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技術 オリゴペプチド及びその接合体を製造する方法

出願人 エフ.ホフマン-ラロシュアーゲーインスティティ・パスツールサントルナショナルドゥラルシェルシュシアンティフィクコミッサリアアレネルジアトミックエオーエネルジアルターネイティブス
発明者 ラファイエ,ピエールベイ,シルヴィーデラトゥール,ブノワデナン,マルクデュイカーツ,シャルルリ,テンフェイヴァンデキーユ,マチアスチェック,クリスティアングリュエンインゲル,フィオナ
出願日 2014年11月13日 (7年3ヶ月経過) 出願番号 2016-530017
公開日 2016年12月8日 (5年2ヶ月経過) 公開番号 2016-538280
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 動物,微生物物質含有医薬 突然変異または遺伝子工学 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 医薬品製剤 微生物、その培養処理
主要キーワード 中心構造体 方形バー 平面状構造 新開発 中央領 テトラチオモリブデン酸アンモニウム 投影体 単一光子放出コンピュータ断層撮影
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課題・解決手段

本発明はオリゴペプチド及びその接合体に関する。本発明はまた、これらオリゴペプチド接合体の、アミロイドβ沈着により媒介される疾患の治療又は診断のための使用に関する。最後に、本発明はまた、興味対象物質カップリングしたオリゴペプチ(機能的接合体)を取得するためのカップリング法に関する。

概要

背景

痴呆の全症例の約70%は、認知に重要な脳領域及び神経回路の選択的障害に関連するアルツハイマー病(AD)に起因する。アルツハイマー病は、(特に海馬錐体ニューロンにおける)神経原線維変化並びにアミロイド沈着の高密度コア及び散在性ハロー(diffuse halos)を通常含有する多数のアミロイド斑により特徴付けられる。

細胞外神経炎性斑は、「アミロイドβ」、「A-ベータ」、「アミロイドP」、「AP4」、「Aβ」、「βA4」、「P-A4」又は「AP」と名付けられた、多量の優勢原線維ペプチド(predominantly fibrillar peptide)を含有する;Selkoe (1994), Ann. Rev. Cell Biol. 10, 373-403;Koo (1999), PNAS Vol. 96, pp. 9989-9990;米国特許第4,666,829号、又はGlenner (1984), BBRC 12, 1131を参照)。このβアミロイドは、「アルツハイマー前駆体タンパク質/β-アミロイド前駆体タンパク質」(APP)に由来する。APPは膜内在性糖タンパク質であり(Sisodia (1992), PNAS Vol. 89, pp. 6075を参照)、形質膜プロテアーゼであるα-セクレターゼによりAβ配列内でタンパク質内分解的に切断される。更に、セクレターゼ活性(特に、β-セクレターゼ及びγ-セクレターゼ活性)は、異なるサイズのタンパク質、例えば39アミノ酸(Aβ39)、40アミノ酸(Aβ40)、42アミノ酸(Aβ42)又は43アミノ酸(Aβ43)のタンパク質を含むアミロイド-βの細胞外放出を導く;Sinha (1999), PNAS 96, 11094-1053;Price (1998), Science 282, 1078-1083;WO 00/72880又はHardy (1997), TINS 20, 154を参照。注目すべきことには、Aβは幾つかの天然に存在する形態を有し、ヒト形態は上記のAβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42及びAβ43と呼ばれる。Aβ42形態はアミノ酸配列(N末端から始まる):DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号12)を有する。Aβ41、Aβ40、Aβ39には、C末端アミノ酸A、IA及びVIAがそれぞれ存在しない。Aβ43形態では、追加の1つのスレオニン残基が上記配列(配列番号12)のC末端に含まれる。APP遺伝子の変異は、Aβ配列の改変及び凝集蓄積の増加に至ることがある。

これら細胞外神経炎性斑の主成分は、水溶性形態のAβ40又はAβ42である。しかし、当初は、ADの病理における中心構造体として水不溶性原線維アミロイドが着目されていたのであるが、最近15年の間に展開があった。これは、幾つかの目立った発見、例えばヒト脳においてオリゴマーAβの水溶性画分を見出したことに起因した(Kuo Y.M.ら,1996, J Biol Chem, 271, 4077-81)。これら単離された可溶性オリゴマーは培養におけるニューロンに対して毒性であった。その後、オリゴマーAβの存在及び毒性が確証され、ADDL(Aβ由来拡散性リガンド)の名称がこの構造体に因んで提案された(Lambert M.P.ら, 1998, Proc Natl Acad Sci U.S.A., 95, 6448-53)。条件により、ADDL組成物は、三量体-六量体を優勢に含有することがあり、より大きな構造体は24マーまで含み得る。ADDLは、小脳ではニューロンに寛容である一方、海馬CA1領域及び内嗅皮質ではニューロンを選択的に殺傷するという重要な領域選択神経毒性を示す(Klein W.L.ら, 2001, Trendsin Neurosciences, 24, 219-224)。更に、オリゴマーは、ラットにおいてインビボ(Walsh D.M.ら, 2002, Nature, 416, 535-9)及び海馬スライス(Wang H.W.ら, 2002, Brain Res., 924, 133-40;Wang Q.ら, 2004, J Neurosci., 24, 3370-8)で海馬長期増強(LTP)を阻害することができる。認知障害は、可溶性オリゴマー形態のアミロイドβの低量に直接帰せられることが示されている;三量体、及びより程度は低いが、二量体及び四量体が特に活性である(Cleary J.P.ら, 2005, Nat Neurosc., 8, 79-84;Townsend M.ら, 2006, J Physiol, 572, 477-92)。

アミロイド斑は、アルツハイマー病発症の長期間(最大30年)前に生じ(Sperling R.A., 2011, Alzheimer's and Dementia, 7:280-92;Villemagne V.L., 2013, Lancet Neurol., 12:357-67)、アミロイドカスケード仮説によれば、アミロイドは、ADの全ての病変を導く事象カスケードの原因である(Hardy J.A., 1992, Science, 256:184-5)。よって、アミロイドの早期検出は、アルツハイマー病のフォローアップ及びその治療に関して重要である。動物モデルにおけるアミロイド斑の画像化もまた、新薬スクリーニングに重要である。
アミロイド沈着は血管病変(アミロイド血管症)にも関連付けることができる。アミロイドは、他の疾患、例えばダウン症候群過程で同様な形態で蓄積する。

アミロイド疾患、特にアルツハイマー病の病変を検出する幾つかの方法が開発されている。今日まで、ヒトにおいて、最も広範に使用されている方法は、陽電子断層撮影法(PET)に基づくものである。アミロイド量は、例えば、PET放射性リガンド、例えば11C-PIB(Klunk W.E., 2004, Ann Neurol., 55:306-19)又は18F-AV-45(Doraiswamy P.M., 2012, Neurology, 79:1636-44)を用いることにより、患者においてインビボで評価することができるが、動物ではより困難である。これら化合物放射性標識する必要があることが、PETベースの方法の主な短所である。ヒトにおいて、このことは電離放射線への曝露を導く。前臨床研究において、放射性化合物を扱うことが許されている機関は限られているので、PET検査を新薬の大規模評価及び定期診断に使用することはできない。また、11Cのような短い半減期(20分)の同位体は、11Cをベースにするリガンド(例えば、PIB)を用いるとき、現場サイクロトロンの存在を必要とする。18Fをベースにするリガンドは半減期がより長い(110分)が、この半減期も依然として比較的短い。このことは、、注意深い計画を必要とする有効期間が限定された放射性トレーサーの供給、取扱い及び投与に関連する強力なロジスティックを必要とする。更に、PET画像解像度が低いという難点があり、脳サイズが小さなAD動物モデルにおけるルーチンの前臨床研究への使用は妨げられる。まとめると、AD及びダウン症候群の患者及び動物モデルの両方において、その脳病変をインビボで画像化するための新たな選択肢を早急に見出す必要があるといえる。

また、PET撮像法核磁気共鳴(NMR)撮像法又は磁気共鳴撮像法(MRI)もAD脳病変の検出に使用することができる。最近の10年間の間、MRIによる検出を可能にする新たなアプローチを開発する多くの努力がなされてきた。アミロイド斑内で天然に生じる循環性鉄沈着に起因して、造影剤なしのプロトコルにより、幾らかのAβ沈着可視化が可能である。しかし、アミロイド沈着物中の鉄蓄積は、ヒトでは低いことがあり(Dhenain M., 2002, NMR Biomed., 15:197-203)、マウスにおいては、疾患の後期ステージにのみ又は限られた脳領域でのみ生じる(Dhenain M., 2009, Neurobiol Aging 30:41-53)。幾つかのプロトコルは特定の造影剤の使用に基づく。例えば、幾つかのグループは、ガドリニウム(Gd)又は単結晶性酸化鉄ナノ粒子(MION)で磁性標識したAβ由来ペプチドを用いる造影剤を開発した(Wadghiri, Y.Z., 2003, Magn Reson Med., 50:293-302;Poduslo, J.F., 2002, Neurobiol Dis., 11:315-329)。これら方法のしようにより、エキソビボ及びインビボ検出が達成されているが、依然として(高い効率・再現性でなし得ず、有害であり得る)血液脳関門(BBB)の透過(例えば、血液脳関門を一過性に開口させるためのマンニトールの使用)を必要とする。よって、これら方法はBBBを開口させる必要があるという難点があり、したがって非実験的状況では使用されない。他のグループは、アミロイド斑を標的する抗体によりアミロイドを標的する方法を開発した(Ramakrishnan, M., 2008, Pharm Res., 25:1861-1872)。MRIによりアミロイド斑を検出する最近のアプローチは、アミロイド斑を標的し、BBBを横断する能力が増大した小さな抗体フラグメント(ポリアミン修飾Fabフラグメント)の使用に基づく。この抗体が、MRIによる検出を可能にする造影体(contrastophore)に連結される(Ramakrishnan, M., 2008, Pharm Res., 25:1861-1872)。しかし、抗体は、アルブミンのような他の大きな血漿タンパク質と同様、BBBを容易に横断せず、概して、循環血漿区画閉じ込められたままとなる。BBBを横切る抗体分子送達を増強する1つの可能な機序は、表面カルボキシル基一級アミノ基を接合して抗体の等電点(pI)を上昇させるカチオン化である(Bickel U.ら, 2001, Adv Drug Deliv Rev., 46:247-279)。カチオン化タンパク質の正電荷細胞表面の負電荷に結合し、この相互作用トリガーとなり、細胞内へのカチオン化タンパク質の吸着介在型エンドサイトーシスを導く。イムノグロブリンのカチオン化に関しては、最近の研究により、この手順がインビトロで単離脳毛細管による吸着介在型エンドサイトーシスの増強を生じること、及びこのエンドサイトーシスプロセスが、インビボで脳内へのカチオン化IgG正味トランスサイトーシスをもたらすことが示されている。カチオン化抗体の適用における主な制限は、抗原結合性の低下である。事実、カチオン化プロセスによって抗原との結合に通常関与するアルギニン及びリジンが修飾されるので、カチオン化モノクローナル抗体の親和性は影響を受ける(Triguero D.ら, 1991, J Pharmacol Exp Ther. 258:186-192)。

従来型イムノグロブリンは、2つの重鎖及び2つの軽鎖から構成されるヘテロ四量体であり、合わせた分子量は約150kDaである。ラクダ科メンバーにおいて、血清抗体の相当な割合が分子量約80kDのホモ二量体IgGである(Hamers-Casterman C.ら, 1993, Nature, 363:446-448)。この重鎖イムノグロブリン(Ig)は3つのドメインを含有し、その可変領域はVHHと呼ばれる。組換えVHH(サイズ12〜14kD程度)は、インタクト抗原結合ドメインを構成し、広範な抗原結合レパートリを示す。その超可変領域拡張しており、特有の特徴(例えば、3〜4の疎水性フレームワーク残基(これは従来型抗体においてはVLと相互作用する)の、より親水性のアミノ酸での置換)を示す。拡がったCDRを安定させるため、VHHは、標準的なジスルフィド結合に加え、ヒトコブラクダではCDR1とCDR3との間、ラマではCDR2とCDR3との間に余分のジスルフィド結合を有し得る(Harmsen, M.M. and De Haard H.J., 2007, Appl Microbiol Biotechnol., 77:13-22;Muyldermans S., 2001, J Biotechnol., 74:277-302)。拡張CDR3ループ凸面状立体構造を採用することができる一方、従来型パラトープは凹面状又は平面状構造に限られている(Muyldermans S., 2001, J Biotechnol., 74:277-302)。これら特徴により、VHHは、従来型抗体には免疫原性が乏しい独特エピトープを認識することが可能である(Lafaye P.ら, 2009, Mol Immuno., 46:695-704;Wernery U., 2001, J Vet Med B Infect Dis Vet Public Health., 48:561-568)。VHHは、定義によれば、単価抗体(本来、アビディティ効果は排除される)であるが、インビトロでIC50として測定される生物学的活性は、従来型の二価抗体分子に類似することもある(Thys B.ら, 2010, Antiviral Research., 87:257-264)。

ホモ二量体VHHはインビボ免疫診断の新たな観点を提供すると提案された。免疫したラクダ又はラマのVHHレパートリから抗原特異的VHHを選択するためには、ファージディスプレイのような方法が記載されている。VHH遺伝子をファージディスプレイベクタークローニングし、パニングにより抗原結合体を取得し、選択したVHHを細菌で発現させる。組換えVHHは、従来型抗体フラグメント(Fab又はscFv)と比較して幾らかの利点を有する。なぜならば、唯一つのドメインがクローニングされ、また、VHHは良好に発現し、水性環境中で高度に可溶性であり、高い温度で安定であるからである。約12〜14kDaという小さなサイズのために、VHHは(約60kDaのカットオフを有する)フィルターを迅速に通過し、結果として迅速な血液クリアランスを生じる。加えて、小さなサイズは急速な組織浸透という結果をもたらす。scFvの4時間及びIgGの50時間に比べて、約2時間というVHHの短い血清半減期は、非特異結合VHHが組織から迅速に除去されると予想されるため、画像化を利用するインビボ診断、及び興味対象物質カップリングしたVHHの疾患治療目的の標的化に有利である。

Li T.ら(2012, Faseb J., 26:3969-3979)は、GFAP(アストロサイトに特異的な中間フィラメントタンパク質)を指向するVHHを取得した。著者らは、生存マウスへの頸動脈内注射により、この天然型VHHが、BBBを横断し、脳組織拡散し、アストロサイトに浸透し、GFAPエピトープに特異的に結合することが天然に可能であるため、「トランスボディー(transbody)」として作用することを示した(国際出願WO 2010/004432も参照)。
より一般的にいえば、少なくとも8.5の等電点を有するVHHは、マイクロピノサイトーシス及び吸着介在型エンドサイトーシスにより、BBBを横切って移動することが可能である。このVHHは、哺乳動物の血液脳関門を横切る興味対象の物質の送達用ペプチドベクターの製造に使用することができる(国際出願WO 2009/004495及びWO 2010/004432)。

国際出願WO 2004/044204は、アミロイドβペプチド42(Aβ42)にインビトロで特異的に結合することができるラクダ科動物単鎖抗体可変フラグメント(VHH)のライブラリの作製を開示する。このVHHは、Aβ42でラマ(Lama pacos)を免疫することにより取得された。なかでも、VHH V31-1と呼ばれる1つの特定のVHHは、ELISAにより、原線維形態のAβ42ペプチド(Aβ42)のカルボキシ末端部を特異的に認識し、免疫組織化学によりニューロン内Aβ42沈着物を特異的に認識すると記載されている。しかし、国際出願WO 2009/004494において、WO 2004/044204の発明者らは、WO 2004/044204の記載に反して、VHH V31-1は水不溶性原線維形態のAβ42を認識しないが、Aβ42の水溶性低分子オリゴマー(すなわち、単量体、二量体、四量体及び十二量体)を特異的に認識することを免疫組織化学により明確に示した(Lafaye P.ら, 2009, Mol Immunol., 46:695-704も参照)。国際出願WO 2009/004494において、WO 2004/044204の発明者らは、WO 2004/044204で開示した2つのVHH、すなわちVHH 61-3及びVHH L1-3を更に調べた。彼らは、AD脳組織スライスの免疫組織化学的染色により、ニューロン内での免疫反応性がVHH 61-3については非常に微かであり、VHH L1-3については検出不能であることを示した。

Rutgers K.S.ら(2011, Neurobiol. Aging, 32:1774-83)は、非免疫及び免疫ライブラリからの、アミロイドβに特異的な8つのラマ由来重鎖抗体フラグメント(VHH)のファージディスプレイによる選択、並びにファージ-ELISA、免疫組織化学及び表面プラズモン共鳴によるアミロイドβに対する親和性及び特異性の測定を報告している。著者らは、この8つのVHHが(別個免疫原と一致して)別個のアミロイドβエピトープをインビトロで認識することを示した。著者らはまた、これらVHHのうち3つが血管性アミロイドβ沈着物及び実質性アミロイドβ沈着物を認識する一方、残る5つのVHHは血管性アミロイドβを特異的に認識する(実質性アミロイドβには結合しない)ことを示した。著者らは、血管性アミロイドβ沈着物及び実質性アミロイドβ沈着物がエピトープの存在/利用性の点で異質であり、アミロイドβに特異的なVHHが血管性アミロイドβ沈着物と実質性アミロイドβ沈着物とを識別するインビボ画像試薬として使用できると結論付けている。
Nabuurs R.J.A.ら(2012,PLoS One, 7:e38284)は、Rutgersらが開示した2つのVHH、すなわちVHH ni3A及びpa2Hをインビボで更に特徴決定した。著者らは、Rutgersらの報告に反して、両VHHが実質性アミロイドβ沈着物及び血管性アミロイドβ沈着物に親和性を示すことを見出した。事実、Rutgers K.S.らは、ヒト組織についての免疫組織化学で、ni3Aが血管性アミロイドβのみを特異的に標的すると報告した。Nabuurs R.J.A.らは更に、VHH ni3A及びpa2Hは脳取込みが低く過ぎてインビボ画像化に使用できないと報告している。

概要

本発明はオリゴペプチド及びその接合体に関する。本発明はまた、これらオリゴペプチド接合体の、アミロイドβ沈着により媒介される疾患の治療又は診断のための使用に関する。最後に、本発明はまた、興味対象の物質とカップリングしたオリゴペプチ(機能的接合体)を取得するためのカップリング法に関する。なし

目的

したがって、神経画像により、インビボで、アミロイドβ沈着により媒介される疾患を診断するため及び前記疾患(特に、アルツハイマー病及びダウン症候群)の病状進行をモニターするための手段及び方法を提供する

効果

実績

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請求項1

式P-C-Z又はZ-C-P(式中:Pは還元型システイン残基を有しない8〜800アミノ酸ペプチドであり、Cはシステイン残基であり、Zは1〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサーを表し、ここで、Zのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、Zはシステイン残基を含有しない)のオリゴペプチドであって、前記システイン残基Cが興味対象物質を有する式(I):(式中:− B、B'1、B'2及びB”は、同一か又は異なって、独立して、単結合、又はポリオール、例えばポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは2〜12のオキシエチレン(OE)単位を有するPEG、ポリオレフィン、好ましくは2〜12の芳香環を有するポリオレフィン、ポリアルキル、好ましくは2〜12の炭素原子を有するポリアルキル、ビニルポリマー、例えばポリ(アルキルメタクリレート)、好ましくは2〜12のメタクリレート基を有するポリ(アルキルメタクリレート)、ポリアルデヒド、好ましくは2〜12のカルボニル基を有するポリアルデヒド、ポリ酸エステル、好ましくは2〜12のエステル基を有するポリ酸エステルから選択されるスペーサーであり、− D、D'及びD”は、同一か又は異なって、独立して、アミンアミドアミノアルコール尿素チオ尿素カルバメートカルボネート、エステル、エーテルチオエーテルアリールヘテロアリール、例えばトリアゾールオキシム基から選択され、− Aは単結合又はキレート剤であり、− SIは興味対象の物質であり、− X'は、酸、アミン、アミド、エステル、エーテル、アルキルアルケニルアルキニル、アリール又はヘテロアリール官能基であり、− n=1〜100、好ましくはn=1、2又は3)のマレイミド化合物により該興味対象の物質に連結していることを特徴とするオリゴペプチド。

請求項2

Zが2アミノ酸の配列、好ましくはアミノ酸配列S-A又はS-Vからなることを特徴とする請求項1に記載のオリゴペプチド。

請求項3

Pがラクダ科動物重鎖抗体可変ドメイン(VHH)、従来型抗体のFab、F(ab)'2、Fv又はscFvフラグメントイムノグロブリン新規抗原レセプター(IgNAR)、ナノフィチン、DARPin、アンチカリンアフィボディー、アフィリンアビマー、モノボディー及びクニッツドメインからなる群より選択されるペプチドP'を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載のオリゴペプチド。

請求項4

式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのC末端に1〜10アミノ酸スペーサーYを有するか、又は式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのN末端に1〜10アミノ酸スペーサーYを有し、ここで、前記アミノ酸スペーサーYのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、前記アミノ酸スペーサーYはシステイン残基を含有しないことを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項5

Yが4つの中性アミノ酸のスペーサー、例えばアミノ酸配列G-G-G-S(配列番号11)を表すことを特徴とする請求項4に記載のオリゴペプチド。

請求項6

式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのN末端に1〜50アミノ酸配列Xを有するか、又は式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのC末端に1〜50アミノ酸配列Xを有し、ここで、前記アミノ酸配列Xのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、前記アミノ酸配列Xはシステイン残基を含有しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項7

Xがタグ、例えば6×Hisタグ(配列番号9)、及び酵素切断部位、例えばアミノ酸配列LVPRGS(配列番号10)のトロンビン切断部位を含んでなることを特徴とする請求項6に記載のオリゴペプチド。

請求項8

ペプチドP'がVHHであり、オリゴペプチド式がVHH-C-Z、VHH-Y-C-Z、X-VHH-C-Z、X-VHH-Y-C-Z、Z-C-VHH、Z-C-Y-VHH、Z-C-VHH-X又はZ-C-Y-VHH-Xであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項9

興味対象の物質が診断用化合物、好ましくは酵素蛍光体、NMR又はMRI造影剤放射性同位体及びナノ粒子からなる群より選択される診断用化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項10

診断用化合物が常磁性体ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)及びマンガン(Mn)、並びに酸化鉄又は鉄白金ベースとする超常磁性体、並びにX核、例えば18F、13C、23Na、17O、15Nから選択されるNMR又はMRI造影剤であることを特徴とする請求項9に記載のオリゴペプチド。

請求項11

興味対象の物質がペプチド、酵素、核酸ウイルス及び化学物質から選択される治療用化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項12

式(I)のマレイミド化合物中のAがキレート剤であり、興味対象の物質SIがNMR又はMRI造影剤であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項13

式(I)のマレイミド化合物のキレート剤Aが1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7-トリス(カルボキシメチルアザ)シクロドデカン-10-アザアセチルアミド(DO3A)、ニトリロ三酢酸(NTA)、D-ペニシラミン(Pen)、2,3-ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸(DMPS)、2,3-ジメルカプトプロパノール(BAL)、トリエチレンテトラミン(Trien)、テトラチオモリブデン酸アンモニウム(TTM)アニオンエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸(IB4M)又はヒドロキシピリジノン(HOPO)から選択されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項14

興味対象の物質SIがガドリニウム(Gd)であり、キレート剤AがDOTAであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項15

マレイミド化合物が式(I'):(式中、B、B'1、B'2、B”、A、SI及びnは請求項1及び9〜14と同義である)のものであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のオリゴペプチド。

請求項16

式(I'):(式中、B、B'1、B'2、B”、A、SI及びnは請求項1及び9〜14と同義である)のものであることを特徴とするマレイミド化合物。

請求項17

請求項9又は10に記載のオリゴペプチドの診断薬としての使用。

請求項18

請求項11に記載のオリゴペプチドの治療薬としての使用。

請求項19

興味対象の物質を式P-C-Z又はZ-C-P(式中:Pは還元型システイン残基を有しない8〜800アミノ酸ペプチドであり、Cはシステイン残基であり、Zは1〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサーを表し、ここで、Zのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、Zはシステイン残基を含有しない)のオリゴペプチドとカップリングする部位特異的方法であって、前記オリゴペプチドと請求項1及び9〜16に規定される式(I)のマレイミド化合物との接合工程を含んでなることを特徴とする方法。

請求項20

接合工程が4〜7.5の範囲のpHにて、好ましくはPBS/NaCl/イミダゾール緩衝液中で行われることを特徴とする請求項19に記載の部位特異的方法。

請求項21

Zが2アミノ酸の配列、好ましくはアミノ酸配列S-A又はS-Vからなることを特徴とする請求項19又は20に記載の部位特異的方法。

請求項22

Pがラクダ科動物重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)、従来型抗体のFab、F(ab)'2、Fv又はscFvフラグメント、イムノグロブリン新規抗原レセプター(IgNAR)、ナノフィチン、DARPin、アンチカリン、アフィボディー、アフィリン、アビマー、モノボディー及びクニッツドメインからなる群より選択されるペプチドP'を含んでなることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の部位特異的方法。

請求項23

式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのC末端に1〜10アミノ酸スペーサーYを有するか、又は式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのN末端に1〜10アミノ酸スペーサーYを有し、ここで、前記アミノ酸スペーサーYのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、前記アミノ酸スペーサーYはシステイン残基を含有しないことを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載の部位特異的方法。

請求項24

Yが4つの中性アミノ酸のスペーサー、例えばアミノ酸配列G-G-G-S(配列番号11)を表すことを特徴とする請求項23に記載の部位特異的方法。

請求項25

式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのN末端に1〜50アミノ酸配列Xを有するか、又は式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPがそのC末端に1〜50アミノ酸配列Xを有し、ここで、前記アミノ酸配列Xのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、前記アミノ酸配列Xはシステイン残基を含有しないことを特徴とする請求項19〜24のいずれか1項に記載の部位特異的方法。

請求項26

Xがタグ、例えば6×Hisタグ(配列番号9)、及び酵素切断部位、例えばアミノ酸配列LVPRGS(配列番号10)のトロンビン切断部位を含んでなることを特徴とする請求項25に記載の部位特異的方法。

請求項27

ペプチドP'がVHHであり、オリゴペプチド式がVHH-C-Z、VHH-Y-C-Z、X-VHH-C-Z、X-VHH-Y-C-Z、Z-C-VHH、Z-C-Y-VHH、Z-C-VHH-X又はZ-C-Y-VHH-Xであることを特徴とする請求項19〜26のいずれか1項に記載の部位特異的方法。

請求項28

興味対象の物質SIが請求項9〜11のいずれか1項に記載のとおりであることを特徴とする請求項19〜27のいずれか1項に記載の部位特異的方法。

請求項29

式(I)のマレイミド化合物により興味対象の物質に連結されたシステイン残基を有するオリゴペプチドであって、請求項19〜28のいずれか1項に記載の部位特異的方法に従って得ることができることを特徴とするオリゴペプチド。

請求項30

請求項1〜15のいずれか1項に記載のオリゴペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド

請求項31

請求項30に記載のポリヌクレオチドを、宿主細胞における該ポリヌクレオチドの転写の調節を可能とする転写プロモーターの制御下に含んでなる組換え発現カセット

請求項32

請求項30に記載のポリヌクレオチド又は請求項31に記載の組換え発現カセットを含んでなる組換えベクター

請求項33

請求項31に記載の組換え発現カセット又は請求項32に記載の組換えベクターを含有する宿主細胞。

請求項34

請求項1〜15のいずれか1項に記載のオリゴペプチド及び興味対象の物質を含んでなるキット

技術分野

0001

本発明は、アミロイドβ指向する抗体及びその接合体に関する。本発明はまた、これら抗体接合体の、アミロイドβ沈着により媒介される疾患の治療又は診断のための使用に関する。最後に、本発明はまた、興味対象物質カップリングしたVHH(機能的接合体)、より一般的には興味対象の物質とカップリングしたオリゴペプチドを取得するためのカップリング方法に関する。

背景技術

0002

痴呆の全症例の約70%は、認知に重要な脳領域及び神経回路の選択的障害に関連するアルツハイマー病(AD)に起因する。アルツハイマー病は、(特に海馬錐体ニューロンにおける)神経原線維変化並びにアミロイド沈着の高密度コア及び散在性ハロー(diffuse halos)を通常含有する多数のアミロイド斑により特徴付けられる。

0003

細胞外神経炎性斑は、「アミロイドβ」、「A-ベータ」、「アミロイドP」、「AP4」、「Aβ」、「βA4」、「P-A4」又は「AP」と名付けられた、多量の優勢原線維ペプチド(predominantly fibrillar peptide)を含有する;Selkoe (1994), Ann. Rev. Cell Biol. 10, 373-403;Koo (1999), PNAS Vol. 96, pp. 9989-9990;米国特許第4,666,829号、又はGlenner (1984), BBRC 12, 1131を参照)。このβアミロイドは、「アルツハイマー前駆体タンパク質/β-アミロイド前駆体タンパク質」(APP)に由来する。APPは膜内在性糖タンパク質であり(Sisodia (1992), PNAS Vol. 89, pp. 6075を参照)、形質膜プロテアーゼであるα-セクレターゼによりAβ配列内でタンパク質内分解的に切断される。更に、セクレターゼ活性(特に、β-セクレターゼ及びγ-セクレターゼ活性)は、異なるサイズのタンパク質、例えば39アミノ酸(Aβ39)、40アミノ酸(Aβ40)、42アミノ酸(Aβ42)又は43アミノ酸(Aβ43)のタンパク質を含むアミロイド-βの細胞外放出を導く;Sinha (1999), PNAS 96, 11094-1053;Price (1998), Science 282, 1078-1083;WO 00/72880又はHardy (1997), TINS 20, 154を参照。注目すべきことには、Aβは幾つかの天然に存在する形態を有し、ヒト形態は上記のAβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42及びAβ43と呼ばれる。Aβ42形態はアミノ酸配列(N末端から始まる):DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号12)を有する。Aβ41、Aβ40、Aβ39には、C末端アミノ酸A、IA及びVIAがそれぞれ存在しない。Aβ43形態では、追加の1つのスレオニン残基が上記配列(配列番号12)のC末端に含まれる。APP遺伝子の変異は、Aβ配列の改変及び凝集蓄積の増加に至ることがある。

0004

これら細胞外神経炎性斑の主成分は、水溶性形態のAβ40又はAβ42である。しかし、当初は、ADの病理における中心構造体として水不溶性原線維アミロイドが着目されていたのであるが、最近15年の間に展開があった。これは、幾つかの目立った発見、例えばヒト脳においてオリゴマーAβの水溶性画分を見出したことに起因した(Kuo Y.M.ら,1996, J Biol Chem, 271, 4077-81)。これら単離された可溶性オリゴマーは培養におけるニューロンに対して毒性であった。その後、オリゴマーAβの存在及び毒性が確証され、ADDL(Aβ由来拡散性リガンド)の名称がこの構造体に因んで提案された(Lambert M.P.ら, 1998, Proc Natl Acad Sci U.S.A., 95, 6448-53)。条件により、ADDL組成物は、三量体-六量体を優勢に含有することがあり、より大きな構造体は24マーまで含み得る。ADDLは、小脳ではニューロンに寛容である一方、海馬CA1領域及び内嗅皮質ではニューロンを選択的に殺傷するという重要な領域選択神経毒性を示す(Klein W.L.ら, 2001, Trendsin Neurosciences, 24, 219-224)。更に、オリゴマーは、ラットにおいてインビボ(Walsh D.M.ら, 2002, Nature, 416, 535-9)及び海馬スライス(Wang H.W.ら, 2002, Brain Res., 924, 133-40;Wang Q.ら, 2004, J Neurosci., 24, 3370-8)で海馬長期増強(LTP)を阻害することができる。認知障害は、可溶性オリゴマー形態のアミロイドβの低量に直接帰せられることが示されている;三量体、及びより程度は低いが、二量体及び四量体が特に活性である(Cleary J.P.ら, 2005, Nat Neurosc., 8, 79-84;Townsend M.ら, 2006, J Physiol, 572, 477-92)。

0005

アミロイド斑は、アルツハイマー病発症の長期間(最大30年)前に生じ(Sperling R.A., 2011, Alzheimer's and Dementia, 7:280-92;Villemagne V.L., 2013, Lancet Neurol., 12:357-67)、アミロイドカスケード仮説によれば、アミロイドは、ADの全ての病変を導く事象カスケードの原因である(Hardy J.A., 1992, Science, 256:184-5)。よって、アミロイドの早期検出は、アルツハイマー病のフォローアップ及びその治療に関して重要である。動物モデルにおけるアミロイド斑の画像化もまた、新薬スクリーニングに重要である。
アミロイド沈着は血管病変(アミロイド血管症)にも関連付けることができる。アミロイドは、他の疾患、例えばダウン症候群過程で同様な形態で蓄積する。

0006

アミロイド疾患、特にアルツハイマー病の病変を検出する幾つかの方法が開発されている。今日まで、ヒトにおいて、最も広範に使用されている方法は、陽電子断層撮影法(PET)に基づくものである。アミロイド量は、例えば、PET放射性リガンド、例えば11C-PIB(Klunk W.E., 2004, Ann Neurol., 55:306-19)又は18F-AV-45(Doraiswamy P.M., 2012, Neurology, 79:1636-44)を用いることにより、患者においてインビボで評価することができるが、動物ではより困難である。これら化合物放射性標識する必要があることが、PETベースの方法の主な短所である。ヒトにおいて、このことは電離放射線への曝露を導く。前臨床研究において、放射性化合物を扱うことが許されている機関は限られているので、PET検査を新薬の大規模評価及び定期診断に使用することはできない。また、11Cのような短い半減期(20分)の同位体は、11Cをベースにするリガンド(例えば、PIB)を用いるとき、現場サイクロトロンの存在を必要とする。18Fをベースにするリガンドは半減期がより長い(110分)が、この半減期も依然として比較的短い。このことは、、注意深い計画を必要とする有効期間が限定された放射性トレーサーの供給、取扱い及び投与に関連する強力なロジスティックを必要とする。更に、PET画像解像度が低いという難点があり、脳サイズが小さなAD動物モデルにおけるルーチンの前臨床研究への使用は妨げられる。まとめると、AD及びダウン症候群の患者及び動物モデルの両方において、その脳病変をインビボで画像化するための新たな選択肢を早急に見出す必要があるといえる。

0007

また、PET撮像法核磁気共鳴(NMR)撮像法又は磁気共鳴撮像法(MRI)もAD脳病変の検出に使用することができる。最近の10年間の間、MRIによる検出を可能にする新たなアプローチを開発する多くの努力がなされてきた。アミロイド斑内で天然に生じる循環性鉄沈着に起因して、造影剤なしのプロトコルにより、幾らかのAβ沈着可視化が可能である。しかし、アミロイド沈着物中の鉄蓄積は、ヒトでは低いことがあり(Dhenain M., 2002, NMR Biomed., 15:197-203)、マウスにおいては、疾患の後期ステージにのみ又は限られた脳領域でのみ生じる(Dhenain M., 2009, Neurobiol Aging 30:41-53)。幾つかのプロトコルは特定の造影剤の使用に基づく。例えば、幾つかのグループは、ガドリニウム(Gd)又は単結晶性酸化鉄ナノ粒子(MION)で磁性標識したAβ由来ペプチドを用いる造影剤を開発した(Wadghiri, Y.Z., 2003, Magn Reson Med., 50:293-302;Poduslo, J.F., 2002, Neurobiol Dis., 11:315-329)。これら方法のしようにより、エキソビボ及びインビボ検出が達成されているが、依然として(高い効率・再現性でなし得ず、有害であり得る)血液脳関門(BBB)の透過(例えば、血液脳関門を一過性に開口させるためのマンニトールの使用)を必要とする。よって、これら方法はBBBを開口させる必要があるという難点があり、したがって非実験的状況では使用されない。他のグループは、アミロイド斑を標的する抗体によりアミロイドを標的する方法を開発した(Ramakrishnan, M., 2008, Pharm Res., 25:1861-1872)。MRIによりアミロイド斑を検出する最近のアプローチは、アミロイド斑を標的し、BBBを横断する能力が増大した小さな抗体フラグメント(ポリアミン修飾Fabフラグメント)の使用に基づく。この抗体が、MRIによる検出を可能にする造影体(contrastophore)に連結される(Ramakrishnan, M., 2008, Pharm Res., 25:1861-1872)。しかし、抗体は、アルブミンのような他の大きな血漿タンパク質と同様、BBBを容易に横断せず、概して、循環血漿区画閉じ込められたままとなる。BBBを横切る抗体分子送達を増強する1つの可能な機序は、表面カルボキシル基一級アミノ基を接合して抗体の等電点(pI)を上昇させるカチオン化である(Bickel U.ら, 2001, Adv Drug Deliv Rev., 46:247-279)。カチオン化タンパク質の正電荷細胞表面の負電荷に結合し、この相互作用トリガーとなり、細胞内へのカチオン化タンパク質の吸着介在型エンドサイトーシスを導く。イムノグロブリンのカチオン化に関しては、最近の研究により、この手順がインビトロで単離脳毛細管による吸着介在型エンドサイトーシスの増強を生じること、及びこのエンドサイトーシスプロセスが、インビボで脳内へのカチオン化IgG正味トランスサイトーシスをもたらすことが示されている。カチオン化抗体の適用における主な制限は、抗原結合性の低下である。事実、カチオン化プロセスによって抗原との結合に通常関与するアルギニン及びリジンが修飾されるので、カチオン化モノクローナル抗体の親和性は影響を受ける(Triguero D.ら, 1991, J Pharmacol Exp Ther. 258:186-192)。

0008

従来型イムノグロブリンは、2つの重鎖及び2つの軽鎖から構成されるヘテロ四量体であり、合わせた分子量は約150kDaである。ラクダ科メンバーにおいて、血清抗体の相当な割合が分子量約80kDのホモ二量体IgGである(Hamers-Casterman C.ら, 1993, Nature, 363:446-448)。この重鎖イムノグロブリン(Ig)は3つのドメインを含有し、その可変領域はVHHと呼ばれる。組換えVHH(サイズ12〜14kD程度)は、インタクト抗原結合ドメインを構成し、広範な抗原結合レパートリを示す。その超可変領域拡張しており、特有の特徴(例えば、3〜4の疎水性フレームワーク残基(これは従来型抗体においてはVLと相互作用する)の、より親水性のアミノ酸での置換)を示す。拡がったCDRを安定させるため、VHHは、標準的なジスルフィド結合に加え、ヒトコブラクダではCDR1とCDR3との間、ラマではCDR2とCDR3との間に余分のジスルフィド結合を有し得る(Harmsen, M.M. and De Haard H.J., 2007, Appl Microbiol Biotechnol., 77:13-22;Muyldermans S., 2001, J Biotechnol., 74:277-302)。拡張CDR3ループ凸面状立体構造を採用することができる一方、従来型パラトープは凹面状又は平面状構造に限られている(Muyldermans S., 2001, J Biotechnol., 74:277-302)。これら特徴により、VHHは、従来型抗体には免疫原性が乏しい独特エピトープを認識することが可能である(Lafaye P.ら, 2009, Mol Immuno., 46:695-704;Wernery U., 2001, J Vet Med B Infect Dis Vet Public Health., 48:561-568)。VHHは、定義によれば、単価抗体(本来、アビディティ効果は排除される)であるが、インビトロでIC50として測定される生物学的活性は、従来型の二価抗体分子に類似することもある(Thys B.ら, 2010, Antiviral Research., 87:257-264)。

0009

ホモ二量体VHHはインビボ免疫診断の新たな観点を提供すると提案された。免疫したラクダ又はラマのVHHレパートリから抗原特異的VHHを選択するためには、ファージディスプレイのような方法が記載されている。VHH遺伝子をファージディスプレイベクタークローニングし、パニングにより抗原結合体を取得し、選択したVHHを細菌で発現させる。組換えVHHは、従来型抗体フラグメント(Fab又はscFv)と比較して幾らかの利点を有する。なぜならば、唯一つのドメインがクローニングされ、また、VHHは良好に発現し、水性環境中で高度に可溶性であり、高い温度で安定であるからである。約12〜14kDaという小さなサイズのために、VHHは(約60kDaのカットオフを有する)フィルターを迅速に通過し、結果として迅速な血液クリアランスを生じる。加えて、小さなサイズは急速な組織浸透という結果をもたらす。scFvの4時間及びIgGの50時間に比べて、約2時間というVHHの短い血清半減期は、非特異結合VHHが組織から迅速に除去されると予想されるため、画像化を利用するインビボ診断、及び興味対象の物質にカップリングしたVHHの疾患治療目的の標的化に有利である。

0010

Li T.ら(2012, Faseb J., 26:3969-3979)は、GFAP(アストロサイトに特異的な中間フィラメントタンパク質)を指向するVHHを取得した。著者らは、生存マウスへの頸動脈内注射により、この天然型VHHが、BBBを横断し、脳組織拡散し、アストロサイトに浸透し、GFAPエピトープに特異的に結合することが天然に可能であるため、「トランスボディー(transbody)」として作用することを示した(国際出願WO 2010/004432も参照)。
より一般的にいえば、少なくとも8.5の等電点を有するVHHは、マイクロピノサイトーシス及び吸着介在型エンドサイトーシスにより、BBBを横切って移動することが可能である。このVHHは、哺乳動物の血液脳関門を横切る興味対象の物質の送達用ペプチドベクターの製造に使用することができる(国際出願WO 2009/004495及びWO 2010/004432)。

0011

国際出願WO 2004/044204は、アミロイドβペプチド42(Aβ42)にインビトロで特異的に結合することができるラクダ科動物単鎖抗体可変フラグメント(VHH)のライブラリの作製を開示する。このVHHは、Aβ42でラマ(Lama pacos)を免疫することにより取得された。なかでも、VHH V31-1と呼ばれる1つの特定のVHHは、ELISAにより、原線維形態のAβ42ペプチド(Aβ42)のカルボキシ末端部を特異的に認識し、免疫組織化学によりニューロン内Aβ42沈着物を特異的に認識すると記載されている。しかし、国際出願WO 2009/004494において、WO 2004/044204の発明者らは、WO 2004/044204の記載に反して、VHH V31-1は水不溶性原線維形態のAβ42を認識しないが、Aβ42の水溶性低分子オリゴマー(すなわち、単量体、二量体、四量体及び十二量体)を特異的に認識することを免疫組織化学により明確に示した(Lafaye P.ら, 2009, Mol Immunol., 46:695-704も参照)。国際出願WO 2009/004494において、WO 2004/044204の発明者らは、WO 2004/044204で開示した2つのVHH、すなわちVHH 61-3及びVHH L1-3を更に調べた。彼らは、AD脳組織スライスの免疫組織化学的染色により、ニューロン内での免疫反応性がVHH 61-3については非常に微かであり、VHH L1-3については検出不能であることを示した。

0012

Rutgers K.S.ら(2011, Neurobiol. Aging, 32:1774-83)は、非免疫及び免疫ライブラリからの、アミロイドβに特異的な8つのラマ由来重鎖抗体フラグメント(VHH)のファージディスプレイによる選択、並びにファージ-ELISA、免疫組織化学及び表面プラズモン共鳴によるアミロイドβに対する親和性及び特異性の測定を報告している。著者らは、この8つのVHHが(別個免疫原と一致して)別個のアミロイドβエピトープをインビトロで認識することを示した。著者らはまた、これらVHHのうち3つが血管性アミロイドβ沈着物及び実質性アミロイドβ沈着物を認識する一方、残る5つのVHHは血管性アミロイドβを特異的に認識する(実質性アミロイドβには結合しない)ことを示した。著者らは、血管性アミロイドβ沈着物及び実質性アミロイドβ沈着物がエピトープの存在/利用性の点で異質であり、アミロイドβに特異的なVHHが血管性アミロイドβ沈着物と実質性アミロイドβ沈着物とを識別するインビボ画像試薬として使用できると結論付けている。
Nabuurs R.J.A.ら(2012,PLoS One, 7:e38284)は、Rutgersらが開示した2つのVHH、すなわちVHH ni3A及びpa2Hをインビボで更に特徴決定した。著者らは、Rutgersらの報告に反して、両VHHが実質性アミロイドβ沈着物及び血管性アミロイドβ沈着物に親和性を示すことを見出した。事実、Rutgers K.S.らは、ヒト組織についての免疫組織化学で、ni3Aが血管性アミロイドβのみを特異的に標的すると報告した。Nabuurs R.J.A.らは更に、VHH ni3A及びpa2Hは脳取込みが低く過ぎてインビボ画像化に使用できないと報告している。

発明が解決しようとする課題

0013

したがって、神経画像により、インビボで、アミロイドβ沈着により媒介される疾患を診断するため及び前記疾患(特に、アルツハイマー病及びダウン症候群)の病状進行をモニターするための手段及び方法を提供する必要性が存在する。前記疾患を治療するための手段及び方法を提供する必要性も存在する。

課題を解決するための手段

0014

本発明に至る研究の枠組みの中で、本発明者らはアルパカをAβ42で免疫した。本発明者らは、R3VQ及びR3VEと呼ばれる2つのVHHを取得した。R3VQ及びR3VEはそれぞれ配列番号4及び配列番号5のアミノ酸配列を有し、共に、配列番号1のアミノ酸配列のCDR1(相補性決定領域1)、配列番号2のアミノ酸配列のCDR2及び配列番号3のアミノ酸配列のCDR3を含んでなる。R3VQは、R3VEとはアミノ酸配列の7位の1アミノ酸のみが異なる:R3VQ及びR3VEの残基7はそれぞれグルタミン(Q)及びグルタミン酸(E)である。VHH R3VQ及びR3VEの両アミノ酸配列の最初の3アミノ酸残基(M-A-E)及び最後の2アミノ酸残基(S-S)は、これらVHHの性質を改変することなく欠失させることが可能である。これらアミノ酸残基を欠くVHH R3VQ及びR3VEは、区別することなくそれぞれR3VQ及びR3VEと呼ぶ。R3VQ及びR3VEは類似の性質を有する。

0015

インビトロでELISA及び免疫組織化学により評価したとき、R3VQ及びR3VEは、Aβに対して類似の結合性を有する。VHH R3VQは、アミロイドβの原線維形態を特異的に認識することができるが、オリゴマー(すなわち、非原線維)形態は認識できない。免疫組織化学的技法を用いて、本発明者らは、このVHH(及びVHH R3VE)がヒトAD脳組織サンプル及びアミロイド沈着を有する専用マウスモデルの脳切片に存在するアミロイド斑を特異的に標識することを見出した。
VHH R3VQまた、インビボで、哺乳動物の非障害(non-compromised)血液脳関門を横断することができる。

0016

更に、2つのストラテジに従って、VHH R3VQを興味対象の物質(例えば、MRI造影剤)及びキレート剤に接合させた:
− 第一のストラテジは、非部位特異的アプローチを利用し、キレート剤(例えば、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA))と本発明に従うVHH又はVHH誘導体リジン残基との接合工程、続いて、得られたリガンドと興味対象の物質(例えば、常磁性体ガドリニウム(Gd)のようなMRI造影剤)とのキレート化工程を含んでなるものであった。IHC及びMRIによりインビボで評価すると、R3VQ-N-(DOTA/Gd)n'接合体(図9、化合物2)は、マウスにおいて脳血管内注射後にアミロイド斑を認識することができた。
− 第二のストラテジは、部位特異的アプローチを利用し、興味対象の物質を保持するチオール反応性化合物、好ましくは興味対象の物質を保持するマレイミド化合物とのチオ付加(接合工程)によるVHH R3VQの接合体化、より一般的にはC末端又はN末端にシステイン残基を含む任意のVHHの標識化を含むものであった。

0017

非部位特異的接合は当初緩衝液交換を要した一方、R3VQ-SH 3とマレイミド-(DOTA/Gd)3 4との部位特異的接合は、PBS/NaCl/イミダゾール緩衝液中で直接行うことができる。システインでの特異的チオ付加は、穏やかな条件下で効率的に制御され得るため、該ストラテジにより、A. Papiniら, Int. J. Pept. Protein Res., 1992, 39, 348-355;B. Rudolfら, J. Organomet. Chem, 1996, 522, 313-315;J. Paulechら, Biochim. Biophys. Acta, 2013, 1834, 372-379で以前に言及されている可能な副反応を生じることなく、該プロセスの反応工程数の削減及び全体収率の向上が可能になる。よって、驚くべきことに、非常に顕著な様式で、すなわち、VHHのリジン又はヒスチジンに対する副反応を生じず、かつ、VHHの機能及び3D構造を全体的に維持して、全体収率が向上する。

0018

組換えタンパク質は、通常、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)による精製を可能にするHisタグを有して発現させる。Ni2+ニトリロ三酢酸樹脂を用いる場合、組換えタンパク質は、代表的には、500mMイミダゾール含有PBS緩衝液で溶出させる。非部位特異的アプローチ(図9A)では、イミダゾールの窒素は、NHSエステル加水分解を促進する(すなわち、反応性種を分解する)ことによって接合体化に干渉することがある(G. T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, 2013;P. Cuatrecasasら, Biochemistry, 1972, 11, 2291-2299)。したがって、緩衝液交換工程を、このプロセスに、上流アフィニティー精製と接合体化の間で含ませて、イミダゾールを除去しなければならない。全体収率は60〜67%の範囲である。最初の部位特異的実験(図9B)も緩衝液交換後に行った結果(図9B、方法1)、接合体R3VQ-S-(DOTA/Gd)3 5が収率70%で生じた。幾つかのグループ(A. Papiniら;B. Rudolfら;J. Paulechら)がヒスチジン側鎖のアルキル化を以前に報告していることから、イミダゾールとマレイミド基との副反応が予想された。にもかかわらず、アフィニティーカラム溶出緩衝液において、限定的に過剰のマレイミド試薬及びモル大過剰のイミダゾールを用い、マレイミド-(DOTA/Gd)3 4をR3VQ-SH VHH 3と直接接合させることができた(図9B、方法2)。この第二のストラテジは全体収率83%をもたらす。

0019

したがって、本発明は、そのアミノ酸配列がN末端からC末端へ配列番号1のアミノ酸配列(CDR1に相当)、配列番号2のアミノ酸配列(CDR2に相当)及び配列番号3のアミノ酸配列(CDR3に相当)を含んでなることを特徴とする、原線維形態のアミロイドβを指向する単離されたラクダ科動物重鎖抗体可変ドメイン(VHHと呼ぶ)を提供する。
1つの好適な実施形態において、前記VHHは、以下:
− 配列番号4(完全長形態のR3VQに相当)、
− 配列番号5(完全長形態のR3VEに相当)、
− 配列番号6(短形態のR3VQに相当)、及び
− 配列番号7(短形態のR3VEに相当)
からなる群より選択されるアミノ酸配列、好ましくは配列番号4及び配列番号6からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなるか、又は該アミノ酸配列からなる。

0020

本明細書で使用する場合、用語「単離(された)」とは、天然環境の成分から分離されたVHHをいう。幾つかの実施形態において、VHHは、例えば電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリ電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過イオン交換又は逆相HPLC)により測定したとき、純度95%又は99%を超えて精製される。抗体純度の評価方法概説については、例えば、Flatmanら, 2007, J. Chromatogr. B 848:79-87を参照。
本明細書で使用する場合、用語「VHH」とは、ラクダ科動物(ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、アルパカなど)の重鎖抗体からの可変抗原結合ドメインをいう(Nguyen V.K.ら, 2000, TheEMBO Journal, 19, 921-930;Muyldermans S., 2001, J Biotechnol., 74, 277-302及びVanlandschoot P.ら, 2011, Antiviral Research 92, 389-407の概説を参照)。VHHはナノボディ(Nb)とも呼ぶことができる。

0021

有利には、本発明に従うVHHは、塩基性等電点、好ましくは8.5〜9.5の間の等電点を有する。
本発明は、天然、組換え又は合成の上記のとおりのVHHを包含する。
本明細書で使用する場合、用語「組換え」とは、遺伝子操作法(クローニング、増幅)を用いて前記VHHを作製することをいう。
本明細書で使用する場合、用語「合成」とは、インビトロでの化学的又は酵素的合成による前記VHHの作製をいう。
本発明に従うVHHは、単量体又はホモ多量体(例えば、ホモ二量体又はホモ三量体)の形態であることができる。
本発明はまた、本発明に従うVHHを含んでなる単離されたラクダ科動物血清、好ましくはアルパカ血清を提供する。

0022

本発明はまた、式P-C-Z又はZ-C-P
(式中、
− Pは還元型システイン残基を有しない8〜800アミノ酸ペプチドであり、
− Cはシステイン残基であり、
− Zは1〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサーを表し、ここで、Zのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、Zはシステイン残基を含有せず、
前記システイン残基Cは、興味対象の物質を有する式(I):



(式中:
− B、B'1、B'2及びB”は、同一か又は異なって、独立して、単結合、又はポリオール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、好ましくは2〜12のオキシエチレン(OE)単位を有するもの)、ポリオレフィン(好ましくは、2〜12の芳香環を有するもの)、ポリアルキル(好ましくは、2〜12の炭素原子を有するもの)、ビニルポリマー(例えば、ポリ(アルキルメタクリレート)、好ましくは2〜12のメタクリレート基を有するもの)、ポリアルデヒド(好ましくは、2〜12のカルボニル基を有するもの)、ポリ酸エステル(好ましくは2〜12のエステル基を有するもの)から選択されるスペーサーであり、
− D、D'及びD”は、同一か又は異なって、独立して、アミンアミドアミノアルコール尿素チオ尿素カルバメートカルボネート、エステル、エーテルチオエーテルアリールヘテロアリールオキシム基から選択され、
− Aは単結合又はキレート剤であり、
− SIは興味対象の物質であり、
− X'は、酸、アミン、アミド、エステル、エーテル、アルキルアルケニルアルキニル、アリール又はヘテロアリール基であり、
− n=1〜100、好ましくはn=1、2又は3)
のマレイミド化合物により該興味対象の物質に連結している)
のオリゴペプチド、好ましくはP-C-Zのオリゴペプチドを提供する。

0023

本発明に関しては:
アルキル基は、(C1〜C12)アルキル基、好ましくは(C1〜C6)アルキル基、例えばメチルエチル、n-プロピルイソプロピルn-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及びイソブチル基から選択される;
アルケニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、2〜12(好ましくは2〜6)の炭素原子の炭化水素鎖から選択される。アルケニル基の例としては、エテニルプロペニルイソプロペニル、2,4-ペンタジエニルが挙げられる;
アルキニル基は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、2〜12(好ましくは2〜6)の炭素原子の炭化水素鎖から選択される;

0024

アリール基は、少なくとも1つの単純な芳香環から誘導される任意の官能基又は置換基を意味し;芳香環は、環の各原子が互いに重なるp-軌道を含む非局在化π系を有する任意の平面環状化合物に相当する。より具体的には、用語アリールは、フェニルビフェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、アントラシルピレニル、及びその置換形態を含むが、これらに限定されない。本発明のアリール基は、好ましくは4〜12の炭素原子、より好ましくは5又は6の炭素原子を含んでなる;
−ヘテロアリール基は、少なくとも1つの上記のとおりの芳香環から誘導され、P、S、O及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の官能基又は置換基を意味する。用語ヘテロアリールは、フランピリジンピロールチオフェン、イミダゾール、ピラゾールオキサゾールイソキサゾールトリアゾールチアゾールイソチアゾールテトラゾールピリダゾール、ピリジン、ピラジンピリミジンピリダジンベンゾフランイソベンゾフランインドールイソインドールベンゾチオフェンベンゾ[c]チオフェン、ベンズイミダゾールインダゾールベンズオキサゾールベンズイソキサゾールベンゾチアゾールキノリンイソキノリンキノキサリンキナゾリンシノリンプリン及びアクリジンを含むが、これらに限定されない。本発明のアリール及びヘテロアリール基は、好ましくは4〜12の炭素原子、より好ましくは5又は6の炭素原子を含んでなる;

0025

本発明に従う酸、アミン、アミド、エステル、エーテル及びチオエーテル基は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6の炭素原子を有する。
1つの好適な実施形態によれば、Aはキレート剤であり、興味対象の物質SIはNMR又はMRI造影剤である。
有利には、キレート剤Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7-トリス(カルボキシメチルアザ)シクロドデカン-10-アザアセチルアミド(DO3A)、ニトリロ三酢酸(NTA)、D-ペニシラミン(Pen)、2,3-ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸(DMPS)、2,3-ジメルカプトプロパノール(BAL)、トリエチレンテトラミン(Trien)、テトラチオモリブデン酸アンモニウム(TTM)アニオンエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸(IB4M)又はヒドロキシピリジノン(HOPO)から選択される。
有利には、興味対象の物質SIはガドリニウムであり、キレート剤はDOTAである。

0026

1つの特に好適な実施形態によれば、本発明のマレイミド化合物は、式(I'):



(式中、B、B'1、B'2、B”、A,SI及びnは上記と同義である)
のものであってもよい。
式(I)又は(I')のマレイミド化合物は、固相法により、好ましくはFmoc化学を用いて、より好ましくはFmoc-Gly-Wang樹脂上で合成されてもよい。
式(I')のマレイミド化合物:



(式中、B、B'1、B'2、B”、A,SI及びnは上記と同義である)
もまた本発明の一部である。

0027

有利には、アミノ酸スペーサーZのアミノ酸残基は、アラニンバリンセリンロイシンイソロイシンフェニルアラニングリシン、セリン、スレオニンチロシンアスパラギン及びグルタミンからなる群より、好ましくはアラニン、バリン及びセリンからなる群より選択される。
1つの好適な実施形態において、オリゴペプチドは、式P-C-Z又はZ-C-P
(式中:
− Pは還元型システイン残基を有しない8〜800アミノ酸ペプチドであり、
− Cはシステイン残基であり、
− Zは
a)2〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは2アミノ酸スペーサーを表す(ここで、Zのアミノ酸残基は、セリン(S)、アラニン(A)、バリン(V)及びグリシン(G)からなる群より、より好ましくはセリン(S)、アラニン(A)及びバリン(V)からなる群より選択され、Zの少なくとも2つのアミノ酸残基は異なる)か、又は
b)2〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは2〜10の中性又は負荷電アミノ酸スペーサーを表す(ここで、Zはジペプチドセリン-アラニン(S-A)又はセリン-バリン(S-V)を含んでなり、Zはシステイン残基を含有しない))
を有し、好ましくは式P-C-Zを有する。

0028

有利には、システイン残基Cは立体的に接近可能である。
有利には、Zがa)に定義されるものである場合、アミノ酸スペーサーZは、1つ又は少なくとも1つのセリンを含んでなる。
有利には、Zがa)に定義されるものである場合、アミノ酸スペーサーZは、セリン及びアラニン残基のみから本質的になるか、セリン及びバリン残基のみから本質的になる。
本オリゴペプチドの1つの好適な実施形態において、アミノ酸スペーサーZは2アミノ酸の配列、例えば、アミノ酸配列S-A又はS-Vからなる。
アミノ酸ペプチドPはまた、より好ましくなる順に、50〜800、100〜800、100〜700、100〜500、100〜400、100〜300又は100〜250アミノ酸ペプチドであることができる。
有利には、アミノ酸ペプチドPは、抗原に選択的に結合することができるペプチドP'を含んでなるか又はペプチドP'からなる。P'は、好ましくは、ラクダ科動物重鎖抗体の可変ドメイン(VHH)、従来型抗体のFabフラグメント、従来型抗体のF(ab)'2フラグメント、従来型抗体のFvフラグメント、従来型抗体のscFvフラグメント、イムノグロブリン新規抗原レセプター(IgNAR)、ナノフィチン、DARPin、アンチカリンアフィボディー、アフィリン、アビマー、モノボディー及びクニッツドメインからなる群より選択される。

0029

従来型抗体のFab、F(ab)'2、Fv及びscFvフラグメントは当業者に周知である。IgNARはDooley H.ら, 2006, Dev Comp Immunol., 30:43-56に概説されている。ナノフィチン(例えば、アフィチン)はMouratou B.ら, 2007, Proc Natl Acad Sci U.S.A., 104:17983-8に概説されている。DARPinはBinz H.K.ら., 2003, J. Mol. Biol., 332:489-503に概説されている。アンチカリンSkerra A, 2008, FEBSJ., 275:2677-83に概説されている。アフィボディはNord K.ら, 1997, Nature Biotechnol., 15:772-777に概説されている。アフィリンはEbersbach H.ら, 2007, J. Mol. Biol., 372:172-185に概説されている。アビマーはSilverman J.ら, 2005, Nature Biotechnol., 23:1556-1561に概説されている。モノボディ(又はアドネクチン)はKoide A.ら, 1998, J. Mol. Biol., 284:1141-51に概説されている。クニッツドメインはLehmann A., 2008, Expert opinion on biological therapy, 8:1187-99に概説されている。
1つの好適な実施形態において、P'はVHH、例えば本発明に従うVHHである。
式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPは、そのC末端に、1〜10アミノ酸スペーサーY、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサー(ここで、前記アミノ酸スペーサーYのアミノ酸残基は同一か又は異なり、前記アミノ酸スペーサーYはシステイン残基を含有しない)を有することができる。

0030

式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPは、そのN末端に、1〜10アミノ酸スペーサーY、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサー(ここで、前記アミノ酸スペーサーYのアミノ酸残基は同一か又は異なり、前記アミノ酸スペーサーYはシステイン残基を含有しない)を有することができる。
有利には、アミノ酸スペーサーYのアミノ酸残基は、アラニン、バリン、セリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンからなる群より、好ましくはアラニン、バリン、セリン及びグリシンからなる群より選択される。
好ましくは、アミノ酸スペーサーYは、4つの中性アミノ酸のスペーサー、例えばアミノ酸配列G-G-G-S(配列番号11)を表す。

0031

式P-C-Zのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPはまた、そのN末端に、1〜50アミノ酸配列X(ここで、前記アミノ酸配列Xのアミノ酸残基は同一か又は異なり、前記アミノ酸配列Xはシステイン残基を含有しない)を有することができる。
式Z-C-Pのオリゴペプチドのアミノ酸ペプチドPはまた、そのC末端に、1〜50アミノ酸配列X(ここで、前記アミノ酸配列Xのアミノ酸残基は同一か又は異なり、前記アミノ酸配列Xはシステイン残基を含有しない)を有することができる。
アミノ酸配列Xは、タグ、例えば6×Hisタグ(配列番号9)、及び酵素切断部位、例えばアミノ酸配列LVPRGS(配列番号10)のトロンビン切断部位を含んでなることができる。
1つの好適な実施形態において、本発明に従うオリゴペプチドは、式P'-C-Z、P'-Y-C-Z、X-P'-C-Z、X-P'-Y-C-Z、Z-C-P'、Z-C-Y-P'、Z-C-P'-X又はZ-C-Y-P'-X(ここで、P'は好ましくはVHH、例えば本発明に従うVHHである)を有する。

0032

本発明はまた、単離された、上記のとおりの式P-C-Z又はZ-C-Pのオリゴペプチド、好ましくは式P-C-Zのオリゴペプチドを提供する。ここで:
− Pは還元型システイン残基を有しない8〜800アミノ酸ペプチドであり、
− Cはシステイン残基であり、
− Zは1〜10アミノ酸スペーサー、好ましくは1〜10の中性又は負荷電アミノ酸のスペーサーを表し、ここで、Zのアミノ酸残基は同一であるか又は異なり、Zはシステイン残基を含有しない。
本発明はまた、本発明に従うVHHを含んでなるポリペプチドからなるVHH誘導体を提供する(ただし、前記ポリペプチドに含まれるVHHは、原線維形態のアミロイドβに結合することができる)。
1つの特定の実施形態において、前記VHH誘導体は、N末端からC末端へ、アミノ酸タグ、例えば6×Hisタグ、酵素切断部位、例えばトロンビン切断部位、VHH、アミノ酸スペーサー、システイン及び第2のアミノ酸スペーサーを含んでなる。このVHH誘導体は、式X-P'-Y-C-Z(式中、P'はVHHである)を有する本発明に従うオリゴペプチドに相当する。
1つの好適な実施形態において、前記VHH誘導体は配列番号8のアミノ酸配列を有する(R3VQ-SH)。

0033

本発明はまた、本発明に従うオリゴペプチド、VHH又はVHH誘導体をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
本発明に従うVHH誘導体をコードするポリヌクレオチドの一例は、配列番号17の配列(R3VQ-SHをコードするヌクレオチド配列)である。
本発明に従うポリヌクレオチドは、組換えDNA技術及び/又は化学的DNA合成の周知の方法により取得してもよい。
本発明はまた、本発明に従うポリヌクレオチドを、宿主細胞における前記ポリヌクレオチドの転写の調節を可能とする転写プロモーターの制御下に含んでなる組換え発現カセットを提供する。前記ポリヌクレオチドはまた、宿主細胞におけるその翻訳の調節を可能にする適切な制御配列に連結され得る。
本発明はまた、本発明に従うポリヌクレオチドを含んでなる組換えベクター(例えば、組換え発現ベクター)を提供する。有利には、前記組換えベクターは、本発明に従う発現カセットを含んでなる組換え発現ベクターである。

0034

用語「ベクター」とは、本明細書で使用する場合、連結した別の核酸伝播させることができる核酸分子をいう。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、及び導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターが含まれる。或る特定のベクターは、それが作動可能に連結した核酸の発現を導くことができる。このようなベクターは本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。
本発明はまた、本発明に従う組換え発現カセット又は組換えベクターを含有する宿主細胞を提供する。宿主細胞は原核生物又は真核生物宿主細胞である。
用語「宿主細胞」とは、外因性核酸が導入された細胞をいい、当該細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、形質転換細胞には、初代形質転換細胞、及び継代数にかかわらず初代形質転換細胞から誘導された子孫が含まれる。子孫は、核酸内容物親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有してもよい。最初の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異体子孫もまた含まれる。

0035

配列番号4のアミノ酸配列のVHH R3VQを発現する真核生物宿主細胞を、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes (CNCM;28 rue du Dr Roux, 75724 Paris Cedex 15, France)に番号I-4818で2013年11月12日に寄託した。
配列番号8のアミノ酸配列のVHH R3VQ-SHを発現する真核生物宿主細胞を、Collection Nationale de Cultures de Microorganismes (CNCM;28 rue du Dr Roux, 75724 Paris Cedex 15, France)に番号I-4819で2013年11月12日に寄託した。

0036

本発明はまた、上記のような宿主細胞において、本発明に従う式P-C-Z又はZ-C-Pのオリゴペプチドを産生する方法であって、以下の工程:
− 本発明に従う組換え発現カセット又は組換えベクターを含有する宿主細胞を準備する工程、
− 前記宿主細胞を培養する工程、
− 及び任意に、式P-C-Z又はZ-C-Pのオリゴペプチドを精製する工程
を含んでなる方法を提供する。
オリゴペプチドを精製する方法は当該分野において周知であり、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィーゲル透過クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー)である。

0037

本発明はまた、興味対象の物質に、直接又は間接に、共有結合的又は非共有結合的に連結した本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドを含んでなる診断薬又は治療薬を提供する。
本発明に従う興味対象の物質は、哺乳動物又はヒトの血液脳関門を透過してもしなくてもよい。興味対象の物質が血液脳関門を透過する場合、本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドの使用により、血液脳関門を横切る前記興味対象の物質の送達を増強させることができる。
1つの実施形態において、前記興味対象の物質は診断又は治療用化合物である。
別の1つの実施形態において、前記興味対象の物質は、診断又は治療用化合物を含んでなるリポソーム又はポリマー性物質である(A. J. L. Villarazaら, Chem Rev. 2010, 110, 2921-2959)。

0038

有利には、前記診断用化合物は、以下:
-酵素、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼアルカリホスファターゼグルコース-6-ホスファターゼ又はβ-ガラクトシダーゼ
-蛍光体、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、紫外(UV)領域の波長励起される青色蛍光色素(例えば、AMCA(7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸);Alexa Fluor(登録商標) 350)、青色光で励起される緑色蛍光色素(例えば、FITC、Cy2、Alexa Fluor(登録商標) 488)、緑色光で励起される赤色蛍光色素(例えば、ローダミン、Texas Red、Cy3、Alexa Fluor(登録商標) 色素546、564及び594)、又は近赤外光で励起される色素(例えば、Cy5)(これらは電子検出器(CCDカメラ光電子増倍管)で可視化される);
-放射性同位体、例えば、PET撮像法に使用することができる18F、11C、13N、15O、68Ga、82Rb、44Sc、64Cu、86Y、89Zr、124I、152Tb、又はSPECT/シンチグラフィー研究に使用することができる67Ga、81mKr、99mTc、111In、123I、125I、133Xe、201Tl、155Tb、195mPt、又はオートラジオグラフィー若しくはインサイチュハイブリダイゼーションに使用することができる14C、3H、35S、32P、125I、又は化合物の標識に使用することができる211At-、212Bi-、75Br-、76Br-、131I-、111In、177Lu-、212Pb-、186Re-、188Re-、153Sm-、90Y;
- NMR又はMRI造影剤、例えば、常磁性体ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)及びマンガン(Mn)、及び酸化鉄(例えば、MION、SPIO又はUSPIO)又は鉄白金(SIPP)をベースにする超常磁性体、及びX核、例えば、18F、13C、23Na、17O、15N;
-ナノ粒子、例えば、金ナノ粒子(B. Van de Broekら, ACSNano, Vol. 5, No. 6, 4319-4328, 2011)又は量子ドット(A. Sukhanovaら, Nanomedicine, 8 (2012) 516-525)
からなる群より選択される。

0039

1つの好適な実施形態において、前記診断用化合物は、MRI造影剤、より好ましくはガドリニウムである。
診断薬は、検出に使用される場合、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えば99Tc若しくは123I、又は核磁気共鳴(NMR)撮像(MRIとしても知られる)用のスピン標識、例えば、13C、9F、Fe、Gd、123I、111In、Mn、15N若しくは7Oを含んでなってもよい。
有利には、前記治療用化合物は、ペプチド、酵素、核酸、ウイルス及び化学物質から選択される。前記治療用化合物は、鎮痛化合物、抗炎症化合物、抗抑うつ化合物、抗痙攣化合物、細胞毒性化合物又は抗神経変性化合物であることができる。
上記の興味対象の物質は、本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドに、該VHH、VHH誘導体若しくはオリゴペプチドの一方の末端部(N末端又はC末端)で又は該VHH、VHH誘導体若しくはオリゴペプチドの1つのアミノ酸の側鎖で、共有結合的又は非共有結合的に直接連結することができる。興味対象の物質はまた、前記VHH又はVHH誘導体に、該VHH若しくはVHH誘導体の一方の末端部で又は該VHH若しくはVHH誘導体の1つのアミノ酸の側鎖で、スペーサーにより間接的に、共有結合的又は非共有結合的に連結することができる。ペプチド(特に抗体)に興味対象の物質を連結する方法は当該分野において公知である(例えば、TERNYNCK and AVRAMEAS, 1987, 「Techniques immunoenzymatiques」 Ed. INSERM, Paris又はG.T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, 2010, Academic Pressを参照)。

0040

多くの化学的架橋法もまた当該分野において公知である。架橋試薬ホモ二官能性(すなわち、同じ反応を受ける2つの官能基を有する)であってもよいし、ヘテロ二官能性(すなわち、2つの異なる官能基を有する)であってもよい。多くの架橋試薬が市販されている。使用に関する詳細な指示は、商業的供給業者から容易に入手可能である。ポリペプチド架橋及び接合体調製に関する一般的な言及は、WONG, Chemistry of protein conjugation and cross-linking,CRCPress (1991)に見出される。
本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドは、当該分野に公知である一般的な有機化学技法を使用して、特定の放射性同位体、NMR若しくはMRI造影剤、蛍光体、ナノ粒子、又は酵素で標識してもよい。例えば、March, J. ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY: REACTIONS, MECHANISMS, AND STRUCTURE (第3版, 1985)又はG.T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, 2010, Academic Pressを参照。

0041

加えて、本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドはまた、ジアゾニウムヨウ化物を直接介するジアゾ化アミノ誘導体のヨウ素化により(Greenbaum, 1936, F. Am. J. Pharm., 108:17を参照)、又は不安定なジアゾ化アミンの安定なトリアゼンへの変換により、又は非放射性ハロゲン化前駆体の安定なトリアルキルスズ誘導体(これは、次いで、当該分野に周知の幾つかの方法によりヨウ素化合物へ変換することができる)への変換により、任意の適切な放射性ヨウ素同位体、例えば、131I、125I又は123I(ただし、これらに限定されない)で標識されてもよい。Satyamurthy and Barrio, 1983, J. Org. Chem., 48:4394;Goodmanら, 1984, J. Org. Chem., 49:2322及びMathisら, 1994, J. Labell. Comp. and Radiopharm., 905;Chumpraditら, 1991, J. Med. Chem., 34:877;Zhuangら, 1994, J. Med. Chem. 37:1406;Chumpraditら, 1994, J. Med. Chem. 37:4245.を参照。
具体的には、本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチドは、当該分野に公知の幾つかの技法のいずれかにより、SPECT用に123Iで標識することができる。例えば、Kulkarni, 1991, Int. J. Rad. Appl. & Inst. (Part B) 18:647を参照。

0042

本発明に従うVHH又はVHH誘導体はまた、公知の金属放射性標識、例えば、テクネチウム-99m(99mTc)で放射性標識してもよい。そのような金属イオンに結合するリガンドを導入するための置換基の改変は、放射性標識の分野の当業者により、過度の実験を要することなく行うことができる。その後、本発明に従う金属放射性標識VHH又はVHH誘導体を用いて、アミロイドβ沈着を検出することができる。99mTcの放射性標識誘導体の製造は当該分野において周知である。例えば、Zhuangら, 1999, Nuclear Medicine & Biology, 26:21 7-24;Oyaら, 1998, Nuclear Medicine & Biology, 25:135-40;Hornら, 1997, Nuclear Medicine & Biology, 24:485-98を参照。
本発明はまた、興味対象の物質と直接又は間接にカップリングされた本発明に従うVHH又はVHH誘導体(機能的接合体)を取得するためのカップリング方法に関する。
第1のストラテジによれば、本発明に従うVHH又はVHH誘導体は、非部位特異的アプローチを用いて興味対象の物質に接合される。前記非部位特異的方法は、興味対象の物質と本発明に従うVHH又はVHH誘導体との接合工程を含んでなる。

0043

興味対象の物質が金属、例えばNMR又はMRI造影剤(例えば、常磁性体ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)及びマンガン(Mn)、酸化鉄若しくは鉄白金をベースとする超常磁性体、及びX核、例えば18F、13C、23Na、17O、15N、或いは例えば、放射性金属同位体(例えば、90Y、177Lu、64Cu、99mTc、111In、212Pb、212Bi)である場合、非部位特異的方法にはキレート剤が用いられ、以下の工程:
(i)エステル又は無水物の形態、好ましくはエステルの形態の活性化されたキレート剤を、本発明に従うVHH又はVHH誘導体のリジン残基と接合する工程、及び
(ii)工程(i)のリガンドを興味対象の物質でキレート化する工程
が含まれる。

0044

キレート剤を用いる非部位特異的方法の代替法は、興味対象の物質がキレート剤で「予備キレート化」される方法であり、以下の工程:
(i')興味対象の物質を、エステル又は無水物の形態、好ましくはエステルの形態の活性化されたキレート剤でキレート化する工程、及び
(ii')工程(i')の予備キレート化した興味対象の物質を、本発明に従うVHH又はVHH誘導体のリジン残基と接合する工程
を含んでなる。
接合工程(i)又は(ii')の間、温度は、1℃から40℃まで、好ましくは4℃から20℃まで変化してもよい。溶液は1〜6時間撹拌してもよい。好ましくは、pHは接合工程(i)又は(ii')の間、7〜8.5の間で維持する。

0045

接合工程(i)又は(ii')は、イミダゾールを含む又は含まないPBS/NaCl中で、好ましくはイミダゾールの存在下で実施することができる。
接合工程(i)又は(ii')の間、エステル又は無水物の形態の活性化されたキレート剤は、緩衝液、例えばリン酸緩衝化生食塩水(PBS)溶液に溶解してもよい。1つの好適な実施形態において、エステル又は無水物の形態の活性化されたキレート剤とVHH又はVHH誘導体のリジン残基のアミノ官能基との間のモル比は、1〜10の範囲であり、好ましくは4である。
接合工程(i)とキレート化工程(ii)との間、又はキレート化工程(i')と接合工程(ii')との間に、透析濾過又は透析による緩衝液交換工程が存在してもよい。有利には、溶液は、例えばVivaspinTMデバイスを用いて、透析濾過される。この緩衝液交換工程の間、媒体は1〜5℃の範囲の温度で冷却される。この緩衝液交換工程の間、緩衝液は、例えば酢酸ナトリウム溶液と、好ましくは0〜6時間、より好ましくは2〜3時間の撹拌下で、交換される。
キレート化工程(ii)又は(i')の間、溶液を1〜4時間、好ましくは2〜3時間撹拌する。キレート化工程は、好ましくは1〜60℃、より好ましくは4℃で行う。

0046

その後、透析濾過又は透析による第2の緩衝液交換工程が存在してもよい。有利には、溶液は、例えばVivaspinTMデバイスを用いて、透析濾過される。この第2の緩衝液交換工程の間、媒体は1〜5℃の範囲の温度で冷却される。この第2の透析濾過工程の間、緩衝液は、例えばPBS/NaCl混合物と交換される。緩衝液は、同じ方法(透析濾過)により濃縮されてもよい。
リジン数に依存して、VHH又はVHH誘導体あたりの興味対象の物質の平均密度は、0〜(リジン数+1)の間で変化してもよい。好ましくは、VHH又はVHH誘導体あたりの興味対象の物質の平均密度は、0〜5の間で変化してもよい。
本発明に従う非部位特異的方法は、本発明に従うVHH及びVHH誘導体に適用でき、その範囲を他のVHHにまで拡げることができる。

0047

第二のストラテジによれば、本発明に従うオリゴペプチド(好ましくは本発明に従うVHH誘導体を含む)は、興味対象の物質に、部位特異的アプローチを用いて接合される。部位特異的アプローチは以下の利点を有する:
− 標識オリゴペプチドは化学的に規定されている。なぜならば、本方法により、ヒト使用の観点(品質管理、安全性など)で必須の特徴である十分に規定された接合体が得られるからである。
− この方法は容易で標準である。なぜならば、興味対象の物質でのオリゴペプチドの標識は、短い反応時間で単純な手順による単一工程で実施することができるからである。工程中のモニタリングの必要がなく、標識の程度と結合性との間での妥協の必要もない。これらは、更なる最適化、実験再現性及び製造規模拡大のための鍵となる利点である。
− この方法は、最終サンプルにおいて、オリゴペプチドの鍵となる特性に影響しない:例えば、PがVHHを含んでなるか又はVHHからなる場合、接合体のpIは、BBB横断を可能にするはずである8.5を超えて維持される。更に、標的に関して接合体と競合し得る非標識オリゴペプチドが残存しない;生理学的pHでの短い反応時間という温和な条件は、オリゴペプチドを、起こり得る変性及び/又は活性喪失から保護する。
− この方法は融通が利く。なぜならば、この方法によれば、種々のオリゴペプチドと造影剤又は他の興味対象の分子とを別々に製造し、その後単一工程で組み合わせることができる柔軟なモジュール型アプローチが可能となるからである。その結果、接合体のセットについて、最適化並びにIHC及びMRIによる川下評価を容易に行うことができる。
及びとりわけ
− この方法により、VHHのリジン又はヒスチジンに対する副反応なしで、かつ、VHHの機能及び3D構造を全体的に維持しつつ、反応工程数を減少させることができる一方、全体収率が改善する。

0048

本発明に従う部位特異的方法は、本発明に従うオリゴペプチドと、チオール反応性官能基を有する興味対象の物質(例えば、興味対象の物質を有する上記のような式(I)又は(I')のマレイミド化合物)との接合工程を含んでなる。
オリゴペプチドのシステインとチオール反応性化合物(例えば、式(I)又は(I')のマレイミド化合物)との間でのチオ付加は、0〜20℃の範囲の温度、好ましくは4℃で、例えば2〜4時間行うことができる。
オリゴペプチドのシステインとチオール反応性化合物(例えば、式(I)又は(I')のマレイミド化合物)との間でのチオ付加は、好ましくは4〜7.5の範囲のpH、より好ましくはpH6.8で行われる。pHが4未満であれば、反応は進行せず、7.5を超えると、反応は非特異的となる(リジンに反応する)。pHを調整するため、接合工程(i)又は(ii')は、イミダゾールを含むか又は含まないPBS/NaCl中、好ましくはイミダゾールの存在下に行うことができる。精製カラムから直接溶出したタンパク質へのマレイミド化合物のチオ付加のための特異条件を同定することにより、驚くべきことに、工程数の減少及びプロセス全体収率の向上が可能になる。
その後、透析濾過又は透析による緩衝液交換工程が存在してもよい。有利には、溶液は、例えばVivaspinTMデバイスを用いて、透析濾過される。次いで、溶液は、同じ方法(透析濾過)により濃縮されてもよい。

0049

しかし、接合工程(i)又は(ii')をイミダゾールを含むPBS/NaCl中で行う場合、(イミダゾールを除去しないために)その後の透析濾過又は透析工程を行わないことが好ましい。
非特異的方法であっても、特異的方法であっても、興味対象の物質は上記のとおりであり得る。
1つの好適な実施形態によれば、興味対象の物質は、上記のとおりの治療用又は診断用化合物、好ましくは、上記のとおりの蛍光体、放射性同位体及びNMR又はMRI造影剤からなる群より選択される診断用化合物である。
本発明者らは、興味対象の物質がNMR又はMRI造影剤である場合、合成した接合体が非標識VHHの重要な機能的特性を保持することを観察した。
1つの好適な実施形態によれば、興味対象の物質は、NMR又はMRI造影剤、例えば、常磁性体ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)及びマンガン(Mn)、酸化鉄(例えば、MION、SPIO、USPIO)又は鉄白金(SIPP)をベースにする超常磁性体、及びX核、例えば、18F、13C、23Na、17O、15Nである。より好ましくは、興味対象の物質は、常磁性体ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)及びマンガン(Mn)から選択されるNMR又はMRI造影剤である。

0050

キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7-トリス(カルボキシメチルアザ)シクロドデカン-10-アザアセチルアミド(DO3A)、ニトリロ三酢酸(NTA)(Chongら, 2008, 19, 1439)、D-ペニシラミン(Pen)、2,3-ジメルカプトコハク酸(DMSA)、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸(DMPS)(O. Andersen, Chem. Rev., 1999, 99, pp. 2683-2710)、2,3-ジメルカプトプロパノール(BAL)、トリエチレンテトラミン(Trien)、テトラチオモリブデン酸アンモニウム(TTM)アニオン(G.J. Brewer, F.K. Askari, J. Hepatol., 2005, 42, pp. S13-S21)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸(IB4M)(Nweら, J. Inorg. Biochem, 2011, 105, 722)、ヒドロキシピリジノン(HOPO)(Villarazaら, Chem. Rev., 2010, 110, 2921)から選択されてもよい。
興味対象の物質がガドリニウムである場合、DOTAが好ましいキレート剤である。

0051

本発明の別の1つの目的は、システイン残基が本発明に従って規定されるマレイミド化合物を介して少なくとも1つの興味対象の物質に連結されているオリゴペプチドである。前記オリゴペプチドは、本発明の部位特異的方法に従って取得可能である。
本発明はまた、本発明の非部位特異的方法に従って取得可能である、興味対象の物質に接合したVHH又はVHH誘導体、及び、本発明の部位特異的方法に従って取得可能である、興味対象の物質を有する、チオール反応性化合物(例えば、式(I)のマレイミド化合物)に接合したVHHも提供する。
興味対象の物質がペプチドである場合、本発明に従うVHH又はVHH誘導体及び前記興味対象の物質は、本発明に従うVHH又はVHH誘導体及び適切なペプチドを含む融合ポリペプチドとして遺伝子工学により作製することができる。この融合ポリペプチドは、公知の適切な宿主細胞において、従来方法により発現させることができる。

0052

本発明に従うVHH、VHH誘導体、オリゴペプチド、治療用又は診断用薬剤は、注射、例えば静脈内、動脈内、硬膜下腔内(脊髄液を介して)、腹腔内、筋内若しくは皮下注射により、又は滴下により、対象者(哺乳動物又はヒト)に投与することができる。
本発明に従うVHHは、ヒト対象者に投与する場合、ヒトにおける免疫原性を低減させるためにヒト化することができる。ヒト化抗体又はそのフラグメントを作製する方法は、当該分野において公知である(Vincke C.ら, 2009, J Biol Chem., 284, 3273-84)。
本発明に従う診断薬は、脳撮像、又はアミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病(AD)及びダウン症候群の診断若しくはモニタリングに使用することができる。
本発明はまた、本発明に従うVHH、VHH誘導体又はオリゴペプチド及び上記のような興味対象の物質を含んでなるキットを提供する。
具体的には、本発明はまた、VHH又はVHH誘導体及び上記のような診断薬を少なくとも含んでなる、脳撮像のため、又はアミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群の診断若しくはモニタリングのためのキットを提供する。

0053

本発明はまた、対象者における、アミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群の診断又はモニタリングのための、本発明に従う診断薬の使用を提供する。
本明細書で使用する場合、「対象者」は哺乳動物、好ましくはヒト、最も好ましくはアミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群を有すると疑われるヒトである。
本発明はまた、対象者において、アミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群を診断するためのインビトロ又はエキソビボ方法であって、以下の工程:
a)インビトロで、前記対象者からの適切な生物学的サンプルを本発明に従う診断薬と接触させる工程、及び
b)前記生物学的サンプルにおいて、アミロイドβ沈着(例えば、アミロイド斑)の存否を決定する工程
を含んでなり、アミロイドβ沈着の存在が、対象者がアミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群を有することを示す方法を提供する。

0054

工程b)は、VHH-抗原複合体(すなわち、VHHは原線維形態のアミロイドβを指向する)の存否を決定することにより行うことができる。
本発明はまた、対象者において、アミロイドβ沈着により媒介される疾患、例えばアルツハイマー病及びダウン症候群の進行又は退行をモニターするためのインビトロ又はエキソビボ方法であって、以下の工程:
a)インビトロで、前記対象者からの適切な生物学的サンプルを本発明に従う診断薬と接触させる工程、
b)前記生物学的サンプルにおいて、原線維形態のアミロイドβの量を測定する工程、及び
c)工程(b)で測定した量を、前記対象者について以前に得た原線維形態のアミロイドβの量と比較する工程
を含んでなり、原線維形態のアミロイドβの量の有意な増加がアミロイドβ沈着により媒介される疾患の進行のマーカーを構成し、原線維形態のアミロイドβの有意な減少がアミロイドβ沈着により媒介される疾患の退行のマーカーを構成する方法を提供する。

0055

本明細書で使用する場合、用語「有意な増加」及び「有意な減少」とは、以前に当該対象者からの適切な生物学的サンプルにおいて測定された原線維形態のアミロイドβの量(参照量として使用)に対して、適切な生物学的サンプルにおける原線維形態のアミロイドβのそれぞれ、より高い量又はより低い量をいう。
工程b)はまた、VHH-抗原複合体の存否を決定することにより行うことができる。
前記適切な生物学的サンプルは、脳生検又は死後脳組織であり得る。
脳生検又は死後脳組織においてアミロイドβ沈着を検出する方法に関する本発明の観点によれば、該方法は、ホルマリン固定組織を本発明に従う診断薬の溶液とインキュベートすることを含んでいてもよい。インキュベーションに際して、診断用化合物は組織中のアミロイドβ沈着を標識し、染色又は標識されたアミロイドβ沈着は、任意の標準的方法により検出又は可視化することができる。このような検出手段には、顕微鏡観察法、例えば明視野蛍光レーザ共焦点及び交差偏光顕微鏡観察が含まれる。生検又は死後組織におけるアミロイドβ量の定量方法には、例えば、本発明に従う診断薬又はその水溶性非毒性塩を生検又は死後組織のホモジネートとインキュベートすることが含まれる。組織は、当該分野において周知の方法により取得し、ホモジナイズする。有利には、診断用化合物は放射性同位体標識化合物であるが、他の診断用化合物、例えば酵素、蛍光体又はNMR若しくはMRI造影剤を使用することもできる。

0056

本発明はまた、対象者におけるアミロイドβ沈着のインビボ画像化法であって、以下の工程:
a)対象者、好ましくはヒトに検出可能量の本発明に従う診断薬を投与する工程、及び
b)前記対象者における診断薬を画像化法により検出する工程
を含んでなる方法を提供する。
本発明に従う方法により、対象者、好ましくはヒトの脳におけるアミロイド沈着の存在及び位置の決定が可能になる。
本明細書で使用する場合、「検出可能量」は、投与された診断薬の量がアミロイドβへの診断薬の結合の検出を可能にするに十分であることを意味する。
本明細書で使用する場合、「画像化有効量」は、投与された診断薬の量がアミロイドβへの診断薬の結合の画像化を可能にするに十分であることを意味する。

0057

画像化法には、アミロイドβ沈着をインビボで検出するために使用される非侵襲的神経撮像法、例えば磁気共鳴分光法(MRS)若しくは撮像法(MRI)、又はガンマ撮像法、例えば陽電子断層撮影法(PET)若しくは単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)が含まれる。
インビボ画像化のためには、利用可能な検出装置のタイプは、標識選択の主因である。例えば、ガドリニウム、鉄又はマンガンをベースとする造影剤は、興味対象の物質に結合させた本発明に従うVHH又はVHH誘導体を、磁気共鳴分光法(MRS)又は撮像法(MRI)により検出するために使用することができる。放射性同位体(例えば19F)も、本発明の方法におけるインビボ画像化に特に適切である。使用する装置のタイプは、興味対象の物質の選択における指針を示す。例えば、所与装置タイプで検出可能な様式の崩壊を示す放射性核種を選択しなければならない。造影剤又は放射性核種の半減期も考慮する。放射性同位体に関しては、半減期は、脳による最大取込み時に依然として検出可能であるように十分に長くあるべきであるが、対象者が有害な放射線を維持しないように十分に短くあるべきである。本発明に従う放射性標識VHH又はVHH誘導体は、放出された適切な波長のガンマ放射線を検出するガンマ撮像法を用いて検出することができる。ガンマ撮像法には、SPECT及びPETが含まれるがこれらに限定されない。SPECT検出のためには、好ましくは、粒子を放出しないが、140〜200keV範囲の光子を多数生じる放射性同位体が選択される。PET検出のためには、放射性標識は、陽電子放出性放射性核種、例えばPETカメラにより検出される2つの511keVガンマ線を生成して消滅する19Fである。

0058

一般に、検出可能な診断薬の投薬量は、考慮すべき事項、例えば、患者の年齢、病状、性別及び疾患の程度、あれば禁忌、併用している治療法及び他の変量に依存して変化し、当該分野の医師により調整されるべきである。対象者への投与は、局所的であってもよいし、全身性であってもよく、静脈内、動脈内、硬膜下腔内(脊髄液を介する)などにより行われ得る。投与はまた、検査部位に依存して、皮内であってもよいし、腔内であってもよい。化合物がアミロイドβと結合するに十分な時間(例えば30分〜48時間)の経過後、対象者の検査対象領域を、ルーチンの画像化法、例えばMRS/MRI、SPECT、平面シンチレーション撮像、PETにより、また新開発の技法により検査する。正確なプロトコルは、上記のような患者特有要因に依存して、また検査対象身体部位投与方法及び用いる標識タイプに依存して変える必要がある;具体的手順の決定は当業者にはルーチンワークである。
本発明はまた、診断薬としての、本発明に従う診断用化合物に結合したオリゴペプチドを提供する。
本発明はまた、上記のような治療薬及び医薬的に許容され得るキャリアを含んでなる医薬組成物を提供する。

0059

本明細書で使用する場合、「医薬的に許容され得るキャリア」は、医薬投与適合可能ないずれの溶媒分散媒体コーティング抗菌及び抗真菌剤等張化及び吸収遅延化剤などを含むものと意図される。適切なキャリアは、当該分野において標準の教科書であるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。好適なキャリア又は希釈剤の例としては、水、生理食塩水リンゲル液デキストロース溶液及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム、カチオン性脂質及び非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)もまた使用し得る。医薬活性物質についてのこのような媒体及び剤の使用は当該分野において周知である。従来の媒体又は剤のいずれも、上記治療薬と適合性でない場合を除き、本発明の組成物における使用が企図される。
本発明はまた、医薬、特にアミロイドβ沈着により媒介される疾患(例えばアルツハイマー病及びダウン症候群)の治療に使用する医薬としての、本発明に従うVHH、VHH誘導体、治療薬又は医薬組成物を提供する。

0060

本発明はまた、アミロイドβ沈着により媒介される疾患(例えば、アルツハイマー病及びダウン症候群)を予防又は治療する方法であって、その必要がある対象者に本発明に従う治療薬又は医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
本明細書で使用する場合、用語「治療」には、疾患、疾患症状又は疾患素因を有する患者に、当該疾患、疾患症状又は疾患素因を治癒し(cure、heal)、緩和し、軽減し、変化させ、修復し(remedy)、寛解し、改善し又はそれらに影響を及ぼすことを目的として、本発明に従うVHH、VHH誘導体、治療薬又は医薬組成物を投与することが含まれる。
用語「予防」は、アミロイドβ沈着により媒介される疾患(例えば、アルツハイマー病)の進行が減速し、及び/又は消失すること、或いはアミロイドβ沈着により媒介される疾患(例えば、アルツハイマー病)の発症が遅延し又は生じないことを意味する。
別の観点において、本発明は、哺乳動物の血液脳関門(好ましくは、ヒト血液脳関門)を横切る興味対象の物質の送達用のペプチドベクターを生産するための、本発明に従うVHH又はVHH誘導体の使用に関する。
本発明はまた、治療薬としての、本発明に従う治療用化合物に結合したオリゴペプチドを提供する。

0061

前述の特徴に加えて、本発明は、本発明を例示する実施例に言及する下記の説明並びに添付の図面から明らかになる他の特徴を更に含んでなる。

図面の簡単な説明

0062

図1は、ヒトパラフィン切片でVHH R3VQを用いたアミロイド斑の免疫組織化学的染色を示す。6F3D(Akiyama H.ら, 1996, Neurosci lett., 206:169-72)を参照抗Aβ抗体として用いた。
図2A及びBは、新鮮なヒトAD脳組織でVHH R3VQを用いたアミロイドβ斑の免疫組織化学的染色を示す。
図2C及びDにおいて、4G8(Wisniewski T.ら, 1996, B. Biochem J., 313:575-80)を参照抗Aβ抗体として用いた。
図3は、トランスジェニックTauPS2APPマウスの新鮮な脳組織(A)でVHH R3VQを用いたアミロイド斑の免疫組織化学的染色を示す。4G8を参照抗Aβ抗体として用いた(B)。
図4は、VHH R3VQ(プロテアーゼ阻害剤[200μg/mlPMSF、2μg/mlペプスタチンA、4μg/mlロイペプチン、30μg/ml塩酸ベンズアミジン]を含有するフェノールレッドフリーハムF12培地(Gibco)又は緩衝液A[PBS(pH7.4)、0.32Mスクロース、50mM Hepes、25mM MgCl2、0.5mM DTT])を用いたヒト脳抽出物又はAβ42のウェスタンブロットを示す。
図5Aは、VHH R3VQを定位注射したトランスジェニックTauPS2APPマウスのパラフィン包切片におけるアミロイドβ斑の免疫組織化学的染色を示す。図5Bは、図5A中の指定領域の拡大図を示す。
図6Aは、R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2 2eを定位注射したトランスジェニックTauPS2APPマウスのパラフィン包埋切片におけるアミロイドβ斑の免疫組織化学的染色を示す。図6Bは、図6A中の指定領域の拡大図を示す。
図6Cは、注射部位から遠位視床に存在するアミロイドβ斑の標識を示す。図6Dは、図6C中の指定領域の拡大図を示す。
図6Eは、同一マウスで4G8抗体を用いてアミロイド斑を標識したコントロールを示す。
図7A:トランスジェニックTauPS2APPマウス脳を、抗Aβ VHH-Gd 2e(R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2造影剤溶液(0.02mg/ml、0.01mMのGdに等価)に浸漬した後のインビトロMR画像は、低信号スポット(白色矢印)を示す。図7Bは、同一マウスでのGd染色によるアミロイド斑のMRI検出を示す(同じ位置にアミロイド斑が検出される;矢印)。
図7Cは、同一マウスでR3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2 2eを用いたアミロイドβ斑の免疫組織化学的染色を示す(矢印)。図7Dは、同じ濃度(0.01mM)のガドリニウム溶液に浸漬したコントロールのトランスジェニックTauPS2APPマウス脳である。
図8A:脳室内注射後、抗Aβ VHH-Gd 2e(R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2;1μg/μlで1μl/一側)は、海馬のエキソビボMR画像において低信号スポットを示した(白色矢印)。図8Bは、同一マウスでのGd染色によるアミロイド斑のMRI検出を示す(同じ位置にアミロイド斑が検出される;矢印)。図8Cは、同一マウスでR3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2を用いたアミロイドβ斑の免疫組織化学的染色を示す(矢印)。
図8Dは、同じ濃度(0.1mM)のガドリニウム溶液を注射したコントロールのトランスジェニックTauPS2APPマウスである。
図9は、非部位特異的アプローチ(A)及び部位特異的アプローチ(B)による標識VHH(R3VQ)の合成を示す。VHH 1及び3を、PBS/NaCl/イミダゾール緩衝液中でアフィニティーカラムから溶出させた。1は、緩衝液交換後に非部位特異的アプローチによる接合体化に供し(A)、3は、緩衝液交換あり(方法1)又はなし(方法2)の部位特異的方法により接合体化した(B)。ライゲーション部位をタンパク質上に示す。この標識の結果、それぞれ、多分散系混合物(例として2f及び2eを示す)及び化学的に規定された接合体(例として5を示す)が生じた。n' = VHHあたりのDOTA/Gdの平均量(種々の部位でランダム分布)。m = VHHあたりのDOTA/Gdの正確な量(単一部位局在)。全体収率(括弧内に表示)には、アフィニティーカラム溶出緩衝液中の出発材料タンパク質(正味のペプチド含量)からの全工程が含まれる。マレイミド-(DOTA/Gd)3化合物4の固相合成を図9(C)で説明する。4は、Fmoc化学を用い、カップリング試薬としてHATU/DIEAを用いる従来の固相ペプチド法により製造した。全体収率を括弧内に示す。DOTAの構造式囲み内に示す。
図10は、(A)抗Aβ VHH A7、B10、R3VE、R3VQ及びF12のアミノ酸配列アラインメント(CDR1、CDR2、CDR3に下線を付す)、(B)R3VQ-SH 3のアミノ酸配列、(C)R3VE-SHのアミノ酸配列を示す
図11は、部位特異的接合により得たVHH R3VQ-S-(DOTA/Gd)3(図9の化合物5)の分析及び特性評価を示す。(A)HPLC/MS。(B)IEF。(C)iv注射後の脳におけるVHHのIHC検出によるBBB横断の評価。A、Bは非接合体化タンパク質R3VQ-SHとの比較で示す。
図12は、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3とのインビトロインキュベーション後のアミロイド斑のMRI検出を示す。ネガティブコントロールとしてのPS2APPマウス脳ではコントラスト異常は検出できなかった(A)一方、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3とのインビトロインキュベーション後のPS2APPマウス脳では幾つかの低信号スポットが明らかになった(B、白色矢印)。これら低信号スポットは、MRIによるアミロイド斑検出のための最も標準的なポジティブコントロールとして用いられるGd染色手順によって強調されたアミロイド斑と同位置に存在した(C、白色矢印)。実験は7T分光計で行った。
図13は、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3のiv注射後のアミロイド斑のエキソビボMRI検出を示す。PBS(ネガティブコントロール、A〜B)又は20mg/kg(C)若しくは50mg/kg(D)のR3VQ-S-(DOTA/Gd)3をマウスにiv注射し、5時間後に当該マウスを犠牲にした。取り出した固定脳においてMR画像を11.7Tで取得した。ネガティブコントロールは、注射されたマウスの脳(C及びD、白色矢印)と比較して、際立ったコントラスト異常を示さなかった(A及びB)。これら低信号スポットは、50mg/kgの場合で、20mg/kgの場合より際立っており豊富であった。これら低信号スポットは、ポジティブコントロール手順により明らかにされたアミロイド斑と同位置に存在した(E及びF、白色矢印)。
図14は、部位特異的接合により得たVHH R3VQ-S-AF488のインビトロ分析及び特性評価を示す。(A)HPLC/MS。(B)SDS-PAGE。(C)IEF。(D)アミロイド斑についてのIHC。A、B、Cは非接合体化タンパク質R3VQ-SHとの比較で示す。
図15は、2年齢のPS2APPマウスにおいて皮質表面へR3VQ-S-AF488を局所脳注入した後でのアミロイド斑及びCAAのインビボ画像化を示す。矢印はCAAによる標識を示す。スケールバー= 50μm。
図16は、二光子顕微鏡観察法によるR3VQ-S-AF 488のインビボ画像化を示す。(A)皮質表面〜深さ360μmの投影体積での最大強度投影法(MIP)による画像再構成を用いた、2年齢のPS2APPマウスにR3VQ-S-AF488をiv注射した後の脳のインビボ画像化。T0は、iv注射前のベースライン画像を示す。スケールバーは50μmである。中抜き矢頭は血管性Aβを示し、塗りつぶし矢頭は実質性Aβ沈着を示す。(B)2年齢のPS2APPマウスにR3VQ-S-AF488をiv注射した後(注射の3.5時間後)の脳のインビボ画像化。中抜き矢頭は血管性Aβを示し、塗りつぶし矢頭は実質性Aβ沈着を示す。(C)R3VQ-S-AF488をiv注射したPS2APPマウスにおける、抗His mAbを用いるアミロイド斑の免疫組織化学的染色。R3VQによるアミロイド斑の免疫染色は脳全体を通して観察された。(D)PS2APPマウスにおけるR3VQ-S-AF488の10mg/kg ivと50mg/kg ivとの間でのアミロイド斑の免疫染色の比較(IHCシグナルに対する用量依存的効果を示す)。
図17は、二光子顕微鏡観察法によるR3VEのインビボ画像化を示す:塩基性pIは、VHHを、BBBを横切らせるために重要である。(A)R3VQ及びR3VE化合物のIEF分析。R3VEは、VHH及び接合体の両方についてR3VQより塩基性が弱い(R3VE-S-AF488のpIは約7.5)。(B)R3VQ-S-AF488を投与したマウスとは対照的に、R3VE-S-AF488(用量:10mg/kg)を静脈内投与したマウスでは脳アミロイド血管症のみが観察された。(C)R3VQ-S-AF488 10mg/kgをiv注射したマウス及びR3VE-S-AF488 10mg/Kgをiv注射したマウスにおける抗His mAbによる組織学的染色の比較。
図18は、mAb 4G8-AF488(10mg/Kg)をiv注射した2年齢PS2APPマウスの脳のインビボ画像化を示す。mAb 4G8の存在は血管でのみ観察される。血管外性信号は、参照チャネル(赤)でも観察されたため、アーチファクトである。

0063

実施例1:ガドリニウム造影剤にカップリングした抗Aβ VHHの作製及びそのインビトロ/インビボ評価
材料及び方法
1.VHH R3VQの作製、選択及び精製
抗原調製及びアルパカにおける液性免疫応答の誘導
A-β42ペプチド(Aβ42)(1mg−Bachem)を900μlのH2Oに溶解し、激しく撹拌した。100μlのPBS10×を加え、混合物を使用前1ヶ月間室温にてインキュベートした。250μlの混合物を、最初の免疫用には250μlのフロイント完全アジュバントと混合し、その後の免疫用には250μlのフロイント不完全アジュバントと混合した。一匹の若年成体雄性アルパカ(Lama pacos)を250μgの免疫原で0日目、21日目及び35日目に免疫した。50日目に、血清サンプル採取し、抗原としてAβ42を用いるELISAにより免疫応答をモニターした。

0064

ライブラリの構築及びパニング
免疫動物の血液250mlを50日目に採集し、末梢血白血球を、Ficoll(Pharmacia)不連続グラジエントでの遠心分離により単離し、更なる使用まで−80℃で保存した。総RNA及びcDNAを、以前にLafaye P.ら(1995, Res Immunol., 146:373-382)に記載されたように取得し、VHHドメインをコードするDNAフラグメントを、VH遺伝子のそれぞれ3'及び5'フランキング領域アニールするCH2FORTA4及びVHBACKA6プライマーを用いるPCRにより増幅した。増幅産物を、プライマーVHBACKA4及びVHFOR36、又はプライマーVHBACKA4及びLHH(5' GGACTAGTTGCGGCCGCTGGTTGTGGTTTTGGTGTCTTGGG-3')(配列番号13)(長ヒンジホモ二量体抗体に特異的)を用いる第2ラウンドのPCRにおいてテンプレートとして使用した。プライマーは、増幅産物の5'及び3'末端部に相補的であり、VHH遺伝子の末端部にSfiI及びNotI制限部位が組み込まれていた。PCR産物消化し、ファージ発現ベクターpHEN1にライゲートした。得られたライブラリは、2つのサブライブラリ(一方はヒンジの無いVHH DNA-コーディング遺伝子に由来し、他方は長ヒンジ抗体遺伝子に由来した)から構成されていた。両方のサブライブラリを用いてファージを作製し単離した後、プールした。

0065

ライブラリを、以前(Lafaye P.ら, 2009, Mol Immunol. 46:695-704)に記載されたように、ビオチン化Aβ1-42、Aβ1-40又はAβ1-16ペプチドとの反応性について並行してパニングした。ライブラリ(1013の形質導入単位)を、穏やかな撹拌下での各ビオチン化ペプチドとの37℃にて1時間のインキュベーションによりパニングした後、混合物をストレプトアビジンビーズと37℃にて15分間インキュベートした。3回のパニングの各々で異なるブロッキング剤を用いた:2%スキムミルク、1:4希釈Licor及び4%BSAをそれぞれ用いた。用いたビオチン化ペプチドの濃度は、各回のパニングごとに減少させた(100nM、50nM及び10nM)。ファージクローンを、検出にHRP/抗M13モノクローナル抗体接合体(GE Healthcare)を用いる標準的なELISA手順によりスクリーニングした(下記参照)。

0066

VHHの発現
ベクターpHEN1中の選択ナノボディのコーディング配列を、NcoI及びNotI制限部位を用いて、6-ヒスチジンタグを含有する改変細菌発現ベクターpET23にサブクローニングした。形質転換したE. coliBL21(DE3) LysS細胞は、IPTG(0.5mM)での16℃にて一晩の誘導後、細胞質にVHHを発現する。精製VHHを、細胞質抽出物から、Ni2+を担持するHiTrapクルードカラム(GE Healthcare)を製造業者の指示に従って用いるIMAC、続いてSuperdex 75カラム(GE Healthcare)でのサイズ排除クロマトグラフィーにより単離した。VHH(特に。R3VQ(His)-NH2;図9の化合物1)を50mMリン酸ナトリウム緩衝液、300mM NaCl及び500mMイミダゾール緩衝液に溶出させた。

0067

2.VHH R3VQの生化学的特性の特徴決定
イムノブロット
A-ベータ42ペプチドを、8M尿素を含有するNuPAGE(登録商標)LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)に再懸濁した。NuPAGE Novex 4-12% Bis-trisゲル(Invitrogen)を用いるポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)による分離後、Hybond-C(Amersham)への半乾燥転写を行い、Xcell IIブロットモジュール(Invitrogen)を用いてウェスタンブロッティングを行った。免疫化学反応の前に、メンブレンを4%スキムミルク溶液でブロックした。メンブレンのイムノブロッティングを、VHH、ウサギ抗Hisタグ(eBioscience)ポリクローナル抗体及びペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギイムノグロブリン(Abcam)により行った。最後に、化学発光キット(GE Healthcare)を用いてペルオキシダーゼ活性を可視化した。

0068

ELISA
ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート(Thermo Scientific, Denmark)を、PBSに希釈した1μg/mlのビオチン化A-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)との4℃で一晩のインキュベーションにより被覆した。プレートをPBS中0.1% Tween 20の緩衝液で洗浄した。VHH R3VQをPBS中0.5%ゼラチン、0.1% Tween 20の緩衝液で希釈した。37℃で2時間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄し、その後、ウサギ抗Hisタグポリクローナル抗体(eBiosciences)、続いてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギイムノグロブリン(Abcam)を加え、最後に、製造業者のプロトコルに従ってOPD(o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド,Dako)により顕色した。

0069

ELISAによる解離定数の測定
VHHの結合親和性を、以前(Friguet Bら, 1985, Immunol Methods, 77:305-19)に記載されたように測定した。簡潔には、種々の濃度のAβペプチド(Aβフラグメント1-16、10-20、15-25、22-35及び29-40)を既知量のVHHと、平衡に達するまで、4℃で一晩、溶液状態でインキュベートした。用いたVHH濃度は予備的なELISA較正により測定した。各混合物(100μl)を、抗原を予め被覆したマイクロタイタープレートのウェルに移し、4℃で20分間インキュベートした。プレートをPBS中0.1% Tween 20の緩衝液で洗浄し、β-ガラクトシダーゼ接合ヤギ抗ウサギIg(Biosys, Compiegne, France)及び4-メチルウンベリフリルα-Dガラクトシド(Sigma)の添加により結合VHHを検出した。355nmでの励起後、460nmの蛍光を読み取った(Fluoroskan, Labsystem, Finland)。「結合抗体の割合の逆数」対「抗原のモル濃度の逆数」をプロットして得られる回帰曲線の傾きからKDを推定した。

0070

配列分析
VHHをコードするDNAはGATCBiotechが配列決定し、配列はDNAストライダーで処理した。

pIの測定
VHHのpIを、IEF 2-9ゲル(Invitrogen)を用いる等電点電気泳動により測定した。アノードにサンプル適用するNEPGHE(非平衡pHグラジエントゲル電気泳動)を用いた。なぜならば、そのことにより、pH8.5〜10.5を含む塩基性範囲のゲルにおける最適なタンパク質分析が可能となるからである。プロトコルはSERVAGel IEF 3-10指示マニュアルに詳述されていた。

0071

3.MRI造影剤にカップリングしたVHH R3VQ及び合成造影剤のMRI特性の特徴決定
VHH R3VQをガドリニウム(MRI造影剤)に、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)(キレート剤)を用いて接合した。非部位特異的カップリング及び部位特異的カップリングに基づく2つのストラテジを用いた:
− 第一のストラテジは、(i)キレート剤DOTAとVHH(R3VQ-NH2 1)のリジン残基との接合工程、その後の(ii)MRI造影剤(すなわち、ガドリニウム(Gd))でのキレート化工程を含んでなる(図9Aを参照)。このストラテジの結果、逆相高速液体クロマトグラフィー/質量分析(RP-HPLC/MS)により示されるように、ランダムに分布したGd及び或る範囲のGd:VHH化学量論を有するR3VQ-N-(DOTA/Gd)n接合体2の複雑な多分散系混合物が生じた。DOTA接合工程の条件を変化させると、異なるDOTA/Gd密度を有する幾つかの接合体が得られた(全体収率60〜67%)。IHC及びMRIによるインビボ評価で、R3VQ-N-(DOTA/Gd)n接合体は、脳室内注射したマウスにおいてアミロイド斑を認識することができた。

0072

− 第二のストラテジは、マレイミド化合物でのVHH R3VQの標識化を含む部位特異的アプローチを使用するものであった(図9Bを参照)。N末端からC末端に、6-ヒスチジンタグ、トロンビン切断部位、R3VQ VHH配列、続いてG3Sスペーサー及び追加の3アミノ酸CSAを含有するCys操作R3VQ(R3VQ-SH 3)を、ベクターpET23にクローニングして高レベルの発現を可能にした。単一ドメイン産物は、SDS-PAGE及びRP-HPLC/MSにより、純粋〜均質であることが示された。R3VQ-SHのpI値は8.5〜9の範囲であった。マレイミド-(DOTA/Gd)3化合物4を、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学を用いる固相ペプチド合成により製造した。チオ付加によりマレイミド-(DOTA/Gd)3化合物と接合した場合、RP-HPLC/MSで示されるように、R3VQ-SHは全て、十分に規定された化合物R3VQ-S-(DOTA/Gd)3 5に変換された(収率70%)。R3VQ-S-(DOTA/Gd)3のpIは、非標識R3VQ-SHのものと比べて僅かに低下していた。R3VQ-SH及びR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の結合特性は、ELISAプレートに固定したAβ40及び可溶性Aβ40を用いる競合阻害実験で決定した。50%結合阻害が得られるAβ40濃度は、R3VQ-SH及びR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の両方で1μg/mlと計算された。これにより、DOTA/Gdの付加はVHHの結合特性に影響しないことが示唆される。更に、トランスジェニックB6 PS2APPマウスにおけるVHH特異的免疫反応性の分布によれば、R3VQ-SHは、抗原賦活化前処理後のマウスパラフィン切片でAβ斑を免疫検出する良好な能力を示した。

0073

3.1.一般的な合成法
特に断らない限り、アミノ酸誘導体及び試薬は、それぞれNovabiochem及びSigma-Aldrichから購入したものである。ペプチド及びVHH溶液の濃度(正味のタンパク質含量)は、当該化合物を6N HClで110℃にて20時間加水分解した後、Beckman 6300分析装置を用いる定量的アミノ酸分析(AAA)により測定した。RP-HPLC/MS分析は、UV検出装置2487(220nm)と、エレクトロスプレーイオン化(ポジティブモード)源(Waters)を備えたQ-TofmicroTM分光計(Micromass)とに接続したAlliance 2695システムで行った。サンプルをオートサンプラーで4℃に冷却した。線形グラジエントは、アセトニトリル+0.025%ギ酸(A)/水+0.04%TFA+0.05%ギ酸(B)を用いた10分間又は20分間にわたるものであった。用いたカラムはXBridgeTM BEH300 C18(3.5μm,2.1×100mm)(Waters)(グラジエント10〜100% A)であった。ソース温度を120℃に、脱溶媒和温度を400℃に維持した。コーン電圧は40Vであった。サンプルを、0.4〜1mg/ml濃度で、Bを添加したそれぞれの緩衝液に注入した。予想Mr値は、N末端Metが欠失し、1つのジスルフィド結合を有するタンパク質の平均分子量に相当する。Mr分析を同じ分光計において直接注入によるポジティブモードで記録した(ソース温度及び脱溶媒和温度をそれぞれ80℃及び250℃に維持した)。サンプルを水/アセトニトリル(1/1)(0.1%ギ酸を含む)に5μM濃度で溶解した。4の純度を、UV検出装置(220nm)を備えたAgilent 1200ポンプシステムを用いるRP-HPLCにより分析した。用いたカラムはKromasil C18(100Å,5μm,4.6×250mm)(AIT)であり、グラジエントは、アセトニトリル(VWR)(C)/水+0.1%TFA(VWR)(D)を用いた20分間にわたるものであった。

0074

3.2.非部位特異的アプローチ
全ての試薬のモル当量反応基について示す(R3VQあたり5つのNH2及び1つのDOTA/R3VQ接合体の平均)。全体収率(下記表2を参照)には、アフィニティーカラム溶出緩衝液中の出発タンパク質1からの全合成工程が含まれる。全体収率は、最終産物2a〜2fの実際の量を予測量(正味のタンパク質含量)で除算することにより算出した。
アフィニティーカラムから溶出したR3VQ(His)-NH2 VHH 1を、300mM NaClを含有するPBS緩衝液(PBS/NaCl)で透析した。PBS/NaCl(120μl)に溶解した1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)(DOTA-NHS)(274μg,アミノ基に対して4当量)を、1(480μl,0.60mg/ml)に加え、溶液を室温で撹拌した。アリコート(10μl)を15分ごとに抜き出し、100mM Tris緩衝液(pH7.3)(90μl)で希釈し、HPLC/MSにより分析して反応の進行をモニターした。3時間後、溶液を4℃に冷却し、Vivaspin 500遠心分離フィルタデバイス(3,000 MWCO PES)(Sartorius)を用いて、緩衝液を0.4M酢酸Na緩衝液(pH5)に交換した。得られたDOTA-VHH接合体(480μl)に、同じ緩衝液(5μl)中のGdCl3(149μg,平均のDOTA基に対して45当量)を加えた。溶液を室温で2.5時間撹拌した。緩衝液を、上記と同じVivaspinデバイスを用いて4℃のPBS/NaClに交換し、溶液を濃縮して、R3VQ(His)-N-(DOTA/Gd)0-2接合体2f(105μl,1.48mg/ml)を得た。全体収率は67%である。
1にDOTA-NHSを少量ずつ加えた(45分ごとに0.5当量、アミノ基に対して合計5.5当量)ことを除き同じプロトコルを用いて接合体2eを得た。溶液を室温で8時間15分間撹拌した。全体収率は60%である。

0075

R3VQ(His)-NH2 1
AAA:Ala 15.8 (16),Arg 9.1 (9),Asp+Asn 13.4 (13),Glu+Gln 16.0 (15),Gly 13.4 (14),His 5.7 (7),Ile 3.1 (3),Leu 8.4 (8),Lys 4.1 (4),Phe 4 (4),Pro 6.1 (7),Ser 11.3 (13),Thr 10.0 (11),Tyr 4.8 (5),Val 11.1 (11)。
MS:15753.0996(C681H1053N209O216S4計算値15752.3949)
R3VQ(His)-N-(DOTA/Gd)0-2 2f
AAA:Ala 16.0 (16),Arg 10.0 (9),Asp+Asn 12.8 (13),Glu+Gln 15.0 (15),Gly 13.8 (14),His 6.7 (7),Ile 3.0 (3),Leu 8.2 (8),Lys 4.5 (4),Phe 4 (4),Pro 8.5 (7),Ser 10.5 (13),Thr 10.1 (11),Tyr 4.8 (5),Val 11.1 (11).
MS: 16293.1328((DOTA/Gd)1:C697H1076N213O223S4Gd 計算値16293.0263)
16833.5586((DOTA/Gd)2:C713H1099N217O230S4Gd2 計算値16833.6576)

0076

3.3.部位特異的アプローチ
R3VQ-SH 3の製造
Cys操作VHH(R3VQ-SH 3)のコーディング配列を、NcoI及びXhoI制限部位を用いて改変細菌発現ベクターpET23にクローニングした。形質転換したE. coliBL21(DE3) pLysS細胞は、IPTG(0.5mM)での16℃にて一晩の誘導後、細胞質に3を発現する。精製VHHを、細胞質抽出物から、Ni2+を担持するHiTrapクルードカラム(GE Healthcare)を製造業者の指示に従って用いるIMACにより単離した。3を500mMイミダゾールを含有するPBS/NaClに溶出させた。
AAA:Ala 16.1 (16),Arg 10.2 (10),Asp+Asn 13.6 (13),Glu+Gln 11.9 (11),Gly 19.1 (20),His 6.0 (7),Ile 3.1 (3),Leu 8.5 (8),Lys 2.2 (2),Phe 4 (4),Pro 4.3 (4),Ser 15.5 (18),Thr 9.5 (10),Tyr 4.8 (5),Val 12.9 (12)。
MS:15723.4268 (C671H1041N213O217S5計算値15724.2820)。

0077

マレイミド-(DOTA/Gd)3 4の合成
4の合成を固相でFmoc-Gly-Wang樹脂(143mg,0.093mmol)からステップワイズに行った。構築ブロック1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリス-tブチル-アセテート-10-(N-α-Fmoc-N-ε-アセトアミド-L-リジン)[Fmoc-Lys(DOTA(OtBu)3))-OH](1.1当量)(Macrocyclics)及び6-マレイミドヘキサン酸(3当量)を、2-(1H-9-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)(それぞれ1.06当量及び2.9当量)/ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(それぞれ2.2当量及び6当量)をカップリング試薬として用い、ジメチルホルムアミド(DMF)(Applied Biosystems)を溶媒として用いて、手作業で組み込んだ。Fmoc-Gly-OH(3当量)はDMF中のDIC(3当量)を用いて組み込んだ。Lys、Gly及びマレイミド誘導体を用いるカップリング工程をKaiser試験(E. Kaiserら(1980) Anal. Biochem. 34, 595-598)によりモニターし、それぞれ3時間、2時間及び1時間で完了した。Fmoc保護はDMF中20%ピペリジンを用いて除去した。3つ目のリジン誘導体を用いるカップリングの後、6-マレイミドヘキサン酸を用いる最後のカップリングを、生成物の4分の3(0.07mmol)について行った。
ペプチド-樹脂を10mlのTFA(Applied Biosystems)/水/トリイソプロピルシラン(95/2.5/2.5 v/v/v)に4℃にて懸濁し、4時間RTにて撹拌した。樹脂の濾過後、溶液を濃縮し、粗製生成物ジエチルエーテルで沈降させた。遠心分離後、ペレットを水に溶解し、凍結乾燥させて119mgの粗製DOTA-ペプチドを生成した。これをNMR、MS及びRP-HPLC(グラジエント10〜40% C,保持時間9.2分)により分析した。

0078

1H NMR(D2O):δ 6.69 (s, 2H, CH Mal),4.18 (m, 2H, 2CHα),4.08 (m, 1H, CHα),3.87-3.78 (m, 6H, CH2 Gly),3.74-3.48 (b, 24H, CH2CODOTA),3.34 (t, 2H, CH2 6-Mal, J5,6=0,017 Hz),3.30-2.99 (b, 48H, CH2CH2N DOTA),3.06 (b, 6H, CH2ε),2.14 (m, 2H, CH2 2-Mal),1.74-1.53 (m, 6H, CH2β),1.49-1.34 (m, 10H, CH2δ, CH2 3-Mal, CH2 5-Mal),1.29-1.18 (m, 6H, CH2γ),1.16-1.06 (m, 2H, CH2 4-Mal)。
13C NMR (D2O):δ 177.11 (1C, CONH Mal),175.15, 174.63, 174.36 (3C, CO Lys),173.26 (2C, CO Mal),172.93 (1C, COOH Gly),171.48, 171.21 (2C, CO Gly),163.04-162.68 (4C, CONH DOTA),134.22 (2C, CH Mal),120.59, 117.69, 114.79, 111.90 (TFA),55.20-53.10 (12C, CH2CO DOTA),54.04, 53.80, 53.47 (3C, CHα),52.20-46.80 (24C, CH2CH2N DOTA),42.38, 41.00 (3C, CH2 Gly),39.10 (3C, CH2ε),37.37 (1C, CH2 6-Mal),35.04 (1C, CH2 2-Mal),30.48, 30.24, 30.23 (3C, CH2β),27.67, 27.33, 24.67 (3C, CH2 3-Mal, CH2 5-Mal, CH2δ),25.43 (1C, CH2 4-Mal),22.43, 22.33, 22.15 (3C, CH2γ)。
MS:[M+H]+ 1925.9888, [M+K]+ 1963.9391 (C82H136N22O31計算値[M+H]+ 1927.1195, [M+K]+ 1965.2098).

0079

DOTA-ペプチド中間体(99mg)を0.4M酢酸Na緩衝液(pH5)(41ml)に溶解し、これにGd(OAc)3・xH2O(123mg,DOTAに対して2当量)を加えた。95℃にて25分間撹拌後、溶液を冷却し、C18逆相カラム(2g,1.5cm径)にロードした。カラムを4倍量の水で洗浄し、生成物を3倍量の水/アセトニトリル1/1で溶出し、凍結乾燥後、79mgの生成物を得た。この粗製DOTA/Gdペプチドを、40分間にわたる5/95から35/65まで(20ml/分、保持時間18分)のアセトニトリル+0.1%TFA/緩衝液Dのグラジエントを用いる逆相フラッシュクロマトグラフィー(30×200mm)により精製した。主要画分の凍結乾燥後、61mgの4を全体収率44%で得た(全体収率には全合成工程が含まれ、全体収率は、単離生成物4の正味ペプチド含量について、樹脂への最初のGly残基ロード量を基準にして算出した)。4をMS及びRP-HPLC(グラジエント5〜35%C,保持時間12.2分、純度>90%)により分析した。
MS:2388.8889 (C82H127N22O31Gd3計算値2388.7901)。

0080

R3VQ-S-(DOTA/Gd)3 5の合成
アフィニティーカラムから溶出したR3VQ-SH VHH 3を300mM NaClを含有するPBS緩衝液(PBS/NaCl)で透析した。水溶液(135μl)の4(1.35mg,VHHあたり1チオール基に対して3当量)を3(1.5ml,PBS/NaCl(pH6.8)中2mg/ml)に加え、溶液を4℃にて3時間撹拌した。次いで、溶液を、Vivaspin 2000遠心分離フィルターデバイス(3,000 MWCO PES)(Sartorius)を用いて透析濾過した。RP-HPLC/MS分析用に、3及び5のアリコート(20μl)を緩衝液B(20μl)で希釈した。更に、ELISA分析用に、3及び5のアリコート(10μl)を100mM Tris緩衝液(pH7.3)(90μl)に希釈した。1mlの5(2.36mg/ml)を収率70%で得た。収率は、最終生成物5の実際量を予測量(正味のタンパク質含量)で除算することにより算出した。
同じ反応をアフィニティーカラム溶出緩衝液(500mMイミダゾールを含有するPBS/NaCl)で直接行い、83%全体収率を得た。よって、R3VQ/Gd接合体の取得プロセスは、接合をアフィニティーカラム溶出緩衝液(PBS/NaCl/イミダゾール))で直接行うと、改善される:i)工程数が2に減り、ii)全体収率が83%まで上昇する。このプロセス改善は別のVHHでも有効であることが確認されている(データは示さず)。

0081

AAA:Ala 14.9 (16),Arg 10.2 (10)、Asp+Asn 12.2 (13)、Glu+Gln 11.1 (11)、Gly 24.6 (23)、His* (7)、Ile 3.1 (3)、Leu 8.5 (8)、Lys 11.7* (5)、Phe 4 (4)、Pro 4.8 (4)、Ser 14.9 (18)、Thr 9.1 (10),Tyr 5.0 (5),Val 12.6 (12)。[*Hisは、アンモニウムとの共溶出に起因して測定することができない。Lysは、本分析条件でのマレイミド誘導体との共溶出に起因して過大に見積もられる。]
MS:18113.7383 (C753H1168N235O248S5Gd3計算値18113.0720)。

0082

SDS-PAGE電気泳動
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を、NuPAGE Novex 4-12% Bis-Trisゲル(Invitrogen)を製造業者の指示に従って用いて行った。

pIの測定
VHHのpIを、IEF 2-9ゲル(Invitrogen)を用いる等電点電気泳動により測定した。アノードにサンプル適用するNEPGHE(非平衡pHグラジエントゲル電気泳動)を用いた。なぜならば、そのことにより、pH8.5〜10.5を含む塩基性範囲のゲルにおける最適なタンパク質分析が可能となるからである。プロトコルはSERVAGel IEF 3-10指示マニュアルに詳述されていた。

0083

ELISA
ストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート(Thermo Scientific, Denmark)を、PBSに希釈した1μg/mlのビオチン化A-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)との4℃で一晩のインキュベーションにより被覆した。プレートをPBS中0.1% Tween 20の緩衝液で洗浄した。非部位特異的ストラテジのためには、R3VQ-NH2 1、R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2 2を、PBS中0.5%ゼラチン、0.1% Tween 20の緩衝液で希釈した。37℃で2時間のインキュベーション後、プレートを再び洗浄し、その後、それぞれにウサギ抗Hisタグポリクローナル抗体(eBiosciences)、続いてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギイムノグロブリン(Abcam)を加え、最後に製造業者のプロトコルに従ってOPD(o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド, Dako)により顕色した。部位特異的ストラテジのためには、R3VQ-SH 3及びR3VQ-S-(DOTA/Gd)3 5を上記と同じ緩衝液に希釈し、ビオチン化A-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)とのインキュベーション後、モノクローナル抗Hisタグ抗体(H1029- Sigma)、続いてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗体(ab97265-Abcam)を加え、同じ基質で顕色した。

0084

親和性測定
3及び5の結合特性を、固定化A-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)の認識を50%阻害し得る可溶性A-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)ペプチドの量を測定することにより決定した。簡潔には、種々の濃度のA-ベータ40又はA-ベータ42(好ましくはA-ベータ40)を規定量の3又は5と、平衡に達するまで4℃で一晩インキュベートした。用いたVHH濃度は予備的なELISA較正から推定した。各混合物(100μl)を、抗原を予め被覆したマイクロタイタープレートのウェルに移し、4℃で15分間インキュベートした。0,1% Tween 20を含有するPBSでの洗浄後、非結合VHHを、抗His mAb(H1029-Sigma)、続いてβ-ガラクトシダーゼヤギ抗マウスIg及び4-メチルウンベリフェリルβ-D-ガラクトシドの添加により検出した。355nmでの励起後、460nmの蛍光を読み取った(Fluoroskan, Labsystem, Finland)。

0085

免疫組織化学
免疫組織化学を、アミロイドーシストランスジェニックマウスモデル(PS2APPマウス)から得た状脳パラフィン切片(5μm厚)について行った。切片はミクロトーム(Microm HM340E)で作製した。切片をキシレン中脱パラフィン化し(5分,3回)、エタノール(100%×2,90%及び70%;5分間/工程)及び水により再水和させた。次いで、切片を98%ギ酸で5分間前処理し、最後に水に5分間浸漬した。内因性ペルオキシダーゼを3%過酸化水素及び20%メタノール中和し、非特異結合部位をTBS-0.5% tween(pH8) BSA 2%で30分間ブロックした。以下の工程では、切片を工程間にTBS-tweenで3回濯いだ(5分間/回)。次いで、切片を、TBS-tween中2μg/mlに希釈した一次抗体R3VQ-SHと4℃で一晩インキュベートした。次いで、切片をマウスモノクローナル抗Hisタグ抗体(H1029-Sigma)で2時間室温で処理し、最後にDako REALTMシステムのペルオキシダーゼ/DABキット(Glostrup, Denmark)を製造業者のプロトコルに従って用いて発色させた。水で洗浄後、切片をHarrisヘマトキシリン対比染色し、水で再び濯いだ。マウントする前に、切片を段階的エタノール溶液(70、90及び100%)中で脱水し、キシレン明澄化した。

0086

3.4.合成造影剤のMRI特性
造影剤のMRI特性を、VnmrJ 2.3が実行されているコンソールインターフェース接続された7T-分光計(Agilent, USA)で評価した。分光計は、700mT/mのげっ歯類動物用グラジエントインサートを備えていた。方形バードケージコイル(直径:23mm)を送信及び受信に用いた。縦緩和及び横緩和r1及びr2(単位濃度の造影剤あたりの緩和率の変化、すなわち、MRI造影剤としての「有効性」を意味する)を、次式:R1(C)=R1(0)+r1×C(式中、R1(C)は濃度Cの造影剤を含むチューブ中でのR1であり、R1(0)は造影剤を含まないチューブ中でのR1であり、Cは造影剤の濃度である)を用いて、濃度0.2、0.15、0.1、0.05、0.025、0.01及び0mmol/lについてR1(すなわち、1/T1)及びR2(すなわち、1/T2)を造影剤濃度関数として線形フィッティングすることにより決定した。R2(C)=R2(0)+r2×Cを用いてr2を算出した。サンプルはヘマトクリットチューブ中で撮像した。

0087

T1の算出は、20のTR値(TR=0.021、0.04、0.06、0.08、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、3、4、5秒)、TE=14ms,Nex=4、FOV=10×10mm2,Mtx=64×64,1スライススライス厚=3mm,バンド幅=50kHzを用いる7つの連続2Dマルチスライススピンエコー画像に基いた。緩和時間のパラメトリックマップは、指数関数的回帰曲線(S=1−exp(-TR/T1))(式中、Sは信号強度であり、TRは繰返し時間であり、T1は縦緩和時間である)から算出した(ImageJ,MRIAnalysis Calculator, Karl Schmidt)。
T2の算出は、16のエコー時間(TE=10〜160msec)、TR=3300ms、Nex=2、バンド幅=100kHz、FOV=10×10mm2、Mtx=64×64、1スライス、スライス厚=3mmを用いる2Dマルチエコーマルチスライススピンエコー画像に基いた。緩和時間のパラメトリックマップは、指数関数的回帰曲線(S=exp(-TE/T2))(式中、Sは信号強度であり、TEはエコー時間であり、T2は縦緩和時間である)から算出した(ImageJ, MRI Analysis Calculator, Karl Schmidt)。

0088

4.免疫組織化学、生化学及びインビトロMRIによるVHH R3VQ及びVHH R3VQ接合体のインビトロ特徴決定
対象者
AD患者(BraakステージV及びVI)由来のヒト皮質脳組織をNeuroCEB脳バンクから入手した。このバンクは、患者組織(フランスアルツハイマー協会を含む)のコンソーシアムにより運営されている脳献体プログラムに関係するものであり、フランス国法律が要求するとおりに文部科学省(Ministry of Research and Universities)に対して宣言している。フランス国の生命倫理に関する法律に従い、脳献体について書面による明示の同意を得た。
前臨床実験をB6TgPS2APP(RichardsJ.G., 2003, J Neurosci., 23:8989-9003)及びAPP/PS1dE9(Garcia-Alloza M., 2006, Neurobiol Dis., 24:516-24)トランスジェニックマウスで行った。動物実験の手順は、実験動物の管理及び取扱いについてのEEC(86/609/EEC)及びフランス国の委員会(decree 87/848)の推奨厳格に従った。動物は高用量のペントバルビタールナトリウム(100mg/kg)を用いて犠牲にし、その後10%緩衝化ホルマリン灌流固定した。その後、脳を取り出し、ホルマリンに少なくとも24時間浸漬し、4℃で保存した。

0089

組織抽出物
組織抽出をGong, Y.ら(2003, Proc Natl Acad Sci U S A, 100:10417-10422)に従って行った。AD患者の前頭皮質(0.2g)を、プロテアーゼ阻害剤(200μg/mlPMSF,2μg/mlペプスタチンA,4μg/mlロイペプチン,30μg/mlベンズアミジンヒドロクロリド)を含有する20倍量のフェノールレッドフリーのハムF12培地(Gibco)又は緩衝液A(PBS(pH7.4),0.32Mスクロース,50mM Hepes,25mM MgCl2,0.5mM DTT)中でホモジナイズし、100,000×gで1時間遠心分離した。ペレットを10倍量のフェノールレッドフリーのハムF12培地又は緩衝液A+プロテアーゼ阻害剤中で再度ホモジナイズし、再び遠心分離した。合わせた上清タンパク質濃度を測定した。次いで、タンパク質のアリコートを、Centricon-10濃縮器を用いて容量60μl以下にまで濃縮した。

0090

イムノブロット
脳抽出物又はA-ベータ42ペプチドを、8M尿素を含有するNuPAGE(登録商標)LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)に再懸濁した。NuPAGE Novex 4-12% Bis-trisゲル(Invitrogen)を用いるポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)による分離後、Hybond-C(Amersham)への半乾燥転写を行い、Xcell IIブロットモジュール(Invitrogen)を用いてウェスタンブロッティングを行った。免疫化学反応の前に、メンブレンを4%スキムミルク溶液でブロックした。メンブレンのイムノブロッティングを、VHH、ウサギ抗Hisタグ(eBioscience)ポリクローナル抗体及びペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギイムノグロブリン(Abcam)により行った。最後に、化学発光キット(GE Healthcare)を用いてペルオキシダーゼ活性を可視化した。

0091

免疫組織化学
免疫組織化学は、固定組織(パラフィン包埋切片又は凍結切片)又は非固定の新鮮組織(凍結切片)で行った。標準的なIHCプロトコルを適用し、各組織条件に適合させた。免疫染色実験のほとんどを、パラフィン切片を用いて行ったので、ここでは、パラフィン包埋材料についての詳細なプロトコルを記載する。脳組織の免疫染色は4μm厚のパラフィン切片で行った。ヒト組織及びマウス組織の両方を用いた(ヒトAD患者、TauPS2APPマウス[Grueninger F.ら, 2010, Neurobiol Dis., 37:294-306]及びPS2APPトランスジェニックマウス[Richards, J. G.ら, 2003, The Journal of neuroscience 23, 8989-9003])。切片をキシレン中で脱パラフィン化し、エタノール(100%、90%及び70%)(各溶液について5分間)及び最後に10分間の流水(水道水)により再水和させた。次いで、切片を98%ギ酸中で5分間インキュベートし、流水(水道水)下で再度洗浄し、3%過酸化水素及び20%メタノールで内因性ペルオキシダーゼをクエンチし、最後に水で洗浄した。切片をTBS+0.5% Tween中2%のウシ血清アルブミン中で30分間インキュベートすることにより、非特異結合をブロックした。次いで、適切な希釈率の一次抗体(5〜10μg/mlのVHH His又はStrepタグ)を適用し、スライスを湿潤チャンバ内で室温にて一晩インキュベートした。スライドをTBS-Tweenで洗浄し、TBS-Tween中の二次抗体であるウサギ抗Hisタグ(1/1000)又は自家製ビオチン化抗strep mAb C23-21と室温で1時間インキュベートした。次いで、スライドをDako REALTM検出システムの試薬、ペルオキシダーゼ/DAB+と製造業者の指示に従ってインキュベートした。良好なSN比が得られるまで(約5分間)、色素原(DAB)を発色させた。TBS-Tweenでの洗浄後、スライドをヘマトキシリンで対比染色した。アミロイド斑の標識のために、ビオチン化4G8(Wisniewski Tら, 1996, B. Biochem J., 313:575-80) mAb(1/10000)又は6F/3D(Akiyama H.ら, 1996, Neurosci let., 206:169-72) mAb(1/200)をポジティブコントロールとして並行して用いた。

0092

インビトロMRI
MRIをB6TgPS2APP(RichardsJ.G., 2003, J Neurosci., 23:8989-9003)及びAPP/PS1dE9(Garcia-Alloza M., 2006, Neurobiol Dis., 24:516-24)トランスジェニックマウス(n=2、雌)の脳で行った。MRIを、VnmrJ 2.3が実行されているコンソールとインターフェース接続された7T-分光計(Agilent, USA)で記録した。分光計は、700mT/mのげっ歯類動物用グラジエントインサートを備えていた。バードケージコイル(RapidBiomed, GmbH, Germany)及びマウス脳表面コイル(RapidBiomed GmbH, Germany)をそれぞれ送信及び受信に用いた。
PBS中Triton 0.2%の溶液での4時間の膜透過化後、脳サンプルを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)及び試験造影剤の溶液に浸漬し、少なくとも24時間4℃で保存後に撮像した。スキャンのために、脳を、Fluorinert(登録商標)(3M, Cergy-Pontoise, France)(MR画像で黒色バックグランドを提供する非プロトン性パーフルオロカーボンベースの液体)を満たした密閉プラスチックチューブ内に配置した。
MR画像は3Dグラジエントエコーシーケンス(FLASH)に基き、T2*w画像を取得した(TR=40ms,TE=15ms,FA=20°,Bw=50kHz,Nex=16,マトリクス=512×512×128,FOV=13×13×13mm2,11時間39分間の合計Tacqについて25×25×100μm3の分解能が得られる)。

0093

Gd染色法:アミロイド斑検出の最も標準的な方法(gold standard method)
本手順を用いて、インビトロ手順の後にMR画像で観察される低信号スポットと、アミロイド斑を明らかにする最も標準的な方法(Petiet A.ら, 2012, Neurobiol Aging, 33:1533-44)で得られたMR画像で観察される低信号スポットとの間で同時位置決めを行った。簡潔には、インビトロ実験後、サンプルをPBS及び希釈率1:200(2.5mM)の0.5Mガドテル酸メグルミンの溶液に浸漬し、少なくとも24時間4℃で保存後に撮像した。MR画像はインビトロ実験に用いた条件と同じ条件で行った。

0094

5.VHH R3VQ及びVHH R3VQ接合体のインビボ評価
被験体
VHH R3VQ及びVHH R3VQ接合体のインビボ評価を、上述の認可の下、TauPS2APP(Grueninger F.ら, 2010, Neurobiol Dis., 37:294-306)トランスジェニックマウスで行った。

VHHのインビボ定位注射
麻酔したTauPS2APPトランスジェニックマウス(n=2雌性)に注射あたり2μlのVHHを0.5μl/分の速度で定位注射した。マウスをイソフルラン(1〜2%)と空気との混合物(1L/分)で麻酔した。マウスを定位フレームに配置し、Dremelを用いて頭蓋を両側で穿孔した。鈍い針先を備えるHamiltonシリンジMR造影剤を注射した。各マウスに、各半球で前頭皮質及び海馬の計4ヶ所で注射した。前頭皮質の定位座標は、十字縫合から+0.86mm前方、正中線から±1.5mm側方硬膜から−0.65mm腹側であった。海馬の定位座標は、十字縫合から−2.18mm後方、正中線から±1.5mm側方、硬膜から−1.8mm腹側であった。注射の2時間後又は24時間後にマウスを安楽死させ、マウスにPBS(pH7.6)中4%パラホルムアルデヒド心臓内灌流を行った。脳を取り出し、同じ固定液中で一晩4℃にて後固定した。4μm厚のパラフィン切片を作製した。大脳組織でのVHHの存在は、上述の標準的な免疫組織化学的手順のいずれかを用いて検出した。

0095

アミロイドーシスのマウスモデルにおけるVHHの頸動脈灌流
麻酔TauPS2APPマウス(n=2,雌性)にVHHを頸動脈内投与した。麻酔は、ケタミンヒドロクロリド(Imalgen,1/10希釈液50μl)とキシラジン(Rompun,1/40希釈液50μl)との混合物を1回、腹腔内注射して行った。総頸動脈露出させ、細いシリコンチューブ材のカニューレ(PP25_100FT;Portex, Ashford, UK)を挿入した。蠕動ポンプ(Model PHD 2000;Harvard Apparatus, Boston, MA, USA)を用いて、VHHを頸動脈に定速で注入した。

外側尾静脈注射
マウスを、倒立させた適切な(尾を通すための穴が開けられている)ビーカー内に配置した。静脈を拡張させるため、注射前に動物を温め、尾を微温水に浸した。造影剤の適正な投与を確実にするため、動物の尾静脈にカテーテル(27G,Microflex,Vygon,France)を挿入した後に、MR画像化前の注射を行った。200μlのPBSに溶解した2mgのVHH、VHH R3VQ-DOTA又はVHH R3VQ-S-(DOTA/Gd)3を外側尾静脈に注射した。

0096

インビボMRI
インビボMRIを、VnmrJ 2.3が実行されているコンソールとインターフェース接続された上述の7T-分光計(Agilent, USA)で行った(「インビトロMRI」の章を参照)。MRI実験の間、動物をイソフルラン(0.75〜1.5%)とカルボージェン(95% O2 - 5% CO2)との混合物で麻酔し、呼吸速度をモニターした。カルボージェンは、循環血液から生じる信号を低減させるために使用した(Thomasら, 2003)。
MR画像は、高分解能3D-グラジエントエコーシーケンス(29×29×117μm3,FOV:15×15×15mm3,Mtx=512×512×128,TR=30ms,TE=15ms,フリップ角=20°,Nex=1,バンド幅=25kHz,取得時間:32分)を用いて記録した(Petiet, A.ら, 2012, Neurobiol Aging, 33:1533-44)。
T1の算出は、5つのTR値(TR=0.4、0.75、1.5、2.5及び5秒)、TE=14ms、Nex=1、FOV=25×25mm2、Mtx=128×128、6スライス、スライス厚=1mm,バンド幅=50kHzを用いる7つの連続2Dマルチスライススピンエコー画像に基いた。緩和時間のパラメトリックマップは、指数関数的回帰曲線(S=1−exp(-TR/T1))(式中、Sは信号強度であり、TRは繰返し時間であり、T1は縦緩和時間である)から算出した(ImageJ, MRI Analysis Calculator, Karl Schmidt)。緩和時間は前頭皮質領域から測定した。

エキソビボMRI
VHH-S-(DOTA/Gd)3のインビボ脳室内注射(1μg/一側)の6時間後、マウスを灌流し(PFA4%)、脳を取り出した後にエキソビボMR画像を撮像した。各手順について、等価のGd溶液(すなわち:0.1mM)を用いてコントロール実験を行った。

0097

結果
1.ライブラリ構築及び具体的な抗Aβ VHHの選択
VHHをPCRにより増幅し、ベクターpHEN1にクローニングした。続く形質転換により約108クローンのライブラリが生成された。最良の親和性を示すVHHを、ビオチン化Aβ1-42、Aβ1-40又はAβ1-16ペプチドでの3サイクルのパニングによるファージディスプレイによって選択した。Aβ42パニングからの46クローン、Aβ40パニングからの192クローン及びAβ16パニングからの192クローンをELISAで試験した。Aβ42、Aβ40及びAβ16パニングからのそれぞれ46/46、110/192及び163/192が陽性と判明した。これら陽性クローンを配列決定し、45、65及び118のVHH配列をそれぞれ同定した。最終的に、3つのVHHファミリーを選択した(A7/B10、F12及びR3VQ)(下記表1を参照)。A7/B10 VHHは、ビオチン化Aβ1-42、Aβ1-40又はAβ1-16に対するパニング後それぞれ11倍、64倍及び117倍と判明した。VHH R3VE/Qは、ビオチン化Aβ1-42及びAβ1-40に対するパニング後それぞれ34倍及び1倍と判明した一方、VHH F12はAβ16パニング後に1倍と判明した。
これらVHHをベクターpET23又はベクターpASKIBA2にサブクローニングし、それぞれHisタグ又はストレプトアビジンタグを有するVHHの高レベル発現を可能にした。1〜2mg/l細菌培養物の収量が得られた。単一ドメイン産物は、SDS-PAGEにより純粋〜均質であることが示され(データは示さず);pI値は8.5を超えていた。この2つの構築物を用いて、その後の実験を行った。
R3VQは4℃又は長期保存にはグリセロールとともに−20℃で維持した。R3VQはグリセロールなしの凍結では安定でない。
DLS実験により、R3VQは単量体であり、精製後に凝集しないことが示された。
抗Aβ VHH A7、B10、R3VE、R3VQ及びF12のアミノ酸配列アラインメントを図10に示す。

0098

2.VHH R3VQによるアミロイド斑の認識
Aβ及びアミロイド病変に対するVHH R3VQの免疫反応性
ヒトAD脳及びトランスジェニックTauPS2APPマウスにおけるVHH特異的免疫反応性の分布を調べた。R3VQは、抗原賦活化前処理後のヒトパラフィン切片でAβ斑及び大脳アミロイド血管症(CAA)を免疫検出する良好な能力を示した(図1)。野生型マウスでは標識化は観察されなかった。パラフィン包埋組織の結果と同様に、R3VQは、自由浮遊ビブラトーム切片でも(データは示さず)、より重要なことには、抗原賦活化前処理をしていないADヒト脳の新鮮組織及びマウス脳切片でもAβを免疫検出することができることが示された(図2〜3)。注目すべきことに、凍結ミクロトームで得られた自由浮遊切片では、強いバックグランドシグナル及び低いS/N比が観察されたため、この材料のR3VQ IHCへの使用を排除した。VHH A7/B10及びF12は、アミロイド斑を免疫標識して検出することができなかったため、以後、これらVHHを用いる実験は行わなかった。
脳組織におけるVHH R3VQの免疫反応性を確証するため、AD患者から得た脳抽出物でウェスタンブロットイムノアッセイを行った。40〜55kDaのAβオリゴマーに相当する4つの主要バンドがVHH R3VQで免疫検出された。同時に、R3VQは、単量体、二量体及び三量体に相当する6〜17kDaのAβ42ペプチドによる3つのバンドを認識した(図4)。

0099

R3VQはAβ42の中央領域を認識する
VHH R3VQは、Aβ42を用いる阻害アッセイにおいて、原線維性の合成Aβ42ペプチドに特異的であることが示された。VHH R3VQは17nMのKDを有していた。VHH R3VQが認識するエピトープを更に決定するために、Aβ40及び種々のAβフラグメント(1-16、10-20、15-25、22-35及び29-40)に相当するペプチドについて50%阻害(IC50)に必要な濃度を測定した。VHH R3VQは、フラグメント1-16も29-40も認識しなかった。Aβ16-35に関するVHH R3VQのIC50は16nMであった。このことから、VHH R3VQはAβ42の中央に位置するエピトープを認識することが示唆される。R3VQは、Rocheが提供するH4安定クローンを用いるフローサイトメトリではAPPを認識しなかった(データは示さず)。

VHH R3VQは定位注射後にインビボでアミロイド斑を標識する
2μgのVHH R3VQをマウス脳の左半球の海馬又は皮質に定位注射した(2マウス)。注射の2時間後又は24時間後、動物を犠牲にし、脳切片を採取した。VHH R3VQが原線維性Aβをインビボで標識したことを示す、アミロイド斑の免疫染色が観察された。更に、脳組織へのVHH R3VQの拡散を示唆する、皮質の茶褐色ハローに気付いた(図5A及び5B)。

VHH R3VQはインビボでBBBを横断する
BBBを横断する能力についてVHH R3VQをインビボで試験した。4mgのVHHを、左頸動脈を介して60分間にわたって注射した。注射後1時間、VHHを大脳組織へ拡散させ、その後マウスを安楽死させ、固定液で灌流した。アミロイド斑の免疫染色が皮質、海馬及び視床で観察された。この染色は、注射した頸動脈の対側の右半球では微かであった。
この実験により、非標識R3VQは、1)緩徐な頸動脈内注入後にBBBを横断することができたこと、2)アミロイド斑をインビボで特異的に認識したこと、及び3)MRI研究の良好な候補であることが示された。

0100

VHH R3VQとアミロイドβを指向する既知のVHHとの比較
下記表1に、アルパカをペプチドAβ42、オボアルブミンにカップリングしたペプチドAβ1-10又は原線維形態のAβ42を免疫して得られた、アミロイドβを指向するVHHによる免疫標識をまとまる。VHHの選択は、リボソームディスプレイにより選択されたVHH R1.3、R1.5及びR3.3を除き、ファージディスプレイにより行われた。

表1:アルパカをペプチドAβ42、オボアルブミンにカップリングしたペプチドAβ1-10又は原線維形態のAβ42を免疫して得られた、アミロイドβを指向するVHHによる免疫標識。VHH L1-3、L35、61-3、V31-1はLafaye P.ら, 2009, Molecular Immunology, 49:695-704に開示されている。他のVHHは上記方法に従って得た。



結果は、試験した27のVHHのうち、VHH R3VE/Qのみが、アミロイド血管症及びアミロイド斑を標識し、アミロイドオリゴマーを標識しないことを示す。

0101

3.MRI造影剤への抗体カップリング
非部位特異的アプローチ:
VHHリジン残基への接合を、NHS活性化DOTAを用いて行った。その後、Gdとのキレート化により、可変のDOTA/Gd比を有する接合体を得た(表2)。HPLC/MSによる両工程のモニタリングにより、本プロセスを最適化することができた。ほぼ完全なキレート化を室温で達成することができた。
2つの当初接合体(2a及び2b)は、グリセロールなしでは−20℃での保存中に不安定であることに起因して、Aβ結合活性を有しないことが示された。実験条件を変えることにより、4つの新たな接合体を、0.5〜1mg規模にて良好な回収率(64〜74%)で作製した。第1シリーズ(2c及び2d)は、第2シリーズ(2e及び2f)よりDOTA/Gd密度が高い。ELISAにおけるAβ認識を元のVHH 1と比べると、2c及び2dの結合は低い(〜10%)一方、2e及び2fの結合はほとんど影響をうけていない(50〜100%)。この差は、全体的に低いDOTA/Gd密度及び/又はVHHの固有の安定性に起因する可能性がある。

0102

部位特異的アプローチ:
本ストラテジには、Cys操作R3VQ VHH(R3VQ-SH 3)(配列番号8)と、マレイミド-(DOTA/Gd)3化合物4との接合が含まれる(図9Bを参照)。
DOTAはモノアシル成分を表す。全体収率を括弧内に示す。
チオ付加により4に接合した場合、RP-HPLC/MSで示されるように、3は全て、十分に規定された化合物R3VQ-S-(DOTA/Gd)3 5に変換された(収率79%)。5のpIは、非標識R3VQ-SHのものと比較して僅かに低下していた。R3VQ-SH及びR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の結合特性は、ELISAプレートに固定したAβ40及び可溶性Aβ40を用いる競合阻害実験で決定した。50%結合阻害が得られるAβ40濃度は、R3VQ-SH及びR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の両方で1μg/mlと計算された。これにより、DOTA/Gdの付加はVHHの結合特性に影響しないことが示唆される。更に、トランスジェニックB6.PS2APPマウスにおけるVHH特異的免疫反応性の分布によれば、R3VQ-SHは、抗原賦活化前処理後のマウスパラフィン切片でAβ斑を免疫検出する良好な能力を示した。

0103

マレイミド-DOTA/Gdとのカップリング用にC末端Cys残基を有するR3VQ-SHを構築した(図9)。1Lの培養物あたり15mgの精製タンパク質が発現する。しかし、その前に、幾つかの構築物を得たので、下記にまとめる:
− C末端からN末端に、strepタグ、CysをVal及びSerに変異させたVHH R3VQ、Cys、トロンビン切断部位及びhisタグを含むStrep-R3VQSSfree-Cys-Thr-His。このタンパク質は非常に低い収量(μgタンパク質/l)で発現した。
− C末端からN末端に、タグ(Strep又はHisタグ)、CysをVal及びSerに変異させたVHH R3VQ及びCysを含むStrepタグ-R3VQSSfree-Cys及びHisタグ-R3VQSSfree-Cys;両タンパク質とも非常に低い収量(μgタンパク質/l)で発現した。
− C末端からN末端に、タグ(Strep又はHisタグ)、CysをVal及びSerに変異させたVHH R3VQ、Cys、Ser及びAlaを含むタグ-R3VQSSfree-Cys-Ser-Ala。これらタンパク質は非常に低い収量(μgタンパク質/l)で発現した。
− C末端からN末端に、タグ(Strep又はHisタグ)、トロンビン切断部位、CysをVal及びSerに変異させたVHH R3VQ、Cys、Ser及びAlaを含むタグ-Thr-R3VQSSfree-Cys-Ser-Ala。これらタンパク質は非常に低い収量(μgタンパク質/l)で発現した。

0104

4.Gd造影剤に接合したVHH R3VQによるアミロイド斑の検出
R3VQ-N-(DOTA/Gd)(1-2)は定位注射後にインビボでアミロイド斑を標識する
2μgのVHH R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2 (2e)をマウス脳の左半球の海馬又は皮質に定位注射した(2マウス)。注射の4時間後、動物を犠牲にし、脳切片を採取した。R3VQ-N-(DOTA/Gd)n'が原線維性Aβをインビボで標識したことを示す、アミロイド斑の免疫染色が観察された(図6A及び6B)。図6C及び6Dは、注射部位から遠位の視床に存在するアミロイドβ斑の標識を示す。同一マウスで4G8抗体を用いてコントロール実験を行い、アミロイド斑を標識した(図6E)。

インビトロ画像化
R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2の溶液(0.01mMのGdと等価な最終濃度0.02mg/mlの造影剤2e)に浸漬したTauPS2APPマウス脳の画像化により、幾つかの低信号スポットが明らかになった(n=2;図7A、矢印)。これらスポットは、同一条件で、コントロールマウス脳では検出できなかった(データは示さず)。これらスポットは、Gd染色法によるアミロイド斑(図7B、矢印)と同じ位置に存在することが確認できた。たとえ、パラフィン手順により生じた歪みのために、MRIとIHCとの間で正確な位置合わせが可能でなくとも、IHCにより、VHH-DOTA/Gdが広範に拡散したこと及び同一領域でアミロイド斑が標識されたことが確証された(図7C、矢印)。更に、同一条件のコントロールマウス(n=2)の脳画像でも(データは示さず)、同一濃度(すなわち、0.01mM)のガドリニウム溶液に浸漬したTauPS2APPマウスの脳画像でも(図7D)、低信号スポットは検出することができなかった。

0105

脳内、頸動脈内又はIV注射後のエキソビボ画像化
脳室内注射後、抗Aβ VHH-Gd 2e(R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2)は、海馬のエキソビボ画像において低信号スポットを示した(図8A、矢印)。これらスポットは、同一マウスでのGd染色により確証されるように、アミロイド斑に対応した(図8B、矢印)。たとえ、パラフィン手順により生じた歪みのために、MRIとIHCとの間で正確な位置合わせが可能でなくとも、IHCにより、同一領域でのアミロイド斑の標識が確証された(図8C、矢印)。更に、R3VQ-N-(DOTA/Gd)1-2に用いた同じ濃度(0.1mM)のガドリニウム溶液を注射したトランスジェニックTauPS2APPマウスでは、低信号スポットを検出することはできなかった。

インビトロMRIによるR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の評価
R3VQ-S-(DOTA/Gd)3を上述の部位特異的アプローチにより合成した。HPLC/MS、pI及びIHCアッセイにより、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3の生化学的特性(すなわち、HPLC/MSによる純度、pI及びAβに対するIHC反応性)が確証される(図11を参照)。
R3VQ-S-(DOTA/Gd)3がMRコントラスト変化を生じる能力を、上述のように、PS2APPマウス(Richards, J. G.ら, 2003, The Journal of neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 23, 8989-9003)(n=2)の脳をインビトロで0.1mg/mlのR3VQ-S-(DOTA/Gd)3とインキュベートした後に評価した。7Tで取得した画像により、皮質において、ネガティブコントロール条件下のPS2APPマウス脳と比較して、低信号のスポットが明らかとなった(図12A及び12B)。これら低信号スポットのアミロイド斑としての性質を確証するため、脳を、アミロイド斑のMRI検出に最も標準的な方法として用いられるGd染色手順に供した(図12C)。Gd染色手順後に得られた画像の分析により、Gd染色により検出されたアミロイド斑とR3VQ-S-(DOTA/Gd)3により明らかとなった低信号スポットとが同じ位置に存在することが確認できた(図12、白色矢印)。この結果から、死後組織でR3VQ-S-(DOTA/Gd)3が受動的に拡散してアミロイド沈着を標的し、そのことにより、アミロイド沈着のインビトロMRIによる検出が可能になることが示唆される。

0106

末梢(静脈内)注射後のエキソビボMRIによるR3VQ-S-(DOTA/Gd)3の評価
次に、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3がMRIによりアミロイド斑を明らかにする能力を、上述のように、18ヶ月齢のPS2APPマウスの尾静脈への静脈内注射(20mg/kg及び50mg/kg)後に調べた。R3VQ-S-(DOTA/Gd)3を静脈内注射したPS2APPマウスから、注射5時間後に脳を取り出し、そのMR画像を11.7Tで取得した。コントロール条件(PBSを注射したPS2APPマウス)のMR画像(図13A及び13B)とは対照的に、R3VQ-S-(DOTA/Gd)3を静脈内注射したマウスの脳についてエキソビボで得た画像は、多くの低信号スポットを示した(図13C及び13D)。これら低信号スポットは、最も標準的なGd染色手順で検出されるアミロイド斑に対応するコントラスト異常と同じ位置に存在した(図13E及び13F)。二光子の結果によれば、これらスポットの強度は50mg/kg用量の場合でより強かった。このことから、R3VQの脳浸透及び脳Aβ病変を標識する能力は用量依存性であることが示唆される。

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