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技術 結晶化ガラス及び結晶化ガラス基板

出願人 株式会社オハラ
発明者 桃野浄行
出願日 2016年5月10日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-094803
公開日 2017年1月5日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2017-001937
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの表面処理 ガラス組成物(第三版)
主要キーワード 熔融体 X線回折分析装置 カレット状 低温溶融性 外枠部材 低粘性化 還元着色 熱強化
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月5日)のものです。
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課題

光学機器などの保護部材用途に適した、高い可視光透過率および良好なカラーバランスを有しつつも、高い強度を有する結晶化ガラスまたは基板を得ること。前記の結晶化ガラスまたは基板を、低コストで得ること。母ガラス粘性が低く、母ガラスが失透しにくい結晶化ガラスを得ること。

解決手段

酸化物換算モル%で、SiO2成分を30.0%〜70.0%、Al2O3成分を8.0%〜25.0%、Na2O成分を0%〜25.0%、MgO成分を0%〜25.0%、ZnO成分を0%〜30.0%、およびTiO2成分を0%〜10.0%含有し、モル比[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値が0.5以上かつ2.0以下、結晶相としてRAl2O4、RTi2O5、R2TiO4、R2SiO4、RAl2Si2O8およびR2Al4Si5O18から選ばれる1種以上を含有する結晶化ガラス。

概要

背景

スマートフォンタブレット型PCなどの携帯電子機器には、ディスプレイを保護するためのカバーガラスが使用されている。また、車載用光学機器にも、レンズを保護するためのプロテクターが使用されている。これらのカバーガラスやプロテクター用途の材料は、高い可視光透過率や良好なカラーバランスが求められ、かつ、高い強度を有することが求められている。そして、近年、これらの機器がより過酷な使用に耐えうるよう、カバーガラスやプロテクター用途において、より高い強度を有する材料の要求が強まっている。

従来から、前記保護部材用途の材料として化学強化ガラスが用いられている。しかし、従来の化学強化ガラスは、ガラス表面から垂直に入る亀裂に非常に弱いため、携帯機器が落下した際に破損する事故が多く発生し、問題となっている。
また、ガラスより硬度が高く、透明性を有する材料としてサファイアが注目されているが、サファイアの製造は、ガラスに比べ生産性が悪く、また加工性も悪い。

前記の材料以外では、ガラスの強度を高めるために、ガラス内部に結晶析出させた結晶化ガラスがある。結晶化ガラスは、アモルファスガラスよりも高い機械的特性を有することができるが、従来の結晶化ガラスは、可視光の透過性やカラーバランスが悪いため、前記保護部材用途への使用には適さなかった。また、従来の結晶化ガラスは、その原ガラス粘性が高いものや、失透性が高いものがあるため、生産性が悪く、前記保護部材用途への採用は困難であった。

特許文献1には、情報記録媒体用結晶化ガラス基板が開示されている。この結晶化ガラス基板は、可視光透過およびカラーバランスが悪い。また化学強化を施す場合、十分な圧縮応力値が得られず、応力層が深くまで形成されない。

概要

光学機器などの保護部材用途に適した、高い可視光の透過率および良好なカラーバランスを有しつつも、高い強度を有する結晶化ガラスまたは基板を得ること。前記の結晶化ガラスまたは基板を、低コストで得ること。母ガラスの粘性が低く、母ガラスが失透しにくい結晶化ガラスを得ること。酸化物換算モル%で、SiO2成分を30.0%〜70.0%、Al2O3成分を8.0%〜25.0%、Na2O成分を0%〜25.0%、MgO成分を0%〜25.0%、ZnO成分を0%〜30.0%、およびTiO2成分を0%〜10.0%含有し、モル比[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値が0.5以上かつ2.0以下、結晶相としてRAl2O4、RTi2O5、R2TiO4、R2SiO4、RAl2Si2O8およびR2Al4Si5O18から選ばれる1種以上を含有する結晶化ガラス。なし

目的

本発明の目的である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

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請求項1

酸化物換算モル%で、SiO2成分を30.0%〜70.0%、Al2O3成分を8.0%〜25.0%、Na2O成分を0%〜25.0%、MgO成分を0%〜25.0%、ZnO成分を0%〜30.0%、およびTiO2成分を0%〜10.0%含有し、モル比[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値が0.5以上かつ2.0以下、結晶相としてRAl2O4、RTi2O5、R2TiO4、R2SiO4、RAl2Si2O8およびR2Al4Si5O18(ただしRはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)から選ばれる1種以上を含有する結晶化ガラス

請求項2

酸化物換算のモル%で、TiO2成分のNa2O成分に対するモル比[TiO2/Na2O]の値が0以上0.41以下である請求項1に記載の結晶化ガラス。

請求項3

酸化物換算のモル%で、MgO成分のNa2O成分に対するモル比[MgO/Na2O]の値が0以上1.60以下である請求項1または2に記載の結晶化ガラス。

請求項4

厚さ1mmにおける、反射損失を含む波長500nmの光線透過率が50%超である請求項1から3のいずれかに記載の結晶化ガラス。

請求項5

厚さ1mmにおける、反射損失を含む、波長700nmの光線透過率と500nmの光線透過率の差が2.0%以内であり、波長700nmの光線透過率と410nmの光線透過率の差が6.0%以内である請求項1から4のいずれかに記載の結晶化ガラス。

請求項6

酸化物換算のモル%で、MgO成分とZnO成分の含有量の合計の値が1.0%以上、30.0%以下である請求項1から5のいずれかに記載の結晶化ガラス。

請求項7

酸化物換算のモル%で、B2O3成分を0%〜25.0%、P2O5成分を0%〜10.0%、K2O成分を0%〜20.0%、CaO成分を0%〜10.0%、BaO成分を0%〜10.0%、FeO成分を0%〜8%、ZrO2成分を0%〜10.0%、SnO2成分を0%〜5.0%含有する請求項1から6のいずれかに記載の結晶化ガラス。

請求項8

酸化物換算のモル%で、Li2O成分を0%〜10.0%、SrO成分を0%〜10.0%、La2O3成分を0%〜3%、Y2O3成分を0%〜3%、Nb2O5成分を0%〜5%、Ta2O5成分を0%〜5%、WO3成分を0%〜5%含有する請求項1から7のいずれかに記載の結晶化ガラス。

請求項9

請求項1から8に記載の結晶化ガラスを母材とし、表面に圧縮応力層を有する結晶化ガラス基板であって、前記圧縮応力層の圧縮応力値が300MPa以上であることを特徴とする結晶化ガラス基板。

請求項10

前記圧縮応力層の厚さが1μm以上であることを特徴とする請求項9に記載の結晶化ガラス基板。

技術分野

0001

本発明は、結晶化ガラス及び当該結晶化ガラスを母材とする基板に関する。特に、本発明は、携帯電子機器光学機器などの保護部材に適する、可視光透過率およびカラーバランスに優れた、高い強度を有する結晶化ガラスおよび基板に関する。

背景技術

0002

スマートフォンタブレット型PCなどの携帯電子機器には、ディスプレイを保護するためのカバーガラスが使用されている。また、車載用の光学機器にも、レンズを保護するためのプロテクターが使用されている。これらのカバーガラスやプロテクター用途の材料は、高い可視光の透過率や良好なカラーバランスが求められ、かつ、高い強度を有することが求められている。そして、近年、これらの機器がより過酷な使用に耐えうるよう、カバーガラスやプロテクター用途において、より高い強度を有する材料の要求が強まっている。

0003

従来から、前記保護部材用途の材料として化学強化ガラスが用いられている。しかし、従来の化学強化ガラスは、ガラス表面から垂直に入る亀裂に非常に弱いため、携帯機器が落下した際に破損する事故が多く発生し、問題となっている。
また、ガラスより硬度が高く、透明性を有する材料としてサファイアが注目されているが、サファイアの製造は、ガラスに比べ生産性が悪く、また加工性も悪い。

0004

前記の材料以外では、ガラスの強度を高めるために、ガラス内部に結晶析出させた結晶化ガラスがある。結晶化ガラスは、アモルファスガラスよりも高い機械的特性を有することができるが、従来の結晶化ガラスは、可視光の透過性やカラーバランスが悪いため、前記保護部材用途への使用には適さなかった。また、従来の結晶化ガラスは、その原ガラス粘性が高いものや、失透性が高いものがあるため、生産性が悪く、前記保護部材用途への採用は困難であった。

0005

特許文献1には、情報記録媒体用結晶化ガラス基板が開示されている。この結晶化ガラス基板は、可視光透過およびカラーバランスが悪い。また化学強化を施す場合、十分な圧縮応力値が得られず、応力層が深くまで形成されない。

先行技術

0006

特開2014−114200号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、携帯電子機器や光学機器などの保護部材用途に適した、高い可視光の透過率および良好なカラーバランスを有しつつも、高い強度を有する結晶化ガラスまたは基板を得ることにある。
さらに、前記の結晶化ガラスまたは基板を、低コストで得ることも本発明の目的である。そのために、母ガラスの粘性が低く、母ガラスが失透しにくい結晶化ガラスを得ることも、本発明が解決しようとする課題の一つである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、結晶化ガラスを構成する特定の成分について、その含有量、および含有比率を特定の値に規定し、特定の結晶相を析出させることによって、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。

0009

(構成1)
酸化物換算モル%で、
SiO2成分を30.0%〜70.0%、
Al2O3成分を8.0%〜25.0%、
Na2O成分を0%〜25.0%、
MgO成分を0%〜25.0%、
ZnO成分を0%〜30.0%、
およびTiO2成分を0%〜10.0%含有し、
モル比[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値が0.5以上かつ2.0以下、
結晶相としてRAl2O4、RTi2O5、R2TiO4、R2SiO4、RAl2Si2O8およびR2Al4Si5O18(ただしRはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)から選ばれる1種以上を含有する結晶化ガラス。
(構成2)
酸化物換算のモル%で、TiO2成分のNa2O成分に対するモル比[TiO2/Na2O]の値が0以上0.41以下である構成1に記載の結晶化ガラス。
(構成3)
酸化物換算のモル%で、MgO成分のNa2O成分に対するモル比[MgO/Na2O]の値が0以上1.60以下である構成1または2に記載の結晶化ガラス。
(構成4)
厚さ1mmにおける、反射損失を含む波長500nmの光線透過率が50%超である構成1から3のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成5)
厚さ1mmにおける、反射損失を含む、波長700nmの光線透過率と500nmの光線透過率の差が2.0%以内であり、波長700nmの光線透過率と410nmの光線透過率の差が6.0%以内である構成1から4のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成6)
酸化物換算のモル%で、MgO成分とZnO成分の含有量の合計の値が1.0%以上、30.0%以下である構成1から5のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成7)
酸化物換算のモル%で、
B2O3成分を0%〜25.0%、
P2O5成分を0%〜10.0%、
K2O成分を0%〜20.0%、
CaO成分を0%〜10.0%、
BaO成分を0%〜10.0%、
FeO成分を0%〜8%、
ZrO2成分を0%〜10.0%、
SnO2成分を0%〜5.0%
含有する構成1から6のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成8)
酸化物換算のモル%で、
Li2O成分を0%〜10.0%、
SrO成分を0%〜10.0%、
La2O3成分を0%〜3%、
Y2O3成分を0%〜3%、
Nb2O5成分を0%〜5%、
Ta2O5成分を0%〜5%、
WO3成分を0%〜5%
含有する構成1から7のいずれかに記載の結晶化ガラス。
(構成9)
構成1から8に記載の結晶化ガラスを母材とし、表面に圧縮応力層を有する結晶化ガラス基板であって、前記圧縮応力層の圧縮応力値が300MPa以上であることを特徴とする結晶化ガラス基板。
(構成10)
前記圧縮応力層の厚さが1μm以上であることを特徴とする構成9に記載の結晶化ガラス基板。

発明の効果

0010

本発明によれば、携帯電子機器や光学機器などの保護部材用途に適した、高い可視光の透過性および良好なカラーバランスを有しつつも、高い強度を有する結晶化ガラスまたは基板を得ることができる。本発明の結晶化ガラスは、厚さ1mmにおける反射損失を含んだ波長500nmの光線透過率が、50%超であり、より好ましい態様によれば70%超であり、さらに好ましい態様によれば、80%超である。
本発明の結晶化ガラスは、厚さ1mmにおける反射損失を含んだ、波長700nmの光線透過率と500nmの光線透過率の差ΔT1が2.0%以内であり、波長700nmの光線透過率と410nmの光線透過率の差ΔT2が6.0%以内であり、より好ましい態様によれば、ΔT1が1.5%以内であり、ΔT2が5.0%以内であり、さらに好ましい態様によれば、ΔT1が1.2%以内であり、ΔT2が2.5%以内である。
さらに本発明の結晶化ガラスは、ビッカース硬度[Hv]が600以上であり、より好ましい態様によれば650以上であり、さらに好ましい態様によれば700以上であり、最も好ましい態様によれば730以上である。

0011

本発明の結晶化ガラスは、可視光の透過率が高いため、光学レンズの材料として使用することもできる。また、ガラス系材料特有外観を活かした、携帯電子機器の外枠部材その他の装飾用途に使用することも可能である。

0012

以下、本発明の結晶化ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。

0013

結晶化ガラスとは、ガラスセラミックスとも呼ばれ、ガラスを熱処理することでガラス内部に結晶を析出させてなる材料である。本発明の結晶化ガラスは、結晶相とガラス相を有する材料であり、非晶質固体とは区別される。結晶化ガラスは、内部に分散している結晶により、ガラスでは得られない物性値を備える事ができる。例えば、ヤング率破壊靱性等の機械的強度酸性アルカリ性薬液に対する被エッチング特性熱膨張係数等の熱的特性ガラス転移温度の上昇及び消失耐熱性向上)等について、結晶化ガラスは、ガラスでは実現しえない特性値を付与することができる。
結晶化ガラスの結晶相は、X線回折分析X線回折図形において現れるピークの角度、および必要に応じてTEMEDXを用いて判別される。

0014

本発明の結晶化ガラスは、結晶相としてRAl2O4、RTi2O5、R2TiO4、R2SiO4、RAl2Si2O8およびR2Al4Si5O18(ただしRはZn、Mg、Feから選択される1種類以上)から選ばれる1種以上を含有する。
これらを結晶相とする結晶化ガラスは、極微小結晶析出でも高い機械的強度を有することができる。そのため、前記の結晶を結晶相とする結晶化ガラスは、携帯電子機器や光学機器などの保護部材用途に要求される高い強度を有しつつも、高い光線透過率および良好なカラーバランスを得られやすくなる。

0015

[結晶化ガラスを構成する成分]
本発明の結晶化ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成ガラス全物質量に対するモル%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明の結晶化ガラス構成成分の原料として使用される酸化物複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総物質量を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
また、本明細書で単にガラスと言うときは、結晶化前の原ガラスを含む場合がある。

0016

SiO2成分は、本発明の結晶化ガラスのガラス網目構造を形成する必須成分である。その量が30%未満では、得られたガラスの化学的耐久性が乏しく、かつ耐失透性が悪くなる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは40.0%、最も好ましくは50.0%を下限とする。
他方、SiO2成分の含有量を70.0%以下にすることで、過剰な粘性の上昇や熔融性の悪化を抑えることができる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは70.0%、より好ましくは68.0%、さらに好ましくは66.5%、最も好ましくは65.0%を上限とする。

0017

Al2O3成分は、SiO2と同様にガラス網目構造を形成し、原ガラスの熱処理により結晶相を構成する成分ともなりうる必須成分である。原ガラスの安定化、化学的耐久性向上にも寄与する重要な成分であるが、その量が8.0%未満ではその効果に乏しい。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは8.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは12.0%を下限とする。
他方、Al2O3成分の含有量が25.0%を超えると熔融性や耐失透性が悪化してしまう。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。

0018

Na2O成分は低温熔融性や成形性を向上させる任意成分である。
他方、Na2O成分の含有量を25.0%以下にすることで、Na2O成分の過剰な含有による化学的耐久性の悪化や平均線膨張係数の上昇を抑えられる。従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。
イオン交換による化学強化を施す場合は、Na2O成分を結晶化ガラスに含有させ、結晶化ガラス中のNa+イオンをK+イオンと交換することが圧縮応力層を形成するうえで効果的である。従って、イオン交換による化学強化を施す場合、Na2O成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは2.0%、さらに好ましくは4.0%、最も好ましくは6.0%を下限としてよい。

0019

MgO成分は、結晶相を構成しうる成分の一つであり、任意成分である。MgO成分は、0%超含有する場合に、低温溶融性を向上させる効果がある。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは5.0%を下限としてもよい。
他方、MgO成分の含有量を25.0%以下にすることで、MgO成分の過剰な含有による耐失透性の低下を抑えることができる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。

0020

ZnO成分は、結晶相を構成しうる成分の一つであり、任意成分である。ZnO成分は、0%超含有する場合に、低温溶融性を向上させるとともに、且つ化学的耐久性を改善できる効果がある。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは6.0%、最も好ましくは8.0%を下限としてもよい。
他方、ZnO成分の含有量を30.0%以下にすることで、失透性の悪化を抑えられる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。

0021

TiO2成分は、結晶を析出させるための核形成役割を果たし、結晶化ガラスの低粘性化、化学的耐久性の向上にも寄与する任意成分である。TiO2成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%、最も好ましくは1.5%を下限としてもよい。
他方、TiO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、失透性の悪化を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは7.0%、さらに好ましくは4.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。

0022

本発明において、所望の結晶相を得るために、酸化物換算のモル%で、Al2O3成分の含有量のMgOおよびZnOの合計含有量に対するモル比の値、すなわち[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値を0.5以上かつ2.0以下の範囲にすることが必要である。前記の効果をより得やすくする為には、[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値の下限は0.6であることが好ましく、0.7であることがより好ましく、0.8であることが最も好ましい。同様に[Al2O3/(MgO+ZnO)]の値の上限は、1.8であることが好ましく、1.5であることがより好ましく、1.2であることが最も好ましい。

0023

本発明において、所望の可視光透過性およびカラーバランスを得るために、酸化物換算のモル%で、TiO2成分のNa2O成分に対するモル比、すなわち[TiO2/Na2O]の値を0以上0.41以下の範囲にすることが好ましい。前記の効果をより得やすくする為には、[TiO2/Na2O]の値の下限は0.05であることが好ましく、0.10であることがより好ましく、0.12であることが最も好ましい。同様に[TiO2/Na2O]の値の上限は、0.41であることが好ましく、0.35であることがより好ましく、0.25であることがさらに好ましく、0.15であることが最も好ましい。

0024

本発明において、熔解時の耐失透性および熔融性や成形性に優れながら、強い着色を抑え、カラーバランスに優れた所望の結晶化ガラスを得るために、酸化物換算のモル%で、MgO成分のNa2O成分に対するモル比、すなわち[MgO/Na2O]の値を0以上1.60以下の範囲にすることが好ましい。
前記の効果をより得やすくする為には、[MgO/Na2O]の値の下限は0.10であることが好ましく、0.30であることがより好ましく、0.50であることが最も好ましい。同様に[MgO/Na2O]の値の上限は、1.60であることが好ましく、1.10であることがより好ましく、0.80であることがさらに好ましく、0.60であることが最も好ましい。

0025

本発明において、熔融性や成形性に優れながら所望の結晶相を得るために、酸化物換算のモル%で、MgO成分とZnO成分の含有量の合計、すなわち[MgO+ZnO]の値を1.0%以上、30.0%以下の範囲にすることが好ましい。前記の効果をより得やすくする為には、[MgO+ZnO]の値の下限は5.0%であることが好ましく、10.0%であることがより好ましく、12.0%であることが最も好ましい。同様に[MgO+ZnO]の値の上限は、30.0%であることが好ましく、20.0%であることがより好ましく、18.0%であることがさらに好ましく、16.0%であることが最も好ましい。

0026

本発明において、極微小な結晶を析出させ、高い光線透過率および良好なカラーバランスに優れた結晶化ガラスを得るために、酸化物換算のモル%で、ZnO成分のMgO成分に対するモル比、すなわち[ZnO/MgO]の値を0以上5以下の範囲にすることが好ましい。
前記の効果をより得やすくする為には、[ZnO/MgO]の値の下限は0.44であることがより好ましく、0.45であることが最も好ましい。同様に、[ZnO/MgO]の値の上限は、4.8であることがより好ましく、4.7であることが最も好ましい。

0027

B2O3成分は、0%超含有する場合に、ガラスの低粘性化に寄与し、ガラスの熔解性、成形性を向上させるので、任意成分として添加することができる。
他方、B2O3成分を過剰に含有させると、結晶化ガラスの化学的耐久性が低下しやすくなり、所望の結晶の析出が抑制されやすくなる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは2.0%未満を上限とする。

0028

P2O5成分は、0%超含有する場合に、ガラスの低温溶融性の向上に寄与する任意成分である。
他方、P2O5成分を過剰に含有させると、耐失透性の低下やガラスの分相が生じやすくなる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0029

K2O成分は、ガラスの低温熔融性や成形性の向上に寄与する任意成分である。
他方、K2O成分を過剰に含有させると、化学的耐久性の悪化や平均線膨張係数の上昇が生じやすくなる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
イオン交換による化学強化を施す場合は、K2O成分を結晶化ガラスに含有させると、圧縮応力層を深くまで形成するうえで効果的である。従って、イオン交換による化学強化を施す場合、K2O成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.8%、最も好ましくは1.0%を下限としてよい。

0030

CaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの低温溶融性の向上に寄与する任意成分である。
他方、CaO成分を過剰に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0031

BaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの低温溶融性の向上に寄与する任意成分である。
他方、BaO成分を過剰に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0032

FeO成分は、結晶相を構成しうる成分の一つであり、清澄剤としても作用するため、任意に含有することができる。
他方、FeO成分を過剰に含有させると、過度の着色やガラス溶融装置に用いられる白金合金化が生じやすくなる。従って、FeO成分の含有量は、好ましくは8.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0033

ZrO2成分は、結晶を析出させるための核形成の役割を果たすことができ、ガラスの化学的耐久性の向上にも寄与する任意成分である。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは0.4%、さらに好ましくは0.8%、最も好ましくは1.0%を下限としてもよい。
他方、ZrO2成分を過剰に含有させると、ガラスの耐失透性が低下しやすくなる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは4.0%、さらに好ましくは2.0%、最も好ましくは1.5%を上限とする。

0034

SnO2成分は、清澄剤としての役割や結晶を析出させるための核形成の役割を果たすことができる任意成分である。従ってSnO2成分の含有量は、好ましくは0%超としてもよく、より好ましくは0.01%、最も好ましくは0.05%を下限としてもよい。
他方、SnO2成分を過剰に含有させると、ガラスの耐失透性が低下しやすくなる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.4%、最も好ましくは0.2%を上限とする。

0035

Li2O成分は、ガラスの低温熔融性や成形性を向上させる任意成分である。
他方、Li2O成分を過剰に含有させると、化学的耐久性の悪化や平均線膨張係数の上昇が生じやすくなる。従ってLi2O成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは2.0%を上限とする。
イオン交換による化学強化を施す場合は、Li2O成分を結晶化ガラスに含有させると、圧縮応力層を深くまで形成するうえで効果的である。従って、イオン交換による化学強化を施す場合、Li2O成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは0.8%、最も好ましくは1.0%を下限としてよい。

0036

SrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの低温溶融性を向上させる任意成分である。
他方、SrO成分を過剰に含有させると耐失透性が低下しやすくなる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0037

La2O3成分は、0%超含有する場合に、結晶化ガラスの機械的強度を向上させる任意成分である。
他方、La2O3成分を過剰に含有させると耐失透性が低下しやすくなる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0038

Y2O3成分は、0%超含有する場合に、結晶化ガラスの機械的強度を向上させる任意成分である。
他方、Y2O3成分を過剰に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0039

Nb2O5成分は、0%超含有する場合に、結晶化ガラスの機械的強度を向上させる任意成分である。
他方、Nb2O5成分を過剰に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0040

Ta2O5成分は、0%超含有する場合に、結晶化ガラスの機械的強度を向上させる任意成分である。
他方、Ta2O5成分を過剰に含有させると、耐失透性が低下しやすくなる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0041

WO3成分は、0%超含有する場合に、結晶化ガラスの機械的強度を向上させる任意成分である。
他方、WO3成分を過剰に含有させると耐失透性が低下しやすくなる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0042

本発明の結晶化ガラスには、清澄剤として、As2O3成分、Sb2O3成分およびCeO2成分、ならびにF、Cl、NOx、SOxの群から選択された一種または二種以上を含有させても良い。ただし、清澄剤の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。

0043

本発明の結晶化ガラスには、上述されていない他の成分を、本願発明の結晶化ガラスの特性を損なわない範囲で、必要に応じ、添加することができる。ただし、Ti、Fe、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、YbおよびLuを除く、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、AgおよびMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独または複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、実質的に含まないことが好ましい。

0044

さらに、Pb、Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。

0045

本発明の結晶化ガラスにおいては、ガラス組成として、上記成分のみから構成されてもよいが、ガラスの特性を大きく損なわない範囲で他の成分を添加することもできる。例えばTeO2成分、Bi2O3成分等を添加可能である。

0046

[結晶化ガラスの物性]
本発明の結晶化ガラスは下記特性を有することが好ましい。
本発明の結晶化ガラスは、耐失透性が高いこと、より具体的には、低い液相温度を有することが好ましい。すなわち、本発明のガラスの液相温度は、好ましくは1420℃、より好ましくは1380℃、さらに好ましくは1340℃、最も好ましくは1300℃を上限とする。これにより、より低い温度で熔融ガラスを流出しても、熔融状態からガラスを形成したときの失透を低減でき、結晶化ガラスを用いた基板や光学特性への影響を低減できる。また、ガラスの熔解温度を低くしてもガラスを成形できるため、白金装置や成形金型劣化が抑えられ、かつガラスの成形時に消費するエネルギーを抑えることができ、ガラスの製造コストを低減できる。
他方、本発明のガラスの液相温度の下限は特に限定しないが、本発明によって得られるガラスの液相温度は、好ましくは1000℃、より好ましくは1100℃、さらに好ましくは1200℃を下限としてもよい。
ここで、液相温度とは、耐失透性の指標であり、本明細書においては、以下の方法で測定された値を液相温度とする。まず、50mlの容量の白金製坩堝に30ccのカレット状ガラス試料を入れて、1500℃で保持し、完全に熔融状態にする。次に、所定の温度まで降温して12時間保持した後、炉外に取り出して冷却した後、ガラス表面およびガラス中の結晶の有無を観察する。当該所定の温度を、1200℃までの10℃刻みの温度としてそれぞれ前記観察を行い、当該所定の温度のうち、結晶が認められない一番低い温度を液相温度とする。

0047

本発明の結晶化ガラスは、液相温度におけるガラス融液の粘性を10dPa・s以上とする。このような粘性を有することで、脈理の発生を抑制し、溶融ガラスから薄板に成形することやダイレクトプレス法による成形が可能となる。したがって、本発明のガラスは、液相温度におけるガラス融液の粘性を10dPa・s以上とすることが好ましく、100dPa・s以上とすることがより好ましく、350dPa・s以上とすることがより好ましく、500dPa・s以上とすることが最も好ましい。

0048

本発明の結晶化ガラスは、1400℃におけるガラス融液の粘性が1000dPa・s以下であることが望ましい。このような粘性を有することで、脱泡性の悪化や清澄時の過剰な温度上昇によるガラス製造設備の劣化、不純物混入、ガラス融液の還元着色を抑えることができる。したがって、本発明のガラスは、1400℃におけるガラス融液の粘性を1000dPa・s以下とすることが好ましく、800dPa・s以下とすることがより好ましく、650dPa・s以下とすることがさらに好ましく、500dPa・s以下とすることが最も好ましい。

0049

本発明の結晶化ガラスは、ビッカース硬度[Hv]が600以上であることが望ましい。このような硬度を有することで、キズが生じるのを抑え、機械的強度を高めることができる。したがって、本発明の結晶化ガラスはビッカース硬度[Hv]が600以上であることが好ましく、650以上であることがより好ましく、700以上であることがさらに好ましく、730以上であることが最も好ましい。

0050

本発明の結晶化ガラス基板は、イオン交換処理により、圧縮応力層を形成し、化学強化を施すことができる。圧縮応力層を形成する場合、圧縮応力層の圧縮応力値は300MPa以上とすることが好ましい。このような圧縮応力値を有することでクラック延伸を抑え機械的強度を高めることができる。したがって、化学強化を施した場合、本発明の結晶化ガラス基板は、圧縮応力層の圧縮応力値が300MPa以上であることが好ましく、600MPa以上であることがさらに好ましく、800MPa以上であることが最も好ましい。

0051

本発明の結晶化ガラス基板の圧縮応力層の厚さは、1μm以上であることが好ましい。圧縮応力層がこのような厚さを有することで、結晶化ガラス基板に深いクラックが生じてもクラックが延伸したり、基板が割れたりするのを抑えることができる。したがって圧縮応力層の厚さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、8μm以上であることが最も好ましい

0052

本発明の結晶化ガラス基板は、130gの鋼球を100cmの高さから基板に向けて落下させても破断しないことが望ましい。このような耐衝撃性を有することで、保護部材として使用した際に落下や衝突時の衝撃に耐えることができる。したがって130gの鋼球を落下させても破断しない落球高さは100cmが好ましく、150cmがさらに好ましく、180cmが最も好ましい。

0053

[製造方法]
本発明の結晶化ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分が所定の含有量の範囲内になるように原料を均一に混合し、作製した混合物を白金製や石英製の坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉ガス炉で1300〜1540℃の温度範囲で5〜24時間溶融し、攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型鋳込み、徐冷する。

0054

[原ガラスの成形]
本発明の結晶化ガラスの原ガラスは、公知の方法によって、熔解成形することが可能である。なお、ガラス熔融体を成形する手段は限定されない。

0055

[原ガラスの結晶化]
本発明の結晶化ガラスの原ガラスは、成形後または成形加工後に熱処理し、ガラス内部に均一に結晶を析出させる。この熱処理は、1段階でも良いが、2段階の温度で熱処理することがより好ましい。すなわち、まず第1の温度で熱処理することにより核形成工程を行い、この核形成工程の後に、核形成工程より高い第2の温度で熱処理することにより結晶成長工程を行う。第1の温度による熱処理を第1の熱処理と、第2の温度による熱処理を第2の熱処理という。
また、1段階の温度で熱処理することにより、核形成工程と結晶成長工程を連続的に行っても良い。すなわち所定の熱処理温度まで昇温し、当該熱処理温度に達した後に一定時間その温度を保持し、その後、降温してもよい。
結晶化ガラスが所望の物性を得るために、好ましい熱処理の条件は以下の通りである。
第1の温度は600℃〜750℃が好ましい。第1の熱処理を省略しても良い。第2の温度は650℃〜850℃が好ましい。
第1の温度での保持時間は0分〜2000分が好ましく、180分〜1440分が最も好ましい。
第2の温度での保持時間は0分〜600分が好ましく、60分〜300分が最も好ましい。
1段階の温度で熱処理する場合、熱処理の温度は600℃〜800℃の範囲とすることが好ましく、630℃〜770℃の範囲とすることが所望の結晶相を析出させるためにより好ましい。また、熱処理の温度での保持時間は、0分〜500分とすることが所望の結晶相を析出させるために好ましく、60分〜300分とすることがより好ましい。
なお、保持時間0分とは、その温度に達したのち、1分未満で降温又は昇温を開始することである。

0056

本発明のガラスまたは結晶化ガラスは、例えば研削及び研磨加工の手段等を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、ガラスまたは結晶化ガラスに対して研削および研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製することができる。ガラス成形体を薄板状に加工することにより、本発明の結晶化ガラスを母材とした結晶化ガラス基板を作製できる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。

0057

本発明の結晶化ガラス基板は機械的強度を更に高めるために圧縮応力層を形成させても良い。本発明の結晶化ガラスは、析出結晶によりあらかじめ機械的特性が高いことに加え、圧縮応力層を形成することにより、より高い強度を得ることができる。

0058

圧縮応力層の形成方法としては、例えば結晶化ガラス基板の表面層に存在するアルカリ成分を、それよりもイオン半径の大きなアルカリ成分と交換反応させ、表面層に圧縮応力層を形成する化学強化法がある。また、結晶化ガラス基板を加熱し、その後急冷する熱強化法、結晶化ガラス基板の表面層にイオンを注入するイオン注入法がある。

0059

化学強化法は、次の様な工程で実施することができる。結晶化ガラス基板を、カリウムまたはナトリウムを含有する塩、例えば硝酸カリウム(KNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)またはその複合塩を350〜500℃に加熱した溶融塩に、0.1〜12時間接触または浸漬させる。これにより、表面付近のガラス相に存在するリチウム成分(Li+イオン)またはナトリウム成分(Na+イオン)と、これらよりもイオン半径の大きなアルカリ成分であるナトリウム成分(Na+イオン)またはカリウム成分(K+イオン)とのイオン交換反応が進行する。この結果、基板表面部に圧縮応力層が形成される。
化学強化法によるイオン交換により、本発明の結晶化ガラスは圧縮応力値が300MPa以上かつ厚さが1μm以上の圧縮応力層を形成することができる。より好ましい態様によれば、600MPa以上、最も好ましい態様によれば、800MPa以上の圧縮応力値を有する圧縮応力層を形成することができる。また、より好ましい態様によれば、5μm以上、最も好ましい態様によれば、8μm以上の厚さを有する圧縮応力層を形成することができる。

0060

熱強化法については、特に限定されないが、例えば結晶化ガラス基板を、300℃〜600℃に加熱した後に、水冷および/または空冷等の急速冷却を実施することにより、ガラス基板の表面と内部の温度差によって、圧縮応力層を形成することができる。なお、上記化学処理法と組み合わせることにより、圧縮応力層をより効果的に形成することもできる。

0061

本発明の実施例の結晶化ガラスおよび基板を表に記載する。本発明の実施例の結晶化ガラスは、次のとおり製造した。まず、各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物炭酸塩硝酸塩弗化物塩化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の原料を選定し、これらの原料を表に示した各実施例の組成の割合になるように量して均一に混合した。次に、混合した原料を白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で1300〜1550℃の温度範囲で5〜24時間溶融した。その後、溶融したガラスを攪拌して均質化してから金型等に鋳込み、徐冷して原ガラスを作製した。

0062

得られた原ガラスに対し、核形成および結晶化の為に、1段階または2段階の熱処理を施して結晶化ガラスを作製した。実施例1から3および36から38では1段階の熱処理を行い、その他の実施例では2段階の熱処理を行った。表中では、1段階目の熱処理の条件は、「核形成条件」の欄に、2段階目の熱処理の条件は「結晶化条件」の欄に記載した。熱処理の温度およびその温度での保持時間は表に記載の通りである。

0063

作製した結晶化ガラスに対し、40mm角、厚さ1mm超の形状となるように、切断および研削を行い、厚さ1mm厚となるように対面平行研磨して、結晶化ガラス基板を得た。
ここで、「化学強化条件」の欄に記載のある実施例については、対面平行研磨後の結晶化ガラスをKNO3溶融塩中に浸漬することで化学強化を行って、結晶化ガラス基板を得た。浸溶融塩の温度および浸漬時間は、表中の「化学強化条件」の欄に記載の通りである。

0064

実施例の結晶化ガラスの可視光の透過率は、1mm厚に対面平行研磨した結晶化ガラスに対し、日立ハイテクノロジー製U−4000形分光光度計により240〜800nmの分光透過率を測定し、410nm、500nm、700nmの分光透過率を求めた。透過率は表面の反射損失を含む値である。表中、波長700nmの光線透過率と500nmの光線透過率の差は、「ΔT1(700,500)」の欄に記載し、波長700nmの光線透過率と410nmの光線透過率の差は、「ΔT2(700,410)」の欄に記載した。

0065

化学強化を施した結晶化ガラス基板の表面の圧縮応力値と圧縮応力層の厚さは、折原製作所製のガラス表面応力FSM−6000LEを用いて測定を行った。測定条件として試料屈折率を1.54、光学弾性定数を28.8[(nm/cm)/MPa]で算出を行った。

0066

また、実施例の結晶化ガラス基板のビッカース硬度は対面角が136°のダイヤモンド四角錐圧子を用いて、試験面ピラミッド形状くぼみをつけたときの荷重(N)を、くぼみの長さから算出した表面積(mm2)で割った値で示した。明石製作所製微小硬度計MVK−Eを用い、試験荷重を9.80(N)、保持時間15(秒)で行った。また、「化学強化条件」の欄に記載のある実施例については化学強化後の基板について行った。

0067

実施例の化学強化前の結晶化ガラスの結晶相はX線回折分析装置(Philips製X’PERT−MPD)を用いてX線回折図形において現れるピークの角度、および必要に応じてTEMEDX(日本電子製JEM2100F)を用いて判別した。

0068

実施例の結晶化ガラスの「液相温度」は、50mlの容量の白金製坩堝に30ccのカレット状のガラス試料を入れて1500℃で完全に熔融状態にし、所定の温度まで降温して12時間保持し、炉外に取り出して冷却した後ガラス表面及びガラス中の結晶の有無を観察し、結晶が認められない一番低い温度を求めた。降温する際の所定の温度は、1200℃までの10℃刻みの温度で実施した。
ガラス融液の粘性は、球引上げ粘度計オプト企業製)により測定をおこない、液相温度時および1400℃における粘性を求めた。

0069

落球試験を行った実施例については、「落球試験高さ」の欄に数値を記載した。落球試験高さは、40mm角×1.3mm厚の両表面を研磨した試験対象の基板をゴムシート上に置き、所定の高さから130gの鋼球を落下させ、基板が破断されずに衝撃に耐えられた最大落球高さを表している。試験は、具体的には落球高さ100cmから開始し、破断しない場合、150cm、180cmへ高さを変更して実施した。また、「化学強化条件」の欄に記載のある実施例については、化学強化後の基板を試験対象とした。
なお、180cmと実施例に記載のものは、180cmの高さから鋼球を落下させても破断されず衝撃に耐えられたことを表しており、それ以上の高さでも破断しない可能性を示している。

0070

0071

0072

0073

0074

0075

0076

0077

0078

表に表されるように、本発明の実施例の結晶化ガラスは、所望の透過性およびカラーバランスを得ることが可能である。

0079

このため本発明の実施例の結晶化ガラスは、厚さ1mmにおける波長500nmの光線透過率がいずれも85%超であった。また、厚さ1mmにおける、波長700nmの光線透過率と500nmの光線透過率の差がいずれも1.5%以内であった。また、波長700nmの光線透過率と410nmの光線透過率の差がいずれも5.0%以内であった。このため、本発明の実施例の結晶化ガラスは、可視光透過率およびカラーバランスに優れていることが明らかになった。

0080

また、本発明の実施例の結晶化ガラスは、熔解時の耐失透性および熔融性や成形性に優れながら所望の結晶相を得ることが可能である。

0081

本発明の基板は、結晶化ガラスであっても化学強化により高い圧縮応力が得られ、短い時間で圧縮応力層が深くまで形成されることが明らかとなった。

0082

従って、本発明の実施例の結晶化ガラス及び基板は、所望の透過性およびカラーバランスを有しかつ高い機械的強度を有することが明らかとなった。

実施例

0083

以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

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