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課題・解決手段

本発明は、リン脂質二重層二重層)によって区切られた第2の親水性コンパートメントに部分的に固定される第1の親油性コンパートメント(脂質マトリックス)を含む安定性に優れた新規マルチコンパートメント脂質ナノ粒子(又はセリソーム)並びにその調製方法、及び多種多様な対象となる分子投与するための媒介体としてのその使用に関する。

概要

背景

ここ30年間、ナノメートルスケールの系の2つの主要なカテゴリー、すなわちポリマー系及び脂質系が、対象となる分子のための担体として使用するために開発されてきた。

これらのうち前者は、恐らく毒性に起因して、その工業的なアプリケーションに関して他と比べて期待に沿うものではないことが分かった。さらに、市場入手可能な製剤は主として脂質に基づき、大きな2つの担体のファミリー、すなわちリポソーム及び脂質粒子ナノエマルション(NE)、ナノ構造脂質担体NLC)、固体脂質ナノ粒子(SLN))を生み出している。市場ではリポソーム及びより少ない程度にナノエマルションは、数多くの化粧品への適用及び幾つかの医薬品をもたらす一方で、最近になって開発されたナノ構造又は固体脂質粒子は、多くの化粧品製品に存在し、製薬部門治験中にある。

リポソームは1つ以上の同心円状の脂質二重層から成り、水又は水性バッファーコンパートメントをその中に包み込んでいる人工構造体として定義される。リポソームは、1種類以上の天然又は合成リン脂質から調製され、極性の頭部が一緒になるように組織されて二重層を作り出す。最も伝統的なリポソームの調製方法はいわゆる脂質膜水和である。リポソームを水溶性脂溶性、及び両親媒性有効成分のための担体として開発することがますます増えている。有効成分の水相又は脂質二重層への封入は、前記有効成分を酵素分解や免疫系による排除から保護することができ、また非経口投与に際し、その毒性副作用(例えば、溶血血栓性静脈炎血液凝固)の可能性を減少させることができる(Meure et al., Aaps Pharmscitech, 9:798-809, 2008; Storm and Crommelin, Pharmaceutical Science & Technology Today, 1:19-31, 1998)[1,2]。多くの市販組成物(例えば、Myocet(登録商標)、Doxil(登録商標)/Caelyx(登録商標)、AmBisome(登録商標)、Visudyne(登録商標)等)の根本では、リポソームには大きく不利な点が幾つかある。それら組成物は標的細胞について特異性がなく、リン脂質酸化して物理的に不安定であるので凍結乾燥することが必要であり、工業的に製造するのに細心の注意を要し、対象となる分子の封入可能量に一定の限界がある。実際に、両親媒性又は親油性の分子は、その膜に挿入することによってリポソームと混合できるが、後者を不安定化するリスクがある。

エマルションは、一方の液体分散相)が他方の液体(分散剤又は連続相)中で液滴となっている微細分散体であり、2つの液体は相互に非混和性である。エマルションはほとんどの場合、水/油タイプである。「ナノエマルション」(NE)という用語は、得られた粒径が非常に小さい、すなわち平均サイズが約100ナノメートルである場合に使用される。それらは水相中での油相機械的な断片化によって通常作られ、界面活性剤の存在によって安定化されうる。従来のエマルションと比較して、小球体のサイズが小さいこと
から、有利な薬学的性質、特に、保存中の物理的な安定性及び考えられる投与経路、特に小さい液滴の使用を要する静脈内投与の点で有利な薬学的性質をもたらす。しかし、これらの系はそのエマルションを構成する油(大豆油オリーブ油)に可溶である非常に親油性の高い有効成分しか組み入れることができず、それらの潜在用途を制限する。

固体脂質ナノ粒子(SLN)及びナノ構造脂質担体(NLC)は、一般にその粘着性閉塞性、及び皮膚保湿性に基づいた化粧品への最終的な使用、並びに対象となる有効成分を投与及び保護する医薬への最終的な使用のために、封入された有効成分の物理化学的な安定性及び全体として脂質担体の投与後安定性を高めるのに開発された(Bunjes, Current Opinion in Colloid & Interface Science, 16(5):405-411, 2011; Harde et al., Expert Opinion on Drug Delivery, 8(11):1407-1424, 2011; Harms et al., Journal of Drug Delivery Science and Technology, 21(1):89-99, 2011; Joshi and Muller, European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 71:161-172, 2009; Muller et al., Current Drug Discovery technologies, 8(3):207-227, 2011; Pardeike et al., International Journal of Pharmaceutics, 366:170-184, 2009; Souto and Doktorovova, Methodsin Enzymology, 464:105-129, 2009)[3〜9]。上記ナノエマルションと同様に、使用される原料の親油性が非常に高いことは、潜在的に投与可能な有効成分の選択を制限する。さらに、固体状態での脂質の多様性(polymorphism)は、特にSLNの場合、その系の物理的安定性に大きな影響を及ぼす(活性分子の排出、ゲル化)ことが示された。

アンジェ大学によって開発された脂質ナノカプセルは相転換法によって得られ、リン脂質単層によって取り囲まれている。SLN及びNLC型ナノ分散体に非常に類似しているが、それらの粒子はリン脂質の結晶層及び非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤によって安定化されたナノカプセルとして記載されている(国際出願国際公開第01/64328号;Huynh et al., Journal of Pharmaceutics, 379:201-209, 2009)[10、11]。興味深いことに、該粒子は比較的「柔らかい(mild)」ので、相転換技術は比較的特定の原料の使用及び調製過程中の非常に繊細な温度制御を要する。これらの面はこの方法の大規模な開発を制限しうる。

数年前に、「ハンドバッグ(handbags)」と呼ばれる2つのコンパートメント油/水構造から成るサブミクロンの大きさの陽イオン性エマルションが開発された(図1)。有効成分のための担体として使用するために、それらのエマルションの形成には、水性コンパートメントを区切る脂質二重層へのトリグリセリド大量挿入を助けるステアリルアミンの存在を必要とする(Texeira et al., Pharmaceutical Research, 17:1329-1332, 2000)[12]。残念なことには、これらの2つのコンパートメント体は、調製過程中に形成される多数の他の物体ミセル、リポソーム、ナノエマルション)のなかで少ない割合(20%未満)にとどまる。そのうえ、ステアリルアミンなどの陽イオン性界面活性剤の使用は、負に帯電した生物学的製剤膜に対するその種の産物の毒性を考慮して、慎重に考えられるべきである。

リポソーム中のように、少なくとも1つのリン脂質二重層によって囲まれ、安定化された、液体形態又は固体形態の脂質から成る脂質コアを含む直径が10〜250nmである粒子の微々たるナノエマルション(エマルソーム(emulsome)又はウルトラソーム(ultrasome)と呼ばれる)が、脂溶性分子又は水溶性分子の非経口投与、経口投与直腸投与鼻腔内投与、又は局所投与のために開発及び設計された(米国特許第5,576,016号;Gupta et al., Journal of Drug Targeting, 15:437-444, 2007; Gupta and Vyas,
Journal of Drug Targeting, 15:206-217, 2007; Kretschmar et al., Mycoses, 44:281-286, 2001; Paliwal et al., International Journal of Pharmaceutics, 380:181-188,
2009; Wu et al., Journal of Immunology, 185(6):3401-3407, 2010)[13−18]。これらのエマルソームを調製する方法は、一般に有機溶媒の使用並びにリン脂質膜の沈
殿及び再水和を要するので工業規模で適用するには困難が伴う。実際に、これらの粒子は主に、水相が予め形成される脂質ナノ粒子を含有することを除いてはリポソームに用いられるものと非常に類似したリン脂質膜水和技法によって得られる。最終的な粒子は、リン脂質二重層中の油滴の「統計的な閉じ込め(statistical confinement)」に由来する。結果として、該方法は先験的に(a priori)、脂質とリン脂質部分を結びつけること無く物体(エマルソーム、リポソーム、ナノエマルション、又は固体ナノ粒子)のさまざまな集団を生成する。これは先験的に(a priori)、ある特定の精製操作(例えば、遠心分離)又は保存中に系の安定性の問題を引き起こしうる。

よって、特に、広い範囲の極性をもつ、大量の対象となる分子を投与するための脂質担体の長期安定性を制御し、随意に、同じナノ物体への親水性有効成分及び親油性有効成分の共封入(co-encapsulation)を想定することを可能にする簡単な生産方法のために、先行技術の欠点、デメリット、及び障害を克服する脂質担体に対する真の必要性がある。

概要

本発明は、リン脂質二重層(二重層)によって区切られた第2の親水性コンパートメントに部分的に固定される第1の親油性コンパートメント(脂質マトリックス)を含む安定性に優れた新規マルチコンパートメント脂質ナノ粒子(又はセリソーム)並びにその調製方法、及び多種多様な対象となる分子を投与するための媒介体としてのその使用に関する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

平均直径が10〜500nmであるマルチコンパートメント脂質ナノ粒子であって、リン脂質二重層によって区切られた第2の親水性コンパートメントによって部分的に囲まれた第1の親油性コンパートメントを含み、前記第1のコンパートメントが前記第2のコンパートメントに部分的に固定されていることを特徴とするマルチコンパートメント脂質ナノ粒子。

請求項2

多分散指数が5〜15%である請求項1に記載のナノ粒子

請求項3

前記平均直径が100〜250nmである請求項1又は2に記載のナノ粒子。

請求項4

前記親油性コンパートメントが、25℃で液体状態又は半固体状態である脂質から成る請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項5

前記親油性コンパートメントが、グリセリドが混合されていてもよい脂肪酸エステルを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項6

前記脂肪酸エステルが、親水部のモル質量が100〜700g/molの範囲であるポリエチレングリコールモノエステル及びポリエチレングリコールジエステルの混合物からなる群から選択される請求項5に記載のナノ粒子。

請求項7

前記グリセリドが、25℃で液体又は固体であるグリセロールモノエステルグリセロールジエステル、及びグリセロールトリエステルの混合物からなる群から選択される請求項5に記載のナノ粒子。

請求項8

前記リン脂質二重層が、少なくとも1つのリン脂質及び1つの親水性非イオン性界面活性剤を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項9

前記リン脂質が、双性イオン性のリン脂質の混合物からなる群から選択される請求項8に記載のナノ粒子。

請求項10

前記親水性非イオン性界面活性剤が、ポリオキシルグリセリド又はマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される請求項8に記載のナノ粒子。

請求項11

少なくとも1つの対象となる分子をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項12

前記対象となる分子が、核酸タンパク質多糖類、及び40〜2000Daの分子から選択される請求項11に記載のナノ粒子。

請求項13

薬剤的許容可能な賦形剤中に請求項1〜12のいずれか一項に記載のナノ粒子の懸濁液を含む医薬組成物

請求項14

以下の工程を含むマルチコンパートメント脂質ナノ粒子を調製する方法:−少なくとも1つの脂質、1つのリン脂質、1つの親水性非イオン性界面活性剤を含み、少なくとも1つの対象となる分子を含んでいてもよい、油/水エマルションを調製する工程;−高圧下で前記エマルションをホモジナイゼーションする工程。

請求項15

前記エマルションをホモジナイゼーションする前に30〜80℃の温度に加熱する工程をさらに含む請求項14に記載の方法。

請求項16

前記脂質が、親水部のモル質量が100〜700g/molの範囲であるポリエチレングリコールモノエステル及びポリエチレングリコールジエステルの混合物からなる群から選択される請求項14に記載の方法。

請求項17

前記リン脂質が双性イオン性のリン脂質の混合物からなる群から選択される請求項14に記載の方法。

請求項18

前記親水性非イオン性界面活性剤が、ポリオキシルグリセリド又はマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される請求項14に記載の方法。

請求項19

前記油/水エマルションが−5〜30質量%の脂質、好ましくは、ラブラフィル登録商標)M2125CS又はM1944CS;−0.5〜5質量%のリン脂質、好ましくは、ホスフォリポン90G(登録商標);−0.5〜5質量%のポリオキシルグリセリド若しくはマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキルエーテル、好ましくは、ゲルシア(登録商標)50−13又はポリオキシエチレン(40)ステアレートを含む請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

対象となる分子を投与するための担体として使用するための請求項1〜10のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項21

医薬品、好ましくは注射、経口、経皮又は経鼻で投与される医薬品として使用するための請求項11又は12に記載のナノ粒子。

技術分野

0001

本発明は有効成分を投与するためのナノテクノロジー開発の文脈で理解されるべきである。

0002

本発明は、マルチコンパートメント脂質ナノ粒子、(以下、「セリソーム(cellisomes)」と呼ぶ)、その調製方法、及び対象となる分子を、特に注射、経口、経鼻、又は経皮で投与するための担体としての該ナノ粒子の使用に関する。

0003

下記説明では、角括弧([])内の参考文献は本文の最後に示される参考文献のリストを参照する。

背景技術

0004

ここ30年間、ナノメートルスケールの系の2つの主要なカテゴリー、すなわちポリマー系及び脂質系が、対象となる分子のための担体として使用するために開発されてきた。

0005

これらのうち前者は、恐らく毒性に起因して、その工業的なアプリケーションに関して他と比べて期待に沿うものではないことが分かった。さらに、市場入手可能な製剤は主として脂質に基づき、大きな2つの担体のファミリー、すなわちリポソーム及び脂質粒子ナノエマルション(NE)、ナノ構造脂質担体NLC)、固体脂質ナノ粒子(SLN))を生み出している。市場ではリポソーム及びより少ない程度にナノエマルションは、数多くの化粧品への適用及び幾つかの医薬品をもたらす一方で、最近になって開発されたナノ構造又は固体脂質粒子は、多くの化粧品製品に存在し、製薬部門治験中にある。

0006

リポソームは1つ以上の同心円状の脂質二重層から成り、水又は水性バッファーのコンパートメントをその中に包み込んでいる人工構造体として定義される。リポソームは、1種類以上の天然又は合成リン脂質から調製され、極性の頭部が一緒になるように組織されて二重層を作り出す。最も伝統的なリポソームの調製方法はいわゆる脂質膜水和である。リポソームを水溶性脂溶性、及び両親媒性有効成分のための担体として開発することがますます増えている。有効成分の水相又は脂質二重層への封入は、前記有効成分を酵素分解や免疫系による排除から保護することができ、また非経口投与に際し、その毒性副作用(例えば、溶血血栓性静脈炎血液凝固)の可能性を減少させることができる(Meure et al., Aaps Pharmscitech, 9:798-809, 2008; Storm and Crommelin, Pharmaceutical Science & Technology Today, 1:19-31, 1998)[1,2]。多くの市販組成物(例えば、Myocet(登録商標)、Doxil(登録商標)/Caelyx(登録商標)、AmBisome(登録商標)、Visudyne(登録商標)等)の根本では、リポソームには大きく不利な点が幾つかある。それら組成物は標的細胞について特異性がなく、リン脂質酸化して物理的に不安定であるので凍結乾燥することが必要であり、工業的に製造するのに細心の注意を要し、対象となる分子の封入可能量に一定の限界がある。実際に、両親媒性又は親油性の分子は、その膜に挿入することによってリポソームと混合できるが、後者を不安定化するリスクがある。

0007

エマルションは、一方の液体分散相)が他方の液体(分散剤又は連続相)中で液滴となっている微細分散体であり、2つの液体は相互に非混和性である。エマルションはほとんどの場合、水/油タイプである。「ナノエマルション」(NE)という用語は、得られた粒径が非常に小さい、すなわち平均サイズが約100ナノメートルである場合に使用される。それらは水相中での油相機械的な断片化によって通常作られ、界面活性剤の存在によって安定化されうる。従来のエマルションと比較して、小球体のサイズが小さいこと
から、有利な薬学的性質、特に、保存中の物理的な安定性及び考えられる投与経路、特に小さい液滴の使用を要する静脈内投与の点で有利な薬学的性質をもたらす。しかし、これらの系はそのエマルションを構成する油(大豆油オリーブ油)に可溶である非常に親油性の高い有効成分しか組み入れることができず、それらの潜在用途を制限する。

0008

固体脂質ナノ粒子(SLN)及びナノ構造脂質担体(NLC)は、一般にその粘着性閉塞性、及び皮膚保湿性に基づいた化粧品への最終的な使用、並びに対象となる有効成分を投与及び保護する医薬への最終的な使用のために、封入された有効成分の物理化学的な安定性及び全体として脂質担体の投与後安定性を高めるのに開発された(Bunjes, Current Opinion in Colloid & Interface Science, 16(5):405-411, 2011; Harde et al., Expert Opinion on Drug Delivery, 8(11):1407-1424, 2011; Harms et al., Journal of Drug Delivery Science and Technology, 21(1):89-99, 2011; Joshi and Muller, European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 71:161-172, 2009; Muller et al., Current Drug Discovery technologies, 8(3):207-227, 2011; Pardeike et al., International Journal of Pharmaceutics, 366:170-184, 2009; Souto and Doktorovova, Methodsin Enzymology, 464:105-129, 2009)[3〜9]。上記ナノエマルションと同様に、使用される原料の親油性が非常に高いことは、潜在的に投与可能な有効成分の選択を制限する。さらに、固体状態での脂質の多様性(polymorphism)は、特にSLNの場合、その系の物理的安定性に大きな影響を及ぼす(活性分子の排出、ゲル化)ことが示された。

0009

アンジェ大学によって開発された脂質ナノカプセルは相転換法によって得られ、リン脂質単層によって取り囲まれている。SLN及びNLC型ナノ分散体に非常に類似しているが、それらの粒子はリン脂質の結晶層及び非イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤によって安定化されたナノカプセルとして記載されている(国際出願国際公開第01/64328号;Huynh et al., Journal of Pharmaceutics, 379:201-209, 2009)[10、11]。興味深いことに、該粒子は比較的「柔らかい(mild)」ので、相転換技術は比較的特定の原料の使用及び調製過程中の非常に繊細な温度制御を要する。これらの面はこの方法の大規模な開発を制限しうる。

0010

数年前に、「ハンドバッグ(handbags)」と呼ばれる2つのコンパートメント油/水構造から成るサブミクロンの大きさの陽イオン性エマルションが開発された(図1)。有効成分のための担体として使用するために、それらのエマルションの形成には、水性コンパートメントを区切る脂質二重層へのトリグリセリド大量挿入を助けるステアリルアミンの存在を必要とする(Texeira et al., Pharmaceutical Research, 17:1329-1332, 2000)[12]。残念なことには、これらの2つのコンパートメント体は、調製過程中に形成される多数の他の物体ミセル、リポソーム、ナノエマルション)のなかで少ない割合(20%未満)にとどまる。そのうえ、ステアリルアミンなどの陽イオン性界面活性剤の使用は、負に帯電した生物学的製剤膜に対するその種の産物の毒性を考慮して、慎重に考えられるべきである。

0011

リポソーム中のように、少なくとも1つのリン脂質二重層によって囲まれ、安定化された、液体形態又は固体形態の脂質から成る脂質コアを含む直径が10〜250nmである粒子の微々たるナノエマルション(エマルソーム(emulsome)又はウルトラソーム(ultrasome)と呼ばれる)が、脂溶性分子又は水溶性分子の非経口投与、経口投与直腸投与鼻腔内投与、又は局所投与のために開発及び設計された(米国特許第5,576,016号;Gupta et al., Journal of Drug Targeting, 15:437-444, 2007; Gupta and Vyas,
Journal of Drug Targeting, 15:206-217, 2007; Kretschmar et al., Mycoses, 44:281-286, 2001; Paliwal et al., International Journal of Pharmaceutics, 380:181-188,
2009; Wu et al., Journal of Immunology, 185(6):3401-3407, 2010)[13−18]。これらのエマルソームを調製する方法は、一般に有機溶媒の使用並びにリン脂質膜の沈
殿及び再水和を要するので工業規模で適用するには困難が伴う。実際に、これらの粒子は主に、水相が予め形成される脂質ナノ粒子を含有することを除いてはリポソームに用いられるものと非常に類似したリン脂質膜水和技法によって得られる。最終的な粒子は、リン脂質二重層中の油滴の「統計的な閉じ込め(statistical confinement)」に由来する。結果として、該方法は先験的に(a priori)、脂質とリン脂質部分を結びつけること無く物体(エマルソーム、リポソーム、ナノエマルション、又は固体ナノ粒子)のさまざまな集団を生成する。これは先験的に(a priori)、ある特定の精製操作(例えば、遠心分離)又は保存中に系の安定性の問題を引き起こしうる。

0012

よって、特に、広い範囲の極性をもつ、大量の対象となる分子を投与するための脂質担体の長期安定性を制御し、随意に、同じナノ物体への親水性有効成分及び親油性有効成分の共封入(co-encapsulation)を想定することを可能にする簡単な生産方法のために、先行技術の欠点、デメリット、及び障害を克服する脂質担体に対する真の必要性がある。

実施例

0013

脂質ナノ系の安定性及び毒性に関する発明者ら自身の経験に基づいて、発明者らは新規のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(又はセリソーム)を開発した。該粒子は上記のもの、つまりリポソームと脂質粒子(図2A〜B)との間の混成系を意味し、脂質マトリックスと水性コンパートメントが同じナノメートルスケールの物体内で混合される。本発明のセリソームの主たる新規性は、工業的規模で適用できる簡単な調製法高圧ホモジナイゼーション)にもかかわらずマルチコンパートメント形態であること(図3)に由来する。さらに、使用される原料は比較的安価で、既にさまざまな薬局方で認められ、製薬産業で用いられている。

0014

形態学的に、これらの本発明のマルチコンパートメントナノ粒子はエマルソームと完全に異なる。後者では、脂質コンパートメントが1つ以上のリン脂質二重層内に組み込まれ、同心円状の水性コンパートメントを区切るので、物体は等方性(中心から、全方向で同じ特性)である。本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の場合では、脂質コンパートメントは水性コンパートメントによって部分的にしか覆われないので、組織は異方性である(中心から、特性が方向に依存して異なる)。

0015

本発明のセリソームでは、脂質コアは室温(25℃)で液体又は半固体であり、グリセリド及びポリエチレングリコールエステルを組み入れる脂質混合物から構成できる。後者の面は、広範囲の極性を有する有効成分(AP)(グリセリド中で親油性のAP、ポリエチレングリコール中でより親水性のAP)の前記ナノ粒子内への封入を可能にする点で非常に重要である。

0016

そのうえ、多くの薬物担体で観察されることと違って、本発明のセリソームの懸濁液の安定性は、例えばリポソームの場合のような凍結乾燥工程を必要とすることなく、数十箇月に延びる。本発明のセリソームは、リン脂質を含有する界面活性剤の混合物(例えば、ホスフォリポン(Phospholipon)(登録商標)90G)及びグリフィンHLB値が11を超える「疎水性−親水性−疎水性」型をいくらか含む非イオン性界面活性剤の混合物を用いて安定化される。例えば、これらの3連配列(three-sequence)界面活性剤は、マクロゴールグリセリド(例えば、ゲルシア(Gelucire)(登録商標)50/13)又はポリオキシエチレン脂肪酸(例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアレート)のファミリーに属することができる。この界面活性剤の混合物はカカオバターナノ粒子の長期安定化(4年を超える)に有利であることがこれまで示されている。また、後者の非常に低い毒性がテトラゾリウム塩MTT)を用いる比色分析アッセイによって示された。好ましくは、リノレオイルポリオキシルグリセリド及び/又はオレイルポリオキシルグリセリド(ラブラフィル(Labrafil)(登録商標))からなる脂質相の場合、下記プロトコールに従っ
てこれらの賦形剤を混合及び処理することにより、典型的なナノエマルション(NE)のイメージと明らかに異なる本発明のセリソームが作られる。

0017

さらに、暗くて電子で密な外層の厚さの測定は、リン脂質二重層(二重層)によって区切られた第2の親水性コンパートメントによって部分的に囲まれた第1の親油性コンパートメント(脂質マトリックス又はコア)を強く示唆する。そのうえ、本発明のセリソームの構造の研究によって、上記のものなどの好適な非イオン性界面活性剤の使用に起因して、前記第1のコンパートメントが前記第2のコンパートメントに部分的に固定されていることがわかった。この説明によって制限されないが、本発明のセリソームの構築上の要石は、「疎水性−親水性−疎水性」型の3つのセグメント(three-segment)誘導体を少なくとも1つ含有する親水性非イオン性界面活性剤混合物の使用に基づいているようである。疎水性セグメントは、脂肪族アルコール、脂肪酸、グリセリド、コレステロール、又はリン脂質膜に親和性をもつ他の基から成ることができる。親水部は、ポリオキシエチレン、ポリプロピレン多糖類型のポリマー、又は疎水性セグメントと併せて、HLB値が11を超える界面活性剤を生成できる任意の型のポリマーから成ることになる。HLB値はグリフィンによって記載された尺度に従って本明細書で定義される。例えば、これらの界面活性剤は、ポリオキシルグリセリド若しくはマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルのファミリーに属することがあり、好ましくはゲルシア50/13又はポリオキシエチレン(40)ステアレートであることになる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、親水性ポリオキシエチレングリコール)鎖でエステル化された脂肪酸の混合物であり、脂肪酸−PEG型(モノエステル)の2つのブロックが並んだ誘導体及び脂肪酸−PEG−脂肪酸型(ジエステル)の3つのブロックが並んだ誘導体のさまざまな割合での混合物を含有する。また、マクロゴールグリセリドはグリセリドを含有する。特に、ゲルシア(登録商標)50−13は、グリセリドと1500g/molの親水性ポリ(オキシエチレングリコール)鎖でエステル化された脂肪酸の混合物であり、脂肪酸−PEG−脂肪酸型(図4A)の3つのブロックが並んだ誘導体を約40%含む。提案された系では、ジエステル部分は、間違いなく二重層と脂質部の間の固定位置(anchor point)である(図4B)。実際に、リン脂質の脂質粒子型製剤への組み込みが、一般に2つのタイプの物体、ナノ粒子及びリポソームを含有する不均一な製剤を生じることは当該技術分野において公知である。グリフィンHLB値が11を超える「疎水性−親水性−疎水性」型の非イオン性界面活性剤が非存在の場合に本発明の実験プロトコールを適用することによって同じ結果が得られた(データ示さず)。提案された系では、これらの界面活性剤部分は、間違いなく二重層と脂質部の間の固定位置である(図4B)。

0018

よって、本発明は平均直径が約10〜500nmであるマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)であって、リン脂質二重層によって区切られた第2の親水性コンパートメントによって部分的に囲まれた第1の親油性コンパートメントを含み、前記第1のコンパートメントが前記第2のコンパートメントに部分的に固定されていることを特徴とするマルチコンパートメント脂質ナノ粒子、を目的として有する。

0019

本発明の具体的な実施形態によれば、本発明のセリソームは、多分散指数(すなわち粒子集団サイズ分布)が約5〜15%、好ましくは10%である。

0020

好ましくは、本発明のセリソームは平均直径が約100〜250nmである。

0021

本発明の特定の実施形態によれば、本発明のセリソームの親油性コンパートメントは室温で液体状態又は半固体状態の脂質から成る。好ましくは、前記親油性コンパートメントは、本質的にグリセリドと混合されていてもよい脂肪酸エステルから成る。

0022

好ましくは、前記脂肪酸エステルは、親水部のモル質量が100〜700g/molの範囲であるポリエチレングリコールモノエステル及びポリエチレングリコールジエステルの混合物からなる群から選択される。

0023

好ましくは、グリセリドは、室温で液体又は固体であるグリセロールモノエステルグリセロールジエステル、及びグリセロールトリエステルの混合物からなる群から選択される。

0024

本発明の特定の実施形態によれば、本発明のセリソームのリン脂質二重層は、本質的にリン脂質及び親水性非イオン性界面活性剤から成る。

0025

好ましくは、前記リン脂質は、本質的に双性イオン性のリン脂質の混合物からなる群から選択される。

0026

好ましくは、前記非イオン性界面活性剤は、「疎水性−親水性−疎水性」型の3つのセグメント誘導体を少なくとも1つ含有する親水性非イオン性界面活性剤混合物からなる群から選択される。疎水性セグメントは、脂肪族アルコール、脂肪酸、グリセリド、コレステロール、又はリン脂質膜に親和性をもつ他の任意の基から成ることができる。親水部は、ポリオキシエチレン、ポリプロピレン、多糖類型のポリマー、又は疎水性セグメントと併せて、HLB値が11を超える界面活性剤を生成できる任意の型のポリマーから成ることになる。HLB値はグリフィンによって記載された尺度に従って本明細書で定義される。例えば、これらの界面活性剤は、ポリオキシルグリセリド若しくはマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルのファミリーに属することがあり、好ましくはゲルシア50/13又はポリオキシエチレン(40)ステアレートであることになる。

0027

本発明はまた、少なくとも1つの対象となる分子をさらに含む本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)を目的として有する。

0028

好ましくは、対象となる分子は、核酸タンパク質、多糖類、小分子、又は医薬品、化粧品、及び/若しくは食品加工関連の他の分子から選択される。

0029

本発明の文脈では、「小分子」は、例えば、分子量が60〜5000Da、好ましくは40〜3000Da、最も好ましくは2000Da未満である分子を意味する。

0030

本発明はまた、薬剤的許容可能な賦形剤中に本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の懸濁液を含む医薬組成物を目的として有する。
本発明はまた、以下の工程を含む本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)を調製する方法を目的として有する:
− 少なくとも1つの脂質、1つのリン脂質、1つの親水性非イオン性界面活性剤を含み、少なくとも1つの対象となる分子を含んでいてもよい、油/水エマルションを調製する工程;
−高圧下で前記エマルションをホモジナイゼーションする工程。

0031

本発明の特定の実施形態によれば、前記本発明の方法は、エマルションをホモジナイゼーションする前に30〜80℃、好ましくは〜70℃の温度に加熱する工程をさらに含む。

0032

好ましくは、前記脂質は、親水部のモル質量が100〜700g/molの範囲であるポリエチレングリコールモノエステル及びポリエチレングリコールジエステルの混合物か
らなる群から選択される。

0033

好ましくは、前記リン脂質は、本質的に双性イオン性のリン脂質の混合物からなる群から選択される。

0034

好ましくは、前記親水性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシルグリセリド若しくはマクロゴールグリセリド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルのファミリー、好ましくはゲルシア50/13又はポリオキシエチレン(40)ステアレートからなる群から選択される。
好ましくは、本発明の方法の油/水エマルションは以下を含む:
− 5〜30%の脂質、好ましくは、ラブラフィル(登録商標)M2125CS又はM1944CS;
− 0.5〜5%のリン脂質、好ましくはホスフォリポン90G(登録商標);
− 0.5〜5%のマクロゴールグリセリド又はポリオキシエチレン脂肪酸エステル、好ましくはゲルシア(登録商標)50−13又はポリオキシエチレン(40)ステアレート;
− 水、適量 100g。

0035

「%」符号はエマルションの総質量に対する%を指す。

0036

本発明はまた、対象となる分子を投与するための担体として使用するための本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)を目的として有する。

0037

本発明はまた、医薬品、好ましくは注射、経口、経鼻、又は経皮で投与される医薬品として使用するための本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)を目的として有する。

0038

他の利点は、例示目的で提供された添付の図面によって説明される下記の実施例を読めば当業者に明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0039

図1は、さまざまな操作条件下で得られた「ハンドバッグ」と呼ばれる構造の電子顕微鏡画像を示す。いずれの条件でも、「ハンドバッグ」は少ない割合にとどまる。
図2は、リポソーム(A)及び脂質粒子(B)の模式的な説明並びにクライオ透過電子顕微鏡(クライオ−TEM)画像を示す。
図3は、本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子のクライオ−TEM画像を示す。
図4は、ゲルシア(登録商標)50−13の成分(A)及び本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子の膜超構造の模式図(B)を示す。
図4は、ゲルシア(登録商標)50−13の成分(A)及び本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子の膜超構造の模式図(B)を示す。
図5は、本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子の調製の模式図を示す。
図6は、ラブラフィル(登録商標)M2125CSについて、マルチコンパートメント脂質ナノ粒子のサイズ及びその多分散性の20箇月にわたるモニターリングを示す。
図7は、水性媒体に溶かしたクェルセチン安定性試験[室温H2O;室温、pH7.4の水性媒体;室温模擬胃液(SGF);37℃模擬胃液(SGF);室温模擬腸液(SIF)](A)並びに本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子封入クェルセチンのさまざまな濃度(1、2、3、4、及び5%)の化学的安定性試験(B、右)を示す。粒子の物理的安定性は図7Bの左に示される。
図7は、水性媒体に溶かしたクェルセチンの安定性試験[室温H2O;室温、pH7.4の水性媒体;室温模擬胃液(SGF);37℃模擬胃液(SGF);室温模擬腸液(SIF)](A)並びに本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子封入クェルセチンのさまざまな濃度(1、2、3、4、及び5%)の化学的安定性試験(B、右)を示す。粒子の物理的安定性は図7Bの左に示される。

0040

実施例1:マルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の調製
調製
マルチコンパートメント脂質ナノ粒子の調製を図5に模式的に示す。

0041

加熱系備え付け一次エマルションの調製のためのT25ウルトラタラックス(ultra-turrax)(ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)を付随した2段式ホモジナイザー(APV2000、インベンシス、アルバーツランドデンマーク)を用いてナノ分散体を調製した。
各バッチについて、以下の3つの工程を含むプロトコールに従って50gのナノ分散体を調製した。

0042

分散:まず最初に、脂質及び界面活性剤(ゲルシア(登録商標)50/13及びホスフォリポン(登録商標)90G)を量し、それぞれ20mlフラスコ及び100mlフラスコに入れた。必要量の水を界面活性剤の入ったフラスコに加え、次に70℃にて9500rpmの速度で5分間機械的に撹拌して(T25ウルトラタラックス、ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)、界面活性剤懸濁液を調製した。最後に、脂質混合物もまた70℃に加熱し、それを水相に加え、ウルトラタラックスを用いて13500rpmの速度で5分間撹拌して油/水予備分散体を作った。

0043

HPHを用いた粒子サイズ削減及びホモジナイゼーション:得られた予備分散体を素早く、予め70℃に加熱した2段式ホモジナイザー(APV2000、インベンシス、アルバーツランド、デンマーク)に入れた。その中で、連続ホモジナイゼーションサイクルを、5分間、二段式の圧力(第1段の圧力は600bar及び第2段の圧力は200bar)の下で数回行ない、高温の油/水ナノエマルションを形成した。

0044

粒子の冷却:次にナノ分散体を室温及び4℃で維持した。

0045

組成物
上記調製方法によって得られたマルチコンパートメント脂質ナノ粒子は例えば以下を含む。
脂質(ラブラフィル(登録商標)) 5〜20%
リン脂質(ホスフォリポン90G) 1%
マクロゴールグリセリド(ゲルシア(登録商標)50−13) 2%
水(適量) 100g

0046

マルチコンパートメント脂質ナノ粒子の安定性
粒子のサイズ及び多分散性について、水に懸濁したマルチコンパートメント脂質ナノ粒子の室温での保存を数箇月にわたってモニターした。ラブラフィル(登録商標)M2125CSについて、このモリタリングの例を示した。平均直径(n=3)の標準偏差は概し
記号で隠され、方法の良好な再現性を裏付けた。200nm未満のナノ粒子直径は静脈内投与に適する。0.2未満の多分散性は平均値前後の狭いサイズ分布を表わす。

0047

水に懸濁した際、最も古いマルチコンパートメント脂質ナノ粒子は同一の直径(170〜180nm)及び多分散性(〜0.1)を20箇月を超えて保持した(図6)。

0048

実施例2:クェルセチン用担体としてのマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)
有効成分用担体としてのマルチコンパートメント脂質ナノ粒子の調製
上記プロトコールによって得られたマルチコンパートメント脂質ナノ粒子を、医薬的有効成分を封入するその能力について試験した。

0049

この目的を達成するために、例えば、クェルセチンの封入について研究を実施した。この有効成分には、比較的水に不溶であること(〜0.4μg/ml)及び一定のpH条件下で急速に加水分解されることという対になった(twin)デメリットがある。よって、封入の利点をこれらの2つの点について調べた。

0050

上記プロトコールに従って界面活性剤を含有する水相への乳化前に有効成分を脂質相に飽和するまで溶かすことによって粒子を調製した。封入されなかった有効成分を超遠心分離(OptimaLE−80K超遠心分離機、30000rpm、1時間、4℃)で分離し、次に該研究所で開発された方法に従って高速液体クロマトグラフィーHPLC)によって、封入された画分をナノ粒子を含有する上澄み中で分析した。すなわち、UV検出器ウォーターズ(商標)2487デュアルλ吸光度検出器)、ポンプ(ウォーターズ(商標)1525バイナリHPLCポンプ)、自動試料移送ステム(ウォーターズ(商標)717プラスオートサンプラー)と組み合わせたインジェクター、及びライン脱ガス装置(ウォーターズ(商標)インラインデガッサーAF)を備え付けたウォーターズ(商標)HPLC装置を用いてクェルセチンを分析した。分離はカラム(Modulo−cart QK3 C18−2カラム、150mm×3mm、Interchim)上で、25℃でアセトニトリル−水−トリフルオロ酢酸(30:70:0.1、v/v)の移動相を用いて実施した。検出器波長は371nmに設定した。流量は0.5ml/分であり、注入体積は20μlであった。白色脂質粒子を含有する3つの独立したストック液から確立された標準範囲相関係数(r2)が0.9998であり、50〜5000ng/mlの広い領域の線形性を有した。これらのデータから、所与クロマトグラフィー条件下において、該方法の特異性、感度、及び正確さが高いことが確認された。HPLCで分析する前に、試料はすべて線形範囲内の濃度にメタノールに溶かし、次に平均空隙率が0.2μmの膜(ミニザルト(登録商標)高流量親水性16532K、ザルトリウスステディム・バイオテック有限会社、ゲッティゲン、ドイツ)を通してろ過した。開発されたHPLC法はAPと賦形剤を分離し、脂質粒子に封入されたAP含量並びにさまざまな溶解媒質での安定性及び放出速度論(kinetics)を直接決定することを可能にする。

0051

懸濁液中の有効成分の最大搭載量は約1%(又はその水への溶解度の5・103倍)であり、最適条件下での封入収率は約96%である。

0052

くわえて、明らかになったのは、ナノ粒子が表面上にPEGが存在することにより、「ペグ化された」リポソームと広く記載される、生体内投与に必須である捕捉不能性の(細網内皮系による捕捉から逃れる)利点を先験的に(a priori)享受できることである。

0053

遊離クェルセチン又は封入されたクェルセチンの安定性
水性媒体中で加水分解され、本発明のマルチコンパートメント脂質ナノ粒子に封入されたクェルセチンの安定性を調べた。

0054

その目的で、さまざまな流動体中のクェルセチンの安定性をHPLC分析を用いて定量した。試験に供されたさまざまな流動体は、室温の模擬胃液(SGF、米国薬局方)、並びに37℃の模擬腸液(SIF、米国薬局方)、10mMHEPESバッファー(pH7.4)、及び室温の水であった。24時間にわたって採取された試料により、室温の水では、約50%のクェルセチンが17時間以内に分解されるが(図7A)、より酸性の液では該分子はより安定であることが特に示された。

0055

他方では、封入し、懸濁液として水に保存し、超遠心分離した後に、ナノ粒子の分析は90日間保存した後、約100%のクェルセチンが依然として見られたことを示した(図7B、右)。さらに、有効成分を封入する粒子は、4℃同様に、室温で少なくとも90日間物理的に安定した状態を保った(図7B、左)。

0056

実施例3:マルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の調製
さまざまな賦形剤から上記プロトコールに従って、他のセリソームを得た。

0057

例えば、脂質部分はリノレオイルマクロゴール−6グリセリド(ヨーロッパ薬局方)、オレオイルマクロゴール−6 グリセリド(EP)、又はプロピレングリコールモノラウレート(EP)で作られ、リン脂質はジパルミトイルホスファチジルコリンから作られ、非イオン性界面活性剤はステアロイルマクロゴール−32 グリセリド(EP)、ステアリン酸のモノエステルとジエステルの合成混合物、及びマクロゴール−32(40/60m/m)、又はポリオキシエチレン(40)ステアレートで作られた。

0058

これらの賦形剤の全てについて、クライオ−TEM観察により、ナノ粒子がコンパートメント化され、図3に示されるものと同様の形態であることを確認した。

0059

実施例4:10gバッチのマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の調製
調製
マルチコンパートメント脂質ナノ粒子の調製を図5に模式的に示す。

0060

加熱系を備え付け、一次分散体の調製のためのIKA T10ウルトラタラックス(ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)を付随した単段ホモジナイザー(HPHラボラトリースタンステッドフルードパワー社(Stansted Fluid Power Ltd)、英国)を用いてナノ分散体を調製した。
以下の3つの工程を含むプロトコールに従って10グラムのナノ分散体を調製した。

0061

分散:まず最初に、脂質及び界面活性剤(ゲルシア(登録商標)50/13及びホスフォリポン(登録商標)90G)を計量し、それぞれ7mlフラスコ及び20mlフラスコに入れた。必要量の水を界面活性剤の入ったフラスコに加え、次に70℃にて8500rpmの速度で5分間機械的に撹拌して(IKA T10ウルトラタラックス、ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)、界面活性剤懸濁液を調製した。最後に、脂質混合物もまた70℃に加熱し、それを水相に加え、ウルトラタラックスを用いて20000rpmの速度で5分間撹拌して油/水予備分散体を得た。

0062

HPHを用いた粒子サイズ削減及びホモジナイゼーション:得られた分散体を素早く、予め70℃に加熱した単段式ホモジナイザー(HPHラボラトリー、スタンステッドフルードパワー社、英国)に入れた。その中で、ホモジナイゼーションサイクルを1000barの圧力下で4回行なった。

0063

粒子の冷却:次にナノ分散体を室温で維持した。

0064

組成物
上記調製方法によって得られたマルチコンパートメント脂質ナノ粒子は以下を含む(質量%):
ラブラフィル(登録商標)M2125CS 20%
ホスフォリポン90G 1%
ゲルシア(登録商標)50−13 2%
水(適量) 10g

0065

サイズ及び形態の分析
この調製法の後、ナノ粒子は流体力学的直径が228±2nmである。さらに、クライオ−TEM観察により、ナノ粒子がコンパートメント化され、図3に示されるものと同様の形態であることを確認した。
実施例5:医薬及び/又は化粧品目的の分子のための担体としての10gバッチのマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)

0066

実施例4に記載のプロトコールに従ってマルチコンパートメント脂質ナノ粒子を調製し、さまざまな有効成分を封入するその能力について調べた。

0067

皮膚への適用には、皮膚化粧品目的の分子を計算オクタノール水分配係数(LogP)及びモル質量に従って選択し、次に製剤に組み込んだ。3つの分子はカフェイン(抗セルライト;logP=−0.55;194g/mol)、クロロキシレノール防腐剤;logP=3.30;156g/mol)、及びイルガサン殺菌剤;logP=4.98;289g/mol)であった。

0068

これらの対象となる分子を親水性のものは水相に溶かし、親油性のものは脂質相に溶かした後、実施例3に記載のプロトコールのウルトラタラックスで混合した。コンパートメント化されたナノ粒子のさまざまな液体構成成分への溶解度を考慮して、カフェインを水相に導入した一方で、クロロキシレノール及びイルガサンを脂質相に組み込んだ。

0069

マルチコンパートメントナノ粒子分散体中の対象となる化合物の各々の最終濃度は1質量%である。

0070

サイズ及び形態の分析
この調製法の後、カフェインを含有するナノ粒子は流体力学的直径が223±3nmであり、25℃で少なくとも12日間安定した状態を保ち、イルガサンを含有するナノ粒子は流体力学的直径が224±4nmであり、25℃で少なくとも12日間安定した状態を保ち、クロロキシレノールを含有するナノ粒子は流体力学的直径が245±2nmであり、25℃で少なくとも1箇月間安定した状態を保った。

0071

組み込まれた分子の各々について、クライオ−TEM観察により、ナノ粒子がコンパートメント化され、図3に示されるものと同様の形態であることを確認した。

0072

実施例6:マルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)ゲルの調製
実施例4に記載のプロトコールに従って、マルチコンパートメント脂質ナノ粒子を調製した。

0073

この調製の後、コンパートメント化されたナノ粒子を、トリエタノールアミン中和した2%カーボポール(登録商標)974NF予成形ゲルと混ぜた。カーボポール(登録商
標)974NF中に0.2%及び0.4%に濃縮し、それぞれ脂質賦形剤(質量による)を20.7%及び18.4%含有し、最終的なゲルはナノ粒子を含まないカーボポール(登録商標)974NFゲルのずり粘性を保持する。

0074

流体力学的直径の測定及びクライオ−TEM観察から、カーボポール(登録商標)974NFを含む混合物が、25℃で5箇月間保存した後でも、ナノ粒子のサイズ又はコンパートメント化された形態を変えないことが示された。

0075

実施例7:1kgバッチのマルチコンパートメント脂質ナノ粒子(セリソーム)の調製
調製
マルチコンパートメント脂質ナノ粒子の調製を図5に模式的に示す。

0076

加熱系を備え付け、一次分散体の調製のためのT18ウルトラタラックスベーシック(Ultra-Turrax Basic)(ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)を付随した2段式ホモジナイザー(APV2000、インベンシス、アルバーツランド、デンマーク)を用いてナノ分散体を調製した。

0077

以下の3つの工程を含むプロトコールに従って1キログラムのナノ分散体を調製した。

0078

分散:まず最初に、脂質及び界面活性剤(ゲルシア(登録商標)50/13及びホスフォリポン(登録商標)90G)を計量し、それぞれ200mlビーカー及び1000mlビーカーに入れた。必要量の水を界面活性剤の入ったビーカーに加え、次に70℃にて11000rpmの速度で15分間機械的に撹拌して(T18ウルトラタラックスベーシック、ヤンケ&クンケルGmbH&Co.KG,IKA(登録商標)−Labotechnik、ドイツ)、界面活性剤懸濁液を調製した。最後に、脂質混合物もまた70℃に加熱し、それを水相に加え、油/水予備分散体を得るためにウルトラタラックスを用いて20000rpmの速度で15分間撹拌した。

0079

HPHを用いた粒子サイズ削減及びホモジナイゼーション:得られた分散体を、予め70℃に加熱した2段式ホモジナイザー(APV2000、インベンシス、アルバーツランド、デンマーク)に入れ、レイネリ1144ミキサーを用いて機械的に撹拌(800rpm)しながら維持した。その中で、連続ホモジナイゼーションサイクルを、15分間、二段式の圧力(第1段の圧力は600bar及び第2段の圧力は200bar)の下で数回行ない、高温の油/水ナノエマルションを形成した。

0080

粒子の冷却:次にナノ分散体を20mlフラスコに入れ、室温で維持した。

0081

組成物
上記調製方法によって得られたマルチコンパートメント脂質ナノ粒子は以下を含む(質量%):
ラブラフィル(登録商標)M2125CS 20%
ホスフォリポン90G 1%
ゲルシア(登録商標)50−13 2%
水(適量) 1kg

0082

サイズ及び形態の分析
この調製法の後、クライオ−TEM観察により、ナノ粒子がコンパートメント化され、図3に示されるものと同様の形態であることを確認した。

0083

参考文献
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