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技術 4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物及びその用途

出願人 川崎化成工業株式会社
発明者 山田暁彦沼田繁明横山修司三木康彰
出願日 2015年6月25日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-127972
公開日 2017年1月12日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-008007
状態 特許登録済
技術分野 第4族元素を含む化合物及びその製造 重合方法(一般) エポキシ樹脂
主要キーワード 評価比 移行度 ジヒドロキシナフタレン化合物 ビーエーエスエフ社製 ガリウムドープ 光ラジカル重合性組成物 ハイブリッド組成物 光カチオン重合性組成物
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課題

保存時等において、ブルーミングマイグレーションが起きにくい光重合増感剤の提供。

解決手段

式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物及び4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤。(R1はH又はアリール基;R2は各々独立にC1〜8のアルキル基;XはH又はC1〜8のアルキル基)

概要

背景

紫外線可視光線等の活性エネルギー線により重合する光重合性組成物は、重合速度が速く、熱重合性組成物に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。光重合性組成物に含まれる光重合性化合物はそれ自体では重合開始機能が乏しく、重合させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。

光重合性組成物としては、光重合性化合物の重合を開始する種の違いにより、光ラジカル重合性組成物光カチオン重合性組成物とに分けられる。一般に、ラジカル重合型は、重合速度が速く、生成する塗膜硬度が高いという特徴を持つが、基材との密着性が弱いという欠点がある。また、酸素の影響を受けやすく、特に薄膜の生成においては窒素封入などの設備が必要となる。一方、カチオン重合型は、基材との密着性が高く、可とう性に優れており、酸素による影響を受けにくいという特徴を有する。そのため、電子材料分野においては光カチオン重合性組成物が用いられている。

光ラジカル重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノンベンゾフェノン等のアルキルフェノン重合開始剤アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが知られており(特許文献1、2等)、光カチオン重合の開始剤としては、アリールスルホニウム塩アリールヨードニウム塩などのオニウム塩が用いられている(特許文献3等)。中でも光カチオン重合開始剤として用いられるオニウム塩は光ラジカル重合開始剤としても作用することが知られている。

しかし、アリールヨードニウム塩はその吸収波長が250nm近辺と低く、例えば高圧水銀ランプ等で重合させるときは、高圧水銀ランプ等の照射波長である360〜400nm近辺に吸収のある光重合増感剤を添加する必要がある。一方、アリールスルホニウム塩は、360nm付近に吸収を持つため、高圧水銀ランプ等を照射することにより重合を開始させることができるが、360nmよりもさらに長波長の紫外線LEDを用いる場合には、やはり光重合増感剤を使用する必要がある。

紫外線LEDは発熱が少なく長寿命であることから最近光源としてよく使用されているが、アリールヨードニウム塩又はアリールスルホニウム塩を光重合開始剤として用いた場合、いずれも紫外線LEDなどの光源が発する長波長の光では光重合反応が進行しにくい等の問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン化合物チオキサントン化合物が知られており、特にアントラセン化合物が用いられることが多い(特許文献4)。

アントラセン化合物としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が主に用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるアリールヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセン等の9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。

しかしながら、光重合時あるいは重合物の保存中にブルーミングにより、光重合増感剤等の添加物が表面ににじみ出し、重合物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことが知られている。例えば、フィルムとフィルムを接着する光接着剤の一成分としてこれらの光重合増感剤を使用する場合、光重合増感剤が上部に被せたフィルム(ポリエチレンフィルム等)に移行すること(マイグレーション)があり、上部フィルム上に光重合増感剤の粉吹きや着色の問題を引き起こす場合がある。

概要

保存時等において、ブルーミングやマイグレーションが起きにくい光重合増感剤の提供。式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物及び4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤。(R1はH又はアリール基;R2は各々独立にC1〜8のアルキル基;XはH又はC1〜8のアルキル基)なし

目的

特開平6−345614号公報
特開平7−062010号公報
特開平5−249606号公報
特開平10−195117号公報
特開2002−302507号公報
特開平11−279212号公報
特開2000−344704号公報
WO2007/126066号公報






よって、光重合増感剤を含む光重合性組成物の重合時や当該光重合性組成物の光重合物の保存時等において、ブルーミングやマイグレーションが起きにくい光重合増感剤の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物。 (上記一般式(1)において、R1は水素原子又はアリール基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、複数あるR2は同一であっても異なっていてもかまわない。Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)

請求項2

下記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤。 (上記一般式(1)において、R1は水素原子又はアリール基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、複数あるR2は同一であっても異なっていてもかまわない。Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)

請求項3

請求項2に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤及び光重合性化合物を含有する光重合性組成物

請求項4

光重合性化合物が、光カチオン重合性化合物である請求項3に記載の光重合性組成物。

請求項5

光重合性化合物が、光ラジカル重合性化合物である請求項3に記載の光重合性組成物。

請求項6

請求項3乃至5のいずれか一項に記載の光重合性組成物に、波長300nmから420nmの範囲の光を含むエネルギー線照射することを特徴とする光重合性組成物の光重合方法

請求項7

請求項3乃至5のいずれか一項に記載の光重合性組成物に、波長300nmから420nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより得られる重合物

技術分野

0001

本発明は、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物及び4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤に関する。

背景技術

0002

紫外線可視光線等の活性エネルギー線により重合する光重合性組成物は、重合速度が速く、熱重合性組成物に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。光重合性組成物に含まれる光重合性化合物はそれ自体では重合開始機能が乏しく、重合させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。

0003

光重合性組成物としては、光重合性化合物の重合を開始する種の違いにより、光ラジカル重合性組成物光カチオン重合性組成物とに分けられる。一般に、ラジカル重合型は、重合速度が速く、生成する塗膜硬度が高いという特徴を持つが、基材との密着性が弱いという欠点がある。また、酸素の影響を受けやすく、特に薄膜の生成においては窒素封入などの設備が必要となる。一方、カチオン重合型は、基材との密着性が高く、可とう性に優れており、酸素による影響を受けにくいという特徴を有する。そのため、電子材料分野においては光カチオン重合性組成物が用いられている。

0004

光ラジカル重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノンベンゾフェノン等のアルキルフェノン重合開始剤アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが知られており(特許文献1、2等)、光カチオン重合の開始剤としては、アリールスルホニウム塩アリールヨードニウム塩などのオニウム塩が用いられている(特許文献3等)。中でも光カチオン重合開始剤として用いられるオニウム塩は光ラジカル重合開始剤としても作用することが知られている。

0005

しかし、アリールヨードニウム塩はその吸収波長が250nm近辺と低く、例えば高圧水銀ランプ等で重合させるときは、高圧水銀ランプ等の照射波長である360〜400nm近辺に吸収のある光重合増感剤を添加する必要がある。一方、アリールスルホニウム塩は、360nm付近に吸収を持つため、高圧水銀ランプ等を照射することにより重合を開始させることができるが、360nmよりもさらに長波長の紫外線LEDを用いる場合には、やはり光重合増感剤を使用する必要がある。

0006

紫外線LEDは発熱が少なく長寿命であることから最近光源としてよく使用されているが、アリールヨードニウム塩又はアリールスルホニウム塩を光重合開始剤として用いた場合、いずれも紫外線LEDなどの光源が発する長波長の光では光重合反応が進行しにくい等の問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン化合物チオキサントン化合物が知られており、特にアントラセン化合物が用いられることが多い(特許文献4)。

0007

アントラセン化合物としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が主に用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるアリールヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセン等の9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。

0008

しかしながら、光重合時あるいは重合物の保存中にブルーミングにより、光重合増感剤等の添加物が表面ににじみ出し、重合物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことが知られている。例えば、フィルムとフィルムを接着する光接着剤の一成分としてこれらの光重合増感剤を使用する場合、光重合増感剤が上部に被せたフィルム(ポリエチレンフィルム等)に移行すること(マイグレーション)があり、上部フィルム上に光重合増感剤の粉吹きや着色の問題を引き起こす場合がある。

先行技術

0009

特開平6−345614号公報
特開平7−062010号公報
特開平5−249606号公報
特開平10−195117号公報
特開2002−302507号公報
特開平11−279212号公報
特開2000−344704号公報
WO2007/126066号公報

発明が解決しようとする課題

0010

よって、光重合増感剤を含む光重合性組成物の重合時や当該光重合性組成物の光重合物の保存時等において、ブルーミングやマイグレーションが起きにくい光重合増感剤の開発が望まれている。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、ナフタレン化合物の構造と光重合特性について鋭意検討した結果、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物が光重合において光重合増感剤として優れた効果を示すのみならず、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物の上にポリエチレンフィルムを被せた場合でもマイグレーション等を起こし難いことを見出し、本発明を完成させた。

0012

即ち、本発明は、以下に記載の骨子を要旨とするものである。
上記目的を達成するために、第1発明では、下記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を提供する。

0013

0014

上記一般式(1)において、R1は水素原子又はアリール基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、複数あるR2は同一であっても異なっていてもかまわない。Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。

0015

第2発明では、上記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤を提供する。

0016

第3発明では、第2発明に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤及び光重合性化合物を含有する光重合性組成物を提供する。

0017

第4発明では、光重合性化合物が光カチオン重合性化合物である第3発明に記載の光重合性組成物を提供する。

0018

第5発明では、光重合性化合物が光ラジカル重合性化合物である第3発明に記載の光重合性組成物を提供する。

0019

第6発明では、第3発明乃至第5発明のいずれかひとつに記載の光重合性組成物に、波長300nmから420nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することを特徴とする光重合性組成物の重合方法を提供する。

0020

第7の発明では、第3発明乃至第5発明のいずれかひとつに記載の光重合性組成物に、波長300nmから420nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより得られる重合物を提供する。

発明の効果

0021

本発明の4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は、ナフタレン構造を持つ化合物でありながら、ジアルコキシアントラセンのように400nm近辺に紫外吸収を持つ化合物である。そして、本発明の4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は、当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物に波長が300nmから420nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより、当該光重合増感剤化合物が励起され、光重合開始剤を活性化させ、光重合性組成物をすみやかに重合させることができる。更に、当該化合物を含有する光重合性組成物にフィルムを被せた場合でも光重合増感剤がフィルムにマイグレーション等を起こし難く、光重合増感剤として有用である。

0022

以下、本発明を詳細に記述する。

0023

(化合物)
本発明は、下記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物である。

0024

0025

上記一般式(1)において、R1は水素原子又はアリール基を表し、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、複数あるR2は同一であっても異なっていてもかまわない。Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。

0026

上記一般式(1)において、R1で表されるアリール基としてはフェニル基トリル基ナフチル基等が挙げられ、Xで表される炭素数1〜8のアルキル基としてはメチル基エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基等が挙げられ、R2で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、テキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。

0027

上記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の具体例としては以下の化合物が挙げられる。すなわち、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−(ジメチルキシルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、4−(ジメチルテキシルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−4−(ジメチルテキシルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−4−(ジメチルテキシルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−4−(ジメチルテキシルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−4−トリエチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−4−(ジメチルテキシルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−4−(ジメチルオクチルシリル)オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル等が挙げられる。

0028

上記述べた一般式(1)で表される化合物の中でも、合成の容易さと光重合増感剤としての性能の高さから、特に、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルが好ましい。

0029

(製造方法)
次に、上記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物の製造方法について説明する。本発明の上記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物は、下記の反応式−1に従って、一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物より合成される。

0030

一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は、すでに文献等に記載された一般的な方法で、1,4−ジヒドロキシナフタレン化合物炭酸ガスの反応で得ることができる。フェノールからサリチル酸を製造する、いわゆるコルベ・シュミッド反応の応用である。例えば、1,4−ジヒドロキシナフタレン有機溶媒中、微粒子状の無水炭酸カリウムの存在下に炭酸ガスによってカルボキシル化する方法(特開昭57−126443号公報)、1,4−ジヒドロキシナフタレンのアルカリ金属化合物を炭酸ガスによってカルボキシル化する方法(特開昭59−141537号公報、特開平9−132545号公報)等が知られている。

0031

当該コルベ・シュミッド反応によって得られた1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を脱水剤存在下フェノール類と反応させることにより、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のアリールエステル化合物を合成することができる。

0032

原料として用いられる1,4−ジヒドロキシナフタレン化合物としては、1,4−ジヒドロキシナフタレン、5−メチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン、6−メチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン、5−エチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン、6−エチル−1,4−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。当該1,4−ジヒドロキシナフタレン化合物は、対応する1,4-ナフトキノン化合物水素還元することにより得ることができる。

0033

そして、下記の反応式−1に従って、一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物とシリル化剤を反応させることにより、一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物を得ることができる。

0034

0035

上記一般式(1)、(2)において、R1は水素原子又はアリール基を表し、Xは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。上記一般式(1)において、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表し、複数あるR2は同一であっても異なっていてもかまわない。

0036

原料として用いられる一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の具体例としては、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸トリル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチル、5−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸トリル、5−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチル、6−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸トリル、6−メチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチル、5−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、5−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸トリル、5−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチル、6−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、6−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸トリル、6−エチル−1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸ナフチル等が挙げられる。

0037

上記反応式で用いるシリル化剤としては、好適にはハロゲン化シラン化合物アルキルシリルアミン化合物又はビストリアルキルシリルアセトアミド化合物が使用される。ハロゲン化シラン化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラントリエチルクロロシラン、トリ(n−プロピル)クロロシラン、トリ(i−プロピル)クロロシラン、トリブチルクロロシラン、ジメチル−t−ブチルクロロシラン、ジメチルテキシルクロロシラン、ジメチル−n−オクチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリエチルブロモシラン、トリ(i−プロピル)ブロモシラン、トリブチルブロモシラン、ジメチル−t−ブチルブロモシラン、ジメチル−n−オクチルブロモシラン等が挙げられる。また、ビストリアルキルシリルアセトアミドとしては、ビストリメチルシリルアセトアミド、ビストリエチルシリルアセトアミド、トリプロピルシリルアセトアミド等が挙げられる。アルキルシリルアミン化合物としては、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−t−ブチルジメチルシリルイミダゾール、N−ジメチルエチルシリルイミダゾール、N−ジメチルn−プロピルシリルイミダゾール、N−ジメチルイソプロピルシリルイミダゾール等が挙げられる。更に、ビストリアルキルシリルアセトアミド化合物としては、ビストリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミド等が挙げられる。

0038

これらのシリル化剤の中では、反応性の高さと生成物の活性の高さの観点から、トリメチルクロロシラン、トリ(i−プロピル)クロロシラン、N−トリメチルシリルイミダゾール又はビストリメチルシリルアセトアミドが好ましい。特に、トリメチルクロロシラン、トリ(i−プロピル)クロロシラン、ビストリメチルシリルアセトアミドが好ましい。

0039

シリル化剤の使用量は、上記一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物に対し、通常1.0モル倍以上、4.0モル倍以下、好ましくは1.0モル倍以上、2.5モル倍以下である。シリル化剤の使用量が1.0モル倍未満の場合は、未反応の1,4−ジヒドロキシナフトエ酸化合物が増加し、4.0モル倍を超えて添加した場合は、生成した4−アルコキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、4−アルコキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物の単離収率が低下するため好ましくない。

0040

反応温度は、通常0℃以上、150℃以下、好ましくは15℃以上、80℃以下である。反応温度が0℃未満の場合は、反応速度が遅すぎて反応に時間が掛かかり、150℃を超えて加熱した場合は、副反応が起きて生成物の純度が低下する。反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.5〜20時間である。通常、反応は大気圧下で行い、反応容器内部はアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。

0041

シリル化剤がハロゲン化シラン化合物の場合は、塩基性化合物存在下に反応を行わせる。すなわち、上記一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物とハロゲン化シラン化合物とを反応させ、一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物を製造する際、塩基性化合物を添加することが必要である。シリル化剤がビストリアルキルシリルアセトアミド又はトリメチルシリルイミダゾールの場合は、ビストリアルキルシリルアセトアミド及びトリメチルシリルイミダゾール自らが塩基性化合物としても働くので、更に塩基性化合物を添加しなくても反応が進行する。

0042

使用する塩基性化合物としては、一級アミン二級アミン三級アミン及びピリジン類が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミンエチルアミンプロピルアミン等が挙げられ、二級アミンとしては、ジメチルアミンジエチルアミンジブチルアミンピペリジン等が挙げられ、三級アミンとしてはトリメチルアミントリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、ピリジン類としては、ピリジンα−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。

0043

塩基性化合物の使用量は、上記一般式(2)で表される1,4−ジヒドロキシナフトエ酸化合物に対し、通常1.0モル倍以上、1.5モル倍以下、好ましくは1.1モル倍以上、1.3モル倍以下である。塩基性化合物の使用量が1.0モル倍未満の場合は、未反応の1,4−ジヒドロキシナフトエ酸化合物が増加し、1.5モル倍を超えて添加した場合は、生成した4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシナフトエ酸化合物の単離収率が低下するため好ましくない。

0044

使用する溶媒としては、ベンゼントルエンキシレンクロロベンゼンのような芳香族系溶媒塩化メチレンジクロロエタンジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドンジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。生成物の4−置換オキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は置換基の種類によれば分解を受けやすい場合が有り、溶媒としては水非婚和性のトルエン、塩化メチレン等が好ましい。

0045

反応終了後反応混合物濃縮し、又はヘキサン等の貧溶媒に添加し、析出した結晶をろ過・乾燥することにより、さらに必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。

0046

(光重合増感剤)
このようにして得られた、本発明の上記一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は、光カチオン重合性化合物や光ラジカル重合性化合物を光重合開始剤存在下に重合させる際に、光重合増感剤として用いることができる。即ち、光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する光重合性組成物に4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を添加することにより、その光重合速度を向上させることができる。

0047

また、本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤は、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を有効成分とするものであり、その全量を、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物とするもののほか、本発明の効果を損なわない限り、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物以外の光重合増感剤等を含んでもよい。

0048

このような本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物以外の光重合増感剤としては、チオキサントン化合物(例えば2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン)、ナフタレン化合物(例えば1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ1−ナフトール)、アントラセン化合物(例えば9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン)、ベンゼン化合物(例えば、ハイドロキノン、4-メトキシフェノール)、又はアミン化合物(例えばジエチルアミノ安息香酸メチル)等が挙げられる。

0049

4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物に対する4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物以外の光重合増感剤の添加比率は、特に限定されないが、4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物に対して0.1重量倍以上10重量倍以下である。4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物以外の光重合増感剤の添加比率が0.1倍未満では、光重合増感剤の添加効果は未添加の場合と変わりなく、また4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物以外の光重合増感剤の添加比率が10倍を超えて添加しても、それ以後ほとんど変わらない。

0050

(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、オニウム塩が好ましい。オニウム塩としては通常アリールヨードニウム塩またはアリールスルホニウム塩が用いられる。アリールヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられ、例えばビーエーエスエフ社製イルガキュア250(「イルガキュア」はビーエーエスエフ社の登録商標)、ローディア社製ロードシル2074(「ロードシル」はローディア社の登録商標)、サンアプロ社製IK−1等を用いることができる。一方、アリールスルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート等が挙げられ、例えばダイセル社製CPI−100P、CPI101A、CPI−200K、ビーエーエスエフ社製イルガキュア270、ダウケミカル社製UVI6992等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。

0051

(光重合性組成物)
本発明の光重合性組成物は、本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤と、光重合開始剤としてのオニウム塩と、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物と、を含有する組成物である。

0052

本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤と光重合開始剤としてのオニウム塩は、別々に光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物に添加してもよいし、本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤と、光重合開始剤とを配合することにより光重合開始剤組成物とし、当該光重合開始剤組成物と光重合性化合物とを配合することにより、光重合性組成物を調製することもできる。

0053

光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは、脂環式エポキシ化合物エポキシ変性シリコーン芳香族グリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVR6105、UVR6110、ダイセル社製セロサイド2021P等を用いることができる。エポキシ変性シリコーンとしては、東GEシリコーン製UV−9300等が挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニルプロパン等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテルイソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。これらの光カチオン重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。また、これらのオリゴマーであってもよい。

0054

光ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン酢酸ビニルアクリル酸メタクリル酸アクリロニトリルメタクリロニトリルアクリルアミドアクリル酸エステルメタクリル酸エステル等の二重結合を有する有機化合物を用いることができる。これらの光ラジカル重合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリル酸エステルという)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチルアクリル酸ブチルアクリル酸シクロヘキシルアクリル酸−2−エチルヘキシルアクリ ル酸−2−ヒドロキシエチルアクリル酸イソボルニルメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルテトラエチレングリコールジアクリレートトリメチロールプロパントリアクリレートペンタエリスリトールトリアクリレートエポキシアクリレートウレタンアクリレートポリエステルアクリレートポリブタジエンアクリレートポリオールアクリレートポリエーテルアクリレートシリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。また、これらのオリゴマーであってもよい。

0055

また、本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤は、光ラジカル重合と光カチオン重合のどちらにも用いることができる。すなわち、光ラジカル重合性組成物における光ラジカル重合増感剤として用いることもでき、かつ、光カチオン重合性組成物における光カチオン重合増感剤としても用いることもできる。さらに、光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物の両方を含むハイブリッド組成物中において、光ラジカル重合増感剤及び光カチオン重合増感剤の両方の効果を持つ化合物として用いることもできる。よって、用いられる光重合性化合物としては、光カチオン重合性化合物と光ラジカル重合化合物の混合物であってもよい。

0056

光重合性組成物における光重合開始剤の使用量は、光重合性化合物100重量部に対し、光重合開始剤であるオニウム塩を0.1重量部以上、10.0重量部以下、好ましくは1.0重量部以上、5.0重量部以下の範囲で使用する。光重合性化合物100重量部に対する光重合開始剤の使用量が0.1重量部未満だと光重合性組成物を光重合させたとき、重合速度が遅くなり、一方、光重合開始剤の使用量が10.0重量部を超えて添加してすると光重合性組成物を光重合させたときに得られる光重合物の物性が低下するおそれがあるため好ましくない。

0057

本発明の一般式(1)で表される4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を含有する光重合増感剤の光重合開始剤に対する使用量は、特に限定されないが、光重合開始剤に対して通常5重量%以上、100重量%以下の範囲、好ましくは10重量%以上、50重量%以下の範囲である。光重合増感剤の使用量が5重量%未満では光重合性化合物を光重合させるのに時間がかかりすぎてしまい、一方、100重量%を超えて使用しても添加に見合う効果は得られない。

0058

なお、本発明の光重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤着色剤有機又は無機充填剤レベリング剤界面活性剤消泡剤増粘剤難燃剤酸化防止剤、安定剤、滑剤可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。

0059

光重合方法
本発明の重合物は、光重合性組成物に光を照射して重合することにより、得ることができる。光重合性組成物に光を照射し重合させ硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光重合させることもできるし、塊状に成形して光重合させることもできる。フィルム状に成形して光重合させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルム等の基材にバーコーター等を用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布する。一方、スピンコーティング法スクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。

0060

このようにして調製した光重合性組成物からなる塗膜に、300〜420nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm2程度の強さで光照射することにより、光重合物を得ることができる。用いる光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプメタルハライドランプキセノンランプガリウムドープドランプ、ブラックライト中心波長が365nm、375nm、385nm、395nm又は405nmの紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光等の自然光を使用することもできる。特に、中心波長が365nm、375nm、385nm、395nm又は405nmの紫外線LEDが好ましい。

0061

タックフリーテスト
本発明の光重合性組成物が光重合したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)がある。すなわち、光重合性組成物に光を照射すると、重合して表面のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間を測定することにより、光重合時間を測定することができる。

0062

耐マイグレーション性の判定)
本発明の光重合性組成物に含まれる光重合増感剤がフィルム等に移行(マイグレーション)するかどうかを判定する方法としては、光重合増感剤を含む光重合性組成物を薄いフィルム状物に塗布したものを作成し、その上にポリエチレンフィルムを被せて一定温度(26℃)で一定期間保管し、その後ポリエチレンフィルムを剥がし、光重合増感剤がポリエチレンフィルムに移行しているかを調べ、耐マイグレーション性を判定した。剥がしたポリエチレンフィルムは、アセトンで表面の組成物を洗った後乾燥し、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、光重合増感剤に起因する吸収強度の増大を調べることにより耐マイグレーション性を測定した。なお、当該測定には、紫外可視分光光度計島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。比較例の化合物である9,10−ジブトキシアントラセンと量的な比較するために、得られた吸光度を9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度の値に換算した。換算に当たっては、紫外・可視分光光度計により本発明の化合物及び9,10−ジブトキシアントラセンの260nmにおける吸光度を測定し、その吸光度の値とモル濃度からそれぞれのモル吸光係数を計算し、その比をもちいて換算した。

0063

下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。また、特記しない限り、すべての部は重量部である。生成物の確認は下記の機器による測定に基づいて行った。

0064

(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer

0065

(合成実施例1)4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
温度計攪拌機付の100ml三つ口フラスコに1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸8.2g(40ミリモル)、トルエン50gの灰色スラリーにトリメチルシリルアセトアミド16g(80ミリモル)を加え、50℃で1時間加熱した。反応終了後、沈殿物を除いた後、トルエン層を濃縮し、析出物濾別・乾燥して4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の灰白色粉末5.4g(18.8ミリモル)を得た。原料の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸に対する単離収率は47モル%であった。

0066

(1)融点:185−186℃
(2)IR(KBr、cm−1):2950,1651,1630,1455,1438,1271,1251,1228,1205,1159,1107,874,837,765,729,696,655,506,476cm−1.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ0.36(s,9H),7.19(s,1H),7.57(t,J=8Hz,1H),7.65(t,J=8Hz,1H),8.09(d,J=8Hz,1H),8.42(d,J=8Hz,1H),11.25(s,1H).

0067

(合成実施例2)4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
温度計、攪拌機付の100ml三つ口フラスコに1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸4.1g(20ミリモル)、塩化トリ(i−プロピル)シラン、4.9g(25ミリモル)、トルエン20gの灰色スラリーにトリエチルアミン2.5g(25ミリモル)のトルエン10g溶液を加えた。次いで、反応液を50℃で3時間加熱した。水20gで2回洗った後、トルエン層を濃縮し、4−トリ(イソプロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の赤色水飴状物4.2g(11.7ミリモル)を得た。原料の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸に対する単離収率は60モル%であった。

0068

(1)融点:室温液
(2)IR(ヌジョール、cm−1):2944,2866,1633,1598,1461,1386,1353,1256,1229,1152,1070,881,803,766,709,681,499cm−1.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ1.15(d,J=8Hz,18H),1.38−1.47(m,3H),7.12(s,1H),7.52(t,J=8Hz,1H),7.61(t,J=8Hz,1H),8.11(d,J=8Hz,1H),8.38(d,J=8Hz,1H),11.95(s,1H).

0069

(合成実施例3)4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル
温度計、攪拌機付の100ml三つ口フラスコに1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル14g(50ミリモル)、トルエン100gの灰色スラリーにトリメチルシリルアセトアミド10g(50ミリモル)を加え、50℃で1時間加熱した。反応終了後、沈殿物を除いた後、トルエン層を濃縮し、4−トリチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルの緑色水飴状物12.6g(36.3ミリモル)を得た。原料の1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルに対する単離収率は72モル%であった。

0070

(1)融点:97−98℃
(2)IR(KBr、cm−1):2940,1676,1378,1344,1219,1185,1160,1142,1076,880,836,793,761,716,685cm−1.
(3)1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ0.39(s,9H),7.20−7.33(m,3H),7.33(s,1H),7.41−7.49(m,1H),7.57(t,J=8Hz,1H),7.68(t,J=8Hz,1H),8.11(d,J=8Hz,1H),8.42(d,J=8Hz,1H),11.40(s,1H).

0071

(評価実施例1)
光カチオン重合性化合物として、脂環式エポキシ(ダイセル社製セロキサイド2021P)100重量部に、光重合開始剤として、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(ビーエーエスエフ社製イルガキュア250)4.0重量部、光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1.0重量部を加え、均一な組成物とした。この組成物をバーコーターを用いてポリエステルフィルムルミラー(膜厚100ミクロン、「ルミラー」は東レ株式会社の登録商標)上に膜厚18ミクロンになるように塗布した。次いで、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて光照射した。照射光の中心波長は365nmで照射強度は35mW/cm2である。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2秒であった。

0072

(評価実施例2)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、合成実施例2で得られた4−トリ(i−プロピル)シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸にすること以外は、評価実施例1と同様にして組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は2秒であった。

0073

(評価実施例3)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに合成実施例3で得られた4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルにすること以外は、評価実施例1と同様にして組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。

0074

評価比較例1)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、9,10−ジブトキシアントラセンにすること以外は、評価実施例1と同様にして組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。

0075

(評価比較例2)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を加えないこと以外は、評価実施例1と同様にして組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。光照射してから200秒経過しても重合しなかった。

0076

(評価実施例4)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度35mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価実施例1と同様にして、組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。

0077

(評価実施例5)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度35mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価実施例2と同様にして、組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。

0078

(評価実施例6)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度35mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価実施例3と同様にして、組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は4秒であった。

0079

(評価比較例3)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度35mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価比較例1と同様にして、組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。

0080

(評価比較例4)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度35mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価比較例2と同様にして、組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してから200秒経過しても重合しなかった。

0081

評価実施例1〜6及び評価比較例1〜4の結果を表1に示す。

0082

0083

評価実施例1〜6と評価比較例1〜4をまとめた表1より、本発明の4−シリルオキシ−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を光重合増感剤として光カチオン重合させた場合、優れた光増感効果を示し、タック・フリー・テストの結果からも、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと同等程度の光増感能を有することがわかる。

0084

(評価実施例7)
光ラジカル重合性化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート100重量部に、光重合開始剤として、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(ビーエーエスエフ社製イルガキュア250)4.0重量部と、合成実施例1で得られた光重合増感剤4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1.0重量部を加え、均一な組成物とした。この組成物をバーコーターを用いてポリエステルフィルムルミラー(膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に膜厚30ミクロンになるように塗布した。その上を膜厚50ミクロンのタックフィルムで覆い、その上から紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて光照射した。照射光の中心波長は365nmで照射強度は20mW/cm2であった。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」0.5秒であった。

0085

(評価実施例8)
光重合増感剤として4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、合成実施例3で得られた4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルに代えること以外は評価実施例7と同様にして組成物を調整し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例7と同様の条件で光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は0.5秒であった。

0086

(評価比較例5)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、9,10−ジブトキシアントラセンにすること以外は、評価実施例7と同様にして組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例7と同様の条件で光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1秒であった。

0087

(評価比較例6)
光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を加えないこと以外は、評価実施例7と同様にして組成物を調製し、次いで光重合性組成物を塗布し、紫外線LED(イワサキ電気製LHPUV365/2501)を用いて評価実施例7と同様の条件で光照射した。光照射してから200秒経過しても重合しなかった。

0088

(評価実施例9)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度20mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価実施例7と同様にして、光重合性組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は1.5秒であった。

0089

(評価実施例10)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度20mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価実施例8と同様にして、光重合性組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は0.5秒であった。

0090

(評価比較例7)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度20mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価比較例5と同様にして、光重合性組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してからべたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は0.5秒であった。

0091

(評価比較例8)
紫外線LEDをイワサキ電気製LHPUV365/2501(中心波長が365nm、照射強度20mW/cm2)からPhoseon社製 FireFly(中心波長が395nm、照射強度50mW/cm2)に変更すること以外は、評価比較例6と同様にして、光重合性組成物を調製し、次いで組成物を塗布し、光照射した。光照射してから200秒経過しても重合しなかった。

0092

評価実施例7〜10及び評価比較例5〜8の結果を表2にまとめた。

0093

0094

評価実施例7〜10及び評価比較例5〜8の結果から、本発明の4−シリルオキシ−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物を光重合増感剤として光ラジカル重合させた場合、優れた光重合増感効果を示し、タック・フリー・テストの結果からも、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと同等程度の光重合増感能を有することがわかる。

0095

(光カチオン重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(評価実施例11)
光カチオン重合性化合物として、脂環式エポキシ(ダイセル社製セロキサイド2021P)100部に対し、光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1部を混合し組成物を調製した。調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が30ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したもの、四日間保管したものを調製し、それぞれ保管後、被せたポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の吸光度を測定したところ、9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.01、四日保管後0.01であった。

0096

(評価実施例12)
4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、合成実施例3で得られた4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルを使用すること以外は評価実施例11と同様に組成物を調製し、ポリエステルフィルム上に塗布し、低密度ポリエチレンフィルムを被せて暗所で保管した。保管後、アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定したところ、9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.02、四日保管後0.02であった。

0097

(評価比較例9)
4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルの代わりに、9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価実施例11と同様に組成物を調製し、ポリエステルフィルム上に塗布し、低密度ポリエチレンフィルムを被せて暗所で保管した。保管後、アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定したところ、一日保管後1.19、四日保管後1.18であった。

0098

(光ラジカル重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(評価実施例13)
光ラジカル重合性化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート100重量部、光重合増感剤として、4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1.0重量部を混合し組成物を調製した。調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が30ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したものと四日間保管したものを調製し、それぞれ保管後、被せたポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い、乾燥した後、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、260nmの吸光度を測定した。得られた1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸の吸光度を測定したところ、9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.03、四日後保管後0.03であった。

0099

(評価実施例14)
4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、合成例3で得られた4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルを使用すること以外は評価実施例13と同様に組成物を調製し、ポリエステルフィルム上に塗布し、低密度ポリエチレンフィルムを被せて暗所で保管した。保管後、アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定したところ、9,10−ジブトキシアントラセン換算した値は、一日保管後0.05、四日保管後0.04であった。

0100

(評価比較例10)
4−トリメチルシリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の代わりに、9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価実施例13と同様に組成物を調製し、ポリエステルフィルム上に塗布し、低密度ポリエチレンフィルムを被せて暗所で保管した。保管後、アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定したところ、一日保管後2.38、四日保管後2.39であった。

0101

評価実施例11〜14及び評価比較例9、10の結果を表3に示す。

0102

0103

以上の評価実施例11〜14及び評価比較例9、10の結果より、次のことが明らかである。すなわち、本発明の光重合増感剤は、ポリエチレンフィルムへの移行度合いが公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンよりも極めて低く、耐マイグレーション性が高いことが分かる。

実施例

0104

以上の結果より、本発明の4−シリルオキシ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸化合物は、光カチオン重合及び光ラジカル重合において、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセン化合物と比較して、同等の光重合増感能を有するだけでなく、耐マイグレーション性も高い優れた化合物であり、光重合増感剤として極めて有用な化合物であることがわかる。

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