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図面 (4)

課題・解決手段

核酸の抽出、安定化及び保存のための固体マトリックスが提供される。1種以上のタンパク質変性剤及び1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤が、乾燥状態マトリックス含浸され、マトリックスは、水和時に酸性pHをもたらすように構成されている。マトリックスは、試料から核酸を抽出し、抽出核酸、特にRNAを、周囲条件下、乾燥フォーマットで長期間安定させるように構成されている。乾燥固体マトリックス中に保存された核酸を収集回収するための方法についても記載されている。

概要

背景

生物学的試料からの単離又は精製中に生体分子構造的及び機能的整合性を保存することは、種々のダウンストリーム用途に必須である。精製生体分子のダウンストリーム用途は、被験物質検出、検知、法医学的診断的又は治療的用途、シークエンシング増幅等を包含し得る。これらのダウンストリーム用途の成功は、標的生体分子一体構造及び機能を維持することによって決まり得る。温度、圧力、pH、化学的もしくは酵素的加水分解、又は汚染物質の存在等の種々の要因が、DNA、RNA又はタンパク質等の生体分子の分解を引き起こし得る。

RNAは、化学的自己加水分解及び酵素媒介性分解により最も不安定な生体分子の1つである。生物学的試料に由来するRNAの抽出及び安定化は、RNAを抽出する又は収集するために使用される緩衝液溶液pH、温度、及び特に強固なリボヌクレアーゼRNase)の遍在的存在を包含するがこれらに限定されない多数の環境要因に対して感受性である。RNAは、典型的には、冷凍(例えば、4℃、−20℃又は−80℃)下、精製及び未精製両方の形態で保存されて、加水分解及び酵素的分解を防止し、故に、RNA試料の整合性を保存する。周囲温度下でのRNAの抽出及び安定化のための方法及び物品は、RNA試料の整合性を維持するための冷凍に関連する費用及び空間要求を回避するために望ましい。

周囲温度下でRNAを安定させるための現在の方法論は、例えば、洗剤カオトロピック化合物還元剤遷移金属有機溶媒キレート剤プロテアーゼ、RNaseペプチド阻害剤及び抗RNase抗体の過剰な液体溶液中でRNaseを不活性化することに焦点を合わせてきた。さらなる取り組みでは、トランスエステル化及び自己加水分解を制限するためのRNAの化学修飾に焦点を合わせてきた。乾燥フォーマットでのRNAの収集及び保存の成功を求める乾燥状態技術は、典型的には、RNAの保存前に試料からRNAが「予め精製」され濃縮されることを必要とする。乾燥フォーマットでのRNAの保存のための他の乾燥状態技術は、追加の乾燥施設(例えば、強制対流凍結乾燥又は熱処理)を必要とする。したがって、これらの方法は、顕著な試料加工のない試料(例えば、生物学的試料)からの直接的RNA収集につながらない。

概要

核酸の抽出、安定化及び保存のための固体マトリックスが提供される。1種以上のタンパク質変性剤及び1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤が、乾燥状態でマトリックス含浸され、マトリックスは、水和時に酸性pHをもたらすように構成されている。マトリックスは、試料から核酸を抽出し、抽出核酸、特にRNAを、周囲条件下、乾燥フォーマットで長期間安定させるように構成されている。乾燥固体マトリックス中に保存された核酸を収集し回収するための方法についても記載されている。なし

目的

本発明の実施形態は、RNA等の核酸の周囲抽出及び保存のための好適なマトリックス及び方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

固体マトリックスであって、1種以上のタンパク質変性剤と、当該マトリックス乾燥状態含浸した1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤とを含んでおり、当該マトリックスが、水和時に酸性pHをもたらし、試料から核酸を抽出し、周囲温度において核酸を実質的に乾燥状態で保存するように構成された、マトリックス。

請求項2

固相抽出マトリックスである、請求項1に記載のマトリックス。

請求項3

抽出及び保存される核酸が、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項4

抽出及び保存される核酸がRNAを含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項5

抽出及び保存されるRNAが、4以上のRNAインテグリティナンバーRIN)を有する、請求項4に記載のマトリックス。

請求項6

酸が、酢酸クエン酸酒石酸リン酸塩酸トリス(2−カルボキシエチルホスフィン−塩酸(TCEP−HCl)、酸化トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン−塩酸(TCEP−O−HCl)、硫酸硝酸バニリン酸、3−(N−モルホリノプロパンスルホン酸又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項7

酸滴定緩衝剤が2〜7の範囲内のpHを生じさせる、請求項1に記載のマトリックス。

請求項8

酸滴定緩衝剤が3〜6の範囲内のpHを生じさせる、請求項1に記載のマトリックス。

請求項9

UV保護剤ラジカルスカベンジャーキレート剤又はそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項10

UV保護剤又はラジカルスカベンジャーが、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ハイドロキノン(HQ)、トルヒドロキノン(THQ)及びアスコルビン酸からなる群から選択される、請求項9に記載のマトリックス。

請求項11

RNase阻害剤をさらに含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項12

RNase阻害剤が、三リン酸塩ピロリン酸塩又はそれらの組合せを含む、請求項11に記載のマトリックス。

請求項13

RNase阻害剤が、バナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、ピロリン酸ナトリウムヌクレオチド類似体又は市販のRNase阻害剤を含む、請求項11に記載のマトリックス。

請求項14

RNase阻害剤が、三リン酸ナトリウムを含む、請求項11に記載のマトリックス。

請求項15

1以上の還元剤をさらに含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項16

還元剤が、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP−HCl)及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載のマトリックス。

請求項17

セルロース酢酸セルロースニトロセルロースガラス繊維又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載のマトリックス。

請求項18

多孔質である、請求項1に記載のマトリックス。

請求項19

タンパク質変性剤が、塩酸グアニジンチオシアン酸グアニジンチオシアン酸ナトリウムチオシアン酸カリウムアルギニンドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のマトリックス。

請求項20

試料が生物学的試料である、請求項1に記載のマトリックス。

請求項21

RNA抽出マトリックスであって、カオトロピック剤洗剤又はそれらの組合せを含むタンパク質変性剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した酸又は酸滴定緩衝剤とを含んでおり、当該マトリックスが、RNAを抽出し、抽出RNAを4以上のRINで安定させるために、水和時に2〜7の範囲内のpHをもたらすように構成された多孔質非溶解性乾燥材料である、マトリックス。

請求項22

MEHQ、HQ、THQ、アスコルビン酸及びそれらの組合せからなる群から選択されるUV保護剤又はラジカルスカベンジャーをさらに含む、請求項21に記載のマトリックス。

請求項23

RNA抽出マトリックスであって、カオトロピック剤、洗剤又はそれらの組合せを含むタンパク質変性剤と、酸又は酸滴定緩衝剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した三リン酸塩又はピロリン酸塩を含むRNase阻害剤とを含んでおり、当該マトリックスが、水和時に2〜7のpHをもたらし、RNAを4以上のRIN値で安定させるように構成された多孔質非溶解性乾燥材料を含む、マトリックス。

請求項24

試料から核酸を抽出及び保存する方法であって、タンパク質変性剤及び酸又は酸滴定緩衝剤を含む乾燥固体マトリックス上の試料を用意するステップと、水和によって試料から核酸を抽出するための酸性pHを生じさせるステップと、抽出核酸を含むマトリックスを乾燥させるステップと、周囲温度においてマトリックス上の抽出核酸を実質的に乾燥状態で保存するステップとを含む、方法。

請求項25

マトリックスから核酸を回収するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。

請求項26

マトリックスからの核酸の回収が、マトリックスを、水溶液緩衝液又は有機溶液中再水和することを含む、請求項25に記載の方法。

請求項27

マトリックスからの核酸の回収が電気泳動溶出を含む、請求項25に記載の方法。

請求項28

試料が生物学的試料である、請求項24に記載の方法。

請求項29

生物学的試料が、血液、血清組織唾液又は細胞を含む、請求項28に記載の方法。

請求項30

試料が、細胞抽出物組織培養細胞調製物、不純核酸又は精製核酸である、請求項28に記載の方法。

請求項31

抽出核酸がRNA、DNA又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。

請求項32

抽出核酸がRNAを含む、請求項24に記載の方法。

請求項33

抽出RNAが4以上のRINを有する、請求項32に記載の方法。

請求項34

マトリックスがUV保護剤、ラジカルスカベンジャー、キレート剤又はそれらの組合せをさらに含む、請求項24に記載の方法。

請求項35

UV保護剤又はラジカルスカベンジャーが、MEHQ、HQ、THQ及びアスコルビン酸からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。

請求項36

酸性pHが2〜7の範囲内である、請求項24に記載の方法。

請求項37

マトリックスがRNase阻害剤をさらに含む、請求項24に記載の方法。

請求項38

マトリックスがセルロース、酢酸セルロース、ガラス繊維又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。

請求項39

マトリックスが多孔質セルロース紙を含む、請求項24に記載の方法。

請求項40

タンパク質変性剤が、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、アルギニン、SDS、尿素及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。

請求項41

マトリックスが、DTT、2−ME、TCEP、tTCEP−HCl及びそれらの組合せからなる群から選択される還元剤をさらに含む、請求項24に記載の方法。

請求項42

酸が、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、TCEP−HCl、TCEP−O−HCl、硫酸、硝酸、バニリン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸又はそれらの組合せを含む、請求項24に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、固体基質、並びに乾燥フォーマット生物学的試料からの核酸の周囲抽出及び安定化のための方法に関する。乾燥固体基質から、核酸を、収集、抽出、保存、回収するための方法についても記載されている。

背景技術

0002

生物学的試料からの単離又は精製中に生体分子構造的及び機能的整合性を保存することは、種々のダウンストリーム用途に必須である。精製生体分子のダウンストリーム用途は、被験物質検出、検知、法医学的診断的又は治療的用途、シークエンシング増幅等を包含し得る。これらのダウンストリーム用途の成功は、標的生体分子一体構造及び機能を維持することによって決まり得る。温度、圧力、pH、化学的もしくは酵素的加水分解、又は汚染物質の存在等の種々の要因が、DNA、RNA又はタンパク質等の生体分子の分解を引き起こし得る。

0003

RNAは、化学的自己加水分解及び酵素媒介性分解により最も不安定な生体分子の1つである。生物学的試料に由来するRNAの抽出及び安定化は、RNAを抽出する又は収集するために使用される緩衝液溶液pH、温度、及び特に強固なリボヌクレアーゼRNase)の遍在的存在を包含するがこれらに限定されない多数の環境要因に対して感受性である。RNAは、典型的には、冷凍(例えば、4℃、−20℃又は−80℃)下、精製及び未精製両方の形態で保存されて、加水分解及び酵素的分解を防止し、故に、RNA試料の整合性を保存する。周囲温度下でのRNAの抽出及び安定化のための方法及び物品は、RNA試料の整合性を維持するための冷凍に関連する費用及び空間要求を回避するために望ましい。

0004

周囲温度下でRNAを安定させるための現在の方法論は、例えば、洗剤カオトロピック化合物還元剤遷移金属有機溶媒キレート剤プロテアーゼ、RNaseペプチド阻害剤及び抗RNase抗体の過剰な液体溶液中でRNaseを不活性化することに焦点を合わせてきた。さらなる取り組みでは、トランスエステル化及び自己加水分解を制限するためのRNAの化学修飾に焦点を合わせてきた。乾燥フォーマットでのRNAの収集及び保存の成功を求める乾燥状態技術は、典型的には、RNAの保存前に試料からRNAが「予め精製」され濃縮されることを必要とする。乾燥フォーマットでのRNAの保存のための他の乾燥状態技術は、追加の乾燥施設(例えば、強制対流凍結乾燥又は熱処理)を必要とする。したがって、これらの方法は、顕著な試料加工のない試料(例えば、生物学的試料)からの直接的RNA収集につながらない。

先行技術

0005

国際公開第2007/008722号

0006

したがって、単一プロセスステップ以内で、周囲条件下、生物学的試料からの乾燥状態RNA抽出及び安定化を可能にする組成物及び方法が必要である。さらに、乾燥した生物学的試料を周囲温度長期間保存し、その後さらなる分析のためにインタクトなRNAを回収する能力は、非常に望ましい。

0007

固体マトリックスの一実施形態は、1種以上のタンパク質変性剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤とを含み、マトリックスは、水和時に酸性pHをもたらし、試料から核酸を抽出し、周囲温度において核酸を実質的に乾燥状態で保存するように構成されている。

0008

別の実施形態では、RNA抽出マトリックスは、カオトロピック剤、洗剤又はそれらの組合せを含むタンパク質変性剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した酸又は酸滴定緩衝剤とを含み、マトリックスは、RNAを抽出し、抽出RNAを4以上のRNAインテグリティナンバーRIN:RNA integrity number)で安定させるために、水和時に2〜7の範囲内のpHをもたらすように構成された多孔質非溶解性乾燥材料である。

0009

一実施形態では、RNA抽出マトリックスは、カオトロピック剤、洗剤又はそれらの組合せを含むタンパク質変性剤と、酸又は酸滴定緩衝剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した三リン酸塩又はピロリン酸塩を含むRNase阻害剤とを含み、マトリックスは、水和時に2〜7のpHをもたらし、RNAを4以上のRNAインテグリティナンバー(RIN)で安定させるように構成された多孔質非溶解性乾燥材料を含む。

0010

試料から核酸を抽出及び保存する方法の一例は、タンパク質変性剤及び酸又は酸滴定緩衝剤を含む乾燥固体マトリックス上の試料を用意するステップと、水和によって試料から核酸を抽出するための酸性pHを生じさせるステップと、抽出核酸を含むマトリックスを乾燥させるステップと、周囲温度においてマトリックス上の抽出核酸を実質的に乾燥状態で保存するステップとを含む。

0011

本発明の上記その他の特色、態様及び利点は、下記の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、よく理解され、図面全体を通して、類似の文字は類似の部品を表す。

図面の簡単な説明

0012

トリス(2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)の酸化及びTCEP酸化物(TCEP−O)の調製を示すP31NMRプロファイルの図である。
セルロース試料に対するTCEP及びTCEP−O還元活性についての5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)比色分析アッセイから誘導された棒グラフを示す図である。
TCEP又はTCEP−Oを含有する化学処理したセルロース紙上で収集された乾燥血斑についてRNAインテグリティナンバー(RIN)を示す図である。
種々の化学処理したセルロースマトリックス上で収集され、アジレント2100バイオアナライザでのRNA分析前、5、6又は12日間周囲温度で保存された乾燥血斑について、RNAインテグリティナンバー(RIN)を示す図である。

0013

本発明の実施形態は、RNA等の核酸の周囲抽出及び保存のための好適なマトリックス及び方法を提供する。RNAは、概して、インタクトな形態で保存することが困難な不安定分子として公知である。本発明の1以上の実施形態は、核酸抽出マトリックスに関し、マトリックスは、単一プロセスステップ以内で生物学的試料から核酸を収集し、抽出し、長期間保存し、続いて種々の用途において使用するように構成されている。マトリックスは、実質的に乾燥状態で核酸を周囲温度で保存し、核酸の整合性を実質的に保持するように構成されている。

0014

特許請求されている発明の主題をより明確にかつ簡潔に記載するために、下記の記載及び添付の請求項において使用される具体的な用語に下記の定義を提供する。明細書全体を通して、具体的な用語の例示は、非限定的な例とみなされるべきである。

0015

単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書及び請求項で用いる近似表現は、数量を修飾し、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動しうる数量を表現する際に適用される。したがって、「約」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。必要に応じて、範囲が設定されるが、それらの範囲は、それらすべての中間範囲を含めたものである。

0016

用語「核酸」は、本明細書では、RNA(例えば、mRNA、miRNA、rRNAtRNA、piRNA、ncRNA)、DNA(例えば、ゲノムDNA、mtDNA)、並びにヌクレオチド類似体を使用して生じさせたDNA又はRNAの組換えRNA及びDNA分子又は類似体のすべての形態を含む。核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。核酸は、コード鎖又は非コード鎖を包含し得る。該用語は、開示されている抽出方法を使用して回収され得る自然発生のRNA又はDNA等の核酸のフラグメントも含む。「フラグメント」は、核酸(例えば、RNA又はDNA)の一部を指す。

0017

用語「生物学的試料」は、本明細書では、ヒトを包含する生物から取得された、血液、血清組織及び唾液を包含するがこれらに限定されない。生物学的試料は、自己診断試験(例えば、血糖モニタリング)を受けている個体によって、又は、熟練した医療専門家によって、例えば、針を使用して血液を吸引すること、又は患者の皮膚上の病変等の特定の領域を解体する又は拭き取ることを包含する様々な技術を介して、取得され得る。種々の生物学的試料を収集するための方法は、当技術分野において周知である。用語「試料」は、上記で定義した通りの生物学的試料を包含するが、例えば、組織培養細胞及び精製核酸も包含する。

0018

用語「還元剤」は、本明細書では、別の化学種電子を提供する化学種を包含する。様々な還元剤が当技術分野において公知である。例示的な還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)及びトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を包含する。さらに、上記その他の還元剤の組合せを使用してよい。特定の実施形態では、還元剤はTCEPである。

0019

用語「緩衝液」は、本明細書では、例えば、2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール(トリス)、2−(N−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、クエン酸緩衝液、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)及びリン酸緩衝液を包含する。この潜在的な緩衝液の一覧は、例証のみを目的とするものである。本明細書で開示されている組成物及び方法において使用するために選択される緩衝液のpHは、典型的には、2〜7の範囲内で酸滴定されている。

0020

固体マトリックスの1以上の実施形態は、1種以上のタンパク質変性剤と、当該マトリックスに乾燥状態で含浸した1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤とを含み、マトリックスは、水和時に酸性pHをもたらすように構成されている。マトリックスは、試料から核酸を抽出し、周囲温度において核酸を実質的に乾燥状態で保存するようにも構成されている。本明細書では、用語「実質的に乾燥状態」は、およそ2%未満の水分含量を有するように試料をさらに乾燥させることを指す。

0021

試料からの核酸の抽出及び保存のための固体マトリックスは、1以上の酸又は酸滴定緩衝液及びタンパク質変性剤を乾燥状態で含む。用語「マトリックス」は、本明細書において、「抽出マトリックス」と交換可能に使用される。用語「固体マトリックス」は、本明細書では、非溶解性なマトリックスを指す。マトリックスは、マトリックス材料可溶化することなく、核酸の収集、抽出及び保存を可能にする。固体マトリックスは、セルロース酢酸セルロースニトロセルロースガラス繊維又はそれらの組合せ等の材料を包含するがこれらに限定されない。マトリックスへの組成物の「組み込み」は、後述する「浸漬」手順を包含するがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、そのような方法は、乾燥固体マトリックスへの組成物の組み込みを遂行する。乾燥固体マトリックスへの組成物の組み込み後、任意の適切な方法を使用して固体マトリックスを乾燥させる。

0022

前述した通り、固体マトリックスは、組成物を乾燥状態で含み、また、抽出核酸を乾燥条件下で保存する。抽出及び保存のための乾燥固体マトリックスの使用は、液体ベースの抽出よりも有利であり、なぜなら、乾燥マトリックスが、マトリックスに適用される試料の最小体希釈を確実にするからである。当業者であれば、液体ベースの抽出は、試料の濃縮物を、過剰体積の安定化試薬中で希釈することが分かるであろう。試料を収集し、抽出し、保存するための乾燥固体マトリックスの使用は、試料の濃度を維持し、液体保存料中での試料の不適切な希釈に関連する試料分解等の問題を解消する。加えて、固体マトリックスは、乾燥試薬固定組成物を含み、これにより、水和時にRNA等の核酸の効率的な抽出を、続いて周囲温度での抽出RNAの安定化を可能にする。

0023

用語「周囲条件」又は「周囲温度」は、以後、交換可能に使用される。本明細書では、用語「周囲温度」は、0℃から60℃の間の範囲内の温度を指す。1以上の実施形態では、周囲温度は室温である。いくつかの実施形態では、マトリックスは、核酸を、周囲温度下、乾燥した状態で保存又は保存するように構成されている。

0024

前述した通り、固体マトリックスは、核酸を、乾燥状態下で長期間保存又は保存するように構成されている。用語「ように構成されている」又は「のために構成されている」は、本明細書において、マトリックスに核酸をある期間にわたって周囲温度で抽出及び保存させることができるマトリックスの構造又は組成物を称する。用語「保存」又は「保存」は、抽出核酸をさらなる分析に好適なフォーマットで維持することに関して、本明細書において交換可能に使用され得る。より具体的には、核酸は、固体核酸抽出マトリックス中に保存又は保存されてよく、マトリックスは、分子の整合性を確実に維持する。

0025

いくつかの実施形態では、核酸抽出マトリックスは固相抽出マトリックスである。マトリックスは、固相抽出法が使用される場合、本明細書において、固相抽出マトリックスと称される。固相抽出(SPE)技術は、シークエンシング及び他の用途のための高純度核酸の抽出時間を低減させるために活用されてきた。固相抽出は、固相及び液相を使用して、同じ種類又は異なる種類の1以上の分子を材料から単離する抽出法である。固相抽出マトリックスは、例えば、クロマトグラフ法又は他の分析法上流の試料を精製するために使用される。方法の一例は、試料(例えば、生物学的試料)を固相抽出マトリックスに充填するステップと、マトリックスを周囲温度で保存して実質的に乾燥状態を実現するステップと、マトリックスを好適な緩衝液で再水和してマトリックスからRNAを差次的に抽出するステップとを含む。

0026

用語「抽出」は、試料から、より詳細には生物学的試料から、核酸を分離する又は単離するための任意の方法を指す。RNA及びDNA等の核酸は、例えば細胞溶解によって放出され得る。一実施形態では、核酸は、蒸発細胞溶解中に放出され得る。別の実施形態では、細胞は、細胞溶解試薬を含むマトリックスとの接触時に溶解する。細胞を含む生物学的試料をマトリックスと接触させることで、例えばFTA商標溶出セルロース紙を使用することによって、核酸を放出する細胞溶解をもたらす。

0027

固体マトリックスは多孔質であってよい。一実施形態では、固体マトリックスは、ワットマン(商標)製のセルロースマトリックス等の多孔質セルロース紙である。一例において、ワットマン(商標)製のセルロースマトリックスは、903−セルロース、FTA(商標)又はFTA(商標)溶出を含む。

0028

1以上の例において、抽出マトリックスに、1以上の試薬を含浸させる。前述した通り、例の実施形態では、マトリックスは、乾燥状態で含浸した1種以上のタンパク質変性剤を含む。一実施形態では、マトリックスは、1種以上の酸又は酸滴定緩衝剤をさらに含む。別の実施形態では、マトリックスは、1以上の還元剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、含浸試薬は、溶解試薬、核酸安定化試薬、核酸保存化学物質及びそれらの組合せを含む。

0029

いくつかの実施形態では、マトリックスに含浸した乾燥試薬は、緩衝液、水又は試料を添加することによって水和される。一実施形態では、含浸乾燥試薬は、核酸の抽出又は保存のためにマトリックス上に配置された試料、より具体的には生物学的試料によって水和される。いくつかの他の実施形態では、試料に加えて、水又は緩衝液を添加してマトリックスを水和し、マトリックスに埋め込まれている試薬を再構成する又は活性化する。いくつかの実施形態では、マトリックスの水和は、マトリックスにおいて酸性pHを生じさせる。いくつかの実施形態では、水和はさらに、マトリックス中に乾燥形態で存在するタンパク質変性剤、酸又は酸滴定緩衝剤等の試薬を再構成するという結果をもたらす。

0030

1以上の実施形態では、マトリックスはタンパク質変性剤を含む。タンパク質変性剤は、カオトロピック剤又は洗剤を含み得る。特定の変性剤に限定することは意図しないが、タンパク質変性剤は、それらの生物物理学的特性及び生物学的酵素活性(例えば、RNase)を完全に阻害する能力に応じて、弱い変性剤又は強い変性剤のいずれかとして分類され得る。いくつかの実施形態では、弱いタンパク質変性剤(例えば、洗剤)は、細胞を溶解し、核酸を変性させることなくタンパク質間相互作用を妨害するために使用され得る。さらなる実施形態では、強いタンパク質変性剤(例えば、カオトロピック塩)の使用は、細胞及びタンパク質を変性させるのに加えて核酸二次構造も変性させ得る。多数のタンパク質変性剤が当技術分野において公知であり、本明細書において記載されている組成物及び方法において使用するために選択され得る。特定のタンパク質変性剤に限定することは意図しないが、例示的なタンパク質変性剤は、チオシアン酸グアニジン塩酸グアニジンチオシアン酸ナトリウムチオシアン酸カリウムアルギニンドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素又はそれらの組合せを包含する。例示的な洗剤は、イオン洗剤、非イオン洗剤又は両性イオン洗剤として分類され得る。イオン洗剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等のアニオン洗剤又はエチルトリメチルアンモニウムブロミド等のカチオン洗剤を含み得る。細胞溶解のための非イオン洗剤の非限定的な例は、トリトンX−100、NP−40、ブリッジ35、ツイン20、オクチルグルコシドオクチチオグルコシド又はジギトニンを包含する。いくつかの両性イオン洗剤は、3−[(3−コールアミドプロピルジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネートCHAPS)及び3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)を含み得る。

0031

1以上の実施形態では、タンパク質変性剤はチオシアン酸塩を含む。マトリックスの1以上の実施形態は、乾燥状態で含浸した酸滴定チオシアン酸塩を含む。例示的なチオシアン酸塩は、チオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム又はそれらの組合せを包含するがこれらに限定されない。

0032

抽出マトリックスは、生物学的試料からのRNA抽出後、RNAの安定性及び整合性を所望のレベルに維持する。一実施形態では、マトリックスに、核酸安定化試薬を含浸させる。これらの安定化試薬は、RNase阻害剤、酸滴定緩衝液又はキレート剤(例えば、EDTA)を包含し得る。組成物は、紫外線(UV)阻害剤又はラジカルスカベンジャーをさらに含み得る。

0033

前述した通り、マトリックスはRNase阻害剤をさらに含み、RNase阻害剤は、バナジルリボヌクレオシド複合体(VRC)、ヌクレオチド類似体又は市販のRNase阻害剤(例えば、SUPERase−In(商標))を含む。RNase阻害剤は、ピロホスフェート化合物をさらに含み得る。一実施形態では、ピロリン酸ナトリウム塩基をRNase阻害剤として使用してよい。RNase阻害剤の1以上の実施形態は、三リン酸ナトリウム等の三リン酸塩をさらに含み得る。一例において、酸滴定緩衝液へのピロリン酸ナトリウムの添加は、液体状態及び乾燥フォーマットの両方においてRNA安定性を増強する。

0034

マトリックスの実施形態は、酸又は酸滴定緩衝剤を乾燥状態で含み、これは、核酸の抽出中に再水和され得る。酸の例は、酢酸クエン酸酒石酸リン酸塩酸、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン−塩酸(TCEP−HCl)、酸化トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン−塩酸(TCEP−O−HCl)、硫酸硝酸バニリン酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸又はそれらの組合せを包含するがこれらに限定されない。前述した通り、マトリックスは、水和によって抽出核酸を抽出し安定させる酸性pHをもたらし、水和は、試料、水その他の溶液(例えば、緩衝液)を添加することによって実現され得る。マトリックスの1以上の実施形態は、水和時に2〜7の範囲内のpHをもたらす。いくつかの実施形態では、マトリックスは、水和時に3〜6の範囲内のpHをもたらす。

0035

抽出核酸、特にRNAは、表IVに示す通り、酸性条件下で安定する。一実施形態では、酸滴定緩衝液はチオシアン酸グアニジンを含む。2〜7の酸性pH、より詳細には3〜6のpHで、乾燥固体マトリックス上の酸性範囲内のチオシアン酸グアニジン及びピロリン酸ナトリウムの乾燥状態混合物は、図4中のRINスコアによって示す通り、周囲温度で乾燥血斑内の高品質RNAを安定させる。一実施形態では、酸滴定緩衝液はチオシアン酸グアニジンを含み、2〜7の酸性pH、より詳細には3〜6のpHで、乾燥固体マトリックスにおける三リン酸ナトリウムの存在は、図4でRINスコアによって示す通り、高品質RNAを安定させる。

0036

前述した通り、いくつかの実施形態では、マトリックスは、UV保護剤、ラジカルスカベンジャー、キレート剤又はそれらの組合せをさらに含む。任意の特定のUV保護剤に限定することは意図しないが、例示的な抗酸化剤は、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ハイドロキノン(HQ)、トルヒドロキノン(THQ)及びアスコルビン酸を包含する。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はTHQである。

0037

いくつかの実施形態では、マトリックスは、1以上の還元剤をさらに含み、還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール(2−ME)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)及びそれらの組合せからなる群から選択される。

0038

抽出核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)又はそれらの組合せを含む。一実施形態では、抽出核酸はRNAを含む。RNAは、mRNA、tRNA、rRNA、スモールRNA、siRNA、miRNA、非コードRNA、動物RNA、植物RNA、ウイルスRNA又は細菌RNAであってよい。

0039

マトリックスは、実質的にインタクトな状態下、周囲温度で、乾燥フォーマットの核酸を保存するように構成されている。RNAの状態は、RNAの品質又はRNAの整合性を指す。RNAの安定性及び品質は、以下に基づいて評価することができる:mRNA標的の定量的RTPCR増幅、全細胞RNAの容量を損なう28s:18sリボソームRNA(rRNA)の比、並びにアジレント2100バイオアナライザでのRIN分析。前述した通り、RNA品質は、28S及び18SリボソームRNA強度値の比として決定され、該比は、抽出されたrRNAのゲル電気泳動、続いてエチジウムブロマイド染色によって28S及び18S rRNAの強度を取得することにより、算出される。高品質細胞RNAは、概して、1より大きい28s:18s rRNA比を呈する。さらに、高品質細胞RNAは、低含量及びラージ(例えば、1kBより大きい)mRNA両方の効率的な増幅を支援する。利便性を目的として、rRNAシグナル強度及び28s:18s rRNAの比は、ゲル電気泳動によって、強固なRNA保存特性を持つ試料を迅速にスクリーニングし同定するために高頻度で使用される。

0040

前述した通り、一実施形態では、RNA品質は、バイオアナライザを介する抽出RNAのキャピラリー電気泳動によって決定される。恒例により、RNA品質はRINとして定量化され、RINは、抽出RNA内に存在する種々のRNAの量のアルゴリズム評価によって算出される。高品質細胞RNAは、概して、10に近似するRIN値を呈する。1以上の実施形態では、乾燥マトリックスから抽出したRNAは、4以上のRIN値を有する。いくつかの実施形態では、マトリックスは、生体試料の周囲抽出及び安定化を提供し、4から10の範囲内のRIN値を持つインタクトな高品質RNAを生成するか、又は一実施形態では、RIN値は5から8の範囲内である。

0041

試料から核酸を抽出及び保存する方法の例は、試料を、タンパク質変性剤及び酸又は酸滴定緩衝剤を含む固体マトリックスに提供するステップと、試料又は任意の外部から添加された液体による固体マトリックスの水和時に、試料からの核酸の抽出のための酸性pHを生じさせるステップと、抽出核酸を含むマトリックスを乾燥させるステップと、抽出核酸を実質的に乾燥状態でマトリックス上に周囲温度下で保存するステップとを含む。用語「試料を提供する」の非限定的な例は、ピペットカテーテルシリンジ又は導管を使用して、試料を適用する又は試料を抽出マトリックス上に配置することを包含する。試料をマトリックス上に注いでよい。

0042

方法は、抽出核酸を乾燥状態でマトリックス上に周囲温度において保存するステップを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、1か月を超える期間にわたって保存されてよい。いくつかの実施形態では、核酸は、6か月を超える期間にわたって保存されてよい。RNAは概して分解する傾向があるため、マトリックスを使用するRNAの抽出及び保存は有用であり、種々のダウンストリーム用途にさらに使用され得る。

0043

方法の1以上の実施形態は、固相抽出技術によってマトリックスから核酸を回収するステップを含む。1以上の実施形態では、核酸は、マトリックスを、水溶液、緩衝液又は有機溶液中で再水和することによって固体マトリックスから回収され、核酸はさらなる分析に供される。試料(例えば、未精製生物学的試料)からの核酸、特にRNAの抽出をもたらす方法を用いてよい。上記で描写した方法は、さらなる分析のために固体マトリックスから核酸を回収するステップの前に、マトリックスを洗浄するステップを場合により包含してよい。例えば、マトリックスを、核酸の回収前に、好適な緩衝液又は水で1回又は複数回洗浄してよい。核酸は、固体マトリックス(例えば、セルロース紙)を、水溶液、上記で定義した通りの緩衝液、又は有機溶液中で再水和することにより、回収され得る。いくつかの実施形態では、核酸は、電気泳動溶出によって固体マトリックスから回収される。

0044

一実施形態では、核酸(例えば、RNA、DNA又はそれらの組合せ)を抽出し保存するための方法は、固体マトリックスを提供するステップであって、組成物が、1種以上のタンパク質変性剤、酸又は酸滴定緩衝剤、及び場合により乾燥したフォーマットで固体マトリックスに組み込まれたラジカルスカベンジャーを含むステップと、試料(例えば、生物学的試料)を固体マトリックスに適用して、酸性pH下で核酸を抽出するステップと、固体マトリックスを乾燥させるステップと、核酸を実質的に乾燥状態で固体マトリックス上に周囲温度において保存するステップとを含む。

0045

方法のある特定の例において、マトリックスは、核酸、特に、保存するには不安定な生体分子であることが広く知られているRNAの、周囲温度における乾燥フォーマットでの(例えば、固体マトリックス上への)保存を可能にする。この方法において利用される試料は、ヒトを包含する任意の生物から取得された、血液、血清、組織及び唾液等の生物学的試料を包含するがこれらに限定されない。

0046

試薬:31−ETFはGEヘルスケア製であった。TCEPはソルテックバイオサイエンス(米国マサチューセッツ州べバリー)製であり、MOPSはアルドリッチ(米国ミズーリ州)から購入した。

0047

実施例1:TCEPの酸化によるTCEP−Oの調製
TCEPをTCEP−Oに酸化して、乾燥した生体試料においてRNA保存に対する還元活性の寄与を分析した。およそ1グラムのTCEPを25mLの30%過酸化水素に溶解し、水酸化ナトリウムを使用して溶液pHを8.0に調整した。反応混合物を3時間インキュベートして、酸化反応を完了させ、その後の分析のために生成物オーブン内で乾燥させた。P31NMRは、TCEP基準と比べた反応生成物におけるTCEPの損失を確認した。この酸化反応を抗酸化剤THQの存在下で繰り返し、同様の結果であった。結果は図1明記されている。

0048

実施例2:TCEP−Oでコーティングした乾燥マトリックス上における還元活性の損失の確認
紙試料は、単純なディップコーティングプロセスを使用し、TCEP又はTCEP−Oを含有する溶液中で調製した。簡潔に述べると、コーティング溶液は、表Iにおいて記載されている通りに調製した。対照試料25−1は3.5のpHを有する最終溶液をもたらし、その他すべての試料をHClでpH3.5に調整した。31−ETFセルロース紙を各コーティング溶液に浸漬し、完全飽和後、紙をニップローラに通して、過剰な溶液を除去した。次いで、紙試料をオーブン内で乾燥させ、乾燥剤とともにマイラーホイルバッグ内に梱包し、使用するまで4℃で保存した。

0049

試料調製後、DTNB比色分析アッセイを使用して、紙の還元活性を分析した。1mM DTNB希釈標準溶液を、水中2.5mMストック溶液からPBS中で調製した。試料穿孔部(直径3mm)を表Iにおいて記載されている各紙から抜き、5mLのDTNB希釈標準溶液に浸し、30分間振とうした。次いで、得られた溶液中のTNB(チオビス−(2−ニトロ安息香酸)を、412nmのUV吸光度によって測定し、これを図2に明記する。TCEP−Oを含有する試料25−3及び27−6は、DTNBからTNBへの還元を示さず、還元力の損失を示していた。TCEPを含有する試料25−1及び27−5は、DTNB比色分析アッセイを使用して、DTNBをTNBに変換することにより、強い還元活性を示す。これらの結果は、実施例1における先のNMR分析を確認するものであった。

0050

実施例3:乾燥血斑からのRNA安定性分析
表Iにおいて記載されている通りの実施例2からの試料に、全血斑点を付け、室温でRNAを安定させる能力について試験した。50μLのラット全血を試験動物尾静脈から収集し、試料25−1、25−3、27−5及び27−6に斑点を付けた。血斑を風乾させ、湿度を制御(約20%RH)下、周囲室温で5日(25−1、25−3)又は12日(27−5、27−6)間保存した。ベータメルカプトエタノール強化されたRLT溶解緩衝液キアゲン)を使用して7mmの中心穿孔部からRNAを抽出し、従来のシリカ膜スピンカラムを使用し、当技術分野において公知のプロトコール(例えば、キアゲンQIAamp RNA血液キット)に従って精製した。精製RNAを、ヌクレアーゼフリー水を用いてスピンカラムから溶出し、試料のそれぞれについてのRINを、RNA6000ピコラボチップスを使用するアジレント2100バイオアナライザで測定した。慣例により、6超のRINは高品質RNAを示すものであり、RT−PCR又はマイクロアレイ用途等の定量的ダウンストリーム分析に非常に望ましい。

0051

前述した通り、RIN値は、表1に収載されている各組成物について、RNA6000ピコラボチップスを使用するアジレント2100バイオアナライザによって決定し、データを図3に示す。予想外にも、TCEP−Oを含有する試料は、TCEPを含有するものに匹敵するRNA整合性を提供した。RINスコアは、TCEP(試料25−1、27−5)の存在下で、完全に酸化されたTCEP(試料25−3、27−6)のスコアよりもわずかに高いだけであった。この現象は酸性pHに依存し得るものであり、なぜなら、TCEP−HClを含有する対照製剤25−1の自然なpH終点を複製するために、すべての試料を、3.5の最終pHに滴定されたコーティング溶液から調製したからである。

0052

実施例4:酸性又は塩基性pHプロファイルにおける代替化学の基質調製
実施例4は、異なる溶液pHにおける、酸、抗酸化剤、カオトロピック塩、洗剤、及びピロリン酸塩又はポリリン酸塩の異なる混合物の効果を調査するようにデザインされた。紙試料は、上述した単純なディップコーティングプロセスを使用して調製した。簡潔に述べると、コーティング溶液は、表IIにおいて記載されている通りに調製した。31−ETFセルロース紙を各コーティング溶液に浸漬し、完全飽和後、紙をニップローラに通して、過剰な溶液を除去した。次いで、紙試料をオーブン内で乾燥させ、使用するまで乾燥剤とともにマイラーホイルバッグ内に梱包した。

0053

0054

実施例5:代替的化学における乾燥血斑からのRNA安定性分析
表II及び表IIIにおいて記載されている実施例4からの試料に、全血で斑点を付け、周囲温度でRNAを安定させる能力について試験した。50μLのラット全血を試験動物の尾静脈から収集し、紙試料に直接斑点を付けた。血斑を乾燥させ、周囲温度であるが湿度を制御して(約20%RH)、5、6又は12日間保存した。7mmの中心穿孔部から溶解緩衝液中にRNAを抽出し、シリカ膜スピンカラムを介し、当技術分野において公知のプロトコールに従って精製した。精製及び溶出後、RINを、RNA6000ピコラボチップスを使用するアジレント2100バイオアナライザで測定した。6超のRINは高品質RNAを暗示するものであり、RT−PCR又はマイクロアレイ用途等の定量的ダウンストリーム分析に望ましい。

0055

実施例5の結果は図4に明記されている。酸滴定カオトロピック塩又は洗剤組成物は、RINスコアに基づきある特定の製剤が他のものより好ましいが、乾燥血斑から妥当な品質のRNAを産出したことが発見された。例えば、試料28−2及び28−5はチオシアン酸グアニジン(GuSCN)を含有し、酢酸中及び酒石酸中において、pH3.5でそれぞれ7.8及び7.0のRIN値を示した。酢酸(7.8)及び酒石酸(7.0)のRIN値は、pH3.5のクエン酸(試料28−4、RIN5.8)及びリン酸(試料28−3、RIN4.9)中の同じ組成物よりも高かった。特に、ピロリン酸塩又は三リン酸塩の有効性は、カオトロピック剤の存在下でRNAを安定させるのに明らかなpH依存を示し、全般的な酸性pHが非常に高いRINスコアを提供した。中性pHに滴定した同一の製剤は、重度のRNA分解をもたらした。例えば、pH3.5のチオシアン酸グアニジン(GuSCN)又はチオシアン酸ナトリウム(NaSCN)及び三リン酸ナトリウムのいずれかでコーティングした試料27−10及び28−6は、pH7.2の同じ試薬を含有する試料26−11及び28−7と比較して、それぞれ7.1及び7.0という高いRIN値を示した。同様に、試料27−11及び26−12は、GuSCN及びピロリン酸ナトリウムを含有し、pH3.5で6.7及びpH7.2で1.6のRIN値をそれぞれ示した。ピロホスフェート及びトリホスフェート部分は、概して小分子RNase阻害剤であると理解されており、これに対する乾燥状態での作用のpH依存性機構直観的ではない。

0056

実施例6:RIN性能と固体−マトリックスpHとの相関関係
実施例1(表Iにおいて記載されている)及び実施例4(表II及び表IIIにおいて記載されている)からの試料を使用して固体−マトリックスのpHを測定し、生物学的RIN性能と比較した。固体−マトリックスpHを測定するために、9つの穿孔部(7mmの円形)を各紙から抜き、1mLの水に浸した。高せん断ラボホモジナイザを使用して穿孔部を均質化してパルプにし、pH試験紙を用いて水性相のpHを決定した。

0057

実施例6の結果は表IVに明記されている。各乾燥固体マトリックスのpHは、ある特定の製剤が他のものより好ましいが、概して固体マトリックスをコーティングしている溶液の元のpHから維持されている。特定の理論に限定されることなく、結果は、酸性pH下で組成物から誘導されたRNA試料についてのRIN値が周囲保存の数日後に4以上となることから、酸性pHを持つ固体マトリックスが乾燥血斑から妥当な品質のRNAを産出することを確認するものである。

実施例

0058

本発明のある特定の特色のみが本明細書において例証及び記載されているが、当業者は多くの修正及び変更に想到するであろう。したがって、添付の請求項は、そのような修正及び変更すべてを本発明の範囲内にあるとして網羅するように意図されていることを理解されたい。

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