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課題
解決手段
概要
背景
概要
従来の分光分析法では吸光度の変化が小さかったり、吸光度スペクトルが近似するような被計測対象であっても液種識別や濃度識別などを行うことが出来るとともに、計測感度を向上させ、正確な計測を行うことが出来る分光分析装置および方法を提供する。被計測物に対して計測用電磁波を照射する計測用電磁波照射手段と、被計測物に対して外部刺激を与えるための外部電磁波を照射する外部電磁波照射手段と、被計測物を透過した計測用電磁波を検出するための検出手段と、検出手段と接続された制御手段とを備え、制御手段は、分光分析中の計測時間を計測するための時間計測手段を備えるとともに、被計測物に対して外部電磁波を照射した状態において、検出手段によって検出された被計測物を透過した計測用電磁波と、時間計測手段によって計測された外部電磁波の照射時間とに基づいて、被計測物の識別を行う。
目的
本発明では、このような現状に鑑み、従来の分光分析法では吸光度の変化が小さかったり、吸光度スペクトルが近似するような被計測対象であっても液種識別や濃度識別などを行うことが出来るとともに、計測感度を向上させ、正確な計測を行うことが出来る分光分析装置および方法を提供する
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請求項1
被計測物の識別を行うための分光分析装置であって、前記被計測物に対して計測用電磁波を照射する計測用電磁波照射手段と、前記被計測物に対して外部刺激を与えるための外部電磁波を照射する外部電磁波照射手段と、前記被計測物を透過した前記計測用電磁波を検出するための検出手段と、前記検出手段と接続された制御手段と、を備え、前記制御手段は、分光分析中の計測時間を計測するための時間計測手段を備えるとともに、前記被計測物に対して前記外部電磁波を照射した状態において、前記検出手段によって検出された前記被計測物を透過した前記計測用電磁波と、前記時間計測手段によって計測された前記外部電磁波の照射時間とに基づいて、前記被計測物の識別を行うように構成することを特徴とする分光分析装置。
請求項2
請求項3
前記外部電磁波が、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波、RF波、X線のいずれか、もしくは、これらの組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の分光分析装置。
請求項4
前記外部電磁波が、2.45GHzのマイクロ波であることを特徴とする請求項3に記載の分光分析装置。
請求項5
前記外部電磁波照射手段が、送信アンテナと、電波レンズと、受信アンテナとを含み、前記外部電磁波は、前記電波レンズを介して前記被計測物に照射されるように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分光分析装置。
請求項6
請求項7
前記分光分析装置は、前記計測用電磁波照射手段、前記外部電磁波照射手段、前記検出手段を一体としたプローブを含むプローブ装置を備え、前記計測用電磁波照射手段、前記外部電磁波照射手段、前記検出手段が、それぞれ導波管を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分光分析装置。
請求項8
請求項9
請求項10
請求項11
被計測物の識別を行うための分光分析方法であって、前記被計測物に対して外部電磁波を照射した状態で、計測用電磁波を照射し、前記被計測物を透過した前記計測用電磁波と、前記外部電磁波の照射時間とに基づいて、前記被計測物の識別を行うことを特徴とする分光分析方法。
請求項12
前記計測用電磁波が、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波、RF波、X線、γ線のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の分光分析方法。
請求項13
前記外部電磁波が、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波、RF波、X線のいずれか、もしくは、これらの組み合わせであることを特徴とする請求項11または12に記載の分光分析方法。
請求項14
前記外部電磁波が、2.45GHzのマイクロ波であることを特徴とする請求項13に記載の分光分析方法。
請求項15
前記外部電磁波を、電波レンズを介して前記被計測物に照射することを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の分光分析方法。
請求項16
前記外部電磁波を、中空導波管を用いて導波して、前記被計測物に照射することを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の分光分析方法。
請求項17
前記外部電磁波と前記計測用電磁波を、導波管を含むプローブを用いて照射するとともに、前記計測用電磁波を、前記プローブを用いて検出することを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の分光分析方法。
請求項18
前記被計測物が、溶液、懸濁液、果汁、生体液、化学工業液のいずれかであることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載の分光分析方法。
請求項19
前記被計測物が、青果物、水産物、生体のいずれかであることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載の分光分析方法。
請求項20
前記被計測物における被計測対象が血糖値であることを特徴とする請求項19に記載の分光分析方法。
技術分野
背景技術
0003
この分光分析法では、例えば、特許文献1,2などに開示されているように、被計測物に対して所定波長帯域の近赤外光などの光を照射する投光手段と、被計測物を透過した光を受光する受光手段とを用い、受光手段によって受光した透過光から、被計測物の所定波長における吸光度を算出し、この吸光度と予め計測された被計測物の参照用データとから、被計測物の性質や量などを計測することができる。
先行技術
0004
特開平6−213804号公報
特開2005−187844号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、このような従来の分光分析法では、例えば、吸光度の変化が小さかったり、被計測対象の吸光度スペクトルが近似する被計測対象(計測したい物質や性質など)については、区別をすることが困難であり、各々の液種識別や濃度識別などが出来ないという問題があった。
0006
図12は、従来の分光分析法を用いて、異なる濃度のクエン酸水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフであり、図12(a)は、吸光度そのもののグラフ、図12(b)は、水(0重量%クエン酸水溶液)を基準として、吸光度の差分をとったグラフである。
0007
また、図13は、従来の分光分析法を用いて、異なる濃度のショ糖水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフであり、図13(a)は、吸光度そのもののグラフ、図13(b)は、水(0重量%ショ糖水溶液)を基準として、吸光度の差分をとったグラフである。
なお、図12,13に示すグラフでは、計測用電磁波16の波長と、各波長における吸光度との関係を示している。
0008
図12,13に示すように、低濃度のクエン酸水溶液やショ糖水溶液では吸光度にほぼ差が生じておらず、従来の分光分析法では、低濃度のクエン酸水溶液やショ糖水溶液の濃度計測を行うことは困難となる場合がある。
0009
また、被計測対象が一つであっても、図12,13に示すように、クエン酸水溶液とショ糖水溶液の吸光度スペクトルや、その濃度変化が近似しているため、液種の区別をして濃度識別を行うことはできなかった。
0011
本発明では、このような現状に鑑み、従来の分光分析法では吸光度の変化が小さかったり、吸光度スペクトルが近似するような被計測対象であっても液種識別や濃度識別などを行うことが出来るとともに、計測感度を向上させ、正確な計測を行うことが出来る分光分析装置および方法を提供することを目的とする。
0012
また、化学合成方法の一つとして、物質の合成の際に、マイクロ波を照射して合成反応の促進を図るマイクロ波化学合成がある。このマイクロ波化学合成におけるマイクロ波を外部電磁波と捉えることにより、マイクロ波化学合成中の反応率や組成比の検出をすることができる分光分析装置および方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0013
本発明は、前述するような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の分光分析装置は、
被計測物の識別を行うための分光分析装置であって、
前記被計測物に対して計測用電磁波を照射する計測用電磁波照射手段と、
前記被計測物に対して外部刺激を与えるための外部電磁波を照射する外部電磁波照射手段と、
前記被計測物を透過した前記計測用電磁波を検出するための検出手段と、
前記検出手段と接続されるとともに、制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、分光分析中の計測時間を計測するための時間計測手段を備えるとともに、
前記被計測物に対して前記外部電磁波を照射した状態において、前記検出手段によって検出された前記被計測物を透過した前記計測用電磁波と、前記時間計測手段によって計測された前記外部電磁波の照射時間とに基づいて、前記被計測物の識別を行うことを特徴とする。
0014
また、本発明の分光分析方法は、
被計測物の識別を行うための分光分析方法であって、
前記被計測物に対して外部電磁波を照射した状態で、計測用電磁波を照射し、
前記被計測物を透過した前記計測用電磁波に基づいて、前記被計測物の識別を行うことを特徴とする。
0015
このように被計測物に対して外部電磁波を照射するとともに、照射直後からの計測用電磁波の時間変化を連続的に計測することで、非定常状態の被計測物について分光分析を行うことができ、従来のように外部電磁波を照射せず、定常状態の被計測物の計測を行った場合とは全く異なる結果を得ることができる。これにより、定常状態では識別不可能であった被計測物であっても計測が可能となる。
0016
また、本発明では、前記計測用電磁波が、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波、RF波、X線、γ線のいずれかであることが好ましい。
また、本発明では、前記外部電磁波が、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波RF波、X線のいずれか、もしくは、これらの組み合わせであることが好ましく、特に、前記外部電磁波が、2.45GHzのマイクロ波であることが好ましい。
0017
また、本発明の分光分析装置は、前記外部電磁波照射手段が、送信アンテナと、電波レンズと、受信アンテナとを含み、
前記外部電磁波は、前記電波レンズを介して前記被計測物に照射されるように構成することができる。
0018
また、本発明の分光分析方法は、前記外部電磁波を、電波レンズを介して前記被計測物に照射することができる。
このように、電波レンズを介して被計測物に対して外部電磁波を照射することによって、
0019
また、本発明の分光分析装置は、前記外部電磁波を導波するための中空導波管を備えることができる。
また、本発明の分光分析方法は、前記外部電磁波を、中空導波管を用いて導波して、前記被計測物に照射することができる。
0020
このように、中空導波管を用いて外部電磁波を導波することによって、効率よく外部電磁波を被計測物に照射することができる。
0021
また、本発明の分光分析装置は、前記計測用電磁波照射手段、前記外部電磁波照射手段、前記検出手段を一体としたプローブを含むプローブ装置を備え、
前記計測用電磁波照射手段、前記外部電磁波照射手段、前記検出手段が、それぞれ導波管を含むように構成することができる。
0022
このように構成することによって、被計測物に対してプローブ装置が有するプローブの先端を接触させることで分光分析を行うことができ、被計測物の大きさや形を問わず、外部電磁波を照射した状態で分光分析を行うことができる。
0023
また、本発明では、前記被計測物として、溶液、懸濁液、果汁、生体液、化学工業液などの液体の識別を行うことができる。
また、本発明では、前記被計測物が、青果物、水産物、生体などの固体の識別を行うこともできる。この場合、前記被計測物における被計測対象を血糖値とすることができる。
発明の効果
0024
本発明によれば、被計測物に対して、計測用電磁波とは別に外部電磁波を照射することで被計測物を非定常状態とし、非定常状態における被計測物の分光分析を行うことにより、従来の分光分析法では吸光度スペクトルが近似するような被計測対象であっても識別が出来るとともに、計測感度を向上させ、正確な計測を行うことが出来る。
図面の簡単な説明
0025
図1は、本発明の分光分析装置の構成を説明するための概略構成図である。
図2は、本発明の分光分析装置の別の構成を説明するための概略構成図である。
図3は、本発明の分光分析装置のさらに別の構成を説明するための概略構成図である。
図4は、分光分析装置を用いて、異なる濃度のクエン酸水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。
図5は、分光分析装置を用いて、異なる濃度のショ糖水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。
図6は、分光分析装置を用いて、溶質の異なる水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。
図7は、水の吸光度の温度変化について説明するためのグラフである。
図8は、クエン酸水溶液の吸光度の温度変化について説明するためのグラフである。
図9は、ショ糖水溶液の吸光度の温度変化について説明するためのグラフである。
図10は、本発明の分光分析装置のさらに別の構成を説明するための概略構成図である。
図11は、図10の分光分析装置の変形例を説明するための概略構成図である。
図12は、従来の分光分析法を用いて、異なる濃度のクエン酸水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。
図13は、従来の分光分析法を用いて、異なる濃度のショ糖水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。
実施例
0026
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本実施例における分光分析装置の構成を説明するための概略構成図である。
本実施例の分光分析装置10は、被計測物12に対して計測用電磁波16を照射するための計測用電磁波照射手段14と、被計測物12に対して外部刺激を与え被計測物12を非定常状態とするための外部電磁波20を照射する外部電磁波照射手段18と、被計測物12を透過した計測用電磁波16を検出するための検出手段22と、を備えている。
0027
計測用電磁波16としては、例えば、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波(およそ300MHz〜3THzの電磁波)、RF(Radio Frequency)波(およそ30kHz〜300MHzの電磁波)、X線、γ線などの電磁波を用いることができ、計測用電磁波照射手段14としては、このような計測用電磁波16を照射可能なものであれば特に限定されるものではない。
0028
また、外部電磁波20としては、被計測物12を非定常状態とすることの出来る電磁波であれば特に限定されるものではなく、例えば、紫外光、可視光、赤外光、マイクロ波(およそ300MHz〜3THzの電磁波)、RF(Radio Frequency)波(およそ30kHz〜300MHzの電磁波)、X線などを用いることができ、特に、2.45GHzのマイクロ波を用いることが好ましい。また、外部電磁波20としては、上記電磁波を組み合わせたものであってもよい。なお、外部電磁波照射手段18としては、このような外部電磁波20を照射可能なものであれば特に限定されるものではない。
0029
なお、図示しないが、計測用電磁波照射手段14と被計測物12との間、被計測物12と検出手段22との間、外部電磁波照射手段18と被計測物12との間に、それぞれ、計測用電磁波16や外部電磁波20を偏波するための偏波手段を設けることもできる。
0030
なお、偏波手段としては、計測用電磁波16や外部電磁波20を直線偏波あるいは円偏波とするための手段を用いることができ、直線偏波としては、垂直、水平のいずれかを選択し、組み合わせて計測に使用することができる。
0031
また、それぞれの偏波は、所定の角度を指定して使用することもできる。さらに、円偏波と直線偏波の組み合わせや、円偏波と円偏波の組み合わせで使用することもできる。
なお、直線偏波された電磁波の送受信には、偏光子を用いる場合やホーンアンテナなどの矩形アンテナを用いることができる。
0032
また、検出手段22は、被計測物12を透過した計測用電磁波16を検出し、その強度を計測可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、CCD分光器などを用いることができる。
0033
さらに、外部電磁波照射手段18および検出手段22は、制御手段24と接続されており、制御手段24は、外部電磁波照射手段18による外部電磁波20の制御を行ったり、検出手段22により検出された計測用電磁波16に基づいて被計測物12の識別を行うように構成されている。
0034
また、制御手段24は、分光分析中の計測時間を計測するための時間計測手段25を備えており、時間計測手段25は、外部電磁波20や計測用電磁波16の照射時間を計測するように構成されている。なお、時間計測手段25としては、例えば、制御手段24に組み込まれたカウンタなどを用いることができる。
0036
このように構成された本実施例の分光分析装置10では、被計測物12として、例えば、表1に記載するようなものについて、被計測対象の計測を行うことができる。
0037
0038
なお、液体のものについては、後述するように、液体をキュベットセルに入れて計測したり、液体にプローブを挿入して計測したりすることができる。もしくは、液体をパイプ等の流通路に流通させながら計測するようにしてもよく、
一方で、固体のものについては、そのまま被計測物12とすることで、非破壊・非侵襲で計測が可能である。もちろん、青果物や水産物などは、必要に応じて切断して計測することもできる。
0039
なお、このような被計測物12を計測する場合には、計測用電磁波として、特に、可視光または赤外光を用いることが好ましく、具体的には、波長500nm〜1700nmの電磁波を用いることが好ましい。
0040
なお、本明細書において、「被計測物の識別」とは、例えば、被計測物の液種識別、被計測物における被計測対象の濃度識別、化学合成における反応率検出、組成比検出などを含んでいる。
0041
また、図1では、被計測物12に対して外部電磁波20が自由空間を伝搬して照射するように構成しているが、マイクロ波などの外部電磁波を効率よく被計測物12に照射するため、図2に示すように、送信アンテナ34、電波レンズ36a,36b、受信アンテナ38を用いるように構成してもよい。このように電波レンズ36aを介することによって、被計測物12に対して集中的に外部電磁波20を照射することができる。
0042
また、マイクロ波などの外部電磁波20を効率よく被計測物12に照射するため、図3に示すように、外部電磁波20を伝搬するための中空導波管28を用いるように構成してもよい。
0044
以下、本実施例の分光分析装置10を用いた被計測物12の分光分析方法について、図2に基づいて具体的に説明する。
ここでは、計測用電磁波照射手段14としてハロゲン灯を用い、計測用電磁波16として可視光〜近赤外光を照射している。また、外部電磁波20としては2.45GHzのマイクロ波を用いている。
0045
まず、被計測物12に対して、計測用電磁波照射手段14から計測用電磁波16を照射するとともに、検出手段22によって被計測物12を透過した計測用電磁波16の強度(光量)を測定する。
0046
このとき、図3に示すように、計測用電磁波照射手段14から中空導波管28まで、および、中空導波管28から検出手段22までの間に、例えば、光ファイバーなどの導波手段32を設けることによって、導波手段を介して被計測物12に対して計測用電磁波16を照射するようにしてもよい。
0047
そして、計測用電磁波16の強度測定を継続した状態で、被計測物12に対して、外部電磁波照射手段18から外部電磁波20を所定時間だけ照射する。外部電磁波20が照射され、非定常状態における被計測物12を透過した計測用電磁波16の強度を計測し、制御手段24において分光分析を行うことにより、被計測物12の非定常状態における特性に基づき、被計測物12の識別を行うことができる。
0048
なお、被計測物12の非定常状態における特性を計測するために要する外部電磁波20の照射時間は被計測物12に応じて異なるため、本実施例では、計測用電磁波16の強度測定を継続した状態で、外部電磁波20の照射を行っている。すなわち、外部電磁波20の照射時間と、計測用電磁波16の強度とに基づいて、被計測物12の識別を行うことができる。
0049
しかしながら、例えば、被計測物12の濃度測定など、被計測対象が既知であり、被計測物12の非定常状態における特性を計測するために要する外部電磁波20の照射時間が事前に判明している場合には、外部電磁波20の照射を開始して、所定の照射時間経過後に計測用電磁波16を照射して、分光分析を行うように構成することもできる。
0050
以下、本実施例の分光分析装置10を用いて各種被計測物12の識別を行った結果を示すとともに、従来の分光分析法により識別を行った場合と比較した結果を示す。
0051
図4は、分光分析装置10を用いて、異なる濃度のクエン酸水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。このグラフでは、外部電磁波20の照射時間と、計測用電磁波16の波長900nmにおける吸光度との関係を示している。
0052
なお、ここでは、それぞれ0重量%(水)、1重量%、5重量%、10重量%のクエン酸水溶液について、分光分析装置10を用いて、分光分析を行った。
0053
図4に示すように、外部電磁波20(2.45GHzのマイクロ波)の照射を開始してからおよそ1.5秒経過以降で、各濃度のクエン酸水溶液の吸光度に差が生じている。これにより、クエン酸の濃度計測を行うことができる。
0054
図5は、分光分析装置10を用いて、異なる濃度のショ糖水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。このグラフでは、外部電磁波20の照射時間と、計測用電磁波16の波長900nmにおける吸光度との関係を示している。
0055
なお、ここでは、それぞれ0重量%(水)、1重量%、5重量%、10重量%のショ糖水溶液について、分光分析装置10を用いて、分光分析を行った。
0056
図5に示すように、外部電磁波20(2.45GHzのマイクロ波)の照射を開始してからおよそ1.5秒経過以降で、各濃度のショ糖水溶液の吸光度に差が生じている。これにより、ショ糖の濃度計測を行うことができる。
0057
上述するように、従来の分光分析法では、吸光度にほとんど差が生じなかったような低濃度の被計測対象であっても、本発明の分光分析装置10を用いることによって、吸光度に差を生じさせることができ、被計測物12の識別を行うことが可能となる。
0058
また、吸光度スペクトルが近似するために、従来の分光分析法では区別することが困難な被計測対象であっても、本発明の分光分析装置10を用いることによって、吸光度スペクトルに差を生じさせることができ、被計測物12の識別を行うことが可能となる。
0059
図6は、分光分析装置10を用いて、溶質の異なる水溶液について分光分析を行った結果を示すグラフである。このグラフでは、外部電磁波20の照射時間と、計測用電磁波16の波長900nmにおける吸光度との関係を示している。
0060
なお、ここでは、水、10重量%ショ糖水溶液、10重量%クエン酸水溶液、10重量%塩化ナトリウム水溶液について、分光分析装置10を用いて、それぞれ分光分析を行った。
0061
図6に示すように、溶質の種類によって、吸光度の時間変化が大きく異なっている。このことから、本実施例の分光分析装置10を用い、計測用電磁波16の強度測定を継続した状態で、外部電磁波20を所定時間だけ照射することにより、被計測物12の液種識別を行うことができる。
0062
一般的に、水溶液に対してマイクロ波を照射することにより、水溶液の温度が上昇し、吸光度にも変化が生じることが知られている。図4〜図6に示す分光分析において、各水溶液は下記表2に示す温度変化が生じた。
0063
0064
しかしながら、表2及び図4〜6からも明らかなように、水溶液の温度変化と、各水溶液の吸光度の変化とには、特に関連性はない。
0065
図7〜9は、吸光度の温度変化について説明するためのグラフである。図7は水、図8はクエン酸水溶液、図9はショ糖水溶液について、20℃の際の吸光度を基準として、30℃及び40℃まで液温を上昇した際の吸光度の変化量を示している。
0066
図7〜9に示すように、クエン酸水溶液及びショ糖水溶液の吸光度の温度変化は、水の吸光度の温度変化とほとんど変わっていない。すなわち、外部電磁波20としてマイクロ波を照射したことによる図4〜6に示すような吸光度の変化は、マイクロ波を照射したことによる液温の上昇に伴う吸光度の変化とは直接的な関係はない。
0067
特に、本実施例では、計測用電磁波16として波長900nmの近赤外光を用いているが、図7〜9に示すように、波長900nm付近では、温度上昇による吸光度の変化はほとんど生じておらず、このことからも、マイクロ波を照射したことによる液温の上昇に伴う吸光度の変化とは直接的な関係はないと言える。
0068
すなわち、本発明の分光分析装置10を用いることによって、外部電磁波20を照射しながら分光分析を行うことによって、非定常状態の被計測物についての特性に基づき、被計測物の識別を行うことができる。
0069
なお、中空導波管内に被計測物12を載置した状態で計測を行う場合、中空導波管内における外部電磁波20の疎密分布により、被計測物12を載置した場所によって得られる結果が変わってきてしまうため、被計測物12を載置する場所は一定の位置とすることが望まれる。
0070
図10は、別の実施例における分光分析装置の構成を説明するための図であり、図10(a)は、全体の構成を説明するための概略構成図、図10(b)は、プローブの先端部の構成を説明するための概略構成図である。
0072
この実施例の分光分析装置10は、図10(a)、(b)に示すように、それぞれ導波管を含む計測用電磁波照射手段14と、外部電磁波照射手段18と、検出手段22とを一体としたプローブ11aを含むプローブ装置11を備えている。
0073
なお、プローブ11aの導波管としては、計測用電磁波16、外部電磁波20の波長に応じて適宜選択することができ、例えば、可視光や赤外線であれば光ファイバーなどを用いることができ、また、マイクロ波であれば同軸ケーブルなどを用いることができる。
0074
また、外部電磁波20を被計測物12内部に伝搬させるため、外部電磁波照射手段18は、外部電磁波照射部18aと外部電磁波吸収部18bを備えており、図10(b)に示すように、被計測物12内部に外部電磁波20を伝搬させている。
0076
また、プローブ装置11は、計測用電磁波16や外部電磁波20を発生させる電磁波発生装置11bを備えており、この電磁波発生装置11bで発生させた計測用電磁波16や外部電磁波20を、プローブ11aを介して照射するように構成されている。
0077
このように計測用電磁波照射手段14、外部電磁波照射手段18、検出手段22を一体としたプローブ11aを含むプローブ装置11を備えた分光分析装置10とすれば、被計測物12に対してプローブ11の先端を接触させることで分光分析を行うことができ、例えば、中空導波管内に載置することができないような大きさの被計測物12であっても外部電磁波を照射した状態で分光分析を行うことが可能となる。
0078
なお、被計測物12が、例えば、スイカやメロンなどの青果物、ヒトの指などの生体などのように、表面が湾曲している場合には、図11に示すように、プローブ11aの先端部をその曲面に一致させるように構成することもできる。
0079
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、上記実施例では、被計測物として水溶液を用いて説明したが、ヒトの指などを被計測物として血糖値の計測などにも応用することができる。
0080
また、上記実施例では、被計測物の吸光度に基づく識別の例を用いて説明しているが、例えば、透過光量、反射光量、透過率、反射率などの特性値に基づく識別としてもよく、さらには、複数の波長に対する特性値を計測し、それらの差分や2次微分などに基づく識別としてもよいなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
0081
10分光分析装置
11プローブ装置
11aプローブ
11b電磁波発生装置
12被計測物
14計測用電磁波照射手段
16 計測用電磁波
18 外部電磁波照射手段
18a 外部電磁波照射部
18b 外部電磁波吸収部
20 外部電磁波
22 検出手段
24 制御手段
26 出力手段
28中空導波管
29終端装置
30キュベットセル
32導波手段
34送信アンテナ
36a電波レンズ
36b 電波レンズ
38 受信アンテナ
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