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技術 ヒト化シグナル調節タンパク質遺伝子を有する非ヒト動物

出願人 リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
発明者 マーフィー,アンドリュージェイ.サーストン,オー.ギャビンバルゲシ,ビンドゥギュレル,ケイガン
出願日 2014年9月23日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2016-544055
公開日 2016年12月1日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2016-537015
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析 微生物、その培養処理 特有な方法による材料の調査、分析 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖
主要キーワード 記述的用語 複合グラフ セルシウス コードエレメント 毛細管チューブ 拡大比 生物学的作用因子 特徴的構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年12月1日)のものです。
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図面 (8)

課題・解決手段

遺伝子改変された非ヒト動物ならびにそれを作製および使用するための方法および組成物が提供され、ここで、この遺伝子改変は、内因性シグナル調節タンパク質遺伝子のヒト化、特にSIRPα遺伝子のヒト化を含む。内因性SIRPα遺伝子座からヒトまたはヒト化SIRPαタンパク質発現するマウスを含む、遺伝子改変されたマウスが記載される。一実施形態において、本発明によって提供されるマウスは、そのゲノムが、ヒト化SIRPα遺伝子を形成するための、内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4による置き換えを含む。

概要

背景

免疫系は、複数の高度に調節されたプロセスに関与し、外来タンパク質を排除する際に有効な免疫応答一緒になって生じる、いくつかの異なる細胞型から構成される。さらに、これらの同じ免疫細胞は、とりわけ、細胞細胞相互作用を調節する調節性膜タンパク質おかげ自己認識特性を有することが見出されている。これらの同じタンパク質は、移植片生着の重要な決定因子であると示唆されているので、かかる連絡は、かかる生物生存に重要である。しかし、in vivoの系で、ヒト免疫細胞−細胞相互作用およびその調節の分子的局面を決定するものは存在しない。かかる系は、in vivoのヒト造血および免疫系関連の機能におけるアッセイ新規治療およびワクチンの同定のための供給源を提供する。

概要

遺伝子改変された非ヒト動物ならびにそれを作製および使用するための方法および組成物が提供され、ここで、この遺伝子改変は、内因性シグナル調節タンパク質遺伝子のヒト化、特にSIRPα遺伝子のヒト化を含む。内因性SIRPα遺伝子座からヒトまたはヒト化SIRPαタンパク質を発現するマウスを含む、遺伝子改変されたマウスが記載される。一実施形態において、本発明によって提供されるマウスは、そのゲノムが、ヒト化SIRPα遺伝子を形成するための、内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4による置き換えを含む。

目的

かかる系は、in vivoのヒト造血および免疫系関連の機能におけるアッセイ、新規治療およびワクチンの同定のための供給源を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

マウスであって、そのゲノムが、ヒト化SIRPα遺伝子を形成するための、内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4による置き換えを含み、前記ヒト化SIRPα遺伝子は、前記内因性マウスSIRPα遺伝子座においてマウスSIRPαプロモーター作動可能に連結され、かつ前記マウスにおいて、前記ヒトSIRPα遺伝子によってコードされたヒトSIRPαタンパク質細胞外部分および前記マウスSIRPα遺伝子によってコードされたマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むヒト化SIRPαタンパク質を発現する、マウス。

請求項2

前記ヒト化SIRPα遺伝子が、前記マウスSIRPα遺伝子のエクソン1、5、6、7および8を含む、請求項1に記載のマウス。

請求項3

前記ヒトSIRPαタンパク質が、配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のマウス。

請求項4

前記ヒト化SIRPαタンパク質が、配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のマウス。

請求項5

マウスSIRPαタンパク質を発現しない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマウス。

請求項6

前記ヒト化SIRPαタンパク質が前記マウス中の細胞表面上で発現され、かつヒトCD34+造血幹細胞生着を支持する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマウス。

請求項7

単離されたマウス細胞または組織であって、そのゲノムが、ヒト化SIRPα遺伝子を形成するための、内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4による置き換えを含み、前記ヒト化SIRPα遺伝子は、前記内因性マウスSIRPα遺伝子座においてマウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結され、かつ前記ヒトSIRPα遺伝子によってコードされたヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分および前記マウスSIRPα遺伝子によってコードされたマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むヒト化SIRPαタンパク質をコードする、単離されたマウス細胞または組織。

請求項8

前記ヒト化SIRPα遺伝子が、前記マウスSIRPα遺伝子のエクソン1、5、6、7および8を含む、請求項7に記載の単離された細胞または組織。

請求項9

マウスSIRPαタンパク質を発現しない、請求項7または8に記載の単離された細胞または組織。

請求項10

マウスを作製する方法であって、前記方法は、以下:(a)マウスES細胞中の内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4により置き換えて、ヒト化SIRPα遺伝子を形成し、それにより前記ヒト化SIRPα遺伝子を含む改変されたマウスES細胞を取得するステップであって、前記ヒト化SIRPα遺伝子は、前記内因性マウスSIRPα遺伝子座においてマウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結され、かつ前記ヒトSIRPα遺伝子によってコードされたヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分および前記マウスSIRPα遺伝子によってコードされたマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むヒト化SIRPαタンパク質をコードする、ステップ;ならびに(b)(a)で取得された改変されたES細胞を使用してマウスを創出するステップを含む、方法。

請求項11

ヒト細胞をマウス中に生着させる方法であって、前記方法は、以下:(a)請求項1〜6のいずれか一項に記載のマウスを提供するステップ;および(b)1または複数のヒト細胞を前記マウス中に移植するステップを含む、方法。

請求項12

前記ヒト細胞がヒト造血幹細胞である、請求項11に記載の方法。

請求項13

以下:(a)1または複数のマウス細胞を提供するステップであって、前記細胞のゲノムが、ヒト化SIRPα遺伝子を形成するための、内因性マウスSIRPα遺伝子座におけるマウスSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4による置き換えを含み、前記ヒト化SIRPα遺伝子は、前記内因性マウスSIRPα遺伝子座においてマウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結され、かつ前記ヒトSIRPα遺伝子によってコードされたヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分および前記マウスSIRPα遺伝子によってコードされたマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むヒト化SIRPαタンパク質をコードする、ステップ;(b)ステップ(a)の1または複数の細胞を、標識された基質と共にインキュベートするステップ;ならびに(c)ステップ(b)の1または複数の細胞による標識された前記基質の食作用を測定するステップを含む、方法。

請求項14

以下:(a)請求項1〜6のいずれか一項に記載のマウスを提供するステップ;(b)前記マウスを抗原曝露させるステップ;および(c)前記マウスの1または複数の細胞による前記抗原の食作用を測定するステップを含む、方法。

請求項15

ヒト細胞を標的化する薬物の治療効力を評価する方法であって、前記方法は、以下:(a)請求項1〜6のいずれか一項に記載のマウスを提供するステップ;(b)1または複数のヒト細胞を前記マウス中に移植するステップ;(c)薬物候補を前記マウスに投与するステップ;および(d)前記マウス中の前記ヒト細胞をモニタリングして、前記薬物候補の治療効力を決定するステップを含む、方法。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2013年9月23日に出願された米国仮出願第61/881,261号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。

背景技術

0002

免疫系は、複数の高度に調節されたプロセスに関与し、外来タンパク質を排除する際に有効な免疫応答一緒になって生じる、いくつかの異なる細胞型から構成される。さらに、これらの同じ免疫細胞は、とりわけ、細胞細胞相互作用を調節する調節性膜タンパク質おかげ自己認識特性を有することが見出されている。これらの同じタンパク質は、移植片生着の重要な決定因子であると示唆されているので、かかる連絡は、かかる生物生存に重要である。しかし、in vivoの系で、ヒト免疫細胞−細胞相互作用およびその調節の分子的局面を決定するものは存在しない。かかる系は、in vivoのヒト造血および免疫系関連の機能におけるアッセイ新規治療およびワクチンの同定のための供給源を提供する。

課題を解決するための手段

0003

本発明は、ヒト造血幹細胞の改善された生着を可能にするために、非ヒト動物を操作することが望ましいという認識を包含する。本発明はまた、ヒト化SIRPα遺伝子を有するおよび/またはヒトもしくはヒト化SIRPαタンパク質を他の方法で発現する、含有するもしくは産生する非ヒト動物が、例えば、ヒト造血幹細胞の生着における使用のために望ましいという認識を包含する。

0004

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分およびマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むSIRPαポリペプチドを発現する。

0005

一部の実施形態では、ヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分は、配列番号4中に現れるヒトSIRPαタンパク質の残基28〜362に対応するアミノ酸を含む。

0006

一部の実施形態では、ヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分は、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のパーセント同一性共有する。一部の実施形態では、ヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分は、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分と、100%の同一性を共有する(または同一である)。

0007

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内因性非ヒトSIRPαタンパク質をも発現しない。一部の実施形態では、この非ヒト動物はげ歯類であり、内因性げっ歯類SIRPαタンパク質をも発現しない。一部の実施形態では、この非ヒト動物はマウスであり、表3中に現れる配列を有する内因性マウスSIRPαタンパク質をも発現しない。

0008

一部の実施形態では、本発明は、非ヒトSIRPαプロモーター作動可能に連結したヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含むSIRPα遺伝子を含む非ヒト動物を提供する。

0009

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物のSIRPα遺伝子は、内因性非ヒトSIRPα遺伝子のエクソン1、5、6、7および8を含む。

0010

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、げっ歯類である。一部のある特定の実施形態では、本発明のげっ歯類は、マウスまたはラットから選択される。

0011

一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される非ヒト動物の遺伝子によってコードされるSIRPαポリペプチドを提供する。

0012

一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される非ヒト動物から単離された細胞または組織を提供する。一部の実施形態では、細胞は、リンパ球(例えば、B細胞またはT細胞)、骨髄性細胞(例えば、マクロファージ好中球顆粒球骨髄樹状細胞およびマスト細胞)およびニューロンから選択される。一部の実施形態では、組織は、脂肪膀胱、脳、乳房、骨髄、眼、心臓、腸、腎臓肝臓リンパ節筋肉膵臓血漿血清、皮膚、脾臓胸腺精巣卵子および/またはそれらの組合せから選択される。

0013

一部の実施形態では、本発明は、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含む、単離されたマウス細胞または組織を提供する。一部の実施形態では、本発明のSIRPα遺伝子は、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結している。一部の実施形態では、本発明のSIRPα遺伝子は、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。

0014

一部の実施形態では、本発明は、そのゲノムが、本明細書に記載されるSIRPα遺伝子を含む、非ヒト胚性ES)細胞を提供する。一部の実施形態では、このES細胞は、非ヒトSIRPαプロモーターに作動可能に連結したヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。一部のある特定の実施形態では、このES細胞は、げっ歯類ES細胞である。一部の実施形態では、本発明の非ヒト胚性幹細胞は、マウスまたはラットの胚性幹細胞である。

0015

一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるSIRPα遺伝子を含む非ヒト胚性幹細胞を含む、かかる非ヒト胚性幹細胞から作製された、かかる非ヒト胚性幹細胞から取得された、またはかかる非ヒト胚性幹細胞から生成された、非ヒトを提供する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト胚は、げっ歯類胚である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるげっ歯類胚は、マウスまたはラットの胚である。

0016

一部の実施形態では、本発明は、内因性SIRPα遺伝子座からSIRPαタンパク質を発現する非ヒト動物を作製する方法を提供し、このSIRPαタンパク質はヒト配列を含み、この方法は、ヒトSIRPαタンパク質を全体的にまたは部分的にコードするヌクレオチド配列を含むゲノム断片を用いて非ヒトES細胞において内因性SIRPα遺伝子座を標的化するステップ;前記ヒト配列を含む内因性SIRPα遺伝子座を含む改変された非ヒトES細胞を取得するステップ;および前記改変されたES細胞を使用して非ヒト動物を創出するステップを含む。

0017

一部の実施形態では、前記ヌクレオチド配列は、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。一部の実施形態では、前記ヌクレオチド配列は、表3中に現れるヒトSIRPα遺伝子と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一な配列を有するヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。

0018

一部の実施形態では、前記ヌクレオチド配列は、ヒトSIRPαタンパク質のアミノ酸残基28〜362をコードする。一部の実施形態では、前記ヌクレオチド配列は、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%同一な配列を有するヒトSIRPαタンパク質のアミノ酸残基28〜362をコードする。

0019

一部の実施形態では、本発明は、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供する方法を提供し、この方法は、マウスのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むようにこのゲノムを改変し、それによって前記マウスを提供するステップを含む。一部の実施形態では、このSIRPα遺伝子は、本明細書に記載されるSIRPα遺伝子である。一部の実施形態では、このSIRPα遺伝子は、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。

0020

一部の実施形態では、本発明は、ヒト細胞をマウス中に生着させる方法を提供し、この方法は、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供するステップ、および1または複数のヒト細胞をこのマウス中に移植するステップを含む。一部のある特定の実施形態では、この方法は、マウスにおける1または複数のヒト細胞の生着をアッセイするステップをさらに含む。一部のある特定の実施形態では、アッセイするこのステップは、1または複数のヒト細胞の生着を、1または複数の野生型マウスにおける生着と比較することを含む。一部のある特定の実施形態では、アッセイするこのステップは、1または複数のヒト細胞の生着を、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含まない1または複数のマウスにおける生着と比較することを含む。

0021

一部の実施形態では、これらのヒト細胞は、造血幹細胞である。一部の実施形態では、これらのヒト細胞は、静脈内移植される。一部の実施形態では、これらのヒト細胞は、腹腔内移植される。一部の実施形態では、これらのヒト細胞は、皮下移植される。

0022

一部の実施形態では、本発明は、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含む、1または複数の細胞を提供するステップ、この1または複数の細胞を、標識された基質と共にインキュベートするステップ、およびこの1または複数の細胞による標識された基質の食作用を測定するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、これらの細胞は、マウス細胞である。

0023

一部の実施形態では、この基質は、蛍光標識されている。一部の実施形態では、この基質は、抗体で標識されている。一部の実施形態では、この基質は、1または複数の赤血球である。一部の実施形態では、この基質は、1または複数の細菌細胞である。

0024

一部の実施形態では、本発明は、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供するステップ、このマウスを抗原曝露させるステップ、およびこのマウスの1または複数の細胞による抗原の食作用を測定するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、曝露させるこのステップは、蛍光標識された抗原にマウスを曝露させることを含む。一部の実施形態では、曝露させるこのステップは、抗原を含む1または複数の細胞にマウスを曝露させることを含む。一部の実施形態では、曝露させるこのステップは、抗原を含む1または複数のヒト細胞にマウスを曝露させることを含む。一部の実施形態では、曝露させるこのステップは、抗原を含む1または複数の細菌細胞にマウスを曝露させることを含む。

0025

種々の実施形態では、本発明のSIRPα遺伝子は、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。種々の実施形態では、本発明のヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分は、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の残基28〜362に対応するアミノ酸を含む。種々の実施形態では、本発明のSIRPα遺伝子は、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結されている。

0026

一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される方法によって取得可能な非ヒト動物を提供する。一部のある特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内因性SIRPαタンパク質の細胞外部分を検出可能には発現しない。

0027

一部の実施形態では、本発明は、薬物またはワクチンの同定または検証のための方法を提供し、この方法は、薬物もしくはワクチンを本明細書に記載される非ヒト動物に送達するステップ、およびこの薬物もしくはワクチンに対する免疫応答、この薬物もしくはワクチンの安全性プロファイル、または疾患もしくは状態に対する影響のうち1つまたは複数をモニタリングするステップを含む。一部の実施形態では、安全性プロファイルをモニタリングするステップは、この非ヒト動物が、薬物もしくはワクチンを送達することの結果として、副作用または有害反応を示すか否かを決定することを含む。一部の実施形態では、副作用または有害反応は、罹患率死亡率、体重における変更、1または複数の酵素(例えば、肝臓)のレベルの変更、1または複数の臓器の重量における変更、機能の喪失(例えば、感覚運動、臓器など)、1または複数の疾患に対する増加した感受性、非ヒト動物のゲノムへの変更、摂食量における増加または減少、および1または複数の疾患の合併症から選択される。

0028

一部の実施形態では、本発明は、医薬としての使用などの医療における使用のための薬物またはワクチンの開発における、本発明の非ヒト動物の使用を提供する。

0029

一部の実施形態では、本発明は、ヒト細胞を標的化する治療薬物効力を評価するための、本明細書に記載される非ヒト動物の使用を提供する。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物には、ヒト細胞が移植され、かかるヒト細胞を標的化する薬物候補が、動物投与される。薬物の効力は、薬物の投与後に、非ヒト動物においてヒト細胞をモニタリングすることによって決定される。

0030

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、げっ歯類、好ましくはマウスまたはラットである。

0031

本出願で使用する場合、用語「約」および「およそ」は、等価物として使用される。約/およそを伴ってまたは伴わずに本出願において使用される任意の数字は、関連分野の当業者によって理解される任意の通常の変動をカバーする意味である。

0032

本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明において明らかである。しかし、詳細な説明は、本発明の実施形態を示してはいるが、限定としてではなく例示のみとして与えられていることを理解すべきである。本発明の範囲内の種々の変化および改変は、詳細な説明から当業者に明らかとなる。

0033

本明細書に含まれる図面は、限定のためではなく例示のみを目的とする。

図面の簡単な説明

0034

図1は、各エクソンに番号付けした、一定の拡大比ではない内因性マウスSIRPα遺伝子(上)の図を示す。ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4と部位特異的リコンビナーゼ認識部位(例えば、loxP)が隣接するネオマイシン選択カセット(Ub−Neo)とを含有する、ヒト化内因性SIRPα遺伝子(下)が示される。ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4の標的化された挿入は、ヒトSIRPαタンパク質に対応する細胞外領域を有するヒト化SIRPα遺伝子を発現する内因性遺伝子を生じる。
図2は、野生型およびヒト化SIRPα遺伝子についてヘテロ接合性のマウスのSIRPα発現のオーバーレイを示す図である。
図3は、ヒトCD34+細胞を生着させた異なる系統のマウスにおけるCD45+細胞のパーセントを示す図である。
図4は、ヒトCD34+細胞を生着させた異なる系統のマウスにおけるCD45+CD3+細胞のパーセントを示す図である。
図5は、ヒトCD34+細胞を生着させた異なる系統のマウスにおけるCD45+CD19+細胞のパーセントを示す図である。
図6は、Ab1が、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおいて、用量依存的様式でRaji腫瘍成長を抑制したことを示す図である。Raji腫瘍の体積を、腫瘍植え込みの3、6、9、13、16、20、23、27、30および34日後に測定した。個々の動物についてのデータ(パネルA〜D)が示される。hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスに、0日目に、2×106のRaji腫瘍細胞皮下投与した。対照群は、抗体を受けなかった(ビヒクル対照)(パネルA)。実験群について、0日目に、マウスを、0.4mg/kgにおける非結合対照Ab(対照Ab5)(パネルB)または0.4mg/kgにおけるAb1(パネルC)もしくは0.04mg/kgにおけるAb1(パネルD)のIP用量で処置し、その後、研究の間、1週間に2回の用量で処置した。全ての個々の試験群についての複合データを、図7に示す。
図7は、Ab1が、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおいて、対照と比較して、Raji腫瘍の成長を有意に抑制したことを示す図である。データは、図6に示される1群当たりn=4〜5匹のマウスからの複合データを示す。データは、平均(SEM)として表され、分散分析ANOVA)および有意な影響を探索するための事後検定二元配置ANOVAのためのTukey法)を使用して分析した。ビヒクル対照群、対照Ab5群およびAb1 0.4mg/kg群中の1匹のマウスを、二元配置ANOVAによってデータを分析するために、早期の死亡に起因してこの複合グラフから排除した。
図8は、Ab1が、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおいて体重に影響を与えなかったことを示す図である。体重を、腫瘍植え込みの3、6、9、13、16、20、23、27、30および34日後に測定した。個々の動物についてのデータ(パネルA〜D)を測定した。hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスに、0日目に、2×106のRaji腫瘍細胞を皮下投与した。対照群は、抗体を受けなかった(ビヒクル対照)(パネルA)。実験群について、0日目に、マウスを、0.4mg/kgにおけるIgG1非結合対照Ab5(パネルB)または0.4mg/kgにおけるAb1(パネルC)もしくは0.04mg/kgにおけるAb1(パネルD)のIP用量で処置し、その後、研究の間、1週間に2回の用量で処置した。

0035

定義
本発明は、特定の方法、記載される実験条件に限定されず、そのようなものとして、方法および条件は、変動し得る。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定されるので、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としており、限定を意図しないこともまた、理解すべきである。

0036

特記しない限り、本明細書で使用される全ての用語および語句は、逆が明確に示されない限り、またはそれらの用語もしくは語句が使用される文脈から明確に明らかでない限り、それらの用語または語句が当該分野において獲得している意味を含む。本明細書に記載される方法および材料と類似または等価な任意の方法および材料が、本発明の実施および試験において使用され得るが、特定の方法および材料が、ここに記載される。言及される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。

0037

用語「およそ」とは、本明細書で目的の1または複数の値に適用される場合、述べられた参照値と類似した値を指す。ある特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」とは、特記しない限り、または文脈から他の方法で明らかでない限り、(それ超またはそれ未満の)いずれかの方向での、述べられた参照値の25%以内、20%以内、19%以内、18%以内、17%以内、16%以内、15%以内、14%以内、13%以内、12%以内、11%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内またはそれ未満に入る値の範囲を指す(かかる数が可能な値の100%を超える場合を除く)。

0038

用語「生物学的に活性な」とは、本明細書で使用する場合、生物学的系において、in vitroでまたはin vivoで(例えば、生物中で)活性を有する任意の作用因子の特徴を指す。例えば、生物中に存在する場合に、その生物内で生物学的影響を有する作用因子は、生物学的に活性であるとみなされる。特定の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドが生物学的に活性である場合、このタンパク質またはポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有するタンパク質またはポリペプチドの一部分は、典型的には、「生物学的に活性な」部分と呼ばれる。

0039

用語「匹敵する」とは、本明細書で使用する場合、互いに同一でなくてもよいが、観察された差異または類似性に基づいて結論が合理的に引き出せるように、それらの間での比較を可能にするのに十分に類似している、2つまたはそれ超の作用因子、実体、状況、条件のセットなどを指す。当業者は、本文中で、2つまたはそれ超のかかる作用因子、実体、状況、条件のセットなどが匹敵するとみなされるために、どの程度の同一性が、任意の所与の場合において必要とされるかを理解する。

0040

用語「保存的」とは、保存的アミノ酸置換を記述するために本明細書で使用する場合、類似の化学的特性(例えば、電荷および疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基による、1つのアミノ酸残基の置換を指す。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の目的の機能的特性、例えば、受容体リガンドに結合する能力を、実質的に変化させない。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例には、脂肪族側鎖、例えば、グリシンアラニンバリンロイシンおよびイソロイシン;脂肪族−ヒドロキシル側鎖、例えば、セリンおよびスレオニンアミド含有側鎖、例えば、アスパラギンおよびグルタミン芳香族側鎖、例えば、フェニルアラニンチロシンおよびトリプトファン塩基性側鎖、例えば、リシンアルギニンおよびヒスチジン酸性側鎖、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに硫黄含有側鎖、例えば、システインおよびメチオニンが含まれる。保存的アミノ酸置換群には、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リシン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタミン酸/アスパラギン酸およびアスパラギン/グルタミンが含まれる。一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発において使用されるような、タンパク質中の任意のネイティブ残基のアラニンによる置換であり得る。一部の実施形態では、参照により本明細書に組み込まれるGonnetら(1992年)Exhaustive Matching of the Entire Protein Sequence Database、Science 256巻:1443〜45頁に開示されるPAM250ログ尤度マトリックスにおいて正の値を有する保存的置換が作製される。一部の実施形態では、この置換は、置換が、PAM250ログ−尤度マトリックスにおいて負でない値を有する、中程度に保存的な置換である。

0041

用語「破壊」とは、本明細書で使用する場合、DNA分子との(例えば、遺伝子または遺伝子座などの内因性の相同な配列との)相同組換え事象の結果を指す。一部の実施形態では、破壊は、DNA配列複数可)の挿入、欠失、置換、置き換えミスセンス変異もしくはフレームシフト、またはそれらの任意の組合せを達成または示し得る。挿入は、内因性配列以外の起源のものであり得る、遺伝子全体または遺伝子の断片、例えば、エクソンの挿入を含み得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の(例えば、遺伝子によってコードされるタンパク質の)発現および/または活性を増加させ得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の発現および/または活性を減少させ得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子またはコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)の配列を変更し得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子またはコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)を短縮または断片化し得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子またはコードされた遺伝子産物を延長させ得る;一部のかかる実施形態では、破壊は、融合タンパク質アセンブリを達成し得る。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルには影響を与え得るが、その活性には影響を与えなくてもよい。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の活性には影響を与え得るが、そのレベルには影響を与えなくてもよい。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルに対して有意な影響を有さなくてもよい。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物の活性に対して有意な影響を有さなくてもよい。一部の実施形態では、破壊は、遺伝子または遺伝子産物のレベルまたは活性のいずれかに対して有意な影響を有さなくてもよい。

0042

語句「内因性遺伝子座」または「内因性遺伝子」とは、本明細書で使用する場合、本明細書に記載される破壊、欠失、置き換え、変更または改変の導入の前に、親または参照生物において見出される遺伝子座を指す。一部の実施形態では、この内因性遺伝子座は、天然に見出される配列を有する。一部の実施形態では、この内因性遺伝子座は野生型である。一部の実施形態では、この参照生物は野生型生物である。一部の実施形態では、この参照生物は、操作された生物である。一部の実施形態では、この参照生物は、(野生型であっても操作されていても)実験室飼育した生物である。

0043

語句「内因性プロモーター」とは、例えば野生型生物において、内因性遺伝子と天然に関連しているプロモーターを指す。

0044

用語「異種」とは、本明細書で使用する場合、異なる供給源由来の作用因子または実体を指す。例えば、ポリペプチド、遺伝子もしくは遺伝子産物を参照して使用する場合、または特定の細胞もしくは生物中に存在する場合、この用語は、適切なポリペプチド、遺伝子もしくは遺伝子産物が、1)人の手によって操作されたこと;2)人の手を介して(例えば、遺伝子操作を介して)、細胞もしくは生物(またはその前駆体)中に導入されたこと;および/あるいは3)適切な細胞もしくは生物(例えば、適切な細胞型もしくは生物型)によって天然には産生されないまたはかかる細胞もしくは生物中には存在しないことを、明確にする。

0045

用語「宿主細胞」とは、本明細書で使用する場合、異種(例えば、外因性核酸またはタンパク質が導入された細胞を指す。当業者は、本開示を読めば、かかる用語が、特定の対象細胞を指すだけでなく、かかる細胞の子孫を指すためにも使用されることを理解する。ある特定の改変が、変異または環境的影響のいずれかに起因して、後続世代において生じ得るので、かかる子孫は、実際には、親細胞と同一でない可能性があるが、本明細書で使用される用語「宿主細胞」の範囲内になおも含まれる。一部の実施形態では、宿主細胞は、原核生物細胞もしくは真核生物細胞である、または原核生物細胞もしくは真核生物細胞を含む。一般に、宿主細胞は、その細胞が指定される生命の界に関わらず、異種の核酸またはタンパク質を受容および/または産生するために適切な任意の細胞である。例示的な細胞には、原核生物および真核生物単細胞または多細胞)の細胞、細菌細胞(例えば、E.coli、Bacillus spp.、Streptomyces spp.などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞酵母細胞(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、P.methanolicaなど)、植物細胞昆虫細胞(例えば、SF−9、SF−21、バキュロウイルス感染した昆虫細胞、Trichoplusia niなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、または、例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合物が含まれる。一部の実施形態では、この細胞は、ヒト、サル類人猿ハムスター、ラットまたはマウスの細胞である。一部の実施形態では、この細胞は、真核生物細胞であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB−11 CHO、Veggie−CHO)、COS(例えば、COS−7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293 EBNA、MSR 293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC 5、Colo205、HB 8065、HL−60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(上皮)、CV−1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS−0、MMT060562、セルトリ細胞BRL3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、および上述の細胞から誘導された細胞株。一部の実施形態では、この細胞は、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)など、1または複数のウイルス遺伝子を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、単離された細胞であるまたは単離された細胞を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、組織の一部である。一部の実施形態では、宿主細胞は、生物の一部である。

0046

用語「ヒト化」は、その構造(即ち、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列)が、非ヒト動物において天然に見出される特定の遺伝子またはタンパク質の構造と実質的にまたは同一に対応する部分を含み、関連の特定の非ヒト遺伝子またはタンパク質において見出されるものとは異なるが、その代わりに、対応するヒト遺伝子またはタンパク質において見出される匹敵する構造とより密接に対応する部分もまた含む、核酸またはタンパク質を指すために、その分野で理解される意味に従って、本明細書で使用される。一部の実施形態では、「ヒト化」遺伝子は、ヒトポペプチド(例えば、ヒトタンパク質またはその部分−例えば、その特徴的な部分)のものなどのアミノ酸配列を実質的に有するポリペプチドをコードする遺伝子である。一例を挙げると、膜受容体の場合、「ヒト化」遺伝子は、ヒト細胞外部分のものなどのアミノ酸配列を有する細胞外部分および非ヒト(例えば、マウス)ポリペプチドのものなどの残りの配列を有するポリペプチドをコードし得る。一部の実施形態では、ヒト化遺伝子は、ヒト遺伝子のDNA配列の少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、ヒト化遺伝子は、ヒト遺伝子のDNA配列全体を含む。一部の実施形態では、ヒト化タンパク質は、ヒトタンパク質中に現れる部分を有する配列を含む。一部の実施形態では、ヒト化タンパク質は、ヒトタンパク質の配列全体を含み、ヒト遺伝子のホモログまたはオルソログに対応する非ヒト動物の内因性遺伝子座から発現される。

0047

用語「同一性」とは、配列の比較と併せて本明細書で使用する場合、ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の同一性を測定するために使用され得る、当該分野で公知のいくつかの異なるアルゴリズムによって決定されるような同一性を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される同一性は、10.0のオープンギャップペナルティ、0.1の伸長ギャップペナルティを使用するClustalW v.1.83(スローアラインメントを使用し、Gonnet類似性マトリックス(MACVECTOR(商標)10.0.2、Mac Vector Inc.、2008年)を使用して、決定される。

0048

用語「単離された」とは、本明細書で使用する場合、(1)最初に産生されたときに(天然にでもおよび/もしくは実験設定でも)それが関連した構成成分の少なくとも一部から分離されている、ならびに/または(2)人の手によって設計、産生、調製および/もしくは製造されている、物質ならびに/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、それらが最初に関連した他の構成成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超から、分離され得る。一部の実施形態では、単離された作用因子は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超、純粋である。本明細書で使用する場合、物質は、他の構成成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。一部の実施形態では、当業者に理解されるように、物質は、例えば、1または複数の担体または賦形剤(例えば、緩衝液溶媒、水など)などのある特定の他の構成成分と組み合わされた後に、「単離された」またはさらには「純粋」と、なおもみなされ得る;かかる実施形態では、物質のパーセント単離または純度は、かかる担体または賦形剤を含まずに、計算される。一例を挙げると、一部の実施形態では、天然に存在する生物学的ポリマー、例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、以下の場合に、「単離された」とみなされる。a)誘導のその起源または供給源のおかげで、天然におけるそのネイティブ状態でそれに付随する構成成分の一部または全てと関連しない場合;b)それが、天然にそれを産生する種と同じ種の他のポリペプチドまたは核酸を実質的に含まない場合;c)天然にそれを産生する種ではない細胞もしくは他の発現系によって発現される場合、またはかかる細胞もしくは他の発現系由来の構成成分と他の方法で関連する場合。従って、例えば、一部の実施形態では、化学的に合成される、または天然においてそれを産生する細胞系とは異なる細胞系において合成されるポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドであるとみなされる。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、1または複数の精製技術に供されたポリペプチドは、a)それが天然に関連する他の構成成分;および/またはb)最初に産生されたときにそれが関連した他の構成成分から分離されている限りにおいて、「単離された」ポリペプチドとみなされ得る。

0049

語句「非ヒト動物」とは、本明細書で使用する場合、ヒトではない任意の脊椎動物生物を指す。一部の実施形態では、非ヒト動物は、円口類(acyclostome)、硬骨魚類軟骨魚類(例えば、サメまたはエイ)、両生類爬虫類哺乳動物および鳥類である。一部の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、霊長類ヤギヒツジブタイヌ雌ウシまたはげっ歯類である。一部の実施形態では、非ヒト動物は、ラットまたはマウスなどのげっ歯類である。

0050

語句「核酸」とは、本明細書で使用する場合、その最も広い意味において、オリゴヌクレオチド鎖中に取り込まれるまたはオリゴヌクレオチド鎖中に取り込まれ得る、任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル連結を介してオリゴヌクレオチド鎖中に取り込まれるまたはオリゴヌクレオチド鎖中に取り込まれ得る、化合物および/または物質である。文脈から明らかなように、一部の実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す;一部の実施形態では、「核酸」とは、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAであるまたはRNAを含む;一部の実施形態では、「核酸」は、DNAであるまたはDNAを含む。一部の実施形態では、核酸は、1もしくは複数の天然の核酸残基である、かかる天然の核酸残基を含む、またはかかる天然の核酸残基からなる。一部の実施形態では、核酸は、1もしくは複数の核酸アナログである、かかる核酸アナログを含む、またはかかる核酸アナログからなる。一部の実施形態では、核酸アナログは、ホスホジエステル骨格を利用しないという点で、核酸とは異なる。例えば、一部の実施形態では、核酸は、当該分野で公知であり、骨格中ホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有し、本発明の範囲内とみなされる、1もしくは複数の「ペプチド核酸」である、かかる「ペプチド核酸」を含む、またはかかる「ペプチド核酸」からなる。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1または複数のホスホロチオエート連結および/または5’−N−ホスホラミダイト連結を有する。一部の実施形態では、核酸は、1もしくは複数の天然のヌクレオシド(例えば、アデノシンチミジングアノシンシチジンウリジンデオキシアデノシンデオキシチミジンデオキシグアノシンおよびデオキシシチジン)である、かかる天然のヌクレオシドを含む、またはかかる天然のヌクレオシドからなる。一部の実施形態では、核酸は、1もしくは複数のヌクレオシドアナログ(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシンピロロピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、2−チオシチジンメチル化塩基、介在塩基、およびそれらの組合せ)である、かかるヌクレオシドアナログを含む、またはかかるヌクレオシドアナログからなる。一部の実施形態では、核酸は、天然の核酸中のものと比較して、1または複数の改変糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボースアラビノースおよびヘキソース)を含む。一部の実施形態では、核酸は、RNAまたはタンパク質などの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1または複数のイントロンを含む。一部の実施形態では、核酸は、天然の供給源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素的合成(in vivoまたはin vitro)、組換え細胞または系における複製、および化学的合成のうちの1または複数によって調製される。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000またはそれ超の残基長である。一部の実施形態では、核酸は、一本鎖である;一部の実施形態では、核酸は、二本鎖である。一部の実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードする、またはポリペプチドをコードする配列の相補体である少なくとも1つのエレメントを含む、ヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、酵素活性を有する。

0051

語句「作動可能に連結した」とは、本明細書で使用する場合、記載される構成成分が、それらの意図した様式でそれらが機能するのを可能にする関係性にある、並置を指す。コード配列に「作動可能に連結した」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合性の条件下で達成されるような方法で、ライゲーションされる。「作動可能に連結した」配列は、目的の遺伝子と連続した発現制御配列および目的の遺伝子を制御するためにトランスで作用するまたは離れて作用する発現制御配列の両方を含む。用語「発現制御配列」とは、本明細書で使用する場合、それらがライゲーションされたコード配列の発現およびプロセシングをもたらすために必要なポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列には、適切な転写開始終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えば、スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナル細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(即ち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質の安定性を増強する配列;ならびに所望の場合、タンパク質分泌を増強する配列が含まれる。かかる制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる。例えば、原核生物では、かかる制御配列には、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列が含まれ、一方真核生物では、典型的には、かかる制御配列には、プロモーターおよび転写終結配列が含まれる。用語「制御配列」は、その存在が発現およびプロセシングに必須である構成成分を含むことを意図し、その存在が有利であるさらなる構成成分、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列もまた、含み得る。

0052

用語「ポリペプチド」とは、本明細書で使用する場合、アミノ酸の任意のポリマー鎖を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、天然には存在しないアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、人の手の作用を介して設計および/または産生されるという点で、操作されたアミノ酸配列を有する。

0053

用語「組換え」は、本明細書で使用する場合、組換え手段によって設計、操作、調製、発現、創出もしくは単離されたポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるシグナル調節タンパク質)、例えば、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現させたポリペプチド、組換えコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド(Hoogenboom H. R.、(1997年)TIB Tech. 15巻:62〜70頁;Azzazy H.およびHighsmith W. E.、(2002年)Clin. Biochem. 35巻:425〜445頁;Gavilondo J. V.およびLarrick J. W.(2002年)BioTechniques 29巻:128〜145頁;Hoogenboom H.およびChames P.(2000年)Immunology Today 21巻:371〜378頁)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor, L. D.ら(1992年)Nucl. AcidsRes. 20巻:6287〜6295頁;Kellermann S−A.およびGreen L. L.(2002年)Current Opinion in Biotechnology 13巻:593〜597頁;Little M.ら(2000年)Immunology Today 21巻:364〜370頁を参照のこと)、または選択された配列エレメントを互いに対してスプライシングすることが関与する任意の他の手段によって調製、発現、創出もしくは単離されたポリペプチドをいうことが意図される。一部の実施形態では、かかる選択された配列エレメントのうちの1または複数は、天然に見出される。一部の実施形態では、かかる選択された配列エレメントのうちの1または複数は、in silicoで設計される。一部の実施形態では、1または複数のかかる選択された配列エレメントは、公知の配列エレメントの変異誘発(例えば、in vivoまたはin vitro)から、例えば、天然のまたは合成の供給源から、生じる。例えば、一部の実施形態では、組換えポリペプチドは、目的の供給源生物(例えば、ヒト、マウスなど)のゲノムにおいて見出される配列から構成される。一部の実施形態では、組換えポリペプチドは、変異誘発(例えば、in vitroまたはin vivoの、例えば、非ヒト動物における)から生じたアミノ酸配列を有し、その結果、組換えポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリペプチド配列に由来しそのポリペプチド配列に関連するが、in vivoで非ヒト動物のゲノム内に天然に存在しない可能性がある、配列である。

0054

用語「置き換え」は、宿主遺伝子座において(例えば、ゲノムにおいて)見出される「置き換えられた」核酸配列(例えば、遺伝子)が、その遺伝子座から除去され、異なる「置き換え」核酸がその場所に位置付けられるプロセスを指すために、本明細書で使用される。一部の実施形態では、これらの置き換えられた核酸配列および置き換え核酸配列は、例えば、互いに相同であり、および/または対応するエレメント(例えば、タンパク質コードエレメント調節エレメントなど)を含有するという点で、互いに匹敵する。一部の実施形態では、置き換えられた核酸配列は、プロモーター、エンハンサースプライスドナー部位、スプライスレシーバー部位、イントロン、エクソン、非翻訳領域(UTR)のうちの1または複数を含む;一部の実施形態では、置き換え核酸配列は、1または複数のコード配列を含む。一部の実施形態では、置き換え核酸配列は、置き換えられた核酸配列のホモログである。一部の実施形態では、置き換え核酸配列は、置き換えられた配列のオルソログである。一部の実施形態では、置き換え核酸配列は、ヒト核酸配列であるまたはヒト核酸配列を含む。置き換え核酸配列がヒト核酸配列であるまたはヒト核酸配列を含む場合を含む一部の実施形態では、この置き換えられた核酸配列は、げっ歯類配列(例えば、マウス配列)であるまたはげっ歯類配列(例えば、マウス配列)を含む。そうして配置された核酸配列は、そうして配置された配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’非翻訳領域または3’非翻訳領域など)を取得するために使用される供給源核酸配列の一部である1または複数の調節配列を含み得る。例えば、種々の実施形態では、この置き換えは、そうして配置された核酸配列(異種配列を含む)からの遺伝子産物の産生を生じるが内因性配列の発現は生じない異種配列による内因性配列の置換である;この置き換えは、内因性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を有するタンパク質をコードする核酸配列による内因性ゲノム配列の置き換えである(例えば、この内因性ゲノム配列は、SIRPαタンパク質をコードし、DNA断片は、1または複数のヒトSIRPαタンパク質をコードする)。種々の実施形態では、内因性遺伝子またはその断片は、対応するヒト遺伝子またはその断片によって置き換えられる。対応するヒト遺伝子もしくはその断片は、置き換えられる内因性遺伝子もしくはその断片のオルソログであるヒト遺伝子もしくは断片であるか、または置き換えられる内因性遺伝子もしくはその断片と、構造および/もしくは機能において実質的に類似もしくは同じである。

0055

語句「シグナル調節タンパク質」または「SIRP」とは、本明細書で使用する場合、シグナル調節タンパク質受容体、例えば、SIRPα受容体を指す。SIRP遺伝子は、細胞の表面上で発現される原形質膜受容体を含み、白血球上の膜表面タンパク質間の相互作用に関与する調節タンパク質として機能する。SIRP遺伝子内で、多型バリアントが、ヒト被験体において記載されている。例示として、ヒトおよびマウスのSIRP遺伝子のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が、表1に提供される。本開示を読めば、当業者は、ゲノム中の1または複数の内因性SIRP受容体遺伝子(または全て)が、1または複数の異種SIRP遺伝子(例えば、多型バリアント、サブタイプもしくは変異体、別の種由来の遺伝子、ヒト化形態など)によって置き換えられ得ることを認識する。

0056

「SIRP発現細胞」とは、本明細書で使用する場合、シグナル調節タンパク質受容体を発現する細胞を指す。一部の実施形態では、SIRP発現細胞は、その表面上にシグナル調節タンパク質受容体を発現する。一部の実施形態では、細胞の表面上で発現されるSIRPタンパク質は、細胞の表面上で発現されるSIRPタンパク質を介した細胞−細胞相互作用を媒介するのに十分な量である。例示的なSIRP発現細胞には、ニューロン、リンパ球、骨髄性細胞、マクロファージ、好中球およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。SIRP発現細胞は、種々の外来抗原または病原体に対する免疫応答を調節するために、免疫細胞の相互作用を調節する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、非ヒト動物の1または複数の細胞の表面上で発現されたヒト化SIRP受容体を介した免疫細胞調節を実証する。

0057

用語「実質的に」とは、本明細書で使用する場合、目的の特徴または特性の合計またはほぼ合計の度合いまたは程度を示す、質的状態を指す。生物学の分野における当業者は、生物学的現象および化学的現象が、仮にあるとしても、完成に向かうことおよび/もしくは完全性まで進行するまたは絶対的結果を達成もしくは回避することは稀であることを理解する。用語「実質的に」は、従って、多くの生物学的現象および化学的現象において固有の完全性の潜在的欠如捕捉するために、本明細書で使用される。

0058

語句「実質的な相同性」とは、本明細書で使用する場合、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を指す。当業者に理解されるように、2つの配列は、対応する位置においてそれらが相同な残基を含有する場合、一般に、「実質的に相同」であるとみなされる。相同な残基は、同一な残基であり得る。あるいは、相同な残基は、適切に類似した構造的および/または機能的特徴を有する、同一ではない残基であり得る。例えば、当業者に周知のように、ある特定のアミノ酸は、典型的には、「疎水性」もしくは「親水性」アミノ酸として、および/または「極性」もしくは「非極性」側鎖を有するとして、分類される。1つのアミノ酸による同じ型の別のアミノ酸の置換は、しばしば「相同な」置換とみなされ得る。典型的なアミノ酸のカテゴリー化を、表1および2にまとめる。

0059

0060

0061

当該分野で周知のように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列についてのBLASTNならびにアミノ酸配列についてのBLASTP、gapped BLASTおよびPSI−BLASTなどの市販のコンピュータープログラムにおいて利用可能なものを含む、種々のアルゴリズムのいずれかを使用して比較され得る。例示的なかかるプログラムは、Altschulら、Basic local alignment search tool、J. Mol. Biol.、215巻(3号):403〜410頁、1990年;Altschulら、Methodsin Enzymology;Altschulら、「Gapped BLAST and PSI−BLAST: a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res. 25巻:3389〜3402頁、1997年;Baxevanisら、Bioinformatics : A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins、Wiley、1998年;およびMisenerら(編)、Bioinformatics Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology、第132巻)、Humana Press、1999年に記載されている。相同な配列を同定することに加えて、上述のプログラムは、典型的には、相同性の程度の指標を提供する。一部の実施形態では、2つの配列は、それらの対応する残基のうち少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超が、残基の関連するストレッチにわたって相同である場合、実質的に相同であるとみなされる。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、完全配列である。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17またはそれ超の残基である。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、完全配列に沿って連続した残基を含む。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、完全配列に沿って非連続の残基を含む。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50またはそれ超の残基である。

0062

語句「実質的な同一性」とは、本明細書で使用する場合、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を指す。当業者に理解されるように、2つの配列は、対応する位置においてそれらが同一な残基を含有する場合、一般に、「実質的に同一」であるとみなされる。当該分野で周知のように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列についてのBLASTNならびにアミノ酸配列についてのBLASTP、gapped BLASTおよびPSI−BLASTなどの市販のコンピュータープログラムにおいて利用可能なものを含む、種々のアルゴリズムのいずれかを使用して比較され得る。例示的なかかるプログラムは、Altschulら、Basic local alignment search tool、J. Mol. Biol.、215巻(3号):403〜410頁、1990年;Altschulら、Methodsin Enzymology;Altschulら、Nucleic Acids Res.25巻:3389〜3402頁、1997年;Baxevanisら、Bioinformatics : A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins、Wiley、1998年;およびMisenerら(編)、Bioinformatics Methods and Protocols (Methods in Molecular Biology、第132巻)、Humana Press、1999年に記載されている。同一な配列を同定することに加えて、上述のプログラムは、典型的には、同一性の程度の指標を提供する。一部の実施形態では、2つの配列は、それらの対応する残基のうち少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超が、残基の関連するストレッチにわたって同一である場合、実質的に同一であるとみなされる。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、完全配列である。一部の実施形態では、この関連するストレッチは、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50またはそれ超の残基である。

0063

語句「標的化ベクター」または「標的化構築物」とは、本明細書で使用する場合、標的化領域を含むポリヌクレオチド分子を指す。標的化領域は、標的細胞、組織または動物中の配列と同一または実質的に同一である配列を含み、相同組換えを介して、この細胞、組織または動物のゲノム内の位置への標的化構築物の組込みを提供する。部位特異的リコンビナーゼ認識部位(例えば、loxP部位またはFrt部位)を使用して標的化する標的化領域もまた含まれる。一部の実施形態では、本発明の標的化構築物は、特に目的の核酸配列または遺伝子、選択可能なマーカー、制御および/または調節配列、ならびにかかる配列が関与する組換えを補助するまたは組換えを促進するタンパク質の外因性の添加を介して媒介される組換えを可能にする他の核酸配列をさらに含む。一部の実施形態では、本発明の標的化構築物はさらに、目的の遺伝子を全体的にまたは部分的に含み、この目的の遺伝子は、内因性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を有するタンパク質を全体的にまたは部分的にコードする異種遺伝子である。

0064

用語「バリアント」とは、本明細書で使用する場合、参照実体との顕著な構造的同一性を示すが、参照実体と比較して、1または複数の化学的部分の存在またはレベルにおいて、参照実体とは構造的に異なる実体を指す。多くの実施形態では、バリアントはまた、その参照実体とは機能的に異なる。一般に、特定の実体が参照実体の「バリアント」であると適切にみなされるか否かは、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者に理解されるように、任意の生物学的参照実体または化学的参照実体は、ある特定の特徴的構造エレメントを有する。バリアントは、定義により、1または複数のかかる特徴的構造エレメントを共有する別個化学的実体である。数例挙げると、小分子は、特徴的コア構造エレメント(例えば、大環状コア)および/または1もしくは複数の特徴的ペンダント部分を有し得、その結果、この小分子のバリアントは、コア構造エレメントおよび特徴的ペンダント部分を共有するが、他のペンダント部分および/またはコア内に存在する結合の型(単結合二重結合、E対Zなど)において異なるものであり、ポリペプチドは、線形空間もしくは三次元空間において互いに対して指定された位置を有するおよび/または特定の生物学的機能に寄与する複数のアミノ酸から構成される特徴的配列エレメントを有し得、核酸は、線形空間もしくは三次元空間において互いに対して指定された位置を有する複数のヌクレオチド残基から構成される特徴的配列エレメントを有し得る。例えば、バリアントポリペプチドは、アミノ酸配列における1もしくは複数の差異および/またはポリペプチド骨格共有結合した化学的部分(例えば、炭水化物、脂質など)における1もしくは複数の差異の結果として、参照ポリペプチドとは異なり得る。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドと、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または99%である全体的な配列同一性を示す。あるいは、またはさらに、一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドと、少なくとも1つの特徴的配列エレメントを共有しない。一部の実施形態では、この参照ポリペプチドは、1または複数の生物学的活性を有する。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物学的活性のうち1または複数を共有する。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物学的活性のうち1または複数を欠く。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、低減されたレベルの1または複数の生物学的活性を示す。多くの実施形態では、目的のポリペプチドは、この目的のポリペプチドが、特定の位置における少数配列変更を別にして、親のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を有する場合、親または参照ポリペプチドの「バリアント」であるとみなされる。典型的には、バリアント中の残基の20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満が、親と比較して置換される。一部の実施形態では、バリアントは、親と比較して、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1の置換された残基を有する。しばしば、バリアントは、非常に少数の(例えば、5未満、4未満、3未満、2未満または1未満の)置換された機能的残基(即ち、特定の生物学的活性に関与する残基)を有する。さらに、バリアントは、典型的に、親と比較して、5以下、4以下、3以下、2以下または1以下の付加または欠失を有し、しばしば、付加も欠失も有さない。さらに、任意の付加または欠失は、典型的には、約25未満、約20未満、約19未満、約18未満、約17未満、約16未満、約15未満、約14未満、約13未満、約10未満、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満の残基であり、一般には、約5未満、約4未満、約3未満または約2未満の残基である。一部の実施形態では、この親または参照ポリペプチドは、天然に見出されるものである。当業者に理解されるように、目的の特定のポリペプチドの複数のバリアントは、特に、目的のポリペプチドが感染性作用因子ポリペプチドである場合、一般に天然に見出され得る。

0065

用語「ベクター」とは、本明細書で使用する場合、それが関連する別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指す。一部の実施形態では、ベクターは、真核生物細胞および/または原核生物細胞などの宿主細胞における、それらが連結される核酸の染色体外複製および/または発現が可能である。作動可能に連結した遺伝子の発現を指向させることが可能なベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。

0066

用語「野生型」は、本明細書で使用する場合、「正常」(変異体、罹患したもの、変更されたものなどとは対照的に)状態または文脈において天然に見出されるような構造および/または活性を有する実体を指す、当該分野で理解される意味を有する。当業者は、野生型の遺伝子およびポリペプチドが、複数の異なる形態(例えば、対立遺伝子)で存在する場合が多いことを理解する。

0067

詳細な説明
本発明は、とりわけ、移植片生着、食作用の活性化およびシグナル伝達におけるアッセイのための、シグナル調節タンパク質(例えば、SIRP)をコードするヒト化遺伝物質を有する改善および/または操作された非ヒト動物を提供する。かかる非ヒト動物は、ヒト細胞の移植片生着における改善を提供することを企図する。従って、本発明は、非ヒト動物においてヒト造血細胞を維持するために、特に有用である。特に、本発明は、非ヒト動物の細胞の原形質膜表面上のヒト化タンパク質の発現を生じるげっ歯類SIRPα遺伝子のヒト化を包含する。かかるヒト化タンパク質は、ヒト化SIRPαタンパク質と、生着したヒト細胞の表面上に存在するリガンドとの係合を介して、生着したヒト細胞を認識する能力を有する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、移植されたヒト造血細胞を受容することが可能である;一部の実施形態では、かかる非ヒト哺乳動物は、ヒト細胞を含む免疫系を発達させるおよび/または有する。一部の実施形態では、ヒト化SIRPαタンパク質は、ヒトSIRPαタンパク質のアミノ酸残基28〜362に対応する配列を有する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、この非ヒト動物および異種の種(例えば、ヒト)由来の遺伝物質を含有する内因性SIRPα遺伝子を含む。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒト化SIRPα遺伝子を含み、このヒト化SIRPα遺伝子は、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む。

0068

本発明の種々の態様が、以下のセクションにおいて詳細に記載される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用され得る。本出願では、「または」の使用は、特記しない限り、「および/または」を意味する。

0069

シグナル調節タンパク質(SIRP)遺伝子ファミリー
シグナル調節タンパク質(SIRP)は、リンパ球、骨髄性細胞(マクロファージ、好中球、顆粒球、骨髄樹状細胞およびマスト細胞を含む)およびニューロン上で発現される細胞表面糖タンパク質ファミリーを構成する(例えば、BarclayおよびBrown、2006年、Nat Rev Immunol 6巻、457〜464頁を参照のこと)。いくつかの報告されたSIRP遺伝子が存在し、これらは、それらのそれぞれのリガンドおよびそれらが関与するシグナル伝達の型によって、カテゴリー化され得る。SIRPα(CD172A、SHPS1、P84、MYD−1、BITおよびPTPNS1とも呼ばれる)は、骨髄系譜の免疫細胞上で発現され、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を介して、阻害性受容体として機能する。SIRPα発現は、ニューロン上でも観察されている。SIRPαに対する報告されたリガンドには、最も顕著にはCD47が含まれるが、サーファクタントタンパク質AおよびDもまた含まれる。SIRPβ(CD172bとも呼ばれる)は、マクロファージおよび好中球上で発現されるが、公知のリガンドは報告されていない。SIRPβは、SIRPαと比較して短い細胞質領域を含有し、DNAX活性化タンパク質12(DAP12)として公知のシグナル伝達構成成分と会合することが公知である。従って、SIRPβは、活性化受容体であると考えられる。SIRPγ(CD172gおよびSIRPβ2とも呼ばれる)は、リンパ球およびナチュラルキラー細胞上で発現され、これもまたCD47に結合するが、細胞質テールは、4つのアミノ酸のみを含有し、DAP12との会合を促進する配列を欠くので、シグナル伝達機能は報告されていない。別のメンバーSIRPδが記載されており、可溶性受容体として存在する。

0070

SIRPαの役割は、特に、マクロファージによる宿主細胞の食作用におけるその阻害性の役割に関して、調査されてきた。例えば、マクロファージ上のSIRPαへのCD47の結合は、食作用を負に調節する阻害性シグナルを誘発する。あるいは、SIRPα結合を介して媒介される陽性シグナル伝達効果が、報告されている(Shultzら、1995年、J Immunol 154巻、180〜91頁)。

0071

SIRPα配列
ヒトおよびマウスについての例示的なSIRPα配列が、表3中に示される。cDNA配列について、連続的エクソンは、交互になった下線付き文字によって分離される。タンパク質配列について、シグナルペプチドには下線が付され、膜貫通配列および細胞質配列はイタリックである。

0072

0073

0074

0075

0076

0077

ヒト化SIRPα非ヒト動物
SIRPαタンパク質をコードする非ヒト動物の内因性遺伝子座の遺伝子改変から生じた、非ヒト動物の免疫細胞(例えば、骨髄性細胞)の表面上にヒト化SIRPαタンパク質を発現する非ヒト動物が提供される。本明細書に記載される適切な例には、げっ歯類、特に、マウスが含まれる。

0078

ヒト化SIRPα遺伝子は、一部の実施形態では、異種の種(例えば、ヒト)由来の遺伝物質を含み、このヒト化SIRPα遺伝子は、この異種の種由来の遺伝物質のコードされた部分を含むSIRPαタンパク質をコードする。一部の実施形態では、本発明のヒト化SIRPα遺伝子は、細胞の原形質膜上で発現されるSIRPαタンパク質の細胞外部分に対応する、異種の種のゲノムDNAを含む。前記ヒト化SIRPα遺伝子を含有する非ヒト動物、非ヒト胚および細胞を作製するための非ヒト動物、胚、細胞および標的化構築物もまた、提供される。

0079

一部の実施形態では、内因性SIRPα遺伝子は欠失される。一部の実施形態では、内因性SIRPα遺伝子は変更され、ここで、この内因性SIRPα遺伝子の一部分は、異種配列(例えば、全体的にまたは部分的にヒトSIRPα配列)で置き換えられる。一部の実施形態では、全てまたは実質的に全ての内因性SIRPα遺伝子は、異種遺伝子(例えば、ヒトSIRPα遺伝子)で置き換えられる。一部の実施形態では、異種SIRPα遺伝子の一部分は、内因性SIRPα遺伝子座において、内因性非ヒトSIRPα遺伝子中に挿入される。一部の実施形態では、この異種遺伝子はヒト遺伝子である。一部の実施形態では、改変またはヒト化は、2コピーの内因性SIRPα遺伝子のうちの1つに対して行われ、ヒト化SIRPα遺伝子に関してヘテロ接合性である非ヒト動物を生じる。他の実施形態では、ヒト化SIRPα遺伝子についてホモ接合性である非ヒト動物が提供される。

0080

本発明の非ヒト動物は、内因性非ヒトSIRPα遺伝子座において、全体的にまたは部分的にヒトSIRPα遺伝子を含有する。従って、かかる非ヒト動物は、異種SIRP遺伝子を有すると記載され得る。内因性SIRPα遺伝子座において置き換えられた、挿入されたまたは改変されたSIRPα遺伝子は、例えば、PCRウエスタンブロットサザンブロット制限断片長多型(RFLP)、または対立遺伝子の獲得もしくは喪失のアッセイを含む、種々の方法を使用して検出され得る。一部の実施形態では、この非ヒト動物は、ヒト化SIRPα遺伝子に関してヘテロ接合性である。

0081

種々の実施形態では、本発明に従うヒト化SIRPα遺伝子は、表3のヒトSIRPα遺伝子中に現れる第2、第3および第4のエクソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)同一な配列を各々が有する第2、第3および第4のエクソンを有するSIRPα遺伝子を含む。

0082

種々の実施形態では、本発明に従うヒト化SIRPα遺伝子は、表3のヒトSIRPαcDNA配列中に現れるヌクレオチド352〜1114と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)同一なヌクレオチドコード配列(例えば、cDNA配列)を有するSIRPα遺伝子を含む。

0083

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるヒト化SIRPαタンパク質は、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)同一である配列を有する細胞外部分を有する。

0084

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるヒト化SIRPαタンパク質は、表3のヒトSIRPαタンパク質中に現れるアミノ酸残基28〜362と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)同一である配列を有する細胞外部分を有する。

0085

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるヒト化SIRPαタンパク質は、表3中に現れるヒト化SIRPαタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ超)同一であるアミノ酸配列を有する。

0086

特定の多型形態または対立遺伝子バリアント(例えば、単一アミノ酸の差異)を含むヒト化SIRPαタンパク質を発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法が提供され、これはヒトプロモーターおよびヒト調節配列からかかるタンパク質を発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法を含む。一部の実施形態では、内因性プロモーターおよび内因性調節配列からかかるタンパク質を発現する非ヒト動物を作製するための組成物および方法もまた、提供される。これらの方法は、内因性SIRPα遺伝子に対応する非ヒト動物のゲノム中の正確な位置においてヒトSIRPαタンパク質を全体的にまたは部分的にコードする遺伝物質を挿入し、それによって、全体的にまたは部分的にヒトであるSIRPαタンパク質を発現するヒト化SIRPα遺伝子を創出するステップを含む。一部の実施形態では、これらの方法は、非ヒト動物の内因性SIRPα遺伝子中に、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4に対応するゲノムDNAを挿入し、それによって、挿入されたエクソンによってコードされるアミノ酸を含有するヒト部分を含有するSIRPαタンパク質をコードするヒト化遺伝子を創出するステップを含む。

0087

ヒト化SIRPα遺伝子アプローチは、内因性遺伝子の比較的最低限の改変を使用し、非ヒト動物において、天然SIRPα媒介性のシグナル伝達を生じ、種々の実施形態では、SIRPα配列のゲノム配列は、単一の断片において改変されているので、従って、必要な調節配列を含むことによって正常な機能性を保持する。従って、かかる実施形態では、このSIRPα遺伝子改変は、他の周辺遺伝子にも他の内因性SIRP遺伝子にも影響を与えない。さらに、種々の実施形態では、この改変は、プラスマ上の機能的受容体のアセンブリに影響を与えず、結合と、改変によって影響を受けていない受容体の細胞質部分を介した引き続くシグナル伝達とを介した、正常なエフェクター機能を維持する。

0088

内因性マウスSIRPα遺伝子およびヒト化SIRPα遺伝子の略図(一定の拡大比ではない)が、図1に提供される。示されるように、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有するゲノムDNAが、標的化構築物によって、内因性マウスSIRPα遺伝子座中に挿入される。このゲノムDNAは、リガンド結合を担うヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分(例えば、アミノ酸残基28〜362)をコードする遺伝子の部分を含む。

0089

内因性SIRPα遺伝子座においてヒト化SIRPα遺伝子を有する非ヒト動物(例えば、マウス)は、当該分野で公知の任意の方法によって作製され得る。例えば、選択可能なマーカー遺伝子と共に、ヒトSIRPα遺伝子を全体的にまたは部分的に導入する標的化ベクターが、作製され得る。図1は、ヒトSIRPαのエクソン2〜4の挿入を含むマウスゲノムを示す。示されるように、この標的化構築物は、内因性マウスSIRPα遺伝子のエクソン2の上流の配列を含有する5’相同性アーム、その後の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有するゲノムDNA断片、薬物選択カセット(例えば、loxP配列が両側に隣接するネオマイシン耐性遺伝子)、および内因性マウスSIRPα遺伝子のエクソン4の下流の配列を含有する3’同性アームを含有する。相同組換えの際に、内因性マウスSIRPα遺伝子のエクソン2〜4は、標的化ベクター中に含有される配列によって置き換えられる。ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4によってコードされるアミノ酸を含有するヒト化SIRPαタンパク質を発現する細胞または非ヒト動物を生じるヒト化SIRPα遺伝子が、創出される。この薬物選択カセットは、リコンビナーゼの引き続く添加によって(例えば、Cre処理によって)、任意選択で除去され得る。

0090

本明細書に記載されるヒト化SIRPα遺伝子を有するマウスに加えて、ヒト化SIRPα遺伝子を含む他の遺伝子改変された非ヒト動物もまた、本明細書で提供される。一部の実施形態では、かかる非ヒト動物は、内因性SIRPαプロモーターに作動可能に連結したヒト化SIRPα遺伝子を含む。一部の実施形態では、かかる非ヒト動物は、内因性遺伝子座からヒト化SIRPαタンパク質を発現し、このヒト化SIRPαタンパク質は、ヒトSIRPαタンパク質のアミノ酸残基28〜362を含む。

0091

かかる非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシバッファロー)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセットアカゲザル)からなる群より選択され得る。適切な遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手可能でない非ヒト動物について、他の方法が、本明細書に記載される遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製するために使用される。かかる方法は、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または誘導多能性細胞)を改変し、改変されたゲノムを卵母細胞などの適切な細胞に移行させるために核移植を使用するステップ、および胚を形成するのに適切な条件下で、非ヒト動物において、改変された細胞(例えば、改変された卵母細胞)を妊娠させるステップを含む。

0092

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は哺乳動物である。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、例えば、トビネズミ上科(Dipodoidea)またはネズミ上科(Muroidea)の、小型哺乳動物である。一部の実施形態では、本発明の遺伝子改変された動物は、げっ歯類である。一部の実施形態では、本発明のげっ歯類は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。一部の実施形態では、本発明のげっ歯類は、ネズミ上科から選択される。一部の実施形態では、本発明の遺伝子改変された動物は、ヨルマウス科(calomyscidae)(例えば、カンガルーハムスター(mouse−like hamster))、キヌゲネズミ科(Cricetidae)(例えば、ハムスター、新世界ラットおよびマウス(New World rat and mouse)、ハタネズミ)、ネズミ科トゥルーマウスおよびラット(true mouse and rat)、スナネズミトゲマウス(spiny mouse)、タテガミラット(crested rat))、アシナガマウス科(Nesomyidae)(キノボリマウス(climbing mouse)、イワマウス(rock mouse)、オジロラット(with−tailed rat)、マダガスカルラットおよびマウス(Malagasy rat and mouse))、トゲヤマネ科(Platacanthomyidae)(例えば、トゲヤマネ(spiny dormice))およびメクラネズミ科(Spalacidae)(例えば、デバネズミ、タケネズミ(bamboo rat)およびモグラネズミ(zokor))から選択される科のものである。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変されたげっ歯類は、トゥルーマウスまたはラット(ネズミ科)、スナネズミ、トゲマウスおよびタテガミラットから選択される。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変されたマウスは、ネズミ科のメンバーのものである。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、げっ歯類である。一部のある特定の実施形態では、本発明のげっ歯類は、マウスおよびラットから選択される。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物はマウスである。

0093

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10CrおよびC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスであるげっ歯類である。一部のある特定の実施形態では、本発明のマウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129/SvJae、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群より選択される129系統である(例えば、Festingら、1999年、Mammalian Genome 10巻:836頁;Auerbachら、2000年、Biotechniques 29巻(5号):1024〜1028頁、1030頁、1032頁を参照のこと)。一部のある特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変されたマウスは、上述の129系統および上述のC57BL/6系統のミックスである。一部のある特定の実施形態では、本発明のマウスは、上述の129系統のミックスまたは上述のBL/6系統のミックスである。一部のある特定の実施形態では、本明細書に記載されるミックスの129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。一部の実施形態では、本発明のマウスは、BALB系統、例えば、BALB/c系統である。一部の実施形態では、本発明のマウスは、BALB系統および別の上述の系統のミックスである。

0094

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物はラットである。一部のある特定の実施形態では、本発明のラットは、Wistarラット、LEA系統、Sprague Dawley系統、Fischer系統、F344、F6およびDark Agoutiから選択される。一部のある特定の実施形態では、本明細書に記載されるラット系統は、Wistar、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6およびDark Agoutiからなる群より選択される2またはそれ超の系統のミックスである。

0095

ヒト化SIRPα遺伝子を有する非ヒト動物を使用する方法
SIRPα変異体およびトランスジェニック非ヒト動物(例えば、マウス)が報告されている(Inagakiら、2000年、EMBO Journal 19巻(24号):6721〜6731頁;Strowigら、2011年、Proc. Nat. Acad. Sci. 108巻(32号):13218〜13223頁)。かかる動物は、SIRPαの発現、機能および調節の分子的局面を決定するための種々のアッセイにおいて使用されてきた。しかし、これらには制限がないわけではない。例えば、SIRPα変異体マウスの使用は、変異体形態のSIRPαを含有する細胞がシグナル伝達できないことから生じる有害な健康状態に起因して制限されてきた。さらに、SIRPαに対するリガンドであるCD47は、SIRPαの変異体形態と同じ細胞上に存在し得、両方のタンパク質が細胞内シグナルを提供することが可能であるので、かかる結果がSIRPαシグナル伝達の欠如に由来するのかCD47結合の欠如に起因するかを識別することは不可能である。ヒトSIRPαトランスジェニックマウスの場合、マウスSIRPαはインタクトかつ機能的である。従って、ヒトおよびマウスの両方のSIRPα受容体が存在しかつ機能的であるので、種々の生物学的プロセス(例えば、生着)におけるSIRPα依存的な機能は、これらのマウスにおけるヒトSIRPαまたはマウスSIRPαのいずれかの機能単独に明確に帰すことはできない。

0096

本発明の非ヒト動物は、改善されたin vivo系、および種々のアッセイのために有用であるヒトSIRPαを発現する生物学的材料(例えば、細胞)の供給源を提供する。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、SIRPαを標的化するおよび/またはSIRPα−CD47シグナル伝達をモジュレートする治療剤を開発するために使用される。種々の実施形態では、本発明のマウスは、ヒトSIRPαに結合する候補治療剤(例えば、抗体)をスクリーニングおよび開発するために使用される。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、本明細書に記載される非ヒト動物の細胞の表面上のヒト化SIRPαに対するアンタゴニストおよび/またはアゴニスト結合プロファイルを決定するために使用される。

0097

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、SIRPαシグナル伝達(例えば、リン酸化)を遮断またはモジュレートする治療効果、および細胞変化の結果としての遺伝子発現に対する効果を測定するために使用される。種々の実施形態では、それらから単離された細胞の本発明の非ヒト動物は、非ヒト動物の細胞の表面上のヒトSIRPαに結合する候補治療剤に曝露され、引き続く期間の後、SIRPα依存的プロセス、例えば、B細胞および/またはT細胞の増殖、血小板クリアランスならびにサイトカイン発現の誘導に対する影響について分析される。

0098

本発明の非ヒト動物は、ヒト化SIRPαタンパク質を発現し、従って、細胞、細胞株および細胞培養物は、例えば、特にアンタゴニストまたはアゴニストがヒトSIRPα配列またはエピトープに対して特異的である場合、SIRPαのアンタゴニストまたはアゴニストの結合または機能についてアッセイするための結合アッセイおよび機能的アッセイにおける使用のための、ヒト化SIRPαの供給源として機能するように生成され得る。種々の実施形態では、本明細書に記載される非ヒト動物によって発現されるヒト化SIRPαタンパク質は、バリアントアミノ酸配列を含み得る。リガンド結合残基と関連するバリエーションを有するバリアントヒトSIRPαタンパク質が、報告されている。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒト化SIRPαタンパク質バリアントを発現する。種々の実施形態では、このバリアントは、リガンド結合と関連するアミノ酸位置において多型である。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトSIRPαの多型バリアントとの相互作用を介したリガンド結合の影響を決定するために使用される。

0099

本発明の非ヒト動物由来の細胞は、臨時に単離および使用され得、または多くの世代にわたって、培養物中で維持され得る。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物由来の細胞は、不死化され、培養物中で無制限に(例えば、連続培養で)維持される。

0100

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞は、ヒトSIRPαをモジュレートする候補治療剤をスクリーニングおよび開発するために、細胞遊走アッセイまたは細胞伸展アッセイにおいて使用される。かかるプロセスは、創傷治癒分化、増殖および生存を含む多くの細胞プロセスに必要である。

0101

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞は、ヒトSIRPαを標的化する候補治療剤の薬力学的毒物学的(pharmaco−toxicological)局面を試験するために、巨核球コロニー形成細胞についてのクローンアッセイにおいて使用される。

0102

種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞は、食作用のSIRPα依存的調節をモジュレートする化合物または生物学的作用因子の治療潜在力を決定するために、食作用アッセイにおいて使用される。

0103

本発明の非ヒト動物は、薬物またはワクチンの分析および試験のためのin vivo系を提供する。種々の実施形態では、候補薬物またはワクチンは、1または複数の本発明の非ヒト動物に送達され得、その後、その薬物もしくはワクチンに対する免疫応答、その薬物もしくはワクチンの安全性プロファイル、または疾患もしくは状態に対する影響のうち1または複数を決定するために、非ヒト動物がモニタリングされ得る。かかる薬物またはワクチンは、かかる非ヒト動物において改善および/または開発され得る。

0104

本発明の非ヒト動物は、養子移入を介してヒト細胞−細胞相互作用の機構解明する、改善されたin vivo系を提供する。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物には、腫瘍異種移植片が植え込まれ得、その後、腫瘍浸潤性リンパ球の第2の植え込みが、固形腫瘍または他の悪性疾患根絶における有効性を決定するために、養子移入によって非ヒト動物において植え込まれ得る。かかる実験は、非ヒト動物の内因性SIRPαと競合せずに、ヒトSIRPαの排他的な存在に起因して、ヒト細胞を用いて行われ得る。さらに、異種移植における使用のための治療および医薬品が、かかる非ヒト動物において改善および/または開発され得る。

0105

本発明の非ヒト動物は、生着を介したヒト造血幹細胞の維持および発達のための改善されたin vivo系を提供する。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、この非ヒト動物内での、ヒト幹細胞の改善された発達および維持を提供する。種々の実施形態では、分化したヒトB細胞およびT細胞の増加した集団は、非ヒト動物の血液、骨髄、脾臓および胸腺において観察される。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、マウスSIRPαおよびヒトSIRPαの両方を発現する非ヒト動物と比較して、ヒト細胞の生着のレベルにおける増加を提供する。

0106

本発明の非ヒト動物は、ヒト細胞を標的化する治療薬物の効力を評価するために使用され得る。種々の実施形態では、本発明の非ヒト動物には、ヒト細胞が移植され、かかるヒト細胞を標的化する薬物候補が、かかる動物に投与される。次いで、薬物の治療効力が、薬物の投与後に、非ヒト動物中のヒト細胞をモニタリングすることによって、決定される。非ヒト動物において試験され得る薬物には、ヒト細胞を標的化する(例えば、ヒト細胞に結合するおよび/またはヒト細胞に対して作用する)ことによってヒトの疾患および状態の処置に対する意図した治療効果を有する、小分子化合物、即ち、1500kD未満、1200kD未満、1000kD未満または800ダルトン未満の分子量の化合物、および高分子化合物(例えば、タンパク質、例えば、抗体)の両方が含まれる。

0107

一部の実施形態では、この薬物は抗がん薬物であり、これらのヒト細胞は、原発性がんの細胞、または原発性がんから樹立された細胞株の細胞であり得る、がん細胞である。これらの実施形態では、本発明の非ヒト動物には、ヒトがん細胞が移植され、抗がん薬物が、この非ヒト動物に与えられる。薬物の効力は、非ヒト動物におけるヒトがん細胞の成長または転移が、薬物の投与の結果として阻害されるか否かを評価することによって、決定され得る。

0108

具体的な実施形態では、この抗がん薬物は、ヒトがん細胞上の抗原に結合する抗体分子である。特定の実施形態では、この抗がん薬物は、ヒトがん細胞上の抗原に結合し、かつ他のヒト細胞、例えば、B細胞およびT細胞などのヒト免疫系の細胞(または「ヒト免疫細胞」)上の抗原に結合する、二重特異性抗体である。

0109

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物に、ヒト免疫細胞またはヒト免疫細胞に分化する細胞を生着させる。生着したヒト免疫細胞を有するかかる非ヒト動物には、ヒトがん細胞が移植され、ヒトがん細胞上の抗原およびヒト免疫細胞(例えば、T細胞)上の抗原に結合する二重特異性抗体などの抗がん薬物が投与される。二重特異性抗体の治療効力は、非ヒト動物におけるヒトがん細胞の成長または転移を阻害するその能力に基づいて、評価され得る。具体的な一実施形態では、本発明の非ヒト動物に、ヒト免疫細胞(とりわけ、T細胞、B細胞、NK細胞を含む)を生じるヒトCD34+造血前駆細胞を生着させる。ヒトB細胞リンパ腫細胞(例えば、Raji細胞)が、生着したヒト免疫細胞を有するかかる非ヒト動物中に移植され、これに、次いで、非ヒト動物において腫瘍成長を阻害する二重特異性抗体の能力を試験するために、CD20(正常B細胞およびある特定のB細胞悪性疾患上の抗原)およびT細胞受容体のCD3サブユニットに結合する二重特異性抗体が投与される。

0110

以下の実施例は、本発明の方法および組成物を作製および使用する方法を当業者に記述するために提供され、本発明者らが本発明者らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図しない。特記しない限り、温度はセルシウスで示され、圧力は、大気圧またはその近傍である。

0111

実施例1内因性シグナル調節タンパク質(SIRP)遺伝子のヒト化
この実施例は、げっ歯類(例えば、マウス)などの非ヒト哺乳動物においてシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)をコードする内因性遺伝子をヒト化する例示的な方法を示す。ヒトSIRPαは、少なくとも10の対立遺伝子形態で存在することが公知である。この実施例に記載される方法は、任意のヒト対立遺伝子、または所望によりヒト対立遺伝子(または対立遺伝子断片)の組合せを使用して、非ヒト動物の内因性SIRPα遺伝子をヒト化するために使用され得る。この実施例では、ヒトSIRPαバリアント1が、マウスの内因性SIRPα遺伝子をヒト化するために使用される。

0112

SIRP(例えば、SIRPα)遺伝子の細胞外領域のヒト化のための標的化ベクターを、VELOCIGENE(登録商標)テクノロジーを使用して構築した(例えば、米国特許第6,586,251号およびValenzuelaら(2003年)High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis、Nature Biotech. 21巻(6号):652〜659頁を参照のこと)。

0113

簡潔に述べると、マウス細菌人工染色体(BAC)クローンbMQ−261H14を改変して、内因性SIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有する配列を欠失させ、ヒトBACクローンCTD−3035H21を使用してヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を挿入した。内因性SIRPα遺伝子のエクソン2〜4に対応するゲノムDNA(約8555bp)を、BACクローンCTD−3035H21由来のヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有する約8581bpのDNA断片によって、BACクローンbMQ−261H14において置き換えた。BACクローンCTD−3035H21中に含有されるヒトSIRPα対立遺伝子の配列分析により、ヒトバリアント1に対応する対立遺伝子が明らかになった。loxP部位が隣接するネオマイシンカセットを、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有する約8581bpのヒトDNA断片の最後に添加した(図1)。

0114

上流および下流の相同性アームを、それぞれエクソン2および4の5’および3’の位置においてマウスBAC DNAから取得し、約8581bpのヒト断片−ネオマイシンカセットに付加して、内因性SIRPα遺伝子のヒト化のための最終的な標的化ベクターを創出し、このベクターは、内因性SIRPα遺伝子のエクソン2の5’側の19kbのマウスDNAを含有する5’相同性アーム、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含有する約8581bpのDNA断片、loxP部位が隣接するネオマイシンカセット、および内因性SIRPα遺伝子のエクソン4の3’側の21kbのマウスDNAを含有する3’相同性アームを、5’側から3’側へと含有していた。標的化ベクターの標的化された挿入は、エクソン4とエクソン5との間のマウスSIRPα遺伝子の5番目のイントロン中にネオマイシンカセットを位置付けた。この標的化ベクターを、SwaIで消化することによって線状化し、次いで、細菌細胞における相同組換えにおいて使用して、マウスSIRPα遺伝子中のエクソン2〜4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4による標的化された置き換えを達成した(図1)。

0115

標的化されたBAC DNA(上記)を使用して、マウスES細胞エレクトロポレーションして、内因性マウスSIRPα遺伝子中のエクソン2〜4の、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含むゲノム断片による置き換えを含む、改変されたES細胞を創出した。ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4を含むゲノム断片を含有する陽性ES細胞を、TAQMAN(商標)プローブを使用する定量的PCRによって同定した(LieおよびPetropoulos、1998年. Curr. Opin. Biotechnology 9巻:43〜48頁)。上流の挿入点横断するヌクレオチド配列は、その挿入点に存在するヒトSIRPαゲノム配列と連続して連結された挿入点の上流の内因性マウス配列(以下の括弧内に含有される)を示す、以下を含んでいた:

0116

0117

ネオマイシンカセットの5’末端における下流の挿入点を横断するヌクレオチド配列は、挿入点の下流のカセット配列と連続したヒトSIRPαゲノム配列(イタリックのloxP配列と共に以下の括弧内に含有される)を示す、以下を含んでいた:

0118

0119

ネオマイシンカセットの3’末端における下流の挿入点を横断するヌクレオチド配列は、内因性SIRPα遺伝子のエクソン4の3’側のマウスゲノム配列(以下の括弧内に含有される)と連続したカセット配列を示す、以下を含んでいた:

0120

0121

次いで、陽性ES細胞クローンを使用して、VELOCIMOUSE(登録商標)法(例えば、米国特許第7,294,754号およびPoueymirouら 2007年、F0 generation mice that are essentially fully derived from the donor gene−targetedEScells allowing immediate phenotypic analyses Nature Biotech. 25巻(1号):91〜99頁を参照のこと)を使用して、雌性マウスに植え込み、マウスの内因性SIRPα遺伝子中へのヒトSIRPα遺伝子のエクソン2〜4の挿入を含有する同腹仔を生成した。

0122

上記標的化したES細胞をドナーES細胞として使用し、8細胞段階のマウス胚中に、VELOCIMOUSE(登録商標)法(上記)によって導入した。内因性SIRPα遺伝子のエクソン2〜4のヒト化を保有するマウスを、ヒトSIRPα遺伝子配列の存在を検出する対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、上記)の改変を使用して遺伝子型決定することによって同定した。

0123

ヒト化SIRPα遺伝子構築物(即ち、マウスSIRPα遺伝子中にヒトSIRPαのエクソン2〜4を含有する)を保有するマウスは、例えば、ES細胞段階または胚において、除去されていない、標的化ベクターによって導入された任意のlox化ネオマイシンカセットを除去するために、Cre deletorマウス系統(例えば、国際特許出願公開番号WO2009/114400を参照のこと)と交配させることができる。任意選択で、このネオマイシンカセットは、マウスにおいて保持される。

0124

仔を遺伝子型決定し、ヒト化SIRPα遺伝子構築物についてヘテロ接合性の仔を、特徴付けのために選択した。

0125

実施例2非ヒト動物におけるヒト化SIRPαの発現
この実施例は、内因性SIRPα遺伝子座において実施例1に記載したヒト化SIRPα遺伝子構築物を含有するように操作された非ヒト動物由来の細胞の表面上でのSIRPαタンパク質の特徴的発現を示す。

0126

簡潔に述べると、脾臓を、野生型(WT)およびヒト化SIRPα遺伝子についてヘテロ接合性のマウスから単離した。次いで、脾臓を、コラゲナーゼD(Roche Bioscience)で灌流し、赤血球を、製造業者仕様書に従ってACK溶解緩衝液を用いて溶解させた。マウスおよびヒトSIRPαの細胞表面発現を、蛍光色素結合体化抗CD3(17A2)、抗CD19(1D3)、抗CD11b(M1/70)、抗ヒトSIRPα(SE5A5)および抗マウスSIRPα(P84)を使用するFACSによって分析した。フローサイトメトリーを、BD LSRFRTESSA(商標)を使用して実施した。CD11b+単球の表面上で検出されるヒトおよびマウスのSIRPαの例示的な発現を、図2に示す。

0127

図2に示すように、マウスSIRPαおよびヒト化SIRPαの両方の発現は、ヘテロ接合性のマウス由来のCD11b+単球の表面上で明らかに検出可能であった。

0128

実施例3ヒト化SIRP非ヒト動物におけるヒト細胞生着
この実施例は、ヒト化SIRPα遺伝子を有する本発明の非ヒト動物におけるヒト造血幹細胞の改善された生着を示す。

0129

簡潔に述べると、ヒト化SIRPα遺伝子を有するまたは有さないRag2 KOIL2Rγヌルマウスを、病原体フリーの条件下で飼育した。新生仔マウス(2〜5日齢)に、240cGy照射し、1×105のCD34+ヒト造血幹細胞を肝内注射した。これらのマウスを、生着後10〜12週間採血し、血液を、蛍光色素結合体化抗ヒトCD45(HI30)、抗ヒトCD3(SK7)、抗ヒトCD19(HIB19)および抗マウスCD45(30−F11)を使用するFACSによって分析して、ヒト免疫系の再構成についてチェックした。このマウスの遺伝的背景は、BALB/cTa×129/SvJaeである。

0130

野生型、ヒト化SIRPαについてヘテロ接合性のマウス、ヒト化SIRPαについてホモ接合性のマウスおよびBALB−Rag2−/−IL2Rγc−/−(DKO)マウスにおけるヒトCD34+細胞の例示的な百分率を、図3〜5に示す。

0131

この実施例で示すように、ヒト化SIRPα遺伝子についてホモ接合性のマウスは、試験した他の系統と比較して、末梢(例えば、血液)において最も高い百分率のヒトCD34+細胞を提供することによって、ヒトCD34+細胞の改善された生着を実証している。

0132

まとめると、これらのデータは、ヒト化SIRPαが、マウス中の細胞の表面上での発現を介して本明細書に記載されるマウスにおいて機能的であり、ヒトCD34+造血幹細胞の生着を支持することが可能になり始めることを実証している。

0133

実施例4 BRGマウスにおけるRajiリンパ腫腫瘍成長に対するAb1の効力の評価
概要
Ab1は、T細胞受容体(TCR)複合体と会合するT細胞抗原CD3ならびに正常B細胞およびいくつかのB細胞系譜の悪性疾患上に存在するB細胞表面抗原CD20に結合する、二重特異性抗体(bsAb)である。Ab1は、TCRのCD3サブユニットへの結合によって、CD20発現細胞を細胞傷害性T細胞架橋し、CD20指向性ポリクローナル細胞死滅を生じるように設計される。CD20は、免疫療法のための臨床的に検証された標的である;キメラ抗体リツキシマブは、非ホジキンリンパ腫(NHL)および慢性リンパ性白血病(CLL)の処置のために承認されている。患者は、リツキシマブに対して無反応性になり得るが、CD20の発現の喪失は、典型的には観察されない。従って、CD20陽性腫瘍細胞を細胞傷害性T細胞と架橋する二重特異性抗体は、潜在的な抗腫瘍戦略提示する。

0134

この研究では、ヒトB細胞リンパ腫(Raji)腫瘍成長に対するCD20×CD3 bsAb Ab1を用いた処置の効果を、マウス腫瘍モデルにおいて試験した。このモデルは、SIRPαについてヒト化された、hCD34+を生着させたBALB/c−Rag2ヌルIL2rγヌル(BRG)マウスを利用した。ヒトT細胞、B細胞およびNK細胞、ならびに顆粒球、単球および樹状細胞(DC)を有するこれらのマウスを、1週間に2回Ab1で処置したところ、ビヒクル対照および非結合対照mAb、対照Ab5と比較して、Raji腫瘍成長の有意な抑制を生じた。Ab1処置は、処置期間を通じて、ビヒクル対照群よりも高い有意性で、0.4mg/kgおよび0.04mg/kgの両方において、腫瘍成長を抑制した(p<0.0001)。いずれの処置群でも、有意な体重減少は観察されなかった。これらの結果は、Ab1が、ヒト免疫細胞を有するマウスにおいてRaji腫瘍を標的化し、有意な腫瘍抑制を生じることを示している。

0135

材料および方法
材料
試験化合物および対照抗体
試験化合物:Ab1
対照抗体:対照Ab5。

0136

試薬

0137

0138

試験系
この報告において提示される腫瘍研究は、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)遺伝子についてヒト化した、24〜32週齢雄性および雌性BALB/c−Rag2ヌルIL2rγヌル(BRG)免疫不全マウスを使用した。これらは、胚性幹(ES)細胞標的化によって、Regeneronにおいて生成した(Strowigら、Proc Natl Acad Sci U S A、108巻(32号):13218〜13223頁(2011年))。CD47の認識の際に、SIRPαは、マクロファージによるCD47陽性細胞のクリアランスを阻害する。以前の研究は、ヒトSIRPα導入遺伝子を発現するBRGマウスが、ヒトHSCの生着を増強したことを示している(Strowigら、Proc Natl Acad Sci U S A、108巻(32号):13218〜13223頁(2011年))。

0139

新生仔SIRPα BRG仔に照射し、胎児肝臓から誘導したhCD34+造血前駆細胞を生着させた(Traggiaiら、Science、304巻(5667号):104〜107頁(2004年))。これらのヒトHSCは、ヒトT細胞、B細胞およびNK細胞、ならびに顆粒球、単球および樹状細胞(DC)を生じる。低いレベルの循環ヒトB細胞に起因して、低いレベルの循環ヒトIgGが存在する。さらに、これらのマウスは、胚中心を発達させず、リンパ節を欠き、T細胞およびB細胞が枯渇した場合、制限されたこれらの細胞の補充を有する。マウスの単球、DCおよび顆粒球も同様に存在し続ける。免疫細胞の組成を、血液のフローサイトメトリーによって確認し、マウスを、腫瘍研究における使用の前に、%ヒトCD45生着によってランダム化した。マウスに、0日目にRaji腫瘍細胞を植え込み、4週間にわたる、Ab1が腫瘍成長を遮断する能力を試験した。体重および腫瘍体積を、植え込みの3、6、9、13、16、20、23、27、30および34日後に記録した。

0140

実験設計
SIRPα BRGマウスにおけるヒト免疫系の再構成
免疫不全BALB/c Rag2 /−γc−/−(BRG)ヒトSIRPアルファ(SIRPα BRG)マウスを、Regeneron動物施設において、無菌隔離飼育器において飼育した。新生仔マウスを、ヒト胎児肝臓から単離されたヒトCD34+造血幹細胞(HSC)の注射の8〜24時間前に、300cGreyの1回の線量で照射した。生着を、12〜16週間発達させ、生着した細胞の数を、フローサイトメトリーによって定期的に評価した。実験の持続時間全体について、動物を、食物および水への自由なアクセスと共に、12時間の昼/夜リズム標準的な条件下で、Regeneron動物施設において収容した。ケージ当たりの動物の数を、最大5匹のマウスに制限した。

0141

マウス血液を分析して、研究を開始する前のパーセント生着レベルを決定した。全血を、2%EDTAエチレンジアミン四酢酸;15mg/mL)150uLを含有する2つの毛細管チューブ中に収集した。赤血球を、ACK溶解緩衝液を使用して3分間溶解させ、緩衝液を、PBSカルシウムマグネシウムも含まない)で中和した。細胞を、Fc Blockで4℃で5分間ブロックし、次いで、ヒトCD45、NKp46、CD19、CD3およびCD14で4℃で30分間染色した。試料を、5レーザーフローサイトメトリー(BD Fortessa)によって分析した。パーセント生着を、総細胞の%ヒトCD45+細胞として決定した。

0142

SIRPα BRGマウスにおけるRaji腫瘍研究手順
0日目に、5匹のSIRPα BRGマウスの群に、2×106のRaji腫瘍細胞を皮下投与した。同じ日に、マウスを、Ab1(0.4または0.04mg/kg)、0.4mg/kgの用量の非結合対照mAb対照Ab5(これは、ヒトCD20またはCD3との交差反応性なしに、ネコ抗原に結合する)またはビヒクル単独のいずれかの、腹腔内(IP)用量によって処置した。マウスは引き続いて、4週間にわたり2用量の抗体/週を受けた。腫瘍成長を、3、6、9、13、16、20、23、27、30および34日目にノギスを用いて測定した。研究群を表5にまとめる。

0143

0144

具体的手順
試薬の調製
Ab1および対照Ab5を、各々、ビヒクル(10mMヒスチジン、5%スクロース、pH5.8)中で所望の濃度になるように希釈した。Raji細胞は、Regeneronコア施設から取得し(継代4)、培養培地(RPMI1640+10%FBS+Pen Strep−L−Glu+メルカプトエタノール)中で維持した。Raji細胞を、培地中で所望の濃度になるように希釈した。

0145

統計分析
統計分析を、GraphPadソフトウェアPrism5.0(MacIntosh Version)を利用して実施した。統計的有意性を、Tukeyの多重比較事後検定を用いた二元配置ANOVAによって決定した。読み出しの各々からのデータを、処置群にわたって比較した。p<0.05の閾値を、統計的に有意とみなし、*によって示した。研究の終了前に死亡したマウスは、二元配置ANOVAによって分析するために、示されるような、組み合わせた腫瘍成長曲線(個々のマウスの成長曲線ではない)グラフおよび統計分析から除去した。

0146

結果
Ab1は、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおけるRaji腫瘍細胞成長を抑制する
Ab1は、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおいて、ビヒクル対照および非結合対照と比較して、Raji腫瘍成長を抑制した(図6)。新生仔SIRPα BRG仔に照射し、ヒトT細胞、B細胞およびNK細胞、ならびに顆粒球、単球およびDCを生じる造血前駆細胞(Traggiaiら、Science、304巻(5667号):104〜107頁(2004年))のように、hCD34+胎児肝臓細胞を生着させた。0日目に、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスに、2×106のRaji腫瘍細胞を皮下投与した。同じ日に、マウスを、Ab1(0.4または0.04mg/kg)もしくは非結合対照mAb対照Ab5、またはビヒクル対照のいずれかの腹腔内(IP)用量で処置し、その後、研究を通じて1週間に2回の用量で処置した。

0147

ビヒクル対照群および非結合対照群と比較して、0.04mg/kg(p<0.0001)または0.4mg/kg(p<0.0001)の用量で投与したAb1は、腫瘍植え込みの34日後に、Raji腫瘍の増殖を有意に抑制した(図7)。さらに、Ab1処置の効果は、用量依存的であり、0.4mg/kgのAb1は、30日目までに腫瘍成長を完全に抑制した0.04mg/kgのAb1と比較して、研究を通じて成長を完全に抑制した。Ab1も非結合対照mAbも、研究を通じて、マウス体重に対して有意な影響を有さなかった(図8)。

0148

結論
Raji腫瘍成長に対する、Ab1、CD20×CD3 bsAbによる処置の影響を、マウスモデルにおいて試験した。Ab1は、ヒトT細胞、B細胞およびNK細胞、ならびに顆粒球、単球およびDCを有する、hCD34+を生着させたSIRPα BRGマウスにおける腫瘍成長抑制において有効であった。Ab1による1週間に2回の処置は、ビヒクル対照および非結合対照と比較して、RajiヒトB細胞リンパ腫腫瘍成長の有意かつ用量依存的な抑制を生じた。いずれの処置群でも、有意な体重減少は観察されなかった。これらの結果は、Ab1が、ヒト免疫細胞を有するマウスにおいてRaji腫瘍を標的化し、有意な腫瘍成長抑制を生じることを示している。

0149

等価物
本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様をこうして記載してきたが、種々の変更、改変および改善が当業者に容易に想起されることが、当業者によって理解される。かかる変更、改変および改善は、本開示の一部であることが意図され、本発明の精神および範囲の内であることが意図される。従って、前述の説明および図面は、例としてに過ぎず、本発明は、以下の特許請求の範囲によって詳細に記載される。

0150

請求項の要素を修飾するための、特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用は、それ自体、方法の動作が実施される別の順序または一時的な順序を超える、1つの請求項要素の任意の優先度優先性または順序を含意しないが、請求項要素を識別するために、同じ名称を有する別の要素(ただし序数用語の使用のため)から、ある特定の名称を有する1つの請求項要素を識別するための標識としてのみ使用される。

0151

詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用する場合、逆を明らかに示さない限り、複数形の指示対象を含むと理解すべきである。群の1または複数のメンバー間に「または」を含む請求項または記述は、逆を示さない限り、または文脈から他の方法で明らかでない限り、群メンバーのうちの1つ、1つよりも多く、または全てが、所与の産物もしくはプロセス中に存在する場合、かかる産物もしくはプロセスにおいて使用される場合、またはかかる産物もしくはプロセスと他の方法で関連する場合に、満たされるとみなされる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の産物もしくはプロセス中に存在する、かかる産物もしくはプロセスにおいて使用される、またはかかる産物もしくはプロセスと他の方法で関連する実施形態を含む。本発明はまた、1つよりも多い群メンバーまたは群メンバー全体が、所与の産物もしくはプロセス中に存在する、かかる産物もしくはプロセスにおいて使用される、またはかかる産物もしくはプロセスと他の方法で関連する実施形態も含む。さらに、特記しない限り、または矛盾もしくは不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、本発明は、列挙した請求項のうち1または複数からの1または複数の限定、要素、条項記述的用語などが同じ基本請求項(または適切な場合、任意の他の請求項)に従属する別の請求項中に導入される、全てのバリエーション、組合せおよび並べ替えを包含することを、理解すべきである。要素が(例えば、マーカッシュ群または類似の形式において)リストとして提示される場合、それらの要素の各下位群もまた開示され、任意の要素(複数可)がこの群から除去され得ることを、理解すべきである。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素、特徴などを含むと言われる場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様は、かかる要素、特徴などからなるまたは本質的になることを、理解すべきである。簡潔性を目的として、これらの実施形態は、全ての場合において、本明細書で非常に多くの単語で具体的に示されているわけではない。本発明の任意の実施形態または態様は、具体的な排除が明細書中に列挙されているか否かに関わらず、特許請求の範囲から明示的に排除され得ることもまた、理解すべきである。

0152

当業者は、本明細書に記載されるアッセイまたは他のプロセスにおいて取得された値に起因する典型的な標準偏差または誤差を理解する。

実施例

0153

本発明の背景を記載するためおよびその実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物、ウェブサイトおよび他の参照材料は、参照により本明細書に組み込まれる。
項目1)
ヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分およびマウスSIRPαタンパク質の細胞内部分を含むSIRPαポリペプチドを発現するマウス。
(項目2)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の残基28〜362に対応するアミノ酸を含む、項目1に記載のマウス。
(項目3)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分と少なくとも50%のパーセント同一性を共有する、項目1または2に記載のマウス。
(項目4)
表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分との共有された上記パーセント同一性が、少なくとも60%である、項目1または2に記載のマウス。
(項目5)
表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分との共有された上記パーセント同一性が、少なくとも70%である、項目1または2に記載のマウス。
(項目6)
表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の対応する細胞外部分との共有された上記パーセント同一性が、少なくとも80%である、項目1または2に記載のマウス。
(項目7)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分と少なくとも90%同一である配列を有する、項目1または2に記載のマウス。
(項目8)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分と少なくとも95%同一である配列を有する、項目1または2に記載のマウス。
(項目9)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分と同一である配列を有する、項目1または2に記載のマウス。
(項目10)
表3中に現れる配列を有するマウスSIRPαタンパク質をも発現しない、上記項目のいずれか一項に記載のマウス。
(項目11)
マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結したヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含むSIRPα遺伝子を含むマウス。
(項目12)
上記SIRPα遺伝子が、内因性SIRPα遺伝子のエクソン1、5、6、7および8を含む、項目11に記載のマウス。
(項目13)
項目12に記載のマウスの遺伝子によってコードされるSIRPαポリペプチド。
(項目14)
単離されたマウス細胞または組織であって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含む、単離されたマウス細胞または組織。
(項目15)
上記SIRPα遺伝子が、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結している、項目14に記載の単離された細胞または組織。
(項目16)
上記SIRPα遺伝子が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目14に記載の単離された細胞または組織。
(項目17)
マウス胚性幹細胞であって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含む、マウス胚性幹細胞。
(項目18)
上記SIRPα遺伝子が、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結したヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目17に記載のマウス胚性幹細胞。
(項目19)
項目17または18に記載の胚性幹細胞から生成されたマウス胚。
(項目20)
内因性SIRPα遺伝子座からSIRPαタンパク質を発現するマウスを作製する方法であって、上記SIRPαタンパク質はヒト配列を含み、上記方法は、以下:
(a)ヒトSIRPαタンパク質を全体的にまたは部分的にコードするヌクレオチド配列を含むゲノム断片を用いてマウスES細胞において内因性SIRPα遺伝子座を標的化するステップ;
(b)(a)のヒト配列を含む内因性SIRPα遺伝子座を含む改変されたマウスES細胞を取得するステップ;および
(c)(b)の改変されたES細胞を使用してマウスを創出するステップ
を含む、方法。
(項目21)
上記ヒトヌクレオチド配列が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記ヒトヌクレオチド配列が、ヒトSIRPαタンパク質のアミノ酸残基28〜362をコードする、項目20に記載の方法。
(項目23)
項目20〜22のいずれか一項に記載の方法から取得可能なマウス。
(項目24)
マウスであって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供する方法であって、マウスの上記ゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の上記細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むように上記ゲノムを改変し、それによって、上記マウスを提供するステップを含む、方法。
(項目25)
上記SIRPα遺伝子が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
ヒト細胞をマウス中に生着させる方法であって、
(a)マウスであって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供するステップ;および
(b)1または複数のヒト細胞を上記マウス中に移植するステップ
を含む、方法。
(項目27)
(c)上記マウスにおける1または複数の上記ヒト細胞の生着をアッセイするステップ
をさらに含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
アッセイする上記ステップが、1または複数の上記ヒト細胞の上記生着を、1もしくは複数の野生型マウスにおける生着、または1もしくは複数のマウスであって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含まない1もしくは複数のマウスにおける生着と比較することを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
上記SIRPα遺伝子が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目26〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
ヒトSIRPαタンパク質の上記細胞外部分が、表3中に現れるヒトSIRPαタンパク質の残基28〜362に対応するアミノ酸を含む、項目26〜28のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
上記ヒト細胞が造血幹細胞である、項目26〜30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
上記ヒト細胞が静脈内移植される、項目26〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
上記ヒト細胞が腹腔内移植される、項目26〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
上記ヒト細胞が皮下移植される、項目26〜31のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
以下:
(a)1または複数の細胞であって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含む1または複数の細胞を提供するステップ;
(b)ステップ(a)の1または複数の細胞を、標識された基質と共にインキュベートするステップ;および
(c)ステップ(b)の1または複数の細胞による標識された上記基質の食作用を測定するステップ
を含む、方法。
(項目36)
ステップ(a)の細胞がマウス細胞である、項目35に記載の方法。
(項目37)
上記SIRPα遺伝子が、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結している、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
上記SIRPα遺伝子が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目35〜37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
上記基質が、蛍光標識されている、項目35〜38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
上記基質が、抗体で標識されている、項目35〜38のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
上記基質が、1または複数の赤血球である、項目35〜40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
上記基質が、1または複数の細菌細胞である、項目35〜40のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
以下:
(a)マウスであって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供するステップ;
(b)上記マウスを抗原に曝露させるステップ;および
(c)上記マウスの1または複数の細胞による上記抗原の食作用を測定するステップ
を含む、方法。
(項目44)
上記SIRPα遺伝子が、マウスSIRPαプロモーターに作動可能に連結している、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記SIRPα遺伝子が、ヒトSIRPα遺伝子のエクソン2、3および4を含む、項目43または44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
曝露させる上記ステップが、蛍光標識された抗原に上記マウスを曝露させることを含む、項目43〜45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
曝露させる上記ステップが、上記抗原を含む1または複数の細胞に上記マウスを曝露させることを含む、項目43〜45のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
曝露させる上記ステップが、上記抗原を含む1もしくは複数のヒト細胞、または上記抗原を含む1もしくは複数の細菌細胞に上記マウスを曝露させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
ヒト細胞を標的化する薬物の治療効力を評価する方法であって、上記方法は、以下:
マウスであって、そのゲノムが、マウスSIRPαタンパク質の細胞内部分に連結したヒトSIRPαタンパク質の細胞外部分をコードするSIRPα遺伝子を含むマウスを提供するステップ;
1または複数のヒト細胞を上記マウス中に移植するステップ;
薬物候補を上記マウスに投与するステップ;および
上記マウス中の上記ヒト細胞をモニタリングして、上記薬物候補の治療効力を決定するステップ
を含む、方法。
(項目50)
上記ヒト細胞ががん細胞であり、上記薬物候補が抗がん薬物候補である、項目49に記載の方法。
(項目51)
上記薬物候補が抗体である、項目49に記載の方法。
(項目52)
上記マウスが、ヒト免疫細胞をさらに含む、項目50に記載の方法。
(項目53)
上記薬物候補が、上記ヒト免疫細胞上の抗原および移植された上記ヒトがん細胞上の抗原に結合する二重特異性抗体である、項目52に記載の方法。

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