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技術 神経疾患のバイオマーカーを同定するための方法および神経疾患の診断

出願人 シーアールシー・フォー・メンタル・ヘルス・リミテッドモンタナ・ステイト・ユニバーシティ
発明者 ブレイン・ロバーツエドワード・エイ・ドラッツスコット・ラフーン
出願日 2014年8月27日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2016-537050
公開日 2016年11月24日 (5年3ヶ月経過) 公開番号 2016-536598
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 電気化学的な材料の調査、分析 その他の電気的手段による材料の調査、分析 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 蒸気タンク アセンブリー言語 電子計算デバイス 参照比 VR値 理論的予測 予測評価 心理測定
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

本発明は、認知機能に影響し得る疾患のバイオマーカーを同定するための方法を提供する。本発明の方法により同定されるバイオマーカーを、哺乳動物が認知機能に影響し得る疾患を発症するかどうかを予測するために用いることができる。より特には、本発明は、哺乳動物における神経疾患を予測するバイオマーカーの同定ならびに神経疾患の診断示差的診断および/または予後診断におけるこれらのバイオマーカーの使用に関する。提供される方法およびシステムにより、哺乳動物が神経疾患を発症する可能性があるかどうかの指示を提供するバイオマーカーの測定に基づく新皮質アミロイド量の評価および理論的予測が可能となる。

概要

背景

神経疾患発症および進行は、社会に対して大きな感情的および財政的負担をかける。

パーキンソン病(PD)は、西洋において625人に約1人が罹患する一般的な神経変性疾患である。この数字は、80を超える集団では4%に上昇する。高齢者集団に関しては、PDの管理は、神経学者および一般医にとって、医療業務のますます重要で能力が試される側面である可能性がある。

アルツハイマー病(AD)は、オーストラリアにおいては全ての認知症のうちの最も一般的なものであり、死因の第3位である。アルツハイマー病の財政的コストは、オーストラリアにおいては年に40億ドルを超えると見積もられるが、世界では認知症のコストは6000億ドルを超えると見積もられている。

PDなどの他の神経疾患と同様、アルツハイマー病はゆっくりと進行し、症状が現れるのに何年もかかることがあるため、この疾患の臨床診断は難しいプロセスである。従って、アルツハイマー病の臨床診断は、通常、記憶および認知機能患者日常生活に影響する点まで低下した後の疾患の比較的後期に行われる。

アルツハイマー病のための唯一確定診断は、剖検時の組織学的検査によるものである。

死後診断は別として、現在利用できる分子的診断アプローチはたったの2つである。第1に、ポジトロン放射断層撮影(PET)は、脳におけるアミロイド斑に結合するマーカーイメージングするために用いられ、第2はAβ、全Tauおよびリン酸化Tauタンパク質の測定を含む、脳脊髄液CSF)の評価である。しかしながら、PETおよびCSFは、幅広い臨床業務における使用にとって実行可能ではないと考えられる。

ADをイメージングするために、アミロイド沈着物に対する高い親和性および血液脳関門を通過する高い浸透性を示すアミロイドイメージング剤および放射性トレーサーとして、チオフラビンT一連の非荷電誘導体が開発されてきた。チオフラビンによって示されるこれらのアミロイドイメージング剤の広範囲に及ぶインビトロ(in vitro)およびインビボ(in vivo)試験により、それらがポジトロン放射断層撮影試験中に検出可能なものに典型的な濃度でアミロイド沈着物に特異的に結合することが示唆される。

最良に検証されたこれらのアミロイドイメージング剤は、アミロイド結合色素チオフラビンTのアナログである、ピッツバーグ化合物B(PiB)である。アルツハイマー病におけるPiB−ポジトロン放射断層撮影(PiB−PET)試験により、PiBのアミロイド斑との強固な皮質結合が示された。これは、おそらく究極判断基準と考えられる、有望な早く、かつ正確な検出マーカーを提供する。近年、Avid Radiopharmaceuticals Pty Ltd(Philadelphia)により製造されるAV−45(フロピラミンF−18)(別にF−18 AV−45としても知られる)、Floubetaben、Florbetapir、FlutematamolおよびNAV4694などの他の化合物が、アミロイドベータを標的とするPiBの類似する機能性に基づいて調査されている。

PiB放射性トレーサーシグナルまたはアウトプットを、アミロイドベータのレベル相関させたいくつかの研究があり、これはPiB陽性およびPiB陰性の用語をもたらした。典型的には、PiBアウトプット、またはトレーサー取込み正規化により、対象間および対象内比較を行うことができる。臨床業務においては、放射性用量および患者の質量または体積[別に標準摂取率(standard uptake value)(SUV)としても知られる]に関する正規化が実施される。この正規化はまた、標準摂取率比(SUVR)を提供するための(通常は)罹患していない小脳に関する標準化も含む。これは、高い新皮質量(PiB陽性)のものと、低い量(PiB陰性)のものとを識別するための閾値の決定をもたらした。

アルツハイマー病のための診断試験として、ピッツバーグ化合物B(Pittsburg Compound−B)ポジトロン放射断層撮影(PiB−PET)イメージングの使用は、高い特異度を提供する。しかしながら、約20分の11C−PiBの半減期のため、各患者は、新しく合成された化合物を必要とし、このイメージング技術の使用をサイクロトロンなどの、包括放射化学基盤装備した設備に限定する。11Cの短い半減期は、18Fを用いて合成されるフッ素化化合物の組込みによって一部対処することができる。しかしながら、置き換えるための長寿命放射性リガンド欠如およびPiB−PETイメージングに関する患者あたりの高いコスト(一人当たり2000〜3000ドル)により、一般医にとってPiB−PETの臨床的利用性は限られている。

脳脊髄液(CSF)中のバイオマーカーは、イメージングによる診断が実施されたいくつかの神経疾患の確認評価を提供することがわかっている。従って、アルツハイマー病などの神経疾患のためのバイオマーカーの研究は、一般に、脳脊髄液(CSF)に着目してきた。実際、超リン酸化tauおよびアミロイドベータ1−42(Aβ1−42)のCSFレベルは、MCIからアルツハイマー病への転換予測することが示されている。

CSFを用いる欠点は、それが試料を取得するために侵襲的な腰椎穿刺を必要とすることである。煩わしいことに加えて、CSFの取得は患者にとって多くの有害な転帰をもたらす可能性がある。これらの制限を考慮すれば、多数の個体から反復的にCSFを取得することは非常に困難である。

従って、アルツハイマー病などの神経疾患またはパーキンソン病などの他の神経疾患の早く、かつ経済的な実現可能な予後診断および/または診断を提供することができる改良されたシステムが必要である。

そのようなシステムは、検出可能な臨床指標描写の前に初期段階の予後診断および/または診断を達成する際に臨床医への支援を提供することができる。さらに、臨床試験を受けているアルツハイマー病およびパーキンソン病に関する疾患修飾療法(disease modifying therapy)に関して、リスクのある個体において初期段階で疾患の特徴を検出することができるバイオマーカーを同定する社会的および経済的な義務があり、従って、抗アルツハイマー病療法または抗パーキンソン病療法を、疾患の負担が軽度であり、それが機能的および不可逆的な認知欠損を防止するか、または遅延させることができる時に投与することができる。

文献、活動、材料、デバイス論文などの考察は、単に本発明に関する文脈を提供する目的で本明細書に含まれる。これらの事柄のいずれか、または全部は、本出願の各請求項の優先日の前に存在したという理由で先行技術の基礎の一部を形成したか、または本発明と関連する分野における共通一般知識であったと示唆または指摘されるものではない。

概要

本発明は、認知機能に影響し得る疾患のバイオマーカーを同定するための方法を提供する。本発明の方法により同定されるバイオマーカーを、哺乳動物が認知機能に影響し得る疾患を発症するかどうかを予測するために用いることができる。より特には、本発明は、哺乳動物における神経疾患を予測するバイオマーカーの同定ならびに神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断におけるこれらのバイオマーカーの使用に関する。提供される方法およびシステムにより、哺乳動物が神経疾患を発症する可能性があるかどうかの指示を提供するバイオマーカーの測定に基づく新皮質アミロイド量の評価および理論的予測が可能となる。

目的

これは、おそらく究極の判断基準と考えられる、有望な早く、かつ正確な検出マーカーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

神経疾患バイオマーカーを同定する方法であって、(a)神経疾患について陽性である第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する第1の分子を単離する工程;および(b)神経疾患の既知マーカーに対して、神経疾患のバイオマーカーとして第1の分子を検証する工程を含む、前記方法。

請求項2

単離された分子をバイオマーカーとして検証する工程が、(a)神経疾患について陽性である第1の試料において、ヘパリン結合親和性を有する第1の単離された分子のレベルを同定する工程;(b)第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルを同定する工程;(c)工程(a)で同定された単離された分子のレベルと、工程(b)で同定された他のバイオマーカーのレベルとを比較して、単離された分子のレベルと、他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程;(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程;(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、第1の単離された分子が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

(a)第1の試料から、第1の単離された分子と関連する、ヘパリン結合親和性を有する第2の分子のレベルを単離および同定する工程、(b)第1および第2の単離された分子のレベルの間の比を作成する工程、(c)工程b)で作成された比と、第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとを比較して、工程b)の比と他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程、(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程、(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、前記比が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された他のバイオマーカーが、神経疾患に特徴的な新皮質アミロイドレベルである、請求項2または3に記載の方法。

請求項5

神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された他のバイオマーカーが脳において検出されるアミロイドベータの存在を特異的に認識する放射性トレーサーのレベルである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

放射性トレーサーがピッツバーグ化合物B(PiB)、フロピラミンF−18、Floubetaben、Florbetapir、FlutematamolおよびNAV4694を含む群から選択される、請求項5に記載の方法。

請求項7

他のバイオマーカーがPiB−PETSUVRスコアである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

単離された分子がAβと共に単離される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

第1の単離された分子または第2の単離された分子が、前記分子をヘパリンに結合させることにより単離される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

第1または第2の単離された分子がヘパリンセファロースカラムで単離される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

ヘパリン−セファロースカラムが、分子を単離するために約pH1.0〜約pH11.0で溶出される、請求項10に記載の方法。

請求項12

ヘパリン−セファロースカラムが、分子を単離するために約pH8.0で溶出される、請求項10に記載の方法。

請求項13

ヘパリン−セファロースカラムが、分子を単離するために約pH7.0で溶出される、請求項10に記載の方法。

請求項14

少なくとも1つの第1の試料および対照試料が、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離する前に高存在量タンパク質を除去するために予備処理される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

分子のレベルが、2DDGE、多反応モニタリング質量分析MRM−MS)などの質量分析(MS)、リアルタイムRT)−PCR核酸アレイELISA、機能的アッセイ酵素アッセイ、様々な免疫学的方法、またはキャピラリー電気泳動高速液体クロマトグラフィーHPLC)、薄層クロマトグラフィーTLC)、超拡散クロマトグラフィー、2次元液相電気泳動(2−D−LPE)もしくはゲル電気泳動およびドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)におけるその移動パターンなどの生化学的方法を含む群から選択される技術を用いて決定される、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

第2の分子が第1の分子のアイソフォームとして関連する、請求項3〜15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

神経疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

抗トロンビンIII、血清アミロイドP、ApoJ、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖もしくはアルファ−1−ミクログロブリンまたはそれらの天然誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のためのバイオマーカー。

請求項19

神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断に用いられた場合に請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法によって同定されるバイオマーカー。

請求項20

神経疾患がアルツハイマー病である、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、ApoJ、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される請求項18または19に記載のバイオマーカー。

請求項21

神経疾患がパーキンソン病である、アルファ−1−ミクログロブリンまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームである請求項18または19に記載のバイオマーカー。

請求項22

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、またはapoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される、請求項18〜21のいずれか一項に記載のバイオマーカー。

請求項23

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、ATIIIのアイソフォームA、B、またはJ、SAPのアイソフォームF、BまたはJ、apoJのアイソフォームA、C、D、E、FまたはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGを含む群から選択される、請求項18〜22のいずれか一項に記載のバイオマーカー。

請求項24

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、分子がATIIIである場合、比が少なくともアイソフォームA、B、CとJの間で作成される、適宜、比がA/J、B/JもしくはC/Jの間で作成されるか;または第1の分子がSAPである場合、比がアイソフォームFとJの間で作成されるか;分子がApoJである場合、比がアイソフォームA、BとDの間で作成されるか;または分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比がアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成されるように選択される、請求項18〜23のいずれか一項に記載のバイオマーカー。

請求項25

対象における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための請求項18〜24のいずれか一項に記載のバイオマーカーの使用。

請求項26

神経疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病である、請求項25に記載の使用。

請求項27

患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法であって、(a)患者から第1の試料を取得する工程;(b)第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離および同定する工程であり、前記分子は、前記試料から請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法に従って神経疾患のためのバイオマーカーとして検証される、工程;(c)患者が、工程b)で同定されたバイオマーカーのレベルに基づいて神経疾患と診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを決定する工程を含む、前記方法。

請求項28

患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法であって、(a)患者から試料を取得する工程;(b)試料から、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法に従って検証された少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーを単離および同定する工程;(c)工程(b)に由来するバイオマーカーのレベルを決定する工程;(d)工程(b)で同定された2つの関連する形態のバイオマーカーのレベル間の比を作成する工程;(e)哺乳動物が、参照比と比較した比の値に基づいて神経疾患と診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを、工程(d)で作成された比から結論付ける工程を含む、前記方法。

請求項29

患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法であって、(a)患者から第1の試料を取得する工程;(b)ヘパリン結合親和性を有する第1および第2のバイオマーカーのレベルを、第1の試料から単離および同定する工程であり、第1および第2のバイオマーカーは関連しており、第1および第2のバイオマーカーは請求項1〜17のいずれか一項に記載の神経疾患のためのバイオマーカーとして検証される、工程;(c)第1および第2のバイオマーカーのレベルの間の比を作成して、作成比を提供する工程;(d)対照から得られた第2の試料において工程(b)〜(c)を繰り返して、参照比を提供する工程;(e)第1の試料において同定された作成比と、第2の試料において同定された参照比とを比較する工程;(f)作成比と参照比との差異に基づいて神経疾患状態を結論付ける工程を含む、前記方法。

請求項30

哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングする方法であって、(a)神経疾患について以前に評価された哺乳動物から得られたさらなる試料において、哺乳動物において以前に評価された請求項1〜17のいずれか一項に記載のヘパリン結合親和性を有する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化する工程;(b)工程(a)における少なくとも2つの形態の関連するバイオマーカーのレベル間の比を作成して、作成比を提供する工程;(c)工程(b)の作成比と、神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された参照比とを比較する工程であり、参照比は、少なくとも1つの対照哺乳動物から得られた試料において工程(a)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成され、少なくとも1つの対照哺乳動物は、神経疾患について陽性または陰性であってもよい、工程;および(d)工程(b)の作成比を、少なくとも1つの対照哺乳動物について神経疾患に特徴的であると以前に定義された範囲の参照比と相関させることによって、神経疾患について以前に評価された哺乳動物の神経疾患状態が変化したかどうかを、工程(c)における比較から結論付ける工程を含む、前記方法。

請求項31

参照比が、より早い期間から哺乳動物から得られた試料において工程(a)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成される、請求項30に記載の方法。

請求項32

神経疾患を発症するリスクがある哺乳動物を階層化または同定するための方法であって、(a)哺乳動物から得られた試料において、請求項1〜17のいずれか一項に記載のヘパリン結合親和性を有する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化する工程;(b)工程(a)における少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの間の比を作成して、作成比を提供する工程;(c)工程(b)の比と、神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された参照比とを比較する工程であり、参照比は、少なくとも1つの対照哺乳動物から得られた試料において工程(a)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成される、工程;(d)工程b)の作成比を、少なくとも1つの対照哺乳動物について神経疾患に特徴的であると以前に定義された範囲の参照比と相関させることによって、哺乳動物が神経疾患と診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを、工程c)における比較から結論付ける工程;ならびに(e)工程d)の結論に基づいて、哺乳動物において示差的に診断された、および/または予後診断された神経疾患の重症度に基づいて異なるクラスの神経疾患に哺乳動物を選別する工程を含む、前記方法。

請求項33

神経疾患と関連するバイオマーカーと相互作用する、および/またはその発現もしくは活性モジュレートする薬剤スクリーニングするための方法であって、(a)本明細書に記載のヘパリン結合親和性を有するバイオマーカーまたはバイオマーカーの一部を、薬剤と接触させる工程;(b)少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化する工程;(c)工程(b)における少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの間の比を作成して、作成比を提供する工程;(d)工程c)の比と、薬剤の非存在下でバイオマーカーに特徴的であると以前に定義された参照比とを比較する工程であり、参照比は、薬剤の非存在下で工程(b)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成される、工程;(e)工程c)の作成比を、バイオマーカーに特徴的であると以前に定義された範囲の参照比と相関させることにより、薬剤が神経疾患と関連するバイオマーカーと相互作用する、および/またはその発現もしくは活性をモジュレートするかどうかを、工程d)における比較から結論付ける工程を含む、前記方法。

請求項34

神経疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病である、請求項27〜33のいずれか一項に記載の方法。

請求項35

バイオマーカーが、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、ApoJ、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択され、神経疾患がアルツハイマー病である、請求項34に記載の方法。

請求項36

バイオマーカーがアルファ−1−ミクログロブリンまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームであり、神経疾患がパーキンソン病である、請求項34に記載の方法。

請求項37

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはG、またはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される、請求項34または35に記載の方法。

請求項38

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、ATIIIのアイソフォームA、B、もしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJ、apoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される、請求項34〜37のいずれか一項に記載の方法。

請求項39

アイソフォームまたはその天然の誘導体が、分子がATIIIである場合、比が少なくともアイソフォームA、B、CとJの間で、適宜、A/J、B/JもしくはC/Jの間で作成されるか;または第1の分子がSAPである場合、比がアイソフォームFとJの間で作成されるか;または分子がApoJである場合、比がアイソフォームA、BとDの間で作成されるか;分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比がアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成されるように選択される、請求項34〜38のいずれか一項に記載の方法。

請求項40

神経疾患のバイオマーカーを同定するためのキットであって、(a)神経疾患について陽性である哺乳動物から得られた試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離するための第1の成分;(b)対象が高アミロイド量と関連する神経疾患を有することを示す可能性があるバイオマーカーのレベルを決定するための試薬を含む、神経疾患のバイオマーカーとして単離された分子を検証するための第2の成分を含む前記キット。

請求項41

患者における神経疾患を診断するためのキットであって、(a)患者試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離するための第1の成分(b)対象が高アミロイド量と関連する神経疾患を有することを示す可能性があるバイオマーカーのレベルを決定するための試薬を含む、患者が神経疾患と診断されるかどうかを決定するための第2の成分を含む前記キット。

請求項42

第1の成分がヘパリンセファロースカラムである、請求項40または41に記載のキット。

請求項43

第2の成分が、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、F、もしくはG、またはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択されるアイソフォームまたはその天然の誘導体のレベルを定量化するための試薬を含む、請求項41または42に記載のキット。

請求項44

神経疾患がアルツハイマー病またはパーキンソン病である、請求項41〜43のいずれか一項に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、バイオマーカー発見に関する。特に、本発明は、神経疾患の同定のためのバイオマーカーを提供する。より特には、本発明は、神経疾患のバイオマーカーを同定する方法ならびに神経疾患の診断示差的診断および/または予後診断のためのバイオマーカーの使用に関する。

背景技術

0002

神経疾患の発症および進行は、社会に対して大きな感情的および財政的負担をかける。

0003

パーキンソン病(PD)は、西洋において625人に約1人が罹患する一般的な神経変性疾患である。この数字は、80を超える集団では4%に上昇する。高齢者集団に関しては、PDの管理は、神経学者および一般医にとって、医療業務のますます重要で能力が試される側面である可能性がある。

0004

アルツハイマー病(AD)は、オーストラリアにおいては全ての認知症のうちの最も一般的なものであり、死因の第3位である。アルツハイマー病の財政的コストは、オーストラリアにおいては年に40億ドルを超えると見積もられるが、世界では認知症のコストは6000億ドルを超えると見積もられている。

0005

PDなどの他の神経疾患と同様、アルツハイマー病はゆっくりと進行し、症状が現れるのに何年もかかることがあるため、この疾患の臨床診断は難しいプロセスである。従って、アルツハイマー病の臨床診断は、通常、記憶および認知機能患者日常生活に影響する点まで低下した後の疾患の比較的後期に行われる。

0006

アルツハイマー病のための唯一確定診断は、剖検時の組織学的検査によるものである。

0007

死後の診断は別として、現在利用できる分子的診断アプローチはたったの2つである。第1に、ポジトロン放射断層撮影(PET)は、脳におけるアミロイド斑に結合するマーカーイメージングするために用いられ、第2はAβ、全Tauおよびリン酸化Tauタンパク質の測定を含む、脳脊髄液CSF)の評価である。しかしながら、PETおよびCSFは、幅広い臨床業務における使用にとって実行可能ではないと考えられる。

0008

ADをイメージングするために、アミロイド沈着物に対する高い親和性および血液脳関門を通過する高い浸透性を示すアミロイドイメージング剤および放射性トレーサーとして、チオフラビンT一連の非荷電誘導体が開発されてきた。チオフラビンによって示されるこれらのアミロイドイメージング剤の広範囲に及ぶインビトロ(in vitro)およびインビボ(in vivo)試験により、それらがポジトロン放射断層撮影試験中に検出可能なものに典型的な濃度でアミロイド沈着物に特異的に結合することが示唆される。

0009

最良に検証されたこれらのアミロイドイメージング剤は、アミロイド結合色素チオフラビンTのアナログである、ピッツバーグ化合物B(PiB)である。アルツハイマー病におけるPiB−ポジトロン放射断層撮影(PiB−PET)試験により、PiBのアミロイド斑との強固な皮質結合が示された。これは、おそらく究極判断基準と考えられる、有望な早く、かつ正確な検出マーカーを提供する。近年、Avid Radiopharmaceuticals Pty Ltd(Philadelphia)により製造されるAV−45(フロピラミンF−18)(別にF−18 AV−45としても知られる)、Floubetaben、Florbetapir、FlutematamolおよびNAV4694などの他の化合物が、アミロイドベータを標的とするPiBの類似する機能性に基づいて調査されている。

0010

PiB放射性トレーサーシグナルまたはアウトプットを、アミロイドベータのレベル相関させたいくつかの研究があり、これはPiB陽性およびPiB陰性の用語をもたらした。典型的には、PiBアウトプット、またはトレーサー取込み正規化により、対象間および対象内比較を行うことができる。臨床業務においては、放射性用量および患者の質量または体積[別に標準摂取率(standard uptake value)(SUV)としても知られる]に関する正規化が実施される。この正規化はまた、標準摂取率比(SUVR)を提供するための(通常は)罹患していない小脳に関する標準化も含む。これは、高い新皮質量(PiB陽性)のものと、低い量(PiB陰性)のものとを識別するための閾値の決定をもたらした。

0011

アルツハイマー病のための診断試験として、ピッツバーグ化合物B(Pittsburg Compound−B)ポジトロン放射断層撮影(PiB−PET)イメージングの使用は、高い特異度を提供する。しかしながら、約20分の11C−PiBの半減期のため、各患者は、新しく合成された化合物を必要とし、このイメージング技術の使用をサイクロトロンなどの、包括放射化学基盤装備した設備に限定する。11Cの短い半減期は、18Fを用いて合成されるフッ素化化合物の組込みによって一部対処することができる。しかしながら、置き換えるための長寿命放射性リガンド欠如およびPiB−PETイメージングに関する患者あたりの高いコスト(一人当たり2000〜3000ドル)により、一般医にとってPiB−PETの臨床的利用性は限られている。

0012

脳脊髄液(CSF)中のバイオマーカーは、イメージングによる診断が実施されたいくつかの神経疾患の確認評価を提供することがわかっている。従って、アルツハイマー病などの神経疾患のためのバイオマーカーの研究は、一般に、脳脊髄液(CSF)に着目してきた。実際、超リン酸化tauおよびアミロイドベータ1−42(Aβ1−42)のCSFレベルは、MCIからアルツハイマー病への転換予測することが示されている。

0013

CSFを用いる欠点は、それが試料を取得するために侵襲的な腰椎穿刺を必要とすることである。煩わしいことに加えて、CSFの取得は患者にとって多くの有害な転帰をもたらす可能性がある。これらの制限を考慮すれば、多数の個体から反復的にCSFを取得することは非常に困難である。

0014

従って、アルツハイマー病などの神経疾患またはパーキンソン病などの他の神経疾患の早く、かつ経済的な実現可能な予後診断および/または診断を提供することができる改良されたシステムが必要である。

0015

そのようなシステムは、検出可能な臨床指標描写の前に初期段階の予後診断および/または診断を達成する際に臨床医への支援を提供することができる。さらに、臨床試験を受けているアルツハイマー病およびパーキンソン病に関する疾患修飾療法(disease modifying therapy)に関して、リスクのある個体において初期段階で疾患の特徴を検出することができるバイオマーカーを同定する社会的および経済的な義務があり、従って、抗アルツハイマー病療法または抗パーキンソン病療法を、疾患の負担が軽度であり、それが機能的および不可逆的な認知欠損を防止するか、または遅延させることができる時に投与することができる。

0016

文献、活動、材料、デバイス論文などの考察は、単に本発明に関する文脈を提供する目的で本明細書に含まれる。これらの事柄のいずれか、または全部は、本出願の各請求項の優先日の前に存在したという理由で先行技術の基礎の一部を形成したか、または本発明と関連する分野における共通一般知識であったと示唆または指摘されるものではない。

発明が解決しようとする課題

0017

神経疾患のためのバイオマーカー、特に、好ましくは臨床症状が生じる前に疾患の開始を示すバイオマーカーを同定する方法が必要である。神経疾患の早期同定は、早期介入によって疾患進行を遅延させるのに役立ち得る。

課題を解決するための手段

0018

従って、本発明のある態様において、
(a)神経疾患について陽性である第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する第1の分子を単離すること;および
(b)単離された分子を、神経疾患のバイオマーカーとして検証すること
を含む、神経疾患のバイオマーカーを同定する方法が提供される。

0019

本発明は、ヘパリン結合親和性を有する分子の単離および同定ならびに神経疾患のバイオマーカーとしてのこれらの分子の検証に関する。ヘパリン結合親和性を有する分子の単離は、必要であり、バイオマーカー検証を阻害する高い存在量の分子の影響を低下させる。ヘパリン結合親和性を有する分子のサブセットが神経疾患の検証されたバイオマーカーとの高い相関を示し、PiB/PETなどの神経疾患の良好に確立された予測因子との高い相関をさらに示すことが、本発明者らによって現在見出されている。

0020

従って、本発明の方法を実施する際に、バイオマーカーとしてのヘパリン結合親和性を有する単離された分子の検証は、
(a)神経疾患について陽性である第1の試料中のヘパリン結合親和性を有する第1の単離された分子のレベルを同定する工程;
(b)第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルを同定する工程;
(c)工程(a)で同定された単離された分子のレベルと、工程(b)で同定された他のバイオマーカーのレベルとを比較して、単離された分子のレベルと、他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程;
(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程;
(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、ヘパリン結合親和性を有する第1の単離された分子が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程
をさらに含む。

0021

本特許請求される方法は、ヘパリン結合親和性を有する単離された分子のレベルと、神経疾患に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとの間の関係を同定することを求めるものである。本特許請求される方法を実施する際に、単離された分子のレベルと、神経疾患に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとを比較することにより、ある関係が同定される。関係の同定は、単離された分子のレベルもまた神経疾患のバイオマーカーであってもよいことを示す。対照試料に対して比較した場合、これをさらに確認することができる。

0022

本特許請求される方法を実施する際に、同定された任意の関係を、対照試料において同じ分析を実施することによってそれが神経疾患を示すか、または神経疾患にとって独特であるかどうかを決定するために評価する必要がある。従って、単離された分子とバイオマーカーのレベルを対照試料において同定し、そのレベルを比較して、関係が対照試料において同定されるかどうかを決定する。関係が対照試料において同定されない場合、これは、単離された分子が神経疾患のバイオマーカーである可能性があることを示す。

0023

従って、別の実施形態においては、本特許請求される方法は、
(a)第1の試料から、第1の単離された分子と関連する、ヘパリン結合親和性を有する第2の分子のレベルを単離および同定する工程、
(b)第1および第2の単離された分子のレベルの間の比を作成する工程、
(c)工程b)で作成された比と、第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとを比較して、工程b)の比と、他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程、
(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程、
(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、前記比が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程
をさらに含む。

0024

好ましくは、神経疾患の決定のための関連する形態のバイオマーカーは、一例においては、複数のアイソフォームで存在するタンパク質であってよい。従って、分子(例えば、第1および第2の)は、アイソフォームとして関連するのが好ましい。

0025

本発明の別の態様においては、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)、統合失調症および/または抑鬱症を含む群から選択される神経疾患の診断、示差的診断および予後診断を可能とする、神経疾患のためのバイオマーカーが提供される。

0026

最も好ましくは、ADのためのバイオマーカーは、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはその天然誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される。最も好ましくは、ADのためのバイオマーカーは、抗トロンビンIIIまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームである。好ましくは、アイソフォームはATIIIのBまたはJである。

0027

最も好ましくは、PDのためのバイオマーカーは、アルファ−1−ミクログロブリン[アルファ−1−ミクログロブリン/ビクニン前駆体(AMBP)のアミノ酸20〜203]またはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームである。好ましくは、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームは、EおよびGである。

0028

本発明の別の態様においては、
(a)患者から第1の試料を取得する工程;
(b)第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離および同定する工程であり、前記分子は、本明細書に記載の神経疾患のためのバイオマーカーとして検証される、工程;
(c)工程b)で同定された分子のレベルに基づいて、患者が神経疾患を有すると診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを決定する工程
を含む、患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法が提供される。

0029

別の態様においては、
(a)患者から試料を取得する工程;
(b)試料から、本明細書に記載の方法に従って検証された少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーを単離および同定する工程;
(c)工程(b)に由来するバイオマーカーのレベルを決定する工程;
(d)工程(b)で同定された2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの間の比を作成する工程;
(e)哺乳動物が、参照比と比較した比の値に基づいて神経疾患を有すると診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを、工程(d)で作成された比から結論付ける工程
を含む、患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法が提供される。

0030

従って、本発明はさらに、本明細書に記載されるように同定された、哺乳動物が神経起源の疾患を有するか、もしくはそれを発症する可能性があるかどうかを決定するため、または認知機能低下について哺乳動物を評価するために用いることができる、バイオマーカーならびにその天然の誘導体およびアイソフォームの使用に関する。

0031

本発明に関連があると考えられる神経疾患は、特に限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)および/または抑鬱症を含むものである。本発明の方法の使用により診断される、示差的に診断される、および/または予後診断され得る好ましい疾患は、ADまたはPDである。

0032

本発明のさらに好ましい実施形態においては、本方法は、
(a)患者から第1の試料を取得する工程;
(b)第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する第1および第2のバイオマーカーのレベルを単離および同定する工程であり、第1および第2のバイオマーカーは関連しており、第1および第2のバイオマーカーは本明細書に記載される神経疾患のためのバイオマーカーとして検証される、工程;
(c)第1および第2のバイオマーカーのレベルの比を作成して、作成比を提供する工程;
(d)対照から得られた第2の試料において工程(b)〜(c)を繰り返して、参照比を提供する工程;
(e)第1の試料において同定された作成比と、第2の試料において同定された参照比とを比較する工程;
(f)作成比と参照比との差異に基づいて神経疾患の状態を結論付ける工程
をさらに含む。

0033

本発明の方法において、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリンまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームなどの1つまたは複数の神経疾患と関連する少なくとも2つのバイオマーカーを、哺乳動物の神経疾患状態を指摘するための比の作成において定量する。

0034

本発明のさらなる態様においては、哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングするための方法;神経疾患を発症するリスクのある哺乳動物を階層化もしくは同定するための方法;ならびに神経疾患と関連するバイオマーカーと相互作用する、および/またはその発現もしくは活性モジュレートする薬剤スクリーニングするための方法が提供される。

0035

さらなる態様において、本発明は、哺乳動物における、1つもしくは複数の神経疾患の診断および/もしくは予後診断のため、または1つもしくは複数の神経疾患を発症するリスクのある哺乳動物を同定するために用いることができるキットを提供する。

0036

本発明の他の態様は、本発明の特定の実施形態の以下の説明を再検討すれば当業者には明らかとなるであろう。

0037

用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprised)」または「含む(comprising)」が本明細書において(特許請求の範囲を含む)用いられる場合、それらは記述された特徴、整数、工程または構成要素の存在を特定するものであり、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程もしくは構成要素、またはその群の存在を除外するのではないと解釈されるべきである。

0038

本発明の態様および利点のさらなる理解のために、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を参照するべきである。

図面の簡単な説明

0039

図1は、本出願を通じて用いられる暫定的な命名法と共にタンパク質分析物の2Dゲル分析を示す。抗トロンビンIIIは、強調された抗トロンビンIIIシリーズ(A−AH)における全ての変異体を指すために「AT」と省略され、抗トロンビンIIIおよび他のタンパク質に由来する全ての可能な変異体を含む。「ApoJ」とは、関連する、強調され、同定されていないタンパク質変異体A〜Gを指す。「SAP」とは、関連する、強調された血清アミロイドタンパク質変異体A〜Kを指す。
図2は、2−DGE試験を示す。臨床分類−抗トロンビンIIIアイソフォームAとJとの平均比の比較は、ADと対照との高い有意差を示す。抗トロンビンIIIの最も塩基性のアイソフォームAとアイソフォームJとの比は、認知的に正常な個体と比較して軽度の認知機能障害およびアルツハイマー病と臨床的に診断された患者において有意に上昇している(Anova Tukeyポストホック、平均±stdev)。
図3は、PiB−SUVR−ATIIIA/J比血漿t検定、平均±stdev)による分類を示す。AIBL試験(A)に含まれる73の対象の脳における、ピッツバーグ化合物B(PiB)ポジトロン放射断層撮影(PET)に関する抗トロンビンIIIアイソフォームと標準摂取率比(SUVR)との相関。
MARS14枯渇後の6つのRPサブ画分からの代表的なゲル画像。矢印はADプールにおけるタンパク質変化を示す。
整列されていないF2多重ゲル偽色画像オーバーレイ。Hptの3つの鎖を右上の画像において卵形で示す。
A.低ApoE4含有プールおよびB.高ApoEα4含有プールを代表する多重ゲル画像からの詳細。±1ACTアイソフォームは34kDaのApoEα4プロキシスポットと相関し、これらの画像の右手側角に示される。回帰分析相関:a−p=0.012、R2=0.45;b−p=0.002、R2=0.61;c−p=0.003、R2=0.56;d−p=0.002、R2=0.61;e−p=0.007、R2=0.51;f−p=0.003、R2=0.58。±1ACTスポットはいずれも、プールされた実験においてHCからADを有意に識別しなかった。対照プールからADを有意に識別した±1ATスポット(3.3倍、p<0.02)を、下側の画像に示す。
右側の表に性特異的変化と共に示される無傷の、および切断されたVDBP。A.無傷(上のスポットトレイン)および切断されたVDBP(A、B、C)。無傷のVDBPスポットを飽和させ、早熟分析からマスクした。B.切断されたVDBP(A〜M)。C.切断されたVDBP(A〜E)。
ADバイオマーカー(ATIII、ApoJおよびSAP)はPD血漿において上昇しない。
ApoJはAβと相関する。
アルファ−1−ミクログロブリン(AMBP)のレベルは、パーキンソン病血漿において上昇する。対照(n=37)試料とPD(n=44)試料との間のAMBPのレベル(左上の平均、STDEV)は、PD血漿において有意に上昇する(p<0.0001)。破線は、個体がPDを有すると考えられるカットオフ値を示す。AMBPレベルのROC分析を、右上に示す。下の図面は、AMBPレベルと、臨床統合パーキンソン病評価尺度(UPDRS)との相関である。統計分析を、Prism v5.0fを用いて行った。用いた統計的検定は、t検定であった。0.05より大きいp値を、有意と考えた。アイソフォームEの強度を、この図面に示す。同様の結果がAMBPのアイソフォームGについて得られる。
AMBPの2Dスポットマップ
PDと対照との比193/166(G/E)の比較。破線は、検定の80%特異度を表し、カットオフ値での個体は5.0のオッズ比を有する(n=31対照n=51PD)。

0040

表の説明
表1は、ADバイオマーカーのROC分析の概要を示す。
表2は、ADと対照、対照とCRPアイソフォームとの間の変化に関する試験対象患者基準を満たす少なくとも1つのアイソフォームを有していたタンパク質を示す。ハプトグロビンを、非還元複合体の分取ゲルから同定した。NS−有意でない。
表3は、質量分析を用いて発見された脳アミロイドのためのバイオマーカーを示す。

0041

本発明は、哺乳動物から得られた試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離することにより、認知機能低下を予測する神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のためのバイオマーカーを同定する方法を提供する。これらのバイオマーカーは、アミロイド量と関連し、これと相関する。本発明において同定されるバイオマーカーを用いて、脳中のアミロイドを診断するか、または脳中のアミロイドレベルの変化を検出することができる。一度同定されたら、そのマーカーを、脳中のアミロイドに関する高効率診断または予後診断試験において用いることができる。

0042

従って、本発明の態様においては、神経疾患のバイオマーカーを同定する方法であって、
(a)神経疾患について陽性である第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する第1の分子を単離すること;および
(b)単離された分子を、神経疾患のバイオマーカーとして検証すること
を含む、方法が提供される。

0043

本発明は、ヘパリン結合親和性を有する分子の単離および同定ならびに神経疾患のバイオマーカーとしてのこれらの分子の検証に関する。ヘパリン結合親和性を有する分子の単離は、必要であり、バイオマーカー検証を阻害する高存在量の分子の影響を低下させる。ヘパリン結合親和性を有する分子のサブセットが神経疾患の検証されたバイオマーカーとの高い相関を示し、PiB/PETなどの神経疾患の良好に確立された予測因子との高い相関をさらに示すことが、本発明者らによって現在見出されている。

0044

当業者によって理解されるように、バイオマーカーは、特定の哺乳動物、または患者、または対象または個体の生物学的状態の指示因子として見なされる。「哺乳動物」、「患者」、「対象」または「個体」などの用語はまた、文脈において、本発明において互換的に用いることができる用語でもあると考えられる。さらに、用語「個体」および「対象」は、バイオマーカーの存在について検査または分析され、神経疾患の状態の決定において評価される同じ試験対象を指すように互換的に用いることができると考えられる。

0045

さらに、バイオマーカーは、個々の分子である必要はない。バイオマーカーは単一の分子であってもよいが、それは複数の分子であってもよい。バイオマーカーを複数の分子と考える場合、バイオマーカーは分子間の関係の表示と関連してもよい。例えば、関係は比であってもよい。さらに、複数の分子は、神経疾患を示す分子シグナチャーを表していてもよい。より特には、シグナチャーは複数のタンパク質またはタンパク質アイソフォーム発現レベルにより定義することができる。

0046

バイオマーカーを、例えば、哺乳動物における治療的介入に対する正常な生物学的プロセス病理学的プロセス、または薬理学的応答指標として客観的に測定し、評価することができる特定の特徴であるとさらに見なすことができる。しばしば、単一のバイオマーカーの使用が、哺乳動物が神経疾患を有するか、または神経疾患が存在しないかを完全に決定することができない場合、2つ以上のバイオマーカーの存在および/または非存在が、哺乳動物に関する生物学的状態の適切な誘導にとって必要であり得る。

0047

バイオマーカーは、単独で、または組み合わせて、哺乳動物がある表現型状態または別のものに属する相対的リスクの尺度も提供することができる。従って、バイオマーカーは、哺乳動物が疾患を発症する(予後)、疾患を有する(診断)または薬物の治療効性セラノスティック(theranostic)]および薬物毒性を確認する可能性を示すのに従来通り有用である。

0048

また、バイオマーカーは、必ずしも限定されるものではないが、哺乳動物または対照集団に由来する試料中のレベル(例えば、濃度、発現および/または活性)が、生物学的状態、例えば、神経疾患の診断を示す生物試料中に存在するタンパク質、ポリペプチドポリヌクレオチドおよび/または代謝物を含むとも考えられる。さらに、本発明の方法内に企図されるバイオマーカーはまた、必ずしも限定されるものではないが、免疫グロブリンペプチドmRNA、DNA、低分子非コードRNA、miRNA、消化されたタンパク質断片酵素、脂質、代謝物、炭水化物グリコシル化ポリペプチド、および金属を含んでもよい。

0049

本特許請求される方法は、新皮質アミロイドの増加と関連する神経疾患におけるバイオマーカーを同定することができる。本発明の好ましい実施形態においては、本発明に関連があると考えられる神経疾患は、特に限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)、統合失調症および/または抑鬱症を含むものである。本発明の方法の使用によるADおよびPDなどの神経疾患の診断および予後診断が特に望ましい。また、同定および/または単離されたバイオマーカーが脳におけるPiB量を反映することも望ましい。

0050

本特許請求される方法を実施する際に、分子はそのヘパリン結合親和性、そのヘパリンに対する親和性またはヘパリンに結合する分子とのその会合に基づいて単離される。本発明の文脈においては、取得すること、抽出すること、精製することおよび除去されるなどの用語は、単離することという用語と同義である。さらに、「ヘパリン結合親和性」または「ヘパリンに対する親和性」などの用語は、本発明において互換的に用いることができる用語であると考えられる。本発明の文脈においては、親和性は、それらの会合または結合を惹起する分子間の引力または力と定義される。従って、本特許請求される方法により単離される分子は、ヘパリンに対するそのような引力を有する。従って、ヘパリン結合親和性を有する分子は、ヘパリンと直接会合するか、またはヘパリンに引き付けられた他の分子と会合する、結合する、もしくは複合体化する分子を含む。

0051

出願人は、ヘパリンに対する親和性を有する分子が、限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)、統合失調症および/または抑鬱症などの神経疾患を示すことができると同定した。より好ましくは、分子は、ADおよび/またはPDを示すことができる。従って、これらの分子は、これらの神経疾患のためのバイオマーカーとして提供することができる。

0052

以下の説明は、一般に、ADおよびPDに関するものである。しかしながら、本明細書に記載の方法は、他の神経疾患およびこれらの神経疾患のためのバイオマーカーの同定にも同等に適用可能である。

0053

分子のヘパリン結合親和性は、非ヘパリン結合分子の混合物もしくは試料またはヘパリンに対する親和性を有さない分子から特定の分子を選出するか、または単離するために用いられる。従って、本発明の文脈においては、分子は、ヘパリンに対する親和性を有さない分子の試料または混合物から単離されるのに十分なヘパリン結合親和性を有するだけでよい。

0054

ヘパリン結合親和性を有する分子の単離において、分子はヘパリンに非共有的または共有的に結合することができる。例として、ヘパリンを、ヘパリンに対する親和性を有さない分子を試料中に残すそのヘパリン結合親和性に基づいて試料から分子を選択または単離するために固定することができる。他の例においては、ヘパリン結合親和性を有する分子を、抗体、ペプチドアレイ分子インプリンティング、または化学的親和性マトリックスを用いることによって単離することができる。

0055

当業者によって理解されるように、固定されたヘパリンの形式は広く変化してもよい。例えば、ヘパリンを、被覆された表面上に固定するか、またはクロマトグラフィー樹脂中に含有させることができる。

0056

分子を、固定されたヘパリンとのその会合もしくは結合によって単離するか、またはヘパリンに引き付けられた別の分子に会合、結合もしくは複合体化させることができる。あるいは、固定されたヘパリンは、大容量陽イオン交換体として作用し得る。この使用は、ヘパリンの多数の硫酸陰イオン基を利用するものである。これらの基は、全体として正電荷を有する分子またはタンパク質を捕捉すると予想される。ヘパリンに対するその親和性に基づいて分子を単離するための方法および装置は、当業者には公知である。好ましくは、ヘパリンに対する親和性を有する分子を結合させるための遊離ヘパリンを提供する装置またはアッセイが、本特許請求される方法において用いられる。より好ましくは、ヘパリン−セファロース精製カラムがヘパリン結合親和性を有する分子を単離するために用いられる。

0057

分子はヘパリンに結合した後、変化したpHもしくは塩濃度などの様々な緩衝条件の使用と共に、または塩もしくはpH勾配などの勾配の使用によりヘパリンから選択的に解離させることができる。

0058

当業者であれば理解できるように、単離されたタンパク質を、カラムのpHを変化させることによって、ヘパリン−セファロース精製カラムを用いて試料から選択的に単離することができる。従って、別の態様において、ヘパリン−セファロースカラムを、少なくとも約pH3、少なくとも約pH4、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、少なくとも約pH7、少なくとも約pH8、少なくとも約pH9、少なくとも約pH10で溶出させる。より好ましくは、ヘパリンセファロースカラムを、pH6〜pH8で、より好ましくはpH7またはpH8で溶出させる。

0059

あるいは、ヘパリンを、試料中に溶解し、試料中でヘパリン結合親和性を有する分子に選択的に結合させることができる。次いで、ヘパリンに結合した分子のその後の精製を用いて、試料からこれらの分子を単離することができる。次いで、単離された分子を、そのレベルを同定する前にヘパリンから選択的に解離させることができる。

0060

当業者であれば理解できるように、親和性は、少なくとも2つの分子間の非共有的分子間相互作用によって影響され得る。従って、解離定数を用いて、ある分子とヘパリンとの間の親和性(すなわち、ある分子がどれぐらい緊密にヘパリンに会合または結合するか)を記述することができる。従って、変化する程度のヘパリン結合を示す分子を、潜在的なバイオマーカーとして単離することができる。

0061

あるいは、特許請求される発明を実施する際に、ヘパリン結合ドメインなどの公知のヘパリン結合領域の配列をコードする分子に基づいて、分子を単離することができる。例えば、そのような選択肢において、ヘパリン結合ドメインを指向するPCRプライマーを、そのような領域を含有するか、またはコードする分子を増幅するように設計することができる。これらの分子を精製および分析して、その発現レベルを決定することができる。

0062

当業者であれば理解できるように、ヘパリンは、主要な糖単位として2−O−スルホ−α−L−イズロン酸、2−デオキシ−2−スルファミノ−6−O−スルホ−α−D−グルコース、β−D−グルクロン酸、2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−グルコース、およびα−L−イズロン酸を有する直鎖状陰イオン性多糖の混合物である。これらの糖単位の存在および頻度は、ヘパリンが抽出される組織源に応じて変化する。しかしながら、本発明の実施は、ヘパリンの特定のアイソフォーム、サブタイプまたは種に限定されることを意図されない。従って、本発明の文脈において用いられるヘパリンを、様々な種に由来する様々な細胞または組織試料から単離および精製することができる。あるいは、ヘパリンを、培養細胞から取得することができる。あるいは、ヘパリンは半合成または合成のものであってもよい。

0063

別の好ましい実施形態においては、第1の試料を予備処理して、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離する前にプロテオミック分析を阻害する高存在量のタンパク質の影響を除去または低減することができる。例として、試料を、試料から少なくとも最も豊富なタンパク質を除去する、複数の親和性除去システム−14(MARS)で処理することができる。次いで、これは、潜在的なバイオマーカーのヘパリン結合親和性を用いる改善された富化プロセスを提供する。

0064

本発明において用いられる試料は、生物学的試料であることが企図される。本発明の文脈においては、試料を哺乳動物から取得することができる。試料は、限定されるものではないが、血液(全血を含む)、血漿、血清、血液溶解物リンパ液滑液髄液、尿、脳脊髄液、精液糞便粘液羊水涙液嚢胞液、汗腺分泌物胆汁乳汁または唾液からなる群から選択される様々な生物学的材料を含んでもよい。好ましくは、生物学的試料は、血液(全血を含む)、血漿、または血清である。

0065

さらに、当業者であれば、本特許請求される方法を、DNA、RNAおよび/またはタンパク質を含有する任意の取得された生物学的材料において用いることができることを知っている。

0066

より好ましくは、単離される分子は、免疫グロブリン、ペプチド、mRNA、低分子非コードRNA、miRNA、DNA、消化されたタンパク質断片、酵素、代謝物、炭水化物、グリコシル化されたポリペプチド、または金属からなる群から選択される。

0067

本発明の方法を介して検査される哺乳動物は、ヒト哺乳動物または非ヒト哺乳動物であってもよい。非ヒト哺乳動物は、必ずしも限定されると考えられるものではないが、ウシブタヒツジヤギウマサルウサギ野ウサギイヌネコマウスまたはラットであってもよい。一実施形態においては、哺乳動物は霊長類である。好ましい実施形態においては、哺乳動物はヒトであり、より好ましくは、哺乳動物はヒト成人である。

0068

また、本発明の方法を、例えば、バイオマーカー同定のインビボモデルにおける使用のために、ヒト疾患を表す動物モデルにおいて用いることもできる。そのような実施形態においては、動物モデルにおける動物は、マウス、ラット、サル、ウサギ、両生類魚類ミミズ、またはハエである。

0069

神経疾患のバイオマーカーを同定する本特許請求される方法を実施する際に、哺乳動物から得られた試料は、神経疾患について陽性であるか、または潜在的に陽性である。好ましくは、臨床および/または分子診断を用いて、試料が得られた哺乳動物が神経疾患について陽性であることを確認することができる。これは、認知的に正常であるが、脳中のアミロイド量(好ましくは、PETイメージングにより決定される)などの神経疾患を示すマーカーのレベルの変化を示す哺乳動物を含む。これらの哺乳動物は、神経疾患について潜在的に陽性であり、本発明の範囲に含まれる。

0070

哺乳動物が神経疾患について陽性であるか、または潜在的に陽性であるかどうかを決定するために用いられる臨床決定は、必ずしも限定されるものではないが、記憶および/または心理試験、言語機能障害および/または他の重要な認知障害失行計算不能症および左右識別障害など)の評価、判断機能低下および一般問題解決困難の評価、進行性消極性から顕著な動揺までの人格変化の評価を含む評価に関連すると考えられることが当業者には理解される。

0071

さらに、高新皮質アミロイドの存在を確認するためのアミロイド量またはアミロイドレベルの決定などの、哺乳動物の疾患状態の陽性の診断を、正当ならば検証または確認することができる。互換的に用いられることが多い、アミロイド量もしくはアミロイドレベル、またはアミロイドおよびアミロイド断片の存在という用語は、(老人主要構成要素であるアミロイド−ベータペプチドである、脳に沈着した脳アミロイドベータ(Aβまたはアミロイド−β)の濃度またはレベルを指す。

0072

また、哺乳動物を、PETおよびMRIなどのイメージング技術を用いて、またはPETと共に用いられる場合、PiBなどの診断ツールを援用して(そうでなければPiB−PETとも呼ばれる)、神経疾患について陽性であると確認することもできる。好ましくは、神経疾患について陽性である哺乳動物は、PiB陽性である。より好ましくは、哺乳動物は、高い新皮質アミロイド量(PiB陽性)と一致する標準摂取率比(SUVR)を有する。例えば、現在の実務は、SUVRに関するものであり、1.5は脳中の高レベルを反映し、1.5以下は脳中の低レベルの新皮質アミロイド量を反映し得る。当業者であれば、高レベルまたは低レベルの新皮質アミロイド量と考えられるものを決定することができる。当業者であれば理解できるように、哺乳動物を、CSFに由来するアミロイドベータおよびタウを測定することにより、神経疾患について陽性であることを確認することもできる。

0073

神経疾患のバイオマーカーを同定するために、ADおよびPDなどの神経疾患と診断された患者から得られる陽性と同定された、また、アミロイドレベルも決定することができた試料のライブラリーから、試料を取得することができる。好適なライブラリーは、The Australian Imaging,Biomarker and Lifestyle(AIBL)Flagship study of AgingまたはThe Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)を含んでもよい。

0074

現在まで、AIBLは、ニューロイメージング、バイオマーカー、精神測定、および生活スタイル因子などの4つの次元にわたって約1,112人のボランティアを評価することを含んでいた。AIBL試験は、8年の期間にわたって18カ月間隔で血液採取を行う長期試験である。それは、アミロイドイメージング剤、ピッツバーグ化合物B(PiB)を用いるポジトロン放射断層撮影(PET)を含む世界で最大の試験である。AIBLが他の同様の試験を超える1つの利点は、血液試料採取および保存(液体N2)のための標準化された手順である。これは変化した採取および保存プロトコールを有するか、または−20℃で試料を保存する他の試験と比較して有意な利点である。AIBL試験は、AD、軽度認知障害(MCI)、および障害がない年齢適合対照対象からの良好に特性評価された血液試料の豊富な資源を提供し、ADおよびPDの診断のために用いることができるバイオマーカーの発見のための優れた資源を提供する。

0075

ADNIは、血液、脳脊髄液、磁気共鳴イメージング(MRI)およびポジトロン放射断層撮影(PET)イメージングからのバイオマーカーの使用を検証するために設計されたADの試験である。ADNIは、AIBLと同様、参加者上で長期的血液試料および一連の神経精神測定データを収集してきた。

0076

当業者であれば理解できるように、単離された分子は、そのレベルが、単独で、もしくは組み合わせて、統計的に関連すると考えられる場合、または他の以前に特性評価されたバイオマーカーとのその関係が表現型状態を識別する場合、バイオマーカーとして検証される。特定の分子が偶然にバイオマーカーとして同定された確率が所定の値よりも小さい場合、疾患状態を決定するための同定されたバイオマーカーの有用性は統計的に有意であると考えられる。そのような確率を算出する方法は、バイオマーカーのレベルを比較するために用いられる正確な方法に依存する。

0077

従来のt検定などの、有意に変化するバイオマーカーを同定するためのいくつかの統計検定がある。しかしながら、一般に、SAMまたはPrediction Analysis of Microarray(PAM)(http://www-statstanford.edu/.about.tibs/PAM/index.html)、またはRandom Forestsなどの、より洗練された技術を用いることがより好都合であり、適切であり、および/または正確であり得る。そのような統計的有意性について評価するための一般的な検定としては、特に、t検定、ANOVA、Kruskal−Wallis、Wilcoxon、Mann−Whitneyおよびオッズ比が挙げられる。

0078

本発明の方法を実施する際に、一実施形態においては、ヘパリン結合親和性を有する単離された分子の検証は、神経疾患について陽性であるか、または潜在的に陽性である試料間のヘパリン結合親和性を有する単離された分子のレベルにおける統計的有意差と、対照とを比較することを含んでもよい。

0079

従って、別の実施形態においては、本発明の方法を実施する際に、ヘパリン結合親和性を有する単離された分子をバイオマーカーとして検証することは、
(a)神経疾患について陽性であるか、または潜在的に陽性である第1の試料におけるヘパリン結合親和性を有する第1の単離された分子のレベルを同定する工程;
(b)第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルを同定する工程;
(c)工程(a)で同定された単離された分子のレベルと、工程(b)で同定された他のバイオマーカーのレベルとを比較して、単離された分子のレベルと、他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程;
(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程;
(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、ヘパリン結合親和性を有する第1の単離された分子が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程
をさらに含む。

0080

本特許請求される方法を実施する際に、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを同定しなければならない。当業者には理解できるように、単離された分子または以前に同定されたバイオマーカーのレベル(例えば、濃度、発現および/または活性)を定性化または定量化することができる。好ましくは、単離された分子またはバイオマーカーのレベルを、DNA、RNA、脂質、炭水化物、金属またはタンパク質発現のレベルとして定量する。この好ましい実施形態においては、本発明は、神経疾患と診断された哺乳動物にとって特徴的であると以前に定義されたバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を有するその対応する発現レベルに基づいて、単離された分子をバイオマーカーとして検証することを求めるものである。

0081

多数の定性化および定量化技術を用いて、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを同定することができることが明らかである。これらの技術は、2D DGE、多反応モニタリング質量分析(MRM−MS)などの質量分析(MS)、リアルタイムRT)−PCR核酸アレイELISA、機能的アッセイ、酵素アッセイ、様々な免疫学的方法、またはキャピラリー電気泳動高速液体クロマトグラフィーHPLC)、薄層クロマトグラフィーTLC)、超拡散クロマトグラフィー、2次元液相電気泳動(2−D−LPE)もしくはゲル電気泳動におけるその移動パターンなどの生化学的方法を含んでもよい。ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、複雑な混合物からタンパク質を分離するための広く用いられているアプローチである。

0082

しかしながら、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを同定するために用いられる適切な技術は分子の特徴に依存することが、当業者には明らかである。例えば、単離された分子がタンパク質である場合、2D DGEまたは質量分析を用いて、単離された分子のレベルを定量することができる。

0083

好ましくは、バイオマーカーのレベルの定量化を、1または2次元(2−D)構成で実施することができる。あまり複雑でないタンパク質調製物については、1次元のSDS−PAGEがより単純であるため、2−Dゲルよりも好ましい。好ましい実施形態においては、第1の次元においては等電点電気泳動IEF)を含み、第2の次元においてはSDS−PAGEを含む2−Dゲル電気泳動が用いられ、電荷およびサイズによるバイオマーカーの分離をもたらす。

0084

バイオマーカーのレベルの決定を、例えば、バイオマーカーがポリペプチドであった場合、2−Dゲル電気泳動上などでのその等電点(pI)およびその分子量(MW)に基づくバイオマーカーの特性評価に従うことによって行うこともできる。この例においては、試料中に存在するバイオマーカーの量を、2−Dゲル上でのポリペプチドスポットの強度を測定することなどによる、視覚的分析によって決定することができる。

0085

一例においては、バイオマーカーがポリヌクレオチドバイオマーカーであった場合、バイオマーカーの量を評価するために、当業者であればRT−PCRなどの定量技術を考えられる限りで用いることができる。別の例においては、特定のバイオマーカーがポリペプチドまたはタンパク質であった場合、バイオマーカーのレベルを、ポリペプチドバイオマーカーに特異的なタグ付抗体などの二次検出試薬を用いるELISA技術により決定することができる。

0086

バイオマーカーがタンパク質である非限定例においては、タンパク質またはタンパク質アイソフォームのレベルを、イムノアッセイにより検出することもできる。当業者であれば、イムノアッセイは、抗原(すなわち、タンパク質またはタンパク質アイソフォーム)に特異的に結合する抗体を用いるアッセイと見なすことができる。かくして、イムノアッセイは、抗体へのタンパク質またはタンパク質アイソフォームの特異的結合の検出を特徴とする。タンパク質またはタンパク質アイソフォームを検出するためのイムノアッセイは、競合的または非競合的であってもよい。非競合的イムノアッセイは、捕捉された分析物(すなわち、タンパク質またはタンパク質アイソフォーム)の量が直接測定されるアッセイである。競合的アッセイにおいては、試料中に存在する分析物(すなわち、タンパク質またはタンパク質アイソフォーム)の量は、試料中に存在する分析物(すなわち、タンパク質またはタンパク質アイソフォーム)によって捕捉剤(すなわち、抗体)から置き換えられた(または競合除去された)添加された(外因性)分析物の量を測定することによって間接的に測定される。

0087

競合アッセイの一例においては、既知量の(外因性)タンパク質またはタンパク質アイソフォームを試料に添加した後、試料を抗体と接触させる。抗体に結合した添加された(外因性)タンパク質またはタンパク質アイソフォームの量は、外因性タンパク質またはタンパク質アイソフォームが添加される前の試料中のタンパク質またはタンパク質アイソフォームの濃度に反比例する。別のアッセイにおいては、例えば、抗体を、それらが固定される固相基質直接結合させることができる。次いで、これらの固定された抗体は、試験試料中に存在する対象のタンパク質またはタンパク質アイソフォームを捕捉する。他の免疫学的方法としては、限定されるものではないが、液体またはゲル沈降反応免疫拡散(単一または二重)、凝集アッセイ、免疫電気泳動ラジオイムノアッセイRIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロットリポソームイムノアッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイまたはイムノPCRが挙げられる。

0088

あるいは、第2の測定プロセスを、所与の試料中のバイオマーカーの決定のために用いることができることが企図される。例えば、バイオマーカーが酵素的特性を有するタンパク質である場合、おそらく酵素活性の測定をバイオマーカーのレベルの決定において用いることができる。同様に、バイオマーカーがポリペプチドであった場合、バイオマーカーのレベルを、ポリペプチドをコードするmRNAの尺度により作製することができると考えられる。また、定性データを、一次測定値から誘導または取得することもできる。

0089

あるいは、単離された分子がmiRNAである場合、RT−PCRを用いることができる。好ましい例においては、単離された分子はタンパク質であり、その発現は2D DGEを用いて測定される。この好ましい実施形態においては、分子は、分子の発現レベルを定量する前に、アミン反応性またはチオール反応性双性蛍光色素Zdyeを用いて標識される。

0090

試料中に存在するバイオマーカーを定量して、個々の多色示差的ゲル中電気泳動(DGE)を用いることによりレベルを得ることができる。2−Dゲル上でのDGE検出は、それが各ゲル上での内部標準の含有によってゲル間の変動の問題を回避し、はるかに少ないゲルを用いて実行することができるという利点を有する。さらに、従来の2−Dゲルと同程度に多くのタンパク質を単一の試料から分解することができる技術は少ない。

0091

単離された分子のレベルを定量する際に、ヘパリン結合親和性を有する分子の単離の前または後に、試料を処理して2Dゲルおよび質量分析などの定量アッセイに関する精度を改善することができる。ヘパリンセファロースカラムからの富化されたタンパク質を、限定されるものではないが、トリス(2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)および4−ビニルピリジンなどの還元剤およびアルキル化剤を用いて還元およびアルキル化した後、トリプシンを用いて酵素的消化(好ましくは、約37℃で一晩)を行うことができる。多反応モニタリングのためのペプチドを、MSデータ、Skyline資源ならびに限定されるものではないが、apoE、apoJ、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、フィブリノゲンおよびAβなどのヘパリン結合親和性を有するペプチドの定量測定のためのペプチド遷移を用いて決定することができる。これらのタンパク質に加えて、アクチンゲルソリンおよびapoEなどの他のものを測定することができる。

0092

Skylineは、定量的MSの開発にとって好適であるペプチドの迅速な選択を補助するソフトウェア資源である。消化されたタンパク質を連続希釈し、検出限界イオン化効率再現性およびクロマトグラフィー挙動を、nano−LC−MRM(Q−trap 6500、ABSciex)を用いて決定する。定量アッセイのために、ペプチドを、アイソトープ標識されたリシンまたはアルギニンアミノ酸を用いて合成することができる。アイソトープ標識されたペプチド(重いペプチド)を、13Cおよび15Nで標識して、8〜10Daの質量シフトをもたらすことができる。質量分析装置は、質量の差異に基づいて、そうでなければ同一のペプチドを分解することができる。重いペプチドは、試料中のペプチドと化学的に同一であるため、真の内部標準として働く;これは、MRM−MSの主な利点の1つである。アミノ酸分析を用いて、ペプチド濃度を決定する。

0093

理論によって限定されるものではないが、本発明は、ヘパリン結合親和性を有する分子のレベルが、同じ神経疾患を有さないと決定された哺乳動物から得られた試料中の同じ分子のレベルと比較した場合、神経疾患を有すると決定された哺乳動物から得られた試料中で変化するという知見に基づくものである。さらに、これらの変化は、神経疾患と診断された哺乳動物にとって特徴的であると以前に定義されたバイオマーカーのレベルと相関する。

0094

従って、特許請求される方法を実施する際に、単離された分子のレベルを、高新皮質アミロイドの存在と相関する既知のバイオマーカーと比較することができる。好ましくは、この比較は、脳中のアミロイドベータの存在を特異的に認識する放射性トレーサーのレベルを用いて行われる。そのような放射性トレーサーは、ピッツバーグ化合物B(Pitsburg Compound B)(PiB)またはフロルピラミンF−18であってもよい。より好ましくは、比較は、神経疾患に特徴的であるPiB−PETレベルを用いて行われる。

0095

神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であるバイオマーカーはまた、神経疾患状態を有する試料に由来するバイオマーカーの予め決定された比(参照比)であってもよい。例えば、比較を、1.5より大きいSUVRまたは当業者によって決定される高いか、もしくは低いアミロイド量を反映する任意の他の決定された値を用いて行うことができる。この量を超えるアミロイド量を高い、および低いと考えることができ、それを低いと考えることができる。しかしながら、この適用はこの値に限定されない。

0096

あるいは、単離された分子のレベルを、限定されるものではないが、アミロイドβペプチド、タウ、ホスホ−タウ、シヌクレイン、Rab3a、および神経糸(neural thread)タンパク質などの、神経疾患の1つまたは複数のさらなる公知のバイオマーカーのいずれかのレベルと比較することができる。さらに、比較を、生物試料のセットが得られた臨床認知症評価(CDR)または体格指数などの臨床バイオマーカー値に対して行うことができる。

0097

本発明の方法の実施において理解されるように、比較は、神経疾患に特徴的な単一のバイオマーカーに必ずしも限定されない。比較におけるさらなるバイオマーカーの含有は、偽陽性バイオマーカー同定のリスクを軽減することができる。従って、特許請求される方法の好ましい特徴において、神経疾患に特徴的なさらなるバイオマーカーを、単離された分子のレベルと比較して、関係を同定することもできることが企図される。

0098

本特許請求される方法は、ヘパリン結合親和性を有する単離された分子のレベルと、神経疾患に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとの関係を同定することを求めるものである。本特許請求される方法を実施する際に、単離された分子のレベルと、神経疾患に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとを比較することにより、関係が同定される。関係の同定は、単離された分子のレベルが、神経疾患のバイオマーカーでもあり得ることを示す。対照試料に対して比較した場合、これをさらに確認することができる。

0099

関係を対照比較から理解することができる。例えば、単離された分子のレベルは、既知のバイオマーカーに関して類似するか、または関連する規模または方向で変化してもよい。好ましくは、関係は、相関である。当業者であればデータセット間の相関を同定するための特定の手段および方法を知っているが、相関方法の例としては、Pearsonの相関ならびにSpearmanおよびKendallのタウなどの順位相関係数が挙げられる。さらに、相関は、線形である必要はなく、または直線関係を規定する必要もない。関係はまた、非線形であってもよく、データセットでグラフ的に分析する時に明らかであってもよい。

0100

より特には、本発明の方法は、哺乳動物の新皮質中の、ベータアミロイドなどのアミロイドおよび/またはアミロイド断片の存在の増大との関係または相関に基づいて単離された分子をバイオマーカーとして検証することを求めるものである。

0101

より特には、本発明は、PiB−PET試験またはAV−45測定から得られた測定値とのその関係または相関に基づいて単離された分子をバイオマーカーとして検証する。PiB−PET試験はまた、アミロイドおよび/またはアミロイド断片の存在の減少と相関する高PiB対低PiBに関してアミロイドおよび/またはアミロイド断片の存在の増大を定義することもできる。好ましくは、本特許請求される方法を実施する際に、および単離された分子をバイオマーカーとして検証する際に、単離された分子のレベルは、高いPiB測定値と相関する。

0102

本特許請求される方法を実施する際に、同定される任意の関係を評価して、対照試料において同じ分析を実施することにより、それが神経疾患を示すか、または神経疾患にとって独特なものであるかを決定する必要がある。従って、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを対照試料中で同定し、そのレベルを比較して、関係が対照試料において同定されるかどうかを決定する。関係が対照試料において同定されない場合、これは、単離された分子が神経疾患のバイオマーカーである可能性があることを示す。

0103

単離された分子が神経疾患のバイオマーカーであるかどうかを結論付けるためには、神経疾患について陽性である試料において同定された関係は、対照試料においては同定されないか、または存在しない。従って、その関係は、神経疾患について陽性である哺乳動物から得られた試料を示し、対照試料を示さない。

0104

概して、本特許請求される方法を実施する際に、実験試料から得られた結果を、対照試料に対して比較する。本発明の文脈においては、実験試料は、神経疾患について陽性である哺乳動物から得られた試料を表す。

0105

対照試料は、神経疾患について陽性または陰性である生物試料であってもよい。しかしながら、当業者であれば理解できるように、対照試料は、それが、単離された分子を神経疾患のバイオマーカーとして検証するための必要な比較を提供しなければならない点で実験試料によって決まる。例えば、実験試料が神経疾患について陽性である場合、対照試料は、理想的には神経疾患について陰性である。神経疾患について陰性である場合、対照試料は神経疾患の症状を有さない健康な哺乳動物に由来するものであってもよい。あるいは、対照試料は、別の神経疾患を有する哺乳動物に由来するものであってもよい。例えば、ATバイオマーカーを検証する場合、対照試料はPD試料であってもよい。

0106

さらに、実験試料および対照試料は、実験群および対照群を形成する複数の試料からなってもよい。従って、単離された分子をバイオマーカーとして検証する際に、第1の単離された分子および他のバイオマーカーのレベルを、実験群を含む試料群および対照群を含む別の試料群において同定することができる。実験群および対照群に関する試料のサイズは等しいものである必要はない。

0107

さらに、対照群は、試料が実験群から区別される限り、同じ試料を含む必要はない。例えば、対照群は、神経疾患を有さない健康な哺乳動物および対照群とは別の神経疾患を有する哺乳動物に由来する試料からなっていてもよい。例えば、実験群はPDを有する哺乳動物に由来する試料を含有してもよく、対照群は神経疾患を有さない健康な哺乳動物に由来する試料およびADを有する哺乳動物に由来する試料を含有してもよい。

0108

本発明者らは、比を提供する、神経疾患について陽性である哺乳動物から得られた試料中でのヘパリン結合親和性を有するさらなる単離された分子のレベルの比較が、神経疾患のバイオマーカーを提供することができることを見出した。これらのバイオマーカーは、個々の分子のレベルの使用と比較した場合、神経疾患を診断する際に増大した特異度および感度を有してもよい。

0109

従って、別の実施形態においては、本特許請求される方法は、
(a)第1の試料から、第1の単離された分子と関連する、ヘパリン結合親和性を有する第2の分子のレベルを単離および同定する工程、
(b)第1および第2の単離された分子のレベルの間の比を作成する工程、
(c)工程b)で作成された比と、第1の試料中に存在する神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された別のバイオマーカーのレベルとを比較して、工程b)の比と、他のバイオマーカーのレベルとの統計的に有意な関係を同定する工程、
(d)対照から得られた第2の試料において工程(a)〜(c)を繰り返して、第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されるかどうかを決定する工程、
(e)第1の試料において同定された関係が第2の試料において同定されない場合、前記比が神経疾患のバイオマーカーであると結論付ける工程
をさらに含む。

0110

本発明において考慮される通り、神経疾患のバイオマーカー比の検証は、少なくとも1つの単離された分子のレベルを測定すること、そのレベルを、少なくとも1つの他の関連する単離された分子のレベルと相関させること、および次の数的関係を決定することを含む。

0111

次いで、前記比を、神経疾患に特徴的であると以前に定義されたバイオマーカーのレベルと比較して、関係を同定する。続いて、この関係を対照試料において評価して、比が神経疾患のバイオマーカーであるかどうかを結論付ける。

0112

本特許請求される方法において、第2の分子または第2の単離された分子などの関連する形態の分子は、ある程度の類似性を有するものである、同じ起源分子から誘導することができる、および/または第1の分子もしくは第1の単離された分子などの別の分子との共有される特性もしくは属性のため、一緒グループ化することができる。例えば、ポリペプチドの文脈においては、疾患状態を示す関連するバイオマーカーは、同じ親分子に基づくか、またはそれから誘導されるポリペプチド(例えば、転写後のDNA、もしくは翻訳後のmRNAなどの同じポリヌクレオチドからコードされる、または酵素的切断などの翻訳後改変)を含んでもよい。

0113

従って、哺乳動物における神経疾患の存在に関して特定の生物学的状態を示すものと認識される関連する形態の分子は、互いに関連すると見られるが、当業界で公知の手段によってその検出を可能にすることができるある程度の変動を有するものである。好ましくは、神経疾患の決定のための関連する形態のバイオマーカーは、一例においては、複数のアイソフォーム中に存在するタンパク質であってもよい。従って、分子(例えば、第1および第2の)はアイソフォームとして関連するのが好ましい。

0114

当業界で用いられる場合、タンパク質アイソフォームとは、同じ遺伝子によりコードされるが、その等電点(pI)もしくは分子量(MW)、またはその両方などの特定の属性に関して差異を有するポリペプチドの変異体を指す。本明細書で用いられるタンパク質アイソフォームは、予想された/野生型ポリペプチドと、その任意の天然の変異体との両方を含むとさらに考えられる。そのようなアイソフォームは、そのアミノ酸組成における差異のため生じてもよく(例えば、選択的mRNAもしくはプレmRNAプロセシング、例えば、選択的スプライシングもしくは限定的タンパク質分解の結果として)、さらに、またはあるいは、示差的翻訳後改変(例えば、グリコシル化、アシル化、リン酸化)から生じてもよく、または代謝的に変化してもよい(例えば、断片化される)。アイソフォームは、単独で、または組み合わせて存在してもよく、またはAβなどの別の分子と複合体化してもよい。

0115

タンパク質アイソフォームはまた、タンパク質アイソフォームと類似するか、または同一の機能を有するポリペプチドを含んでもよいが、そのタンパク質アイソフォームのアミノ酸配列と類似するか、もしくは同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそのタンパク質アイソフォームのものと類似するか、もしくは同一である構造を有する必要は必ずしもないことが企図され得る。

0116

本明細書で用いられる場合、ポリペプチドのアミノ酸配列は、それが以下の基準:(a)ポリペプチドがタンパク質アイソフォームのアミノ酸配列と少なくとも30%(より好ましくは、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を有する;(b)ポリペプチドが、タンパク質アイソフォームの少なくとも5アミノ酸残基(より好ましくは、少なくとも10アミノ酸残基、少なくとも15アミノ酸残基、少なくとも20アミノ酸残基、少なくとも25アミノ酸残基、少なくとも40アミノ酸残基、少なくとも50アミノ酸残基、少なくとも60アミノ酸残基、少なくとも70アミノ酸残基、少なくとも80アミノ酸残基、少なくとも90アミノ酸残基、少なくとも100アミノ酸残基、少なくとも125アミノ酸残基、もしくは少なくとも150アミノ酸残基)をコードするヌクレオチド配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされるか;または(c)ポリペプチドが、タンパク質アイソフォームをコードするヌクレオチド配列と少なくとも30%(より好ましくは、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%)同一であるヌクレオチド配列によりコードされる、のうちの少なくとも1つを満たす場合、タンパク質アイソフォームのものと「類似する」か、または関連する。本明細書で用いられる場合、タンパク質アイソフォームのものと類似する構造を有するポリペプチドは、そのタンパク質アイソフォームのものと類似する二次、三次または四次構造を有するポリペプチドを指す。ポリペプチドの構造を、限定されるものではないが、X線結晶解析核磁気共鳴、および結晶電子顕微鏡観察などの、当業者には公知の方法によって決定することができる。

0117

従って、複数の関連する形態の分子が存在する場合、これらのものを、同じ特定の親分子から誘導される多数のアイソフォームであると見ることができる、および/または同じ親分子との高い程度の類似性を有することができると企図され得る。本発明において提供されるバイオマーカーはいずれも、その遺伝子およびタンパク質同義語をも含むと考えられる。

0118

分子の比を決定する様式の例においては、2つの個々の分子を画像分析により定量化し、2Dゲルからの特定のタンパク質スポットの強度の測定を提供する。そのような例においては、分子レベルの定量化されたレベルに基づく比を、
(分子1のレベル/分子2のレベル)=分子の比
として表すことができる。

0119

次いで、調査される哺乳動物から得られる分子レベルの比を、神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると定義された以前に決定されたバイオマーカーと比較して、理想的には比の間の統計的に有意な関係を同定することができる。

0120

バイオマーカーを検証するため、またはそれを診断剤もしくは予後診断剤として使用するために本発明の方法を適用する際に、哺乳動物における神経疾患の存在または性質に関する臨床的な、またはほぼ臨床的な決定を、検証されたバイオマーカーのレベルまたは比に基づいて行うことができると考えられる。しかしながら、臨床決定は、確定診断に関して結論的なものであっても、またはなくてもよい。当業者であれば、診断が、可能性のある疾患または障害を決定または同定することを試みるプロセス、およびこのプロセスによって到達した意見を指すことを理解できる。

0121

さらに、バイオマーカーの診断能力を特徴付ける際に、当業者はバイオマーカーに関する診断カットオフを算出することができる。このカットオフは、値、レベルまたは範囲であってもよい。診断カットオフは、可能性のある疾患または障害を決定または同定することを試みるプロセスを補助する値、レベルまたは範囲を提供するべきである。

0122

例えば、バイオマーカーのレベルは、そのレベルが診断カットオフよりも上である場合、疾患にとって診断的であってもよい。あるいは、当業者であれば理解できるように、バイオマーカーのレベルは、そのレベルが診断カットオフよりも下である場合、疾患にとって診断的であってもよい。

0123

それぞれの潜在的なバイオマーカーに関する診断カットオフを、当業者には公知のいくつかの統計分析ソフトウェアプログラムを用いて誘導することができる。例として、診断カットオフを決定する一般的な技術は、正常な個体の平均を決定すること、ならびに例えば、規定の感度および特異度の値を用いる±2SDおよび/またはROC分析を用いることを含む。典型的には、80%を超える感度および特異度が許容されるが、これはそれぞれの疾患状況に依存する。診断カットオフの定義は、試験が開発されたものと異なる臨床設定において用いられる場合、再誘導する必要があってもよい。これを達成するために、対照個体を測定して、平均±SDを決定する。当業者であれば、対照個体から得られた測定値の外側にあるか、またはそれから離れた±2Dを用いて、正常範囲の外側の個体を同定することができることを理解できる。正常範囲の外側にある個体は、疾患について陽性であると考えることができる。次いで、新しい臨床設定において得られた値を、歴史上の値と比較して、古い診断基準が統計検定によって判定されるように依然として適用可能であるかどうかを決定することができる。疾患状態を有することが知られる個体もまた、分析に含有させることができる。疾患状態と対照状態の試料の両方が利用可能である状況では、選択された感度および特異度、典型的には80%を示すROC分析方法を選択して、疾患を示す診断値を決定することができる。また、診断カットオフの決定を、当業者には公知の統計モデルを用いて決定することもできる。

0124

また、尤度比受信者操作特性(ROC)分析から得られ、以下のように算出される:
尤度比=感度/(1.0−特異度)。

0125

比は、所与の値を有する個体が何倍多く疾患を有する可能性があるかを示すものである。例えば、ある人が3の尤度比を有する場合、彼らは試験で陰性を示したある人よりも疾患を有する可能性が3倍高い。同様に、バイオマーカーに適用される通り、高い尤度比は、マーカーが神経疾患のためのバイオマーカーである可能性が高いことを示す。

0126

同様に、本発明の方法により同定されたバイオマーカーを、神経疾患の予後診断における補助を提供するのに用いることができ、神経疾患の存在、または性質に関する前臨床決定の評価を行うのを補助すると考えられる。これは、哺乳動物が神経疾患を発症する有意に増大した確率を有することを見出すことを指すと考えられる。

0127

本発明の方法により同定されたバイオマーカーを、神経疾患の存在の予後評価を提供する際に当業界で公知の神経疾患の臨床評価の他の方法と組み合わせて用いることもできることが企図される。

0128

神経疾患を有すると疑われる哺乳動物の疾患状態の確定診断を、PETおよびMRIなどのイメージング技術などによるか、または例えば、PETと共に用いられる場合、PiBなどの診断ツールを援用して(そうでなければPiB−PETと呼ばれる)、正当ならば検証または確認することができる。

0129

試料において同定された第1および第2の単離された分子を、Aβ、アミロイド前駆体タンパク質セルピンファミリーのタンパク質の任意のメンバーリポタンパク質ファミリーの任意のメンバー、または急性期炎症応答と関連するタンパク質を含む群から選択することができる。しかしながら、第2の単離された分子は、第1の単離された分子の関連する形態である。好ましくは、哺乳動物に由来する試料において同定された第1または第2の単離された分子を、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択することができる。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0130

あるいは、第1または第2の単離された分子は、Aβと複合体化する。この選択肢においては、好ましくは、第2の単離された分子は、Aβと共に、またはそれとの複合体にある、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0131

本発明の別の態様においては、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)、統合失調症および/または抑鬱症を含む群から選択される神経疾患の診断、示差的診断および予後診断を行うことができる、神経疾患のためのバイオマーカーが提供される。好ましくは、バイオマーカーは、アルツハイマー病(AD)またはパーキンソン病(PD)の診断、示差的診断および予後診断を行うことができる。バイオマーカーを、Aβ、アミロイド前駆体タンパク質、セルピンファミリーのタンパク質の任意のメンバー、リポタンパク質ファミリーの任意のメンバー、または急性期炎症応答と関連するタンパク質を含む群から選択することができる。しかしながら、第2の単離された分子は、第1の単離された分子の関連する形態である。好ましくは、哺乳動物に由来する試料において同定された第1または第2の単離された分子を、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択することができる。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0132

最も好ましくは、ADのためのバイオマーカーは、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、アルファ−1−ミクログロブリンまたはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される。最も好ましくは、ADのためのバイオマーカーは、抗トロンビンIIIまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームである。好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのBまたはJである。

0133

最も好ましくは、PDのためのバイオマーカーは、アルファ−1−ミクログロブリンまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームである。好ましくは、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームは、アイソフォームEまたはGである。

0134

様々な実施形態において、神経疾患を予後診断するか、またはその診断を補助するための本特許請求される方法により同定される検証されたバイオマーカーおよび/または臨床マーカーにより達成される感度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。様々な実施形態においては、神経疾患を予後診断するか、またはその診断を補助するための方法におけるバイオマーカーのセットの使用により達成される特異度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。様々な実施形態においては、神経疾患を予後診断するか、またはその診断を補助するための方法における検証されたバイオマーカーから達成される全体の精度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態においては、感度および/または特異度は、神経疾患の臨床診断に対して測定される。

0135

第1の分子を神経疾患のバイオマーカーとして検証する際に、第1と第2の分子のレベルの間で比を作成することができる。好ましくは、この比は、第2の分子が第1の分子の関連する形態である場合、第1の分子のアイソフォームの間で作成される。第1の分子が抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される場合、比は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択されるアイソフォームの間で作成される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、またはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0136

好ましくは、第1の分子がATIIIである場合、比は、限定されるものではないが、A/J、B/JまたはC/Jなどの、少なくともアイソフォームA、B、CとJの間で作成される。

0137

好ましくは、第1の分子がSAPである場合、比は、好ましくはアイソフォームFとJの間で作成される。

0138

好ましくは、第1の分子がApoJである場合、比は、好ましくはアイソフォームA、BとDの間で作成される。

0139

好ましくは、第1の分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比は、好ましくはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成される。

0140

本発明の別の態様においては、
(a)患者から第1の試料を取得する工程;
(b)第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する分子を単離および同定し、前記分子を本明細書に記載の神経疾患のためのバイオマーカーとして検証する工程;
(c)工程b)で同定された分子のレベルに基づいて、患者が神経疾患を有すると診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを決定する工程
を含む、患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法が提供される。

0141

さらに別の態様においては、
(a)患者から試料を取得する工程;
(b)試料から、本明細書に記載の方法に従って検証された少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーを単離および同定する工程;
(c)工程(b)からバイオマーカーのレベルを決定する工程;
(d)工程(b)で同定された2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの間の比を作成する工程;
(e)参照比と比較した比の値に基づいて、哺乳動物が神経疾患を有すると診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを、工程(d)で作成された比から結論付ける工程
を含む、患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法が提供される。

0142

従って、本発明は、本明細書に記載のように同定された、哺乳動物が神経起源の疾患を有するか、もしくは発症する可能性があるかどうかを決定するため、または認知機能低下について哺乳動物を評価するために用いることができるバイオマーカーならびにその天然の誘導体およびアイソフォームの使用にさらに関する。特に、本発明は、哺乳動物の新皮質における、ベータアミロイドなどのアミロイドおよび/またはアミロイド断片の存在の増大との関係を有する神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断にとって有用である。より特には、本発明は、PiB−PET試験またはAV−45測定から得られた測定値と相関する方法を提供する。

0143

本発明の方法はまた、神経疾患について哺乳動物を評価するために予備スクリーニングまたは予後診断様式で用いることもでき、正当ならば、さらなる確定診断を、例えば、PiB−PETを用いて行うことができる。さらに、本発明の方法により同定されるバイオマーカーは、以前に検証された診断試験、特に、PiB−PET評価を用いる臨床評価のための患者を選択するのに有用であってもよい。

0144

本発明に関連があると考えられる神経疾患は、特に限定されるものではないが、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、レヴィ小体認知症(DLB)、多発脳梗塞性認知症(MID)、血管性認知症(VD)および/または抑鬱症を含むものである。本発明の方法の使用により診断する、示差的に診断する、および/または予後診断することができる好ましい疾患は、ADまたはPDである。

0145

本発明の方法を適用する際に、哺乳動物における神経疾患の存在または性質に関する臨床決定またはほぼ臨床決定を行うことができ、これは確定診断に関して結論的なものであっても、またはなくてもよいと考えられる。当業者であれば、診断とは、可能性のある疾患または障害を決定または同定することを試みるプロセス、およびこのプロセスによって到達される意見を指すことを理解できる。

0146

同様に、本発明の方法は、神経疾患の予後診断における補助を提供する際に用いることができ、神経疾患の存在、または性質に関する前臨床決定の評価を行うのを補助すると考えられる。これは、哺乳動物が神経疾患を発症する有意に増大した確率を有すると見出すことを指すと考えられる。

0147

当業者であれば、神経疾患の存在についての臨床決定は、必ずしも限定されるものではないが、記憶および/または心理試験、言語機能障害および/または他の重要な認知障害(失行、計算不能症および左右識別障害など)の評価、判断機能低下および一般問題解決困難の評価、進行性の消極性から顕著な動揺までの人格変化の評価を含む評価に関連すると考えられることを理解できる。本発明の方法はまた、神経疾患の存在の予後的評価を提供する際に当業界で公知の神経疾患の臨床評価の他の方法と組み合わせて用いることもできることが企図される。

0148

神経疾患を有すると疑われる哺乳動物の疾患状態の確定診断を、PETおよびMRIなどのイメージング技術などによるか、または例えば、PETと共に用いられる場合、PiBなどの診断ツールを援用して(そうでなければPiB−PETと呼ばれる)、正当ならば検証または確認することができる。従って、本発明の方法を、予備スクリーニングまたは予後診断様式で用いて、神経疾患について哺乳動物を評価することができ、正当ならば、さらなる確定診断を、例えば、PiB−PETを用いて行うことができる。

0149

本発明は、特定のバイオマーカーのレベルまたは相関が、同じ神経疾患を有さないと決定された哺乳動物から得られた試料における同じバイオマーカーのレベルまたは相関と比較した場合に神経疾患を有すると決定された哺乳動物から得られた試料において有意に変化するという知見に基づくものである。

0150

本発明の方法により検査される、診断される、示差的に診断される、または予後診断される哺乳動物は、ヒト哺乳動物または非ヒト哺乳動物であってもよい。非ヒト哺乳動物は、必ずしも限定されると考えられないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、サル、ウサギ、野ウサギ、イヌ、ネコ、マウスまたはラットである。一実施形態においては、哺乳動物は霊長類である。好ましい実施形態においては、哺乳動物はヒトであり、より好ましくは、哺乳動物はヒト成人である。

0151

本発明の方法の適用における特定の対象となるバイオマーカーは、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームから誘導することができる、またはそれと類似する関連する形態のバイオマーカーである。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドPのアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。好ましくは、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリンのタンパク質およびアイソフォームまたはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームが、本発明の方法に従って用いられる。

0152

神経疾患の存在の評価を提供する際に、試料は問い合わせのために哺乳動物から得られる。本発明の実施において理解される試料とは、一般に、生物材料の任意の供給源、例えば、体液、脳抽出物末梢血またはバイオマーカーの存在の問い合わせのために得ることができる生物材料の他の任意の供給源を指す。

0153

従って、これは、例えば、哺乳動物から取得することができ、予後診断、診断またはモニタリング様式で用いることができる様々な試料型を含んでもよい。これらのものとしては、必ずしも限定されるものではないが、血液(全血を含む)、血漿、血清、血液溶解物、リンパ液、滑液、髄液、尿、脳脊髄液、精液、糞便、痰、粘液、羊水、涙液、嚢胞液、汗腺分泌物、胆汁、乳汁、涙または唾液が挙げられる。バイオマーカーについて問い合わせることができる試料のさらなる例としては、培養された細胞、組織、細菌およびウイルス培地上清ならびに細胞、組織、細菌またはウイルスから得られる溶解物が挙げられる。細胞および組織を、上記の任意の単細胞型または多細胞生物から誘導することができる。

0154

好ましくは、バイオマーカーを本発明の実施において決定する試料は、哺乳動物から得られる生物試料である。本発明のより好ましい実施形態においては、試料は哺乳動物に由来する血液である。

0155

血液試料は、例えば、血小板リンパ球多形核細胞、マクロファージ赤血球などの血液中に存在する様々な細胞型を含んでもよく、全血または当業者には周知のその画分の誘導体を含んでもよい。かくして、血液試料はまた、様々な分画形態の血液を含むか、または特定のアッセイにおける保存または加工を容易にするために添加される様々な希釈剤または界面活性剤を含んでもよい。そのような希釈剤および界面活性剤は当業者には周知であり、様々なバッファー保存剤などを含む。これは、試薬を用いる処理、可溶化、またはある特定の成分(タンパク質もしくはポリヌクレオチドなど)の富化などの、その調達後に任意の方法で操作された試料を含むと考えられる。

0156

本発明の方法を用いて神経疾患の存在について哺乳動物を評価する際に、試料中のバイオマーカーのレベルを得るために、哺乳動物に由来する試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の定量化が必要である。

0157

バイオマーカーのレベルを決定する前に、試料は、本明細書に記載のようにヘパリン結合親和性を有するバイオマーカーとして作用する分子を同定するために加工される。本発明者らは、ヘパリン結合親和性を有する分子を測定して、神経疾患を診断する、示差的に診断する、または予後診断することができると同定した。一度、本明細書に記載のように、分子が同定され、バイオマーカーとして決定されたら、そのバイオマーカーまたは分子を分析して、哺乳動物が神経疾患を有するかどうかを決定することができる。

0158

一般に、特定のバイオマーカーのレベルは、問い合わされる試料中の特定のバイオマーカーの量に対する参照であると考えられる。例えば、バイオマーカーのレベルを、一次測定技術により決定および定量することができ、それはバイオマーカー自体の量または濃度の直接的測定値であってもよい。従って、バイオマーカーの量を、哺乳動物に由来する試料中の特定の分子の数を検出することにより評価することができる。バイオマーカーまたは分子のレベルを、本明細書に記載のように決定することができる。

0159

従って、神経疾患と関連するバイオマーカーを、当業者には公知の任意の方法によって検出し、可能である場合、定量することができると考えられる。これらの方法は、本明細書に記載される。

0160

別の態様において、
(a)患者から第1の試料を取得する工程、
(b)第1の試料から、ヘパリン結合親和性を有する第1および第2のバイオマーカーのレベルを単離および同定する工程であり、第1および第2のバイオマーカーは関連しており、第1および第2のバイオマーカーが本明細書に記載の神経疾患のためのバイオマーカーとして検証される、
(c)第1および第2の単離された分子のレベルの間の比を作成して、作成比を提供する工程、
(d)対照から得られた第2の試料において工程(b)〜(c)を繰り返して、参照比を提供する工程、
(e)第1の試料において同定された作成比と、第2の試料において同定された参照比とを比較する工程、
(f)作成比と参照比との差異に基づいて神経疾患状態を結論付ける工程
を含む、患者における神経疾患の診断、示差的診断および/または予後診断のための方法が提供される。

0161

哺乳動物が神経疾患を発症する可能性があるかどうかを認識する能力は、試料中の少なくとも2つの特定の関連する形態のバイオマーカーのそれぞれのレベルの定量、および比較を、哺乳動物の新皮質アミロイド量の指示を与えるように行うことができるという本発明者らによる同定から得られる。

0162

本発明において定量および比較されるバイオマーカーは、同じ試料から取得することができるバイオマーカーである。従って、同じ試料に由来するバイオマーカーレベルを比較することによる、少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのこの同時的比較によって、相対的比較が行われ、バイオマーカーレベルの内部検証が確保される。これは、哺乳動物間に存在し得る、試料中のバイオマーカーレベルの内部標準化と見なすことができるバイオマーカーのレベル間のサンプル間変動性などの側面を除去すると見られる。

0163

少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのそれぞれのレベルを比較することによって、比を作成することができる。この比を、2つを超える関連する形態のバイオマーカーから作成することができる。それらを、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10の関連する形態のバイオマーカーから作成することができる。次いで、特定のバイオマーカー間で作成される比を用いて、例えば、参照比を提供するのと類似する様式で得られた対照哺乳動物に由来する比に対してさらに比較することにより、哺乳動物が神経疾患を有するか、または神経疾患が存在しないかどうかを予後診断的または診断的に評価することができる。

0164

当業者であれば、用語「比」または「複数の比」が、評価されるバイオマーカーのレベルの間の関係および検査されるバイオマーカーのレベルの相対割合の差異を明示的に示す関係を指すことを理解できると考えられる。そのようなものとして、比または複数の比という用語は、第2のバイオマーカーのレベルと比較した場合の1つのバイオマーカーの相対レベルまたは比例レベルを表す。

0165

従って、例として、ある形態の関連するバイオマーカーと別の関連する形態のバイオマーカーのレベル間の関係または比は、親形態のバイオマーカーのレベルと、親バイオマーカーから誘導されるその後の断片のレベルとの差異であってもよい。一例においては、これは、親バイオマーカーの総レベルと、一例においては、全タンパク質および酵素的消化の下でそれから切断されるポリペプチド断片などの、その親バイオマーカーに由来する切断された断片のレベルとの差異と関連してもよい。好ましくは、関連する形態のバイオマーカーのレベル間の比は、タンパク質アイソフォーム間の関係であってよく、親タンパク質およびその親タンパク質から誘導されるアイソフォームの総量の間の差異である。好ましい実施形態においては、比は、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖およびそれらの天然の誘導体を含む群から選択されるタンパク質から誘導されるアイソフォームと、親タンパク質である抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームとの間のものである。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0166

好ましくは、分子がATIIIである場合、比は、限定されるものではないが、A/J、B/JまたはC/Jなどの少なくともアイソフォームA、B、CおよびJの間で作成される。

0167

好ましくは、分子がSAPである場合、比は、好ましくはアイソフォームFとJの間で作成される。

0168

好ましくは、分子がApoJである場合、比は、好ましくはアイソフォームA、BおよびDの間で作成される。

0169

好ましくは、第1の分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比は、好ましくはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成される。

0170

かくして、特定のバイオマーカーのレベルの測定に基づく作成比のシフトまたは変化は、比の作成において比較される少なくとも2つの形態のバイオマーカーの1つのレベルの増加または減少(全非存在を含む)によるなど、1つのバイオマーカーのレベルの変化により起こると予測することができる。

0171

哺乳動物が神経疾患を有するかどうかを識別することができる比を提供することができる本発明において同定されるバイオマーカーは、対照哺乳動物の様々な群から得られる試料中のバイオマーカー間に存在する比を評価した後、これを比較することによって初めて同定された。これにおいて、神経疾患を有する哺乳動物(陽性対照哺乳動物を代表すると考えられる)から得られる試料中の様々な形態のバイオマーカーの比を、神経疾患を有さない哺乳動物(陰性対照哺乳動物を代表すると考えられる)から得られる試料中の同じ形態のバイオマーカーの比と比較する。

0172

哺乳動物が神経疾患を有するか、または発症する可能性があることの指示は、新皮質アミロイド量のレベルが増加していないと決定された哺乳動物(陰性対照哺乳動物)と比較した場合、新皮質アミロイド量のレベルが増加した哺乳動物(陽性対照哺乳動物)に由来する試料における特定の形態の関連するバイオマーカーのレベルの評価に基づくものである。特定の関連するバイオマーカーの異なるレベルのこの評価は、哺乳動物における理論的新皮質アミロイド量に基づく予後診断試験の開発のため、診断試験のため、および/または神経疾患の示差的診断のための基礎である。

0173

哺乳動物が神経疾患を有するかどうかの評価を、バイオマーカーに関する診断カットオフおよび本明細書に記載のマーカーについて決定される尤度比により決定することができる。

0174

対照哺乳動物から得られる試料に由来する少なくとも2つの形態の関連するバイオマーカーの間の比を決定することにより、神経疾患状態に特徴的な比を作成し、参照比を提供することができる。関連するバイオマーカー間の比を定量および作成する際に、試料が最初に得られた対照哺乳動物の適切な選択に応じて、神経疾患の様々な段階または状態を示すことができる一連の比または一定範囲の比を得ることができると考えられる。従って、そのような評価から得られる比を、哺乳動物における特定の疾患状態に特徴的である以前に定義された比と見なすことができる。当業者であれば、所与のバイオマーカー比について、対照哺乳動物から神経疾患に罹患している哺乳動物を識別するのに好適なカットオフ値を確立する方法も知っている。

0175

対照哺乳動物から得られた試料に由来する関連する形態のバイオマーカーに関する比を決定する際に、この情報が一連の参照レベル範囲を作成しに行くことができることがさらに理解される。これらの参照レベル範囲は、対照哺乳動物から提供される比に基づいて哺乳動物の特定の疾患状態に特徴的であってもよい。従って、当業者であれば、比の好適な参照範囲、または対照哺乳動物もしくは神経疾患に罹患している哺乳動物に特徴的な範囲を、本発明の方法によって提供することもできることを理解できる。

0176

好ましくは、新皮質アミロイド量と関連する神経疾患の哺乳動物における診断および/または予後診断のための方法における使用のための比の作成は、哺乳動物に由来する試料中の少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを測定すること、およびバイオマーカーのレベルの比を決定することにより提供される。特に、本発明の方法に従って定量されるバイオマーカーを、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択することができる。好ましくは、ADについて、バイオマーカーは、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、およびapoJ(クラステリン)またはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択される。PDについては、バイオマーカーは、アルファ−1−ミクログロブリンまたはその天然の誘導体もしくはそのアイソフォームであってもよい。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0177

好ましくは、分子がATIIIである場合、比は、限定されるものではないが、A/J、B/JまたはC/Jなどの少なくともアイソフォームA、B、CおよびJの間で作成される。

0178

好ましくは、分子がSAPである場合、比は、好ましくはアイソフォームFとJの間で作成される。

0179

好ましくは、分子がApoJである場合、比は、好ましくはアイソフォームA、BおよびDの間で作成される。

0180

好ましくは、第1の分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比は、好ましくはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成される。

0181

本発明において考慮されるように、比の作成は、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定すること、そのレベルと、少なくとも1つの他の関連するバイオマーカーのレベルとを比較すること、および次の数的関係を決定することを含む。かくして、バイオマーカー比は、例えば、さらなる検査を実施することができる出発点または同等の所定の比との相互参照を行うことができる点を提供することができるため、バイオマーカー比は本発明において考慮される様々な使用において広く適用可能である。測定されるバイオマーカーが同じ試料に由来するものである場合に正常化効果を提供する固有の能力のため、バイオマーカー比は、そのバイオマーカー比が個体間に存在し得る食い違いに対して脆弱ではないことを意味する。

0182

哺乳動物の神経疾患状態を示すと特徴付けられる参照比を、未知の神経疾患状態を有する哺乳動物における神経疾患の診断または予後診断において用いることができる。試料が未知の神経疾患状態を有する哺乳動物から採取され、特定の神経疾患または疾患状態に特徴的な比が作成される(作成比)場合、これは可能である。従って、哺乳動物に由来するこの作成比を、以前に定義された比(参照比)と比較して、未知の疾患状態の哺乳動物が疾患を有するかどうかの指示を提供することができる。かくして、前記哺乳動物に由来する作成比と、対照哺乳動物に由来する以前に定義された比(参照比)であるものとの相関は、疾患状態の可能性を示す。

0183

次いで、調査される哺乳動物から得られるバイオマーカーレベルの比を、調査される哺乳動物の疾患状態の診断的または予後診断的評価に達する対照に基づいて、以前に決定された参照比の範囲と比較することができる。次いで、予後診断または診断の下にある哺乳動物について得られる比を、この比の参照範囲と比較することもでき、この比較に基づいて、哺乳動物が罹患している神経疾患に関して結論を引き出すことができる。

0184

神経疾患状態を有する対照哺乳動物に由来するバイオマーカーの以前に決定された比(参照比)に基づいて、バイオマーカー間の比を用いて、哺乳動物に存在する新皮質アミロイドの量を予測するのを補助することもできる。従って、哺乳動物に由来する試料中のバイオマーカー比を、一定範囲の以前に決定された比と比較して、対象の哺乳動物における新皮質アミロイド量の予想されるレベルを外挿することもできる。哺乳動物に由来する試料中に存在するバイオマーカーの比に基づく新皮質アミロイド量の外挿されたレベルは、従って、診断された対照哺乳動物について得られた比と比較して哺乳動物の神経疾患状態を分類することができる。

0185

好ましくは、哺乳動物における神経疾患の存在または非存在の評価のための比の作成は、哺乳動物から得られた試料における、単独で、または組み合わせた、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖ならびにそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む群から選択されるタンパク質から誘導されるタンパク質およびアイソフォームのレベルの定量化により行う。特定の好ましい実施形態においては、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリンのタンパク質およびアイソフォームまたはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームのレベルに基づく比の作成を用いて、哺乳動物が神経疾患を有するかどうかを診断および/または予後診断することができる。好ましくは、アイソフォームまたはその天然の誘導体は、抗トロンビンIIIのアイソフォームA、B、CもしくはJ、血清アミロイドP(SAP)のアイソフォームB、C、D、F、G、HもしくはJ、apoJのアイソフォームA、B、C、D、E、FもしくはGまたはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームA、B、C、D、E、F、G、HもしくはIを含む群から選択される。より好ましくは、アイソフォームは、ATIIIのアイソフォームA、BもしくはJ、SAPのアイソフォームF、BもしくはJまたはapoJのアイソフォームA、C、D、E、FもしくはG、アルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEもしくはGを含む群から選択される。

0186

好ましくは、分子がATIIIである場合、比は、限定されるものではないが、A/J、B/JまたはC/Jなどの少なくともアイソフォームA、B、CおよびJの間で作成される。

0187

好ましくは、分子がSAPである場合、比は、好ましくはアイソフォームFとJの間で作成される。

0188

好ましくは、分子がApoJである場合、比は、好ましくはアイソフォームA、BおよびDの間で作成される。

0189

好ましくは、第1の分子がアルファ−1−ミクログロブリンである場合、比は、好ましくはアルファ−1−ミクログロブリンのアイソフォームEまたはGの間で作成される。

0190

本発明の方法においては、抗トロンビンIII、血清アミロイドP、apoJ(クラステリン)、アルファ−1−ミクログロブリン、ANT3_HUMAN抗トロンビンIII、APOH_HUMANベータ2糖タンパク質、FIBB_HUMANフィブリノゲンベータ鎖、FIBA_HUMANフィブリノゲンアルファ鎖、C9JC84_HUMANフィブリノゲンガンマ鎖、ITIH2_HUMANインターアルファトリプシン阻害因子重鎖H2、HRG_HUMANヒスチジンリッチ糖タンパク質、B0UZ83_HUMAN補体C4ベータ鎖、CFAH_HUMAN補体因子H、HEP2_HUMANヘパリンコファクター2、およびE9PBC5_HUMAN血漿カリクレイン重鎖またはそれらの天然の誘導体もしくはそのアイソフォームを含む、1つまたは複数の神経疾患と関連する少なくとも2つのバイオマーカーを、哺乳動物の神経疾患状態を示すための比の作成において定量化する。2つのバイオマーカーの同時的評価による予測力を、少なくとも1つ(add least one)のさらなるバイオマーカーを追加することによって改善することができると考えられる。2つを超えるバイオマーカーの適切な組合せの検出は、方法の特異度および感度を増大させることが多い。従って、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のバイオマーカーの組合せを、本発明の方法において検出することができる。

0191

従って、上記方法のいずれかにおいて、少なくとも2つのバイオマーカーの検出を、限定されるものではないが、アミロイドβペプチド、タウ、ホスホ−タウ、シヌクレイン、Rab3a、および神経糸タンパク質などの、神経疾患のための1つまたは複数のさらなる公知のバイオマーカーの検出と適宜組み合わせて、哺乳動物が神経疾患を有するかどうかの予測評価を改善することができる。

0192

本発明の方法の実施において理解されるように、神経疾患の予後の評価は変化することがあり、感度を増大させることができる場合には改善し得る。神経疾患の従来の予後は、医療専門家には公知であり、認識され、使用される臨床神経心理学または行動評価などの任意の1つまたは複数の公知の臨床基準に従って決定または確認できる。

0193

従って、少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの定量化の後、哺乳動物における神経疾患を決定する特異度を潜在的に改善し得るさらなるバイオマーカーを追加することができることが企図される。例えば、本発明の予測能力または診断能力を、CDR(臨床認知症評価)または体格指数などの哺乳動物のさらなる臨床マーカー値から得られた追加データを含有させることにより改善することができる。

0194

従って、本発明の方法は、少なくとも2つの関連する形態の本明細書に記載のバイオマーカーの比を比較することをさらに考慮し、生物試料のセットが得られた個体のCDRまたは体格指数などの臨床マーカー値をさらに含んでもよい。

0195

様々な実施形態においては、神経疾患の予後診断または診断補助のための方法におけるバイオマーカーおよび/または臨床マーカーのセットの使用により達成される感度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。様々な実施形態においては、神経疾患の予後診断または診断補助のための方法におけるバイオマーカーのセットの使用により達成される特異度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。様々な実施形態においては、神経疾患の予後診断または診断補助のための方法におけるバイオマーカーのセットの使用により達成される全体の精度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%である。いくつかの実施形態においては、感度および/または特異度は、神経疾患の臨床診断に対して測定される。

0196

本発明のさらなる態様において、哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングするための方法であって、
(a)神経疾患について以前に評価された哺乳動物から得られたさらなる試料において、哺乳動物において以前に評価されたヘパリン結合親和性を有する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化する工程;
(b)工程(a)における少なくとも2つの形態の関連するバイオマーカーのレベル間の比を作成して、作成比を提供する工程;
(c)工程(b)の作成比と、神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された参照比とを比較する工程であり、参照比は、少なくとも1つの対照哺乳動物から得られた試料において工程(a)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成され、少なくとも1つの対照哺乳動物は、神経疾患について陽性または陰性であってもよい、工程;および
(d)工程(b)の作成比を、少なくとも1つの対照哺乳動物について神経疾患に特徴的であると以前に定義された範囲の参照比と相関させることによって、神経疾患について以前に評価された哺乳動物の神経疾患状態が変化したかどうかを、工程(c)における比較から結論付ける工程
を含む、前記方法が提供される。

0197

任意の1つまたは複数のバイオマーカーのレベルの変化を、哺乳動物の新皮質アミロイド量の任意の変化について評価するのに有用であり得る比を決定する際にさらに用いることができる。従って、哺乳動物に由来する試料中のバイオマーカーのレベルのモニタリングにおいて、長期間にわたって哺乳動物における神経疾患の存在についてモニタリングするか、または哺乳動物における疾患進行を追跡することが可能である。

0198

従って、哺乳動物に由来する生物試料に由来する任意の1つまたは複数のこれらのバイオマーカーのレベルの変化を用いて、認知機能を評価する、神経疾患を診断するか、またはその予後診断もしくは診断を補助する、および/あるいは患者における神経疾患をモニタリングする(例えば、哺乳動物における疾患進行を追跡する、および/または哺乳動物における医学的もしくは外科的療法の効果を追跡する)ことができる。

0199

バイオマーカーのレベルの変化は、対照哺乳動物と比較した、ある特定の神経疾患を有する哺乳動物における検査下でのバイオマーカーの出現もしくは消失または検査下でのバイオマーカーの増加もしくは減少と関連することが企図される。さらに、それは同じ哺乳動物について以前に採取された試料と比較したレベルの変化とも関連すると企図され得る。

0200

バイオマーカーのレベルを、1つより多い時点で哺乳動物から取得することもできることが企図される。そのような連続的サンプリングは、哺乳動物における神経疾患の進行のモニタリングと関連する本発明の方法により実現可能であると考えられる。連続的サンプリングを、毎月、年4回(すなわち、3カ月毎)、半年毎、1年毎、2年毎、またはそれ以下の頻度などの任意の所望の予定表上で実施することができる。測定されたレベルと所定の比との比較を、新しい試料が測定される各時点で実行するか、またはレベルに関するデータをより低い頻度の分析のために保持することができる。

0201

本発明のさらなる態様において、神経疾患を発症するリスクがある哺乳動物を階層化または同定するための方法であって、
(a)哺乳動物から得られた試料において、本明細書に記載のヘパリン結合親和性を有する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化する工程;
(b)工程(a)における少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルの間の比を作成して、作成比を提供する工程;
(c)工程(b)の比と、神経疾患と診断された哺乳動物に特徴的であると以前に定義された参照比とを比較する工程であり、参照比は、少なくとも1つの対照哺乳動物から得られた試料において工程(a)の同じ関連するバイオマーカーのレベルを定量化した後に作成される、工程;
(d)工程b)の作成比を、少なくとも1つの対照哺乳動物について神経疾患に特徴的であると以前に定義された範囲の参照比と相関させることによって、哺乳動物が神経疾患と診断される、示差的に診断される、および/または予後診断されるかどうかを、工程c)における比較から結論付ける工程;ならびに
(e)工程d)の結論に基づいて、哺乳動物において示差的に診断された、および/または予後診断された神経疾患の重症度に基づいて異なるクラスの神経疾患に哺乳動物を選別する工程
を含む、前記方法が提供される。

0202

従って、任意の1つまたは複数の形態の関連するバイオマーカーのレベルの変化を用いて、哺乳動物を階層化する(すなわち、神経疾患の推定診断を有するか、または神経疾患と診断された哺乳動物を、異なるクラスの疾患に選別する)ことができる。哺乳動物の階層化は、典型的には、神経疾患に特徴的な特性に基づく哺乳動物の異なるクラスまたは階層への選別を指すと考えられる。例えば、神経疾患を有する哺乳動物の集団の階層化は、疾患の重症度に基づいて哺乳動物を割り当てることを含む。

0203

さらに、任意の1つまたは複数の関連するバイオマーカーのレベルの変化における評価を、神経疾患を発症するリスクがあり得る哺乳動物を同定する様式として用いることができる。哺乳動物が神経疾患を発症する可能性があると同定されたら、神経疾患を発症する素因を停止させるか、または減弱させることができる場合、それらを評価すべき潜在的な治療的介入としてさらに考慮することができると考えられる。神経疾患の進行または発症における介入の有効性を、神経疾患状態を示す比を作成するために用いられる関連するバイオマーカーの間の比の変化についてモニタリングすることにより可能とすることができる。

0204

本発明の方法を、治療モニタリングとも呼ばれる、哺乳動物に投与された療法の効果のモニタリング、および患者管理のためにさらに用いることができる。上記のように同定され、1つまたは複数の神経疾患と関連するバイオマーカーのレベルの変化を用いて、薬物処置に対する哺乳動物の応答を評価することもできる。このように、処置の開始後に哺乳動物におけるバイオマーカーのレベルおよび比を検査することにより、新しい処置レジメンを開発することもできる。

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