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課題・解決手段

本明細書において、第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域が報告され、該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる、ヒトFc受容体に対する親和性を有している。

概要

背景

背景
ほぼすべてのFc受容体は、抗体の対称Fc領域に非対称的に結合する。

例えば、ヒトFcγ受容体IIIAは、2つのFc領域ポリペプチド鎖上の異なるアミノ酸残基相互作用する。したがって、抗体とヒトFcγ受容体IIIAの相互作用を増大または減少させるためには、(例えば、下部ヒンジ領域の残基233〜238の位置に)非対称的に導入される変異を使用しなければならない。

しかし、ヒト新生児型Fc受容体FcRnとの相互作用は対称的であり:2つのFcRn分子が2:1の化学量論比で1つのIgGに結合することができる(例えば、Huber, A.W., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083(非特許文献1)を参照されたい)。したがって、非対称的に導入される変異によって、1つのFcRnへの/1つのFcRnによる結合は減少するが、両方への/両方による結合は減少しない。

非対称のIgG様分子の例には、次の技術を用いて、または次の形式を用いて得られたものが含まれるが、それらに限定されるわけではない:Triomab/クアドローマノブイントゥーホール(Knobs-into-Holes)、CrossMab、静電気的に組み合わせられた(matched)抗体、LUZ-Y、鎖交換操作ドメイン(Strand Exchange Engineered Domain)ボディ、Biclonic、およびDuoBody。

WO 2012/125850(特許文献1)において、Fc領域に非対称的置換を含み、ヒトFcγ受容体IIIAへの結合が増加し、ADCC活性が増大した、Fcを含むタンパク質が、報告されている。

WO 2012/58768(特許文献2)において、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離されたヘテロ多量体が報告されており、このヘテロ二量体 Fc領域は、高い安定性でのヘテロ二量体形成を促進するためのアミノ酸変異を含む変種CH3ドメインを含み、このヘテロ二量体Fc領域は、Fcγ受容体の選択的結合を促進するための非対称的アミノ酸修飾を含む変種CH2ドメインをさらに含む。

WO 2011/131746(特許文献3)において、2つの単一特異性出発タンパク質のCH3領域に非対称変異を導入することによって、Fabアーム交換反応強制的に方向性をもたせ、それによって安定性の高いヘテロ二量体タンパク質を得られることが報告されている。

Kimら(Kim, H., et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 49 (2008) 2025-2029(非特許文献2))は、網膜色素上皮組織および脈絡膜組織を除いて、毛様体および虹彩網膜結膜角膜水晶体、ならびに視神経束を含む眼組織が、予測されたサイズの位置にFcRn転写物の存在を示したことを報告している。血液眼関門がFcRn受容体発現を示したことから、眼組織から血液系へのIgG輸送がこの受容体を使用する可能性があることが示唆される。網膜のような内部眼組織は血液眼関門によって血液系から隔てられているため、硝子体内注射後、ほんの短期間で血液系において完全長抗体を検出することを人は予想しないであろう。しかし、サルおよびヒトから得られた最近の薬物動態学的データはいずれも、硝子体内注射後数時間以内に硝子体内ベバシズマブが血液中に現れることを示している。したがって、結膜リンパ管中のFcRn受容体の機能は、結膜空間から抗原-抗体IgG複合体を効率的に排除するための流出受容体(efflux receptor)として作用することである可能性がある。分子量は同様であるにもかかわらず、IgG(150kDa)は眼房水中で検出されたが、IgA(160kDa)は検出されなかった。血清から眼房水中への浸透がIgGとIgAとで一致しないことは、IgGに選択的であるFcRn受容体が存在することで説明できる。

Kimらは、直接的な硝子体内注射が、網膜障害の場合に後眼部に治療的抗体を送達するための一般的なアプローチとなったこともさらに報告している(Kim, H., et al., Mol. Vis. 15 (2009) 2803-2812(非特許文献3))。硝子体内に投与されたベバシズマブ(lgG)とニワトリIgYの両方とも内境界膜の関門を乗り越え、より奥の網膜構造体中に拡散した。網膜を通って拡散した後、ベバシズマブは血液網膜関門を通過し、体循環中に漏出した。網膜内ニワトリIgYは、血液網膜関門の反管腔側に沿って局在しただけであった。さらに、脈絡膜血管は、ニワトリIgYの存在について陰性であった。注射した用量の30%までに相当する、硝子体内投与後の生理学的に適切な血清レベルのベバシズマブが存在した。このことから、これまで認識されていたよりも大きな全身性副作用リスクが示唆される。血液眼関門は、完全長IgGを体循環中に輸送クリアランスするための特殊なメカニズムを明らかにする。Kimの最新の研究により、このメカニズムが新生児型Fc受容体であるという仮説裏付けられている。

US 2011/054151(特許文献4)において、抗原の二価および一価の同時共結合(co-engagement)のための組成物および方法が報告されている。

US 2011/236388(特許文献5)において、二重特異性二価抗VEGF/抗ANG-2抗体が報告されている。

WO 2010/121766(特許文献6)において、修飾されたFcRn結合部位を有する抗体融合タンパク質が報告されている。

Kim, J.K.らは、MHCクラスI関連受容体であるFcRnの結合のためのヒトIgG上の部位のマッピングを報告している(Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825(非特許文献4))。

Qiao, S.-W.らは、抗体を介した抗原提示がFcRnに依存することを報告している(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105 (2008) 9337-9342(非特許文献5))。

Kuo, T.T.らは、新生児型Fc受容体:免疫から治療物質へ(neonatal Fc receptor: from immunity to therapeutics)(J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789(非特許文献6))について報告している。

Firan, M.らは、MHCクラスI関連受容体であるFcRnが、ヒトにおけるγ-グロブリンの母胎間移動においてきわめて重要な役割を果たすことを報告している(Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献7))。

Vidarsson, G.らは、FcRnが、食作用において新規の役割を有する、食細胞上のIgG受容体であることを報告している(Blood 108 (2006) 3573-3579(非特許文献8))。

Gillies, S.D.らは、抗体-インターロイキン2融合タンパク質の有効性を、Fc受容体とのそれらの相互作用を減らすことによって向上させることを報告している(Cancer Res. 59 (1999) 2159-2166(非特許文献9))。

WO 2013/060867(特許文献7)において、ヘテロ二量体タンパク質の作製が報告されている。

概要

本明細書において、第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域が報告され、該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる、ヒトFc受容体に対する親和性を有している。

目的

したがって、結膜リンパ管中のFcRn受容体の機能は、結膜空間から抗原-抗体IgG複合体を効率的に排除するための流出受容体(efflux receptor)として作用することである

効果

実績

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請求項1

第1の変種Fc領域ポリペプチドと第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域であって、(a)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ該第2の変種Fc領域ポリペプチドが、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと同一であるかまたは異なり、かつ(b)該第1の変種Fc領域ポリペプチドが、該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1つまたは複数のアミノ酸残基において、該第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なり、かつ(c)該第1の変種Fc領域ポリペプチドと該第2の変種Fc領域ポリペプチドとを含む該IgGクラスFc領域が、ヒトFc受容体に対して、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域の親和性と異なる親和性を有している、IgGクラスFc領域。

請求項2

前記ヒトFc受容体が、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)またはヒトFcγIII受容体(FcγRIII)である、請求項1に記載のIgGクラスFc領域。

請求項3

前記ヒトFc受容体が前記ヒト新生児型Fc受容体である、請求項2に記載のIgGクラスFc領域。

請求項4

ヒトFc受容体に対する前記親和性が、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合に10%またはそれ以上増大または低下している、請求項1〜3のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項5

前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基が、ヘテロ二量体IgGクラスFc領域の形成を促進する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項6

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235Aを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235Eを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異K392Dを有しているヒトIgG1、IgG2、またはIgG4、および変異N392Dを有しているヒトIgG3を含む群より選択され、かつ(ii)前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、ヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、ヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235Aを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異L234A、L235A、P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235Eを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異S228P、L235E、P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチド、変異D399K、D356K、および/またはE357Kを有しているヒトIgG1、ならびに変異D399K、E356K、および/またはE357Kを有しているヒトIgG2、IgG3、またはIgG4を含む群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項7

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQID NO: 60、61、62、63、64、65、67、69、70、71、73、75、76、78、80、81、82、および84を含む群より選択されるアミノ酸配列を有しており、かつ(ii)前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 60、61、62、63、64、66、68、69、70、72、74、75、76、77、79、81、83、および85を含む群より選択されるアミノ酸配列を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項8

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(ii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235Aを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235Aを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(iii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329Gを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(iv)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(v)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異L234A、L235A、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(vi)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドがヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(vii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235Eを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235Eを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(viii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329Gを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(ix)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(x)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329G、S354C、T366Wを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異S228P、L235E、P329G、Y349C、T366S、L368A、Y407Vを有しているヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、あるいは(xi)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異K392Dを有しているヒトIgG1、IgG2、もしくはIgG4 Fc領域ポリペプチドであるか、または該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異N392Dを有しているヒトIgG3 Fc領域ポリペプチドであり、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異D399K、D356K、および/もしくはE357Kを有しているヒトIgG1 Fc領域ポリペプチドであるか、または該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、変異D399K、E356K、および/もしくはE357Kを有しているヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4 Fc領域ポリペプチドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項9

(i)前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQID NO: 60のアミノ酸配列を有しており、かつ前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 60のアミノ酸配列を有しているか、または(ii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 64のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 64のアミノ酸配列を有しているか、または(iii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 70のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 70のアミノ酸配列を有しているか、または(iv)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 68のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 67のアミノ酸配列を有しているか、または(v)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 74のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 73のアミノ酸配列を有しているか、または(vi)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 63のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 63のアミノ酸配列を有しているか、または(vii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 75のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 75のアミノ酸配列を有しているか、または(viii)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 76のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 76のアミノ酸配列を有しているか、または(ix)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 79のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 80のアミノ酸配列を有しているか、または(x)該第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 85のアミノ酸配列を有しており、かつ該第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドが、SEQ ID NO: 84のアミノ酸配列を有している、請求項1〜5および7のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項10

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1〜8個のアミノ酸残基において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項11

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1〜6個のアミノ酸残基において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項10に記載のIgGクラスFc領域。

請求項12

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、前記第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと前記第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとで異なるアミノ酸残基以外の1〜3個のアミノ酸残基において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項10または11に記載のIgGクラスFc領域。

請求項13

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、228、234、235、236、237、238、239、248、250、251、252、253、254、255、256、257、265、266、267、268、269、270、272、285、288、290、291、297、298、299、307、308、309、310、311、314、327、328、329、330、331、332、385、387、428、433、434、435、および436位(KabatのEU指標番号付与ステムに基づく番号付与)のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項14

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、228、234、235、236、237、238、239、253、254、265、266、267、268、269、270、288、297、298、299、307、311、327、328、329、330、331、332、434、および435位(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項1および2ならびに4〜13のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項15

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、233、236、265、297、329、および331位のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項1および2ならびに4〜14のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項16

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、アミノ酸改変E233P、ΔG236、D265A、N297A、N297D、P329A、およびP331Sのうちの1つまたは複数によって、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項15に記載のIgGクラスFc領域。

請求項17

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、248、250、251、252、253、254、255、256、257、272、285、288、290、291、308、309、310、311、314、385、386、387、428、432、433、434、435、および436位のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項1〜3および5〜13のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項18

前記第1の変種Fc領域ポリペプチドが、251、253、310、314、432、433、435、および436位のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数において、前記第2の変種Fc領域ポリペプチドと異なる、請求項17に記載のIgGクラスFc領域。

請求項19

前記第1のFc領域ポリペプチドが、(i)群I253A、H310A、およびH435A、または(ii)群H310A、H433A、およびY436A、または(iii)群L251D、L314D、およびL432D、または(iv)群L251S、L314S、およびL432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つによって、前記第2のFc領域ポリペプチドと異なり、かつ該第2のFc領域ポリペプチドが、変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つによって、該第1のFc領域ポリペプチドと異なり、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432Sのすべてが前記IgGクラスFc領域中に含まれる、請求項1〜3および5〜18のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項20

前記第1のFc領域ポリペプチドが、(i)群I253A、H310A、およびH435A、または(ii)群H310A、H433A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つによって、前記第2のFc領域ポリペプチドと異なり、かつ該第2のFc領域ポリペプチドが、変異I253A、H310A、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つによって、該第1のFc領域ポリペプチドと異なり、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436Aのすべてが前記IgGクラスFc領域中に含まれる、請求項1〜3および5〜18のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項21

変異I253A/H310A/H435AもしくはH310A/H433A/Y436AもしくはL251D/L314D/L432DもしくはL251S/L314S/L432Sまたはそれらの組合せを前記IgGクラスFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、(i)すべての変異が、前記第1のFc領域ポリペプチド中もしくは前記第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または(ii)1つもしくは2つの変異が、該第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、該第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432Sのすべてが該IgクラスFc領域中に含まれる、請求項1〜3および5〜18のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項22

変異I253A/H310A/H435AもしくはH310A/H433A/Y436Aまたはそれらの組合せを前記IgGクラスFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、(i)すべての変異が、前記第1のFc領域ポリペプチド中もしくは前記第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または(ii)1つもしくは2つの変異が、該第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、該第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、ならびに/または(ii)H310A、H433A、およびY436Aのすべてが該IgGクラスFc領域中に含まれる、請求項1〜3および5〜18のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項23

(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと(a)の第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含むIgGクラスFc領域よりも、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインAに対する結合が減少している、請求項1〜20のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項24

変異M252Y/S254T/T256Eを前記IgGクラスFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、(i)すべての変異が、前記第1のFc領域ポリペプチド中もしくは前記第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または(ii)1つもしくは2つの変異が、該第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、該第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、変異M252Y/S254T/T256Eのすべてが該IgGクラスFc領域中に含まれることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域。

請求項25

請求項1〜24のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域を含む、抗体。

請求項26

モノクローナル抗体である、請求項25に記載の抗体。

請求項27

ヒト抗体ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項25または26に記載の抗体。

請求項28

二重特異性抗体である、請求項25〜27のいずれか一項に記載の抗体。

請求項29

二価抗体である、請求項25〜28のいずれか一項に記載の抗体。

請求項30

ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む、FcRn結合が消失した二重特異性二価抗体である、請求項25〜29のいずれか一項に記載の抗体。

請求項31

ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む、FcRn結合が消失した二重特異性二価抗体であって、(α)該VEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン中にSEQID NO: 14のCDR3H領域、SEQ ID NO: 15のCDR2H領域、およびSEQ ID NO: 16のCDR1H領域を含み、かつ軽鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 17のCDR3L領域、SEQ ID NO: 18のCDR2L領域、およびSEQ ID NO: 19のCDR1L領域を含み、かつ(β)該ANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 22のCDR3H領域、SEQ ID NO: 23のCDR2H領域、およびSEQ ID NO: 24のCDR1H領域を含み、かつ軽鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 25のCDR3L領域、SEQ ID NO: 26のCDR2L領域、およびSEQ ID NO: 27のCDR1L領域を含み、かつ(γ)該二重特異性抗体が、請求項1〜24のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域を含む、二重特異性二価抗体。

請求項32

(α)前記VEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメインVHとしてSEQID NO: 20のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変ドメインVLとしてSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含み、かつ(β)前記ANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメインVHとしてSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を含み、かつ軽鎖可変ドメインVLとしてSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含み、かつ(γ)前記二重特異性抗体が、請求項1〜24のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域を含む、請求項31に記載の二重特異性抗体。

請求項33

請求項1〜24のいずれか一項に記載のIgGクラスFc領域を含む、Fc領域融合ポリペプチド

請求項34

請求項25〜32のいずれか一項に記載の抗体または請求項33に記載のFc領域融合ポリペプチドを含む、薬学的製剤

請求項35

血管疾患治療における使用のためである、請求項34に記載の薬学的製剤。

請求項36

医薬としての使用のための、請求項25〜32のいずれか一項に記載の抗体または請求項33に記載のFc領域融合ポリペプチド。

請求項37

眼血管疾患の治療のためである、請求項36に記載の使用。

請求項38

医薬の製造における、請求項25〜32のいずれか一項に記載の抗体または請求項33に記載のFc領域融合ポリペプチドの使用。

請求項39

眼血管疾患の治療用の医薬の製造のためである、請求項38に記載の使用。

請求項40

眼血管疾患の治療における使用のための、請求項25〜32のいずれか一項に記載の抗体または請求項33に記載のFc領域融合ポリペプチド。

請求項41

そのような治療を必要とする患者に、請求項25〜32のいずれか一項に記載の抗体または請求項33に記載のFc領域融合ポリペプチドを投与する段階によって、眼血管疾患に罹患している患者を治療する方法。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、Fc受容体、特にFcRnとの相互作用に関して非対称的に修飾された抗体およびFc領域融合ポリペプチド、ならびにそれを使用する方法に関する。

背景技術

0002

背景
ほぼすべてのFc受容体は、抗体の対称的Fc領域に非対称的に結合する。

0003

例えば、ヒトFcγ受容体IIIAは、2つのFc領域ポリペプチド鎖上の異なるアミノ酸残基と相互作用する。したがって、抗体とヒトFcγ受容体IIIAの相互作用を増大または減少させるためには、(例えば、下部ヒンジ領域の残基233〜238の位置に)非対称的に導入される変異を使用しなければならない。

0004

しかし、ヒト新生児型Fc受容体FcRnとの相互作用は対称的であり:2つのFcRn分子が2:1の化学量論比で1つのIgGに結合することができる(例えば、Huber, A.W., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083(非特許文献1)を参照されたい)。したがって、非対称的に導入される変異によって、1つのFcRnへの/1つのFcRnによる結合は減少するが、両方への/両方による結合は減少しない。

0005

非対称のIgG様分子の例には、次の技術を用いて、または次の形式を用いて得られたものが含まれるが、それらに限定されるわけではない:Triomab/クアドローマノブイントゥーホール(Knobs-into-Holes)、CrossMab、静電気的に組み合わせられた(matched)抗体、LUZ-Y、鎖交換操作ドメイン(Strand Exchange Engineered Domain)ボディ、Biclonic、およびDuoBody。

0006

WO 2012/125850(特許文献1)において、Fc領域に非対称的置換を含み、ヒトFcγ受容体IIIAへの結合が増加し、ADCC活性が増大した、Fcを含むタンパク質が、報告されている。

0007

WO 2012/58768(特許文献2)において、ヘテロ二量体Fc領域を含む単離されたヘテロ多量体が報告されており、このヘテロ二量体 Fc領域は、高い安定性でのヘテロ二量体形成を促進するためのアミノ酸変異を含む変種CH3ドメインを含み、このヘテロ二量体Fc領域は、Fcγ受容体の選択的結合を促進するための非対称的アミノ酸修飾を含む変種CH2ドメインをさらに含む。

0008

WO 2011/131746(特許文献3)において、2つの単一特異性出発タンパク質のCH3領域に非対称変異を導入することによって、Fabアーム交換反応強制的に方向性をもたせ、それによって安定性の高いヘテロ二量体タンパク質を得られることが報告されている。

0009

Kimら(Kim, H., et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 49 (2008) 2025-2029(非特許文献2))は、網膜色素上皮組織および脈絡膜組織を除いて、毛様体および虹彩網膜結膜角膜水晶体、ならびに視神経束を含む眼組織が、予測されたサイズの位置にFcRn転写物の存在を示したことを報告している。血液眼関門がFcRn受容体発現を示したことから、眼組織から血液系へのIgG輸送がこの受容体を使用する可能性があることが示唆される。網膜のような内部眼組織は血液眼関門によって血液系から隔てられているため、硝子体内注射後、ほんの短期間で血液系において完全長抗体を検出することを人は予想しないであろう。しかし、サルおよびヒトから得られた最近の薬物動態学的データはいずれも、硝子体内注射後数時間以内に硝子体内ベバシズマブが血液中に現れることを示している。したがって、結膜リンパ管中のFcRn受容体の機能は、結膜空間から抗原-抗体IgG複合体を効率的に排除するための流出受容体(efflux receptor)として作用することである可能性がある。分子量は同様であるにもかかわらず、IgG(150kDa)は眼房水中で検出されたが、IgA(160kDa)は検出されなかった。血清から眼房水中への浸透がIgGとIgAとで一致しないことは、IgGに選択的であるFcRn受容体が存在することで説明できる。

0010

Kimらは、直接的な硝子体内注射が、網膜障害の場合に後眼部に治療的抗体を送達するための一般的なアプローチとなったこともさらに報告している(Kim, H., et al., Mol. Vis. 15 (2009) 2803-2812(非特許文献3))。硝子体内に投与されたベバシズマブ(lgG)とニワトリIgYの両方とも内境界膜の関門を乗り越え、より奥の網膜構造体中に拡散した。網膜を通って拡散した後、ベバシズマブは血液網膜関門を通過し、体循環中に漏出した。網膜内ニワトリIgYは、血液網膜関門の反管腔側に沿って局在しただけであった。さらに、脈絡膜血管は、ニワトリIgYの存在について陰性であった。注射した用量の30%までに相当する、硝子体内投与後の生理学的に適切な血清レベルのベバシズマブが存在した。このことから、これまで認識されていたよりも大きな全身性副作用リスクが示唆される。血液眼関門は、完全長IgGを体循環中に輸送クリアランスするための特殊なメカニズムを明らかにする。Kimの最新の研究により、このメカニズムが新生児型Fc受容体であるという仮説裏付けられている。

0011

US 2011/054151(特許文献4)において、抗原の二価および一価の同時共結合(co-engagement)のための組成物および方法が報告されている。

0012

US 2011/236388(特許文献5)において、二重特異性二価抗VEGF/抗ANG-2抗体が報告されている。

0013

WO 2010/121766(特許文献6)において、修飾されたFcRn結合部位を有する抗体融合タンパク質が報告されている。

0014

Kim, J.K.らは、MHCクラスI関連受容体であるFcRnの結合のためのヒトIgG上の部位のマッピングを報告している(Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825(非特許文献4))。

0015

Qiao, S.-W.らは、抗体を介した抗原提示がFcRnに依存することを報告している(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105 (2008) 9337-9342(非特許文献5))。

0016

Kuo, T.T.らは、新生児型Fc受容体:免疫から治療物質へ(neonatal Fc receptor: from immunity to therapeutics)(J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789(非特許文献6))について報告している。

0017

Firan, M.らは、MHCクラスI関連受容体であるFcRnが、ヒトにおけるγ-グロブリンの母胎間移動においてきわめて重要な役割を果たすことを報告している(Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002(非特許文献7))。

0018

Vidarsson, G.らは、FcRnが、食作用において新規の役割を有する、食細胞上のIgG受容体であることを報告している(Blood 108 (2006) 3573-3579(非特許文献8))。

0019

Gillies, S.D.らは、抗体-インターロイキン2融合タンパク質の有効性を、Fc受容体とのそれらの相互作用を減らすことによって向上させることを報告している(Cancer Res. 59 (1999) 2159-2166(非特許文献9))。

0020

WO 2013/060867(特許文献7)において、ヘテロ二量体タンパク質の作製が報告されている。

0021

WO 2012/125850
WO 2012/58768
WO 2011/131746
US 2011/054151
US 2011/236388
WO 2010/121766
WO 2013/060867

先行技術

0022

Huber, A.W., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083
Kim, H., et al., Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 49 (2008) 2025-202
Kim, H., et al., Mol. Vis. 15 (2009) 2803-2812
Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825
Qiao, S.-W., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105 (2008) 9337-9342
Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789
Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002
Vidarsson, G, et al., Blood 108 (2006) 3573-3579
Gillies, S.D., et al., Cancer Res. 59 (1999) 2159-2166

0023

概要
個々のFc領域ポリペプチド中の非対応位置のアミノ酸残基を改変することによって、これらの改変がFcRn結合の変更に共同で作用するため、抗体またはFc領域融合ポリペプチドのFcRn結合を変更できることが判明している。本明細書において報告される抗体およびFc領域融合ポリペプチドは、例えば、特定の目的に合わせた全身滞留時間が必要とされる疾患の治療に有用である。

0024

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、同じ親(ヒト)IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与ステムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチド中のKabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に(a)の(親)ヒトFc領域ポリペプチドと)同じアミノ酸残基を有する(ヒト)IgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0025

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチド中のその対応位置に(対応するヒトFc領域中と)同じアミノ酸残基を有するIgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0026

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列と1つまたは複数のアミノ酸残基が異なり、かつ
第2のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列と1つまたは複数のアミノ酸残基が異なり、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有しており、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含む親IgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0027

本明細書において報告される1つの局面は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含む変種(ヒト)IgGクラスFc領域であり、
(a)第1のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ第2のFc領域ポリペプチドのアミノ酸配列は、第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドが、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するように、第1のFc領域ポリペプチド中および/または第2のFc領域ポリペプチド中に1つまたは複数の変異が導入され、
この変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、(a)の第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドと第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドとを含む親IgGクラスFc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0028

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、変種(ヒト)IgGクラスヘテロ二量体Fc領域である。

0029

全局面の1つの態様において、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドおよび第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドは、非ヒトIgGクラスFc領域ポリペプチドである。

0030

全局面の1つの態様において、第1の親IgGクラスFc領域ポリペプチドおよび第2の親IgGクラスFc領域ポリペプチドは、同じIgGクラスFc領域ポリペプチドである。

0031

全局面の1つの態様において、ヘテロ二量体は、二量体(機能的)Fc領域を形成するために第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0032

全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、互いに無関係に、それぞれの親IgGクラスFc領域ポリペプチドと、少なくとも1つのアミノ酸残基が異なる。

0033

全局面の1つの態様において、IgGクラスは、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4より選択される。

0034

全局面の1つの態様において、ヒトFc受容体は、ヒト新生児型Fc受容体およびヒトFcγ受容体より選択される。

0035

全局面の1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置において、1個または2個または3個または4個または5個または6個または7個または8個または9個または10個または11個または12個のアミノ酸残基が第2のFc領域ポリペプチドと異なる。

0036

1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、対応する親ヒトIgGクラスFc領域のように(as)、ブドウ球菌(Staphylococcus)プロテインAに対する結合が減少している。

0037

1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、対応する親ヒトIgGクラスFc領域と同じく、ブドウ球菌プロテインAに結合する。

0038

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、(i)群I253A、H310A、およびH435A、または(ii)群H310A、H433A、およびY436A、または(iii)群L251D、L314D、およびL432D、または(iv)群L251S、L314S、およびL432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つを第1のFc領域ポリペプチド中に含み、かつ変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つを第2のFc領域ポリペプチド中に含み、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432Sのすべてが変種(ヒト)IgGクラスFc領域中に含まれる。

0039

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、変異I253A/H310A/H435AもしくはH310A/H433A/Y436AもしくはL251D/L314D/L432DもしくはL251S/L314S/L432Sまたはそれらの組合せをFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、(i)すべての変異が、第1のFc領域ポリペプチド中もしくは第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または(ii)1つもしくは2つの変異が、第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432Sのすべてが、Fc領域中に含まれる。

0040

全局面の1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、ヒトIgG1サブクラスの第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異P329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235AおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含むか、または
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異L234AおよびL235AおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0041

1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、ヒトIgG4サブクラスの第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異P329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235EおよびP329G (KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み、
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは両方とも、変異S228PおよびL235EおよびP329G(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)をさらに含み、かつ第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cおよび変異T366Wをさらに含み、第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349CもしくはS354Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0042

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域を含む、抗体またはFc領域融合ポリペプチドである。

0043

1つの態様において、抗体はモノクローナル抗体である。

0044

1つの態様において、抗体は、ヒト抗体ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。

0045

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域をコードする核酸である。

0046

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸である。

0047

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドをコードする核酸である。

0048

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される核酸を含む宿主細胞である。

0049

本明細書において報告される1つの局面は、変種(ヒト)IgGクラスFc領域が産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域を作製する方法である。

0050

本明細書において報告される1つの局面は、抗体が産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告される抗体を作製する方法である。

0051

本明細書において報告される1つの局面は、Fc領域融合ポリペプチドが産生されるように、本明細書において報告される宿主細胞を培養する段階を含む、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドを作製する方法である。

0052

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドを含む、薬学的製剤である。

0053

本明細書において報告される1つの局面は、医薬としての使用のための、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドである。

0054

本明細書において報告される1つの局面は、医薬の製造における、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域または本明細書において報告される抗体または本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドの使用である。

0055

本明細書において報告される抗体は、例えば、T細胞リクルーターとして、生物学的活性(効力)が高く、かつ血液循環(血清)からのクリアランスが速いFcγ受容体結合物として、全身性副作用を減らすための、クリアランスが速い抗体-薬物コンジュゲートとして、またはプレターゲティング抗体として、使用することができる。

図面の簡単な説明

0056

IHH-AAA変異(=変異I253A、H310A、およびH435Aの組合せ(KabatのEU指標に基づく番号付与))を有する<VEGF-ANG-2>IgG1抗体またはIgG4抗体の概念および利点の図解
小規模なDLSに基づく粘度測定:200mMアルギニン/コハク酸、pH5.5に溶かした150mg/mLにおける推定粘度(抗体VEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有している)を参照抗体VEGFang2-0015(そのようなIHH-AAA変異を有していない)と比較)。
20mMヒスチジン緩衝液、140mM NaCl、pH6.0中での温度(DLS凝集開始温度を含む)に依存するDLS凝集(本明細書において報告される抗体であるVEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有している)を参照抗体VEGFang2-0015(そのようなIHH-AAA変異を有していない)と比較)。
40℃、100mg/mLで7日間保存(メインピークの減少および高分子量(HMW)の増加)(少ない凝集を示した本明細書において報告される抗体であるVEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有している)を、参照抗体VEGFang2-0015(そのようなIHH-AAA変異を有していない)と比較)。
VEGFang2-0015(IHH-AAA変異を有していない)のFcRn定常状態親和性。
AVEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有する)のFcRn定常状態親和性。
IHH-AAA変異を有していないVEGFang2-0015およびIHH-AAA変異を有するVEGFang2-0016のFcγRIIIa相互作用測定(両方とも、P329G LALA変異を有するIgG1サブクラスであり;対照として、IgG1サブクラスの抗ジゴキシゲニン抗体(抗Dig)およびIgG4ベースの抗体を使用した)。
血清および全眼ライセート中の二重特異性抗体の濃度を測定するための薬物動態学的(PK)-ELISAアッセイ法原理の概略図。
静脈内(i.v.)適用後の血清濃度:IHH-AAA変異を有していないVEGFang2-0015とIHH-AAA変異を有するVEGFang2-0016の比較。
硝子体内適用後の血清濃度:IHH-AAA変異を有していないVEGFang2-0015とIHH-AAA変異を有するVEGFang2-0016の比較。
右眼および左眼の眼ライセート中のVEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有する)濃度(右眼のみへの硝子体内適用後、静脈内適用と比較);硝子体内適用後、右眼のみで有意な濃度を検出することができた。静脈内適用後、VEGFang2-0016(IHH-AAA変異を有する)の短い血清半減期が原因で、眼ライセート中の濃度を検出することができなかった。
右眼および左眼の眼ライセート中のVEGFang2-0015(IHH-AAA変異を有していない)濃度(右眼のみへの硝子体内適用後、静脈内適用と比較);硝子体内適用後、右眼で(および左眼である程度)、VEGFang2-0015の濃度を検出することができた。これにより、右眼から血清中への、およびそこから左眼中への拡散が示唆され、VEGFang2-0015(IHH-AAA変異を有していない)の長い半減期によってこのことに説明をつけることができる。静脈内適用後も、同様に、血清中で安定なVEGFang2-0015(IHH-AAA変異を有していない)が眼に拡散したことが理由で、両方の眼の眼ライセート中の有意な濃度を検出することができた。
FcRnに結合する能力に関して操作された抗体は、延長された(YTE変異)または短縮された(IHH-AAA変異)インビボ半減期、SPR解析における参照野生型(wt)抗体と比べて増大した(YTE変異)または減少した(IHH-AAA変異)結合、ならびにFcRnカラムクロマトグラフィーにおける延長されたまたは短縮された保持時間を示す。huFcRnトランスジェニックな雄C57BL/6Jマウス+/-276に10mg/kgを1回、静脈内ボーラス適用した後のPKデータ:野生型IgGならびにYTE Fc修飾IgGおよびIHH-AAA Fc修飾IgGのAUCデータ。
FcRnに結合する能力に関して操作された抗体は、延長された(YTE変異)または短縮された(IHH-AAA変異)インビボ半減期、SPR解析における参照野生型(wt)抗体と比べて増大した(YTE変異)または減少した(IHH-AAA変異)結合、ならびにFcRnカラムクロマトグラフィーにおける延長されたまたは短縮された保持時間を示す。BIAcoreセンサーグラム
FcRnに結合する能力に関して操作された抗体は、延長された(YTE変異)または短縮された(IHH-AAA変異)インビボ半減期、SPR解析における参照野生型(wt)抗体と比べて増大した(YTE変異)または減少した(IHH-AAA変異)結合、ならびにFcRnカラムクロマトグラフィーにおける延長されたまたは短縮された保持時間を示す。FcRnアフィニティーカラム溶出;野生型抗IGF-1R抗体(参照)、抗IGF-1R抗体のYTE変異体、抗IGF-1R抗体のIHH-AAA変異体。
Fc領域に導入された変異の数に応じた、FcRnアフィニティークロマトグラフィーにおける保持時間の変化。
Fc領域に導入された変異の非対称分布に応じた、FcRn結合の変化。
2つの連続したプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから得られた、両方の重鎖に変異H310A、H433A、およびY436Aを有する二重特異性抗体(VEGF/ANG2-0121)の溶出クロマトグラム
プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから得られた、両方の重鎖に変異H310A、H433A、およびY436Aを有する抗IGF-1R抗体(IGF-1R-0045)の溶出クロマトグラム。
CM5チップ上の固定化されたプロテインAへの、IgG Fc領域修飾抗体の結合。
FcRnアフィニティーカラムを用いた、様々な抗体の溶出クロマトグラム。
ブドウ球菌プロテインAへの様々な融合ポリペプチドの結合(SPR)。
固定化されたプロテインAへの様々な抗体変異体および抗IGF-1R抗体変異体の結合(SPR)。

0057

発明の態様の詳細な説明
I.定義
「約」という用語は、その後に続く数値の+/-20%の範囲を意味する。1つの態様において、約という用語は、その後に続く数値の+/-10%の範囲を意味する。1つの態様において、約という用語は、その後に続く数値の+/-5%の範囲を意味する。

0058

本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義するように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、またはアミノ酸配列改変を含んでもよい。いくつかの態様において、アミノ酸改変の数は、10個もしくはそれ未満、9個もしくはそれ未満、8個もしくはそれ未満、7個もしくはそれ未満、6個もしくはそれ未満、5個もしくはそれ未満、4個もしくはそれ未満、3個もしくはそれ未満、または2個もしくはそれ未満である。いくつかの態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。

0059

「親和性成熟」抗体とは、抗原に対する抗体の親和性を向上させるような改変を有していない親抗体と比べて、1つまたは複数の超可変領域(HVR)に1つまたは複数の改変を有する抗体を意味する。

0060

「改変」という用語は、修飾された抗体または融合ポリペプチドを得るための、親抗体または融合ポリペプチド、例えば、Fc領域に関する少なくとも1つのFcRn結合部分を含む融合ポリペプチド中の1つまたは複数のアミノ酸残基の変異(置換)、挿入(付加)、または欠失を意味する。「変異」という用語は、異なるアミノ酸残基を特定のアミノ酸残基で置換することを意味する。例えば、変異L234Aは、抗体Fc領域(ポリペプチド)中の234位のアミノ酸残基リジンがアミノ酸残基アラニンによって置換されていること(アラニンによるリジンの置換)(EU指標に基づく番号付与)を意味する。

0061

「アミノ酸変異」という用語は、少なくとも1つの既存のアミノ酸残基を別の異なるアミノ酸残基(=置換アミノ酸残基)で置換することを意味する。置換アミノ酸残基は、「天然に存在するアミノ酸残基」であってよく、アラニン(3文字記号:ala、1文字記号:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、およびバリン(val、V)からなる群より選択され得る。置換アミノ酸残基は、「天然に存在しないアミノ酸残基」であってよい。例えば、US 6,586,207、WO 98/48032、WO 03/073238、US 2004/0214988、WO 2005/35727、WO 2005/74524、Chin, J.W., et al., J. Am. Chem. Soc. 124 (2002) 9026-9027; Chin, J.W. and Schultz, P.G., ChemBioChem 11 (2002) 1135-1137; Chin, J.W., et al., PICAS United States of America 99 (2002) 11020-11024;および Wang, L. and Schultz, P.G., Chem. (2002) 1-10(すべて、参照により全体が本明細書に組み入れられる)を参照されたい。

0062

アミノ酸挿入」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置に少なくとも1つのアミノ酸残基を(付加的に)組み入れることを意味する。1つの態様において、挿入は、1つまたは2つのアミノ酸残基の挿入である。挿入されるアミノ酸残基は、任意の天然に存在するアミノ酸残基または天然に存在しないアミノ酸残基であることができる。

0063

アミノ酸欠失」という用語は、アミノ酸配列中の所定の位置において少なくとも1つのアミノ酸残基が取り除かれることを意味する。

0064

本明細書において使用される「ANG-2」という用語は、例えば、Maisonpierre, P.C., et al, Science 277 (1997) 55-60およびCheung, A.H., et al., Genomics 48 (1998) 389-91において説明されているヒトアンギオポエチン-2(ANG-2)(あるいは、ANGPT2またはANG2と略される)(SEQID NO: 31)を意味する。アンギオポエチン-1(SEQ ID NO: 32)およびアンギオポエチン-2は、Tie、すなわち血管内皮内で選択的に発現されるチロシンキナーゼファミリーに対するリガンドとして発見された(Yancopoulos, G.D., et al., Nature 407 (2000) 242-248)。現在、アンギオポエチンファミリーには4つの明確に定められたメンバーがある。アンギオポエチン-3およびアンギオポエチン-4 (ANG-3 およびANG-4) は、マウスおよびヒトにおいて同じ遺伝子座の広く分岐した対応物に相当し得る(Kim, I., et al., FEBSLet, 443 (1999) 353-356; Kim, I., et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 26523-26528)。ANG-1およびANG-2はもともと、組織培養実験において、それぞれアゴニストおよびアンタゴニストとして同定された(ANG-1に関してはDavis, S., et al., Cell 87 (1996) 1161-1169を、ANG-2に関してはMaisonpierre, P.C., et al., Science 277 (1997) 55-60を参照されたい)。公知のアンギオポエチンはいずれも、主としてTie2 (SEQ ID NO: 33)に結合し、ANG-1およびANG-2のどちらも、3nM (Kd)の親和性でTie2に結合する(Maisonpierre, P.C., et al., Science 277 (1997) 55-60)。

0065

本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、限定されるわけではないが、モノクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体)、ならびに所望の抗原結合活性および/またはプロテインA結合活性および/またはFcRn結合活性を示す限りにおいて抗体断片を含む、様々な抗体構造体を包含する。

0066

参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、競合アッセイ法において、参照抗体がその抗原に結合するのを50%またはそれ以上妨害する抗体を意味し、逆に言えば、競合アッセイ法において、参照抗体が、その抗体がその抗原に結合するのを50%またはそれ以上妨害する。例示的な競合アッセイ法が、本明細書において提供される。

0067

「非対称Fc領域」という用語は、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に異なるアミノ酸残基を有する一対のFc領域ポリペプチドを意味する。

0068

「FcRn結合に関する非対称Fc領域」という用語は、対応位置に異なるアミノ酸残基を有する2つのポリペプチド鎖からなるFc領域を意味し、これらの位置はKabatのEU指標番号付与システムに基づいて決定され、それらの異なる位置は、ヒト新生児型Fc受容体(FcRn)へのFc領域の結合に影響を及ぼす。本明細書の目的において、「FcRn結合に関する非対称Fc領域」におけるFc領域の2つのポリペプチド鎖の差異には、例えば二重特異性抗体を作製する目的で、ヘテロ二量体Fc領域の形成を促進させるために導入された差異は含まれない。これらの差異もまた、非対称であり得る。すなわち、それら2つの鎖は、KabatのEU指標番号付与システムに基づく非対応アミノ酸残基において差異を有する。これらの差異は、ヘテロ二量体化を促進し、ホモ二量体化を減少させる。このような差異の例は、いわゆる「ノブイントゥーホール」置換である(例えば、US 7,695,936およびUS 2003/0078385を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖における次のノブアンドホール(knobs and holes)置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:(1)一方の鎖におけるY407Tおよび他方の鎖におけるT366Y;(2)一方の鎖におけるY407Aおよび他方の鎖におけるT366W;(3)一方の鎖におけるF405Aおよび他方の鎖におけるT394W;(4)一方の鎖におけるF405Wおよび他方の鎖におけるT394S;(5)一方の鎖におけるY407Tおよび他方の鎖におけるT366Y;(6)一方の鎖におけるT366YおよびF405A、ならびに他方の鎖におけるT394WおよびY407T;(7)一方の鎖におけるT366WおよびF405W、ならびに他方の鎖におけるT394SおよびY407A;(8)一方の鎖におけるF405WおよびY407A、ならびに他方の鎖におけるT366WおよびT394S;ならびに(9)一方の鎖におけるT366W、ならびに他方の鎖におけるT366S、L368A、およびY407V;ここで、最後に挙げたものが特に適している。さらに、2つのFc領域ポリペプチド鎖の間に新しいジスルフィド架橋を生成する変更も、ヘテロ二量体形成を促進する(例えば、US 2003/0078385を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖に新しい鎖内ジスルフィド結合を形成させるための適切な間隔を空けて離れたシステイン残基をもたらす次の置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるS354C;一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるE356C;一方の鎖におけるY349Cおよび他方の鎖におけるE357C;一方の鎖におけるL351Cおよび他方の鎖におけるS354C;一方の鎖におけるT394Cおよび他方の鎖におけるE397C;または一方の鎖におけるD399Cおよび他方の鎖におけるK392C。ヘテロ二量体化を促進するアミノ酸変更のさらに別の例は、いわゆる「電荷対置換」である(例えば、WO 2009/089004を参照されたい)。サブクラスIgG1のIgG抗体のFc領域の各ポリペプチド鎖における次の電荷対置換は、ヘテロ二量体形成を増加させることが判明している:(1)一方の鎖におけるK409DまたはK409Eおよび他方の鎖におけるD399KまたはD399R;(2)一方の鎖におけるK392DまたはK392Eおよび他方の鎖におけるD399KまたはD399R;(3)一方の鎖におけるK439DまたはK439Eおよび他方の鎖におけるE356KまたはE356R;(4)一方の鎖におけるK370DまたはK370Eおよび他方の鎖におけるE357KまたはE357R;(5)一方の鎖におけるK409DおよびK360Dならびに(plus)他方の鎖におけるD399KおよびE356K;(6)一方の鎖におけるK409DおよびK370Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびE357K;(7)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399K、E356K、およびE357K;(8)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399K;(9)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびE356K;(10)一方の鎖におけるK409DおよびK392Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびD357K;(11)一方の鎖におけるK409DおよびK370Dならびに他方の鎖におけるD399KおよびD357K;(12)一方の鎖におけるD399Kならびに他方の鎖におけるK409DおよびK360D;ならびに(13)一方の鎖におけるK409DおよびK439Dならびに他方におけるD399KおよびE356K。

0069

「(抗原への)結合」という用語は、インビトロのアッセイ法における、1つの態様においては、表面に抗体を結合し、その抗体への抗原の結合を表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定する結合アッセイ法における、抗原への抗体の結合を示す。結合とは、10-8Mまたはそれ未満、いくつかの態様において、10-13〜10-8M、いくつかの態様において、10-13〜10-9Mの結合親和性(KD)を意味する。

0070

結合は、BIAcoreアッセイ法(GE Healthcare Biosensor AB, Uppsala, Sweden)によって調査することができる。結合親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体から得られる抗体の会合速度定数)、kd(解離定数)、およびKD(kd/ka)を用いて定義される。

0071

キメラ」抗体という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部分は、ある特定の供給源または種に由来するが、重鎖および/または軽鎖の残りの部分は、異なる供給源または種に由来する、抗体を意味する。

0072

「CH2ドメイン」という用語は、おおよそEU位置231位からEU位置340位(Kabatに基づくEU番号付与システム)まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、CH2ドメインは、

のアミノ酸配列を有する。

0073

「CH3ドメイン」は、おおよそEU位置341位からEU位置446位まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、CH3ドメインは、

のアミノ酸配列を有する。

0074

抗体の「クラス」という用語は、その重鎖が有する定常ドメインまたは定常領域のタイプを意味する。抗体には5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgDIgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γ、およびμとそれぞれ呼ばれる。

0075

「同程度の長さ」という用語は、2つのポリペプチドが、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1つもしくは複数の最大10個までのアミノ酸残基分だけ長さが異なり得ることを意味する。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜10個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜5個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、同じ数のアミノ酸残基を含むか、または1〜3個の数のアミノ酸残基分だけ異なる。

0076

「由来する」という用語は、あるアミノ酸配列が、少なくとも1つの位置に改変を導入することによって親アミノ酸配列から誘導されることを意味する。したがって、誘導されたアミノ酸配列は、少なくとも1つの対応位置(抗体Fc領域に対するKabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)において、対応する親アミノ酸配列と異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜15個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜10個のアミノ酸残基が異なる。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、対応位置において、1〜6個のアミノ酸残基が異なる。同様に、誘導されたアミノ酸配列は、その親アミノ酸配列に対して高いアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、80%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、90%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。1つの態様において、親アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列は、95%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。

0077

エフェクター機能」とは、抗体クラスによって異なる、抗体のFc領域に起因し得る生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞障害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化が含まれる。

0078

作用物質、例えば薬学的製剤の「有効量」とは、必要な投与量および期間で、所望の治療的結果または予防的結果を実現するのに有効な量を意味する。

0079

「Fc融合ポリペプチド」という用語は、結合ドメイン(例えば、単鎖抗体のような抗原結合ドメインまたは受容体のリガンドのようなポリペプチド)と所望の標的結合活性および/またはプロテインA結合活性および/またはFcRn結合活性を示す抗体Fc領域との融合物を意味する。

0080

ヒト起源のFc領域」という用語は、ヒンジ領域についての少なくとも1つの部分、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む、ヒト起源の免疫グロブリン重鎖C末端領域を意味する。1つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、重鎖のCys226またはPro230からカルボキシル末端まで伸びる。1つの態様において、Fc領域は、SEQID NO: 60のアミノ酸配列を有する。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在する場合もあれば存在しない場合もある。本明細書において別段の指定が無い限り、Fc領域中または定常領域中のアミノ酸残基の番号付与は、EU指標とも呼ばれるEU番号付与システムに基づき、これは、Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91 3242において説明されている。Fc領域は、ポリペプチド間のジスルフィド結合を形成するヒンジ領域システイン残基によって互いに共有結合することができる2つの重鎖Fc領域ポリペプチドから構成される。

0081

「FcRn」という用語は、ヒト新生児型Fc受容体を意味する。FcRnは、リソソーム分解経路からIgGを救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を増大させる。FcRnは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、IgGのFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。IgGとFcRnの相互作用は、pHに厳密に依存しており、1:2の化学量論比で起こり、1つのIgGが、2つの重鎖を介して2つのFcRn分子に結合する(Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083)。酸性pH(pH<6.5)ではFcRn結合がエンドソーム中で起こり、中性の細胞表面(pH約7.4)ではIgGは遊離する。相互作用のpH感受性性質おかげで、エンドソームの酸性環境内での受容体への結合によって、細胞中飲作用されるIgGを細胞内分解からFcRnを介して保護することが容易になる。次いで、FcRnは、FcRn-IgG複合体が細胞外の中性pH環境に曝露された際に、細胞表面にIgGを再循環させ、続いて血流中に放出するのを促進する。

0082

「Fc領域のFcRn結合部分」という用語は、おおよそEU位置243位からEU位置261位、ならびにおおよそEU位置275位からEU位置293位、ならびにおおよそEU位置302位からEU位置319位、ならびにおおよそEU位置336位からEU位置348位、ならびにおおよそEU位置367位からEU位置393位およびEU位置408位、ならびにおおよそEU位置424位からEU位置440位まで伸びる、抗体重鎖ポリペプチドの部分を意味する。1つの態様において、KabatのEU番号付与に基づく次のアミノ酸残基のうちの1つまたは複数が改変される:

0083

「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。一般に、可変ドメインのFRは、4つのFRドメイン、すなわちFR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。したがって、一般に、HVR配列およびFR配列は、VH(またはVL)中に次の順序で現われる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。

0084

「完全長抗体」という用語は、ネイティブ抗体の構造に実質的に同様の構造を有するか、または本明細書において定義するFc領域を含む重鎖を有する、抗体を意味する。完全長抗体は、例えば、完全長抗体の鎖のうちの1つまたは複数にコンジュゲートされたscFvまたはscFabなどのさらなるドメインを含んでよい。これらのコンジュゲートもまた、完全長抗体という用語に包含される。

0085

「ヘテロ二量体」または「ヘテロ二量体の」という用語は、(例えば、同程度の長さの)2つのポリペプチド鎖を含む分子を意味し、これら2つのポリペプチド鎖は、KabatのEU指標に基づいて決定される対応位置において少なくとも1つの異なるアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を有する。

0086

ホモ二量体」および「ホモ二量体の」という用語は、同程度の長さの2つのポリペプチド鎖を含む分子を意味し、これら2つのポリペプチド鎖は、KabatのEU指標に基づいて決定される対応位置において同一であるアミノ酸配列を有する。

0087

本明細書において報告される抗体またはFc領域融合ポリペプチドは、そのFc領域に関してホモ二量体またはヘテロ二量体であることができ、これは、重点が置かれている(focus)変異または特性を基準にして決定される。例えば、FcRn結合および/またはプロテインA結合(すなわち、特性に重点が置かれている)に関して、Fc領域(抗体)は、変異H310A、H433A、およびY436A(これらの変異は、Fc領域融合ポリペプチドまたは抗体のFcRn結合特性および/またはプロテインA結合特性に関して重点が置かれている)についてホモ二量体である(すなわち、両方の重鎖Fc領域ポリペプチドがこれらの変異を含む)が、同時に、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407V(これらの変異は、重鎖のヘテロ二量体化を対象としており、FcRn/プロテインA結合特性を対象としていないため、これらの変異は、重点が置かれていない)ならびに変異S354CおよびT366W、それぞれについてヘテロ二量体である(第1のセットは第1のFc領域ポリペプチドにのみ含まれ、第2のセットは、第2のFc領域ポリペプチドにのみ含まれる)。さらに、例えば、本明細書において報告されるFc領域融合ポリペプチドまたは抗体は、変異I253A、H310A、H433A、H435A、およびY436A(すなわち、これらの変異はすべて、二量体ポリペプチドのFcRn結合特性および/またはプロテインA結合特性を対象としている)についてヘテロ二量体であることができ、すなわち、一方のFc領域ポリペプチドが変異I253A、H310A、およびH435Aを含み、他方のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含む。

0088

「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は同義的に使用され、外来性核酸が導入された細胞を、そのような細胞の子孫を含めて意味する。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、初代形質転換細胞およびそれに由来する子孫が継代回数に関わらず含まれる。子孫の核酸内容は親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物活性を有する変異子孫は、本明細書に含まれる。

0089

「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生されるか、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を使用する非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的には除く。

0090

「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLまたはVHのフレームワーク配列の選抜物(selection)において最も多く存在するアミノ酸残基に相当するフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL配列またはVH配列の選抜物は、可変ドメイン配列サブグループに由来する。通常、配列のサブグループは、Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Bethesda MD (1991), NIH Publication 91-3242, Vols. 1-3に記載されているようなサブグループである。1つの態様において、VLについて、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループκIである。1つの態様において、VHについて、サブグループは、前記Kabat et al.に記載されているようなサブグループIIIである。

0091

「ヒトFc領域ポリペプチド」という用語は、「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドと同一であるアミノ酸配列を意味する。「変種(ヒト)Fc領域ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つの「アミノ酸改変」によって「ネイティブ」または「野生型」のヒトFc領域ポリペプチドから誘導されるアミノ酸配列を意味する。「ヒトFc領域」は、2つのヒトFc領域ポリペプチドからなる。「変種(ヒト)Fc領域」は、2つのFc領域ポリペプチドからなり、両方が変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドであってもよく、または一方がヒトFc領域ポリペプチドであり、他方が変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドである。

0092

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、SEQID NO: 60のヒトIgG1 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 61のヒトIgG2 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 62のヒトIgG3 Fc領域ポリペプチド、またはSEQ ID NO: 63のヒトIgG4 Fc領域ポリペプチドのアミノ酸配列を有する。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のFc領域ポリペプチドに由来し、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドと比べて少なくとも1つのアミノ酸変異を有している。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、約1〜約12個のアミノ酸変異を、1つの態様において、約1〜約8個のアミノ酸変異を含む/有する。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約80%の相同性を有している。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約90%の相同性を有している。1つの態様において、変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドと少なくとも約95%の相同性を有している。

0093

SEQID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドに由来する変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドは、含まれているアミノ酸改変に基づいて定義される。したがって、例えば、P329Gという用語は、SEQ ID NO: 60、または61、または62、または63のヒトFc領域ポリペプチドを基準として、アミノ酸位置329がプロリンからグリシンに変異した、ヒトFc領域ポリペプチドに由来する変種(ヒト)Fc領域ポリペプチドを意味する。

0094

本明細書において使用される場合、重鎖および軽鎖のすべての定常領域およびドメインのアミノ酸位置は、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991) において説明されているKabat番号付与システムに基づいて番号を付けられ、本明細書において「Kabatに基づく番号付与」と呼ばれる。具体的には、Kabat, et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のKabat番号付与システム(647〜660頁を参照されたい)が、κアイソタイプおよびλアイソタイプの軽鎖定常ドメインCLのために使用され、KabatのEU指標番号付与システム(661〜723頁を参照されたい)が、定常重鎖ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3)のために使用される。

0095

ヒトIgG1Fc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0096

変異L234A、L235Aを有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0097

Y349C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0098

S354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0099

L234A変異、L235A変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0100

L234A変異、L235A変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0101

P329G変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0102

L234A変異、L235A変異、およびP329G変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0103

P239G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0104

P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0105

L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0106

L234A変異、L235A変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG1Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0107

ヒトIgG4Fc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0108

S228P変異およびL235E変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0109

S228P変異、L235E変異、およびP329G変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0110

S354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0111

Y349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0112

S228P変異、L235E変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0113

S228P変異、L235E変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0114

P329G変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0115

P239G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0116

P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0117

S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0118

S228P変異、L235E変異、P329G変異、およびS354C変異、T366W変異を有する、ヒトIgG4Fc領域に由来するFc領域ポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:

0119

様々なヒトFc領域のアライメントを下記に示す(EU番号付与)。

0120

ヒト化」抗体とは、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基およびヒトFRに由来するアミノ酸残基を含むキメラ抗体を意味する。特定の態様において、ヒト化抗体は、HVR(例えばCDR)のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のものに相当し、FRのすべてまたは実質的にすべてがヒト抗体のものに相当する、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する抗体定常領域についての少なくとも1つの部分を任意で含んでよい。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、ヒト化を受けた抗体を意味する。

0121

本明細書において使用される「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変性であり(「相補性決定領域」もしくは「CDR」)、かつ特徴的な構造の(structurally defined)ループ(「超可変ループ」)を形成し、かつ/または抗原接触残基(「抗原接触部分(contact)」)を含む、抗体可変ドメインの各領域を意味する。一般に、抗体は6個のHVRを含む。3個はVH中にあり(H1、H2、H3)、3個はVL中にある(L1、L2、L3)。本明細書において示すHVRは、
(a)アミノ酸残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、91〜96(L3)、26〜32(H1)、53〜55(H2)、および96〜101(H3)に存在する超可変ループ(Chothia, C. and Lesk, A.M., J. Mol. Biol. 196 (1987) 901-917);
(b)アミノ酸残基24〜34( L1)、50〜56(L2)、89〜97(L3)、31〜35b (H1)、50〜65(H2)、および95〜102(H3)に存在するCDR(Kabat, E.A. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242.);
(c)アミノ酸残基27c〜36(L1)、46〜55(L2)、89〜96(L3)、30〜35b(H1)、47〜58(H2)、および93〜101(H3)に存在する抗原接触部分(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに
(d)HVRアミノ酸残基46〜56(L2)、47〜56(L2)、48〜56(L2)、49〜56(L2)、26〜35(H1)、26〜35b(H1)、49〜65(H2)、93〜102(H3)、および94〜102(H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組合せ
を含む。

0122

1つの態様において、HVR残基は、本明細書の別の場所で特定されるものを含む。

0123

別段の定めが無い限り、本明細書において、可変ドメイン中のHVR残基および他の残基(例えばFR残基)は、KabatのEU指標番号付与システム(Kabat et al.、前記)に従って番号を付与する。

0124

本明細書において使用される「IGF-1R」という用語は、別段の定めが無い限り、霊長類(例えばヒト)およびげっ歯動物(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源に由来する任意のネイティブIGF-1Rを意味する。この用語は、「完全長の」プロセシングされていないIGF-1R、ならびに細胞中でのプロセシングの結果として生じる任意の形態のIGF-1Rを包含する。この用語はまた、IGF-1Rの天然に存在する変種、例えば、スプライス変種または対立遺伝子変種も包含する。ヒトIGF-1Rのアミノ酸配列は、SEQID NO: 11に示されている。

0125

「個体」または「対象」は哺乳動物である。哺乳動物には、飼い慣らされた動物(例えば、ウシヒツジネコイヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えばサル)、ウサギ、ならびにげっ歯動物(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、個体または対象はヒトである。

0126

「単離された」抗体とは、その天然環境の構成要素から分離された抗体である。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換HPLCもしくは逆相HPLC)によって測定した場合に95%または99%を超える純度まで精製される。抗体純度を評価するための方法に関する概要については、例えば、Flatman, S. et al., J. Chrom. B 848 (2007) 79-87を参照されたい。

0127

「単離された」核酸とは、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、その核酸分子は、染色体外に存在するか、または天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。

0128

「抗IGF-1R抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子を意味し、単一のベクターまたは別々のベクター中のこのような核酸分子、および宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在するこのような核酸分子を含む。

0129

本明細書において使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を意味する。すなわち、この集団を構成する個々の抗体は、存在し得る変種抗体を除いて、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。例えば、天然に存在する変異を含むか、またはモノクローナル抗体調製物を作製する間に発生するこのような変種は通常、少量で存在する。様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基を対象とする。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという抗体の特徴を示し、いずれかの特定の方法による抗体の作製を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用するためのモノクローナル抗体は、限定されるわけではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部分を含むトランスジェニック動物を使用する方法を含む、様々な技術によって作製することができ、モノクローナル抗体を作製するためのこのような方法および他の例示的な方法は、本明細書において説明される。

0130

「ネイティブ抗体」とは、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を意味する。例えば、ネイティブIgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)とそれに続く3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)とそれに続く軽鎖定常(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。

0131

添付文書」という用語は、治療的製造物市販用パッケージ習慣的に含まれる、そのような治療的製造物の使用に関する適応症、用法、投与量、投与、併用療法禁忌、および/または警告についての情報を含む取扱い説明書を意味するのに使用される。

0132

参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」とは、配列を整列させ、かつ必要な場合にはギャップを導入して、最大の配列同一性パーセントを実現した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部分とみなさない、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当技術分野技能の範囲内である様々な方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなど公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを用いて、実現することができる。当業者は、比較される配列の全長に渡って最大限のアライメントを実現するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のためには、配列比較コンピュータープログラムALIGN-2を用いて、アミノ酸配列同一性%の値を得る。配列比較コンピュータープログラムALIGN-2は、Genentech, Inc.の著作物であり、ソースコードユーザー向け文書と共にU.S. Copyright Office, Washington D.C., 20559に提出され、米国著作権登録番号(U.S. Copyright Registration No.)TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech, Inc., South San Francisco, Californiaから公的に入手可能であり、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティング・システムにおける使用向けにコンパイルされるべきである。配列比較パラメーターはすべて、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。

0133

ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために使用される状況において、所与のアミノ酸配列Bに対する、該配列Bとの、または該配列Bと比較しての所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対する、該配列Bとの、または該配列Bと比較してのある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は、次のとおりに算出される。
100×比X/Y
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムによるAおよびBのアラインメントにおいて同一のマッチとして採点されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくならないが認識されると考えられる。別段の記載が特に無い限り、本明細書において使用されるアミノ酸配列同一性%の値はすべて、すぐ前の節で説明したとおりに、ALIGN-2コンピュータープログラムを用いて得られる。

0134

「薬学的製剤」という用語は、その中に含まれる有効成分の生物活性が有効になるのを可能にするような形態で存在し、かつその製剤が投与され得る対象に対して許容されないほど毒性である追加成分を含まない、調製物を意味する。

0135

薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、薬学的製剤中の有効成分以外の成分を意味する。薬学的に許容される担体には、緩衝剤賦形剤安定化剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0136

本明細書において使用される「ペプチドリンカー」という用語は、1つの態様において合成起源であるアミノ酸配列を有するペプチドを意味する。ペプチドリンカーは、1つの態様において、少なくとも30アミノ酸長、1つの態様において、32〜50アミノ酸長のアミノ酸配列を有するペプチドである。1つの態様において、ペプチドリンカーは、32〜40アミノ酸長のアミノ酸配列を有するペプチドである。1つの態様において、ペプチドリンカーは、G=グリシン、S=セリン、(x=3、n=8、9、もしくは10)または(x=4およびn=6、7、もしくは8)の(GxS)nであり、1つの態様において、x=4、n=6または7であり、1つの態様において、x=4、n=7である。1つの態様において、ペプチドリンカーは(G4S)6G2である。

0137

組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されるあらゆる抗体(キメラ、ヒト化、およびヒト)を意味する。これは、NS0細胞もしくはCHO細胞などの宿主細胞またはヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体、または宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現させた抗体を含む。このような組換え抗体は、可変領域および定常領域を再配列された形態で有する。本明細書において報告される組換え抗体は、インビボ体細胞超変異に供されてよい。したがって、組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来しかつ関連してはいるものの、インビボにおいてヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在し得ない配列である。

0138

本明細書において使用される場合、「治療(treatment)」(およびその文法的変形、例えば「治療する(treat)」または「治療すること(treating)」)は、治療される個体の自然経過を変化させようとする臨床的介入を意味し、予防のために、または臨床的病状過程中に、実施され得る。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の直接的または間接的な任意の病理学転帰の減少、転移の予防、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後改善が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、本発明において報告される抗体またはFc領域融合ポリペプチドは、疾患の発症を遅らせるため、または疾患の進行を遅くするために使用される。

0139

本出願内で使用される「価」という用語は、(抗体)分子中に特定の数の結合部位が存在することを意味する。したがって、「二価」、「四価」、および「六価」という用語は、(抗体)分子中に2個の結合部位、4個の結合部位、および6個の結合部位が存在することをそれぞれ意味する。本明細書において報告される二重特異性抗体は、1つの好ましい態様において「二価」である。

0140

「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体がその抗原に結合するのに関与している抗体重鎖または抗体軽鎖のドメインを意味する。一般に、抗体の重鎖および軽鎖(それぞれVHおよびVL)の可変ドメインは、4つのフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(HVR)を各ドメインが含む、類似した構造を有する。(例えば、Kindt, T.J. et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., N.Y. (2007), page 91を参照されたい)。1つのVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体に由来するVHドメインまたはVLドメインを用いて、相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングして、単離することができる。例えば、Portolano, S., et al., J. Immunol. 150 (1993) 880-887; Clackson, T. et al., Nature 352 (1991) 624-628を参照されたい。

0141

「眼血管疾患」という用語は、眼内血管新生症候群、例えば、糖尿病性網膜症糖尿病黄斑浮腫未熟児網膜症血管新生緑内障、網膜静脈閉塞症網膜中心静脈閉塞症黄斑変性症加齢黄斑変性症色素性網膜炎網膜血管腫状増殖、黄斑毛細血管拡張症(telangectasia)、虚血性網膜症、虹彩血管新生、眼内血管新生、角膜血管新生網膜血管新生脈絡膜血管新生、および網膜変性症を含むが、それらに限定されるわけではない(例えば、Garner, A., Vascular diseases, In: Pathobiology of ocular disease, A dynamic approach, Garner, A., and Klintworth, G.K., (eds.), 2nd edition, Marcel Dekker, New York (1994), pp. 1625-1710を参照されたい)。

0142

本明細書において使用される「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を意味する。この用語は、自己複製する核酸構造体としてのベクター、ならびに導入された先の宿主細胞のゲノム中に組み入れられるベクターを含む。ある種のベクターは、機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。

0143

本明細書において使用される「VEGF」という用語は、Leung, D.W., et al., Science 246 (1989) 1306-1309; Houck et al., Mol. Endocrin. 5 (1991) 1806-1814; Keck, P.J., et al., Science 246 (1989) 1309-1312、およびConnolly, D.T., et al., J. Biol. Chem. 264 (1989) 20017-20024によって説明されているような、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF/VEGF-A)、165アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子(ヒトVEGF165の前駆体配列のアミノ酸27〜191:SEQID NO: 30;アミノ酸1〜26はシグナルペプチドに相当する)、ならびに関連する血管内皮細胞増殖因子アイソフォーム121、189、および206を、これらの増殖因子の天然に存在する対立遺伝子形態およびプロセシングされた形態も合わせて、意味する。VEGFは、腫瘍および眼内障害に関連した正常および異常な血管形成および血管新生の調節に関与している(Ferrara, N., et al., Endocrin. Rev. 18 (1997) 4-25; Berkman, R.A., et al., J. Clin. Invest. 91 (1993) 153-159; Brown, L.F., et al., Human Pathol. 26 (1995) 86-91; Brown, L.F., et al., Cancer Res. 53 (1993) 4727-4735; Mattern, J., et al., Brit. J. Cancer. 73 (1996) 931-934;およびDvorak, H.F., et al., Am. J. Pathol. 146 (1995) 1029-1039)。VEGFは、いくつかの供給源から単離されたホモ二量体糖タンパク質であり、いくつかのアイソフォームを含む。VEGFは、内皮細胞に対して著しく特異的な分裂促進活性を示す。

0144

本明細書において使用される「変異IHH-AAAを有する」という用語は、変異I253A(Ile253Ala)、H310A(His310Ala)、およびH435A(His435Ala)の組合せを意味し、本明細書において使用される「変異HHY-AAAを有する」という用語は、変異H310A(His310Ala)、H433A(His433Ala)、およびY436A(Tyr436Ala)の組合せを意味し、本明細書において使用される「変異YTEを有する」という用語は、変異M252Y(Met252Tyr)、S254T(Ser254Thr)、およびT256E(Thr256Glu)の組合せを意味し、これらはIgG1サブクラスまたはIgG4サブクラスの重鎖定常領域に存在し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。

0145

本明細書において使用される「変異P329G LALAを有する」という用語は、IgG1サブクラスの重鎖定常領域における変異L234A(Leu234Ala)、L235A(Leu235Ala)、およびP329G(Pro329Gly)の組合せを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。本明細書において使用される「変異SPLEを有する」という用語は、IgG4サブクラスの重鎖定常領域における変異S228P(Ser228Pro)およびL235E(Leu235Glu)の組合せを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。本明細書において使用される「変異SPLEおよびP239Gを有する」という用語は、IgG4サブクラスの重鎖定常領域における変異S228P(Ser228Pro)、L235E(Leu235Glu)、およびP329G(Pro329Gly)の組合せを意味し、番号付与はKabatのEU指標に基づいている。

0146

II.本発明
本発明は、個々のFc領域ポリペプチド中の非対応位置のアミノ酸残基を改変することによって、これらの改変がFcRn結合の変更に共同で作用するため、抗体またはFc領域融合ポリペプチドのFcRn結合を変更できるという知見に、少なくともある程度基づいている。本明細書において報告される抗体およびFc領域融合ポリペプチドは、例えば、特定の目的に合わせた全身滞留時間が必要とされる疾患の治療に有用である。

0147

A.新生児型Fc受容体(FcRn)
新生児型Fc受容体(FcRn)は、IgGクラスの抗体のインビボでの代謝運命にとって重要である。FcRnは、リソソーム分解経路から野生型IgGを救助する機能を果たし、その結果、クリアランスを減らし、半減期を長くする。これは、2つのポリペプチド:50kDaのクラスI主要組織適合性複合体様タンパク質(α-FcRn)および15kDaのβ2-ミクログロブリン(β2m)からなるヘテロ二量体タンパク質である。FcRnは、クラスIgGの抗体のFc領域のCH2-CH3部分に高い親和性で結合する。クラスIgGの抗体とFcRnとの相互作用は、pHに依存しており、1:2の化学量論比で起こる。すなわち、1つのIgG抗体分子が、その2つの重鎖Fc領域ポリペプチドを介して、2つのFcRn分子と相互作用することができる(例えば、Huber, A.H., et al., J. Mol. Biol. 230 (1993) 1077-1083を参照されたい)。

0148

したがって、IgGのインビトロでのFcRn結合特性/特徴は、血液循環におけるインビボでのその薬物動態学的特性を示唆している。

0149

FcRnとIgGクラスの抗体のFc領域との相互作用には、重鎖CH2ドメインおよびCH3ドメインの異なるアミノ酸残基が関与している。FcRnと相互作用するアミノ酸残基は、おおよそEU位置243〜EU位置261の間、おおよそEU位置275〜EU位置293の間、おおよそEU位置302〜EU位置319の間、おおよそEU位置336〜EU位置348の間、おおよそEU位置367〜EU位置393の間、EU位置408、およびおおよそEU位置424〜EU位置440の間に位置している。より具体的には、KabatのEU番号付与に基づく次のアミノ酸残基が、Fc領域とFcRnの相互作用に関与している:

0150

部位特異的変異誘発研究により、FcRnに対するIgGのFc領域中の不可欠な結合部位は、ヒスチジン310、ヒスチジン435、およびイソロイシン253、ならびに程度は落ちるが、ヒスチジン433およびチロシン436であることが判明した(例えば、Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825; Raghavan, M., et al., Biochem. 34 (1995) 14649-14657; Medesan, C., et al., J. Immunol. 158 (1997) 2211-2217を参照されたい)。

0151

FcRnへのIgG結合を増加させるための方法は、IgGの様々なアミノ酸残基:トレオニン250、メチオニン252、セリン254、トレオニン256、トレオニン307、グルタミン酸380、メチオニン428、ヒスチジン433、およびアスパラギン434を変異させることによって実施されてきた(Kuo, T.T., et al., J. Clin. Immunol. 30 (2010) 777-789を参照されたい)。

0152

一部の場合において、血液循環における半減期が短縮された抗体が望まれる。例えば、硝子体内に適用するための薬物は、眼において長い半減期を有し、患者の血液循環において短い半減期を有するべきである。このような抗体はまた、例えば眼の中の疾患部位への曝露が増大するという利点を有している。

0153

FcRn結合およびそれに加えて血液循環における半減期に影響を及ぼす異なる変異は公知である。マウスFcとマウスFcRnの相互作用に決定的に重要なFc領域残基は、部位特異的変異誘発によって同定されている(例えば、Dall'Acqua, W.F., et al. J. Immunol 169 (2002) 5171-5180を参照されたい)。残基I253、H310、H433、N434、およびH435(Kabatに基づくEU番号付与)が、相互作用に関与している(Medesan, C., et al., Eur. J. Immunol. 26 (1996) 2533-2536; Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002; Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 24 (1994) 542-548)。残基I253、H310、およびH435が、ヒト FcとマウスFcRnの相互作用に決定的に重要であることが判明した(Kim, J.K., et al., Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2819-2825)。タンパク質間の相互作用研究によってFcRn結合を改良するために、残基M252Y、S254T、T256EがDall'Acquaらによって説明されている(Dall'Acqua, W.F., et al. J. Biol. Chem. 281 (2006) 23514-23524)。ヒトFc-ヒトFcRn複合体の研究により、残基I253、S254、H435、およびY436が相互作用に決定的に重要であることが示された(Firan, M., et al., Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002; Shields, R.L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604)。Yeung, Y.A., et al. (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671)において、残基248〜259位および301〜317位および376〜382位および424〜437位の様々な変異体が報告され検査されている。例示的な変異およびFcRn結合に対するそれらの影響を下記の表に挙げる。

0154

(表)

0155

1つのFc領域ポリペプチド中の片側だけの1つの変異が、Fc受容体への結合を有意に弱めるのに十分であることが判明している。Fc領域に導入される変異の数が多いほど、FcRnへの結合が弱くなる。しかし、片側だけの非対称変異は、FcRn結合を完全に阻害するのには十分ではない。両側に存在する変異が、FcRn結合を完全に阻害するのに必要である。

0156

したがって、変種(ヒト)IgGクラスFc領域はヘテロ二量体であり、ヘテロ二量体は、機能的Fc領域を形成するために第1の(重鎖)Fc領域ポリペプチドおよび第2の(重鎖)Fc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0157

FcRn結合に影響を及ぼすためのIgG1Fc領域の対称的操作の結果を、下記の表に示す(変異の整列(alignment)およびFcRnアフィニティークロマトグラフィーカラムにおける保持時間)。

0158

(表)

0159

3分未満の保持時間は、その物質が通過画分中に存在するため、結合なしに相当する(ボイドピーク)。

0160

一変異H310Aは、任意のFcRn結合をなくすための最もサイレントな対称的変異である。

0161

対称的単一変異I253AおよびH435Aは、保持時間の0.3〜0.4分の相対的変化をもたらす。通常、これは、検出不可能な結合とみなすことができる。

0162

単一変異Y436Aは、FcRnアフィニティーカラムに対する検出可能な相互作用強度をもたらす。この理論に拘するものではないが、この変異は、I253A変異、H310A変異、およびH435A変異の組合せ(IHH-AAA変異)のような相互作用の無い状態と区別できる、FcRnを媒介とした半減期を有し得る。

0163

対称的に修飾した抗HER2抗体を用いて得られた結果を、下記の表に提示する(例えば、参照のためのWO 2006/031370を参照されたい)。

0164

(表)

0165

FcRn結合に影響を及ぼす非対称変異をFc領域中に導入する影響を、ノブイントゥーホール技術(例えば、US 7,695,936、US2003/0078385を参照されたく;「ノブ鎖」変異:S354C/T366W、「ホール鎖」変異:Y349C/T366S/L368A/Y407V)を用いて組み立てた二重特異性抗VEGF/ANG2抗体(下記を参照されたい)を用いて例示した。非対称的に導入される変異がFcRn結合に与える影響は、FcRnアフィニティークロマトグラフィー法を用いて容易に測定することができる(図9および下記の表を参照されたい)。FcRnアフィニティーカラムから遅れて溶出する、すなわち、FcRnアフィニティーカラムにおける保持時間が長い抗体は、インビボでより長い半減期を有し、逆もまた同様である。

0166

(表)

0167

非対称的なIHH-AAA変異およびLLL-DDD変異(LLL-DDD変異=L251D、L314D、およびL432D)は、対応する親抗体または野生型抗体よりも弱い結合を示す。

0168

対称的HHY-AAA変異(=変異H310A、H433A、およびY436Aの組合せ)は、ヒトFcRnにもはや結合しないが、プロテインAへの結合は維持されているFc領域をもたらす(図11、12、13、および14を参照されたい)。

0169

FcRn結合に影響を及ぼす非対称変異をFc領域中に導入する影響を、非対称変異の導入を可能にするためにノブイントゥーホール技術(例えば、US 7,695,936、US2003/0078385を参照されたい;「ノブ鎖」変異:S354C/T366W、「ホール鎖」変異:Y349C/T366S/L368A/Y407V)を用いて組み立てた二重特異性抗VEGF/ANG2抗体(VEGF/ANG2)、単一特異性抗IGF-1R抗体(IGF-1R)、および両方の重鎖のC末端に融合物を有する完全長抗体(融合物)を用いてさらに例示した。非対称的に導入される変異がFcRn結合およびプロテインA結合に与える影響は、FcRnアフィニティークロマトグラフィー法、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー法、およびSPRに基づく方法を用いて容易に測定することができる(下記の表を参照されたい)。

0170

0171

変異I253A、H310A、H435A、またはL251D、L314D、L432D、またはL251S、L314S、L432Sの組合せの結果、プロテインAへの結合が失われるのに対し、変異I253A、H310A、H435A、またはH310A、H433A、Y436A、またはL251D、L314D、L432Dの組合せの結果、ヒト新生児型Fc受容体への結合が失われる。

0172

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される変種ヒトIgGクラスFc領域を含む、抗体またはFc領域融合ポリペプチドである。

0173

Fc領域融合ポリペプチド中のFc領域は、前述の特徴をその融合相手に与える。融合相手は、そのインビボ半減期が短縮または延長される、すなわちそのインビボ半減期がはっきりと定められ、意図された用途に特別に合わせられる、生物活性を有する任意の分子であることができる。

0174

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域、およびリガンドを含む標的に結合する受容体タンパク質を含んでよく、例えば、TNFR-Fc領域融合ポリペプチド(TNFR=ヒト腫瘍壊死因子受容体(human tumor necrosis factor receptor))、またはIL-1R-Fc領域融合ポリペプチド(IL-1R=ヒトインターロイキン-1受容体(human interleukin-1 receptor))、またはVEGFR-Fc領域融合ポリペプチド(VEGFR=ヒト血管内皮増殖因子受容体(human vascular endothelial growth factor receptor))、またはANG2R-Fc領域融合ポリペプチド(ANG2R=ヒトアンギオポエチン2受容体(human angiopoietin 2 receptor))などである。

0175

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域、および例えば、抗体Fab断片、scFv(例えば、Nat. Biotechnol. 23 (2005) 1126-1136を参照されたい)、またはドメイン抗体(dAb)(例えば、WO 2004/058821、WO 2003/002609を参照されたい)などを含む、標的に結合する抗体断片を含んでよい。

0176

Fc領域融合ポリペプチドは、例えば、本明細書において報告される変種(ヒト)IgGクラスFc領域および受容体リガンド(天然または人工のいずれか)を含んでよい。

0177

B.例示的な抗体
1つの局面において、本発明は、変更されたFcRn結合を有する単離された抗体を提供し、すなわち、これらの抗体は、FcRn結合に影響を及ぼす変異を有していない抗体より高い親和性または低い親和性でヒトFcRnに結合する。

0178

1つの態様において、抗体は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、同じヒトFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第2のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第1のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第1のFc領域ポリペプチド中の修飾位置と第2のFc領域ポリペプチド中の修飾位置は異なり、かつ
(c)このFc領域は、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドとして(a)のヒトFc領域ポリペプチドを含む(すなわち、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置にa)のヒトFc領域ポリペプチドと同じアミノ酸残基を有する)Fc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0179

本明細書において報告される1つの例示的な抗体およびまた本発明の1つの局面は、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む、FcRn結合が消失した二重特異性二価抗体であり、
(i)VEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位は、重鎖可変ドメイン中にSEQID NO: 14のCDR3H領域、SEQ ID NO: 15のCDR2H領域、およびSEQ ID NO: 16のCDR1H領域を含み、かつ軽鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 17のCDR3L領域、SEQ ID NO: 18のCDR2L領域、およびSEQ ID NO: 19のCDR1L領域を含み、かつ
(ii)ANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位は、重鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 22のCDR3H領域、SEQ ID NO: 23のCDR2H領域、およびSEQ ID NO: 24のCDR1H領域を含み、かつ軽鎖可変ドメイン中にSEQ ID NO: 25のCDR3L領域、SEQ ID NO: 26のCDR2L領域、およびSEQ ID NO: 27のCDR1L領域を含み、かつ
(iii)この二重特異性抗体は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、同じヒトFc領域ポリペプチドに由来し、かつ
(b)第1のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第2のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第2のFc領域ポリペプチドは、少なくとも、KabatのEU指標番号付与システムに基づく1つの対応位置において、そのアミノ酸配列が第1のFc領域ポリペプチドアミノ酸配列と異なるという点で修飾されており、第1のFc領域ポリペプチド中の修飾位置と第2のFc領域ポリペプチド中の修飾位置は異なり、かつ
(c)このFc領域は、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドとして(a)のヒトFc領域ポリペプチドを含む(すなわち、KabatのEU指標番号付与システムに基づく対応位置に(a)のヒトFc領域ポリペプチドと同じアミノ酸残基を有する)Fc領域と比べて、ヒトFc受容体に対する親和性が異なる。

0180

全局面の1つの態様において、Fc領域は、変種(ヒト)IgGクラスFc領域である。1つの態様において、変種(ヒト)IgGクラスFc領域は、IgGクラスヘテロ二量体Fc領域である。

0181

全局面の1つの態様において、ヘテロ二量体は、(機能的)Fc領域を形成するために第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが対形成した結果、形成される。

0182

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、IgG1サブクラスまたはIgG4サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0183

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、変異L234A、L235A、およびP329Gをさらに含む、IgG1サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0184

1つの態様において、ヒトFc領域ポリペプチドは、変異S228PおよびL235Eをさらに含む、IgG4サブクラスのヒトFc領域ポリペプチドである。

0185

1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドは、変異S354CおよびT366Wをさらに含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含む。

0186

1つの態様において、二重特異性抗体は、
(i)VEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメインVHとしてSEQID NO: 20のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメインVLとしてSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むこと、および
(ii)ANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメインVHとしてSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメインVLとしてSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含むこと
を特徴とする。

0187

1つの態様において、二重特異性抗体は、(iii)のFc領域がヒトIgG1サブクラスのものであることを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG1サブクラスのFc領域が変異L234A、L235A、およびP329G(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。

0188

1つの態様において、二重特異性抗体は、(iii)のFc領域がヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG4サブクラスのFc領域が変異S228PおよびL235E(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG4サブクラスのFc領域が変異S228P、L235E、およびP329G(KabatのEU指標に基づく番号付与)をさらに含むことを特徴とする。

0189

1つの態様において、二重特異性抗体は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、(i)群I253A、H310A、H435A、または(ii)群H310A、H433A、Y436A、または(iii)群L251D、L314D、L432D、または(iv)群L251S、L314S、L432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つを第1のFc領域ポリペプチド中に含み、かつ変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つを第2のFc領域ポリペプチド中に含み、その結果、変異(i)I253A、H310A、H435A、または(ii)H310A、H433A、Y436A、または(iii)L251D、L314D、L432D、または(iv)L251S、L314S、L432SのすべてがFc領域中に含まれる。

0190

1つの態様において、二重特異性抗体は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、変異I253A/H310A/H435AもしくはH310A/H433A/Y436AもしくはL251D/L314D/L432DもしくはL251S/L314S/L432Sまたはそれらの組合せをFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、すべての変異が、第1のFc領域ポリペプチド中もしくは第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または1つもしくは2つの変異が、第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、変異(i)I253A、H310A、H435A、または(ii)H310A、H433A、Y436A、または(iii)L251D、L314D、L432D、または(iv)L251S、L314S、L432SのすべてがFc領域中に含まれる。

0191

本明細書において報告されるさらに別の局面は、二重特異性抗体を含む薬学的製剤、眼血管疾患の治療における使用のための薬学的製剤、眼血管疾患の治療用の医薬の製造のための二重特異性抗体の使用、そのような治療を必要とする患者に二重特異性抗体を投与する段階によって、眼血管疾患に罹患している患者を治療する方法である。1つの態様において、二重特異性抗体または二重特異性抗体を含む薬学的製剤は、硝子体内適用によって投与される。

0192

本発明によるさらなる局面は、本明細書において報告される二重特異性抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸分子である。

0193

本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞において核酸を発現できる、本明細書において報告される核酸を含む発現ベクター、および本明細書において報告される二重特異性抗体を組換え作製するためのそのようなベクターを含む宿主細胞を提供する。

0194

本発明はさらに、本明細書において報告されるベクターを含む原核宿主細胞または真核宿主細胞も含む。

0195

本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞において本明細書において報告される核酸を発現させる段階、およびその細胞または細胞培養上清から二重特異性抗体を回収する段階を特徴とする、本明細書において報告される二重特異抗体を作製するための方法も含む。1つの態様は、
(a)抗体をコードする核酸分子を含むベクターで宿主細胞を形質転換する段階;
(b)抗体の合成を可能にする条件下で宿主細胞を培養する段階;および
(c)培養物から抗体を回収する段階
を含む、本明細書において報告される二重特異抗体を調製するための方法である。

0196

本発明はさらに、二重特異性抗体を作製するためのこのような方法によって得られる抗体も含む。

0197

本明細書において報告される抗体は、眼血管疾患に罹患している患者に恩恵をもたらすFc領域中の特殊な修飾の寄与により、極めて有用な特性を有する。それらは、(重鎖定常領域を有していないより小さな抗体断片と比べて)硝子体内環境における高い安定性および眼からの緩徐な拡散を示し、その場所で、実際の疾患が捜し出され、治療される(したがって、治療スケジュールが、例えばFab断片および(Fab)2断片のようなIgGに似ていない抗体と比べて良くなる可能性が潜在的にある)。その一方で、本明細書において報告される抗体は、血清からかなり速くクリアランスされる(このことは、全身的曝露に起因する潜在的副作用を減少させるために極めて望ましい)。驚くべきことに、それらはまた、(定常領域中に変異I253A、H310A、およびH435Aの組合せを有していない種類と比べて)低い粘度を示し(図2を参照されたい)、したがって、眼疾患の治療期間中に細い針によって硝子体内適用するのに特に有用である(このような適用のために、典型的には、細い針が使用され、粘度が高いと、適切に適用することがかなり困難になる)。低粘度はまた、高濃度の製剤も可能にする。

0198

また、驚くべきことに、本明細書において報告される抗体は、(Fc領域中に変異I253A、H310A、およびH435Aの組合せを有していない種類と比べて)保存中に低い凝集傾向を示し(図4を参照されたい)、このことは、(眼における凝集は、そのような治療中に合併症を招く場合があるため、)眼における硝子体内適用にとって不可欠である。

0199

本明細書において報告される二重特異性抗体は、血管疾患を阻止するにあたって優れた有効性を示す。

0200

特定の態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、定常領域中の特殊な修飾(例えば、P329G LALA)の寄与により、Fcγ受容体への結合なし/Fcγ受容体の結合なし、のような有用な特性を示し、これにより、血栓症および/または望まれない(例えばADCCに起因する)細胞死のような副作用のリスクが低下する。

0201

本明細書において報告される1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、二価である。

0202

本発明による1つの局面において、本明細書において報告される二重特異性二価抗体は、
(a)VEGFに特異的に結合する第1の完全長抗体の重鎖および軽鎖、ならびに
(b)定常ドメインCLおよびCH1が互いに置換されている、ANG-2に特異的に結合する第2の完全長抗体の修飾された重鎖および修飾された軽鎖
を含むことを特徴とする。

0203

ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)およびヒトアンギオポエチン-2(ANG-2)に特異的に結合する二重特異性抗体のための、この二重特異性二価抗体形態は、WO 2009/080253において説明されている(ノブイントゥーホール修飾されたCH3ドメインを含む)。この二重特異性二価抗体形態に基づく抗体は、CrossMabと名付けられている。

0204

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 38のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 40のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 39のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 41のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0205

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 34のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 36のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 35のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0206

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 42のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 44のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 43のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 45のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0207

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 90のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 40のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 91のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 41のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0208

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 88のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 36のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 89のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0209

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 92のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 44のアミノ酸配列、ならびに
(b)第2の完全長抗体の修飾された重鎖としてSEQ ID NO: 93のアミノ酸配列、および第2の完全長抗体の修飾された軽鎖としてSEQ ID NO: 45のアミノ酸配列
を含むことを特徴とする。

0210

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、およびSEQ ID NO: 41のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0211

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 34、SEQ ID NO: 35、SEQ ID NO: 36、およびSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0212

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 42、SEQ ID NO: 43、SEQ ID NO: 44、およびSEQ ID NO: 45のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0213

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 90、SEQ ID NO: 91、SEQ ID NO: 40、およびSEQ ID NO: 41のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0214

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 88、SEQ ID NO: 89、SEQ ID NO: 36、およびSEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0215

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 92、SEQ ID NO: 93、SEQ ID NO: 44、およびSEQ ID NO: 45のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0216

本明細書において報告される別の局面において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、
(a)VEGFに特異的に結合する第1の完全長抗体の重鎖および軽鎖、ならびに
(b)重鎖のN末端がペプチドリンカーを介して軽鎖のC末端に連結されている、ANG-2に特異的に結合する第2の完全長抗体の重鎖および軽鎖
を含むことを特徴とする。

0217

ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)およびヒトアンギオポエチン-2(ANG-2)に特異的に結合するこの二重特異性抗体のための、この二重特異性二価抗体形態は、WO 2011/117330において説明されている(ノブイントゥーホール修飾されたCH3ドメインを含む)。この二重特異性二価抗体形態に基づく抗体は、一アーム単鎖Fab(OAscFab)と名付けられている。

0218

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 46のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含み、かつ
(b)ペプチドリンカーを介して第2の完全長抗体の軽鎖に連結された第2の完全長抗体の重鎖として、SEQ ID NO: 47のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする。

0219

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 49のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 51のアミノ酸配列を含み、かつ
(b)ペプチドリンカーを介して第2の完全長抗体の軽鎖に連結された第2の完全長抗体の重鎖として、SEQ ID NO: 50のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする。

0220

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 94のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含み、かつ
(b)ペプチドリンカーを介して第2の完全長抗体の軽鎖に連結された第2の完全長抗体の重鎖として、SEQ ID NO: 95のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする。

0221

1つの態様において、このような二重特異性二価抗体は、
(a)第1の完全長抗体の重鎖としてSEQID NO: 96のアミノ酸配列、および第1の完全長抗体の軽鎖としてSEQ ID NO: 51のアミノ酸配列を含み、かつ
(b)ペプチドリンカーを介して第2の完全長抗体の軽鎖に連結された第2の完全長抗体の重鎖として、SEQ ID NO: 97のアミノ酸配列を含む
ことを特徴とする。

0222

1つの態様において、第2の完全長抗体の重鎖および軽鎖の抗体重鎖可変ドメイン(VH)および抗体軽鎖可変ドメイン(VL)は、次の位置:重鎖可変ドメイン44位と軽鎖可変ドメイン100位の間にジスルフィド結合を導入することによってさらに安定化されている(Kabatに基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。安定化のためにジスルフィド架橋を導入するための技術は、例えば、WO 94/029350、Rajagopal, V., et al, Prot. Eng. 10 (1997) 1453-1459、Kobayashi et al., Nuclear Medicine & Biology 25 (1998) 387-393、およびSchmidt, M., et al., Oncogene 18 (1999) 1711-1721において説明されている。

0223

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 46、SEQ ID NO: 47、およびSEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0224

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 49、SEQ ID NO: 50、およびSEQ ID NO: 51のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0225

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 94、SEQ ID NO: 95、およびSEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0226

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、SEQID NO: 96、SEQ ID NO: 97、およびSEQ ID NO: 51のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位とヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む二重特異性二価抗体である。

0227

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性二価抗体のCH3ドメインは、例えば、WO 96/027011、Ridgway J.B., et al., Protein Eng. 9 (1996) 617-621、およびMerchant, A.M., et al., Nat. Biotechnol. 16 (1998) 677-681においていくつかの例を用いて詳細に説明されている「ノブイントゥーホール」技術によって改変される。この方法では、2つのCH3ドメインの相互作用面を改変して、これら2つのCH3ドメインを含む両方の重鎖のヘテロ二量体化を増加させる。(2本の重鎖の)2つのCH3ドメインのそれぞれが、「ノブ」となることができ、他方が「ホール」である。ジスルフィド架橋の導入により、ヘテロ二量体はさらに安定し (Merchant, A.M, et al., Nature Biotech. 16 (1998) 677-681、Atwell, S., et al. J. Mol. Biol. 270 (1997) 26-35)、収率は増加する。

0228

本明細書において報告される全局面の1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、
一方の重鎖のCH3ドメインと他方の重鎖のCH3ドメインとが、抗体CH3ドメイン間の元の境界面を含む境界面でそれぞれ接する
ことを特徴とし、
境界面は、二重特異性抗体の形成を促進するように改変されており、
この改変は、
(a)一方の重鎖のCH3ドメインが、
二重特異性抗体内の他方の重鎖のCH3ドメインの元の境界面と接する、一方の重鎖のCH3ドメインの元の境界面内で、
あるアミノ酸残基が、側鎖の体積が大きいアミノ酸残基で置換され、それによって、他方の重鎖のCH3ドメインの境界面内のくぼみに配置可能である、一方の重鎖のCH3ドメインの境界面内の隆起が生じるように、改変されること、
および
(b)他方の重鎖のCH3ドメインが、
二重特異性抗体内の第1のCH3ドメインの元の境界面と接する第2のCH3ドメインの元の境界面内で、
あるアミノ酸残基が、側鎖の体積が小さいアミノ酸残基で置換され、それによって、第1のCH3ドメインの境界面内の隆起を内部に配置可能である、第2のCH3ドメインの境界面内のくぼみが生じるように、改変される
ことを特徴とする。

0229

したがって、本発明による抗体は、1つの好ましい態様において、
(a)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメインと(b)の完全長抗体の重鎖のCH3ドメインとが、抗体のCH3ドメイン間の元の境界面に改変を含む境界面でそれぞれ接する
ことを特徴とし、
(i)一方の重鎖のCH3ドメインにおいて、
あるアミノ酸残基が、側鎖の体積が大きいアミノ酸残基で置換され、それによって、他方の重鎖のCH3ドメインの境界面内のくぼみに配置可能である、一方の重鎖のCH3ドメインの境界面内の隆起が生じ、
かつ
(ii)他方の重鎖のCH3ドメインにおいて、
あるアミノ酸残基が、側鎖の体積が小さいアミノ酸残基で置換され、それによって、第1のCH3ドメインの境界面内の隆起を内部に配置可能である、第2のCH3ドメインの境界面内のくぼみが生じる。

0230

1つの好ましい態様において、側鎖の体積が大きいアミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群より選択される。

0231

1つの好ましい態様において、側鎖の体積が小さいアミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)からなる群より選択される。

0232

1つの態様において、両方のCH3ドメインは、両方のCH3ドメイン間のジスルフィド架橋が形成され得るように、各CH3ドメインの対応位置にシステイン残基(C)を導入することによってさらに改変される。

0233

1つの態様において、二重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異、ならびに「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S変異、L368A変異、およびY407V変異を含む。また、例えば、「ノブ鎖」のCH3ドメイン中へのY349C変異またはS354C変異および「ホール鎖」のCH3ドメイン中へのY439C変異またはE356C変異またはS354C変異の導入による、CH3ドメイン間のさらなる鎖間ジスルフィド架橋も使用され得る(Merchant, A. M, et al. , Nature Biotech 16 (1998) 677-681)。

0234

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方に変異Y349CまたはS354Cおよび変異T366W、ならびに2つのCH3ドメインのうちの他方に変異S354CまたはE356CまたはY349Cならびに変異T366S、L368A、およびY407Vを含む。1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む(一方のCH3ドメイン中の追加のY349C変異および他方のCH3ドメイン中の追加のS354C変異が、鎖間ジスルフィド架橋を形成する)(KabatのEU指標に基づく番号付与)(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。1つの好ましい態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含む (一方のCH3ドメイン中の追加のY349C変異および他方のCH3ドメイン中の追加のS354C変異が鎖間ジスルフィド架橋を形成する)(KabatのEU指標に基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。

0235

しかし、EP 1870459 A1において説明されている他のノブインホール技術もまた、代わりにまたは追加で使用することができる。したがって、二重特異性抗体のための別の例は、「ノブ鎖」のCH3ドメイン中のR409D変異およびK370E変異、ならびに「ホール鎖」のCH3ドメイン中のD399K変異およびE357K変異である(KabatのEU指標に基づく番号付与(Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。

0236

別の態様において、二重特異性抗体は、「ノブ鎖」のCH3ドメインにT366W変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにT366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0237

1つの態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、ならびに2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異を含むか、または二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にY349C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にS354C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0238

1つの態様において、二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、Y407V変異を含むか、または二重特異性抗体は、2つのCH3ドメインのうちの一方にS354C変異、T366W変異、および2つのCH3ドメインのうちの他方にY349C変異、T366S変異、L368A変異、およびY407V変異、ならびにさらに、「ノブ鎖」のCH3ドメインにR409D変異、K370E変異、「ホール鎖」のCH3ドメインにD399K変異、E357K変異を含む。

0239

1つの態様において、本明細書において報告される二重特異性抗体は、次の特性:
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、低い血清濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスに硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、右眼ライセート全体において同様(0.8〜1.2倍)の濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスにおいて、右眼の硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-ヒト新生児型Fc受容体に対する結合を示さないこと
のうちの1つまたは複数を有することを特徴とする。

0240

1つの態様において、二重特異性二価抗体は、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むことを特徴とし、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異Y436Aを含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異I253A、H310A、およびH435Aを含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異H310A、H433A、およびY436Aを含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異L251D、L314D、およびL432Dを含むか、または
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、または
(f)第1のFc領域ポリペプチドは、変異Y436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、
-変異I253A、H310A、およびH435A、もしくは
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、または
(g)第1のFc領域ポリペプチドは、変異I253A、H310A、およびH435Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、または
(h)第1のFc領域ポリペプチドは、変異H310A、H433A、およびY436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、
(a)変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
(b)変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、
または
(i)第1のFc領域ポリペプチドは、変異L251D、L314D、およびL432Dを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドは、
(a)変異L251S、L314S、およびL432Sを含む。

0241

1つの態様において、二重特異性抗体は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、(i)群I253A、H310A、H435A、または(ii)群H310A、H433A、Y436A、または(iii)群L251D、L314D、L432D、または(iv)群L251S、L314S、L432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つを第1のFc領域ポリペプチド中に含み、かつ変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つを第2のFc領域ポリペプチド中に含み、その結果、ひとまとめにして考えた場合の第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中の変異のすべてにより、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432SがFc領域中に含まれることになる。

0242

1つの態様において、二重特異性抗体は、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、変異I253A/H310A/H435AもしくはH310A/H433A/Y436AもしくはL251D/L314D/L432DもしくはL251S/L314S/L432Sまたはそれらの組合せをFc領域中に含み(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)、すべての変異が、第1のFc領域ポリペプチド中もしくは第2のFc領域ポリペプチド中に存在するか、または1つもしくは2つの変異が、第1のFc領域ポリペプチド中に存在し、かつ1つもしくは2つの変異が、第2のFc領域ポリペプチド中に存在し、その結果、ひとまとめにして考えた場合の第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中の変異のすべてにより、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432SがFc領域中に含まれることになる。

0243

1つの態様において、二重特異性二価抗体は、
(i)第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)としてSEQID NO: 20のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)としてSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(ii)第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)としてSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)としてSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(iii)二重特異性抗体が、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、(i)群I253A、H310A、H435A、または(ii)群H310A、H433A、Y436A、または(iii)群L251D、L314D、L432D、または(iv)群L251S、L314S、L432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つを第1のFc領域ポリペプチド中に含み、かつ変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つを第2のFc領域ポリペプチド中に含み、その結果、ひとまとめにして考えた場合の第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中の変異のすべてにより、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432SがFc領域中に含まれることになること
を特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位ならびにヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位
を含むことと、
次の特性:
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、低い血清濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスに硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、右眼ライセート全体において同様(0.8〜1.2倍)の濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスにおいて、右眼の硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-ヒト新生児型Fc受容体に対する結合を示さないこと
のうちの1つまたは複数を有することと
を特徴とする。

0244

1つの態様において、二重特異性二価抗体は、
(i)第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)としてSEQID NO: 20のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)としてSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(ii)第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)としてSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)としてSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(iii)二重特異性抗体が、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異Y436Aを含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異I253A、H310A、およびH435Aを含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異L251D、L314D、およびL432Dを含むか、または
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、または
(f)第1のFc領域ポリペプチドが変異Y436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
-変異I253A、H310A、およびH435A、もしくは
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432S
を含むか、
または
(g)第1のFc領域ポリペプチドが変異I253A、H310A、およびH435Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432S
を含むか、
または
(h)第1のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
(a)変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
(b)変異L251S、L314S、およびL432S
を含むか、
または
(i)第1のFc領域ポリペプチドが、変異L251D、L314D、およびL432Dを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
(a)変異L251S、L314S、およびL432S
を含むこと
を特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位ならびにヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位
を含むことと、
次の特性:
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、低い血清濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスに硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、右眼ライセート全体において同様(0.8〜1.2倍)の濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスにおいて、右眼の硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-ヒト新生児型Fc受容体に対する結合を示さないこと
のうちの1つまたは複数を有することと
を特徴とする。

0245

1つの態様において、二重特異性抗体は、
(i)第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQID NO: 20のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(ii)第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(iii)二重特異性抗体が、両方ともヒトIgG1サブクラスまたはヒトIgG4サブクラスのものである(すなわち、ヒト源に由来する)第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含むFc領域を含み、Fc領域は、(i)群I253A、H310A、H435A、または(ii)群H310A、H433A、Y436A、または(iii)群L251D、L314D、L432D、または(iv)群L251S、L314S、L432S(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)より選択される変異のうちの1つまたは2つを第1のFc領域ポリペプチド中に含み、かつ変異L251D、L251S、I253A、H310A、L314D、L314S、L432D、L432S、H433A、H435A、およびY436A(KabatのEU指標番号付与システムに基づく番号付与)を含む群より選択される変異のうちの1つまたは2つを第2のFc領域ポリペプチド中に含み、その結果、ひとまとめにして考えた場合の第1のFc領域ポリペプチド中および第2のFc領域ポリペプチド中の変異のすべてにより、変異(i)I253A、H310A、およびH435A、または(ii)H310A、H433A、およびY436A、または(iii)L251D、L314D、およびL432D、または(iv)L251S、L314S、およびL432SがFc領域中に含まれることになること
を特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位ならびにヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位
を含むことと、
次の特性:
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、低い血清濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスに硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、右眼ライセート全体において同様(0.8〜1.2倍)の濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスにおいて、右眼の硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-ヒト新生児型Fc受容体に対する結合を示さないこと
のうちの1つまたは複数を有することと
を特徴とする。

0246

1つの態様において、二重特異性抗体は、
(i)第1の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQID NO: 20のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(ii)第2の抗原結合部位が、重鎖可変ドメイン(VH)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を、軽鎖可変ドメイン(VL)として、1、2、または3個のアミノ酸置換を有するSEQ ID NO: 29のアミノ酸配列を含むこと、ならびに
(iii)二重特異性抗体が、第1のFc領域ポリペプチドと第2のFc領域ポリペプチドとを含み、
(a)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異Y436Aを含むか、または
(b)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異I253A、H310A、およびH435Aを含むか、または
(c)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含むか、または
(d)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異L251D、L314D、およびL432Dを含むか、または
(e)第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドが、変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、または
(f)第1のFc領域ポリペプチドが、変異Y436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
-変異I253A、H310A、およびH435A、もしくは
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432S
を含むか、
または
(g)第1のFc領域ポリペプチドが、変異I253A、H310A、およびH435Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
-変異H310A、H433A、およびY436A、もしくは
-変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
-変異L251S、L314S、およびL432Sを含むか、
または
(h)第1のFc領域ポリペプチドが、変異H310A、H433A、およびY436Aを含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
(a)変異L251D、L314D、およびL432D、もしくは
(b)変異L251S、L314S、およびL432S
を含むか、または
(i)第1のFc領域ポリペプチドが、変異L251D、L314D、およびL432D を含み、かつ第2のFc領域ポリペプチドが、
(a)変異L251S、L314S、およびL432S
を含むこと
を特徴とする、ヒトVEGFに特異的に結合する第1の抗原結合部位ならびにヒトANG-2に特異的に結合する第2の抗原結合部位
を含むことと、
次の特性:
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、低い血清濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスに硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-(iii)において説明される変異を有していない対応する二重特異性抗体と比べて、右眼ライセート全体において同様(0.8〜1.2倍)の濃度を示す(マウスFcRnを欠損しているが、ヒトFcRnについてヘミ接合性トランスジェニックであるマウスにおいて、右眼の硝子体内適用後96時間目)(実施例6で説明するアッセイ法によって測定)こと、
-ヒト新生児型Fc受容体に対する結合を示さないこと
のうちの1つまたは複数を有することと
を特徴とする。

0247

本明細書において報告される二重特異性抗体の抗原結合部位は、抗原に対する結合部位の親和性に様々な程度で寄与する、6つの相補性決定領域(CDR)を含む。3つの重鎖可変ドメインCDR(CDRH1、CDRH2、およびCDRH3)ならびに3つの軽鎖可変ドメインCDR(CDRL1、CDRL2、およびCDRL3)がある。CDRおよびフレームワーク領域(FR)の範囲は、配列の可変性に基づいてそれらの領域が定められた、アミノ酸配列をまとめたデータベースと比較することによって決定される。

0248

全局面の1つの態様において、抗体は、ヒトFcRnに特異的に結合しない。全局面の1つの態様において、抗体は、さらに、ブドウ球菌プロテインAに特異的に結合する。

0249

全局面の1つの態様において、抗体は、ヒトFcRnに特異的に結合しない。全局面の1つの態様において、抗体は、さらに、ブドウ球菌プロテインAに特異的に結合しない。

0250

全局面の1つの態様において、第1のポリペプチドは、変異Y349C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み(「ホール」)、第2のポリペプチドは、変異S354CおよびT366Wを含む(「ノブ」)。

0251

全局面の1つの態様において、第1のポリペプチドは、変異S354C、T366S、L368A、およびY407Vをさらに含み(「ホール」)、第2のポリペプチドは、変異Y349CおよびT366Wを含む(「ノブ」)。

0252

全局面の1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、ヒトIgG1サブクラスのものである。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異L234AおよびL235Aをさらに含む。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異P329Gをさらに含む。

0253

全局面の1つの態様において、Fc領域ポリペプチドは、ヒトIgG4サブクラスのものである。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異S228PおよびL235Eをさらに含む。1つの態様において、第1のFc領域ポリペプチドおよび第2のFc領域ポリペプチドは、変異P329Gをさらに含む。

0254

本明細書において報告される抗体は、組換え手段によって作製される。したがって、本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸であり、さらなる局面は、本明細書において報告される抗体をコードする核酸を含む細胞である。組換え作製のための方法は、最新技術において広く知られており、原核細胞および真核細胞におけるタンパク質発現と、それに伴うその後の抗体単離および通常は薬学的に許容される純度までの精製とを含む。前述したように宿主細胞において抗体を発現させる場合、各(修飾された)軽鎖および重鎖をコードする核酸が、標準的な方法によって発現ベクターに挿入される。発現は、CHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、PER.C6細胞、酵母、または大腸菌(E.coli)細胞のような適切な原核宿主細胞または真核宿主細胞において実施され、抗体はこれらの細胞(培養上清または溶解後の細胞)から回収される。抗体を組換えによって作製するための一般的方法は最新技術において周知であり、例えば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202、Geisse, S., et al., Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282、Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-160、およびWerner, R.G., Drug Res. 48 (1998) 870-880といった総説論文で説明されている。

0255

したがって、本明細書において報告される1つの局面は、
(a)抗体をコードする核酸分子を含むベクターで宿主細胞を形質転換する段階、
(b)抗体の合成を可能にする条件下で宿主細胞を培養する段階、および
(c)培養物から抗体を回収する段階
を含む、本明細書において報告される二重特異抗体を調製するための方法である。

0256

1つの態様において、(c)の回収する段階は、軽鎖定常ドメインに特異的な捕捉試薬(例えば、κ軽鎖またはλ軽鎖が二重特異性抗体中に含まれるかどうかに応じて、κ定常軽鎖またはλ定常軽鎖に特異的)の使用を含む。1つの態様において、この軽鎖特異的捕捉試薬は、結合および溶出(bind-and-elute)様式で使用される。このような軽鎖定常ドメイン特異的捕捉試薬の例は、例えば、KappaSelect(商標)およびLambdaFabSelect(商標)(GE Healthcare/BACから入手可能)であり、これらは、大規模での速い流速および低い背圧を可能にする剛性の高いアガロースベースマトリックスに基づいている。これらの材料は、κ軽鎖またはλ軽鎖の定常領域に結合するリガンドをそれぞれ含む(すなわち、軽鎖の定常領域を欠く断片は結合しないと考えられる;図1)。したがって、両方とも、軽鎖の定常領域を含む他の標的分子、例えば、IgG、IgA、およびIgMに結合することができる。これらのリガンドは、長い親水性スペーサーアームを介してマトリックスに結合されて、標的分子に結合するために容易に利用できる状態になる。それらは、ヒトIgのκまたはλのいずれかについてスクリーニングされた単鎖抗体断片に基づいている。

0257

1つの態様において、(c)の回収する段階は、Fc領域に特異的な捕捉試薬の使用を含む。1つの態様において、Fc領域特異的捕捉試薬は、結合および溶出様式で使用される。このようなFc領域特異的捕捉試薬の例は、例えば、ブドウ球菌プロテインAに基づくアフィニティークロマトグラフィー材料である。

0258

二重特異性抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、アフィニティークロマトグラフィー(プロテインA-セファロース、またはKappaSelect(商標)、LambdaFabSelect(商標))、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、または透析などによって、培地から適宜分離される。

0259

モノクローナル抗体をコードするDNAおよびRNAは、従来の手順を用いて、容易に単離され、配列決定される。B細胞またはハイブリドーマ細胞は、このようなDNAおよびRNAの供給源として役立つことができる。単離すると、DNA発現ベクター中に挿入してもよく、その後、宿主細胞中での組換えモノクローナル抗体の合成を実現するために、発現ベクターをHEK293細胞、CHO細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞中にトランスフェクトし、宿主細胞はさもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない。

0260

本明細書において報告される分子のうちのいくつかは、修飾のうちの少なくとも1つが、(i)(ブドウ球菌)プロテインAに対するその分子の差次的な親和性、および(ii)ヒトFcRnに対するその分子の差次的な親和性をもたらす、差次的に修飾されたFc領域を含むことによって、単離/精製を容易にし、この分子は、プロテインAに対する親和性に基づいて、粉砕された細胞から、培地から、または分子の混合物から、単離することができる。

0261

抗体の精製は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当技術分野において周知の他の技術(例えば、Ausubel, F., et al., ed. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照されたい)を含む標準技術によって、細胞構成要素または他の混在物、例えば、他の細胞核酸または細胞タンパク質を除去するために実施される。微生物タンパク質を用いるアフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換(カルボキシメチル樹脂)、陰イオン交換(アミノエチル樹脂)、および混合モード交換)、硫黄親和性吸着(例えば、β-メルカプトエタノールおよび他のSHリガンドを使用)、疎水性相互作用または芳香族吸着クロマトグラフィー(例えば、フェニルセファロース、アザアレーン親和性(aza-arenophilic)樹脂、またはm-アミノフェニルボロン酸を使用)、金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(例えば、Ni(II)親和性材料およびCu(II)親和性材料を使用)、サイズ排除クロマトグラフィー、ならびに電気泳動法(例えば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動)などの様々な方法が十分に確立されており、タンパク質精製のために広く普及して使用されている(Vijayalakshmi, M.A., Appl. Biochem. Biotech. 75 (1998) 93-102)。

0262

本明細書において報告されるヒトVEGFおよびヒトANG-2に対する二価二重特異性抗体は、有用な有効性/安全性プロファイルを有することができ、抗VEGFおよび抗ANG-2療法を必要とする患者に恩恵を与えることができる。

0263

本明細書において報告される1つの局面は、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤である。本明細書において報告される別の局面は、薬学的製剤を製造するための、本明細書において報告される抗体の使用である。本明細書において報告されるさらなる局面は、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤を製造するための方法である。別の局面において、製剤、例えば、薬学的担体と合わせて製剤化された、本明細書において報告される抗体を含む薬学的製剤が、提供される。

0264

本発明の製剤は、当技術分野において公知の様々な方法によって投与することができる。当業者には理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて異なる。ある種の投与経路によって本明細書において報告される化合物を投与するために、化合物の不活性化を防止するための材料で化合物をコーティングすること、または化合物の不活性化を防止するための材料と共に化合物を同時投与することが必要な場合がある。例えば、適切な担体、例えば、リポソーム、または希釈剤中に入れて、化合物を対象に投与してもよい。薬学的に許容される希釈剤には、生理食塩水および水性緩衝溶液が含まれる。薬学的担体には、無菌水溶液または分散液、および無菌の注射液剤または分散剤用時調製するための無菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質に対してこのような媒体および作用物質を使用することは、当技術分野において公知である。

0265

限定されるわけではないが、眼内適用または局所適用を含む、多くの実施可能な送達様式を使用することができる。1つの態様において、適用は眼内であり、結膜下注射、前房内(intracanieral)注射、耳側輪部(termporai limbus)を介した前房中への注射、基質内注射、角膜内注射、網膜下注射、眼房水注射、テノン嚢下(subtenon)注射、または持続的送達器具、硝子体内注射(例えば、前部硝子体注射、中央部硝子体注射、または後部硝子体注射)を含むが、それらに限定されるわけではない。1つの態様において、適用は局所的であり、角膜への点眼剤を含むが、それに限定されるわけではない。

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