図面 (/)

技術 液体吐出ヘッド用基板および液体吐出ヘッド

出願人 キヤノン株式会社
発明者 石田浩一笠井信太郎中川喜幸齊藤亜紀子守屋孝胤山田辰也岩永周三
出願日 2015年6月25日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2015-128154
公開日 2017年1月12日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-007295
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(粒子形成、飛翔制御)
主要キーワード 発熱抵抗体列 質量中心 吐出口形成部材 電極配線層 物理的作用 メディア表面 除去動作 難溶解性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題

液体吐出ヘッド用基板の大型化を抑制しつつ、保護膜領域内の溶出量の差を低減できるよう保護膜と電極との距離を確保して、安定した吐出状態を維持することができる液体吐出ヘッド用基板および液体吐出ヘッドを提供する。

解決手段

液体吐出ヘッド用基板6は、複数の発熱抵抗体10が配列された発熱抵抗体列26と、発熱抵抗体10を覆う保護膜18と、を有する。液体吐出ヘッド用基板6は、さらに、液体吐出ヘッド用基板6の保護膜18が設けられる面の側に設けられ、液体を供給する複数の供給口13が発熱抵抗体列26の方向に沿って配列された供給口列19と、前記面の側の、供給口列19の方向において隣接する供給口13の間に設けられ、保護膜18との間に電圧印加可能な電極15と、を有する。

概要

背景

インク等の液体吐出する液体吐出ヘッドの一例として、吐出口が形成された吐出口形成部材と、液体を発泡させるための熱エネルギーを発生する発熱抵抗体を備えた液体吐出ヘッド用基板とを有する構成がある。発熱抵抗体を駆動することにより、発熱抵抗体に対応する液体吐出ヘッド用基板の液体との接触部分(以下、「熱作用部」とも称する)において液体が急激に加熱され、熱作用部上の液体が発泡する。この発泡に伴う圧力によって液体を吐出口から吐出させ、メディア表面に記録を行うことができる。

その際、液体吐出ヘッドの熱作用部は、液体の発泡、収縮に伴うキャビテーションによる衝撃などの物理的作用や、インク等の液体による化学的作用複合的に受ける。よって、これらの影響から発熱抵抗体を保護するために、発熱抵抗体を覆う保護膜を設けている。

ここで、熱作用部となる保護膜の液体との接触部分では、液体に含まれる色材等の添加物高温加熱されることにより分解され、難溶解性物質に変化し、この物質が保護膜の表面に物理吸着する現象が起こる。この物理吸着した物質は「コゲ」と称されているが、このように保護膜の表面にコゲが付着すると、発熱抵抗体から液体への熱伝導が不均一になり発泡が不安定となることにより、液体の吐出が不安定となる恐れがある。

この課題に対し、特許文献1には、電極を設け、保護膜側が正、電極側が負となるよう電圧印加して液体と保護膜の構成材料との間に電気化学反応を生じさせ、保護膜の表面を液体に溶出させてコゲを除去するクリーニング方法が記載されている。

概要

液体吐出ヘッド用基板の大型化を抑制しつつ、保護膜領域内の溶出量の差を低減できるよう保護膜と電極との距離を確保して、安定した吐出状態を維持することができる液体吐出ヘッド用基板および液体吐出ヘッドを提供する。液体吐出ヘッド用基板6は、複数の発熱抵抗体10が配列された発熱抵抗体列26と、発熱抵抗体10を覆う保護膜18と、を有する。液体吐出ヘッド用基板6は、さらに、液体吐出ヘッド用基板6の保護膜18が設けられる面の側に設けられ、液体を供給する複数の供給口13が発熱抵抗体列26の方向に沿って配列された供給口列19と、前記面の側の、供給口列19の方向において隣接する供給口13の間に設けられ、保護膜18との間に電圧を印加可能な電極15と、を有する。

目的

本発明の目的は、液体吐出ヘッド用基板の大型化を抑制しつつ、保護膜領域内の溶出量の差を低減できるよう保護膜と電極との距離を確保して、安定した吐出状態を維持することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数の発熱抵抗体が配列された発熱抵抗体列と、前記発熱抵抗体を覆う保護膜と、を有する液体吐出ヘッド用基板であって、前記液体吐出ヘッド用基板の前記保護膜が設けられる面の側に設けられ、液体を供給する複数の供給口が前記発熱抵抗体列の方向に沿って配列された供給口列と、前記面の側の、前記供給口列の方向において隣接する前記供給口の間に設けられ、前記保護膜との間に電圧印加可能電極と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッド用基板。

請求項2

前記発熱抵抗体の重心と該発熱抵抗体の最も近くに位置する前記電極の重心とは、前記面における前記発熱抵抗体列の方向に直交する方向においてずれて位置する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項3

前記電極は、該電極の両側に設けられた前記隣接する供給口の、前記発熱抵抗体列から最も離れた部分よりも前記発熱抵抗体列に寄った位置に設けられている、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項4

前記電極の重心は、該電極の両側に設けられた前記隣接する供給口の重心を結ぶ直線よりも前記発熱抵抗体列に寄った位置に位置する、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項5

前記電極の重心は、該電極の両側に設けられた前記隣接する供給口の重心を結ぶ直線よりも前記発熱抵抗体列から離れた位置に位置する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項6

前記保護膜および前記電極はIrまたはRuで形成されている、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項7

前記保護膜および前記電極は液体が流れる流路に面している、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項8

前記電極は、前記供給口列のうちの前記供給口のそれぞれの間に設けられている、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項9

前記供給口列のうちの前記供給口のそれぞれは、前記発熱抵抗体列のうちの前記発熱抵抗体のそれぞれに隣接して設けられている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項10

前記供給口列のうちの前記供給口のそれぞれは、前記発熱抵抗体列のうちの複数の前記発熱抵抗体に隣接して設けられている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド用基板。

請求項11

複数の発熱抵抗体が配列された発熱抵抗体列と、前記発熱抵抗体を覆う保護膜と、を有する液体吐出ヘッド用基板と、液体を吐出する吐出口が形成された吐出口形成部材と、を有し、前記液体吐出ヘッド用基板の前記保護膜が設けられる面の側に設けられ、液体を供給する複数の供給口が前記発熱抵抗体列の方向に沿って配列された供給口列と、前記面の側の、前記供給口列の方向において隣接する前記供給口の間に設けられ、前記保護膜との間に電圧を印加可能な電極と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッド

請求項12

前記発熱抵抗体の重心と該発熱抵抗体の最も近くに位置する前記電極の重心とは、前記面における前記発熱抵抗体列の方向に直交する方向においてずれて位置する、請求項11に記載の液体吐出ヘッド。

請求項13

前記液体吐出ヘッド用基板と前記吐出口形成部材とを接続する接続部が前記隣接する供給口の間に設けられている、請求項11または請求項12に記載の液体吐出ヘッド。

請求項14

前記接続部は、前記電極が設けられていない位置に設けられている、請求項13に記載の液体吐出ヘッド。

技術分野

0001

本発明は、液体吐出する液体吐出ヘッド、および液体吐出ヘッドに用いられる液体吐出ヘッド用基板に関するものである。

背景技術

0002

インク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドの一例として、吐出口が形成された吐出口形成部材と、液体を発泡させるための熱エネルギーを発生する発熱抵抗体を備えた液体吐出ヘッド用基板とを有する構成がある。発熱抵抗体を駆動することにより、発熱抵抗体に対応する液体吐出ヘッド用基板の液体との接触部分(以下、「熱作用部」とも称する)において液体が急激に加熱され、熱作用部上の液体が発泡する。この発泡に伴う圧力によって液体を吐出口から吐出させ、メディア表面に記録を行うことができる。

0003

その際、液体吐出ヘッドの熱作用部は、液体の発泡、収縮に伴うキャビテーションによる衝撃などの物理的作用や、インク等の液体による化学的作用複合的に受ける。よって、これらの影響から発熱抵抗体を保護するために、発熱抵抗体を覆う保護膜を設けている。

0004

ここで、熱作用部となる保護膜の液体との接触部分では、液体に含まれる色材等の添加物高温加熱されることにより分解され、難溶解性物質に変化し、この物質が保護膜の表面に物理吸着する現象が起こる。この物理吸着した物質は「コゲ」と称されているが、このように保護膜の表面にコゲが付着すると、発熱抵抗体から液体への熱伝導が不均一になり発泡が不安定となることにより、液体の吐出が不安定となる恐れがある。

0005

この課題に対し、特許文献1には、電極を設け、保護膜側が正、電極側が負となるよう電圧印加して液体と保護膜の構成材料との間に電気化学反応を生じさせ、保護膜の表面を液体に溶出させてコゲを除去するクリーニング方法が記載されている。

先行技術

0006

特開2008−105364号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、上述した電気化学反応を利用したコゲ除去の現象は、保護膜のうち電極に近い領域では保護膜の構成材料の溶出が速く進み、電極から遠い領域では溶出が遅く進む。そのため、保護膜と電極との距離を十分にとることで保護膜領域内における距離に応じた溶出速度の差の影響を小さくできる。しかし、保護膜と電極との距離が短いとこの溶出速度の差がより顕著になるため、液体吐出ヘッドのクリーニング処理を続けると、保護膜の厚みにばらつきが生じてしまう。これにより、液体に対する熱伝導に差が生じて安定した発泡現象を生ずることができなくなり、良好な液体吐出を保つことが困難となる恐れがある。

0008

一方で、保護膜と電極との距離を十分に確保して電極を配置すると、その位置によっては液体吐出ヘッドが大型化する可能性がある。

0009

そこで、本発明の目的は、液体吐出ヘッド用基板の大型化を抑制しつつ、保護膜領域内の溶出量の差を低減できるよう保護膜と電極との距離を確保して、安定した吐出状態を維持することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明の液体吐出ヘッド用基板は、複数の発熱抵抗体が配列された発熱抵抗体列と、前記発熱抵抗体を覆う保護膜と、を有する液体吐出ヘッド用基板であって、前記液体吐出ヘッド用基板の前記保護膜が設けられる面の側に設けられ、液体を供給する複数の供給口が前記発熱抵抗体列の方向に沿って配列された供給口列と、前記面の側の、前記供給口列の方向において隣接する前記供給口の間に設けられ、前記保護膜との間に電圧を印加可能な電極と、を有することを特徴とする。

発明の効果

0011

本発明によると、液体吐出ヘッド用基板の大型化を抑制しつつ、保護膜領域内の溶出量の差を低減できるよう保護膜と電極との距離を確保して、安定した吐出状態を維持することが可能となる。

図面の簡単な説明

0012

液体吐出装置の斜視図である。
液体吐出ヘッドユニットの斜視図である。
第1の実施形態の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
比較例の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
比較例の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
第1の実施形態の変形例の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
第2の実施形態の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
第3の実施形態の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
第4の実施形態の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。
その他の実施形態の液体吐出ヘッドの発熱抵抗体を含む部分を説明するための図である。

実施例

0013

(液体吐出装置)
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドユニット1が搭載された液体吐出装置2が示されている。本実施形態の液体吐出装置2はシリアルスキャン方式記録装置であり、ガイド軸3によってキャリッジ4が主走査方向に移動自在にガイドされている。液体吐出ヘッドユニット1はキャリッジ4に搭載され、記録媒体に対して相対移動可能なように液体吐出装置2に搭載されている。キャリッジ4は、不図示のキャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の不図示の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復移動される。液体吐出装置2は、液体吐出ヘッドユニット1を主走査方向に移動させつつ、記録媒体に向かってインク等の液体を吐出させる記録動作と、その記録幅に対応する距離だけ記録媒体を副走査方向に搬送する搬送動作と、を繰り返すことによって、記録を行う。このとき、液体吐出装置2は、不図示の送りローラ等の搬送機構によって液体吐出ヘッドユニット1の主走査方向に交差する搬送方向に記録媒体を搬送する。

0014

(液体吐出ヘッドユニット)
図2は、図1に示される液体吐出ヘッドユニット1の斜視図である。液体吐出ヘッドユニット1は、支持部材5に液体吐出ヘッド100が接合されて構成されている。

0015

液体吐出ヘッド100は、液体吐出ヘッド用基板としての基板6と吐出口形成部材7とが接合されて構成される。吐出口形成部材7は、液体を吐出する複数の吐出口8が略等間隔に配列してなる吐出口列9を複数備えている。不図示のタンク貯留された液体が支持部材5に設けられた流路を介して液体吐出ヘッドユニット1に供給される。

0016

(第1の実施形態)
次に、図3を用いて第1の実施形態に係る液体吐出ヘッド100の構成について説明する。図3は、図2に示す液体吐出ヘッド100の発熱抵抗体10の周辺の構成を説明するための図である。図3(a)は液体吐出ヘッド100の一部を示す平面断面図、図3(b)は図3(a)のA−A’断面図、図3(c)は図3(a)のB−B’断面図、図3(d)は吸引回復時の液体の流れを説明するための図である。

0017

基板6には、吐出口8に対向して設けられ、液体を吐出するための熱エネルギーを発生する発熱抵抗体10が複数配列された発熱抵抗体列26が吐出口列9の方向に沿って設けられている。吐出口列9および発熱抵抗体列26は液体吐出ヘッド100の長手方向、すなわち基板6の長手方向に沿って設けられている。

0018

また、吐出口列9の方向に隣接する発熱抵抗体10の間には隔壁20が設けられており、発熱抵抗体10が設けられた圧力室11がこの隔壁20によって区切られている。なお、本実施形態では、一例として、隔壁20の長さe(図3(a))が12μm、隔壁20の長さf(図3(a))が70μmである。

0019

基板6には、圧力室11に液体を供給するための供給口13が複数設けられ、この供給口13は吐出口列9の方向(発熱抵抗体列26の方向)に沿って配列されている。すなわち、この供給口13が配列して設けられた供給口列19は、基板6の長手方向に沿って設けられている。この供給口列19は、発熱抵抗体列26を挟むようにその両側にそれぞれ配置されている。なお、本実施態態では供給口13の形状は略矩形であり、一例として、基板6の表面において、供給口13の長さg(図3(a))は20μm、供給口13の長さh(図3(a))は40μmである。発熱抵抗体10の重心、すなわち、基板6の表面において一様に発熱抵抗体10の質量を分布させたときの質量中心と供給口13の発熱抵抗体10の側の端部との距離d(図3(a))は30μmである。

0020

基板6と吐出口形成部材7とが接合されることで、圧力室11に対して両側に配置された供給口13同士を連通する液室21が設けられている(図3(b))。なお、一例として、発熱抵抗体10の重心と液室21を形成する壁の面との距離c(図3(a))は75μmである。

0021

次に、基板6の積層構成について説明する。図3(b)に示すように基板6の基体27は例えばシリコンで形成されており、基体27の表面には例えばSiO2やSiNの絶縁層14等が設けられている。さらに、基板6にはTaSiN等で形成された発熱抵抗体10が設けられており、この発熱抵抗体10は不図示の電極配線層と接続されている。この電極配線層は外部端子電気的に接続されており、この電極配線層を介して発熱抵抗体10に電源を供給し、発熱抵抗体10を発熱させる。これにより、発熱抵抗体10に対応する熱作用部に接する液体が発泡して液体が吐出される。

0022

発熱抵抗体10はSiN等で形成された絶縁層16で被覆されており、その吐出口形成部材7の側には例えばTaで形成された密着層17、さらには保護膜18が設けられている。1つの保護膜18が1つの発熱抵抗体10を被覆するように設けられている。密着層17は不図示の電極配線層を介して外部端子と電気的に接続されており、これにより、複数の保護膜18と外部端子とが電気的に接続されている。

0023

なお、保護膜18は、比較的低いpH値電解液でも溶出する特性を持つIrやRuといった白金族材料を用いることが好ましい。また、絶縁層16や密着層17は必ずしも設けられていなくてもよく、保護膜18が発熱抵抗体10を直接被覆してもよい。本実施形態では、保護膜18は1つの発熱抵抗体10の全ての部分を被覆しており、一例として、基板6の表面における保護膜18の大きさは20μm×20μmである。

0024

図3(a)、(c)に示すように、基板6には、液体と保護膜18との間で電気化学反応を生じさせるための電極15が設けられている。電極15は、基板6の表面の、供給口列19の方向において互いに隣接する供給口13の間に設けられており、本実施形態では、電極15は隣接する供給口13間の中心に位置している。本実施形態では、一例として、基板6の表面における電極15の大きさは10μm×10μmである。なお、電極15も保護膜18と同じ材料を用いて形成することが好ましい。

0025

電極15は、不図示の外部端子と電気的に接続された例えばTaからなる電極配線層22と接続されている。これにより、電極15に外部から電源を供給することが可能となっており、すなわち、電極15は保護膜18との間に電圧を印加可能な構成となっている。液室21内に液体を充填したのち、保護膜18側が正、電極15側が負となるよう電圧を印加することで電気化学反応が起こり、液体と接触している保護膜18の表面が液体に溶出する。これにより、保護膜18の表面に堆積したコゲを除去することが可能となる。この液体は電解質を含んでいればよく、記録に用いられるインク等の液体を用いてもよい。

0026

次に、本実施形態の効果を、図3図5を用いて説明する。図4図5は、本実施形態の効果を説明するための比較例を示す図であり、図4(a)は比較例1の液体吐出ヘッド100の一部を示す平面断面図、図4(b)は図4(a)のA−A’断面図である。また、図5(a)は比較例2の液体吐出ヘッド100の一部を示す平面断面図、図5(b)は図5(a)のA−A’断面図であり、図5(c)は吸引回復時の液体の流れを説明するための図である。

0027

図4では、大きさ10μm×10μmの電極15が供給口13と保護膜18との間に設けられており、電極15と保護膜18との最長の距離a(図4(a))は15μm、電極15と保護膜18との最短の距離b(図4(a))は5μmである。このため、電極15と保護膜18の電極15から最も遠い部分との間の電気抵抗は、電極15と保護膜18の電極15に最も近い部分との間の電気抵抗の約3倍程度になる。

0028

ここで、保護膜18と電極15との距離とは、発熱抵抗体10と重複する保護膜18の領域と、この領域から最も近い位置に設けられた電極15の、この領域に最も近い箇所との距離であり、これが最長となる距離をa、最短となる距離をbとする。以下の説明においても同様とする。図4(a)に示す比較例1では、発熱抵抗体10の列に対してその両側に電極15が設けられた構成であるので、最長となる距離aは保護膜18の重心から電極15までの距離となる。

0029

電気化学反応により保護膜18の構成材料を液体に溶出させて保護膜18表面のコゲの除去動作を行うと、電極15から最も遠い保護膜18の重心の近傍部分では、保護膜18の電極15に最も近い部分と比べて保護膜18の溶出量が少なくなる。そのため、長時間液体吐出ヘッドを使用してコゲの除去動作を繰り返し行うと、保護膜18の厚みがその位置によって異なってしまい、液体に対する発熱抵抗体10の熱伝導が異なることになり、液体の吐出が不安定になる恐れがある。

0030

一方で、図5では、大きさ10μm×10μmの電極15が基板6の表面において供給口13の列に対して発熱抵抗体10の列とは反対側に設けられている。電極15と保護膜18との最長の距離a(図5(a))は75μm、電極15と保護膜18との最短の距離b(図5(a))は65μmである。このため、電極15と保護膜18の電極15から最も遠い部分との間の電気抵抗と、電極15と保護膜18の電極15に最も近い部分との間の電気抵抗との比の値は約1.15程度である。このように電気抵抗の比の値が小さくなり、保護膜18の位置による溶出量の差が小さくなるので、液体の吐出が不安定になるものではない。

0031

しかし、図5のような位置に電極15を設けると、基板6の表面において吐出口列9の方向に直交する方向に基板6の長さが長くなってしまい、特に吐出口列9の数が多い場合には基板6の大型化、ひいてはコストの増加につながってしまう。例えば、図5では、発熱抵抗体10の重心と液室21を形成する壁の面との距離c(図5(a))が90μmとなり、図3の構成における距離cと比較して15μm長くなる。

0032

また、液体吐出ヘッド100に液体を充填する際や記録を繰り返し行った場合、液室21に泡24が取り込まれたり残留したりして、この泡24が電極15の設けられた領域に到達する場合がある。図5のような位置に電極15を設けた場合、吸引回復などで吐出口8から液体を吸引しても、図5(a)に示すように、供給口13からの液体の流れ25は電極15の表面を通りにくい。すると、図5(c)に示すように、電極15の表面に液体がほとんど流れ込まれずに泡24が抜けることがなく滞留し、電極15が液体に接触しなくなる恐れがある。この場合、保護膜18との間に適切に電圧を印加することができず、適切なコゲ除去動作が実現できない恐れがある。

0033

そこで本実施形態では、上述したように、電極15は、基板6の表面の、供給口列19の方向に隣接する供給口13の間に設けられている。一例として、電極15と保護膜18との最長の距離a(図3(a))は43μm、電極15と保護膜18との最短の距離b(図3(a))は36μmであり、これらの電気抵抗の比の値は約1.19程度と、図5の構成と同等にまで低減される。このため、保護膜18の位置による溶出量の差が小さくなる。また、図5の例のように基板6の表面において吐出口列9の方向に直交する方向に基板6の長さが長くなることも抑制される。さらに、吸引回復時には、図3(d)に示すように、電極15の表面に液体の流れが生じるため、泡が発生しても電極15の表面で滞留することが抑制され、泡だまりによってコゲ除去動作が適切に行われない恐れも低減される。

0034

このように本実施形態によると、供給口13と圧力室11を近づけて圧力室11への液体の再充填を高速化し高速印字を実現しつつ、保護膜の溶出量の差を低減できるよう保護膜18と電極15の距離を確保しているので、安定した吐出状態を維持できる。また、液体吐出ヘッド用基板6の大型化を抑制することが可能となる。さらに、泡だまりによってコゲ除去動作が妨げられる恐れを低減することが可能となる。

0035

なお、電極15と保護膜18との距離に関して、上述した最長の距離aと最短の距離bとの関係が1<a/b≦2となるように電極15を設けることがより望ましい。これにより、長時間にわたって液体吐出ヘッド100を使用しコゲ除去動作を繰り返し行っても、保護膜18の位置による溶出量の差による影響をほとんど無視できる程度にすることができるためである。

0036

また、発熱抵抗体10は、絶縁層14に形成された不図示のスルーホール挿通され、絶縁層14中に形成されたAl、Al−Si、Al−Cu等の金属材料からなる電極配線層に接続されることが望ましい。このような構成とすることで、発熱抵抗体10に接続される配線を基板6の表面の供給口13の間の領域に設けずに済むため、供給口13の間に電極15を配置する領域を確保しやすくなる。

0037

また、発熱抵抗体10の列に交差する方向における基板6の小型化の観点からは、図3(a)に示すように、供給口13の、発熱抵抗体10の列から最も離れた部分よりも発熱抵抗体10の列に寄った位置に電極15が設けられていることが好ましい。すなわち、電極15が発熱抵抗体列26から離れる方向に供給口13の間からはみ出さないように設けられていることが好ましい。

0038

また、図6(a)に示すように、電極15の重心Cが、配列方向の両側に設けられた供給口13の重心を結ぶ直線lよりも発熱抵抗体10の列に寄った位置に位置するように、電極15が設けられていることが望ましい。これにより、吸引回復や液体の再充填の際に供給口13から吐出口8に向かう流れ25が電極15の表面を通り易くなり、上述した泡だまりの発生をより抑えることが可能となる。

0039

一方で、保護膜18と電極15の距離を確保する観点からは、図6(b)のように、電極15の重心Cが、配列方向の両側の供給口13の重心を結ぶ直線lよりも発熱抵抗体10の列から離れた位置に位置するように、電極15が設けられていることが好ましい。

0040

また、電極15はその全ての部分が供給口13の間に位置していなくてもよく、電極15の少なくとも一部が供給口13の配列方向における供給口13の間に位置していればよい。

0041

また、電極15は、供給口列19を構成する供給口13のそれぞれの間に設けられていることがより好ましい。これにより、保護膜18に対してより均一にコゲの除去を行うことができるためである。

0042

(第2の実施形態)
次に、図7を用いて第2の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。

0043

上述の実施形態では一列の発熱抵抗体10の列に対してその両側に供給口13の列が設けられた構成であったが、本実施形態では一列の発熱抵抗体10の列に対して片側に一列の供給口13の列が設けられた構成である。なお、本実施形態では、上述した電極15と保護膜18との最長の距離a、最短の距離bは、図7に示す通りとなる。

0044

(第3の実施形態)
次に、図8を用いて第3の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。

0045

本実施形態では、上述の実施形態と比べて供給口列を構成する供給口13の数を少なくしている。すなわち、上述の実施形態では1つの供給口13が発熱抵抗体10のそれぞれに隣接するように供給口13を設けていたが、本実施形態では1つの供給口13が複数の発熱抵抗体10に隣接するように供給口13を設けている。具体的には、本実施形態では、一つの供給口13に対して二つの流路12が接続されており、一つの供給口13から主に二つの圧力室11に液体が供給される構成である。高速記録を実現するためには、吐出口8から液体を吐出させた後、圧力室11に液体をすばやく再充填する必要があり、圧力室11と供給口13に近づけることに加え、供給口13の圧力損失が小さい方が好ましい。

0046

ここで、略矩形状の管路の圧力損失は、そのアスペクト比が小さいほど小さくなる。例えば本実施形態では、供給口13の長さjが40μm、長さiが30μm(図8)で供給口13は二つの流路12と接続されている。一方で、上述の実施形態では、供給口13の長さgが20μm、供給口13の長さhが40μm(図3(a))で供給口13は一つの流路12と接続されている。両者の構成においてその圧力損失はほぼ同程度である。

0047

このように、一つの供給口13に複数の流路12を接続することで、供給口13の圧力損失を大きくなることを抑えつつ、供給口13の配列方向に交差する方向(本実施形態では配列方向に直交する方向)の供給口13のサイズを小さくすることができる。

0048

なお、図8では一つの供給口13に液室21を介して二つの流路12が接続されているが、接続される流路12は三つ以上であってもよい。

0049

(第4の実施形態)
次に、図9を用いて第4の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。

0050

本実施形態では、発熱抵抗体10の重心Hとこの発熱抵抗体10の最も近くに位置する電極15の重心Cとが発熱抵抗体列26に直交する方向において横並びに位置している。すなわち、基板6の表面において発熱抵抗体10の重心Hと電極15の重心Cとを結ぶ直線が、発熱抵抗体列26に直交する方向に平行になるように、電極15が設けられている。また、発熱抵抗体10の重心Hと供給口13の重心Sとを結ぶ直線は、発熱抵抗体列26に直交する方向に交差している。

0051

本実施形態においても、電極15は供給口13の配列方向において隣接する供給口13の間に位置しており、保護膜18の溶出量の差を低減できるように保護膜18と電極15の距離を確保しているので、安定した吐出状態を維持することができる。また、供給口13の配列方向に交差する方向における液体吐出ヘッド用基板6の大型化を抑制することが可能となる。

0052

なお、保護膜18と電極15との距離をより長くする観点からは、本実施形態のような電極15の配置よりも、上述の実施形態のような電極15の配置の方がより好ましい。すなわち、上述の実施形態のように、発熱抵抗体10の重心とこの発熱抵抗体10の最も近くに位置する電極15の重心とが発熱抵抗体列26に直交する方向においてずれて位置することがより好ましい。

0053

(その他の実施形態)
次に、図10を用いてその他の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。

0054

図10(a)〜(c)に示す実施形態では、電極15が設置されている供給口13の間に、吐出口形成部材7と基板6とを接続する接続部としての柱状部材23が設けられている。上述の実施形態では基板6の表面の供給口13間の領域は吐出口形成部材7から離れており、このように吐出口形成部材7と基板6とが接していない部分の距離が長いと、液体吐出ヘッド100が割れたり変形したりする恐れがある。

0055

そこで、本実施形態では、供給口13の間に柱状部材23を設けることで、電極15の表面を通る吐出口8と供給口13との液体の流れを確保しつつ、液体吐出ヘッド100の信頼性を向上することができる。なお、柱状部材23は、図10(a)のように独立した複数の部材で設けられていても、図10(b)のように壁状であってもよい。

0056

また、図10(a)、(b)は電極15の表面に柱状部材23を設ける構成であるが、コゲ除去動作に用いられる電極15の面積を確保するために、図10(c)のように、柱状部材23を電極15が設けられていない供給口13の間の領域に設けてもよい。また、供給口13の配列方向に複数の柱状部材23を配置してもよい。

0057

6基板(液体吐出ヘッド用基板)
10発熱抵抗体
13 供給口
15電極
18 保護膜

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ