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技術 飲食品の知覚評価方法

出願人 サッポロビール株式会社
発明者 丸山弘明荒木茂樹坂井信之
出願日 2015年6月17日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2015-122256
公開日 2017年1月12日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2017-006212
状態 特許登録済
技術分野 その他の診断装置
主要キーワード 弁蓋部 区分法 積率相関 脳血流変化 知覚評価 嗜好性評価 近赤外分光分析法 受光プローブ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

本発明は、被験者飲食品を摂取することによって生じる知覚客観的に評価することが可能な方法を提供する。

解決手段

本発明の飲食品の知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が上記被験飲食品に対して感じた知覚を評価する評価工程を含む。

概要

背景

飲食品に対して感じ嗜好性に影響を及ぼす要因は、知覚的要因、要求的要因及び認知的要因の3つに大別される(非特許文献1)。知覚的要因とは、飲食品の有する成分、構造等の飲食品自体に備わる性質由来する外的刺激であり、飲食品を摂取することにより、味、香り質感等の知覚を生じさせるものである。

主に物理化学的性質である知覚的要因は、飲食品中の成分量や温度、硬さ等を、機械的又は化学的直接測定することが可能である。一方、飲食品を摂取した人に実際に生じる知覚を評価する方法としては、これまではアンケートによる官能評価が一般的であった。

生体内で起きている生理応答、特に脳血流を測定するための方法として、近赤外分光分析法(Near−Infrared Spectroscopy:NIRS)が開発されている。これは、近赤外光を用いて人体を傷つけることなく安全に生体組織酸素状態を測定する方法である。脳が活動すると、活動部位血流量が増加し、組織の酸素状態が変化する。近赤外分光分析法を用いて脳組織の酸素状態の変化を連続的に測定することによって、大脳表面の活動部位を知ることができる。例えば、特許文献1、2には、脳血流量変化応答強度を利用して、飲食物の嗜好性を評価する方法が開示されている。

概要

本発明は、被験者が飲食品を摂取することによって生じる知覚を客観的に評価することが可能な方法を提供する。本発明の飲食品の知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が上記被験飲食品に対して感じた知覚を評価する評価工程を含む。なし

目的

そこで、アンケートによる回答を要せずに、客観的に被験者に生じる知覚に関するデータを収集することができる評価方法が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、前記被験者に生じる知覚を評価する評価工程を含む、飲食品の知覚評価方法。

請求項2

被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含む、請求項1に記載の知覚評価方法。

請求項3

前記知覚が、覚醒感、のど越し又は味の濃さである、請求項1又は2に記載の知覚評価方法。

請求項4

前記知覚が覚醒感であり、前記脳の部位が、前運動野眼窩前頭野下前頭前野、中側頭回及び上側頭回からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項5

前記知覚が覚醒感であり、前記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、2、3、4、5、6、12、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、28、29、30、31、32、33、34、35、36、40、41、42、43、44、45、46、47、48、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項6

前記知覚が味の濃さであり、前記脳の部位が、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部(BA46)及び眼窩前頭野からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項7

前記知覚が味の濃さであり、前記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、2、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、25、26、27、28、29、30、31、34、35、36、37、38、39、40、41、42、47、50、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項8

前記知覚がのど越しであり、前記脳の部位が、前運動野、中側頭回、上側頭回及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項9

前記知覚がのど越しであり、前記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、5、6、8、14、15、16、17、18、20、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位である、請求項3に記載の知覚評価方法。

請求項10

前記飲食品がビールテイスト飲料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の知覚評価方法。

請求項11

被験者の特定の脳の部位における、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量と、対照ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、前記被験ビールテイスト飲料に対する嗜好性を評価する評価工程を含む、ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法

請求項12

前記脳の部位が、前運動野、前頭極、眼窩前頭野及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位である、請求項11に記載の嗜好性評価方法。

請求項13

前記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、3、4、5、6、14、15、16、17、20、23、24、25、26、27、28、29、31、34、35、36、37、38、39、41、45、46、48、49及び50からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位である、請求項11に記載の嗜好性評価方法。

技術分野

0001

本発明は、飲食品知覚評価方法に関する。

背景技術

0002

飲食品に対して感じ嗜好性に影響を及ぼす要因は、知覚的要因、要求的要因及び認知的要因の3つに大別される(非特許文献1)。知覚的要因とは、飲食品の有する成分、構造等の飲食品自体に備わる性質由来する外的刺激であり、飲食品を摂取することにより、味、香り質感等の知覚を生じさせるものである。

0003

主に物理化学的性質である知覚的要因は、飲食品中の成分量や温度、硬さ等を、機械的又は化学的直接測定することが可能である。一方、飲食品を摂取した人に実際に生じる知覚を評価する方法としては、これまではアンケートによる官能評価が一般的であった。

0004

生体内で起きている生理応答、特に脳血流を測定するための方法として、近赤外分光分析法(Near−Infrared Spectroscopy:NIRS)が開発されている。これは、近赤外光を用いて人体を傷つけることなく安全に生体組織酸素状態を測定する方法である。脳が活動すると、活動部位血流量が増加し、組織の酸素状態が変化する。近赤外分光分析法を用いて脳組織の酸素状態の変化を連続的に測定することによって、大脳表面の活動部位を知ることができる。例えば、特許文献1、2には、脳血流量変化応答強度を利用して、飲食物の嗜好性を評価する方法が開示されている。

0005

特開2011−117839号公報
特開2010−51610号公報

先行技術

0006

食感モデルによる「おいしさ」の評価法、相良泰行、日本食品科学工学会誌、第56巻、第6号、317−325頁、2009年6月

発明が解決しようとする課題

0007

脳血流量変化の応答強度を利用した飲食品の評価方法においては、嗜好性を評価することは試みられているものの、その他の知覚を評価する方法はこれまで得られていない。

0008

また、飲食品自体に備わる物理化学的性質は、飲食品自体を分析することによって定量的に把握することができるものの、その性質が人にどのような知覚をどの程度生じさせるかをアンケートによって官能評価しようとすると、主観的に判断されるため、客観的に評価を行うことは困難である。また、アンケートの回答に表れない被験者無意識探ることは難しい。そこで、アンケートによる回答を要せずに、客観的に被験者に生じる知覚に関するデータを収集することができる評価方法が望まれている。

0009

本発明は、被験者が飲食品を摂取することによって生じる知覚を客観的に評価することが可能な方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、被験者に生じた知覚の程度によって、飲食品を摂取する前後の脳血流変化量に差が表れることを見出した。そこで、飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定し、摂取前後の脳血流変化量の、複数の飲食品間での差分を求めることにより、被験者に生じる知覚を相対的に評価できる方法を開発した。

0011

本発明の飲食品の知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者に生じる知覚を評価する評価工程を含む。

0012

上記知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含むことができる。

0013

上記知覚評価方法において、知覚は、覚醒感、のど越し又は味の濃さであってもよい。

0014

上記知覚評価方法において、知覚が覚醒感である場合、上記脳の部位が、前運動野眼窩前頭野下前頭前野、中側頭回及び上側頭回からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。また、知覚が覚醒感である場合、上記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、2、3、4、5、6、12、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、28、29、30、31、32、33、34、35、36、40、41、42、43、44、45、46、47、48、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位であってもよい。

0015

上記知覚評価方法において、知覚が味の濃さである場合、上記脳の部位が、前運動野、前頭眼野、眼窩前頭野及び前頭前野背外側部(BA46)からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。また、知覚が味の濃さである場合、上記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、2、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、25、26、27、28、29、30、31、34、35、36、37、38、39、40、41、42、47、50、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位であってもよい。

0016

上記知覚評価方法において、知覚がのど越しである場合、上記脳の部位が、前運動野、中側頭回、上側頭回及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。また、知覚がのど越しである場合、上記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、5、6、8、14、15、16、17、18、20、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、49、50、51及び52からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位であってもよい。

0017

上記知覚評価方法において、飲食品はビールテイスト飲料であることが好ましい。

0018

脳血流量の変化を利用した飲食品に対する嗜好性の評価方法において、ビールテイスト飲料に特化した評価方法はこれまで知られていなかった。そこで本発明者らは、特にビールテイスト飲料に適した、被験者の嗜好性を客観的に評価することができる方法を提供することを課題として検討していた。すると、ビールテイスト飲料に対して被験者が感じた嗜好性の程度によって、ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量に差が表れることを見出した。そして、ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量を測定し、摂取前後の脳血流変化量の、複数の飲料間での差分を求めることにより、当該ビールテイスト飲料に対する嗜好性を相対的に評価できる方法を開発した。

0019

すなわち、本発明のビールテイスト飲料の嗜好性評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量と、対照ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験ビールテイスト飲料に対する嗜好性を評価する評価工程を含む。

0020

上記嗜好性評価方法において、上記脳の部位が、前運動野、前頭極、眼窩前頭野、下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。また、上記脳の部位が、図1に示す配置のチャンネル1、3、4、5、6、14、15、16、17、20、23、24、25、26、27、28、29、31、34、35、36、37、38、39、41、45、46、48、49及び50からなる群から選ばれる1つ以上のチャンネルにより測定される部位であってもよい。

発明の効果

0021

本発明の知覚評価方法により、被験者が飲食品を摂取することによって生じる知覚を客観的に評価することができる。

図面の簡単な説明

0022

本実施形態に係る評価方法に用いるチャンネル配置の一例を示す模式図である。
分析期間における脳血流変化量と覚醒感との相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量と覚醒感との相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量と味の濃さとの相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量と味の濃さとの相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量とのど越しとの相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量とのど越しとの相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量と嗜好性との相関を示すチャンネルを表す図である。
各分析期間における脳血流変化量と嗜好性との相関を示すチャンネルを表す図である。

0023

以下に、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施形態に限られるものではない。

0024

本発明に係る知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者に生じる知覚を評価する評価工程を含む。

0025

本実施形態に係る知覚評価方法において評価対象とする知覚は、飲食品に備わる性質に由来して、飲食品を摂取する際に被験者に生じるものである。ここでいう知覚は、嗜好性とは異なるものである。知覚の具体例としては、覚醒感、のど越し、味の濃さ等が挙げられる。

0026

各飲食品を摂取する際に被験者に生じる知覚の程度によって、特定の脳の部位における摂取前後の脳血流変化量に差が表れる。そして、評価対象とする知覚の種類に応じて、摂取前後の脳血流変化量に差が表れる脳の部位のパターンが異なっている。そのため、飲食品を被験者に摂取させ、摂取前後の脳血流変化量を複数の飲食品間で比較し、脳血流変化量に差分が表れる脳の部位、及び当該差分の大きさに基づいて、被験者に生じる知覚の種類及び程度の大小を判定することが可能である。

0027

異なる種類の知覚であっても、局所的には重複する部位で脳血流変化量の差分が観察されることがあり得る。その場合は、例えば、脳血流変化量の差分が表れる部位のパターンを観察することにより、被験者がどのような知覚を感じたかを予測することが可能である。

0028

各飲食品を摂取する前後の脳血流変化量は、被験者が各飲食品を摂取する前後にわたって脳血流量の変化を経時的に測定することにより得ることができる。したがって、上記知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含んでいてもよく、また、被験者の特定の脳の部位における、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含んでいてもよい。

0029

本明細書において脳血流変化量とは、大脳表面付近の血液中オキシヘモグロビン量を測定することによって測定されるものである。血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、例えば、近赤外分光分析法、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)、ポジトロン断層法(PET)等によって測定することができる。血液中のオキシヘモグロビン量の変化は、近赤外分光分析法により測定することが好ましい。近赤外分光分析法としては、機能的近赤外分光分析法(fNIRS)を用いてもよい。

0030

本実施形態に係る知覚評価方法において用いられる指標は、各飲食品を摂取する前後の脳血流変化量であり、具体的には、各飲食品を摂取する直前摂取開始時0秒)の脳血流量を0とした場合の、摂取後の脳血流変化量である。以下、各飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を、単に脳血流変化量と呼ぶこともある。なお、変化量とは正負を考慮した概念であり、例えば、飲食品摂取後の脳血流量が摂取前に対して0.01mM・cm減少した場合は、脳血流の変化量は「−0.01mM・cm」である。また、例えば被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量が−0.02mM・cmであり、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量が−0.01mM・cmであるとき、前者の後者に対する差分は−0.01mM・cmである。差分がマイナスの値である場合は、被験飲食品の方が、対照飲食品よりも、脳血流変化量が低いことを意味する。逆に差分がプラスの値であれば、脳血流変化量が高いことを意味する。

0031

標準化
飲食品を摂取する前後の脳血流変化量には、被験者の個人差がある。したがって、複数の飲食品での脳血流変化量の測定値素点)をそのまま用いて評価する場合は、同一の被験者での測定値を比較する必要がある。一方、脳血流変化量の測定値を被験者毎に標準化することにより、被験者間での脳血流変化量を比較することが可能になる。標準化は、例えば、ある被験者で得られた摂取前後の脳血流変化量の測定値を、評価対象である全ての飲食品について平均した値を0とし、分散を1として、各飲食品における摂取前後の脳血流変化量を換算することにより行うことができる。本実施形態における各評価方法においては、脳血流変化量として、同一被験者での素点を用いてもよく、素点を標準化した値を用いてもよい。

0032

以下には、近赤外分光分析法によって、被験者が飲食品を摂取する前後の脳血流変化量を測定する場合を説明する。

0033

近赤外分光分析法装置により脳血流変化量の測定を行うには、被験者の頭表に送光プローブ、及び受光プローブを装着する。送光プローブは被験者の脳内へ近赤外光を照射し、被験者の脳内へ照射された近赤外光は大脳皮質等で反射されて頭表へ戻り、受光プローブによって検出される。脳血流に含まれるオキシヘモグロビンデオキシヘモグロビン近赤外波長領域の光に対してそれぞれ異なる吸収スペクトルを有するので、送光プローブから照射された近赤外光は脳血流に含まれるオキシヘモグロビン又はデオキシヘモグロビンによって吸収され、受光プローブによって検出される光量は、上記オキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を反映して減少する。したがって、照射時と検出時の光量変化から、近赤外光が通過した部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの量を推定することができる。上記光量変化を経時的に計測することで、光照射部位の脳血流量やそれに含まれるオキシヘモグロビンとデオキシヘモグロビンの時間的変化脳活動系列データとして記録することができる。近赤外分光分析法装置としては、例えば、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」を用いることができる。

0034

本明細書では、送光プローブ及び受光プローブの組み合わせによって、脳血流変化量が実際に測定されるそれぞれの部位をチャンネルと呼び、被験者の頭部に配置された送光プローブと受光プローブの間がチャンネル位置になる。各チャンネルを被験者の頭部の任意の位置に設けて脳血流量を測定することができるが、測定の再現性のために、頭部の一定の位置にチャンネルを設けることが望ましい。

0035

各チャンネルは、国際10−20法規格に基づいて配置することができる。図1に示すチャンネル配置は、島津製作所社製のfNIRS計測装置「LABNIRS」で用いられる前頭測定用のチャンネル配置の一例である。図1に示すチャンネル配置は、チャンネル47とチャンネル48の中央が被験者頭部のFpzとなるように合わせ、FpzからCzの方向に向かう正中線上にチャンネル37、チャンネル16が位置するように配置されている。図1に示すチャンネル配置では、各チャンネルの間に設置されているプローブが横一列に3cm間隔で設置され、上下に隣り合う列が3cm間隔で配置されている。横及び上下に隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互に配置されており、したがって、上下に隣り合うチャンネルの列は各チャンネルが1.5cmずつ横方向にずれるように配置されている。各チャンネルの番号は、測定者が任意に設定可能であり、図1に示すチャンネル配置の番号とは異なっていてもよい。チャンネル番号は、図1に示す番号に設定されることが好ましい。全ての被験者の頭部において一定の位置に取り付けられるよう、プローブは、国際10−20法規格に基づいて装着することが好ましい。

0036

本明細書で用いている脳の各領野名は、大脳新皮質解剖学区分として一般的に用いられているコルニアン・ブロードマンの区分(通称、「ブロードマンの脳地図」と呼ばれる。)による。ブロードマンの脳地図では、組織構造が均一である部分をひとまとまりの領域として区分して、1から52までの番号が振られている。この明細書において脳の領野名は、脳内の解剖学的位置を指すために用いられるものであって、必ずしも各領野で発揮されると考えられている脳の機能と関連付けられるものではない。また、脳の部位を分ける基準は、上記区分に限られず、その他の区分法を用いてもよい。

0037

脳血流量が測定される脳の部位は、被験者の頭部に配置された各チャンネルの位置によって特定することができる。島津製作所社製、fNIRS計測装置「LABNIRS」を用いて、図1のとおりに配置されたチャンネルを用いる場合、各チャンネルにより測定される部位と脳の各領野との関係は表1に示すとおりである。領野番号はブロードマンの脳地図による。なお、前頭前野背外側部は、対応する領野番号としてBA9及びBA46の2つがある。本明細書では、単に前頭前野背外側部と表記するときは、BA9及びBA46で表される2つの領野を含み、前頭前野背外側部(BA9)、前頭前野背外側部(BA46)と表記するときは、それぞれの領野番号で表わされる領野を意味する。

0038

0039

近赤外分光分析用のプローブを装着され、脳血流量の測定可能な状態とされた被験者に、評価対象である飲食品が提供される。被験者が飲食品を摂取する方法としては、官能試験に用いられる任意の方法を適用することができる。近赤外分光分析法においては、飲食品摂取中に被験者が頭部を極力動かさないことが望ましい。複数の飲食品を比較評価する場合には、各飲食品の摂取量及び摂取時間は同程度であることが望ましい。

0040

脳血流変化量を測定する分析期間は、例えば、飲食品を摂取開始後0−60秒後の間のいずれかの時刻とすることができ、また、上記期間のうち一部の期間の平均値を用いてもよい。例えば、分析期間は、飲食品の摂取開始後8−18秒の間としてもよく、18−33秒の間としてもよい。

0041

各評価方法においては、近赤外分光分析法によって測定された脳血流量のデータについて、被験者の頭の大きさの違いによるバラつきを差し引くための補正処理を行ってもよい。なお、本実施形態に係る各評価方法では、評価対象と脳血流変化量とが十分に対応を示すため、上記補正を行わなくても十分に信頼性のある評価を行うことが可能である。

0042

本実施形態に係る知覚評価方法は、任意の飲食品に対して用いることができる。飲食品は、飲料であることが好ましい。本実施形態に係る知覚評価方法は、後述するビールテイスト飲料に特に適している。

0043

(覚醒感評価方法)
本実施形態に係る知覚評価方法では、評価対象である知覚を覚醒感とすることができる。すなわち、知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者に生じる覚醒感を評価する評価工程を含む、飲食品の覚醒感評価方法とすることができる。

0044

本明細書において、覚醒感とは、覚醒したと感じる感覚をいう。覚醒感が強いと、例えば、リフレッシュすると感じたり、爽快感を感じたりし、覚醒感が弱いと、例えば、リラックスすると感じる。

0045

評価対象が覚醒感である場合、脳血流変化量の飲食品間での差分を検出する脳の部位は、前運動野、眼窩前頭野、下前頭前野、中側頭回及び上側頭回からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。

0046

覚醒感評価方法では、上記領野のいずれかに含まれる部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル1、2、3、6、12、15、17、22、23、24、30、31、32、33、34、35、36、40、41、42、43、44、45、46、47、48、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、2、3、12、15、22、23、24、30、31、32、33、35、41、42、43、44、45、46、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0047

一方、図1に示す配置のチャンネル4、5、14、16、18、19、20、28及び29のいずれかにより測定される部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じたと判定することができる。上記部位は、チャンネル5、16及び28のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。

0048

(味の濃さ評価方法)
本実施形態に係る知覚評価方法では、評価対象である知覚を味の濃さとすることができる。すなわち、知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が感じる味の濃さを評価する評価工程を含む、飲食品の味の濃さ評価方法とすることができる。ここでいう味は、基本五味の味覚に限られるものではなく、例えばコク、香り等によってもたらされる風香味を含む。また、味の濃さとは、飲食品中の調味料成分濃度等によって直接定まるものではなく、被験者が摂取する際に味の濃さとして感じられる知覚を指す。

0049

評価対象が味の濃さである場合、脳血流変化量の飲食品間での差分を検出する脳の部位は、前運動野、前頭眼野、前頭前野背外側部(BA46)及び眼窩前頭野からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。

0050

飲食品の味の濃さの評価方法では、前運動野又は眼窩前頭野に含まれる部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が濃いと感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が薄いと感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル1、30、31、41、42、47、50、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、30、41、42、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0051

一方、前頭眼野又は前頭前野背外側部(BA46)に含まれる部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が濃いと感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が薄いと感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル2、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、25、26、27、28、29、34、35、36、37、38、39及び40のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル5、7、8、9、14、15、16、19、25、28、29、38及び39のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0052

(のど越し評価方法)
本実施形態に係る知覚評価方法では、評価対象である知覚をのど越しとすることができる。すなわち、知覚評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験飲食品を摂取する前後の脳血流変化量と、対照飲食品を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、上記被験者が感じるのど越しを評価する評価工程を含む、飲食品ののど越し評価方法とすることができる。

0053

被験者が感じるのど越しを評価するとは、被験者が評価対象である飲食品を摂取する際に、のど越しが強い又は弱いと感じるかを評価することをいう。

0054

評価対象がのど越しである場合、脳血流変化量の飲食品間での差分を検出する脳の部位は、前運動野、中側頭回、上側頭回及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。

0055

のど越し評価方法では、上記領野のいずれかに含まれる部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが強いと感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが弱いと感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル1、20、23、24、30、31、32、34、40、41、42、43、44、45、47、50、51及び52のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル1、23、24、30、31、32、40、41、43、44、47、51及び52のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0056

一方、図1に示す配置のチャンネル5、6、8、14、15、16、17、18、25、26、27、28、29、35、36、37、38、39及び49のいずれかにより測定される部位において、対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが強いと感じたと判定することができ、当該部位において対照飲食品に対して被験飲食品での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが弱いと感じたと判定することができる。また、上記部位は、チャンネル6、8、14、15、16、18、25、26、27、28、35、36、37、38、39及び49のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0057

(嗜好性評価方法)
本発明はまた、ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法を提供する。ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量と、対照ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量との差分に基づいて、前記被験ビールテイスト飲料に対する嗜好性を評価する評価工程を含む。

0058

本明細書においてビールテイスト飲料に対する嗜好性を評価するとは、評価対象であるビールテイスト飲料が被験者にとって好ましいと感じられるものであるか、好ましくないと感じられるものであるかを評価することをいう。

0059

ビールテイスト飲料を被験者が摂取する際に、そのビールテイスト飲料に対する嗜好性の程度によって、特定の脳の部位における摂取前後の脳血流変化量に差が表れる。したがって、ビールテイスト飲料を被験者に摂取させ、摂取前後の脳血流変化量を複数のビールテイスト飲料間で比較し、差分の大きさに基づいて、摂取したビールテイスト飲料に対する嗜好性の程度を相対的に判定することが可能である。

0060

各ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量は、被験者が各ビールテイスト飲料を摂取する前後にわたって脳血流量の変化を経時的に測定することにより得ることができる。したがって、上記嗜好性評価方法は、被験者の特定の脳の部位における、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含んでいてもよく、また、被験者の特定の脳の部位における、対照ビールテイスト飲料を摂取する前後の脳血流変化量を測定する測定工程を更に含んでいてもよい。

0061

ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法において、脳血流変化量の具体的な測定方法は、上述の知覚評価方法と同様の態様を適用することができる。

0062

本明細書において、ビールテイスト飲料とは、ビール様香味を有する飲料を意味し、酒法(昭和二十八年二月二十八日法律第六号)で定義されるビールも含む。ビールテイスト飲料には、アルコール度数が1v/v%未満であるノンアルコールビールテイスト飲料、及びアルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料が含まれる。ノンアルコールビールテイスト飲料には、アルコールを全く含まないアルコール度数0.00v/v%のものも含まれる。ビールテイストアルコール飲料としては、例えば、ビール、発泡酒、その他の醸造酒、発泡酒にスピリッツを添加してなる発泡性アルコール飲料(日本の酒税法で定義されるリキュール類)等が挙げられる。なお、本明細書においてアルコールとは、特に明記しない限り、エタノールのことをいう。

0063

ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法において、脳血流変化量の差分を検出する脳の部位は、前運動野、前頭極、眼窩前頭野及び下前頭回弁蓋部からなる群から選ばれる1つ以上の領野に含まれる部位であることが好ましい。脳の部位は、上記領野の複数にまたがって含まれる部位であってもよい。

0064

ビールテイスト飲料の嗜好性評価方法では、前運動野及び下前頭回弁蓋部のいずれかに含まれる部位において、対照ビールテイスト飲料に対して被験ビールテイスト飲料での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましいと感じたと判定することができ、当該部位において対照ビールテイスト飲料に対して被験ビールテイスト飲料での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましくないと感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル1、20、23、24、31、34及び41のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル23又は31により測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0065

一方、前頭極及び眼窩前頭野のいずれかに含まれる部位において、対照ビールテイスト飲料に対して被験ビールテイスト飲料での脳血流変化量が低い場合には、被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましいと感じたと判定することができ、当該部位において対照ビールテイスト飲料に対して被験ビールテイスト飲料での脳血流変化量が高い場合には、被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましくないと感じたと判定することができる。また、図1に示す配置のチャンネル3、4、5、6、14、15、16、17、25、26、27、28、29、35、36、37、38、39、45、46、48、49及び50のいずれかにより測定される部位においても、同様に判定することができる。脳の部位は、チャンネル4、5、6、14、15、16、17、25、26、27、28、35、36、37、38、39、45、46及び49のいずれかにより測定される部位であることが好ましい。これらのチャンネルにより測定される部位を用いることにより、更に精度の高い判定を行うことができる。

0066

以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0067

下記の実験例により、試料を摂取するときに感じる種々の知覚と脳血流変化量との相関を確認した。また、試料に対する嗜好性と脳血流変化量との相関を確認した。

0068

下記の各実験例において、脳血流変化量は近赤外分光分析法によって測定した。計測には、fNIRS計測装置LABNIRS(島津製作所社製)を用いた。図1に示すとおりにチャンネルの配置及び番号付けを行った。チャンネルを一定の位置に配置するため、国際10−20法規格に基づいて頭部を計測し、図1に示すチャンネル47とチャンネル48の中央を被験者頭部のFpzとし、FpzからCzに向かう正中線上にチャンネル37、チャンネル16が位置するようにチャンネルを配置した。各チャンネル間に設置するプローブを横一列に3cm間隔で配置し、上下に隣り合う列を3cm間隔で配置した。横及び上下にそれぞれ隣り合うプローブは送光プローブと受光プローブとが交互となるように配置した。各チャンネル番号が属する脳の領野名は表1のとおりである。

0069

評価用試料として、市販のビール2種、及びビールテイストである「その他の醸造酒(発泡性)(1)」1種の計3種を用いた。被験者には、各試料をプラスチックカップ分注した状態で提供し、試料の商品名等の情報は伏せた。

0070

各被験者に上記試料各20mlを一気飲用させ、各試料を摂取する直前(摂取開始後0秒)を基準(0)としたときの、摂取後8−18秒後、及び18−33秒後の脳血流変化量をそれぞれ測定した。被験者は計30名とし、各被験者は同一試料につき測定を2回ずつ行った。

0071

被験者には、各試料を摂取する度にアンケートによる評価を併せて行った。質問内容は、摂取した試料について、「リフレッシュすると感じたか・爽快感を感じたか」(覚醒感)、「味が濃いと感じたか」(味の濃さ)、「のど越しを感じたか」(のど越し)及び「好きか」(嗜好性)とした。各評価は視覚評価スケール(VAS)法により行い、各質問項目について全く感じない場合を0、これ以上ないくらい強く感じる場合を100とし、各試料につき被験者自身が点数で評価した。

0072

各分析期間(試料摂取後8−18秒後、及び18−33秒後)の、各チャンネルにおける脳血流変化量の面積値を算出した。そして、各分析期間の脳血流変化量の面積値と、アンケートによる評価結果との相関性をPearsonの積率相関分析により調べた(素点評価)。また、同じ測定結果を用いて、脳血流変化量の標準化を行った。具体的には、各被験者の各分析期間について、全ての試料での平均値を0とし、分散を1として換算し、標準化した値を得た。そして、素点の場合と同様に、アンケートによる評価結果との相関性をPearsonの積率相関分析により調べた。

0073

(覚醒感評価結果)
覚醒感アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図2、3に示す。図2(a)では、分析期間8−18秒における、図2(b)では、分析期間18−33秒における、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネル(p値が0.1未満、又は0.1超0.2未満であるチャンネル)が強調されている。ここでいう正の相関とは、覚醒感が強く感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、覚醒感が弱く感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、覚醒感が弱く感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、覚醒感が強く感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。

0074

また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図3に示す。図3(a)では分析期間8−18秒における、図3(b)では分析期間18−33秒における、覚醒感アンケート結果と脳血流変化量(素点)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。

0075

上記の結果から、図2(a)、図2(b)、図3(a)及び図3(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を強く感じたと判定することができる。

0076

逆に、図2(a)、図2(b)、図3(a)及び図3(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を摂取した際に対照飲食品よりも覚醒感を弱く感じたと判定することができる。

0077

(味の濃さ評価結果)
味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図4、5に示す。図4(a)では、分析期間8−18秒における、図4(b)では、分析期間18−33秒における、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より味が濃いと感じられるほどより脳血流変化量が高いこと、及び、より味が薄いと感じられるほどより脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、より味が薄いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、より味が濃いと感じられるほど、より脳血流量が低いことを意味する。

0078

また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図5に示す。図5(a)では分析期間8−18秒における、図5(b)では分析期間18−33秒における、味の濃さアンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。

0079

上記の結果から、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対して味が濃いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が濃いと感じたと判定することができる。

0080

逆に、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも当該飲食品に対して味が薄いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりも味が薄いと感じたと判定することができる。

0081

(のど越し評価結果)
のど越しアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図6、7に示す。図6(a)では、分析期間8−18秒における、図6(b)では、分析期間18−33秒における、のど越しアンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、よりのど越しが強いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、よりのど越しが弱いと感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、よりのど越しが弱いと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、よりのど越しが強いと感じられるほど、より脳血流変化量が低いことを意味する。

0082

また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、のど越しアンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図7に示す。図7(a)では分析期間8−18秒における、図7(b)では分析期間18−33秒における、のど越しアンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。

0083

上記の結果から、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対してのど越しが強いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが強いと感じたと判定することができる。

0084

逆に、図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験飲食品を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照飲食品の場合よりも高いとき、当該被験者が対照飲食品よりも被験飲食品に対してのど越しが弱いと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験飲食品摂取前後の脳血流変化量が対照飲食品に対して高いとき、当該被験者が被験飲食品を対照飲食品よりものど越しが弱いと感じたと判定することができる。

0085

嗜好性評価結果)
嗜好性評価結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図8、9に示す。図8(a)では、分析期間8−18秒における、図8(b)では、分析期間18−33秒における、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量(標準化)との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。ここでいう正の相関とは、より好ましいと感じられるほどより脳血流変化量が高いこと、及び、より好ましくないと感じられるほどより脳血流変化量が低いことを意味する。また、負の相関とは、より好ましくないと感じられるほど、より脳血流変化量が高いこと、及び、より好ましいと感じられるほど、より脳血流量が低いことを意味する。

0086

また、脳血流変化量として素点を用いた場合の、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量との相関関係が見られたチャンネルを図9に示す。図9(a)では分析期間8−18秒における、図9(b)では分析期間18−33秒における、嗜好性アンケート結果と脳血流変化量との間に正又は負の相関が見られたチャンネルが強調されている。

0087

上記の結果から、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)中に示す、正の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照ビールテイスト飲料の場合よりも高いとき、当該被験者が対照ビールテイスト飲料よりも被験ビールテイスト飲料に対して好ましいと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験ビールテイスト飲料摂取前後の脳血流変化量が対照ビールテイスト飲料に対して高いとき、当該被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましいと感じたと判定することができる。

実施例

0088

逆に、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)中に示す、負の相関としてp値が0.1未満又は0.1超0.2未満であるチャンネルのいずれか1つ以上において、被験ビールテイスト飲料を摂取する前後の被験者の脳血流変化量が、対照ビールテイスト飲料の場合よりも高いとき、当該被験者が当該ビールテイスト飲料に対して好ましくないと感じた可能性が高く、p値が0.1未満であるチャンネルにおいて当該脳血流変化量が高いときには上記の可能性が更に高い。したがって、これらのチャンネルにおいて、被験ビールテイスト飲料摂取前後の脳血流変化量が対照ビールテイスト飲料に対して高いとき、当該被験者が被験ビールテイスト飲料を対照ビールテイスト飲料よりも好ましくないと感じたと判定することができる。

0089

本発明に係る知覚評価方法又は嗜好性評価方法を用いることによって、被験者に生じる各種の知覚又は被験者が感じる嗜好性の評価を客観的に行うことが可能である。したがって、例えば、飲食品の開発にこれらの評価方法を応用することができる。

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