図面 (/)

技術 僧帽弁スペーサ並びにその移植システム及び方法

出願人 カーディオソリューションズインコーポレイテッド
発明者 ジョナサンイーウィルソンジョンマーフィージャックロバートソンクリストファーシギーン
出願日 2014年6月16日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2016-519707
公開日 2016年7月25日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-521633
状態 特許登録済
技術分野 補綴
主要キーワード 膨張度合 閉口位置 シリコーンシール 座屈力 滑動部 螺旋状スクリュー 流体封止 液密構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

本明細書は心臓弁インプラントについて開示するものである。心臓弁インプラントは、膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張注入ポートと、を備える。また、本明細書には、経心尖的に、そして経中隔的に心臓弁インプラントを心臓内送達し、その位置にて弁本体を膨張させ、閉口位置にある心臓弁を通る血流を、部分的に又は完全に制限する方法も開示されている。膨張(注入)ポートは、調整可能な量の膨張流体によって弁本体を膨張させ、弁本体を心臓弁内に配置したときに弁本体の所望の膨張度合を達成することを可能にする。

概要

背景

ヒトの心臓は、4つの心腔、つまり、左心房右心房左心室及び右心室を有する。心臓の心腔は交互に拡張及び収縮し、身体の血管を通して血液を送り出す。心臓の拍動サイクルには、左心房及び右心房が同時に収縮し、左心房及び右心房から左心室及び右心室へ血液を送ることが含まれる。その後、左心室及び右心室は同時に収縮し、心臓から身体の血管を通して血液を押し出す。4つの心腔に加え、心臓はまた、各心腔の上流端に逆止弁を備え、心臓の心腔が拡張及び収縮をする際に、確実に、血液が正しい方向で身体を流れるようにする。これらの弁が損傷し、又は正常に機能しなくなると、下流側の心腔が収縮する際に、正常に閉口できない状態に陥ることがある。正常に閉口すべき弁の不良は、弁を通して血液を逆流させ、血流の減少及び血圧の低下を来しかねない。

僧帽弁逆流は、心臓弁機能障害又は機能不全の一般種である。僧帽弁逆流は、左心房と左心室とを分離する僧帽弁が正常に閉口しない場合に生じる。その結果、左心室の収縮時に、血液は大動脈を通して押し出されるのではなく、左心室から左心房へ漏出又は逆流し得る。僧帽弁を弱体化又は損傷する疾患は、僧帽弁が正常に閉口するのを妨げ、それにより、漏出又は逆流を引き起こしかねない。僧帽弁逆流は、該症状が短時間の間だけ生じるのではなく、持続する場合には、慢性的であると考えられている。

概要

本明細書は心臓弁インプラントについて開示するものである。心臓弁インプラントは、膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張注入ポートと、を備える。また、本明細書には、経心尖的に、そして経中隔的に心臓弁インプラントを心臓内送達し、その位置にて弁本体を膨張させ、閉口位置にある心臓弁を通る血流を、部分的に又は完全に制限する方法も開示されている。膨張(注入)ポートは、調整可能な量の膨張流体によって弁本体を膨張させ、弁本体を心臓弁内に配置したときに弁本体の所望の膨張度合を達成することを可能にする。

目的

本発明は、インプラントを心臓内に移植する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

近位端及び遠位端を有するキャビティ画定する膨張弁本体と、前記膨張弁本体の近位端を通って延在するシャフトであって、前記キャビティと流体連通した内腔を備えるシャフトと、前記膨張弁本体に近接した前記シャフトに取り付けられたアンカーアセンブリと、前記シャフトの内腔と流体連通した1つ以上の内腔を備える膨張ポートと、を備える心臓弁インプラント

請求項2

1つ以上のX線不透過性マーカをさらに備える、請求項1に記載の心臓弁インプラント。

請求項3

前記1つ以上のX線不透過性マーカは、前記膨張弁本体の近位端又はその近傍に位置する、請求項2に記載の心臓弁インプラント。

請求項4

前記膨張ポートは、該膨張ポートを流体封止するように構成された、突き刺し可能なセプタムをさらに備える、請求項1に記載の心臓弁インプラント。

請求項5

前記突き刺し可能なセプタムは、シリコーンを含む、請求項4に記載の心臓弁インプラント。

請求項6

前記突き刺し可能なセプタムは、液密構造を備える、請求項4に記載の心臓弁インプラント。

請求項7

前記膨張ポートは、1つ以上の縫合糸穴をさらに備える、請求項5に記載の心臓弁インプラント。

請求項8

前記アンカーアセンブリは、通路と、1本以上のアームと、を備え、前記通路は前記シャフトを受け入れ前進させるように構成され、前記1本以上のアームのそれぞれが開口部を画定し、前記アンカーアセンブリは、患者心臓の外面に固定されるように構成されている、請求項1に記載の心臓弁インプラント。

請求項9

前記アンカーアセンブリの前記1本以上のアームのそれぞれの周囲に、1本以上の縫合糸が配置されている、請求項8に記載の心臓弁インプラント。

請求項10

前記膨張弁本体は、膨張流体によって部分的に又は完全に膨張させられる、請求項1に記載の心臓弁インプラント。

請求項11

前記シャフトは、前記膨張弁本体の遠位端に取り付けられている、請求項1に記載の心臓弁インプラント。

請求項12

前記膨張弁本体と流体連通した内腔は、1つ以上の開口部を備える、請求項11に記載の心臓弁インプラント。

請求項13

膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張ポートと、を備える心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達する方法であって、内腔を備える導入器を、心臓の頂端にある切開部を通して左心室へと、経心尖的に前進させるステップと、前記導入器を、僧帽弁を通して左心房へと前進させるステップと、前記心臓弁インプラントを、前記導入器の内腔を通して前記左心房へと前進させるステップであって、前記心臓弁インプラントの前記シャフトは、前記膨張弁本体から頂端にある切開部を越えて延在するステップと、前記心臓から前記導入器を除去し、前記膨張弁本体及び前記シャフトの少なくとも一部を心臓内に送達するステップと、を含む方法。

請求項14

前記アンカーアセンブリは、通路と、1本以上のアームと、を備え、前記通路は前記シャフトを受け入れ、前進させるように構成され、前記1本以上のアームのそれぞれが開口部を画定する、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記アンカーアセンブリを、前記アンカーアセンブリが心臓の頂端又はその近傍に達するまでシャフト上で前進させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記アンカーアセンブリを、前記心臓の前記頂端又はその近傍の、前記心臓の外面に固定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記アンカーアセンブリを固定するステップは、前記アンカーアセンブリの1本以上のアームのそれぞれの周囲に1本以上の縫合糸を縫合するステップを含む、請求項16に記載の方法。

請求項18

胸壁又はその近傍の皮下に膨張ポートを固定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項19

前記膨張弁本体は、前記僧帽弁内の前記膨張弁本体の位置を特定するための1つ以上のX線不透過性マーカを備える、請求項13に記載の方法。

請求項20

膨張流体によって、前記膨張弁本体を、完全に又は部分的に膨張させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項21

前記膨張弁本体を膨張させるステップは、前記膨張ポートの突き刺し可能なセプタムを突き刺すステップと、前記突き刺し可能なセプタムを通して、前記膨張ポートに膨張流体を導入し、該膨張流体によって前記膨張弁本体を膨張させるステップと、をさらに含む請求項20に記載の方法。

請求項22

前記膨張流体は液体である、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記膨張弁本体は、僧帽弁の少なくとも1つの心臓弁膜尖の全体又は一部と相互作用する、請求項21に記載の方法。

請求項24

前記膨張弁本体は、閉口位置にある前記僧帽弁を通る血流を、部分的に又は完全に制限する、請求項21に記載の方法。

請求項25

前記インプラントを脱気するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。

請求項26

所望の水準の膨張が得られるまで、前記インプラント内の膨張流体の量を調整するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。

請求項27

膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張ポートと、を備える心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達する方法であって、内腔を備える導入器を、心臓の頂端にある切開部を通して左心室へと、経心尖的に前進させるステップと、前記心臓弁インプラントを、前記導入器の内腔を通して左心室へと前進させるステップであって、前記膨張弁本体は前記導入器から延在するステップと、前記膨張弁本体を部分的に膨張させるステップと、前記導入器及び部分的に膨張した前記膨張弁本体を、僧帽弁を通して左心房へと前進させるステップと、前記心臓弁インプラントを、前記導入器の内腔を通して前記左心房へと前進させるステップと、前記導入器を前記心臓から除去し、前記膨張弁本体及び前記シャフトの少なくとも一部を前記心臓内に送達するステップと、を含む方法。

技術分野

0001

関連案件相互参照
本出願は、2013年7月14日の米国仮特許出願61/835093号に基づく優先権を主張するものであり、引用により当該仮出願の全内容を包含するものである。

0002

本発明は、機能不全心臓弁修復及び/又は矯正に関し、特に、心臓弁インプラント、システム、並びに、これらを送達し、又は実装するための方法に関する。

背景技術

0003

ヒトの心臓は、4つの心腔、つまり、左心房右心房左心室及び右心室を有する。心臓の心腔は交互に拡張及び収縮し、身体の血管を通して血液を送り出す。心臓の拍動サイクルには、左心房及び右心房が同時に収縮し、左心房及び右心房から左心室及び右心室へ血液を送ることが含まれる。その後、左心室及び右心室は同時に収縮し、心臓から身体の血管を通して血液を押し出す。4つの心腔に加え、心臓はまた、各心腔の上流端に逆止弁を備え、心臓の心腔が拡張及び収縮をする際に、確実に、血液が正しい方向で身体を流れるようにする。これらの弁が損傷し、又は正常に機能しなくなると、下流側の心腔が収縮する際に、正常に閉口できない状態に陥ることがある。正常に閉口すべき弁の不良は、弁を通して血液を逆流させ、血流の減少及び血圧の低下を来しかねない。

0004

僧帽弁逆流は、心臓弁の機能障害又は機能不全の一般種である。僧帽弁逆流は、左心房と左心室とを分離する僧帽弁が正常に閉口しない場合に生じる。その結果、左心室の収縮時に、血液は大動脈を通して押し出されるのではなく、左心室から左心房へ漏出又は逆流し得る。僧帽弁を弱体化又は損傷する疾患は、僧帽弁が正常に閉口するのを妨げ、それにより、漏出又は逆流を引き起こしかねない。僧帽弁逆流は、該症状が短時間の間だけ生じるのではなく、持続する場合には、慢性的であると考えられている。

先行技術

0005

米国特許第8092525号明細書
米国特許出願公開第2009/0048668号明細書
米国特許第8597347号明細書

発明が解決しようとする課題

0006

原因の如何を問わず、僧帽弁逆流は、身体を流れる血流(心拍出量)の減少をもたらしかねない。僧帽弁逆流の矯正には、一般的に、外科的介入が必要である。外科的な弁の修復又は移植は、心臓切開手技によって実行する。修復又は移植手術は、約3時間〜5時間にも及ぶ場合があり、患者全身麻酔を施して実行する。外科手技性質により、患者は人工心肺装置に接続する必要がある。心臓切開外科手技に伴う過酷さ、複雑性及び/又は、危険性のため、僧帽弁逆流の矯正手術は、特定の患者には勧められない場合がある。

課題を解決するための手段

0007

本明細書には、心臓弁インプラント及び該心臓弁インプラントを患者の心臓に送達する方法について記載する。心臓弁インプラントは、経心尖的に(すなわち、心臓の頂端を通して)又は経大腿的に心臓に送達するように構成されている。心臓弁インプラントは、少なくとも部分的に心臓内に移植するように構成されている。

0008

従って、一態様において、本発明は心臓弁インプラントを対象としている。心臓弁インプラントは、膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張ポート(例えば、注入ポート)と、を備える。膨張弁本体は、近位端及び遠位端を有するキャビティ画定する。シャフトは、膨張弁本体の近位端から延在しており、キャビティと流体連通した内腔を備える。アンカーアセンブリは、膨張弁本体に近接したシャフトに取り付けられている。膨張ポート(例えば、注入ポート)は、シャフトの内腔と流体連通した1つ以上の内腔を備えることができる。

0009

いくつかの態様において、心臓弁インプラントは1つ以上のX線不透過性マーカを備える。他の態様において、心臓弁インプラントは、膨張弁本体の近位端又はその近傍に位置する1つ以上のX線不透過性マーカを備える。

0010

いくつかの態様において、膨張ポート(例えば、注入ポート)は、膨張ポートを流体封止するように構成された、突き刺し可能なセプタムを備える。いくつかの実施形態において、突き刺し可能なセプタムは自己封止型のものとすることができる。関連する態様において、膨張ポートはほぼ中空である。突き刺し可能なセプタムは、様々な異なる材料で形成することができる。一例として、いくつかの実施形態において、突き刺し可能なセプタムはシリコーンを含む。一実施形態において、突き刺し可能なセプタムは液密構造を備える。いくつかの実施形態において、膨張ポートは1つ以上の縫合糸穴を備える。

0011

いくつかの態様において、アンカーアセンブリは、通路及び1本以上のアームを備える。例えば、アンカーアセンブリは、中央開口部及び該中央開口部から外方に延在する、2本の対向する補助アームを備えることができる。一態様において、通路はシャフトを受け入れ前進させるように構成されている。一態様において、1本以上のアームのそれぞれが開口部を画定し、アンカーアセンブリは、患者の心臓の外面に固定されるように構成されている。一態様において、アンカーアセンブリの1本以上のアームのそれぞれの周囲に、1本以上の縫合糸が配置されている。縫合糸は、アンカーアセンブリを、患者の心臓の外面に固定(例えば、定着)するのに使用することができる。

0012

いくつかの態様において、膨張弁本体は、拡張媒体膨張流体)によって部分的に膨張させる。他の態様において、膨張弁本体は、拡張媒体(膨張流体)によって完全に膨張させる。様々な拡張媒体を使用することができる。いくつかの実施形態において、拡張媒体は気体液体又はゲルである。例として、いくつかの態様において、拡張媒体は脱イオン水生理食塩水、又は造影剤とすることができる。

0013

いくつかの態様において、心臓弁インプラントのシャフトは、膨張弁本体の遠位端に取り付けられている。いくつかの実施形態において、心臓弁のシャフトは、膨張弁本体を部分的に通って延在する。他の実施形態において、心臓弁インプラントのシャフトは、膨張弁本体の長さにわたって延在し、膨張弁本体の近位端及び遠位端の両方に取り付けられている。

0014

いくつかの態様において、膨張弁本体と流体連通したシャフトの内腔は1つ以上の開口部を備える。該1つ以上の開口部は、シャフトの内腔と、膨張弁本体との間の流体連通を可能にする。

0015

いくつかの実施形態において、膨張弁本体は、本明細書に記載したインプラントに適した任意の材料で形成することができる。材料は、生理的状態(例えば、心臓の状態)に耐え得るものとすることができる。材料はまた、伸縮性があり、柔軟に変形可能なものにすることができる。

0016

いくつかの実施形態において、シャフトは、本明細書に記載したインプラントに適した任意の材料で形成することができる。シャフトは、屈曲して本明細書に記載した送達システムを収容できるように、可橈性を有するもの又は柔軟に変形可能なものにすることができる。シャフトはまた、それ自体が折りたたまれないように、十分な剛性を有するものにすることができる。

0017

いくつかの実施形態において、アンカーアセンブリは、本明細書に記載したインプラント及び方法に適した任意の材料で形成することができる。

0018

他の態様において、本発明は、心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達する方法を対象とする。該方法は、内腔を備える導入器を、心臓の頂端にある切開部を通して左心室へと、経心尖的に前進させるステップと、該導入器を、僧帽弁を通して左心房へと前進させるステップと、心臓弁インプラントを、導入器の内腔を通して左心房へと前進させるステップであって、心臓弁インプラントのシャフトは、頂端にある切開部を越えて延在するステップと、該心臓から導入器を除去し、弁本体及びシャフトの少なくとも一部を心臓内に送達するステップと、を含む。

0019

一態様において、心臓弁インプラントを経心尖的に送達する方法は膨張弁本体を配置するステップを含み、心臓弁の1つ以上の心臓弁膜尖又は弁の少なくとも一部は、心臓弁が閉口状態にあるときに、心臓弁インプラントの少なくとも一部と相互作用し、それを係合、及び/又は、封止することができる。例えば、罹患及び/又は損傷した心臓弁膜尖を取り除き、及び/又は、腱索断裂発症した後などで、単一の心臓弁膜尖があるのみで、封止が不十分であった場合でも、少なくとも1つの心臓弁膜尖又は弁尖の少なくとも一部と、心臓弁インプラントの少なくとも一部との間の相互作用、係合及び/又は封止により、心臓弁における逆流を低減及び/又は解消することができる。

0020

心臓弁インプラントを経心尖的に送達する方法のいくつかの態様において、インプラントはアンカーアセンブリを備える。一実施形態において、アンカーアセンブリは、通路及び1本以上のアームを備える。通路は、シャフトを受け入れ、通路を通してシャフトを前進させるように構成されている。1本以上のアームのそれぞれが開口部を画定する。いくつかの態様において、該方法はさらに、アンカーアセンブリを、アンカーアセンブリが心臓の頂端又はその近傍に達するまでシャフト上で前進させるステップを含む。一態様において、該方法はさらに、アンカーアセンブリを心臓の外面に固定するステップを含む。他の態様において、該方法は、心臓の頂端又はその近傍の心臓の外面にアンカーアセンブリを固定するステップを含む。他の態様において、アンカーアセンブリを固定するステップは、アンカーアセンブリの1本以上のアームのそれぞれの周囲に1本以上の縫合糸を縫合するステップを含む。

0021

他の態様において、該方法はさらに、胸壁又はその近傍の皮下に膨張ポート(例えば、注入ポート)を固定するステップを含む。いくつかの実施形態において、皮下にある膨張ポートは、脱イオン水、生理食塩水、及び造影剤等の拡張媒体(膨張流体)を、膨張弁本体に送達するのに使用することができる。例えば、拡張媒体は注入器に配置することができ、セプタムを通して突き刺すのに、針を使用することができる。そして、媒体は、膨張ポート及びシャフトの中空体を介して、膨張弁本体へと運ぶことができる。

0022

他の態様において、該方法は、心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達するステップを含み、膨張弁本体は僧帽弁内の膨張弁本体の位置を特定するための1つ以上のX線不透過性マーカを備える。

0023

他の態様において、該方法はさらに、膨張流体によって膨張弁本体を完全に又は部分的に膨張させるステップを含む。他の態様において、膨張弁本体を膨張させるステップはさらに、膨張ポートの突き刺し可能なセプタムを突き刺すステップと、突き刺し可能なセプタムを通して、膨張ポートに拡張媒体(膨張流体)を導入し、膨張流体によって膨張弁本体を膨張させるステップと、を含む。一態様において、膨張流体は液体である。他の態様において、該方法はさらに、所望の水準の膨張が得られるまで、インプラント内の膨張流体量を調整するステップを含む。他の態様において、膨張弁本体は、僧帽弁の少なくとも1つの心臓弁膜尖又は弁尖の、全体又は一部と相互作用する。他の態様において、膨張弁本体は、閉口位置にある僧帽弁を通る血流を、部分的に又は完全に制限する。

0024

他の態様において、該方法はさらに、インプラントを脱気するステップを含む。

0025

他の態様において、本発明は、心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達する方法を対象とする。インプラントは、膨張弁本体と、シャフトと、アンカーアセンブリと、膨張ポートと、を備える。該方法は、内腔を備える導入器を、心臓の頂端にある切開部を通して左心室へと、経心尖的に前進させるステップと、心臓弁インプラントを、導入器の内腔を通して左心室へと前進させるステップであって、膨張弁本体は導入器から延在するステップと、膨張弁本体を部分的に膨張させるステップと、導入器及び部分的に膨張した膨張弁本体を、僧帽弁を通して左心房へと前進させるステップと、心臓弁インプラントを、導入器の内腔を通して左心房へと前進させるステップと、導入器を心臓から除去し、膨張弁本体及びシャフトの少なくとも一部を心臓内に送達するステップと、を含む。

図面の簡単な説明

0026

右心房内にある経中隔カテーテルの実施形態の概要図である。
上大静脈内に前進させたガイドワイヤの実施形態の概要図である。
上大静脈内に前進させたカテーテルの実施形態の概要図である。
卵円窩に接触させたカテーテル先端の実施形態の概要図である。
卵円窩をテント状に突き上げたカテーテルの実施形態の概要図である。
卵円窩を穿刺した針の実施形態の斜視図である。
卵円窩を穿刺して通した経中隔カテーテルの実施形態の概要図である。
卵円窩を穿刺して通し、遠位端が左心房内にある、針を除去した状態の経中隔カテーテルについての実施形態の概要図である。
経中隔カテーテルを通して左心房内に前進させた送達ガイドワイヤの実施形態の斜視図である。
外筒及び拡張器は除去し、送達ガイドワイヤを左心房内に配置した実施形態の概要図である。
左心房へ前進させた拡張器の実施形態の概要図である。
拡張器の一実施形態の側面図である。
拡張器の実施形態の概要図である。
図13Aに示した拡張器の先端の拡大断面図である。
拡張器のさらに別の実施形態の概観図である。
収縮位置又は後退位置にある拡張器の先端の側面図である。
膨張位置又は拡張位置にある拡張器の先端の拡大断面図である。
左心房内に位置し、膨張位置又は拡張位置にある拡張器の概要図である。
僧帽弁に通す前の、左心房内に位置し、膨張位置又は拡張位置にある拡張器の概要図である。
左心室内に位置する拡張器の概要図である。
左心室の頂端へ前進させた拡張器の実施形態の概要図である。
頂端を通して、ガイドワイヤ上を、左心室内へ挿入した針の概要図である。
本発明に係る、ガイドワイヤ上を、左心室内へ挿入した導入器及び拡張器の概要図である。
導入器の周囲に固定した巾着縫合糸及び外科用綿撤糸の概要図である。
本発明に係る、ガイドワイヤ上を、左心房へ前進させた導入器の概要図である。
導入器に装填する際のインプラントの概要図である。
左心房内にあるインプラントの概要図である。
僧帽弁内にあるインプラントの概要図である。
インプラントの一実施形態の側面図である。
僧帽弁内にあるインプラント、膨張装置、及びスプリッタの概要図である。
僧帽弁におけるインプラントの確認後に行われる、導入器の分離を示す概要図である。
僧帽弁内にあるインプラント及び膨張ハンドルアセンブリの形態の膨張装置を示す概要図である。
僧帽弁内にあるインプラント及び膨張ポートとして形成された膨張装置の概要図である。
僧帽弁内にあるインプラントと、患者の皮下に 位置する膨張ポートとして形成された膨張装置の概要図である。
充填前の、後退位置にある膨張ハンドルアセンブリの一実施形態の断面図である。
充填後の、拡張位置にある膨張ハンドルアセンブリの断面図である。
アンカーアセンブリの一実施形態の斜視図である。
アンカーアセンブリの一実施形態の側面断面図である。
アンカーアセンブリの一実施形態の正面図である。
アンカーアセンブリの一実施形態の側面図である。
頂端を通して、左心室内へ挿入させた針を示す概要図である。
針に通して、左心室内へ挿入させたガイドワイヤを示す概要図である。
針が除去され、ガイドワイヤが左心室内にある状態を示す概要図である。
左心室内に挿入された導入器及び拡張器の一実施形態を示す概要図である。
導入器の周囲に固定した巾着縫合糸及び外科用綿撤糸を示す概要図である。
導入器からガイドワイヤが除去された状態を示す概要図である。
導入器の先端を部分的に抜け出た膨張弁本体の一実施形態を示す概要図である。
導入器の先端にて部分的に膨張した膨張弁本体の概要図である。
僧帽弁を通して前進させる際の膨張弁本体の概要図である。

実施例

0027

特許請求の範囲に記載した本発明の特徴及び利点は、これに対応する実施形態に関する以下の記載から明らかであり、この記載は添付の図面と合わせて考慮するべきである。
本発明は、心臓インプラントを移植するシステム及び方法に関する。例えば、本発明の一実施形態に係るシステム及び方法は、機能不全又は動作不能の心臓弁(例えば、機能性僧帽弁逆流及び変性僧帽弁逆流が生じた心臓弁)の治療診断、及び/又は矯正に関連して適切に用いることができる、心臓弁インプラントを移植するのに用いることができる。本発明に関連する心臓弁インプラントの適切な実施例の1つとして、僧帽弁逆流(僧帽弁機能不全 )の治療がある。説明を簡便にするため、本明細書における心臓弁インプラントは、僧帽弁インプラントの観点から記載するものであり、例えば、特許文献1:米国特許第8092525号明細書(2005年10月26日の同国特許出願番号第11/258828号)、及び、特許文献2:米国特許出願公開第2009/0048668号明細書(2008年9月12日出願の同国特許出願番号第12/209686号)に記載されたような僧帽弁逆流の治療に用いることができる。両明細書は、ここに、本明細書の一部を構成するものとして内容を援用する。しかしながら、本発明に係る心臓弁インプラントは、図26に関連して本明細書で論じる心臓弁インプラントのように、他の機能不全又は動作不能の心臓弁を治療、診断、及び/又は矯正するのに使用することができる。

0028

本発明に係る技術(図26に関連して記載するインプラントを含む。)は、僧帽弁インプラント、ないし、僧帽弁インプラントの移植のシステム及び方法に限るものではない。実際、本発明に係るシステム及び方法は、心臓についての他の症状の治療、診断、及び/又は、矯正に関連して用いるように構成した心臓インプラントの移植に用いることができる。例として、これに限定するものではないが、本発明に係るシステム及び方法は、心臓弁(例えば僧帽弁であるが、これに限定されるものではない。)において調整逆流を誘発するように構成した逆流インプラントを、例えば進行した心臓の病気に一般的に関連する態様で、移植するのに用いることができる。該逆流インプラントは、特許文献3:米国特許第8597347号明細書(2007年11月15日の同国特許出願番号第11/940724号)及び前掲特許文献2に記載された逆流インプラントを含むことができ、両明細書の内容は、ここに、本明細書の一部を構成するものとして内容を援用する。

0029

一実施形態によれば、本発明に係る心臓インプラントは、既存の心臓弁の少なくとも一部と相互作用して逆流を予防及び/又は低減するように構成した心臓弁インプラントを含むことができる。例えば、心臓弁の1つ以上の心臓弁膜尖又は弁尖の少なくとも一部は、心臓弁が閉口状態にあるときに、心臓弁インプラントの少なくとも一部と相互作用し、それを係合、及び/又は、封止することができる。本発明において、「膜尖」及び「弁尖」は、心臓弁における同じ解剖学的構造を意味する。例えば、罹患及び/又は損傷した心臓弁膜尖を取り除き、及び/又は、腱索断裂を発症した後などで、単一の心臓弁膜尖があるのみで、封止が不十分であった場合でも、少なくとも1つの心臓弁膜尖又は弁尖の少なくとも一部と、心臓弁インプラントの少なくとも一部との間の相互作用、係合及び/又は封止により、心臓弁における逆流を低減及び/又は解消することができる。本発明に係る心臓弁インプラントは、様々な追加的及び/又は代替的な欠陥及び/又は欠損に関連して用いることができる。

0030

説明を簡便にするため、本発明に係るシステム及び方法の一実施形態は、僧帽弁逆流の治療に用いることのできるような、僧帽弁インプラントを移植するシステム及び方法の観点から記載する。概説のために述べると、本発明に係るシステム及び方法は、左心室内に第1ガイドワイヤを配置するステップと、第1ガイドワイヤを第2ガイドワイヤ(例えば、送達ガイドワイヤ)と置き換えるステップと、第2ガイドワイヤで心臓の頂端を突き刺すステップと、第2ガイドワイヤの遠位端部が該心臓の外壁に達する程度まで該第2ガイドワイヤを前進させるステップと、僧帽弁インプラントを、該頂端の穿刺を通して、該第2ガイドワイヤ上で、左心室内へと前進させるステップと、を一般的に含む。

0031

例えば、当初、送達ガイドワイヤ(例えば、第2ガイドワイヤ)は、右心房から卵円窩を通して左心房へと心臓を経中隔穿刺すること等によって、心臓の左心房内に配置することができる。その後、拡張器を、送達ガイドワイヤに沿って左心房へと前進させ、僧帽弁を通して左心室内に入れることができる。拡張器はバルーンを備えることができ、該バルーンは、僧帽弁を損傷させたり、僧帽弁腱索に引っかかったりすることなく、拡張器を僧帽弁に通し易くするために、膨張させることができる。その後、可動カテーテルは、拡張器に沿って、左心室、そして心臓の頂端へと前進させることができる。その後、送達ガイドワイヤは、心臓の頂端を穿刺するのに用いることができる第3ガイドワイヤ(例えば、穿刺ガイドワイヤ)と交換することができる。その後、インプラントは、経心尖送達方法を用いて、第3ガイドワイヤ上を、心臓の穿刺を通して前進させることができる。インプラントは、心臓内に送達させた後、所望通りに位置合わせをし、膨張させることができる。いくつかの実施形態において、当初インプラントを心臓内に配置し、膨張させた場合であっても、インプラントの位置及び膨張の少なくとも一方を調整可能とすることができる。

0032

図1は、4つの心腔を有する心臓1の一部の断面概略図を示す。右心房5及び左心房6の間の中隔4をより適切に示すために、右心室2及び左心室3の流出路は示していない。図示するように、下大静脈(IVC)7及び上大静脈(SVC)8は、心房中隔4によって左心房6から隔てられた右心房5と連通する。本発明を限定するものではないが、心房内中隔4のうち、卵円窩9が最も薄い部分であるため、卵円窩9を通して経中隔穿刺13を形成することが有利といえる。

0033

本発明に係る一実施形態によれば、第1ガイドワイヤ10を、IVC7において上方向に、右心房5内へと前進させることができる。第1ガイドワイヤ10は、IVC7において上方向に、右心房5内へと前進させるように構成した任意のガイドワイヤを含むことができる。一実施形態によると、第1ガイドワイヤ10は、本明細書で論じる送達ガイドワイヤ(例えば、第2ガイドワイヤ)と同じものでもよいが、該第1ガイドワイヤ10は、送達ガイドワイヤとは別個の、異なるものであってもよい。これに限定するものではないが、右心房5へのアクセスは、セルディンガーワイヤ法によって達成することができる。例えば、右大腿静脈(図示なし)には、中空針(図示なし)でアクセスし、第1ガイドワイヤ10を挿入することができる。針は、除去することができ、拡張器16を第1ガイドワイヤ10上に挿入することができる。カテーテル20の遠位端23に近接して曲げ加工領域21を有するカテーテル20(例えば、Mullinsカテーテル等だが、これに限定されるものではない。)の外筒18を、拡張器16上に挿入することができる。その後、外筒18、拡張器16、カテーテル20及び第1ガイドワイヤ10は、図1に示すように、開口部22を通してIVC7において上方向に、右心房5内へと前進させることができる。

0034

外筒18、拡張器16、カテーテル20及び第1ガイドワイヤ10が右心房5内にある状態で、左心房6へのアクセスは、右心房5からの心房中隔4を通る経中隔穿刺13によって達成することができる。例えば、図2に示すように、第1ガイドワイヤ10の少なくとも一部は、拡張器16の遠位端23、外筒18及び/又はカテーテル20の外へ前進させることができる。一実施形態によれば、図2に示すように、第1ガイドワイヤ10を、少なくとも部分的にSVC8内へと前進させることができ、その後、図3に示すように、カテーテル20の遠位端23を、少なくとも部分的に第1ガイドワイヤ10に沿って、SVC8内へと前進させることができる。SVC8は、薄壁静脈であり、先端にばねを付けた非外傷性第1ガイドワイヤ10は、カテーテル20及び拡張器16と比べて、SVC8に損傷を加える可能性が低いことから、第1ガイドワイヤ10をSVC8内に設置し、その後、カテーテル20を第1ガイドワイヤ10に沿って前進させることが有利といえる。

0035

図4に示すように、遠位端23が少なくとも部分的にSVC8内に受け入れた状態で、第1ガイドワイヤ10は拡張器16内に後退させることができ、また、カテーテル20は後退させる(すなわち、下方へ引く)ことができ、外筒18の曲げ加工部21が遠位端23の卵円窩9への誘導を容易にする。例えば、1つ以上の可視化法(心腔内心エコー(ICE)、X線透視法等であるが、これらに限定されるものではない。)を用い、遠位端23が卵円窩9の近接するまで、心房中隔4に沿って、遠位端23を引き込み、外筒18を近位方向に後退させることができる。任意で、卵円窩9に対する外筒18の位置は、図5に示すように、外筒18を心房中隔4に向けて緩やかに押し、卵円窩9を「テント状」にすることにより、確認することができる。「テント状」にした卵円窩9は、ICE、X線透視法等によって視認することができる。

0036

図6に示すように、遠位端23が卵円窩9に近接及び/又は接触した状態で、第1ガイドワイヤ10はカテーテル20から除去することができ、経中隔針26は該カテーテル20を通して該カテーテル20の遠位端23の方向へ前進させることができる。カテーテル20の位置は、例えば卵円窩9を「テント状」にすることによって、任意に確認することができ、経中隔針26は、遠位端23の外へと前進させて、卵円窩9を通り左心房6へ貫通する穿刺28を形成することができる。その後、図7に示すように、外筒18、拡張器16及びカテーテル20は、卵円窩9の穿刺28を通して、左心房6内へと前進させることができる。図8に示すように、外筒16 、拡張器28 及びカテーテル20を卵円窩9に貫通させた後、カテーテル20から針26を除去することができる。

0037

図9に示すように、カテーテル20が左心房6内にある状態で、送達ガイドワイヤ30(例えば、第2ガイドワイヤ)は、該送達ガイドワイヤ30の遠位端32の少なくとも一部が、カテーテル20の遠位端23から延在し左心房6内に至るまで、該カテーテル20を通して前進させることができる。図10に示すように、送達ガイドワイヤ30の遠位端32を左心房6内に配置した後、拡張器16及び外筒18を除去し、送達ガイドワイヤ30のみを左心房6内に残すことができる。

0038

送達ガイドワイヤ30は、心臓1内、そして最終的には、左心室3内へと他の装置を前進させるためのガイドとして用いることができる。少なくとも1つの実施形態によれば、送達ガイドワイヤ30は、望ましくない曲げ及び/又はキンクに耐えることができ、遠位端32の望ましくない移動にも耐えることができる程度に、十分な硬度を有するものにすることができる。例えば、送達ガイドワイヤ30は、約19900000psiの剛性を有する、直径0.018インチの、硬いガイドワイヤを含むことができる。送達ガイドワイヤ30の剛性は以下のように求めた。

0039

長細い円柱状のものに力を印加する場合、最小限界座屈力Pcrに達するまで円柱状のものは動かず、力が増加しないものの、さらなる座屈が生じる。均一な断面及び長さlを有し、限界座屈力Pcrで座屈する長い円柱については、次式(数1)が成立する。



ここで、
n=定数であり、両端が移動または回転不能にクランプされている円柱ではn=4。
E=物質弾性率(psi)であり、
I=慣性モーメント(in4)である。

円形断面の場合、慣性モーメントは次式(数2)で表す。



Pcrを求める第1式(数1)において、Iに上式(数2)を代入すると、次式(数3)が得られる。



従って、物質の弾性率の解は次式(数4)で示される。



上式(数4)に基づき送達ガイドワイヤ30の8cm部分をテストすると、座屈力は0.41ポンドと確認された。ゆえに、弾性率は次式(数5)で示される。



従って、送達ガイドワイヤ30の剛性(弾性率)は、約19,900,000psiとすることができる。当然ながら、送達ガイドワイヤ30は、19,900,000psiより高い剛性又は19,900,000psiより低い剛性を有することができる。

0040

少なくとも1つの他の実施形態によれば、送達ガイドワイヤ30は、典型的な0.018インチのガイドワイヤ(例えば、上記方法に基づけば、約1360000psiの剛性を有することが確認された、米国ユタ州ウスジョーダン所在のメリットメディカルシステム社製造の、角度を有する0.018インチの標準交換用ガイドワイヤ(型式H20STDA18260EX))を含むことができる。いずれの実施形態においても、送達ガイドワイヤ30は、0.018インチより大きな直径又は0.018インチより小さな直径を有することができる。

0041

図11に示すように、拡張器34は、送達ガイドワイヤ30上を左心房6内へと前進させることができる。拡張器34は、僧帽弁61を損傷させたり、僧帽弁61(例えば、僧帽弁61の心臓弁膜尖66、腱索及び/又は乳頭筋68)に引っかかったりすることなく、僧帽弁61を通って左心室3内に入るように構成することができる。少なくとも1つの実施形態によれば、本発明に係る拡張器34は、前掲特許文献2に開示された送達ガイドワイヤを省くのに用いることができる。しかし、本発明に係るシステム及び方法(特に拡張器34)は、特許文献2に開示されたシステム及び方法と相反するものではなく、本発明に係るシステム及び方法は、拡張器34も含めて、特許文献2に開示されたシステム及び方法とともに使用することができる。

0042

本発明に係る拡張器34aの一実施形態を、図12に示す。拡張器34aは、送達ガイドワイヤ30の少なくとも一部を受け入れるように構成された少なくとも1つの内腔94を備え、画定することができる。例えば、内腔94は、内径を約0.038インチとすることができる。拡張器34aはまた、先細先端領域98を有するシャフト96を備えることができる。全体的な湾曲を所望のものとするため、シャフト96は、異なる剛性又は硬度を有する、複数のセグメント又は部分を含むことができる。シャフト96は、これに限定されないが、ポリエーテルブロックアミド等の1種以上の適切なポリマーで形成することができる。シャフト96は、一定の内径及び/又は外径を有することができ、異なる材料で作成して、様々な剛性又は硬度を備えることもできる。代替的又は付加的に、シャフト96は、異なる内径及び/又は外径を有することができ、1種以上の材料で作成することができる。例えば、シャフト96の様々な剛性又は硬度は、異なるセグメント又は部分においてシャフト96の厚さを変化させることにより備えることができる。セグメントの異なる硬度により、拡張器34aに異なる程度の曲げ剛性を備えることができ、これにより、拡張器34aを左心室3の内側及び/又は外側へと前進させ易くすることができる。

0043

図12に示すように、拡張器34aは、4つの異なるセグメント97a、97b、97c及び97dを含むことができる。第1セグメント97aは、遠位端領域98に近接して配置することができる。第1セグメント97aは、任意で先細の遠位端98を含むことができ、該第1セグメント97aの長さは約6インチとすることができる。先細の遠位端98は、拡張器34aを送達ガイドワイヤ30上に導入する際、該先端98を、鼠径部にある経皮穿刺部位内へと前進させ易くするために、備えることができる。

0044

少なくとも1つの実施形態によれば、第1セグメント97aは、デュロメータ硬度35DのPEBAX(商標)3533で形成することができる。第2セグメント97bは、第1セグメント97aに隣接させることができ、長さを約1.5インチとすることができる。少なくとも1つの実施形態によれば、第2セグメント97bは、デュロメータ硬度25DのPEBAX(商標)2533で形成することができる。第3セグメント97cは、第2セグメント97bに隣接させることができ、長さを約2インチとすることができる。少なくとも1つの実施形態によれば、第3セグメント97cは、デュロメータ硬度35DのPEBAX(商標)3533で形成することができる。第4セグメント97dは、第3セグメント97cに隣接させることができ、長さを約42.5インチとすることができる。少なくとも1つの実施形態によれば、第4セグメント97dは、デュロメータ硬度72DのPEBAX(商標)7233で形成することができる。

0045

セグメント97a〜セグメント97dについて上述した様々な長さ及び硬度は、その意図される用途の使用環境に応じて調整又は変更できると解すべきである。例えば、心臓が大きい患者及び/又は心臓が小さい患者には、1つ以上のセグメントを、硬く又は柔らかくする必要が生じ得る。セグメント97a〜セグメント97dについての重要な特徴は、最も柔らかいセグメントが第2セグメント97bであるということにある。また、第2セグメント97bは、先細の遠位端98から約6インチあけて配置される。本明細書で説明するように、第2セグメント97bの位置は、基本的に経中隔穿刺部位13と対応し、拡張器34aの湾曲はこの位置で最大とすることができる。

0046

図13A及び図13Bには、本発明に係る拡張器34bの別の実施形態が示してある。拡張器34bは、ユーザが該拡張器34bの遠位領域109を曲げられるように構成した、偏向可能な先端98aを備えることができる。偏向可能な先端98aは、ユーザが先端98を僧帽弁61の方向に概ね向けることを可能にすることにより、拡張器34bを僧帽弁61に通して前進し易くすることができる。少なくとも1つの実施形態によれば、拡張器34bは、シャフト96aの近位端104に連結したハンドルアセンブリ102を備えることができる。シャフト96aは、複数のセグメント、例えば上述したセグメント97a〜97dを備えることができる。例えば図13Bに示すように、シャフト96aの遠位端領域109に、1本以上の偏向ワイヤ106を連結することができる。偏向ワイヤ106は、任意で、シャフト96aの長手方向に沿って配置した第2内腔113内に配置することができる。追加の偏向ワイヤ106(図示なし)は、1つ以上の追加の内腔の中に備えることができる。

0047

偏向ワイヤ106は、ハンドルアセンブリ102に連結することができ、これにより遠位端98aを所望通りに曲げられる。一実施形態において、ハンドルアセンブリ102は、偏向ワイヤ106に連結した少なくとも1つのノブ115、スライダ等を備えることができ、ノブ115を動かすことより遠位端98aを移動させることができる。例えば、ノブ115は偏向ワイヤ106に連結することができ、該ノブ115は偏向ワイヤ106を概ねハンドルアセンブリ102の方へ引っ張り、遠位端98aを片側に屈曲させることができる。

0048

ハンドルアセンブリ102はまた、1つ以上の弁又は取付具を任意で備えることができる。例えば、ハンドルアセンブリ102は、内腔97内に液体が流れるように構成した取付具111(例えばルアーロック取付具であるが、これに限定されるものではない。)を備えることができる。ハンドルアセンブリ102はまた、送達ガイドワイヤ30(図示なし)で封止するように構成した弁112(例えば止血弁であるが、これに限定されるものではない。)を任意で備えることができる。

0049

内腔97の直径は、シャフト96aの長手方向に沿って変化させることができる。例えば、内腔97の直径は、遠位端98aの近位では、シャフト96aの他の部分に比べて、小さくすることができる。先端98aに近接する内腔97は、送達ガイドワイヤ30の直径よりもわずかに大きくすることができ(例えば、これに限定されるものではないが、0.018インチよりわずかに大きくすることができ)、こうすることで拡張器34aを送達ガイドワイヤ30上で上手く進めることができる。内腔97の他の部分は、拡張器34aを送達ガイドワイヤ30上で前進させる際に生じる引きずりを低減するように構成した、より大きな直径とすることができる。内腔97はまた、後述する穿刺ガイドワイヤ(例えば、第3ガイドワイヤ)を収容するのに十分な直径を有することができる。

0050

図14A〜図14Cには、本発明に係る拡張器34cのさらに別の実施形態が示してある。拡張器34cは、僧帽弁61を損傷させたり、僧帽弁61(例えば、心臓弁膜尖66、腱索及び/又は僧帽弁61の乳頭筋68)に引っかかったりすることなく、該拡張器34cを、僧帽弁61を通して前進させ易くするように構成した拡張可能な装置114(例えばバルーンであるが、これに限定されるものではない。)を含むことができる。拡張部114は、シャフト96bの遠位端領域109に近接させて、例えば、先細の先端98aにほぼ隣接させて、配置することができる。拡張部114は、これらに限定されるものではないが気体及び/又は液体等の拡張媒体(膨張流体)に流体連結することができ、該拡張媒体は、拡張部114を、図14Bに示す収縮位置又は後退位置から、図14Aに示す膨張位置又は拡張位置へと、拡張及び/又は拡大することができる。少なくとも1つの実施形態によれば、拡張媒体は二酸化炭素(CO2)ガス及び/又は生理食塩水を含むことができる。任意で、造影剤を拡張部114内に導入し、X線透視法等を用いて拡張部114の位置をより容易に視認できるようにすることができる。造影剤は、拡張部114の内面に塗布することができる。

0051

拡張媒体は、取付具111を通して導入することができる。少なくとも1つの実施形態によれば、図14Cに示すように、拡張媒体は、内腔116を介して拡張部114に連結することができる。言うまでもなく、拡張器34cを拡張又は膨張するときには、送達ガイドワイヤ30及び/又は穿刺ガイドワイヤを内腔97内に受け入れることができる。拡張媒体は、別の通路(すなわち、送達ガイドワイヤ30を受け入れるように構成した内腔97とは異なる通路)を介して拡張部114に連結することができる。この通路は、拡張媒体が操向ワイヤの周囲を通過するだけの余裕があれば、偏向ワイヤ106(例えば、操向ワイヤ)を収容するものと同じ内腔とすることができる。

0052

拡張部114は、これらに限定するものではないが、選択的に圧壊及び/又は拡張可能な、シリコーン及びYulex(商標)等の、弾性的に拡張/圧壊可能な材料を含むことができる。拡張部114は、拡張器34cのシャフト96bに結合することができ、また、拡張媒体(膨張流体)によって拡張部114の拡張/圧壊を可能にするための、1つ以上の通路、開口部又は内腔97に流体連結した内腔116を備えることができる。拡張部114の直径は、第1位置又は後退/圧壊位置にあっては、送達ガイドワイヤ30上を左心房6へと前進させることができる程度に小さくし、第2位置又は拡張/膨張位置にあっては、僧帽弁61の心臓弁膜尖66及び腱索68を通して前進させることができる程度に大きくし、心臓1を損傷する可能性及び/又は僧帽弁61内で引っかかる可能性を低減するべきである。例えば、シャフト97は、外径を約0.062インチ(例えば、5Fr)、長さを約110cm以上とすることができる。拡張部114は、長さを約8mm〜約10mmとし、第1位置においては直径を約0.100インチとし、第2位置においては直径を約15mm〜約20mmとすることができる。

0053

本明細書に記載するように、拡張器34cは、ユーザが拡張器34bの遠位領域109を屈曲できるように構成した、偏向可能な先端98aを任意で備えることができる。拡張器34cはまた、1つ以上のX線不透過性マーカ118a〜118nを任意で備えることができ、これらX線不透過性マーカは、例えば遠位端領域109の周囲に配置することができる。位置マーカ118a〜118nは、これに限定するものではないが、例えば遠位端98aから約2cmの間隔で、シャフト97に沿って等間隔に配置することができ、拡張器34cの位置確認及び/又は送達するインプラントのサイズ合わせに用いることができる。

0054

本明細書には、本発明に係る拡張器34の様々な実施形態が記載されているが、これら様々な実施形態における1つ以上の特徴は、いずれも他の任意の実施形態と組み合わせ得ることを理解されたい。本発明に係る拡張器34の全長(すなわち、遠位端98からハンドルアセンブリ102までの長さ)は、約145cm以下とすることができる。しかし、拡張器34の長さ及び/又は直径は、導入部位及び対象となる患者の生理機能に依存し得るものである。

0055

図15に示すように、拡張器34は、送達ガイドワイヤ30上を、送達ガイドワイヤ30の先端32に近接するまで前進させることができる。先端32は、心房壁に穴が開くことを防ぐために、拡張器34の先端98を越えて伸長させることができる。一実施形態によれば、拡張部114は、図示のように拡張することができる。図16に示すように、拡張器34は僧帽弁61の方向に概ね向けることができる。例えば、先端98は、本明細書で述べるように1つ以上のノブ等(図示なし)を作動させることで屈曲又は湾曲させることができ、それにより1本以上の偏向ワイヤを動かすことができる。送達ガイドワイヤ30の先端32は、任意で拡張器34の内腔97内に後退させ、遠位端領域109の柔軟性を高めることができる。拡張器34の湾曲は、X線透視法及び/又はエコーガイド法等を用いて確認することができる。例えば、造影剤及び/又はX線不透過性マーカを用いることができる。

0056

ここで図17に示すように、拡張器34を僧帽弁61に向け、拡張部114を膨張させた状態で、拡張器34の遠位端部領域109を僧帽弁61に通して前進させることができる。
拡張器34は、偏向可能な先端98及び/又は拡張部114を備えなくても僧帽弁を通して前進させることができるが、1つ以上の偏向可能な先端98及び/又は拡張部114を用いることで、心臓1を損傷させる可能性及び/又は僧帽弁61内で引っかかる可能性を低減することができると解すべきである。シャフト96の第2セグメント97bは、基本的に、経中隔穿刺部位13に近接する拡張器34の屈曲又は湾曲の位置に相当し得る。理解され得るように、経中隔穿刺部位13と左心室3との間の拡張器34の湾曲は、比較的急なものであることを要する。

0057

送達ガイドワイヤ30の先端32は、左心房6内にある拡張器34の内腔97内の、図16において配置されていた箇所に配置したままにすることができる。この時点ではまだ、拡張器34を、意図する移植部位(例えば、心臓の頂端36)に向けたり、方向付けたりすることはできない。それよりも重要な事項は、拡張器34の遠位端領域109を、心臓膜弁尖66及び策/乳頭筋68の損傷及び/又は引っかかりを引き起こすことなく、僧帽弁61に通すことである。

0058

図18に示すように、拡張器34は、該拡張器の遠位端109が心臓内における、意図する移植部位(ここでは、頂端36)に近接するように、心臓内の意図する移植部位(ここでは、頂端36)に向けて、延在させることができる。このように拡張器34を配置する前又は配置した後に、送達ガイドワイヤ30は、後退させ、第3ガイドワイヤ1801(例えば、穿刺ガイドワイヤ)と交換することができる。以下に詳述するように、第3ガイドワイヤ1801は、基本的に、心臓の意図する移植部位にある穿刺を通って延在するように機能し得、また、経心尖的送達方法を用いて、例えば開胸によって又は患者の胴にある切開部を通して、弁インプラントを送達するためのガイドワイヤとして、機能し得る。

0059

なお、いくつかの実施形態において、第3ガイドワイヤ1801は、図18における頂端36等の意図する移植部位にて、心臓を突き刺すように構成することができる。従って、例えば、第3ガイドワイヤ1801は、該第3ガイドワイヤが頂端36等の意図する移植部位に対して付勢されて、押し通される際に、該第3ガイドワイヤ1801が心臓を突き刺すことを可能にする、比較的鋭い遠位端(例えば、トロカール付先端)を備えるように構成することができる。代替的又は付加的に、第3ガイドワイヤ1801の遠位端は、突き通すことができるか、該第3ガイドワイヤ1801が移植部位に対して付勢され、ねじられたときに、該第3ガイドワイヤを、意図する移植部位に、他の方法で貫通させることができるように構成されている。いずれにしても、第3ガイドワイヤ1801は、例えば頂端36のような、心臓の意図する移植部位に押し付けること及び/又は該移植部位に突き通すことが可能な程度の剛性を有することができる。

0060

第3ガイドワイヤ1801で心臓を突き刺した後、該ガイドワイヤの遠位端は該心臓の外へ、そして心膜等の周囲の組織又は心膜腔にまで延在させることができる。この時点で、又は遠位端をさらに付勢させた後に、第3ガイドワイヤ1801は、該第3ガイドワイヤの遠位端が心臓の外へと十分な距離にわたって延在するまで、そして場合によっては患者の体外へと延在するまで、操作(例えば、把持)し、引っ張ることができる。例えば、開胸によって、又は他の切開部を介して、外科医は1つ以上の器械(例えば、把持具)を患者の胴に挿入し、第3ガイドワイヤ1801の遠位部をつかむか、他の方法で操作し、該第3ガイドワイヤを引っ張るか、他の方法で心臓のさらに外側へと前進させることができる。その時点で、図19に示すように、中空針1920、針ハブ1922及び/又は他の要素は、第3ガイドワイヤ1801上を前進させることができる。

0061

代替的又は付加的に、中空針1920(針ハブ1922に連結できる中空針)は、例えばX線透視法等又は他の画像化技術を用いて、心臓の外側の頂端36に近接して配置し、第3ガイドワイヤ1801の遠位端と、位置合わせをすることができる。中空針1920と第3ガイドワイヤ1801の遠位端との位置合わせを容易にするために、中空針1920及び第3ガイドワイヤ1801は、1つ以上のX線不透過性マーカ又は他の可視化マーカを備えることができる。実施形態において、中空針1920と第3ガイドワイヤ1801の遠位端との位置合わせは、中空針1920の内腔と第3ガイドワイヤ1801の遠位端とを、心臓の、意図する移植部位の両側に概ね向けることで達成されると考えられる。例えば、移植部位が頂端36の場合、中空針1920と第3ガイドワイヤ1801の遠位端との位置合わせは、第3ガイドワイヤ1801の遠位端を、左心室の内側にある該頂端36の第1位置に向けるステップと、該中空針の遠位端(番号なし)を心臓の外側にある該頂端36の第2位置に向けるステップと、を含むことができる。

0062

上述のような中空針1920の配置は、例えば、開胸によって、又は他の切開部を介して、中空針1920を挿入し、中空針1920を正しい位置に移動させることにより達成できる。例えば、中空針1920は、心臓の心膜1(図示なし)を突き刺すように、緩やかに操作することができる。中空針1920は、可視化手段(例えば、X線透視法)を用いて、心臓の外側の、意図する移植部位の第2位置に向け、該第2位置の近位へと前進させることができる。いくつかの実施形態において、中空針1920は、生検内腔を備える生検針(図示なし)と交換することができ、該生検針は、中空針1920の位置を確認するために挿入することができる第4ガイドワイヤ(図示なし)上を前進させることができる。生検針を使用すると、心膜等から組織を除去することができ、心膜及び/又は心臓の周囲の他の組織を介した、他の部品の挿入を容易にする。

0063

第3ガイドワイヤ1801の遠位端と中空針1920(又は生検針)との位置合わせをした後、第3ガイドワイヤ1801は意図する移植部位(例えば、頂端36)を通して中空針1920の内腔へと前進させることができる。代替的又は付加的に、中空針1920は、意図する移植部位(例えば、頂端36)を通して左心室3へと前進させることができる。同時に又はその後に、第3ガイドワイヤ1801は、図19に示すように、中空針1920の内腔内に収めることができる。

0064

いずれの場合も、第3ガイドワイヤ1801は、中空針1820、針ハブ1822を通して、押し出されるか、別の方法で前進させられ、心臓の外側にある心膜及び/又は心膜腔へと前進させられる。その後、第3ガイドワイヤ1801の遠位端は、該遠位端が心臓の外側へ十分な距離にわたって延在するまで、そして場合によっては患者の体外へ延在するまで、引っ張るか、別の方法で操作することができる。この時点で、ガイドワイヤ1801を左心室3内に残し、意図する移植部位(例えば、頂端36)を通して、心臓の外部の領域へと(そして、場合によっては患者の外部の領域へと)延在させたまま、中空針1920を心臓から除去することができる。その後、ガイドワイヤ1801は、心臓内へ他の機器や装置を前進させるための経路として使用することができる。例えば、図20に示すように、導入器2026及び/又は拡張器2028を、第3ガイドワイヤ1801に沿って、左心室3内に前進させることができる。

0065

導入器2026のシャフトの遠位端2030は、面取りを施して、導入器2026を頂端36の切開部に貫通させ易くすることができる。導入器2026はまた、所定屈曲部2027を特徴として備えることができる。所定屈曲部2027は、導入器2026の製造中に、該導入器2026に形成することができ、導入器2026の遠位端2030と僧帽弁61との位置合わせをし易くするように構成することができる。屈曲部2027がないと(例えば、導入器が線形だと)、導入器2026の先端2030の位置を、僧帽弁61、2つの乳頭筋間、そして僧帽弁61の流出路内に合わせるのが困難となり得る。図20において、屈曲部2027と僧帽弁61との位置合わせが完全でないように見えるが、これはひとつには、二次元の図面では容易に図示することができない三次元の経路に起因するものである。屈曲部2027は、頂端36にある切開部から外方に延在する導入器2026の主要部分の長手方向軸線に対して約20°〜40°、例えば30°の角度で設けることができる。

0066

導入器2026は、該導入器2026のシャフトを長手方向に分離させるように構成されたスプリッタ2032(「導入器ハブ」とも称する。)を任意で備えることができ、その場合、導入器2026が、容易に除去できるスプリットカテーテルを形成する一方、導入器2026の内腔内の物体(例えば、第3ガイドワイヤ1801、及び/又は導入器内に装填したインプラントの一部)を、導入器2026の内腔内にとどめておくことが可能である。スプリッタ2032は、他の装置及び/又は内腔を、選択的に、そして除去可能に密封し、及び/又は、スプリッタ2032へ、そして導入器2026の内腔内へ前進させられるように構成した封止シールを備えることができる。

0067

例えば、スプリッタ2032(導入器ハブ)は、少なくとも2つの部分、すなわち、優先の制御された剥離シームを備えるように成型したポリマーからなる外殻と、同様に成型された剥離シームを備える、シリコーンゴムからなる内側シールと、を備えることができる。外殻とシリコーンシールとは、両剥離シームが、導入器2026のシャフト/内腔と同軸に沿って配置されるように、機械的に接続されている。スプリッタ2032(導入器ハブ)は、導入器の管状シャフトの近位端に機械的に接続されている。スプリッタ2032(導入器ハブ)の外殻の「ハンドル」を、十分な力で反対方向に作動させ、導入器2026の軸線から該導入器2026の遠位端方向に回転させると、スプリッタ2032(導入器ハブ)の外殻及び内側シールの優先剥離シームを、分離させることができ、導入器2026の管の壁において、裂け目を広げることができる。スプリッタ2032(導入器ハブ)のハンドルをさらに分離させ続けると、導入器2026の管の裂け目を進行させ続けることができる。このようにして、ユーザは、裂け目が管の遠位端に到達し、導入器26の軸線方向の分離が完了するまで、ハンドルを分離し続け、管を裂くことができる。

0068

導入器2026を、頂端36の穿刺を通して左心室3内に前進させた後は、図21に示すように、1本以上(例えば、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上)の巾着縫合糸及び/又は1本以上(例えば、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上)の外科用綿撤糸2101を導入器2026のシャフト及び穿刺の周囲に固定することができる。巾着縫合糸及び/又は外科用綿撤糸2101は、手技中に導入器2026のシャフトに対し半径方向に圧縮力をかけるように構成されており、こうすることで切開部に近接する心臓組織を誤って引き裂く可能性を最小化し、手技中の血液損失も最小化する。例えば、1本以上の太い縫合糸を、導入器2026のシャフトの周囲に複数周にわたって掛けることができ、縫合糸を掛け終えたときに、該縫合糸を輪縄や巾着糸のようにきつく引っ張り、周辺の組織を導入器2026の周囲にしっかり保持することができる。縫合糸が組織を引き裂くのを防止するため、縫合糸を組織に通す都度、該縫合糸を、ポリエステル生地製の小さな外科用綿撤糸にも通す。例えば、それぞれ1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上の外科用綿撤糸を有する1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上の巾着縫合糸を用いて、導入器を心室壁に固定することができる。一実施形態において、それぞれ2本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、導入器2026を左心室壁に固定する。他の実施形態において、それぞれ3本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、導入器2026を左心室壁に固定する。他の実施形態において、それぞれ4本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、導入器2026を左心室壁に固定する。一実施形態において、それぞれ2本の外科用綿撤糸を有する4本の巾着糸を用いて、導入器2026を左心室壁に固定する。当該技術分野において知識を有する者であれば、本明細書に記載した方法に用いる巾着糸及び外科用綿撤糸の本数を容易に判断し得る。

0069

一実施形態において、拡張器2028は、第3ガイドワイヤ1801の少なくとも一部を受け入れるように構成した、少なくとも1つの内腔を備えることができる。例えば、内腔は、内径を約0.038インチとすることができる。拡張器2028はまた、先細の先端領域2046を有するシャフトを備えることができる。先端2046は、拡張器2028を第3ガイドワイヤ1801上に導入する際、該先端2046を、頂端36にある穿刺部位内に前進させ易くするために、備えることができる。全体的な湾曲を所望のものとするため、シャフトは、異なる剛性又は硬度を有する、複数のセグメント又は部分を含むことができる。シャフトは、これに限定されないが、ポリエーテルブロックアミド等の1種以上の適切なポリマーで形成することができる。シャフトは、一定の内径及び/又は外径を有することができ、異なる材料で作成して、様々な剛性又は硬度を備えることもできる。代替的又は付加的に、シャフトは、異なる内径及び/又は外径を有することができ、1種以上の材料で作成することができる。例えば、シャフトの様々な剛性又は硬度は、異なるセグメント又は部分においてシャフトの厚さを変化させることにより備えることができる。セグメントの異なる硬度により、拡張器2028に異なる程度の曲げ剛性を備えることができ、これにより、拡張器2028を左心室3の内側及び/又は外側へと前進させ易くすることができる。

0070

所定屈曲部2027によって、導入器2026の遠位端2030及び/又は拡張器2028の位置は、僧帽弁61と概ね合わせられる。以上を踏まえ、導入器2026を左心室3に配置した後、拡張器2028の先端2046が左心房6に入るまで、導入器2026は第3ガイドワイヤ1801上を前進させることができる。この動きを容易にするために、拡張器2028は、膨張させて腱索68を通過し易くするメッセンジャーバルーンを備えるように構成することができる(図14A参照)。しかし、導入器2026及び/又は拡張器2028は、第3ガイドワイヤ1801上を前進させることができるため、このようなメッセンジャーバルーンを使用する必要はない。

0071

導入器2026を、僧帽弁61を通して左心房6内へと前進させた後、拡張器2028は、導入器2026を通して引き抜くことができる。このようにして、図22に示すように、導入器2026の遠位端及び第3ガイドワイヤ1801を、左心房6内に残したままにする。その後、第3ガイドワイヤ1801は、経中隔穿刺13及び患者の血管を通して近位に引き戻すこと、又は導入器2026を通して遠位に引き戻し、開胸によって若しくは他の切開部を介して患者の体外へと引き戻すこと、によって引き抜くことができる。第3ガイドワイヤ1801を引き抜いた後は、図23に示すように、導入器2026の遠位端を左心房6内に残すことができる。

0072

ここで、同じく図23に示すように、インプラント2310を、例えば、スプリッタ2032を通して、導入器2026に装填することができる。インプラント2310を導入器2026に装填する前に、インプラント2310は脱気することができる。インプラント2310から混入した空気が患者の心臓血管系に導入された場合、空気は患者の脳又は患者の身体の他部位へと移動し、そこで例えば血液凝固等により、重大な身体的危害及び/又は死を招く可能性がある。後述するように、インプラント2310は、スペーサキャビティ2304を備える膨張弁本体2302と流体連通した少なくとも1つの内腔2303を備える細長いシャフト2301を備えることができる。インプラント2310はさらに、アンカーアセンブリ2316を備えることができる。インプラント2310の空気を抜くため、流体(例えば生理食塩水であるが、これに限定されるものではない。)を、内腔2303を通してスペーサキャビティ2304内に注入し、インプラント2310を導入器2026に挿入する前に、混入空気を排出及び/又は除去する。

0073

インプラント2310のシャフト2301は、導入器2026の長さよりも実質的に長くすることができ、該シャフトは、インプラント2310が心臓内に位置するときでも、例えば、開胸によって又は他の切開部を介して、心臓の外側、胸部空間内、そして場合によっては患者の体外へと延在させることができる。例えば、シャフト2301は、インプラント2310を左心房6/僧帽弁61内に配置したまま、外科医が患者の体外からインプラント2310を操作することができるようにするのに十分な長さとすることができる。シャフト2301は、これに限定するものではないが、内腔を画定するポリテトラフルオロエチレンPTFE)管等の、概して可撓性の管を備えることができる。任意で、シャフト2301の外面は、血塊がシャフト2301から外れることを防止するように構成した、布製外筒等を備えることができる。インプラント2310を取り付けたとき、シャフト2301が僧帽弁61に対するインプラント2310の位置を維持できるように、該シャフト2301は、任意で1つ以上の補強材(図示なし)を含んで、該シャフト2301に必要な剛性を備えることができる。この補強材は、例えば編組みメッシュ等を含むことができる。

0074

一実施形態においては、図23に示すように、シャフト2301はハンドルアセンブリ2354に固定し、アンカーアセンブリ2316はハンドルアセンブリ2354に近接して配置することができる。ハンドルアセンブリ2354は、図24に示すように、インプラント2310(例えば、収縮させた膨張弁本体2302)の少なくとも一部が左心房6内の導入器2026の遠位端2030の先へと突出するまで、導入器2026を通してインプラント2310を前進させるのに用いることができる。インプラント2310の弁本体2302の一部を導入器2026の遠位端2030の先へと突出させた後、導入器2026をわずかに後退させて、弁本体2302の残りの部分を遠位端2030の先へと突出させることができる。図25に示すように、弁本体2302はまた、ハンドルアセンブリ2354を用いて膨張させ、左心房6から引き戻し、僧帽弁3の環内に引き入れることができる。僧帽弁61の環内におけるインプラント2310の位置は、インプラント2310に備えた、X線透視法で視認可能な1つ以上のマーカ(例えば、放射線不透過マーカ)を用いて求めることができる。ここで、導入器2026の遠位端2030は左心室3に配置されている。造影剤を導入器2026内、そして左心室3内に注入し、僧帽弁61の心臓弁膜尖66と係合する弁本体は2302の働きによって、僧帽弁逆流が顕著に低減しているか否かを確認することができる。

0075

インプラント2310の構造の一例を図26に示す。前述のとおり、インプラント2310は、シャフト2301と、膨張弁本体2302と、を備える。膨張弁本体2302は、近位端と、遠位端とを有する。膨張弁本体2302の遠位端は、開口部2601から最も離れている。膨張弁本体2302の近位端は、開口部2601又はその近傍にある。いくつかの態様において、1つ以上のX線不透過性マーカが、膨張弁本体の近位端又はその近傍に配置されている。いくつかの態様において、1つ以上のX線不透過性マーカが、膨張弁本体の遠位端又はその近傍に配置されている。さらに別の態様において、1つ以上のX線不透過性マーカが、膨張弁本体の近位端及び遠位端、又はそれらの近傍に配置されている。言うまでもなく、1つ以上のX線不透過性マーカは、医師が本明細書に記載した方法を実施するのに役立つ。公知の技術(例えば、X線、X線透視法等)を用いて、医師は患者の体内へのインプラント2310の正確な配置を確認することができる。

0076

シャフト2301は、スペーサキャビティ2304と流体連通した内腔2303を備える。一実施形態において、シャフト2301は、少なくとも膨張弁本体の近位端(例えば、開口部2601又はその近傍)まで延在する。他の実施形態において、シャフト2301は、膨張弁本体2302の近位端を通って延在する。他の実施形態において、シャフト2302が、膨張弁本体2302の遠位端に取り付けられており、膨張弁本体の近位端を通って延在する。インプラント2310の任意の部分又は全ての部分を、生理学的に許容可能な材料、例えばElast−Eon(商標)等の材料によって形成することができる。いくつかの態様において、少なくとも膨張弁本体2302の壁部は、弾性変形可能で生理学的に許容可能な材料によって形成されている。

0077

膨張弁本体2302の壁部の第1端(例えば、近接端)は、シャフト2301の一部に連結若しくは取り付けること、該シャフト2301の一部と一体型に形成すること、又は別の方法で該シャフト2301の一部に固定することができる。図27に示すように、インプラント2310は、シャフト2301との接続点に近接した開口部2601を備えることができ、該開口部2601は、シャフト2301の内腔2303と、膨張弁本体2302のスペーサキャビティ2304とを流体連通させることができ、拡張媒体(例えば生理食塩水等であるが、これに限定されるものではない。)を、膨張装置2701からスペーサキャビティ2304内に入れることを可能にする。膨張装置2701は、例えば、ハンドルアセンブリ2354(例えば、図23及び29Aに示すハンドルアセンブリ)又は膨張ポート2901(例えば、図29Bに示す膨張ポート)にすることができる。いずれの場合も、開口部2601は、弁本体2302の構成部分とすること及び/又はシャフト2301の延長部を含むことが可能である。

0078

キャビティ2304は、開口部2601と膨張弁本体2302の壁部とによって画定することができる。膨張弁本体2302の遠位端は、弁本体2302の遠位端を封止するように構成された端栓2602を備えることができる。代替的に、膨張弁本体2302の遠位端は、スペーサキャビティが弁本体2302の遠位端にて自然に封止されるように、連続的な材料片で形成することができる。

0079

言うまでもなく、外科医は、拡張媒体又は膨張媒体を、例えば内腔2303を介して、スペーサキャビティ2304に注入し、又はスペーサキャビティ2304から抜き出すことで、膨張弁本体2302、具体的にはスペーサキャビティ2304を、選択的に拡張及び収縮させることができる。スペーサキャビティ2304を所望の度合まで膨張させた後、膨張の度合は膨張装置2701によって維持することができ、該膨張装置2701は、シャフト2301の近位端にて内腔2303をふさぐか、支えることにより、スペーサキャビティ2304からの拡張媒体又は膨張媒体の抜き出しを制限し、又は防止するように構成することができる。

0080

図27では、インプラント2310が、膨張弁本体2302が心臓内にある状態で示されている。インプラント2310のシャフト2301は、導入器2026(例えば、スプリットカテーテル)の中に配置され、膨張装置2701に連結されている。アンカーアセンブリ2316もまた、膨張装置2701に近接して配置された状態で示されている。膨張装置2701は、拡張媒体(膨張流体)を、シャフト2301の内腔2303を介して、インプラント2310の本体2302へと注入し、該本体2302から抜き出すための、拡張媒体の供給源(例えば、プランジャシリンジ、膨張ポート等)を含むか、備えるか、該供給源に連結することができる。従って、外科医又は医師は、拡張媒体の供給源との間の、拡張媒体の流入又は抜き出しを適切に制御することにより、拡張媒体の膨張(例えば、注入)及び/又は抜き出しを制御することができる。

0081

前述のとおり、外科医は、膨張装置2701(例えば、ハンドルアセンブリ2354)を用いて、膨張弁本体2302を僧帽弁61内に配置するように、インプラント2310を操作することができる。膨張弁本体2302はまた、膨張装置2701及び連結された拡張媒体の供給源を用いて、所望の大きさまで拡張することができる。スペーサキャビティ2304は、膨張弁本体2302の所望の大きさを決定した後に、膨張装置2701を用いて封止することができる。

0082

膨張弁本体2302の動作を確認し、スペーサキャビティ2304を封止した後は、例えば、図28に示すように、導入器2026を、シャフト2301から除去することができる。例えば、スプリッタ2032を用いて、例えば、2つの半部2808(1)、2808(2)を、概ね矢印2810(1)、2810(2)の方向に引っ張ることで、導入器2026を、その長手方向に沿って2つ以上の部分2806(1)、2806(2)に分割することができる。導入器2026を分離させると、該導入器2026は、頂端36にある穿刺を通して心臓から後退させることができる。巾着縫合糸2101(明確にするため、図示はなし)はまた、導入器2026を頂端36にある穿刺から除去するのに伴ってきつく締めて、血液損失を最小化させることができる。例えば、図29A及び29Bに示すように、導入器2026をシャフト2301から除去した後、アンカーアセンブリ2316は、該アンカーアセンブリ2316が心臓の頂端36に隣接及び/又は当接するまで、シャフト2301に沿って前進させることができる。

0083

図29Aに示し、上述したように、膨張装置2701は、膨張ハンドルアセンブリ2990の形態とすることができる。図29Aに示すように、膨張ハンドルアセンブリ2990は、プランジャ、シリンジ等の拡張媒体供給源2910に流体連結することができる膨張ポート(番号なし)を備えることができる。膨張ハンドルアセンブリ2990及び/又は拡張媒体供給源2910を適切に操作することにより、外科医は、拡張媒体(膨張流体)を、インプラント2310のスペーサキャビティ2304へと注入し、又は該スペーサキャビティから抜き出すことができる。

0084

代替的又は付加的に、膨張装置2701は、図29Bに示すように、膨張ポート2901(例えば、注入ポート)の形態とすることができる。この場合、膨張ポート2901(例えば、注入ポート)は、セプタム2902、及びインプラント2310のシャフト2301の内腔2303と流体連通した少なくとも1つの(例えば、1つ以上の)開口部又は内腔を備える。いくつかの実施形態において、膨張ポート2901は、内腔2303そして膨張弁本体2302への、拡張媒体(膨張流体)の導入を可能にするように構成されている。一実施形態において、膨張ポート2901は、内腔2303及び膨張弁本体2302と流体連通している。

0085

膨張ポート2901(例えば、注入ポート)は、シャフト2301の内腔2303の不使用時、例えば、膨張弁本体2302の所望の大きさ/動作が達成されたときには、シャフト2301の内腔2303を封止するように構成することができる。インプラント2310への拡張媒体(膨張流体)の注入及び/又は該インプラント2310からの拡張媒体(膨張流体)の抜き出しを容易にするために、ポート2901はセプタム2902を備える。いくつかの実施形態において、セプタム2902は突き刺し可能なセプタムである。いくつかの実施形態において、セプタム2902は自己封止型のセプタムである。いくつかの実施形態において、セプタム2902は、突き刺し可能であり、自己封止型である。例えば、セプタム2902は、シリンジの針で突き刺すことができ、その後、シリンジは、拡張媒体を、ポート2901(従って、インプラント2310)へと注入、又は該ポート2901から引き出すことができる。当該技術分野において知識を有する者であれば、セプタム2902が、該セプタム2902を突き刺し可能及び/又は自己封止型にする(例えば、針で突き刺された後、該針をセプタムから引き抜いた後に自己封止する)ことができるいくつかの適当な材料のいずれかを含むことを、容易に理解し得る。例えば、セプタム2902は、シリコーン、シリコーンゲルニトリルゴムポリウレタン及び熱可塑性樹脂のいずれか1つ、又はこれらの組合せで構成される。注入ポートの不使用時(例えば、針がセプタムを突き刺していないとき)には、注入ポート2901及びセプタム2902は、液密及び/又は気密となっている。ポート2901、内腔2303、及び膨張弁本体2302に収容された拡張媒体(例えば、液体及び/または気体)は、インプラントから漏れ出ることはない。任意の適切なポートを注入ポート2901として使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、SyncMedical社から市販されている「Primo Port」(商標)が、注入ポート2901として使用されている。

0086

いくつかの実施形態において、拡張媒体(膨張流体)は、例えば、生理食塩水等の任意の適切な流体とすることができる。一実施形態において、拡張媒体は液体である。膨張弁本体2302を膨張するのに用いることができる適切な液体が数種類ある。例えば、通常の生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、リンゲル液、水(例えば、殺菌水、脱イオン水等)、造影剤(例えば、ヨード造影剤バリウム造影剤)を拡張媒体として用いることができる。一実施形態において、拡張媒体は水を含む。一実施形態において、拡張媒体は造影剤を含む。他の実施形態において、造影剤はヨード造影剤を含む。他の実施形態において、造影剤はバリウム造影剤を含む。

0087

他の実施形態において、拡張媒体はゲルである。他の実施形態において、拡張媒体は気体である。一実施形態において、気体は空気を含む。他の実施形態において、気体はCO2(二酸化炭素)を含む。他の実施形態において、気体はN2(窒素)を含む。

0088

いくつかの実施形態において、例えば、膨張流体の量を増加させたり、膨張流体の一部を取り除いたりすること等によって、インプラント2310に長期の調整機能を備えることを可能にするために、膨張ポート2901(注入ポート)は患者の体内に移植される。この場合、注入ポート2901は生体適合材料で形成することができる。いくつかの実施形態において、注入ポートは、本明細書に記載した装置及び方法において有用となる、他の機械的特性及び生理学的特性を有する材料を含む。追加的な特性としては、例えば、低アレルギー誘発性抗炎症性、及び抗菌性を備えることができる。当該技術分野における知識を有する者であれば、注入ポート2901は、医師が該注入ポート2901に容易にアクセスできるような態様で、患者の体内に移植(例えば、皮下に 移植)できることを容易に理解し得る。いくつかの実施形態において、注入ポートはさらに1つ以上の縫合糸穴を備え、注入ポートを縫合糸で固定することを可能にする。

0089

図29Cに示すように、注入ポート2901は患者の皮下に移植することができる。当該技術分野における知識を有する者であれば理解し得るように、注入ポートは、任意の数の解剖学的部位にて、スキンラインの下に(例えば、皮下に )固定することができる。一実施形態において、注入ポート2901は胸壁又はその近傍にある。他の実施形態において、注入ポート2901は皮下に移植され、患者の胸壁、その近傍、心臓の頂端近傍に配置される。一実施形態において、注入ポートは腹部又はその近傍にある。他の実施形態において、注入ポート2901は患者に経皮的に移植される。

0090

再度図29Bを参照すると、心臓弁インプラント2310は、アンカーアセンブリ2316によって、心臓の頂端36の外面に固定されて示されている。アンカーアセンブリ2316を心臓1に固定した後、シャフト2301はアンカーアセンブリ2316に近接して封止することができ、シャフト2301は封止シールに近接して切断することができる。代替的又は追加的に、シャフト2301は、膨張装置(例えば、膨張ポート2901)によって封止したままにすることができ、この場合には、その後のインプラント2310の膨張を調整することが可能となる。前述のとおり、例えば、インプラント2310の膨張の長期の調整が所望される場合、膨張装置2701(例えば、膨張ポート2901)それ自体を患者の体内に移植(例えば、皮下に移植)することができる。いくつかの態様において、インプラント2310を取り付けると、膨張弁本体2302は、元々の僧帽弁61の少なくとも一部(例えば、心臓弁膜尖66)と相互作用及び/又は協働(例えば、係合)し、逆流を低減及び/又は解消するように構成されている。従って、インプラント2310、特に膨張弁本体2302の構成及び/又は形状寸法は、患者の僧帽弁61の状態及びその損傷についての詳細によって異なり得る。また、インプラント2310(例えば、膨張弁本体2302及び/又はシャフト2301)は、インプラント2310がその機能を意図したとおりに発揮するように、膨張弁本体2302を僧帽弁66内に維持するのに十分な全体的剛性を備えることができる。

0091

図30及び31には、膨張ハンドルアセンブリ2990の一実施形態が示されている。シャフト2301の近位端2992は、膨張ハンドルアセンブリ2990の一部に恒久的に又は解放可能に固定することができる。例えば、シャフト2301は、1つ以上の封止シール2994を用いて、密封し、膨張ハンドルアセンブリ2990に連結することができる。膨張ハンドルアセンブリ2990の本体2996は、シャフト2301の内腔2303に流体連結した膨張ポート2998を備える。膨張ポート2998は、本明細書に記載するように、スペーサキャビティ2304に拡張媒体を供給するため、膨張供給源(例えば、プランジャ/シリンジ等(図示なし)であるが、これらに限定されるものではない。)に固定するように構成する。

0092

プランジャワイヤ2982は、シャフト2301の内腔2303から延在し、膨張ハンドルアセンブリ2990の本体2996を通過する。プランジャワイヤ2982を本体2996に通過させる際、本体96 をプランジャワイヤ2982に固定するために、1つ以上の封止シール2999を備えることができる。プランジャワイヤ2982の近位端は、任意で、変換装置2900に固定する。リング滑動部、ノブ等を備えることができる変換装置2900は、本体2996に対して移動し、内腔2303内のプランジャワイヤ2982を押すこと又は引くことにより、内腔2303を封止又は封止解除するように構成することができる。例えば、変換装置2900が図30に示す位置にあるとき、プランジャワイヤ2982は、シャフト2301の内腔2303内に配置することができ、これにより、内腔2303を封止することができる。変換装置2900が、図31に示す位置にあるとき、プランジャワイヤ2982は、シャフト2301の近位端から、少なくとも部分的に引き戻されるようにすることができ、これにより内腔2303を封止解除し、拡張媒体の注入/抜き出しを可能にする(明確にするため、プランジャワイヤ2882の引き戻しの図示はなし)。

0093

膨張ハンドルアセンブリ2990は、任意で、該膨張ハンドルアセンブリ2990を片手で取り扱い易くするように構成した、本体2996から延在する1つ以上のハンドル機構2950を備えることができる。例えば、膨張ハンドルアセンブリ2990は、本体2996のほぼ両側に配置した2つのハンドル機構2950を備えることができ、このハンドル機構はそれぞれ、ユーザの別々の指を受け入れるように(例えば、人差し指中指とを、それぞれ受け入れるように)構成されている。変換装置100は、ユーザの親指を受け入れるように構成したリングを、特徴として備えることができる。この装置によれば、外科医は、膨張ハンドルアセンブリ2990を片手でつかみ、変換装置2900を前後に平行移動させて、プランジャワイヤ2982を、シャフト2301の内腔2303の内外へと付勢することができる。この装置は、外科医が内腔2303の封止及び封止解除を制御することを可能にし、また、外科医が他方の手で拡張媒体源を制御することを可能にし得る。

0094

図32図35には、アンカーアセンブリ2316の一実施形態についての様々な図が示してある。図34のB−B線に沿った断面図である図33から最もよく理解することができるように、アンカーアセンブリ2316は、クランプリング3212、カラー3214、ナット3216、アンカー支持具3218、及び任意でフェルトパッド3220を備える。アンカーアセンブリ2316は、該アンカーアセンブリを通して延在する通路3222を画定し、該通路は、インプラント2310のシャフト2301を受け入れ、該シャフト2301上を前進するように構成されている。クランプリング3212、カラー3214及びナット3216は、シャフト2301の周辺部の周り圧縮嵌め部を画定するように構成され、これにより、アンカーアセンブリ2316をシャフト2301に固定する。具体的には、アンカーアセンブリ2316を所定の位置に配置した後(例えば、頂端36に近接する切開部位を囲む組織に当接させた後)、外科医は、ナット3216を回転させつつアンカー支持具3218を保持することで、クランプリング3212及びカラー3214を圧縮し、シャフト3214に対し放射状の圧縮力を印加する。放射状の圧縮力は、アンカーアセンブリ2316をシャフト2301に固定する。図示の目的としては、アンカー支持具3218は、長さLを0.875cm、厚さTを0.030cmとすることができ、通路3222は、直径Dを0.116cmとすることができる。

0095

アンカーアセンブリ2316を心臓に固定するために、アンカー支持具3218は心臓組織に縫合することができる。アンカー支持具3218は、1つ以上の開口部3224及び/又はアーム3226を備えることができ、これらに1本以上の縫合糸(明確にするため、図示はなし)を通して、アンカー支持具3218を心臓組織に縫い付け、アンカーアセンブリ2316を固定することができる。アンカー支持具3218の取付面3228は湾曲を有することができ、該湾曲は頂端7近傍の切開部位に近接する心臓組織の湾曲と実質的に対応する。アンカー支持具3218は、任意で、外科用綿撤糸材料によって、被覆コーティング包装することができる。外科用綿撤糸材料は、組織をアンカー支持具3218上に成長させ易くすることで、アンカーアセンブリ2316と心臓との間の接続をより向上させる。

0096

他のアンカーアセンブリを用いて、インプラント2310を心臓に固定することができる。例えば、1つ以上のプロングバーブステープル、クランプ及び/又は螺旋状スクリューを用いて、インプラント2310を心臓に固定することができる。

0097

本明細書に記載するように、心臓弁インプラントを心臓内に送達する方法は、様々な手法によって達成される。一実施形態において、該方法は、心臓弁インプラントを、心臓内に経心尖的に送達するステップを含む。図36に示すように、本発明に係る経心尖システム及び方法は、左心室5へのアクセスを伴う。

0098

業者であれば、本明細書に記載した方法を実施する前に、1本以上の巾着縫合糸を所定の位置に配置することを容易に理解し得る。一実施形態において、中空針20を左心室5(図36に図示なし )の頂端7を通して挿入する前に、1本以上の巾着縫合糸及び/又は外科用綿撤糸を、心臓の頂端7又はその近傍に固定する。巾着縫合糸及び/又は外科用綿撤糸34(図40参照)は、切開部に近接する心臓組織を誤って引き裂く可能性を最小化し、手技中の血液損失も最小化するように構成する。

0099

縫合糸が組織を引き裂くのを防止するため、縫合糸を組織に通す都度、該縫合糸を、ポリエステル生地製の小さな外科用綿撤糸にも通す。例えば、それぞれ1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上の外科用綿撤糸を有する1本、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又はそれ以上の巾着縫合糸を用いて、心臓を固定し、中空針20が頂端7を通して挿入されるようにすることができる。一実施形態において、それぞれ2本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、心臓を固定する。他の実施形態において、それぞれ3本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、心臓を固定する。他の実施形態において、それぞれ4本の外科用綿撤糸を有する2本の巾着糸を用いて、心臓を固定する。一実施形態において、それぞれ2本の外科用綿撤糸を有する4本の巾着糸を用いて、心臓を固定する。当該技術分野において知識を有する者であれば、本明細書に記載した方法に用いる巾着糸及び外科用綿撤糸の本数を容易に判断し得る。

0100

図36に示すように、1本以上の外科用綿撤糸を有する1本以上の巾着縫合糸を所定の位置に配置した後、針ハブ22に連結させることのできる中空針20を、左心室5の頂端7を通して、左心室5内に挿入する。図37に示すように、左心室5へのアクセスが得られた後、中空針20の内腔を通して、ガイドワイヤ24を左心室5内に導入する。ガイドワイヤ24は1/32インチのワイヤを備えることができ、また該ガイドワイヤ24は、左心室5内にある中空針20の内腔を抜けた後、湾曲した、尾状の形状を任意で形成することができる。

0101

図38に示すように、ガイドワイヤ24が左心室5内にある状態で、中空針20を心臓1から除去し、ガイドワイヤ24を左心室5内に残す。ガイドワイヤ24は、心臓1内に他の機器や装置を前進させるための経路として使用することができる。例えば、図39に示すように、導入器26及び/又は拡張器28を、ガイドワイヤ24に沿って、左心室5内へと前進させることができる。

0102

導入器26のシャフトの遠位端30は、面取りを施して、導入器26を頂端7の切開部に貫通させ易くすることができる。導入器26はまた、所定屈曲部27を特徴として備えることができる。所定屈曲部27は、導入器26の製造中に該導入器26に形成し、導入器26の遠位端30と僧帽弁3との位置合わせをし易くするように構成する。屈曲部27がないと(例えば、導入器が単に線形だと)、導入器26の先端30の位置を、僧帽弁3、2つの乳頭筋間そして僧帽弁3の流出路内に合わせるのが非常に困難となる。屈曲部/湾曲部27と僧帽弁3との位置合わせが完全でないように見えるが、これはひとつには、二次元の図面では容易に図示することができない三次元の経路に起因するものである。屈曲部27は、頂端7にある切開部から外方に延在する導入器26の主要部分の長手方向軸線に対して約20°〜40°、例えば30°の角度で設けることができる。

0103

導入器26は、該導入器26のシャフトを長手方向に分離させるように構成されたスプリッタ32(「導入器ハブ」とも称する。)を任意で備えることができ、その場合、導入器26が、容易に除去できるスプリットカテーテルを形成する一方、導入器26の内腔内の物体(例えば、ガイドワイヤ24、及び/又はインプラント10の一部)を、導入器26の内腔内にとどめておくことが可能である。スプリッタ32は、他の装置及び/又は内腔を、選択的に、そして除去可能に密封し、及び/又は、スプリッタ32へ、そして導入器26の内腔内へ前進させられるように構成した封止シールを備えることができる。

0104

例えば、スプリッタ32(導入器ハブ)は、少なくとも2つの部分、すなわち、優先の制御された剥離シームを備えるように成型したポリマーからなる外殻と、同様に成型された剥離シームを備える、シリコーンゴムからなる内側シールと、を備えることができる。外殻とシリコーンシールとは、両剥離シームが、導入器26のシャフト/内腔と同軸に沿って配置されるように、機械的に接続されている。スプリッタ32(導入器ハブ)は、導入器の管状シャフトの近位端に機械的に接続されている。スプリッタ32(導入器ハブ)の外殻の「ハンドル」を、十分な力で反対方向に作動させ、導入器26の軸線から該導入器26の遠位端方向に回転させると、スプリッタ32(導入器ハブ)の外殻及び内側シールの優先剥離シームを、完全に分離させ、導入器26の管の壁において、裂け目を広げる。スプリッタ32(導入器ハブ)のハンドルをさらに分離させ続けると、導入器26の管の裂け目が進行し続ける。このようにして、ユーザは、裂け目が管の遠位端に到達し、導入器26の軸線方向の分離が完了するまで、ハンドルを分離し続け、管を裂く。

0105

一実施形態において、拡張器28は、送達ガイドワイヤ24の少なくとも一部を受け入れるように構成した、少なくとも1つの内腔を備えることができる。例えば、内腔は、内径を約0.038インチとすることができる。拡張器28はまた、先細の先端領域46を有するシャフトを備えることができる。先細の遠位端46は、拡張器28を送達ガイドワイヤ24上に導入する際、該遠位端46を頂端7にある穿刺部位内に前進させ易くするために、備えることができる。全体的な湾曲を所望のものとするため、シャフトは、異なる剛性又は硬度を有する、複数のセグメント又は部分を含むことができる。シャフトは、これに限定されないが、例えばポリエーテルブロックアミド等の1種以上の適切なポリマーで形成することができる。シャフトは、一定の内径及び/又は外径を有することができ、異なる材料で作成して、様々な剛性又は硬度を備えることもできる。代替的又は付加的に、シャフトは、異なる内径及び/又は外径を有することができ、1種以上の材料で作成することができる。例えば、シャフトの様々な剛性又は硬度は、異なるセグメント又は部分においてシャフトの厚さを変化させることにより備えることができる。セグメントの異なる硬度により、拡張器28に異なる程度の曲げ剛性を備えることができ、これにより、拡張器28を左心室3の内側及び/又は外側へと前進させ易くすることができる。

0106

導入器26を左心室5に配置した後、図41に示すように、導入器26及び拡張器28を左心室5内に残したままガイドワイヤ24を除去することができる。所定屈曲部27によって、導入器26の遠位端30及び/又は拡張器28の位置は、僧帽弁3と概ね合わせられる。図42に示すように、収縮させた膨張弁本体(バルーン)48は、該膨張弁本体48の少なくとも一部が導入器26の遠位端30及び/又は拡張器28から抜け出るまで、導入器26及び/又は拡張器28の内腔を通して前進させることができる(図42において拡張器28は、明確にするため、導入器26内に後退させた状態で表示している)。心臓弁インプラントのシャフト50は、導入器26に対する膨張弁本体48の位置を示す、表示51を備えることができる。例えば、表示(シャフト50を覆う生地の近接端を含むことのできる表示)と、スプリッタ32との位置が合っているとき、及び/又は表示がスプリッタ32よりも数mm突出しているとき、膨張弁本体48は、導入器26の端部30から約1cm突出している。

0107

膨張弁本体48は、部分的に拡張したときに、僧帽弁3を損傷させたり、僧帽弁3(例えば、僧帽弁3の心臓弁膜尖4、腱及び/又は乳頭筋8)に引っかかったりすることなく、導入器26及び/又は拡張器28を、僧帽弁3を通して、非外傷的に前進させ易くするように構成する。膨張弁本体48は、シャフト50の遠位端領域に近接して配置することができ、これらに限定するものではないが、例えば気体及び/又は液体等の拡張媒体に、シャフト50を通して流体連結させることができる。該拡張媒体は、膨張弁本体48を、図42に示す収縮位置又は後退位置から、図43に示す膨張位置又は拡張位置へ、拡張及び/又は拡大させることができる(ただし、膨張弁本体48は、部分的にのみ、導入器26から延在する)。膨張弁本体48は、非外傷性の「バンパー」先端部として機能する柔軟な先端を形成し、左心室5の繊細な内壁心内膜)を損傷させるリスク、さらには刺激するリスクさえも最小限にする。左心室5との物理的な接触は、危険な不整脈を引き起こしかねない。少なくとも1つの実施形態によれば、拡張媒体は、二酸化炭素(CO2)ガス、生理食塩水、又は水を含むことができる。任意で、造影剤を膨張弁本体48の中に導入し、X線透視法等を用いて膨張弁本体48の所在を確認できるようにすることができる。いくつかの実施形態において、造影剤で膨張弁本体48の内側表面を覆い、膨張弁本体48全体の輪郭を観察する。

0108

膨張弁本体48は、これらに限定するものではないが、選択的に圧壊及び/又は拡張可能な、シリコーン及びYulex(商標)等の、弾性的に拡張/圧壊可能な材料を含むことができる。膨張弁本体48は、シャフト50に結合することができ、また、拡張媒体によって膨張弁本体48の拡張/圧壊を可能にするための、1つ以上の通路、開口部又は内腔を備えることができる。膨張弁本体48の直径は、第1位置又は後退/圧壊位置にあっては、導入器26及び/又は拡張器28を通して、左心室5へと前進させることができる程度に小さくし、第2位置又は拡張/膨張位置にあっては、僧帽弁3の心臓弁膜尖4及び腱索8を通して前進させることができる程度に大きくし、心臓1を損傷する可能性及び/又は僧帽弁3内で引っかかる可能性を低減するべきである。例えば、シャフト50は、外径を約0.062インチ(例えば、5Fr)とすることができる。一実施形態において、膨張弁本体48は、第1位置において、約0.01インチ〜約0.50インチの直径を有する。他の実施形態において、膨張弁本体は、第1位置において、約0.05インチ〜0.25インチの直径を有する。一実施形態において、膨張弁本体は、第1位置において、0.100インチの直径を有する。他の実施形態において、膨張弁本体は、第2位置において、約15mm〜約20mmの直径を有し、約8mm〜約10mmの長さを有する。

0109

図44に示すように、膨張弁本体48は、僧帽弁3に向けて前進させる。同図から分かるように、導入器26の屈曲部27は、導入器26を空間的に正しい方向に向けて、2つの乳頭筋の間にある空間を発見し、腱索を避けるのに役立つ。上述したように、二次元の図面の制限により、屈曲部27の利点を完全に伝えることはできない。膨張式本体48は、僧帽弁3に近接させた状態で、該僧帽弁3を通して前進させることができる。左心室5から僧帽弁3を通って左心房6へと流れる逆流(正常な僧帽弁においても生じる逆流である。)は、図24及び25に示すように、膨張させた膨張弁本体48を僧帽空間へ「引き込み」、最終的に膨張弁本体48を左心房6内に前進させるのに役立つ。その後、導入器26及び拡張器28は、左心房6内に前進させる。

0110

前述のとおり、膨張弁本体48の配置は、X線透視法を用いて、1つ以上のX線不透過性マーカ及び/又は膨張弁本体内の造影剤によって確認する。

0111

本明細書に記載したように心臓弁インプラントを送達した後に、膨張弁本体は、閉口位置にある弁を通る血流(すなわち、逆流)の量を低減又は制限するように構成されている。いくつかの実施形態において、閉口位置にある弁を通る血流(僧帽弁逆流)のほぼ100%が、解消、低減、又は制限される(治療される)。言い換えると、心臓弁インプラントの送達後、僧帽弁逆流が殆ど又は全く生じない。他の実施形態において、僧帽弁逆流の100%未満(すなわち99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ以下)が、解消、低減、又は制限される(治療される)。当該技術分野における知識を有する者であれば理解し得るように、僧帽弁逆流の低減の量は、注入ポート(図29B、29C参照)に注入される拡張媒体(膨張流体)の量によって調整する。膨張弁本体内の拡張媒体の量(例えば、体積)は、閉口位置にある弁を通る血流量に影響を及ぼす。

0112

いくつかの実施形態において、心臓弁インプラントを心臓内に経心尖的に送達する方法はさらに、膨張弁本体内の膨張流体の量(例えば、体積)を調整するステップを含み、心臓弁が閉口位置にあるときの血流量、又は逆流する血流量を解消、低減、又は制限(すなわち、治療)する。心臓弁が閉口位置にあるときの血流量、又は逆流する血流量の低減、制限、又は解消は、割合(例えば、基準量からの低減の割合)、体積(例えば、mL、L等)、又は他の適切な測定単位によって測定することができる。心臓弁インプラントの送達直後の逆流を100%低減することが、特定の患者や個人にとっては、最も効果的な治療とは限らないことは、当該技術分野における知識を有する者には明らかである。また、全ての治療の後、逆流を100%低減すること、又は完全に解消することが、最も効果的な治療とは限らないことも、当該技術分野における知識を有する者には明らかである。いくつかの実施形態において、心臓弁インプラントを通る逆流の段階的な低減は一定の期間をかけて生じ、1回以上の治療(例えば、膨張弁本体の調整)によって実施される。

0113

一実施形態において、心臓弁インプラントは、心臓弁が閉口位置にあるときの血流を、少なくとも1%から約100%を低減させる。他の実施形態において、逆流は約5%から約90%低減される。他の実施形態において、逆流は約10%から約80%低減される。他の実施形態において、逆流は約15%から約70%低減される。他の実施形態において、逆流は約20%から約60%低減される。他の実施形態において、逆流は約25%から約50%低減される。他の実施形態において、逆流は約30%から約60%低減される。他の実施形態において、逆流は約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%低減される。いくつかの実施形態において、心臓弁が閉口位置にあるときに、血流を段階的に矯正すると、逆流が低減される結果、心肺システム及び/又は他の臓器システム生理的変化(例えば、心拍出量及び駆出率の増加)に順応できる。

0114

いくつかの実施形態において、本明細書に記載した方法は、1回以上(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、又はそれ以上)の治療にわたって生じる逆流の低減、制限又は解消を含む。本発明において、「治療」は、患者の心臓血管系に影響を及ぼす全ての介入を含む。一実施形態において、治療は、注入(膨張)ポートを介した、拡張媒体による、膨張弁本体の調整を含む。他の実施形態において、治療は、心臓内における心臓弁インプラントの位置の調整を含む。他の実施形態において、治療は、注入(膨張)ポートを介した、膨張媒体による、膨張弁本体の調整、及び心臓内における心臓弁インプラントの位置の調整を含む。

0115

いくつかの実施形態において、該方法はさらに、一定期間にわたる1回以上の治療を含む。任意の回数の治療を行うことができ、各治療の間に任意の期間を設けることができることは、当該技術分野における知識を有する者には明らかである。一実施形態において、各治療は、1日以上(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、又はそれ以上)ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、1日おき(例えば、2日ごと)に行われる。他の実施形態において、各治療は、3日ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、4日ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、5日ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、6日ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、7日(1週間)ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、1週間以上(例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、又はそれ以上)ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、1週間おきに行われる。一実施形態において、各治療は、3週間ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、4週間ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、5週間ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、6週間ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、7週間ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、8週間ごとに行われる。他の実施形態において、各治療は、1月以上(例えば、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、又はそれ以上)ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、1月おきに行われる。一実施形態において、各治療は、3月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、4月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、5月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、6月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、7月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、8月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、9月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、10月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、11月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、12月ごとに行われる。一実施形態において、各治療は、1年以上ごとに行われる。他の実施形態において、各治療間の期間は異なる。

0116

一例として、心臓弁インプラントの送達後、第1の治療において、膨張弁本体を膨張させ、逆流の約10〜30%を低減する矯正を行う。一定期間(例えば、1日以上、1週間以上、1月以上)の後、第2の治療において、膨張弁本体をさらに調整し(すなわち、膨張させて)、逆流をさらに10〜30%矯正する。膨張(注入)ポートは患者の皮下に位置するため、膨張弁本体のアクセス及び膨張は、さらなる手術を要することなく実施される。さらに一定期間(例えば、1日以上、1週間以上、1月以上)の後、第3の治療において、膨張弁本体をさらに拡張(すなわち、膨張)させて、逆流をさらに10〜30%低減する。いくつかの実施形態において、心臓弁インプラントを有する患者は日常的にモニタリングし、必要に応じて治療を修正又は変更する。1回以上の治療の後、逆流は完全(100%)に、又は部分的(100%未満)に矯正される。言うまでもなく、治療の予定及び実施する治療(すなわち、逆流の低減)の回数には個人差がある。

0117

本明細書に記載した方法及びインプラントは、僧帽弁逆流の治療に用いられる。僧帽弁逆流の要因又は根本的な病因は、既知のものであっても、未知のもの(突発性のもの)であってもよい。例えば、僧帽弁脱出、損傷した組織の腱(腱索)、リューマチ熱、心内膜炎加齢に伴う逆流、心筋梗塞高血圧、及び先天性心臓障害はいずれも僧帽弁逆流を引き起こし得る。

0118

一態様によれば、本発明は経心尖インプラントを特徴として備える。インプラントは、後退位置から拡張するよう構成したスペーサキャビティを画定する膨張弁本体と、膨張弁本体から延在するシャフトであって、スペーサキャビティに流体連結し、また膨張装置に流体連結した膨張内腔を画定するシャフトと、を備える。膨張装置は、前記膨張内腔を選択的に封止し、拡張媒体(膨張流体)をスペーサキャビティ内に選択的に流入させ、スペーサ本体を後退位置から拡張位置へ選択的に拡張させることができる。あるいは、膨張装置は、拡張媒体の少なくとも一部をスペーサキャビティから抜き出すのに用いることができる。従って、膨張装置は、スペーサ本体の膨張度合を調整することを可能にする。

0119

他の態様によれば、本発明は、インプラント送達システムを特徴として備える。インプラント送達システムは、少なくとも1つの内腔を有する導入器、及びインプラントを備える。インプラントは、内腔内に受け入れられるように構成され、また、膨張弁本体及びシャフトを備える。膨張弁本体は、後退位置から拡張するように構成され、導入器の内腔内に配置されたスペーサキャビティを画定する。シャフトは、スペーサから延在するように構成され、また、スペーサキャビティに流体連結し、膨張装置に流体連結した膨張内腔を画定する。

0120

また別の態様によれば、本発明は、インプラントを心臓内に移植する方法を提供する。インプラントは、シャフトと、僧帽弁の少なくとも1つの心臓弁膜尖の少なくとも一部と相互作用して、閉口位置にある心臓弁を通る血流を少なくとも部分的に制限するように構成した膨張弁本体と、を備える。該方法は、ガイドワイヤを、心臓の左心室に経中隔的に前進させるステップと、左心室を、移植部位に対応する穿刺部位にて突き刺すステップと、ガイドワイヤの遠位端を、穿刺に通して、患者の胴にある切開部から外へと前進させるステップと、導入器を、ガイドワイヤ上に、切開部に通して、心臓の穿刺部位、そして左心室内に経心尖的に前進させるステップと、導入器を、ガイドワイヤ上に、僧帽弁に通して、心臓の左心房内に前進させるステップと、インプラントを、導入器によって画定される内腔を通して、左心房内に前進させるステップであって、該シャフトは、内腔内で、スペーサから、穿刺部位を越えて延在するステップと、拡張媒体(膨張流体)を、シャフトに通して導入して膨張弁本体を拡張するステップと、膨張弁本体を心臓の僧帽弁内に配置して僧帽弁逆流を低減する(場合によっては、解消する)ステップと、心臓から導入器を除去するステップと、インプラントを、穿刺部位に近接する、心臓の外面に固定するステップと、を含む。

0121

上述したように、本発明は、本明細書で述べ、又は含意した、1つ以上の対象又は特徴を満足させるシステム又は方法に限定することを意図するものでなく、本明細書に記載した、好適な、例示的な、又は主要な実施形態に限定すべきではない。本発明の好適な実施形態についての上記記載は、説明及び解説の目的で提示されたものに過ぎない。網羅的であること、又は本発明を開示されている厳密な形態に限定することを意図するものではない。上述の教示を考慮すれば、明らかな修正又は変更を加えることが可能である。上述した実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途について、最良な例示を提供し、それにより、当業者が様々な実施形態において、そして意図した特定の用途に適するように様々な修正を加えて、本発明を実施できるように選択して記載したものである。このような修正及び変更の全ては、適正、合法的公正権利を与えられる範囲にしたがって解釈されれば、添付の特許請求の範囲の記載に基づく本発明の技術的範囲に含まれるものである

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ