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技術 ゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品

出願人 伊那食品工業株式会社
発明者 原山智子根橋怜美埋橋祐二
出願日 2015年6月5日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-114858
公開日 2017年1月5日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-000021
状態 特許登録済
技術分野 ゼリ-、ジャム、シロップ
主要キーワード リンゴ酸溶液 寒天オリゴ糖 ゲル形成力 食品具材 吸油率 ゲル形成成分 pHメーター フィルム状組成物
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

凝集を起こさず均一であり、従来にない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品を提供する。

解決手段

寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを含むゲルが形成された後に、pHが4.5以下に調整されたことを特徴とするゲル状組成物である。

概要

背景

コアセルベーションは、広義では、コロイドからなる液胞流動層液層入り混じった物体のことであり、コロイド粒子の直径は、数〜数百μmである。コロイド粒子の周辺だけ液層分子への親和力が発生し、離れた液層分子には親和力は発揮されない。製法としては、親水コロイド水溶液水和作用を低下させるような物質を加える方法などが知られている。

コアセルベーションの例として、例えば、ゼラチン液アルコール類を加えると単純コアセルベートと呼ばれるコアセルベートが発生する。また、コアセルベートは、複数の親水コロイド水溶液の混合や親水コロイド溶液への沈殿剤投入によっても発生する。例えば、温度やpHを適当に調整した緩衝液ゼラチン水溶液アラビアガム水溶液滴下すると生成する。このとき、コロイドと液層は、帯電正負が互いに異なり、複合コアセルベーションと呼ばれる。コアセルベーションは、マイクロカプセル化が行えることから、感圧紙の製造や、マイクロスフィアとして染料創薬にも応用されている。
これらのコアセルベーションには、水溶性ハイドロコロイドが使用される。例えば、ゼラチンアラビアゴム、ゼラチン/CMC、任意のタンパク質イオン性ハイドロコロイドなどである(特許文献1)。

概要

凝集を起こさず均一であり、従来にない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品を提供する。寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを含むゲルが形成された後に、pHが4.5以下に調整されたことを特徴とするゲル状組成物である。なし

目的

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、凝集を起こさず均一であり、従来にない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを含むゲルが形成された後に、pHが4.5以下に調整されたことを特徴とするゲル状組成物

請求項2

ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドが、キサンタンガムサクシノグルカンアルギン酸ナトリウムアルギン酸カリウムアルギン酸アンモニウム、Naタイプκカラギナン、ιカラギナン、λカラギナン、ペクチンアラビアガムサイリウムシードガム、及びCMC−Naのいずれか1以上であることを特徴とする請求項1記載のゲル状組成物。

請求項3

請求項1又は2記載のゲル状組成物を乾燥させたことを特徴とする乾燥物

請求項4

寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを水に加熱溶解する加熱溶解工程と、前記加熱溶解工程で得られるゲル形成成分含有溶液を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で得られるゲルをpH4.5以下にするpH調整工程とを備えるゲル状組成物の製造方法。

請求項5

請求項1又は2記載のゲル状組成物を含むことを特徴とする食品

請求項6

請求項3記載の乾燥物を含むことを特徴とする食品。

技術分野

0001

本発明は、アニオンカチオンとの反応を利用し、従来のゲル状組成物では得ることのできない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品に関する。

背景技術

0002

コアセルベーションは、広義では、コロイドからなる液胞流動層液層入り混じった物体のことであり、コロイド粒子の直径は、数〜数百μmである。コロイド粒子の周辺だけ液層分子への親和力が発生し、離れた液層分子には親和力は発揮されない。製法としては、親水コロイド水溶液水和作用を低下させるような物質を加える方法などが知られている。

0003

コアセルベーションの例として、例えば、ゼラチン液アルコール類を加えると単純コアセルベートと呼ばれるコアセルベートが発生する。また、コアセルベートは、複数の親水コロイド水溶液の混合や親水コロイド溶液への沈殿剤投入によっても発生する。例えば、温度やpHを適当に調整した緩衝液ゼラチン水溶液アラビアガム水溶液滴下すると生成する。このとき、コロイドと液層は、帯電正負が互いに異なり、複合コアセルベーションと呼ばれる。コアセルベーションは、マイクロカプセル化が行えることから、感圧紙の製造や、マイクロスフィアとして染料創薬にも応用されている。
これらのコアセルベーションには、水溶性ハイドロコロイドが使用される。例えば、ゼラチンアラビアゴム、ゼラチン/CMC、任意のタンパク質イオン性ハイドロコロイドなどである(特許文献1)。

先行技術

0004

特表2007−503293号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1のような従来のコアセルベーションは、マイクロカプセルの製造などに代表されるように、陰イオン陽イオンを反応させて凝集物として、この凝集物を利用することに限られるなどの問題がある。

0006

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、凝集を起こさず均一であり、従来にない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、ゲル形成成分として、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上と、アニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを含有するゲルをpH4.5以下の状態にすることにより、コアセルベーションにおけるアニオンとカチオンとの反応をコントロールし、均一な反応が達成でき、その結果、凝集を起こさず従来にない物性を有するゲル状組成物が得られることを見出し、本発明に至った。

0008

すなわち、本発明は、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを含むゲルが形成された後に、pHが4.5以下に調整されたことを特徴とするゲル状組成物に関する。

0009

また、本発明は、前記ゲル状組成物を乾燥させたことを特徴とする乾燥物に関する。

0010

また、本発明は、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを水に加熱溶解する加熱溶解工程と、前記加熱溶解工程で得られるゲル形成成分含有溶液を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で得られるゲルをpH4.5以下にするpH調整工程とを備えるゲル状組成物の製造方法に関する。

0011

さらに、本発明は、前記ゲル状組成物及び前記乾燥物のいずれか1以上を含有する食品に関する。

発明の効果

0012

以上のように、本発明によれば、凝集を起こさず均一であり、従来にない物性を有するゲル状組成物、その製造方法、乾燥物及びそれらを含む食品を提供することができる。

0013

[ゲル状組成物]
(ゲル形成成分)
本発明に使用される寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上は、ゲル形成成分として用いられる。寒天は、ゲル化力があるものであればよく、低強度寒天ゲル強度5〜250g/cm2)でもかまわない。κカラギナンは、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナンのような、カウンターカチオンとしてカリウムカルシウムを含むゲル化特性を有するカラギナンが好ましく、カウンターカチオンとしてナトリウムを含むものはゲル化力が弱く本発明の効果を示さない。ジェランガムは、脱アシル型ジェランガムでも、ネーティブ型ジェランガムでも使用することができ、脱アシル型ジェランガムの場合、一般に脱アシル型ジェランガムをゲル化させるのに使用される適度な量のカルシウムイオンと併用して使用することが好ましい。寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分の使用濃度は、ゲル状組成物に対して0.05〜3.0%が好ましく、0.1〜2.0%がさらに好ましい。0.05%より少ないとゲルの3次元マトリックスが弱く、アニオン性ハイドロコロイドとゼラチンを固定化することができない傾向にある。また、3.0%より多いと3次元マトリックスが強固過ぎるため、アニオン性ハイドロコロイドとゼラチンの反応が起こりにくくなってしまう傾向にある。

0014

(アニオン性ハイドロコロイド)
本発明で使用されるゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドは、キサンタンガムサクシノグルカンアルギン酸ナトリウムアルギン酸カリウムアルギン酸アンモニウム、Naタイプκカラギナン、ιカラギナン、λカラギナン、ペクチンアラビアガムサイリウムシードガム、及びCMC−Naのいずれか1以上であることが好ましい。これらの中でも低pHでも安定であるキサンタンガム及びサクシノグルカンがさらに好ましい。アニオン性ハイドロコロイドの添加量は、ゲル状組成物に対して0.1%より多く5%以下が好ましく、0.2〜3.0%がさらに好ましい。0.1%以下であると、濃度が薄すぎるためpHを低下させた場合、ゼラチンとの反応が起こらない傾向にある。5%より多いと、ゲル形成成分のゲル形成力阻害してしまい3次元マトリックスが不十分となるため凝集が生じてしまう傾向にある。

0015

(ゼラチン)
本発明で使用されるゼラチンは、一般に使用されるものであればよく、特に限定されない。例えば原料として、牛骨豚皮豚骨などが挙げられる。ゼラチンの重量平均分子量は、40000〜300000が好ましい。また、ゼラチンの使用濃度は、ゲル状組成物に対して0.5〜10%が好ましく、1〜5%がさらに好ましい。ゼラチンの使用濃度が0.5%より少ないと、アニオン性ハイドロコロイドとの反応が弱く本発明の効果が充分に得られない。ゼラチンの使用濃度が10%より多いと、アニオン性ハイドロコロイドとの反応が充分でなく未反応のゼラチンが過剰に存在するために、反応物耐熱性がなく、40℃においてゲルの型崩れ溶け出しが生じてしまう傾向にある。

0016

添加物
本発明のゲル状組成物には、本発明の物性を妨げない範囲において添加物を加えることができる。例えば、糖類、粉末油脂食塩調味料粉末果汁食物繊維機能性成分色素香料及び乳化剤などが挙げられる。具体的には、糖類としては、ブドウ糖果糖マルトースショ糖オリゴ糖トレハロースエリスリトール及びデキストリンなど一般的に食品に使用されるものが挙げられる。粉末油脂、調味料としては、アミノ酸及びイノシン酸など一般的に食品に使用されるものが挙げられる。食物繊維としては、ポリデキストロース難消化性デキストリン及びグアーガム分解物などの水溶性で低粘度のもの、結晶セルロース小麦ファイバー及びオレンジファイバーなどの不溶性のものの何れでもよく、特に限定されない。機能性成分は、ビタミンミネラルポリフェノール及び寒天オリゴ糖など目的にあわせて添加することができる。

0017

[ゲル状組成物の製造方法]
本発明のゲル状組成物の製造方法は、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを水に加熱溶解する加熱溶解工程と、前記加熱溶解工程で得られるゲル形成成分含有溶液を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で得られるゲルをpH4.5以下にするpH調整工程とを備える。

0018

(加熱溶解工程・冷却工程)
まず、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分とゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとを含有するゲルを作製する。ゲルの製造方法は、一般的な製造方法でよい。具体的には、水や熱湯にゲル形成成分とアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとを加え、加熱し溶解後冷却することによりゲルを形成することができる。このときのゲルのpHは、4.5より高い必要があるが、5.0〜9.0が好ましい。ゲル形成時のpHが4.5以下であると、凝集が発生してしまうため、好ましくない。

0019

(pH調整工程)
次に、このゲルのpHを4.5以下にする。本発明においては、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分とゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとを含有するゲルを作製後に、ゲルのpHを4.5以下、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは2.0〜4.0にすることを特徴とする。pHが4.5より高いと、カチオン基イオン量が少なく反応が弱くなってしまう。pHが1.5より低いと、ゲル形成成分やアニオン性ハイドロコロイド分子の加水分解の程度が大きくなり本発明の効果が少なくなる傾向にある。pHを4.5以下に低下させる方法としては、ゲルをpH4.5以下に調整した溶液含浸させる方法、ゲルにpH4.5以下に調整した溶液を塗布する方法、などが好ましい。

0020

pH4.5以下に調整した溶液に使用する酸としては、一般的に食品に使用される酸や食品製造のために使用される酸であれば特に限定されない。具体的には、クエン酸リンゴ酸アスコルビン酸フマル酸マレイン酸アジピン酸グルコン酸グルコノデルタラクトンGDL)、酒石酸乳酸シュウ酸酢酸フィチン酸リン酸塩酸及び硫酸などが挙げられる。さらに、これらの塩を使用して緩衝液として使用してもよい。

0021

ゲル形成成分とアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとを含有したゲルを、pH4.5以下に調整した溶液に浸漬する場合、溶液の温度は、0〜30℃が好ましい。上記ゲルのpHが4.5以下になり、アニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとが反応すれば、その後90℃に加温してもゲル状組成物は溶解することはない。また、浸漬時間は、ゲルにpH4.5以下に調整した溶液が浸透する時間であればよく、10分以上が好ましい。

0022

pH4.5以下に調整した溶液は、ヨーグルト酸乳飲料、糖を含むシロップ果汁飲料炭酸飲料及びリキュール等の一般食品でもかまわない。よって、ゲル形成成分とアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとを含有したゲルを直接上記食品に加えても、本発明のゲル状組成物を作製することができる。

0023

また、浸漬、塗布以外の方法としては、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分を加熱溶解時又は加熱溶解後にGDLを加えて冷却ゲル化させ、ゲルを放置することにより、ゲル状組成物のpHを4.5以下に低下させることができる。GDLは、徐々にグルコン酸に加水分解するため、ゲル形成前のpHが4.5より高い場合でも、ゲル形成後に放置することによってpH4.5以下になるためである。

0024

いずれの方法においても、ゲルの3次元マトリックス中にゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイド分子及びゼラチン分子を固定化してからpHを低下させることが重要となる。ゲル形成成分がゲル化する前にpHを低下させると、ゲル化力のないアニオン性ハイドロコロイド分子及びゼラチン分子がゲルの3次元マトリックス中に固定化されていないため、反応物が大きくなり凝集が生じてしまうためである。

0025

作用機序
本発明の作用機序の一例について説明する。
まず、一般的なコアセルベーションは、アラビアガムのようなアニオンを有するハイドロコロイドと、ゼラチンのようなアニオンとカチオンを有するハイドロコロイドとを含んだ溶液のpHを低下させることにより、アラビアガムのアニオン基カルボキシル基)とゼラチンのカチオン基(アミノ基)が反応することにより生ずる。このとき、溶液中の水分子、ハイドロコロイド分子は自由に動くことができる。このため、反応物中の未反応のアニオン、カチオンは、さらに他の分子のアニオン、カチオンと反応し、次第に巨大分子となり凝集を始めるのである。
これに対し、本発明においては、寒天、Kタイプκカラギナン、Caタイプκカラギナン及びジェランガムのいずれか1以上からなるゲル形成成分と、アニオンを有するハイドロコロイド分子であるアニオン性ハイドロコロイドと、アニオンとカチオンを有するハイドロコロイド分子であるゼラチンとを同一に溶解しゲル化させることにより、アニオンを有するハイドロコロイド分子であるアニオン性ハイドロコロイドと、アニオンとカチオンを有するハイドロコロイド分子であるゼラチンを、ゲルの3次元マトリックス中に固定化することができる。この状態でpHを4.5以下にすることにより、分子の移動が制限された状態でアニオンとカチオンが反応する。しかし、アニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンは、ゲルの3次元マトリックス中に固定化されているため、これ以上の反応は起こらない。その結果、凝集物は生ずることはなく、ゲル内の結合が強固になり、従来にない物性(コリコリ食感)を有する本発明のゲル状組成物を得ることができるのである。

0026

[乾燥物]
本発明の乾燥物は、本発明のゲル状組成物を乾燥させることで得られる。本発明の乾燥物は、3次元マトリックス中で、アニオンを有するハイドロコロイド分子であるアニオン性ハイドロコロイドとアニオンとカチオンを有するハイドロコロイド分子であるゼラチンとがpH4.5以下で均一に反応しているため、乾燥した場合においても、マトリックスは安定し、引っ張り強度が強いものとなる。また、水に浸漬して吸水させた場合においても、マトリックス中に容易に水が吸水され、食感の良好なゲル状組成物になる。さらに、乾燥物が均一に乾燥されるため、マトリックス構造中に油脂を保持しやすくなり、吸油率も高まる。

0027

[ゲル状組成物・乾燥物の評価]
本発明によるゲル状組成物の評価方法は、ゲル強度、食感、凝集物の有無、耐熱性を調べることにより、アニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとの反応を確認することができる。本発明のゲル状組成物のゲル強度は、80〜350g/cm2が好ましく、170〜350g/cm2がより好ましい。
また、乾燥物については、引っ張り強度、吸水率、吸油率を確認することによりアニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとの反応を確認することができる。本発明の乾燥物の引っ張り強度は、80〜400gが好ましく、120〜400gがより好ましい。

0028

食品用途]
本発明のゲル状組成物は、独特な食感(コリコリ食感)を有する。したがって、豆風のシロップ漬けにすることにより、加熱殺菌可能なナタデココ風のコリコリ食感のゲルを作るため、従来にない食感の蜜豆をつくことができる。また、ゲルのpHを下げる方法として、ヨーグルト、果汁、酸乳、炭酸飲料及びリキュールなどを使用することにより、従来にない食感のゼリー入りヨーグルト、ゼリー入り果汁飲料、ゼリー入り酸乳飲料、ゼリー入り炭酸飲料及びゼリー入りリキュールなどに応用できる。
また、本発明の乾燥物は、例えば、可食性フィルムとして、食品の仕切り、包装用フィルムカップなど一般的に使用されるフィルムの用途に使用できる。さらに、吸水させたゲルは、ゲル状組成物と同様に独特な食感(コリコリ食感)を有するので、吸水させたゲルを従来にない食感の食品具材として利用することができる。

0029

以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。実施例中、含有量又は使用量を表す%及び部は、特記のない限り重量基準(W/W)である。

0030

まず、実施例及び比較例に用いた主たる原料等は、以下の通りである。
グアーガム:イナゲルGR−10(伊那食品工業社製)
タラガム:イナゲルタラガムA(伊那食品工業社製)
ローカストビーンガム:イナゲルL−15S(冷水可溶性、伊那食品工業社製)
カラギナンA:イナゲルE−150(Kタイプκ伊那食品工業社製)
カラギナンB:イナゲルV−120(ι 伊那食品工業社製)
カラギナンC:イナゲルV−240(λ 伊那食品工業社製)
デンプンマツノリンSM(α化化学工業社製)
タマリンドガムグリロイド3S(DSP五協フードケミカル社製)
キサンタンガムA:イナゲルV−10(伊那食品工業社製)
キサンタンガムB:イナゲルV−7(高粘性タイプ伊那食品工業社製)
サクシノグリカン:(DSP五協フード&ケミカル社製)
寒天A:伊那寒天UP−37(伊那食品工業社製)
寒天B:ウルトラ寒天UX−30(低強度寒天伊那食品工業社製)
ファーセレラン:イナゲルEF−10(伊那食品工業社製)
ジェランガムA:ケルコゲル(脱アシル型 CPケルコ社製)
ジェランガムB:LT−100(ネーティブ型 CPケルコ社製)
ペクチンA:イナゲルJP−10(HM 伊那食品工業社製)
ペクチンB:イナゲルJP−20(LM 伊那食品工業社製)
アルギン酸ナトリウム:イナゲルGS−70(伊那食品工業社製)
アルギン酸カリウム:GP−30(伊那食品工業社製)
アルギン酸アンモニウム:GA—30(伊那食品工業社製)
ゼラチンA:イナゲルA−81P(原料:アルカリ処理,Mw:143000,伊那食品工業社製)
ゼラチンB:イナゲルN−150(豚原料:酸処理,Mw:135000,伊那食品工業社製,)
ゼラチンC:イナゲルA−80F(魚由来:Mw:76000,伊那食品工業社製)
カルボキシルメチルセルロースナトリウム(CMC−Na):イナゲルMC−30(伊那食品工業社製)
サイリウムシードガム:イナゲルA−400(伊那食品工業社製)

0031

また、本実施例で用いた物性の測定方法を以下に記載した。

0032

ゲル強度:1辺15mmの立方体ゲルのゲル強度(破断応力)をテクスチャーアナライザー(TA.XT.Plus,英弘精機)を使用して測定した。(測定条件は、プランジャー断面積1cm2の円柱状、進入速度:20mm/分、測定深さ:10mm、測定温度:10℃)

0033

食感:10名の官能検査により以下の指標で示した。
A:従来にないコリコリ風の張りのある食感である。
B:Aには及ばないもののコリコリ風の張りのある食感である。
C:ゲルに張りがなく食感が悪い。
D:Cよりゲルの張りがなく食感が悪い。

0034

凝集物の有無:食感を調べる前にゲル組成物中の凝集物の有無を肉眼で確認した。

0035

耐熱性:食感を調べる前にゲル状組成物の溶け出しとクエン酸溶液のゲル化の状況を調べ下記の指標で示した。
A:ゲルは原型を保ち、酸溶液もゲル化していない。
B:ゲルは原型を保つが、酸溶液がわずかにゲル化している程度で問題ない。
C:ゲルは原型を保つが、酸溶液がゲル化している。
D:ゲルは型崩れし溶解している。酸溶液もゲル化している。
E:ゲルは激しく型崩れし溶解している。酸溶液もゲル化している。

0036

ゲルのpH:ゲル形成成分と、アニオン性ハイドロコロイドと、ゼラチンとを溶解しゲル化させた後、pHを4.5以下の溶液に120分浸漬後にゲルを取り出し、pHメーターを使用してゲルのpHを測定した。

0037

実験例1:ゲル中における、アニオン性ハイドロコロイドとゼラチンとの反応]
(実施例1〜13,比較例1〜5)
表1、表2及び表3に示した配合にてゲル状組成物を1000g作製した。具体的には、水に寒天A、ゼラチンA、アニオン性ハイドロコロイド又はハイドロコロイドを加え85℃にて加熱溶解した後、10℃に冷却しゲル化させた。このときのゲルのpHは、実施例1〜13,比較例1〜5において、6.1〜6.5の範囲であった。これを1辺が15mmの立方体に切断し、このゲル100gをpH3.5に調整した15℃のクエン酸溶液(クエン酸0.3%、クエン酸ナトリウム0.15%)200gに120分浸漬した。このときのpHを表4に示す。これを80℃で30分間加熱殺菌を行った後、10℃に冷却し、ゲル状組成物を得た。クエン酸溶液の状態を確認した後にクエン酸溶液からゲル状組成物を取り出し、ゲル強度、食感、凝集の有無、耐熱性を測定し、結果を表4に記載した。

0038

0039

0040

0041

0042

以上のように、寒天とゼラチンとアニオン性ハイドロコロイドとを使用して作製したゲル状組成物は、溶け出しや凝集物がなく、独特のコリコリ食感を有していた。

0043

[実験例2:アニオン性ハイドロコロイドの添加量]
(実施例14〜17)
表5及び表6に示した配合にてゲル状組成物を1000g作製した。具体的には、水にカラギナンA、ゼラチンB、キサンタンガムAを加え、85℃にて加熱溶解した後、10℃に冷却しゲル化させた。このときのゲルのpHは、実施例14〜17において、6.2〜6.3の範囲であった。これを1辺が15mmの立方体に切断し、このゲル100gをpH3.5に調整した15℃のリンゴ酸溶液(リンゴ酸0.4%、リンゴ酸ナトリウム0.15%)200gに120分浸漬した。このときのpHを表7に示す。これを80℃で30分間加熱殺菌を行った後、10℃に冷却し、ゲル状組成物を得た。リンゴ酸溶液の状態を確認した後にリンゴ酸溶液からゲル状組成物を取り出し、実験例1と同様に物性を測定し結果を表7に記載した。

0044

0045

0046

0047

以上のように、アニオン性ハイドロコロイドであるキサンタンガムを0.1%より多く5.0%以下使用して作製したゲル状組成物は、溶け出しや凝集物がなく、独特のコリコリ食感を有していた。

0048

[実験例3:ゲル形成成分の添加量]
(実施例18〜21)
表8及び表9に示した配合にてゲル状組成物を1000g作製した。具体的には、水にジェランガムA、ゼラチンC、キサンタンガムBを加え、85℃にて加熱溶解した後、クエン酸カルシウムを加え、10℃に冷却しゲル化させた。このときのゲルのpHは、実施例18〜21において、6.3〜6.4の範囲であった。これを1辺が15mmの立方体に切断し、このゲル100gをpH3.5に調整した15℃のグルコン酸溶液(1.0%)200gに120分浸漬した。このときのpHを表10に示す。これを80℃で30分間加熱殺菌を行った後、10℃に冷却し、ゲル状組成物を得た。グルコン酸溶液の状態を確認した後にグルコン酸溶液からゲル状組成物を取り出し、実験例1と同様に物性を測定し結果を表10に記載した。

0049

0050

0051

0052

以上のように、ゲル形成成分であるジェランガムAを0.05〜3.0%使用して作製したゲル状組成物は、溶け出しや凝集物がなく、独特のコリコリ食感を有していた。

0053

[実験例4:pH]
(実施例22〜26,比較例6)
表11に示した配合にてゲル状組成物を1000g作製した。具体的には、水にジェランガムB、ゼラチンA、サクシノグリカンを加え、85℃にて加熱溶解した後、10℃に冷却しゲル化させた。このときのゲルのpHは、6.3であった。これを1辺が15mmの立方体に切断し、このゲル100gを表12の値にpHを調整(クエン酸、クエン酸ナトリウム緩衝液)した溶液200gに120分浸漬した。このときのpHを表13に示す。これを80℃で30分間加熱殺菌を行った後、10℃に冷却し、ゲル状組成物を得た。クエン酸緩衝液の状態を確認した後にクエン酸緩衝液からゲル状組成物を取り出し、実験例1と同様に物性を測定し結果を表13に記載した。

0054

0055

0056

0057

以上のように、比較例6のpH4.7の状態ではゼラチンとアニオン性ハイドロコロイドの反応が起こらずゲルの食感が悪く耐熱性もなかった。

0058

[実施例5:ゼラチンの種類]
(実施例27〜29)
表14に示した配合にてゲル状組成物を1000g作製した。具体的には、水にカラギナンA、塩化カリウム、実施例27〜29のゼラチン、ペクチンAを加え、85℃にて加熱溶解した後、ショ糖を加え10℃に冷却しゲル化させた。このときのゲルのpHは、実施例27〜29において、6.3〜6.5の範囲であった。これを1辺が15mmの立方体に切断し、このゲル100gをpH3.0に調整(ショ糖10%、クエン酸0.3%、クエン酸ナトリウム0.1%含有)した溶液200gに120分浸漬した。このときのpHを表15に示す。これを80℃で30分間加熱殺菌を行った後、10℃に冷却しゲル状組成物を得た。クエン酸溶液の状態を確認した後にクエン酸溶液からゲル状組成物を取り出し、実験例1と同様に物性を測定し結果を表15に記載した。

0059

0060

0061

以上のように、ゼラチンA,B,Cの種類に関係なく、アニオン性ハイドロコロイドと反応し良好な結果が得られた。

0062

[実験例6:製造方法]
(実施例30〜31,比較例7)
表16に示した配合、表17に示した製法にてゲル状組成物を作製した。作製したゲル組成物を実験例1と同様に物性を測定し結果を表18に記載した。

0063

0064

0065

0066

以上のように、ゲル形成成分がゲル化する前にpHを4.0にした比較例7は、凝集が発生し良好な結果が得られなかった。

0067

[実験例7:乾燥物の製造]
(実施例32,比較例8)
実施例1において作製したゲルを1辺が15mmの立方体に切断する代わりに、30cm×30cm×厚さ2mmのシート状に成型した。このシートを90℃で60分間乾燥してフィルム状組成物とした。別に実施例1において、クエン酸溶液に浸漬しない以外は同様にして作製したフィルム状組成物も比較例8として作製した。これらのフィルム状組成物について引っ張り強度(テストピース:幅2.0cm,長さ5.0cm、測定装置:TA.XT.Plus,英弘精機)を測定し表19に示した。また、同様にして作製したフィルムを10cm×10cmに切断したものを40℃の水100gに10分間浸漬した後、取り出して重量を測定することによりフィルム状組成物の吸水量を調べ表19に記載した。さらに、同様にして作製したフィルムを10cm×10cmに切断したものを40℃の大豆油50gに10分間浸漬した後、取り出して重量を測定することによりフィルム状組成物の吸油量を調べ表19に記載した。

0068

0069

以上のように、実施例32に係るフィルム状組成物の引っ張り強度は高く、吸水量、吸油量も多く、反応がされていたことが分かる。

0070

[実験例8:pH1.5〜4.5の処理として一般食品を使用]
(実施例33〜38,比較例9〜11)
実施例2と1.5mmの立方体に切断するまで同様に作製したゲル100gを表20に記載した食品500gに浸漬した後密封し24時間放置した。24時間後にゲルを取り出しゲル組成物を実験例1と同様に物性を測定し結果を表21に記載した。ただし、耐熱性は取り出したゲル組成物50gを水100gに入れ80℃、20分間加熱処理を行ったものについて確認を行った。

0071

0072

実施例

0073

以上のように、一般食品を使用してpHを本発明の範囲にすることにより、良好な食感のゲル状組成物を作製できた。

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