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課題・解決手段

本発明は、微生物感染症を予防または治療するための組成物であって、かかる治療および感染症の治療または予防のための方法における使用に適する組成物を調製するための方法に関する。1つのそのような組成物は、反芻動物乳腺炎の治療に特に使用される。本組成物は、乳腺炎の非常に有効な治療薬として、または予防的治療として乳房内注入によって動物乳房投与される。本発明の組成物および方法を用いた治療中に動物が生産する乳は、飲料に対するまたはチーズもしくはヨーグルトなどの乳製品の生産におけるその適合性に影響を与える可能性がある抗生物質抗菌剤または抗菌タンパク質などの残留物を含まない。本組成物および方法はまた、肺感染症熱傷および創傷における感染症、ならびにバイオフィルムによって引き起こされる他の感染症の治療および予防に有用である。本組成物はまた、感染を予防するための医療機器で使用できる。

概要

背景

ウシ乳腺炎は、獣医畜産において最もコストがかかる内科疾患である。乳腺炎は、乳房内細菌感染の結果として生じる。そのような感染には、微生物環境要因、および自体の3つの要素が関与する。大腸菌またはシュードモナスなどの他のものも感染症を引き起こし得るが、ブドウ球菌および連鎖球菌は感染の約90%の原因となっている。栄養、寝具および搾乳技術は全て、感染の可能性に影響を与える。さらに、泌乳ステージが影響を与え(泌乳サイクルが進行するにつれて、乳首割れ、損傷し得る)、動物が受ける泌乳の回数は、(必ずしも感染ではないが)炎症の可能性を決定づける。乳房の感染は、乳生産量の減少、および乳中体細胞数(SCC)の増加をもたらす。SCCレベルは、乳質および細菌感染の存在の代替指標として酪農家ならびに乳プロセッサーによって使用される。動物における(腫れ、乳房の圧痛などの)不快感兆候と共に、1ml当たり800,000超のSCCが乳腺炎の臨床例と考えられる。亜臨床例では、動物において感染の外的兆候はないが、乳中のSCC数が上昇し得る。農場経営者は、彼らの乳に対してSCC数に基づいて支払われる場合が多く、より高品質の乳は低SCCレベルに基づいて分類され、プレミアムが付く。

乳腺炎のための典型的な治療は、抗生物質治療薬の使用を伴う。抗生物質を使用すると、最大9日間は、治療中および治療後の動物乳販売が不可能になる場合が多い。乳腺炎と関連する抗生物質治療中に乳を破棄するか、または少なくとも販売しないことが要求され、乳生産者に著しい追加の経済的負担がかかる。以下のために無販売の要件が導入されている:
(i)残留抗生物質がヒトの食物連鎖に入るのを防ぐため:従来の抗生物質治療は全て、治療中および治療後の何日かの間、乳の廃棄を必要とする。これは、食物連鎖に抗生物質が存在しないようにするためである。食物連鎖中の抗生物質は、2つの重要な影響を及ぼす−それらは、薬物との継続的な接触により、薬物に対する菌耐性の可能性を高める。(以前のフルオロキノロン使用の禁止後の)セファロスポリン類は、ヒト病原体治療のためのとても重要なクラスの薬物であるため、例えば、最近、米国における畜産での使用が禁止された(官報/77巻、4号/2012年1月6日金曜日)。第2に、抗生物質の存在は、ヒトの腸の細菌叢に非常に影響を与え、重要なプロバイオティック細菌を抑制し、通常は、そのような環境では「足場」を得ない潜在的な病原性細菌の増殖を可能にし得る。
(ii)チーズおよびヨーグルト生産のための細菌スターター培養物阻害されないことを確実にするため:残留抗生物質の存在は、チーズとヨーグルトの両方の生産に使用される(乳酸菌などの)スターター培養物を阻害する。これらの培養物は、典型的には、抗生物質に非常に敏感な生物で構成されており、したがって、スターター培養物が阻害されないことを確実にするためには、抗生物質の使用後に長い乳廃棄期間が必要とされる。酪農レベルでのDelvo試験の使用は、乳中の残留抗菌剤スクリーニングするための比較的簡単な方法である。これは、抗菌剤に敏感な熱耐性微生物の使用に基づいており、酪農慣行における「ゴールドスタンダード」とみなされている。生物の阻害は、乳中の抗菌剤の存在を示す。微生物の増殖は、抗菌剤が存在しないことを示す。後処理での使用に適さないので、抗菌剤含有乳は破棄され、農家に大きな負担を強いる。様々な抗生物質が現在販売されているが、これらは全て、特定の期間の乳廃棄を必要とする。例えば、テトラデルタは、治療中の2日間および治療後5日間、乳廃棄を必要とする。ウブロイエロー(Ubro Yellow)は、治療中の3日間および治療後6日間、乳廃棄を必要とする。テレシン(terrexine)は、治療の1日および治療後6日間、乳廃棄を必要とする。乳廃棄を必要としない抗生物質は販売されていない。酪農家は、乳廃棄が乳腺炎の場合によって被った主な費用と見なしている。

乳腺炎を治療するために、抗生物質以外の、休薬期間のない化合物の使用が提案されている。米国特許第6794181号は、ナイシン名付けられた、ランチビオティックに分類される化合物の分離および使用について記載している。この化合物は抗菌特性を有する。ナイシン、および類似化合物(例えば、米国特許公開第07/317,627号;米国特許第5950269号および米国特許公開第20110269671号)は、抗生物質というよりむしろ抗菌ペプチドであり、したがって、残留抗菌剤は乳中に存在しない。しかし、他の保存方法がない場合には、ナイシンは、グラム陰性菌酵母、またはカビを阻害しない。その結果、ナイシンは、低pHおよび高塩濃度などの他の相乗的な食品保存法と組み合わせて、治療薬としてではなく、主に食品保存剤として使用されている。さらに、乳中の残留ナイシンはまた、チーズおよびヨーグルト生産のためのスターター培養物も阻害するので、抗生物質と同様に、乳の後処理プロセスを妨害し得る。例えば、多数の動物が一度に治療される場合には、乳中の残留ナイシンは培養される乳製品(特定のチーズ、ヨーグルト)にある程度干渉し得ることが明らかにされた。ナイシンの使用はまた、治療中の動物の体細胞数を高めることも示されており、農場経営者への支払いがSCCレベルに基づく場合には、深刻な払戻金をもたらした。病原菌によるナイシンおよび類似分子に対する耐性の獲得も報告されている。

ヒトの医療に対する抗生物質耐性の発生の懸念に加えて、酪農における主要な問題は、歴史的な抗生物質の使用に関連する、動物における抗菌薬耐性である。繰り返し使用時に、抗生剤に対する微生物耐性が蔓延し、その結果、任意の特定の抗生物質がある時点で治療薬として完全に無効になる−このことは、ヒトと獣医学の両方において重要かつ緊急の課題として広く認識されている。乳腺炎の原因生物には、細菌の大腸菌、黄色ブドウ球菌ストレプトコッカスディガラクティエ、アガラクティエ、ストレプトコッカス・ウベリス、および緑膿菌が含まれる。これらのうち黄色ブドウ球菌が、微生物の表現型によって特に問題である。この細菌株は、乳房の上皮層に感染し、したがって、抗生物質を回避することが可能である。さらに、この生物は、一般に、バイオフィルムとして増殖することが判明している。バイオフィルムの表現型では、微生物は抗菌剤の作用に非常に高い耐性を示す。そのようなものとして、この微生物は処理が非常に困難である。牛における黄色ブドウ球菌感染症の抗生物質治療は、例えば、2つの段階を伴う場合が多い。第1に、抗生物質はSCCの最初の低下を引き起こし、細菌の死滅が示される。しかし、抗生物質は、上皮層内の細胞に近づかない。短い時間枠内(例えば、2〜3週間)で、上皮層で増殖している細菌細胞が栄養豊富な環境中で増殖するために再び乳房に入るので、感染が復活する。この種の症例は、現在、「慢性乳腺炎」に分類されている。抗生物質の繰り返し使用は、薬剤との繰り返し接触により耐性特性を発症する可能性が高い細菌株をもたらすので、そのような症例の治療は特に困難である。これらの種類の症例の治療は、現在最も効き目のある抗生物質療法を使用しても成功の見込みが低い。この段階では、通常、動物を維持することは経済的に実現不可能であり、したがって、動物は選別され、農場経営者は1,000ユーロ(1,300ドル)超のコストで動物を交換する。

したがって、乳腺炎の発症に関連する経済的コストには、乳生産量の減少、生産される低品質乳による所得喪失獣医師料、抗生物質の処方、乳販売の保留および選別動物の交換による所得喪失が含まれる。

微生物感染症
本発明のさらなる目的は、いくつかの他の細菌感染症の予防および治療である。薬物送達および抗生物質耐性は、嚢胞性線維症(CF)、結核(TB)および肺炎の治療における主要な問題である。抗生物質耐性は、標的部位、すなわち、に到達する薬物の唯一のサブ抑制濃度の結果として生じる場合が多い。慢性感染は、そのような状況から発症し、患者の健康をひどく損なう場合が多い。ヨウ化物および過酸化水素組成物の添加は、CFと診断された人々に予防的に作用し得るか、またはすでに肺感染症を発症している患者を治療するために使用され得る。噴霧スプレーとして、または生理食塩水(または実際には担体として水を使用する)組成物として送達されるそのような組成物は、感染症、特に、細菌の抗生物質耐性株によって引き起こされる感染症を最小化および制御するために病院で使用される可能性を有する。これは、体腔が環境に開かれている外科手術中に特にリスクがある。

熱傷/皮膚/口
本発明の組成物および方法に適切な標的である他の感染症は、熱傷および開放創または慢性創傷の結果として発生したものである。現在の抗生物質治療計画を上回る組成物、治療または方法を使用することの利点は、安全性、有効性、および治療に対する細菌耐性の低いリスクに関して、CFまたはTB治療における上記のものと同様である。本発明者らは、記載の組成物がバイオフィルムベースの細胞(固体層に付着したもの)の治療に有効であることを示した。これは、TB/CF患者の肺、および開放創または熱傷における最も顕著な細菌表現型である。バイオフィルムの表現型は、広範囲の抗生物質に対して細菌に一般的な耐性を付与する。

本発明の組成物はまた、一般的な抗菌溶液として役立ち、多数の目的を有し得る。例えば、抗菌性組成物を含む洗口剤は、口腔内にバイオフィルムの形成を防ぐのに役立ち得る。同様に、抗菌性鼻洗浄液は、副鼻腔炎またはアレルギー性鼻炎などの副鼻腔疾患を軽減するために使用できる。現在、ステロイドおよび生理食塩水の鼻洗浄液が使用されている。しかし、抗菌性生理食塩水洗浄液はまた、鼻腔細菌コロニー形成を防止および対抗するのに役立つ。

医療機器
本発明の抗菌性組成物の使用はまた、移植された医療装置上での細菌感染症の治療および予防に多くの利点を保持する。(扱いにくいバイオフィルムの形態での)感染は、カテーテルなどの様々な機器に非常に一般的である。

抗真菌薬
感染症は、酵母または真菌の増殖だけでなく、細菌の増殖の結果として生じ得る。このように、抗菌活性を発揮することが可能な治療計画は、(抗菌活性とは対照的に、抗生物質の場合のように)非常に有益である。この目的を達成するために、組成物の記載例は、以下のものを含むが、これらに限定されない多数の真菌株を根絶できる:カンジダ(真菌株は、一般的に日和見病原体として説明されている。真菌株は、様々な皮膚の状態だけでなく、外陰膣炎および尿路感染症を引き起こし得る);(一般的にパン酵母として知られている)出芽酵母は、食糧生産の重要な生物である。これはまた、飲料業界にとって大きな問題を提起しビール生産ライン上で見られる典型的な生物であり、飲料腐敗の原因である。

本発明はまた、抗ウイルス剤として使用できる。

過酸化水素は、水溶液中で単独で、または他の化学物質と組み合わせて、高レベルの表面消毒薬として使用される。3%溶液防腐剤として使用される。これらの適用は、哺乳動物組織への過酸化物濃度の上昇(0.15%上向き)によって引き起こされる損傷により、ヒトまたは動物の体内抗菌療法での使用には不適切である。さらに、過酸化水素濃度の上昇は、新たに形成された細胞を破壊するため、(例えば、創傷および熱傷での)損傷組織治癒を妨げ、瘢痕化につながることが示されている。

次亜ヨウ素酸塩(IO−)は、UV照射などのプロセスの副産物であるという点で、かつラクトペルオキシダーゼ(または他のペルオキシダーゼ)系の生成物(EP2510944A1、米国特許公開第2012/0021071A1号、同第2012/0128650A1号、米国特許第5607681号)として説明されている。

過酸化物ペルオキシダーゼ酵素とヨウ化物の反応の結果として生成される次亜ヨウ素酸塩(IO−)は、実験培地中で増殖させた場合にグラム陰性微生物に対して殺菌性を示し得るが、IO−の生成は、通常、唾液、乳および他の生理的状況で見られる濃度のチオシアン酸塩化合物の存在によって阻害されるので、文献では、この方法は生理学的条件下では無効になると示されている(Klebanoff et al.,1967,J Exp Med 1967 126(6):1063−78;Tenovuo et al.2002 Oral Diseases 8,23−29)。IO−は、一般的に、天然の抗菌ラクトペルオキシダーゼ系の一部としてグラム陽性生物に対して静菌性である(すなわち、増殖のみを抑制する)とみなされている。大腸菌および緑膿菌はグラム陰性生物であるが、黄色ブドウ球菌および連鎖球菌はグラム陽性菌である。

過酸化水素自体が高濃度で抗菌性であり、グラム陽性細菌に対して主に有効であるが、緑膿菌などのグラム陰性細菌にのみ静菌性であるとみなされている。さらに、細菌内のカタラーゼの存在は、グラム陽性に対しても、3%未満の濃度の過酸化水素溶液の効果を弱める。同様に、組織に存在するカタラーゼは、インビボで過酸化水素の抗菌性を依然として弱くさせ得る。例えば、水膨れ創傷における黄色ブドウ球菌の臨床研究において、細菌負荷の減少は、3%過酸化水素を用いて達成されなかった。創傷の様々な研究における過酸化水素の使用の総説によると、「結論として、過酸化水素は、創傷治癒に負の影響を与えないように思われるが、細菌数を減少させるほど有効ではない」ことが判明した(Drosouら、2003、創傷;15(5))。このように、従来技術は、殺菌目的のための、3%未満の過酸化水素を含有する組成物の使用はインビボでの創傷用途に無効であると教示している。同様の知見が、生理学的流体に関して報告されている。例えば、様々な生物に感染した患者に過酸化水素が注入された場合に、過酸化物関連抗菌活性は見られなかった。過酸化水素は、過酸化物感受性の大腸菌に感染させたウサギの血液中に注入された場合には、殺菌活性はなかった。さらに、大腸菌を含むウサギまたはヒトの血中の生体外過酸化物の濃度を増加させても、殺菌活性の証拠をもたらさなかった。高濃度の過酸化水素の抗菌効果欠如は、過酸化物を破壊する酵素であるカタラーゼの存在に直接起因するものであった。

黄色ブドウ球菌および大腸菌を含む多くの病原性細菌は、過酸化物を不活性化するカタラーゼ酵素発現する。したがって、食品保存、歯磨剤などに使用するための抗菌剤としてのペルオキシダーゼ酵素系を設計するための基礎は、過酸化物が細菌によって除去される前に、サブ毒性濃度の過酸化水素(または過酸化ナトリウムなどの過酸化物の他の形態)を抗菌剤に変換するために、ペルオキシダーゼ酵素が細菌と競合することが必要とされることである。

文献では、ヨウ化物と過酸化物の反応を、哺乳動物に対して毒性ではない後者の分子の濃度で触媒するために固有のペルオキシダーゼ酵素の使用が重要であることが示されている。このように、ペルオキシダーゼ酵素(ならびに基質および過酸化物)は、天然の抗菌システムが機能することを可能にするのに必須であると考えられている−「効果的であるためには、システムを構成する3つの要素を同時に提示する必要がある」−Poutrelら(Ann.Rech Vet,1982,13(1),85−89))。Magnussonら(J of Biological Chemistry,Vol.259,No.22,1984)は、酸素分子利用可能な過酸化物から利用可能なヨウ化物分子に移す際に、ラクトペルオキシダーゼが中心的な役割を担うことを詳細に説明している。彼らは、ペルオキシダーゼ酵素が、反応を調節するのに不可欠であること、かつ主生成物IO−のみならず、過酸化物とヨウ化物の反応の結果としても生成されるIOH(次亜ヨウ素酸)、I2(ヨウ素)および他のヨウ素化合物の生成にも大きな影響を及ぼしたことを示している。

ヨウ素は、細菌を死滅させる方法として長く使用されてきた。発見された最も一般的なバージョンは、ポビドンヨードとしても知られているポリビニルピロリドンPVP−Iのバージョンである。ヨウ素(I2)は特にすぐに消散するので、ヨウ素の安定性補助するために複合体を形成する。これは、独特の赤色を帯びており、手術中に局所防腐剤として、または酪農場での乳首ディップとして使用される場合が多く、乳腺炎感染の伝染の可能性を最小限にする。有機物質とあまり反応しないので、その制限は十分に特徴付けられており、血流中に存在する場合は、毒性を示し得る。

IO−が数時間という比較的短い半減期を有することから、治療的処置において一過性静的効果のみを発揮し得ることが示唆される。これは、以下に記載の先行技術の報告によって支持される:(i)グラム陽性生物を死滅させることにおける有効性の低さ(「システムの主たる静菌効果により、低品質の牛乳偽装することは不可能である」、ラクトペルオキシダーゼシステムの使用による生乳の保存のためのガイドライン、CAC/GL 13−1991、WHO「生乳保存のラクトペルオキシダーゼ系−データ呼び出し、2005年;Reiter and Harnulv 1984);(ii)細菌が短い遅延の後に再び増殖し始める際の一過的な静菌効果(Ishido et al.,2011 Milchwissenschaft 66(1)2011;Thomas et al.,1994,Infection and Immunity,Vol 62,No.2 p529−535;Marks et al.,2001 J Appl.Micro.91,735−741;Kamau et al.,1990 Appl and Env.Micro.Vol.56,No.9;McLay et al.,2002,Int Jour of Food micro,73,1−9);および(iii)バイオフィルム中で増殖する細菌を根絶させることの不可能さ(Dufour et al.,Journal of Food Protection,67(2004),pp1438−1443;Abbeele et al.,1996,Int Rech Sci Stomotol Odontol 39(1−2):57−61)。この後者の情報は、バイオフィルムの表現型が定期的に発生するウシ乳腺炎の治療法としてのIO−の使用に対して教示している。公表されたデータに基づくと、IO−化合物は、完全に病原菌を死滅させ、乳腺炎感染症を治癒するのに有効ではないと予想される。

しかし、従来技術は、この反応がペルオキシダーゼ酵素の非存在下で行われる場合には、低い(0.5%未満の)濃度の過酸化水素とヨウ化物の反応生成物に関して正しくない。本発明者らは、これらの反応生成物が、バイオフィルムモードで増殖しているものを含む広範囲のグラム陰性およびグラム陽性生物を死滅させるのに有効であること、かつ乳腺炎に対して非常に有効な治療を提供し、治療中に生成される乳がチーズ生産および他の後処理に安全に使用されるのを可能することを示した。さらに、発明者らは、ラクトペルオキシダーゼ(または任意の他のペルオキシダーゼ、任意の他の相乗的作用物質もしくは化合物)の存在が乳または他の培地に抗菌活性を生じさせるのに必要でないこと、かつペルオキシダーゼ酵素の添加が、生成される生成物の抗菌効果を増強せず、乳または他の培地中のそれらの活性半減期延長せなかったことを開示する(結果3)。妨害物というよりむしろ抗菌活性の存続期間の短い性質は、本発明において重要な利点として機能する。そのため、発明者らは、治療後8〜12時間の時点で動物から取得した乳中に抗菌活性が残らないように反応をタイターする方法を開示する。細菌のスターター培養物がチーズおよびヨーグルトの生産に使用され、その時点で残留抗菌剤または薬剤が存在する場合には抑制されるので、このことは重要である。

ハイポチオシアン酸塩(Hypothiocyanite(OSCN−))は、ペルオキシダーゼ酵素により触媒されるチオシアン酸および過酸化物の反応によって生成される。多くの研究が、細菌増殖を制限する方法としてOSCN−の使用を検討した。さらに、多くの特許が、ペルオキシダーゼ反応におけるチオシアン酸塩の使用について記載している(EP 2510944A1、米国特許公開第2012/0021071A1、同第2012/0128650A1号、米国特許第5607681号)。記載文献は全て、補充したペルオキシダーゼ酵素の使用により反応が進行することを示している。Ishidoら、2011は、細菌を阻害するOSCN−法について説明した。酵素触媒システムは、48時間の持続的な接触時間であっても、シュードモナス株および大腸菌株を根絶することはできなかった。OSCN−に基づく他の実験室での研究は、細菌の完全除去よりもむしろ、それらの分離株の大部分において増殖時間(4時間以下)の最小の減少を伴う場合が多い静菌効果について説明しているか、または、特に大腸菌などの病原菌が引き起こす乳腺炎において阻害効果が全くないことについて説明している。他のものは、乳腺炎の治療で使用するには不適切な構成であるOSCN−を生成するための固定化酵素の使用の必要性について説明している。Carlssonら(Infect.Immunity,44:581−586,1984)は、さらに、反応の副生成物であるSCN−が過剰な過酸化物の存在などの特定の条件下で過酸化物分子の細胞毒性効果を増強できることを証明した。これらの知見は、全体的な有効性のための乳腺炎治療としてのOSCN−モデルの使用について教示している。

これにもかかわらず、OSCN−モデルの使用は、動物またはヒトの臨床試験に関するデータは本出願には含まれないが、嚢胞性線維症の潜在的な治療として説明された(米国特許公開第2012/0021071A1)。しかし、米国特許公開第2012/0021071A1号において、出願者らは、OSCN−自体はこの目的のために不十分であるので、バイオフィルムの除去を可能にする追加の外来性化合物が必要であることを認める。追加物質についての同様の要求は、米国特許第8263138B2号に記載されている。実際に、本出願の表2に示した結果も、相乗的な化合物の非存在下でのバイオフィルム培養物を死滅させる試みにおけるOSCN−の使用について示している。

驚くべきことに、本発明において、低い(0.5%未満の)濃度の過酸化水素およびヨウ化物含有組成物は、ペルオキシダーゼ酵素の非存在下で、バイオフィルム除去を補助するために添加される任意の相乗的な化合物を必要とすることなく、バイオフィルム付着細胞を死滅させるのに十分である。

本発明の抗菌組成物の多数の他の用途がある。これらには、哺乳動物の肺の感染症が含まれる。嚢胞性線維症および結核は、現在では治療することが極めて困難である2つの疾患である。結核の症状は、肺の感染によって引き起こされ、長期の抗生物質治療が必要とされる。嚢胞性線維症(CF)は、患者が、特に肺において膜を横切る塩化物イオンの移動を調節できない疾患である。この疾患は、常に、多数回の慢性肺感染につながる。いずれかの疾患のための抗生物質治療は、深刻な薬物耐性つながり、その有効性を最小限にする。現在では、抗生物質は、血流を通って静脈内に、または経口懸濁液/錠剤によって、または吸入によって送達される。抗生物質は必要な場所まで肺の膜を効率的に横断できないので、薬物送達はCF患者にとって大きな問題である。これは、サブ抑制濃度の導入により、薬物に対する耐性が深刻な課題になる可能性のある問題につながる。これにより、薬物を用いた任意のさらなる治療が使用できなくなる。

熱傷の患者または開放創を有する患者は、細菌のブドウ球菌またはシュードモナス種による顕著な感染症である細菌感染症に非常に敏感である。そのような感染症の治療は、常に、経口または静脈内のいずれかによる抗生物質の投与計画による治療になる。これらは、予防的に、または感染が明らかである場合に与えられ得る。そのような抗生物質の使用は、薬物に対する耐性および効果のない治療結果につながる場合が多い。発明者らは、本明細書に開示された抗菌組成物および方法を用いて、必要であれば、定期的に交換または変更できる記載の抗菌組成物(複数可)と組み合わせた包帯または湿布を用いて、熱傷患者を治療する新しい方法を計画する。

さらに、毎年、多くの抗生物質治療は、患者が使用している間に感染した医療機器に起因する。多くの生物は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方を含むそのような感染症に関与する。導尿カテーテルまたは静脈内カテーテルなどのアイテムにおける感染は、そのような機器の非滅菌設置の結果である場合が多い。幾日か経過すると、この機器の表面上に存在する任意の細菌細胞が増殖して、バイオフィルムの生成をもたらす。そのようなバイオフィルムは、バイオフィルム塊の内側細胞に薬物が通過しにくいことにより、抗生物質での治療を極めて困難にし、抗生物質に対するバイオフィルムのさらに高レベルの耐性につながる場合が多い。医療機器の感染は、取り外しおよび交換が必要になり、患者を不快にさせる場合が多い。感染は、医療機器の設置後数日で顕著になる場合が多いが、通常、設置時の非常に初期に存在する細菌の結果として発生する。

概要

本発明は、微生物感染症を予防または治療するための組成物であって、かかる治療および感染症の治療または予防のための方法における使用に適する組成物を調製するための方法に関する。1つのそのような組成物は、反芻動物の乳腺炎の治療に特に使用される。本組成物は、乳腺炎の非常に有効な治療薬として、または予防的治療として乳房内注入によって動物の乳房に投与される。本発明の組成物および方法を用いた治療中に動物が生産する乳は、飲料に対するまたはチーズもしくはヨーグルトなどの乳製品の生産におけるその適合性に影響を与える可能性がある抗生物質、抗菌剤または抗菌タンパク質などの残留物を含まない。本組成物および方法はまた、肺感染症、熱傷および創傷における感染症、ならびにバイオフィルムによって引き起こされる他の感染症の治療および予防に有用である。本組成物はまた、感染を予防するための医療機器で使用できる。aおよび1b

目的

本発明の第一の目的は、微生物感染の予防または治療のための方法および組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

医薬的に有効な担体または希釈剤と共に、ヨウ化物(I−)および過酸化水素源を含む医薬組成物

請求項2

前記過酸化水素の濃度が、重量/容積または重量/重量に基づいて1%未満である、請求項1に記載の医薬組成物。

請求項3

ペルオキシダーゼ酵素を含まない、請求項1または2に記載の医薬組成物

請求項4

過酸化水素に対するヨウ化物の重量比が0.2:1〜3:1である、請求項1〜3に記載の医薬組成物。

請求項5

過酸化水素に対するヨウ化物の重量比が0.38:1〜1.52:1である、請求項1〜4に記載の医薬組成物。

請求項6

ヨウ化物を5〜5,000mg含み、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.2:1〜3:1で調製された、請求項1〜5に記載の医薬組成物。

請求項7

ヨウ化物を5〜5,000mg含み、過酸化水素に対するヨウ化物の好ましい重量比0.38:1〜1.52:1で調製された、請求項1〜6に記載の医薬組成物。

請求項8

ヨウ化物を5〜5,000mg含み、過酸化水素に対するヨウ化物のより好ましい重量比0.76:1で調製された、請求項1〜7に記載の医薬組成物。

請求項9

搾乳サイクルの間、乳1リットル当たり過酸化物50mgおよびヨウ化物38mgの最小濃度に達するように適合された、請求項1〜8に記載の医薬組成物。

請求項10

前記ヨウ化物源が、ヨウ化ナトリウムもしくはヨウ化カリウムヨウ化リチウムヨウ化セシウムヨウ化水素ヨウ化ロジウム、またはそれらの徐放性形態であり得る、請求項1〜9に記載の医薬組成物。

請求項11

前記過酸化水素源が、過酸化水素、過酸化ナトリウム過酸化リチウムまたは過酸化物放出クエン酸もしくはビタミンC酸化バリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素−尿素付加物を含む過酸化物塩、スーパーオキシドジオキシニル、オゾン類、およびオゾニド類を含む酸素放出擬似過酸化物、ペルオキシ酸ハロゲン化アシル脂肪族過酸化物を含む有機過酸化物である、請求項1〜10に記載の医薬組成物。

請求項12

前記過酸化水素源が、過炭酸ナトリウムもしくは過炭酸カリウムなどの過酸化物放出過炭酸塩、または徐放性形態であり得る、請求項1〜11に記載の医薬組成物。

請求項13

ヨウ化物を5〜5,000mg含み、過炭酸ナトリウムに対するヨウ化物の重量比0.2:1〜1:1で調製された、請求項1〜12に記載の医薬組成物。

請求項14

ラクトフェリンまたはグルココルチコイドをさらに含む、請求項1〜13に記載の医薬組成物。

請求項15

前記グルココルチコイドが、プレドニゾロンプレドニゾン、またはヒドロコルチゾンである、請求項12に記載の組成物

請求項16

前記組成物が、乳腺炎泌乳反芻動物治療のために適合される、請求項1〜15に記載の組成物。

請求項17

前記過酸化物およびヨウ化物の構成成分の同時または連続送達に適合された、請求項1〜16に記載の組成物。

請求項18

前記薬学的に有効な担体が、水、生理食塩水エマルションゲルまたはヒドロゲルである、請求項1〜17に記載の組成物。

請求項19

乳房内装置による送達に適合された、請求項1〜18に記載の組成物。

請求項20

湿らせた包帯による送達に適合された、請求項1〜19に記載の組成物。

請求項21

前記組成物が抗菌鼻洗浄剤としての使用に適合される、請求項1〜20に記載の組成物。

請求項22

前記組成物が抗菌性口内洗浄剤としての使用に適合される、請求項1〜21に記載の組成物。

請求項23

前記組成物が、創傷もしくは熱傷感染の治療のための包帯または湿布に適合される、請求項1〜22に記載の組成物。

請求項24

前記組成物が、ヒトもしくは動物の細菌または真菌感染症の治療のためにスプレー形態噴霧される、請求項1〜23に記載の組成物。

請求項25

前記組成物が抗真菌洗浄剤としての使用に適合される、請求項1〜24に記載の組成物。

請求項26

過酸化水素およびヨウ化物が、過酸化水素を10〜5,000mg/Lおよびヨウ化物を7〜3,800mg/L含む作業溶液の生成に適する、医療機器内で濃縮された形態で提供される、請求項1〜25に記載の医薬組成物。

請求項27

ヨウ化物を7〜3,800mg/Lおよび過酸化水素を10〜5,000mg/L含み、殺菌剤として使用するための組成物。

請求項28

請求項1〜13のいずれかに記載の組成物でコーティングされた医療機器。

請求項29

請求項1〜13のいずれかに記載の組成物を含浸させた包帯または湿布。

請求項30

ヨウ化物および過酸化水素源を含む殺菌剤または消毒薬組成物

請求項31

そのような治療を必要とする対象に同時にまたは連続して、ヨウ化物および過酸化水素源を投与することを含む、感染症を予防または治療する方法。

技術分野

0001

本発明は、微生物感染症を予防または治療するための組成物を調製するための方法、そのような治療に使用するのに適する組成物および感染症の治療または予防のための方法に関する。1種類のそのような組成物は、特に反芻動物乳腺炎の治療に使用される。本組成物は、乳腺炎に対して非常に有効な治療薬として、または予防的治療薬として、乳房内注入によって動物の乳房内に投与される。本発明の組成物および方法を用いた治療中の動物によって生産される乳には、飲料に対するまたはチーズもしくはヨーグルトなどの乳製品の生産におけるその適合性に影響を与える可能性がある抗生物質抗菌剤または抗菌タンパク質などの残留物は含まれない。本組成物および本方法は、肺感染症火傷または創傷における感染症、およびバイオフィルムによって引き起こされる他の感染症の治療および予防にも有用である。本組成物はまた、感染を防止するために、医療機器で使用できる。

背景技術

0002

ウシ乳腺炎は、獣医畜産において最もコストがかかる内科疾患である。乳腺炎は、乳房内の細菌感染の結果として生じる。そのような感染には、微生物環境要因、および自体の3つの要素が関与する。大腸菌またはシュードモナスなどの他のものも感染症を引き起こし得るが、ブドウ球菌および連鎖球菌は感染の約90%の原因となっている。栄養、寝具および搾乳技術は全て、感染の可能性に影響を与える。さらに、泌乳ステージが影響を与え(泌乳サイクルが進行するにつれて、乳首割れ、損傷し得る)、動物が受ける泌乳の回数は、(必ずしも感染ではないが)炎症の可能性を決定づける。乳房の感染は、乳生産量の減少、および乳中体細胞数(SCC)の増加をもたらす。SCCレベルは、乳質および細菌感染の存在の代替指標として酪農家ならびに乳プロセッサーによって使用される。動物における(腫れ、乳房の圧痛などの)不快感兆候と共に、1ml当たり800,000超のSCCが乳腺炎の臨床例と考えられる。亜臨床例では、動物において感染の外的兆候はないが、乳中のSCC数が上昇し得る。農場経営者は、彼らの乳に対してSCC数に基づいて支払われる場合が多く、より高品質の乳は低SCCレベルに基づいて分類され、プレミアムが付く。

0003

乳腺炎のための典型的な治療は、抗生物質治療薬の使用を伴う。抗生物質を使用すると、最大9日間は、治療中および治療後の動物乳販売が不可能になる場合が多い。乳腺炎と関連する抗生物質治療中に乳を破棄するか、または少なくとも販売しないことが要求され、乳生産者に著しい追加の経済的負担がかかる。以下のために無販売の要件が導入されている:
(i)残留抗生物質がヒトの食物連鎖に入るのを防ぐため:従来の抗生物質治療は全て、治療中および治療後の何日かの間、乳の廃棄を必要とする。これは、食物連鎖に抗生物質が存在しないようにするためである。食物連鎖中の抗生物質は、2つの重要な影響を及ぼす−それらは、薬物との継続的な接触により、薬物に対する菌耐性の可能性を高める。(以前のフルオロキノロン使用の禁止後の)セファロスポリン類は、ヒト病原体治療のためのとても重要なクラスの薬物であるため、例えば、最近、米国における畜産での使用が禁止された(官報/77巻、4号/2012年1月6日金曜日)。第2に、抗生物質の存在は、ヒトの腸の細菌叢に非常に影響を与え、重要なプロバイオティック細菌を抑制し、通常は、そのような環境では「足場」を得ない潜在的な病原性細菌の増殖を可能にし得る。
(ii)チーズおよびヨーグルトの生産のための細菌スターター培養物阻害されないことを確実にするため:残留抗生物質の存在は、チーズとヨーグルトの両方の生産に使用される(乳酸菌などの)スターター培養物を阻害する。これらの培養物は、典型的には、抗生物質に非常に敏感な生物で構成されており、したがって、スターター培養物が阻害されないことを確実にするためには、抗生物質の使用後に長い乳廃棄期間が必要とされる。酪農レベルでのDelvo試験の使用は、乳中の残留抗菌剤をスクリーニングするための比較的簡単な方法である。これは、抗菌剤に敏感な熱耐性微生物の使用に基づいており、酪農慣行における「ゴールドスタンダード」とみなされている。生物の阻害は、乳中の抗菌剤の存在を示す。微生物の増殖は、抗菌剤が存在しないことを示す。後処理での使用に適さないので、抗菌剤含有乳は破棄され、農家に大きな負担を強いる。様々な抗生物質が現在販売されているが、これらは全て、特定の期間の乳廃棄を必要とする。例えば、テトラデルタは、治療中の2日間および治療後5日間、乳廃棄を必要とする。ウブロイエロー(Ubro Yellow)は、治療中の3日間および治療後6日間、乳廃棄を必要とする。テレシン(terrexine)は、治療の1日および治療後6日間、乳廃棄を必要とする。乳廃棄を必要としない抗生物質は販売されていない。酪農家は、乳廃棄が乳腺炎の場合によって被った主な費用と見なしている。

0004

乳腺炎を治療するために、抗生物質以外の、休薬期間のない化合物の使用が提案されている。米国特許第6794181号は、ナイシン名付けられた、ランチビオティックに分類される化合物の分離および使用について記載している。この化合物は抗菌特性を有する。ナイシン、および類似化合物(例えば、米国特許公開第07/317,627号;米国特許第5950269号および米国特許公開第20110269671号)は、抗生物質というよりむしろ抗菌ペプチドであり、したがって、残留抗菌剤は乳中に存在しない。しかし、他の保存方法がない場合には、ナイシンは、グラム陰性菌酵母、またはカビを阻害しない。その結果、ナイシンは、低pHおよび高塩濃度などの他の相乗的な食品保存法と組み合わせて、治療薬としてではなく、主に食品保存剤として使用されている。さらに、乳中の残留ナイシンはまた、チーズおよびヨーグルト生産のためのスターター培養物も阻害するので、抗生物質と同様に、乳の後処理プロセスを妨害し得る。例えば、多数の動物が一度に治療される場合には、乳中の残留ナイシンは培養される乳製品(特定のチーズ、ヨーグルト)にある程度干渉し得ることが明らかにされた。ナイシンの使用はまた、治療中の動物の体細胞数を高めることも示されており、農場経営者への支払いがSCCレベルに基づく場合には、深刻な払戻金をもたらした。病原菌によるナイシンおよび類似分子に対する耐性の獲得も報告されている。

0005

ヒトの医療に対する抗生物質耐性の発生の懸念に加えて、酪農における主要な問題は、歴史的な抗生物質の使用に関連する、動物における抗菌薬耐性である。繰り返し使用時に、抗生剤に対する微生物耐性が蔓延し、その結果、任意の特定の抗生物質がある時点で治療薬として完全に無効になる−このことは、ヒトと獣医学の両方において重要かつ緊急の課題として広く認識されている。乳腺炎の原因生物には、細菌の大腸菌、黄色ブドウ球菌ストレプトコッカスディガラクティエ、アガラクティエ、ストレプトコッカス・ウベリス、および緑膿菌が含まれる。これらのうち黄色ブドウ球菌が、微生物の表現型によって特に問題である。この細菌株は、乳房の上皮層に感染し、したがって、抗生物質を回避することが可能である。さらに、この生物は、一般に、バイオフィルムとして増殖することが判明している。バイオフィルムの表現型では、微生物は抗菌剤の作用に非常に高い耐性を示す。そのようなものとして、この微生物は処理が非常に困難である。牛における黄色ブドウ球菌感染症の抗生物質治療は、例えば、2つの段階を伴う場合が多い。第1に、抗生物質はSCCの最初の低下を引き起こし、細菌の死滅が示される。しかし、抗生物質は、上皮層内の細胞に近づかない。短い時間枠内(例えば、2〜3週間)で、上皮層で増殖している細菌細胞が栄養豊富な環境中で増殖するために再び乳房に入るので、感染が復活する。この種の症例は、現在、「慢性乳腺炎」に分類されている。抗生物質の繰り返し使用は、薬剤との繰り返し接触により耐性特性を発症する可能性が高い細菌株をもたらすので、そのような症例の治療は特に困難である。これらの種類の症例の治療は、現在最も効き目のある抗生物質療法を使用しても成功の見込みが低い。この段階では、通常、動物を維持することは経済的に実現不可能であり、したがって、動物は選別され、農場経営者は1,000ユーロ(1,300ドル)超のコストで動物を交換する。

0006

したがって、乳腺炎の発症に関連する経済的コストには、乳生産量の減少、生産される低品質乳による所得喪失獣医師料、抗生物質の処方、乳販売の保留および選別動物の交換による所得喪失が含まれる。

0007

微生物感染症
本発明のさらなる目的は、いくつかの他の細菌感染症の予防および治療である。薬物送達および抗生物質耐性は、嚢胞性線維症(CF)、結核(TB)および肺炎の治療における主要な問題である。抗生物質耐性は、標的部位、すなわち、に到達する薬物の唯一のサブ抑制濃度の結果として生じる場合が多い。慢性感染は、そのような状況から発症し、患者の健康をひどく損なう場合が多い。ヨウ化物および過酸化水素の組成物の添加は、CFと診断された人々に予防的に作用し得るか、またはすでに肺感染症を発症している患者を治療するために使用され得る。噴霧スプレーとして、または生理食塩水(または実際には担体として水を使用する)組成物として送達されるそのような組成物は、感染症、特に、細菌の抗生物質耐性株によって引き起こされる感染症を最小化および制御するために病院で使用される可能性を有する。これは、体腔が環境に開かれている外科手術中に特にリスクがある。

0008

熱傷/皮膚/口
本発明の組成物および方法に適切な標的である他の感染症は、熱傷および開放創または慢性創傷の結果として発生したものである。現在の抗生物質治療計画を上回る組成物、治療または方法を使用することの利点は、安全性、有効性、および治療に対する細菌耐性の低いリスクに関して、CFまたはTB治療における上記のものと同様である。本発明者らは、記載の組成物がバイオフィルムベースの細胞(固体層に付着したもの)の治療に有効であることを示した。これは、TB/CF患者の肺、および開放創または熱傷における最も顕著な細菌表現型である。バイオフィルムの表現型は、広範囲の抗生物質に対して細菌に一般的な耐性を付与する。

0009

本発明の組成物はまた、一般的な抗菌溶液として役立ち、多数の目的を有し得る。例えば、抗菌性組成物を含む洗口剤は、口腔内にバイオフィルムの形成を防ぐのに役立ち得る。同様に、抗菌性鼻洗浄液は、副鼻腔炎またはアレルギー性鼻炎などの副鼻腔疾患を軽減するために使用できる。現在、ステロイドおよび生理食塩水の鼻洗浄液が使用されている。しかし、抗菌性生理食塩水洗浄液はまた、鼻腔細菌コロニー形成を防止および対抗するのに役立つ。

0010

医療機器
本発明の抗菌性組成物の使用はまた、移植された医療装置上での細菌感染症の治療および予防に多くの利点を保持する。(扱いにくいバイオフィルムの形態での)感染は、カテーテルなどの様々な機器に非常に一般的である。

0011

抗真菌薬
感染症は、酵母または真菌の増殖だけでなく、細菌の増殖の結果として生じ得る。このように、抗菌活性を発揮することが可能な治療計画は、(抗菌活性とは対照的に、抗生物質の場合のように)非常に有益である。この目的を達成するために、組成物の記載例は、以下のものを含むが、これらに限定されない多数の真菌株を根絶できる:カンジダ(真菌株は、一般的に日和見病原体として説明されている。真菌株は、様々な皮膚の状態だけでなく、外陰膣炎および尿路感染症を引き起こし得る);(一般的にパン酵母として知られている)出芽酵母は、食糧生産の重要な生物である。これはまた、飲料業界にとって大きな問題を提起しビール生産ライン上で見られる典型的な生物であり、飲料腐敗の原因である。

0012

本発明はまた、抗ウイルス剤として使用できる。

0013

過酸化水素は、水溶液中で単独で、または他の化学物質と組み合わせて、高レベルの表面消毒薬として使用される。3%溶液防腐剤として使用される。これらの適用は、哺乳動物組織への過酸化物濃度の上昇(0.15%上向き)によって引き起こされる損傷により、ヒトまたは動物の体内抗菌療法での使用には不適切である。さらに、過酸化水素濃度の上昇は、新たに形成された細胞を破壊するため、(例えば、創傷および熱傷での)損傷組織治癒を妨げ、瘢痕化につながることが示されている。

0014

次亜ヨウ素酸塩(IO−)は、UV照射などのプロセスの副産物であるという点で、かつラクトペルオキシダーゼ(または他のペルオキシダーゼ)系の生成物(EP2510944A1、米国特許公開第2012/0021071A1号、同第2012/0128650A1号、米国特許第5607681号)として説明されている。

0015

過酸化物ペルオキシダーゼ酵素とヨウ化物の反応の結果として生成される次亜ヨウ素酸塩(IO−)は、実験培地中で増殖させた場合にグラム陰性微生物に対して殺菌性を示し得るが、IO−の生成は、通常、唾液、乳および他の生理的状況で見られる濃度のチオシアン酸塩化合物の存在によって阻害されるので、文献では、この方法は生理学的条件下では無効になると示されている(Klebanoff et al.,1967,J Exp Med 1967 126(6):1063−78;Tenovuo et al.2002 Oral Diseases 8,23−29)。IO−は、一般的に、天然の抗菌ラクトペルオキシダーゼ系の一部としてグラム陽性生物に対して静菌性である(すなわち、増殖のみを抑制する)とみなされている。大腸菌および緑膿菌はグラム陰性生物であるが、黄色ブドウ球菌および連鎖球菌はグラム陽性菌である。

0016

過酸化水素自体が高濃度で抗菌性であり、グラム陽性細菌に対して主に有効であるが、緑膿菌などのグラム陰性細菌にのみ静菌性であるとみなされている。さらに、細菌内のカタラーゼの存在は、グラム陽性に対しても、3%未満の濃度の過酸化水素溶液の効果を弱める。同様に、組織に存在するカタラーゼは、インビボで過酸化水素の抗菌性を依然として弱くさせ得る。例えば、水膨れ創傷における黄色ブドウ球菌の臨床研究において、細菌負荷の減少は、3%過酸化水素を用いて達成されなかった。創傷の様々な研究における過酸化水素の使用の総説によると、「結論として、過酸化水素は、創傷治癒に負の影響を与えないように思われるが、細菌数を減少させるほど有効ではない」ことが判明した(Drosouら、2003、創傷;15(5))。このように、従来技術は、殺菌目的のための、3%未満の過酸化水素を含有する組成物の使用はインビボでの創傷用途に無効であると教示している。同様の知見が、生理学的流体に関して報告されている。例えば、様々な生物に感染した患者に過酸化水素が注入された場合に、過酸化物関連抗菌活性は見られなかった。過酸化水素は、過酸化物感受性の大腸菌に感染させたウサギの血液中に注入された場合には、殺菌活性はなかった。さらに、大腸菌を含むウサギまたはヒトの血中の生体外過酸化物の濃度を増加させても、殺菌活性の証拠をもたらさなかった。高濃度の過酸化水素の抗菌効果欠如は、過酸化物を破壊する酵素であるカタラーゼの存在に直接起因するものであった。

0017

黄色ブドウ球菌および大腸菌を含む多くの病原性細菌は、過酸化物を不活性化するカタラーゼ酵素発現する。したがって、食品保存、歯磨剤などに使用するための抗菌剤としてのペルオキシダーゼ酵素系を設計するための基礎は、過酸化物が細菌によって除去される前に、サブ毒性濃度の過酸化水素(または過酸化ナトリウムなどの過酸化物の他の形態)を抗菌剤に変換するために、ペルオキシダーゼ酵素が細菌と競合することが必要とされることである。

0018

文献では、ヨウ化物と過酸化物の反応を、哺乳動物に対して毒性ではない後者の分子の濃度で触媒するために固有のペルオキシダーゼ酵素の使用が重要であることが示されている。このように、ペルオキシダーゼ酵素(ならびに基質および過酸化物)は、天然の抗菌システムが機能することを可能にするのに必須であると考えられている−「効果的であるためには、システムを構成する3つの要素を同時に提示する必要がある」−Poutrelら(Ann.Rech Vet,1982,13(1),85−89))。Magnussonら(J of Biological Chemistry,Vol.259,No.22,1984)は、酸素分子利用可能な過酸化物から利用可能なヨウ化物分子に移す際に、ラクトペルオキシダーゼが中心的な役割を担うことを詳細に説明している。彼らは、ペルオキシダーゼ酵素が、反応を調節するのに不可欠であること、かつ主生成物IO−のみならず、過酸化物とヨウ化物の反応の結果としても生成されるIOH(次亜ヨウ素酸)、I2(ヨウ素)および他のヨウ素化合物の生成にも大きな影響を及ぼしたことを示している。

0019

ヨウ素は、細菌を死滅させる方法として長く使用されてきた。発見された最も一般的なバージョンは、ポビドンヨードとしても知られているポリビニルピロリドンPVP−Iのバージョンである。ヨウ素(I2)は特にすぐに消散するので、ヨウ素の安定性補助するために複合体を形成する。これは、独特の赤色を帯びており、手術中に局所防腐剤として、または酪農場での乳首ディップとして使用される場合が多く、乳腺炎感染の伝染の可能性を最小限にする。有機物質とあまり反応しないので、その制限は十分に特徴付けられており、血流中に存在する場合は、毒性を示し得る。

0020

IO−が数時間という比較的短い半減期を有することから、治療的処置において一過性静的効果のみを発揮し得ることが示唆される。これは、以下に記載の先行技術の報告によって支持される:(i)グラム陽性生物を死滅させることにおける有効性の低さ(「システムの主たる静菌効果により、低品質の牛乳偽装することは不可能である」、ラクトペルオキシダーゼシステムの使用による生乳の保存のためのガイドライン、CAC/GL 13−1991、WHO「生乳保存のラクトペルオキシダーゼ系−データ呼び出し、2005年;Reiter and Harnulv 1984);(ii)細菌が短い遅延の後に再び増殖し始める際の一過的な静菌効果(Ishido et al.,2011 Milchwissenschaft 66(1)2011;Thomas et al.,1994,Infection and Immunity,Vol 62,No.2 p529−535;Marks et al.,2001 J Appl.Micro.91,735−741;Kamau et al.,1990 Appl and Env.Micro.Vol.56,No.9;McLay et al.,2002,Int Jour of Food micro,73,1−9);および(iii)バイオフィルム中で増殖する細菌を根絶させることの不可能さ(Dufour et al.,Journal of Food Protection,67(2004),pp1438−1443;Abbeele et al.,1996,Int Rech Sci Stomotol Odontol 39(1−2):57−61)。この後者の情報は、バイオフィルムの表現型が定期的に発生するウシ乳腺炎の治療法としてのIO−の使用に対して教示している。公表されたデータに基づくと、IO−化合物は、完全に病原菌を死滅させ、乳腺炎感染症を治癒するのに有効ではないと予想される。

0021

しかし、従来技術は、この反応がペルオキシダーゼ酵素の非存在下で行われる場合には、低い(0.5%未満の)濃度の過酸化水素とヨウ化物の反応生成物に関して正しくない。本発明者らは、これらの反応生成物が、バイオフィルムモードで増殖しているものを含む広範囲のグラム陰性およびグラム陽性生物を死滅させるのに有効であること、かつ乳腺炎に対して非常に有効な治療を提供し、治療中に生成される乳がチーズ生産および他の後処理に安全に使用されるのを可能することを示した。さらに、発明者らは、ラクトペルオキシダーゼ(または任意の他のペルオキシダーゼ、任意の他の相乗的作用物質もしくは化合物)の存在が乳または他の培地に抗菌活性を生じさせるのに必要でないこと、かつペルオキシダーゼ酵素の添加が、生成される生成物の抗菌効果を増強せず、乳または他の培地中のそれらの活性半減期延長せなかったことを開示する(結果3)。妨害物というよりむしろ抗菌活性の存続期間の短い性質は、本発明において重要な利点として機能する。そのため、発明者らは、治療後8〜12時間の時点で動物から取得した乳中に抗菌活性が残らないように反応をタイターする方法を開示する。細菌のスターター培養物がチーズおよびヨーグルトの生産に使用され、その時点で残留抗菌剤または薬剤が存在する場合には抑制されるので、このことは重要である。

0022

ハイポチオシアン酸塩(Hypothiocyanite(OSCN−))は、ペルオキシダーゼ酵素により触媒されるチオシアン酸および過酸化物の反応によって生成される。多くの研究が、細菌増殖を制限する方法としてOSCN−の使用を検討した。さらに、多くの特許が、ペルオキシダーゼ反応におけるチオシアン酸塩の使用について記載している(EP 2510944A1、米国特許公開第2012/0021071A1、同第2012/0128650A1号、米国特許第5607681号)。記載文献は全て、補充したペルオキシダーゼ酵素の使用により反応が進行することを示している。Ishidoら、2011は、細菌を阻害するOSCN−法について説明した。酵素触媒システムは、48時間の持続的な接触時間であっても、シュードモナス株および大腸菌株を根絶することはできなかった。OSCN−に基づく他の実験室での研究は、細菌の完全除去よりもむしろ、それらの分離株の大部分において増殖時間(4時間以下)の最小の減少を伴う場合が多い静菌効果について説明しているか、または、特に大腸菌などの病原菌が引き起こす乳腺炎において阻害効果が全くないことについて説明している。他のものは、乳腺炎の治療で使用するには不適切な構成であるOSCN−を生成するための固定化酵素の使用の必要性について説明している。Carlssonら(Infect.Immunity,44:581−586,1984)は、さらに、反応の副生成物であるSCN−が過剰な過酸化物の存在などの特定の条件下で過酸化物分子の細胞毒性効果を増強できることを証明した。これらの知見は、全体的な有効性のための乳腺炎治療としてのOSCN−モデルの使用について教示している。

0023

これにもかかわらず、OSCN−モデルの使用は、動物またはヒトの臨床試験に関するデータは本出願には含まれないが、嚢胞性線維症の潜在的な治療として説明された(米国特許公開第2012/0021071A1)。しかし、米国特許公開第2012/0021071A1号において、出願者らは、OSCN−自体はこの目的のために不十分であるので、バイオフィルムの除去を可能にする追加の外来性化合物が必要であることを認める。追加物質についての同様の要求は、米国特許第8263138B2号に記載されている。実際に、本出願の表2に示した結果も、相乗的な化合物の非存在下でのバイオフィルム培養物を死滅させる試みにおけるOSCN−の使用について示している。

0024

驚くべきことに、本発明において、低い(0.5%未満の)濃度の過酸化水素およびヨウ化物含有組成物は、ペルオキシダーゼ酵素の非存在下で、バイオフィルム除去を補助するために添加される任意の相乗的な化合物を必要とすることなく、バイオフィルム付着細胞を死滅させるのに十分である。

0025

本発明の抗菌組成物の多数の他の用途がある。これらには、哺乳動物の肺の感染症が含まれる。嚢胞性線維症および結核は、現在では治療することが極めて困難である2つの疾患である。結核の症状は、肺の感染によって引き起こされ、長期の抗生物質治療が必要とされる。嚢胞性線維症(CF)は、患者が、特に肺において膜を横切る塩化物イオンの移動を調節できない疾患である。この疾患は、常に、多数回の慢性肺感染につながる。いずれかの疾患のための抗生物質治療は、深刻な薬物耐性つながり、その有効性を最小限にする。現在では、抗生物質は、血流を通って静脈内に、または経口懸濁液/錠剤によって、または吸入によって送達される。抗生物質は必要な場所まで肺の膜を効率的に横断できないので、薬物送達はCF患者にとって大きな問題である。これは、サブ抑制濃度の導入により、薬物に対する耐性が深刻な課題になる可能性のある問題につながる。これにより、薬物を用いた任意のさらなる治療が使用できなくなる。

0026

熱傷の患者または開放創を有する患者は、細菌のブドウ球菌またはシュードモナス種による顕著な感染症である細菌感染症に非常に敏感である。そのような感染症の治療は、常に、経口または静脈内のいずれかによる抗生物質の投与計画による治療になる。これらは、予防的に、または感染が明らかである場合に与えられ得る。そのような抗生物質の使用は、薬物に対する耐性および効果のない治療結果につながる場合が多い。発明者らは、本明細書に開示された抗菌組成物および方法を用いて、必要であれば、定期的に交換または変更できる記載の抗菌組成物(複数可)と組み合わせた包帯または湿布を用いて、熱傷患者を治療する新しい方法を計画する。

0027

さらに、毎年、多くの抗生物質治療は、患者が使用している間に感染した医療機器に起因する。多くの生物は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方を含むそのような感染症に関与する。導尿カテーテルまたは静脈内カテーテルなどのアイテムにおける感染は、そのような機器の非滅菌設置の結果である場合が多い。幾日か経過すると、この機器の表面上に存在する任意の細菌細胞が増殖して、バイオフィルムの生成をもたらす。そのようなバイオフィルムは、バイオフィルム塊の内側細胞に薬物が通過しにくいことにより、抗生物質での治療を極めて困難にし、抗生物質に対するバイオフィルムのさらに高レベルの耐性につながる場合が多い。医療機器の感染は、取り外しおよび交換が必要になり、患者を不快にさせる場合が多い。感染は、医療機器の設置後数日で顕著になる場合が多いが、通常、設置時の非常に初期に存在する細菌の結果として発生する。

発明が解決しようとする課題

0028

本発明の第一の目的は、微生物感染の予防または治療のための方法および組成物を提供することである。さらなる目的は、細菌、ウイルス、真菌および酵母の増殖を遅らせることとは対照的に、死滅させることができる組成物を提供することである。さらなる目的は、抗生物質耐性生物を死滅させることができる組成物を提供することである。

0029

さらなる目的は、抗生物質を使用せずに、臨床型とサブ臨床型の両方の乳腺炎の治療のための組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、治療中に乳が廃棄される必要のない乳腺炎の治療薬を提供することである。

0030

本発明のさらなる目的は、投与が容易である乳腺炎の臨床的な解決策を提供することである。

0031

本発明のさらなる目的は、創傷治癒に適し、かつ体内または体上にコロニー形成した細菌を死滅させる抗菌性医薬組成物を提供することである。

0032

現在、治療中に生成される乳を、例えば、チーズおよびヨーグルトの生産に使用するために即座に処理することを可能にしながら、乳腺炎を引き起こす病原体を死滅させ、感染症を治癒するのに有効であることが示されている利用可能な製品は存在しない。本発明の目的は、そのような治療薬を生成することである。さらなる目的は、治療薬が標的病原体における抗生物質耐性の獲得につながらず、獣医およびヒトの医療に大きなメリットを提供することである。

課題を解決するための手段

0033

本発明によると、医薬的に有効な担体または希釈剤と共に、ヨウ化物(I−)および過酸化水素源を含む医薬組成物が提供される。過酸化水素の濃度は、重量/容積または重量/重量に基づいて1%未満であり得る。好ましくは、本医薬組成物には、ペルオキシダーゼ酵素またはデンプンが含まれない。

0034

本医薬組成物は、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.2:1〜3:1を含み得る。この比は、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比で0.38:1〜1.52:1であり得る。この比は、0.5:1〜2.5:1または0.75:1〜2.0:1であり得る。

0035

この比は、以下から選択され得る:過酸化水素に対するヨウ化物の重量比で0.2:1〜3:1、より好ましくは、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比で0.38:1〜1.52:1、またはより好ましくは、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比で0.76:1。

0036

本医薬組成物は、動物内の搾乳サイクル中、牛乳1リットルあたり過酸化物は50mgおよびヨウ化物は37mgの最小濃度に達するように適合され得る。

0037

ヨウ化物源は、ヨウ化ナトリウムヨウ化カリウムヨウ化リチウムヨウ化セシウムヨウ化水素ヨウ化ロジウム、もしくは他のヨウ化物放出化合物、またはヨウ素酸塩などのヨウ化物の徐放性形態であり得る。本明細書で使用する用語「ヨウ化物」は、ヨウ素そのものまたはポビドンヨードを含まない。ヨウ素は、血液中または乳腺において毒性を示す。

0038

過酸化水素源は、過酸化水素、過酸化物放出過炭酸塩、過酸化物放出クエン酸もしくはビタミンC、または他の適切な過酸化物放出化合物であり得るか、または酵素的手段によって、例えば、酵素経路を使用する糖化合物還元によるものであり得る。同様に、過酸化物の他の形態(したがって、過酸化物を放出する他の形態)の使用には、過酸化ナトリウム、過酸化リチウムが含まれ得る。さらに、酸化バリウム、過ホウ酸ナトリウム、および過酸化水素−尿素付加物も含む過酸化物塩が使用できる。同様に、スーパーオキシドジオキシニル、オゾン類、およびオゾニド類を含むが、これらに限定されない酸素放出擬似過酸化物が使用できる。同様に、有機過酸化物の使用も有用であり得、ペルオキシ酸ハロゲン化アシル脂肪族過酸化物を含み得るが、これらに限定されない。カリウム塩の形態の過マンガン酸塩などの適切な方法で作用し得る他の適切な酸化化合物も存在する。

0039

チオシアン酸塩が本組成物中に使用される場合には、過酸化水素に対するチオシアン酸塩の比は、0.2〜5:1、またはより好ましくは0.8〜1.3:1で使用され得る。

0040

本組成物は、乳腺炎の泌乳反芻動物の治療のために適合できる。

0041

過酸化物およびヨウ化物の成分の送達は、同時または連続していてもよく、かつ/または乳房内装置の手段によるものであってもよい。

0042

医薬的に有効な担体は、水、生理食塩水、エマルションゲルまたはヒドロゲルである。

0043

本組成物は、湿らせた包帯による送達に適合できる。

0044

本組成物は、抗菌性鼻洗浄剤、抗菌性口内洗浄剤抗真菌洗浄、創傷もしくは熱傷の感染症の治療のために包帯または湿布に添加される殺菌剤としての使用に適合されるか、またはヒトもしくは動物の肺の細菌または真菌感染症の治療のためのスプレー形態で噴霧されてもよい。

0045

本発明はまた、上記の組成物でコーティングされた医療機器、および本組成物を含浸させた包帯または湿布も提供する。

0046

ヨウ化物および過酸化水素源を含む消毒薬組成物も提供する。別の態様において、本発明は、感染症を予防または治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象にヨウ化物および過酸化水素源を同時にまたは連続して投与することを含む方法を提供する。

0047

本明細書で、発明者らは、低濃度(例えば、0.003%溶液)の過酸化水素が、ペルオキシダーゼ酵素または任意の他の相乗剤の非存在下で特定の濃度のヨウ化物との反応により効果的な抗菌治療薬を生成できることを開示する。浮遊型で増殖する細菌を死滅させることに加えて、そのようなアプローチは、バイオフィルムを根絶するために使用することもできる。

0048

水中の各物質の濃度が50〜500mg/Lで、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.38:1〜1.52:1、好ましくは、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.76:1(例えば、76mgのヨウ化物および100mgの過酸化水素、分子量39のカリウムと分子量23のナトリウムモル差を考慮して、例えば、100mgのヨウ化カリウムの添加によって、あるいは、90mgのヨウ化ナトリウムの添加によって提供される76mgのヨウ化物)で過酸化水素およびヨウ化物を含む組成物が、以下のために使用できる:
a)グラム陰性菌およびグラム陽性菌の両方の微生物を死滅させるのに十分な抗菌活性を提供するため;
b)様々な表面上で増殖する細菌のバイオフィルムを除去するため;
c)治療設定で使用される場合に、哺乳動物の組織への刺激および損傷を避けるため;
d)牛の乳腺に注入された場合に、乳腺炎の感染を除去するため;
e)そのような治療中に生成される乳が、チーズ、ヨーグルトまたは他の後処理のための乳の使用を妨げ得る任意の抗菌活性を含まないことを確実にするため;
f)治療そのものに対するまたは抗生物質に対する耐性または抵抗特性標的生物において誘発することなく、上記の目標を達成するため。

0049

本発明は、1〜15日間、好ましくは1〜5日間、1日1回または2回投与できる(過酸化水素とヨウ化物の反応により生成される)抗菌活性の供給源の使用に関する。あるいは、非結合酸素の代替源は、過マンガン酸塩などの化合物を酸化することによって供給されてもよい。

0050

同様に、本発明は、乳頭管組織の表面で細菌によるコロニー形成に対抗する/細菌を死滅させる際に、乳頭管組織の保護を可能にするために、過酸化水素およびヨウ化物を含む抗菌組成物を使用する方法に関する。

発明の効果

0051

一実施形態では、過酸化水素100mg(過酸化水素として直接添加されるか、または過酸化水素の代替源によりこの濃度まで生成される)、およびヨウ化カリウム100mg(過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.76:1)を含む組成物は、動物が搾乳された後に乳房環境に導入され、抗菌活性をもたらし、したがって、存在する任意の微生物を死滅させる。これらの化合物の反応性により、乳房内で混合されるまで、(例えば、別々の乳房内注射器または2チャンバー注射器内で)これらを分離する必要がある。この反応は、空の乳房への注入時に、感染を引き起こす細菌を死滅させるのに十分な抗菌活性をもたらす。これに加えて、乳の後処理が正常に進行できるように、反応は搾乳時に止まった(注入後約10〜12時間)。別の実施形態では、使用される過酸化物源過炭酸ナトリウムであり、過酸化水素の利用能は20%〜30である。これは、容易に置換でき、保管期間の延長をもたらし得る。

0052

本発明は、治療薬を送達するための2つの連続した注射器の使用に関する。

0053

代替的な実施形態において、本発明は、乳房に治療薬を送達するためのマルチバレル注射器の使用に関する。

0054

現時点では、乳頭ディップは、乳房内部の乳頭表面上の細菌の輸送を最小限に抑えるために、搾乳中に使用される場合が多い。そのような作用は、乳腺炎の症例を減らすことができる。(乳などの有機物質の存在下では有効ではないが)ヨウ素系化合物が使用される場合が多い。活性化されたヨウ化物ベースの組成物は、より低い濃度で作用するのでより効果的である。現在説明しているヨウ化物と過酸化物の反応は、抗菌性乳頭ディップ、または開放創(もしくはひび割れ乳頭管組織)への湿布ベースの抗菌バリアのいずれかとしての調製品として使用できる。

0055

そのような状況では、過酸化水素およびヨウ化カリウムのゲルまたは生理食塩水の調製された組成物の使用は、湿布または包帯に適用できる。この湿布は、損傷した乳頭管組織または他の損傷した/損傷していない組織に適用できる。

図面の簡単な説明

0056

人工乳房モデルの写真および概略図。乳は、蠕動ポンプによって上部開口部を通って供給された。下部に位置する「乳頭管」により、用量を注入し、試料を取り出した。
人工乳房モデルの写真および概略図。乳は、蠕動ポンプによって上部開口部を通って供給された。下部に位置する「乳頭管」により、用量を注入し、試料を取り出した。
バイオフィルム培養物の付着および増殖を可能にするために12ポリウレタンクーポンで満たした改良ロビン装置。両端の開口部を通って、この装置に流入媒体が供給および灌注された。
100mgのヨウ化カリウムおよび100mgの過酸化水素を含む製剤で2日間、1日2回治療した11匹の動物の(最初、および治療の開始後21日目の)体細胞数。

実施例

0057

実施例
1.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための、過酸化水素およびヨウ化物(50〜1000mgの範囲の過酸化水素および35〜700mgの範囲のヨウ化カリウム)で構成された即時組成物。

0058

2.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(ヨウ化物76mgおよび過酸化水素100mg)である。

0059

3.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素50mgおよびヨウ化物38mg(ヨウ化カリウム50mgまたはヨウ化ナトリウム45mgによって提供される))である。

0060

4.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素150mgおよびヨウ化物114mg(ヨウ化カリウム150mgまたはヨウ化ナトリウム135mgによって提供される))である。

0061

5.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素200mgおよびヨウ化物152mg(ヨウ化カリウム200mgまたはヨウ化ナトリウム180mgによって提供される))である。

0062

6.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素300mgおよびヨウ化物228mg(ヨウ化カリウム300mgまたはヨウ化ナトリウム270mgによって提供される))である。

0063

7.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素400mgおよびヨウ化物304mg(ヨウ化カリウム400mgまたはヨウ化ナトリウム360mgによって提供される))である。

0064

8.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素500mgおよびヨウ化物380mg(ヨウ化カリウム500mgまたはヨウ化ナトリウム450mgによって提供される))である。

0065

9.毎日または1日2回、乳房内装置により治療を行うための即時組成物。これらの過酸化水素に対するヨウ化物の重量比は0.76:1(過酸化水素1000mgおよびヨウ化物760mg(ヨウ化カリウム1000mgまたはヨウ化ナトリウム900mgによって提供される))である。

0066

10.過酸化物が過炭酸塩または過水和物などの過酸化物放出化合物として存在している上記組成物(1〜9)。そのような実施形態では、過炭酸塩の適切な濃度は、過炭酸塩および必要な濃度の過酸化物の利用可能な過酸化物含有量(通常は20〜30%)によって計算できる。例えば、30%の利用可能な過酸化水素と過炭酸ナトリウム1000mgは、この環境での溶解時に過酸化水素300mgを放出する。同様に、過炭酸塩333mgを使用すると、過酸化水素100mgを放出する。

0067

11.一般的な抗菌洗浄液を生成するために用いられる、例えば、乳首浸漬洗浄液として用いられる組成物であって、10〜10,000mgの範囲の過酸化水素および7.6〜7,600mgの範囲のヨウ化物の、過酸化水素およびヨウ化物の混合したての供給源を含む組成物。

0068

12.一般的な抗菌洗浄液、例えば、乳首浸漬洗浄液として用いられる組成物であって、1リットル当たり19〜7,600mgのヨウ化物が存在し(ヨウ化カリウム25〜10,000mgまたはヨウ化ナトリウム22.5〜9,000mgにより提供される)、過酸化水素に対するヨウ化物が0.38〜1.52:1の比で調製されるイオン性ヨウ化物の混合したての供給源を含む組成物。

0069

13.一般的な抗菌洗浄液、例えば、乳首浸漬洗浄液として用いられる組成物であって、1リットル当たり100mgの過酸化水素が存在し、かつ1リットル当たり76mgのヨウ化物が存在する(ヨウ化カリウム100mgまたはヨウ化ナトリウム90mgにより提供される)過酸化水素およびヨウ化物の混合したての供給源を含む組成物。

0070

14.一般的な抗菌洗浄液、例えば、乳首浸漬洗浄液として用いられる組成物であって、1リットル当たり200mgの過酸化水素が存在し、かつ1リットル当たり152mgのヨウ化物が存在する(ヨウ化カリウム200mgまたはヨウ化ナトリウム180mgにより提供される)過酸化水素およびヨウ化物の混合したての供給源を含む組成物。

0071

15.湿布を上記の実施例(12〜14)に記載の抗菌洗浄液に浸漬する、創傷ケア用に調製した湿布。

0072

16.過酸化水素源が、必要な濃度の過酸化水素を生成するのに十分な過炭酸塩などの過酸化物放出化合物により、もしくは酵素的手段により、例えば、糖化合物の還元により追加的または代替的に提供される上記の組成物。さらに、過マンガン酸カリウムなどの反応を開始するための別の適切な酸化化合物を含む組成物が含まれる。

0073

ヨウ化物源は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化水素、ヨウ化ロジウム、もしくは他のヨウ化物放出化合物、または分解したヨウ素酸塩などの徐放性型のヨウ化物を含むが、これらに限定されない、本明細書の他の箇所に記載の化合物のリストによって追加的または代替的に提供され得る。

0074

さらに、ヨウ化物は、(限定されないが、例えば、チオシアン酸ナトリウムまたはチオシアン酸カリウムの形態で供給される)チオシアン酸塩分子によって置換できるが、過酸化水素に対するチオシアン酸塩の比が0.2〜5:1、またはより好ましくは0.8〜1.3:1でヨウ化物を使用すると、例えば、甲状腺トラブルを抱えるヒトに問題を引き起こし得る領域に付着する。

0075

この調製物は、連続した適切な乳房内注射器、または(ヨウ化物および過酸化物の時期尚早の反応を防止するための)デュアルバレル注射器を使用して投与できる。

0076

記載の全ての組成物は医薬的に適切な担体で調製される。そのような担体には、水、pHが適切な生理食塩水、重炭酸塩緩衝液を含むpHが適切な生理食塩水、ゲル、またはヒドロゲルが含まれるが、これらに限定されない。

0077

プレドニゾンプレドニゾロンコルチゾールおよびヒドロコルチゾンを含むが、これらに限定されないリストからのグルココルチコイドは、感染中の局所炎症問題を支援するために、本組成物に補充できる。例えば、プレドニゾロンもしくはプレドニゾン10〜20mgまたはヒドロコルチゾン30〜60mgの本抗菌性組成物への補充を用いて、乳腺炎の治療の一部としての感染の炎症に対抗できる。

0078

本組成物の適用は担体の使用に影響する。例えば、乳腺炎の乳房内治療は、生理食塩水もしくは水、またはステアリン酸塩/油などのより複雑な溶液で調製できる。ステアリン酸塩/油性組成物は、この組成物が乳腺内の乳で希釈されるまでは、過酸化物の放出を防止するので、過酸化水素放出過炭酸ナトリウムを含む本組成物に適する。

0079

さらに、ヒドロゲル系組成物は、創傷ケア/包帯の状況での適用を支援するために使用できる。そのような例は、pH調整した組成物を有するポリアクリル酸ナトリウムベースのヒドロゲルである。さらに、生理食塩水または重炭酸ナトリウム生理食塩水担体は、副鼻腔炎および付随する感染を軽減するために、消毒設定でまたは鼻洗浄液として使用できる。

0080

加えて、温度感受性ヒドロゲル含有湿布は、体温で湿布を組織に適用すると、構成成分が反応するにつれて抗菌活性の放出が可能になるように、構成成分を隔離するために使用できる。

0081

薬理学的結果
結果1
過酸化水素とヨウ化カリウムの新たに調製した混合物(それぞれ100mg、過酸化水素に対するヨウ化物の重量比0.76:1)を10mlの滅菌水に混合した。マイクロブロス希釈法を用いて、本組成物を、96ウェルプレート方式で試験細菌性生物を含有するブロスに2倍希釈した。生物の感受性に応じて、カットオフポイントは、細菌培養物本抗菌組成物の作用に耐えることができなくなる希釈度に到達した。これは、最小発育阻止濃度MIC)として特徴付けられる。MICが低いほど、生物の感受性は高くなる。

0082

0083

表1は、ペルオキシダーゼ酵素の非存在下での過酸化水素とヨウ化物の反応の結果として生み出された抗菌活性に対するいく種類かの乳腺炎原因生物の感受性を示す。明らかなように、グラム陽性生物を含む試験した全ての株は、本組成物に対して感受性を示した。ブロス中でのラクトペルオキシダーゼの使用が必要とされないことは明らかである。加えて、本組成物は真菌に対しても有効であることは明らかである。

0084

さらに、細胞生存率アッセイのために、ブロスを試験後の様々な時点で継代培養した。これは、抗菌剤を含まない新鮮なブロス10mlに処理した培養物100マイクロリットルを継代培養することにより行った。これは、細胞死および細胞静止を区別する(生存細胞が検出される)。(MIC試験でそれらを阻害する濃度と同じ桁分の濃度を用いた)処理後48、72または96時間の時点で増殖は観察されなかった。これは、生成される抗菌活性がグラム陰性生物およびグラム陽性生物の両方に対して殺菌性であることを示しており、驚くべき発見である。

0085

結果2
本発明の抗菌組成物(過酸化物およびヨウ化物)ならびに過酸化物およびチオシアン酸塩を含む別の組成物のバイオフィルムモードで増殖する細菌細胞に対する活性は、改良型ロビン装置(MRD)によって実証された。大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、または全3種類の混合物のバイオフィルムは、改良型ロビン装置に接続された1リットルのガラス瓶の中のLB500mlに接種することにより確立された。MRDシステムは、医療グレードのポリウレタンクーポン(50mm2の表面積)が挿入された12個のサンプリングポートからなる。培養物を37℃で増殖させ、0.1/時間の速度で少なくとも48時間、MRDに培養物を供給/灌注した(開始24時間後に、さらにLB100mlを補充した)。その後、MRDを対照溶液または試験溶液で灌注した。全量がシステムを通過するのに約90秒かかるように、少量の一定の力を灌注に使用した。生理食塩水を対照として用いた。クーポンをそのままにして、MRDチャンバーを灌注することによって以下のいくつかの異なる溶液を試験した:0.3g/lのチオシアン酸カリウムおよび/またはヨウ化カリウム、ならびに0.003%過酸化水素を含む「1×」溶液;1.5g/lのチオシアン酸カリウムおよび/またはヨウ化カリウム、ならびに0.015%過酸化水素を含む「5×」溶液;6g/lのチオシアン酸カリウムおよび/またはヨウ化カリウム、ならびに0.06%過酸化水素を含む「20×」溶液。

0086

0087

表2から、105〜6コロニー形成単位(CFU)は、灌注段階の非存在下でクーポンから回収可能であったことは明らかである。同様に、システムを生理食塩水で灌注した場合には、細菌の生存率は有意に変化しなかった。1×レベルまたは5×レベルのいずれかの溶液へのチオシアン酸塩および過酸化水素の補充は、細胞生存率の結果を変化させなかった。20×溶液の使用は、一般的に記載される数の対数減少で細胞生存率に影響を与え始めた。緑膿菌および黄色ブドウ球菌のバイオフィルム培養物を用いて繰り返した場合に、同様の結果が得られた。

0088

0089

過酸化物とチオシアン酸から誘導されるOSCN−の代わりにヨウ化物を使用すると、全部で3種類の生物に対する試験結果に大きな影響を及ぼした(表3)。細胞生存率は、ヨウ化物ベースの1×溶液の使用において顕著に低かった。典型的な100〜1000倍の細胞生存率の減少は、90秒の灌注の後に認められた(表3)。106CFU〜103CFUの減少が、「5×」レベルでヨウ化物を使用した場合に大腸菌について観察された。4つのサンプルのうちの3つは、回復可能な細胞を全く産出しなかったことは注目すべきである。「20×」溶液は、生細胞回復の完全な欠如をもたらすのに十分であった(表3)。大腸菌ATCC25922、黄色ブドウ球菌DSM15676および緑膿菌NCIMB10421の混合培養を用いた手順の繰り返しでは、非常に類似したパターンになった(表4)。「1×」溶液は、細菌生存率において100倍の減少をもたらすのに十分であった。「5×」溶液および「20×」溶液のいずれも、クーポン表面から回復可能な生細胞の完全欠如をもたらすのに十分であった。表面への付着は混合培養を使用した場合に多くなり、生理食塩水のみでの灌注時にいくらかの細胞が失われたことを示唆する証拠がいくつかあった。そのような短期間(90秒)のうちのバイオフィルム付着細胞の生存率のそのような減少は、ヨウ化物/過酸化水素組成物が、インビボモデルを含む場合にバイオフィルムを中心とした感染症の治療薬として非常に有効であることを示す。

0090

0091

表3および表4に示すデータは、非常に低濃度の抗菌性組成物によって生成される活性が、グラム陰性およびグラム陽性生物の両方のバイオフィルム形成細菌培養物および混合培養コンソーシアムでさえ死滅させることができたことを強く示す。この結果は、同じ成果を達成するために、抗生物質の使用に引けを取らない。抗生物質の多くは、浮遊(すなわち、自由に動いている)細胞と比較してバイオフィルム細胞の死滅を達成するために、1000倍の濃度増加を必要とする。これは、ヨウ化物/過酸化水素組成物が、抗菌活性を生成するために使用された場合ではなかった。

0092

発明者らは、過酸化水素が低濃度(例えば、0.003%溶液)でも、ペルオキシダーゼ酵素の非存在下でヨウ化物と反応することにより、感染症を引き起こす生物に対して有効な抗菌作用を生成できることを開示する。接触時間を増加させると(例えば、10分)、より高い濃度について本明細書に記載した程度と同程度まで、1×溶液で細菌培養物を死滅させることができる。

0093

従来技術は、さらにより高い濃度の抗菌剤がバイオフィルム細菌を効果的に死滅させるのに必要とされることを示している。しかし、本発明における過酸化水素の量は、正確な量のヨウ化物を使用した場合に効果的である。本発明の組成物は、(a)より高い死滅効率、(b)効果的なバイオフィルム根絶および(c)乳腺炎または他の感染症の治療などのインビボ用途に適する組成物を提供する(かつ感染部位への刺激を引き起こすことなく提供する)。

0094

結果3
ラクトペルオキシダーゼは、牛乳中に30mg/lまでの顕著な濃度で存在することが示されている。このレベルは、動物、牛の品種などの健康に依存し、したがって、個々の動物の治療に最適なレベルで存在することに依存し得ない。天然に存在するラクトペルオキシダーゼに依存しても、最適に計画された治療はできない。本明細書に記載の方法および開示した組成物は内因性ラクトペルオキシダーゼを必要としないことを実証するために、MICをブロス、生乳、低温殺菌乳、および超熱処理(UHT)乳で実施した。ラクトペルオキシダーゼ酵素は、低温殺菌プロセスで使用される温度などの高温で不活性化される。典型的な低温殺菌工程(72℃で15秒間)は、酵素の活性をかなりの割合(約70%)低下させ、80℃以上での(135℃でのUHT処理を含む)処理は、酵素の完全な破壊をもたらす。乳中に存在するラクトペルオキシダーゼは反応に必須であるので、UHT乳環境中の低濃度のヨウ化物および過酸化物の使用は、顕著な抗菌効果をもたらすべきではない。

0095

これらの環境での本発明の組成物の試験時に、大腸菌は、ブロス、生乳、および低温殺菌乳の場合と同じように、UHT乳における効果に耐性を示さなかった(表5参照)。これは、本発明の組成物が任意の方法で、内因性または天然のラクトペルオキシダーゼ酵素の存在に依存しないことを明らかに示している。

0096

さらに、UHT乳濃度のブロスにラクトペルオキシダーゼを補充しても、24時間のインキュベーション後、最小発育阻止濃度の測定結果に影響を与えなかった(表5)。

0097

0098

結果4
抗菌剤に対する耐性を誘導する試みにおいて、マイクロブロス希釈法を用いて、大腸菌ATCC25922および幾種類かの抗生物質、ならびに過酸化水素およびヨウ化カリウムを含有する本発明の組成物を用いて継代を繰り返した。カナマイシンポリミキシンB、およびレボフロキサシン(全て臨床上重要な関連抗生物質)のストック濃度を用いて、抗生物質に対する典型的な抵抗特性の発生を実証した。96ウェルプレートを用いて抗菌性組成物の2倍希釈を行った。ウェル内容物に104cfu/mlの大腸菌ATCC 25922を接種し、インキュベートした。さらに一晩成長させた最高濃度の抗菌剤を有するウェルは、翌日の継代のための接種物質として役立った。したがって、例えば、「カナマイシン継代」株は、試験中にカナマイシン以外の抗菌剤のいずれとも接触させなかった。

0099

抗生物質の存在下で8回のみ継代させた後に、生物はカナマイシンおよびポリミキシンB薬に対して完全に耐性を示した。10継代後には、生物は、レボフロキサシンの効果に対して継代前よりも8倍高い耐性を示した。これらの結果は、細菌が抗生物質への反復暴露により耐性を獲得する環境における抗生物質の使用を反映している。しかし、同じ実験中に、生物は、同じような回数の継代後に、過酸化水素/ヨウ化物組成によって生成される抗菌活性の効果に対して耐性を示さなかった。これは、この反応によって生成され、様々な細菌タンパク質に作用する抗菌活性の標的が1つもない固有の作用機序によるものである。細菌細胞は、耐性を獲得するためには複数の同時の突然変異が必要となるが、従来の抗生物質に応答して、1つの変異のみを必要とする。これは、本発明の作用に対抗する生物の能力を厳しく制限する。広範囲に作用する抗菌剤は、菌耐性の誘発または抗生物質に対する交差耐性の発生の可能性が低いように説明されてきた。抗菌組成物はまた、幾種類かの抗生物質耐性緑膿菌を死滅させることができた。発達したカナマイシンおよびポリミキシンB耐性株ならびにレボフロキサシン耐性変異体は、開示した組成物の作用に耐性を示さず、交差耐性が生じないことが示された。Mc Cayら(Microbiology,Vol.156,No.1 30−38,2010)によって以前に説明された、フルオロキノロンに対して抵抗性を、塩化ベンザルコニウム殺生物剤に対して耐性を示す株は、本発明の抗菌活性の作用に感受性を示した(表1)。同様に、CF患者の治療に使用される主要抗生物質に対して耐性が増強した、いくつかの臨床的な嚢胞性線維症から分離した緑膿菌株は、緑膿菌の野生型株よりも抗菌活性に対して耐性を示さなかった(表1参照)。これに加えて、黄色ブドウ球菌BH1CC(MRSA)は、アイルランドダブリンのボーモント病院からの抗生物質耐性分離株である(オキサシリンMICは256mg/Lを上回る)。この株は、別の黄色ブドウ球菌株よりも反応作用に対して耐性を示さなかった(表1)。これは、本明細書に開示した方法および組成物がMRSA分離株に対して有効であることを再び示す。

0100

結果5
実験方法を、乳房内であるが、動物の搾乳後に乳中に残存しない抗菌作用を提供するために必要とされる組成物の最も適切な濃度を決定するために考案した。2つの入口流路を有する改良したゴム製の気体収集バッグを使用して、ウシ模擬乳房を設計した(図1参照)。過酸化水素およびヨウ化カリウムの反応によって新たに生成した様々な製剤を、入口を通してバッグに導入した。乳房環境をシミュレートするために、その後、一般的な牛が1日に12Lの牛乳を生産するのと同じ速度で牛乳を乳房に供給した。牛乳の試料を、様々な時点で定期的に採取し、牛乳の抗菌活性を、大腸菌を用いて試料をスパイクすることによって決定した。その後、スパイクされた牛乳試料をインキュベートした後に、残っている生存可能大腸菌細胞の存在について試験した。生存細胞の欠如は、大腸菌を阻害する/死滅させるのに十分な抗菌活性があることを示した。逆に、生存細胞の存在は、細菌の増殖を阻害するのに十分な量の抗菌活性を牛乳が含んでいないことを示した。この方法を使用して、それぞれの予想される実施形態を調べ、その結果、治療/注入後少なくとも5〜6時間であるが治療後10時間以下までは活性が存在した(牛乳が乳房環境外にある場合は、活性はない)。ヨウ化カリウム100mgおよび過酸化水素100mg(過酸化水素に対するヨウ化物の重量比が0.76:1)を含む10ml量で所望の特性を達成した。50mg未満の過酸化物濃度(すなわち、過酸化物に対するヨウ化物の重量比が>1.52:1)では、有効治療の4〜5時間にわたって抗菌活性は不十分であった。300mgを上回る過酸化物濃度(過酸化物に対するヨウ化物の重量比が<0.38:1)で、抗菌活性が10時間超存在したことは、牛乳の後処理に対する潜在的な問題になり得る。過酸化物濃度の増加と共に、動物細胞組織への損傷の危険性も増加する。過酸化水素に対するヨウ化物の重量比が0.38〜1.52:1であることは、牛の模擬乳房において適切なペースの反応を提供するのに適していた。

0101

この方法を使用して、ヨウ化物に対する過酸化物の適切な比率が、様々な反芻動物(ウシ、ヒツジなど)の治療のために予測された。興味深いことに、希釈していない10mlの過酸化物とヨウ化物の組成(0.76:1のヨウ化物:過酸化水素の重量比でそれぞれ200mg)は、初期濃度が上昇するにもかかわらず、(接触時間がはるかに短い殺菌目的には依然として有用であるが)乳腺炎環境において有用な場合よりも短い時間枠内で顕著な抗菌活性を全て失っていることが判明した。この知見は、過酸化水素とヨウ化物の反応速度を考慮することが治療目的に適する組成物の開発のための前提条件であったことを確認する。抗菌性化合物のより濃縮された溶液はより希薄なバージョンよりも効果がなく、各物質100mgを含有する実施形態と比較して、より濃縮された溶液はより短い時間後に活性を失うということは直感でわかるものではなく、この場合の反応速度と有効性の関係を再び強調する。

0102

乳房環境のダイナミック体積変化を考慮しないことも、有効な乳腺炎治療をもたらすことに関して問題である。例えば、組成物(ヨウ化カリウム100mgおよび過酸化水素50mg−過酸化水素に対するヨウ化物の重量比が1.52:1)を、一定の、量が変化しない1Lの乳に添加した。そのような状況では、本組成物の抗菌活性が24時間超残っているが、乳房モデルでの試験では、同じ組成物の抗菌活性は3時間未満の間記録された。シミュレートした適切な乳房モデル法の非存在下でのこのような結果は、この特定の比を用いると、抗菌性組成物が長時間(すなわち、10時間超)活性を示し、乳が乳房から搾乳された後も活性が長く続くことが予想されることを示している。これは、シミュレートした乳房モデルが、本出願に開示したように、インビボ適用に適する治療の計画を可能にする効果的な方法を提供することを証明した。

0103

結果6
過酸化物およびヨウ化物の正確な濃度は、乳腺炎の有効な治療を確実にするために、かつ乳の後処理に影響しないことを確実するために必要とされる。乳房モデルシステムの使用は、正確な濃度の組成物の開発を可能にした。不正確な濃度を使用すると、同じ結果は観察されない。

0104

例えば、泌乳用乳牛に、ヨウ化カリウムと過酸化水素の両方を含む組成物を注入した(それぞれ、(ヨウ化物38mgに変換する)50mgおよび150mgを含む各5mlの溶液−過酸化物に対するヨウ化物の重量比が0.25:1)。5mlの実施形態を、2日間、1日2回、泌乳牛の乳房に注入した。これらの動物を、活性、乳量などの変化について監視した。これらの動物において刺激作用、乳量の減少および乳房感受性が認められたことは、抗菌活性の生成が不十分である(または遅すぎる)こと、かつ未使用の過酸化物が残っていることから動物組織を刺激または損傷し始めたことを示した。乳房において0.1〜0.15%の過酸化物濃度を使用したこの実験は、過酸化物の濃度よりも著しく低い濃度が防腐剤に必要であると報告されたが、なおも動物に刺激をもたらした。そのような実施形態の使用による乳腺炎の治療は受け入れられない。本実施形態(または過酸化物が長期間にわたって存在している同様の実施形態)の使用はまた、乳の後処理および動物における初期の刺激の問題につながる。これは、過酸化物の存在が、チーズおよびヨーグルトの処理段階で使用される任意のスターター培養物をおそらく阻害するためである。

0105

(ヨウ化カリウム100mgと過酸化水素100mgを含む−過酸化物に対するヨウ化物の重量比が0.76:1である)別の好ましい実施形態の使用が動物に害を与えないことを実証するために、5頭の泌乳牛に、5日間、1日2回、本実施形態を注入した。これらの動物を、治療直後から数か月間、活性、乳量、乳質などの変化について監視した。治療後、不快感の徴候または乳房の感受性、硬さもしくは温度の変化は認められなかった。個々の動物が生産する乳の(栄養、化学的または生物学的な)品質または量の変化もなかった。これは、以下のことを実証した:a)本組成物および治療が、(長い5日間の治療後でさえ)記載のレベルで動物に対して毒性ではなかったこと;b)過酸化物の長期間の存在をもたらす抗菌活性を生成する反応において「ボトルネック」はなかったこと;かつc)前述の刺激の可能性の高い原因が、過剰なレベルの過酸化物への乳頭管組織の長期暴露であったこと。これらの具体的な結果はまた、牛に対する任意の負の影響の欠如および治療を受けている動物が生産する乳の継続的な利用の可能性を考慮すると、亜臨床型乳腺炎の治療薬として、かつ/または予防的治療として使用するためのこの実施形態の治療の適合性を支持する。

0106

結果7
本治療法が、後処理を妨げないことを実証するために、ヨウ化カリウム100mgおよび過酸化水素100mgを含有する組成物を注入した健康な動物から採取した乳を、Delvo試験を用いて試験した。これは、抗菌剤の存在(10億分の1レベルのいくつかの抗菌剤および広範囲の化合物に対する感受性)についての試験の「ゴールドスタンダード」である。健康な牛および本組成物で治療した臨床型乳腺炎の牛から生産された乳は、治療中に試験した場合に抗菌剤について「負」の結果を記録し、したがって、抗菌性組成物が限られた期間、すなわち、搾乳中のみ活性があることを証明した。決定的に、これは、この実施形態が乳の後処理に影響を与えないことを実証する−Delvoの試験生物を阻害するのに不十分な抗菌活性が搾乳直後に存在する場合は、スターター培養物の阻害に関する問題はない。

0107

結果8
黄色ブドウ球菌感染による慢性臨床型乳腺炎を患う幾頭かの病気の動物を特定した。これらの動物は、試験前の数ヶ月間は以前の抗生物質療法に対して応答せず、慢性乳腺炎に関連した典型的な循環SCCの増加を示した。これらの動物のうちの11頭を、ヨウ化カリウム100mgと過酸化水素100mg(重量で0.76:1)を含む本発明の実施形態で治療した。これらの動物を2日間、1日2回、搾乳後に治療した。体細胞数は、治療開始後21日目に測定した。これは、欧州医薬品ガイドラインデータに沿ったものである(記載の全ての効果は単に一時的ではないことを保証する)。21日目に、乳のSCC数、乳房の感受性、腫脹、温度または他の乳品質指標に基づいて残っている臨床感染の証拠はなく、したがって、黄色ブドウ球菌に慢性的に感染した牛においても本方法の治療有効性が実証された(SCC数のデータについては図3を参照されたい)。この試験は、本組成物が、慢性的性質の黄色ブドウ球菌感染症を治療できたことを示す。重要なことに、これはまた、過酸化水素を使用する方法の場合のように、本組成物が動物に有害ではなかったことも示す。これらの動物を(低乳量、多数の抗生物質に対する非応答、およびSCCの連続的上昇について)選別される予定であったが、群れに戻され、本発明を使用した治療後数ヶ月間は正常に搾乳された。乳生産量の増加、廃棄される乳が無いこと、獣医師料、および動物の交換により、農家への推定貯蓄は、10,000ユーロ(13,000ドル)を上回った。

0108

細菌増殖培地として乳を使用して本出願で報告したこのインビボ試験およびインビトロ試験からの新規な知見は、比較的高いレベルのチオシアン酸塩を含む乳においてインビボまたはインビトロで機能する過酸化水素/ヨウ化物モデルの能力である。これは、従来技術に基づいて、過酸化水素とヨウ化物の反応を触媒するために用いられるペルオキシダーゼ酵素の事例ではない。

0109

Klebanoffら(J Exp Med 1967 126(6):1063−78)は、過酸化水素とヨウ化物のペルオキシダーゼ触媒反応によって生成されるIO−の作用に対して「チオシアン酸イオン抑制性であった」という事実を説明している。この研究の著者らは、これがOSCN−の生成においてチオシアン酸塩の役割を与える「見かけパラドックス」だと信じていた。そのような発見は、チオシアン酸塩が牛乳中に顕著な濃度で存在するので、乳房環境における抗菌薬としてIO−を生成する過酸化水素およびヨウ化物のペルオキシダーゼ触媒反応の効率が限定されることをさらに示す(WHO/FAO、2005)。Tenovuoらおよびその概説議論される記事(Oral Diseases (2002)8,23−29)は、ヨウ化物の酸化生成物がチオシアン酸酸化生成物よりもはるかに強力であるが、「LP−システムに関連したヨウ化物の主要問題は、SCN−が好ましい基質であるので、唾液チオシアン酸が比較的低濃度であってもLP/I−/H2O2システムの殺菌効果廃止することである」。さらに、酵母、カンジダ・アルビカンスの経口バイオフィルムの研究におけるチオシアン酸塩とヨウ化物の類似の強力な干渉は、IO−生成に強力な負の影響を及ぼすことが報告された。著者らは、「臨床試験により、インビボでの抗真菌の目的のために使用される他のヨウ化物製剤の限られたまたは弱い有益な効果が示されたので、酵母の増殖および生存に影響を与えるOI−の能力が他のヨウ素化合物の点で疑問視されなければならない」と述べている。かつ、「この研究を通して、インビトロで実証したヨウ化物/ペルオキシダーゼ系の効率は、動物またはヒトのいずれかに転送することは困難である。宿主細胞上の酸化生成物の毒性および例えば、牛乳から単離した酵素の免疫原性の他に、ヨウ化物の酸化は、(例えば、ヒト唾液中の)いくつかの外分泌液中に存在するだけでなく、優先的にラクトペルオキシダーゼによって基質として使用されるチオシアン酸塩の制御下にある。実際、同じゲル中の両基質の同時取り込みにより、唾液中正常範囲のチオシアン酸に対応する0.25〜4mMの範囲で増加した濃度のチオシアン酸の存在下で、2mMのヨウ化物の有益な効果が減少した(Ahariz and Courtois 2010.Clinical,Cosmetic and Investigational Dentistry 2010:2 69−78)。これらの著者は、C.アルビカンスのバイオフィルムの発達を防止するためにペルオキシダーゼによって生成されるOI−が、生体外状況での装置の治療にのみ有用であると結論付けている。

0110

乳中のチオシアン酸塩の濃度は、上記の教示と比較して高く、動物の食事によって大幅に変化する。したがって、チオシアン酸塩によるIO−生成の深刻な阻害は、ヨウ化物および過酸化水素に基づく治療法が乳腺炎の治療に有効ではないことを示唆する。

0111

本出願者らによって行われた結果8に記載の臨床試験の結果は、提案した治療の有効性に対して乳中の天然チオシアン酸塩が負の影響を及ぼさないことを示し、このことは以前に引用した文献を考慮すると非常に驚くべき発見であった。このことは、本発明に記載の方法を用いて、反応物質の濃度のバランスを適切に取る必要性によって説明され、過酸化物とヨウ化物の反応によって生成される抗菌活性に基づく治療法の抗菌効果に対する反応速度が決定的に重要である。

0112

結果9
シミュレートした乳房モデル法は、抗菌活性の評価に対する先行技術における重要な進歩を表している。上記の結果6および8は、ヨウ化カリウム100mgおよび過酸化水素100mg(重量でヨウ化物:過酸化水素は0.76:1)を用いた治療法の使用について説明している。低すぎる濃度の成分を使用すると、治療中または治療後に動物に対して刺激または他の負の効果も、SCC数の著しい低下もしくは感染の向上ももたらされなかった。しかし、従来の最小阻止濃度試験を用いたインビトロ実験は、この溶液が1Lの量で約24時間抗菌活性を示すことを示唆した。しかし、シミュレートした乳房モデル法により、病原体の十分な死滅をもたらすのに十分な時間、インビボで抗菌性を示さないことが正しく予想された。インビボのデータは、実験モデルの予測を検証し、乳房環境の動態マッピング時にその重要性を実証した。乳腺炎の治療薬として使用するのに有効であるように反応で達成されなければならない濃度および比の範囲が存在すること、かつ結果8に記載の実施形態がウシの乳腺炎の治療のためのこの効果的な濃度を達成することは明らかである。

0113

これらの結果を検査する際に、記載の過酸化水素/ヨウ化物組成が広範囲の生物を死滅させるのに有効であることは明白である(表1)。グラム陽性生物およびグラム陰性生物の両方のバイオフィルム培養物の治療に関してOSCN−の生成に基づくものと比較することによって、このモデルを使用した結果に顕著な差異があることも示された(表2〜4)。化合物の割合も、インビボレベルで非常に重要であることが示されている。濃度が高すぎると、(乳の後処理に影響を与える;Delvo試験の失敗)組織損傷または長期活性をもたらす。濃度または比率が低すぎると不十分な活性をもたらし、存在する病原体を死滅させる際の治療効果が最小化する。極少量から開始して、乳が約1〜4リットルに増加する乳房環境の動態も重要な因子である。驚くべきことに、希釈していない組成物は、希釈された組成物よりもはるかに速く活性を失う。一定の最終容量を用いる従来のインビトロモデルは、過酸化水素/ヨウ化物モデルの有効性を過大評価させ、インビボでの成功につながらない。これは、本出願で引用した従来技術の特徴である。本明細書に開示した新規シミュレート乳房モデル法の開発、設計および配置は、開示した治療の適切な評価を可能にし、最終的に乳腺炎の新規治療法の開発を可能にした。

0114

これは、ラクトペルオキシダーゼ(または任意の他のペルオキシダーゼ酵素)活性から独立した、グラム陰性菌およびグラム陽性菌の両方に対して非常に効果的な殺菌組成物のための基礎としての、低濃度の過酸化水素とヨウ化物の反応の最初の記述である。これは、さらに低い濃度の過酸化水素とヨウ化物の反応生成物が、チオシアン酸塩の存在下でさえ、細菌性バイオフィルムを根絶する効率的な手段を提供することを実証する最初のものである。これはまた、ウシ乳腺炎の治療に使用するため、かつ潜在的な開放創設定で湿布を介して使用するための過酸化水素とヨウ化物の組成物使用の最初の成功を開示するものである。

0115

これは、過酸化水素およびヨウ化物に基づく乳腺炎治療の開発を可能にするために、進化した乳房環境を特徴付けるための実験方法の最初の記述である。発明者らは、牛乳腺炎のための安全な治療をもたらす新規方法、乳腺炎の治療と治癒の両方を可能にし、同時にチーズまたはヨーグルト生産などの後処理プロセスに影響しない乳生産を可能にする方法の有効性を検証するためのインビボデータを提示する。

0116

結果10
従来のヨウ化物ベースの抗菌剤と本明細書に記載の活性化IO−型の差異を実証するために、水、LBブロス、および乳を含む様々な培地中で、試験生物として大腸菌ATCC25922を使用してMICを行った。比較として、局所防腐剤として病院環境で頻繁に使用されるPVP−Iまたはポビドンヨードを遊離ヨウ素源(I2)として用いた。PVP−Iは水および生理食塩水中で強い抗菌性を示すが、LBおよび乳中に存在する有機物質の存在下で非常に迅速に分解する(表6参照)。これは、有機物質が存在しないかかる領域に対するPVP−Iの有効性を制限する。これは、本発明のOI−構造を用いた場合ではない。有機物質は溶液を不可逆的に無効にさせない。不思議なことに、PVP−Iが明らかに過酸化物の抗菌活性に対して負の影響を及ぼすので、生理食塩水環境中で過酸化水素およびPVP−Iを組み合わせて使用すると、抗菌活性が示されなかった(表6)。ブロス環境での再現は、過酸化物に影響を与えることができる前にPVP−Iを破壊させ、MICはPVP−Iの非存在下での過酸化物のMICと同じである。H2O2100mgおよびKI100mgの組成物を使用すると、試験環境(乳、ブロスおよび水)のそれぞれにおいてMICが20〜40mg/Lに達するので、有機物質の存在が所望の抗菌活性を阻害しないことが示された。

0117

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