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技術 金属樹脂複合成形体及びその製造方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 錦織祐介遠藤正憲吉田みゆき
出願日 2015年7月2日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-133409
公開日 2017年1月5日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-001378
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 流動性材料の適用方法、塗布方法 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 概観写真 樹脂接合体 界面接合強度 金属樹脂複合体 産業機器部品 苛性処理 被覆金属基材 ポリプロピレン樹脂成形体
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重要な関連分野

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図面 (9)

課題

種々の金属基材樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその汎用的な製造方法を提供し、特に、アルミニウム基材ポリオレフィン系樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその簡便な製造方法を提供する。

解決手段

金属基材と、ポリプロピレン樹脂層と、熱可塑性樹脂成形体と、を有し、ポリプロピレン樹脂層は、金属基材に形成された親水性表面を介して金属基材に接合され、熱可塑性樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂層との相溶化及びアンカー効果によって、ポリプロピレン樹脂層と接合されていること、を特徴とする金属樹脂複合成形体。

概要

背景

機械的特性に優れた金属材と軽量かつ安価で高い絶縁特性を有する樹脂材とを一体に接合した金属樹脂複合成形体は、各種産業分野において広く利用されている。

特に、自動車の各種センサ部品家庭電化製品部品、産業機器部品等の分野では、放熱性の高いアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と、熱可塑性樹脂成形体とを一体に成形したアルミニウム樹脂接合体幅広く用いられるようになっており、当該接合体の用途は拡大しているところである。

このような状況下において、金属樹脂複合成形体の製造方法が盛んに検討されており、例えば、特許文献1(WO2012/060311号公報)においては、ポリオレフィン系樹脂シートをアルミニウム基材に接着させた後でインサート成形することで、射出される樹脂材とアルミニウム基材とを接合する技術が提案されている。

上記特許文献1においては、ポリオレフィン系樹脂極性基を導入した変性ポリオレフィン系樹脂を含有する粘着性を有する接着フィルムを、粘着性を有しない熱可塑性樹脂フィルムと積層することにより、金属部材と接着フィルムを積層する際の作業性が飛躍的に向上すると共に、金属部材と射出成形される樹脂とが良好に接着し、高い耐熱性を得ることができる、とされている。

また、特許文献2(特開2014−34201号公報)においては、物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材とプロピレン樹脂発泡部材とを一体化してなる金属部材‐プロピレン樹脂発泡部材複合体が提案されている。

上記特許文献2においては、アルミニウム基材に陽極酸化等の表面処理を施した後にインサート発泡成形を行うことで、アルミニウム基材とプロピレン樹脂発泡部材とを一体化した複合体が、密封性及び接合性に優れると共に、軽量化にも資する複合体となり得る、とされている。

概要

種々の金属基材樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその汎用的な製造方法を提供し、特に、アルミニウム基材とポリオレフィン系樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその簡便な製造方法を提供する。金属基材と、ポリプロピレン樹脂層と、熱可塑性樹脂成形体と、を有し、ポリプロピレン樹脂層は、金属基材に形成された親水性表面を介して金属基材に接合され、熱可塑性樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂層との相溶化及びアンカー効果によって、ポリプロピレン樹脂層と接合されていること、を特徴とする金属樹脂複合成形体。

目的

本発明の目的は、種々の金属基材と樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその汎用的な製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属基材と、ポリプロピレン樹脂層と、熱可塑性樹脂成形体と、を有し、前記ポリプロピレン樹脂層は、前記金属基材に形成された親水性表面を介して前記金属基材に接合され、前記熱可塑性樹脂成形体は、前記ポリプロピレン樹脂層との相溶化及びアンカー効果によって、前記ポリプロピレン樹脂層と接合されていること、を特徴とする金属樹脂複合成形体

請求項2

前記金属基材の表面に、塗装によって前記ポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリプロピレン樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリプロピレン樹脂とを融着させる第二工程と、を含む工程によって得られる金属樹脂複合成形体であって、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする請求項1に記載の金属樹脂複合成形体。

請求項3

前記第二工程において、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリアミド樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリアミド樹脂とを融着させ、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする請求項1に記載の金属樹脂複合成形体。

請求項4

前記第二工程において、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリカーボネート樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリカーボネート樹脂とを融着させ、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする請求項1に記載の金属樹脂複合成形体。

請求項5

前記金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材であること、を特徴とする請求項1〜4に記載の金属樹脂複合成形体。

請求項6

前記アルミニウム基材に、苛性処理ブラスト処理陽極酸化処理ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理が施されており、前記ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂と前記アルミニウム基材との接触角が60度以下であること、を特徴とする請求項5に記載の金属樹脂複合成形体。

請求項7

前記ポリプロピレン樹脂層の膜厚が1〜200μmであること、を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体。

請求項8

前記第一工程において、スプレー塗装又は粉体塗装によって前記ポリプロピレン樹脂層が形成されていること、を特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体。

請求項9

金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリプロピレン樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリプロピレン樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項10

金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリアミド樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリアミド樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項11

金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリカーボネート樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリカーボネート樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、前記第二工程における射出成形条件として、T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0が成立すること、を特徴とする金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項12

前記金属基材をアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材とすること、を特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項13

前記アルミニウム基材に、苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施し、前記ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂と前記アルミニウム基材との接触角を60度以下とすること、を特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項14

前記ポリプロピレン樹脂層の膜厚を1〜200μmとすること、を特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体の製造方法。

請求項15

前記第一工程において、スプレー塗装又は粉体塗装を用いて前記ポリプロピレン樹脂層を形成させること、を特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の金属樹脂複合成形体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、金属基材樹脂成形体とからなる金属樹脂複合成形体及びその製造方法に関し、より具体的には、金属基材と樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

機械的特性に優れた金属材と軽量かつ安価で高い絶縁特性を有する樹脂材とを一体に接合した金属樹脂複合成形体は、各種産業分野において広く利用されている。

0003

特に、自動車の各種センサ部品家庭電化製品部品、産業機器部品等の分野では、放熱性の高いアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材と、熱可塑性樹脂成形体とを一体に成形したアルミニウム樹脂接合体幅広く用いられるようになっており、当該接合体の用途は拡大しているところである。

0004

このような状況下において、金属樹脂複合成形体の製造方法が盛んに検討されており、例えば、特許文献1(WO2012/060311号公報)においては、ポリオレフィン系樹脂シートをアルミニウム基材に接着させた後でインサート成形することで、射出される樹脂材とアルミニウム基材とを接合する技術が提案されている。

0005

上記特許文献1においては、ポリオレフィン系樹脂極性基を導入した変性ポリオレフィン系樹脂を含有する粘着性を有する接着フィルムを、粘着性を有しない熱可塑性樹脂フィルムと積層することにより、金属部材と接着フィルムを積層する際の作業性が飛躍的に向上すると共に、金属部材と射出成形される樹脂とが良好に接着し、高い耐熱性を得ることができる、とされている。

0006

また、特許文献2(特開2014−34201号公報)においては、物理的処理及び/又は化学処理を施した表面を有する金属部材とプロピレン樹脂発泡部材とを一体化してなる金属部材‐プロピレン樹脂発泡部材複合体が提案されている。

0007

上記特許文献2においては、アルミニウム基材に陽極酸化等の表面処理を施した後にインサート発泡成形を行うことで、アルミニウム基材とプロピレン樹脂発泡部材とを一体化した複合体が、密封性及び接合性に優れると共に、軽量化にも資する複合体となり得る、とされている。

先行技術

0008

WO2012/060311号公報
特開2014−34201号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上記特許文献1に記載されている金属樹脂複合成形体の製造方法においては、接着フィルムを用いる必要があることから適用方法に制限があり、汎用性に乏しい。また、上記特許文献2に記載されている金属樹脂複合成形体においては、アルミニウム基材とプロピレン樹脂発泡部材との接合強度が十分とは言い難い。

0010

また、上記特許文献1及び2以外にも、金属基材に予め微細凹凸を形成させて当該金属基材と樹脂成形体との接合強度を向上させる方法や、金属基材と樹脂成形体との接合界面に接着剤を塗布して接合強度を向上させる方法等が提案されているが、適用可能な樹脂成形体の種類が制限されてしまう。特に、ポリプロピレン樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂は、極性が低いことに加えて化学結合に寄与する官能基を有さないため、化学的に金属基材と接合させることが困難である。更に、ポリオレフィン系樹脂は線膨張係数が高いため、冷却後の収縮が大きく、金属表面の微細な凹凸から抜けやすい(大きなアンカー効果が期待できない)。

0011

以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、種々の金属基材と樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその汎用的な製造方法を提供することにあり、特に、アルミニウム基材とポリオレフィン系樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその簡便な製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記目的を達成すべく、金属樹脂複合成形体及びその製造方法について鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン樹脂層塗装により形成させた金属基材に対し、適当なプロセス温度を伴った射出成形により樹脂成形体を融着させること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。

0013

即ち、本発明は、
金属基材と、
ポリプロピレン樹脂層と、
熱可塑性樹脂成形体と、を有し、
前記ポリプロピレン樹脂層は、前記金属基材に形成された親水性表面を介して前記金属基材に接合され、
前記熱可塑性樹脂成形体は、前記ポリプロピレン樹脂層との相溶化及びアンカー効果によって、前記ポリプロピレン樹脂層と接合されていること、
を特徴とする金属樹脂複合成形体を提供する。

0014

本発明の金属樹脂複合成形体においては、ポリプロピレン樹脂内に存在する変性された無水マレイン酸が金属基材の親水性表面に存在するOH基と反応して強く結合することで、ポリプロピレン樹脂層が金属基材に強固に接合されている。

0015

また、熱可塑性樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層との接合界面近傍は十分に相溶化されていることに加え、当該接合界面は凹凸形状となっている。つまり、本発明の金属樹脂複合成形体においては相溶化とアンカー効果が同時に発生することにより、熱可塑性樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層とが極めて強固に接合されている。

0016

また、本発明の金属樹脂複合成形体においては、
前記金属基材の表面に、塗装によって前記ポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、
前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリプロピレン樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリプロピレン樹脂とを融着させる第二工程と、を含む工程によって得られる金属樹脂複合成形体であって、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
成立すること、が好ましい。

0017

{(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}は、シリンダーによる加熱で溶融したポリプロピレン樹脂の温度とポリプロピレン樹脂層の融点との差であり、ポリプロピレン樹脂層を溶融させるためのエネルギーを意味しており、{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}は、ポリプロピレン樹脂層の融点と金型の温度との差であり、ポリプロピレン樹脂層を溶融させるためのエネルギーを小さくするエネルギーを意味している。

0018

ここで、発明者らは種々の実験及び考察を行った結果、T(gap)≧0となる条件で射出成形を行うことで、熱可塑性樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層との接合界面近傍において十分な相溶化が達成されることに加え、当該接合界面への凹凸形状の付与(アンカー効果)が達成されることを見出した。つまり、T(gap)≧0となる条件で射出成形を行うことで、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリプロピレン樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層とを極めて強固に接合することができる。

0019

また、熱可塑性樹脂成形体をポリアミド樹脂成形体とする場合、
前記第二工程において、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリアミド樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリアミド樹脂とを融着させ、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、が好ましい。

0020

金属基材の表面に形成されるポリプロピレン樹脂層とは異なるポリアミド樹脂を射出成形する場合であっても、T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0を満たす条件で射出成形することで、ポリプロピレン樹脂を射出成形する場合と同様に、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリアミド樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層とを極めて強固に接合することができる。

0021

また、熱可塑性樹脂成形体をポリカーボネート樹脂成形体とする場合、
前記第二工程において、前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリカーボネート樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリカーボネート樹脂とを融着させ、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、が好ましい。

0022

金属基材の表面に形成されるポリプロピレン樹脂層とは異なるポリカーボネート樹脂を射出成形する場合であっても、T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0を満たす条件で射出成形することで、ポリプロピレン樹脂を射出成形する場合と同様に、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリカーボネート樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層とを極めて強固に接合することができる。

0023

また、本発明の金属樹脂複合成形体においては、前記金属基材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材であること、が好ましい。金属基材をアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材とすることで、金属樹脂複合成形体の軽量化を図ることができるだけでなく、アルミニウム基材の高い放熱性を活用することができる。

0024

また、本発明の金属樹脂複合成形体においては、前記アルミニウム基材に、苛性処理ブラスト処理陽極酸化処理ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理が施されており、前記ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂と前記アルミニウム基材との接触角が60度以下であること、が好ましい。

0025

アルミニウム基材に苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施すことで、アルミニウム基材への親水性表面の形成及び/又はアルミニウム基材の表面粗さの増加を達成することができる。更に、ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂とアルミニウム基材との接触角が60度以下となることで、塗布によるポリプロピレン樹脂層の形成を容易に行うことができる。

0026

また、本発明の金属樹脂複合成形体においては、前記ポリプロピレン樹脂層の膜厚が1〜200μmであること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の膜厚を1μm以上とすることで、当該ポリプロピレン樹脂層の断熱効果により、射出成形時の熱エネルギーによってポリプロピレン樹脂層が十分に溶融する。また、ポリプロピレン樹脂層の膜厚を200μm以下とすることで、塗装によって均質なポリプロピレン樹脂層が形成する。なお、より好ましいポリプロピレン樹脂層の膜厚は10〜60μmである。

0027

更に、本発明の金属樹脂複合成形体においては、前記第一工程において、スプレー塗装又は粉体塗装によって前記ポリプロピレン樹脂層が形成されていること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の形成にスプレー塗装又は粉体塗装を用いることで、金属基材が複雑な表面形状を有している場合や表面積が大きい場合等においても、均質なポリプロピレン樹脂層を簡便に形成させることができる。

0028

また、本発明は、
金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、
前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリプロピレン樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリプロピレン樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、
を特徴とする金属樹脂複合成形体の製造方法も提供する。

0029

本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法は、金属基材とポリアミド樹脂成形体とを接合した金属樹脂複合成形体の製造にも適用することができ、その場合は、
金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、
前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリアミド樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリアミド樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すればよい。

0030

ここで、T(gap)≧0が有する意味は、上記本発明の金属樹脂複合成形体の場合と同様である。

0031

本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法は、金属基材とポリカーボネート樹脂成形体とを接合した金属樹脂複合成形体の製造にも適用することができ、その場合は、
金属基材の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程と、
前記第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリカーボネート樹脂を射出成形し、射出成形時に発生する熱により前記ポリプロピレン樹脂層と前記ポリカーボネート樹脂とを融着させる第二工程と、を含み、
前記第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すればよい。

0032

ここで、T(gap)≧0が有する意味は、上記本発明の金属樹脂複合成形体の場合と同様である。

0033

本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法においては、前記金属基材をアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材とすること、が好ましい。金属基材をアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材とすることで、金属基材への親水性表面の形成及び表面の凹凸化を容易に図ることができる。

0034

また、本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法においては、前記アルミニウム基材に、苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施し、前記ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂と前記アルミニウム基材との接触角を60度以下とすること、が好ましい。

0035

アルミニウム基材に苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施すことで、アルミニウム基材への親水性表面の形成及び/又はアルミニウム基材の表面粗さの増加を達成することができる。更に、ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂とアルミニウム基材との接触角が60度以下となることで、塗布によるポリプロピレン樹脂層の形成を容易に行うことができる。

0036

また、本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法においては、前記ポリプロピレン樹脂層の膜厚を1〜200μmとすること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の膜厚を1μm以上とすることで、当該ポリプロピレン樹脂層の断熱効果により、射出成形時の熱エネルギーによってポリプロピレン樹脂層を十分に溶融させることができる。また、ポリプロピレン樹脂層の膜厚を200μm以下とすることで、塗装によって均質なポリプロピレン樹脂層を形成させることができる。なお、より好ましいポリプロピレン樹脂層の膜厚は10〜60μmである。

0037

更に、本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法においては、前記第一工程において、スプレー塗装又は粉体塗装を用いて前記ポリプロピレン樹脂層を形成させること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の形成にスプレー塗装又は粉体塗装を用いることで、金属基材が複雑な表面形状を有している場合や表面積が大きい場合等においても、均質なポリプロピレン樹脂層を簡便に形成させることができる。

発明の効果

0038

本発明によれば、種々の金属基材と樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその汎用的な製造方法を提供することができ、特に、アルミニウム基材とポリオレフィン系樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体及びその簡便な製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0039

本発明の金属樹脂複合成形体の概略断面図である。
ポリプロピレン樹脂層と金属基材の接合原理を示す模式図である。
本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法の工程図である。
引張せん断強度測定用試験片概観写真及び概略図である。
引張せん断強度測定の状況を示す概略図である。
実施金属樹脂複合成形体の断面のSEM写真である。
比較金属樹脂複合成形体の断面のSEM写真である。
射出成形のプロセス温度と引張せん断強度の関係を示すグラフである。

0040

以下、図面を参照しながら本発明の金属樹脂複合成形体及びその製造方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。

0041

(1)金属樹脂複合成形体
図1に、本発明の金属樹脂複合成形体の概略断面図を示す。金属樹脂複合成形体1は、金属基材2と、ポリプロピレン樹脂層4と、熱可塑性樹脂成形体6と、を有し、ポリプロピレン樹脂層4は、金属基材2に形成された親水性表面8を介して金属基材2に接合され、熱可塑性樹脂成形体6は、ポリプロピレン樹脂層4との相溶化及びアンカー効果によって、ポリプロピレン樹脂層4と接合されている。

0042

金属基材2は、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の金属基材を使用することができるが、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材を用いることが好ましい。

0043

また、熱可塑性樹脂成形体6には、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の熱可塑性樹脂成形体を使用することができる。更に、極性が低いことに加えて化学結合に寄与する官能基を有さず、また、線膨張係数が高いために金属基材2との接合が極めて困難なポリプロピレン樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂を用いることができ、ポリプロピレン樹脂とは種類が異なるポリアミド樹脂やポリカーボネート樹脂を用いることもできる。

0044

熱可塑性樹脂成形体6をポリプロピレン樹脂成形体とする場合、金属樹脂複合成形体1は、金属基材2の表面に、塗装によってポリプロピレン樹脂層4を形成させる第一工程と、第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリプロピレン樹脂を射出成形し、ポリプロピレン樹脂被覆金属基材のポリプロピレン樹脂層4とポリプロピレン樹脂とを、射出成形時に発生する熱により融着させる第二工程と、を含む工程によって得られるが、第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、が好ましい。

0045

上述のとおり、{(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}は、シリンダーによって加熱され、溶融したポリプロピレン樹脂の温度とポリプロピレン樹脂層4の融点との差であり、ポリプロピレン樹脂層4を溶融させるためのエネルギーを意味しており、{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}は、ポリプロピレン樹脂層4の融点と金型の温度との差であり、ポリプロピレン樹脂層4を溶融させるためのエネルギーを小さくするエネルギーを意味している。

0046

ここで、T(gap)≧0となる条件で射出成形を行うことで、熱可塑性樹脂成形体6とポリプロピレン樹脂層4との接合界面近傍において十分な相溶化が達成されることに加え、当該接合界面への凹凸形状の付与(アンカー効果)を達成することができる。つまり、T(gap)≧0となる条件で射出成形を行うことで、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリプロピレン樹脂成形体(熱可塑性樹脂成形体6)とポリプロピレン樹脂層4とを極めて強固に接合することができる。

0047

また、熱可塑性樹脂成形体6をポリアミド樹脂成形体とする場合、第二工程において、第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリアミド樹脂を射出成形し、ポリプロピレン樹脂被覆金属基材のポリプロピレン樹脂層4とポリアミド樹脂とを射出成形時に発生する熱により融着させることで金属樹脂複合成形体1を得ることができるが、第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、が好ましい。

0048

金属基材2の表面に形成されるポリプロピレン樹脂層4とは異なるポリアミド樹脂を射出成形する場合であっても、T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0を満たす条件で射出成形することで、ポリプロピレン樹脂を射出成形する場合と同様に、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリアミド樹脂成形体(熱可塑性樹脂成形体6)とポリプロピレン樹脂層4とを極めて強固に接合することができる。

0049

また、熱可塑性樹脂成形体6をポリカーボネート樹脂成形体とする場合、第二工程において、第一工程によって得られるポリプロピレン樹脂被覆金属基材にポリカーボネート樹脂を射出成形し、ポリプロピレン樹脂被覆金属基材のポリプロピレン樹脂層4とポリカーボネート樹脂とを射出成形時に発生する熱により融着させることで金属樹脂複合成形体1を得ることができるが、第二工程における射出成形条件として、
T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立すること、が好ましい。

0050

金属基材2の表面に形成されるポリプロピレン樹脂層4とは異なるポリカーボネート樹脂を射出成形する場合であっても、T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0を満たす条件で射出成形することで、ポリプロピレン樹脂を射出成形する場合と同様に、相溶化とアンカー効果が同時に発生することができ、ポリカーボネート樹脂成形体(熱可塑性樹脂成形体6)とポリプロピレン樹脂層4とを極めて強固に接合することができる。

0051

図2に、ポリプロピレン樹脂層4と金属基材2の接合原理に関する模式図を示す。ポリプロピレン樹脂層4のポリプロピレン樹脂内に存在する変性された無水マレイン酸が金属基材2の親水性表面8に存在するOH基と反応し強く結合することで、ポリプロピレン樹脂層4が金属基材2に強固に接合されている。

0052

金属基材2としてアルミニウム基材を用いる場合、当該アルミニウム基材には苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理が施されており、ポリプロピレン樹脂層4を形成するポリプロピレン樹脂とアルミニウム基材との接触角が60度以下であること、が好ましい。

0053

アルミニウム基材に苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施すことで、アルミニウム基材への親水性表面8の形成及び/又はアルミニウム基材の表面粗さの増加を達成することができる。更に、ポリプロピレン樹脂層4を形成するポリプロピレン樹脂とアルミニウム基材との接触角が60度以下となることで、塗布によるポリプロピレン樹脂層4の形成を容易に行うことができる。

0054

ここで、苛性処理、陽極酸化処理及びベーマイト処理を施すことによって、親水性表面8のOH基を増加させることができ、ブラスト処理及び粗面化処理を施すことによって、金属基材2(アルミニウム基材)の表面に凹凸を形成することができる。なお、苛性処理を施した場合の接触角は略40度、ベーマイト処理を施した場合の接触角は略20度、陽極酸化処理を施した場合の接触角は略20度となる。

0055

なお、金属樹脂複合成形体1を高湿環境下で使用する場合は、ポリプロピレン樹脂層4を水分が透過し、金属基材2(アルミニウム基材)の表面に水和物が形成される。当該水和物の形成はポリプロピレン樹脂層4と金属基材2(アルミニウム基材)との密着性を低下させるため、金属樹脂複合成形体1を高湿環境下で使用する場合は、予め水和酸化物処理を施して後の水和反応を抑制することが好ましい。

0056

ポリプロピレン樹脂層4の膜厚は1〜200μmであること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層4の膜厚を1μm以上とすることで、ポリプロピレン樹脂層4の断熱効果により、射出成形時の熱エネルギーによってポリプロピレン樹脂層4を十分に溶融させることができる。また、ポリプロピレン樹脂層4の膜厚を200μm以下とすることで、塗装によって均質なポリプロピレン樹脂層4を形成させることができる。なお、より好ましいポリプロピレン樹脂層4の膜厚は10〜60μmである。

0057

ポリプロピレン樹脂層4は、第一工程において、スプレー塗装又は粉体塗装によって形成されていること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層4の形成にスプレー塗装又は粉体塗装を用いることで、金属基材2が複雑な表面形状を有している場合や表面積が大きい場合等においても、均質なポリプロピレン樹脂層4が形成される。

0058

なお、本発明の金属樹脂複合成形体は、例えば、本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法によって好適に製造することができる。

0059

(2)金属樹脂複合成形体の製造方法
図3は、本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法の工程図である。本発明の金属樹脂複合成形体の製造方法は、種々の金属基材と樹脂成形体とが一体的に強固に接合された金属樹脂複合成形体の製造方法であって、金属基材の表面にポリプロピレン樹脂層を形成させる第一工程(S01)と、射出成形によってポリプロピレン樹脂層と樹脂成形体とを溶着させる第二工程(S02)と、を含み、必要に応じて、金属基材の表面に予備処理工程(S00)を施すものである。以下、各工程について詳細に説明する。

0060

(2−1)予備処理工程(S00)
予備処理工程(S00)は、金属基材への親水性表面の形成及び/又は表面の凹凸化を行うための工程である。ここで、未処理の状態でもある程度の酸化被膜(親水性表面)が形成されているという観点からは、金属基材にアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム基材を用いることが好ましいが、アルミニウム基材を用いる場合であっても、より良好な親水性表面を形成させることが好ましい。

0061

金属基材への具体的な予備処理方法については、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の表面処理方法を使用することができる。ここで、金属基材としてアルミニウム基材を用いる場合、苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施し、ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂と基材との接触角を60度以下とすること、が好ましい。

0062

アルミニウム基材に苛性処理、ブラスト処理、陽極酸化処理、ベーマイト処理及び粗面化処理からなる群より選択される1種又は2種以上の表面処理を施すことで、アルミニウム基材への親水性表面の形成及び/又はアルミニウム基材の表面粗さの増加を達成することができる。更に、ポリプロピレン樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂とアルミニウム基材との接触角が60度以下となることで、第一工程(S01)における塗布によるポリプロピレン樹脂層の形成を容易に行うことができる。

0063

なお、予備処理工程(S00)は、第一工程(S01)によってポリプロピレン樹脂層を形成させる領域のみに施してもよい。

0064

(2−2)第一工程(S01:ポリプロピレン樹脂層形成工程)
第一工程(S01)は、塗布によって金属基材の表面にポリプロピレン樹脂層を形成させるための工程である。

0065

形成させるポリプロピレン樹脂層の膜厚は1〜200μmとすること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の膜厚を1μm以上とすることで、ポリプロピレン樹脂層の断熱効果により、第二工(S02)における程射出成形時の熱エネルギーによってポリプロピレン樹脂層を十分に溶融させることができる。また、ポリプロピレン樹脂層の膜厚を200μm以下とすることで、塗装によって均質なポリプロピレン樹脂層を形成させることができる。なお、より好ましいポリプロピレン樹脂層の膜厚は10〜60μmである。

0066

ポリプロピレン樹脂層は、スプレー塗装又は粉体塗装によって形成させること、が好ましい。ポリプロピレン樹脂層の形成にスプレー塗装又は粉体塗装を用いることで、金属基材が複雑な表面形状を有している場合や表面積が大きい場合等においても、均質なポリプロピレン樹脂層を形成させることができる。

0067

なお、第一工程(S01)は、第二工程(S02)において樹脂成形体と金属基材とを融着させる領域のみに施してもよい。

0068

(2−3)第二工程(S02:射出成形工程)
第二工程(S02)は、射出成形によってポリプロピレン樹脂層と樹脂成形体とを溶着させる工程である。

0069

樹脂成形体にポリプロピレン樹脂成形体を用いる場合、
T(gap)={(ポリプロピレン樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立する射出成形条件を用いることで、ポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂成形体とが強固に接合された金属樹脂複合成形体を得ることができる。

0070

また、樹脂成形体にポリアミド樹脂成形体を用いる場合、
T(gap)={(ポリアミド樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立する射出成形条件を用いることで、ポリプロピレン樹脂層とポリアミド樹脂成形体とが強固に接合された金属樹脂複合成形体を得ることができる。

0071

また、樹脂成形体にポリカーボネート樹脂成形体を用いる場合、
T(gap)={(ポリカーボネート樹脂の温度)−(ポリプロピレン樹脂層の融点)}−{(ポリプロピレン樹脂層の融点)−(金型の温度)}≧0
が成立する射出成形条件を用いることで、ポリプロピレン樹脂層とポリカーボネート樹脂成形体とが強固に接合された金属樹脂複合成形体を得ることができる。

0072

樹脂成形体にポリプロピレン樹脂成形体を用いる場合、ポリアミド樹脂成形体を用いる場合、及びポリカーボネート樹脂成形体を用いる場合の全てにおいて、T(gap)≧0を満たす条件で射出成形することで、樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層との相溶化及びアンカー効果を同時に発生させることができ、樹脂成形体とポリプロピレン樹脂層とを極めて強固に接合することができる。ここで、例えば、ポリプロピレン樹脂成形体を用いる場合の金型温度は30〜80℃、シリンダー温度は190〜250℃とすることができ、ポリアミド樹脂成形体を用いる場合の金型温度は30〜160℃、シリンダー温度は200〜360℃とすることができ、ポリカーボネート樹脂成形体を用いる場合の金型温度は60℃〜110℃、シリンダー温度は260℃〜320℃とすることができる。

0073

なお、上記温度条件以外の射出成形条件については、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の射出成形方法を使用することができる。

0074

以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。

0075

≪実施例≫
市販のアルミニウム板材(A1050,板厚2mm)又はアルミニウム合金板材(A5052又はA6061,板厚2mm)から、100mm×25mmの大きさのアルミニウム基材を切り出した後、予備処理工程(S00)、第一工程(S01)及び第二工程(S02)を経て、本発明の実施例である実施金属樹脂複合成形体1〜28を得た。各工程の詳細は以下の通りである。

0076

1.予備処理工程(S00)
予備処理工程(S00)としては、下記(1)〜(4)に記載のA処理〜D処理のうちのいずれか1つ又は2つを施した。各実施金属樹脂複合成形体の製造に用いた処理を表1又は表2に示した。

0077

(1)ベーマイト処理:A処理
アルミニウム基材を30%に調整した硝酸水溶液中に室温で1分間浸漬した後、5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液に50℃、1分間の条件で浸漬し、更に30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬した。次いで、60℃〜100℃の熱水(純水あるいは水溶性アミン溶液)中に0.5〜30分間浸漬し、表面にベーマイトあるいは擬ベーマイト主体とする水和酸化物皮膜が形成された表面処理済のアルミニウム基材を得た。

0078

(2)粗面化処理:B処理
アルミニウム基材を30%に調整した硝酸水溶液中に室温で1分間浸漬した後、5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液に50℃、1分間の条件で浸漬し、更に30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬した。次いで、濃度20%に調整した酸性フッ化アンモニウムを主成分とする処理液(日本シービーケミカル製:JCB‐3712)中に40℃、10分間の条件で浸漬し、その後30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬し、粗面化処理済のアルミニウム基材を得た。

0079

(3)陽極酸化処理:C処理
アルミニウム基材を30%に調整した硝酸水溶液中に室温で1分間浸漬した後、5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液に50℃、1分間の条件で浸漬し、更に30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬した。次いで、180g/Lに調整した硫酸溶液中で18℃、直流電圧18Vで皮膜厚さが10μmになるように陽極酸化し、陽極酸化処理済のアルミニウム基材を得た。

0080

(4)苛性処理:D処理
アルミニウム基材を30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬した後、5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液に50℃、1分間の条件で浸漬し、更に30%に調整した硝酸水溶液中に、室温で1分間浸漬し、苛性処理済のアルミニウム基材を作製した。

0081

表面処理済のアルミニウム基材の表面について、水滴の接触角を測定した。接触角の測定は、自動接触角計DM−701(協和界面科学株式会社製)を用いた液滴法によって行った。得られた結果を表1又は表2に示した。

0082

2.第一工程(S01)
表面処理(予備処理工程(S00))後のアルミニウム基材にポリプロピレン樹脂を塗布した。ここで、基材への塗布には塗料A(ハードレンTD−15B,融点95℃,東洋紡株式会社製)及び塗料B(ハードレンNZ−1022,融点130℃,東洋紡株式会社製)の2種類のポリプロピレン樹脂を用いた。各実施金属樹脂複合成形体の製造に用いた塗料を表1又は表2に示した。

0083

塗料の塗布はスプレー塗装にて実施し、温風乾燥機で所定の条件の下で加熱して20〜60μmの膜厚のポリプロピレン樹脂層を得た。ここで、塗料Aの場合は温風乾燥の条件を80℃,15分間とし、塗料Bの場合は温風乾燥の条件を100℃,15分間とした。

0084

3.第二工程(S02)
樹脂成形体にポリプロピレン樹脂成形体、ポリアミド樹脂成形体、又はポリカーボネート樹脂成形体を用い、射出成形によってポリプロピレン樹脂層と樹脂成形体とを溶着させた。各実施金属樹脂複合成形体の製造に用いた樹脂成形体及び射出成形条件(金型温度及びシリンダー温度)を表1又は表2に示した。

0085

樹脂成形体にポリプロピレン樹脂成形体を用いた場合、塗装(第一工程(S01))後のアルミニウム基材を金型に設置し、射出速度10mm/s、保圧30MPa、保圧時間8秒の射出成形条件にてポリプロピレン樹脂(WELNEXCTR0755C,日本ポリプロ株式会社製)を金型内に射出することで、100mm×25mm×2mmの大きさの実施金属樹脂複合成形体(アルミニウム/ポリプロピレン樹脂複合成形体)を得た。なお、当該成形体は、成形と共に25mm×12.5mmの面積でアルミニウム基材と接合している。

0086

樹脂成形体にポリアミド樹脂成形体を用いた場合、塗装(第一工程(S01))後のアルミニウム基材を金型に設置し、射出速度10mm/s、保圧40MPa、保圧時間8秒の射出成形条件にてポリアミド樹脂(Leona 90G33,旭化成ケミカルズ株式会社製)を金型内に射出することで、100mm×25mm×2mmの大きさの実施金属樹脂複合成形体(アルミニウム/ポリアミド樹脂複合成形体)を得た。なお、当該成形体は、成形と共に25mm×12.5mmの面積でアルミニウム基材と接合している。

0087

樹脂成形体にポリカーボネート樹脂成形体を用いた場合、塗装(第一工程(S01))後のアルミニウム基材を金型に設置し、射出速度15mm/s、保圧110MPa、保圧時間10秒の射出成形条件にてポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000N,三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)を金型内に射出することで、100mm×25mm×2mmの大きさの実施金属樹脂複合成形体(アルミニウム/ポリカーボネート樹脂複合成形体)を得た。なお、当該成形体は、成形と共に25mm×12.5mmの面積でアルミニウム基材と接合している。

0088

得られた金属樹脂複合成形体から図4に示す形状の引張せん断強度測定用試験片を作製し、図5に示す態様で金属樹脂複合成形体を治具に固定し、樹脂成形体の上端にその上方から10mm/minの速度で荷重印加し、金属と樹脂間の接合部分を破壊する試験を実施した。金属樹脂複合成形体が破断したときの破断力を引張せん断強度とし、得られた結果を表1又は表2に示した。

0089

≪比較例≫
製造条件及び射出条件を表1に示す条件とした以外は実施例と同様にして、比較金属樹脂複合成形体1〜8を得た。実施例と同様にして接触角の測定及び引張せん断試験を行い、得られた結果を表3に示した。

0090

0091

0092

0093

実施例における実施金属樹脂複合成形体1〜28は、引張せん断試験において全て樹脂成形体で破断し、高い引張せん断強度を示している。これに対し、比較例(比較金属樹脂複合成形体1〜8)においては、ポリプロピレン樹脂層と樹脂成形体との接合界面で破断しており、十分な界面接合強度が得られていない。

0094

図6及び図7に、実施金属樹脂複合成形体1(実施例1)及び比較金属樹脂複合成形体1(比較例1)の断面のSEM写真をそれぞれ示す。実施金属樹脂複合成形体では、比較金属樹脂複合成形体よりもポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂成形体との接合界面における凹凸が大きいことが分かる。また、比較金属樹脂複合成形体では当該界面が一部剥離しているが、実施金属樹脂複合成形体では完全に密着している。接合界面の凹凸に起因するアンカー効果及び、ポリプロピレン樹脂層とポリプロピレン樹脂成形体との相溶化が同時に発生することにより、実施金属樹脂複合成形体は高い引張せん断強度を示したものと考えられる。

実施例

0095

実施金属樹脂複合体1〜14及び比較金属樹脂複合体1〜3に関し、T(gap)と引張せん断強度の関係を図8に示す。T(gap)≧0となる実施金属樹脂複合体1〜14は樹脂成形体での破断に起因する高い引張せん断強度を示しているが、T(gap)≧0の要件具備しない比較金属樹脂複合成形体1〜3においては、ポリプロピレン樹脂層と樹脂成形体との接合界面での破断に起因する低い引張せん断強度となっている。

0096

1・・・金属樹脂複合成形体、
2・・・金属基材、
4・・・ポリプロピレン樹脂層、
6・・・熱可塑性樹脂成形体、
8・・・親水性表面。

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