図面 (/)

技術 金属表面コーティング用組成物および端子付き被覆電線

出願人 株式会社オートネットワーク技術研究所住友電装株式会社住友電気工業株式会社国立大学法人九州大学JXTGエネルギー株式会社
発明者 中嶋一雄細川武広長谷達也平井宏樹小野純一大塚拓次野村秀樹後藤和宏溝口誠吉田公一小宮健一荒井孝設楽裕治八木下和宏
出願日 2016年6月10日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-115798
公開日 2017年1月5日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2017-002302
状態 特許登録済
技術分野 その他の表面処理 はんだ付け、接着又は永久変形による接続 塗料、除去剤
主要キーワード 金属機器 アミド基数 刻み線 分離抑制 種銅合金 発生度 補強線 導体端末
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月5日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

金属との密着性に優れ、金属表面を安定して保護する金属表面コーティング組成物及びこれを用いて防食性が高められた端子付き被覆電線の提供。

解決手段

潤滑油基油及びアミド化合物から構成される粘稠性物質と、式(1)及び(2)で表されるリン化合物と金属との組成物と、を含有する金属表面コーティング用組成物。(X1〜X7は夫々独立にO又はS;R11〜R16は夫々独立にH又はC1〜30の炭化水素基、少なくとも1つはC1〜30の炭化水素基)

概要

背景

金属機器金属部品において、潤滑目的や防食目的などで、グリースが用いられている。例えば特許文献1には、パーフルオロエーテル基油、増稠剤硫酸バリウムまたは酸化アンチモンを含有してなるグリースを機械部品に用いることが記載されている。

概要

金属との密着性に優れ、金属表面を安定して保護する金属表面コーティング組成物及びこれを用いて防食性が高められた端子付き被覆電線の提供。潤滑油基油及びアミド化合物から構成される粘稠性物質と、式(1)及び(2)で表されるリン化合物と金属との組成物と、を含有する金属表面コーティング用組成物。(X1〜X7は夫々独立にO又はS;R11〜R16は夫々独立にH又はC1〜30の炭化水素基、少なくとも1つはC1〜30の炭化水素基)

目的

本発明の解決しようとする課題は、金属との密着性に優れ、金属表面を安定して保護する金属表面コーティング用組成物およびこれを用いて防食性が高められた端子付き被覆電線を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、下記の一般式(1)および(2)で表される化合物の1種または2種以上からなるリン化合物と金属との組成物と、を含有し、アミド基数aと酸性基数bの比(a/b)が1.1〜6.0の範囲内であることを特徴とする金属表面コーティング用組成物。ただし、X1〜X7は、それぞれ個別に酸素原子または硫黄原子を示し、R11〜R13は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基であり、R14〜R16は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基である。

請求項2

前記リン化合物と金属との組成物は、金属水酸化物および金属カルボン酸塩のうちの少なくとも1種と前記リン化合物から形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項3

前記金属カルボン酸塩が、金属サリチル酸塩であることを特徴とする請求項2に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項4

前記アミド化合物は、下記の一般式(3)〜(5)で表される化合物の1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物。(化3)R21−CO−NH−R22(3)(化4)R23−CO−NH−Y31−NH−CO−R24(4)(化5)R25−NH−CO−Y32−CO−NH−R26(5)ただし、R21〜R26は、それぞれ個別に炭素数5〜25の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基を示し、R22は水素であってもよい、Y31およびY32は、炭素数1〜10のアルキレン基フェニレン基、または炭素数7〜10のアルキルフェニレン基からなる群より選ばれる炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。

請求項5

前記アミド化合物は、融点が20〜200℃の範囲内にある脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項6

前記リン化合物が、その炭素数1〜30の炭化水素基の構造中に、1以上の分岐鎖構造または1以上の炭素炭素二重結合構造を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項7

前記リン化合物と組成物を形成する金属が、アルカリ金属アルカリ土類金属アルミニウムチタン亜鉛から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項8

前記リン化合物と金属との組成物の分子量が、3000以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物。

請求項9

請求項1から8のいずれか1項に記載の金属表面コーティング用組成物により端子金具電線導体との電気接続部が覆われていることを特徴とする端子付き被覆電線

技術分野

0001

本発明は、金属表面コーティング組成物および端子付き被覆電線に関し、さらに詳しくは、金属との密着性に優れる金属表面コーティング用組成物と、この金属表面コーティング用組成物により防食処理が施された端子付き被覆電線に関する。

背景技術

0002

金属機器金属部品において、潤滑目的や防食目的などで、グリースが用いられている。例えば特許文献1には、パーフルオロエーテル基油、増稠剤硫酸バリウムまたは酸化アンチモンを含有してなるグリースを機械部品に用いることが記載されている。

先行技術

0003

特許第4811408号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1のグリースは、金属との密着性が低く、特に高温条件下では金属表面から流れ出すおそれがあり、金属表面を安定して保護することが難しい。これは、特許文献1のグリースが金属表面に化学結合せず、吸引力の弱いファンデルワールス力により金属表面に密着しているだけであるためと推察される。

0005

本発明の解決しようとする課題は、金属との密着性に優れ、金属表面を安定して保護する金属表面コーティング用組成物およびこれを用いて防食性が高められた端子付き被覆電線を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するため本発明に係る金属表面コーティング用組成物は、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、下記の一般式(1)および(2)で表される化合物の1種または2種以上からなるリン化合物と金属との組成物と、を含有し、アミド基数aと酸性基数bの比(a/b)が1.1〜6.0の範囲内であることを要旨とするものである。






ただし、X1〜X7は、それぞれ個別に酸素原子または硫黄原子を示し、R11〜R13は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基であり、R14〜R16は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基である。

0007

前記リン化合物と金属との組成物は、金属水酸化物および金属カルボン酸塩のうちの少なくとも1種と前記リン化合物から形成されたものであることが好ましい。前記金属カルボン酸塩は、金属サリチル酸塩であることが好ましい。

0008

前記アミド化合物は、下記の一般式(3)〜(5)で表される化合物の1種または2種以上であることが好ましい。
(化3)
R21−CO−NH−R22 (3)
(化4)
R23−CO−NH−Y31−NH−CO−R24 (4)
(化5)
R25−NH−CO−Y32−CO−NH−R26 (5)
ただし、R21〜R26は、それぞれ個別に炭素数5〜25の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基を示し、R22は水素であってもよい、Y31およびY32は、炭素数1〜10のアルキレン基フェニレン基、または炭素数7〜10のアルキルフェニレン基からなる群より選ばれる炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。

0009

前記アミド化合物は、融点が20〜200℃の範囲内にある脂肪酸アミドであることが好ましい。

0010

前記リン化合物は、その炭素数4〜30の炭化水素基の構造中に、1以上の分岐鎖構造または1以上の炭素炭素二重結合構造を有することが好ましい。

0011

前記リン化合物と組成物を形成する金属は、アルカリ金属アルカリ土類金属アルミニウムチタン亜鉛から選択される少なくとも1種であることが好ましい。

0012

前記リン化合物と金属との組成物の分子量は、3000以下であることが好ましい。

0013

本発明に係る端子付き被覆電線は、上記の金属表面コーティング用組成物により端子金具電線導体との電気接続部が覆われていることを要旨とするものである。

発明の効果

0014

本発明に係る金属表面コーティング用組成物によれば、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、特定のリン化合物と金属との組成物と、を含有し、アミド基数aと酸性基数bの比(a/b)が1.1〜6.0の範囲内であることから、金属との密着性に優れ、金属表面を安定して保護する。

0015

本発明に係る金属表面コーティング用組成物において、特定のリン化合物が、その炭素数4〜30の炭化水素基の構造中に、1以上の分岐鎖構造または1以上の炭素−炭素二重結合構造を有すると、潤滑油基油との相溶性が向上する。

0016

また、特定のリン化合物と組成物を形成する金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛から選択される少なくとも1種であると、金属表面に塗布したときの密着性が向上する。

0017

また、特定のリン化合物と金属との組成物の分子量が、3000以下であると、潤滑油基油との相溶性が向上する。

0018

そして、本発明に係る端子付き被覆電線によれば、上記の金属表面コーティング用組成物により端子金具と電線導体との電気接続部が覆われていることから、長期にわたって安定した防食性能を発揮する。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一実施形態に係る端子付き被覆電線の斜視図である。
図1におけるA−A線縦断面図である。

0020

次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。

0021

本発明に係る金属表面コーティング用組成物(以下、本組成物ということがある。)は、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、特定のリン化合物と金属との組成物と、を含有する。

0022

潤滑油基油としては、通常の潤滑油基油として用いられる任意の鉱油ワックス異性化油合成油の1種または2種以上の混合物を使用することができる。鉱油としては、具体的には、例えば、原油常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱瀝、溶剤抽出水素化分解溶剤脱蝋接触脱蝋水素化精製硫酸洗浄白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用できる。

0023

ワックス異性化油としては、炭化水素油を溶剤脱ろうして得られる石油スラックワックスなどの天然ワックス、あるいは一酸化炭素と水素との混合物を高温高圧で適用な合成触媒と接触させる、いわゆるFischer Tropsch合成方法で生成される合成ワックスなどのワックス原料水素異性化処理することにより調製されたものが使用できる。ワックス原料としてスラックワックスを使用する場合、スラックワックスは硫黄窒素を大量に含有しており、これらは潤滑油基油には不要であるため、必要に応じて水素化処理し、硫黄分、窒素分を削減したワックスを原料として用いることが望ましい。

0025

潤滑油基油の動粘度は、特に限定されるものではないが、通常、100℃において1〜150mm2/sの範囲内であることが好ましい。また、揮発性および製造時の扱いやすさに優れることから、100℃における動粘度が2〜120mm2/sの範囲内であることがより好ましい。動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される。

0026

アミド化合物は、潤滑油基油中で水素結合による網目構造を形成する。これにより、潤滑油基油に粘稠性が付与され、グリース様の粘稠性物質となる。つまり、潤滑油基油とともに用いることで、常温ゲル状物を形成する。すなわち、アミド化合物は、液状の潤滑油基油を常温でゲル化(半固体状化)する。粘稠性物質は、その粘稠性により、被塗布材の塗布面に、常温下あるいは加熱下で、保持される。

0027

アミド化合物は、アミド基(−NH−CO−)を1つ以上有する化合物であり、アミド基が1つのモノアミド化合物やアミド基が2つのビスアミド化合物などを好ましく用いることができる。

0028

アミド化合物としては、例えば下記の一般式(3)〜(5)で表される化合物を好ましく用いることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(化3)
R21−CO−NH−R22 (3)
(化4)
R23−CO−NH−Y31−NH−CO−R24 (4)
(化5)
R25−NH−CO−Y32−CO−NH−R26 (5)

0029

一般式(3)〜(5)において、R21〜R26は、それぞれ個別に炭素数5〜25の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基を示し、R22は水素であってもよい、Y31およびY32は、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基、または炭素数7〜10のアルキルフェニレン基からなる群より選ばれる炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示す。また、一般式(3)〜(5)において、R21〜R26を構成する炭化水素基の水素の一部は水酸基(−OH)で置換されていてもよい。

0030

一般式(3)で表されるアミド化合物としては、具体的には、ラウリン酸アミドパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドベヘン酸アミドヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミドオレイン酸アミドエルカ酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドステアリルステアリン酸アミド、オレイルオレイン酸アミド、オレイルステアリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミド等の飽和または不飽和の長鎖脂肪酸長鎖アミンによる置換アミドなどが挙げられる。これらのうちでは、一般式(3)においてR21が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基でありR22が水素基であるアミド化合物、一般式(3)においてR21およびR22のそれぞれが炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物など、一般式(3)においてR21およびR22の少なくとも一方が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物が好ましい。より具体的には、ステアリルステアリン酸アミドが好ましい。

0031

一般式(4)で表されるアミド化合物としては、具体的には、エチレンビスステアリン酸アミドエチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドメチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらのうちでは、一般式(4)においてR23が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基でありR24が水素基であるアミド化合物、一般式(4)においてR23およびR24のそれぞれが炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物など、一般式(4)においてR23およびR24の少なくとも一方が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物が好ましい。より具体的には、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。

0032

一般式(5)で表されるアミド化合物としては、具体的には、N,N‘−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。これらのうちでは、一般式(5)においてR25が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基でありR26が水素基であるアミド化合物、一般式(5)においてR25およびR26のそれぞれが炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物など、一般式(5)においてR25およびR26の少なくとも一方が炭素数12〜20の飽和鎖状炭化水素基であるアミド化合物が好ましい。

0033

アミド化合物は、潤滑油基油と混合した際に常温でゲル状(半固形状)を維持しやすい、常温でゲル状(半固形状)を維持しやすいなどの観点から、融点が20℃以上であることが好ましい。より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80℃以上、特に好ましくは120℃以上である。また、融点が200℃以下であることが好ましい。より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。また、アミド化合物の分子量は、100〜1000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは150〜800の範囲内である。

0034

アミド化合物の含有量は、潤滑油基油と混合した際に常温でゲル状(半固形状)を維持しやすい、常温でゲル状(半固形状)を維持しやすいなどの観点から、潤滑油基油100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、潤滑油基油100質量部に対し、70質量部以下であることが好ましい。より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。

0035

特定のリン化合物は、下記の一般式(1)および(2)で表される化合物の1種または2種以上からなる。






ただし、X1〜X7は、それぞれ個別に酸素原子または硫黄原子を示し、R11〜R13は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基であり、R14〜R16は、それぞれ個別に水素基または炭素数1〜30の炭化水素基を示し、かつこれらのうちの少なくとも1つは炭素数1〜30の炭化水素基である。

0036

炭化水素基としては、アルキル基シクロアルキル基アルキル置換シクロアルキル基、アルケニル基アリール基、アルキル置換アリール基、アリールアルキル基などが挙げられる。

0037

アルキル基としては、メチル基エチル基プロピル基ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。これらは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。

0038

シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基シクロへプチル基などが挙げられる。アルキル置換シクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロへプチル基、ジメチルシクロへプチル基、メチルエチルシクロへプチル基、ジエチルシクロへプチル基などが挙げられる。アルキル置換シクロアルキル基の置換位置は、特に限定されない。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。

0039

アルケニル基としては、ブテニル基ペンテニル基ヘキセニル基、へプテニル基オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基オクタデセニル基などが挙げられる。これらは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。

0040

アリール基としては、フェニル基ナフチル基などが挙げられる。アルキル置換アリール基としては、トリル基キシリル基エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、へプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが挙げられる。アルキル置換アリール基の置換位置は、特に限定されない。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アリールアルキル基としては、ベンジル基フェニルエチル基フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基などが挙げられる。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。

0041

X1〜X7は、好ましくは全てが酸素原子である。R11〜R16の炭素数1〜30の炭化水素基は、好ましくは炭素数4〜30の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8〜30の炭化水素基である。

0042

X1〜X7は、好ましくは全てが酸素原子である。R11〜R13は、少なくとも1つが水素基であり、かつ、少なくとも1つが炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。また、R14〜R16は、少なくとも1つが水素基であり、かつ、少なくとも1つが炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。

0043

一般式(1)で表されるリン化合物としては、亜リン酸モノチオ亜リン酸、ジチオ亜リン酸、亜リン酸モノエステル、モノチオ亜リン酸モノエステル、ジチオ亜リン酸モノエステル、亜リン酸ジエステル、モノチオ亜リン酸ジエステル、ジチオ亜リン酸ジエステル、亜リン酸トリエステル、モノチオ亜リン酸トリエステル、ジチオ亜リン酸トリエステルなどが挙げられる。これらは、一般式(1)で表されるリン化合物として1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0044

一般式(2)で表されるリン化合物としては、リン酸、モノチオリン酸ジチオリン酸リン酸モノエステル、モノチオリン酸モノエステル、ジチオリン酸モノエステル、リン酸ジエステル、モノチオリン酸ジエステル、ジチオリン酸ジエステル、リン酸トリエステル、モノチオリン酸トリエステル、ジチオリン酸トリエステルなどが挙げられる。これらは、一般式(2)で表されるリン化合物として1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0045

リン化合物としては、下記の相溶性向上効果粘着性向上効果、密着性向上効果に優れるなどの観点から、一般式(2)で表されるリン化合物がより好ましい。また、一般式(2)で表されるリン化合物のうちでは、下記の一般式(6)または一般式(7)で表される酸性リン酸エステルが特に好ましい。
(化8)
P(=O)(−OR14)(−OH)2 ・・・(6)
(化9)
P(=O)(−OR14)2(−OH) ・・・(7)

0046

特定のリン化合物と金属との組成物において、リン酸塩基(P−O−基)は、また、被塗布材の塗布面にイオン結合して、粘稠性物質と、特定のリン化合物と金属との組成物と、を含有する粘稠性膜を塗布面に強固に密着させることに寄与する。金属との組成物にすることで、リン酸塩基(P−O−基)のイオン結合性を高めてイオン結合を促進する。また、金属との組成物にすることで、特定のリン化合物と金属との組成物を、粘着性を持つものにする。さらに、金属との組成物にすることで、特定のリン化合物の酸性下げて(pHを上げて)、塗布する金属表面の特定のリン化合物による腐食を抑える。

0047

特定のリン化合物と組成物を形成する金属は、耐熱性の観点から、価数が2価以上であることが好ましい。

0048

特定のリン化合物と組成物を形成する金属としては、Li,Na,Kなどのアルカリ金属、Mg,Caなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。これらの金属の塩は、金属表面に対し、高い吸着性を得る事ができる。また、例えばSnよりもイオン化傾向が高いため、Snに対するイオン結合性に優れたものとすることができる。これらのうちでは、耐水性などの観点から、Ca,Mgがより好ましい。

0049

特定のリン化合物と金属との組成物は、特定のリン化合物と含金属化合物金属イオン供給源)とを混合することにより形成することができる。含金属化合物としては、金属水酸化物、金属カルボン酸塩などが挙げられる。カルボン酸金属塩のカルボン酸としては、サリチル酸安息香酸フタル酸などが挙げられる。カルボン酸の金属塩は中性塩であり、さらに過剰の金属、金属酸化物、金属水酸化物を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性塩や、炭酸ガスホウ酸ホウ酸塩の存在下で金属、金属酸化物、金属水酸化物を反応させることにより得られる過塩基性塩などであってもよい。これらのうちでは、含金属化合物(金属イオン供給源)としては、反応時の溶解性、金属イオンの反応性などの観点から、過塩基性サリチル酸などが好ましい。

0050

特定のリン化合物と金属との組成物は、特定のリン化合物と含金属化合物(金属イオン供給源)とを別途混合して予め組成物にしたものを用いてもよいし、潤滑油基油、アミド化合物とともに特定のリン化合物および含金属化合物(金属イオン供給源)を一緒に混合して混合中に組成物にしたものを用いてもよい。また、別途予め調製された、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質とともに特定のリン化合物および含金属化合物(金属イオン供給源)を一緒に混合して混合中に組成物にしたものを用いてもよい。

0051

所望の配合比で確実に組成物を形成するなどの観点から、特定のリン化合物と金属との組成物は、特定のリン化合物と含金属化合物(金属イオン供給源)とを別途混合して予め組成物にしたものを用いることが好ましい。

0052

特定のリン化合物と金属との組成物において、特定のリン化合物の炭化水素基の少なくとも1つは炭素数4〜30の炭化水素基であると、長鎖アルキル化合物である潤滑油基油との相溶性に寄与する。炭化水素基とは、炭素および水素からなる有機基であり、N,O,Sなどのヘテロ元素を含有しないものである。そして、長鎖アルキル化合物である潤滑油基油との相溶性から、特定のリン化合物の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基脂環族炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは脂肪族炭化水素基である。

0053

脂肪族炭化水素基としては、飽和炭化水素からなるアルキル基、不飽和炭化水素からなるアルケニル基が挙げられ、これらのいずれであってもよい。脂肪族炭化水素基であるアルキル基やアルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれの構造のものであってもよい。ただし、アルキル基がn−ブチル基、n−オクチル基などの直鎖状のアルキル基であると、アルキル基同士が配向しやすく、特定のリン化合物と金属との組成物の結晶性が高くなり、潤滑油基油との相溶性が低下する傾向がある。この観点から、炭化水素基がアルキル基である場合には、直鎖状のアルキル基よりも分岐鎖状のアルキル基が好ましい。一方、アルケニル基は、1以上の炭素−炭素二重結合構造を有することで、直鎖状であっても結晶性がそれほど高くない。このため、アルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。

0054

少なくとも1つの炭化水素基の炭素数が4未満では、特定のリン化合物が無機質となる。また、特定のリン化合物は結晶化の傾向が強くなる。そうすると、潤滑油基油との相溶性が悪く、基油と混ざらなくなる。一方、炭化水素基の炭素数が30超では、特定のリン化合物の粘度が高くなりすぎて、流動性が低下しやすい。炭化水素基の炭素数としては、潤滑油基油との相溶性から、より好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上である。また、炭化水素基の炭素数としては、流動性などの観点から、より好ましくは26以下、さらに好ましくは22以下である。

0055

また、特定のリン化合物と金属との組成物は、分子内にリン酸塩基(極性基)と非極性基エステル部位の炭化水素基)を併せ持つものであり、極性基同士、非極性基同士が会合した層状態で存在できるため、非重合体においても、高粘性液体とすることが可能である。粘性の液体であると、金属表面に塗布したときに、ファンデルワールス力による物理吸着を利用して、金属表面により密着させることができる。この粘性は、鎖状の分子鎖同士の絡まりが生じることにより得られるものと推察される。したがって、この観点から、特定のリン化合物の結晶化を促進しない方向への設計が好ましい。具体的には、炭化水素基の炭素数を4〜30とすること、炭化水素基が1以上の分岐鎖構造または1以上の炭素−炭素二重結合構造を有することなどが挙げられる。

0056

粘着性の観点からすると、特定のリン化合物は、金属との組成物にする必要がある。金属との組成物にしていない特定のリン化合物そのものを用いた場合、リン酸基の部分の極性が小さく、極性基であるリン酸基同士の会合性凝集性)が低く、高粘性の液体にならない。このため、粘着性(粘性)が低い。また、アンモニアもしくはアミンとの組成物にしても、リン酸塩基(アミン塩)の部分の極性が小さく、極性基であるリン酸塩基(アミン塩)同士の会合性(凝集性)が低く、高粘性の液体にならない。このため、粘着性(粘性)が低い。

0057

炭化水素基としては、より具体的には、オレイル基、ステアリル基イソステアリル基、2−エチルヘキシル基、ブチルオクチル基、イソミリスチル基、イソセチル基、ヘキシルデシル基、オクチルデシル基、オクチルドデシル基、イソベヘニル基などが挙げられる。

0058

そして、具体的な酸性リン酸エステルとしては、ブチルオクチルアシッドホスフェイト、イソミリスチルアシッドホスフェイト、イソセチルアシッドホスフェイト、ヘキシルデシルアシッドホスフェイト、イソステアリルアシッドホスフェイト、イソベヘニルアシッドホスフェイト、オクチルデシルアシッドホスフェイト、オクチルドデシルアシッドホスフェイト、イソブチルアシッドホスフェイト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、イソデシルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ミリスチルアシッドホスフェイト、パルミチルアシッドホスフェイト、ジ−ブチルオクチルアシッドホスフェイト、ジ−イソミリスチルアシッドホスフェイト、ジ−イソセチルアシッドホスフェイト、ジ−ヘキシルデシルアシッドホスフェイト、ジ−イソステアリルアシッドホスフェイト、ジ−イソベヘニルアシッドホスフェイト、ジ−オクチルデシルアシッドホスフェイト、ジ−オクチルドデシルアシッドホスフェイト、ジ−イソブチルアシッドホスフェイト、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ジ−イソデシルアシッドホスフェイト、ジ−トリデシルアシッドホスフェイト、ジ−オレイルアシッドホスフェイト、ジ−ミリスチルアシッドホスフェイト、ジ−パルミチルアシッドホスフェイトなどが挙げられる。これらのうちでは、非結晶性、潤滑油基油との分子鎖絡まり性などの観点から、オレイルアシッドホスフェイト、イソステアリルアシッドホスフェイトが好ましい。

0059

特定のリン化合物と金属との組成物の分子量は、微分散化により、粘稠性物質との相溶性が向上することから、3000以下であることが好ましい。より好ましくは2500以下である。また、極性基の高濃度化による分離抑制などの観点から、80以上であることが好ましい。より好ましくは100以上である。分子量は、計算により求めることができる。なお、下記のIS−SA−Caについては、GPCにて分子量(重量平均分子量)を測定する。

0060

本組成物においては、特定のリン化合物と金属との組成物を含有していれば、金属との組成物にしていない特定のリン化合物そのものを一部に含有していてもよい。ただし、本組成物において、特定のリン化合物そのものの割合が大きくなると、イオン結合性が低下する、粘着性(粘性)が低下する、腐食を抑える効果が低下するなどから、特定のリン化合物そのものの割合は小さいほうが好ましい。

0061

特定のリン化合物そのものの割合を測る指標として、本組成物のpHを測る方法がある。酸性リン酸エステルの比率が高くなると、リン酸基(P−OH基)の残存量が多くなり、酸性度が高くなる(pHが下がる)。酸性リン酸エステルの比率が低くなると、リン酸基(P−OH基)の残存量が少なくなり、酸性度が低くなる(pHが上がる)。本組成物のpHとしては、4以上であることが好ましい。より好ましくは5.5以上である。

0062

また、特定のリン化合物と金属の比率(モル比)は、特定のリン化合物の価数をx−、金属の価数をy+、特定のリン化合物のモル数をl、金属のモル数をm、f=l×x−m×yとしたときのfの値によって示すこともできる。f>0の範囲では、金属に対し特定のリン化合物が過剰であり、リン酸基(P−OH基)が残存する。f=0では、金属に対し特定のリン化合物が当量であり、リン酸基(P−OH基)は残存しない。また、f<0では、金属に対し特定のリン化合物が不足であり、リン酸基(P−OH基)が残存しない。本組成物のpHを高くするには、f≦0であることが好ましい。

0063

本組成物中には、粘稠性物質と特定のリン化合物と金属との組成物の他に、本組成物の機能を損なわない範囲で、有機溶剤安定化剤腐食防止剤色素増粘剤フィラーなどを添加することができる。

0064

本組成物は、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、特定のリン化合物と金属との組成物と、必要に応じて添加される成分と、を混合することにより得ることができる。また、潤滑油基油と、アミド化合物と、特定のリン化合物と金属との組成物と、必要に応じて添加される成分と、を混合することによっても得ることができる。粘稠性物質の粘稠性により、塗布後に塗布面に粘稠性膜が保持される。より融点の高いアミド化合物を用いれば、融点以下の高温下で常温と同様の粘稠性が維持され、塗布面に粘稠性膜が保持される。特定のリン化合物と金属との組成物は、金属吸着成分として作用し、金属表面において粘稠性膜の密着性の向上に貢献する。被塗布材の表面に本組成物を塗布するか、本組成物中に被塗布材を浸漬することにより、被塗布材の表面に本組成物をコーティングすることができる。

0065

しかし、特定のリン化合物と金属との組成物は、金属吸着成分として作用する一方で、本組成物の融点を低下させることがわかった。これにより、粘稠性物質の粘稠性が維持される温度の上限が低下し、高温下で常温と同様の粘稠性を維持する特性が低下し、高温下では金属表面を安定して保護できない場合が生じる。これは、特定のリン化合物に含まれる酸成分が粘稠性物質に含まれるアミド化合物の網目構造の形成を阻害するためと推察される。

0066

酸成分は、特定のリン化合物に、P−OH基(リン酸基)やP−O−基(リン酸アニオン基)の形で含まれる。また、特定のリン化合物と金属との組成物を形成する際の含金属化合物(金属イオン供給源)に、−COOH基カルボン酸基)や−COO−基(カルボン酸アニオン基)の形で含まれる。これらは、酸性基として表される。

0067

そこで、本発明においては、アミド基数aと酸性基数bの比(a/b)を1.1〜6.0の範囲内とする。これにより、金属との密着性と、高温下で常温と同様の粘稠性を維持する特性と、を両立し、金属表面を安定して保護する。高温下で常温と同様の粘稠性を維持する特性の観点から、a/bは、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。また、金属との密着性の観点から、a/bは、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下である。

0068

被塗布材の表面に塗布する粘稠性膜の膜厚としては、コーティング箇所からの流出防止や漏出防止の観点から、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは50μm以下である。一方、塗布する粘稠性膜の機械的強度などの観点から、所定の厚さ以上であることが好ましい。膜厚の下限値としては、0.5μm、2μm、5μmなどが挙げられる。

0069

本組成物は、潤滑や防食用途などに用いることができる。防食用途としては、例えば端子付き被覆電線の防食剤などとして用いることができる。

0070

次に、本発明に係る端子付き被覆電線について説明する。

0071

本発明に係る端子付き被覆電線は、絶縁電線導体端末に端子金具が接続されたものにおいて、本組成物の、潤滑油基油およびアミド化合物から構成される粘稠性物質と、特定のリン化合物と金属との組成物と、を含有する粘稠性膜により端子金具と電線導体の電気接続部が覆われたものからなる。これにより、電気接続部での腐食が防止される。

0072

図1は、本発明の一実施形態に係る端子付き被覆電線の斜視図であり、図2図1におけるA−A線縦断面図である。図1図2に示すように、端子付き被覆電線1は、電線導体3が絶縁被覆絶縁体)4により被覆された被覆電線2の電線導体3と端子金具5が電気接続部6により電気的に接続されている。

0073

端子金具5は、相手側端子と接続される細長平板からなるタブ状の接続部51と、接続部51の端部に延設形成されているワイヤバレル52とインシュレーションバレル53からなる電線固定部54を有する。端子金具5は、金属製の板材プレス加工することにより所定の形状に成形(加工)することができる。

0074

電気接続部6では、被覆電線2の端末の絶縁被覆4を皮剥ぎして、電線導体3を露出させ、この露出させた電線導体3が端子金具5の片面側圧着されて、被覆電線2と端子金具5が接続される。端子金具5のワイヤバレル52を被覆電線2の電線導体3の上から加締め、電線導体3と端子金具5が電気的に接続される。又、端子金具5のインシュレーションバレル53を、被覆電線2の絶縁被覆4の上から加締める。

0075

端子付き被覆電線1において、一点鎖線で示した範囲が、本組成物から得られる粘稠性膜7により覆われる。具体的には、電線導体3の絶縁被覆4から露出する部分のうち先端より先の端子金具5の表面から、電線導体3の絶縁被覆4から露出する部分のうち後端より後の絶縁被覆4の表面までの範囲が、粘稠性膜7により覆われる。つまり、被覆電線2の先端2a側は、電線導体3の先端から端子金具5の接続部51側に少しはみ出すように粘稠性膜7で覆われる。端子金具5の先端5a側は、インシュレーションバレル53の端部から被覆電線2の絶縁被覆4側に少しはみ出すように粘稠性膜7で覆われる。そして、図2に示すように、端子金具5の側面5bも粘稠性膜7で覆われる。なお、端子金具5の裏面5cは粘稠性膜7で覆われなくてもよいし、覆われていてもよい。粘稠性膜7の周端は、端子金具5の表面に接触する部分と、電線導体3の表面に接触する部分と、絶縁被覆4の表面に接触する部分と、で構成される。

0076

こうして、端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、電気接続部6が粘稠性膜7により所定の厚さで覆われる。これにより、被覆電線2の電線導体3の露出した部分は粘稠性膜7により完全に覆われて、外部に露出しないようになる。したがって、電気接続部6は粘稠性膜7により完全に覆われる。粘稠性膜7は、電線導体3、絶縁被覆4、端子金具5のいずれとも密着性に優れるので、粘稠性膜7により、電線導体3および電気接続部6に外部から水分等が侵入して金属部分が腐食するのを防止する。また、密着性に優れるため、例えばワイヤーハーネスの製造から車両に取り付けるまでの過程において、電線曲げられた場合にも、粘稠性膜7の周端で粘稠性膜7と、電線導体3、絶縁被覆4、端子金具5のいずれとの間にも隙間ができにくく、防水性防食機能が維持される。

0077

粘稠性膜7を形成する本組成物は、所定の範囲に塗布される。粘稠性膜7を形成する本組成物の塗布は、滴下法塗布法等の公知の手段を用いることができる。本組成物は、常温で流動性に優れるため、常温で塗布される。

0078

粘稠性膜7は、所定の厚みで所定の範囲に形成される。その厚みは、0.01〜0.1mmの範囲内が好ましい。粘稠性膜7が厚くなりすぎると、端子金具5をコネクタへ挿入しにくくなる。粘稠性膜7が薄くなりすぎると、防食性能が低下しやすくなる。

0079

被覆電線2の電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線よりなる。この場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線などを含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線2を補強するための補強線テンションメンバ)等が含まれていても良い。

0080

電線導体3を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料などを例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステンステンレスなどを例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラーなどを挙げることができる。電線導体3を構成する金属素線としては、軽量化の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料が好ましい。

0081

絶縁被覆4の材料としては、例えば、ゴムポリオレフィンPVC、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。絶縁被覆4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤充填剤着色剤等を挙げることができる。

0082

端子金具5の材料(母材の材料)としては、一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金、銅などを挙げることができる。端子金具5の表面の一部(例えば接点)もしくは全体には、錫、ニッケル、金などの各種金属によりめっきが施されていても良い。

0083

なお、図1に示す端子付き被覆電線1では、電線導体の端末に端子金具が圧着接続されているが、圧着接続に代えて溶接などの他の公知の電気接続方法であってもよい。

0084

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。

0085

(粘稠性物質の調製)
表1、2に示す配合組成(質量部)にて、潤滑油基油とアミド化合物を混合することにより、粘稠性物質を調製した。
・潤滑油基油A:鉱物系基油(動粘度=4.0mm2/s(100℃))
・潤滑油基油B:鉱物系基油(動粘度=11.1mm2/s(100℃))
・潤滑油基油C:合成油基油(動粘度=100.0mm2/s(100℃))
・アミド化合物:エチレンビスステアリルアミド(融点150℃、分子量592)、日本化成製「スリパックスE」

0086

(リン化合物と金属との組成物の調製)
<調製例1> OL−Li
500mlのフラスコにオレイルアシッドホスフェイト(SC有機化学社製「Phoslex A18D」、分子量467(平均)、酸価183mgKOH/g)を50g(酸価0.163mol)とメタノール50mLを加え、50℃で撹拌し、均一溶液とした。そこに、水酸化リチウム一水塩6.84g(0.163mol)/メタノール50mL溶液を少しずつ加えた。加え終わった澄明溶液を50℃のまま30分間撹拌した後、ロータリーエバポレータにて、メタノールと生成水減圧留去した。次いで、トルエン50mLを加えた後、同様に減圧留去する事で生成水を共沸によって留去し、澄明粘性物である目的物を得た。

0087

<調製例2> IS−Li
オレイルアシッドホスフェイトに代えてイソステアリルアシッドホスフェイト(SC有機化学社製「Phoslex A18OL」、分子量487(平均)、酸価178 mgKOH/g)50g(酸価0.159mol)とし、そこに加える水酸化リチウム一水塩を6.67g(0.159mol)とした以外は調製例1と同様にして、澄明粘性物である目的物を得た。

0088

<調製例3> IS−Ca
オレイルアシッドホスフェイトに代えてイソステアリルアシッドホスフェイト(SC有機化学社製「Phoslex A18OL」、分子量487(平均)、酸価178 mgKOH/g)50g(酸価0.159mol)とし、そこに加える水酸化カルシウムの量を5.89g(0.0795mol)とした以外は調製例1と同様にして、澄明粘性物である目的物を得た。

0089

<調製例4> IS−SA−Ca
500mlのフラスコにイソステアリルアシッドホスフェイト(SC有機化学社製「Phoslex A18OL」、分子量487(平均)、酸価178 mgKOH/g)100g(酸価0.317mol)と過塩基性アルキルサリチル酸カルシウム塩Ca含有量8.0質量%、過塩基性Ca含有量5.5質量%)116g(過塩基性Ca質量6.4g=0.159mol)を入れ、120℃で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、褐色粘性物である目的物を得た。

0090

(リン化合物と金属との組成物の分子量測定
計算により、分子量を算出した。なお、IS−SA−Caについては、GPCにて分子量(重量平均分子量)を測定した。(溶剤:クロロホルムカラム:TSKgel G2500HxL(東ソー))

0091

<金属表面コーティング用組成物の調製>
調製例1〜4により得られた、各リン化合物と金属との組成物と、粘稠性物質と、をそれぞれ所定の割合(質量部)で160℃の加温下にて混合することにより、金属表面コーティング用組成物を調製した。この際、表2に示すように、任意の添加剤として、酸化防止剤を添加した。
・酸化防止剤:BASF社製「Irganox1010」

0092

融点測定
DSCを用いて測定した(昇温速度10℃/分、空気中)。

0093

<高温維持性の評価>
160℃に加温して液状とした金属表面コーティング用組成物に、長さ80mmの錫めっき銅板を40mmまで浸漬し、錫めっき銅板に薄膜コーティングした。次いで、そのコーティング面が上に配置されるように錫めっき銅板を立てかけたまま、120℃の恒温槽で120時間放置した。その後、恒温槽から錫めっき銅板を取り出し、常温まで放冷した後、金属表面コーティング用組成物の垂れ落ちた距離を測定した。垂れ落ち距離が1.0mm以下の場合を高温維持性が特に良好「○」とし、垂れ落ち距離が1.0mm超5.0mm以下の場合を高温維持性がやや劣る「△」とし、垂れ落ち距離が5.0mm超の場合を高温維持性が劣る「×」とした。

0094

腐食試験
160℃に加温して液状とした金属表面コーティング用組成物に、60×80mmの錫めっき銅板を15秒間浸漬し、その後、10mm/秒の速度で引き上げ、錫めっき銅板に薄膜コーティングした。次いで、JIS K2246に準拠して35℃(塩溶液濃度50g/L)にて中性塩水噴霧試験を行い、120時間後のさび発生度を評価した。また、薄膜コーティングした後、長さ方向に立てかけて120℃の恒温槽で120時間放置した錫めっき銅板についても、同様に中性塩水噴霧試験を行った。

0095

幅約0.5mmの刻み線で、一辺が5mmの正方形碁盤目100個を刻んだ碁盤目を、評価後、洗浄した試験片に重ね、肉眼で1点以上のさびが発生している碁盤目の数を数えた。等級とさび発生度の関係は以下の通りである。
等級 さび発生度
A級 0%
B級 1〜10%
C級 11〜25%
D級 26〜50%
E級 50〜100%

0096

0097

表1は、アミド基数と酸性基数の比が融点に与える影響を調べたものである。表1から、リン化合物(組成物)の含有量が多くなり、リン化合物中に含まれる酸性基の数が多くなるにつれて組成物の融点が低下していることがわかる。

0098

0099

比較例1〜2の金属表面コーティング用組成物は、潤滑油基油とアミド化合物から構成される粘稠性物質を含むが、リン化合物と金属との組成物を含まないため、金属との密着性が悪く、これにより高温で垂れ落ちが生じ、高温維持性に劣っている。また、金属との密着性が悪いため、腐食性評価に劣っている。比較例3〜4の金属表面コーティング用組成物は、潤滑油基油とアミド化合物から構成される粘稠性物質と、リン化合物と金属との組成物と、を含むが、比較例3ではアミド基数/酸性基数の値が1.1未満であるため、融点低下による高温維持性の悪化によって高温で垂れ落ちが生じ、高温維持性に劣っている。また、腐食性評価に劣っている。比較例4ではアミド基数/酸性基数の値が6.0超であるため、金属との密着性が悪く、腐食性評価に劣っている。

0100

これに対し、実施例によれば、アミド基数と酸性基数の比が特定範囲にあるため、高温で垂れ落ちが見られず、高温維持性に優れている。また、腐食性評価にも優れている。

実施例

0101

以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

0102

1端子付き被覆電線
2被覆電線
3電線導体
4絶縁被覆(絶縁体)
5端子金具
6電気接続部
7粘稠性膜

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社リンレイの「 手すりベルトのコーティング方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】 手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保しつつ、高い光沢度を得ることができ、更には作業時間を短縮することができる手すりベルトのコーティング方法を得る。【解決手段】 手すりベルトのコ... 詳細

  • 日産化学株式会社の「 延伸性耐擦傷性コーティング用硬化性組成物」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】延伸性及び優れた耐擦傷性を有し、かつ透明な外観を呈するハードコート層の形成材料を提供すること。【解決手段】(a)活性エネルギー線硬化性ラクトン変性多官能モノマー100質量部、(b)ポリ(オキシ... 詳細

  • インターフェーズ マテリアルズ インコーポレイテッドの「 表面処理剤」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題・解決手段】機能成分と連結成分を含む表面処理剤であって、前記連結成分が、前記機能成分と水素結合及び/又は共有結合することができ、且つ表面と水素結合及び/又は共有結合することができ、処理された表面... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ