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技術 重水素の簡易製造用触媒および該触媒を用いた重水素の簡易製法

出願人 群馬県桐生瓦斯株式会社
発明者 鈴木崇高橋仁恵恩田紘樹木村光槇孝雄道前嘉三村上恵理高橋健人
出願日 2016年6月22日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-123289
公開日 2017年1月12日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-007935
状態 特許登録済
技術分野 水素、水、水素化物 触媒
主要キーワード レデューシング 異径継手 水素リザーバ 真空ライン内 オルト水素 接手管 真空ヘッド 反応基材
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重要な関連分野

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図面 (10)

課題

特に、固体触媒上で重水素気体反応基材と、を循環接触させ重水素化または重水素交換反応を行うために適した、少量の重水素(D2)を重水水素(H2)から短時間で、かつ製造するための簡便な技術を提供しようとするものである。

解決手段

重水の蒸気(D2O(g))と水素(H2(g))とを、水素分圧重水蒸気分圧比が4.0以上14.0以下で、固体触媒に循環接触させる重水素の簡易製造方法。無機酸化物担体としてアルミナ、又はホウ素をドープしたアルミナ及びこれらの混合物を用い、ニッケル或いはコバルト又は、酸化モリブデン或いは酸化タングステンの内の夫々1種類以上金属又は金属酸化物を前記無機酸化物担体上に担持して固体触媒として用いる重水素の簡易製造方法。

概要

背景

試験研究用の重水素の必要性)
重水素(D2)は、水素軽水素(H2))のほぼ2倍の質量を持ち、質量分析法などの手段で検知することが容易であるほか、1H−NMRには感度を示さないため重水素の置換位置などを容易に知ることが出来る。また、放射性を持たない安定同位体であるため、取扱いに際して特別な施設や技術を必要としない特徴を有している。このように水素が関係する化学反応を理解する上で、重水素は優れた標識同位体トレーサー)である。

重水素は中性子を1つ多く有する水素であるため、化学的性質に関しては軽水素と基本的に同じでありながら、ほぼ2倍の質量を持つため反応速度が遅くなる。この特徴(同位体効果)を生かして動力学的な反応機作の考察にも大変有用な物質である。また、近年では薬剤設計においてプロトン(H)の一部または全てをデューテリウム(D)に置換し同位体効果を利用して代謝速度を制御する可能性も考えられることから、上述の化学反応機作の理解など理工学分野だけでなく、薬剤設計の多様化など医薬品分野での期待も大きくなるものと思われる。

小規模な重水素製造の重要性
ある程度のまとまった量の重水素は、GS(Girdler−Spevack)法などにより水(軽水)から重水素分を化1の反応を繰り返すことによって濃縮して得た重水電気分解して得られており、大掛かりなプラントが必要である。また、重水素は、海外からの輸入に大きく依存していることもあり、価格が高く利用しにくい側面を有している。化学反応機構を考えるためのトレーサーとしての用途を考えた場合の重水素量は少量で良く、D濃度(Deuterium concentration)に関しても80%以上有していれば供することが可能と考えられる。このように、重水から簡便に少量の重水素を製造するための技術が重要になってくる。

(化1)
H2O+ HDS → HDO+ H2S

(これまでの技術)
小規模の重水素製造技術に関しては、2〜15気圧もの加圧下で重水と水素(H2)をパラジウム等の触媒に接触させる方法(特許文献1)、および重水中パラジウム系触媒を分散せしめ常温、常圧で反応させる試み(非特許文献1)などが知られる。加圧雰囲気での水素のハンドリングには相当な熟練と安全への配慮が必要であり、重水中にパラジウム系触媒を分散せしめた反応系では十〜数十時間におよぶ反応時間を要する(非特許文献1)。

概要

特に、固体触媒上で重水素と気体反応基材と、を循環接触させ重水素化または重水素交換反応を行うために適した、少量の重水素(D2)を重水と水素(H2)から短時間で、かつ製造するための簡便な技術を提供しようとするものである。重水の蒸気(D2O(g))と水素(H2(g))とを、水素分圧重水蒸気分圧比が4.0以上14.0以下で、固体触媒に循環接触させる重水素の簡易製造方法。無機酸化物担体としてアルミナ、又はホウ素をドープしたアルミナ及びこれらの混合物を用い、ニッケル或いはコバルト又は、酸化モリブデン或いは酸化タングステンの内の夫々1種類以上金属又は金属酸化物を前記無機酸化物担体上に担持して固体触媒として用いる重水素の簡易製造方法。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

重水蒸気(D2O(g))と水素(H2(g))とを、水素分圧重水蒸気分圧比が4.0以上14.0以下で、固体触媒循環接触させることを特徴とする重水素簡易製造方法

請求項2

上流側から重水リザーバーチラー固定床反応器、および循環ポンプの順に配置され、重水リザーバー温度が30℃以上50℃以下、チラー温度が20℃以上25℃以下、および固体触媒の温度が28℃以上60℃以下であることを特徴とする請求項1記載の重水素の簡易製造方法

請求項3

上流側から重水リザーバー、チラー、固定床反応器、および循環ポンプの順に配置され、重水リザーバー温度が30℃以上50℃以下、チラー温度が20℃以上25℃以下、および固体触媒の温度が300℃以上505℃以下であることを特徴とする請求項1記載の重水素の簡易製造方法

請求項4

ニッケルコバルトの内、1種以上の金属を無機酸化物担体担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項2記載の重水素の簡易製造方法

請求項5

酸化モリブデン酸化タングステンの内、1種以上の金属酸化物を無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項6

銅を無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項7

クロムを無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項8

請求項4記載の無機酸化物担体がアルミナホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項2記載の重水素の簡易製造方法

請求項9

請求項5記載の無機酸化物担体がアルミナ、ホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項10

請求項4記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項2記載の重水素の簡易製造方法

請求項11

請求項5記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項12

請求項6、および請求項7記載の無機酸化物担体がアルミナ、ホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

請求項13

請求項6、および請求項7記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする請求項1、および請求項3記載の重水素の簡易製造方法

技術分野

0001

本発明は試験研究用の重水素化化合物の製造、および固体触媒の特性を明らかにするための水素重水素交換反応試験同位体効果の検討などに資する重水素簡易製造用触媒、および該触媒を用いた重水素の簡易製法に関する。

背景技術

0002

(試験研究用の重水素の必要性)
重水素(D2)は、水素(軽水素(H2))のほぼ2倍の質量を持ち、質量分析法などの手段で検知することが容易であるほか、1H−NMRには感度を示さないため重水素の置換位置などを容易に知ることが出来る。また、放射性を持たない安定同位体であるため、取扱いに際して特別な施設や技術を必要としない特徴を有している。このように水素が関係する化学反応を理解する上で、重水素は優れた標識同位体トレーサー)である。

0003

重水素は中性子を1つ多く有する水素であるため、化学的性質に関しては軽水素と基本的に同じでありながら、ほぼ2倍の質量を持つため反応速度が遅くなる。この特徴(同位体効果)を生かして動力学的な反応機作の考察にも大変有用な物質である。また、近年では薬剤設計においてプロトン(H)の一部または全てをデューテリウム(D)に置換し同位体効果を利用して代謝速度を制御する可能性も考えられることから、上述の化学反応機作の理解など理工学分野だけでなく、薬剤設計の多様化など医薬品分野での期待も大きくなるものと思われる。

0004

小規模な重水素製造の重要性
ある程度のまとまった量の重水素は、GS(Girdler−Spevack)法などにより水(軽水)から重水素分を化1の反応を繰り返すことによって濃縮して得た重水電気分解して得られており、大掛かりなプラントが必要である。また、重水素は、海外からの輸入に大きく依存していることもあり、価格が高く利用しにくい側面を有している。化学反応機構を考えるためのトレーサーとしての用途を考えた場合の重水素量は少量で良く、D濃度(Deuterium concentration)に関しても80%以上有していれば供することが可能と考えられる。このように、重水から簡便に少量の重水素を製造するための技術が重要になってくる。

0005

(化1)
H2O+ HDS → HDO+ H2S

0006

(これまでの技術)
小規模の重水素製造技術に関しては、2〜15気圧もの加圧下で重水と水素(H2)をパラジウム等の触媒に接触させる方法(特許文献1)、および重水中パラジウム系触媒を分散せしめ常温、常圧で反応させる試み(非特許文献1)などが知られる。加圧雰囲気での水素のハンドリングには相当な熟練と安全への配慮が必要であり、重水中にパラジウム系触媒を分散せしめた反応系では十〜数十時間におよぶ反応時間を要する(非特許文献1)。

0007

公表特許 WO2006/080202号公報

0008

有機合成化学協会誌、65巻、12号、1179〜1190頁(2007)

先行技術

0009

このように、現状の重水素製造技術においても、高い操作圧力または長い製造時間、および高価な貴金属触媒の使用など重水素の利用に関し安全かつ簡便性が充分に達成されているとは言い切れない状況である。よって、重水素製造技術、とりわけ製造量が小規模な場合には、圧力の低減化、製造時間の短縮化、触媒コストの低廉化が極めて重要であり、これらの課題を解決し安全かつ取扱いに優れる新しい重水素の簡便な製造技術の提供が強く望まれる。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、特に、固体触媒上で重水素と気体反応基材と、を循環接触させ重水素化または重水素交換反応を行うために適した、少量の重水素(D2)を重水と水素(H2)から短時間で、かつ製造するための簡便な技術を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0011

このような状況に鑑みて発明者らが、研究開発を鋭意遂行した結果、(1):重水の蒸気(D2O(g))と水素(H2(g))とを、水素分圧重水蒸気分圧比が4.0以上14.0以下で、固体触媒に循環接触させることを特徴とする重水素の簡易製造方法であり、(2):上流側から重水リザーバーチラー固定床反応器、および循環ポンプの順に配置され、重水リザーバー温度が30℃以上50℃以下、チラー温度が20℃以上25℃以下、および固体触媒の温度が28℃以上60℃以下であることを特徴とする(1)記載の重水素の簡易製造方法であり、(3):上流側から重水リザーバー、チラー、固定床反応器、および循環ポンプの順に配置され、重水リザーバー温度が30℃以上50℃以下、チラー温度が20℃以上25℃以下、および固体触媒の温度が300℃以上505℃以下であることを特徴とする(1)記載の重水素の簡易製造方法であり、(4):ニッケルコバルトの内、1種以上の金属を無機酸化物担体担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(2)記載の重水素の簡易製造方法であり、(5):酸化モリブデン酸化タングステンの内、1種以上の金属酸化物を無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする(1)、(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(6):銅を無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(7):クロムを無機酸化物担体に担持せしめた固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(8):(4)記載の無機酸化物担体がアルミナホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(2)記載の重水素の簡易製造方法であり、(9):(5)記載の無機酸化物担体がアルミナ、ホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(10):(4)記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(2)記載の重水素の簡易製造方法であり、(11):(5)記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(12):(6)、および(7)記載の無機酸化物担体がアルミナ、ホウ素分をドープしたアルミナか、これらの混合物であることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法であり、(13):(6)、および(7)記載の無機酸化物担体がシリカ、ホウ素分をドープしたシリカ、およびリン分をドープしたシリカの内から選択される少なくとも1種以上からなることを特徴とする固体触媒を使用することを特徴とする(1)、および(3)記載の重水素の簡易製造方法を見出し、発明を完成するに至った。

発明の効果

0012

本発明によると、重水蒸気(D2O(g))と軽水素(H2(g))の混合気体をニッケル、コバルト、酸化モリブデン、および酸化タングステンを活性成分として含む固体触媒に接触させることによって、長くても反応時間が5時間以内でD濃度80%以上の重水素(D2(g))を簡便に製造することができる。そのため、化学反応機作の理解を進める上で、デューテリウム置換された医薬品などの開発のために、少量の重水素化物合成のために、など少量の重水素が簡便に必要とされる分野において大いに貢献することができる。

0013

以下に本発明について開示する。これは、本発明の実施態様を詳細に説明するためのものであり、発明の範囲を限定的に捉えることを目的としていない。

0014

(重水素の簡易製法に資する製造装置の構成概要運転操作
図1に示すように、重水素製造装置は上流側から油回転真空ポンプ101、拡散ポンプ102、および電離真空計103の順に備えてなる真空ライン1Aが真空バルブV1、および真空バルブV3Aを介して接続されている水素(H2)・重水素(D2)ライン1Bに設置された真空バルブV12H、および真空バルブV12Dに接続された水素リザーバー、および重水素リザーバー、真空ライン1Aの真空バルブV1の下流に設置された真空バルブV2の下流側にある破線で囲まれた循環反応系Cと、真空ライン1Aから分岐した配管に設置された真空バルブV8を含む下流側にある破線で囲まれたサンプリング系Sから構成される。それぞれ破線で囲んである循環反応系C、およびサンプリング系Sについて、以下において詳細に説明する。

0015

真空ライン内の圧力)
真空ライン1Aにおいて電離真空計103で計測される該ライン内の圧力に関しては、固体触媒の排気ガス排気などの操作時以外の圧力は1×10−5torr以下が好ましく、8×10−6torr以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、装置コスト面を案すると実質的には8×10−6torrが下限と考えて良い。なお、1torrは133.3Paに相当する。

0016

(重水素製造装置の要部、循環反応系の詳細)
(系内圧力の計測)
図1に破線で囲まれた循環反応系Cには触媒処理時の系内圧力を計測するためのピラニ真空計測装置に接続されたピラニ真空ヘッド4が真空バルブV11を介して設置されている。系内圧力が100Paを超えるような操作時、例えば、触媒を水素存在下で活性化する際、および重水素製造を行っている間など、には真空バルブV11は閉じられ真空ヘッド4は保護される。100Paを超えるような操作時の系内圧力は循環系に設置された真空バルブV3Bを介して取り付けられているマノメーター6を用いる。この時、水素・重水素ライン1Bの末端部に真空バルブV3Cを介して取り付けられているマノメーターを真空バルブV1、真空バルブV3Aを開放することした時の読取値を参照とし、これとの差圧を読み取ることで系内圧力を正確に知ることができる。

0017

ガス循環
循環反応系には系内ガス強制的に循環させ、固体触媒との接触効率を高めるために二弁ガス循環ポンプ5が設置されている。ガスは太い矢印で示したように、系内を循環させることができる。触媒床から見て上流側から重水リザーバー12、およびチラー9が設置され、固定床反応器7の後段に循環ポンプ5が配置される順序になっている。

0018

(重水リザーバー)
重水リザーバー12は加温・温度調節機能ウォーターバス13内の温水14により一定温度に保たれる。温水14は温度30℃以上50℃以下に制御されることが好ましく、より好ましくは35℃以上50℃以下、最も好ましくは35℃以上40℃以下での制御が良い。この範囲未満では、重水蒸気量が不充分になる傾向が、逆にこの範囲を超過すると重水蒸気量が過多になり循環系内に重水素が凝縮し、ガスの通気を妨げる可能性が高くなるため好ましくない。

0019

(重水リザーバーのバルブ操作
重水リザーバー12には真空バルブV6B、および真空バルブV6Cが設けられており、触媒の活性化処理時など重水ガス(D2O(g))を系内に導入しない時にはこれらのバルブを閉じ、循環系の真空バルブV6Aを開く。これとは反対に、D2O(g)を系内に導入する際には真空バルブV6Aを閉じ、真空バルブV6B、および真空バルブV6Cを開ければ良い。

0020

(重水リザーバーの詳細)
図2には重水リザーバー12の詳細図面を示す。重水リザーバー12は温水14に浸されている。温水14は加温・温度調節機能付ウォーターバス13で上述の好適温度範囲内に保たれている。温度の計測と制御には重水リザーバー12に近接した熱電対121が用いられる。重水122はリザーバー内の底部に注入されており、好適な温度で気化された重水ガス(D2O(g))が循環系内に供給される。

0021

重水リザーバー12の内容積は100cm3以上200cm3以下が好ましく、120cm3以上180cm3以下がより好ましく、120cm3以上150cm3以下が最も好ましい。この範囲未満では重水供給時間が不充分になる傾向が懸念され、この範囲を超過すると系内容積が過多になり過ぎ技術的な優位性希薄になる傾向が懸念される。重水リザーバー12の上部から矢印で示すように循環ガスが入って来るが、内部は凹凸のある形状の管が設置されることが熱交換の効率化の観点から望ましい。凹凸のある形状の管に代えてスパイラル状の管を用いることも有効である。

0022

(重水リザーバーの出口側に設置されるべき保温措置
重水リザーバー12のガス出口側(下流側)において(図2参照)、温水面よりも20mm以上離れた部位(波線で示した部位)には保温用ジャケットまたは、温度調節機能付リボンヒーター123を設置し、D2O(g)の凝縮を極力抑制するための保温措置を講ずることが望ましい。保温用ジャケット123としてはガラスウール石英ウール、およびシリカ−アルミナウールなど綿状無機素材を好ましく用いることができる。なお、温水面よりも20mm以上離す理由は、温水から発生する水蒸気が凝縮し、気化に伴う温度低下を抑制するためである。温度調節機能付リボンヒーターが使用できる環境にある場合には、保温用ジャケットに代えて好ましく使用することができる。後述のように、本発明の方法によれば重水素ガス(D2(g))を長くとも5時間以内に得られるため、保温用ジャケット123の使用によって充分な保温機能が得られる。

0023

(チラー)
図1に示したように、チラー9は、重水リザーバー12の下流に、固定床反応器7の上流に配置される。チラー9に使用される冷水11は、デュワービン(Dewar Flask)10に入れられ、重水製造反応中に20℃以上25℃以下に保たれる。重水リザーバー12で温水によって加温され、保温措置を講じられてチラー9に導入される。チラー9の上部には入口側(上流側)と出口側(下流側)にそれぞれ真空バルブV5C、および真空バルブV5Bが設けられており、触媒の活性化処理時など重水素製造反応を行わないときなどには、これらのバルブを閉じ、真空バルブV5Aを開ける。

0024

チラー9が20℃以上25℃以下に保たれる理由は、充分加温して得られたD2O(g)の一部をチラー9内で凝縮させることによって、固定床反応器7に導かれるD2O(g)の分圧を一定に保ち、触媒への時間当たりの接触分子数原料比(H2(g)/D2O(g))を出来るだけ一定にする役割を持つ。チラー9を省略するとD2O(g)の分圧が変動し、重水素製造時の原料比(H2(g)/D2O(g))などが一定せず重水濃度が製造毎に異なるなどの不具合、および、反応時間を延長しなければならないことなどに伴い生産性の低下が起こる虞が高くなる。よって、固定床反応器7の前段には、上流側から重水リザーバー12、チラー9の順序に配置することが必須である。

0025

(チラーの詳細)
チラー9の詳細図面を図3に示す。チラー9はスパイラルチューブ状になっている。入口部は図2の重水リザーバー12で加温され保温措置が講じられたD2O(g)が入って来る。このため、入口部には波線で示す保温用ジャケットまたは、温度調節機能付リボンヒーター123が設置されている。チラー9はデュワービン10に入れられた20℃以上25℃以下の冷水に浸されており、温度計91で温度を確認する。スパイラル状のチューブにすることにより壁面積が拡大し、矢印で示す所から加温されてチラー9に入って来るD2O(g)を安定して凝縮することができる。これによって、チラー9後段に位置する固定床反応器7に供給される原料比(H2(g)/D2O(g))などを一定にさせることが出来る。

0026

固定床触媒
図1に示したようにチラー9の後段に固定床反応器7が設置される。この反応器内では化2の反応が気−固不均一触媒反応によって進行する。リアクターはU字型であり、電気炉8により加熱できるようになっている。固定床では直管型が一般的であるが、本発明ではU字型が用いられる。この理由は電気炉の着脱を容易にし、任意の温度に素早く設定できる利点を考えてのことである。

0027

(化2)
H2(g) + D2O(g) → D2(g) + H2O(g)

0028

図4には、固定床触媒の詳細な配置図を示す。固定床反応器7は温度調節機能が付いた電気炉8内に設置される。固定床反応器7のさらなる詳細図は図4の破線で囲んだ部分に示すよう、U字形のリアクターに固定床74とそれに載せられた固体触媒73からなる固定床触媒があり、熱電対ジャケット72が固体触媒73の上面に接するように配置される。熱電対ジャケット72内には熱電対71が配置され、この温度を基に温度調節機能が付いた電気炉8の出力が調節される。熱電対ジャケット72はボアード・スルー(bored through)構造のレデューシングユニオン異径継手)75を介して反応系内に挿入され外界と隔てられている。なお、レデューシングユニオン部のフェルールにはフルオロエチレン系のポリマーを用いた。

0029

(重水素製造装置の要部、サンプリング系の詳細)
図1に破線で囲まれたサンプリング系Sは真空バルブV7を介して循環反応系Cに接続されており、真空バルブV7には楕円形で示したサンプリングリザーバー17が接続されている。サンプリングリザーバー17は真空バルブV8を介して真空ライン1Aに、真空バルブV9を介してガス採取管への配管に接続されている。

0030

サンプリング系S内の気体を採取する際には、ガス採取管15の真空バルブV10を開いてジョイントに取り付け、真空バルブV7を閉じた状態で真空バルブV8を開けサンプリングリザーバー17内とガス採取管15内を十分減圧し、真空バルブV8、真空バルブV9、および真空バルブV10を閉じたのち、真空バルブV7を開け、サンプリング系Sの気体の一部が差圧を利用して採取される。次いで真空バルブV7を閉じ真空バルブV9、およびV10を開けることによって循環反応系C内の気体をガス採取管15に確実に採取できる。採取されたガスは、四重極質量分析計、および熱伝導度ガスクロマトグラフなどにより好ましく分析することができる。

0031

(ガス採取管の好ましい形状)
ガス採取管15は図5に示すような形状をしており、底部は球状が好ましい。この理由は、分析計内に水蒸気、重水蒸気などを過度に導入しないために液体窒素で満たしたデュワービンで底部を徐々に冷却するのに適するからである。なお、ガス採取管とサンプリング系Sとの接合部は共通摺合せの接手管151によって気密性が保たれる。内容積は、循環反応系Cの体積によっても異なるが20cm3以上50cm3以下が好ましい。

0032

(重水素の簡易製法に用いる固体触媒)
本発明の固体触媒は化2に示した反応を促進するために用いられる。活性成分としてはニッケル、コバルト、モリブデンタングステンルテニウム、パラジウム、ロジウム、銅、クロム、および白金を好ましく使用することができ、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、クロム、およびルテニウムをより好ましく使用することができ、ニッケル、コバルト、タングステン、銅、クロム、およびモリブデンをさらに好ましく使用することができ、ニッケル、銅、クロム、およびモリブデンから成る群から選ばれる1種以上の活性成分を最も好ましく使用することができる。

0033

触媒担体
上述の活性成分は担体上に担持された担体付の固体触媒にすることで化1に示す性能を発揮する。担体成分としてはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニアジルコニア、および二酸化マンガンなどが好ましく、シリカ、およびアルミナがより好ましい。なお、シリカ、およびアルミナを含有する担体にはホウ素分を添加することができる。また、シリカを含有する担体に関しては、リン分を添加することも好ましい。ホウ素分を添加したシリカ含有担体と、リン分を添加したシリカ含有担体と、を混合して用いても良い。これにより、反応中の触媒活性が安定して推移させることが可能になる。なお、担体成分には離型剤、および多孔質性調整剤など、これ以外の成分を含むことは妨げない。

0034

担体の主な役割は、化2の反応中における活性点化学状態分散状態の保持などの補助的な効果、比表面積の確保、流通反応系内での通気性の確保、および触媒の活性化処理時におけるヒートショックックによる触媒の亀裂、および粉化などの抑制である。比表面積が高い無機材料として炭素材料が知られるが、調製方法に後述するように触媒調製段階でのハンドリングが難しくコストが嵩むなどの観点から好ましくない。

0035

(担体への添加成分:ホウ素分)
担体に含まれるホウ素分は触媒重量基準ホウ素(B)換算で0.5重量%以上5重量%以下が好ましく、1重量%以上4重量%以下がより好ましく、1.5重量%以上3重量%以下が最も好ましい。この範囲未満ではD2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞が、この範囲を超過しても添加効果の増加が期待されにくくなり不経済になる。

0036

(担体への添加成分:リン分)
担体に含まれるリン分に関しては、触媒重量基準、リン(P)換算で0.5重量%以上5重量%が好ましく、1重量%以上4重量%以下がより好ましく、1.5重量%以上3重量%以下が最も好ましい。なお、担体にはホウ素分、およびリン分の何れか1種を含んでいても良いし、両者を含んでいても良い。両者を含む場合、ホウ素分とリン分の合計は6重量%以下になることが好ましい。

0037

(好適な活性成分の組成(担持量)):ニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、および白金)
本発明における重水素の簡易製法に好適な固体触媒の化学組成に関し、ニッケル、およびコバルトでは触媒重量基準、金属換算で8重量%以上25重量%以下が好ましく、8重量%以上20重量%以下がより好ましく、9重量%以上20重量%以下がさらに好ましく、10重量%以上18重量%以下が最も好ましい。ルテニウム、パラジウム、ロジウム、および白金では、触媒重量基準、金属換算で0.5重量%以上5重量%以下が好ましく、0.5重量%以上3重量%以下がより好ましく1重量%以上2重量%以下が最も好ましい。

0038

(好適な活性成分の組成(担持量)):モリブデン、およびタングステン)
モリブデン、およびタングステンでは、触媒重量基準、金属酸化物換算で4重量%以上10重量%以下が好ましく5重量%以上10重量%以下がより好ましく、5重量%以上8重量%以下が最も好ましい。この範囲未満では、D2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞が、逆にこの範囲を超えた場合には該交換反応活性の向上効果飽和し技術的意味が希薄になるため好ましくない。

0039

(好適な活性成分の組成(担持量)):銅
銅に関しては、触媒重量基準、金属換算で0.1重量%以上30重量%以下が好ましく、0.3重量%以上20重量%以下がより好ましく、0.5重量%以上10重量%以下がさらに好ましく、0.5重量%以上5重量%以下が最も好ましい。この範囲未満では、D2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞が、逆にこの範囲を超えた場合には該交換反応活性の向上効果が飽和し技術的意味が希薄になるため好ましくない。

0040

(好適な活性成分の組成(担持量)):クロム
クロムに関しては、触媒重量基準、金属換算で3重量%以上20重量%以下が好ましく、5重量%以上18重量%以下がより好ましく、5重量%以上15重量%以下がさらに好ましく、5重量%以上10重量%以下が最も好ましい。この範囲未満では、D2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞が、逆にこの範囲を超えた場合には該交換反応活性の向上効果が飽和し技術的意味が希薄になるため好ましくない。

0041

(担体へのホウ素分の添加方法
調製法には含浸法、incipient wetness法、および混練法など様々な方法を好ましく用いることができる。以下に水溶液を用いた含浸法による調製例を示す。500℃以上550℃以下で少なくとも3時間空気中焼成された担体を冷却し、純水を滴下して飽和吸水量(ADW(ml/g−support))を求める。次にホウ素出発原料である四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7・10H2O)またはホウ酸(H3BO3)水溶液を室温で担体にADWを勘案して含浸させる。これを、脱水後、500℃以上550℃以下で少なくとも3時間空気中で焼成しホウ素分含有担体を調製する。活性成分はこのホウ素分含有担体に担持される。焼成したホウ素分含有担体に上述と同様にADWを求める。これに活性成分金属塩などの溶液はADWを勘案して含浸され、脱水後、500℃以上550℃以下で少なくとも3時間空気中で焼成し触媒前駆体を得る。このように、空気中で焼成することは、担体成分の変質を抑制する狙いがあり、炭素担体などでは可燃物であるためこのような安定化を考えた焼成処理不活性ガス中で行うなど取扱が困難になる。

0042

(担体へのリン分の添加方法)
上述のホウ素分に代えてリン分を添加することも好ましい。リン分の出発原料としては、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、およびリン酸水素二カリウム(K2HPO4)が好ましく、リン酸水素アンモニウム、およびリン酸水素二カリウムがより好ましい。なお、リン分の出発原料については含浸法、incipient wetness法、および混練法など様々な公知方法を好ましく採用できる。

0043

(好適な活性成分の出発物質
ニッケル、およびコバルトの金属塩としては硝酸塩酢酸塩硫酸塩などを好ましく使用でき、硝酸塩、および酢酸塩がより好ましい。モリブデン、およびタングステンにはモリブデン酸アンモニウムケイモリブデン酸塩、タングステン酸アンモニウム、およびケイタングステン酸塩などを好ましく使用でき、モリブデン酸アンモニウム、およびタングステン酸アンモニウムがより好ましい。ルテニウムには塩化ルテニウム水和物などを好ましく使用できる。パラジウム、およびロジウムには塩化物が好ましく、白金には塩化白金酸水和物が好ましい。銅の金属塩としては硝酸塩、酢酸塩、および硫酸塩などを好ましく使用でき、硝酸塩、および酢酸塩がより好ましい。クロムの金属塩としては硝酸塩が好ましい。

0044

活性成分の内、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、およびクロムに関しては、出発物質は含浸法、incipient wetness法、および混練法などの様々な公知方法を好ましく採用でき、その中では含浸法、およびincipient wetness法がより好ましい。活性成分の内、銅に関しては、含浸法、およびincipient wetness法が好ましく採用でき、中でもincipient wetness法がより好ましい。

0045

含浸液
活性成分を担持する際、含浸法、およびincipient wetness法による場合の浸漬液(含浸液)には水溶液が好ましい。活性成分の出発物質を純水やイオン交換水など出来るだけ不純物を含まない水に溶解させ担体に担持すればよい。この際に、水溶液にアルコール類ケトン類アルデヒド類、および脂肪酸類など水溶性有機化合物硝酸、および塩酸などの鉱酸を含ませることが出来る。これは、有機化合物の添加による脱水工程の短縮効果が、また有機化合物、および鉱酸の添加によって担持される活性金属担体内部(深さ方向)の分散性改良効果(depth profileの改善)が、期待できるためである。

0046

(好適なADWに関するファクター
上述のADWにより含浸液量を勘案する際には、数1におけるファクター(f)が0.75以上1.2以下にするのが好ましく、0.85以上1.1以下にするのがより好ましく、0.90以上1.0以下にするのが最も好ましい。

0047

(数1)
含浸液量=f×ADW

0048

(触媒の形状)
触媒の形状としては、球体状粉体状、紡錘状顆粒状、破砕状円柱状、中空円柱状角柱状、四葉状、およびハニカム状など様々な形状を好ましく採用でき、球体状、粉体状、顆粒状、破砕状、および円柱状より好ましく採用できる。これは、このような形状の担体を使用しても良いし、例えば、粉状の触媒を後成形して使用することでも良い。

0049

反応条件
全圧
反応時における図1の循環反応系Cの内圧(全圧)は100torr以上600torr以下が好ましく、100torr以上350torr以下がより好ましく、120torr以上250torr以下が最も好ましい。これ未満では、重水素製造効率が低くなる傾向が、超過した場合には図1の循環ポンプ5への負荷が高くなる傾向が見られ好ましくない。

0050

(H2/D2Oモル比
本発明の重水素の簡易製法において、H2/D2Oモル比は4.0以上14.0以下が好ましく、4.0以上10.0以下がより好ましくは5.0以上8.0以下が最も好ましい。これ未満では、不経済になる傾向が高くなり、逆にこれを超過するとD濃度の増加が緩慢になるか、製造時間が延長され、製造効率の観点から好ましくない。なお、本発明における重水(D2O)蒸気、重水ベーパーとはガス状(気体)のD2O(D2O(g))を指し、液滴が分散している所謂、霧状、噴霧状、およびミスト状のことではない。

0051

反応温度
(活性金属がニッケル、コバルト、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、および白金の場合)
固体触媒の温度、すなわち、反応温度は28℃以上60℃以下が好ましく、30℃以上60℃以下がより好ましく、35℃以上55℃以下がさらに好ましく、40℃以上55℃以下が最も好ましい。本範囲未満ではD2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞があり、本範囲を超過した場合は重水素の簡易製造時間の短縮効果が飽和する傾向がみられ、技術的な意義が希薄になる。

0052

(活性金属がモリブデン、タングステン、クロム、および銅の場合)
固体触媒の温度、すなわち、反応温度は300℃以上505℃以下が好ましく、320℃以上450℃以下がより好ましく、330℃以上400℃以下がさらに好ましく、330℃以上380℃以下が最も好ましい。本範囲未満ではD2O(g)とH2(g)との交換反応活性が不充分になる虞があり、本範囲を超過した場合には製造装置の材質高温型にする必要が生ずるなどするため好ましくない。

0053

(水素のD濃度)
これまで詳細に説明してきた本発明によると、化2の反応により反応後5時間以内に反応系内における水素のD濃度は80%以上に至らしめることが出来る。なお、D濃度(Deuterium concentration)は重水(D2O)のDと水素(H2)のHが交換した程度を定量的に示す尺度である。仮に気相中の水素が全てD2になった場合のD濃度は100%になる。

0054

(H2、HD、およびD2の分析)
質量分析計による分析)
反応系内の気相中のH2、HD、およびD2の分析には質量分析計またはガスクロマトグラフを好ましく用いることができる。質量分析計には四重極質量分析計(q−mass)など汎用分析計を好ましく使用できるが、試料導入時に反応時に生じたH2O、HDO、およびD2Oによるm/e=2、m/e=3、およびm/e=4の位置へのフラグメンテーションを極力防ぐため、質量分析計へのガス導入にガス採取管15の球状の底部を液体窒素で急冷してこれらをトラップしながら、気相を四重極質量分析計内に導入することが望ましい。

0055

ガスクロマトグラフィーでの分析)
ガスクロマトグラフを用いる場合には、ステンレス鋼カラム活性アルミナ充填したカラムを用い、200〜280℃で少なくとも8時間以上エージングする。このカラムを液体窒素で満たされたデュワー瓶漬け熱伝導度型検出器ブリッジ電流は120mA以上とし、ヘリウムキャリヤーとする。なお、ヘリウムには純度99.99995%以上(グレード1(G1))を用いるべきである。キャリヤーガス流量は約50ml/minが好ましい。この場合、特に水素(H2)に関しては、核スピンの方向が異なるオルト水素(o−H2)とパラ水素(p−H2)が検出されることがあるため、保持時間が長いo−H2とHDとのピーク重複に留意しながら分析することが重要である。

0056

以下に実施例を示し、本発明の技術内容を詳細に説明するが、発明の内容を説明するための例示であり、発明の内容を限定して捉えることを目的としていない。

0057

(触媒前駆体1の調製)
予め500℃で3時間焼成したシリカ(SiO2、製品シリカゲル60、Merck社製)17.7gを精した。純水を滴下して求めたADWは1.2ml/g−supportだった。四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na2B4O7・10H2O、関東化学株式会社製)2.65gに純水を加えて20mlとしこの全量を前出の担体に含浸せしめ(ADWに関するファクター(f)=0.94)、ロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分を除去した。これを、磁製坩堝に移しマッフル炉で3時間、温度500℃で焼成しホウ素分含有シリカ(B−SiO2−1)担体を得た。

0058

B−SiO2−1担体のADWは1ml/g−supportだった。硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO3)2・6H2O、和光純薬工業社製)7.43gに純水を加えて13.5mlとし、この全量を13.5gのB−SiO2担体に含浸させた(f=1.00)。得られたスラリーはロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分除去し、同様にマッフル炉で3時間、温度500℃で焼成し触媒重量基準金属換算でニッケル分10wt.%、ホウ素分1.5wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒前駆体1を得た。

0059

(触媒と重水の充填)
触媒前駆体1の1.0gを図4に示す固定床反応器7に充填しレデューシングユニオン75を緩め熱電対ジャケット72が触媒床上面に接触するよう調節した。次に図2の体積150cm3の重水リザーバー12にシリンジを用いて重水(D2O、D濃度99.9%、Cambridge Isotope Laboratories社製)2.5mlを注入した。固定床反応器7、および重水リザーバー12を図1の循環反応系Cに取付けた。

0060

(重水の脱気
図1ロータリー真空ポンプ101を始動後、油拡散ポンプ102を動作させ、真空バルブV1、真空バルブV3A、真空バルブV12H、真空バルブV12D、および真空バルブV3Cを開放する。なお、サンプリング系を排気するための真空バルブV8は閉じておく。油拡散ポンプ102が充分動作してからさらに30分以上経過したのち電離真空計ヘッド103の出力から真空ライン1A内圧が1×10−5torr以下であることが確認されたら、真空バルブV12H、真空バルブV12D、および真空バルブV3Aを閉じ、真空バルブV2を開け循環反応系C内を排気して清浄した。この際には重水リザーバー12、チラー9、および固定床反応器7につながる真空バルブV6B、真空バルブV6C、真空バルブV5B、真空バルブV5C、真空バルブV4B、真空バルブV4C、および真空バルブV7は閉じられ、真空バルブV6A、V5A、およびV4Aは開放された。電離真空計のエミッションを停止後、重水リザーバー12に接続される真空バルブV6B、および真空バルブV6Cをゆっくり開放した。

0061

重水リザーバー内が減圧されてくると、D2Oの沸騰が始まる。この際に、加温・温度調節機能付ウォーターバス13を取外し、液体窒素で満たしたデュワービンを用いて、重水リザーバー12の底部に液体窒素上面を僅かに接触させ、該底部からゆっくり凍結させ、デュワービンを次第に上方にずらしながら次第にD2Oを上方に向けて凍結させた。本工程はD2Oを重水リザーバー12の底部からゆっくり凍結させながら真空排気して、D2Oに溶存しているガス成分を効率的に脱ガス(degassing)させる効果が高いと考えられる。このように、充分脱ガスを終えたのちに、重水リザーバー12に接続される真空バルブV6B、および真空バルブV6Cを閉じ、加温・温度調節機能付ウォーターバス13を取付けた。

0062

(固体触媒)
(加熱真空排気(1))
既に固定床反応器7に充填された1.0gの触媒前駆体を、加熱真空排気、水素還元、さらに加熱真空排気を行って活性化した。まず、真空バルブV4Cをゆっくり開放し、次いで、V4Bをゆっくり開放した。真空バルブV11を開放し循環反応系C内圧力が10−3torr台になったことをピラニ真空計ヘッド4により確認後、電気炉8に通電固体触媒床が450℃になるまで加熱し、同温度で保持した。この際、系内圧力は触媒から水蒸気、空気、その他の揮発成分が脱離するため一時的に低下した。脱離が終了すると再び系内圧力が改善され、10−3torr台に至った時点から1時間同温度で真空排気した。

0063

(水素還元)
加熱真空排気が終了後、図1の真空バルブV4B、真空バルブV4C、真空バルブV11、および真空バルブV2を閉じた。真空バルブV3A、および真空バルブV3Cを開け、水素・重水素導入ライン1Bとマノメーター6内を真空ライン1Aに接続して清浄にし、真空バルブV1を閉じた後、真空バルブV12Hをゆっくり開放しながら、循環反応系C内に水素(H2)を約250torrになるまで導入した。真空バルブV12H、および真空バルブV2を閉じ、真空バルブV1を開いて水素・重水素導入ラインから水素(H2)を排気した。2弁式ガス循環ポンプ5を駆動し、真空バルブV4Cをゆっくり開放後、真空バルブV4Bを開放し、真空バルブV4Aを閉じて触媒の還元を温度450℃で開始した。

0064

還元開始約30分経過後に、2弁式ガス循環ポンプ5を一旦停止させ、真空バルブV3Aを閉じたのち、真空バルブV2、および真空バルブV4Aを開放して系内を一旦排気した。その後真空バルブV1を閉じ、真空バルブV3Aを開け真空バルブV12Hを徐々に開放して、水素(H2)を循環反応系C内に約250torrになるまで導入し、真空バルブV12H、および真空バルブV2、および真空バルブV4Aを閉じ、2弁式循環ポンプ5を駆動し還元を再開し、水素(H2)の触媒への接触時間が1時間になるまで還元処理を続けた。

0065

(加熱真空排気(2))
水素による触媒の還元処理が終了したのち、2弁式循環ポンプ5を停止させ、真空バルブV4Aを開放し、真空バルブV2を開放して循環反応系C内を450℃で再び1時間真空排気した。これにより活性化された清浄な触媒1を得た。この後、真空バルブV4B、真空バルブV4C、および真空バルブV2を閉じ、真空バルブV4Aを開放し触媒床の温度を50℃まで冷却し同温度で保持した。

0066

(水素(H2)の導入)
ここで真空バルブV3A、および真空バルブV12Dを開放して生成物を蓄えるための重水素リザーバー3内を真空排気して清浄とし、真空バルブV12Dを閉じた。この後、真空バルブV1を閉じ、真空バルブV2を開け、真空バルブV12Hをゆっくり開き循環反応系C内に水素(H2)を導入した。このときの水素圧は120torrだった。真空バルブV12H、および真空バルブV2を閉じ、真空バルブV1を開放して水素・重水素ライン1B内を真空排気した。このとき真空バルブV3Cは開放し、循環反応系Sの内圧を計測するためのマノメーター6のリファレンスとした。

0067

(重水ベーパー(D2O(g)の導入))
予め35℃に保たれた重水リザーバー12に接続されている真空バルブV6C、および真空バルブV6Bを開放し系内に重水ベーパー(D2O(g))を導入した。次いで、真空バルブV5C、および真空バルブV5Bを開放し、真空バルブV5A、およびV6Aを閉じたのち、2弁式循環ポンプ5を稼働させ、気化して生成した重水ベーパーがチラー9に導かれるようにした。この時、重水リザーバー12とチラー9の温度はそれぞれ35℃、および20℃に保った。系内圧力は真空バルブV3Bが開かれた状態のマノメーター6で、135torrを示し、H2(g)/D2O(g)比は8.0だった。

0068

(交換反応)
固定床反応器7につながる真空バルブV4B、および真空バルブV4Cを開き、真空バルブV4Aを閉じて温度50℃に保たれた固体触媒(触媒1)に重水ベーパー(D2O(g))と水素の混合気ガスを導入し、化2の反応を開始した。

0069

(ガスのサンプリング)
ガスのサンプリングに先立ち、真空バルブV9を閉塞されていることを確認して、ガス採取管15をサンプリングユニットSに取付け、真空バルブV8を開放、次いで、真空バルブV9、真空バルブV10の順に開放してサンプリングユニット内を清浄とした。真空バルブV10、真空バルブV9、および真空バルブV8を閉塞後、真空バルブV7を開放して一定量のガスをサンプリングリザーバー17に移し、真空バルブV7を閉じた。真空バルブV9、真空バルブV10の順に開放して循環反応系C内の一定量のガスをサンプリングし、真空バルブV10を閉塞した。真空バルブV9を閉じ、真空バルブV8を開放して次のサンプリングに備えた。ガス採取管15をサンプリングユニットSから取り外し質量分析計を用いるH2、HD、およびD2の分析(水素中の同位体分布の測定)に供した。

0070

(水素中のD分布分析
水素の質量分析には四重極質量分析計(Prisma、Pfeiffer Vacuum社製)を用いた。なお、試料導入時に反応時に生じたH2O、HDO、およびD2Oによるm/e=2、m/e=3、およびm/e=4の位置へのフラグメンテーションを極力防ぐため、質量分析計へのガス導入にガス採取管15の球状の底部を液体窒素で急冷してこれらをトラップし、気相を四重極質量分析計内に導入した。

0071

(循環反応系内のD濃度)
図6には、化2の反応中におけるD濃度の経時変化を示す。反応開始直後からD濃度は上昇し、反応開始60分にはD濃度約78%、同120分後には80%に至り、重水(D2O)のDと水素(H2)のHが高い効率で交換したことが示された。このように、本発明の装置と触媒を用いることによって、触媒重量基準金属換算でニッケル分10wt.%、ホウ素分1.5wt.%、および残部がシリカからなる触媒1を1.0gというわずかな触媒使用量において化2の反応が好ましく活性化されたことを示す例である。

0072

このようにして得られた重水素を主成分とする気相は、図1の真空バルブV4A、真空バルブV5A、および真空バルブV6Aを開放、真空バルブV4B、真空バルブV4C、真空バルブV5B、真空バルブV5C、真空バルブV6B、および真空バルブV6Cを閉塞し、予め真空バルブV1を真空バルブV12D開放して重水素リザーバー3内を清浄としておき、真空バルブV1が閉じられた状態とし、真空バルブV2を徐々に開放して重水素リザーバー3内に移して貯えた。

0073

(触媒前駆体2の調製)
予め550℃で3時間焼成したシリカ18.1gを精秤した。純水を滴下して求めたADWは1.0ml/g−supportだった。四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na2B4O7・10H2O、関東化学株式会社製)5.3gに純水を加えて18mlとしこの全量を前出の担体に含浸せしめ(f=0.99)、ロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分を除去した。これを、磁製坩堝に移しマッフル炉で3時間、温度550℃で焼成しホウ素分含有シリカ(B−SiO2−2)担体を得た。

0074

B−SiO2−2担体のADWは0.8ml/g−supportだった。七モリブデン酸六アンモニウム四水和物((NH4)6Mo7O24・4H2O、和光純薬工業社製)1.23gに純水を加えて10.8mlとし、この全量を13.5gのB−SiO2−2担体に含浸させた(f=1.00)。得られたスラリーはロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分除去し、同様にマッフル炉で3時間、温度550℃で焼成し触媒重量基準金属酸化物換算でMoO3分6.7wt.%、ホウ素分3wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒前駆体2を得た。

0075

(交換反応の準備)
触媒前駆体の水素還元に関しては、温度500℃とした。それ以外の触媒と重水の充填、重水の脱気、水素還元前後に行う固体触媒の加熱真空排気などの前処理は実施例1と同じ手順によった。水素(H2)の導入にあたっては水素圧を115torrにした以外は実施例1と同じ手順とした。また、重水ベーパー(D2O(g)の導入)にあたっては、重水リザーバー12とチラー9の温度はそれぞれ40℃、および25℃に保った他は、実施例1と同じ手順とした。この時の
系内圧力は真空バルブV3Bが開かれた状態のマノメーター6で、138torrを示し、H2(g)/D2O(g)比は5.0だった。

0076

(交換反応)
固定床反応器7につながる真空バルブV4Bおよび真空バルブV4Cを開き、真空バルブV4Aを閉じて温度350℃に保たれた固体触媒(触媒2)に重水ベーパー(D2O(g))と水素の混合気ガスを導入し、化2の反応を開始した。ガスのサンプリングおよび水素中のD分布分析については実施例1記載の手順によった。

0077

(循環反応系内のD濃度)
図7には、化2の反応中におけるD濃度の経時変化を示す。反応開始直後からD濃度は上昇し、反応開始120分にはD濃度約73%、同180分後には80%に至り、重水(D2O)のDと水素(H2)のHが高い効率で交換したことが示された。このように、本発明の装置と触媒を用いることによって、触媒重量基準金属換算で酸化モリブデン6.7wt.%、ホウ素分3wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒2を1.0gというわずかな触媒使用量において化2の反応が好ましく活性化されたことを示す例である。

0078

触媒2を用いた化2の反応で得た重水素を主成分とするガスは実施例1記載の手順で、図1の重水素リザーバー3内に移して貯えた。

0079

(触媒前駆体3の調製)
予め550℃で3時間焼成したシリカ19.6gを精秤した。純水を滴下して求めたADWは1.0ml/g−supportだった。四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na2B4O7・10H2O、関東化学株式会社製)3.0gに純水を加えて19mlとしこの全量を前出の担体に含浸せしめ(f=0.97)、ロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分を除去した。これを、磁製坩堝に移しマッフル炉で3時間、温度550℃で焼成しホウ素分含有シリカ(B−SiO2−3)担体を得た。

0080

B−SiO2−3担体のADWは0.8ml/g−supportだった。硝酸銅三水和物(Cu(NO3)2・3H2O、和光純薬工業社製)2.85gに純水を加えて10mlとし、この全量を13.5gのB−SiO2−3担体に含浸させた(f=0.93)。得られたスラリーはロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分除去し、これを、坩堝に移し磁製坩堝に移し、マッフル炉で3時間、温度505℃で焼成し、触媒重量基準金属換算でCu分0.5wt.%、ホウ素分1.7wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒前駆体3を得た。

0081

(交換反応の準備)
触媒と重水の充填、重水の脱気、水素還元前後に行う固体触媒の加熱真空排気、水素還元などの前処理は実施例1と同じ手順によった。水素(H2)の導入にあたっては水素圧を150torrにした以外は実施例1と同じ条件とし、重水ベーパー(D2O(g)の導入)にあたっては、実施例2と同じ手順とした。この時の系内圧力は真空バルブV3Bが開かれた状態のマノメーター6で、150torrを示し、H2(g)/D2O(g)比は5.2だった。

0082

(交換反応)
固定床反応器7につながる真空バルブV4B、および真空バルブV4Cを開き、真空バルブV4Aを閉じて温度380℃に保たれた固体触媒(触媒3)に重水ベーパー(D2O(g))と水素の混合気ガスを導入し、化2の反応を開始した。ガスのサンプリング、および水素中のD分布分析については実施例1記載の手順によった。

0083

(循環反応系内のD濃度)
図8には、化2の反応中におけるD濃度の経時変化を示す。反応開始直後からD濃度は上昇し、反応開始60分にはD濃度約92%、同120分後には約96%に至り、重水(D2O)のDと水素(H2)のHが高い効率で交換したことが示された。このように、本発明の装置と触媒を用いることによって、触媒重量基準金属換算で銅0.5wt.%、ホウ素分1.7wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒3を1.0gというわずかな触媒使用量において化2の反応が好ましく活性化されたことを示す例である。

0084

触媒3を用いた化2の反応で得た重水素を主成分とするガスは実施例1記載の手順で、図1の重水素リザーバー3内に移して貯えた。

0085

(触媒前駆体4の調製)
予め550℃で3時間焼成したシリカ17.6gを精秤した。純水を滴下して求めたADWは1.0ml/g−supportだった。四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na2B4O7・10H2O、関東化学株式会社製)3.5gに純水を加えて17mlとしこの全量を前出の担体に含浸せしめ(f=0.97)、ロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分を除去した。これを、磁製坩堝に移しマッフル炉で3時間、温度550℃で焼成しホウ素分含有シリカ(B−SiO2−4)担体を得た。

0086

B−SiO2−4担体のADWは0.8ml/g−supportだった。硝酸クロム九水和物(Cr(NO3)3・9H2O、和光純薬工業社製)11.5gに純水を加えて13mlとし、この全量を13.5gのB−SiO2−4担体に含浸させた(f=1.20)。得られたスラリーはロータリーエバポレーターを用い、約60℃で加温しながら減圧して水分除去し、これを、坩堝に移し磁製坩堝に移し、マッフル炉で3時間、温度520℃で焼成し、触媒重量基準金属換算でCr分10wt.%、ホウ素分2wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒前駆体4を得た。

0087

(交換反応の準備)
触媒と重水の充填、重水の脱気、水素還元前後に行う固体触媒の加熱真空排気、水素還元などの前処理は実施例1と同じ手順によった。水素(H2)の導入にあたっては水素圧を163torrにした以外は実施例1と同じ条件とし、重水ベーパー(D2O(g)の導入)にあたっては、実施例2と同じ手順とした。この時の系内圧力は真空バルブV3Bが開かれた状態のマノメーター6で、145torrを示し、H2(g)/D2O(g)比は5.0だった。

0088

(交換反応)
固定床反応器7につながる真空バルブV4B、および真空バルブV4Cを開き、真空バルブV4Aを閉じて温度400℃に保たれた固体触媒(触媒4)に重水ベーパー(D2O(g))と水素の混合気ガスを導入し、化2の反応を開始した。ガスのサンプリング、および水素中のD分布分析については実施例1記載の手順によった。

0089

(循環反応系内のD濃度)
図9には、化2の反応中におけるD濃度の経時変化を示す。反応開始直後からD濃度は上昇し、反応開始60分にはD濃度約93%、同120分後には約96%に至り、重水(D2O)のDと水素(H2)のHが高い効率で交換したことが示された。このように、本発明の装置と触媒を用いることによって、触媒重量基準金属換算でクロム10wt.%、ホウ素分2wt.%、および残部がシリカなどからなる触媒4を1.0gというわずかな触媒使用量において化2の反応が好ましく活性化されたことを示す例である。

実施例

0090

触媒3を用いた化2の反応で得た重水素を主成分とするガスは実施例1記載の手順で、図1の重水素リザーバー3内に移して貯えた。

0091

この発明に係る重水素の簡易製造用触媒、および該触媒を用いた重水素の簡易製法は、簡易に得られる重水素が示す同位体効果を生かして化学工業、石油化学などに幅広く使われている固体触媒の動力学的な考察にも大変有効であるから、高性能高選択性を示す新しい触媒開発に寄与でき、将来的には薬剤設計においてプロトン(H)の一部または全てをデューテリウム(D)に置換し同位体効果を利用して代謝速度を制御するなど、薬剤設計の多様化に伴う医薬品分野など医療・健康分野での期待も大きい。

図面の簡単な説明

0092

重水素製造装置の配管と構成に関する図である。
原料の重水を貯え、加温するための重水リザーバーに関する図である。
重水ベーパー量を調節するために重要なチラーに関する図である。
固定床触媒の配置を示す図である。
ガス採取管の詳細を示す図である。
ニッケル系の触媒1を用い、固体触媒の温度が50℃でのD2O(g)+H2→H2O(g)+D2による重水素製造反応中のD濃度変化を示す図である。
モリブデン系の触媒2を用い、固体触媒の温度が350℃でのD2O(g)+H2→H2O(g)+D2による重水素製造反応中のD濃度変化を示す図である。
銅系の触媒3を用い、固体触媒の温度が380℃でのD2O(g)+H2→H2O(g)+D2による重水素製造反応中のD濃度変化を示す図である。
クロム系の触媒4を用い、固体触媒の温度が400℃でのD2O(g)+H2→H2O(g)+D2による重水素製造反応中のD濃度変化を示す図である。

0093

1A:真空ライン、
1B:水素・重水素ライン、
101:ロータリー真空ポンプ、
102:油拡散ポンプ、
103:電離真空計ヘッド、
2:水素リザーバー、
3:重水素リザーバー、
4:ピラニ真空ヘッド、
5:2弁式ガス循環ポンプ、
6:マノメーター、
7:固定床反応器、
71:熱電対、
72:熱電対ジャケット、
73:固体触媒、
74:触媒床、
75:レデューシングユニオン(異径継手)、
8:電気炉、
9:チラー、
91:温度計、
10:デュワービン、
11:冷水、
12:重水リザーバー、
121:熱電対、
122:重水、
123:保温用ジャケットまたは温度調節機能付リボンヒーター、
13:加温・温度調節機能付ウォーターバス、
14:温水、
15:ガス採取管、
151:共通摺合せ接手管、
16:反応系内ガス採取ユニット
17:サンプリングリザーバー。

0094

V1:真空バルブ、
V2:真空バルブ、
V3A:真空バルブ、
V3B:真空バルブ、
V3C:真空バルブ、
V4A:真空バルブ、
V4B:真空バルブ、
V4C:真空バルブ、
V5A:真空バルブ、
V5B:真空バルブ、
V5C:真空バルブ、
V6A:真空バルブ、
V6B:真空バルブ、
V6C:真空バルブ、
V7:真空バルブ、
V8:真空バルブ、
V9:真空バルブ、
V10:真空バルブ、
V11:真空バルブ、
V12H:真空バルブ、
V12D:真空バルブ。

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