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技術 不飽和アルコールの製造方法及び触媒

出願人 国立大学法人千葉大学昭和電工株式会社
発明者 佐藤智司四元理香子板垣真太朗奥村吉邦
出願日 2015年6月8日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-115649
公開日 2017年1月5日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-001975
状態 特許登録済
技術分野 触媒を使用する低分子有機合成反応 有機低分子化合物及びその製造 触媒
主要キーワード 原料残量 XRF分析 ペレット品 硝酸カルシウム四水和物 ガスクロマトグラフィー装置 複合型触媒 原料ジオール カルシウム原子
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課題

1,3−ジオールから、アリル型不飽和アルコール選択的製造方法の提供。

解決手段

反応式のように、ジオールに対し、ジルコニウム酸化物(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を作用させて、アリル型不飽和アルコールを製造する。(式中、R1〜R4はそれぞれ独立にH、C1〜5のアルキル基等)

概要

背景

クロルアルコールに代表されるアリル型の不飽和アルコール類は、化粧品医薬品などの中間体として使用されるなど、工業的に重要な物質である。

従来、このような不飽和アルコール合成方法として、例えばα,β−不飽和アルデヒドに対する部分水添が知られている。特に近年では、ルテニウム、銀などを成分とした高選択的還元能を示す触媒が多数報告されている(特許文献1及び2参照)。しかし、この方法は一般に液相で行われるため、反応生成物と触媒の分離、触媒の再利用、生産性など、工業的観点からは課題が多い。

アルミニウムアルコキシド等を触媒として、特に2級のアルコール溶媒中でアルデヒド基を選択的に還元する、所謂メーヤワインポンドルフ・ヴァーレイ還元(Meerwein—Ponndorf—Verley Reduction)によっても不飽和アルコールを合成することができる(特許文献3及び4参照)。しかし、この方法は、過剰量のアルコールを必要とするため、工業的に効率が良い方法とは言えない。

近年、ジオールに対し、酸化セリウムを触媒とした選択脱水により不飽和アルコールを合成する方法が報告されている。この方法では、気相反応により直接不飽和アルコールを合成することができる(特許文献5及び6参照)。通常、1,3−ジオール型の原料を用いた場合、内部に水酸基を持つアリル型不飽和アルコールが優先して生成する。この方法は高い転化率及び選択率を達成することができるが、原料となる酸化セリウムが希土類であり、供給源国外に依存しているためその安定供給性及び価格安定性には不安が残る。

酸化ジルコニウムを触媒として、選択脱水により不飽和アルコールを合成する方法も報告されている(特許文献7及び8参照)。この方法では、1,3−ジオール型の原料を用いた場合に、得られる不飽和アルコール異性体の選択比についての言及は何らなされていない。

概要

1,3−ジオールから、アリル型不飽和アルコールの選択的製造方法の提供。下反応式のように、ジオールに対し、ジルコニウム酸化物(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を作用させて、アリル型不飽和アルコールを製造する。(式中、R1〜R4はそれぞれ独立にH、C1〜5のアルキル基等)なし

目的

本発明の課題は、1,3−ジオール型の原料から一分子脱水を選択的に進行させ、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を用いることを特徴とする、一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの製造方法。(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)

請求項2

前記触媒において、ジルコニウム原子モルに対し、カルシウム原子含有量が0.02モル以上0.8モル以下である請求項1に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項3

前記触媒において、ジルコニウム原子1モルに対し、カルシウム原子の含有量が0.05モル以上0.5モル以下である請求項1に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項4

前記触媒が、酸化カルシウムが酸化ジルコニウム表面に担持されている担持型触媒である請求項1〜3のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項5

前記触媒が、酸化カルシウムと酸化ジルコニウムが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合った複合型触媒である請求項1〜3のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項6

前記触媒が800℃以上の温度で焼成されたものである請求項1〜5のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項7

一般式(1)、一般式(2)−1及び一般式(2)−2のR3及びR4が水素原子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項8

一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物が1,3−ブタンジオールである請求項1〜7のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項9

一分子脱水反応の反応温度が400℃以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項10

一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの製造に用いられる酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒。

技術分野

0001

本発明は、触媒を用いた不飽和アルコールの製造方法、及びかかる製造方法に用いられる触媒に関する。

背景技術

0002

クロルアルコールに代表されるアリル型の不飽和アルコール類は、化粧品医薬品などの中間体として使用されるなど、工業的に重要な物質である。

0003

従来、このような不飽和アルコールの合成方法として、例えばα,β−不飽和アルデヒドに対する部分水添が知られている。特に近年では、ルテニウム、銀などを成分とした高選択的還元能を示す触媒が多数報告されている(特許文献1及び2参照)。しかし、この方法は一般に液相で行われるため、反応生成物と触媒の分離、触媒の再利用、生産性など、工業的観点からは課題が多い。

0004

アルミニウムアルコキシド等を触媒として、特に2級のアルコール溶媒中でアルデヒド基を選択的に還元する、所謂メーヤワインポンドルフ・ヴァーレイ還元(Meerwein—Ponndorf—Verley Reduction)によっても不飽和アルコールを合成することができる(特許文献3及び4参照)。しかし、この方法は、過剰量のアルコールを必要とするため、工業的に効率が良い方法とは言えない。

0005

近年、ジオールに対し、酸化セリウムを触媒とした選択脱水により不飽和アルコールを合成する方法が報告されている。この方法では、気相反応により直接不飽和アルコールを合成することができる(特許文献5及び6参照)。通常、1,3−ジオール型の原料を用いた場合、内部に水酸基を持つアリル型不飽和アルコールが優先して生成する。この方法は高い転化率及び選択率を達成することができるが、原料となる酸化セリウムが希土類であり、供給源国外に依存しているためその安定供給性及び価格安定性には不安が残る。

0006

酸化ジルコニウムを触媒として、選択脱水により不飽和アルコールを合成する方法も報告されている(特許文献7及び8参照)。この方法では、1,3−ジオール型の原料を用いた場合に、得られる不飽和アルコール異性体の選択比についての言及は何らなされていない。

先行技術

0007

特開2014−062083号公報
特開2003−245555号公報
特開2014−152137号公報
国際公開第97/032836号
特許第3800205号公報
特許第5075192号公報
特許第4428530号公報
特許第4424746号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の課題は、1,3−ジオール型の原料から一分子脱水を選択的に進行させ、目的とするアリル型不飽和アルコールを選択的に製造する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、鋭意検討の結果、1,3−ジオール型の化合物に対し、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を作用させることで、一分子脱水反応によりアリル型不飽和アルコールを高選択的に製造できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。本明細書において「アリル型不飽和アルコール」とは炭素炭素二重結合を構成する炭素原子と結合している炭素原子に水酸基が結合しているアルコールをいう。

0010

すなわち本発明は以下の[1]〜[9]に関する。
[1]
酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を用いることを特徴とする、一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの製造方法。



(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)
[2]
前記触媒において、ジルコニウム原子モルに対し、カルシウム原子含有量が0.02モル以上0.8モル以下である[1]に記載の不飽和アルコールの製造方法。
[3]
前記触媒において、ジルコニウム原子1モルに対し、カルシウム原子の含有量が0.05モル以上0.5モル以下である[1]に記載の不飽和アルコールの製造方法。
[4]
前記触媒が、酸化カルシウムが酸化ジルコニウム表面に担持されている担持型触媒である[1]〜[3]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[5]
前記触媒が、酸化カルシウムと酸化ジルコニウムが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合った複合型触媒である[1]〜[3]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[6]
前記触媒が800℃以上の温度で焼成されたものである[1]〜[5]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[7]
一般式(1)、一般式(2)−1及び一般式(2)−2のR3及びR4が水素原子である[1]〜[6]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[8]
一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物が1,3−ブタンジオールである[1]〜[7]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[9]
一分子脱水反応の反応温度が400℃以下である[1]〜[8]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[10]
一般式(1)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示される不飽和アルコールの製造に用いられる酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒。

発明の効果

0011

本発明によれば、目的のアリル型不飽和アルコール、特に末端水酸基を有するアリル型不飽和アルコールを対応する原料から高効率で製造することができる。

0012

<触媒>
本反応で使用される触媒は、酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)より構成される。

0013

酸化カルシウムは塩基として作用し、酸化ジルコニウムの酸性を抑制する効果を示す。その結果、目的物と異なるホモアリルアルコール型の不飽和アルコール生成反応及び分解反応を抑制し、結果的に目的物の選択率を高める効果を示す。また、酸−塩基点協奏的に作用することにより、酸化ジルコニウムを単独で用いた場合と比べて反応活性が向上する。

0014

酸化ジルコニウム及び酸化カルシウムはそれぞれ独立した粒子又はペレットの混合物物理混合型)であってもよい。両者又は一方が他の担体に担持されたものであってもよい。他の担体としてはシリカアルミナチタニアジルコニアシリカアルミナゼオライト活性炭グラファイトなどが挙げられる。

0015

酸化ジルコニウム表面の酸性を効率的に抑制することができるため、触媒は、酸化カルシウムが酸化ジルコニウム表面に担持されたもの(担持型触媒)、又は酸化カルシウムと酸化ジルコニウムが原子レベル又は微粒子レベルで混ざり合ったもの(複合型触媒)であることがより好ましい。原子レベルの複合型では、酸化ジルコニウム骨格内部のジルコニウム原子がカルシウム原子に置換されている。担持型触媒が調製されていることはTEM観察により確認できる。複合型触媒が調製されていることはXRDにより確認できる。

0016

このような触媒の調製法としては、一方の酸化物に対し含浸法イオン交換法CVD法などによって他方の前駆体を付着又は堆積させた後に焼成して酸化する方法(担持型触媒)、ジルコニウム及びカルシウムの前駆体より混練法、共沈法ゾルゲル法などで沈殿を形成した後、焼成して酸化する方法(複合型触媒)などが挙げられる。

0017

本発明の触媒において、酸化ジルコニウムと酸化カルシウムの組成比はジルコニウム原子1モルに対し、カルシウム原子の含有量が0.02モル以上0.8モル以下であることが好ましく、0.05モル以上0.5モル以下であることがより好ましい。カルシウム原子の含有量がこの範囲内であると酸化ジルコニウムの酸性をより効果的に抑制することができる。ジルコニウム原子及びカルシウム原子のモル比は、触媒調製時の原料の仕込み量比から計算できる他、株式会社リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX PrimusIIを用いた触媒XRF分析により決定できる。

0018

本発明に用いる触媒は800℃以上の温度で焼成されたものであることが好ましい。上限温度は特に制限はないが、1000℃を超えると触媒表面積が維持できない恐れがあるため、1000℃以下が好ましい。特に好ましい焼成温度は800〜900℃の範囲である。焼成時の雰囲気制約はないが、特に空気雰囲気で行うことが好ましい。

0019

本発明の触媒を使用した場合、目的物であるアリル型不飽和アルコールの中でも、特に末端水酸基を有するものを多く得ることができる。よって、このような末端水酸基を有するアリル型不飽和アルコールを得る用途に、本発明の製造方法は特に有効に適用される。

0020

<脱水反応>
本発明の不飽和アルコールの製造方法では、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化カルシウム(CaO)からなる触媒を用いて1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応を行う。

0021

1,3−ジオール型の化合物は一般式(1)で示され、一分子脱水反応により、一般式(2)−1及び一般式(2)−2で示されるアリル型不飽和アルコールを併産する。



(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(1)と同一のものを示す。)

0022

上記一般式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。

0023

炭素数1〜5のアルキル基としてはメチル基エチル基プロピル基イソプロピル基等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基トリル基メシチル基ナフチル基等が挙げられる。これらの中では脱水反応への選択性の観点から水素原子、及び炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R3及びR4が水素原子であることが、一分子脱水反応の反応部位周辺立体障害が小さく反応性が高いためより好ましく、R1〜R4のすべてが水素原子であることが最も好ましい。

0024

R1〜R4のすべてが水素原子であるとき、一般式(1)の化合物は1,3−ブタンジオールであり、一般式(2)−1の化合物はクロチルアルコール(2−ブテン−1オール)、一般式(2)−2の化合物は3−ブテン−2−オールとなる。

0025

本発明に係る一分子脱水反応の反応式を以下の式(3)に示す。

0026

本発明の一分子脱水反応で使用される反応装置は、連続式気相流通反応装置であることが好ましい。触媒は固定床又は流動床のいずれの方式でもよく、特にメンテナンス性などの点から固定床が望ましい。

0027

反応装置の一例として上部に反応原料であるジオールの気化器を備えた直管型反応器が挙げられる。反応器に触媒を充填し、原料のジオールを気化器で蒸発させて生じた原料ストリームを反応器に導入する。反応器下部の熱交換器で反応生成物を冷却し、目的の不飽和アルコールと未反応の原料を回収する。原料濃度コントロールして副反応を抑制するため、気化した原料ジオール窒素ガス水蒸気などの不活性ガス希釈して反応に供してもよい。

0028

一分子脱水反応の反応温度は250℃以上、400℃以下の範囲が適している。250℃以上であると、反応が速やかに進む。一方、400℃以下とすると副反応による選択率低下の影響が小さくなる。より好ましい温度範囲は300〜350℃である。

0029

直管型反応器において、触媒充填容積当たりのジオールの導入量は0.1〜20kg/(h・L−cat)の範囲とすることができ、好ましくは0.2〜15kg/(h・L−cat)であり、最も好ましくは0.5〜10kg/(h・L−cat)である。導入量が少ない場合は十分な生産量を得ることができないことがある。多い場合には未反応の原料が増加し、分離及び精製に余分な労力が必要となる他、原料からの副反応が進行しやすくなる。

0030

反応生成物に蒸留などの操作を行うことにより、目的生成物を、未反応原料及び副生物から分離することができる。未反応原料は目的生成物から分離した後に容易に再利用することが可能である。そのため、ジオールから不飽和アルコールを高効率に得るためには、副生物の生成を抑えることが有効であり、原料の転化率が多少低くなったとしても、選択率を高くするほうが工業的には有利である。

0031

ジオール原料を含む原料ストリームの触媒充填容積に対する空間速度[SV]は100〜40000h−1の範囲とすることができ、特に500〜10000h−1が好適である。空間速度が低すぎる場合は接触時間の増加により、1,3−ジオール原料及び生成した不飽和アルコールから副生成物が生じる可能性がある。空間速度が高すぎる場合には転化率が低下し、未反応の原料が増加して、その分離に過剰なコストを要することがある。

0032

以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0033

[酸化カルシウム担持酸化ジルコニウム触媒[A−1]〜[A−3]の調製]
硝酸カルシウム四水和物和光純薬工業株式会社、純度98.5%以上)1.19g(5.04mmol)に蒸留水20mLを加えて調製した水溶液を、酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社、HP、ペレット品粉砕比表面積100m2/g)1.8g(14.6mmol)に対して10分おきに少量ずつ添加し、110℃で一晩乾燥させた。その後、空気雰囲気中、所定の温度([A−1]:800℃、[A−2]:900℃、[A−3]:1000℃)で3時間焼成した。触媒[A−1]〜[A−3]においてジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比は0.34であった。

0034

[酸化カルシウム担持酸化ジルコニウム触媒[B]〜[D]の調製]
硝酸カルシウム四水和物の量のみを変えて、上記[A−1]と同様に酸化カルシウム担持ジルコニウム触媒を調製した。焼成温度は800℃とした。硝酸カルシウムが全て酸化カルシウムに転化したと仮定した場合のカルシウム含有量は以下のとおりとなる。
触媒[B]ジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比0.095
触媒[C]ジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比 0.16
触媒[D]ジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比 0.23

0035

[酸化カルシウム担持酸化ジルコニウム触媒[E]の調製]
硝酸カルシウム四水和物(和光純薬工業株式会社、純度98.5%以上)5.86g(24.8mmol)に蒸留水11mLを加えて調製した水溶液を、酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社、JRC−ZRO−4、比表面積29m2/g)19g(154mmol)に対して少量ずつ添加し、混練を行った後に110℃で一晩乾燥させた。得られた粉末をペレットに成形粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、800℃で3時間焼成した。ジルコニウム原子に対するカルシウム原子のモル比は0.16であった。

0036

[反応装置]
以下の実施例及び比較例で示す脱水反応には、いずれも固定床の常圧気相流通反応装置を使用した。実施例7を除いて反応管パイレックス登録商標ガラス製)として内径18mm、全長300mmのものを用いた。反応器の上部に希釈ガスの導入口、及び原料を蒸発させるための気化器が直列に接続され、下部には冷却器、及び気液分離器が設置されている。反応によって生じたガス及び液体はそれぞれ別々に回収し、キャピラリカラム(TC−WAX、30m、0.53mmφ)を接続したガスクロマトグラフィー装置(株式会社島津製作所製、GC−14B)にて測定し、検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及び選択率を求めた。

0037

転化率及び選択率の計算には、以下の計算式を用いた。

0038

[実施例1]
調製した酸化カルシウム担持酸化ジルコニウム触媒[A−1]0.5g(焼成温度800℃)を前記常圧気相流通反応装置に充填し、希釈ガスとして窒素ガスを30mL/分の速度で、原料の1,3−ジオールとして1,3−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社、特級)を1.67mL/hの速度でそれぞれ供給した。脱水反応は325℃で行った。反応は合計5時間行い、1時間おきにサンプリングを行い、その平均値より反応成績を求めた。このときの1,3−ブタンジオールの転化率と、アリル型不飽和アルコールであるクロチルアルコール(幾何異性体を含む)及び3−ブテン−2−オール、並びにホモアリル型アルコールである3−ブテン−1−オールの選択率とを表1に示す。

0039

[実施例2〜6]
触媒[A−1]の代わりに触媒[B]〜[D]、[A−2]、又は[A−3]を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で脱水反応を行った。結果を表1に示す。

0040

[実施例7]
触媒[E]4.5gを常圧式気相流通反応装置に充填した。反応管(ステンレス製)として内径16mm、全長300mmのものを用いた。原料の1,3−ジオールとして1,3−ブタンジオール(キシダ化学株式会社、特級)を25.8mL/hの速度で供給した。脱水反応は340℃で行った。結果を表1に示す。

0041

[比較例1]
酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社、HP、ペレット品粉砕、比表面積100m2/g)を800℃で焼成し、実施例1と同様に脱水反応を行った。結果を表1に示す。

0042

[参考例1]
酸化セリウム(第一稀元素化学工業株式会社、HS)を用いて、実施例1と同様に脱水反応を行った。結果を表1に示す。

0043

実施例

0044

表1に示すとおり、本発明の方法により1,3−ジオールから目的のアリル型不飽和アルコール化合物への変換が高選択的になされることがわかる。酸化ジルコニウムのみでは3−ブテン−1−オールが多く生成する。また、本発明の方法は酸化セリウムを触媒に用いた場合と比べて、末端水酸基を有するアリル型不飽和アルコール(クロチルアルコール)が高選択的に得られることが特徴であり、これらの化合物の製造に有効な手段である。

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