。

0017

一態様においては、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、薬効成分および炭素粉末を含む混合物を造粒する工程を含む方法によって形成される。この造粒する工程としては、この混合物から固形状の成形体を形成できるのであれば特に限定されるものではなく、例えば、エクストルーダーなどを使用する加圧、押出造粒工程、ペレットマシンペレットミルなどを使用するドライペレット形成工程、円筒造粒機湿式押出造粒機などを使用する造粒工程、打錠機、錠剤機などを使用する打錠成形工程などが挙げられる。ペレットマシン、ペレットミルは、通常のドライペレット飼料を製造するのに使用されるような装置であってよく、その運転条件も、固形状の成形体を形成でき、本発明の目的に反しない限りは通常の運転条件であってよく、特に限定されない。また、打錠機、錠剤機は、通常の錠剤を形成できるものであれば、その運転条件と共に、特に限定されるものではない。

0018

好ましくは、本発明における「混合物を造粒する工程」は、前記原料の混合物を加圧し、押出造粒する工程である。この態様において本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤の形成に使用される装置は、前記原料の混合物を加圧し、押出造粒することができる装置、すなわち、この混合物を加圧し、孔から押し出すことにより固形状の成形体を形成できる装置であればよく、特に限定されない。例えば、これら一連の工程を一つの装置で簡単に行うことができるという観点から、エクストルーダー、ペレットマシン、ペレットミルなどが挙げられる。好ましくは、本発明において前記原料の混合物、より好ましくは、薬効成分、炭素粉末およびバインダーを含む混合物を加圧し、押出造粒する工程はエクストルーダーにおいて行われ、さらに好ましくは2軸エクストルーダーにおいて行われる。エクストルーダーは、通常のエクストルーダーペレット飼料を製造するのに使用されるような装置であってよく、またその運転条件も、固形状の成形体を形成でき、本発明の目的に反しない限りは通常の運転条件であってよく、特に限定されない。本発明における加圧の際の圧力は、使用される装置、使用される材料、目的とされる膨化の程度、形成される薬剤の大きさ、加熱温度などによって適宜設定されるが、典型的には、0.1〜7.0気圧、好ましくは、0.5〜6.5気圧である。また、典型的には、加圧の際に混合物が加熱されるのが好ましい。例えば、エクストルーダーが使用される場合には、エクストルーダーのバレル温度が、好ましくは、70〜130℃とされる。エクストルーダーにおいては、上記原料の混合物、特に、澱粉などのバインダーを含む原料混合物に水蒸気などの水分を加え、スクリューの回転によって熱および圧力を段階的にかけて混練し、混練された高温高圧の混合物をダイの孔から、より低い圧力の環境下、例えば常圧環境に、圧力を解放しつつ吐出させることによって、混合物に含まれていた水分や空気が膨らみ、得られた固形状の成形体は内部に気泡のある膨化構造を有することが可能となる。

0019

本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、膨化構造を有していても有していなくてもよい。本発明において、膨化構造とは固形状の成形体内部に気泡が形成されている構造である。膨化構造は、例えば、エクストルーダーなどにおいて、高圧下の混合物を、より低い圧力の環境下、例えば常圧環境に、圧力を解放しつつダイなどの孔から吐出させることによって、混合物に含まれていた水分や空気が膨張して、固形状の成形体内部に気泡が生じることにより形成されうる。一態様においては、好ましくは、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は膨化構造を有する。

0020

また、別の態様においては、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は膨化構造を有していなくてもよい。この場合には、製造の際に、薬効成分および炭素粉末を含む混合物が膨化しないような条件で造粒されることとなる。例えば、薬効成分および炭素粉末を含む混合物がドライペレット形成工程により造粒される場合には、得られた成形体は一般的には膨化構造を有しない。また、薬効成分および炭素粉末を含む混合物が打錠により造粒される場合には、得られた成形体は一般的には膨化構造を有しない。また、エクストルーダーが使用される場合であっても、混合物が膨化しないような条件で加圧、押出造粒することにより、膨化構造を有しない固形状の魚類用経口投与薬剤を製造できる。

0021

本発明においては、造粒することにより形成された固形状の成形体はさらなる任意の処理にかけられてもよい。特に、上述のように加圧、押出造粒によって形成された固形状の成形体は水分を含んでいる場合があるので、その後、乾燥処理などのさらなる任意の処理にかけられてもよい。取り扱いの容易さなどの観点から、固形状の魚類用経口投与薬剤が乾燥していることが望まれる場合には、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、造粒後に、例えば、加圧、押出造粒後に、乾燥処理にかけられるのが好ましい。乾燥が不要な場合には、造粒することにより形成された固形状の成形体がそのまま養魚用飼料の原料として使用されてもよい。

0022

本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤における「固形状」とは、薬剤を構成する各成分の混合物が一体となった形状を有していること、すなわち、一体となった成形体となっていることを表すものであり、各成分の混合物が一体となった形状を形成していない状態と区別するものである。例えば、各成分がいわゆる粉体の状態の混合物として存在するような場合は、本発明における「固形状」には該当しない。また、本発明における「固形状」は、顆粒状、錠剤状ペレット状などであってよく、その形状も、球形、略球形楕円体略楕円体円柱形略円柱形など様々な形状が挙げられるがこれに限定されない。また、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、異なる形状を有する2種以上の成形体の混合物であってもよい。また、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤の大きさは、養魚用飼料に配合するのに適する大きさであれば良く、当該飼料が投与される魚の大きさ、養魚用飼料の形状などに応じて決定されるものであり、特に限定されないが、典型的には、球形および略球形の場合には、直径0.2mm〜20mm、より典型的には、直径0.5mm〜12mm、さらにより典型的には、直径1mm〜8mmであってよい。また、円柱形および略円柱形の場合には、典型的には、長さ0.5mm〜20mm、直径0.2mm〜20mm、より典型的には、長さ1mm〜10mm、直径1mm〜10mmであってよい。

0023

本発明の別の態様は、油脂を吸着させた固形状の魚類用経口投与薬剤である。この態様における「油脂を吸着させた」とは、原料の混合物を造粒することによって固形状の成形体を形成した後で、その固形状の成形体に油脂を吸着させたことを意味する。なお、固形状の成形体に油脂を吸着させる前および/または後に、固形状の成形体に対して任意の工程が行われてもよい。また、油脂を吸着させた固形状の魚類用経口投与薬剤を製造するにあたって、造粒される原料の混合物中の油脂の存在は任意である。よって、固形状の成形体を形成した後でその成形体に油脂を吸着させて製造されたものでない場合には、原料の混合物が油脂を含んでいたとしても、得られた固形状の魚類用経口投与薬剤は「油脂を吸着させた」固形状の魚類用経口投与薬剤には該当しない。「油脂を吸着させた」固形状の魚類用経口投与薬剤において、吸着させられる油脂は特に限定されないが、パーム油、牛脂、魚油などが挙げられ、好ましくは、常温で固体の油脂、例えば、パーム油、牛脂などである。

0024

この油脂を吸着させた固形状の魚類用経口投与薬剤の態様においては、当該薬剤に吸着している油脂は、固形状の薬剤のすくなくとも表面および表面付近に存在することができ、前記固形状の魚類用経口投与薬剤が膨化構造を有する場合には、吸着している油脂は固形状構造のより内部まで浸透しうる。また、減圧などの特別な手段を用いることにより、膨化構造がなくても、固形状の薬剤のより内部まで油脂を吸着させることも可能である。この固形状の薬剤の表面および表面付近、さらにはその内部にまで存在する油脂は、当該固形状の薬剤を包み込み、すなわち、カプセル化する。その結果、油脂を吸着させた固形状の魚類用経口投与薬剤は、養魚用飼料作成の際に、例えば、冷凍生餌が固形状薬剤と共に攪拌されるような物理的衝撃を比較的受けやすい条件下であっても、固形状薬剤の崩壊を低減、抑制できるという有利な効果を奏する。さらに、吸着した油脂自体の疎水的な性質が、固形状の薬剤から薬効成分の放出を抑制する効果を有するので、当該固形状の薬剤が物理的に崩壊した場合や、当該固形状の薬剤に含まれる薬効成分の量が多くなった場合に顕著になりうる当該薬剤からの薬効成分の放出に起因する摂餌量の低下をさらに抑制できるという有利な効果を奏する。

0025

本発明の別の態様は、前記固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料である。本発明の養魚用飼料の形態としては特に限定されないが、好ましくは、本発明の養魚用飼料は固形状、例えば、ペレット状であり、より好ましくは、モイストペレット、またはエクストルーダーペレットである。好ましくは、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、養魚用飼料中に分散された状態で、例えば、ペレット内に分散された状態で存在し、より好ましくは、養魚用飼料中にほぼ均一に分散された状態で、例えば、ペレット内にほぼ均一に分散された状態で存在する。

0026

本発明の養魚用飼料の原料としては、養魚用のモイストペレット、またはエクストルーダーペレットの製造のための一般的な原料であってよく、特に限定されない。また、その製造方法も、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を原料混合物の一成分として使用する以外は、一般的な方法で製造可能であり、例えば、養魚用のモイストペレット飼料は、原料混合物をモイストペレット機械で処理して作成することができ、また養魚用のエクストルーダーペレット飼料は、原料混合物をエクストルーダーで押出造粒して造粒物を形成し、必要であればこれを乾燥させることにより製造されうる。後述の実施例および比較例において示されるように、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、炭素粉末を含まずに造粒されたものと比較して高い硬度を有する。理論により拘束されるものではないが、この高い硬度によって、当該薬剤を含む養魚用飼料を作成する際の当該薬剤の固形状の状態の崩壊が抑制され、このことも、薬効成分に起因する摂餌量の低下の軽減もしくは抑制、並びに充分な薬効の発揮といった本発明の効果に寄与しているものと推察される。

0027

また、これら飼料の原料の割合については、例えば、養魚用飼料がモイストペレットの場合には、好ましくは、生餌50〜90重量%、魚粉およびバインダー(または魚粉配合飼料)0〜50重量%、ビタミン剤0.5〜2重量%、並びに本発明の魚類用経口投与薬剤1〜20重量%(合計100重量%)を含むが、これに限定されるものではない。また、養魚用飼料がエクストルーダーペレットの場合には、好ましくは、魚粉30〜50重量%、大豆粕5〜30重量%、澱粉1〜5重量%、魚油3〜20重量%、ビタミン剤1〜2重量%、本発明の魚類用経口投与薬剤1〜20重量%、および水10〜20重量%(合計100重量%)を含むが、これに限定されるものではない。上記養魚用飼料の原料として使用される生餌としては、養魚用飼料に通常使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、冷凍されたイワシ類(マイワシカタクチイワシ)、サバ類、スケトウダラサンマアジ類等が挙げられる。また、魚粉としては、養魚用飼料に、通常、使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カタクチイワシ、アジ、サバの魚粉が挙げられる。

0028

本発明の養魚用飼料が投与される対象は、魚類であれば特に限定されないが、好ましくは、スズキ目魚類、例えば、ブリ、マダイ、マアジ、カンパチ、スズキ、シマアジ、ヒラマサ、マグロ、クロマグロ、ブリヒラ、ヒラアジ、クロダイ、チダイ、ヘダイ、イシガキダイ、フエフキダイ、コショウダイ、ニザダイ、スギ、オオニベ、ニベ、キジハタ、クエ、アラ、イサキ、マサバ、ゴマサバ、メジナ、ティラピアなど、ニシン目魚類、例えば、銀鮭、ニジマスヤマメアマゴイワナサクラマス、サツキマス、鮎など、カレイ目魚類、例えば、ヒラメホシレイ、マコガレイ、マツカワなど、フグ目魚類、例えば、トラフグ、カワハギウマヅラハギなどが挙げられ、より好ましくは、ブリ、カンパチ、マダイ、マグロ、クロマグロ、銀鮭、ニジマス、サクラマス、サツキマス、ヒラメ、トラフグが挙げられ、さらにより好ましくは、ブリ、カンパチである。

0029

本発明の一態様は、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類に薬剤を投与する方法である。また、本発明の別の態様は、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料を魚類に摂取させることにより、魚類の疾病を予防および/または治療する方法である。予防および治療の対象となる疾病は養殖の際に魚類がかかる疾病であれば特に限定されないが、例えば、連鎖球菌症、ノカルジア症などの細菌性疾病、ウイルス性疾病、およびハダムシ、エラムシ、住血吸虫などの寄生虫性疾病が挙げられる。また、複数種類の疾病を同時に予防、治療する態様も含まれる。本発明における魚類への薬剤の投与量および投与期間は、薬効成分の種類、対象魚類の大きさ、水温等によっても異なり、特に限定されるものではない。例えば、薬効成分としてプラジクアンテルが使用される場合には、好ましくは、プラジクアンテルとして5mg/kg・日〜1000mg/kg・日、より好ましくは、10mg/kg・日〜500mg/kg・日となるような量となるように、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む養魚用飼料が魚類に投与される。例えば、本発明の薬剤は、疾病を予防する目的での予防的投与においては、プラジクアンテルの投与量5mg/kg・日〜50mg/kg・日で毎日の投与を行うことが可能である。また、本発明の薬剤は、疾病を治療する目的での治療的投与においては、例えば、プラジクアンテルの投与量100mg/kg・日〜150mg/kg・日で3日間の投与を行うことが可能である。さらに、本発明の薬剤は、単回投与での疾病の治療を目的とする場合には、例えば、プラジクアンテルの投与量450mg/kg・日〜1000mg/kg・日で1回の投与を行うことが可能である。本発明の薬剤が魚類に経口投与されることにより、薬剤に含まれる薬効成分が魚体内に吸収され、薬効を発揮して魚の疾病を予防および/または治療できることとなる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。

0030

製造例1:プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む混合物をエクストルーダーで加圧、押出造粒して形成した本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤
本発明の魚類用経口投与薬剤が以下のようにして製造された。20重量%のプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)、30重量%の炭素粉末(株式会社ゴトー養殖研究所)およびバインダーとして50重量%の小麦粉(株式会社ゴトー養殖研究所)の混合物を、バレル温度110℃、圧力1〜2Mpaの条件でエクストルーダー(株式会社スエヒロEPM、2軸エクストルーダーEA−20;ダイ直径5mm)で加圧、押出造粒して成形体を形成し、その後この成形体を、温風乾燥機で乾燥させて、固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。この薬剤は膨化構造を有していなかった。

0031

製造例2:プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む混合物をペレットマシンで押出造粒して形成した本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤
本発明の魚類用経口投与薬剤が以下のようにして製造された。20重量%のプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)、30重量%の炭素粉末(株式会社ゴトー養殖研究所)および賦形剤として50重量%の小麦粉(株式会社ゴトー養殖研究所)の混合物を用いてディスクペレッター(株式会社ダルトン)で押出造粒して成形体を形成し、固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。この薬剤は膨化構造を有していなかった。

0032

製造例3:プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む混合物をエクストルーダーで加圧、押出造粒して形成した膨化構造を有する本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤
エクストルーダーで加圧、押出造粒する際の条件を先端のバレル温度を115℃、圧力を5.2Mpaに変更した以外は、製造例1と同じ方法を行い、膨化構造を有する固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5.5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。

0033

比較製造例1:プラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない混合物をエクストルーダーで加圧、押出造粒して形成した固形状の魚類用経口投与薬剤
魚類用経口投与薬剤が以下のようにして製造された。20重量%のプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)およびバインダーとして80重量%の小麦粉(株式会社ゴトー養殖研究所)の混合物を、バレル温度110℃、圧力1〜2Mpaの条件でエクストルーダー(株式会社スエヒロEPM、2軸エクストルーダーEA−20;ダイ直径5mm)で加圧、押出造粒して成形体を形成し、その後この成形体を、温風乾燥機で乾燥させて、固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。この薬剤は膨化構造を有していなかった。

0034

比較製造例2:プラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない混合物をペレットマシンで押出造粒して形成した固形状の魚類用経口投与薬剤
魚類用経口投与薬剤が以下のようにして製造された。20重量%のプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)および賦形剤として80重量%の小麦粉(株式会社ゴトー養殖研究所)の混合物を、ペレットマシン・ディスクペレッター(株式会社ダルトン)で押出造粒して成形体を形成し、固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5.5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。この薬剤は膨化構造を有していなかった。

0035

比較製造例3:プラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない混合物をエクストルーダーで加圧、押出造粒して形成した膨化構造を有する固形状の魚類用経口投与薬剤
エクストルーダーで加圧、押出造粒する際の条件を先端のバレル温度を115℃、圧力を5.2Mpaに変更した以外は、比較製造例1と同じ方法を行い、膨化構造を有する固形状の魚類用経口投与薬剤(長さ5mm、直径5.5mm、プラジクアンテル含有量10重量%)を形成した。

0036

実施例1〜2
本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む本発明の養魚用モイストペレット飼料の製造
製造例1において製造された本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤(3重量%)、冷凍生餌(マイワシ)(91重量%)、市販飼料マッシュ(日本配合飼料株式会社)(6重量%)を含む原料を、モイストペレット機械(イワキ電機IW−25、以下同じ)を用いて混合して、養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)(実施例1)を作成した。
同様にして、製造例2において製造された魚類用経口投与薬剤から養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)(実施例2)を作成した。

0037

比較例1〜2
比較例の固形状の魚類用経口投与薬剤を含む比較例の養魚用モイストペレット飼料の製造
比較製造例1において製造された固形状の魚類用経口投与薬剤(3重量%)、冷凍生餌(マイワシ)(91重量%)、市販飼料マッシュ(日本配合飼料株式会社)(6重量%)を含む原料を、モイストペレット機械を用いて混合して、養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)(比較例1)を作成した。
同様にして、比較製造例2において製造された魚類用経口投与薬剤から養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)(比較例2)を作成した。

0038

比較例3
粉体状の薬効成分を飼料の原料として使用した比較例の養魚用モイストペレット飼料の製造
プラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)、冷凍生餌(マイワシ)(93.4重量%)、市販飼料マッシュ(日本配合飼料株式会社)(6重量%)を含む原料を、モイストペレット機械を用いて混合して、養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)を作成した。

0039

比較例4
粉体状の薬効成分および炭素粉末を飼料の原料として使用した比較例の養魚用モイストペレット飼料の製造
プラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)、炭素粉末(0.9重量%)、冷凍生餌(マイワシ)(92.5重量%)、市販飼料マッシュ(日本配合飼料株式会社)(6重量%)を含む原料を、モイストペレット機械を用いて混合して、養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)を作成した。

0040

対照群
薬効成分を含まない対照群用の養魚用モイストペレット飼料の製造
冷凍生餌(マイワシ)(94重量%)、市販飼料マッシュ(日本配合飼料株式会社)( 6重量%)を含む原料を、モイストペレット機械を用いて混合して、養魚用モイストペレット飼料(直径9mm)を作成した。

0041

試験1:
上述のように製造されたそれぞれの養魚用モイストペレット飼料を魚に経口投与して、摂餌率およびハダムシ駆除効果についての検討を行った。試験方法および結果は以下の通りである。

0042

魚体への薬剤の経口投与および摂餌率測定方法
縦4m×横4m×深さ3mの生け簀内で飼育されている約500gの体重のカンパチ100尾を1つの試験区とした。各試験区ごとに異なる経口投与薬剤を含む養魚用モイストペレット飼料が投与された。各試験区においては、2日間餌止めした後で、カンパチに上記養魚用モイストペレット飼料を一日あたり魚体重の3重量%となる量(15gモイストペレット飼料/500g魚体重)で投与し、自由に経口的に摂取させた。この投与を3日間連続して行った。各投与日の各投与から24時間後に、生け簀から5尾のカンパチを捕獲解剖し、それぞれのの内容物の重量を測定し、これを摂餌量とし、5匹の平均摂餌量を算出した。各投与日ごとに、対照群のモイストペレット飼料を投与した平均摂餌量を100%とした場合の各薬剤投与群の平均摂餌量の割合を摂餌率(%)とした。また、表1中の有効性評価は、薬剤がハダムシを充分に駆除できた場合には◎;薬剤のハダムシ駆除効果は中程度であるが、体内での薬効成分濃度がハダムシ寄生部分である体表面より高くなる血管内に寄生する血管内吸虫(Paradeontacylix grandispinus、Paradeontacylix kampachi)を充分に駆除できる場合には〇;薬剤が薬効成分の経口投与に有効ではなかった場合には×として表した。

0043

ハダムシ駆除効果判定方法
経口投与薬剤を含む養魚用モイストペレット飼料の投与前および3日目の投与から24時間後に、各試験区から5尾ずつカンパチを捕獲し、真水に3分間浸した後で寄生しているハダムシを計数し、カンパチ1匹あたりに寄生しているハダムシの平均数を算出した。

0044

各試験区に投与された飼料は以下の通りである。
対照群として、上述のように製造された薬効成分を含まない養魚用モイストペレット飼料が投与された。
実施例1として、エクストルーダーペレット製法で製造された、プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む固形状の魚類用経口投与薬剤を含む本発明の実施例1の養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例1として、エクストルーダーペレット製法で製造された、プラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない固形状の魚類用経口投与薬剤を含む比較例1の養魚用モイストペレット飼料が投与された。
実施例2として、ドライペレット製法で製造された、プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む固形状の魚類用経口投与薬剤を含む本発明の実施例2の養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例2として、ドライペレット製法で製造された、プラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない固形状の魚類用経口投与薬剤を含む比較例2の養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例3として、粉体のプラジクアンテルを原料として含む比較例3の養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例4として、粉体のプラジクアンテルおよび炭素粉末を原料として含む比較例4の養魚用モイストペレット飼料が投与された。結果は以下の表1に示される。

0045

0046

魚におけるプラジクアンテルの嗜好性の低さは、粉末プラジクアンテルを混ぜ込んだ養魚用モイストペレット飼料を投与した比較例3の結果から明らかである。すなわち、比較例3においては、投与1日目では摂餌率は70%で対照群と比較して若干の低下を示したが、投与2および3日目ではそれぞれ7%および5%と著しく摂餌が抑制された。なお、1日目の70%という結果は、その前2日間の餌止めによる魚の空腹状態が、プラジクアンテルによる摂餌抑制にある程度打ち勝っていたものと考えられる。比較例4において認められる様に、単に炭素粉末を粉末プラジクアンテルと共に飼料原料に混合したとしても、プラジクアンテルに起因する摂餌抑制を軽減することができなかった。比較例1および比較例2において認められる様に、プラジクアンテルをエクストルーダーペレット製法(比較例1)(表中でEP製法と記載)またはドライペレット製法(比較例2)(表中でDP製法と記載)のいずれの製法で固形化したとしても、炭素粉末がなければ摂餌抑制の軽減は認められなかった。これら比較例1〜4においては、ハダムシ駆除効果も認められなかった。これは、摂餌率の低下によりプラジクアンテルの魚体内への取り込みが低下し、その結果、ハダムシ駆除効果を発揮するのに充分なプラジクアンテルの体内濃度を維持できなかったものと推察される。

0047

一方、実施例1および実施例2において認められる様に、プラジクアンテルおよび炭素粉末を含む混合物の固形化物を薬剤として使用した場合には、プラジクアンテルの嗜好性に起因する摂餌抑制が完全に抑制(実施例1)もしくは軽減(実施例2)され、これと共に、ハダムシ駆除効果も確認できた。ドライペレット製法によりプラジクアンテルおよび炭素粉末を含む混合物を固形化した実施例2における2日目および3日目の31%および33%の摂餌率、および3日間の投与後での半数強のハダムシ駆除割合は、養殖の経済性に充分に貢献しうる水準である。この摂餌率と後述の試験2における実施例1の2日目以降のプラジクアンテル血中濃度とを考慮すると、実施例2の2日目以降のプラジクアンテル血中濃度は約0.6ppmであろうと推察される。ここで、非特許文献2に報告されるように、プラジクアンテルはインビトロの試験で0.2ppmの濃度でクロマグロの住血吸虫に対して有効である。クロマグロの血管内吸虫とカンパチの血管内吸虫ではその種は異なるものの同じ吸虫類であるから、カンパチの血管内吸虫(Paradeontacylix grandispinus、Paradeontacylix kampachi)に対してもプラジクアンテルは同程度の濃度で有効であろうと考えられる。よって、実施例2においては、血管内吸虫に対しては充分に有効であると言える。また、エクストルーダーペレット製法により固形化を行った実施例1においては、プラジクアンテルによる摂餌量低下を完全に抑制すると共に、寄生しているハダムシの約95%を駆除することができた。実施例1においては、後述の試験2におけるプラジクアンテルの血中濃度の結果を考慮すると、血管内吸虫に対する充分な有効性を有していたのは明らかである。よって、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、単にプラジクアンテルの嗜好性の低さをマスキングして摂餌量の低下を軽減もしくは抑制できるだけでなく、経口摂取後にプラジクアンテルが魚の体内に吸収され、薬効が発揮されうる薬剤であることが明らかとなった。

0048

試験2:
上記試験1における対照群、実施例1、比較例1および比較例3の試験区の魚におけるプラジクアンテル(表中PZQと表示)の血中濃度および筋肉中濃度を測定した。具体的な試験方法および結果は以下の通りである。

0049

各試験区において、飼料投与の24時間後毎に、それぞれ5尾のカンパチを捕獲し、それぞれの魚から血液および筋肉を採取した。血液については、血液約0.5gにエタノール2mlを加え、攪拌し、超音波で1分間処理し、これを0.45μmのメンブランフィルター濾過した濾液HPLC試料溶液とした。筋肉については、筋肉約1gにエタノール10mlを加え、ホモジナイザーで2分間処理して、これを0.45μmのメンブランフィルターで濾過した濾液をHPLC用試料溶液とした。プラジクアンテルの濃度を決定するための標準液は、プラジクアンテル標準品100mgを精しエタノール20mlに溶かした後、使用時に水で10μg/mlに希釈して標準液とした。これら試料溶液について、HPLCを用いて分析を行った。HPLC分析条件は以下の通りであった:測定波長210nm、カラムODS(Waters smmetry C18)、流量1.0ml/min、カラム温度40℃、移動相アセトニトリル:水=50:50、注入量10μl。
結果は以下の表2に示される。

0050

0051

粉末プラジクアンテルを混ぜ込んだ養魚用モイストペレット飼料を投与した比較例3、およびプラジクアンテルを含むが炭素粉末を含まない混合物をエクストルーダーペレット製法(表中でEP製法と記載)で固形化した薬剤を使用した比較例1おいては、2日目以降、プラジクアンテルの血液中および筋肉中濃度は著しく低かった。この結果は、表1に示されるハダムシ駆除効果の結果と対応するものである。これに対して、本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤を使用した実施例1においては、血中および筋肉中のいずれにおいても、経口投与の継続に伴うプラジクアンテルの濃度の増大が認められた。この実施例1における血中および筋肉中のプラジクアンテル濃度の結果は、試験1におけるハダムシ駆除効果の結果と対応するものである。

0052

試験3:
従来技術の効果を確認するために、従来技術を用いて様々な薬効成分を含む養魚用モイストペレット飼料を製造し、試験1と同様の条件で試験を行い、その飼料の摂餌率について検討を行った。
対照群、比較例3および比較例4は上記試験1のと同じである。
比較例5においては、薬効成分としてプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)に代えてエリスロマイシン20%散剤(水産用エリスロマイシン散「TG」20%、株式会社トーヨー技術研究所)(0.6重量%)が使用された以外は比較例3におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例6においては、薬効成分としてプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)に代えてエリスロマイシン20%散剤(水産用エリスロマイシン散「TG」20%、株式会社トーヨー技術研究所)(0.6重量%)が使用された以外は比較例4におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例7においては、薬効成分としてエリスロマイシン20%散剤(水産用エリスロマイシン散「TG」20%、株式会社トーヨー技術研究所)(0.6重量%)およびプラジクアンテル50%(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)が使用された以外は比較例3におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例8においては、薬効成分としてエリスロマイシン20%散剤(水産用エリスロマイシン散「TG」20%、株式会社トーヨー技術研究所)(0.6重量%)およびプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)が使用された以外は比較例4におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例9においては、薬効成分としてプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)に代えてアンピシリン10%散剤(水産用アンピシリン散「TG」10%、株式会社トーヨー技術研究所)(4重量%)が使用された以外は比較例3におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例10においては、薬効成分としてアンピシリン10%散剤(水産用アンピシリン散「TG」10%、株式会社トーヨー技術研究所)(4重量%)およびプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)が使用された以外は比較例3におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。
比較例11においては、薬効成分としてアンピシリン10%散剤(水産用アンピシリン散「TG」10%、株式会社トーヨー技術研究所)(4重量%)およびプラジクアンテル50%散剤(ハダクリーン(登録商標)、バイエル薬品株式会社)(0.6重量%)が使用された以外は比較例4におけるように製造された養魚用モイストペレット飼料が投与された。結果は以下の表3に示される。

0053

0054

養魚用モイストペレット飼料が粉末プラジクアンテルまたは粉末エリスロマイシンを含む場合には、これら飼料の摂餌率が低く、このことは、これらの薬剤は魚の嗜好性が低いことを示す。一方、比較例9の結果は、アンピシリンが摂餌率に影響しないことを示す。また、炭素粉末を単に混合することによるマスキングを意図する従来技術を用いた比較例4、比較例6、比較例8および比較例11の結果からは、単なる炭素粉末の添加だけでは、プラジクアンテルまたはエリスロマイシンの嗜好性の低さに起因する摂餌率の低下を軽減または抑制することができないことがわかる。

0055

試験4:
本発明の固形状の魚類用経口投与薬剤の物理的性質について検討を行った。
製造例1、3および比較製造例1、3の固形状の魚類用経口投与薬剤について、その崩壊硬度を、錠剤硬度計A型15kg(萱医理科工業株式会社)を用いて計測し、10個の硬度平均を計算し、その結果を表4に示す。膨化構造を有する製造例3および比較製造例3の固形状の魚類用経口投与薬剤については、その気泡の状態を、実体顕微鏡を用いて観察し、その結果をスケッチした図を図1(製造例1)および図2(比較製造例1)に示し、また、気泡の大きさを対物ミクロメータで計測し、10個の平均および標準偏差を計算した。結果を表4に示す。なお、表中のPZQはプラジクアンテルを示し、EP製法はエクストルーダーペレット製法で薬剤が造粒されたことを示す。

0056

0057

気泡の直径については、炭素粉末を使用せずに造粒された比較製造例3の固形状の薬剤に形成されている気泡(図2)と比較して、炭素粉末を使用して造粒された製造例3の本願発明の固形状の薬剤は気泡の直径が小さく、かつばらつきも小さかった(図1)。

実施例

0058

崩壊硬度については、炭素粉末を使用せずに造粒された固形状薬剤をそれぞれ100%として比較すると、本願発明の固形状薬剤は、エクストルーダーペレット製法で製造された膨化構造を有さない製造例1の薬剤について237%、およびエクストルーダーペレット製法で造粒された膨化構造を有する製造例3の薬剤について350%もの増大を示した。

0059

本願発明の固形状の魚類用経口投与薬剤は、養魚用飼料に使用されることが可能であり、この養魚用飼料は、魚類の養殖に使用されうる。

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