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技術 グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法

出願人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構森永乳業株式会社
発明者 北岡本光清水金忠
出願日 2015年6月4日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2015-113748
公開日 2017年1月5日 (5ヶ月経過) 公開番号 2017-000002
状態 未査定
技術分野 酵素・酵素の調製 微生物による化合物の製造
主要キーワード 耐熱性微生物 開発室 CM番号 セルビブリオ 食品製造用 セロビオースホスホリラーゼ 熱処理菌体 微生物材料

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課題

解決手段

マルトオリゴ糖を可逆的に加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸生成するグリコーゲンホスホリラーゼと、ホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又はその抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理することにより、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤を製造する。

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背景

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グリコーゲンホスホリラーゼ(酵素番号EC 2.4.1.1。以下、「GP」と略すことがある。)は、グリコーゲングルコース単位分解する酵素であり、マルトオリゴ糖を可逆的に加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸(以下、「Glc1P」と略すことがある。)を生成する。GPは、スターチホスホリラーゼマルト
キストリンホスホリラーゼとも呼ばれる。

GPにより触媒される反応は可逆的であり、その逆反応を用いることによりマルトオリゴ糖とGlc1Pから重合度の大きいマルトオリゴ糖を製造することが可能である(非特許文献
1)。GPの基質に対する結合特異性は非常に高いため、この反応ではα1,4結合が選択的
に生成する。この特徴を利用して、スクロースとマルトオリゴ糖を原料とし、リン酸の存在下でスクロースホスホリラーゼ(酵素番号EC 2.4.1.7。以下、「SP」と略すことがある。)とGPを同時に作用させることにより、種々の重合度のアミロース(グルコースがα1,4結合のみで重合した多糖)を合成する方法が報告されている(特許文献1)。同様に、
セロビオースとマルトオリゴ糖を原料として、セロビオースホスホリラーゼ(酵素番号EC
2.4.1.20)とGPを組み合わせることによるアミロースの合成も報告されている(特許文
献2)。

GPを用いたアミロース合成などの工業的な製造法においては、雑菌汚染の回避のため、例えば50℃以上の高温での酵素反応を行うことが望ましい。そのため耐熱性の高いGPが必要である。遺伝子組換え微生物を用いて耐熱性菌由来のGP遺伝子非耐熱性菌生産させたのち熱処理を行い宿主由来の酵素を失活させることにより、精製コストをかけずに耐熱性酵素調製する方法が知られている(特許文献1)。

食品製造用途にGPを用いることを考えると、耐熱性の高いGPを、遺伝子組換えを使わずに製造することが望ましい。また、微生物などが生産するGPを使用する場合は、付随的に産生される、GP反応を妨害する可能性のある酵素の活性を除去する必要がある。なかでも、Glc1Pをグルコース6-リン酸に変換する酵素であるホスホグルコムターゼ(酵素番号EC 5.4.2.2。以下、「PGM」と略すことがある。)は、Glc1Pを消費してしまうため、GPのよ
うなGlc1Pを基質として利用する酵素を製造するにあたり、PGM活性の除去が必須である(特許文献3)。耐熱性酵素は、通常耐熱性微生物を培養することにより製造することが可能である。しかしながら、微生物の生産する酵素の安定性はその微生物の生育環境温度近辺にあることが多いため、同じ微生物の生産するGPとPGMの耐熱性は近いことが多い。そ
のため、遺伝子組換え法による耐熱性酵素の生産のように、熱処理による付随酵素の失活処理によって、PGM活性が低減されたGP酵素製剤を製造する方法は知られていなかった。

尚、ビフィズス菌は、スクロースを炭素源として培養したときにSPを生産すること(非特許文献2)、及び、そのSPの耐熱性が高いことが知られていたが(非特許文献3)、GP及びPGMの耐熱性については知見がなかった。

概要

ホスホグルコムターゼ活性が低減されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を提供する。マルトオリゴ糖を可逆的に加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を生成するグリコーゲンホスホリラーゼと、ホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又はその抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理することにより、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤を製造する。なし

目的

本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼ及びホスホグルコムターゼを産生する微生物から、ホスホグルコムターゼ活性が低減されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を簡便な操作により製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項

以下の情報は公開日時点(2017年1月5日)のものです。

請求項1

グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、50℃〜70℃の温度熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法

請求項2

前記熱処理の条件が、下記のいずれかである、請求項1に記載の方法:(a)熱処理温度が52℃〜57℃、熱処理時間が30分〜10時間、(b)熱処理温度が57℃〜62℃、熱処理時間が10分〜4時間。

請求項3

前記熱処理前に対する熱処理後の酵素活性残存率が、前記グリコーゲンホスホリラーゼでは60%以上であり、ホスホグルコムターゼでは5%以下である、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記熱処理前に対する熱処理後のグリコーゲンホスホリラーゼ活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のホスホグルコムターゼ活性の残存率に比べて10倍以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記グリコーゲンホスホリラーゼが内在性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記細菌がビフィドバクテリウム属に属する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウムロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリスからなる群から選ばれる、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムであり、前記ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスである、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記ビフィドバクテリウム属細菌が、さらにスクロースホスホリラーゼを産生する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が、スクロースを炭素源として培養されたものである、請求項9に記載の方法。

請求項11

請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤とスクロースホスホリラーゼ、又は、請求項9もしくは10に記載の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を、リン酸の存在下でスクロース、及びマルトオリゴ糖に作用させてアミロースを生成させる、アミロースの製造方法。

詳細

以下の情報は 公開日時点 (2017年1月5日)のものです。

技術分野

0001

本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤及びそれを製造する方法に関し、詳しくはホスホグルコムターゼ活性の低い微生物由来のグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を製造する方法に関する。


背景技術

0002

グリコーゲンホスホリラーゼ(酵素番号EC 2.4.1.1。以下、「GP」と略すことがある。)は、グリコーゲンをグルコース単位に分解する酵素であり、マルトオリゴ糖を可逆的に加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸(以下、「Glc1P」と略すことがある。)を生成する。GPは、スターチホスホリラーゼ、マルト
キストリンホスホリラーゼとも呼ばれる。

0003

GPにより触媒される反応は可逆的であり、その逆反応を用いることによりマルトオリゴ糖とGlc1Pから重合度の大きいマルトオリゴ糖を製造することが可能である(非特許文献
1)。GPの基質に対する結合特異性は非常に高いため、この反応ではα1,4結合が選択的
に生成する。この特徴を利用して、スクロースとマルトオリゴ糖を原料とし、リン酸の存在下でスクロースホスホリラーゼ(酵素番号EC 2.4.1.7。以下、「SP」と略すことがある。)とGPを同時に作用させることにより、種々の重合度のアミロース(グルコースがα1,4結合のみで重合した多糖)を合成する方法が報告されている(特許文献1)。同様に、
セロビオースとマルトオリゴ糖を原料として、セロビオースホスホリラーゼ(酵素番号EC
2.4.1.20)とGPを組み合わせることによるアミロースの合成も報告されている(特許文
献2)。

0004

GPを用いたアミロース合成などの工業的な製造法においては、雑菌汚染の回避のため、例えば50℃以上の高温での酵素反応を行うことが望ましい。そのため耐熱性の高いGPが必要である。遺伝子組換え微生物を用いて耐熱性菌由来のGP遺伝子を非耐熱性菌に生産させたのち熱処理を行い宿主由来の酵素を失活させることにより、精製コストをかけずに耐熱性酵素を調製する方法が知られている(特許文献1)。

0005

食品製造用途にGPを用いることを考えると、耐熱性の高いGPを、遺伝子組換えを使わずに製造することが望ましい。また、微生物などが生産するGPを使用する場合は、付随的に産生される、GP反応を妨害する可能性のある酵素の活性を除去する必要がある。なかでも、Glc1Pをグルコース6-リン酸に変換する酵素であるホスホグルコムターゼ(酵素番号EC 5.4.2.2。以下、「PGM」と略すことがある。)は、Glc1Pを消費してしまうため、GPのよ
うなGlc1Pを基質として利用する酵素を製造するにあたり、PGM活性の除去が必須である(特許文献3)。耐熱性酵素は、通常耐熱性微生物を培養することにより製造することが可能である。しかしながら、微生物の生産する酵素の安定性はその微生物の生育環境温度近辺にあることが多いため、同じ微生物の生産するGPとPGMの耐熱性は近いことが多い。そ
のため、遺伝子組換え法による耐熱性酵素の生産のように、熱処理による付随酵素の失活処理によって、PGM活性が低減されたGP酵素製剤を製造する方法は知られていなかった。

0006

尚、ビフィズス菌は、スクロースを炭素源として培養したときにSPを生産すること(非特許文献2)、及び、そのSPの耐熱性が高いことが知られていたが(非特許文献3)、GP及びPGMの耐熱性については知見がなかった。

0007

国際公開WO2002/097107号
国際公開WO2005/056811号
特開平2−16992号公報


先行技術

0008

Kitaoka, M. and Hayashi, K., Trendsin Glycoscience and Glycotechnology, 14(75):35-50 (2002)
Trindade, M.I., Abratt, V.R., and Reid, S.J., Applied and Environmental Microbiology, 69(1): 24-32 (2003)
Cerdobbel, A., De Winter, K.,Aerts, D., Kuipers, R., Joosten, H.-J., Soetaert, W., and Desmet, T., Protein Engineering, Design & Selection, 24(11): 829-834 (2011)


発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼ及びホスホグルコムターゼを産生する微生物から、ホスホグルコムターゼ活性が低減されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を簡便な操作により製造する方法を提供することを課題とする。


課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、ビフィドバクテリウム属細菌(ビフィズス菌)が、熱安定性(耐熱性)が通常の生育環境速度である37℃付近よりも高いグリコーゲンホスホリラーゼ、及び、それよりも熱安定性が低いホスホグルコムターゼを産生すること、及び、特定の熱処理によりホスホグルコムターゼ活性を選択的に低減させることができること、並びに製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を用いてアミロースを製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法。
(2)前記熱処理の条件が、下記のいずれかである、前記方法:
(a)熱処理温度が52℃〜57℃、熱処理時間が30分〜10時間、
(b)熱処理温度が57℃〜62℃、熱処理時間が10分〜4時間。
(3)前記熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率が、前記グリコーゲンホスホリラーゼでは60%以上であり、ホスホグルコムターゼでは5%以下である、前記方法。
(4)前記熱処理前に対する熱処理後のグリコーゲンホスホリラーゼ活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のホスホグルコムターゼ活性の残存率に比べて10倍以上である、前記方法。
(5)前記グリコーゲンホスホリラーゼが内在性である、前記方法。
(6)前記細菌がビフィドバクテリウム属に属する、前記方法。
(7)前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリスからなる群から選ばれる、前記方法。
(8)前記ビフィドバクテリウム・ロンガムがビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムであり、前記ビフィドバクテリウム・アニマリスがビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスである、前記方法。
(9)前記ビフィドバクテリウム属細菌が、さらにスクロースホスホリラーゼを産生する、前記方法。
(10)前記ビフィドバクテリウム属細菌の菌体が、スクロースを炭素源として培養され
たものである、前記方法。
(11)前記(1)〜(8)のいずれかの方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤とスクロースホスホリラーゼ、又は、(9)もしくは(10)の方法により製造されたグリコーゲンホスホリラーゼ製剤を、リン酸の存在下でスクロース、及びマルトオリゴ糖に作用させてアミロースを生成させる、アミロースの製造方法。


発明の効果

0012

本発明によって、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)及びホスホグルコムターゼ(PGM
)を産生する微生物から、PGM活性が低減されたGP製剤を、遺伝子組換え技術を用いずに
、簡便な操作により製造することができる。本発明により製造されるGP製剤は、マルトオリゴ糖とグルコース1−リン酸を原料とする、より重合度の大きいマルトオリゴ糖の製造や、スクロースホスホリラーゼ(SP)と組み合わせたアミロースの製造に用いることができる。

0013

本発明により製造されるGP製剤は、好ましい形態では、50℃以上の高温で反応可能であるため、反応中に雑菌繁殖を防止することができる、酵素反応速度を速くできる等の利点がある。

0014

また、本発明の好ましい態様では、GP活性とSP活性を併せ持つ酵素製剤が製造される。この酵素製剤は、アミロースの製造に好適に用いられる。

0015

好ましい形態においては、ビフィドバクテリウム属細菌のように食品にも応用されている安全な細菌を用いることができるため、本発明の方法により製造されるGP製剤、及びそれを用いて製造されるアミロースは、食品分野で有用である。


図面の簡単な説明

0016

細菌抽出液の60℃での熱処理時間とGP、SP、及びPGMの活性との関係を示す図。
細菌抽出液の熱処理温度とGP、及びSPの残存活性との関係を示す図。

0017

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、グリコーゲンホスホリラーゼとホスホグルコムターゼを産生する細菌の菌体又は菌体の抽出液を、50℃〜70℃の温度で熱処理する、グリコーゲンホスホリラーゼ製剤の製造方法である。

0018

以下、特記しない限り、「グリコーゲンホスホリラーゼ」又は「GP」との記載は、「マルトオリゴ糖を可逆的に加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を生成するグリコーゲンホスホリラーゼ」(酵素番号EC 2.4.1.1)を意味する。

0019

<1>本発明に用いる細菌
グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)とホスホグルコムターゼ(PGM)を産生する細菌と
しては、GPとPGMを産生し、かつ、GPの熱安定性(耐熱性)がPGMよりも高く、細菌の菌体又はその抽出液を熱処理することによって、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に
低下するものであれば、特に制限されない。尚、PGM活性の低下とは、熱処理後のPGMの残存活性が、熱処理前のPGM活性よりも低いことを意味するが、熱処理によってPGM活性がほぼ又は完全に消失することも含む。

0020

上記のような細菌としては、菌体又はその抽出液を50℃〜70℃の温度で熱処理した
ときに、熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率が、GPでは好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、PGMでは好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以
下である細菌が好ましい。
また、本発明に用いる細菌は、熱処理前に対する熱処理後のGP活性の残存率が、熱処理前に対する熱処理後のPGM活性の残存率に比べて好ましくは10倍以上、より好ましくは
30倍以上、特に好ましくは60倍以上である細菌が好ましい。
熱処理については後述する。

0021

細菌は、内在性のグリコーゲンホスホリラーゼ(GP)を産生するものであることが好ましい。すなわち、細菌が産生するGPをコードする遺伝子は、非外来性遺伝子であることが好ましい。本発明によれば、遺伝子技術を用いて耐熱性菌由来のGP遺伝子を発現させなくても、PGM活性の低いGP製剤を調製することができる。

0023

ビフィドバクテリウム属細菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(Bifidobacterium Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテニュラタム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィ
バクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス
(Bifidobacterium animalis)等が挙げられる。

0024

上記ビフィドバクテリウム属細菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、及びビフィドバクテリウム・シュードロンガムが好ましい。

0025

前記ビフィドバクテリウム・ロンガムとしては、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(B. longum subsp. longum)、及び、ビフィドバクテリウム
・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(B. longum subsp. infantis)が挙
げられる。また、ビフィドバクテリウム・アニマリスとしては、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis subsp. animalis)、及び、
ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(B. animalis subsp. lactis)が挙げられる。これらの中では、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブス
ピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスが好ましい。

0026

より具体的には、B. longum subsp. longum JCM1217、B. pseudocatenulatum JCM1200
、B. pseudolongum JCM1205、B. animalis subsp. animalisATCC25527、B. longum subsp. longum JCM1217-GLN1等の菌株が挙げられる。JCM番号が付された菌株は、JCM(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(〒305-0074県つくば市高野台3-1-1))から入手できる。JCM1217-GLN1は、親株であるJCM1217から、1,3-βガラクトシル-N-アセチルヘキソサミンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.211)の活性が
高い変異株として取得された菌株である(特開2014-187886)。同株は、2013年2月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818 千葉
県木更津市かずさ足2-5-8 122号室)にNITEP-1540の受託番号で寄託されている。ATCC25527は、アメリカン・タイプカルチャーコレクション(America Type Culture Collection、住所P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108, United States of America)から分譲を受けることができる。

0027

本発明の一形態では、GPに加えてスクロースホスホリラーゼ(SP)を産生する細菌を用いる。SPは、スクロースを可逆的に加リン酸分解してα-グルコース1−リン酸とフルク
トースを生成する酵素である。GPとSPを産生する細菌としては、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス、及び、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス等が挙げられる。本発明者により、熱安定性の高いGPを保持する細菌が産生するSPもまた、PGMよりも熱安定性が高い傾向があることが見出された。

0028

<2>グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)の製造方法
上記のようなGPとPGMを産生する細菌の菌体又はその抽出液を、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下する温度、例えば50℃〜70℃の温度で熱処理すると、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下した酵素製剤が得られる。

0029

細菌の菌体は、細菌を適当な培地で培養することにより得られる。培養の方法は、用いる細菌に適した方法を採用すればよい。例えば、ビフィドバクテリウム属細菌は嫌気性細菌であり、通常、嫌気条件下液体培養することが好ましい。炭素源は、使用する細菌が資化できるものであれば特に制限されないが、グルコース、スクロース、デキストリンデンプン部分分解物水飴乳糖等が挙げられる。使用する炭素源は、細菌の生育、GP及び/又はSPの酵素活性を予備的に調べることにより、適宜選択することができる。
例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリスにはグルコース又はスクロースを、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム、ビフィドバクテリウム・シュードロンガムにはグルコース、スクロース又はデキストリンを用いることが好ましい。

0030

GPに加えてSPを産生する細菌を用いる場合は、スクロースを炭素源として用いることが好ましい。SPの産生は、スクロースにより誘導されると推定される。また、他の炭素源で細菌を培養して細菌を増殖させた後、炭素源をスクロースに変えて培養することによって、SPを産生させてもよい。

0031

熱処理するのは、菌体又はその抽出液のいずれでもよいが、細菌によっては、例えばビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムのように、菌体よりも、菌体抽出液を熱処理した方が、GP活性及び/又はSP活性の維持、及び、PGM活性の失活の観
点から、好ましい場合がある。菌体を熱処理するには、菌体懸濁液を熱処理すればよい。

0032

熱処理温度は、熱処理時間にもよるが、通常50℃〜70℃、好ましくは50℃〜65℃、より好ましくは52℃〜62℃である。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、1分〜10時間が好ましく、10分〜10時間がより好ましい。熱処理温度が高い場合は、低い場合よりも処理時間は短めでよい。例えば、熱処理温度が低い場合、例えば52℃〜57℃では、熱処理時間は30分〜10時間が好ましく、熱処理温度が高い場合、例えば57℃〜62℃では、熱処理時間は10分〜4時間が好ましい。

0033

また、菌体懸濁液又は菌体抽出液の熱処理時のpHは、好ましくはpH 5〜8、より好まし
くはpH 6〜7.5である。

0034

熱処理温度、熱処理時間、菌体懸濁液又は菌体抽出液のpH等の条件は、予備的に菌体又はその抽出液を種々の条件で熱処理し、GP、PGM、及び必要に応じてSPの活性を測定し、GP、SP、及びPGMの残存活性又はそれらの比率が前記値の範囲内となるような条件を選択することによって、適宜設定することができる。これらの酵素の活性は、当業者に公知の方法、例えば実施例に記載した方法によって測定することができる。

0035

細菌の菌体懸濁液としては、細菌の培養液、もしくはその希釈液もしくは濃縮液、又は、これらの細菌菌体を含む液から遠心分離又は濾過等の集菌操作により集めた菌体を緩衝液等の媒体分散させて得られる懸濁液が挙げられる。細菌懸濁液中の細菌濃度は特に制限されないが、例えば、105〜1010個細胞/mlが挙げられる。

0036

菌体抽出液は、菌体懸濁液を通常細菌菌体の破砕に用いられる方法、例えば、超音波処理浸透圧ショック凍結融解フレンチプレスガラスビーズを用いる方法等の機械的方法、又はこれらの方法の組み合わせにより調製することができる。また、本発明の効果を損ねない限り、溶菌酵素を用いた酵素的方法によっても、菌体抽出液を調製することができる。

0037

上記のようにして細菌の懸濁液又は抽出液を熱処理することによって、GP製剤が製造される。熱処理の方法は特に制限されないが、例えば、細菌の懸濁液又は抽出液を収容した容器を、所定の温度の水に浸漬することによって熱処理を行うことができる。
こうして得られるGP製剤は、GPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下している
。好ましい形態では、熱処理前に対する熱処理後の酵素活性の残存率は、GPでは好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、PGMでは
好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。また、他の形態では、前記性質に加えて、又はそれとは独立に、熱処理前に対する熱処理後のGP活性の残存率は、熱処理前に対する熱処理後のPGM活性の残存率に比べて、好ましくは1
0倍以上、より好ましくは30倍以上、特に好ましくは60倍以上である。

0038

また、本発明の方法に、GPに加えてSPを産生する細菌を用いると、GP活性とSP活性を有するGP製剤が得られる。SPは、GPと同様に、PGMよりも熱安定性が高いため、GP製剤中のSP活性は、PGM活性よりも残存率が高い。また、GPとPGMに加えてSPを産生する細菌を、上
記条件で熱処理すると、GP及びSPに比べてPGMの活性が選択的又は優先的に低下した酵素
製剤が得られる。

0039

GP製剤は、熱処理した細菌の菌体懸濁液又は菌体抽出液そのものであってもよく、それらを濃縮もしくは希釈したもの、又はGP及び必要に応じてさらにSPを含むそれらの分画物もしくは粗精製物であってもよい。分画物としては、遠心分離上清濾液脱塩物等が挙げられる。また、GP製剤の性状は特に制限されず、例えば、溶液であってもよく、凍結乾燥粉末であってもよい。

0040

<3>グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)製剤の利用
本発明のGP製剤は、GP反応(マルトオリゴ糖を加リン酸分解して重合度が1少ないマルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を生成する反応、又はその逆反応)を生じさせる酵素製剤として利用することができる。例えば、マルトオリゴ糖とα−グルコース1−リン酸を原料として、GP反応により原料のマルトオリゴ糖よりも重合度が1高いマルトオリゴ糖を製造することができる。この反応系に過剰のα−グルコース1−リン酸を供給すると、反応が連続して起こり、より重合度の高いマルトオリゴ糖を得ることができる。

0041

また、GP製剤とSPを、スクロースとマルトオリゴ糖に作用させると、スクロースからα−グルコース1−リン酸が生じ、これがGP反応の基質となって、反応の進行に伴いマルト
オリゴ糖の重合度が高くなり、アミロースが生成する。GP反応で生じるリン酸は、SP反応に用いられ得るが、反応を進行させるためには、反応系にある程度のリン酸を存在させることが好ましい。

0042

上記のアミロースの生成反応において、SPの形態は特に制限されず、SPを含む微生物菌体抽出物であってもよく、精製又は粗精製されたSPであってもよい。また、GPとSPの両方を含むGP製剤を用いることによっても、スクロースとマルトオリゴ糖からアミロースを製造することができる。

0043

アミロースを生成させる反応は、酵素として本発明のGP製剤を用いる以外は、公知の方法、例えば国際公開WO2002/097107号に記載の方法を用いることができる。

0044

反応液のpHは、通常5〜9、好ましくは6〜8、反応温度は通常40〜70℃、好ましくは50〜65℃、反応時間は10分〜200時間、好ましくは1時間〜100時間である。

0045

反応液中のリン酸濃度は、通常5〜100mmol/L(mM)、好ましくは10〜50mmol/Lである。リン酸源としては、リン酸ナトリウムリン酸カリウム等のリン酸塩、及び、無水リン酸が挙げられる。

0046

反応液からのアミロースの採取は、エタノール沈殿ゲル濾過透析等の方法によって行うことができる。

0047

また、セロビオースとマルトオリゴ糖を原料として、本発明のGP製剤とセロビオースホスホリラーゼを組み合わせることによっても、アミロースを製造することができる。

0048

以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。

0049

〔実施例1〕
1.ビフィドバクテリウム属細菌(ビフィズス菌)の培養
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(B. longum subsp. longum)JCM1217、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタム(B. pseudocatenulatum )JCM1200、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B. pseudolongum)JCM1205、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(B. animalis subsp. animalis)ATCC25527、および、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217-GLN1(NITEP-1540)を、グルコースまたはスクロースを炭素源とし
た以下の培地組成Aに基づく培地5.0 mLに植菌し、アネロパックケンキ(三菱ガス化株式会社製)を用いた嫌気性条件下において37℃、24時間静置培養を行った。
培養終了後、培地を攪拌波長600 nmで濁度を測定することにより菌体の増殖度を測定した。

0050

[培地組成A(単位:w/v%)]
炭素源(グルコース/スクロース/デキストリン) 0.5%
普通ブイヨン1.6%
酵母エキス0.5%
リン酸水素二カリウム0.3%
Tween 80 *1 0.1%
アスコルビン酸ナトリウム1.0%
システイン塩酸塩0.05%
*1:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート

0051

2.酵素活性測定
上記の各菌株の培養液1 mLを遠心分離することにより菌体を回収した。培養液1 mL分の菌体を0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させ、氷冷下で超音波
理を行い、菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離して上清を回収して、菌体抽出液を得た。菌体抽出液に対して60℃、30分の熱処理を行い、熱処理菌体抽出液を調製した。それぞれの熱処理菌体抽出液についてグリコーゲンホスホリラーゼ(GP)、SP、およびPGMの
活性を測定した。

0052

GP活性は、反応液に試料、基質であるデキストリン、PGM、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ添加し、反応により生じるグルコース1-リン酸(Glc1P)を指標として
、測定した。具体的には、以下のようにして行った。終濃度10 mg/mLデキストリン(和光純薬株式会社製:カタログ番号044-00585)、0.025 mMグルコース1,6-ビスリン酸、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mL PGM、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料を適量加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートウェル中で調製し、30℃にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより、酵素活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのGlc1Pを生成するGPの活性を、1単位(U)と定義した。

0053

SP活性は、反応液に試料、基質であるスクロース、PGM、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを添加し、反応により生じるGlc1Pを指標として測定した。具体的には、以
下のようにして行った。終濃度10 mMスクロース、0.025 mMグルコース1,6-ビスリン酸、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mL PGM、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料適量を加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートのウェル中で調製し、30℃にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより、酵素活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのGlc1Pを生成するSPの活性を、1単位(U)と定義した。

0054

PGM活性は、反応液に試料、基質であるGlc1P、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナ
ーゼを添加し、反応により生じるグルコース6-リン酸を指標として測定した。具体的には、以下のようにして行った。終濃度1 mM Glc1P、0.25 mMチオNAD、2.5 mM MgCl2、5 U/mLグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に試料適量を加えて、200 μLの反応液を96穴マイクロプレートのウェル中で調製し、30℃
にて所定の時間インキュベートして酵素反応を行い、マイクロプレートリーダーで波長400 nmの吸光度を連続的に測定し、その増加速度を求めることにより活性を測定した。上記条件下で1分間に1マイクロモルのグルコース6-リン酸を生成するPGMの活性を、1単位
(U)と定義した。

0055

上記酵素活性測定の結果を表1に示した。これらのビフィズス菌は、増殖が見られた場合は、すべて菌体内にGPを生産した。また、GP活性は、菌体抽出液の60℃、30分での熱処理において最低でも65%以上の活性が残存するのに対して、PGM活性は熱処理後は熱処理
前の2%以下にまで低下した。また、SP活性も、熱処理後に最低でも73%以上の活性が残
存した。

0056

0057

〔実施例2〕
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJC
M1217スクロース培地培養菌体懸濁液、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタムJCM1200デキストリン培地培養菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。また、これらの菌体の抽出液に対して、55℃、3時間の熱処理を行った。各々の熱処理後の酵素
活性を、熱処理前の菌体抽出液、及び菌体抽出液の60℃、30分での熱処理後の活性と併せて、表2に示した。
その結果、熱処理した菌体抽出液と同様に、熱処理した菌体から調製した抽出液でも、GP活性及びSP活性は維持されたが、PGM活性は著しく低下した。また、55℃、3時間の熱処理を行った菌体抽出液でも、GP活性及びSP活性は維持され、PGM活性は著しく低下した。

0058

尚、GP活性及びSP活性の維持、及び、PGM活性の失活の観点からは、菌体懸濁液よりも
、菌体抽出液を熱処理した方が、少なくとも本実施例の条件下では、好ましいと考えられる。

0059

0060

〔実施例3〕
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217スクロース培地培養菌体、および、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタ
ムJCM1200デキストリン培地培養菌体の各々培養液1 mL分を、0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させた。各菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。熱処理後、氷冷下で各懸濁液を超音波処理し、菌体を破砕した。各菌体破砕液を遠心
分離し、上清を回収することにより、酵素の抽出を行った。

0061

〔実施例4〕
実施例1で調製したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM1217スクロース培地培養菌体、および、ビフィドバクテリウム・シュードカテニュラタ
ムJCM1200デキストリン培地培養菌体の各々培養液1 mL分を合わせて、0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させた。各菌体懸濁液に対して、60℃、30分の熱処理を行った。熱処理後、氷冷下で超音波処理を行い、菌体破砕液を遠心分離し、上清を回収することにより、菌体抽出液を調製した。この菌体抽出液に対して60℃、30分の熱処理を行った後に、スクロース69 mg、マルトヘキサオース1 mgを溶解した水0.5 mLを加え、
スクロース200 mM、マルトヘキサオース1 mM、リン酸25 mM濃度の反応液1 mLを調製した
。該反応液を50℃に保ち、40時間反応を行った。この時点で、薄層クロマトグラフィー分析を行い、反応液に加えたスクロースの80%程度が消費されていることを確認した。反応
液に500 μLのエタノールを加え、生成したアミロースを沈殿させた。沈殿を1 mLの水で
3回洗浄真空乾燥させ、アミロース18 mgを得た。

0062

〔実施例5〕
スクロースを炭素源として培養したビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムJCM 1217-GLN1の菌体抽出液について、60℃の熱処理前後におけるGP活性、SP活性、PGM活性の経時変化を調べた。結果を図1に示した。
GP及びSPの活性低下はほとんど観測されなかったが、PGMは時間経過につれて急速に活
性が消失した。また、熱処理温度を変えて30分熱処理した各菌体抽出液のGP及びSPの残存活性を調べたところ、両酵素とも60℃までは90%以上の残存活性を示した(図2)。一方、65℃以上では活性の低下が観察されたが、この活性低下は熱処理時間を短縮することによって防ぐことができる。

0063

〔比較例1〕
セルビブリオギルバス(Cellvibrio gilvus)ATCC13127株を、トリプトン5 g/L、酵母エキス5 g/L、塩化ナトリウム5 g/L、リン酸水素2カリウム5 g/L、スクロース5 g/Lの組成からなる培地2.5 mlに植菌し、好気条件下30℃において48時間振盪培養を行った。培養液の濁度(600 nm)は2.20であった。培養液1 mLを遠心分離することにより菌体を調製した。培養液1 mL分の菌体に0.5 mLの50 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)に分散させ、氷冷下で超音砕処理を行い、菌体を破砕した。菌体破砕液を遠心分離して、上清を回収することにより菌体抽出液を調製した。この菌体抽出液のGP活性及びPGM活性を実施例1
に記載の方法で測定したところ、培養液あたりそれぞれ、11.8 U/mLおよび110 U/mLであ
った。
上記菌体抽出液に対して種々の温度(45℃、50℃、55℃、60℃)で、30分の熱処理を行うことにより熱処理菌体抽出液を調製した。この熱処理菌体抽出液についてGPおよびPGM
の活性を同様にして測定した。結果を表3に示す。その結果、GP及びPGMともに50℃まで
は90%以上の残存活性を示したが、55℃では両酵素ともに失活がみられた。そして、60℃では両酵素ともに残存活性は測定限界以下になり、GP活性のみを効率的に維持できる温度条件は存在しなかった。


実施例

0064


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