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課題・解決手段
概要
背景
タイヤ部分の製造に使用されるゴム配合物は、知られているように、ポリマーベースが酸素および/またはオゾンと反応することによるゴムの劣化を防止するために老化防止剤を含む。
老化防止剤は、(自身が酸化されることによって)酸化プロセスを防止または抑制するためにゴムなどの酸化し易い配合物に添加される物質である。つまり、老化防止剤は、大気物質と反応することができ、そのため、大気物質とポリマーベースとの反応を抑制することができる物質である。
配合物中の老化防止剤の濃度は、大気へ暴露される程度や、配合物から製造されるタイヤ部分が受ける温度および機械的ストレス条件に依存する。
最も多用されている老化防止剤は、N−1,3−ジメチルブチルーN’−フェニル−パラフェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)などのパラフェニレンジアミン(PPD)ファミリーの一部を構成するか、場合によっては2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などのフェノール誘導体であり、あるいは、α−トコフェロール、α−トコトリエノール、γ−トコフェロール、γ−トコトリエノールなどのビタミンEファミリーの一部、または、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)(TMQ)などのキノリンファミリーの一部を構成する。
出願人は、研究により、ポリマー配合物、特にゴム配合物において、既知の老化防止剤の有効な代わりとして使用され得る新規なクラスの老化防止剤を見出した。
概要
ポリマー配合物における老化防止剤としての、下記一般式(I)で表されるスチルベンファミリー化合物の使用。 (I)(式中、置換基は下記5つの組み合わせから選択される:a)R1、R3、R5はOHであり、R2、R4、R6はHである;b)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである;c)R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである;d)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はC(CH3)3である;e)R1、R4はOC(CH3)3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである)
目的
効果
実績
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請求項1
ポリマー配合物における老化防止剤としての、下記一般式(I)で表されるスチルベンファミリー化合物の使用。 (I)(式中、置換基は下記5つの組み合わせから選択される:a)R1、R3、R5はOHであり、R2、R4、R6はHである;b)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである;c)R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである;d)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はC(CH3)3である;e)R1、R4はOC(CH3)3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである)
請求項2
前記ポリマー配合物はゴム配合物である、請求項1に記載の使用。
請求項3
少なくとも1つのポリマーベースと、硬化システムと、老化防止剤とを含むポリマー配合物であって、前記老化防止剤は下記一般式(I)で表されるスチルベンファミリー化合物である、ポリマー配合物。(I)(式中、置換基は下記5つの組み合わせから選択される:a)R1、R3、R5はOHであり、R2、R4、R6はHである;b)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである;c)R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである;d)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はC(CH3)3である;e)R1、R4はOC(CH3)3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである)
請求項4
ゴム配合物である、請求項3に記載のポリマー配合物。
請求項5
請求項6
請求項5に記載のタイヤ部分を含む、タイヤ。
請求項7
下記一般式(I)で表される物質。(I)(式中、R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである)
技術分野
0002
特に、本発明は、下記記載において純粋に一例として言及するタイヤに有利に使用され得る。
背景技術
0004
老化防止剤は、(自身が酸化されることによって)酸化プロセスを防止または抑制するためにゴムなどの酸化し易い配合物に添加される物質である。つまり、老化防止剤は、大気物質と反応することができ、そのため、大気物質とポリマーベースとの反応を抑制することができる物質である。
0006
最も多用されている老化防止剤は、N−1,3−ジメチルブチルーN’−フェニル−パラフェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)などのパラフェニレンジアミン(PPD)ファミリーの一部を構成するか、場合によっては2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などのフェノール誘導体であり、あるいは、α−トコフェロール、α−トコトリエノール、γ−トコフェロール、γ−トコトリエノールなどのビタミンEファミリーの一部、または、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)(TMQ)などのキノリンファミリーの一部を構成する。
発明が解決しようとする課題
0008
本発明の目的は、ポリマー配合物における老化防止剤としての、下記一般式(I)で表されるスチルベンファミリー化合物の使用である。
(I)
(式中、置換基は下記5つの組み合わせから選択される:
a)R1、R3、R5はOHであり、R2、R4、R6はHである;
b)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである;
c)R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである;
d)R1、R4はOCH3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はC(CH3)3である;
e)R1、R4はOC(CH3)3であり、R2、R5はOHであり、R3、R6はHである)
0009
上記ポリマー配合物はゴム配合物であることが好ましい。
0010
本発明の他の目的は、少なくとも1つのポリマーベースと、硬化システムと、上記5つの化合物から選択される老化防止剤とを含むポリマー配合物、好ましくはゴム配合物である。
0011
本発明の他の目的は、上記5つの化合物から選択される老化防止剤を含むゴム配合物から製造されたタイヤ部分である。
0012
本発明の他の目的は、上記定義の部分を含むタイヤである。
0013
本発明の他の目的は、下記一般式(I)で表される物質である。
(I)
(式中、R1、R4はOHであり、R2、R5はOC(CH3)3であり、R3、R6はHである)
0014
明確にすることを目的として、本発明に係る5つの老化防止剤を以下に示す。
化合物A
化合物B
化合物C
0015
化合物Cは新規な化合物であるため、老化防止剤としての用途としてクレームするだけではなく、化合物自体としてもクレームする。全体的の合成模式図を以下に示す。
化合物D
化合物E
0016
本発明が明確に理解されることを目的として、多くの実施形態を非限定的な実施例として純粋に以下に記載する。
0018
−物質A、Bの老化防止試験−
本発明に係る上記物質のゴム老化防止性能の試験にあたって、エラストマーをモデル化合物MC(本ケースでは、クメン)と置き換えたガスクロマトグラフィーに基づく試験方法を用意した。クメンの酸化低減現象をラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)により開始し、酸素の存在下、かつ、大気圧よりも高い圧力下で温度を140℃に制御して評価した。
0022
より具体的には、老化防止剤なし;6PPD2.46*10-2m;TMQ 2.46*10-2m;物質A 2.46*10-2m;物質B 2.46*10-2mの5種類の酸化試験を行った。
0023
上記酸化試験は上述の条件で行った。各酸化試験について、上述の条件とした0時間後、2時間後、4時間後、6時間後、および、8時間後に混合物サンプルを0.1ml採取した。各サンプルをガスクロマトグラフィーで分析し、酸化反応後に残留しているクメンの量を測定した。
0024
表Iは、酸化試験で検出されたクメンの量を使用した老化防止剤およびサンプリング間隔に基づいて示す。クメンの量は初期のクメン量の残留率(%)として表す。n−デカンを参照基準として使用することにより、測定が可能となった。
0025
クメンの残留率(%)が高いほど化合物の老化防止能が高い。
0027
事実、本発明に係る老化防止剤を含む配合物のクメン値は、一般的なゴム配合物用老化防止剤を含む配合物のクメン値よりも高くないとしても、同等なレベルである。
0029
本発明に係る老化防止剤の効果を更に確認するために、具体的なタイヤ部分に特徴的な組成の配合物について試験を行った。
0030
表IIに示す組成(単位phrで示す)の3種類のゴム配合物(I〜III)を製造した。
0031
配合物I〜IIIは下記の標準的な方法で製造した。
0033
ミキサーを40〜60rpmの速度で作動させ、温度が145℃〜165℃に達した時点で、得られた混合物をミキサーから取り出した。
0034
(第2の混合ステップ)
第1の混合ステップで得られた混合物を、再度、40〜60rpmの速度で作動させたミキサー内で混合し、温度が130℃〜150℃に達した時点で取り出した。
0036
ミキサーを20〜40rpmの速度で作動させ、温度が100℃〜110℃に達した時点で、得られた混合物を取り出した。
0037
表IIに示す配合物の機械特性を測定する試験を行った。
0039
より具体的には、M300モジュラスに関連する特性を測定した。
0041
表IIIは、上記サンプルのM300モジュラスの測定結果を示す。
0042
本発明に係る配合物の利点をより分かりやすく示すために、表IIIの試験結果は、エイジング前のそれぞれの配合物の測定結果に対して指標化している。
実施例
0043
表IIIの数値に示されるように、本発明に係る老化防止剤を配合物に使用すると、配合物の機械的特性を既知の老化防止剤の場合と同程度に確実に維持することができる。