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技術 新規なフィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体、その調製方法、およびそれを含む脱毛の予防、治療、または育毛用組成物

出願人 ピトスカンパニーリミテッド
発明者 チョエミョンジュン
出願日 2013年4月4日 (7年7ヶ月経過) 出願番号 2016-506215
公開日 2016年7月14日 (4年4ヶ月経過) 公開番号 2016-520546
状態 特許登録済
技術分野 化粧料 第5-8族元素を含む化合物及びその製造 医薬品製剤 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 信号過程 両面性 微粒球 評価単位 水平構造 バスタイプ 進行程度 濃度群
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年7月14日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)、N−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(N−C−P1P)、薬剤学的許容可能なその塩、またはその溶媒和物、その調製方法、およびそれを含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物、並びに脱毛の予防、治療、または育毛薬学組成物を提供する。

概要

背景

スフィンゴ脂質スフィンゴシン1−リン酸(sphingosine-1-phosphate)はGタンパク質結合内皮変異遺伝子(endothelialdifferentiation gene,EDG)受容体との結合を介して強力な生体反応を起こす生理活性オートクリン(autocrine)分子であり(非特許文献1)、生体内スフィンゴシンキナーゼによって生産され、スフィンゴシンリアーゼ(lyase)またはスフィンゴシンホスファターゼによって分解される(非特許文献2)。

スフィンゴ脂質の代謝物質セラミド(ceramide)とスフィンゴシン−1−リン酸含有量間の動力学均衡と逆信号過程の調節は、細胞の生死を決める重要な要素である(非特許文献3)。細胞内で増加したセラミドは、癌細胞においてはその増殖を抑制するが、炎症細胞においては炎症反応をさらに悪化させる両面性を示す。近年、新しいスフィンゴ脂質の機能として、セラミドが細胞死滅細胞増殖抑制のみならず、神経系では神経突起形成に関与することや細胞内輸送スフィンゴミエリンの構造の重要性示唆された。すなわち、スフィンゴ脂質の細胞内膜外膜における立体的非対称性および水平構造における不均一性が、分化、増殖および分泌などの多様な細胞機能に関与すると見なすことができ、また、新しいスフィンゴ脂質の機能として、抗癌剤耐性がある細胞ではグルコシルセラミド蓄積され、このような耐性細胞は、細胞死滅誘導因子であるセラミドを他の代謝産物であるグリコスフィンゴ脂質に変換して排除させるメカニズムの存在が示唆された(非特許文献4)。従って、スフィンゴ脂質の量の変化が、血液腫瘍神経系疾患などの病態に関与している可能性が大きい(非特許文献5)。

これにより、スフィンゴシン代謝において重要な中間体であるスフィンゴシン−1−リン酸は多様な生理活性をしめしており、これにより、この物質に関する生成、代謝、作用、そして合成方法に至るまで多くの研究が集中して行われてきた(非特許文献6)。しかし、スフィンゴシン−1−リン酸に匹敵する役割をするフィトスフィンゴシン−1−リン酸に対しては、その研究量も極めて制限的だけでなく、その研究も主に生体内での役割に重点を置いた研究である。この二つの物質、すなわち、スフィンゴシン−1−リン酸とフィトスフィンゴシン−1−リン酸の調製方法は、キナーゼ(kinase)を利用した酵素的合成法と化学的合成法が知られている。酵素的合成法(非特許文献7、8、9)は、共に最終物質に対する構造の解明が制限的である。D−スフィンゴシン−1−リン酸の化学的合成法は、比較的多くの研究がなされてきたが、一方のD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の化学的合成法に対する研究は非常に珍しく、三本の論文があるに過ぎない(非特許文献10、11、14)。その中二つの合成方法も、D−スフィンゴシン−1−リン酸の合成法(非特許文献12、13)において既に使われた方法を、スフィンゴシン代わりにフィトスフィンゴシンを出発物質として置き換えて、同じ方法を適用している。

次の反応式1による方法が、D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の最初の化学的合成法として発表された(非特許文献10)。
(反応式1)

前記合成法の全過程の最終収率は43%と報告され、最終物質のD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸に対する高性能FAB−MS、1H−NMRに対するデータが提供されている。

D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の他の効率的な化学的合成法として、下記の反応式2による方法が報告された(非特許文献14)。
(反応式2)

前記方法は、計6つの段階で、全過程の収率は14.2%と報告され、全ての中間体の分光学的データ記述されているが、最終目的物質であるD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸に対する具体的な分光学的データは報告されていない。

従って、D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸は、前記合成法によると、収率が43%以下と非常に低くて、その合成において効率が非常に劣る物質といえる。

さらに、フィトスフィンゴシン−1−リン酸は、ミノキシジルと同等以上の育毛および発毛効能があることが認められ、フィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体脱毛の予防、治療または育毛用途に対して特許登録を受けた(特許文献1)。頭皮から毛髪が抜けるような脱毛症発生原因は多様であり、大きく分けて男性ホルモンの作用、精神的ストレス、頭皮における過酸化脂質の蓄積、薬物の副作用白血病または結核などの慢性疾患放射線療法による副作用、栄養欠乏などが挙げられる。また、最近では男性悩みと知らされてきた脱毛が女性脱毛、若年層の脱毛に対する予防および治療に対する要求が大きくなっている。

現在、毛髪成長および養毛剤として用いられる薬物としては、大きく、頭皮に十分な血液を循環させるための血管拡張剤、男性ホルモンの作用を抑制するための女性ホルモン剤、テストステロンを5−DHT(5−dihydrotesteone)に変換させる5α−還元酵素を抑制する男性ホルモン活性抑制剤がある。前記血管拡張剤としては、塩化カルプロニウム、ミノキシジル、および各種植物抽出物などがあり、女性ホルモン剤としては、エストロゲンエストラジオールプロゲステロンなどがあり、男性ホルモン活性抑制剤としては、フィナステリドペンタデカン酸などがある。

しかし、前記脱毛治療剤は、充分でない効果や副作用などから、より効果的でかつ安全な脱毛治療または育毛のための薬物の開発が必要な実情である。局所用または経口用投与されるミノキシジルの場合は、頭皮の紅斑、炎症、感染、刺激または疼痛など皮膚に刺激があり、血圧降下の効果があるので、血圧降下剤投与中の患者を含む高血圧患者には慎重な投与を要するなどの問題点がある。また、フィナステリドは、男性ホルモン活性抑制効果によって勃起不全性欲の減少などの短所がある。

前記フィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体は、新生血管形成を促進する効果によって、脱毛の予防、治療または育毛用途があるのを認められた物質である。また、前記従来の脱毛治療剤が持つ血圧降下または性的機能減少などの副作用を恐れることなく用いることができる。

しかし、上述したとおりフィトスフィンゴシン−1−リン酸は、その合成において収率が劣る物質である。従って、高収率で合成できて前記従来脱毛治療剤が持つ副作用の恐れもない脱毛治療に効果的な物質の開発が求められている。

概要

本発明は、O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)、N−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(N−C−P1P)、薬剤学的許容可能なその塩、またはその溶媒和物、その調製方法、およびそれを含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物、並びに脱毛の予防、治療、または育毛用薬学組成物を提供する。

目的

本発明の目的は、脱毛の予防、治療、および育毛に効果的な新しい物質を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

(化1a)(化1b)上記化学式1aのO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)または化学式1bのN−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(N−C−P1P)、薬剤学的許容可能なその塩、またはその溶媒和物

請求項2

(化1a)(化4)(前記化学式4で、R1は保護基である。)上記化学式4の化合物トリフルオロ酢酸または塩酸気体と反応させて脱保護する段階を含むことを特徴とする上記化学式1aの化合物の調製方法

請求項3

(化3)(前記化学式3で、R1は保護基である。)前記化学式4の化合物は、上記化学式3の化合物をPOCl3と反応させて調製されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

請求項4

(化2)前記化学式3の化合物は、上記化学式2のD−フィトスフィンゴシンのアミノ基に保護基を導入して調製されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。

請求項5

(化1b)(化5)(前記化学式5で、R2は保護基である。)上記化学式5の化合物をブロモトリメチルシランと反応させた後、水を加えて反応させる段階を含むことを特徴とする、上記化学式1bの化合物の調製方法。

請求項6

請求項1に記載の化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含むことを特徴とする、脱毛防止または育毛用化粧料組成物

請求項7

請求項1に記載の化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含むことを特徴とする、脱毛の予防、治療、または育毛薬学組成物

請求項8

前記組成物は、頭皮または毛髪で覆われた皮膚部位局所適用するのに適した製剤であることを特徴とする、請求項6または7に記載の組成物。

請求項9

前記組成物が、リポソームナノエマルジョンシャンプーヘアーコンディショナー、またはヘアーローション剤形を持つことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。

請求項10

請求項1に記載の化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含むことを特徴とする、シワの予防、改善または治療用化粧料組成物。

請求項11

前記組成物は、シワがあるか、シワになりやすい皮膚部位に局所適用するのに適した製剤であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。

請求項12

前記組成物がリポソームまたはナノエマルジョンの剤形を持つことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。

技術分野

0001

本発明は、新規フィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体、その調製方法、およびそれを含む脱毛の予防、治療、または育毛用組成物に関し、より具体的には脱毛の予防、治療、または育毛に有用な新物質であるフィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体、その調製方法、およびそれを含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物、および脱毛の予防、治療、または育毛用薬学組成物に関する。

背景技術

0002

スフィンゴ脂質スフィンゴシン1−リン酸(sphingosine-1-phosphate)はGタンパク質結合内皮変異遺伝子(endothelialdifferentiation gene,EDG)受容体との結合を介して強力な生体反応を起こす生理活性オートクリン(autocrine)分子であり(非特許文献1)、生体内スフィンゴシンキナーゼによって生産され、スフィンゴシンリアーゼ(lyase)またはスフィンゴシンホスファターゼによって分解される(非特許文献2)。

0003

スフィンゴ脂質の代謝物質セラミド(ceramide)とスフィンゴシン−1−リン酸含有量間の動力学均衡と逆信号過程の調節は、細胞の生死を決める重要な要素である(非特許文献3)。細胞内で増加したセラミドは、癌細胞においてはその増殖を抑制するが、炎症細胞においては炎症反応をさらに悪化させる両面性を示す。近年、新しいスフィンゴ脂質の機能として、セラミドが細胞死滅細胞増殖抑制のみならず、神経系では神経突起形成に関与することや細胞内輸送スフィンゴミエリンの構造の重要性示唆された。すなわち、スフィンゴ脂質の細胞内膜外膜における立体的非対称性および水平構造における不均一性が、分化、増殖および分泌などの多様な細胞機能に関与すると見なすことができ、また、新しいスフィンゴ脂質の機能として、抗癌剤耐性がある細胞ではグルコシルセラミド蓄積され、このような耐性細胞は、細胞死滅誘導因子であるセラミドを他の代謝産物であるグリコスフィンゴ脂質に変換して排除させるメカニズムの存在が示唆された(非特許文献4)。従って、スフィンゴ脂質の量の変化が、血液腫瘍神経系疾患などの病態に関与している可能性が大きい(非特許文献5)。

0004

これにより、スフィンゴシン代謝において重要な中間体であるスフィンゴシン−1−リン酸は多様な生理活性をしめしており、これにより、この物質に関する生成、代謝、作用、そして合成方法に至るまで多くの研究が集中して行われてきた(非特許文献6)。しかし、スフィンゴシン−1−リン酸に匹敵する役割をするフィトスフィンゴシン−1−リン酸に対しては、その研究量も極めて制限的だけでなく、その研究も主に生体内での役割に重点を置いた研究である。この二つの物質、すなわち、スフィンゴシン−1−リン酸とフィトスフィンゴシン−1−リン酸の調製方法は、キナーゼ(kinase)を利用した酵素的合成法と化学的合成法が知られている。酵素的合成法(非特許文献7、8、9)は、共に最終物質に対する構造の解明が制限的である。D−スフィンゴシン−1−リン酸の化学的合成法は、比較的多くの研究がなされてきたが、一方のD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の化学的合成法に対する研究は非常に珍しく、三本の論文があるに過ぎない(非特許文献10、11、14)。その中二つの合成方法も、D−スフィンゴシン−1−リン酸の合成法(非特許文献12、13)において既に使われた方法を、スフィンゴシン代わりにフィトスフィンゴシンを出発物質として置き換えて、同じ方法を適用している。

0005

次の反応式1による方法が、D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の最初の化学的合成法として発表された(非特許文献10)。
(反応式1)

0006

0007

前記合成法の全過程の最終収率は43%と報告され、最終物質のD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸に対する高性能FAB−MS、1H−NMRに対するデータが提供されている。

0008

D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸の他の効率的な化学的合成法として、下記の反応式2による方法が報告された(非特許文献14)。
(反応式2)

0009

0010

前記方法は、計6つの段階で、全過程の収率は14.2%と報告され、全ての中間体の分光学的データ記述されているが、最終目的物質であるD−フィトスフィンゴシン−1−リン酸に対する具体的な分光学的データは報告されていない。

0011

従って、D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸は、前記合成法によると、収率が43%以下と非常に低くて、その合成において効率が非常に劣る物質といえる。

0012

さらに、フィトスフィンゴシン−1−リン酸は、ミノキシジルと同等以上の育毛および発毛効能があることが認められ、フィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体の脱毛の予防、治療または育毛用途に対して特許登録を受けた(特許文献1)。頭皮から毛髪が抜けるような脱毛症発生原因は多様であり、大きく分けて男性ホルモンの作用、精神的ストレス、頭皮における過酸化脂質の蓄積、薬物の副作用白血病または結核などの慢性疾患放射線療法による副作用、栄養欠乏などが挙げられる。また、最近では男性悩みと知らされてきた脱毛が女性脱毛、若年層の脱毛に対する予防および治療に対する要求が大きくなっている。

0013

現在、毛髪成長および養毛剤として用いられる薬物としては、大きく、頭皮に十分な血液を循環させるための血管拡張剤、男性ホルモンの作用を抑制するための女性ホルモン剤、テストステロンを5−DHT(5−dihydrotesteone)に変換させる5α−還元酵素を抑制する男性ホルモン活性抑制剤がある。前記血管拡張剤としては、塩化カルプロニウム、ミノキシジル、および各種植物抽出物などがあり、女性ホルモン剤としては、エストロゲンエストラジオールプロゲステロンなどがあり、男性ホルモン活性抑制剤としては、フィナステリドペンタデカン酸などがある。

0014

しかし、前記脱毛治療剤は、充分でない効果や副作用などから、より効果的でかつ安全な脱毛治療または育毛のための薬物の開発が必要な実情である。局所用または経口用投与されるミノキシジルの場合は、頭皮の紅斑、炎症、感染、刺激または疼痛など皮膚に刺激があり、血圧降下の効果があるので、血圧降下剤投与中の患者を含む高血圧患者には慎重な投与を要するなどの問題点がある。また、フィナステリドは、男性ホルモン活性抑制効果によって勃起不全性欲の減少などの短所がある。

0015

前記フィトスフィンゴシン−1−リン酸誘導体は、新生血管形成を促進する効果によって、脱毛の予防、治療または育毛用途があるのを認められた物質である。また、前記従来の脱毛治療剤が持つ血圧降下または性的機能減少などの副作用を恐れることなく用いることができる。

0016

しかし、上述したとおりフィトスフィンゴシン−1−リン酸は、その合成において収率が劣る物質である。従って、高収率で合成できて前記従来脱毛治療剤が持つ副作用の恐れもない脱毛治療に効果的な物質の開発が求められている。

0017

韓国特許登録第1003532号

先行技術

0018

Lee,M.J. et al.,Science, 279,pp1552-1555,1996
Pyne,S.and Pyne,N.J.,Biochem.J.,349, pp385-402, 2000
Cuvillier,O.et al.,Nature, 381,pp800-803,1996
Lavie Y.et al.,J.Biol.Chem.,272, pp1682-1687,1997
Okazaki T.etal.,Int.J.Hematolo., 65, p40,1997
FASEB J,10:1388-1379
Hoppe-Seyler’s Z.Physiol.Chem.,351,635-642,
J.Biol.Chem.,273,19437-19442,
Biochem.J.,332,525-531
J.of Lipid Research,40,1999,117-125
Bull.Korean Chem.Soc.,2003,24,267-268
J.of Lipid Research,35,1994,2305-2311
Tetrahedron Letters,2000,41,7821-7824
Bull.KoreanChem.Soc.,2003,24,267-268

発明が解決しようとする課題

0019

そこで、本発明者等は、前記従来脱毛治療薬物が持つ問題点を解消できる、新しい脱毛治療活性物質の開発のために研究した結果、脱毛治療および育毛に効果がありながらも高収率で合成され得る新しいフィトスフィンゴシン誘導体物質を開発して本発明を完成するようになった。また、前記開発された物質は、脱毛および育毛だけでなくシワ改善にも効果的であることが確認された。

0020

従って、本発明の目的は、脱毛の予防、治療、および育毛に効果的な新しい物質を提供することである。

0021

本発明の他の目的は、前記本発明に係る物質の調製方法を提供することである。

0022

本発明のさらに他の目的は、前記本発明に係る物質を含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物を提供することである。

0023

本発明のさらに他の目的は、前記本発明に係る物質を含む脱毛予防、治療、または育毛用薬学組成物を提供することである。

0024

本発明のさらに他の目的は、前記本発明に係る物質を含むシワの予防、改善または治療用化粧料組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0025

前記目的を達成するために、本発明の一側面は、
下記化学式1aのO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)または化学式1bのN−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(N−C−P1P)、薬剤学的許容可能なその塩、またはその溶媒和物を提供する。

0026

(化1a)

0027

(化1b)

0028

本発明の他の側面は、下記化学式4の化合物トリフルオロ酢酸または濃塩酸と反応させて脱保護する段階を含む、下記化学式1aの化合物の調製方法を提供する。

0029

(化1a)

0030

(化4)

0031

前記化学式4において、R1は保護基である。

0032

本発明のさらに別の側面は、下記化学式5の化合物をブロモトリメチルシランと反応させた後、水を加えて反応させる段階を含む、下記化学式1bの化合物の調製方法を提供する。

0033

(化1b)

0034

(化5)

0035

前記化学式5において、R2は保護基である。

0036

本発明のさらに別の側面は、前記化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物を提供する。

0037

本発明のさらに別の側面は、前記化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含む脱毛の予防、治療、または育毛用薬学組成物を提供する。

0038

本発明のさらに別の側面は前記化学式1aまたは1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含むシワの予防、改善または治療用化粧料組成物を提供する。

0039

以下、本発明をより詳細に説明する。

0040

本発明で用いられる全ての技術用語は、別に定義されない限り、本発明の関連分野で通常の当業者が一般的に理解するものと同様の意味で用いられる。また、本明細書には、好ましい方法や試料が記載されるが、これに類似するか同等なものなども本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は、本発明にその全体が参考として統合される。

0041

本発明者等は、高収率で合成できて、前記従来の脱毛治療剤が持つ副作用の恐れもなく安全に用いられる脱毛治療に効果的な物質の開発のために研究した結果、従来安全な物質として知られたフィトスフィンゴシン−1−リン酸の新規な誘導体である前記化学式1aおよび化学式1bの化合物を開発するようになった。

0042

従って、本発明は一側面において、下記化学式1aのO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)または化学式1bのN−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(N−C−P1P)、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を提供する。

0043

(化1a)

0044

(化1b)

0045

前記薬剤学的に許容可能な塩は、前記化学式1aまたは1bの化合物が、遊離酸と共に塩を形成する酸付加塩として存在し得る。前記化学式1aまたは1bの化合物は、当該技術分野に公知された通常の方法により薬剤学的に許容される酸付加塩を形成することができる。前記遊離酸としては、有機酸または無機酸を使用することができ、前記無機酸としては、塩酸臭素酸硫酸、またはリン酸などが使用でき、前記有機酸としては、クエン酸(citric acid)、酢酸乳酸酒石酸(tartaric acid)、マレイン酸フマル酸(fumaric acid)、ギ酸プロピオン酸(propionic acid)、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クルコン酸、メタンスルホン酸グリコール酸コハク酸、4−トルエンスルホン酸ガラクツロン酸(galacturonicacid)、エンボン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸などを使うことができる。特に前記化学式1aの化合物は、塩酸塩の形態で存在し得る。

0046

前記薬剤学的に許容可能な塩は、前記化学式1aまたは1bの化合物の無機塩として存在し得る。前記化学式1aまたは1bの化合物は、当該技術分野に公知された通常の方法によって薬剤学的に許容される無機塩を形成することができる。前記無機塩には、アルミニウムアンモニウムカルシウム、銅、鉄、リチウムマグネシウムマンガンカリウムナトリウム、または亜鉛との塩があるが、これに限定されず、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、またはナトリウム塩が好ましい。

0047

また、本発明に係る前記化学式1aまたは1bの化合物は、薬剤学的に許容可能な塩だけでなく、通常の方法によって調製され得るすべての塩、水和物を含む溶媒和物を全て含むことができる。

0048

本発明は、他の側面において、下記化学式4の化合物をトリフルオロ酢酸または塩酸気体と反応させて脱保護する段階を含む、下記化学式1aの化合物の調製方法を提供する。

0049

(化1a)

0050

(化4)

0051

前記化学式4において、R1は保護基である。

0052

前記化学式4のR1は保護基であり、アミノ基の保護のために通常用いられる任意の保護基であってもよく、例えばt−ブチルオキシカルボニル基(t−Boc)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基またはアリルオキシカルボニル基などがあるが、これらに限定されない。

0053

化学式4の化合物をトリフルオロ酢酸または塩酸気体と反応させて脱保護する反応を行うための溶媒は、前記反応を阻害しない任意の溶媒が使用できて、好ましくはトリフルオロ酢酸との反応時にはメチレンクロリド、HCl気体との反応時には酢酸エチルが利用され得る。前記脱保護反応の具体的な反応条件は、保護基の種類および反応物により変わるが、一実施例によると、前記トリフルオロ酢酸との反応時には室温で行うことができ、前記塩酸気体との反応時には、約0℃で冷却させて反応させることができる。

0054

前記化学式4の化合物は、下記化学式3の化合物をPOCl3と反応させて調製することができる。

0055

(化3)

0056

前記化学式3で、R1は保護基である。

0057

化学式3の化合物をPOCl3と反応させてリン酸化する反応を行うための溶媒は、前記反応を阻害しない任意の溶媒が用いられるが、好ましくはピリジン溶媒を使う。好ましくは、一実施例によると、前記反応のためにまず、ピリジン溶媒中に前記化学式3の化合物を溶解して約−20℃に冷却した後、ピリジン溶媒中のPOCl3溶液を加えることによって反応を行うことができる。反応が完了した後、塩酸のような強酸を利用してpHを約2に調節することによって、化学式4のような化合物が形成され得る。得られた化学式4の化合物は、特別な精製過程なく前記化学式1aの化合物調製に用いられる。

0058

前記化学式3の化合物は、下記化学式2のD−フィトスフィンゴシンのアミノ基に保護基を導入することによって調製され得る。

0059

(化2)

0060

前記D−フィトスフィンゴシンのアミノ基に保護基を導入する反応は、当該技術分野に公知された任意の方法により行えるが、例えば非特許文献14の方法により行える。

0061

前記説明した化学式1aの化合物の調製方法の一実施例は、下記の反応式3のように示すことができる。
(反応式3)

0062

0063

本発明は、さらに別の側面において、下記化学式5の化合物をブロモトリメチルシランと反応させた後、水を加えて反応させる段階を含む、下記化学式1bの化合物の調製方法を提供する。

0064

(化1b)

0065

(化5)

0066

前記化学式5において、R2は保護基である。

0067

前記化学式5のR2は保護基であり、アミノ基の保護のために通常用いられる任意の保護基であってもよく、例えばt−ブチルオキシカルボニル基(t−Boc)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基またはアリルオキシカルボニル基などがあるが、これらに限定されない。

0068

化学式5の化合物のブロモトリメチルシランとの反応を行うための溶媒は、前記反応を阻害しない任意の溶媒が用いられ、好ましくはメチレンクロリドが利用され得る。前記脱保護反応の具体的な反応条件は、前記保護基の種類によって変わるが、一実施例によると、溶媒中に前記化学式5の化合物を溶解させて約−20℃に冷却させた後、ブロモトリメチルシランを加えて反応させることができる。その後、水を加えて約0℃でさらに反応させることによって、化学式1bの化合物が形成され得る。

0069

前記化学式5の化合物は、当該技術分野に公知された任意の方法により調製されることができ、例えば非特許文献14の方法により調製され得る。

0070

前記説明した化学式1bの化合物の調製方法の一実施例は、下記の反応式4のように示すことができる。
(反応式4)

0071

0072

本発明は、さらに他の一側面において、前記化学式1aまたは化学式1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含む脱毛防止または育毛用化粧料組成物を提供する。

0073

本発明は、さらに他の一側面において、前記化学式1aまたは化学式1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含む、脱毛の予防、治療、または育毛用薬学組成物を提供する。

0074

本発明は、さらに他の一側面において、前記化学式1aまたは化学式1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を含む、シワの予防、改善、または治療用化粧料組成物を提供する。

0075

以下、前記化粧料組成物および薬学組成物をまとめて「本発明に係る組成物」とも称する。

0076

前記化学式1a(O−C−P1P)および化学式1b(N−C−P1P)の化合物が、脱毛治療、予防、および育毛に効果があることは、下記の実施例で立証された。具体的には、本発明の化合物に対してC3Hマウスを利用した育毛試験を実施した。その結果、本発明の化合物が現在FDAから脱毛治療剤として許可を得て販売中であるマイキシル3%(ミノキシジル3%液剤現代薬品、韓国)に比べて顕著に優秀育毛効果を示した。また、本発明の化合物を0.005%〜0.02%の濃度別にC3Hマウスを利用した育毛試験を実施した結果、陰性対照群に比べては顕著に優秀な効果を示し、濃度別には育毛効果に差が殆どなく、陽性対照群であるミノキシジル3%と類似の効果を示して、従来の脱毛治療剤に比べて300倍以上低い濃度において効果的な育毛作用を有することと確認された。また、本発明の化合物をHCl塩およびジナトリウム塩の形態にしてC3Hマウスによる育毛試験を実施した結果、陰性対照群に比べては塩の種類に関係なく顕著に優秀な効果を示した。また、本発明の化合物に対して実際に脱毛症の患者を対象に臨床試験を実施した結果、脱毛予防および発毛効果が確認された。従って、本発明に係る化合物は、脱毛治療、予防、および育毛に効果的であることが確認された。

0077

前記本発明に係る脱毛防止または育毛用化粧料組成物および脱毛の予防、治療または育毛用薬学組成物は、他の脱毛の予防、治療、または育毛用薬物や補助剤をさらに含んで複合製剤として用いられてもよい。他の薬物または補助剤としては、レチノイン酸(retinoic acid)、ミノキシジル(minoxidil)、フィナステリド、亜鉛ペプチド(zinc peptide)、亜鉛オキシド(zinc oxide)、ビオチンゲニステイン玉ネギ抽出物パンプキンシードオイルエミュー(Emu)オイル緑茶抽出物ヤナギ樹皮抽出物ツボクサ抽出物イラクサ抽出物、菖蒲抽出物、ローズマリー抽出物カモミール抽出物などがあるが、これらに限定されるものではない。

0078

前記本発明に係る脱毛防止または育毛用化粧料組成物および脱毛の予防、治療または育毛用薬学組成物は、経口投与製剤注射剤、座剤、経皮投与製剤、および経鼻投与製剤を含むが、これらに限定されない任意の剤形に製剤化して投与されてもよいが、好ましくは頭皮または毛髪で覆われた皮膚部位局所適用するのに適した製剤で製剤化することができる。このような局所投与用製剤としては、リポソームナノエマルジョンシャンプーヘアーコンディショナー、またはヘアーローションなどがあり、これらに限定されない。好ましくは経皮吸収の増加によって効果を促進させるために、リポソームまたはナノエマルジョンで製剤化することが好ましい。前記組成物の製剤化時、化粧品分野または薬剤学分野に公知されている各々の製剤の製造に適切な担体希釈剤、または添加剤を利用して製造することができる。

0079

前記本発明に係る脱毛防止または育毛用化粧料組成物および脱毛の予防、治療または育毛用薬学組成物は、前記化学式1aまたは1bの化合物を組成物全体に対して約0.001重量%〜1重量%、好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の範囲で含有してもよく、活性成分の種類によって増減してもよい。前記本発明に係る薬学組成物の場合、局所投与時化学式1aの化合物または化学式1bの化合物を脱毛の予防、治療、または育毛のための部位に1日1回〜2回程度塗布することによって投与することができる。活性成分が1重量%である時を基準として一日の塗布量としては0.5mg〜3mg程度であり、塗布部位面積に応じて増減することができる。このような投与量および回数は、患者の年齢性別、脱毛の進行程度に応じて適切に増減して用いられてもよい。

0080

さらに、前記化学式1a(O−C−P1P)および化学式1b(N−C−P1P)の化合物がシワの予防、改善、または治療に効果があることは、下記の実施例で立証された。具体的には、本発明の化合物を濃度別に処理した後、MTアッセイによりヒト繊維芽細胞増殖効果を測定して、繊維芽細胞におけるコラーゲン量を測定した。その結果、本発明の化合物の濃度が増加するほど繊維芽細胞の生存率が増加して、コラーゲン量も増加することが分かり、効果的なシワの予防、改善および治療効果を有することが確認された。

0081

前記本発明に係るシワの予防、改善および治療用化粧料組成物は、他のシワの予防、改善および治療用物質をさらに含んで複合製剤として用いられてもよい。

0082

前記本発明に係るシワの予防、改善および治療用化粧料組成物は、シワがあるか、シワになりやすい皮膚部位に局所適用するのに適した製剤で製剤化することができる。このような局所投与用製剤としては、リポソームまたはナノエマルジョンなどがあって、これらに限定されない。前記組成物の製剤化時、化粧品分野に公知されている各々の製剤の調製に適切な担体、希釈剤、または添加剤を利用して調製することができる。

0083

前記本発明に係るシワ予防、改善および治療用化粧料組成物は、前記化学式1aまたは1bの化合物を組成物全体に対して約0.001重量%〜1重量%、好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の範囲で含有してもよく、活性成分の種類によって増減してもよい。前記本発明に係る薬学組成物の場合、局所投与時化学式1aの化合物または化学式1bの化合物をシワ予防、改善および治療のための部位に1日1回〜2回程度塗布することによって投与することができる。活性成分が1重量%である時を基準として一日の塗布量としては0.5mg〜3mg程度であり、塗布部位の面積に応じて増減することができる。このような投与量および回数は、使用する人の年齢、性別、シワの進行程度に応じて適切に増減して用いられることができる。

発明の効果

0084

前術の通り、本発明に係る前記化学式1aまたは前記化学式1bの化合物、薬剤学的に許容可能なその塩またはその溶媒和物は、脱毛の治療、予防、または育毛、およびシワ予防、改善、または治療に対する効果が優秀なだけでなく、合成によって簡単に調製できるので経済的であり、リポソーム、ナノエマルジョンのような脂質微粒球製剤に製剤化時、毛嚢に容易に伝達できる。また、従来用いられている他の脱毛治療剤であるミノキシジルおよびフィナステリドに比べて皮膚刺激がなく、副作用がないため非常に好ましい。

図面の簡単な説明

0085

本発明の一実施例により調製された化学式1aの化合物(O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸)の1HNMRスペクトルである。
本発明の一実施例により調製された化学式1bの化合物(N−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸)の1HNMRスペクトルである。
C3Hマウスのわき腹除毛した後、本発明に係る化合物であるO−C−P1P、N−C−P1P溶液を一日に一回ずつ塗布した後、11日目、14日目、および18日目に陽性対照群(3%ミノキシジル液剤)および陰性対照群と比較して撮影した写真だ。
C3Hマウスのわき腹を除毛した後、本発明の一実施例により調製されたO−C−P1Pリポソームを一日に一回ずつ塗布した後、14日目および18日目に陽性対照群および陰性対照群と比較して撮影した写真である。
C3Hマウスのわき腹を除毛した後、本発明の一実施例により調製されたO−C−P1P溶液を濃度別に一日に一回ずつ塗布した後、13日目および17日目に陰性対照群と比較して撮影した写真である。
C3Hマウスのわき腹を除毛した後、本発明の一実施例により調製されたO−C−P1P遊離塩基(free base)、O−C−P1Pの塩酸塩、O−C−P1Pのジナトリウム塩の溶液を一日に一回ずつ塗布した後、14日目および18日目に陰性対照群と比較して撮影した写真である。
図7のaは、本発明の一実施例により調製されたO−C−P1Pリポソームを、脱毛が進行中のボランティアに一日に1〜2回塗布するようにした後、頭の経時変化を撮影した写真であり、図7のbは、本発明の一実施例により調製されたO−C−P1Pリポソームを、脱毛が進行中のボランティアに一日に1〜2回塗布するようにした後、頭の経時変化を撮影した写真である。
本発明の一実施例により調製された0.002重量%(グループA)、0.01重量%(グループB)、0.05重量%(グループC)のO−C−P1Pリポソームを、脱毛が進行中の被験者に二重倹法により臨床実験を行った後、各濃度グループ別に塗布前と16週後の頭を撮影した写真である。

実施例

0086

以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。

0087

<実施例1:N−Boc−D−フィトスフィンゴシンの調製>
D−フィトスフィンゴシンをBull.Korean Chem.Soc.,2003,24,267-268の方法により、t−ブタノール中(Boc)2Oと反応させてアミノ基に保護基(Boc)を導入して、N−Boc−D−フィトスフィンゴシンを調製した。

0088

<実施例2:N−Boc−D−フィトスフィンゴシン−3−O,P−シクロリン酸の調製>
1.05当量のPOCl3を約−30℃に冷却されたピリジン溶媒(総体積の1/3)にゆっくり滴下してPOCl3/ピリジン溶液を調製した。前記実施例1で調製したN−Boc−D−フィトスフィンゴシン(1当量)をピリジン溶媒(総体積の2/3)に溶解させて−20℃に冷却した後、この温度を維持しながら調製済のPOCl3/ピリジン溶液を加えた。反応温度常温まで上がれば、減圧下で溶媒ピリジンを除去して6N HClによりpH2に調節後、酢酸エチルで抽出した。その次に、酢酸エチル抽出物をMgSO4で水分を除去した後、減圧下で溶媒を濃縮して所望の物質N−Boc−D−フィトスフィンゴシン−3−O,P−シクロリン酸を定量的に得た。更なる精製過程はなく、下記実施例3および4の出発物質として用いた。

0089

<実施例3:O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(化学式1a)の調製(1)>
前記実施例2で調製されたN−Boc−D−フィトスフィンゴシン−3−O,P−シクロリン酸をCH2Cl2に溶解させた後常温でトリフルオロ酢酸を用いたCH2Cl2溶媒体積の1/3を加えて1時間常温で撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除去してConc−HCl溶媒を加えて強く撹拌して生成された白色固体をろ過して得て水で洗浄した後、アセトンで洗浄し乾燥して最終目的物であるO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)を塩酸塩の形態として得た(総収率:90%)。

0090

<実施例4:O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(化学式1a)の調製(2)>
前記実施例2で調製されたN−Boc−D−フィトスフィンゴシン−3−O,P−シクロリン酸を酢酸エチル溶媒に溶解させた後、0℃で冷却してHCl気体を1時間注入した。生成された白色固体をろ過した後、酢酸エチルで洗浄後乾燥して、最終目的物であるO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(O−C−P1P)を塩酸塩の形態として得た(総収率:93%)。

0091

最終的に得られた物質の1HNMR(300MHz、CD3OD:CD3COOD=1:1)データを図1に示した。

0092

得られた塩酸塩を、同じ当量のKOHエタノール溶液で処理して塩酸塩が除去されたO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸を得た。

0093

また、前記得られたO−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸を3当量のNaOH水溶液で処理して、O−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸ジナトリウム塩を調製した。

0094

<実施例5:N−サイクリックフィトスフィンゴシン−1−リン酸(化学式1b)の調製>
Bull.KoreanChem.Soc.,2003,24,267-268に記載された方法によりN−Boc−D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸ジメチルエステルを調製した。調製されたN−Boc−D−フィトスフィンゴシン−1−リン酸ジメチルエステルCH2Cl2に溶解させた後、−20℃で冷却後5当量のブロモジメチルシランを加えて約1時間撹拌した。その後、水を加えて加熱濃縮して得られる残留物にアセトンを加えて生成された白色の固体をろ過して、標識化合物(N−C−P1P)を収得した(総収率:13%)。

0095

最終的に得られた物質の1HNMR(300MHz、CD3OD:CD3COOD=1:1)データを図2に示した。

0096

<実施例6:O−C−P1P含有リポソームの調製>
まず、75%大豆ホスファチジルコリン(Lipoid社)1gと、前記実施例4で得られたO−C−P1P 0.01gと、ビタミンEアセテート0.3gとを、エタノール20gとエトキシジグリコール2gとの混合液に溶解させてO−C−P1Pエタノール溶液を調製した。溶解のために5分間超音波処理をした。その後、蒸溜水71.59gにメントール0.5g、ナイアシンアミド0.5g、天然有機硫黄3g、およびヘスペリジン0.1gを溶解した水溶液を前記O−C−P1Pエタノール溶液に徐々に添加した。添加時、強く撹拌した。蒸溜水を全部添加した後30分間撹拌し続けた。その後、バスタイプ超音波発生装置により30分間超音波処理して、粒子の大きさを100nm前後に作り、O−C−P1P含有リポソームを調製した。

0097

別途、前記調製方法において、リポソーム調製時、皮膚透過促進剤としてポロキサマーポリソルベート80(Tween80)を添加して皮膚透過促進リポソームを調製した。

0098

<実施例7:O−C−P1P含有リポソームの調製(2)>
前記実施例6において水溶液の調製時、ヤナギの樹皮抽出物1g、緑茶抽出物1g、ツボクサ抽出物3g、イラクサ抽出物0.5g、菖蒲抽出物0.5g、ローズマリー抽出物0.5g、カモミール抽出物0.5g、および大豆発効物1gをさらに加えて水溶液を調製することを除いては、前記実施例6と同じ方式でO−C−P1P含有リポソームを調製した。但し、各種抽出物が加わった量の分、蒸溜水を少なく用いてリポソームを調製した。

0099

<実施例8:N−C−P1P含有リポソームの調製(1)>
前記実施例6においてO−C−P1Pの代わりに前記実施例5で調製されたN−C−P1Pを用いたことを除いては、前記実施例6と同じ方式でN−C−P1P 0.01%含有リポソームを調製した。

0100

<実施例9:N−C−P1P含有リポソーム調製(2)>
前記実施例7においてO−C−P1Pの代わりに前記実施例5で調製されたN−C−P1Pを用いたことを除いては、前記実施例7と同じ方式でN−C−P1P 0.01%含有リポソームを調製した。

0101

前記実施例6〜9で調製されたリポソームの組成を下記の表1にまとめた。

0102

0103

<実験例1:C3Hマウスを利用した育毛試験(1)>
週齢のC3Hマウスを購入して背中部分の毛を一部除去した後、除毛クリームを塗布して既存の毛を完全に除去した。完全に除毛できなかったマウスは実験から除外し、除毛した後無操作でマウスケージ当たり5匹ずつ飼育して、計5ケージを用いた。

0104

除毛後一日程放置した後に、試験化合物として前記実施例4で合成したO−C−P1Pと、実施例5で合成したN−C−P1Pとを、エタノールとエトキシジグリコールとの混合液(9:1,v/v)に0.01重量%の濃度で溶解させて除毛した部位に一日に一回ずつ塗布した。前記試験化合物なしで、エタノールとエトキシジグリコールとの混合液のみを塗布した群を陰性対照群として用いて、3%ミノキシジル製剤(マイノキシル、現代薬品、韓国)を陽性対照群として用いた。試料を塗布した後14日目と18日目に除毛した部位を撮影した写真を図3に示した。

0105

図3の結果によると、非処理群(陰性対照群)では毛がほとんど育たなく、皮膚が外部に露出しているのに対し、O−C−P1P処理群、N−C−P1P処理群では、非常に早く毛髪の成長が行われていることが分かった。O−C−P1Pにおいて陽性対照群よりもさらに早く育毛効果が現れる反面、N−C−P1P群では陽性対照群よりは多少劣るが陰性対照群に比べては顕著な育毛効果を観察することができた。従って、このような結果から本発明に係る化合物が育毛を促進させるということが明らかである。

0106

<実験例2:C3Hマウスを利用した育毛試験(2)>
前記実施例6および7で調製したO−C−P1P含有リポソームを前記実験例1と同じ方式で育毛試験を行った。但し、一日に1回ずつ塗布することを3週間持続した後、除毛した部位の写真を撮影した。その結果を図4に示した。

0107

図4によると、O−C−P1Pリポソーム処理群が、陰性対照群に比べて顕著な育毛効果を示していて、陽性対照群と類似の育毛効果を有することが分かった。

0108

<実験例3:O−C−P1Pの濃度による育毛試験(3)>
前記の実施例4で調製されたO−C−P1Pを、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%の三つの濃度でエタノールとエトキシジグリコールとの混合液(9:1,v/v)に溶解して試料を調製した。その試料に対して前記実験例1と同じ方式で育毛試験を行った。

0109

試料を塗布した後、13日目と17日目に除毛した部位を撮影した写真を図5に示した。

0110

図5の結果によると、0.005重量%〜0.02重量%の濃度において陰性対照群に比べて顕著に優れた育毛効果を示したが、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%の三つの濃度群の間では育毛効果の差が大きくなかった。3重量%3%ミノキシジル製剤投与群と類似の効果を見せたため、O−C−P1Pはミノキシジルの300倍以上の低い濃度でも同じ育毛効果を示すことが分かる。

0111

<実験例4:O−C−P1Pの塩の種類による育毛試験>
前記実施例4で合成したO−C−P1P塩酸塩、実施例4で調製されたO−C−P1P、実施例4で調製されたO−C−P1Pジナトリウム塩に対して、前記実験例1と同じ方式で育毛試験を行った。

0112

試料を塗布した後14日目と18日目に除毛した部位を撮影した写真を図6に示した。

0113

図6の結果によると、塩の種類に関係なく陰性対照群に比べて顕著な育毛効果が現れることが分かった。

0114

<実験例5:発毛効能臨床試験(1)>
前記実施例7で調製したO−C−P1Pリポソームを、脱毛が進行中である被験者に直接投与して発毛効能を比較した。被験者2人に一日1回〜2回塗布して、一度に5回〜7回スプレーした後、リポソーム溶液が流れないように塗布した後、手でこするようにした。

0115

試料を塗布する前と、経時による頭部撮影の写真を図7aおよび図7bに示した。

0116

図7aおよび7bの結果によると、塗布前に比べて時間経過により脱毛予防および発毛効能が非常に優れることが分かった。従って、人体に直接適用時に優れた脱毛予防および発毛効果が確認された。

0117

<実験例6:発毛効能臨床試験(2)>
前記実施例7に記載の通り、0.002重量%(グループA)、0.01重量%(グループB)、0.05重量%(グループC)のO−C−P1Pリポソームを調製して、脱毛が進行中である被験者に直接投与して発毛効能を比較した。被験者と実験者は濃度が分からないように二重盲倹法で実験を進めた。

0118

塗布した後4週、8週、12週、16週の間、髪の毛の密度と太さの変化を観察して、O−C−P1Pの濃度による臨床効能を評価した。各濃度別髪の毛の密度変化と太さの変化を観察した結果を下記の表2と表3にまとめた。評価基準は次の通りにした(単位:頭皮密度と太さの評価単位、0:変化がない、1:認知できるレベル好転、2:弱く好転、3:好転、4:相当好転、5:非常に好転)。塗布前と16週後の頭を撮影した写真を各濃度グループ別に比較した結果を図8に示した。

0119

0120

0121

前記表2および3によると、グループBとCにおいて12週と16週に統計的に有意な髪の毛の密度および太さ変化が観察できた。また、図8によると、塗布前に比べて塗布後に髪の毛の密度が増加したことが確認できる。

0122

<実験例7:細胞増殖およびコラーゲン合成促進
N−C−P1PおよびO−C−P1Pのシワ改善効果を測定するためにヒト繊維芽細胞(human fibroblast)の増殖効果をMTT(3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyltetrazoliumbromide)アッセイにより測定して、コラーゲン合成を調べるためにはヒト繊維芽細胞(真皮細胞)で生成されるプロコラーゲンタイプI(procollagen type I)を測定した。

0123

細胞増殖を測定するために、ヒト繊維芽細胞を10%FBSと100unit/mLのペニシリン/ストレプトマイシンが添加されたDMEM(Dulbecco's modified eagle medium)培地で24時間培養し、培養環境は37℃に維持される5%CO2培養器で培養した。その後、培地を除去してN−C−P1PとO−C−P1Pを濃度別に添加して培養した後、MTTアッセイにより細胞増殖効果を測定した結果を表4にまとめた。

0124

0125

コラーゲン合成を測定するためには、ヒト繊維芽細胞(真皮細胞)を前記の条件で24時間培養した後培地を除去して、新しい無血清培地で段階別に希釈したN−C−P1PとO−C−P1P(1uMおよび10uM)を加えた後、再び24時間培養した後、培養液を以てプロコラーゲンタイプIC−ペプチドEIAキットによりコラーゲン量を測定した結果を下記の表5に示した。

0126

0127

前記表4および表5の結果によると、N−C−P1PおよびO−C−P1Pは細胞増殖を促進するだけでなく、コラーゲン合成を促進することが明らかになった。従って、N−C−P1PおよびO−C−P1Pは、ヒト繊維芽細胞の増殖と、コラーゲン合成を促進する、シワ改善および老化製品に適用可能であることが確認された。

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