図面 (/)

技術 孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法

出願人 伯東株式会社
発明者 伊藤賢一関戸広太
出願日 2015年6月9日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-116448
公開日 2017年1月5日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-002351
状態 特許登録済
技術分野 一般的な熱交換又は熱伝達装置の細部4 スケール防止 乳化剤、分散剤、気泡剤、湿潤剤 金属の防食及び鉱皮の抑制
主要キーワード 渦巻管 水温制御装置 渦巻板 仕切室 ユーティリティコスト 液面制御装置 誘引通風 鉄系金属表面
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

解決手段

防食被膜形成成分分散剤成分を有効成分として含み、防食被膜形成成分が、マレイン酸系重合体イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含有し、分散剤成分がモノエチレン性不飽和カルボン酸モノエチレン性不飽和スルホン酸共重合体を含有し、防食被膜形成成分の配合量に対する分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8である孔食抑制剤組成物及び、循環水中における該防食被膜形成成分と該分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になるように開放循環式冷却水システムに添加する孔食抑制方法。

概要

背景

開放循環式冷却水システムにおいて、系内の熱交換器伝熱管配管材質として、一般的に炭素鋼等の鉄系の金属が用いられている。これらの鉄系金属は水と接触すると著しい腐食が発生するため、鉄系金属の腐食を防止するため各種の腐食抑制剤が用いられる。これらの腐食抑制剤は、鉄系金属の表面に薄い防食被膜を形成することによって腐食を防止する。

従来、開放循環式冷却水システムの腐食防止方法として、冷却水リン酸あるいは縮合リン酸塩を用いることが一般的に知られており、また、縮合リン酸塩やホスホン酸等のリン系化合物亜鉛化合物を併用する腐食抑制剤も多用されている。

しかし、亜鉛化合物等の重金属類リン酸類は、水生生物への毒性や、湖沼河川などの富栄養化等への影響が懸念されており、近年ではこれらの物質の排出に対し、厳格規制が行われるようになった。従って、重金属類やリン酸類の使用量を削減できる腐食抑制剤及び腐食抑制方法が求められている。

一方、開放循環式冷却水システムにおいて、金属の腐食はアノード面で生じるため、アノード抑制を行うことによって、金属表面全体における腐食速度を低下させることが出来るが、防食被膜の形成が均一になされていない場合、被膜欠損部であるアノードに流れる腐食電流が過大となり、金属内部に向かって孔状に進行する孔食と呼ばれる局部腐食が発生する。システム運転中、熱交換器に孔食が生じた場合、プロセス側への冷却水へのリーク、またはプロセス側からのリーク等が生じ、システムの運転に多大な影響を与え、時にはプロセス側プラント予定外運転停止に至る場合もある。

熱交換器の伝熱管の寿命は、伝熱管が孔食等により穿孔するか、あるいは最大孔食深さが安全上の許容値に達するまでの期間であるから、孔食の抑制は伝熱管の長寿命化に寄与する。

多管式熱交換器炭素鋼鋼管には、一般に継目無鋼管が使用されており、特に外径寸法の精度が求められることから寸法精度の高い冷間仕上げ継目無鋼管が使用されているが、冷間仕上げ継目無鋼管には冷間加工後熱処理により生成したミルスケール冷間加工時の潤滑剤の炭化物下地処理残渣物等が鋼表面に不均一に付着しており、これらは酸素濃淡電池形成による孔食の原因となりやすい。しかしながら、従来の腐食抑制方法では全体の腐食速度を抑制することはできても孔食速度を十分抑制することはできなかった。

例えば、特許文献1には「ごく一般的な水質の例では、PO4として10mg/L程度或いはそれ以上のリン系化合物を添加すればある程度の腐食抑制効果が得られるものの、確実に孔食を抑制するためには100mg/L程度の高濃度添加が必要となる。」と記載され、特許文献2には、水系における金属の局部腐食の進行を抑止するための「防食剤の大量添加によりスケール障害を引き起こす可能性もある」とも記載され、孔食抑制の困難さを示している。

特許文献1では、対象水系に供給する水をアニオン交換樹脂と接触させて孔食に関与する腐食性イオンを除去する操作を併用し、リン系化合物の添加量を低く抑える金属の孔食抑制方法を提案している。しかし、この方法ではアニオン交換樹脂を充填した設備を追加する必要があり、また、その設備やアニオン交換樹脂の維持管理等も必要となるため、水系の管理操作が煩雑となり、また、コストも増加する。

特許文献2では、局部腐食の進行を抑止する方法として、防食剤を内包したマイクロカプセルを水系に添加する方法を提案している。そのマイクロカプセルに内包される防食剤はリン酸、クロム酸タングステン酸モリブデン酸水溶性塩等が挙げられている。また、特許文献3では、モリブデン酸、タングステン酸またはそれらの塩と、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムとを含有することを特徴とする孔食防止剤が提案されている。しかし、これらの提案においてはマイクロカプセルの調製工程が必要であったり、比較的高価なタングステンモリブデン等の重金属類を主成分として適用するため、重金属類の使用量を削減できる孔食防止剤及び孔食防止方法の要求に十分対応できず、また、コストも増加することになる。

また、エタノールアミンビスホスホノメチル−N−オキサイドヒドロキシイミノビス(メチルホスホン酸)(特許文献4参照)等のホスホン酸誘導体も局部腐食抑制効果を有することが開示されているが、十分な効果を得るためには高い濃度が必要であるなどの問題がある。

一方、特許文献5には、リンを含有せず局部腐食を防止する効果のある水処理剤として、イソプレンスルホン酸アクリル酸メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルターポリマやイソプレンスルホン酸/アクリル酸/アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸系ターポリマ等が開示されているが、同一出願人は特許文献6において、これらのポリマの単独使用は、対象水系の条件によっては孔食を引き起こす可能性があることを指摘している。そして、特許文献6では、非リン、非金属系孔食防止効果の優れた腐食防止剤として、ケイ酸又はその塩とスルホン酸系ポリマを含む腐食防止剤を提案している。しかし、この腐食防止剤は対象水系のシリカ濃度が50〜100mg/Lになるように添加するため、シリカ濃度の増減が大きい水系では薬剤添加量の調節が難しい。

以上のように、亜鉛化合物やリン化合物の使用量を削減でき、かつ、効果の高い、水と接触する鉄系金属の孔食抑制剤及び孔食抑制方法に対する要求は依然として高い。

概要

開放循環式冷却水システムの炭素鋼製熱交換器に適用する、低温安定性が優れた孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法を提供する。防食被膜形成成分分散剤成分を有効成分として含み、防食被膜形成成分が、マレイン酸系重合体イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含有し、分散剤成分がモノエチレン性不飽和カルボン酸モノエチレン性不飽和スルホン酸共重合体を含有し、防食被膜形成成分の配合量に対する分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8である孔食抑制剤組成物及び、循環水中における該防食被膜形成成分と該分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になるように開放循環式冷却水システムに添加する孔食抑制方法。なし

目的

本発明は、開放循環式冷却水システムにおいて、亜鉛化合物やリン化合物の使用量を削減でき、かつ、炭素鋼の孔食抑制効果の高い、さらには組成物を低温貯蔵したときの安定性が優れている、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

水と接触する炭素鋼製熱交換器材質孔食を抑制する孔食抑制剤組成物であって、該孔食抑制剤組成物が防食被膜形成成分分散剤成分を有効成分として含み、防食被膜形成成分が、マレイン酸系重合体イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含有し、分散剤成分がモノエチレン性不飽和カルボン酸モノエチレン性不飽和スルホン酸共重合体を含有し、防食被膜形成成分の配合量に対する分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8であることを特徴とする孔食抑制剤組成物。

請求項2

前記防食被膜形成成分として、更にリン酸重合リン酸有機ホスホン酸ホスホノカルボン酸ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物の1種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の孔食抑制剤組成物。

請求項3

前記防食被膜形成成分におけるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の合計比率が25〜85重量%、亜鉛イオンを放出する化合物の比率亜鉛換算で15〜35重量%、リン系化合物の比率が0〜45重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の孔食抑制剤組成物。

請求項4

開放循環式冷却水システム循環水中における防食被膜形成成分の添加量に対する分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になるように防食被膜形成成分と分散剤成分を開放循環式冷却水システムに添加することにより、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食を抑制する孔食抑制方法であって、該防食被膜形成成分は、マレイン酸系重合体、イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含み、更にリン酸、重合リン酸、有機ホスホン酸、ホスホノカルボン酸、ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物の1種以上を含んでもよく、該分散剤成分はモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体を含み、該開放循環式冷却水システムの循環水中の亜鉛添加濃度がZn換算で0.5〜2mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で1〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/Lを超え300mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が300mgCaCO3/Lを超えるときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜2mg/Lの範囲であることを特徴とする孔食抑制方法。

請求項5

前記防食被膜形成成分と前記分散剤成分を有効成分として含み、該防食被膜形成成分の配合量に対する該分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8である孔食抑制剤組成物を開放循環式冷却水システムに添加することを特徴とする請求項4記載の孔食抑制方法。

技術分野

0001

本発明は、開放循環式冷却水システムにおいて、水と接触する炭素鋼等の鉄系金属腐食、特に孔食を抑制する組成物及び孔食を抑制する方法に関する。また、低温安定性に優れた該組成物に関する。

背景技術

0002

開放循環式冷却水システムにおいて、系内の熱交換器伝熱管配管材質として、一般的に炭素鋼等の鉄系の金属が用いられている。これらの鉄系金属は水と接触すると著しい腐食が発生するため、鉄系金属の腐食を防止するため各種の腐食抑制剤が用いられる。これらの腐食抑制剤は、鉄系金属の表面に薄い防食被膜を形成することによって腐食を防止する。

0003

従来、開放循環式冷却水システムの腐食防止方法として、冷却水リン酸あるいは縮合リン酸塩を用いることが一般的に知られており、また、縮合リン酸塩やホスホン酸等のリン系化合物亜鉛化合物を併用する腐食抑制剤も多用されている。

0004

しかし、亜鉛化合物等の重金属類リン酸類は、水生生物への毒性や、湖沼河川などの富栄養化等への影響が懸念されており、近年ではこれらの物質の排出に対し、厳格規制が行われるようになった。従って、重金属類やリン酸類の使用量を削減できる腐食抑制剤及び腐食抑制方法が求められている。

0005

一方、開放循環式冷却水システムにおいて、金属の腐食はアノード面で生じるため、アノード抑制を行うことによって、金属表面全体における腐食速度を低下させることが出来るが、防食被膜の形成が均一になされていない場合、被膜欠損部であるアノードに流れる腐食電流が過大となり、金属内部に向かって孔状に進行する孔食と呼ばれる局部腐食が発生する。システム運転中、熱交換器に孔食が生じた場合、プロセス側への冷却水へのリーク、またはプロセス側からのリーク等が生じ、システムの運転に多大な影響を与え、時にはプロセス側プラント予定外運転停止に至る場合もある。

0006

熱交換器の伝熱管の寿命は、伝熱管が孔食等により穿孔するか、あるいは最大孔食深さが安全上の許容値に達するまでの期間であるから、孔食の抑制は伝熱管の長寿命化に寄与する。

0007

多管式熱交換器炭素鋼鋼管には、一般に継目無鋼管が使用されており、特に外径寸法の精度が求められることから寸法精度の高い冷間仕上げ継目無鋼管が使用されているが、冷間仕上げ継目無鋼管には冷間加工後熱処理により生成したミルスケール冷間加工時の潤滑剤の炭化物下地処理残渣物等が鋼表面に不均一に付着しており、これらは酸素濃淡電池形成による孔食の原因となりやすい。しかしながら、従来の腐食抑制方法では全体の腐食速度を抑制することはできても孔食速度を十分抑制することはできなかった。

0008

例えば、特許文献1には「ごく一般的な水質の例では、PO4として10mg/L程度或いはそれ以上のリン系化合物を添加すればある程度の腐食抑制効果が得られるものの、確実に孔食を抑制するためには100mg/L程度の高濃度添加が必要となる。」と記載され、特許文献2には、水系における金属の局部腐食の進行を抑止するための「防食剤の大量添加によりスケール障害を引き起こす可能性もある」とも記載され、孔食抑制の困難さを示している。

0009

特許文献1では、対象水系に供給する水をアニオン交換樹脂と接触させて孔食に関与する腐食性イオンを除去する操作を併用し、リン系化合物の添加量を低く抑える金属の孔食抑制方法を提案している。しかし、この方法ではアニオン交換樹脂を充填した設備を追加する必要があり、また、その設備やアニオン交換樹脂の維持管理等も必要となるため、水系の管理操作が煩雑となり、また、コストも増加する。

0010

特許文献2では、局部腐食の進行を抑止する方法として、防食剤を内包したマイクロカプセルを水系に添加する方法を提案している。そのマイクロカプセルに内包される防食剤はリン酸、クロム酸タングステン酸モリブデン酸水溶性塩等が挙げられている。また、特許文献3では、モリブデン酸、タングステン酸またはそれらの塩と、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムとを含有することを特徴とする孔食防止剤が提案されている。しかし、これらの提案においてはマイクロカプセルの調製工程が必要であったり、比較的高価なタングステンモリブデン等の重金属類を主成分として適用するため、重金属類の使用量を削減できる孔食防止剤及び孔食防止方法の要求に十分対応できず、また、コストも増加することになる。

0011

また、エタノールアミンビスホスホノメチル−N−オキサイドヒドロキシイミノビス(メチルホスホン酸)(特許文献4参照)等のホスホン酸誘導体も局部腐食抑制効果を有することが開示されているが、十分な効果を得るためには高い濃度が必要であるなどの問題がある。

0012

一方、特許文献5には、リンを含有せず局部腐食を防止する効果のある水処理剤として、イソプレンスルホン酸アクリル酸メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルターポリマやイソプレンスルホン酸/アクリル酸/アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸系ターポリマ等が開示されているが、同一出願人は特許文献6において、これらのポリマの単独使用は、対象水系の条件によっては孔食を引き起こす可能性があることを指摘している。そして、特許文献6では、非リン、非金属系孔食防止効果の優れた腐食防止剤として、ケイ酸又はその塩とスルホン酸系ポリマを含む腐食防止剤を提案している。しかし、この腐食防止剤は対象水系のシリカ濃度が50〜100mg/Lになるように添加するため、シリカ濃度の増減が大きい水系では薬剤添加量の調節が難しい。

0013

以上のように、亜鉛化合物やリン化合物の使用量を削減でき、かつ、効果の高い、水と接触する鉄系金属の孔食抑制剤及び孔食抑制方法に対する要求は依然として高い。

先行技術

0014

特開平11−029885号公報
特開2004−353025号公報
特開2007−023370号公報
特開平10−165987号公報
特開平9−248555号公報
特開2008−088475号公報

発明が解決しようとする課題

0015

本発明者らは、開放循環式冷却水システムにおいて、亜鉛化合物やリン化合物の使用量を削減でき、かつ、鉄系金属、特に炭素鋼における孔食抑制効果の高い、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食抑制剤組成物について研究した結果、炭素鋼の孔食抑制効果の高い組成物であっても組成物としての貯蔵安定性、特に低温安定性が悪く実用的でない場合があることが判った。そこで、本発明は、開放循環式冷却水システムにおいて、亜鉛化合物やリン化合物の使用量を削減でき、かつ、炭素鋼の孔食抑制効果の高い、さらには組成物を低温貯蔵したときの安定性が優れている、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0016

本発明者らは、上記の課題を解決すべく、開放循環式冷却水システムの水と接触する鉄系金属の孔食抑制について鋭意検討の結果、本発明者らは、特定のマレイン酸系重合体、特定のイタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含む防食被膜形成成分に、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノエチレン性不飽和スルホン酸共重合体を含む分散剤成分を併用することによって、鉄系金属表面の防食被膜の形成が均一になされ、かつ、防食被膜の肥厚によるスケール化を防止し、確実で安定的な優れた孔食抑制効果を達成することができることを見出し、更に、各成分の比率を適正化することにより、低温で貯蔵した場合の安定性が優れている組成物配合を見出し、本発明に到達した。

0017

即ち、請求項1に係る発明は、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食を抑制する孔食抑制剤組成物であって、該孔食抑制剤組成物が防食被膜形成成分と分散剤成分を有効成分として含み、防食被膜形成成分が、マレイン酸系重合体、イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含有し、分散剤成分がモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体を含有し、防食被膜形成成分の配合量に対する分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8であることを特徴とする孔食抑制剤組成物である。

0018

請求項2に係る発明は、前記防食被膜形成成分として、更にリン酸、重合リン酸有機ホスホン酸ホスホノカルボン酸ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物の1種以上を含むことを特徴とする請求項1記載の孔食抑制剤組成物である。

0019

請求項3に係る発明は、前記防食被膜形成成分におけるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の合計比率が25〜85重量%、亜鉛イオンを放出する化合物の比率が亜鉛換算で15〜35重量%、リン系化合物の比率が0〜45重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の孔食抑制剤組成物である。

0020

請求項4に係る発明は、開放循環式冷却水システムの循環水中における防食被膜形成成分の添加量に対する分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になるように防食被膜形成成分と分散剤成分を開放循環式冷却水システムに添加することにより、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食を抑制する孔食抑制方法であって、該防食被膜形成成分は、マレイン酸系重合体、イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含み、更にリン酸、重合リン酸、有機ホスホン酸、ホスホノカルボン酸、ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物の1種以上を含んでもよく、該分散剤成分はモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体を含み、該開放循環式冷却水システムの循環水中の亜鉛添加濃度がZn換算で0.5〜2mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で1〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/Lを超え300mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が300mgCaCO3/Lを超えるときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜2mg/Lの範囲であることを特徴とする孔食抑制方法である。

0021

請求項5に係る発明は、前記防食被膜形成成分と前記分散剤成分を有効成分として含み、該防食被膜形成成分の配合量に対する該分散剤成分の配合量の重量比が0.4〜0.8である孔食抑制剤組成物を開放循環式冷却水システムに添加することを特徴とする請求項4記載の孔食抑制方法である。

発明の効果

0022

本発明の水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法を開放循環式冷却水システムに適用することにより、熱交換器材質に生じる孔食によるプロセス側への冷却水へのリーク、またはプロセス側からのリーク等の障害が減少する。これらのリークを原因とするプラントの予定外の運転停止では、リーク部分の補修後にプラントの各機器を加熱して立ち上げ、熱交換器が定常状態に達するまでに相当の期間を要する。従って、プラントの安定運転に寄与する本発明には多大な省資源省エネルギー効果がある。また、本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法は、従来の孔食防止剤に比べて開放循環式冷却水システムに添加する亜鉛化合物やリン化合物の濃度を少なくできるため、環境への影響も低減できる。

図面の簡単な説明

0023

実施例に使用した試験装置を示す系統図である。

0024

本発明の対象となる開放循環式冷却水システムは、石油精製工場化学工場火力発電所製鉄所紙パルプ製造業自動車工場半導体製造工業等の各種製造業の冷却水システムや、空調用の冷却水システムを含む。

0025

本発明が適用される熱交換器の種類は特に限定されないが、例えばシェルアンドチューブ式多管式熱交換器、二重管式熱交換器スパイラル式熱交換器プレート式熱交換器渦巻管式熱交換器渦巻板式熱交換器、コイル式熱交換器ジャケット式熱交換器等が挙げられる。

0026

本発明における水と接触する熱交換器の鉄系金属表面とは、熱交換器の伝熱表面管板仕切室内面、胴内面、邪魔板等の熱交換器部材配管表面の水側を指すが、特に熱交換器用炭素鋼鋼管が本発明の対象となる。本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法が適用できる熱交換器用炭素鋼鋼管は、例えばJIS G3461:2012に規定されているボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管のSTB340、STB410、STB510等であり、冷間仕上継目無管熱間仕上継目無管を含む。本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法は、熱交換器用炭素鋼鋼管として一般に用いられている冷間仕上げ継目無鋼管の孔食抑制に対して特に有効である。

0027

本発明における孔食とは、JIS Z0103:1996「防せい防食用語」に定義されるような、金属の欠陥部分から腐食が進行し、金属内部に向って孔状(ピット状)に進行する局部腐食を意味する。

0028

本発明における防食被膜形成成分とは、水と接触する鉄系金属の金属表面に防食被膜を形成する成分であって、本発明ではマレイン酸系重合体、イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物、更には、リン酸、重合リン酸、有機ホスホン酸、ホスホノカルボン酸、ホスフィノポリカルボン酸ならびのそれらの水溶性塩等のリン系化合物が挙げられる。

0029

本発明における分散剤成分とは、水と接触する鉄系金属の金属表面に形成される防食被膜の肥厚化・スケール化を防止するため、過剰な防食被膜形成成分を水中に分散安定化させる成分であって、本発明ではモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体が挙げられる。

0030

本発明で用いるマレイン酸系重合体は、マレイン酸を主要な構成単位として含む重合体であり、該重合体はマレイン酸系モノマー、またはマレイン酸系モノマー及びマレイン酸と共重合可能なその他モノマー重合させて製造する。

0031

該重合体におけるマレイン酸の構成比率は70〜100重量%の範囲であるが、好ましくは80〜100重量%の範囲である。本発明のマレイン酸系重合体は、マレイン酸ホモ重合体、あるいはマレイン酸と共重合可能なその他モノマーを30重量%未満の割合で含むマレイン酸共重合体であってもよい。

0032

本発明で用いるイタコン酸系重合体は、イタコン酸を主要な構成単位として含む重合体であり、該重合体はイタコン酸系モノマー、またはイタコン酸系モノマー及びイタコン酸と共重合可能なその他モノマーを重合させて製造する。

0033

該重合体におけるイタコン酸の構成比率は70〜100重量%の範囲であるが、好ましくは80〜100重量%の範囲である。本発明のイタコン酸系重合体は、イタコン酸ホモ重合体、あるいはイタコン酸と共重合可能なその他モノマーを30重量%未満の割合で含むイタコン酸共重合体であってもよい。

0034

前記のマレイン酸系モノマーとしては、マレイン酸およびその中和塩無水マレイン酸マレイン酸エステルおよびこれらの混合物などが挙げられる。上記中和塩としては、例えばアルカリ金属塩(具体的にはカリウム塩ナトリウム塩など)、およびアンモニウム塩などが挙げられ、これらの1種以上であってもよい。

0035

前記のマレイン酸と共重合可能なその他のモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸クロトン酸などの不飽和カルボン酸類;(メタアクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキシルアキルエステル類;(メタ)アクリルアミド;N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド類エチレンプロピレンイソプロピレンブチレンイソブチレンヘキセン、2−エチルヘキセンペンテンイソペンテン、オクテンイソオクテンなどのオレフィン類ビニルアルキルメチルエーテル類などが挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。

0036

前記のイタコン酸系モノマーとしては、イタコン酸およびその中和塩、無水イタコン酸イタコン酸エステルおよびこれらの混合物などが挙げられる。中和塩としては、上記マレイン酸系モノマーで例示したものと同じである。前記のイタコン酸と共重合可能なその他のモノマーは、マレイン酸と共重合可能なその他のモノマーと同じものが用いられる。

0037

本発明で用いるマレイン酸系重合体の分子量は、通常は300〜5000、好ましくは400〜3000である。分子量がこの範囲を外れると、孔食抑制効果やスケール抑制効果が小さくなり好ましくない。なお、共重合体はブロックまたはランダム共重合体の何れであってもよい。

0038

本発明で用いるイタコン酸系重合体の分子量は、通常は300〜5000、好ましくは400〜3000である。分子量がこの範囲を外れると、孔食抑制効果やスケール抑制効果が小さくなり好ましくない。なお、共重合体はブロックまたはランダム共重合体の何れであってもよい。

0039

また、後述の、マレイン酸系重合体を製造後、同一反応容器においてマレイン酸系重合体が入ったままの状態でイタコン酸系重合体の製造を行う、あるいはその逆の順序で2種の重合体を同一反応容器において製造する場合では、マレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の分子量をそれぞれ別個に測定することができないため、これらの混合物の平均分子量として測定される。すなわち、このマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物の重量平均分子量は、通常は300〜3000、好ましくは400〜2000である。分子量がこの範囲を外れると、孔食抑制効果やスケール抑制効果が小さくなり好ましくない。

0040

本発明で用いるマレイン酸系重合体及びイタコン酸系重合体は公知の方法により製造できる。すなわち、マレイン酸系モノマーまたはイタコン酸系モノマーを水溶液中、またはキシレントルエンイソプロピルアルコールなどの有機溶媒中で、過酸化水素過酸化ベンゾイル過硫酸塩、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの重合開始剤の存在下において、必要に応じて重合調整剤を加えて加熱することにより製造される。マレイン酸系重合体の製造方法は、例えば芳香族系溶媒に対して、2〜10重量%の無水マレイン酸を入れて加熱・溶解し、重合開始剤を無水マレイン酸に対して5〜12重量%添加して、100〜200℃の温度で重合する方法(特許2964154号公報)が開示されている。イタコン酸系重合体の製造方法は、例えば、水溶性塩基中和したイタコン酸水溶液に開始剤を添加して80〜120℃の温度に維持する方法(特開平5−86129号公報)が開示されている。

0041

これらの重合体の製造に用いる溶媒がトルエンやキシレンなどの非水系の有機溶媒の場合、マレイン酸の替わりに無水マレイン酸やマレイン酸エステル類、イタコン酸の替わりにイタコン酸エステル類や無水イタコン酸などの有機溶媒に溶解可能なモノマーを使用し、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機溶媒に溶解可能な重合開始剤を用いる。無水物やエステルを含む重合体を製造後、有機溶媒をデカンテーション蒸発により除去して、水を加えて加熱しながらエステルや無水物を加水分解して目的とする水溶性のマレイン酸系重合体やイタコン酸系重合体を得ることができる。しかしながら、非水系溶媒中における重合では有機溶媒の除去工程や加水分解工程が必要であるため、操作が煩雑なだけでなく、これらの工程で使用される加熱用エネルギーコストや溶媒の費用が大きく、経済的でない。また、有害な有機溶媒が大気中や排水や土壌などに放出された場合の、環境や人体への影響も無視できない。このため、本発明で用いるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の製造方法では、有機溶媒を用いない水系重合法で製造することが好ましい。溶媒として主に水を使用した水系重合法の場合、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸などの水に溶解可能なモノマーを使用し、過酸化水素、過硫酸塩、水溶性アゾ系触媒などの水に溶解可能な重合開始剤を用いて製造される。

0042

本発明で用いるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の好ましい製造方法は、同一反応容器においてマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体を連続して製造する方法である。即ち、マレイン酸系重合体を製造後、同一反応容器においてマレイン酸系重合体が入ったままの状態でイタコン酸系重合体の製造を行って2種の重合体の混合物を直接製造してもよく、イタコン酸系重合体を製造後、同一反応容器においてイタコン酸系重合体が入ったままの状態でマレイン酸系重合体の製造を行って2種の重合体の混合物を直接製造してもよいが、より好ましい製造方法は、マレイン酸系重合体を製造後、同一反応容器においてマレイン酸系重合体が入ったままの状態でイタコン酸系重合体の製造を行って2種の重合体の混合物を直接製造する方法である。

0043

同一反応容器においてマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物を製造することにより、加熱に要する蒸気使用量が削減でき、各工程後の洗浄の手間が省け、工程短縮等によりユーティリティコストマンパワーが削減できるだけでなく、該製造方法によってモノマー反応率を向上させ、孔食抑制効果を向上させることができるといった予想外の効果を得ることができる。

0044

上記の同一反応容器によるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物の好ましい製造方法の具体例は、水にマレイン酸または無水マレイン酸のいずれか又は両方とアルカリ金属水酸化物を加えて溶解するか、あるいは水にマレイン酸のアルカリ金属塩を溶解して調製したマレイン酸のモノマー溶液所定温度に加熱し、その温度を維持しながら一定時間かけて重合開始剤溶液を添加する1回目の重合開始剤添加を行なってマレイン酸重合体溶液を調製し、次いで、そのマレイン酸重合体溶液にイタコン酸(あるいは無水イタコン酸)を加えて溶解した後、所定温度に加熱し、その温度を維持しながら一定時間かけて重合開始剤溶液を添加する2回目の重合開始剤添加を行なうことにより、マレイン酸重合体とイタコン酸重合体混合物溶液を調製する方法である。

0045

ここで、マレイン酸重合時の1回目の重合開始剤添加終了時からイタコン酸重合時の2回目の重合開始剤添加開始までの重合開始剤添加間隔は、モノマー反応率や該製造方法により製造した重合体混合物を配合した組成物の孔食抑制効果に影響を及ぼし、重合開始剤添加間隔が20〜100分間の範囲のとき、高いモノマー反応率と優れた孔食抑制効果を示し、重合開始剤添加間隔がこの範囲を外れる孔食抑制効果が低下する。この理由は必ずしも明確でないが、重合開始剤添加間隔が20分間未満では、マレイン酸重合体の残存ラジカルにさらにイタコン酸モノマーが重合して、性能上好ましくないイタコン酸とマレイン酸のブロック共重合体が生成する可能性が考えられる。重合開始剤添加間隔が20〜100分間ではマレイン酸重合体の残存ラジカルが消失するため、独立したマレイン酸重合体とイタコン酸重合体が生成すると推察される。重合開始剤添加間隔が100分間を超えると、重合開始剤活性が低下するためモノマー反応率が低下し、同一反応容器で製造する利点が無くなると推察される。イタコン酸の添加方法は、上述の1回目の重合開始剤添加終了時から2回目の重合開始剤添加開始までの重合開始剤添加間隔の時間内に一括して添加するのが好ましい。

0046

同一反応容器によりマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物を製造する方法において、マレイン酸やイタコン酸以外に、前記のマレイン酸やイタコン酸と共重合可能なその他モノマーを含んでもよいが、その量はマレイン酸やイタコン酸の合計量に対して30重量%未満であることが好ましく、その添加時期は特に制限はないが、通常はマレイン酸あるいはイタコン酸の投入と同時に行う。

0047

同一反応容器によりマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物を製造する方法において、水酸化ナトリウム水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の添加量は、マレイン酸とイタコン酸ならびにその他の不飽和カルボン酸合計モル数に対して0.2〜2のモル比で添加するのが好ましい。ここで、アルカリ金属水酸化物は重合開始前一括添加するか、あるいは各重合工程時に分割添加してもよいが、好ましくは重合開始前に一括添加する方法である。

0048

同一反応容器によりマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物を製造する方法に用いる重合開始剤は、過酸化水素、過硫酸塩などを単独で使用してもよいが、過酸化水素と過硫酸塩を併用するのが好ましく、該重合開始剤の添加量は、マレイン酸とイタコン酸の合計量に対して過酸化水素が0.3〜30重量%、過硫酸塩が0.1〜5重量%の範囲が好ましい。更に、重合開始剤とともにレドックス触媒を添加するのが好ましく、好ましいレドックス触媒は、還元可能なカチオンであり、鉄、亜鉛、コバルト、モリブデン、クロムニッケルバナジウム及びセシウムおよびそれらの組み合わせから得られる金属イオンを含み、より好ましいレドックス触媒は硫酸第一鉄アンモニウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄コバルト塩(例えば、硫酸コバルト六水和物)、バナジウム塩およびそれらの組み合わせである。レドックス触媒の量は、マレイン酸とイタコン酸の合計量に対して金属換算で0.001〜0.5重量%の範囲が好ましい。

0049

前記のアルカリ金属水酸化物の量、重合開始剤の量、レドックス触媒の量のいずれかが上記の範囲を外れると、モノマー反応率が十分上がらず、かなりの量の未反応のモノマーが残留するため、十分な孔食抑制効果やスケール抑制効果を得ることが難しい。ここで、上記のマレイン酸とイタコン酸の合計量は、無水マレイン酸を使用する場合はマレイン酸に換算し、無水イタコン酸を使用する場合はイタコン酸に換算した量で計算される。

0050

重合方法に係わらず、マレイン酸系重合体やイタコン酸系重合体の分子量の調整は、重合開始剤の量、重合温度、重合時間、モノマー濃度などを適宜変えることにより達成できる。または、重合調整剤を添加して、その濃度を変えることにより分子量を調整することができる。重合調整剤として、イソプロピルアルコール、2−ブチルアルコールなどの2級アルコール重亜硫酸塩亜硫酸塩などの公知の化合物が使用できる。

0051

重合反応の温度は、重合方法、重合開始剤の種類、溶媒の種類などにより異なるが、通常は還流温度または還流温度よりも低い温度に制御され、通常、40〜200℃の範囲であるが、好ましい反応温度は60〜140℃の範囲である。反応温度が低すぎると十分な反応率が得られず、逆に、反応温度が高すぎると重合体の脱カルボキシル化反応が起きて孔食抑制効果やスケール抑制効果が低下するため、いずれも好ましくない。

0052

イタコン酸の重合工程時において、イタコン酸の比率が高いと発泡が生じ易いため、イタコン酸の投入前に消泡剤を添加するのが好ましい。ここで使用する消泡剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール高級アルコールエチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオキシドプロピレンオキシド付加物などの曇点が20℃以上のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤が、常温において水溶液中での分離を生じないため好ましい。

0053

このようにして製造された2種の重合体の混合物は、取扱い上の必要に応じて水で希釈することもできる。

0054

マレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体を別々に重合して混合した場合、マレイン酸やイタコン酸のモノマー反応性が低く、かなりの量の未反応のマレイン酸モノマーやイタコン酸モノマーが残留するため、十分な孔食抑制効果やスケール抑制効果を得ることが難しいが、同一反応容器においてマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の2種の重合体の混合物を製造する上記の製造方法では高いモノマー反応率を得ることができ、結果として良好な低温安定性と優れた孔食抑制効果を得ることができると推察される。例えば、水性重合におけるマレイン酸の単独重合では、一般に反応率が90%を超えることはないが、同一容器による2種重合体混合製造方法では90%以上のマレイン酸の反応率を得ることができる。

0055

本発明の防食被膜形成成分におけるマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の含有重量比率は90:10〜10:90の範囲であり、好ましくは70:30〜30:70の範囲である、

0056

本発明の防食被膜形成成分として用いられる亜鉛イオンを放出する化合物とは、対象水系の水中で亜鉛イオンを放出する化合物を指し、該化合物には無機亜鉛化合物と有機亜鉛化合物が含まれる。無機亜鉛化合物としては、塩化亜鉛硫酸亜鉛硝酸亜鉛等が挙げられ、有機亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛グルコン酸亜鉛等が挙げられるが、有機亜鉛化合物は排水中のCODBODを増加させるため、無機亜鉛化合物が好ましい。無機亜鉛化合物として硝酸亜鉛を使用すると排水中の窒素濃度を増加させ富栄養化の原因となるため、塩化亜鉛や硫酸亜鉛が好ましい。ここで塩化亜鉛や硫酸亜鉛の替りに、酸化亜鉛塩酸硫酸で溶解してもよい。

0057

本発明の孔食抑制剤組成物において、更に銅防食剤としてアゾール化合物を配合する場合、塩化亜鉛はアゾール化合物との相溶性が悪いため、該組成物中のアゾール化合物の含有量が0.2%を超える場合は、塩化亜鉛の替りに硫酸亜鉛または酸化亜鉛と硫酸の混合物を用いるのが好ましい。

0058

本発明の防食被膜形成成分として用いられるリン酸、重合リン酸、有機ホスホン酸、ホスホノカルボン酸、ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物のうち、リン酸としては、無機リン酸オルトリン酸並びにそれらの水溶性塩が挙げられ、重合リン酸としてはピロリン酸メタリン酸ヘキサメタリン酸並びにそれらの水溶性塩が挙げられる。水溶性塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。

0059

また、前記の有機ホスホン酸は、分子中に1個以上のホスホノ基を有する有機化合物であり、具体的には1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸アミノトリメチレンホスホン酸エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などが挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(略号HEDP)である。

0060

前記のホスホノカルボン酸は、分子中に1個以上のホスホノ基と1個以上のカルボキシル基を有する有機化合物であり、具体的には2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸ヒドロキシホスホノ酢酸、ホスホノポリマレイン酸ホスホコハク酸などが挙げられ、好ましくは2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(略号:PBTC)、ホスホノポリマレイン酸である。ここで、ホスホノカルボン酸はローディア社からBRICORR288の商品名、またBWA社からBELCOR585の商品名で市販されている。ホスホノカルボン酸は、例えば、中性アルカリ性水性溶媒中で亜リン酸とモノエチレン性不飽和カルボン酸とを遊離ラジカル開始剤の存在下で加熱することにより製造することができる(例えば特開平4−334392号公報参照)。また、ホスホノカルボン酸は、次亜リン酸カルボニル化合物イミン化合物との反応物反応開始剤の存在下で不飽和カルボン酸と反応させることにより得ることができる(特許第3284318号公報参照)。

0061

前記のホスフィノポリカルボン酸は、分子中に1個以上のホスフィノ基と2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、具体的にはアクリル酸と次亜リン酸を反応させて得られるビス−ポリ(2−カルボキシエチルホスフィン酸、マレイン酸と次亜リン酸を反応させて得られるビス−ポリ(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、マレイン酸とアクリル酸と次亜リン酸を反応させて得られるポリ(2−カルボキシエチル)(1,2−ジカルボキシエチル)ホスフィン酸、イタコン酸と次亜リン酸を反応させて得られるビス−ポリ[2−カルボキシ−(2−カルボキシメチル)エチル]ホスフィン酸、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と次亜リン酸の反応物などが挙げられ、好ましくはアクリル酸とマレイン酸と次亜リン酸の反応物、イタコン酸とマレイン酸と次亜リン酸の反応物である。ホスフィノポリカルボン酸の製造は、通常、水性溶媒中で次亜リン酸とモノエチレン性不飽和カルボン酸とを遊離ラジカル開始剤の存在下で加熱することにより行なわれ、例えば、特公昭54−29316号公報、特公平5−57992号公報、特公平6−47113号公報などに開示されている。また、ホスフィノポリカルボン酸は、バイオラボ社よりBELCLENE500、BELSPERSE164、BELCLENE400などの商品名で市販されている。

0062

本発明の防食被膜形成成分における各成分の含有比率は、マレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の合計量として25〜85重量%、亜鉛イオンを放出する化合物が亜鉛換算で15〜35重量%、リン系化合物が0〜45重量%である。

0063

本発明の分散剤成分として用いられるモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体は、モノエチレン性不飽和スルホン酸とモノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体及びモノエチレン性不飽和スルホン酸とモノエチレン性不飽和カルボン酸と他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体との共重合体を含む。モノエチレン性不飽和スルホン酸として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ブタジエンスルホン酸やイソプレンスルホン酸等の共役ジエンスルホン化物スチレンスルホン酸スルホアルキル(メタ)アクリレートエステル、スルホアルキル(メタ)アリルエーテルスルホフェノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸などの1種以上が用いられる。モノエチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸などの1種以上が用いられる。他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド類の(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド;炭素数2〜8のオレフィンのエチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ヘキセン、2−エチルヘキセン、ペンテン、イソペンテン、オクテン、イソオクテンなど;ビニルアルキルエーテル類ビニルメチルエーテルビニルエチルエーテル;マレイン酸アルキルエステルなどがあげられ、その1種または2種以上が用いられる。なかでも好ましい具体的な化合物として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(略号:AMPS)と(メタ)アクリル酸の共重合体、3−アリロキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸と(メタ)アクリル酸の共重合体、共役ジエンスルホン化物と(メタ)アクリル酸の共重合体が挙げられる。

0064

前記のモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体の分子量は、重量平均分子量として通常は1,000〜100,000であり、好ましくは4,000〜20,000である。

0065

本発明の孔食抑制剤組成物における防食被膜形成成分の配合量に対する分散剤成分の配合量の重量比は0.4〜0.8である。該重量比において、防食被膜形成成分の配合量は、マレイン酸系重合体の重合体固形分量、イタコン酸系重合体の重合体固形分量及び亜鉛イオンを放出する化合物の亜鉛換算量、更に該組成物中にリン系化合物を含む場合はリン系化合物の有効成分量を加えた合計重量として算出し、また、分散剤成分は、モノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体の重合体固形分重量を用い、該重量比を計算する。

0066

この重量比が0.4より小さい場合は、形成される防食被膜が肥厚化、スケール化しやすくなるため、被膜の欠損が生じやすくなって孔食抑制効果が低下する可能性が高くなる恐れがある。また、この重量比が0.8より大きい場合は、被膜を形成するために必要十分な防食被膜形成成分が鉄系金属の表面に供給されず、防食被膜の形成が不完全になる可能性が高まるため、孔食抑制効果が低下する可能性が高くなる恐れがある。

0067

本発明の孔食抑制剤組成物の製造方法は、撹拌下に防食被膜形成各成分と分散剤成分を水に加えて溶解することにより製造でき、各成分の添加順序は特に限定されないが、亜鉛イオンを放出する化合物が硫酸亜鉛の場合は、組成物のpHが1.5〜2.0の範囲になるように硫酸でpHを調整し、塩化亜鉛の場合は、組成物のpHが0以下〜2.0の範囲になるように塩酸でpHを調整するのが好ましい。

0068

本発明の孔食抑制剤組成物には、前記の防食被膜形成成分と分散剤成分以外に、本発明の効果を阻害せず、また、本発明の孔食抑制剤組成物の製品安定性を損なわない範囲内で、公知の腐食抑制剤、スケール抑制剤スケール分散剤微生物障害抑制剤、消泡剤などを配合しても良い。特に、本発明の孔食抑制剤組成物が対象とする水系設備の一部に銅、あるいは銅合金が存在する場合には、アゾール化合物を配合することが好ましい。アゾール化合物の例としてトリルトリアゾールベンゾトリアゾール置換ベンゾトリアゾールメルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。尚、本発明の孔食抑制剤組成物にアゾール化合物を配合できない場合は、アゾール化合物を別途併用することが好ましい。

0069

本発明の孔食抑制方法は、開放循環式冷却水システムの循環水中における防食被膜形成成分の添加量に対する分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になるように防食被膜形成成分と分散剤成分を開放循環式冷却水システムに添加することにより、水と接触する炭素鋼製熱交換器材質の孔食を抑制する孔食抑制方法であって、該防食被膜形成成分は、マレイン酸系重合体、イタコン酸系重合体及び亜鉛イオンを放出する化合物を含み、更にリン酸、重合リン酸、有機ホスホン酸、ホスホノカルボン酸、ホスフィノポリカルボン酸並びにそれらの水溶性塩から選択されるリン系化合物の1種以上を含んでもよく、該分散剤成分はモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体を含み、該開放循環式冷却水システムの循環水中の亜鉛の添加濃度がZn換算で0.5〜2mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で1〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/Lを超え300mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜3mg/Lの範囲であり、該循環水中のカルシウム硬度が300mgCaCO3/Lを超えるときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜2mg/Lの範囲であることを特徴とする孔食抑制方法である。

0070

本発明の孔食抑制方法において、防食被膜形成成分と分散剤成分を開放循環式冷却水システムに添加する方法としては、前記の本発明の孔食抑制剤組成物を添加する方法、防食被膜形成成分と分散剤成分を別個に添加する方法、更に、防食被膜形成成分と分散剤成分に含まれる各成分を適宜組み合わせて別個に添加する、例えば、マレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体を組み合わせた組成物とリン系化合物、亜鉛イオンを放出する化合物及びモノエチレン性不飽和カルボン酸とモノエチレン性不飽和スルホン酸の共重合体を組み合わせた組成物の2種の組成物を添加するなどの方法がある。いずれの添加方法でも本発明の効果は得られるが、なかでも、本発明の孔食抑制剤組成物を用いる場合は、添加装置が1個で済み、また、該組成物中の防食被膜形成成分と分散剤成分の配合重量比が0.4〜0.8であるので、該組成物を開放循環式冷却水システムの循環水に添加すると該循環水中の防食被膜形成成分の添加量に対する分散剤成分の添加量の重量比が0.4〜0.8になり、好ましい。他の添加方法では添加装置が複数必要であり、本発明の孔食抑制方法を実施するためには各添加装置の添加比率の調整が必要なため、特段事由が無い限りは本発明の孔食抑制剤組成物を用いる添加方法が推奨される。

0071

本発明の孔食抑制方法における防食被膜形成成分と分散剤成分の添加方法は、対象となる開放循環式冷却水システムに対して薬注ポンプによる連続添加が好ましく、必要な薬品濃度が維持できれば間欠添加も選択できる。

0072

本発明の孔食抑制方法において、対象となる開放循環式冷却水システムの循環水中の亜鉛の添加濃度は、排水基準に基づきZn換算で2mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0mg/Lの範囲である。また、循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で1〜3mg/Lの範囲であり、循環水中のカルシウム硬度が100mgCaCO3/Lを超え300mgCaCO3/L未満のときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜3mg/Lの範囲であり、循環水中のカルシウム硬度が300mgCaCO3/Lを超えるときリン系化合物の添加濃度はPO4換算で0〜2mg/Lの範囲である。

0073

本発明の孔食抑制方法における本発明の防食被膜形成成分と分散剤成分の添加個所は、本発明の孔食抑制剤組成物を添加する場合であっても、各成分を別個に添加する場合であっても、添加した薬剤が速やかに均一な濃度となる撹拌の良い個所であれば特に制限はなく、対象水系の適当な個所を選択できる。

0074

腐食やスケールとともに微生物障害は水系における主要な障害である。本発明の孔食抑制剤組成物に微生物障害抑制剤を配合するか、配合できない場合は併用することが好ましい。微生物障害抑制剤の例として、次亜塩素酸ナトリウム次亜塩素酸カルシウム液化塩素塩化臭素次亜塩素酸塩臭化物の反応物、クロロイソシアヌル酸類クロロジメチルヒダントイン酸類ブロモジメチルヒダントイン酸類、クロロブロモジメチルヒダントイン酸類等の、水に溶解して次亜塩素酸及び/又は次亜臭素酸を生成する化合物;ヒドラジン;2−メチルイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−クロロイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−5−クロロイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾリン等のイソチアゾリン化合物;2,2−ジブロモ−2−ニトエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド等の有機ブロム化合物メチレンビスチオシアネート、ビス−(1,4−ジブロムアセトキシ)−2−ブテンベンジルブロムアセテートソジウムブロマイド、α−ブロモシンナムアルデヒド、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールヘキサヒドロ−1,3,5−トリス−(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン、ビス(トリクロルメチルスルホンジチオカーバメート、3,5−ジメチルテトラヒドロ−1,3,5,2H−チアジアジン−2−チオンブロム酢酸エチルチオフェニルエステル、α−クロルベンゾアルドキシムアセテート、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、3−ヨード−2−プロペニルブチルカルバメートサリチル酸サリチル酸ナトリウムパラオキシ安息香酸エステル及びp−クロル−m−キシレノール等が挙げられる。

0075

本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法において、該孔食抑制剤組成物に配合する、もしくは併用するのが好ましい微生物障害抑制剤は、次亜塩素酸及びまたは次亜臭素酸を生成する化合物であるが、その添加量は対象となる開放循環式冷却水システムの循環水中遊離ハロゲン濃度(遊離塩素遊離臭素の合計)として通常0.05〜2mg/L(Cl2換算)である。

0076

以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

0077

(試験装置)
本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法の孔食抑制効果を評価するために用いた試験装置ならびに試験方法は、ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管STB340SC(JIS G3461:2012)を熱交換器に設置可能とした以外はJIS G0593−2002『水処理剤の腐食及びスケール防止評価試験方法』のオンサイト試験法準拠した。試験装置の概略を図1に示す。
熱交換器7のHE−1、HE−4、HE−5、HE−6は、JIS G0593−2002に準拠した二重管式熱交換器であり、内管に外径12.7mm、長さ510mmのステンレス鋼管SUS304(JIS G3459)製の伝熱管を設置し、管内にカートリッジヒーターを挿入して加熱し、管外に冷却水を通水した。
また、HE−2とHE−3は、試験用伝熱管として外径19.0mm、長さ600mmの冷間仕上げ継目無管の熱交換器用炭素鋼鋼管STB340SC(JIS G3461)を設置し、STB340SCの管内に冷却水を通水し、管外を電気ヒーターブロックにより加熱した。

0078

水槽2及び配管を含む系全体の水容量は62Lとし、水槽2の水温は35℃になるように水温制御装置9で制御した。試験用伝熱管評価部の線流速0.3m/sに相当する流量210L/hとなるように流量調整バルブ5で制御しながら循環ポンプ3で通水し、熱交換器7の熱流束は40〜70kW/m2とした。冷却塔1は冷却能力1.8冷却トン誘引通風向流接触型のものを使用した。冷却塔入口・出口の循環水の温度差は15℃であった。循環水の電気伝導率電気伝導率測定セル4で連続的に測定し、電気伝導率の入力信号より電気伝導率制御装置11を用いて所定の濃縮度に相当する電気伝導率になるようにブローダウンポンプ10を制御した。

0079

(製造例1)同一反応容器によるマレイン酸重合体とイタコン酸重合体の製造例
ガラス還流管窒素通気管、滴下ロート攪拌器付きの500mLの4つ口フラスコに無水マレイン酸18.3重量部(マレイン酸換算21.6重量部)、硫酸第一鉄7水和物0.012重量部、水31.0重量部を加え、これに48%水酸化カリウム水溶液を11.9重量部加えた。この液を90℃に加熱して液温を90〜95℃に維持しながら、35%過酸化水素7.3重量部と過硫酸ナトリウム0.25重量部を水1.0重量部に溶解した1回目の重合開始剤溶液を50分間かけて滴下した。滴下終了後、反応液にイタコン酸18.4重量部、硫酸第一鉄7水和物0.012重量部を一括で加えた。イタコン酸の添加により温度が低下したため、反応液を90℃に再加熱して液温を90〜95℃に維持しながら、1回目の重合開始剤溶液添加終了から6分後に35%過酸化水素11.0重量部と過硫酸ナトリウム0.4重量部を水1.5重量部に溶解した2回目の重合開始剤溶液を50分間かけて滴下した。2回目の重合開始剤溶液滴下終了後、硫酸第一鉄7水和物0.012重量部を加え、更に90℃で2時間加熱した後、全体で100重量部になるように水を追加投入して重量平均分子量1100のマレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。尚、全反応工程中、撹拌しながら窒素を連続的に通気した。高速液体クロマトグラフ法により反応液の残留モノマーを測定した結果、マレイン酸の反応率は85%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0080

(製造例2)
1回目の重合開始剤溶液添加終了から15分後に2回目の重合開始剤溶液の添加を行った以外は製造例1と同じ方法によりマレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を製造した。マレイン酸の反応率は90%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0081

(製造例3)
1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は95%、イタコン酸の反応率は99%であった。

0082

(製造例4)
1回目の重合開始剤溶液添加終了から70分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は95%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0083

(製造例5)
1回目の重合開始剤溶液添加終了から120分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は90%、イタコン酸の反応率は94%であった。

0084

(製造例6)
1回目の重合開始剤溶液添加終了から22時間後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は84%、イタコン酸の反応率は88%であった。

0085

(製造例7)
製造例1と同じ4つ口フラスコにイタコン酸18.4重量部、硫酸第一鉄7水和物0.012重量部、水22重量部を加え、これに48%水酸化カリウム水溶液を10.9重量部加えた。窒素を連続的に通気ながら、この液を90℃に加熱して液温を90〜95℃に維持しながら、35%過酸化水素9.2重量部と過硫酸ナトリウム0.32重量部を水1.0重量部に溶解した1回目の重合開始剤溶液を50分間かけて滴下した。滴下終了後、無水マレイン酸21.3重量部(マレイン酸換算21.6重量部)、硫酸第一鉄7水和物0.012重量部を一括で加え、液温を90〜95℃に維持しながら、1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に35%過酸化水素9.2重量部と過硫酸ナトリウム0.32重量部を水1.0重量部に溶解した2回目の重合開始剤溶液を50分間かけて滴下した。2回目の重合開始剤溶液添加終了後、更に90℃で2時間加熱した後、全体で100重量部になるように水を追加投入してマレイン酸重合体21.6重量%とイタコン酸重合体18.4重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は79%、イタコン酸の反応率は95%であった。
このようにイタコン酸系重合体を製造後、同一反応容器にイタコン酸系重合体が入ったままの状態でマレイン酸系重合体の製造を行った場合、製造例1のマレイン酸系重合体を製造後、同一反応容器にマレイン酸系重合体が入ったままの状態でイタコン酸系重合体の製造する方法と比較して、マレイン酸の反応率が低かった。

0086

(製造例8)
無水マレイン酸5.9重量部(マレイン酸換算7.0重量部)、イタコン酸を33.0重量部を加え、1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体7.0重量%とイタコン酸重合体33.0重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は95%、イタコン酸の反応率は99%であった。

0087

(製造例9)
無水マレイン酸11.4重量部(マレイン酸換算13.5重量部)、イタコン酸を26.5重量部を加え、1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体13.5重量%とイタコン酸重合体26.5重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は95%、イタコン酸の反応率は99%であった。

0088

(製造例10)
無水マレイン酸22.4重量部(マレイン酸換算26.5重量部)、イタコン酸を13.5重量部を加え、1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体26.5重量%とイタコン酸重合体13.5重量%を含む水溶液を得た。マレイン酸の反応率は92%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0089

(製造例11)
無水マレイン酸27.9重量部(マレイン酸換算33.0重量部)、イタコン酸を7.0重量部を加え、1回目の重合開始剤溶液添加終了から50分後に2回目の重合開始剤溶液添加を行った以外は製造例1と同じ方法により、マレイン酸重合体33.0重量%とイタコン酸重合体7.0重量%の水溶液を得た。マレイン酸の反応率は90%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0090

(製造例12)マレイン酸とイタコン酸の共重合体の製造例
製造例1と同じ4つ口フラスコに無水マレイン酸18.3重量部(マレイン酸換算21.6重量部)とイタコン酸18.4 重量部、硫酸第一鉄7水和物0.022重量部、水31.0重量部を加え、これに48%水酸化カリウム水溶液を11.9重量部加えた。窒素を連続的に通気しながら、液を95℃に加熱した後、液温を95℃に維持しながら35%過酸化水素18.3重量部と過硫酸ナトリウム0.65重量部を水2.5重量部に溶解した重合開始剤溶液を100分間かけて滴下後、更に95℃で2時間加熱した。マレイン酸の反応率は62%、イタコン酸の反応率は98%であった。

0091

(製造例13)水系重合法によるマレイン酸重合体の製造例
製造例1と同じ4つ口フラスコに無水マレイン酸40重量部(0.40モル)、硫酸第一鉄7水和物0.02重量部、水40重量部を加え、これに48%水酸化カリウム水溶液を11.9重量部(0.10モル)加えた。窒素を連続的に通気しながら、液を95℃に加熱した後、液温を95℃に維持しながら、35%過酸化水素18.3重量部と過硫酸ナトリウム0.65重量部を水2.5重量部に溶解した重合開始剤溶液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、硫酸第一鉄7水和物0.02重量部を一括で加え、更に95℃で2時間加熱して、重量平均分子量1000のマレイン酸重合体の水溶液を得た。マレイン酸の反応率は88%であった。
さらに、反応温度や重合開始剤の量や反応時間を変えてマレイン酸重合体の製造を行ったが、マレイン酸の反応率が90%を超えることはなかった。

0092

(製造例14)水系重合法によるイタコン酸重合体の製造例
製造例1と同じ4つ口フラスコにイタコン酸40重量部(0.3モル)、硫酸第一鉄7水和物0.02重量部、水40重量部を加え、これに48%水酸化カリウム水溶液を11.9重量部(0.1モル)加えた。窒素を連続的に通気しながら液を90℃に加熱した後、液温を95℃に維持しながら、35%過酸化水素20重量部と過硫酸ナトリウム0.3重量部を水1.2重量部に溶解した重合開始剤溶液を120分間かけて滴下した。滴下終了後、硫酸第一鉄7水和物0.02重量部を一括で加え、更に95℃で2時間加熱して、重量平均分子量1200のイタコン酸重合体の水溶液を得た。イタコン酸の反応率は99%であった。

0093

1.実施例1〜13及び比較例1〜4
(孔食抑制剤組成物の低温安定性試験
表1に示す配合の孔食抑制剤組成物No.a1〜a16がそれぞれ入ったガラス瓶を−20℃に設定した冷凍庫に1昼夜放置して凍結させた後、これらのガラス瓶を0℃に設定した恒温器に移して解凍させ、更に−5℃に設定した恒温器に1週間放置した。この操作を3回繰り返して沈殿・分離、結晶析出の有無を調べた。結果を表1に示す。

0094

(孔食抑制効果の評価試験
前記の試験装置を用いて表1に示す配合の孔食抑制剤組成物No.a1〜a16の孔食抑制効果の評価を試験した。図1に示す試験装置の補給水12として四日市市水を使用した。このときの四日市市水の水質はpH:7、電気伝導率:10mS/m、Ca硬度:35mg−CaCO3/L、Mg硬 度:7mg−CaCO3/L、Mアルカリ度:35mg−CaCO3/L、塩化物イオン:7mg/L、硫酸イオン:7mg/L、シリカ:11mg/Lであった。
初期処理として水槽2に四日市市水を張り被試験用組成物200mg/Lとヘキサメタリン酸ソーダ平均縮合度40)を12.5mg/L添加して、常温で48時間循環した。アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体〔共重合比(重量)60:40、平均分子量10,000〕を40mg/L添加後、熱負荷を開始し、熱負荷開始3日後に規定濃縮度に達したので、直ちにブローダウンを開始して濃縮度を約4.3倍、循環水中のCa硬度が150mg−CaCO3/Lになるように電気伝導率を自動的に制御した。ブローダウン開始と同時にブローダウン量に対して45mg/Lの被試験用組成物を水処理剤注入装置13により添加した。循環水中の亜鉛の添加濃度はZn換算で1.7mg/L、リン系化合物の添加濃度はPO4換算で1.0mg/Lであった。試験期間は1ヶ月間とした。試験終了後、HE−2とHE−3のSTB340SC製試験用伝熱管を取り外して縦割り後、管内の孔食深さをマイクロゲージにより測定し、孔食深さの最大値を求めた。実施例1〜13及び比較例1〜3の被試験用組成物として孔食抑制剤組成物No.a1〜a16を使用した。また、比較例4は被試験用組成物無添加の例である。結果を表1に示す。

0095

表1における用語、記号、略号の定義は次の通りである。
(1)アクリル酸−AMPS共重合体:アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体〔共重合比(重量)60:40、平均分子量10,000〕
(2)成分比各組成物中に配合された分散剤成分と防食被膜形成成分の重量比であって、(分散剤成分/防食被膜形成成分)比
(3)MAL:マレイン酸系重合体。ただし、組成物No.a14ではマレイン酸を示す。
(4)ITA:イタコン酸系重合体。ただし、組成物No.a14ではイタコン酸を示す。
(5)MAL:ITA重量比:各組成物中に含有されるマレイン酸系重合体対イタコン酸系重合体の重量比を示す。ただし、組成物No.a14では、マレイン酸とイタコン酸の共重合体中のマレイン酸対イタコン酸の重量比を示す。
(6)混合方法
(6−1)同一容器;同一反応容器においてマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体を連続して製造して2種の重合体の混合物を得た。
(6−2)別個混合;個別に製造したマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体を混合して2種の重合体の混合物を得た。
(6−3)(MAL+ITA共重合体);マレイン酸とイタコン酸の共重合体
(7)重合順序:
(7−1)MAL⇒ITA;同一反応容器において、マレイン酸系重合体を製造後、連続してイタコン酸系重合体を製造した。
(7−2)ITA⇒MAL;同一反応容器において、イタコン酸系重合体を製造後、連続してマレイン酸系重合体を製造した。
(8)重合開始剤添加間隔:1回目の重合開始剤添加終了時から2回目の重合開始剤添加開始までの時間
(9)ポリマレイン酸A:BELCLENE200LA(商品名、BWA社製)

0096

0097

実施例1〜11は混合方法が同一容器の例であり、実施例12、13は混合方法が別個混合の例である。実施例1〜6は重合開始剤間隔を変化させた例であり、実施例7は重合順序をITA⇒MALに変えた例であり、実施例8〜11はMAL:ITA重量比を変化させた例である。
また、比較例1はマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の混合物の替りにマレイン酸とイタコン酸の共重合体を使用した例である。本発明の防食被膜形成成分のマレイン酸系重合体ではマレイン酸の構成比率が70〜100重量%の範囲であり、イタコン酸系重合体ではイタコン酸の構成比率が70〜100重量%の範囲であるが、比較例1に使用されたマレイン酸とイタコン酸の共重合体中のマレイン酸とイタコン酸の構成比率は56重量%と46重量%であり、本発明の防食被膜形成成分のマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体のいずれにも該当せず、比較例1は本発明の実施例ではない。
また、本発明の防食被膜形成成分はマレイン酸系重合体とイタコン酸系重合体の両方を含むが、比較例2、3はマレイン酸系重合体又はイタコン酸系重合体の片方のみを含む例である。

0098

表1に示された孔食抑制剤組成物の低温安定性と孔食抑制効果試験の結果により、本発明の孔食抑制剤組成物の優れた低温安定性と本発明の孔食抑制方法の優れた孔食抑制効果が明らかになった。

0099

2.実施例14〜17及び比較例5〜14
表2〜4に示す配合の孔食抑制剤組成物No.b1〜b14について、前記の孔食抑制剤組成物の低温安定性試験と前記の孔食抑制効果の評価試験を行い、その結果を表2〜4に示す。孔食抑制効果の評価試験における循環水中の亜鉛の添加濃度は比較例12以外はZn換算で1.6〜1.8mg/Lであり、比較例12ではZn換算で5.8mg/Lであった。尚、表2における用語、記号、略号の定義は表1と同じである。その他、HEDPは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、PBTCは2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸であり、ホスフィノポリカルボン酸はアクリル酸−マレイン酸−次亜リン酸(モル比2:1:1)共重合体(平均分子量1500)であって、特公平6−47113号公報記載の方法に準じて製造した。

0100

0101

0102

0103

実施例14〜17は孔食抑制剤組成物の成分比を0.4〜0.8の範囲内で変化させた例である。比較例5〜8及び10、11は該成分比が0.4〜0.8の範囲外の例である。比較例9は分散剤成分を含有しない例であり、比較例12〜14は防食被膜形成成分のマレイン酸系重合体及びイタコン酸系重合体を含有しない例である。

0104

表2〜4に示された孔食抑制剤組成物の低温安定性と孔食抑制効果試験の結果により、本発明の孔食抑制剤組成物の優れた低温安定性と本発明の孔食抑制方法の優れた孔食抑制効果が明らかになった。

0105

3.実施例18〜29
表5に示す孔食抑制剤組成物と添加量を用い、循環水中のカルシウム硬度(Ca硬度)をそれぞれ70、150、250、350mg−CaCO3/Lとした以外は、前記の孔食抑制効果の評価試験と同様の試験装置と試験方法を用いて試験した。この試験における循環水中の亜鉛の添加濃度はZn換算で1.6〜1.8mg/Lであった。結果を表5に示す。

0106

表5における用語、記号、略号の定義は次の通りである。
(1)組成物No.:表1、2に示された同じ組成物No.の孔食抑制剤組成物を用いた。
(2)組成物添加量:循環水中の孔食抑制剤組成物の添加濃度
(3)リン系化合物添加濃度:循環水中のリン系化合物の添加濃度
(4)Ca硬度:カルシウム硬度

0107

実施例

0108

表5の結果より、循環水中のカルシウム硬度とリン系化合物の添加濃度の関係が本発明の孔食抑制方法において規定された範囲である時、優れた孔食抑制効果が得られることが明らかになった。

0109

本発明の孔食抑制剤組成物及び孔食抑制方法は石油精製工場、化学工場、火力発電所、製鉄所、紙パルプ製造業、自動車工場、半導体製造工業等の各種製造業の冷却水システムや、空調用の冷却水システムに適用できる。

0110

1冷却塔
2水槽
3循環ポンプ
4電気伝導率測定セル
5流量調整バルブ
流量計
7熱交換器
試験片保持器
9水温制御装置
10ブローダウンポンプ
11電気伝導率制御装置
12補給水
13水処理剤注入装置
14 液面制御装置

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ