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技術 積層不織布および空気清浄機、ならびに積層不織布の製造方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 本村耕治住田寛人黒川崇裕中村太一山口貴義光嶋隆敏
出願日 2015年6月19日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2015-123809
公開日 2017年1月12日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-007178
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 不織物
主要キーワード 原料液タンク 粉末状接着剤 ポリエステル系ホットメルト樹脂 接着剤タンク ヒーターロール 帯電加工 消臭フィルター コロナ放電法
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月12日)のものです。
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図面 (4)

課題

長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失を備える積層不織布を提供する。

解決手段

第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1不織布が帯電しており、前記第1繊維の繊維径D1および前記第2繊維の繊維径D2が、D1>D2の関係を満たす、積層不織布。積層不織布は、さらに、接着剤と、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、を備えても良い。

概要

背景

空気清浄機濾材として、帯電する不織布を使用する場合がある(特許文献1参照)。このような濾材は、空気清浄機の内部に吸入されたダストとの間に生じる静電気力クーロン力)により、ダスト(粉塵)を捕捉する。

概要

長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失を備える積層不織布を提供する。第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1不織布が帯電しており、前記第1繊維の繊維径D1および前記第2繊維の繊維径D2が、D1>D2の関係を満たす、積層不織布。積層不織布は、さらに、接着剤と、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、を備えても良い。

目的

本発明によれば、長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失を備える積層不織布を提供する

効果

実績

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請求項1

第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1不織布が帯電しており、前記第1繊維の繊維径D1および前記第2繊維の繊維径D2が、D1>D2の関係を満たす、積層不織布。

請求項2

さらに、接着剤と、前記第2不織布の前記第1不織布に対向しない主面2A側に積層され、かつ、第3繊維を含む第3不織布と、を備え、前記接着剤が、前記第1不織布の前記第2不織布に対向する主面1Aから距離d1までの領域R1、および、前記第2不織布の前記第1不織布に対向する主面2Bから距離d2までの領域R2に存在しており、前記距離d1および前記距離d2が、d1<d2の関係を満たす、請求項1に記載の積層不織布。

請求項3

前記第1不織布の空隙率P1と、前記第3不織布の空隙率P3とが、P1<P3の関係を満たす、請求項2に記載の積層不織布。

請求項4

前記空隙率P1が、60体積%以上、95体積%以下である、請求項3に記載の積層不織布。

請求項5

前記第1不織布の厚みT1に対する前記距離d1の比:d1/T1が、0.1以上、0.5未満である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項6

前記厚みT1が、100μm以上、500μm以下であり、前記第2不織布の厚みT2が、0.5μm以上、10μm以下であり、前記第3不織布の厚みT3が、150μm以上、500μm以下である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項7

前記D2が、1μm未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層不織布。

請求項8

気体の吸い込み部と、前記気体の吐き出し部と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層不織布と、を備え、前記積層不織布が、前記第1不織布の前記第2不織布に対向しない主面1Bが前記吸い込み部に対向するように、前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、空気清浄機

請求項9

帯電した第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、第2繊維の原料となる原料樹脂および前記原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、前記第3不織布上で前記原料液を噴射して、前記原料液から第2繊維を生成させ、前記第3不織布の一方の主面3Bに前記第2繊維を堆積させて第2不織布を形成する不織布形成工程と、前記第2不織布の前記第3不織布に対向しない主面2Bに、固形の接着剤を散布する接着剤散布工程と、前記主面2Bに散布された前記接着剤を溶融させる加熱工程と、前記溶融した接着剤を有する前記第2不織布に前記第1不織布を積層させる積層工程と、を含む、積層不織布の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、積層不織布に関し、例えば、空気清浄機濾材に用いられる積層不織布に関する。

背景技術

0002

空気清浄機の濾材として、帯電する不織布を使用する場合がある(特許文献1参照)。このような濾材は、空気清浄機の内部に吸入されたダストとの間に生じる静電気力クーロン力)により、ダスト(粉塵)を捕捉する。

先行技術

0003

特開2001−98453号公報

発明が解決しようとする課題

0004

濾材として、帯電する不織布を使用する場合、集塵が進むと、不織布を構成する繊維の周囲はダストにより覆われる。そのため、上記繊維が有する電荷によって生じる電界強度が弱くなる。よって、ダストと帯電する不織布との間に生じる静電気力が小さくなり、集塵効率(ダストの捕捉能力)が低下する。長期間にわたって高い集塵効率を維持するには、例えば、帯電する不織布の質量(密度)を大きくして、表面積を増加させることが考えられる。しかし、不織布の密度を大きくすると、流体流路が小さくなるため、流体に対する抵抗力が大きくなって、圧力損失(流体が不織布を通過するときの抵抗力)が高くなる。すなわち、長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失は相反する性質であり、両立させることが難しい。

課題を解決するための手段

0005

本発明の一局面は、第1繊維を含む第1不織布と、前記第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、を備え、前記第1不織布が帯電しており、前記第1繊維の繊維径D1および前記第2繊維の繊維径D2が、D1>D2の関係を満たす、積層不織布に関する。

0006

本発明の他の一局面は、気体の吸い込み部と、前記気体の吐き出し部と、上記積層不織布と、を備え、前記積層不織布が、前記第1不織布の前記第2不織布に対向しない主面1Bが前記吸い込み部に対向するように、前記吸い込み部と前記吐き出し部との間に配置される、空気清浄機に関する。

0007

本発明のさらに他の一局面は、帯電した第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、第2繊維の原料となる原料樹脂および前記原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、前記第3不織布上で前記原料液を噴射して、前記原料液から第2繊維を生成させ、前記第3不織布の一方の主面3Bに前記第2繊維を堆積させて第2不織布を形成する不織布形成工程と、前記第2不織布の前記第3不織布に対向しない主面2Bに、固形接着剤散布する接着剤散布工程と、前記主面2Bに散布された前記接着剤を溶融させる加熱工程と、前記溶融した接着剤を有する前記第2不織布に前記第1不織布を積層させる積層工程と、を含む、積層不織布の製造方法に関する。

発明の効果

0008

本発明によれば、長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失を備える積層不織布を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の一実施形態に係る積層不織布を模式的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る空気清浄機を模式的に示す斜視図である。
本発明の一実施形態に係る製造方法を説明する概略図である。

実施例

0010

本発明に係る積層不織布は、第1繊維を含む第1不織布と、第1不織布に積層され、第2繊維を含む第2不織布と、を備える。このとき、第1不織布は帯電しており、第1繊維の繊維径D1および第2繊維の繊維径D2は、D1>D2の関係を満たす。これにより、積層不織布を濾材として長期間にわたり使用した場合にも、第2不織布が粉塵を捕捉するため、高い集塵効率が維持される。さらに、第2繊維の繊維径は小さいため、圧力損失の増加は抑制される。その結果、積層不織布の耐用期間が長くなる。

0011

積層不織布は、さらに、接着剤と、第2不織布の第1不織布に対向しない主面2A側に積層される第3繊維を含む第3不織布と、を備えても良い。このとき、接着剤は、第1不織布の第2不織布に対向する主面1Aから距離d1までの第1不織布側の領域R1、および、第2不織布の第1不織布に対向する主面2Bから距離d2までの第2不織布側の領域R2に存在しており、距離d1および距離d2は、d1<d2の関係を満たすことが好ましい。これにより、第1不織布が形成する電界強度は、接着剤の影響を受け難くなる。すなわち、製造過程において、上記電界強度は維持され易い。

0012

第1不織布の空隙率P1と第3不織布の空隙率P3とは、P1<P3の関係を満たすことが好ましい。接着剤が第1不織布側により染み込み難くなるためである。また、空隙率P1は、60体積%以上、95体積%以下であることが好ましい。圧力損失が低減されるためである。

0013

第1不織布の厚みT1に対する距離d1の比:d1/T1は、0.1以上、0.5未満であることが好ましい。上記電界強度が受ける接着剤の影響が、さらに小さくなるためである。

0014

圧力損失の観点から、厚みT1は、100μm以上、500μm以下であることが好ましく、第2不織布の厚みT2は、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、第3不織布の厚みT3は、150μm以上、500μm以下であることが好ましい。

0015

D2は、1μm未満であることが好ましい。第2不織布の表面積がより大きくなって、集塵効果がさらに向上するためである。

0016

また、本発明に係る空気清浄機は、気体の吸い込み部と、気体の吐き出し部と、上記積層不織布と、を備える。このとき、上記積層不織布は、第1不織布の第2不織布に対向しない主面1Bが吸い込み部に対向するように、吸い込み部と吐き出し部との間に配置される。このような空気清浄機は、長期間にわたって、集塵効率が高く、圧力損失が小さい。

0017

さらに、本発明の積層不織布の製造方法は、帯電した第1繊維を含む第1不織布を準備する第1準備工程と、第2繊維の原料となる原料樹脂および原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液を準備する第2準備工程と、第3繊維を含む第3不織布を準備する第3準備工程と、第3不織布上で原料液を噴射して、原料液から第2繊維を生成させ、第3不織布の一方の主面3Bに第2繊維を堆積させて第2不織布を形成する不織布形成工程と、第2不織布の第3不織布に対向しない主面2Bに、固形の接着剤を散布する接着剤散布工程と、主面2Bに散布された接着剤を溶融させる加熱工程と、溶融した接着剤を有する第2不織布に第1不織布を積層させる積層工程と、を含む。この方法により得られる積層不織布は、長期間にわたる高い集塵効率および低い圧力損失を備える。

0018

以下、図1を参照しながら、本発明に係る積層不織布の一実施形態を説明する。図1は、一実施形態に係る積層不織布を、模式的に示す断面図である。

0019

積層不織布10は、第1繊維1Fを含む第1不織布1と、第1不織布1に積層され、第2繊維2Fを含む第2不織布2とを備える。第1不織布1は帯電しており、第1繊維1Fの繊維径D1は、第2繊維2Fの繊維径D2よりも大きい(D1>D2)。

0020

積層不織布10の第1不織布1側から、積層不織布10にダストを含む大気が接触すると、ダストは帯電している第1不織布1に優先的に捕捉される。集塵が進み、第1不織布1とダストとの間に生じる静電気力が小さくなると、ダストは、第1不織布1を通過し始める。第1不織布1を通過したダストは、第2不織布2に捕捉される。第2不織布2は、第1繊維1Fよりも繊維径の小さい第2繊維2Fを含むため、高い集塵効率を発揮するとともに、圧力損失を増加させにくい。

0021

[第1不織布]
第1不織布1は帯電(永久帯電)している。すなわち、第1不織布1は、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成している。そのため、ダストは、第1不織布1との間に生じる静電気力により、第1不織布1に捕捉される。また、第1不織布1は、種々の外部負荷から第2不織布2を保護する保護材としても機能する。

0022

第1不織布1は、第1繊維1Fを含む。第1繊維1Fの材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維セルロースアクリル樹脂ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、帯電し易く、また、帯電性が維持され易い点で、PPが好ましい。

0023

第1繊維1Fの繊維径D1は、第2不織布に含まれる第2繊維2Fの繊維径D2よりも大きい限り、特に限定されない。繊維径D1は、例えば、0.5μm以上、20μm以下であり、5μm以上、20μm以下であることが好ましい。

0024

繊維径D1とは、第1繊維1Fの直径の平均値である。第1繊維1Fの直径とは、第1繊維1Fの長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、第1不織布1の一方の主面の法線方向から見たときの、第1繊維1Fの長さ方向に対して垂直な方向の幅を、第1繊維1Fの直径と見なしても良い。繊維径D1は、例えば、第1不織布に含まれる任意の10本の第1繊維1Fの任意の箇所の直径の平均値である。後述する繊維径D2およびD3についても同じである。

0025

第1不織布1は、例えば、スパンボンド法乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法メルトブロー法ニードルパンチ法等により製造された不織布であり、その製造方法は特に限定されない。なかでも、濾材として適する繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第1不織布1は、メルトブロー法により製造されることが好ましい。

0026

第1不織布1の圧力損失は、特に限定されない。なかでも、第1不織布1の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格準拠した測定機を用いて測定した場合、1〜10Pa程度であることが好ましい。第1不織布1の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布10全体の圧力損失も抑制される。

0027

第1不織布1の厚みT1は、圧力損失の観点から、100μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。不織布の厚みTとは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である(以下、同じ)。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。不織布の厚みTは、具体的には、不織布の断面を写真に取り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、一方の表面に対して垂直な線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みTとする。上記厚みTの算出に際しては、二値化処理された画像を用いても良い。

0028

第1不織布1の単位面積当たりの質量は、圧力損失の観点から、10g/m2以上、50g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上、30g/m2以下であることがより好ましい。

0029

第1不織布1を帯電させる方法は特に限定されず、公知の帯電加工方法を用いればよい。帯電加工方法としては、例えば、コロナ放電法、純水サクション法、摩擦帯電法等が挙げられる。帯電加工が行われるタイミングも特に限定されない。例えば、第1不織布1を構成する繊維1Fの紡糸と同時に帯電加工を行っても良いし、繊維1Fが延伸されて製造される場合には、延伸しながら帯電加工を行っても良い。また、不織布を形成した後、帯電加工を行っても良い。第1不織布1の表面電位は特に限定されず、例えば、5kV以上、100kV以下であっても良い。

0030

第1不織布1は、複数の第1繊維1Fによって形成される空隙を有している。第1不織布1の空隙率P1は特に限定されないが、圧力損失の観点から、60体積%以上、95体積%以下であることが好ましく、70体積%以上、90体積%以下であることがより好ましい。空隙率P1(体積%)は、例えば、(1−第1不織布1の見かけ単位体積当たりの質量/第1繊維1Fの比重)×100、で表わされる。

0031

[第2不織布]
第2不織布2は、第1不織布1とともにダストを捕捉する機能を有する。第2不織布は、静電気力ではなく、主に、ダストのブラウン拡散重力、さえぎり等の作用により、ダストを捕捉する。

0032

第2繊維2Fの材質は特に限定されず、例えば、PA、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリアリレート(PAR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、PP、PET、ポリウレタン(PU)等のポリマーが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、後述するように、第2繊維2Fを電界紡糸法により形成する場合、PESが好ましく用いられる。

0033

第2繊維の繊維径D2は、第1繊維の繊維径D1よりも小さい。なかでも、D2は、D1の1/5以下(D2≦D1/5)であることが好ましく、D2≦D1/10であることがより好ましい。また、D2は、D1の1/100以上であることが好ましい。D2がこの範囲であれば、圧力損失が抑制されるとともに集塵効率が高くなり易い。具体的には、繊維径D2は、1μm未満であることが好ましく、500nm未満であることがより好ましい。また、繊維径D2は50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。

0034

第2不織布2の厚みT2は、圧力損失の観点から、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましい。第2不織布2の単位面積当たりの質量は、0.1g/m2以上、1.5g/m2以下であることが好ましく、0.2g/m2以上、0.8g/m2以下であることがより好ましい。第2不織布の上記質量がこの範囲であると、圧力損失を抑制しながら、高い集塵効率を発揮し易い。なお、第2不織布2の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、5Pa以上、40Pa以下程度であることが好ましい。

0035

[第3不織布]
積層不織布10は、さらに、第2不織布2の第1不織布1に対向しない主面2A側に第3不織布3を備えていても良い。第3不織布3は、例えば、積層不織布10の形状を保持する基材である。積層不織布10をプリーツ加工する場合、第1不織布が基材となって、プリーツの形状を保持する。

0036

第3不織布3は、第3繊維3Fを含む。第3繊維3Fの材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、PP、PE、PET等のポリエステル、PA、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、形状保持の観点から、第3繊維3Fの材質はPETまたはセルロースが好ましい。第3繊維3Fの繊維径D3は特に限定されず、例えば、0.5μm以上、20μm以下であっても良く、10μm以上、20μm以下であっても良い。

0037

第3不織布3の製造方法は特に限定されず、第1不織布1で例示した方法が同じく例示できる。なかでも、濾材として適する繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第3不織布3は、メルトブロー法により製造されることが好ましい。

0038

第3不織布3の圧力損失も特に限定されない。なかでも、第3不織布3の初期の圧力損失は、上記と同様の条件で測定する場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。第3不織布3の初期の圧力損失がこの範囲であれば、積層不織布10全体の圧力損失も抑制される。

0039

第3不織布3の厚みT3は、圧力損失の観点から、150μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。同様の観点から、第3不織布3の単位面積当たりの質量は、10g/m2以上、50g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上、45g/m2以下であることがより好ましい。

0040

第3不織布3もまた、複数の第3繊維3Fによって形成される空隙を有している。第3不織布3の空隙率P3は特に限定されないが、圧力損失の観点から、空隙率P1よりも大きいことが好ましい(P1<P3)。また、後述するように、第1不織布1と第2不織布2との接合に接着剤を使用する場合、空隙率P3および空隙率P1がP1<P3を満たすと、接着剤が第2不織布2(第3不織布3)側に偏在し易くなるため好ましい。なかでも、空隙率P3は、空隙率P1の1.05倍以上(1.05×P1≦P3)であることが好ましい。また、形状保持の観点から、空隙率P3は、空隙率P1の2倍以下であることが好ましい。

0041

具体的には、空隙率P3は、65体積%以上、98体積%以下であることが好ましい。空隙率P3も空隙率P1と同様、例えば、第3不織布3の見かけの単位体積当たりの質量および第3繊維3Fの比重によって算出することができる。

0042

[接着剤]
積層不織布10が、第1不織布1、第2不織布2および第3不織布3を含む場合、第1不織布1と第2不織布2とは、接着剤(図示せず)により接合されることが好ましい。この場合、第2不織布と第3不織布とは、接着剤を介さずに接合されていることが好ましい。第1不織布1と第2不織布2とを接合する接着剤が、第2不織布2側に偏在し易いためである。第2不織布と第3不織布との接合方法については、後述する。

0043

接着剤は、製造過程における第1不織布1の電界強度の低下を抑制する観点から、第1不織布1と第2不織布2との界面付近であって、第2不織布2側により多く偏在していることが好ましい。具体的には、接着剤は、第1不織布1の第2不織布2に対向する主面1Aから距離d1までの領域R1、および、第2不織布2の第1不織布1に対向する主面2B(第2不織布の第3不織布に対向しない主面と同じ)から距離d2までの領域R2に存在しており、かつ、距離d1および距離d2はd1<d2の関係を満たすことが好ましい。このように、接着剤が第2不織布2側に偏在することにより、電荷を有する第1繊維1Fが接着剤により覆われ難くなる。そのため、製造過程における、第1不織布1の電界強度の低下を抑制することができる。図1では、便宜上、領域R1および領域R2にそれぞれハッチングを入れて示している。

0044

距離d1および距離d2は、例えば、以下のようにして算出できる。まず、積層不織布の断面を写真に取り、積層不織布の一方の主面(主面1B)上にある任意の1地点aから他方の主面(第3不織布3の第2不織布2に対向しない主面3A)まで、主面1Bに対して垂直な直線Lを引く。この直線L上にある接着剤のうち、第1不織布1において、主面1Aから最も離れた位置にある接着剤と主面1Aとの外法の距離を、距離d1aとする。同様に、直線L上にある接着剤のうち、第2不織布2または第3不織布3において、主面2Bから最も離れた位置にある接着剤と主面2Bとの外法の距離を、距離d2aとする。他の任意の複数地点(例えば、地点b〜j)についても同様にして距離d1b〜d1jおよびd2b〜d2jを算出し、これらを平均化した数値を、距離d1および距離d2とする。距離d1および距離d2の算出に際しては、二値化処理された画像を用いても良い。

0045

距離d1は厚みT1よりも小さく、距離d2よりも小さいことが好ましい。製造過程における電界強度の低下を抑制する観点から、距離d2に対する距離d1の比:d1/d2は、0.2以上、1未満であることが好ましく、0.3以上、0.8以下であることがより好ましい。同様の観点から、厚みT1に対する距離d1の比:d1/T1は、0.1以上、0.5未満であることが好ましく、0.15以上、0.4未満であることがより好ましい。

0046

距離d2は、厚みT2とT3との和(T2+T3)以下である(d2≦(T2+T3))。距離d2が厚みT2よりも大きい(d2>T2)場合、領域R2は、第2不織布2と第3不織布3の少なくとも一部とを含む領域である。接着剤に対するコストおよび圧力損失の観点から、厚み(T2+T3)に対する距離d2の比:d2/(T2+T3)は、0.15以上、0.7以下であることが好ましい。

0047

接着剤の付与量は特に限定されないが、例えば、0.5g/m2以上、5g/m2以下である。接着剤の種類は特に限定されず、例えば、PU、PET等のポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。なかでも、接着性の観点から、接着剤は、第1繊維1Fの材質と同種であることが好ましい。例えば、第1繊維1Fの材質がPPである場合、接着剤はポリオレフィンを含むことが好ましい。なお、本実施形態によれば、接着剤および第1繊維1Fが同種の材質であっても、接着剤は、第1不織布1側ではなく、第2不織布2側に偏在し易い。

0048

[空気清浄機]
本発明の空気清浄機100は、図2に例示されるように、濾材として用いる積層不織布10と、気体の吸い込み部101と、気体の吐き出し部102とを備える。積層不織布10は、主面1Bが吸い込み部101に対向するように、吸い込み部102と吐き出し部102との間に配置される。積層不織布10は、蛇腹状にプリーツ加工されて配置されても良い。

0049

空気清浄機100は、外部の大気を吸い込み部101から空気清浄機100内部に取り込む。取り込まれた大気に含まれるダストは、積層不織布10等を通過する間に捕捉され、清浄化された大気が吐き出し部102から再び外部に放出される。

0050

空気清浄機100は、さらに、吸い込み部101と積層不織布10との間に、大きな塵等を捕捉するプレフィルター103等を備えても良い。また、積層不織布10と吐き出し部102との間に消臭フィルター104や加湿フィルター(図示せず)等が備えられても良い。

0051

[積層不織布の製造方法]
積層不織布10は、例えば、帯電した第1繊維1Fを含む第1不織布1を準備する第1準備工程と、第2繊維2Fの原料となる原料樹脂および原料樹脂を溶解させる溶媒を含む原料液22を準備する第2準備工程と、ターゲット(例えば、第3繊維3Fを含む第3不織布3)を準備する第3準備工程と、第3不織布3上で原料液を噴射して、原料液22から第2繊維2Fを生成させ、ターゲット(第3不織布3の一方の主面3B)に第2繊維2Fを堆積させて第2不織布2を形成する不織布形成工程と、第2不織布2のターゲットに対向しない主面(第3不織布3に対向しない主面2B)に、固形の接着剤35を散布する接着剤散布工程と、ターゲットの主面(2B)に散布された接着剤35を溶融させる加熱工程と、溶融した接着剤35を有する第2不織布2に第1不織布1を積層させる積層工程と、を含む方法により製造される。

0052

以下、図3を参照しながら、本発明に係る製造方法の一実施形態を説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法を実施する製造装置200の概略図である。ここでは、接着剤35および第3不織布3を備える積層不織布10を例に挙げる。

0053

(1)第1、第2および第3準備工程
各準備工程では、第1不織布1、繊維の原料となる原料樹脂と原料樹脂を溶解させる溶媒とを含む原料液22、および、第3不織布3を準備する。

0054

[原料液]
原料液22は、原料樹脂および溶媒を含む。原料樹脂は第2繊維2Fの原料であり、溶媒は原料樹脂を溶解させる(以下、第1溶媒と称する)。原料液22における原料樹脂と第1溶媒との混合比率は、選定される原料樹脂の種類および第1溶媒の種類により異なる。原料液22における第1溶媒の割合は、例えば、60質量%から95質量%である。原料液22には、原料樹脂を溶解させる第1溶媒以外の溶媒や各種添加剤等が含まれていても良い。原料樹脂の種類は特に限定されず、第2繊維2Fの材質として例示した各ポリマーに対応するポリマーが例示できる。

0055

第1溶媒は、原料樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。例えば、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノールヘキサフルオロイソプロパノールテトラエチレングリコールトリエチレングリコールジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンメチルn−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンジイソブチルケトンアセトンヘキサフルオロアセトンフェノールギ酸ギ酸メチルギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル安息香酸エチル安息香酸プロピル、酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピルフタル酸ジメチルフタル酸ジエチルフタル酸ジプロピル塩化メチル塩化エチル塩化メチレンクロロホルム、o−クロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタンジクロロプロパンジブロモエタン、ジブロモプロパン臭化メチル臭化エチル臭化プロピル酢酸ベンゼン、トルエン、ヘキサンシクロヘキサンシクロヘキサノンシクロペンタンo−キシレンp−キシレンm−キシレンアセトニトリルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドDMAc)、ジメチルスルホキシドピリジン、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、PESを含む第2繊維2Fを電界紡糸法により形成する場合、電界紡糸法に適している点およびPESを溶解し易い点で、DMAcが好ましい。

0056

(2)不織布形成工程
次に、第3不織布3上で原料液22を噴射して、原料液22から第2繊維2Fを生成させ、第3不織布3の主面3Bに第2繊維2Fを堆積させて第2不織布2を形成する。このようにして第2繊維2Fを生成させる方法としては、例えば、乾式紡糸法、電界紡糸法等が挙げられる。なかでも、繊維径の小さな繊維を形成することができる点で、第2繊維2Fは電界紡糸法により形成されることが好ましい。電界紡糸法によれば、第2繊維2Fは、第3不織布3上に、一本以上の第2繊維2Fがランダムに重なった(あるいは、絡まった)繊維の集合体である不織布として堆積する。

0057

以下、製造装置200が電界紡糸機構を具備する場合を例に挙げ、説明する。電界紡糸法では、ターゲット(ここでは、第3不織布3)をグランドさせるかマイナスに帯電させ、そこにプラスに帯電された原料液22を放出口(図示せず)から噴射させる。原料液22が第3不織布3に到達するまでの過程において、原料液22に含まれる第1溶媒の一部は揮発し、主面3Bに第2繊維2Fが堆積して、第2不織布2が形成される。形成された直後の第2繊維2Fには、第1溶媒が例えば5質量%以上、10質量%以下含まれる。残存する第1溶媒の少なくとも一部が除去されることにより、接触した第2繊維2F同士および第2繊維と第3不織布3を構成する第3繊維3Fとが点接着する。このようにして、第2不織布2と第3不織布3とは接合される。

0058

電界紡糸機構は、不織布形成部202内の上方に設置された原料液22を放出するための放出体23と、放出された原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第3不織布3を上流側から下流側に搬送する搬送手段と、を備えている。搬送手段は、搬送ベルト21を備えていることが好ましい。この場合、搬送ベルト21は、第3不織布3とともに第2繊維2Fを収集するコレクタ部として機能する。

0059

第3不織布3は、製造装置200の最上流に配置される供給部201から、搬送ロール11により搬送され、搬送手段(搬送ベルト21)に供給される。第3不織布3は、例えば長尺であり、供給リール12に捲回されている。供給リール12はモータ13の駆動により回転する。

0060

放出体23の主面3Bと対向する側には、原料液22の放出口(図示せず)が複数箇所設けられている。放出口と主面3Bとの距離は、製造装置の規模にもよるが、例えば、100mm以上、600mm以下である。放出体23は、不織布形成部202の上方に設置された、第3不織布3の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が主面3Bと平行になるように支持されている。

0061

帯電手段は、放出体23に電圧印加する電圧印加装置26と、搬送ベルト21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20kV以上、200kV以下)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていても良い。また、対電極27を設ける代わりに、搬送ベルト21を導体から構成してもよい。

0062

放出体23は、導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部には原料液22が収容される。原料液22は、放出体23の中空部と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から放出体23の中空部に供給される。原料液22は、ポンプ28の圧力により、放出口から主面3Bに向かって放出される。放出された原料液22は、帯電した状態で放出体23と搬送ベルト21との間の空間を移動中に静電爆発起し繊維状物(第2繊維2F)を生成する。このようにして、第2不織布2と第3不織布3とが積層した前駆体が得られる。このとき、生成直後の第2繊維2Fは帯電しているが、一時的なものであって、第2繊維2Fは、やがて帯電性を示さなくなる。

0063

生成される第2繊維2Fの繊維径D2は、好ましくは1μm以下である。繊維径D2は、原料液22の吐出圧力印加電圧、原料液22の濃度、放出口と第3不織布3との距離、不織布形成部の内部の温度、湿度等を調整することにより、変化させることができる。繊維径D2が、後の工程で積層される第1不織布1の繊維径D1より小さくなるように、吐出条件を設定すればよい。

0064

[接着剤散布工程]
続いて、第2不織布2の主面2Bに接着剤35を散布する。第2不織布2側に偏在し易い点で、接着剤35は固形の状態で散布されることが好ましい。固形とは、一定の形状を保持した状態であって、例えば、粉末ペーストの状態である。接着剤35は、例えば、スプレー法自由落下等により、第2不織布の主面2Bに散布される。

0065

なかでも、均一に散布させ易い点で、接着剤は粉末状であることが好ましい。粉末状接着剤平均粒径D50は特に限定されず、例えば、100μm以上、300μm以下である。平均粒径D50とは、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求められる体積粒度分布におけるメディアン径である(以下、同じ)。

0066

接着剤付与部203は、例えば、接着剤付与部203の上方に設置された接着剤35を収容する接着剤タンク32と、接着剤35を散布するためのスプレー33とを備える散布装置34を具備する。スプレー33からは、例えば、粉末状の接着剤が散布され、主に主面2Bに付着する。

0067

[加熱工程]
主面2Bに接着剤35を散布した後、第1不織布1を積層する前に、加熱装置42により接着剤35を加熱して溶融させる。加熱装置42は特に限定されず、公知のものを適宜選択すれば良い。加熱温度は、接着剤35の融点によって適宜設定すれば良く、例えば、100〜200℃である。

0068

2枚の不織布を接合する場合、各不織布の間にホットメルト接着剤等を配置し、ヒーターロール等により接着剤を溶融させながら圧着する方法が一般的に用いられる。そのため、接着剤が各不織布のいずれの空隙にも浸透し易く、いずれか一方の不織布に偏在させることは困難である。帯電する不織布を用いる場合、この不織布の空隙に接着剤が多く浸透すると、不織布により形成される電界強度が小さくなり易い。一方、帯電する第1不織布1を積層する前に接着剤35を溶融させる場合、その後、第1不織布1を積層させても、第1不織布1側に浸透する接着剤の量を少なくすることができる。よって、第1不織布1により形成される電界強度を低下させずに、第1不織布1と第2不織布2とを接合することができる。なお、この方法によれば、接着剤35および第1繊維1Fが同種の材質であっても、接着剤35を、第1不織布1側ではなく、第2不織布2側に偏在させ易い。

0069

[積層工程]
接着剤35を溶融した後、主面2B側から第2不織布2に第1不織布1を積層させる。第1不織布積層部205では、前駆体10aの上方から、第1不織布1が供給され、接着剤35を介して前駆体10aに積層される。第1不織布1が長尺である場合、第3不織布3と同様に、第1不織布1はリール52に巻き取られていても良い。この場合、第1不織布1は、リール52から捲き出されながら、第2不織布2に積層される。

0070

このとき、第1不織布1の帯電性を維持する観点から、第1不織布1を、第1繊維1Fの融点以上に加熱しないようにすることが好ましい。不織布は、例えば特許文献1に記載されているように、不織布を構成する繊維の融点以上の温度雰囲気下で不織布に直流高電圧を作用させた後、冷却する方法により帯電させることができる。言い換えれば、帯電している不織布をその融点以上の温度に加熱すると、帯電性が低下する場合がある。

0071

接着剤を介して2枚の不織布を積層させた後、ヒーターロール等により接着剤35をその融点以上に加熱して接合する場合、ヒーターロールに接触している第1不織布1は、接着剤35の融点以上に加熱されることがある。そのため、製造過程における加熱による不織布の帯電性の低下を抑制するには、帯電する不織布を構成する繊維の融点、接着剤35の融点およびヒーターロールの温度等を適宜調整する必要が生じ、製造条件が複雑になる。

0072

一方、本実施形態によれば、接着剤35を溶融させた後、第1不織布1を積層するため、第1不織布1は、必ずしも加熱されない。ヒーターロール等を用いる場合であっても、第1繊維1Fの融点のみを考慮して、ヒーターロールの温度を制御すれば良いため、製造条件を決定することが容易である。

0073

第1不織布1を積層した後、積層不織布10を挟んで上下に配置された一対の加圧ロール53(53aおよび53b)により圧力を加えながら、積層不織布10を加圧して第1不織布1と第2不織布2とをさらに密着させても良い。この場合、第3不織布3の空隙率P3が第1不織布1の空隙率P1よりも大きいと、接着剤は第2不織布2(第3不織布3)側に偏在し易くなる。加圧ロール53による圧力は特に限定されないが、例えば、1kPa以上、50kPa以下である。また、加圧と同時に、積層不織布10を加熱しても良いが、上記のとおり、加熱温度は第1繊維1Fの融点より低いことが好ましい。

0074

最後に、積層部205から積層不織布10を搬出し、ロール61を経由して、より下流側に配置されている回収部206に回収されても良い。回収部206は、例えば、搬送されてくる積層不織布10を捲き取る回収リール62を内蔵している。回収リール62はモータ63により回転駆動される。

0075

[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、積層不織布は、図3に示すような製造装置200を用いて製造した。

0076

[実施例1]
第3不織布3としてセルロースを主体とする基材(T3:300μm、D3:15μm、単位体積当たりの質量:42g/m2、P3:80体積%)を使用した。電界紡糸法により、第3不織布3に第2繊維2F(D2:273nm)を含む第2不織布2(T2:2μm)を積層し、前駆体10aを得た。第2繊維の原料液としては、PESを20質量%含むDMAc溶液を用いた。第3不織布3上には、第2繊維2Fが0.69g/m2堆積していた。

0077

次いで、前駆体10aの第2不織布2側から、粉末状の接着剤35(ポリエステル系ホットメルト樹脂)をスプレー法により散布した。接着剤35の散布量は2.2g/m2であった。接着剤35は、全粒子のうちの90体積%以上が180〜250μmの粒径を有していた。続いて、前駆体10aを加熱し、接着剤35を溶融させた。加熱温度は158℃であった。

0078

第2不織布2上に、溶融された接着剤35が介在するように、第1不織布1を積層した。第1不織布1として、帯電するポリプロピレン繊維を主体とするメルトブロー不織布(電位:70〜80kV、T1:165μm、D1:5μm、P1:61体積%、単位面積当たりの質量:18g/m2)を用いた。続いて、加圧ロール53により圧着して、積層不織布10を得た。圧着の圧力は5kPaとした。積層不織布10の断面写真から距離d1およびd2を算出したところ、距離d1は30μmであり、距離d2は50μmであった。得られた積層不織布10に、10年間使用したのと同じ状態になるようにダストを付着させて、図2に示すような空気清浄機に設置したところ、集塵効率の極端な低下は見られなかった。

0079

本発明の積層不織布は、長期間にわたり使用した場合でも、集塵効率が高く、圧力損失の増加を抑制することが可能である。そのため、家庭用事務所用等の空気清浄機の濾材として好適である。なお、本発明の積層不織布の用途は、空気清浄機の濾材に限られず、例えば、電池用分離シート、塵を拭き取る拭取シート等の他の用途にも適用可能である。

0080

1:第1不織布、1F:第1繊維、2:第2不織布、2F:第2繊維、3:第3不織布3F:第3繊維、10:積層不織布、11:搬送ロール、12:供給リール、13:モータ、21:搬送ベルト、22:原料液、23:放出体、24:第1支持体、25:第2支持体、26:電圧印加装置、27:対電極、28:ポンプ、29:原料液タンク、31:搬送ロール、32:接着剤タンク、33:スプレー、34:散布装置、41:搬送ロール、42:加熱装置、51:搬送ロール、52:第2供給リール、53、53a、53b:加圧ロール、61:ロール、62:回収リール、63:モータ、200:製造装置、201:供給装置、202:不織布形成部、203:接着剤付与部、204:乾燥部、205:第1不織布積層部、206:回収部

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