図面 (/)

技術 グリセリド油からの遊離脂肪酸の除去

出願人 ザクイーンズユニバーシティオブベルファスト
発明者 マーティンアトキンスファーゲルコールマンピーターグッドリッチ
出願日 2014年11月28日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2016-534958
公開日 2016年12月22日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2016-540077
状態 特許登録済
技術分野 食用油脂 脂肪類、香料
主要キーワード 室温イオン液体 溶媒粒子 二次酸化物 超音波攪拌器 高付加価値製品 シリカゲル処理 脱酸プロセス 目盛り付きの
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題・解決手段

本発明は、グリセリド油の脱酸に関する。本発明は、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去する方法を提供し、前記方法は、(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、水酸化物イオンアルコキシドアルキルカーボネート炭酸水素イオンセリナート、プロリナートヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、および-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する;ならびに(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程を含む。

概要

背景

ヒトまたは動物飲食のために、またはその他の家庭用および商業用途のために、天然供給源から抽出され得る多くのグリセリド油がある。そのようなグリセリド油は、例えば、植物油海生油、および動物性油脂を含む。典型的には、グリセリド油はその使用前に精製を受けることが必要であり、それは特定の油および抽出後のコンタミネーション関連レベル性質に応じて変えることができる。

パーム油は、主にアブラヤシ果実由来する植物油であり、パルミチン酸およびオレイン酸を含み、グリセロールエステル化されている多くの脂肪酸からなる。パーム油は多くの用途を有しており、一般的に調理または食品添加物としての使用を伴い、一方、化粧品および洗浄製品における使用も見出されている。パーム原油ビタミンEを含有することが知られており、そしてプロビタミンA活動に伴うカロチンの最も豊かな自然の植物源の1つであり、そして抗酸化剤のもととして使用されるパーム油と見なされている。

パーム油は多量の高飽和脂肪を含有し、高い酸化安定性を有し、そしてコレステロールが自然に低く、そしてその費用の低さもあって、食品産業において特定の加工食品中トランス不飽和脂肪酸の代わりにますます使用されている。その他のグリセリド油と同様に、食用とするために、パーム原油は望ましくない成分を除去する精製プロセスを受けなければならない。パーム原油は、モノ-、ジ-およびトリ-グリセリド、カロチン、ステロール、ならびにグリセロールで全くエステル化されていない遊離脂肪酸FFA)を含む。FFAは油の劣化および酸敗の増加につながり、そのため、前記精製プロセスがパーム原油から除去しようとする多くの成分のうちの1つである。前記精製プロセスは、実質的にパーム油からFFAを除去することができるが、精製パーム油長期保存は、油の酸化および加水分解不安定性の結果として、FFAの補充レベルをもたらすことが知られている。

精製プロセスにおいて、パーム原油は、典型的には、FFAを除去する脱酸処理を受ける前に、リン酸および/またはクエン酸脱ガム前処理を受けて不純物やその他の不要な物質を除去する。多くの場合、精製はまた、精製パーム油が流通に適するとみなされる前に、漂白(例えば漂白土で)および脱臭工程を含む。脱酸プロセスは、精製パーム油の製造にかなりの経済的影響を有することが知られており、そしてさまざまな異なる化学的および物理脱酸方法が過去に利用されてきた。

化学的方法には、FFAを油から分離するための水酸化ナトリウムなどのアルカリでのパーム原油の処理が挙げられる。しかし、化学的処理は、モノ-およびジ-グリセリドの割合を増加させる油中グリセリドのケン化、および中性油(グリセリド)の損失精製油量の低下につながる石けん相の形成につながることが知られている。植物油の水酸化ナトリウムでの化学的処理はまた、主成分の一部を除去することが知られており、これはそれらの酸化安定性が原因である。

非特許文献1において、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムを使用する代わりにシリカゲル処理を使用する、高遊離脂肪酸オリーブオイル(HFFAO)の代替脱酸プロセスが提案されている。シリカゲルは、HFFAOを中和すること、および二次酸化物質を除去することにも有効であることが報告されている。

上記にもかかわらず、物理的方法は、望ましくないケン化および乳化を回避すると同時にFFAを除去するのに有効であるため、パーム原油の脱酸にとって一般的に化学的方法よりも好ましい。その結果、物理的精製方法は、特に高いFFA含有量の油の場合、化学的精製で伴う同じ収量低下に悩まされることはない。物理的精製は化学薬品を使用しない蒸留技術に主に基づいており、そして一般的に、高温真空下で飽和蒸気を油に通してパージし、これによりFFA、ならびに芳香性化合物を除去することを含む。物理的精製は化学的精製よりも多くの利点を有するが、物理的方法はエネルギーを大量に消費することが知られており、そして油を減圧下で高温にまで加熱することは、その物理化学的および官能特性に影響を与え得る副反応をもたらし得る。

提案されてきた代替方法は、脱酸を行うために、FFAおよび中性油の溶解度の差異に基づいて操作する、極性溶媒での液液抽出技術を含む。そのようなプロセスでは、FFAは、特定の溶媒相への選択的分配により中性油から分離される。非特許文献2は、そのような植物油の脱酸へのアプローチ概要を説明する。生物学的方法、化学的再エステル化、超臨界流体抽出および膜処理議論されており、とはいえ液液抽出法が特に注目されている。後者の技術は、室温で実施されてもよいこと、廃棄物を生成しないこと、および中性油の低い損失により利益を得るということに基づき、一般的に有利であると考えられている。しかし、メイレレスらは、脱酸のための液液抽出プロセスの実施に伴う大きな資本費用があることを認め、工業的規模で実施されれば、このプロセスの全体的な利点についての疑問が残る。このため、彼らは、液液抽出において精製油からの回収一環として溶媒蒸発させるためのエネルギー必要量と、物理的精製法において高温および高真空下での操作に伴うそれとの比較を求める。

さらなる問題は、精製プロセス後に得られた、パーム油などのグリセリド油の安定性に関する。油の酸化および加水分解不安定性の結果として、精製パーム油中のFFA含有量は時間の経過とともに増加する傾向があることが知られている。FFAの増加は、精製パーム油の官能特性に経時的に悪影響を与え、最終的に悪臭となる。パーム油の貯蔵安定性欠如は、パーム油の市場価格に大きな影響を与える。より効率的に貯蔵されるように、パーム油を処理する潜在的な処理選択が多くある。これらは、酸化カルシウム酸化マグネシウムおよびドロマイト、またはハイドロタルサイトなどの、FFAが生成された時にそれを中和する塩基性酸化物の存在下での貯蔵を含む。これらの酸捕捉剤は、貯蔵中にFFAレベルが一定の閾値を超えて上昇するのを予防するのに有用であるが、金属カルボン酸塩が、油への溶解性が高い中和塩として形成されるという問題がある。それらは油の官能および/または物理化学的特性に悪影響を与える可能性があるため、望ましくない。

既知方法、特に物理的精製に関連する高いエネルギー必要量を回避すると同時に、高付加価値製品を製造することが可能である、パーム油などのグリセリド油の脱酸方法の必要性が依然として存在する。FFA含有量は、少なくともある程度まである期間にわたって補充されることが知られている精製パーム油などの精製グリセリド油に関連する長期保存の問題の解決策も必要である。

概要

本発明は、グリセリド油の脱酸に関する。本発明は、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去する方法を提供し、前記方法は、(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、水酸化物イオンアルコキシドアルキルカーボネート炭酸水素イオンセリナート、プロリナートヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、および-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する;ならびに(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程を含む。

目的

分別パーム油オレインおよびパーム油ステアリンは、ジ飽和トリグリセリドの含有量が高いパーム融点分別脂を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、水酸化物イオンアルコキシドアルキルカーボネート炭酸水素イオンセリナート、プロリナートヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、前記アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、および-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、あるいはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオンを有する;と(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程とを含む、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油から遊離脂肪酸を除去する方法。

請求項2

工程(i)で形成された1つ以上の遊離脂肪酸の中和塩および/または任意の残留塩基イオン液体を、前記処理済みグリセリド油から分離させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記塩基性陰イオンが、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、水酸化物イオンおよびアルコキシドから選択される、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記塩基性陰イオンがアルキルカーボネートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

前記塩基性陰イオンが炭酸水素イオンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

前記塩基性陰イオンが水酸化物イオンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

前記塩基性陰イオンがアルコキシドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

前記塩基性陰イオンが、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される、請求項1または2に記載の方法。

請求項9

前記塩基性陰イオンが、セリナート、リシネート、プロリナート、タウリナートおよびトレオニナートから選択される、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記塩基性陰イオンがリシネート、プロリナートおよびセリナートから選択される、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記塩基性陰イオンがリシネートである、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記陽イオンが[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1〜C8アルキル(C1、C2、C4およびC6アルキルを含む)から選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの1つ以上は、請求項1で定義される通りに、1〜3個の基で任意に置換されていてもよい)から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

前記陽イオンが[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+ (式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル(C1、C2およびC4アルキルを含む)から選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの少なくとも1つは、1個の-OH基で置換されている)から選択される、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記陽イオンがコリン:である、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記塩基性イオン液体がグリセリド油に混和しない、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

前記塩基性イオン液体が水に可溶である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

前記塩基性イオン液体が150℃未満の融点を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

前記塩基性イオン液体が、重炭酸コリン:である、請求項1または2に記載の方法。

請求項19

前記塩基性イオン液体がコリンリシネートである、請求項1または2に記載の方法。

請求項20

前記塩基性イオン液体が担持されていない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。

請求項21

前記塩基性イオン液体が担持されている、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

前記担体が、シリカアルミナ、アルミナシリカ、炭素活性炭およびゼオライトから選択される、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記担体がシリカである、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記塩基性イオン液体が、10:1〜1:10のイオン液体:担体質量比で担体上に吸着されている、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記塩基性イオン液体が、1:2〜2:1の塩基性イオン液体:担体質量比で担体上に吸着されている、請求項24に記載の方法。

請求項26

工程(i)が周囲温度から50℃までの温度で実施される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

前記塩基性イオン液体を、工程(i)で形成されて処理済みグリセリド油から単離された遊離脂肪酸の1種以上の中和塩から、再生プロセスを経て再生させることをさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

請求項1で定義されたように、塩基性イオン液体を、工程(i)で形成されて処理済みグリセリド油から単離された遊離脂肪酸(FFA)の1種以上の中和塩から再生させることをさらに含み、再生が(a)該FFAの塩を、該FFAの塩が形成されたFFAよりも低いpKaを有する酸と接触させる工程;(b)工程(a)で形成され、かつ該FFAの共役塩基陰イオンとして含まない塩生成物を得る工程;および(c)陰イオン交換工程を該塩生成物に実施し、所望の塩基性陰イオンを含む塩基性イオン液体を得る工程;を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。

請求項29

工程(i)で形成されて処理済みグリセリド油から単離された遊離脂肪酸の1種以上の中和塩から、重炭酸コリンを再生プロセスにおいて形成することをさらに含み、再生が(a)遊離脂肪酸のコリン塩炭酸と接触させる工程;および(b)その反応混合液から重炭酸コリンを得る工程;を含む、請求項14に記載の方法。

請求項30

工程(i)で形成されて処理済みグリセリド油から単離された遊離脂肪酸の1種以上の中和塩から、水酸化コリンを再生プロセスを経て形成することをさらに含み、再生が(a)遊離脂肪酸のコリン塩の水素化を、適切な触媒の存在下で実施する工程;(b)該水素化工程(a)で形成された水酸化コリンを分離する工程;を含む、請求項14に記載の方法。

請求項31

前記遊離脂肪酸のコリン塩がステアリン酸コリンである、請求項29または30に記載の方法。

請求項32

前記方法の工程(i)のグリセリド油が植物油である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。

請求項33

前記植物油が、ココナッツ油コーン油綿実油落花生油オリーブ油パーム油菜種油米糠油サフラワー油大豆油およびヒマワリ油、またはそれらの混合物から選択される、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記植物油がパーム油、好ましくはパーム原油である、請求項33に記載の方法。

請求項35

コリンベースの中和塩を0.1〜25重量%含む、請求項14の方法により得られた処理済みグリセリド油。

請求項36

セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される陰イオンを、0.1〜25重量%含む、請求項8の方法により得られた処理済みグリセリド油。

請求項37

前記処理済みグリセリド油が処理済み植物油である、請求項35または36に記載の処理済みグリセリド油。

請求項38

前記処理済み植物油が、ココナッツ油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米糠油、サフラワー油、大豆油およびヒマワリ油、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項37に記載の処理済みグリセリド油。

請求項39

前記処理済み植物油が処理済みパーム油である、請求項38に記載の処理済みグリセリド油。

請求項40

2重量%未満の遊離脂肪酸(FFA)を含有する処理済みグリセリド油に、水酸化物イオン、アルコキシド、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、および-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する塩基性イオン液体を添加することを含む、処理済みグリセリド油の貯蔵安定性を向上させる方法。

請求項41

前記処理済みグリセリド油が0.5重量%未満のFFAを含有する、請求項40に記載の方法。

請求項42

前記塩基性陰イオンが請求項3〜11のいずれか一項で定義された通りである、請求項40または41に記載の方法。

請求項43

前記陽イオンが請求項12〜14のいずれか一項で定義された通りである、請求項40〜41に記載の方法。

請求項44

前記塩基性イオン液体がコリンリシネートである、請求項40または41に記載の方法。

請求項45

塩基性陰イオン交換樹脂を前記処理済みグリセリド油に添加することをさらに含む、請求項40〜44のいずれか一項に記載の方法。

請求項46

前記塩基性陰イオン交換樹脂がスチレンジビニルベンゼン共重合体を含む、請求項45に記載の方法。

請求項47

前記処理済みグリセリド油が処理済み植物油である、請求項40〜46のいずれか一項に記載の方法。

請求項48

前記処理済み植物油が、ココナッツ油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米糠油、サフラワー油、大豆油およびヒマワリ油、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記処理済み植物油が処理済みパーム油である、請求項48に記載の方法。

請求項50

2重量%未満の遊離脂肪酸(FFA)、好ましくは0.5重量%未満のFFAを含有する処理済みグリセリド油と、水酸化物イオン、アルコキシド、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、および-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する塩基性イオン液体とを含む、グリセリド油組成物

請求項51

前記塩基性陰イオンが請求項3〜11のいずれか一項で定義される通りである、請求項50に記載の組成物

請求項52

前記陽イオンが請求項12〜14のいずれか一項で定義される通りである、請求項50または51に記載の組成物。

請求項53

前記塩基性イオン液体がコリンリシネートである、請求項50に記載の組成物。

請求項54

塩基性陰イオン交換樹脂をさらに含む、請求項50〜53のいずれか一項に記載の組成物。

請求項55

前記塩基性陰イオン交換樹脂がスチレンジビニルベンゼン共重合体を含む、請求項54に記載の組成物。

請求項56

0.1〜25重量%の塩基性イオン液体を含む、請求項50〜55のいずれか一項に記載の組成物。

請求項57

前記処理済みグリセリド油が処理済み植物油から選択される、請求項50〜56のいずれか一項に記載の組成物。

請求項58

前記処理済み植物油が、ココナッツ油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米糠油、サフラワー油、大豆油およびヒマワリ油、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項57に記載の処理済みグリセリド油。

請求項59

前記処理済み植物油が処理済みパーム油である、請求項58に記載の処理済みグリセリド油。

技術分野

0001

本発明は、グリセリド油、特にパーム油からの遊離脂肪酸除去方法に関する。特に、本発明は、グリセリド油、好ましくはパーム油に含有される遊離脂肪酸を除去するために特定のイオン液体を利用し、低減した遊離脂肪酸含有量を有するグリセリド油を得られるようにする方法を対象とする。本発明はまた、保管された油中の遊離脂肪酸の蓄積を防止する特定のイオン液体を含む処理済みグリセリド油組成物、好ましくは処理済みパーム油組成物に関する。

背景技術

0002

ヒトまたは動物飲食のために、またはその他の家庭用および商業用途のために、天然供給源から抽出され得る多くのグリセリド油がある。そのようなグリセリド油は、例えば、植物油海生油、および動物性油脂を含む。典型的には、グリセリド油はその使用前に精製を受けることが必要であり、それは特定の油および抽出後のコンタミネーション関連レベル性質に応じて変えることができる。

0003

パーム油は、主にアブラヤシ果実由来する植物油であり、パルミチン酸およびオレイン酸を含み、グリセロールエステル化されている多くの脂肪酸からなる。パーム油は多くの用途を有しており、一般的に調理または食品添加物としての使用を伴い、一方、化粧品および洗浄製品における使用も見出されている。パーム原油ビタミンEを含有することが知られており、そしてプロビタミンA活動に伴うカロチンの最も豊かな自然の植物源の1つであり、そして抗酸化剤のもととして使用されるパーム油と見なされている。

0004

パーム油は多量の高飽和脂肪を含有し、高い酸化安定性を有し、そしてコレステロールが自然に低く、そしてその費用の低さもあって、食品産業において特定の加工食品中トランス不飽和脂肪酸の代わりにますます使用されている。その他のグリセリド油と同様に、食用とするために、パーム原油は望ましくない成分を除去する精製プロセスを受けなければならない。パーム原油は、モノ-、ジ-およびトリ-グリセリド、カロチン、ステロール、ならびにグリセロールで全くエステル化されていない遊離脂肪酸(FFA)を含む。FFAは油の劣化および酸敗の増加につながり、そのため、前記精製プロセスがパーム原油から除去しようとする多くの成分のうちの1つである。前記精製プロセスは、実質的にパーム油からFFAを除去することができるが、精製パーム油長期保存は、油の酸化および加水分解不安定性の結果として、FFAの補充レベルをもたらすことが知られている。

0005

精製プロセスにおいて、パーム原油は、典型的には、FFAを除去する脱酸処理を受ける前に、リン酸および/またはクエン酸脱ガム前処理を受けて不純物やその他の不要な物質を除去する。多くの場合、精製はまた、精製パーム油が流通に適するとみなされる前に、漂白(例えば漂白土で)および脱臭工程を含む。脱酸プロセスは、精製パーム油の製造にかなりの経済的影響を有することが知られており、そしてさまざまな異なる化学的および物理脱酸方法が過去に利用されてきた。

0006

化学的方法には、FFAを油から分離するための水酸化ナトリウムなどのアルカリでのパーム原油の処理が挙げられる。しかし、化学的処理は、モノ-およびジ-グリセリドの割合を増加させる油中グリセリドのケン化、および中性油(グリセリド)の損失精製油量の低下につながる石けん相の形成につながることが知られている。植物油の水酸化ナトリウムでの化学的処理はまた、主成分の一部を除去することが知られており、これはそれらの酸化安定性が原因である。

0007

非特許文献1において、水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムを使用する代わりにシリカゲル処理を使用する、高遊離脂肪酸オリーブオイル(HFFAO)の代替脱酸プロセスが提案されている。シリカゲルは、HFFAOを中和すること、および二次酸化物質を除去することにも有効であることが報告されている。

0008

上記にもかかわらず、物理的方法は、望ましくないケン化および乳化を回避すると同時にFFAを除去するのに有効であるため、パーム原油の脱酸にとって一般的に化学的方法よりも好ましい。その結果、物理的精製方法は、特に高いFFA含有量の油の場合、化学的精製で伴う同じ収量低下に悩まされることはない。物理的精製は化学薬品を使用しない蒸留技術に主に基づいており、そして一般的に、高温真空下で飽和蒸気を油に通してパージし、これによりFFA、ならびに芳香性化合物を除去することを含む。物理的精製は化学的精製よりも多くの利点を有するが、物理的方法はエネルギーを大量に消費することが知られており、そして油を減圧下で高温にまで加熱することは、その物理化学的および官能特性に影響を与え得る副反応をもたらし得る。

0009

提案されてきた代替方法は、脱酸を行うために、FFAおよび中性油の溶解度の差異に基づいて操作する、極性溶媒での液液抽出技術を含む。そのようなプロセスでは、FFAは、特定の溶媒相への選択的分配により中性油から分離される。非特許文献2は、そのような植物油の脱酸へのアプローチ概要を説明する。生物学的方法、化学的再エステル化、超臨界流体抽出および膜処理議論されており、とはいえ液液抽出法が特に注目されている。後者の技術は、室温で実施されてもよいこと、廃棄物を生成しないこと、および中性油の低い損失により利益を得るということに基づき、一般的に有利であると考えられている。しかし、メイレレスらは、脱酸のための液液抽出プロセスの実施に伴う大きな資本費用があることを認め、工業的規模で実施されれば、このプロセスの全体的な利点についての疑問が残る。このため、彼らは、液液抽出において精製油からの回収一環として溶媒蒸発させるためのエネルギー必要量と、物理的精製法において高温および高真空下での操作に伴うそれとの比較を求める。

0010

さらなる問題は、精製プロセス後に得られた、パーム油などのグリセリド油の安定性に関する。油の酸化および加水分解不安定性の結果として、精製パーム油中のFFA含有量は時間の経過とともに増加する傾向があることが知られている。FFAの増加は、精製パーム油の官能特性に経時的に悪影響を与え、最終的に悪臭となる。パーム油の貯蔵安定性欠如は、パーム油の市場価格に大きな影響を与える。より効率的に貯蔵されるように、パーム油を処理する潜在的な処理選択が多くある。これらは、酸化カルシウム酸化マグネシウムおよびドロマイト、またはハイドロタルサイトなどの、FFAが生成された時にそれを中和する塩基性酸化物の存在下での貯蔵を含む。これらの酸捕捉剤は、貯蔵中にFFAレベルが一定の閾値を超えて上昇するのを予防するのに有用であるが、金属カルボン酸塩が、油への溶解性が高い中和塩として形成されるという問題がある。それらは油の官能および/または物理化学的特性に悪影響を与える可能性があるため、望ましくない。

0011

既知方法、特に物理的精製に関連する高いエネルギー必要量を回避すると同時に、高付加価値製品を製造することが可能である、パーム油などのグリセリド油の脱酸方法の必要性が依然として存在する。FFA含有量は、少なくともある程度まである期間にわたって補充されることが知られている精製パーム油などの精製グリセリド油に関連する長期保存の問題の解決策も必要である。

0012

国際公開第2010/136783号パンフレット
国際公開第2012/069832号パンフレット
米国特許出願公開第2002/0169071号明細書
米国特許出願公開第2002/0198100号明細書
米国特許出願公開第2008/0306319号明細書
米国特許第4,959,158号明細書
米国特許第5,571,070号明細書
米国特許第5,591,340号明細書
米国特許第5,762,800号明細書
国際公開第99/12650号パンフレット
国際公開第00/29120号パンフレット

先行技術

0013

Abd El-salam et al., J Food Process Technol, 2011, S5
Meirelles et al., Recent Patents on Engineering 2007, 1 , 95-102
S.-I.lshiguro et al., Pure Appl. Chem., Vol. 82, No.10, pp 1927 to 1941 , 2010
Manic, M. S. et al.,AIChE Journal, May 201 1 , Vol. 57, No.5, pages 1344 to 1355

0014

本発明の一態様は、塩基性陰イオンを含有する特異的に選択された塩基性イオン液体が、化学的精製プロセスの一環として、グリセリド油、好ましくはパーム油の脱酸に有利に利用することができるという驚くべき発見に基づいている。本発明のさらなる態様は、塩基性陰イオンを含有する特異的に選択された塩基性イオン液体が、精製グリセリド油、好ましくは、精製パーム油の貯蔵安定性を向上させるために有利に利用することができるという驚くべき発見に基づいている。

0015

本明細書で用いられる用語「イオン液体」は、塩を溶融することによって製造されることが可能であり、そしてそのように製造された場合、イオンだけで構成されている液体を意味する。イオン液体は、一種類の陽イオンおよび一種類の陰イオンを含む均質な物質から形成することができ、または複数種類の陽イオンおよび/もしくは複数種類の陰イオンで構成することができる。したがって、イオン液体は、複数種類の陽イオンおよび一種類の陰イオンで構成されてもよい。イオン液体は、さらに、一種類の陽イオンおよび複数種類の陰イオンから構成されてもよい。さらに、イオン液体は、複数種類の陽イオンおよび複数種類の陰イオンから構成されてもよい。

0016

用語「イオン液体」は、高い融点を有する化合物と、例えば室温以下などの低い融点を有する化合物との両方を含む。したがって、多くのイオン液体は、200℃未満、好ましくは150℃未満、特に100℃未満、およそ室温(15〜30℃)、または0℃未満の融点を有する。約30℃未満の融点を有するイオン液体は、一般に、「室温イオン液体」と呼ばれる。室温イオン液体では、陽イオンおよび陰イオンの構造は規則的な結晶構造の形成を防止するため、塩は室温で液体である。

0017

イオン液体は、それらの無視できる程度の蒸気圧温度安定性低燃焼性およびリサイクル可能性のために環境に優しいという理由で、溶媒として最も広く知られている。利用可能な陰イオン/陽イオンの組み合わせの数が膨大なため、イオン液体の物理的特性(例えば融点、密度、粘度、および水または有機溶媒との混和性)を、特定の用途の要件に合うように微調整することが可能である。

0018

イオン液体はしたがって、それらの有利な特性のために、様々な有機化合物高分子合成用の溶媒として過去に利用されてきた。溶媒として使用される場合にイオン液体が果たしうる異なる役割について推測する多くの報告がなされている。非特許文献3は、イオン液体が溶媒として働くとみなすことができる反応において、溶質溶媒相互作用、または溶質イオンもしくは分子溶媒和が果たす重要な役割を報告している。溶媒粒子が反応の際に、移行されてバルク液体構造に収まる前に遊離され得る溶液中での反応で、そのような溶媒の液体構造が果たす重要な役割に重点が置かれる。

0019

S.-I.イシグロらは、イオン液体の液体構造は、分子溶媒とは異なり不均一であることを示しており、これは特定の溶媒特性、ならびにイオン液体における特定の溶質反応性をもたらし得る。しかし彼らは、イオン液体の酸塩基特性は、例えば、特に通常の分子性液体との比較において、溶液化学の観点から十分に確立されていないことを認めている。そのため、イオン液体が特定の溶液ベースの反応において果たし得る役割を予測することは困難である。

0020

イオン液体の現在の一般的ではない使用は、種が選択的にイオン液体相に分配され得る抽出プロセスである。そのような適用は、従来の溶媒に関して本明細書で論じた液液抽出法に似ている。一例として、イオン液体は、過去に、特許文献1および特許文献2に報告されたように、原油からのナフテン酸、または液化石油ガスガソリンナフサ灯油ディーゼル燃料燃料油潤滑油、およびパラフィンワックス、もしくはそれらの混合物から選択される原油蒸留物の分離に使用されてきた。これらの分離は、液液抽出の形態に応じたナフテン酸のイオン液体相中への選択的分配に基づいて動作する。

0021

非特許文献4も、特に液液抽出によるリノール酸大豆油からの分離のための2つのイオン液体、すなわちココスアルキルペンタエトキシメチルアンモニウムメチルスルファート(AMMOENG100)および1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(bmimDCA)の使用を報告する。AMMOENG100およびbmimDCAは、大豆油との低混和性およびリノール酸との完全混和性に基づき、この目的のために選択された。

0022

上記2つのイオン液体のうち、AMMOENG100は、リノール酸のイオン液体相への有意に良好な分離をもたらすことが見出された。著者らは、これは、AMMOENG100のココスアルキル鎖による、このイオン液体とリノール酸との高い親和性に起因することを提案している。ココスアルキル鎖は、約50重量%のラウリン酸のアルキル鎖を有するいくつかの脂肪酸鎖の混合物である。AMMOENG100とリノール酸との親和性は、前者が脂肪酸から誘導されるためであることも提案されている。対照的に、BmimDCAの陽イオンは、ココスアルキル鎖を包含しない芳香族の1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム基に相当し、そのためAMMOENG100の陽イオンと実質的に異なる構造を有する。

0023

本発明の方法で使用されるイオン液体は、脂肪酸および芳香族のいずれからも本質的に誘導されていない単純なアンモニウム陽イオンに基づく。また、本発明の方法で使用されるイオン液体は、塩基性陰イオンを包含する。これらの陰イオンは、得られるイオン液体に特定の融点を与える能力のために選択された単なる傍観陰イオンではない。本発明に関連して使用されるイオン液体の一部を形成する陰イオンの塩基性は、遊離脂肪酸をグリセリド油から除去する能力に寄与すると考えられる。

0024

イオン液体を液液抽出法で使用するよりも、本発明の方法は、特定の特異的に選択された塩基性イオン液体を、パーム油などのグリセリド油中に含有される遊離脂肪酸(FFA)での酸塩基型反応において利用する。本発明の方法は、パーム油などのグリセリド油の新しい形態の化学的精製に相当し、FAAの共役塩基、および水またはアルコールを含む、中和塩を形成する塩基性イオン液体のFFAとの反応を伴なう(塩基性イオン液体の塩基性陰イオンの性質に依存する)。

0025

有利なことに、本発明の方法は、特に既知従来技術プロセスと比較して、温度および圧力の穏やかな条件下で実施することができ、そしてパーム油などのグリセリド油からのFFAの効果的な除去を可能にし、高品質の処理済み油を得る。塩基性イオン液体および遊離脂肪酸の反応に由来する中和塩は、それ自体イオン液体である。したがって、本発明の方法は、塩基性イオン液体のFFAとの反応を伴い、FFAの共役塩基を含むさらなるイオン液体のその場での形成をもたらす。

0026

本発明の塩基性イオン液体およびFAAの反応から形成された中和塩(FAAの共役塩基を含むイオン液体)は、非毒性である。このため、油を商業的使用に合わせるために、徹底的な処理を行い、処理済み油から全ての痕跡を完全に除去する必要がない。これは、有害物質が使用されるかまたは脱酸時に形成され、そのため処理済み油の精製がその後必要となる代替プロセスと比較して、処理済みパーム油などの処理済みグリセリド油の収率を増加させることができるという点で有利である。

0027

いくつかの実施形態において、塩基性イオン液体のFFAとの反応から誘導された中和塩は、グリセリド油から回収される。その場合、必要であれば、塩基性イオン液体を、脱酸段階再循環させるために、再生プロセスにより中和塩から再生することができる。

0028

いくつかの実施形態において、本発明の方法は、高価値の副生成物を生成することがあり、それはパーム油などのグリセリド油の脱酸の多大な費用を相殺する追加的な収入源に相当し得る。例えば、本発明の方法により得られたFFAの中和塩は、それ自体が商業的価値のある副生成物であり得る。具体的には、ステアリン酸の中和塩は、本発明の方法の特に望ましい潜在的副生成物である。

0029

本発明の第一の態様によれば、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去する方法が提供され、前記方法は、
(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、水酸化物イオンアルコキシドアルキルカーボネート炭酸水素イオンセリナート、プロリナートヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオンを有する;ならびに
(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程を含む。

0030

本発明の実施形態において、本方法は、工程(i)で形成された遊離脂肪酸の中和塩および/または任意の残留塩基性イオン液体を、処理済みグリセリド油から分離することさらに含む。

0031

本明細書で使用される「塩基性」という用語は、酸と反応して(中和して)塩を形成する能力を有するブレンステッド塩基を意味する。塩基のpH領域は、水に溶解または懸濁した場合、7.0〜14.0である。

0032

本明細書で使用される用語「グリセリド油」は、その主成分としてグリセリド(モノ-、ジ-および/またはトリ-グリセリド)を含む油脂を意味する。好ましくは、グリセリド油は、少なくとも部分的に天然の供給源から得られ(例えば、植物、動物または甲殻類源)、そして好ましくは食用である。グリセリド油には、植物油、海生油および動物油脂肪が挙げられる。

0033

植物油には、全ての植物、ナッツおよび種子油が挙げられる。本発明において使用され得る適切な植物油の例としては、アサイー油、アーモンド油、ブナ油、カシュー油ココナッツ油菜種油コーン油綿実油グレープフルーツ種子油ブドウ種子油ヘーゼルナッツ油大麻油、レモン油マカダミア油、カラシ油オリーブ油オレンジ油、パーム油、落花生油ピーカン油、の実油、ピスチオ油、ケシ油、菜種油、米糠油サフラワー油ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油クルミ油および小麦胚芽油が挙げられる。好ましい植物油は、ココナッツ油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米糠油、サフラワー油、大豆油およびヒマワリ油から選択されるものである。最も好ましくは、植物油はパーム油である。

0034

適当な海生油には、脂っこい魚や甲殻類(例えばオキアミ)の組織由来の油が挙げられる。適切な動物油/脂肪の例には、の脂肪(ラード)、鴨の脂肪、ガチョウの脂肪、牛脂油、およびバターが挙げられる。

0035

本発明のグリセリド油中に存在し得る遊離脂肪酸には、一価飽和多価不飽和および飽和遊離脂肪酸が挙げられる。

0036

不飽和遊離脂肪酸の例には、ミリストレイン酸パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸アラキドン酸エイコサペンタエン酸エルカ酸およびドコサヘキサエン酸が挙げられる。飽和遊離脂肪酸の例には、カプリル酸カプリン酸ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸ヘンイコシル酸、ベヘン酸リグノセリン酸およびセロチン酸が挙げられる。

0037

好ましくは、本発明において使用されるグリセリド油は植物油である。より好ましくは、グリセリド油は、ココナッツ油、コーン油、綿実油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米糠油、サフラワー油、大豆油およびひまわり油から選択される植物油である。最も好ましくは、植物油はパーム油である。

0038

本明細書で使用される用語「パーム油」は、ヤシ科の属の一部分を形成し、そしてアブラヤシ(アフリカアブラヤシ)およびアブラヤシオライフェラ(アメリカアブラヤシ)の種、またはそれらの交配種を含むアブラヤシ属の木から、少なくとも部分的に誘導される油を含む。最も好ましくは、本発明に従って使用されるグリセリド油はパーム油である。したがって、パーム油は、グリセリド油を参照する本発明の全ての態様および全ての実施形態に従って使用することができる。パーム原油は、アブラヤシの繊維状中果皮およびに由来し得る。パーム原油中に存在し得る遊離脂肪酸の例には、パルミチン酸(C16)、オレイン酸(C18)、ステアリン酸(C18)、ミリスチン酸(C14)およびリノール酸(C18)が挙げられる。パームオレイン(液体)およびパームステアリン固体)留分を分離するために、一般的に冷却、結晶化および膜分離を含む分別方法によりパーム油は分別され得る。再分別パーム油オレインおよびパーム油ステアリンは、ジ飽和トリグリセリドの含有量が高いパーム中融点分別脂を提供することができる。

0039

油から除去されるべきFFAがかなりの量存在するという条件で、またはFFAが後に本明細書に記載される本発明のいくつかの態様に従って形成され、そしてその場で中和され得る場合、本発明の方法は原油または精製済みのいずれかのパーム油で使用されてもよい。パーム油に関して本明細書中で使用される用語「原油」は、特にそれから遊離脂肪酸を除去するための精製を受けていない、すなわち脱酸プロセスを経ていないパーム油を意味するものとする。本明細書においてパーム油を参照する場合にパーム原油を使用することが好ましく、本発明の脱酸方法の結果として得られる油の文脈における処理済みパーム油または以下に記載される本発明の一態様に従って改善された貯蔵安定性を有する処理済み油を特に参照する場合は別とする。

0040

有利なことに、本発明の方法は、いくつかの従来技術の方法のように、脱酸が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いて実施された場合に一般的な副反応であるグリセリドのケン化をもたらす従来経路を回避する。その上、遊離脂肪酸のカルボン酸ナトリウムまたはカリウム中和塩とは対照的に、上述の塩基性イオン液体での脱酸により形成されたカルボン酸アンモニウム中和塩は、より著しく水溶性である。これは、塩基性イオン液体の溶媒として使用され得る水相に分配することにより、精製されたパーム油を中和塩から分離する後続工程において有利であり得る。

0041

本発明の実施形態において、塩基性陰イオンは、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、水酸化物イオンおよびアルコキシド;好ましくは、炭酸水素イオンおよびアルキルカーボネート;より好ましくは、炭酸水素イオンから選択される。

0042

塩基性陰イオンがアルコキシドまたはアルキルカーボネートから選択される場合、アルキル基は、直鎖状または分枝状であってもよく、そして置換または非置換であってもよい。好ましい一実施形態において、アルキル基は非置換である。別の好ましい実施形態において、アルキル基は非分枝状である。より好ましい実施形態において、アルキル基は非置換および非分岐状である。

0043

アルキル基は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでいてもよい。したがって、アルキル基は、メチルエチルプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルヘプチルオクチル、ノニルおよび/またはデシルから選択され得る。イソ-プロピル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよび/またはtert-ブチルなどの分岐アルキル基も使用され得ることが理解されるであろう。特に好ましいのは、メチル、エチル、プロピルおよびブチルである。さらに好ましい実施形態において、アルキル基はメチルおよびエチルから選択される。

0044

本発明の実施形態において、塩基性陰イオンは、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される。

0045

本発明の好ましい実施形態において、塩基性陰イオンは、セリナート、リシネート、プロリナート、タウリナートおよびトレオニナートから、より好ましくはリシネート、プロリナートおよびセリナートから選択され、最も好ましくは、塩基性陰イオンはリシネートである。

0046

好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2、C4およびC6アルキルを含むC1〜C8アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの1つ以上が、上述のように、1〜3個の基で任意に置換されていてもよい。

0047

より好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2およびC4アルキルを含むC1〜C4アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの少なくとも1つが、1個の-OH基で置換されている。

0048

最も好ましくは、陽イオンはコリン



である。

0049

本発明の方法から直接得られた、パーム油などのグリセリド油を食用に適するようにするためには、FFAの中和に用いられる塩基性イオン液体、ならびにその酸−塩基反応から形成される塩は、ほとんどまたは全く毒性がないであろうことが理解されるであろう。コリン陽イオンを含む塩基性イオン液体は、本発明の方法での使用に特に適している。コリンは、アセチルコリンの前駆体であるビタミンB群の一種とされる水溶性の必須栄養素であり、多くの生理学的機能関与する。コリンは特に低い毒性および優れた生分解性を有しているため、本発明の方法において特に有用であるイオン液体を形成することができる天然成分とされる。

0050

したがって、本発明の好ましい実施形態において、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去する非毒性方法が提供され、前記方法は
(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、水酸化物イオン、アルコキシド、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;およびコリン陽イオン:



を有する;ならびに
(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程を含む。

0051

より好ましくは、塩基性イオン液体は、
重炭酸コリン:



またはコリンアルキルカーボネート:



から選択され、ここで、アルキル(Alkyl)基は、前述したようにアルキル基である。

0052

さらにより好ましくは、塩基性イオン液体は
重炭酸コリン:



である。

0053

セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオンを含む塩基性イオン液体も、これらアミノ酸誘導体の特に低い毒性により、本発明の方法に特に適している。

0054

したがって、本発明のさらに好ましい実施形態において、
(i)遊離脂肪酸を含有するグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させる工程;ここで該塩基性イオン液体は、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
(式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオンを有する;ならびに
(ii)工程(i)で供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る工程を含む、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去する非毒性方法が提供される。

0055

より好ましくは、塩基性陰イオンは、セリナート、リシネート、プロリナート、タウリナートおよびトレオニナートから、さらにより好ましくはリシネート、プロリナートおよびセリナートから選択され、さらにより好ましくは、塩基性陰イオンはリシネートである。

0056

より好ましくは、陽イオンは、
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2、C4およびC6アルキルを含むC1〜C8アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの1つ以上が、上述のように、1〜3個の基で任意に置換されていてもよい。

0057

さらにより好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2およびC4アルキルを含むC1〜C4アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの少なくとも1つが、1個の-OH基で置換されている。

0058

さらにより好ましくは、陽イオンはコリン:



である。

0059

上述の非毒性方法において、本方法は、工程(i)で形成された遊離脂肪酸の中和塩および/または任意の残留塩基性イオン液体を、処理済みグリセリド油から分離する工程をさらに含み得ることが理解されるであろう。

0060

本発明の上記実施形態において形成されたコリンベースの中和塩および/またはアミノ酸誘導体は低毒性であるため、処理済み油にさらなる処理を行い、中和塩の全ての痕跡を完全に除去する必要がない。さらに、上述の非毒性の実施形態において有用なコリンおよび/またはアミノ酸ベースの塩基性イオン液体の少ない含有量は、処理済みグリセリド油の栄養価を改善するのに望ましい場合がある。例えば、前述したようなコリン陽イオンおよび/またはアミノ酸陰イオンを含む塩基性イオン液体の存在は、グリセリド油の栄養価を増加させるのに特に有益であり得る。

0061

したがって、さらなる態様において、本発明は、非毒性方法により上記のようにコリン陽イオンを含む塩基性イオン液体を用いて得られる処理済みグリセリド油組成物、好ましくは処理済みパーム油組成物を提供し、該組成物は、コリンベースの中和塩を0.1〜25重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、そして最も好ましくは、コリンベースの中和塩を0.1〜2重量%含む。

0062

あるいはおよび/またはさらに、本発明は、非毒性方法により上記のようにセリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される陰イオンを含む塩基性イオンを用いて得られる処理済みグリセリド油組成物、好ましくは処理済みパーム油組成物を提供し、該組成物は、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選ばれる陰イオンを0.1〜25重量%含む、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、最も好ましくは、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選ばれる陰イオンを0.1〜2重量%含む。

0063

特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、ステアリン酸を含むグリセリド油、好ましくはパーム油を、前述のようにコリン陽イオンを含む塩基性イオン液体と接触させることを含み、好ましくは塩基性イオン液体が重炭酸コリンまたはコリンアルキルカーボネートであり、ステアリン酸コリンを形成し(以下のスキームIに示されるように)、供給されたグリセリド油に比べて低減した遊離脂肪酸含有量を有する処理済みグリセリド油を得る。好ましくは、ステアリン酸コリンは、本方法の高価値の副生成物として単離される。前述したように、本発明によるFFAの塩基性イオン液体との反応後に形成される中和塩は、それ自体がFAAの共役塩基を含むイオン液体である(以下のスキームIから明らかなように)。
(スキームI)



ここで、RはHまたは前述で定義したアルキル基である。

0064

塩基性イオン液体およびグリセリド油は、質量比1:25で、および1:50で、および1:75でも接触させることができる。

0065

塩基性イオン液体は、担持されているまたは担持されていない形態のいずれかにおいて、本発明の方法で利用することができる。本発明での使用に適した担体は、シリカアルミナ、アルミナシリカ、炭素活性炭またはゼオライトから選択することができる。好ましくは、担体はシリカである。

0066

担体物質上にイオン液体を担持する方法は、例えば特許文献3、特許文献4および特許文献5においてなど、当技術分野でよく知られている。典型的には、塩基性イオン液体は、担体材料上に物理吸着または化学吸着し、好ましくは物理吸着する。

0067

本発明の方法において、塩基性イオン液体は、10:1〜1:10の塩基性イオン液体:担体質量比で、好ましくは1:2〜2:1の塩基性イオン液体:担体質量比で担体上に吸着されることができる。

0068

塩基性イオン液体が担持されていない場合、それは好ましくは油と混和しない。油と混和しないことは、塩基性イオン液体は、処理済みグリセリド油相に50ppm未満、好ましくは30ppm未満、より好ましくは20ppm未満、最も好ましくは10ppm未満、例えば5ppm未満の濃度で可溶であることを意味する。したがって、塩基性イオン液体の溶解度は、塩基性イオン液体が油または脂肪と混和しないように調整される。

0069

塩基性イオン液体の溶解度はまた、塩基性イオン液体が水に不溶または可溶のいずれかであるように調整されてもよい。水に不溶であることは、塩基性イオン液体が50ppm未満、好ましくは30ppm未満、より好ましくは20ppm未満、最も好ましくは10ppm未満、例えば5ppm未満の水溶解度を有することを意味する。塩基性イオン液体が担持されていない場合は、好ましくは水と混和する。

0070

必要であれば、酸−塩基反応を、塩基性イオン液体およびグリセリド油と混合可能である溶媒の存在下で行ってもよい。イオン液体の粘度を改変することが望まれる場合、溶媒の使用が適切であり得る。あるいは、溶媒の使用は、塩基性イオン液体とFFAとの酸塩基反応を促進するのに特に適している、溶液ベースの反応の液体構造に望ましい特性を付与し得る。この目的のための適切な溶媒には、水、またはアルコール、例えばメタノールまたはエタノールなどの極性溶媒が挙げられる。

0071

本発明の一実施形態において、溶媒は、反応混合物の総重量に基づき、10重量%未満の量で存在する。本発明のさらなる実施形態において、溶媒は、反応混合物の総重量に基づき、5重量%未満の量で、例えば2重量%未満の量で存在する。別の実施形態において、溶媒は、反応混合物の総重量に基づき、1重量%未満の量で存在する。

0072

代替実施形態において、塩基性イオン液体は水に可溶であり、そして工程(i)において、水溶液の形態で、グリセリド油、好ましくはパーム油と接触される。好ましくは、水溶液中の塩基性イオン液体の濃度は75〜85w/w%、より好ましくは80w/w%である。

0073

適切には、本発明の方法の接触工程(i)は、周囲温度〜150℃、好ましくは周囲温度〜100℃、より好ましくは周囲温度〜50℃、例えば40℃の温度で実施される。理解されるように、グリセリド油が室温で固体である場合、グリセリド油が工程(i)での接触において液体形態となるよう、より高い温度が好ましい。適切には、接触工程(i)は、0.1MPaの絶対圧〜10MPaの絶対圧(1バール絶対圧〜100バール絶対圧)で実施される。

0074

イオン液体が担持されていない場合、工程(i)は、容器内でグリセリド油を塩基性イオン液体と接触させることにより実施されてもよく、ここで得られた混合物は、例えば、機械的攪拌機、超音波攪拌器電磁攪拌を用いて、または不活性ガスを混合物に通してバブリングすることにより攪拌される。適当には、塩基性イオン液体およびグリセリド油を、抽出工程において1:40〜1:300より大きい体積比で接触させてもよく、そして質量比1:50、好ましくは1:100で接触させてもよい。混合工程は、1分〜60分、好ましくは2〜30分、より好ましくは5〜20分、そして最も好ましくは8〜15分間持続することができる。

0075

本発明の方法においては、接触工程(i)で用いられる塩基性イオン液体の量は、モル換算でグリセリド油に含まれるFFAと少なくとも同等であることが好ましいことが理解されるであろう。グリセリド油中のFFA含有量は、したがって、当業者が認識している一般的な滴定技術を使用して、塩基性イオン液体での処理の前に決定することができる。例えば、フェノールフタレイン指示薬を使用する水酸化ナトリウムでの滴定が、グリセリド油のFFA含有量を決定するために使用され得る。

0076

担持されていない塩基性イオン液体では、工程(ii)を重力分離により(例えば、沈降部において)実施してもよく、その場合パーム油などの処理済みグリセリド油は一般に上相であり、そして水またはアルコール(酸塩基反応の考えられる副生成物)、遊離脂肪酸の塩および任意の残留塩基性イオン液体は、沈降部における下相に取り込まれている。担持されていない塩基性イオン液体が水および/またはアルコールに不溶である場合、かなりの残留塩基性イオン液体が存在するならば、処理済みグリセリド油が一般に上相であり、遊離脂肪酸の塩を含有する水および/またはアルコールが中間相であり、そしてならびに塩基性イオン液体が沈降部における下相である3相混合物がもたらされる可能性がある。相はまた、例えばデカンター、液体遠心分離機静電合体遠心分離または膜フィルタープレスを使用して、工程(ii)で分離され得る。好ましくは、相は、遠心分離により工程(ii)で分離される。工程(i)に続く工程(ii)は、グリセリド油中の遊離脂肪酸のレベルが許容値まで低減されるまで複数回、好ましくは2〜6回、例えば2〜4回繰り返されてもよい。

0077

工程(i)および(ii)は、向流反応カラム中で一緒に実施されてもよい。FFAを含有するグリセリド油(以下、「オイル供給流」)は一般に、向流反応カラムの底部またはその付近に導入され、そして塩基性イオン液体(以下、「塩基性イオン液体供給流」)は向流反応カラムの最上部またはその付近に導入される。FFA含有量が低減されたグリセリド油相(以下、「生成油流」)はカラムの最上部から、そして水および酸塩基反応から形成されたFFAの塩、ならびに任意の残留塩基性イオン液体を含有する副生成物相(以下、「副生成物流」)はその底部またはその付近から取り出される。好ましくは、向流反応カラムは、副生成物流を回収するためのサンプ部を有する。好ましくは、グリセリド油供給流は、サンプ部の真上の向流反応カラムに導入される。複数の向流反応カラム、例えば2〜6個、好ましくは2〜3個の直列に配置されたカラムを使用してもよい。好ましくは、向流反応カラムには構造化充填材、例えばガラスラシヒリング充填されており、これによりカラムを通る油および塩基性イオン液体の流路を増加させる。あるいは、向流反応カラムは、複数のトレイを含み得る。

0078

工程(i)および(ii)は、例えば、遠心接触分離機、例えば特許文献6〜特許文献11に記載されているような遠心接触分離機中で一緒に実施されてもよい。適切な遠心接触分離機には、コスナー・インダストリーズネバダ社により供給されるものが挙げられる。FAAおよび塩基性イオン液体を含有するグリセリド油を、遠心接触分離機の環状混合ゾーンに導入することができる。好ましくは、FFAおよび塩基性イオン液体を含むグリセリド油は、別の供給流として環状混合ゾーン内に導入される。FFAの少なくとも一部が塩基性イオン液体と反応するよう、グリセリド油および塩基性イオン液体は急速に環状混合ゾーン内で混合される。次いで得られた混合物は、遠心力が混合物に加えられ、油相と水性生成相の明確な分離をもたらす分離ゾーンに送られる。

0079

好ましくは、複数の遠心接触分離機は、直列に、好ましくは2〜6個、例えば2〜3個使用される。好ましくは、塩基性イオン液体供給流が列の最後の遠心接触分離機内に導入されている間に、グリセリド油供給流を列の最初の遠心接触分離機内に導入し、水およびFFAの塩の含有量が徐々に増加している塩基性イオン液体流が列の最後から最初の遠心接触分離機に移行する間に、FFA含有量が徐々に減少しているグリセリド油が列の最初から最後の遠心接触分離機に移行するようにする。このように、塩基性イオン液体/副生成物相は、最初の遠心接触分離機から除去され、減少したFFA含有量を有する処理済みグリセリド油相は、列の最後の遠心接触分離機から除去される。

0080

工程(ii)から得られ、減少したFFA含有量を有する処理済みグリセリド油相(生成油流)は、直接使用されてもよく、または、例えば分別蒸留によりさらに処理されてもよい。必要に応じて、処理済みグリセリド油中に存在する担持されていない任意の残留塩基性イオン液体は、残留塩基性イオン液体がシリカカラムに吸着されるよう、生成油流をシリカカラムに通すことにより回収することができる。吸着された塩基性イオン液体は、次いで、塩基性イオン液体用の溶媒を使用してシリカカラムから洗浄除去することができ、そして塩基性イオン液体は減圧下で溶媒を除去することにより回収することができる。

0081

担持されている塩基性イオン液体では、接触工程(i)および分離工程(ii)はまた、担持されている塩基性イオン液体で充填したカラム(すなわち、充填層配置)に油を通すことにより、一緒に実施されてもよい。したがって、FAAを含有するグリセリド油を、担持されている塩基性イオン液体を含むカラムに通してもよい。FFAは塩基性イオン液体と反応し、減少したFFA含有量を有する理済みグリセリド油はカラムから除去される。加えて、または代替的に、複数のプレートおよび/またはトレイを有する固定層配置が使用されてもよい。

0082

本発明の方法は、酸塩基反応から得られたFAAの中和塩から、再利用目的で塩基性イオン液体を再生する工程をさらに含んでもよい。

0083

再生プロセスは、好ましくは
(a)FFAの塩を、FFAの塩が形成されたFFAより低いpKaを有する酸と接触させる工程;および
(b)工程(a)で形成され、かつFFAの共役塩基を陰イオンとして含まない塩生成物を得る工程
を含む。

0084

再生プロセスは、
(c)陰イオン交換工程を塩生成物に実施し、所望の塩基性陰イオンを含む塩基性イオン液体を得る工程
をさらに含み得る。

0085

一実施形態において、再生プロセスは、
(a)FFAの塩を、FFAの塩が形成されたFFAより低いpKaを有する酸と接触させる工程;
(b)工程(a)で形成され、かつFFAの共役塩基を陰イオンとして含まない塩生成物を得る工程;および
(c)陰イオン交換工程を塩生成物に実施し、所望の塩基性陰イオンを含む塩基性イオン液体を得る工程
を含む。

0086

好ましくは、酸のpKaは4.25未満である。

0087

再生プロセスで使用するのに適した酸は、上記のpKaの要件を満たすものである。酸には、したがって、例えば塩酸および硫酸などの鉱物酸が挙げられる。酸には、例えばカルボン酸などの有機酸も挙げられる。

0088

上記プロセスは、担持されているおよび担持されていないイオン液体の両方に適していることが理解されるであろう。

0089

好ましい実施形態において、再生プロセスは、重炭酸コリンである塩基性イオン液体を遊離脂肪酸のコリン塩から形成することを含み、
(a)遊離脂肪酸のコリン塩を炭酸と接触させる工程;および
(b)反応混合液から重炭酸コリンを得る工程
を含む。

0090

好ましくは、工程(a)は、遊離脂肪酸のコリン塩を含む水溶液をCO2に接触させることにより実施される(例えば、CO2を水溶液に通してバブリングすることにより)。好ましくは、遊離脂肪酸のコリン塩はステアリン酸コリンである。

0091

好ましくは、工程(b)は、工程(a)の混合液を、重炭酸コリンと混和する溶媒に接触させること、および溶媒を重炭酸コリンから分離することにより実施される。

0092

代替実施形態において、再生プロセスは、水酸化コリンである塩基性イオン液体を遊離脂肪酸のコリン塩から形成することを含み、
(a)遊離脂肪酸のコリン塩の水素化を、適切な触媒の存在下で実施する工程;および
(b)水素化工程(a)で形成された水酸化コリンを分離する工程
を含む。

0093

本実施形態において、工程(a)は、好ましくはメタノール溶媒の存在下で実施される。メタノールを溶媒として使用する場合、脂肪酸メチルエステル(FAME)は工程(a)の副生成物として形成される。FAMEは既知のバイオディーゼル成分であり、したがって再利用のための塩基性イオン液体の再生から得られる潜在的な収入源に相当し得るため、これは有利となり得る。

0094

好ましくは、水素化工程(a)はPt/TiO2触媒の存在下で実施される。好ましくは、遊離脂肪酸のコリン塩はステアリン酸コリンであり、そしてステアリン酸メチルが副生成物として形成されるよう、水素化はメタノールの存在下で実施される。

0095

本発明の方法によれば、処理済みグリセリド油は、遊離脂肪酸含有量の実質的に全てをそれから除去されて得られてもよい。「実質的に全て」とは、2重量%未満の遊離脂肪酸を有するグリセリド油、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、そして最も好ましくは0.5重量%未満の遊離脂肪酸を有するグリセリド油を意味する。

0096

本発明の別の態様において、前述の方法により遊離脂肪酸をグリセリド油から除去することを含む、食品グレードの処理済みグリセリド油、好ましくは食品グレードの処理済みパーム油を、遊離脂肪酸を含有するグリセリド油から調製する方法が提供される。「食品グレード」とは、2重量%未満の遊離脂肪酸を含有する処理済みグリセリド油、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、そして最も好ましくは0.5重量%未満の遊離脂肪酸を含有する処理済みグリセリド油を意味する。

0097

さらなる態様において、本発明はまた、2重量%未満の遊離脂肪酸を含有する、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、そして最も好ましくは0.5重量%未満の遊離脂肪酸を含有する処理済みグリセリド油に、
水酸化物イオン、アルコキシド、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する塩基性イオン液体を添加することを含む、処理済みグリセリド油、好ましくは処理済みパーム油の貯蔵安定性を向上させる方法を提供する。

0098

好ましくは、塩基性陰イオンは、セリナート、リシネート、プロリナート、タウリナートおよびトレオニナートから、より好ましくはリシネート、プロリナートおよびセリナートから選択される。最も好ましくは、塩基性陰イオンはリシネートから選択される。

0099

好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2、C4およびC6アルキルを含むC1〜C8アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの1つ以上が、上述のように、1〜3個の基で任意に置換されていてもよい。

0100

より好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2およびC4アルキルを含むC1〜C4アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの少なくとも1つが、1個の-OH基で置換されている。

0101

最も好ましくは、陽イオンはコリン:




である。

0102

本発明の文脈において、「貯蔵安定性を向上させる」とは、油がもはや食品グレードとみなされない、すなわちFFA含有量が2重量%を上回る程度までFFAのレベルが補充される時間を延長させることを意味することを意図している。

0103

本発明の上記のさらなる態様において、時間をかけて、例えばその酸化および加水分解不安定性の結果としてグリセリド油に、好ましくはパーム油に形成されたFFAを中和する酸捕捉剤として、塩基性イオン液体成分は作用する。したがって、本発明の上記のさらなる態様によれば、一時的に貯蔵される予定の、または輸送中にあり、それにより通常油の劣化を悪化させ、FFA形成の増加につながる熱などの条件にさらされる処理済みグリセリド油、好ましくは処理済みパーム油に、塩基性イオン液体を添加してもよい。塩基性イオン液体成分、および/または任意の中和塩は、その意図された使用の前に、処理済みグリセリド油から分離されてもよい。あるいは、低い毒性およびグリセリド油の栄養価を向上させる可能性のために、グリセリド油は、塩基性イオン液体または任意の中和成分から分離されることなく使用され得る。

0104

好ましくは、塩基性イオン液体は、グリセリド油と混和しない。油と混和しないことは、塩基性イオン液体は、50ppm未満、好ましくは30ppm未満、より好ましくは20ppm未満、最も好ましくは10ppm未満、例えば5ppm未満の濃度で油に可溶であることを意味する。したがって、塩基性イオン液体の溶解度は、塩基性イオン液体が油と混和しないよう調整され得る。塩基性イオン液体が油と混和しない場合、後の油からの分離がより容易であり得る。例えば、前述したようなデカンター、液体遠心分離機、静電合体、遠心分離または膜フィルタープレスを使用する、単純な相分離技術が用いられてもよい。

0105

特に好ましい実施形態において、油の貯蔵安定性を向上させる方法は、コリンリシネートを処理済みグリセリド油、好ましくはパーム油に添加することを含む。コリンリシネートは、パーム油を含む多くの油と混和しないため、本発明のこの態様において特に有利である。

0106

本発明の上記のさらなる態様のさらに好ましい実施形態において、処理済みグリセリド油、好ましくは処理済みパーム油の貯蔵安定性を向上させる方法は、塩基性イオン液体に加えて、塩基性陰イオン交換樹脂を添加することをさらに含む。塩基性陰イオン交換樹脂は、グリセリド油に形成されたFFAを吸着し、貯蔵期間中にその含有量を低く抑えるのに役立つための能力がある。適切な塩基性陰イオン交換樹脂にはAMBERLITE商標)IRA96が挙げられ、これはロームアンドハースから入手可能な、遊離塩基イオン型スチレンジビニルベンゼン共重合体である。

0107

本発明のさらなる態様において、2重量%未満の遊離脂肪酸を含有する、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、そして最も好ましくは0.5重量%未満の遊離脂肪酸を含有する処理済みグリセリド油と、
水酸化物イオン、アルコキシド、アルキルカーボネート、炭酸水素イオン、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される塩基性陰イオン;および
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
(式中、Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素、C1〜C8、直鎖もしくは分岐アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基から選択され、該アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、またはC1〜C4アルコキシ、C2〜C8アルコキシアルコキシ、C3〜C6シクロアルキル、-OH、-SH、-CO2(C1〜C6)アルキル、-OC(0)(C1〜C6)アルキルから選択される1〜3個の基で置換されていてもよく、またはRa、Rb、RcおよびRdのうちのいずれか2つが結合して、qが3〜6であるアルキレン鎖-(CH2)q-を形成する)から選択される陽イオン;を有する塩基性イオン液体とを含む、グリセリド油組成物、好ましくはパーム油組成物が提供される。

0108

本発明の上記のさらなる態様の好ましい実施形態において、塩基性陰イオンは、セリナート、プロリナート、ヒスチジナート、トレオニナート、バリナート、アスパラギナート、タウリナートおよびリシネートから選択される。

0109

本発明の上記のさらなる態様のより好ましい実施形態において、塩基性陰イオンは、セリナート、リシネート、プロリナート、タウリナートおよびトレオニナートから選択され、本発明の上記のさらなる態様のさらにより好ましい実施形態において、塩基性陰イオンはリシネート、プロリナートおよびセリナートから選択される。

0110

本発明の上記のさらなる態様の最も好ましい実施形態において、塩基性陰イオンはリシネートである。

0111

好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2、C4およびC6アルキルを含むC1〜C8アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの1つ以上が、上述のように、1〜3個の基で任意に置換されていてもよい。

0112

より好ましくは、陽イオンは
[N(Ra)(Rb)(Rc)(Rd)]+
から選択され、
式中:Ra、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、C1、C2およびC4アルキルを含むC1〜C4アルキルから選択され、Ra、Rb、RcおよびRdのうちの少なくとも1つが、1個の-OH基で置換されている。

0113

最も好ましくは、陽イオンはコリン:



である。

0114

本発明の上記のさらなる態様の特に好ましい実施形態において、グリセリド油組成物はコリンリシネートを含む。コリンリシネートは、パーム油を含む多くの油と混和しないため、本発明のこの態様において特に有利である。

0115

本発明の上記のさらなる態様の一実施形態において、グリセリド油組成物は、0.1〜25重量%の塩基性イオン液体、好ましくは0.1〜5重量%の塩基性イオン液体、より好ましくは0.1〜3重量%の塩基性イオン液体を含み、そして最も好ましくは、組成物は0.1〜2重量%、例えば1重量%の塩基性イオン液体を含む。

0116

本発明の上記のさらなる態様のさらに好ましい実施形態において、グリセリド油組成物は、塩基性イオン液体に加えて、塩基性陰イオン交換樹脂をさらに含む。適切な塩基性陰イオン交換樹脂にはAMBERLITE(商標)IRA96が挙げられ、これはローム・アンド・ハースから入手可能な、遊離塩基性イオン型のスチレンジビニルベンゼン共重合体である。

0117

本発明の上記のさらなる態様において、塩基性イオン液体は、担持されているまたは担持されていない形態のいずれかにおいて、本発明の他の態様におけるように使用され得ることが理解されるであろう。

0118

本発明はまた、遊離脂肪酸を含むグリセリド油から、好ましくはパーム油から遊離脂肪酸を除去するための、上述のような塩基性イオン液体の使用法を提供する。

0119

本発明はまた、グリセリド油組成物、好ましくはパーム油組成物において、上述のような塩基性イオン液体の酸捕捉剤としての使用法を提供する。

0120

本発明はまた、処理済みグリセリド油、好ましくは処理済みパーム油の貯蔵安定性を向上させるための、上述のような塩基性イオン液体の使用法を提供する。

0121

上述の本発明の実施形態を、本発明のさらなる実施形態を作るために、任意の他の互換性のある実施形態と組み合わせてもよい。

図面の簡単な説明

0122

本発明を、以下の実施例により、および以下の図面を参照して説明する。
本発明の方法に従い、さまざまな温度で処理した原油およびパーム油の粘度のグラフ表示である。
60℃で異なるサンプル:処理済みパーム油(「PO」)、水で飽和した処理済みパーム油(「POH20」)、AMBERLITE(商標)IRA96を含む処理済みパーム油(「IRA96」)、モレキュラーシーブを含む処理済みパーム油(「POMO」)、およびコリンリシネートを含む処理済みパーム油(「POCHOLL」)で貯蔵されたパーム油の熱劣化のグラフ表示である。
90℃で異なるサンプル:処理済みパーム油(「PO」)、水で飽和した処理済みパーム油(「POH20」)、AMBERLITE(商標)IRA96を含む処理済みパーム油(「IRA96」)、モレキュラーシーブを含む処理済みパーム油(「POMO」)、およびコリンリシネートを含む処理済みパーム油(「POCHOLL」)で貯蔵されたパーム油の熱劣化のグラフ表示である。

0123

(パーム油中のFFA含有量の測定)
イソプロピルアルコール60mLを含有するビーカーに、フェノールフタレイン0.5mLを添加した。この混合液を沸騰するまで加熱し、そしてイソプロピルアルコール中0.02Mの水酸化カリウムを、かすかピンク色が約10秒間持続するまで添加した。

0124

ガラスバイアルにパーム油0.200gを添加し、その後上記の熱イソプロピルアルコール溶液50mLに溶解した。得られた溶液を、0.02Mの水酸化カリウム溶液撹拌しながら、0.1mL目盛り付きの25mLビュレットを用い、フェノールフタレイン指示薬の終点まで、すなわちピンク色が少なくとも30秒間持続するまで滴定した。

0125

FFA含有量をその後、式:
28.4 x M x V/m
を用いて計算し、式中:
Vは使用した水酸化カリウム溶液の量(mL)であり;
Mは水酸化カリウム溶液のモル濃度であり;そして
mはパーム油試料の質量(g)である。

0126

(塩基性イオン液体を使用するパーム油からのFFAの除去)
(実施例1)
上述の滴定方法に従い、第三者供給業者から得たパーム油は、1.584重量%のFFAを含有することが判明した。パーム油をその後ステアリン酸でドープし、FFA含有量を7.74重量%にした。試料40gを40℃に加熱し、次いでアルドリッチから得た水性重炭酸コリン溶液2.250g(80w/w%)に添加した。混合液を5分間急速に攪拌した後、CO2の発生は停止した。次いで混合液を、2500rpmで10分間遠心分離した。

0127

上部の油相を除去して滴定し、0.251重量%FFAおよび0.012重量%の水を含有することが判明した。下部の水相は、ステアリン酸コリンを含有することが判明した。1H NMRは、上部の油相中のステアリン酸コリンの痕跡を示さなかった。

0128

ステアリン酸でドープされたパーム原油および得られた処理済みパーム油の粘度を、さまざまな温度で測定した。結果は図1グラフで示され、そして処理済みパーム油の粘度が、パーム原油と比較してより低い温度で、FFAの除去後に著しく低下したことを示している。

0129

(パーム油安定性試験
(実施例2)
低減したFFA含有量を有する実施例1からの処理済みパーム油の試料を取り出し、そして異なる温度(60℃および90℃)でサーモスタット制御オーブン内で貯蔵した。データを、30日間にわたり定期的に収集した。処理済みパーム油の長期安定性を、以下に示すように、単独で、および特定の添加剤の存在下で試験した。
1.添加剤なし
2.水
3.遊離塩基の重合体AMBERLITE
4.モレキュラーシーブ(水捕捉剤
5.コリンリシネート(塩基性イオン液体および酸捕捉剤)

0130

上記試料2は、水で0.174w/w%で飽和したパーム油組成物に相当する。上記試料3〜5中の全ての添加剤を、パーム油に基づき、4重量%の割合で添加した。

0131

以下の表1および2は、それぞれ60℃および90℃の温度で、異なる時間間隔で保持された試料1〜5についてのパーム油のFFA含有量(重量%)を示す。

0132

0133

0134

上記の結果は、経時的なFFA形成により示されるように、パーム油の著しい熱劣化が60℃および90℃で、それぞれ添加剤のない、または水で飽和されている試料1および2の両方で起こることを示している。パーム油中の水およびより高い温度(90℃)の組み合わせ(試料2)は、油の著しく増加した劣化をもたらし、FFA含有量が4.516重量%に達した。

0135

対照的に、本発明による塩基性イオン液体(コリンリシネート)を含有する試料5は、FFAを中和することによりオイルの劣化を抑制し、FFA含有量は1重量%未満に良好に維持されている。試料5中のFFA含有量は60℃で30日後では0.545重量%であり、一方90℃で30日後では0.413重量%のみである。これは、水を捕捉するモレキュラーシーブのみの存在(試料3)よりも、特にFFA含有量が12日後に1.5重量%に増加した90℃での貯蔵で改善されている。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 不二製油株式会社の「 油脂組成物」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題・解決手段】アスコルビン酸含有油脂のアスコルビン酸含有量を向上し、あらゆる食品に利用可能な、幅広い濃度範囲への対応を可能にするアスコルビン酸含有油脂を提供することを課題とする。アスコルビン酸を5... 詳細

  • 理研ビタミン株式会社の「 油脂粉末」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】パーム硬化油及びポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有し、保存中の変色が抑制された油脂粉末を提供する。【解決手段】下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、油脂粉末。(A)パーム硬化油 ... 詳細

  • 理研ビタミン株式会社の「 多価不飽和脂肪酸含有粒子」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】多価不飽和脂肪酸及び/又は多価不飽和脂肪酸の誘導体の戻り臭の発生が十分に抑制された多価不飽和脂肪酸含有粒子を提供する。【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):(A)ゼラチン、(B... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い法人

関連性が強い法人一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ