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図面 (9)

課題・解決手段

本開示は、オキシトシンなどのペプチド又はタンパク質を含む、医薬組成物として用いるための、熱安定性乾燥粉末に関する。当該組成物は、高温且つ比較的高湿度の環境で高い安定性を示し、保管寿命が長く、室温での保存に向いている。特に、この乾燥粉末は、吸入に向いている。しかし、溶液再構成する場合、他の投与経路を用いることもできる。

概要

背景

薬物送達は、長年に渡って、特に、送達する化合物患者経口投与されるときに標的部位に届く前に胃腸管遭遇する条件下で不安定である場合に、主要な問題であった。例えば、多くの場合、特に、服用患者コンプライアンス、及び費用低減の容易さという観点から、薬物を経口投与することが好ましい。しかし、経口投与する場合、化合物の多くは、役に立たず、あるいは、その薬効が低下したりばらついたりする。これは、おそらく、薬物が消化管内の条件下では不安定であるため、又は、薬物の吸収が非効率的であるためである。生物学的製剤、特に、ペプチド及びタンパク質にとって、大部分のタンパク質が急速に分解されるため、の中の酸性環境は機能維持に悪影響をもたらす。

ある種のタンパク質及びペプチドをはじめとする単離生物質は、例えば、−20℃の貯蔵庫から一度取り出すだけで、急速かつ完全に機能活性を失いかねない。別種の単離したタンパク質及びペプチドは、プロテアーゼ阻害剤の添加無しで4℃に保存すると、著しく分解する。哺乳類のタンパク質及びペプチドの多くは43℃を超える温度で分解する。55℃ではほとんどのタンパク質が約1−2時間で完全に変性することが良く知られている。時として、室温でも単離したタンパク質の完全変性と不安定化が生じる。

薬物、特に、生体由来製品経口薬物送達にまつわる諸問題のため、への薬物送達は詳しく調査されてきた。例えば、肺に送達される薬物は、血管拡張剤界面活性剤化学治療剤、又はインフルエンザ若しくは他の呼吸器疾患ワクチンなど、肺組織上で効果を有するように設計されている。喘息などの肺疾患治療するための薬物製剤は、PULMOZYME(登録商標)による治療などのようにネブライザーを用いたり、SYMBICORT(登録商標)などの定量吸入器や、ADVAIR DISKUS(登録商標)、PULMICORTFLEXAHER(登録商標)などの乾燥粉末吸入器を用いたりすることをはじめとして、いくつかの方法で利用可能である。肺は、有効なアデノシンデアミナーゼ発現するレトロウィルスベクターを肺に投与する嚢胞性線維症遺伝子治療などの治療に特に適切な組織であるため、核酸薬をはじめとする他の薬物の肺送達も行われてきている。

現在、生物学的製剤を用いて全身性疾患を治療するための製剤は、主に注射組成物を介して利用可能である。EXUBERA(登録商標)及びAFREZZA(登録商標)をはじめとするインスリンの肺吸入及び全身送達のための乾燥粉末組成物臨床試験に用いられてきた。しかし、乾燥粉末組成物、特に、ペプチド及び核酸をはじめとする生体分子を含む組成物について、室温での保管寿命をさらに長寿命に改善し、患者が使用する前の貯蔵や送達を、特に、冷蔵庫が利用できない場合に、容易にすることが望まれている。

例えば、世界保健機関によれば、妊娠又は出産連合併症により毎日800人の女性死亡している。主な死因重度出血産後出血)であるが、これはペプチドホルモンで生体分子であるオキシトシンを用いることにより防ぐことができる。市販のオキシトシン組成物はPITOCIN(登録商標)及びSYNTOCINON(登録商標)の商標名の液体製剤として、又は、ジェネリックオキシトシンとして提供されており、溶液中の当該ペプチドは、周囲温度で急速に分解するため、使用前は25℃未満で保存する必要があり、注射でのみ投与されている。注射製剤の調製及びそれに必要とされる特別な保存には難点が多いため、注射製剤の必要性が高いものの冷蔵滅菌が常に容易に利用できるわけではない亜熱帯熱帯気候で注射製剤を用いることはできない。

概要

本開示は、オキシトシンなどのペプチド又はタンパク質を含む、医薬組成物として用いるための、熱安定性乾燥粉末に関する。当該組成物は、高温且つ比較的高湿度の環境で高い安定性を示し、保管寿命が長く、室温での保存に向いている。特に、この乾燥粉末は、吸入に向いている。しかし、溶液に再構成する場合、他の投与経路を用いることもできる。なし

目的

しかし、乾燥粉末組成物、特に、ペプチド及び核酸をはじめとする生体分子を含む組成物について、室温での保管寿命をさらに長寿命に改善し、患者が使用する前の貯蔵や送達を、特に、冷蔵庫が利用できない場合に、容易にすることが望まれている

効果

実績

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請求項1

ペプチドタンパク質、若しくは前記ペプチド若しくは前記タンパク質の誘導体若しくは類似体クエン酸塩若しくは酒石酸塩陽イオン塩アミノ酸、及び/又は、医薬的に許容可能な担体若しくは賦形剤を含む乾燥粉末医薬製剤

請求項2

前記ペプチド、前記タンパク質、前記誘導体、又は前記類似体は、オキシトシン、オキシトシン誘導体、又はオキシトシン類似体である、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項3

前記クエン酸塩はクエン酸ナトリウム又はクエン酸亜鉛である、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項4

前記陽イオン塩は、2価陽イオン塩であり、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛塩化マグネシウム、又は塩化カルシウムである、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項5

前記医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、マンノースマンニトールトレハロース、又はソルビトールから選択される糖である、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項6

前記医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、ポリビニルピロリドンポリエチレングリコール、又はジケトピペラジンである、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項7

前記ジケトピペラジンは、フマリルジケトピペラジン又はスクシニルジケトピペラジンである、請求項6に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項8

前記クエン酸塩は、オキシトシン、オキシトシン類似体、又はオキシトシン誘導体の1モル当たり100から20当量の範囲の量で存在する、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項9

前記陽イオン塩は、組成物中オキシトシン1モル当たり50から5当量の範囲の量で存在する、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項10

前記ペプチドは、内分泌ホルモン成長因子、又は侵害受容ペプチドである、請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項11

前記内分泌ホルモンは、インスリン副甲状腺ホルモンカルシトニングルカゴングルカゴン様ペプチド1、オキシントモジュリン、又は、前記内分泌ホルモンの類似体若しくは活性断片である、請求項10に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項12

前記アミノ酸は、ロイシンイソロイシントリロイシンシスチンリシングリシンアルギニンメチオニン、又はヒスチジンである、請求項10に記載の乾燥粉末医薬製剤。

請求項13

乾燥粉末製剤を製造する方法であって、ペプチド、タンパク質、その断片、及び/又はその類似体を含む溶液窒素ガス室内で噴霧乾燥することを含み、前記乾燥粉末製剤は、pH4.5からpH6.5の範囲のpHで、前記ペプチド、前記タンパク質、その断片、及び/又はその類似体、クエン酸塩又は酒石酸塩、並びに陽イオン塩を含む混合物を含み、前記陽イオン塩は二価陽イオン塩である、方法。

請求項14

前記乾燥粉末製剤はオキシトシンを含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記クエン酸塩はクエン酸ナトリウムである、請求項13に記載の方法。

請求項16

アミノ酸又は糖をさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項17

前記アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、トリロイシン、シスチン、リシン、グリシン、アルギニン、メチオニン、又はヒスチジンである、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記糖は、トレハロース又はマンニトールである、請求項16に記載の方法。

請求項19

前記酒石酸塩は酒石酸ナトリウムである、請求項13に記載の方法。

請求項20

オキシトシン、オキシトシン類似体、又はオキシトシン類似体、クエン酸ナトリウム、塩化亜鉛、及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む、吸入用医薬乾燥粉末製剤。

請求項21

前記クエン酸ナトリウムは、前記乾燥粉末製剤中に、0.5%(w/w)より多く、5%(w/w)より多く、10%(w/w)より多く、又は20%(w/w)より多く存在する、請求項20に記載の医薬乾燥粉末製剤。

請求項22

前記噴霧乾燥は、前記溶液の流れを入口温度が約120℃から150℃である乾燥窒素ガス流中に霧化することを含む、請求項13に記載の方法。

請求項23

治療の必要な対象に200IUまでのオキシトシンを含む請求項1に記載の乾燥粉末医薬製剤を投与することを含む、産後出血を治療又は予防する方法。

請求項24

前記アミノ酸はイソロイシンである、請求項17に記載の方法。

技術分野

0001

本明細書では、ペプチド及びタンパク質をはじめとする生分解性物質送達するための熱安定性乾燥粉末組成物及び方法、並びに、該乾燥粉末を送達するためのシステム及び方法を開示する。特に、この乾燥粉末は、好ましくは、産後出血をはじめとする特定の疾患及び/又は病気治療するための吸入による送達に向いている。

背景技術

0002

薬物送達は、長年に渡って、特に、送達する化合物患者経口投与されるときに標的部位に届く前に胃腸管遭遇する条件下で不安定である場合に、主要な問題であった。例えば、多くの場合、特に、服用患者コンプライアンス、及び費用低減の容易さという観点から、薬物を経口投与することが好ましい。しかし、経口投与する場合、化合物の多くは、役に立たず、あるいは、その薬効が低下したりばらついたりする。これは、おそらく、薬物が消化管内の条件下では不安定であるため、又は、薬物の吸収が非効率的であるためである。生物学的製剤、特に、ペプチド及びタンパク質にとって、大部分のタンパク質が急速に分解されるため、の中の酸性環境は機能維持に悪影響をもたらす。

0003

ある種のタンパク質及びペプチドをはじめとする単離生物質は、例えば、−20℃の貯蔵庫から一度取り出すだけで、急速かつ完全に機能活性を失いかねない。別種の単離したタンパク質及びペプチドは、プロテアーゼ阻害剤の添加無しで4℃に保存すると、著しく分解する。哺乳類のタンパク質及びペプチドの多くは43℃を超える温度で分解する。55℃ではほとんどのタンパク質が約1−2時間で完全に変性することが良く知られている。時として、室温でも単離したタンパク質の完全変性と不安定化が生じる。

0004

薬物、特に、生体由来製品経口薬物送達にまつわる諸問題のため、肺への薬物送達は詳しく調査されてきた。例えば、肺に送達される薬物は、血管拡張剤界面活性剤化学治療剤、又はインフルエンザ若しくは他の呼吸器疾患ワクチンなど、肺組織上で効果を有するように設計されている。喘息などの肺疾患を治療するための薬物製剤は、PULMOZYME(登録商標)による治療などのようにネブライザーを用いたり、SYMBICORT(登録商標)などの定量吸入器や、ADVAIR DISKUS(登録商標)、PULMICORTFLEXAHER(登録商標)などの乾燥粉末吸入器を用いたりすることをはじめとして、いくつかの方法で利用可能である。肺は、有効なアデノシンデアミナーゼ発現するレトロウィルスベクターを肺に投与する嚢胞性線維症遺伝子治療などの治療に特に適切な組織であるため、核酸薬をはじめとする他の薬物の肺送達も行われてきている。

0005

現在、生物学的製剤を用いて全身性疾患を治療するための製剤は、主に注射組成物を介して利用可能である。EXUBERA(登録商標)及びAFREZZA(登録商標)をはじめとするインスリンの肺吸入及び全身送達のための乾燥粉末組成物が臨床試験に用いられてきた。しかし、乾燥粉末組成物、特に、ペプチド及び核酸をはじめとする生体分子を含む組成物について、室温での保管寿命をさらに長寿命に改善し、患者が使用する前の貯蔵や送達を、特に、冷蔵庫が利用できない場合に、容易にすることが望まれている。

0006

例えば、世界保健機関によれば、妊娠又は出産連合併症により毎日800人の女性死亡している。主な死因重度の出血(産後出血)であるが、これはペプチドホルモンで生体分子であるオキシトシンを用いることにより防ぐことができる。市販のオキシトシン組成物はPITOCIN(登録商標)及びSYNTOCINON(登録商標)の商標名の液体製剤として、又は、ジェネリックオキシトシンとして提供されており、溶液中の当該ペプチドは、周囲温度で急速に分解するため、使用前は25℃未満で保存する必要があり、注射でのみ投与されている。注射製剤の調製及びそれに必要とされる特別な保存には難点が多いため、注射製剤の必要性が高いものの冷蔵滅菌が常に容易に利用できるわけではない亜熱帯熱帯気候で注射製剤を用いることはできない。

発明が解決しようとする課題

0007

従って、生体分子を含む医薬製剤、特に、病気治療での肺送達のためのものの開発には改善の余地がある。

課題を解決するための手段

0008

本開示は、室温又はより高温で長時間その生物学的活性を実質的に失わず安定である吸入用乾燥粉末組成物に関する。一実施形態では、生体分子を含む吸入用乾燥粉末を含む医薬製剤であって、該生体分子は乾燥粉末吸入システムを用いた全身送達用のペプチド又はタンパク質を含み、該乾燥粉末吸入システムは、複数回使用するための単位用量カートリッジ又はカプセルと共に用いることができる吸入器、単回使用のための一体内型容器を有する単回使用吸入器、又は吸入器と一体に構成された複数の用量が設けられている多用量(multidose)吸入器を含む、医薬製剤が提供される。

0009

一実施形態では、タンパク質又はペプチド、並びに、1種以上の医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む乾燥粉末を含み、高温且つ高湿度で安定である、熱安定性医薬製剤が提供される。一実施形態では、本医薬製剤は、例えば、20℃超、25℃超、30℃超、又は35℃超の温度で、且つ、5%超、10%超、30%超、50%超、60%超、又は70%超などの相対湿度環境で、長期間安定であり、医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤は、例えば、緩衝剤、塩、ポリマージケトピペラジン、及び/又は、これらの塩などを含む。一実施形態では、本乾燥粉末組成物は、任意で、ポリソルベート(例えばポリソルベート80及びTween)などの界面活性剤を含んでもよい。

0010

いくつかの実施形態では、本製剤は、例えば、オキシトシン、オキシトシン誘導体、又はカルボシン(carbotecin)などのその類似体をはじめとするペプチド、緩衝剤、及び1価又は2価の陽イオン塩、並びに、任意で、糖及び/又はアミノ酸を含む乾燥粉末を含む。特定の実施形態では、本製剤は、オキシトシン、オキシトシン誘導体、若しくはオキシトシン類似体、緩衝剤、及び/又は、塩によりもたらされる2価陽イオン若しくは1価陽イオンを含む乾燥粉末を含み、該塩としては、クエン酸亜鉛酢酸亜鉛酒石酸二ナトリウム、酒石酸一ナトリウムクエン酸ナトリウムクエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム塩化亜鉛塩化カルシウム塩化マグネシウム水酸化ナトリウムなどが挙げられる。一実施形態では、本製剤は、さらに、1種以上のアミノ酸を含み、該アミノ酸としては、ロイシンイソロイシントリロイシンシスチンアルギニンリシンメチオニン、及び/又はヒスチジンが挙げられる。ある実施形態では、本製剤の1価陽イオンとして、ナトリウムカリウム、及びリチウムを挙げることができる。別の実施形態では、本製剤はクエン酸を含んでもよい。

0011

個別の実施形態では、オキシトシン、一ナトリウム塩二ナトリウム塩、又は三ナトリウム塩の形態のものを含むクエン酸ナトリウム、及び塩化亜鉛又はクエン酸亜鉛を含む乾燥粉末組成物であって、クエン酸ナトリウムは、組成物中に、40%(w/w)未満、30%(w/w)未満、20%(w/w)未満、又は10%(w/w)未満の量で存在し、塩化亜鉛又はクエン酸亜鉛は、組成物中に、35%(w/w)未満、20%(w/w)未満、又は10%(w/w)未満の量で存在する、乾燥粉末組成物が提供される。特定の実施形態では、塩化亜鉛が組成物の約1%から約7%(w/w)の範囲の量で用いられる。別の実施形態では、クエン酸亜鉛が組成物の約9%から約35%(w/w)の範囲の量で用いられる。

0012

個別の実施形態では、オキシトシン、一ナトリウム塩又は二ナトリウム塩の形態のものを含む酒石酸ナトリウム、及び塩化亜鉛又はクエン酸亜鉛を含む乾燥粉末組成物であって、クエン酸ナトリウムは、組成物中に、40%(w/w)未満、30%(w/w)未満、20%(w/w)未満、又は10%(w/w)未満の量で存在し、塩化亜鉛又はクエン酸亜鉛は、組成物中に、35%(w/w)未満、20%(w/w)未満、又は10%(w/w)未満の量で存在する、乾燥粉末組成物が提供される。特定の実施形態では、塩化亜鉛が組成物の約1%から約7%(w/w)の範囲の量で用いられる。別の実施形態では、酒石酸亜鉛が組成物の約9%から約35%(w/w)の範囲の量で用いられる。

0013

一実施形態では、本乾燥粉末組成物は、オキシトシン、オキシトシン類似体又は誘導体の1モル当たり100から20当量の範囲の量のクエン酸塩を含み、亜鉛塩の量は組成物中オキシトシン1モル当たり50から5当量の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、クエン酸塩源として、0.1M又は0.75Mまでの濃度と4.0から6.5の範囲のpH値を有する濃縮クエン酸ナトリウム緩衝剤が用いられた。

0014

一実施形態では、本乾燥粉末組成物は、オキシトシン又はその類似体若しくは誘導体、亜鉛、及びクエン酸塩を含み、オキシトシン又はその類似体若しくは誘導体は単回吸入服用で200IUまでの量で存在する。いくつかの実施形態では、本乾燥粉末組成物は、単回吸入服用で150IU、100IU、50IU、40IU、20IU、10IU、5IU、1IU、0.05IU、又は0.005IUのオキシトシン又はその類似体若しくは誘導体を含む。

0015

ペプチド若しくはタンパク質又はその類似体を含む溶液を混合又はホモゲナイズすることを含み、該溶液は該ペプチド又はタンパク質の1モル当たり100から20当量の範囲の量で存在するクエン酸塩を含み、並びに、亜鉛塩の量は組成物中該ペプチド若しくはタンパク質又はその類似体の1モル当たり50から5当量の範囲であってもよい、乾燥粉末製剤製造法も開示される。いくつかの実施形態では、クエン酸塩源として濃縮クエン酸ナトリウム緩衝剤が用いられた。また、ペプチド、タンパク質、その断片、及び/又はその類似体を含む溶液が窒素ガス室内で噴霧乾燥され、本乾燥粉末製剤は、pH4.5からpH6.5の範囲のpHで、このペプチド、タンパク質、その断片、及び/又はその類似体の混合物、クエン酸塩又は酒石酸塩、並びに、陽イオン塩を含み、この陽イオン塩は2価陽イオン塩である。

0016

実施形態としては、産後24時間以内に、オキシトシン、その類似体、又はその誘導体、クエン酸塩又は酒石酸塩、及び、亜鉛をはじめとする陽イオン源を含む組成の乾燥粉末製剤を、治療の必要な対象に、吸入により、投与することを含む、産後出血を治療するための方法が挙げられる。一実施形態では、本治療法は、出産直後に本明細書に記載の乾燥粉末製剤を一服以上投与することを含む。

0017

別の実施形態では、出産から24時間以内又はその直後に、オキシトシン、その類似体、又はその誘導体、クエン酸塩又は酒石酸塩、及び、亜鉛をはじめとする陽イオン源を含む乾燥粉末製剤を、産後出血を起こしやすい対象に投与することを含む、産後出血を防ぐための方法が開示される。

0018

本願明細書に記載の他の実施形態では、熱安定性且つ湿度安定性の製剤を製造する方法、並びに、この製剤を、吸入システムを用いる実施形態で、例えば、産後出血、自閉症社会不安障害気分障害、及び他のホルモン関連病をはじめとする、病気及び/又は障害の治療に用いる方法を開示する。ある例示的実施形態では、吸入システムは単回用量で用いるための高抵抗吸入器である。

0019

以下の図面により、本願明細書の記載の実施例のいくつかの態様をさらに例示する。本明細書に挙げたある実施形態の詳細な説明と合わせて、これらの図面を1つ又は複数参照すれば、本明細書の記載をより理解できるだろう。

図面の簡単な説明

0020

1%のオキシトシン、87%のトレハロース、10%のイソロイシン、及び10%のポリビニルピロリドンPVP)を含むアモルファス乾燥粉末製剤の実施形態の走査電子顕微鏡写真(低倍率)。
1%のオキシトシン、87%のトレハロース、10%のイソロイシン、及び10%のポリビニルピロリドン(PVP)を含むアモルファス乾燥粉末製剤の実施形態の走査電子顕微鏡写真(高倍率)。
図1Bと同様に高倍率で撮った対照粉末の走査電子顕微鏡写真。
高倍率で撮った、1%のオキシトシン、クエン酸塩、及び亜鉛塩を含むアモルファス乾燥粉末製剤実施形態の走査電子顕微鏡写真。図2B図2C図2Dでは、2価亜鉛塩及びクエン酸塩の含有量が異なる。
高倍率で撮った、1%のオキシトシン、クエン酸塩、及び亜鉛塩を含むアモルファス乾燥粉末製剤実施形態の走査電子顕微鏡写真。図2B図2C図2Dでは、2価亜鉛塩及びクエン酸塩の含有量が異なる。
高倍率で撮った、1%のオキシトシン、クエン酸塩、及び亜鉛塩を含むアモルファス乾燥粉末製剤実施形態の走査電子顕微鏡写真。図2B図2C図2Dでは、2価亜鉛塩及びクエン酸塩の含有量が異なる。
1%オキシトシンを含む乾燥粉末組成物実施形態について、40℃、相対湿度75%で、約11ヶ月間インキュベートしたときの安定性試験のデータを対照と比較して示したグラフ
乾燥粉末のX線回析試験のデータを示すグラフ。乾燥粉末のアモルファス成分が特徴的スキャンパターンにより示される。
2価亜鉛塩とクエン酸塩を種々の濃度で含む乾燥粉末サンプルの安定性試験の結果のグラフ。

実施例

0021

肺への薬物送達には利点が多い。しかし、均一な薬物体積及び重量で天然物理的バリアを越えて薬物を輸送することの難点、及び、薬物の物理的及び化学的性質のため、肺に薬物を送達することは困難である。本明細書は、クエン酸塩をはじめとする緩衝剤、1価又は2価の陽イオン、並びに、1種以上の医薬的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む熱安定性製剤を開示する。本明細書に記載の実施形態では、本乾燥粉末製剤が高温且つ高湿度で安定であり、このため本乾燥粉末製剤が従来の製剤では問題であった貯蔵や冷蔵の課題を容易にし克服することが示される。20℃を超える温度(及びもしあるなら湿度環境)で長期保存するための乾燥粉末組成物の製造方法も開示される。

0022

本明細書では、『マイクロ粒子』という用語は、正確な外部又は内部構造とは関係なく、約0.5から約1000μmの直径を有する粒子を指す。約0.5から約10ミクロンの間の直径を有するマイクロ粒子は、天然バリアの多くをうまく越えて、肺に届き得る。曲がり角を進むためには約10ミクロン未満の直径が必要であり、吐き出されることを避けるためには約0.5ミクロン以上の直径が必要である。最も効率的な吸収が期待される肺深部(又は肺胞領域)に到達するには、『吸入性画分』(respirable fraction、RF)に含まれる粒子の割合を最大化することが好ましく、こうした粒子は、文献毎に幾分範囲が異なるものの、標準法、例えば、アンダーセンカスケードインパクターを用いて測定して、約0.5から約6ミクロンの空気動力学径を有することが一般的に認められている。空気動力学的粒子サイズを測定するために他のインパクターを用いてもよく、NEXT GENERATIONIMPACTOR(商標)(NGI(商標)、MSP社)の場合、吸入性画分はよく似た空気動力学サイズ、例えば、6.4μm未満となる。いくつかの実施形態では、粒子サイズを求めるために、レーザー回折装置、例えば、2010年3月18日に出願された米国特許出願第12/727179号に開示のレーザー回折装置が用いられる。粒子の体積中央幾何学径(volumetric median geometric diameter、VMGD)を吸入システムの性能を評価することで測定するレーザー回析法に関する一連の教示について、当該出願の内容を参照により本明細書で援用する。例えば、種々の実施形態において、カートリッジ排出が80%以上、85%以上、又は90%以上で、放出される粒子のVMGDが12.5μm以下、7.0μm以下、又は4.8μm以下の場合、その順番で空気動力学的性能は良くなるだろう。

0023

本明細書では、『約』という用語は、その値を求めるために採用された機器又は方法による測定の標準誤差を含む値を示すために用いられる。

0024

充填毎吸入性画分(RF/fill)は、一服として使用するために充填された粉末内容物を排出した際に吸入器から放出される、呼吸に適した一服当たりの粉末百分率、即ち、肺送達に適したサイズで放出される充填用量由来の粒子の百分率を表しており、マイクロ粒子の空気動力学的性能のものさしとなる。本明細書では、RF/fill値が40%以上であることは空気動力学的性能特性が許容可能であることを表している。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、充填毎吸入性画分は50%より大きくてもよい。ある例示的実施形態では、充填毎吸入性画分は約80%までであり、標準法を用いて測定して5.8μm未満の粒子サイズで充填物の約80%が放出されてもよい。

0025

本明細書では、『乾燥粉末』という用語は、噴射剤又は他の液体中に懸濁も溶解もされていない微粒子組成物を指す。但し、これは必ずしも全ての水分子が完全に存在しないことを意味するわけではない。

0026

本明細書では、『アモルファス粉末』は、全非晶質粉末をはじめとする、明確な繰り返し形態、形状、又は構造を持たない乾燥粉末を指す。

0027

一実施形態では、乾燥粉末は、至適解凝集条件を要する比較的に凝集性の粉末である。一実施形態では、本吸入システムは、予め定量した用量の乾燥粉末製剤を含む単回使用カートリッジと組み合わせて用いる、再利用可能で小型の呼吸駆動(breath−powered)吸入器をもたらす。

0028

本明細書では、『単位用量吸入器』という用語は、乾燥粉末製剤を含む単一容器であって、吸入により該容器から使用者に単回用量の乾燥粉末製剤を送達する容器を受け入れるよう適合されている又は該容器を含む吸入器を指す。使用者に特定の用量を提供するため、複数回の単位用量が必要となる場合もある。一実施形態では、吸入器は、単回使用の使い捨て可能な又は単一単位用量容器を有する複数回使用の再利用可能な乾燥粉末吸入器である。

0029

本明細書では、『多用量(multiple dose)吸入器』という用語は、予め定量した用量の乾燥粉末薬剤をそれぞれ含む複数の容器を有する吸入器であって、吸入により常に単一用量薬剤粉末を送達する吸入器を指す。

0030

本明細書では、『容器』は、乾燥粉末製剤を保持又は含有するように構成された筐体、粉末含有筐体であり、蓋はあってもなくてもよい。この容器は、吸入器とは別に設けることもできるし、吸入器内に構造的に一体に(例えば、取り外しできないように)設けることもできる。さらに、容器は乾燥粉末で充填してもよい。カートリッジも容器を含み得る。

0031

本明細書では、『粉末集塊』は、幅、直径、長さなどについて不規則な形状を有する粉末粒子の塊又は凝集物を指す。

0032

本明細書では、『マイクロ粒子』という用語は、正確な外部又は内部構造とは関係なく、約0.5から約1000μmの直径を有する粒子を指す。しかし、肺送達のためには、10μm未満のマイクロ粒子が一般的に望ましく、特に、直径が約5.8μm未満の平均粒子サイズを有するものが望ましい。

0033

ある例示的実施形態では、熱分解を受け易いペプチド又はタンパク質を含む乾燥粉末製剤が提供される。特定の実施形態では、本乾燥粉末製剤は、オキシトシン、オキシトシン誘導体、又はオキシトシン類似体をはじめとするペプチドと、クエン酸ナトリウム及びクエン酸亜鉛をはじめとするクエン酸塩と、塩化亜鉛、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムをはじめとする2価塩と、単糖類二糖類オリゴ糖類などの糖から選ばれる1種以上の医薬的に許容可能な担体と、アミノ酸とを含み、該糖は、例えば、トレハロース、マンノースマンニトール、又はソルビトールであり、該担体は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、若しくは、フマリルジケトピペラジンスクシニルジケトピペラジン、マレイルジケトピペラジン、マロニルジケトピペラジン、及びオキサリルジケトピペラジンをはじめとするマイクロ粒子を形成する能力を持つジケトピペラジン、又は、その二ナトリウム若しくはマグネシウム塩、及び、その誘導体である。

0035

別の実施形態では、本製剤は、オキシトシン、インスリン、成長ホルモン、カルシトニン、グルカゴン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2、副甲状腺ホルモン(1−34)、又は副甲状腺ホルモン放出ホルモンオキシントモジュリンペプチドYYレプチンデオキシリボヌクレアーゼリボヌクレアーゼ、及び卵胞刺激ホルモンであるペプチドを含む。

0036

一実施形態では、本製剤は、1種以上のペプチド、イソロイシン、ロイシン、トリロイシン、シスチン、システイングリシン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、又はメチオニンである1種以上のアミノ酸、及びラクトース、マンニトール、マンノース、ソルビトール、トレハロースなどをはじめとする1種以上の糖を含む。この実施形態または別の実施形態では、担体は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、又は、ラクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、若しくはソルビトールをはじめとする、単糖類、オリゴ糖、若しくは多糖類、又はクエン酸亜鉛及び塩化亜鉛であり、製剤は、ペプチドを、約pH3.5から約pH7の範囲のpH、又は、pH4.5からpH6.5の範囲のpHを有する緩衝液に溶かして、噴霧乾燥処理により製造される。

0037

特定の実施形態では、本製剤は、約0.005IUから約40IU、1IUから約15IU、又は約5IUから約20IUの濃度でオキシトシンを含む。一実施形態では、オキシトシンは、出産後数分後に起きる産後出血を防ぐために、1回の吸入で、5から約40IUの範囲の量でオキシトシンを含む製剤として、患者に投与される。この実施形態では、製剤中に含まれ得るオキシトシン含量は、約0.1%(w/w)から約50%(w/w)、約0.5%(w/w)から約40%(w/w)、約0.5%(w/w)から約20%(w/w)、又は約1%(w/w)から約10%(w/w)の範囲である。いくつかの実施形態では、オキシトシンの量は、治療対象の必要に応じて、40IUを越え得る。

0038

一実施形態では、治療の必要な対象に、オキシトシンをはじめとするペプチド、クエン酸緩衝剤又は酒石酸緩衝剤、及び2価陽イオンが亜鉛である2価陽イオン塩を含む乾燥粉末製剤を含む製剤を含有するカートリッジを含む吸入器を含む吸入システムを提供することを含む、対象の血流に製剤を効率的に送達する方法が提供される。この実施形態および他の実施形態では、吸入システムは8μm未満の体積中央幾何学径(VMGD)を有する粒子を含む粉煙送り出す。ある例示的実施形態では、マイクロ粒子のVMGDは約4μmから6μの範囲であり得る。ある例示的実施形態では、粉末粒子のVMGDは、乾燥粉末が1mgから10mgの範囲で存在する充填集塊からなる製剤を1回吸入した際に、3μmから約6μmであり得る。この実施形態および他の実施形態では、吸入システムは、カートリッジから、40%を超える、又は、60%を超える乾燥粉末製剤を送り出す。

0039

さらなる実施形態では、本製剤は、オキシトシンを含むフマリルジケトピペラジン二ナトリウムのマイクロ粒子、クエン酸緩衝剤、塩化亜鉛、ロイシン、イソロイシン、トリロイシン、又はシスチンなどのアミノ酸、及びマンニトール若しくはトレハロース又はこれらの組み合わせを含むアモルファス乾燥粉末である。

0040

ある実施形態では、本製剤は、オキシトシンをはじめとする熱感受性ペプチドをはじめとするペプチドを含むアモルファス乾燥粉末を含み、該乾燥粉末は、クエン酸又は酢酸緩衝剤を含むpH4.5から6.5の範囲のpHに調整された溶液中でオキシトシンを混合し、乾燥前に、塩化亜鉛をはじめとする2価陽イオン塩と任意にトレハロース又はマンニトールなどの糖を添加することで形成される。

0041

特定の実施形態では、本製剤はオキシトシンを含むアモルファス乾燥粉末を含み、該乾燥粉末は、クエン酸塩及び/又はクエン酸を含む溶液中でオキシトシンを混合し、塩化亜鉛をはじめとする2価陽イオン塩と、任意にトレハロース又はマンニトールなどの糖と、さらに任意に1種以上の担体とを添加することで形成される。

0042

さらなる実施形態は、吸入器、単位用量乾燥粉末薬剤容器、並びに本明細書に記載の熱感受性ペプチド及びクエン酸亜鉛を含む乾燥粉末を含む薬物送達システムに関する。

0043

一実施形態は、オキシトシン、その誘導体、又はその類似体を含む製剤であって、約67m2/g未満の比表面積SSA)を有するフマリルジケトピペラジンのマイクロ粒子をはじめとするジケトピペラジンマイクロ粒子をさらに含む製剤を開示する。別の実施形態は、95%の信頼限界内で約35から約67m2/gの比表面積を有するジケトピペラジンマイクロ粒子を包含する。別の実施形態は、約35から約62m2/gの比表面積を有するジケトピペラジンマイクロ粒子を包含する。別の実施形態は、約40から約62m2/gの比表面積を有するジケトピペラジンマイクロ粒子を包含する。

0044

別の実施形態では、FDKPマイクロ粒子は薬物又は活性剤を含む。FDKPマイクロ粒子の種々の実施形態では、薬物は、例えば、オキシトシン、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、グルカゴン、エキセンジン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、オキシントモジュリン、これらの誘導体及び/又は類似体などをはじめとするペプチドであり得る。FDKPマイクロ粒子の別の実施形態では、ペプチド含量は下流の処理条件に応じて変わり得る。特定の実施例では、FDKPマイクロ粒子は、目標とする又は送達される用量に応じて変わり得る薬物/ペプチド含量を有するように製造できる。例えば、薬物がインスリンの場合、インスリン成分はマイクロ粒子を含む粉末製剤中に約3U/mgから約6U/mgの量で存在し得、亜鉛塩及びクエン酸塩は該粒子の形成前に溶液に添加され得る。特定の実施形態では、薬物は予め形成されたマイクロ粒子の表面に吸収される。

0045

さらなる実施形態は、吸入器、及び単位用量乾燥粉末薬剤容器、例えば、カートリッジを組み合わせて含み、並びに、本明細書に記載の乾燥粉末製剤及び活性剤を含む薬物送達システムに関する。一実施形態では、乾燥粉末とともに用いる送達システムは、粉末を解凝集させ分配するために空気導管を通る空気流に高抵抗を与える導管を有する高抵抗吸入器を含む吸入システムを含む。一実施形態では、吸入システムは、例えば、約0.065から約0.200(√kPa)/(リットル毎分)の抵抗値を有する。いくつかの実施形態では、ピーク吸入圧力差が約2から約20kPaの範囲であり得、結果として生じるピーク流量が約7から70リットル毎分となり得る吸入システムを用いた吸入により乾燥粉末は効率的に送達され得る。いくつかの実施形態では、吸入システムは、患者に送達される粉末の連続フローとして又は1回以上のパルスとして吸入器から粉末を排出することにより単回用量を提供するように構成されている。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、乾燥粉末吸入器システムは、吸入器内に所定のマスフローバランスを有する。例えば、吸入器を出て患者に入る合計フローの約10%から70%のフローバランスが1つ以上の分配口から送り出され、この空気フローは粉末製剤を含む区域を通り、約30%から90%の空気フローが吸入器の他の導管から生じる。さらに、マウスピースから出る前に、流動化した粉末を希釈加速、そして、最終的に解凝集させるため、バイパスフロー、又は、カートリッジなどを介して粉末容器の区域に出入りしないフローを、吸入器内の粉末分配口から出たフローと再結合させてもよい。一実施形態では、フローレートが約7から70リットル毎分だと、1mgから50mg又は1mgから30mgの充填塊(fill mass)として取り分けた容器含量又はカートリッジ含量の75%超となる。いくつかの実施形態では、上記の吸入システムは、単回吸入当たり40%を超える、50%を超える、60%を超える、又は70%を超える百分率の粉末用量の充填毎吸入性画分を放出し得る。

0046

特定の実施形態では、乾燥粉末吸入器及び乾燥粉末製剤を含む吸入システムが提供される。この吸入システムの実施形態のいくつかの態様では、乾燥粉末製剤は単位用量カートリッジで提供される。この代わりに、乾燥粉末製剤を吸入器に予め積載しておくこともできる。この実施形態では、吸入システムの構造配置は、吸入器の解凝集機構が50%を超える吸入性画分を生じさせることを可能とするものであり、換言すれば、吸入器(カートリッジ)に含まれる粉末の半分超が5.8μm未満の粒子として放出される。吸入器は、服用中に容器内に含まれる粉末薬剤の85%超を排出し得る。いくつかの実施形態では、吸入器は、単回吸入に含まれる粉末薬剤の85%超を排出し得る。一実施形態では、吸入器は、30mgまでの充填塊で、3秒未満、2から5kPaの圧力差で、カートリッジ含量又は容器含量の90%超を排出し得る。

0047

本明細書に記載の別の実施形態は、ジケトピペラジンマイクロ粒子をはじめとする担体粒子を含む乾燥粉末製剤としての肺投与に適したマイクロ粒子を製造する方法を含む。この実施形態および他の実施形態では、乾燥粉末製剤は、ペプチドを含む溶液を噴霧乾燥することにより得られる。このとき、亜鉛塩及びクエン酸塩を含む水溶液中で1種以上の賦形剤が溶解及び混合され、次に、その量のペプチドを混ぜながら添加して供給液を形成し、溶液のフローを乾燥用窒素ガスフロー中に約120℃から150℃の入口温度及び約60℃から65℃、50℃から75℃、又は40℃から85℃などの出口温度噴霧する。

0048

いくつかの実施形態では、2,5−ジケト−3,6−ビス(N−X−4−アミノブチルピペラジン二ナトリウム塩又はマグネシウム塩(但し、Xは、フマリル、スクシニル、マレイル、及びグルタリルからなる群より選択される)という式を有するジケトピペラジンを用いて、約67m2/g未満の比表面積及び/又は約45%から65%のトランス異性体比率を有するジケトピペラジンマイクロ粒子を製造する方法が開示される。ある例示的実施形態では、ジケトピペラジンは、(ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケトピペラジン又は2,5−ジケト−3,6−ビス(N−フマリル−4−アミノブチル)ピペラジンという式を有する。

0049

本明細書に記載の別の実施形態は、薬物、例えば、インスリンなどのペプチドを、それを必要とする患者に、送達する方法であって、患者による乾燥粉末の吸引により乾燥粉末を肺深部に投与することを含み、該乾燥粉末は、インスリンを含むジケトピペラジンマイクロ粒子、亜鉛塩、及びクエン酸塩を含み、該マイクロ粒子は、ジケトピペラジンから形成され、且つ、約35から約67m2/g若しくは約40から約67m2/gの範囲の比表面積及び/又は約45%から約65%の範囲のトランス異性体含量を有する方法を含む。この実施形態の態様では、吸入器システムのいくつかの特徴が特定される。さらなる実施形態は、上述の乾燥粉末をそれを必要とする人に投与することを含むインスリン関連疾患の治療法を含む。種々の実施形態では、インスリン関連疾患は、前糖尿病1型糖尿病ハネムーン期、後ハネムーン期(post−honeymoon phase)、又は両方)、2型糖尿病、妊娠糖尿病低血糖高血糖インスリン耐性分泌機能障害、インスリン初期放出障害、膵臓β細胞機能の喪失、膵臓β細胞の喪失、及び代謝性疾患のうちいずれか又は全てを特に含み又は含まないものであり得る。

0050

一実施形態は、オキシトシンやGLP−1などをはじめとするペプチドホルモン、クエン酸塩、2価陽イオン塩を含む乾燥粉末製剤を、それを必要とする人に投与することを含む、内分泌関連の病気又は疾患を治療するための方法を含む。一実施形態では、本乾燥粉末製剤は、約67m2/g未満の比表面積を有し、上述の病気又は疾患の治療に適した薬物を含むFDKP二ナトリウムマイクロ粒子又はFDKPマイクロ粒子を含み得る。さらなる実施形態は、上述の、FDKP二ナトリウム又はFDKPのマイクロ粒子、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、又は酒石酸緩衝剤、亜鉛、マグネシウム、及びカルシウムをはじめとする2価陽イオン又はナトリウム、カリウム、及びリチウムをはじめとする1価陽イオンを含む乾燥粉末をそれを必要とする人に投与することを含むインスリン関連疾患の治療法を含む。本方法は、対象に乾燥粉末製剤を投与することを含み得る。種々の実施形態では、産後出血などのホルモン関連疾患又はその他のオキシトシン関連病が、オキシトシンを含む本製剤を用いて治療され得る。インスリン関連疾患が治療対象である実施形態では、本製剤はインスリンを含み、治療対象は、前糖尿病、1型糖尿病(ハネムーン期、後ハネムーン期(post−honeymoon phase)、又は両方)、2型糖尿病、妊娠糖尿病、低血糖、高血糖、インスリン耐性、分泌機能障害、インスリン初期放出障害、膵臓β細胞機能の喪失、膵臓β細胞の喪失、及び代謝性疾患のうちいずれか又は全てを特に含み又は含まないものであり得る。一実施形態では、乾燥粉末はインスリンを含む。別の実施形態では、乾燥粉末は、グルカゴン、エキセンジン、又はGLP−1、PTH、PTHrP、その組み合わせなどを含む。

0051

この実施形態では、特定のRF/fill値は粉末を送り出すために用いられる吸入器に依存し得る。粉末は一般的に凝集する傾向があるが、結晶DKPマイクロ粒子は特に凝集性の粉体を形成する。乾燥粉末吸入器の機能のひとつは、粉末を解凝集して、結果として生じた粒子が吸入によりある用量を送り出すのに適した吸入性画分を含むようにすることである。しかし、凝集性粉体の解凝集は、大体の場合、不完全であり、吸入器により送り出される吸入性画分を測定するときにみられる粒子サイズ分布は、一次粒子サイズ分布とは一致せず、即ち、プロファイル大粒子側にシフトする。吸入器の設計はそれぞれ解凝集効率が異なるので、異なる設計を用いて観測したRF/fillの絶対値も異なる。しかし、比表面積に応じた至適RF/fillは吸入器毎に同様である。

0052

薬物の不安定性及び/又は乏しい吸収性などの医薬分野での諸問題を克服するために用いられてきた薬物送達剤一種として、2,5−ジケトピペラジン類が挙げられる。2,5−ジケトピペラジン類は、薬物を包含するマイクロ粒子、又は、薬物を吸収し得るマイクロ粒子に加工し得る。薬物とジケトピペラジンの組み合わせは、改善された薬物安定性及び/又は吸収特性をもたらし得る。こうしたマイクロ粒子は様々な投与経路で投与できる。乾燥粉末として、これらのマイクロ粒子は、肺をはじめとする呼吸器系の特定区域に吸入により送達され得る。

0053

こうしたマイクロ粒子は、典型的には、pHに基づく遊離酸(又は塩基)の沈殿により凝集した結晶板からなる自己集合マイクロ粒子を作ることで得られる。粒子の安定性は、該粒子を沈殿させるDKP溶液中にポリソルベート80などの界面活性剤を少量加えることで改善できる(例えば、発明の名称を『Method of drug formulation based on increasing the affinity of crystalline microparticle surfaces for active agents』とする、米国特許出願公開第2007/0059373号明細書を参照のこと。DKPマイクロ粒子及びその乾燥粉末の形成と積載量に関して、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する)。最終的に、乾燥粉末を得るため、溶媒は除去され得る。適切な溶媒除去法としては、凍結乾燥及び噴霧乾燥が挙げられる(例えば、発明の名称を『A method for improving the pharmaceutic properties of microparticles comprising diketopiperazine and an active agent』とする、米国特許出願公開第2007/0196503号明細書、及び、発明の名称を『Purification and stabilization of peptide and protein pharmaceutical agents』とする、米国特許第6444226号明細書を参照のこと。DKPマイクロ粒子及びその乾燥粉末の形成と積載量に関して、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する)。本明細書に記載のマイクロ粒子は、DKP遊離酸若しくは塩基から、又は、DKP塩から構成され得る。こうした粒子は、典型的には、噴霧乾燥により(乾燥ではなく)形成され、化学的、物理的、及び形態学的に別個の物となるような(遊離酸や塩基ではなく)アモルファス塩の球体及び/又は崩壊性球体(collapsed spheres)が得られる。実施形態において、本明細書は遊離酸又は溶存陰イオンとしてFDKPを参照する。この実施形態では、例示的実施形態として、米国特許第7820676号明細書及び米国特許第8278308号明細書で開示又は意図されるFDKPの二ナトリウム塩、又は、FDKP二ナトリウム塩が挙げられる。これらの明細書の内容を参照により本明細書で援用する。

0054

ジケトピペラジンの合成法は、例えば、Katchalski等、J. Amer. Chem. Soc.、68巻、879−880頁、1946年刊、及びKopple等、J. Org. Chem.、33巻、第2号、862−864頁、1968年刊に開示されている。ジケトピペラジンの合成について、これらの文書の内容を参照により本明細書で援用する。2,5−ジケト−3,6−ジ(アミノブチル)ピペラジン(Katchalski等の文献ではリシン無水物(lysine anhydride)と呼称している)は、コッペル法と同様に、溶融フェノール中でN−ε−P−L−リシンを環状二量体化し、次に、適切な試薬と条件で保護(P)基を除去するによっても製造できる。例えば、CBz保護基は酢酸中で4.3MのHBrを用いて除去できる。この合成経路は、市販の出発材料を用いており、生成物中での出発材料の立体化学が維持されることが報告されている反応条件を伴い、全ての工程が大量生産のために容易に規模を拡大できるため、好ましいものであり得る。ジケトピペラジンの合成法は、発明の名称を『Catalysis of Diketopiperazine Synthesis』とする、米国特許第7709639号明細書にも記載されている。ジケトピペラジンの合成法について、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。

0055

フマリルジケトピペラジン(ビス−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジン;FDKP)は、肺投与に適したジケトピペラジンのひとつである。

0056

酸への溶解性が低く、中性又は塩基性pHで容易に溶解するため、FDKPは有益なマイクロ粒子マトリックスをもたらす。こうした特性により、酸性条件下で、FDKPが結晶化し、この結晶が自己集合してマイクロ粒子を形成することが可能となる。この粒子はpHが中性である生理学的条件下では容易に溶解する。既述のとおり、約0.5から約10ミクロンの間の直径を有するマイクロ粒子は、天然バリアの多くをうまく越えて、肺に届き得る。このサイズ範囲の粒子はFDKPから容易に製造できる。

0057

既述のとおり、約0.5から約10ミクロンの間の直径を有するマイクロ粒子は、天然バリアの多くをうまく越えて、肺に届き得る。このサイズ範囲の粒子は、FDKP(及び、2,5−ジケト−3,6−ジ(4−X−アミノブチル)ピペラジン(但し、Xはスクシニル、グルタリル、又はマレイル)などの関連分子)中のカルボキシレート基などの酸性基を有するジケトピペラジンから容易に製造できる。酸沈殿により結晶板の凝集物から構成される自己集合粒子が得られる。この板のサイズは、粒子の比表面積に関連しており、そして、比表面積は、粒子の構造、積載能力、及び空気動力学的性能への影響に関与している。

0058

DKPマイクロ粒子の比表面積は、平均結晶サイズのものさしであり、結晶核形成成長からマイクロ粒子の特性への相対的寄与を測るために用いることができる。比表面積は、マイクロ粒子結晶のサイズとマイクロ粒子マトリックスの密度(ρ)に依存し、結晶の特徴的サイズLに反比例する。本明細書に記載の実施形態は、約67m2/g未満の比表面積を有するマイクロ粒子が、発明の名称を『Unit Dose Cartridge and Dry Powder Inhaler』とする、米国特許第7464706号明細書に記載のMEDTONE(登録商標)などの中程度に効率的な吸入器を用いた場合の改善された空気動力学的性能などの肺への薬物送達に有益な特性を示すことを示している。当該吸入器について、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。約62m2/g未満の比表面積を有する別の実施形態は、一群の粒子が最小空気動力学的性能基準を満たすことをより高い水準保証する。また、比表面積は薬物の積載/含量限度に影響し、種々の実施形態では、薬物吸収容量を改善するために、35、40、又は45m2/g以上の表面積が必要とされる。さらに、比表面積が約35m2/gを下回ると、高効率の吸入器でもカートリッジ排出量が不揃いになること観察される。こうした吸入器としては、2009年6月12日に出願された、発明の名称『A Dry Powder Inhaler and System for Drug Delivery』米国特許出願第12/484125号(米国特許第8499757号明細書)、2010年3月4日に出願された、発明の名称を『Improved Dry Powder Drug Delivery System』とする、米国特許出願第12/717884号(米国特許第8485180号明細書)に記載のものが挙げられる。これらについて、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。

0059

(FDKPマイクロ粒子形成)
FDKPマイクロ粒子の製造の最初の工程は、FDKPのpH誘導結晶化及びFDKP結晶の自己集合により全体として球状の形態を有するマイクロ粒子を形成する工程である(図2)。従って、マイクロ粒子の製造は実質的に結晶化処理である。過剰の溶媒は、遠心デカンテーション再懸濁を繰り返して懸濁液を洗うこと、又は、透析濾過をすることで除去できる。

0060

一実施形態では、ペプチド積載FDKPマイクロ粒子を形成するため、例えば、インスリン原液をクエン酸緩衝剤を含むFDKPマイクロ粒子懸濁液中に添加することで、インスリンを懸濁液中にある(即ち、凍結乾燥前の)マイクロ粒子上に直接吸収させることができる。実施形態では、インスリン原液を添加した後にpH調整工程を行うこともできる。この工程は、続く処理の前に懸濁液中のマイクロ粒子上へのインスリンの吸収を促進し得る。懸濁液のpHを約4.5に上げると、粒子マトリックスからのFDKPの過剰な溶解なく懸濁液中のマイクロ粒子上へのインスリンの完全吸収が促進され、また、バル薬物製品でのインスリンの安定性が改善される。懸濁液は、溶媒を除去し乾燥粉末を得るため、液体窒素中で滴下しながら瞬間冷凍され(即ち、冷凍ペレット化(cryo−pelletized)され)、凍結乾燥され得る。別の実施形態では、懸濁液は、乾燥粉末を得るため、噴霧乾燥され得る。

0061

一実施形態では、インスリンを含む本FDKPマイクロ粒子を作るための製造方法が提供される。簡単に説明すれと、デュアルフィードのSONOLATOR(商標)などの高剪断力ミキサーを0.001−in2のオリフィスを通して2000psiで用いて、又は、例えば、2009年11月2日に出願された米国仮出願第61/257311に記載の高剪断力ミキサーを用いて、等しい質量の約10.5wt%酢酸及び約2.5wt%FDKP溶液を約16℃±約2℃で0.001−in2のオリフィスを通して2000psiで供給することができる。沈殿物は、およそ同質量で同温度の脱イオン(DI)水容器に集めることができる。こうしてできた懸濁液は約0.8%の固形分を含む。沈殿物は、接線流濾過により、濃縮洗浄できる。沈殿物は、最初に約4%の固形分となるまで濃縮し、その後、脱イオン水で洗浄できる。懸濁液は、最終的に、FDKPの初期質量に基づいて約10%の固形分にまで濃縮できる。濃縮した懸濁液は、オーブン乾燥法により、固形分含量を定量できる。この実施形態では、懸濁液中のFDKPマイクロ粒子は、インスリンを含む亜鉛及びクエン酸溶液とホモゲナイズされて粉末粒子を形成した後に、噴霧乾燥又は凍結乾燥される。

0062

本明細書に記載のマイクロ粒子は1種以上の活性剤を含み得る。本明細書では、『活性剤』は、『薬物』と互換可能に用いられ、小分子調合薬、生物学的製剤、及び生物活性剤をはじめとする医薬物質を指す。活性剤は、天然由来組み換え、又は合成由来でもよく、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、有機高分子、合成有機化合物、多糖類及び他の糖類、脂肪酸、脂質、並びにこれらの抗体及び断片を挙げることができ、限定されるわけではないものの、抗体及び断片としては、ヒト化若しくはキメラ抗体、F(ab)、F(ab)2、単独若しくは他のポリペプチド又は治療薬と融合した単鎖抗体、又はがん抗原に対する診断用モノクローナル抗体が挙げられる。活性剤は、血管作用剤神経活性剤、ホルモン、抗凝固剤免疫抑制剤細胞毒性剤抗生物質抗ウィルス剤、抗原、感染病原体炎症メディエーター、ホルモン、及び細胞表面抗原など、様々な生理学的活性及び分類に基づいて分けることができる。より具体的には、活性剤としては、これらに限定されるわけではないものの、サイトカインリポイン、エンケファリン、アルキンシクロスポリン、抗IL−8抗体、ABX−IL−8をはじめとするIL−8アンタゴニストPG−12をはじめとするプロスタグランジン、LY29311、BIIL284、及びCP105696をはじめとするLT受容体ブロッカースマトリプタン及びパルミトレートなどのトリプタン、インスリン及びその類似体、成長ホルモン及びその類似体、副甲状腺ホルモン(PTH)及びその類似体、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、グレリン、オベスタチンエンテロスタチン顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GMCSF)、アミリン、アミリン類似体、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、Texas Red、クロピドグレル、PPACK(D−フェニルアラニル−L−プロリル−L−アルギニンクロロメチルケトン)、オキシントモジュリン(OXM)、ペプチドYY(3−36) (PYY)、アディポネクチンコレシストキニン(CCK)、セクレチンガストリン、グルカゴン、モチリン、ソマトスタチン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、IGF−1、成長ホルモン放出因子GHRF)、インテグリンβ−4前駆体(ITB4)受容体アンタゴニストノシセプチン、ノシスタチンオルファニンFQ2、カルシトニン、CGRP、アンギオテンシン、サブスタンスPニューロキニンA、膵臓ポリペプチドニューロペプチドYデルタ睡眠誘発ペプチド、及び血管作動性ペプチドが挙げられる。

0063

送達すべき薬物含量は、対象の要求と薬物の効能に依存する。いくつかの実施形態では、45%から65%の間のトランス異性体含量を有するFDKPから形成されたマイクロ粒子が用いられ、典型的には、0.01%より多い。一実施形態では、上述のトランス異性体含量を有するマイクロ粒子により送達すべき薬物含量は、インスリンなどのペプチドにとっては典型的だが、約0.01%から約20%の範囲であり得る。例えば、薬物がインスリンの場合、本発明のマイクロ粒子は典型的には3−6U/mg(約10から15%)のインスリンを含む。いくつかの実施形態では、粒子の薬物含量は、送達すべき薬物のフォームとサイズに応じて変わり得る。

0064

送達すべき薬物の積載量の範囲は、典型的には、送達すべき薬物のフォームとサイズ及び必要とされた服用量の効能に応じて、約0.01%から約90%の間である。オキシトシンの場合、好ましい積載量は約0.5%から約50%(w/w)、又は、約0.5%(w/w)から約20%(w/w)である。

0065

本明細書に記載のDKPマイクロ粒子は、それが必要とされる異性体含量を保持する限り、肺送達及び/又は薬物吸収に有益な他の付加的な特性を有し得る。発明の名称を『Method for Drug Delivery to the Pulmonary System』とする、米国特許第6428771号明細書はDKP粒子の肺送達を開示しており、当該内容について当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。発明の名称を『Purification and Stabilization of Peptide and Protein Pharmaceutical Agents』とする、米国特許第6444226号明細書は薬物をマイクロ粒子表面上に吸収させる有益な方法を開示しており、当該内容について当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。発明の名称を『Method of Drug Formulation based on Increasing the Affinity of Crystalline Microparticle Surfaces for Active Agents』とする米国特許出願第11/532063号明細書(米国特許第7799344号明細書)に記載さているように、マイクロ粒子の表面性質は望ましい特性となるよう操作できる。この点について、当該明細書の内容を参照により本明細書で援用する。発明の名称を『Method of Drug Formation based on Increasing the Affinity of Active Agents for Crystalline Microparticle Surfaces』とする、米国特許出願第11/532065号明細書は、活性剤のマイクロ粒子上への吸収を促進するための方法を開示する。この点について、米国特許出願第11/532065号明細書(米国特許第7803404号明細書)の内容を参照により本明細書で援用する。

0066

(実施例)
以下の実施例は本明細書に記載のマイクロ粒子の実施形態を例示するためのものに過ぎない。当業者であれば、発明者が発見した技術を示す以下の実施例の技術が、本明細書の開示の実践に十分なものであり、好ましい実施態様をなし得ることを理解できるだろう。しかし、当業者であれば、本開示に基づいて、明細書に記載の特定の実施形態には種々の変更が可能であり、そうした変更によっても同等又は類似の結果が得られることを理解できるだろう。

0067

(実施例1)
(オキシトシン噴霧乾燥粉末の調製、特性解析、及び安定性)
1%(w/w)オキシトシンを含み、以下の表1に示すような様々な製造元から入手した、緩衝剤、塩類、担体、トレハロースをはじめとする賦形剤、PVP、イソロイシン、シスチン、トリロイシン、FDKP、クエン酸ナトリウム、及びクエン酸塩を異なる量含む14種の粉末を、以下の表2に示すように7gスケールで調製した。サンプルは、表2に記載の必要量を計り、脱イオン水に溶かして溶液又は懸濁液を形成し、噴霧乾燥前にオキシトシンを添加し混ぜた。クエン酸緩衝剤及び2価陽イオンを用いるサンプルでは、混合物中に残余の成分を添加する前に、オキシトシンをクエン酸緩衝剤中に溶かした。次に、溶液又は懸濁液を、以下の表3に記載のパラメータを用いて噴霧乾燥した。懸濁液は、噴霧乾燥前に、高剪断力ミキサーでホモゲナイズした。溶液は、噴霧乾燥前に、0.2μm膜を通して濾過した。

0068

乾燥粉末を集め以下に記載の実験に用いた。得られた粉末の特性を解析するため種々の技法を用いて実験を行った。例えば、収量、乾燥減量(loss on drying;LOD)、空気動力学的性能、粒子サイズ、及び粒子形態を決定するため、インキュベーション前後の種々のサンプルのオキシトシン含量を測定した。安定性試験は、製造した各乾燥粉末サンプルからのアリコットを用い、それを、40℃、相対湿度75%(40℃/75%RH)で、フルオロポリマー樹脂裏打ちされたスクリューキャップで封じたシンチレーション瓶中でインキュペートした。試験時間中、シンチレーション瓶は熱で封止したアルミニウム包装内に配置した。実験開始後約7ヶ月までの間にインキュベートした材料のサンプルを数回採取した。サンプルを高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)法(以下に記載のプリパレーションを参照)で調べ、サンプル及び分解製品中でのオキシトシンの存在量を計った。表2のサンプルID番号4、6、及び13をはじめとするいくつかの粉末について、オキシトシン安定性試験を11ヶ月まで行った。

0069

0070

0071

1%の目標オキシトシン含量で噴霧乾燥粉末を調製した。製剤含量の詳細を表2に示す。サンプルID番号1から6の対照製剤では、重量比で87:10:2の割合でトレハロース、イソロイシン、及びPVPを含む混合物が、マトリックスとしてはたらいた。この混合物に亜鉛及びクエン酸ナトリウムを添加した。クエン酸塩の量は、オキシトシン1モル当たり100から20当量まで(合計重量で24から4.8%まで)異なっていた。亜鉛塩の量は、オキシトシン1モル当たり50から10当量まで(合計重量で6.7から1.3%まで)異なっていた。クエン酸源として、濃縮クエン酸ナトリウム緩衝剤(75mM、pH4.5及び6.5)を用いた。

0072

供給液の固形分含量は5%で一定に保った。供給液は噴霧乾燥前に濾過した。FDKPを含む製剤のひとつはってみえたので濾過しなかった(サンプルID番号7)。トリロイシン、シスチン、及びクエン酸亜鉛を含む混合物(サンプルID番号11、12、及び13)はホモゲナイゼーションを必要とし、その結果できた懸濁液を噴霧乾燥処理の間撹拌し続けた。クエン酸亜鉛とクエン酸緩衝剤を含む懸濁液を、供給液として調製し、高剪断力撹拌(Tissumizer homogenizer)でホモゲナイズした。オキシトシン及び他の賦形剤を含む第2の水溶液を懸濁液に添加し、最終重量を脱イオン水で140gに調整した。

0073

0074

オキシトシン安定性試験の結果を以下の表4に示す。データは、用いた材料の最初の量に対するサンプル中に残存するオキシトシンの百分率(%)で示した。表4及び図3からわかるように、試験した3種の粉末製剤(サンプルID番号4、6、及び13)は、インキュベーションを32週間続けた後に定量して、オキシトシンの約90%超を維持していた。クエン酸ナトリウム及び亜鉛塩の組み合わせは、固体又は乾燥粉末の形態で最も高い安定性を示した(オキシトシンよりも分解性が低かった)(約100%、サンプル番号6)。また、クエン酸ナトリウム及び亜鉛の添加は、用いた粉末の充填毎吸入性画分(Rf/fill)を改善し、12%(w/w)クエン酸ナトリウム、3.4%(w/w)の塩化亜鉛、73.5%のトレハロース、8.4%(w/w)のイソロイシン、及び1.69%(w/w)のPVPを含む粉末で、最大RF/fillである60.2%を示した。亜鉛及びクエン酸塩無しで製剤化した対照粉末(サンプルID番号1)は、40.9%のRF/fillを有しているものの、そのオキシトシン分解速度は、インキュベーションを32週間続けた後で、サンプル中にオキシトシンがわずか51.6%しか残っていないほど急速であった。

0075

サンプル対照粉末の走査電子顕微鏡写真(SEM)を調べた。これを図1A(低倍率)及び図1B(高倍率)に示す。SEMは、規則的な形状で、実質的に球状の粒子を示しており、この粒子は、サイズが実質的に均一であり、表面に微小くぼみを有し、典型的なアモルファス粉末にみえる。

0076

0077

(乾燥粉末の特性解析:LOD、RF/fill、SEM、及びオキシトシンアッセイ
乾燥減量(LOD)は、加熱保温法(20℃/分、110℃等温線30分)を用いた熱重量分析(TGA)により測定した。得られた粉末は、平均収率73.8%、最小LOD4.63%であった。

0078

噴霧乾燥粉末の空気動力学的性能は、Gen2C吸入器(30Lpm、8秒、マンインド社)を用いたアンダーセンカスケードインパクション法により測定した。結果を表5に示す。幾何学粒子サイズは、Sympatec社のRODOS/M粉末分散器を0.5バール及び3バールの分散圧力で用いたレーザー回析法により求めた。粒子形態を電界放出型走査電子顕微鏡により評価した。表5において、粒子が、0.5バール及び3バールの試験大気圧で約3.8から5.6μmの範囲のサイズと、約40から約60%の%RF/fillを有していたことを示す。表5に示すように、クエン酸塩及び亜鉛を含むサンプル(サンプルID番号2、3、及び4)は、カートリッジ排出のデータ(>70%)で示されるように最高の性能を示し、56%から60%の用量を放出した。粉末の密度は、タップ密度測定器(Autotap)を用いて、3000タップ後に、評価した。バルク粉末密度は、塩含量に関係なく、0.5g/mlを超えなかった。

0079

オキシトシン含量はHPLC法を用いて評価した。オキシトシン標準液は、pH9.5の0.1M重炭酸ナトリウム溶液中、約250μg/mL(25.0mL中にオキシトシン原材料が6.25mg)で調製した。粉末は、最終オキシトシン濃度が0.250mg/mLとなるよう、pH9.5の0.1M重炭酸ナトリウム溶液中に10±1.0mg溶かして調製した。初期薬物含量を定量し、出発材料の確認を行った。粉末は1%の目標薬物含量で調製し、オキシトシン含量が0.92から1.13%の間であることを定量して確かめた。

0080

粉末形態のオキシトシンの安定性)
粉末は、20mLガラス瓶量り取り、蓋を閉めた後、ホイル包装し、加熱密封した。ホイル包装は、40℃/75%RHで、安定室に置いた。サンプルは、2週及び4週目抜き取り、その後は、インキュベーション後32週まで4週間毎に抜き取った。サンプルは、上述のようにHPLCで定量するまで、凍結保存した(−20℃)。

0081

0082

(空気動力学的性能、粒子サイズ、及び形態)
選択粉末での空気動力学的試験により、クエン酸ナトリウムと亜鉛をトレハロース、イソロイシン、及びPVPと組み合わせた場合の有益な効果が浮き彫りとなった。この効果は、クエン酸塩及び亜鉛の含量がそれぞれ4.8%及び1.3%程度でも観察された(表5のサンプルID番号4)。最大効果(60.3%RF/fill)は、クエン酸塩含量が12%且つ亜鉛が3.4%の場合に、観察された。クエン酸塩と亜鉛の量をこの2倍にして調整した粉末サンプルID番号2は59.1%のRF/fillを示した。サンプル粉末ID番号2及び4は共に、吸入器で試したところ、元の含量の約77%が吸入器から送り出された。トレハロース、イソロイシン、及びPVP(87:10:2)を製剤化した対照粉末(サンプルID番号1)のRF/fillは40.9%であり、亜鉛とクエン酸塩を含むサンプルよりもレートが低かった。

0083

粒子の形態を走査電子顕微鏡により調べたところ、トレハロース、PVP、及びイソロイシンを含む対照製剤(サンプルID番号1)を噴霧乾燥すると、ロイシン含有粉末に特徴的な若干波打った球状粒子ができることがわかった(図2A)。波打った実質的に球状の形態は、トレハロース、PVP、イソロイシンを含む混合物に塩類(亜鉛及びクエン酸塩)を添加しても維持された(図2B図2C、及び図2D)。しかし、亜鉛及びクエン酸塩を含む粒子は、対照群とは、若干だがより波打って、より球状から離れているように見える点で異なる。SEMに示されるように、亜鉛及び/又はクエン酸塩を用いて形成された粒子は、実質的に球状の見た目をしており、若干だがくぼみがより深く、波打った表面又はシワがよった外観をしており、パターン規則性はより低い。オキシトシン、亜鉛、及びクエン酸塩を含む粒子は、製造過程で、特に、真空乾燥工程で、対照群よりも、脆く、崩れやすいようにみえることが観察された。

0084

図4は、乾燥粉末をX線回析で調べて得られた、粉末のアモルファス成分をその特徴的スキャンパターンにより示すデータのグラフである。このデータは、X線回析解析により、図4に描かれたデータスキャンで示された内容では、噴霧乾燥粉末の全てが、均一なアモルファスにみえることが確認されたことを示している。

0085

また、このデータは、クエン酸塩/亜鉛を、FDKP(サンプルID番号7)(19.5% w/w)、トレハロース(38.4% w/w)、及びイソロイシン(6.5% w/w)に添加することで、クエン酸及び亜鉛を有しない粉末よりも優れた性質(42%RF/fill)を持つ粉末ができたことを示している。クエン酸塩を含む粉末では、クエン酸塩/亜鉛なしで製剤化された粉末(25.6%RF/fill、78.4%CE)よりも、RF/fillが17%改善していた。

0086

本発明の粉末は、その平均幾何学粒子サイズが0.5バールと3バールのRODS分散圧力で同様であることから、過剰な凝集性を示さなかったといえる。その平均値は、0.5及び3バールで、それぞれ、4.34及び4.18μmであった。

0087

表5のデータは粉末の空気動力学的性能を示す。表5は、クエン酸塩及び亜鉛を含む粉末は高吸入性画分(>70%)を示し、いくつかの場合で、カートリッジ排出のデータは90%を超えていたことを示す(データは示さず)。自動補正気道モデルでのサンプル試験は、粉末を含む吸入器の用量の約73%が肺に送り出されることを示す。

0088

(オキシトシン安定性試験)
データによれば、調整した14種の粉末のうち3種が、40℃/75%RHでインキュベーションして32週間後で、元の合計オキシトシン含量の89%を維持していたことが示された(表4)。最も安定な粉末では、分解速度は、4週間までが最も高く、その後、頭打ちとなると考えられる。(図3)。この早発的分解はおそらく粉末中の残水量が中程度から高程度であるためである。最も安定な粉末は、pH6.5クエン酸緩衝剤及び亜鉛2価陽イオン源として塩化亜鉛を用いて調製した。全体として、クエン酸塩及び亜鉛塩の両方の存在下で調製した粉末は高い安定性を示した。この組み合わせの安定効果低塩含量でも観察された(サンプルID番号1対サンプルID番号2、3、4)。『非緩衝』製剤では、FDKP二ナトリウムの添加又はイソロイシンからトリロイシン又はシスチンへの置換により、粉末の安定性が向上した。

0089

(実施例2)
代替的実施形態に係るオキシトシン噴霧乾燥粉末の製造、特性解析、及び安定性)
オキシトシン噴霧乾燥粉末の調製は上記の実施例1と同様に行った。本実施形態では、1%(w/w)のオキシトシンを含み、以下の表6に示すような様々な製造元から入手した、緩衝剤、塩、担体、トレハロースをはじめとする賦形剤、PVP、イソロイシン、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸、亜鉛塩を異なる量含む14種の粉末を、以下の表1に示すように2.5gスケールで調整した。以下の実験では、AlfaAesarから入手したL−(+)−酒石酸及びL−(+)−酒石酸ナトリウム二水和物を使用した。実施例1とは異なり、クエン酸ナトリウム及びクエン酸のバルク固形物をクエン酸ナトリウム源として用いた。1%(w/w)のオキシトシンを含むサンプルを実施例1と同様に作り、その後、溶液及び懸濁液を以下の表6に記載のパラメータを用いて噴霧乾燥した。

0090

乾燥粉末を集め以下に記載の実験に用いた。サンプルID番号14から28で特定される粉末は、平均収率76.7%、最小乾燥減量(LOD)5.73%(カールフィッシャー滴定により測定)であった。ID番号14から28の粉末は、真空ポンプ下で追加の乾燥工程に回され、結果、最小LODは2.90%となった。

0091

1%の目標オキシトシン含量を含む噴霧乾燥粉末を定量し、オキシトシン値が0.87から1.01%の範囲にあることを確認した。調整した製剤の成分の詳細を表7に示す。表7は製造試験した各サンプルの含量を示している。いくつかの実施形態では、重量比で87:10:2の割合でトレハロース、イソロイシン、及びPVPを含む混合物が、サンプルID番号20及び21を除く全ての製剤のマトリックスとしてはたらいた。この混合物に、クエン酸ナトリウム、クエン酸、及び亜鉛を添加した。クエン酸塩の量は、オキシトシン1モル当たり100から50当量まで(合計重量で29.2から14.6%まで)で異なっていた。亜鉛塩の量は、オキシトシン1モル当たり50から5当量まで(合計重量で30.3から0.7%まで)で異なっていた。いくつかの実施形態では、塩化亜鉛単独使用(サンプルID番号22)でも粉末の安定性が改善することに裏付けられるように、亜鉛陽イオンが組成物の特性に重要であると考えられる。

0092

0093

0094

(乾燥粉末の空気動力学的性能)
噴霧乾燥粉末の空気動力学的性能は、Gen2C吸入器(21.6Lpm、4秒、マンカインド社)を用いたアンダーセンカスケードインパクション法により測定した。結果を表8に示す。高い%Rf/fill(>50%)が、低いピーク呼気圧下でも、観察された。表8のデータは、%RF/fillが約20から約60%の範囲であり、全含量のカートリッジ排出が77%まで(サンプルID番号22)であったことを示す。クエン酸亜鉛、塩化亜鉛を含み、さらに、PVPを任意で含む粉末で、最も高い%RF/fillが得られた。表8からわかるように、イソロイシンの添加により%RF/fillは改善した(サンプルID番号14及び20)。クエン酸亜鉛又は塩化亜鉛を単独で含むサンプル(サンプルID番号22、23、及び24)は、約50から60%の高い%RF/fillと70%を超えるカートリッジ排出を示した。

0095

選択粉末での空気動力学的試験により、サンプルID番号18、19、20、及び21に示されるように、クエン酸ナトリウムと塩化亜鉛を、トレハロース、イソロイシン、及び任意でPVPと組み合わせた場合の、有益な効果が浮き彫りとなった。粉末の性能の改善は、クエン酸塩及び亜鉛の含量がそれぞれ14.6%及び1.4%程度でも観察された(サンプルID番号16及び18)。最大効果(53.0%RF/fill)は、クエン酸ナトリウム含量が14.6%且つ亜鉛が6.8%(サンプルID番号18)の場合に、観察された。クエン酸亜鉛を、トレハロース、イソロイシン、及びPVPと組み合わせた場合の有益な効果は、サンプルID番号23及び24の粉末の性能により示され、これらでは、50%を超える%RF/fillの収量及び約73%のカートリッジ排出がみられた。

0096

0097

(オキシトシン製剤安定性試験)
オキシトシン噴霧乾燥粉末の安定性試験は上記の実施例1と同様に行った。安定性試験は40週まで行った。オキシトシン安定性試験の定量結果を以下の表9及び図5に示す。データは、用いた出発材料に対するサンプル中に残存する百分率(%)として示した。表9からわかるように、試験した粉末製剤のうち3種のみ(サンプルID番号16、27、及び28)が、取り分けたサンプルを40週間インキュベーションした後に定量したときに、オキシトシンの約90%以上を維持できなかった。クエン酸塩及び亜鉛塩の組み合わせは、固体状態で最も高い安定性を示した(約90%超)。クエン酸ナトリウム14.6%及び塩化亜鉛6.8%の組み合わせで最も高い安定性が得られた(サンプルID番号18)。クエン酸亜鉛を最低でも9.1%含む粉末は、クエン酸ナトリウムの有無にかかわらず、40週間のインキュベーション後に、97%超のオキシトシンを維持した。図5は、2価亜鉛塩とクエン酸塩を種々の濃度で含む乾燥粉末サンプルの安定性試験の結果のグラフであり、40週に渡り、オキシトシンが徐々に分解するものの、試験サンプルにおいて、オキシトシン含量の90%超が維持されることを示している。

0098

酒石酸塩を用いる代替的実施形態では、亜鉛塩及び酒石酸塩を含む粉末は、インキュベーションの24週間後にオキシトシン含量の約90%を維持し、サンプルのインキュベーションの32週間後にオキシトシン含量の約85%超を維持した。

0099

0100

クエン酸塩又は酒石酸塩及び亜鉛塩のオキシトシンの製剤への添加は、空気動力学的性能及びオキシトシン安定性の両方に有益であると考えられる。

0101

(実施例3)
ある妊婦(35、2回目の妊娠)は、最初の妊娠での軽度の産後出血の経歴があり、妊娠40週で陣痛発作を起こし病院に搬送された。担当産科医により陣痛が5分置きに生じることが観察された。妊婦は、出血は見られたが、健康な子供を産んだ。妊婦は、出産後直ぐ手術室で、100IUのオキシトシン、28%(w/w)のクエン酸塩、及び7%(w/w)の塩化亜鉛を一服分含む乾燥粉末製剤を、米国特許第8484129号明細書に記載の高抵抗吸入器を含む吸入システムを用いて、単回吸入投与された。これに関連する対象について、当該出願の内容を参照により本明細書で援用する。妊婦は、3日間入院したが、重度の出血はなく、新生児とともに退院した。

0102

特記のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる、成分の量、分子量などの性質、反応条件などを表す数字の全ては、『約』という語で修飾されていることを理解されたい。つまり、反対の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、概算であり、本発明により得ようとする所望の性質に応じて変わり得る。均等論の適用範囲を特許請求の範囲に限定するわけではないが、少なくとも、各数値パラメータは、記載された有効数字の数に基づき、通常の丸め方を適用して解釈されるべきである。本発明の概要に記載の数値範囲及びパラメータは概算値であるものの、具体的実施例に記載の数値は可能な限り正確なものを記載している。しかし、数値は、対応する試験測定値にみられる標準偏差に由来して必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。

0103

本発明を記載するにあたって(特に、請求項の記載で)用いられる限定事項は、特記のない限り、又は、明らかに文脈矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅するものと解釈すべきである。本明細書に記載の数値範囲は、その範囲内の各数値の個別参照を簡単に行うことを意図したに過ぎない。特記のない限り、個別に本明細書に記載したかのように、数値範囲内の個別の各数値を本明細書で援用する。本明細書に記載の方法は、特記のない限り、又は、明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順番で行うことができる。本明細書に記載されている任意の又は全ての実施例又は例示的記載(例えば、『等』)は、本発明の理解を助けることを意図したに過ぎず、請求項に記載された発明の範囲を限定するものではない。明細書の記載を、本発明の実施に必須だが請求項に記載されていない要素を示していると解釈すべきではない。

0104

請求項の『又は(若しくは)』という語は、選択肢のみを指すと明示的に記載されていない限り、又は、選択肢が相互に排他的でない限り、(明細書では、『又は(若しくは)』を選択肢のみを指す定義で用い、『及び/又は』とは分けて使うものの、)『及び/又は』の意味で用いられる。

0105

本明細書に記載の本発明の選択的要素又は実施形態のグループ分けは限定と解釈すべきではない。各グループメンバーは、個別に、又は、そのグループの別のメンバー若しくは本明細書の別の要素と組み合わせて、参照されたり、請求項に記載されたりし得る。グループの1つ以上のメンバーを、利便性及び/又は特許性のためにグループに含めたり削除したりしてもよいことが期待される。こうした包摂又は削除があった場合、本明細書は修正後のグループを含むものと考えられ、特許請求の範囲で用いられるマーカッシュグループの記載要件を満たすことになる。

0106

本明細書では、本発明の好ましい実施形態について、本発明を実施するにあたり最適な態様を含め、記載した。しかし、当然ながら、本明細書の記載に触れた当業者にとって、これらの好ましい実施形態の変形例は明らかであろう。当業者であればこうした変形例を適切に採用し、本明細書に具体的に記載した構成以外で本発明を実施できるだろう。従って、本発明は、適用法令により、特許請求の範囲に記載の主題に関する全ての修正例及び均等物を含む。さらに、本発明は、特記のない限り、又は、明らかに文脈と矛盾しない限り、その変形例の全てで上述の要素の任意の組み合わせを包含する。

0107

本明細書に記載の具体的な実施形態は、請求項では、『からなる』又は『実質的にからなる』という表現を用いてさらに限定されるかもしれない。請求項で用いられる場合、出願当初より記載されているか補正により加えられたかにかかわらず、『からなる』という移行は、請求項で特定されていない要素、工程、又は成分を排除する。『から実質的になる』という移行句は、請求項の範囲を、特定された材料又は工程、及び、発明の基礎的且つ新規な特徴に本質的な影響を与えない範囲に限定する。請求項に記載された発明の実施形態は、本明細書に、明示的に又は内在的に記載されており、実施可能である。

0108

さらに、明細書全体で特許や刊行物を数多く引用した。参照により本明細書で上記の引用及び刊行物の内容の全てを援用する。

0109

さらに、本明細書に記載の発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることを理解されたい。他の修正例も可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。一例として、限定されるものではないが、本発明の代替的構成も、本明細書の教示に従って利用可能である。従って、本発明は、明細書にまさに示し、記載した通りのものに限定されるわけではない。

0110

(関連出願の相互参照
本出願は、合衆国法典第35編第119条(e)に基づき、2013年7月18日に出願された米国仮出願第61/847981号の優先権の利益を主張する。当該仮出願の内容を参照により本明細書で援用する。

0111

[付記1]
ペプチド、タンパク質、若しくは前記ペプチド若しくは前記タンパク質の誘導体若しくは類似体、クエン酸塩若しくは酒石酸塩、陽イオン塩、アミノ酸、及び/又は、医薬的に許容可能な担体若しくは賦形剤を含む乾燥粉末医薬製剤。
[付記2]
前記ペプチド、前記タンパク質、前記誘導体、又は前記類似体は、オキシトシン、オキシトシン誘導体、又はオキシトシン類似体である、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記3]
前記クエン酸塩はクエン酸ナトリウム又はクエン酸亜鉛である、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記4]
前記陽イオン塩は、2価陽イオン塩であり、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化マグネシウム、又は塩化カルシウムである、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記5]
前記医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、マンノース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールから選択される糖である、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記6]
前記医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、又はジケトピペラジンである、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記7]
前記ジケトピペラジンは、フマリルジケトピペラジン又はスクシニルジケトピペラジンである、付記6に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記8]
前記クエン酸塩は、オキシトシン、オキシトシン類似体、又はオキシトシン誘導体の1モル当たり100から20当量の範囲の量で存在する、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記9]
前記陽イオン塩は、組成物中オキシトシン1モル当たり50から5当量の範囲の量で存在する、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記10]
前記ペプチドは、内分泌ホルモン、成長因子、又は侵害受容ペプチドである、付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記11]
前記内分泌ホルモンは、インスリン、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、オキシントモジュリン、又は、前記内分泌ホルモンの類似体若しくは活性断片である、付記10に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記12]
前記アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、トリロイシン、シスチン、リシン、グリシン、アルギニン、メチオニン、又はヒスチジンである、付記10に記載の乾燥粉末医薬製剤。
[付記13]
乾燥粉末製剤を製造する方法であって、
ペプチド、タンパク質、その断片、及び/又はその類似体を含む溶液を窒素ガス室内で噴霧乾燥することを含み、
前記乾燥粉末製剤は、pH4.5からpH6.5の範囲のpHで、前記ペプチド、前記タンパク質、その断片、及び/又はその類似体、クエン酸塩又は酒石酸塩、並びに陽イオン塩を含む混合物を含み、
前記陽イオン塩は二価陽イオン塩である、方法。
[付記14]
前記乾燥粉末製剤はオキシトシンを含む、付記13に記載の方法。
[付記15]
前記クエン酸塩はクエン酸ナトリウムである、付記13に記載の方法。
[付記16]
アミノ酸又は糖をさらに含む、付記13に記載の方法。
[付記17]
前記アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、トリロイシン、シスチン、リシン、グリシン、アルギニン、メチオニン、又はヒスチジンである、付記16に記載の方法。
[付記18]
前記糖は、トレハロース又はマンニトールである、付記16に記載の方法。
[付記19]
前記酒石酸塩は酒石酸ナトリウムである、付記13に記載の方法。
[付記20]
オキシトシン、オキシトシン類似体、又はオキシトシン類似体、クエン酸ナトリウム、塩化亜鉛、及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む、吸入用医薬乾燥粉末製剤。
[付記21]
前記クエン酸ナトリウムは、前記乾燥粉末製剤中に、0.5%(w/w)より多く、5%(w/w)より多く、10%(w/w)より多く、又は20%(w/w)より多く存在する、付記20に記載の医薬乾燥粉末製剤。
[付記22]
前記噴霧乾燥は、前記溶液の流れを入口温度が約120℃から150℃である乾燥窒素ガス流中に霧化することを含む、付記13に記載の方法。
[付記23]
治療の必要な対象に200IUまでのオキシトシンを含む付記1に記載の乾燥粉末医薬製剤を投与することを含む、産後出血を治療又は予防する方法。
[付記24]
前記アミノ酸はイソロイシンである、付記17に記載の方法。

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