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課題・解決手段
概要
背景
電気音響変換器は、音波で働くRFフィルタに用いられ得る。一致したフィルタは、1つ以上の音響トラック内に1つ以上の電気音響共振器を含み得る。共振器は櫛型の電極指を有する変換器を含み、電極指の各々が変換器の2本のバスバーの一方に接続されている。変換器は、圧電効果を利用して電磁RF信号を音波に変換し、逆もまた同様である。
電気音響変換器の可能性のある実現例は、SAW変換器(SAW=弾性表面波)またはGBAW変換器(GBAW=指向性バルク弾性波)である。
不要な波モードが共振器内で抑制されない場合、それぞれのRWフィルタの電気特性が劣化する。
欧州特許出願公開第1 871 006 A1号および欧州特許出願公開第1 962 424 A1号から、SAW変換器が知られている。開口幅の重み付けを用いて不要な横モードを抑制している。
米国特許第7,576,471 B1号、米国特許出願公開第2013/051588 A1号および米国特許第7,538,637 B2号から、ピストンモードで動作して不要な横モードを抑制する変換器が知られている。
米国特許第7,939,987 B1号から、横モードを抑制する二次元反射器などのさらなる手段が知られている。
論文「SAW共振器における電極上の反射中心の二次元周期アレイ(Two Dimensional Periodic Array of Reflection Centers on Electrodes inSAWResonators)」(Jiman Yoon et al., Ultrasonic Symposium, 2012,IEEE, Oct 2012, p. 1798-1801)から、変換器において基本モードを成形するための手段が知られている。
概要
モードプロファイル(VP)が改善された、改善された電気音響変換器が提供される。変換器は、周期構造(PS)を有する速度プロファイルと、周期構造の両側に位置するエッジ構造(ES)とを含む。速度プロファイルによって、SH波モードの抑制も可能になる。
目的
したがって、目的は、それぞれのフィルタの電気特性の改善を可能にする電気音響変換器を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 1件
この技術が所属する分野
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請求項1
電気音響変換器(TD)であって、縦方向(x)と、前記縦方向(x)と直交する横方向(y)と、前記変換器(TD)内を伝播する音波の横速度プロファイル(VP)と、音響活性領域(AAR)とを備え、前記横速度プロファイル(VP)は、前記活性領域(AAR)内に周期構造(PS)を有し、前記周期構造(PS)は、複数の極小値と、前記極小値よりも大きい複数の極大値とを有し、前記周期構造(PS)の両側に、前記横速度プロファイル(VP)のエッジ構造(ES)が位置しており、前記エッジ構造(ES)内の速度(v)は前記周期構造(PS)の前記極大値よりも低く、圧電材料はLiNbO3である、電気音響変換器。
請求項2
電気音響変換器(TD)であって、縦方向(x)と、前記縦方向(x)と直交する横方向(y)と、前記変換器(TD)内を伝播する音波の横速度プロファイル(VP)と、音響活性領域(AAR)とを備え、前記横速度プロファイル(VP)は、前記活性領域(AAR)内に周期構造(PS)を有し、前記周期構造(PS)は、複数の極小値と、前記極小値よりも大きい複数の極大値とを有し、前記周期構造(PS)の両側に、前記横速度プロファイル(VP)のエッジ構造(ES)が位置しており、前記エッジ構造(ES)内の速度(v)は前記周期構造(PS)の前記極小値よりも高く、圧電材料はLiTaO3である、電気音響変換器。
請求項3
ダミーフィンガーを備える、請求項1から2に記載の変換器(TD)。
請求項4
前記エッジ構造(ES)は単位セル当たり2本のストライプを含み、前記2本のストライプの各々は、前記周期構造(PS)のそれぞれの側に直接隣接して配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の変換器(TD)。
請求項5
前記エッジ構造(ES)の前記ストライプは、前記周期構造(PS)の周期的な長さの50%よりも大きい長さlを有する、請求項4に記載の変換器(TD)。
請求項6
前記エッジ構造(ES)の前記ストライプは、前記周期構造(PS)の周期的な長さの50%よりも小さい長さlを有する、請求項4に記載の変換器。
請求項7
ギャップ構造(GS)の2本のストライプを備え、前記ギャップ構造(GS)において、前記速度(v)は前記周期構造(PS)の前記速度(v)の前記極大値よりも大きく、前記活性領域(AAR)は、前記ギャップ構造(GS)の前記2本のストライプ同士の間に配置されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の変換器(TD)。
請求項8
前記ギャップ構造(GS)のストライプは、0.5λから10λの、または2λから4λの長さを有する、請求項1から7に記載の変換器(TD)。
請求項9
前記ギャップ構造(GS)は、0.2から0.8の金属化率ηを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の変換器(TD)。
請求項10
圧電基板(SU)と、前記基板(SU)上に配置され、前記縦方向(x)と平行に配列された2本のバスバー(BB)と、櫛型の電極指(EF)とを備え、前記電極指の各々は、前記基板(SU)上に配置され、前記バスバー(BB)の一方に接続され、前記横方向(y)と平行に配列される、請求項1から9のいずれか1項に記載の変換器(TD)。
請求項11
前記横速度プロファイル(VP)は、以下から選択される1つ以上の測定値、すなわち、・指(EF)幅の増加による質量負荷の増加によって減少した速度(v)、・指(EF)厚の増加による質量負荷の増加によって減少した速度(v)、・前記電極指(EF)上に堆積された付加的な材料による質量負荷の増加によって減少した速度(v)、・前記ギャップ構造(GS)に対応するギャップ領域内のダミーパッチによる質量負荷の増加による前記ギャップ構造(GS)内の減少した速度(v)、・前記電極指(EF)上のストライプ内に堆積された材料による質量負荷の増加によって減少した速度(v)、・指(EF)幅の減少による質量負荷の減少によって増加した速度(v)、・指(EF)厚の減少による質量負荷の減少によって増加した速度(v)、・前記電極指(EF)から除去された材料による質量負荷の減少によって増加した速度(v)を介して調節される、請求項1から10のいずれか1項に記載の変換器(TD)。
技術分野
背景技術
0002
電気音響変換器は、音波で働くRFフィルタに用いられ得る。一致したフィルタは、1つ以上の音響トラック内に1つ以上の電気音響共振器を含み得る。共振器は櫛型の電極指を有する変換器を含み、電極指の各々が変換器の2本のバスバーの一方に接続されている。変換器は、圧電効果を利用して電磁RF信号を音波に変換し、逆もまた同様である。
0006
米国特許第7,576,471 B1号、米国特許出願公開第2013/051588 A1号および米国特許第7,538,637 B2号から、ピストンモードで動作して不要な横モードを抑制する変換器が知られている。
0008
論文「SAW共振器における電極上の反射中心の二次元周期アレイ(Two Dimensional Periodic Array of Reflection Centers on Electrodes inSAWResonators)」(Jiman Yoon et al., Ultrasonic Symposium, 2012,IEEE, Oct 2012, p. 1798-1801)から、変換器において基本モードを成形するための手段が知られている。
発明が解決しようとする課題
0010
したがって、目的は、それぞれのフィルタの電気特性の改善を可能にする電気音響変換器を提供することである。特に、目的は、横モードおよびSHモードの両方が十分に抑制される変換器を提供することである。
課題を解決するための手段
0011
この目的のため、独立請求項に係る電気音響変換器が提供される。従属請求項は、発明の好ましい実施形態を提供する。
0014
変換器はさらに、変換器および音響活性領域内を伝播する音波の横速度プロファイルを含む。音響活性領域は、反対極性の電極指のオーバーラップ領域、すなわち、変換器にRF信号が印加されると縦方向に伝播している音波が励起される区域と主に定義される。
0015
横速度プロファイルは、この活性領域内に周期構造を有する。周期構造は、複数の極小値と、極小値よりも大きい複数の極大値とを有する。さらに、周期構造の両側に、横速度プロファイルのエッジ構造が位置している。エッジ構造内の速度は、周期構造の極大値よりも低い。
0016
周期構造は、最大速度を有する2つの最も外側の区間を有することも可能である。
すなわち、活性領域内の周期構造に隣接して配置される単位セル当たり、低速度の2本のストライプが存在する。ここで、単位セルは、音波長λの縦方向における長さを有する音響トラックの区分を指す。
0017
圧電材料としてLiTaO3を有する電気音響変換器は、縦方向と、縦方向と直交する横方向とを含む。縦方向は、音波の主な伝播方向を規定する。横方向は、変換器の電極指の向きを主に規定する。
0018
変換器はさらに、変換器および音響活性領域内を伝播する音波の横速度プロファイルを含む。音響活性領域は、反対極性の電極指のオーバーラップ領域、すなわち、変換器にRF信号が印加されると縦方向に伝播している音波が励起される区域と主に定義される。
0019
横速度プロファイルは、この活性領域内に周期構造を有する。周期構造は、複数の極小値と、極小値よりも大きい複数の極大値とを有する。さらに、周期構造の両側に、横速度プロファイルのエッジ構造が位置している。エッジ構造内の速度は、周期構造の極小値よりも高い。
0022
単位セル当たり2本のストライプは変換器の長さにわたって延在し、変換器当たり合計2本のストライプがもたらされ得る。
0025
「周期構造」という文言は、横方向における速度プロファイルの形状を指す。したがって、周期構造において、速度プロファイルは、互いに隣接して配置されて横方向に延在する、高速度または低速度の同一区間を含む。
0028
周期構造とエッジ構造との組合せは、不要な横モードだけでなくSHモードも効果的に抑制またはさらには除去される変換器の活性領域内の速度プロファイルを規定することがわかった。従来の手段は2つ以上の不要なモードの一方のみ、すなわち不要な横モードのみしか抑制できず、変換器の効率を低下させ得るため、これは驚くべきことである。
0029
一実施形態では、エッジ構造は、周期構造のそれぞれの側に直接隣接して配置される、単位セル当たり2本のストライプを含む。したがって、エッジ構造は、間に他の区間を有さずに周期構造の両側に直接位置している。
0030
原則として、エッジ構造の長さは周期構造の周期的な長さに限定されない。当該長さは、周期的な長さよりも大きくてもよいし、周期的な長さよりも小さくてもよい。しかし、一実施形態では、特に圧電材料としてLiNbO3を用いて動作する場合、エッジ構造は、周期構造の周期、すなわち周期的な長さの50%よりも大きい長さlを有する。
0031
一実施形態では、特に圧電材料としてLiTaO3を用いて動作する場合、エッジ構造は、周期構造の周期、すなわち周期的な長さの50%よりも小さい長さlを有する。
0032
変換器自体に言及する場合の「長さ」という用語は、縦方向における伸びを意味する。変換器自体に言及する場合の「幅」という用語は、横方向における伸びを意味する。
0033
電極指または速度プロファイルに言及する場合の「長さ」という用語は、横方向における伸びを意味する。電極指または速度プロファイルに言及する場合の「幅」という用語は、縦方向における伸びを意味する。
0034
一実施形態では、変換器はさらに、エッジ構造の両側に位置する単位セル当たりにギャップ構造の1本のストライプを含む。音響活性領域内の単位セル当たりの電極指の数は、ギャップ領域内の電極指の数の2倍である。したがって、各単位セルにはギャップ構造の1本のストライプのみが存在する。ギャップ構造において、速度は周期構造の極大値よりも大きい。活性領域はギャップ構造の縦方向の区間同士の間に配置され、すなわち、ギャップ構造は活性領域の一部ではない。
0035
ギャップ構造は、1つの極性の電極指の端部が、それぞれの他方の電極の要素、たとえばバスバー自体またはバスバーに接続されたダミーフィンガーに対向する、トランスデューサの圧電材料の区域に対応することも可能である。
0036
一実施形態では、ギャップ構造のストライプは、0.5λから10λの、または特に2λから4λの長さを有する。ここで、「長さ」という用語は、横方向に沿った伸びを指す。
0039
一実施形態では、ギャップ構造は0.2から0.8の金属化率ηを有する。金属化率ηは以下のように規定される。
0040
0041
式中、wiは、縦方向に沿った長さλの距離内の電極指のi番目の電極指の幅を指す。従来の変換器では、活性領域においてnは2に等しい。スプリットフィンガー変換器では、nは4に等しい場合がある。ギャップ構造に対応する音響トラックの領域には、1つの極性の電極指のみが存在し得る。したがって、nは1に等しい場合がある。
0042
一実施形態では、変換器は、圧電基板と、基板上に配置されて縦方向と平行に配列された2本のバスバーと、櫛型の電極指とを含む。指は基板上に配置され、バスバーの一方に接続され、横方向と平行に配列される。
0043
反対極性の指のオーバーラップが、活性領域を規定する。
基板上の電極指の存在によって、速度プロファイルを成形する便利な方法が確立される。指の質量によって、波伝播の指音響インピーダンスおよび電気抵抗率の詳細、特に波速度を操作することができる。たとえばバスバーおよび電極指の電極構造の材料を介して、基板のある場所における基板の質量負荷を増加させると、主に波速度の減少に繋がる。たとえば高いヤング率を有する材料を介して、音響トラックの剛性パラメータを増加させると、主に速度の増加に繋がる。
0044
したがって、一実施形態では、横速度プロファイルは、以下から選択される1つ以上の測定値、すなわち、
・指幅の増加による質量負荷の増加によって減少した速度、
・ 指厚の増加による質量負荷の増加によって減少した速度、
・電極指上に堆積された付加的な材料による質量負荷の増加によって減少した速度、
・ギャップ領域内のダミーパッチによる質量負荷の増加によるギャップ領域内の減少した速度、
・ 電極指上のストライプ内に堆積された材料による質量負荷の増加によって減少した速度、
・ 指幅の減少による質量負荷の減少によって増加した速度、
・ 指厚の減少による質量負荷の減少によって増加した速度、
・ 電極指から除去された材料による質量負荷の減少によって増加した速度
を介して調節される。
0045
低速度の領域内の金属化率ηは、0.3から0.8の範囲であり得る。0.4から0.75の値が好まれ得る。
0046
高速度の領域内の金属化率ηは、0.15から0.75の範囲であり得る。0.2から0.6の値が好まれ得る。
0047
周期構造における周期的な長さは0.2から3λの範囲であり得、λは(縦方向における)音波長である。
0048
周期的な長さによって分割される高速度の長さの間の比率は、0.2から0.8の範囲であり得る。0.4から0.6の比率が好まれ得る。
0049
LiNbO3基板については、以下が当てはまる。エッジ構造の区間の長さは、0.2λから3λの範囲であり得る。0.3λから2.5λの長さが好まれ得る。
0050
LiTaO3基板については、以下が当てはまる。エッジ構造の区間の長さは、0.1λから1λの範囲であり得る。0.2λから0.7λの長さが好まれ得る。
0051
横速度プロファイルはさらに、周期もしくは非周期または対称もしくは非対称の構造を含むことも可能である。しかし、音響トラック内の横速度プロファイルは上述の構造からなることも可能である。
0052
上述のような変換器では、基本モードn=1についての正規化したオーバーラップ積分<Φ/Ψn>は0.95以上の範囲にあり得る。オーバーラップ積分は、(正規化した)励起関数Φと(正規化した)波モード形状Ψnとの一致を記述しており、異なるモードΨnは直交しているため、1直下の値はより高いモードが励起されることを防止する。
0053
例示的かつ非限定的な実施形態および関連の図面に基づいて、変換器をより詳細に説明する。
図面の簡単な説明
0054
横方向yに対する縦方向xの向きを示す図である。
横方向yに沿った横速度プロファイルvを示す図である。
縦方向xおよび横方向yに対する変換器の向きを示す図である。
速度プロファイルと変換器の電極構造の物理的実現との可能性のある因果関係を示す図である。
従来の変換器のコンダクタンスと比較した、上述の変換器のコンダクタンスを示す図である。
そのコンダクタンスが図5に示される改善された変換器の速度プロファイルと基本モードのプロファイルとを示す図である。
変換器の実施形態の第2の対称波モードの速度プロファイルを、モードプロファイルおよびモードプロファイルの絶対値とともに示す図である。
第3の対称波モードの速度プロファイルならびにそれぞれのモードプロファイルおよびその絶対値を示す図である。
第4の対称波モードの速度プロファイルならびにそれぞれのモードプロファイルおよびその絶対値を示す図である。
第5の対称波モードの速度プロファイルならびにモードプロファイルおよびそのそれぞれの絶対値を示す図である。
従来の変換器のコンダクタンスと比較した、パッチを有する2D周期アレイを有する変換器の周波数依存コンダクタンスを示す図である。
図11に示される周波数特性を有する変換器の速度プロファイルおよび波モードおよびそのそれぞれの絶対値を示す図である。
変換器の電極構造の実施形態を示す図である。
ギャップ構造に対応する領域内の指幅が増加した電極構造の別の実施形態を示す図である。
ギャップ構造に対応する領域内の指幅が減少した電極構造の実施形態を示す図である。
ギャップ構造に対応する領域内に配置されたダミーフィンガーパッチを含む電極構造の実施形態を示す図である。
ギャップ構造に対応する領域内に配置された誘電材料を含むストライプを示す図である。
電極指およびバスバー上に配置された誘電材料上に配置された金属バーを含む電極構造の実施形態を示す図である。
質量負荷を減少させるために活性領域内の材料が除去される変換器構造の実施形態を示す図である。
質量負荷を増加させるために電極指の各側に個々の付加的な質量が配置された変換器構造の実施形態を示す図である。
それぞれの速度プロファイルを得るために一部が除去される材料の電極構造を示す図である。
局所的にエッチングされた電極構造上に付加的な材料が堆積された電極構造の実施形態を示す図である。
凹部を有する電極指を示す図である。
ギャップ構造と相互に関連する領域内の付加的な金属バーと、周期構造を確立する電極指の凹部とを有する電極構造を示す図である。
実施例
0055
詳細な説明
図1は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)またはタンタル酸リチウム(LiTaO3)などの圧電材料を含み得る基板SUを示す。xは縦方向を指す。yは横方向を指す。櫛型の変換器が、主な伝播方向がx方向と平行であるように配置される。したがって、基板SUの結晶カットは、高い結合係数が得られるように選択される。
0056
図2は、図1に示される基板SU内に伝播する音波の速度プロファイルVPを示す。速度プロファイルは、両側にエッジ構造ESが位置する周期構造PSを有し、周期構造PSは横方向yにおいてエッジ構造ES同士の間に配置されている。周期構造PSは、比較的高い速度vを有する区域と、比較的低い速度を有する区域とを含む。高速度および低速度の区域は、周期構造内の周期的な速度プロファイルが得られるように交互になっている。エッジ構造内の速度は、周期構造PS内の最大速度よりも低い。
0057
エッジ構造内の速度は、周期構造内の最低速度に等しくてもよい。しかし、エッジ構造ES内の速度は、周期構造内の最低速度とは異なり得る。また、エッジ構造の長さは限定されない。しかし、エッジ構造ESのそれぞれのストライプの長さは周期構造PSの周期的な長さの半分よりも大きいことが好まれ得る。ここで、「長さ」という用語は、横方向におけるエッジ構造の伸びを指す。
0058
図3は、縦方向xおよび横方向yに対する、バスバーBBおよび電極指EFを含む変換器TDの向きを示す。反対電極の電極指がオーバーラップする区域は音響活性領域AARと称される。バスバーは、縦方向xと平行に向けられる。電極指EFは、横方向yと平行に向けられる。
0059
バスバーにRF信号が印加されてバスバーが反対極性を有すると、圧電基板SU内に音波が励起される。
0060
図4は、電極構造と速度プロファイルvとの関係を示す。圧電材料の表面または界面における音波の速度は、界面における質量負荷に依存する。質量負荷が高いほど、および/または反射が高いほど、速度は減少する。しかし、圧電材料上に堆積される材料の弾性定数が高いほど、速度は増加する。したがって、横方向yに沿った速度プロファイルvの形状は、圧電基板上に配置される材料の幾何学的構造に、たとえばバスバーBBおよび電極指EFを含む電極構造に、直接依存し得る。速度プロファイルVPの周期構造を得るために、電極指EFは対応する周期的な対称性を有する形状を有してもよい。速度プロファイルにおける最小を得るために、局所的な指幅は、速度が極大であるべき区間と比較して増加され得、一致した指幅はしたがって減少する。さらに、周期構造内の極大速度と比較して速度が減少したエッジ構造を得るために、指幅は、周期構造内の最高速度に対応する区域と比較して、エッジ構造に対応する区域内の方が大きくてもよい。
0061
図5は、2つの変換器のコンダクタンス曲線を示す。従来の変換器の周波数依存コンダクタンスは「1」と示されており、改善された変換器のコンダクタンスは「2」と示されている。特に約910MHzの周波数において、従来の変換器はSHモードから得られるピークを提供する。改善された変換器における共振は効率的に抑制されている。
0062
その周波数依存コンダクタンスが図5に示されている変換器は、図6に示される速度プロファイルを有する。速度プロファイルVPは、周期構造から得られる2つの構造、すなわちエッジ構造ES同士の間に周期構造を有する。図6に示される速度プロファイルVPでは、基本モードFMが形成されている。周期構造とエッジ構造ESとの組合せによってSHモードを効率的に抑制することができ、かつ、横モードは全くまたはほとんど励起されない。
0063
図7は、速度プロファイルおよび対応する対称波モードプロファイルをその絶対値とともに示す。見られるように、周期構造において、正の変位を有するモードプロファイルの振幅は、負の変位を有するモードプロファイルの振幅に主に等しい。したがって、正および負の変位の区域、すなわちモードプロファイルの積分の値が主に消滅し、第2の対称モードの励起強度が最小化される。
0064
図8は、図7に示される状況と同様に、図7に既に示したモードプロファイルおよび速度プロファイルの絶対値を示す。ここでも、正および負の変位の振幅は主に等しい。したがって、第3の対称モードプロファイルの励起強度が最小化される。
0065
図9は、第4の対称波モードのモードプロファイルを示す。ここでも、正および負の変位の振幅は主に等しい。したがって、第4の対称波モードの励起強度が最小化される。
0066
図10は、第5の対称波モードのモードプロファイルおよびその絶対値を示す。ここでも、エッジ構造が周期構造の両側に位置している速度構造の形状はより高位のモードを抑制する効率的な手段であるため、励起強度が最小化される。
0067
図11は、従来の変換器のコンダクタンス曲線である曲線「1」と、エッジ構造内の速度が周期構造内の最高速度に等しい変換器のコンダクタンス曲線である曲線「2」とを示す。さらに、周期構造内または活性領域内の速度(速度プロファイルは図12に示されている)は非常に遅いため、その波長が横方向の周期性と等しいか同様である横モードは境界付けられている。この結果、曲線2によって示されるような周波数依存コンダクタンスにおける複数の共振が得られる。
0068
図12は、図11のコンダクタンス曲線2に対応する速度プロファイルを示す。横モードは境界付けられているため、モードプロファイルの形状は余弦状になる。図12に示されるモードプロファイルとモードプロファイルの絶対値とを比較すると、負の変位は正の変位よりも振幅が小さいことがわかる。この結果、信号は完全には相殺されず、図11に示される複数の共振が得られる。
0069
したがって、速度プロファイルの深さは臨界値を超えるべきでない。導波路パラメータは、図11の曲線2に示されるように、最高境界モードが第2の共振の原因となるモードよりも低い数を有するように選択される必要がある。
0071
0072
ここで、Aは開口幅を指す。f0は共振周波数を指し、Vtrackは活性領域内の最低速度である。Vgapはギャップ構造内の速度である。
0073
図13は、速度プロファイルの周期構造が、電極の一致する周期的な指幅変化によって得られる基本的な実施形態を示す。
0075
図15は、ギャップ構造内の速度が、電極の対応する区間における指幅の減少によって増加する変換器構造の実施形態を示す。
0076
図16は、バスバーと電極指との間の距離が最小に減少するように配置された付加的なダミーフィンガーによってギャップ構造内の速度を減少させるために質量負荷が増加される実施形態を示す。
0078
図18は、電極指がたとえば二酸化珪素などの誘電材料で覆われている変換器の実施形態を示す。図18の左側は、ギャップ構造対応領域内の速度を減少させるために2本の金属ストライプが質量負荷を増加させる変換器の上面図を示す。図18の右側は、誘電材料が金属ストライプと電極との間に配置されていることを示す変換器の中の断面を示す。
0079
質量負荷MSを増加させるために電極指EFとストライプとの間に誘電材料DSが配置されるため、ストライプMSは金属を含み得る。これは、ストライプが電極指上に直接配置されている図17と対照的である。したがって、図17に示される実施形態では絶縁材料が好ましい。
0080
図19は左側に変換器構造の上面図を示しており、横方向に沿った電極指のそれぞれの金属化の厚みを示している(右側)。活性領域では、金属化の厚みは減少する。ギャップ構造に対応する領域では、厚みは活性領域内の厚みよりも大きい。したがって、周期構造と比較してギャップ構造内の速度が減少した速度プロファイルが得られる。
0081
図20は、変換器構造が誘電材料DMで被覆されている変換器の実施形態を示す。質量負荷を増加させるために、たとえば金属などの高濃度の材料の個々の区分がエッジ構造のそれぞれの電極指上に配置されている。付加的な材料は電極材料上に直接配置されており、誘電材料DMを介して電極から絶縁されていないため、付加的な材料の区分は互いに直接接触しているべきでない。
0082
図21は、図21の右上部分に示される速度プロファイルを形成する際の重要な局面を示す。図21の下部は、速度プロファイルを調節するために、電極指を確立する金属化の高さが横方向に沿って変更され得ることを示す。周期構造PSを得るために、電極指内に周期プロファイルがエッチングされ得る。エッジ構造およびギャップ構造に対応する領域内の厚みはそれに応じて調節され得る。