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技術 電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物及びこれを用いた癌治療方法

出願人 ジニスカンパニーリミテッド
発明者 キム,ヒョンジンホン,ソンチュルチョン,ヘジョンイ,フィガンチョ,ヘグクユ,ジェガク
出願日 2014年10月14日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2016-524018
公開日 2016年12月15日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2016-539093
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 熱画像カメラ 電磁波処理 電磁波照射装置 一つ結合 適応能力 フェロジン ラジオ電波 熱調節
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課題・解決手段

電磁波を利用した癌温熱治療感作剤組成物及びこれを用いた癌治療方法係り、さらに詳しくは、電磁波を利用した癌治療の際に感受性を増加させるものに関する。本発明の癌温熱治療用感作剤組成物は、金属イオン、金属イオン結合物、「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)、または金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体を含む。本発明の組成物は、体内への投与の際に癌標的指向性を持っており、金属イオンを癌組織に選択的に伝達するので、電磁波を利用した癌温熱治療の際に、金属イオンが蓄積された癌組織にて熱の発生が増加し、電磁波を利用した癌温熱治療の癌治療効能極大化させる。また、痛みや副作用がないため、癌治療効能を著しく向上させるので、抗癌治療に広く利用されるものと期待され、化学療法放射線療法などの他の癌治療方法とも併用可能であるから、癌の完治可能性を高める。

概要

背景

最近、現代医学の急激な発達に伴い、癌の早期診断が可能となり且つ手術放射線および抗癌剤薬物療法などの様々な癌治療方法が開発され、癌を克服する可能性が見え始めている。しかし、現在までに開発された癌治療法は、癌を根本的に治療するよりも、単に癌患者生存期間延長させる程度に過ぎない。よって、効率的で副作用の少ない癌治療方法を開発する必要性が切実である。

癌治療において普遍的に行われている治療法としては、手術療法、抗癌剤薬物療法、および放射線療法がある。手術療法は、早期癌には最良治療方法であるが、癌が他の組織転移した場合には良好な治療効果を期待することは難しい。

放射線療法と抗癌剤薬物療法は、癌治療効果が低いだけでなく、正常組織にも影響を及ぼして胃腸障害免疫機能低下食欲不振全身衰弱脱毛などの様々な副作用を引き起こすことが知られている。このような既存の癌治療方法の限界点補完するために、現在様々な種類の癌治療方法が開発されており、その代表的なものが熱治療抗癌療法である(Wust et al.,The Lancet Oncology,2002,3:487−497)。

癌細胞ユニークな特性の一つは、熱適応能力が正常細胞に比べて著しく劣るということである(Wust et al.,The Lancet Oncology,2002,3:487−497)。熱治療抗癌療法は、このように熱適応能力が欠如した癌細胞の特性を利用して癌組織および周辺の温度を42℃以上に上げて癌を治療する抗癌療法である。熱処理抗癌療法の過程で癌組織の温度を上げると、周囲の正常細胞は熱衝撃抵抗して生存することができるが、癌細胞は熱適応能力に劣るから、高熱適応できず死滅してしまう。熱治療抗癌療法の過程で癌組織の温度を高めるために、超音波を利用する方法、接触による熱伝達方法電磁波を利用する方法などの様々な方法が開発された。しかし、現在熱治療抗癌療法で最も一般的で効果的な方法は、電磁波を照射して癌組織に熱を発生させる、電磁波を利用した癌温熱治療である(ヨーロッパ公開特許EP2174689A、米国特許US4323056、国際特許出願第2002−172198号、韓国登録特許第1125200号、国際公開WO2010−043372、国際公開WO2009−013630)。

電磁波(electromagnetic waves)は、電場と磁場が時間に伴って変化しながら発生する波動であって、ガンマ線X線紫外線可視光線赤外線マイクロ波ラジオ電波などがすべて電磁波である。電磁波が極性物質を通過すると、電磁波は極性物質の分子運動刺激して熱を発生するため、基本的にすべての電磁波は熱処理抗癌療法に活用できるが、現在「電磁波を利用した癌温熱治療」では13.56MHz RF(radio frequency)の高周波を最も普遍的に使用している。

「電磁波を利用した癌温熱治療」に用いられる電磁波は、誘電加熱(dielectric heating)と呼ばれる過程を介して熱を発生させる。人体の大部分を構成する水分子は、酸素水素原子との非対称的結合によって双極子モーメントを持つ。この水分子の双極子モーメントのため、「電磁波を利用した癌温熱治療」の際に、電磁波に曝(さら)された水分子が電磁波の振動数だけ分子回転を重ねながら、分子同士が押したり引いたりするか或いは衝突を重ね、その結果、電磁波に曝された組織から熱が発生するのである。癌細胞のみ電磁波に曝すことができれば、熱適応能力の足りない癌細胞の特性のため、効率よく癌細胞を死滅させることができる。しかし、電磁波に正常細胞は曝さずに癌細胞のみ曝すことは、身体の構造的物理限界によりほとんど不可能である。よって、電磁波などの物理的波長を癌組織に放射して癌を治療することには限界があり、「電磁波を利用した癌温熱治療」は、抗癌剤薬物療法や放射線療法より癌治療効能が優れるのでない。このため、「電磁波を利用した癌温熱治療」が単独で癌の治療に使われるというよりは、抗癌剤薬物療法や放射線療法に、補助的手段といった程度でのみ活用されている。

電磁波を利用した癌温熱治療の治療効能を高めることが可能な最良の方法は、温熱治療用感作剤を投与した後、電磁波を利用した癌温熱治療を施行する方法である。

現在までに試みられた温熱治療用感作剤は、金、酸化鉄などの金属成分に基づくナノ粒子である(国際公開WO2009−091597、国際公開WO2012−036978、国際公開WO2012−177875、米国特許US6541039、韓国登録特許第0802139号)。金属は電磁波と非常によく反応して高熱を発生させる。したがって、金属成分が正常細胞には蓄積されず癌細胞にのみ蓄積されるようにした後、電磁波を放射すると、癌治療効能が極大化できるだろう。しかし、現在までに金属成分を癌組織にのみ選択的に伝達することが可能な技術は開発されておらず、「電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤」という概念も実現されていないのが実情である。

金や酸化鉄などの金属ナノ粒子は、癌組織に対する選択性がないため、癌組織だけでなく、正常組織にも蓄積されるが、この場合、電磁波処理を行なうと、ナノ粒子が位置したすべての部位から熱が発生することにより、正常組織にも損傷を与える。また、金属ナノ粒子は、生体にて分解されたり生体から放出されたりしないため安全性が低いという問題がある。したがって、このような金属成分に基づくナノ粒子は、温熱治療用感作剤としての商用化に失敗した。未だ、世界的に、温熱治療用感作剤が商用化された事例はない。

ヒトを含むすべての生命体には、様々な種類の金属成分が体内の必須構成成分として存在する。生命体の体内に存在する金属成分は、金属そのものとして存在せず、ほとんどイオン状態で存在して、生命維持に必要とされる様々な機能を実行する。マグネシウムマンガン、鉄などの金属イオンは、生命維持のために人体が摂取すべき必須栄養素である。人体に吸収された金属イオンは、血液で独立して存在せず、トランスフェリン(transferrin)と呼ばれる金属イオン伝達タンパク質に結合した状態で存在する。鉄イオンと未だ結合されていないアポトランスフェリン(apotransferrin)に鉄イオンが一つ結合されると、モノフェリックトランスフェリン(monoferric transferrin)と呼び、二つ結合されると、ジフェリックトランスフェリン(diferric transferrin)またはホロトランスフェリン(holo−transferrin)と呼ぶ。ヒトの血清において、約70%のトランスフェリンタンパク質は、鉄イオンとまだ結合されていないアポトランスフェリン(apotransferrin)として存在し、残り30%程度のトランスフェリンは、鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン、すなわち、モノフェリックトランスフェリン(monoferric transferrin)またはジフェリックトランスフェリン(diferric transferrin)であることが知られている(Huebers et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.78:2572−2576)。したがって、血液には、何時でも、外部から流入する金属イオンと結合することが可能なアポトランスフェリンが多量存在する。

「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)は、血液とともに運ばれるが、トランスフェリン受容体(transferrin receptor)と結合してエンドサイトーシス(endocytosis)を介して細胞内に取り込まれて金属イオンを伝達する。金属イオンが分離されたトランスフェリン、すなわちアポトランスフェリン(apotransferrin)は、エキソサイトーシス(exocytosis)を介して細胞外に排出されて再び金属イオンと結合する。このようにして、代謝過程循環することとなる。トランスフェリンに結合された金属イオンを細胞内に伝達することに最も重要な役割を果たすトランスフェリン受容体は、正常細胞でよりも癌細胞で過剰発現されることが知られている。

癌細胞は、細胞代謝過程で、金属イオンを補酵素とする酵素を絶対的に必要とするので、血液中に存在する金属イオンを強く吸収する。前述したように、血液には、金属イオンが独立して存在するのではなく、トランスフェリンに結合した形態で存在するため、癌細胞が血液から吸収する金属イオンは、実質的にトランスフェリンに結合された金属イオンである。トランスフェリンが運搬する鉄は、DNA合成細胞分裂周期代謝調節など、分裂する細胞の様々な機能を行う各種酵素の必須的な補因子および調節因子として使われる。これらの酵素は代謝過程にて核心的な役割を果たすため、癌細胞は、速い代謝過程を維持すべく鉄を多量に必要とすることから、トランスフェリンを強力に受け入れる特性がある。つまり、癌細胞は、鉄が正常細胞よりも多く必要であって、鉄を伝達するタンパク質であるトランスフェリンに対する受容体が過剰発現されており、その結果、血液中のトランスフェリンが癌組織によく伝達される特性を持つのであるが、これをトランスフェリンの癌標的指向性という。このようなトランスフェリンの癌標的指向性を利用して、トランスフェリンを付着させた抗癌剤のナノ粒子が公知になっている(米国公開特許US2009−0181048A、ヨーロッパ公開特許EP2216341A、ヨーロッパ公開特許EP1369132A)。

このように、トランスフェリンを癌標的指向物質として用いた例はあるが、未だ「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)を温熱治療用感作剤として用いるという報告はなかった。

よって、血液の金属イオンを強く吸収する癌細胞の特性、および電磁波に敏感に反応する金属の特性を認知した本発明者らは、電磁波を利用した癌温熱治療の感作剤として金属或いは金属化合物の代わりに金属イオンを癌患者に投与する場合;1)血液に注入された金属イオンは、血液中に過剰量存在するアポトランスフェリンと結合してトランスフェリン化され;2)金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンは、癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によって癌細胞に選択的に伝達されるため、トランスフェリンにより伝達される金属イオンの濃度が癌細胞において高くなり;3)これに加えて、電磁波を利用した温熱治療を施行すると、金属イオンが蓄積された癌細胞にて熱の発生が集中的に起き、正常細胞に対する損傷を最小限に抑えながら、癌細胞のみを集中的に死滅させることができるという事実を見出し、本発明を完成した。また、本発明者らは、「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」を温熱治療用感作剤として癌患者に投与し、「電磁波を利用した癌温熱治療」を施行しても、前述したように癌治療が革新的に改善されるという事実を見出し、本発明を完成した。

概要

電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物及びこれを用いた癌治療方法に係り、さらに詳しくは、電磁波を利用した癌治療の際に感受性を増加させるものに関する。本発明の癌温熱治療用感作剤組成物は、金属イオン、金属イオン結合物、「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)、または金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体を含む。本発明の組成物は、体内への投与の際に癌標的指向性を持っており、金属イオンを癌組織に選択的に伝達するので、電磁波を利用した癌温熱治療の際に、金属イオンが蓄積された癌組織にて熱の発生が増加し、電磁波を利用した癌温熱治療の癌治療効能を極大化させる。また、痛みや副作用がないため、癌治療効能を著しく向上させるので、抗癌治療に広く利用されるものと期待され、化学療法や放射線療法などの他の癌治療方法とも併用可能であるから、癌の完治可能性を高める。

目的

本発明の目的は、癌組織にのみ金属イオンを選択的に伝達することにより、「電磁波を利用した癌温熱治療」の際に癌組織に対してのみ熱の発生が極大化されて癌を治療することができる癌温熱治療用感作剤組成物、これを含む癌温熱治療用キット、及びこれを用いる癌治療方法を提供する

効果

実績

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請求項1

電磁波を利用した癌温熱治療用の感作剤組成物

請求項2

前記感作剤は、金属イオン、金属イオン結合物、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン、および金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項3

前記金属イオンは、鉄(iron)イオンマンガン(manganese)イオン、亜鉛(zinc)イオン、銅(copper)イオン、マグネシウム(magnesium)イオン、ビスマス(bismuth)イオン、ルテニウム(ruthenium)イオン、チタン(titanium)イオン、ガリウム(gallium)イオン、インジウム(indium)イオン、バナジル(vanadyl)イオン、クロム(chromium)イオン、アルミニウム(aluminum)イオン、およびプルトニウム(plutonium)イオンよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項4

前記金属イオン結合物は、金属イオンにデキストランdextran)、スクロース(sucrose)、グルコナート(gluconate)、ソルビトール(sorbitol)、多糖類(polysaccharide)、カルボキシマルトース(carboxymaltose)、フェルモキシトール(ferumoxytol)、イソマルトシド(isomaltoside)、シトラート(citrate)、塩化物(chloride)、スルファート(sulfate)、フマラート(fumarate)、マルトース(maltose)、デンプン(starch)、セルロース(cellulose)、およびアルブミン(albumin)を含む群から選択される結合物が非共有結合していることを特徴とする、請求項2に記載の癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項5

前記アポトランスフェリンまたはアポトランスフェリン誘導体は、ヒトまたは哺乳動物由来血清タンパク質であるか、或いは組換えタンパク質であることを特徴とする、請求項2に記載の癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項6

前記感作剤は0.01〜100mg/mlの濃度であることを特徴とする、請求項1に記載の癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項7

薬学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の癌温熱治療用感作剤組成物。

請求項8

請求項1に記載の電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物、および電磁波を照射する装置を含む、癌温熱治療用キット

請求項9

(a)ヒトを除く動物に請求項1に記載の癌温熱治療用感作剤組成物を投与して癌治療に対する感受性を増加させる段階と、(b)電磁波処理を行う段階とを含んでなることを特徴とする、癌治療方法

請求項10

前記癌温熱治療用感作剤組成物が金属イオンまたは金属イオン結合物である場合には、0.1〜50mg/kgの用量で投与し、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンまたはその誘導体である場合には0.1〜200mg/kgの用量で投与することを特徴とする、請求項9に記載の癌治療方法。

請求項11

前記電磁波は、ガンマ線X線紫外線可視光線赤外線マイクロ波、およびラジオ電波よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の癌治療方法。

請求項12

化学療法(chemotherapy)、放射線療法(radiationtherapy)、生物学的療法(biologicaltherapy)、免疫療法(immunotherapy)および光線力学的療法(photodynamictherapy)よりなる群から選択される1種以上の治療方法並行することを特徴とする、請求項9に記載の癌治療方法。

技術分野

0001

本発明は、電磁波を利用した癌温熱治療感作剤(sensitizer;温熱増感剤組成物及びこれを用いた癌治療方法係り、さらに詳しくは、電磁波を利用した癌治療の際に感受性を増加させる癌温熱治療用感作剤組成物及びこれを用いた癌治療方法に関する。

背景技術

0002

最近、現代医学の急激な発達に伴い、癌の早期診断が可能となり且つ手術放射線および抗癌剤薬物療法などの様々な癌治療方法が開発され、癌を克服する可能性が見え始めている。しかし、現在までに開発された癌治療法は、癌を根本的に治療するよりも、単に癌患者生存期間延長させる程度に過ぎない。よって、効率的で副作用の少ない癌治療方法を開発する必要性が切実である。

0003

癌治療において普遍的に行われている治療法としては、手術療法、抗癌剤薬物療法、および放射線療法がある。手術療法は、早期癌には最良治療方法であるが、癌が他の組織転移した場合には良好な治療効果を期待することは難しい。

0004

放射線療法と抗癌剤薬物療法は、癌治療効果が低いだけでなく、正常組織にも影響を及ぼして胃腸障害免疫機能低下食欲不振全身衰弱脱毛などの様々な副作用を引き起こすことが知られている。このような既存の癌治療方法の限界点補完するために、現在様々な種類の癌治療方法が開発されており、その代表的なものが熱治療抗癌療法である(Wust et al.,The Lancet Oncology,2002,3:487−497)。

0005

癌細胞ユニークな特性の一つは、熱適応能力が正常細胞に比べて著しく劣るということである(Wust et al.,The Lancet Oncology,2002,3:487−497)。熱治療抗癌療法は、このように熱適応能力が欠如した癌細胞の特性を利用して癌組織および周辺の温度を42℃以上に上げて癌を治療する抗癌療法である。熱処理抗癌療法の過程で癌組織の温度を上げると、周囲の正常細胞は熱衝撃抵抗して生存することができるが、癌細胞は熱適応能力に劣るから、高熱適応できず死滅してしまう。熱治療抗癌療法の過程で癌組織の温度を高めるために、超音波を利用する方法、接触による熱伝達方法、電磁波を利用する方法などの様々な方法が開発された。しかし、現在熱治療抗癌療法で最も一般的で効果的な方法は、電磁波を照射して癌組織に熱を発生させる、電磁波を利用した癌温熱治療である(ヨーロッパ公開特許EP2174689A、米国特許US4323056、国際特許出願第2002−172198号、韓国登録特許第1125200号、国際公開WO2010−043372、国際公開WO2009−013630)。

0006

電磁波(electromagnetic waves)は、電場と磁場が時間に伴って変化しながら発生する波動であって、ガンマ線X線紫外線可視光線赤外線マイクロ波ラジオ電波などがすべて電磁波である。電磁波が極性物質を通過すると、電磁波は極性物質の分子運動刺激して熱を発生するため、基本的にすべての電磁波は熱処理抗癌療法に活用できるが、現在「電磁波を利用した癌温熱治療」では13.56MHz RF(radio frequency)の高周波を最も普遍的に使用している。

0007

「電磁波を利用した癌温熱治療」に用いられる電磁波は、誘電加熱(dielectric heating)と呼ばれる過程を介して熱を発生させる。人体の大部分を構成する水分子は、酸素水素原子との非対称的結合によって双極子モーメントを持つ。この水分子の双極子モーメントのため、「電磁波を利用した癌温熱治療」の際に、電磁波に曝(さら)された水分子が電磁波の振動数だけ分子回転を重ねながら、分子同士が押したり引いたりするか或いは衝突を重ね、その結果、電磁波に曝された組織から熱が発生するのである。癌細胞のみ電磁波に曝すことができれば、熱適応能力の足りない癌細胞の特性のため、効率よく癌細胞を死滅させることができる。しかし、電磁波に正常細胞は曝さずに癌細胞のみ曝すことは、身体の構造的物理限界によりほとんど不可能である。よって、電磁波などの物理的波長を癌組織に放射して癌を治療することには限界があり、「電磁波を利用した癌温熱治療」は、抗癌剤薬物療法や放射線療法より癌治療効能が優れるのでない。このため、「電磁波を利用した癌温熱治療」が単独で癌の治療に使われるというよりは、抗癌剤薬物療法や放射線療法に、補助的手段といった程度でのみ活用されている。

0008

電磁波を利用した癌温熱治療の治療効能を高めることが可能な最良の方法は、温熱治療用感作剤を投与した後、電磁波を利用した癌温熱治療を施行する方法である。

0009

現在までに試みられた温熱治療用感作剤は、金、酸化鉄などの金属成分に基づくナノ粒子である(国際公開WO2009−091597、国際公開WO2012−036978、国際公開WO2012−177875、米国特許US6541039、韓国登録特許第0802139号)。金属は電磁波と非常によく反応して高熱を発生させる。したがって、金属成分が正常細胞には蓄積されず癌細胞にのみ蓄積されるようにした後、電磁波を放射すると、癌治療効能が極大化できるだろう。しかし、現在までに金属成分を癌組織にのみ選択的に伝達することが可能な技術は開発されておらず、「電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤」という概念も実現されていないのが実情である。

0010

金や酸化鉄などの金属ナノ粒子は、癌組織に対する選択性がないため、癌組織だけでなく、正常組織にも蓄積されるが、この場合、電磁波処理を行なうと、ナノ粒子が位置したすべての部位から熱が発生することにより、正常組織にも損傷を与える。また、金属ナノ粒子は、生体にて分解されたり生体から放出されたりしないため安全性が低いという問題がある。したがって、このような金属成分に基づくナノ粒子は、温熱治療用感作剤としての商用化に失敗した。未だ、世界的に、温熱治療用感作剤が商用化された事例はない。

0011

ヒトを含むすべての生命体には、様々な種類の金属成分が体内の必須構成成分として存在する。生命体の体内に存在する金属成分は、金属そのものとして存在せず、ほとんどイオン状態で存在して、生命維持に必要とされる様々な機能を実行する。マグネシウムマンガン、鉄などの金属イオンは、生命維持のために人体が摂取すべき必須栄養素である。人体に吸収された金属イオンは、血液で独立して存在せず、トランスフェリン(transferrin)と呼ばれる金属イオン伝達タンパク質に結合した状態で存在する。鉄イオンと未だ結合されていないアポトランスフェリン(apotransferrin)に鉄イオンが一つ結合されると、モノフェリックトランスフェリン(monoferric transferrin)と呼び、二つ結合されると、ジフェリックトランスフェリン(diferric transferrin)またはホロトランスフェリン(holo−transferrin)と呼ぶ。ヒトの血清において、約70%のトランスフェリンタンパク質は、鉄イオンとまだ結合されていないアポトランスフェリン(apotransferrin)として存在し、残り30%程度のトランスフェリンは、鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン、すなわち、モノフェリックトランスフェリン(monoferric transferrin)またはジフェリックトランスフェリン(diferric transferrin)であることが知られている(Huebers et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.78:2572−2576)。したがって、血液には、何時でも、外部から流入する金属イオンと結合することが可能なアポトランスフェリンが多量存在する。

0012

「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)は、血液とともに運ばれるが、トランスフェリン受容体(transferrin receptor)と結合してエンドサイトーシス(endocytosis)を介して細胞内に取り込まれて金属イオンを伝達する。金属イオンが分離されたトランスフェリン、すなわちアポトランスフェリン(apotransferrin)は、エキソサイトーシス(exocytosis)を介して細胞外に排出されて再び金属イオンと結合する。このようにして、代謝過程循環することとなる。トランスフェリンに結合された金属イオンを細胞内に伝達することに最も重要な役割を果たすトランスフェリン受容体は、正常細胞でよりも癌細胞で過剰発現されることが知られている。

0013

癌細胞は、細胞代謝過程で、金属イオンを補酵素とする酵素を絶対的に必要とするので、血液中に存在する金属イオンを強く吸収する。前述したように、血液には、金属イオンが独立して存在するのではなく、トランスフェリンに結合した形態で存在するため、癌細胞が血液から吸収する金属イオンは、実質的にトランスフェリンに結合された金属イオンである。トランスフェリンが運搬する鉄は、DNA合成細胞分裂周期代謝調節など、分裂する細胞の様々な機能を行う各種酵素の必須的な補因子および調節因子として使われる。これらの酵素は代謝過程にて核心的な役割を果たすため、癌細胞は、速い代謝過程を維持すべく鉄を多量に必要とすることから、トランスフェリンを強力に受け入れる特性がある。つまり、癌細胞は、鉄が正常細胞よりも多く必要であって、鉄を伝達するタンパク質であるトランスフェリンに対する受容体が過剰発現されており、その結果、血液中のトランスフェリンが癌組織によく伝達される特性を持つのであるが、これをトランスフェリンの癌標的指向性という。このようなトランスフェリンの癌標的指向性を利用して、トランスフェリンを付着させた抗癌剤のナノ粒子が公知になっている(米国公開特許US2009−0181048A、ヨーロッパ公開特許EP2216341A、ヨーロッパ公開特許EP1369132A)。

0014

このように、トランスフェリンを癌標的指向物質として用いた例はあるが、未だ「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)を温熱治療用感作剤として用いるという報告はなかった。

0015

よって、血液の金属イオンを強く吸収する癌細胞の特性、および電磁波に敏感に反応する金属の特性を認知した本発明者らは、電磁波を利用した癌温熱治療の感作剤として金属或いは金属化合物の代わりに金属イオンを癌患者に投与する場合;1)血液に注入された金属イオンは、血液中に過剰量存在するアポトランスフェリンと結合してトランスフェリン化され;2)金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンは、癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によって癌細胞に選択的に伝達されるため、トランスフェリンにより伝達される金属イオンの濃度が癌細胞において高くなり;3)これに加えて、電磁波を利用した温熱治療を施行すると、金属イオンが蓄積された癌細胞にて熱の発生が集中的に起き、正常細胞に対する損傷を最小限に抑えながら、癌細胞のみを集中的に死滅させることができるという事実を見出し、本発明を完成した。また、本発明者らは、「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」を温熱治療用感作剤として癌患者に投与し、「電磁波を利用した癌温熱治療」を施行しても、前述したように癌治療が革新的に改善されるという事実を見出し、本発明を完成した。

発明が解決しようとする課題

0016

本発明の目的は、癌組織にのみ金属イオンを選択的に伝達することにより、「電磁波を利用した癌温熱治療」の際に癌組織に対してのみ熱の発生が極大化されて癌を治療することができる癌温熱治療用感作剤組成物、これを含む癌温熱治療用キット、及びこれを用いる癌治療方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

上記目的を達成するために、本発明は、電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物を提供する。

0018

本発明において、前記感作剤は、金属イオン、金属イオン結合物、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン、および、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体よりなる群から選択されることを特徴とする。

0019

本発明において、前記金属イオンは、鉄(iron)イオン、マンガン(manganese)イオン、亜鉛(zinc)イオン、銅(copper)イオン、マグネシウム(magnesium)イオン、ビスマス(bismuth)イオン、ルテニウム(ruthenium)イオン、チタニウム(titanium)イオン、ガリウム(gallium)イオン、インジウム(indium)イオン、バナジル(vanadyl(oxovanadium(IV)))イオン、クロム(chromium)イオン、アルミニウム(aluminum)イオン、およびプルトニウム(plutonium)イオンよりなる群から選択されることを特徴とする。

0020

本発明において、前記金属イオン結合物は、金属イオンに、デキストランdextran)、スクロース(sucrose)、グルコナートグルコン酸・塩/エステル)(gluconate)、ソルビトール(sorbitol)、多糖類(polysaccharide)、シトラートクエン酸・塩/エステル)(citrate)、カルボキシマルトース(carboxymaltose)、フェルモキシトール(ferumoxytol)、イソマルトシド(isomaltoside)、マルトース(maltose)、デンプン(starch)、セルロース(cellulose)、塩化物(chloride)、スルファート硫酸・塩/エステル)(sulfate)、フマラート(フマル酸・塩/エステル)(fumarate)およびアルブミン(albumin)を含む群から選択される結合物が非共有結合されていることを特徴とする。

0021

本発明において、前記アポトランスフェリンまたはアポトランスフェリン誘導体は、ヒトまたは哺乳動物由来血清タンパク質であるか、或いは組換えタンパク質であることを特徴とする。

0022

本発明において、前記感作剤は0.01〜100mg/mlの濃度であることを特徴とする。

0023

本発明において、前記癌温熱治療用感作剤組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする。

0024

また、本発明は、電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物、および電磁波を照射する装置を含む癌温熱治療用キットを提供する。

0025

また、本発明は、(a)ヒトを除く動物に前記癌温熱治療用感作剤組成物を投与して癌治療に対する感受性を増加させる段階と、(b)電磁波処理を行なう段階とを含む、癌治療方法を提供する。

0026

本発明において、前記癌温熱治療用感作剤組成物は1〜250mg/kgの用量で投与することを特徴とする。

0027

本発明において、前記電磁波は、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、およびラジオ電波よりなる群から選択されることを特徴とする。

0028

本発明において、前記癌治療方法は、化学療法(chemotherapy)、放射線療法(radiation therapy)、生物学的療法(biological therapy)、免疫療法(immunotherapy)および光線力学的療法(photodynamic therapy)よりなる群から選択される1種以上の治療方法を並行することを特徴とする。

発明の効果

0029

本発明に係る癌温熱治療用感作剤組成物は、癌標的指向性を持っており、金属イオンを癌組織に選択的に伝達させるので、電磁波を利用した癌温熱治療の際に、金属イオンが蓄積された癌組織における熱の発生が増加して電磁波を利用した癌温熱治療の癌治療効能を極大化させることができる。

図面の簡単な説明

0030

本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のアポトランスフェリン水溶液の温度を熱画像カメラで測定した写真である。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のアポトランスフェリン水溶液の温度変化の差を示すグラフである。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン水溶液の温度を熱画像カメラで測定した写真である。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン水溶液の温度変化の差を示すグラフである。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン培養正常細胞の温度を熱画像カメラで測定した写真である。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン培養正常細胞の温度変化の差を示すグラフである。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン培養癌細胞の温度を熱画像カメラで測定した写真である。
本発明の実験例3による電磁波処理の前と後のトランスフェリン培養癌細胞の温度変化の差を示すグラフである。
本発明の実施例1により、生理食塩水(control)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)にそれぞれ投与し、電磁波処理を行なう温熱治療の際に、正常組織と癌組織部位(矢印)を熱画像カメラで測定した写真、および温度変化の差を示すグラフである(White bar:正常組織、Black bar:癌組織)。
本発明の実施例1により、て温熱治療用感作剤(iron sucrose)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)にそれぞれ投与し、電磁波処理を行なう温熱治療の際に、正常組織と癌組織部位(矢印)を熱画像カメラで測定した写真、および温度変化の差を示すグラフである(White bar:正常組織、Black bar:癌組織)。
本発明の実施例1により、温熱治療用感作剤(transferrin)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)にそれぞれ投与し、電磁波処理を行なう温熱治療の際に、正常組織と癌組織部位(矢印)を熱画像カメラで測定した写真、および温度変化の差を示すグラフである(White bar:正常組織、Black bar:癌組織)。
本発明の実施例1により、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に生理食塩水または金属イオン結合物を投与した後、電磁波処理を行なったマウスの癌組織の大きさをバイオ蛍光分析した結果である((A):無処理、(B):生理食塩水、(C):グルコン酸鉄(iron gluconate)、(D):鉄スクロース(iron sucrose)、(E):鉄カルボキシマルトース(iron carboxymaltose)、(F):鉄デキストラン(irondextran)、(G):鉄デンプン(iron starch)、(H):トランスフェリン(transferrin)。
本発明の実施例1により、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に生理食塩水、鉄スクロース(iron sucrose)、鉄デキストン(iron dextran)およびトランスフェリン(transferrin)を投与した後、電磁波処理を行なったマウスの癌組織の大きさをバイオ蛍光で分析した結果である。

0031

本発明においては、毒性および副作用がなく、かつ、癌組織に対する標的指向性を有する物質を用いて、金属イオンを癌細胞にのみ伝達することができる感作剤を利用する場合、「電磁波を利用した癌温熱治療」の癌組織選択性および癌治療効能を高めることができると予測した。

0032

つまり、癌組織への標的指向性があり且つ毒性問題がない生体由来物質を用いて、金属イオンを正常細胞ではなく、癌細胞にのみ伝達させて癌細胞の金属イオン濃度を増加させた後、「電磁波を利用した癌温熱治療」を施行する場合、癌治療効能を極大化させることができることを確認しようとした。

0033

そこで、本発明では、「金属イオンと非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)を「電磁波を利用した癌温熱治療」のための感作剤として癌移植マウスモデル(tumor xenograft mouse model)に血管注射で投与した後、電磁波を処理した。その結果、(1)癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によってトランスフェリンが正常細胞よりも癌細胞に選択的に伝達され;(2)トランスフェリンに結合されていた金属イオンの分離で正常細胞よりも癌細胞内の金属イオンの濃度が高くなり;(3)電磁波処理の際に癌組織の増加した金属イオンが熱の発生をさらに増加させ;(4)発生した熱により癌細胞の死滅が増加して、結果的に電磁波を利用した癌温熱治療の癌治療効能が極大化されたことを確認することができた。

0034

また、本発明では、「金属イオンと非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)の代わりに金属イオンを感作剤として癌移植マウスモデル(tumor xenograft mouse model)に投与しても、血液に流入した金属イオンが血液中に過剰量存在するアポトランスフェリンと結合してトランスフェリン化されるので、金属イオンを温熱治療用感作剤として癌患者に投与し、電磁波を利用した癌温熱治療を施行しても、上述した効果と同じかそれより優れた抗癌効果を得ることができることを確認した。

0035

したがって、本発明は、ある観点において、電磁波を利用した癌温熱治療用感作剤組成物に関するものである。

0036

前記感作剤とは、温熱治療の際に癌治療効能を高めるために使用されるもので、体内への投与の際に癌組織に対する標的指向性を有するとともに、癌組織における熱の発生を増幅させる特徴を持つ。

0037

前記感作剤は、金属イオン、金属イオン結合物、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン、および、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体よりなる群から選択できる。

0038

本発明において、前記金属イオンとしては、鉄(iron)イオン、マンガン(manganese)イオン、亜鉛(zinc)イオン、銅(copper)イオン、マグネシウム(magnesium)イオン、ビスマス(bismuth)イオン、ルテニウム(ruthenium)イオン、チタン(titanium)イオン、ガリウム(gallium)イオン、インジウム(indium)イオン、バナジル(vanadyl)イオン、クロム(chromium)イオン、アルミニウム(aluminum)イオン、プルトニウム(plutonium)イオンなどを例示することができるが、これに限定されない。

0039

前記金属イオン結合物としては、金属イオンに、デキストラン(dextran)、スクロース(sucrose)、グルコナート(gluconate)、ソルビトール(sorbitol)、多糖類(polysaccharide)、シトラート(citrate)、カルボキシマルトース(carboxymaltose)、フェルモキシトール(ferumoxytol)、イソマルトシド(isomaltoside)、マルトース(maltose)、デンプン(starch)、セルロース(cellulose)、塩化物(chloride)、スルファート(sulfate)、フマラート(fumarate)およびアルブミン(albumin)を含む群から選択される結合物が非共有結合されたものであって、薬剤として使用することが可能な結合物であれば制限なく利用できるのであり、鉄デキストン(iron dextran)、鉄スクロース(iron sucrose)、グルコン酸鉄(iron gluconate)、鉄カルボキシマルトース(iron carboxymaltose)、鉄イソマルトシド(iron isomaltoside)、鉄フェルモキシトール(iron ferumoxytol)、鉄ソルビトール(iron sorbitol)、鉄多糖類(iron polysaccharide)、クエン酸第二鉄(ferric citrate)、グルコン酸第一鉄(ferrous gluconate)、硫酸第一鉄(ferrous sulfate)、フマル酸第一鉄(ferrous fumarate)、塩化マグネシウム(magnesium chloride)、クエン酸ガリウム(gallium citrate)、クエン酸アルミニウム(aluminium citrate)などを例示し得るが、これらに限定されない。

0040

前記金属イオンは、電荷を持つので、極性、すなわち双極子モーメントを持っており、電磁波処理の際に分子運動が増幅されて熱が発生するので、金属自体よりも電磁波に敏感に反応する感作剤特性を有する。

0041

前記感作剤として、金属イオンまたは金属イオン結合物を癌患者に投与した際、1)血液に注入された金属イオンは血液中に過剰量存在するアポトランスフェリンと結合してトランスフェリン化され;2)トランスフェリンは、癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によって癌細胞に選択的に伝達されるため、トランスフェリンにより伝達される金属イオンの濃度が癌細胞で高くなり、3)これに加えて、電磁波を利用した温熱治療を施すと、金属イオンの蓄積された癌細胞にて熱の発生が集中的に起き、正常細胞への損傷を最小限に抑えながら、癌細胞のみを集中的に死滅させる特徴を持つ。

0042

前記感作剤として、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンおよび金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体を癌患者に投与した際、1)「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)は、血液とともに循環しつつ、癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によって癌細胞に選択的に伝達されるので、トランスフェリンにより伝達される金属イオンの濃度が癌細胞で高くなり;2)これに加えて、電磁波を利用した温熱治療を施すと、金属イオンの蓄積された癌細胞にて熱の発生が集中的に起き、正常細胞への損傷を最小限に抑えながら、癌細胞のみを集中的に死滅させる特徴を持つ。

0043

前記トランスフェリンは、血液に多く分布するタンパク質であって、鉄といった金属のイオンと結合し、血液中を循環しつつ、トランスフェリン受容体を持っている各細胞へと金属イオンを伝達する役割を果たすメタロプロテイン(metalloprotein)を意味する。

0044

前記アポトランスフェリンまたはアポトランスフェリン誘導体は、癌標的指向性を有し、鉄、マンガン、亜鉛などの金属イオンとの結合が可能なものであれば、特別な制限なしにヒトや哺乳動物由来の血清タンパク質であるか、或いは組換えタンパク質であるものを使用することができる。

0045

前記トランスフェリンは、アポトランスフェリンに金属イオンが非共有結合された形態のトランスフェリンであることが好ましく、鉄イオンと結合した形態のトランスフェリン(iron−bound transferrin)としては、モノフェリックトランスフェリン(monoferric transferrin)、ジフェリックトランスフェリン(diferric transferrin)、ホロトランスフェリン(holo−transferrin)、フェリックアセチルトランスフェリン(ferric acetyl transferrin)などを例示することができる。

0046

前記トランスフェリンは、特に癌組織に過剰発現されているトランスフェリン受容体と結合して癌細胞の中へ伝達され、結合していた金属イオンを癌細胞内へと遊離させて、結局は、癌組織に選択的に金属イオンを伝達することができることを特徴とする。

0047

鉄、マンガン、亜鉛などの金属イオンは、強い電荷を帯びたイオンであるため、水分子の双極子モーメントよりも遥かに強力な極性を持つが、強い極性を有する金属イオンが電磁波に曝されると、分子運動が増幅されて熱の発生が極大化される。

0048

前記トランスフェリンは、癌患者に投与した際、1)癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体によってトランスフェリンが正常細胞よりも癌細胞に選択的に伝達され;2)トランスフェリンに結合されていた金属イオンの分離で正常細胞よりも癌細胞内の金属イオン濃度が高くなり;3)電磁波処理の際に癌組織の増加した金属イオンが熱の発生をさらに増加させ;4)発生した熱により癌細胞の死滅が増加して癌治療効能を有する特徴を持つ。

0049

前記癌温熱治療用感作剤組成物は、特に制限されないが、感作剤の濃度が0.01〜100mg/mlであることが好ましい。前記濃度が0.01mg/ml未満の場合には過大な量の体積で投与しなければならない不便さがあり、100mg/mlを超える場合には製造が難しいという問題点がある。

0050

本発明において、前記癌温熱治療用感作剤組成物は、薬学的に許容される担体や潤滑剤、湿潤剤乳化剤懸濁剤保存剤などをさらに含むことができる。

0051

本発明は、他の観点において、前記癌温熱治療用感作剤組成物および電磁波を照射する装置を含む癌温熱治療用キットに関するものである。

0052

本発明の癌温熱治療用感作剤組成物は、癌に関連する様々な疾患、例えば胃癌肺癌乳癌卵巣癌肝癌気管支癌鼻咽頭癌、喉頭癌、膵臓癌膀胱癌結腸癌子宮頸癌などを治療するために利用できるので、電磁波を照射する装置を含む癌温熱治療用キットに含まれ得る。

0053

前記電磁波(electromagnetic waves)は、電場と磁場が時間により変化することで発生する波動であって、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ラジオ電波などを例示することができる。本発明では、通常の電磁波照射装置を用いることができる。

0054

また、本発明は、別の観点において、(a)ヒトを除く動物に前記癌温熱治療用感作剤組成物を投与して癌治療に対する感受性を増加させる段階と、(b)電磁波を処理する段階とを含む癌治療方法に関するものである。

0055

前記癌温熱治療用感作剤組成物は、前記の金属イオン、金属イオン結合物、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン、または、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン誘導体を、注射に適した水、生理食塩水などの溶液に、0.01〜100mg/mlの濃度で溶かして使用することが好ましい。

0056

電磁波を利用した癌温熱治療の効果のためには、癌温熱治療用感作剤組成物の投与用量は、金属イオンおよび金属イオン結合物の場合には0.1〜50mg/kgの範囲が好ましく、金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンおよびその誘導体の場合には、0.1〜200mg/kgの用量範囲が好ましい。

0057

前記電磁波を利用した癌温熱治療の好ましい効果のためには、癌温熱治療用感作剤組成物を投与した後、1〜48時間以内に、電磁波を利用した癌温熱治療を施すことが好ましい。

0058

前記電磁波を利用した癌温熱治療の療法は、公知の温熱治療療法によって、容易に決定されて使用できる。たとえば、13.56MHzの高周波を出力する温熱治療器で30〜60分間照射する治療を、週2回以上、4週以上にわたって実施することができる。

0059

本発明に係る癌治療方法は、従来の抗癌療法と連携して、または並行して使用することにより、癌の治療効果を改善することができる。既存の抗癌療法としては、化学療法(chemotherapy)、放射線療法(radiation therapy)、生物学的療法(biological therapy)、免疫療法(immunotherapy)および光線力学的療法(photodynamic therapy)などを例示することができる。

0060

以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、専ら、本発明を例示するためのものである。本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。

0061

<実験例1.金属イオンの発熱能評価>
人体に摂取される経口用または注射剤用金属イオンは、塩に結合された結合物の形態であるか、或いは炭水化物(carbohydrate)またはタンパク質といった高分子と結合された結合物の形態である。金属イオンと結合される塩としては、クエン酸塩(citrate)、塩化物(chloride)、硫酸塩(sulfate)、フマル酸塩(fumarate)などを例示することができ、これによる結合物としては、硫酸第一鉄(ferrous sulfate)、フマル酸第一鉄(ferrous fumarate)、グルコン酸第一鉄(ferrous gluconate)などを例示することができる。

0062

金属イオンに結合される炭水化物としては、単糖類であるグルコン酸塩(gluconate)、二糖類であるスクロース(sucrose)、マルトース(maltose)、多糖類であるイソマルトシド(isomaltoside)、カルボキシマルトース(carboxymaltose)、デキストラン(dextran)、デンプン(starch)、セルロース(cellulose)などの糖類(saccharides)があり、金属イオンに結合されるタンパク質としては、トランスフェリン(transferrin)、アルブミン(albumin)などを例示することができる。

0063

本実験例では、金属イオンと塩の結合物である硫酸第一鉄(ferrous sulfate)の溶液を、次のとおり準備し、電磁波処理の後に温度を測定することにより、金属イオン結合物の発熱能を確認した。また、金属イオンと炭水化物の結合物であるグルコン酸鉄(iron gluconate)、マグネシウムスクロース(magnesium sucrose)、鉄スクロース(iron sucrose)、鉄イソマルトシド(iron isomaltoside)、鉄カルボキシマルトース(iron carboxymaltose)、鉄デキストラン(irondextran)、鉄デンプン複合体(iron starch complex)の溶液を次のとおり準備し、電磁波処理の後に温度を測定することにより、金属イオン結合物の発熱能を確認した。

0064

硫酸第一鉄(ferrous sulfate)溶液は、1gのFeSO47H2Oを蒸留水10mlに入れて30分以上攪拌して溶かし、0.22μmのフィルターを通過させて製造した後、滅菌蒸留水希釈して使用した。

0065

グルコン酸鉄(iron gluconate)溶液(グルコン酸第二鉄ナトリウム複合体(sodium ferric gluconate complex))は、Sanofi社のFerrlecit製品を滅菌蒸留水で希釈して使用した。

0066

マグネシウムスクロース(magnesium sucrose)溶液は、MgCl2H2O 83.6mgとスクロース(sucrose)150mgを蒸留水10mlに入れて30分以上攪拌して溶かし、0.22μmのフィルターを通過させて製造した後、蒸留水を用いて希釈して使用した。

0067

鉄スクロース(iron sucrose)溶液(水酸化第二鉄−スクロース複合体(ferric hydroxide sucrose complex))を得るためには、まず、砂糖100mgを蒸留水50mlに入れ、90℃で溶かした後、攪拌し続けながら5M NaOH1mlを添加してスクロース(sucrose)水溶液を製造した。この後、FeCl3 0.9gを蒸留水50mlに入れて20分以上攪拌して溶かした0.01M FeCl3水溶液を、90℃のスクロース(sucrose)水溶液に添加した。さらに、この後、5M NaOH溶液を1滴ずつ滴下してpH12に調整した。次に、80℃で2時間反応させた後、5,000rpmで5分間遠心分離して水酸化第二鉄−スクロース複合体(ferric hydroxide sucrose complex)を得、蒸留水で洗浄し、乾燥させた後に使用した。

0068

鉄イソマルトシド複合体(iron isomaltoside complex)、鉄カルボキシマルトース複合体(iron carboxymaltose complex)及び鉄デンプン複合体(iron starch complex)も、鉄スクロース(iron sucrose)を製造した方法にて、炭水化物のみを変えて製造して準備した。

0069

前記金属イオン結合物を金属イオン10mg/mlの濃度で準備した後、0.1mlの96ウェルプレートに3ウェルずつ分注した。この際、対照群としては蒸留水0.1mlを使用した。96ウェルプレートを、高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)にて、100Wのエネルギードーズ(energy dose)で5分間露出させた後、5分後に温度を熱画像カメラ(E60、韓国レンタル、韓国)で測定し、電磁波処理の前と後の温度変化における差を表1に示した。

0070

表1より、金属イオン炭水化物複合体に高周波を処理すると、対照群である蒸留水処理群よりも温度が3〜6℃以上上昇することを確認することができた。

0071

<実験例2.金属イオンのアポトランスフェリン結合能の評価>
金属イオンのアポトランスフェリン結合能を評価するために、鉄イオン(ferric iron、Fe III+)の濃度に応じてトランスフェリン結合能(Unsaturated Iron−Binding Capacity、UIBC)を次のとおり測定した。

0072

まず、鉄イオン水溶液を作るために、FeCl3(Sigma Aldrich、USA)3.6gを蒸留水400mlに入れて20分以上攪拌して溶かした後、5M NaOH溶液を1滴ずつ滴下して攪拌し続けながらpH9に調整した。赤褐色の沈殿物が見えたら、90℃で2時間攪拌した後、5,000rpmで5分間遠心分離することにより、沈殿した水酸化第二鉄(ferric hydroxide)を得、蒸留水で洗浄した後、乾燥させた。粉末状の水酸化第二鉄(ferric hydroxide)を蒸留水に溶かして濃度1、10、50、200、500g/dLの鉄イオン水溶液(ferric hydroxide solution)を準備した。各濃度の鉄イオン水溶液にアポトランスフェリン(apotransferrin)(Sigma Aldrich、USA)を200mg/dLとなるように添加し、ボルテックス(vortex)により1分間混ぜた後、37℃で30分間アポトランスフェリン(apotransferrin)と鉄イオンを反応させた。

0073

アポトランスフェリンの鉄イオン結合能(Unsaturated Iron−binding capacity)を測定するために、フェロジン比色法(Ferrozine colorimetric method)を利用した。鉄標準液(iron standard)としては塩化第一鉄(Ferrous chloride)を塩酸ヒドロキシルアミン(Hydroxylamine hydrochloride)に500g/dLの濃度で準備し、実験群ではアポトランスフェリン(apotransferrin)と鉄イオンの反応液を準備した。まず、0.5Mのトリス緩衝液(Tris buffer)(pH8)2mlをすべての試験管に分注した。次に、ブランク(blank)の試験管には蒸留水1mlを入れ、標準液(standard)の試験管には0.5mlの蒸留水及び0.5mlの鉄標準液(iron standard)を入れ、テスト対象(test)の試験管には、アポトランスフェリン(apotransferrin)と鉄イオンの反応液0.5ml、及び0.5mlの鉄標準液(iron standard)を入れた。この後、ボルテックス(vortex)により1分間混合した。

0074

560nmにて分光光度計(spectrophotometer)の値をゼロとした後、吸光度A1を測定した。次に、16.6mM濃度のフェロジン-塩酸ヒドロキシルアミン(Ferrozine Hydroxylamine hydrochloride)溶液を50Lずつ入れた後、ボルテックス(vortex)により1分間混合した。すべての試験管を37℃で10分間培養した後、560nmにて吸光度A2を測定した。560nmでの吸光度A560は、吸光度A2から吸光度A1を差し引いた値で計算し、表2に示した。

0075

UIBC(Unsaturated Iron−binding capacity)は次の式で計算された。

0076

UIBC=[standard conc.]−[ standard conc.]×Test A560/Standard A560

0077

表2での如く、鉄イオンとアポトランスフェリンの混合溶液では、鉄イオンがアポトランスフェリンと結合してモノフェリック(monoferric)トランスフェリンとジフェリック(diferric)トランスフェリンになることで、鉄イオンとの結合能(Unsaturated Iron−binding capacity、UIBC)が500μg/dLから119μg/dLに減少することを確認することができた。

0078

<実験例3:金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンの温度発熱能の評価>
「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)の発熱能を評価するために、鉄が結合されていないアポトランスフェリン、及び、鉄が結合されているアポトランスフェリンの水溶液に電磁波処理を行なった後、温度を測定した。鉄イオンが結合されていないアポトランスフェリン(Sigma Aldrich、USA)の水溶液を0、0.04、0.2、1、5mg/mlの濃度に希釈した後、各濃度ごとに0.1mlを96ウェルプレートに分注して準備した。

0079

鉄イオンが結合されたアポトランスフェリンを準備するためには、次のとおり鉄イオン水溶液とアポトランスフェリンとを反応させた。FeCl3(Sigma Aldrich、USA)3.6gを蒸留水400mlに入れて20分以上攪拌して溶かした後、5M NaOH溶液を1滴ずつ滴下して攪拌し続けながらpH9に調整した。赤褐色の沈殿物が見えたら、90℃で2時間攪拌しながら培養した後、5,000rpmで5分間遠心分離することにより、沈殿した水酸化第二鉄(ferric hydroxide)を得、蒸留水で洗浄した後、乾燥させた。粉末状の水酸化第二鉄(ferric hydroxide)を蒸留水に溶かして濃度100μg/dLの鉄イオン水溶液(ferric hydroxide solution)を準備した。鉄イオン水溶液にアポトランスフェリンを500mg/dLとなるように添加し、ボルテックス(vortex)により1分間混ぜた後、37℃で30分間アポトランスフェリンと鉄イオンとを反応させた。鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン溶液を0、0.04、0.2、1、5mg/mlの濃度に希釈した後、各濃度ごとに0.1mlを96ウェルプレートに分注して準備した。

0080

アポトランスフェリン水溶液のプレート、および鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)水溶液のプレートを、高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)にて100Wのエネルギードーズ(energy dose)で3分間曝す前と後の温度を熱画像カメラ(E60、韓国レンタル、韓国)で測定し、その温度変化における差を図1図4に示した。

0081

図1図4に示すように、アポトランスフェリン水溶液の電磁波処理前後の温度変化は、すべての処理濃度で3℃未満に維持されたのに対し、鉄イオンが結合されているアポトランスフェリン(トランスフェリン)水溶液の電磁波処理前後の温度変化は、1mg/mlで4.4℃上昇し、5mg/mlでは10.9℃上昇したことを確認することができた。

0082

<実験例4:金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンのin vitro癌細胞温度上昇能の評価>
金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンによる温度上昇能をin vitroの細胞実験で評価した。トランスフェリン受容体が過剰発現されている癌細胞株NCI−H460(Califer Life Sciences)を培養した後、濃度1×103cells/mlの細胞懸濁液0.1mlを96ウェルプレートに分注し、37℃のCO2培養器で12時間培養した。また、対照群としてヒト正常細胞のストロマ細胞(stromal cell)を培養して濃度3×103cells/mlの0.1mlを96ウェルプレートに分注し、37℃のCO2培養器で12時間培養した。

0083

用意された正常細胞株プレート(plate)と癌細胞株プレート(plate)のそれぞれに、鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)水溶液を0、0.04、0.2、1または5mg/mlとなるように添加した後、37℃のCO2培養器で4時間培養した。トランスフェリンと細胞培養を完了したプレートをDMEM培地で洗浄して、細胞内に流入していないトランスフェリンを除去した。次いで、各プレートを高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)にて100Wのエネルギードーズ(energy dose)で3分間曝したた後、温度変化を熱画像カメラ(E60、韓国レンタル、韓国)で測定し、その結果を図5図8に示した。

0084

図5図8に示すように、正常細胞株における電磁波処理前後の温度変化は、すべての処理濃度で7℃前後に維持されたのに対し、癌細胞株における電磁波処理前後の温度変化は、1mg/mlで11.9℃上昇し、5mg/mlでは12.6℃上昇したことを確認することができた。

0085

すなわち、図5図8より、トランスフェリンを投与した後で電磁波を処理する場合、トランスフェリンの濃度に応じた温度上昇が正常細胞株よりも癌細胞株にさらに選択的であることを確認することができた。

0086

<実験例5:金属イオンのin vivo癌組織蓄積の評価>
金属イオンの投与時に実際に癌組織に蓄積されるかをin vivo動物実験で評価するために、まず、癌移植(tumor xenograft)動物モデルを次のとおり作製した。肺癌細胞株NCI−H460−luc2(Califer Life Sciences)を培養した後、5×106の細胞を6〜8週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウス(athymic nude mouse)(ダムルサエンス製)の皮下に注射した後、10日程度育てることで、癌組織が100mm3以上成長するようにして癌移植(tumor xenograft)動物モデルを作製した。

0087

確立された癌移植(tumor xenograft)BALB/c無胸腺ヌードマウスに、実験例1で製造されたマグネシウムスクロース(magnesium sucrose)、鉄スクロース(iron sucrose)及び鉄デキストラン(irondextran)の金属イオン水溶液を0.2mg/mlの濃度に希釈した後、1mg/kgの用量となるように0.1ml静脈注射した。24時間経過の後、ICP−MS測定のために、各組織を1g採取して氷浴で組織粉砕機によって粉砕した後、粉砕液1mlを−60℃、7μmHgの真空状態で24時間乾燥させた。乾燥した粉末に2mlの6N HClを添加した後、密閉されたガラス反応器の中に入れ、55℃の培養器で培養した。12時間以上経過した後、各試料をボルテックス(vortex)し、1,000rpmで15分間遠心分離させることにより、上澄み液窒素ガスで乾燥させ、さらに0.01N HClを1ml入れてボルテックス(vortex)した後、1,000rpmで15分間遠心分離した。上澄み液を回収した後、正常組織と癌組織における金属イオンの濃度をICP−MS (Inductively coupled plasma mass spectrometry;Varian 800−MS、Palo Alto、US)で測定した。

0088

表3は、マグネシウムスクロース(magnesium sucrose)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に投与した後、正常組織と癌組織の部位に蓄積された金属イオンの濃度をICP−MSで測定した結果である。

0089

表3に示すように、マグネシウムスクロースを投与した際に癌組織のマグネシウムイオン(magnsium ion)の濃度が2.4倍以上増加した。

0090

表4は、鉄スクロース(iron sucrose)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に投与した後、正常組織と癌組織の部位に蓄積された金属イオンの濃度をICP−MSで測定した結果である。

0091

表4に示すように、鉄スクロース(iron scrose)を投与した際に癌組織の鉄イオン(iron ion)濃度が3.3倍以上増加し、これは肝、心臓腎臓、脳などの主要臓器よりも高かった。

0092

表5は、鉄デキストラン(irondextran)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に投与した後、正常組織と癌組織の部位に蓄積された金属イオンの濃度をICP−MSで測定した結果である。

0093

表5に示すように、鉄デキストラン(irondextran)を投与した際に癌組織における鉄イオンの濃度が対照群に比べて3.4倍以上増加し、これは肝、腎臓、心臓、胃、脳などの主要臓器での増加率よりも著しく高かった。

0094

<実験例6:金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリンのin vivo癌組織蓄積能の評価>
「金属イオンが非共有結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)の癌組織蓄積能を評価するために、鉄が結合されているトランスフェリンの水溶液をマウスに投与した後、正常組織と癌組織における金属イオンの濃度を測定した。鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)の水溶液を4mg/mlにて準備した後、16mg/kgの用量で0.1ml静脈注射した。24時間経過の後、実験例5と同様の方法で各組織を採取し、金属イオンの濃度をICP−MS(Inductively coupled plasma mass spectrometry;Varian 800−MS、Palo Alto、US)で測定した。

0095

表6は、「鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)を、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse)に投与した後、正常組織と癌組織部位に蓄積された鉄イオンの濃度をICP−MSで測定した結果である。

0096

表6に示すように、鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)を投与した際に癌組織における鉄イオンの濃度が対照群に比べて3.2倍以上増加し、これは肝、腎臓、心臓、胃、脳などの主要臓器における増加率よりも著しく高かった。

0097

<実施例1:温熱治療用感作剤の投与および電磁波を利用した癌温熱治療>
癌細胞は、非正常な分裂を継続すべく、急速な細胞分裂に必要な栄養成分を急激に受け入れるが、代謝調節能が低い。実際、癌細胞は、トランスフェリン受容体を過剰発現させ、細胞分裂に必要な鉄を多く受け入れるが、熱調節能に劣り、正常細胞に比べて高熱に、相対的に敏感であることが知られている。したがって、癌細胞にのみ集中的に熱を加えると、癌細胞の選択的死滅が可能である。癌細胞に対する標的指向性を有するトランスフェリンは、癌細胞に過剰発現されたトランスフェリン受容体を介して癌細胞に鉄を集中的に伝達するが、この際、癌細胞に電磁波処理を行なう際の温度上昇による癌細胞死滅が可能であろうと予測された。

0098

本実施例1では、実験例で優れた温度上昇能が確認された金属イオン結合物を温熱治療用感作剤として用いて癌移植(tumor xenograft)動物モデルにおける温熱治療時の抗癌効能の可能性を確認した。

0099

このため、肺癌細胞株NCI−H460−luc2(Califer Life Sciences)を培養した後、5×106の細胞を6〜8週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウス(athymic nude mouse)(ダムルサイエンス製)の皮下に注射した後、10日程度育てることで癌組織が100mm3以上成長するようにして、癌の治療効能を研究するための癌移植(tumor xenograft)動物モデルを作製した。

0100

次に、温熱治療用感作剤組成物である鉄スクロース(iron sucrose)を実験例1の方法で準備した後、確立された癌移植(tumor xenograft)マウスに1mg/kgの用量となるように濃度0.2mg/mlの鉄スクロース(iron sucrose)水溶液を0.1ml静脈内注射した。

0101

また、温熱治療用感作剤組成物である「鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン」(トランスフェリン)を実験例3の方法で準備した後、確立された癌移植(tumor xenograft)マウスに20mg/kgの用量となるように濃度5mg/mlのトランスフェリン(transferrin)水溶液を0.1ml静脈注射した。

0102

対照群には生理食塩水を投与した。投与4時間後、高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)にて100Wのエネルギードーズ(energy dose)で3分間照射した後、正常組織と癌組織の温度を熱画像カメラ(E60、韓国レンタル、韓国)で撮影し、その結果を図9図11に示した。

0103

図9図11に示すように、対照群の場合、電磁波処理前後の正常組織と癌組織における温度がいずれも1℃程度上昇したレベルであって差がなかった。しかし、鉄スクロース(iron sucrose)投与群の場合、電磁波処理前後の温度変化が、正常組織では1℃、癌組織では1.9℃であって差があり、鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)投与群の場合も、電磁波処理前後の温度変化が、正常組織では1℃、癌組織では2℃であって差があった。すなわち、図9図11から、温熱治療用感作剤を投与したマウスの癌組織に電磁波処理を行う場合、癌組織に伝達された鉄イオンの発熱に応じて正常組織よりも癌組織で温度上昇が増加することを確認することができた。

0104

次に、前記金属イオン結合物を温熱治療用感作剤として用いて温熱治療時の癌治療可能性を確認した。肺癌細胞株NCI−H460−luc2(Califer Life Sciences)を培養し、5×106の細胞を6〜8週齢の雌BALB/c無胸腺ヌードマウス(athymic nude mouse)(ダムルサイエンス製)の皮下に注射した後、10日程度育てることで癌組織が100mm3以上成長するようにして、癌の治療効能を研究するための癌移植(tumor xenograft)動物モデルを作製した。

0105

次に、温熱治療用感作剤組成物である金属イオン結合物を実験例1の方法で準備した後、確立された癌移植(tumor xenograft)マウスに金属イオン単糖類結合物(iron gluconate)、金属イオン二糖類結合物(iron sucrose)、金属イオンオリゴ糖結合物(iron isomaltoside)、金属イオン多糖類結合物(iron carboxymaltose、irondextran、iron starch)を1mg/kgの用量となるように0.1ml静脈注射した。

0106

また、温熱治療用感作剤組成物である鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(トランスフェリン)を実験例3の方法で準備した後、確立された癌移植(tumor xenograft)マウスに20mg/kgの用量となるように0.1ml静脈注射した。

0107

4時間経過の後、高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)にて100Wのエネルギードーズ(energy dose)で10分間温熱治療する過程を週3回、4週間にわたって行った。この際、無処理群と生理食塩水処理群を対照群とした。最終の週に癌組織の大きさを分析するために、バイオ蛍光イメージング(bioluminescence imaging)を行った。ルシフェラーゼ(luciferase)発現癌細胞株であるNCI−H460−luc2を発光させるために、D−ルシフェリン(luciferin)(Xenogen、USA)を150mgルシフェリン/kg/dの濃度でマウスに腹腔注射し、イソフルランガス(isoflurane gas)と酸素を混合して吸入麻酔させた後、Xenogen imager(IVIS 200)で、発光した癌細胞を重畳撮影し、Igor Pro imaging analysis softwareを用いて分析し、その結果を図12に示した。

0108

図12は、本発明の実施例1によって、癌が誘導されたマウス(Tumor xenograft mouse model animal)に無処理(A)、生理食塩水(B)、グルコン酸鉄(iron gluconate(C))、鉄スクロース(iron sucrose(D))、鉄カルボキシマルトース(iron carboxymaltose(E))、鉄デキストラン(irondextran(F))、鉄デンプン(iron starch(G))およびトランスフェリン(transferrin(H))を投与し、高周波温熱治療後のマウスモデルの癌組織の大きさをバイオ蛍光で分析した結果である。

0109

図12に示すように、無処理群(A)および生理食塩水処理群(B)とは異なり、金属イオン結合物投与群(C〜H)の場合、温熱治療後の癌の大きさが明らかに減少することを確認することができた。特に、鉄スクロース(iron sucrose(D))、鉄デキストラン(irondextran(F))およびトランスフェリン(transferrin(H))処理群では、温熱治療による癌治療効果に最も優れていた。

0110

最後に、温熱治療感作剤として使用するときに抗癌効果に最も優れるものと確認された鉄スクロース(iron sucrose)、鉄デキストラン(irondextran)およびトランスフェリン(transferrin)を、温熱治療用感作剤として用いて、電磁波を利用した温熱治療時の癌の完治可能性の有無を確認した。このため、tumor xenograft BALB/c無胸腺ヌードマウスに生理食塩水、鉄デキストラン(iron dextran)、鉄スクロース(iron sucrose)、および鉄イオンが結合されたアポトランスフェリン(transferrin)水溶液を、一日置きに週3回静脈内注射し、4時間経過の後、高周波温熱癌治療器(EHY−2000、Oncothermia)によって100Wのエネルギードーズ(energy dose)で30分以上温熱治療する過程を、4週間行なうとともに、1週間隔で癌組織の大きさをモニタリングした。鉄デキストラン(iron dextran)と鉄スクロース(iron sucrose)の投与群には、それぞれ濃度0.2mg/mlの鉄デキストラン(iron dextran)または鉄スクロース(iron sucrose)の水溶液を0.1ml静脈注射し、トランスフェリン(transferrin)投与群には、濃度5mg/mlのトランスフェリン(transferrin)水溶液を0.1ml静脈内注射した。このとき、無処理群と生理食塩水投与群を対照群とした。

0111

癌組織の大きさを分析するためには、バイオ蛍光イメージング(bioluminescence imaging)を1週間隔で行い、Igor Pro imaging analysis softwareを用いて分析した後、その結果を図13に示した。

0112

図13に示すように、最初の癌組織の大きさと4週間後の癌組織の大きさをバイオ蛍光イメージで比較した結果、無処理対照群に比べて、生理食塩水処理群の場合は初期には多少癌の成長を阻害するかのように見えたが、時間経過に伴って効能が減少した。鉄デキストラン(irondextran)を感作剤として投与した実験群と鉄スクロース(iron sucrose)を感作剤として投与した実験群の場合は、電磁波を利用した温熱治療時の癌の成長速度が明らかに減少することを確認することができた。トランスフェリン投与群の場合には、明らかに癌の成長を抑制し、大きさを減少させるが、試験終了時点である4週間後には完全に無くなるという、驚くべき抗癌効能を確認することができた。

実施例

0113

以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に好適な実施様態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求の範囲とそれらの等価物によって定義されるというべきである。

0114

本発明に係る癌温熱治療用感作剤組成物を用いると、癌細胞のみ選択的に金属成分を蓄積させることができるため、痛みや副作用がないうえ、癌治療効能が著しく向上した最も理想的な抗癌治療法になり得ることから、抗癌治療に広く利用されるものと期待され、化学療法や放射線療法などの他の癌治療方法とも併用可能なので、癌の完治可能性を高めることができる。

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