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課題・解決手段

本文で開示の発明は、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、及び痴呆症に対する新規治療標的神経細胞内カーゴ分子微小管と微小管媒介軸索内輸送運動変化)を説明する。また、痴呆の有無に関係のない確証初期または潜伏運動神経疾患、及び痴呆症を患う対象者におけるこの治療標的の活性状態測定方法を説明する。さらに、運動神経疾患を患っている対象者における神経細胞微小管運動を調整する薬剤発見、そのような薬剤の単独での、あるいは組合せでの投与が、軸索に沿っての、及び軸索を介してのカーゴ分子のMT媒介輸送を改善することができるという発見、微小管運動の変化に対するそのような調整と、軸索に沿った分子のMT輸送における改善が、運動神経疾患を患っている対象者に対して、症状の遅延及び寿命延長を含む著しい神経保護性治療を提供可能であるという発見、及び、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、及び痴呆症を患う対象者に対する治療的処置への応答としてのカーゴ分子の微小管媒介軸索内輸送のモニタリングが、個々の対象者における、あるいは薬剤試験における治療法及び治療計画を最適化するための診断モニタリングを可能にするという発見を説明する。

概要

背景

運動神経疾患は、話す、歩く呼吸する、嚥下する等の随意筋活性を支配する細胞である上部(脳)及び下部(脳幹及び脊髄)運動神経の両方に損傷を与える、あるいは破壊する一群進行性神経疾患である。運動神経疾患の特徴的症状は、進行性衰弱活力喪失及び筋肉量減失(消耗)、筋肉単収縮を含む不随意運動、腕及び脚の痙縮または硬直、及び、過敏性腱反射を含む。運動神経疾患の他の症状は、随意運動緩徐化運動緩慢)、運動の欠如運動低下仮面状の顔)、常同性反復不随意運動(舞踏病アテトーシス)、及び姿勢固化または情動不安(アカシジア)を含むこともある。例えば、(ALS、ルー・ゲーリック病と一般に呼ばれる)筋萎縮性側索硬化症などのタイプの運動神経疾患においては、筋力低下は、進行性であり、典型的に呼吸筋機能の喪失と関連して、最終的に死に至る。他のタイプの運動神経疾患は、ゆっくりと長年に渡って進行する。運動神経疾患(MND)を持つ患者には、通常、認知障害はないが、MND患者の特定なサブグループ痴呆との関連を支持する証拠が明らかになって来ている。例えば、ALS、PD及びHDを含む運動神経疾患は、認知及び気分障害を引き起こすこともある。ALS、PD及びHDにおける認知障害は、運動領域を超えて、大脳皮質病理学的な変化、及びX線撮影可視的な変化に相関している(引用文献:Monastero A. et al.Prevalence and profile of mild cognitive impairment in Parkinson’s disease. Neurodegener Dis.2012;10(1−4):187−90;Poletti M. et al.Mild cognitive impairment and cognitive−motor relationships in newly diagnosed drug−naive patients with Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2012;83(6):601−6;Rippon GA et al. An observational study of cognitive impairment in amyotrophic lateral sclerosis. Arch Neurol.2006;63(3):345−52.;DumasEM, et al. A review of cognition in Huntington’s disease. Front Biosci 2013;5:1−18)。

運動神経疾患は、成人及び小児発症し、女性よりも男性で、一般的である。成人における症状は、通常40以降で現れ、非特異的であり、診断が難しい。小児における、特に遺伝性の疾患では、症状は、出生時から存在することもある。遺伝性運動神経疾患は、運動神経の退化を引き起こす遺伝子突然変異または遺伝子欠失に起因する。遺伝性運動神経疾患は、ハンチントン舞踏病(HD)と、脊髄性筋萎縮症として知られる一群の小児疾患を含む。非遺伝性(散発性とも呼ぶ)運動神経疾患は、環境毒素またはウイルスが、病気引き金として作用するのかも知れないが、未知要因によって発症する。非遺伝性運動神経疾患は、(若干の遺伝性のものが存在するが)ALS、進行性延髄麻痺進行性核上麻痺PSP)、仮性球麻痺原発性側索硬化症進行性筋萎縮症パーキンソン病糖尿病性神経障害ポリオ症候群、及び、その他の多くを含む。運動神経疾患と、痴呆を伴う運動神経疾患を診断するための特殊な臨床検査は、全く存在しない。

ALSは、容赦なく進行する、末梢神経系の常に致命的な疾患である。具体的には、ALSは、軸索機能障害を特徴とする運動神経の疾患である。現在、有効な治療法は全く存在しない。リルゾール(Rilutek(商標))は、1995年にFDA承認を得たが、疾病進行を僅かに遅延させるだけである。非遺伝性ALSに加えて、遺伝性ALSも存在する。家族性ALSを持つ患者の20%までは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子に変異を持つ。この成果は、ALSの信頼できるマウスモデルの開発を可能にした。このモデル、SOD1−G93A遺伝子導入マウス(「SOD1−G93A・TGNマウス」)は、ALSを模倣する神経疾患を発症し、生後18から19週目に死に至る。

SOD1−G93A・TGNマウスは、前臨床発見及び薬剤試験に非常に有用となった。ALSのこの特殊な遺伝子導入マウス・モデルは、変異体ヒトCu,ZnSODの比較的に高い発現と、比較的に短い疾患過程(18−19週)を示す。そのため、潜在的治療薬の評価は、より速く、より効率的に行える。また、このよりアグレッシブな(すなわち、発現度の高い)マウス・モデルの治療効果の実証は、クリニックにおける成功予測するための最も厳しい示標を提供するかもしれない。ヒト臨床試験組織するために必要な費用及び時間を考慮すると、最も有効で強力な候補薬のみが、患者での評価のために提示されるべきである。種々の潜在的治療薬が、SOD1−G93A・TGNマウスでテストされている。他の治療法、例えばヒト神経幹細胞移植なども、このモデルでテストされている。リルゾールと神経幹細胞移植を含んで、現在までテストされたすべての治療法は、このモデルにおいて、発症及び死亡率を20から30日遅延させるのみである。

SOD1−G93A・TGNマウスにおける候補剤の成功が比較的に不足していることは、運動神経疾患の根底にあるメカニズムの理解の基本的な欠如を反映しているのかもしれない。疾病進行に関わる根底にある分子標的及び経路が分かっているならば、運動神経疾患に対するより効果的な治療法が発見及び開発されるかもしれない。

U.S.Provisional Applications No.60/722,897,PCT/US2005/028069及びU.S.Patent Application No.10/279,399の全文が、参照により本文に援用される。

概要

本文で開示の発明は、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、及び痴呆症に対する新規治療標的神経細胞内カーゴ分子微小管と微小管媒介軸索内輸送運動変化)を説明する。また、痴呆の有無に関係のない確証初期または潜伏運動神経疾患、及び痴呆症を患う対象者におけるこの治療標的の活性状態測定方法を説明する。さらに、運動神経疾患を患っている対象者における神経細胞微小管運動を調整する薬剤の発見、そのような薬剤の単独での、あるいは組合せでの投与が、軸索に沿っての、及び軸索を介してのカーゴ分子のMT媒介輸送を改善することができるという発見、微小管運動の変化に対するそのような調整と、軸索に沿った分子のMT輸送における改善が、運動神経疾患を患っている対象者に対して、症状の遅延及び寿命延長を含む著しい神経保護性治療を提供可能であるという発見、及び、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、及び痴呆症を患う対象者に対する治療的処置への応答としてのカーゴ分子の微小管媒介軸索内輸送のモニタリングが、個々の対象者における、あるいは薬剤試験における治療法及び治療計画を最適化するための診断モニタリングを可能にするという発見を説明する。

目的

また、このよりアグレッシブな(すなわち、発現度の高い)マウス・モデルの治療効果の実証は、クリニックにおける成功を予測するための最も厳しい示標を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症アルツハイマー病)を患う対象者における、薬剤の効果のモニターリング方法であって、a)被験生体系を一つ以上の薬剤に曝露すること、b)前記生体系同位元素標識サブストレートを、前記同位元素標識サブストレートが運動神経または神経細胞の他の亜集団軸索内の一つ以上のカーゴ分子内に入るのに十分な時間に渡って投与すること、c)前記生体系から複数の試料採取すること、d)前記複数の試料からの、一つ以上の分泌小胞カーゴ分子における同位体濃縮経時変化パターンまたは量を定量化すること、e)コントロール系からの試料内の分泌小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を測定すること、f)前記生体系内の前記単離小胞カーゴ分子における同位体濃縮の前記経時変化、パターンまたは量を、コントロール生体系における同じパラメータに比較すること、及びg)運動神経または神経細胞の他の亜集団における、微小管MT)媒介低速及び高速軸索内輸送の速度に関する前記薬剤の効果を判定することからなる、前記方法。

請求項2

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、成長因子神経伝達物質グリコプロテインタンパク質ニューロペプチド及び分泌酵素からなるグループから選択される、請求項1の方法。

請求項3

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される、請求項1または2の方法。

請求項4

前記被験生体系からの運動神経または神経細胞の他の亜集団における、分泌小胞カーゴ分子の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量と、それに依存するMT媒介軸索内輸送の効率が、前記コントロール生体系からの運動神経または神経細胞の他の亜集団における、分泌カーゴ分子の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量と、それに依存する高速軸索内輸送の効率へ比較される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。

請求項5

複数の薬剤が、単独で、あるいは併用で投与される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。

請求項6

前記試料が、CSF、血液、尿または組織試料からなる、請求項1から5のいずれかに記載の方法。

請求項7

前記試料が、複数の時点で採集される、請求項1から6のいずれかに記載の方法。

請求項8

痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)の、脳内の特定な位置へのマッピング方法であって、a)痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、または既知の痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者へ、同位元素標識サブストレートを、前記同位元素標識サブストレートが運動神経の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間に渡って投与すること、b)痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない対象者へ、同位元素標識サブストレートを、前記同位元素標識サブストレートが運動神経または神経細胞の他の亜集団の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間に渡って投与すること、c)痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う前記対象者から、複数の試料を採取すること、d)痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない前記対象者から、複数の試料を採取すること、e)痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う前記対象者における、前記単離小胞カーゴ分子内の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない前記対象者における、前記単離小胞カーゴ分子内の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量に比較すること、g)痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う前記対象者からの試料内に存在し、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない前記対象者からの試料内に存在しない一つ以上のカーゴ分子を判定することからなる、前記方法。

請求項9

前記痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは前記痴呆症(アルツハイマー病)が、パーキンソン病(PD)、パーキンソン病痴呆(PDD)、アルツハイマー病痴呆(ADD)、筋萎縮性側索硬化症ALS)、原発性側索硬化症PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性延髄麻痺(PBP)、進行性核上麻痺PSP)及び脊髄性筋萎縮症SMA)からなる疾患のグループから選択される、請求項8の方法。

請求項10

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、成長因子、神経伝達物質、グリコプロテイン、タンパク質、ニューロペプチド及び分泌酵素からなるグループから選択される、請求項8または9の方法。

請求項11

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される、請求項8から10のいずれかに記載の方法。

請求項12

前記試料が、CSF、血液、尿または組織試料からなる、請求項8から11のいずれかに記載の方法。

請求項13

前記試料が、複数の時点で採集される、請求項8から12のいずれかに記載の方法。

請求項14

脳内の特定な部位についての、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)の診断方法であって、a)前記生体系へ同位元素標識サブストレートを、前記同位元素標識サブストレートが運動神経の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間に渡って投与すること、b)前記生体系から、複数の試料を採取すること、c)前記複数の試料からの、一つ以上の分泌小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を定量化すること、d)コントロール系からの試料内の分泌小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を測定すること、e)前記生体系の前記単離小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の前記経時変化、パターンまたは量を、コントロール生体系の同じパラメータに比較すること、及びf)運動神経または神経細胞の他の亜集団における、微小管(MT)媒介低速及び高速軸索内輸送の速度に関する前記薬剤の効果を判定することからなる、前記方法。

請求項15

前記痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは前記痴呆症(アルツハイマー病)が、パーキンソン病(PD)、パーキンソン病痴呆(PDD)、アルツハイマー病痴呆(ADD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性延髄麻痺(PBP)、進行性核上麻痺(PSP)及び脊髄性筋萎縮症(SMA)からなる運動神経疾患のグループから選択される、請求項14の方法。

請求項16

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、成長因子、神経伝達物質、グリコプロテイン、タンパク質、ニューロペプチド及び分泌酵素からなるグループから選択される、請求項14または15の方法。

請求項17

前記一つ以上の分泌小胞カーゴ分子が、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される、請求項14から16のいずれかに記載の方法。

請求項18

前記試料が、CSF、血液、尿または組織試料からなる、請求項14から17のいずれかに記載の方法。

請求項19

前記試料が、複数の時点で採集される、請求項14から18のいずれかに記載の方法。

請求項20

痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)の診断方法であって、a)生体系へ同位元素標識サブストレートを、前記同位元素標識サブストレートが運動神経または神経細胞の他の亜集団の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間に渡って投与すること、b)前記生体系から、複数の試料を採取すること、及びc)前記複数の試料からの、一つ以上の分泌小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を定量化することからなり、一つ以上の分泌小胞カーゴ分子は、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択され、前記痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、または痴呆症(アルツハイマー病)が、PD、PDD及びADDからなるグループから選択される、前記方法。

請求項21

クロモグラニンBで富化された試料が、PDまたはPDDを示唆する、請求項20の方法。

請求項22

プロエンケファリンAで富化された試料が、PDDを示唆する、請求項20の方法。

請求項23

神経分泌タンパク質VGFで富化された試料が、PDDを示唆する、請求項20の方法。

請求項24

クラステリンで富化された試料が、PDDを示唆する、請求項20の方法。

請求項25

プロエンケファリンA、クロモグラニンB、神経分泌タンパク質VGF及びクラステリンで富化された試料が、PDDを示唆する、請求項20の方法。

請求項26

分泌タンパク質VGF及びクラステリンで富化された試料が、ADDをプロエンケファリンA、神経示唆する、請求項20の方法。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2013年3月15日に出願のU.S.Provisional Patent Application Serial No.61/801,882への優先権を主張する。その開示の全文が、すべての目的において、参照により本文に援用される。

0002

本発明は、脳内の運動神経集団の機能である運動神経活性及び活動性へ影響を与える新規医薬化合物に関する。本発明は、さらに、痴呆の有無に関係なく、筋萎縮性側索硬化症及びパーキンソン病などの運動神経疾患の治療への、及び痴呆症の治療への、そのような新規医薬化合物の使用に関する。本発明は、さらに、そのような運動神経疾患の有無について、被験者スクリーニング及びモニタリングすることに関する。

背景技術

0003

運動神経疾患は、話す、歩く呼吸する、嚥下する等の随意筋活性を支配する細胞である上部(脳)及び下部(脳幹及び脊髄)運動神経の両方に損傷を与える、あるいは破壊する一群進行性神経疾患である。運動神経疾患の特徴的症状は、進行性衰弱活力喪失及び筋肉量減失(消耗)、筋肉単収縮を含む不随意運動、腕及び脚の痙縮または硬直、及び、過敏性腱反射を含む。運動神経疾患の他の症状は、随意運動緩徐化運動緩慢)、運動の欠如運動低下仮面状の顔)、常同性反復不随意運動(舞踏病アテトーシス)、及び姿勢固化または情動不安(アカシジア)を含むこともある。例えば、(ALS、ルー・ゲーリック病と一般に呼ばれる)筋萎縮性側索硬化症などのタイプの運動神経疾患においては、筋力低下は、進行性であり、典型的に呼吸筋機能の喪失と関連して、最終的に死に至る。他のタイプの運動神経疾患は、ゆっくりと長年に渡って進行する。運動神経疾患(MND)を持つ患者には、通常、認知障害はないが、MND患者の特定なサブグループと痴呆との関連を支持する証拠が明らかになって来ている。例えば、ALS、PD及びHDを含む運動神経疾患は、認知及び気分障害を引き起こすこともある。ALS、PD及びHDにおける認知障害は、運動領域を超えて、大脳皮質病理学的な変化、及びX線撮影可視的な変化に相関している(引用文献:Monastero A. et al.Prevalence and profile of mild cognitive impairment in Parkinson’s disease. Neurodegener Dis.2012;10(1−4):187−90;Poletti M. et al.Mild cognitive impairment and cognitive−motor relationships in newly diagnosed drug−naive patients with Parkinson’s disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2012;83(6):601−6;Rippon GA et al. An observational study of cognitive impairment in amyotrophic lateral sclerosis. Arch Neurol.2006;63(3):345−52.;DumasEM, et al. A review of cognition in Huntington’s disease. Front Biosci 2013;5:1−18)。

0004

運動神経疾患は、成人及び小児発症し、女性よりも男性で、一般的である。成人における症状は、通常40以降で現れ、非特異的であり、診断が難しい。小児における、特に遺伝性の疾患では、症状は、出生時から存在することもある。遺伝性運動神経疾患は、運動神経の退化を引き起こす遺伝子突然変異または遺伝子欠失に起因する。遺伝性運動神経疾患は、ハンチントン舞踏病(HD)と、脊髄性筋萎縮症として知られる一群の小児疾患を含む。非遺伝性(散発性とも呼ぶ)運動神経疾患は、環境毒素またはウイルスが、病気引き金として作用するのかも知れないが、未知要因によって発症する。非遺伝性運動神経疾患は、(若干の遺伝性のものが存在するが)ALS、進行性延髄麻痺進行性核上麻痺PSP)、仮性球麻痺原発性側索硬化症進行性筋萎縮症、パーキンソン病、糖尿病性神経障害ポリオ症候群、及び、その他の多くを含む。運動神経疾患と、痴呆を伴う運動神経疾患を診断するための特殊な臨床検査は、全く存在しない。

0005

ALSは、容赦なく進行する、末梢神経系の常に致命的な疾患である。具体的には、ALSは、軸索機能障害を特徴とする運動神経の疾患である。現在、有効な治療法は全く存在しない。リルゾール(Rilutek(商標))は、1995年にFDA承認を得たが、疾病進行を僅かに遅延させるだけである。非遺伝性ALSに加えて、遺伝性ALSも存在する。家族性ALSを持つ患者の20%までは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子に変異を持つ。この成果は、ALSの信頼できるマウスモデルの開発を可能にした。このモデル、SOD1−G93A遺伝子導入マウス(「SOD1−G93A・TGNマウス」)は、ALSを模倣する神経疾患を発症し、生後18から19週目に死に至る。

0006

SOD1−G93A・TGNマウスは、前臨床発見及び薬剤試験に非常に有用となった。ALSのこの特殊な遺伝子導入マウス・モデルは、変異体ヒトCu,ZnSODの比較的に高い発現と、比較的に短い疾患過程(18−19週)を示す。そのため、潜在的治療薬の評価は、より速く、より効率的に行える。また、このよりアグレッシブな(すなわち、発現度の高い)マウス・モデルの治療効果の実証は、クリニックにおける成功予測するための最も厳しい示標を提供するかもしれない。ヒト臨床試験組織するために必要な費用及び時間を考慮すると、最も有効で強力な候補薬のみが、患者での評価のために提示されるべきである。種々の潜在的治療薬が、SOD1−G93A・TGNマウスでテストされている。他の治療法、例えばヒト神経幹細胞移植なども、このモデルでテストされている。リルゾールと神経幹細胞移植を含んで、現在までテストされたすべての治療法は、このモデルにおいて、発症及び死亡率を20から30日遅延させるのみである。

0007

SOD1−G93A・TGNマウスにおける候補剤の成功が比較的に不足していることは、運動神経疾患の根底にあるメカニズムの理解の基本的な欠如を反映しているのかもしれない。疾病進行に関わる根底にある分子標的及び経路が分かっているならば、運動神経疾患に対するより効果的な治療法が発見及び開発されるかもしれない。

0008

U.S.Provisional Applications No.60/722,897,PCT/US2005/028069及びU.S.Patent Application No.10/279,399の全文が、参照により本文に援用される。

0009

したがって、一つの態様において、本発明は、第一の神経保護剤及び第二の神経保護剤からなる医薬組成物を提供する。通常、神経保護剤の少なくとも一つは、例えばノスカピン等の、微小管標的調節剤MTMA)である。時には、医薬組成物は、単一神経保護剤のみからなり、特に、ノスカピン等の微小管標的調節剤(MTMA)からなる。時には、医薬組成物は、三つの神経保護剤からなり、特に、それらの神経保護剤の一つまたは二つがMTMAである。神経保護剤は、MTMA、チアゾリジンジオン及び非チアゾリジンジオン・ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)作用薬を含む抗炎症剤、例えば、N−メチル−D−アスパラギン酸NMDA受容体などの、電位依存型ナトリウムチャネル(VGNH)及び電位依存型カルシウム・チャネル(VGCH)を含む電位依存型イオン・チャネルに対する拮抗剤等の、選択的及び非選択的グルタミン酸受容体拮抗剤を含むイオン・チャネル調節因子、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸AMPA)拮抗剤、神経膠モジュレーター低電位感知カルシウム・チャネル(L−VSCCS)遮断剤N型及びP/Q型電位依存性カルシウム電流阻害剤エンドカンナビノイド及びカンナビノイド受容体作用薬を含むカンナビノイド等の、CB1受容体及びCB2受容体作用薬脂肪酸アミドヒドロラーゼFAAH)阻害剤を含む、AE輸送加水分解及び再摂取阻害剤誘導可能な一酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤、フリーラジカルトラッパースカベンジャー、及び、銅(II)及び亜鉛(II)キレーターを含む金属イオン・キレーター等の抗酸化剤神経栄養因子、及び、アポトーシス阻害剤から選択される。組成物の各神経保護剤は、他から分離して、バイアル内にあってもよい。

0010

追加の態様においては、本発明は、一つ、二つ、三つ以上の神経保護剤からなる医薬組成物を投与することからなる運動神経疾患の治療方法を提供する。医薬組成物は、さらに、医薬担体を含んでもよい。

0011

更なる態様において、本発明は、一つ、二つ、三つ以上の神経保護剤からなる医薬組成物を投与することからなるALS及びPDの治療方法を提供する。医薬組成物は、さらに、医薬担体を含んでもよい。そのような治療は、ALS及びPDの発症を遅らせる、またはALS及びPD症状を緩和させる可能性がある。

0012

もう一つの態様においては、本発明は、患者へMTMA及び医薬担体を投与することからなる、患者におけるALS及びPD症状の寛解方法を提供する。

0013

更なる態様において、本発明は、治療が必要な患者へ、MTMA及び医薬担体をその患者にとって治療的に有効な量投与することからなる運動神経疾患の治療方法を提供する。

0014

更なる態様において、本発明は、運動神経疾患を患う対象者における薬剤の効果のモニタリング方法を提供する。この方法は、被験生体系を一つ以上の薬剤に曝露すること、及び、同位元素標識サブストレートが、一つ以上のチュービュリンサブユニット内へ入ることによって、一つ以上の微小管分子入り、それを標識するのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与することからなる。それから、その生体系から、運動神経細胞からなる第一の試料採取し、第一の試料からの微小管の亜集団同位体濃縮定量化する。また、コントロール系からの微小管の亜集団の同位体濃縮を定量化する、あるいはそれは提供される。そして、運動神経細胞内の微小管標識に対する薬剤の影響を判定するために、生体系内の微小管における濃縮比率を、コントロール生体系内の比率に比較する。

0015

更なる態様における方法は、さらに、標識微小管の運動を計算することからなる。この場合、比較ステップは、遊離チュービュリンの同位体濃縮に対する微小管内の同位体濃縮、すなわち運動の比率を計算すること、及び、その比率を、コントロール生体系における対応比率に比較することからなる。

0016

もう一つの態様における方法は、被験生体系の成長円錐微小管からの微小管の同位体濃縮、すなわち運動を、コントロール生体系の成長円錐微小管からの標識微小管の同位体濃縮、すなわち運動に比較することからなる。

0017

更なる態様における方法は、被験生体系の軸索微小管からの微小管の同位体濃縮、すなわち運動を、コントロール生体系の軸索微小管からの微小管の同位体濃縮に比較することを利用する。

0018

もう一つの態様においては、被験生体系が曝露される薬剤は、神経保護因子である。薬剤は、単独で、または他の薬剤との組合せで投与できる。

0019

更なる態様において、本発明は、神経細胞微小管の活動性を修正する薬剤を投与することによる、運動神経疾患の治療方法を提供する。

0020

もう一つの態様においては、本発明は、微小管の活動性を修正する薬剤を神経に接触させることからなる、運動神経疾患に有効な薬剤のスクリーニング方法を提供する。

0021

更なる態様において、本発明は、運動神経疾患を患う対象者における治療効果の診断またはモニタリング方法を提供する。この方法は、同位元素標識サブストレートが、一つ以上のチュービュリン・サブユニットに入ることによって、一つ以上の微小管ポリマー分子に入り、それを標識するに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与すること、及び、生体系の運動神経細胞からなる第一の試料を採取することからなる。第一の試料からの軸索コンパートメント内の微小管の亜集団の同位体濃縮、及び軸索コンパートメントからの非合体標識チュービュリンの亜集団の同位体濃縮を定量化し、運動神経疾患の有無を判定するために、軸索コンパートメントの微小管の亜集団の濃縮比率を、軸索コンパートメントからの非合体標識チュービュリンの亜集団の比率に比較する。

0022

更なる態様において、本発明は、運動神経疾患を患う対象者における治療効果の非侵襲性診断またはモニタリング方法を提供する。この方法は、同位元素標識サブストレートが、通常ニューロンから分泌されて輸送される一つ以上の神経細胞分子内へ入るのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与すること、及び、生体系の組織または体液から第一の試料あるいは経時シリアル試料を採取することからなる。なお、神経細胞分子は、例えば、微小管輸送系を介して軸索のコースに沿って輸送される成長因子神経伝達物質ニューロペプチド、(酵素及びグリコプロテイン等を含む)タンパク質、または他の分子(「カーゴ分子」または「カーゴ」)である。軸索に沿って、及び通して輸送された分泌分子の同位体濃縮の経時変化は、採取した一つ以上の体液または組織内の分泌分子における同位体標識の経時変化に基づいて測定する。個人から採取した分泌分子における濃縮経時変化を、治療的処置への反応としての同じ個人の、あるいは比較対象者の分泌分子における濃縮経時変化に比較する。そうすることによって、個人における分泌分子の障害性微小管(MT)媒介軸索内輸送を伴う運動神経疾患の有無を評価できる。同様に、個人あるいは一グループの対象者における処置前後の輸送速度を比較することによって、このタイプの病状による治療への応答査定できる。成長因子、神経伝達物質、神経ペプチド分泌酵素、グリコプロテイン、タンパク質、または神経細胞から分泌される他の「カーゴ」分子の輸送速度の動態解析は、これら対象者の神経細胞内に微小管媒介軸索内輸送の障害が存在するかどうかを評価する目的で、患者から脳脊髄液CSF)、血液、尿または組織試料を採取することによって実行可能である。

0023

更なる態様において、本発明は、運動神経疾患を患う対象者の臨床試験においてテストされている候補剤の治療有効性の評価及びモニターリング方法を提供する。この方法は、同位元素標識サブストレートが、一つ以上のチュービュリン・サブユニット内に入ることによって、一つ以上の微小管ポリマー分子へ入り、それを標識するのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与すること、及び、生体系の運動神経細胞からなる第一の試料を採取することからなる。第一の試料からの軸索コンパートメント内の微小管の亜集団の同位体濃縮、及び軸索コンパートメントからの非合体標識チュービュリンの亜集団の同位体濃縮を定量化し、運動神経疾患の有無を判定するために、軸索コンパートメントの微小管の亜集団の濃縮比率を、軸索コンパートメントからの非合体標識チュービュリンの亜集団の比率に比較する。候補剤の治療有効性を統計的に評価するために、異なる投与群を比較する。また、治療期間中、候補剤の有効性に対する治療的作用または変化をモニターするために、反復計測及び分析を実行できる。

0024

更なる実施形態においては、本発明は、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者における、薬剤の効果のモニターリング方法を含む。特定な実施形態における方法は、被験生体系を一つ以上の薬剤に曝露するステップからなる。特定な実施形態における方法は、同位元素標識サブストレートが、運動神経または神経細胞の他の亜集団の軸索内の一つ以上のカーゴ分子内に入るのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与するステップからなる。特定な実施形態における方法は、その生体系から複数の試料を採取するステップからなる。特定な実施形態における方法は、それら複数の試料からの、一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を定量化するステップからなる。特定な実施形態における方法は、コントロール系からの試料の分泌シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を測定するステップからなる。特定な実施形態における方法は、生体系の単離シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を、コントロール生体系の同じパラメータに比較するステップからなる。特定な実施形態における方法は、運動神経または神経細胞の他の亜集団における、微小管(MT)媒介低速及び高速軸索内輸送の速度に関する薬剤の効果を判定するステップからなる。

0025

特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、成長因子、神経伝達物質、グリコプロテイン及び分泌酵素からなるグループから選択される。特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される。特定な実施形態においては、被験生体系から運動神経または神経細胞の他の亜集団における分泌シナプス小胞カーゴ分子内の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量と、それによるMT媒介軸索内輸送の効率が、コントロール生体系からの運動神経または神経細胞の他の亜集団における分泌カーゴ分子内の同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量と、それによる高速軸索内輸送の効率に比較される。特定な実施形態においては、複数の薬剤が、単独で、あるいは併用で投与される。

0026

特定な実施形態における試料は、CSF、血液、尿または組織試料からなる。特定な実施形態における試料は、複数の時点で採集される。

0027

更なる実施形態においては、本発明は、脳内の特定な位置への、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患の、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)のマッピング方法を含む。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、または既知の痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者へ、同位元素標識サブストレートが、運動神経の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間、同位元素標識サブストレートを投与するステップからなる。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない対象者へ、同位元素標識サブストレートが、運動神経または神経細胞の他の亜集団の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間、同位元素標識サブストレートを投与するステップからなる。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者から、複数の試料を採取するステップからなる。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない対象者から、複数の試料を採取するステップからなる。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者の単離シナプス小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない対象者の単離シナプス小胞カーゴ分子における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量に比較するステップからなる。特定な実施形態における方法は、痴呆の有無に関係なく既知の運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患う対象者からの試料内に存在し、痴呆の有無に関係なく運動神経疾患を、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)を患っていない対象者からの試料内に存在しない一つ以上のカーゴ分子を判定するステップからなる。

0028

特定な実施形態における痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)は、パーキンソン病(PD)、パーキンソン病痴呆(PDD)、アルツハイマー病痴呆(ADD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性延髄麻痺(PBP)、進行性核上麻痺(PSP)及び脊髄性筋萎縮症(SMA)からなる疾患のグループから選択される。

0029

特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、成長因子、神経伝達物質、グリコプロテイン及び分泌酵素からなるグループから選択される。特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される。

0030

特定な実施形態における試料は、CSF、血液、尿または組織試料からなる。特定な実施形態における試料は、複数の時点で採集される。

0031

更なる実施形態においては、本発明は、脳内の特定な位置に関する、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)の診断方法を含む。特定な実施形態における方法は、同位元素標識サブストレートが、運動神経の軸索内の一つ以上のカーゴ分子へ入るのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与するステップからなる。特定な実施形態における方法は、その生体系から複数の試料を採取するステップからなる。特定な実施形態における方法は、それら複数の試料からの、一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を定量化するステップからなる。特定な実施形態における方法は、コントロール系からの試料の分泌シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を測定するステップからなる。特定な実施形態における方法は、生体系の単離シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を、コントロール生体系の同じパラメータに比較するステップからなる。特定な実施形態における方法は、運動神経または神経細胞の他の亜集団における、微小管(MT)媒介低速及び高速軸索内輸送の速度に関する薬剤の効果を判定するステップからなる。

0032

特定な実施形態における痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)は、パーキンソン病(PD)、パーキンソン病痴呆(PDD)、アルツハイマー病痴呆(ADD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性延髄麻痺(PBP)、進行性核上麻痺(PSP)及び脊髄性筋萎縮症(SMA)からなる運動神経疾患のグループから選択される。特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、成長因子、神経伝達物質、グリコプロテイン及び分泌酵素からなるグループから選択される。特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される。

0033

特定な実施形態における試料は、CSF、血液、尿または組織試料からなる。特定な実施形態における試料は、複数の時点で採集される。

0034

更なる実施形態においては、本発明は、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)の診断方法を含む。特定な実施形態における方法は、同位元素標識サブストレートが、運動神経または神経細胞の他の亜集団の軸索内の一つ以上のカーゴ分子内に入るのに十分な時間、生体系へ同位元素標識サブストレートを投与するステップからなる。特定な実施形態における方法は、その生体系から複数の試料を採取するステップからなる。特定な実施形態における方法は、それら複数の試料からの、一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子内における同位体濃縮の経時変化、パターンまたは量を定量化するステップからなる。

0035

特定な実施形態における一つ以上の分泌シナプス小胞カーゴ分子は、クロモグラニンB、プロエンケファリンA、神経分泌VGF及びクラステリンからなるグループから選択される。

0036

特定な実施形態における痴呆の有無に関係のない運動神経疾患、あるいは痴呆症(アルツハイマー病)は、PD、PDD及びADDからなるグループから選択される。特定な実施形態においては、クロモグラニンBで富化された試料は、PDまたはPDDを暗示する。特定な実施形態においては、プロエンケファリンAで富化された試料は、PDDを暗示する。特定な実施形態においては、神経分泌タンパク質VGFで富化された試料は、PDDを暗示する。特定な実施形態においては、クラステリンで富化された試料は、PDDを暗示する。特定な実施形態においては、プロエンケファリンA、クロモグラニンB、神経分泌タンパク質VGF及びクラステリンで富化された試料は、PDDを暗示する。特定な実施形態においては、プロエンケファリンA、神経分泌タンパク質VGF及びクラステリンで富化された試料は、ADDを暗示する。

図面の簡単な説明

0037

図1は、同位元素標識水から選択遊離アミノ酸への標識水素(2Hまたは3H)交換経路を表す。一例として、二つのNEAA(アラニングリシン)及びEAA(ロイシン)を示す。図1Aにアラニン及びグリシンを示し、図1Bにロイシンを示す。略語:TA、トランスアミナーゼ;PEP−CKホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ;TCAC、トリカルボン酸サイクルSTHM、セリンテトラヒドロ葉酸メチルトランスフェラーゼ図1Cは、タンパク質合成のための、H218Oによる遊離アミノ酸の18O標識を表す。
図1は、同位元素標識水から選択遊離アミノ酸への標識水素(2Hまたは3H)交換経路を表す。一例として、二つのNEAA(アラニン、グリシン)及びEAA(ロイシン)を示す。図1Aにアラニン及びグリシンを示し、図1Bにロイシンを示す。略語:TA、トランスアミナーゼ;PEP−CK、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ;TCAC、トリカルボン酸サイクル;STHM、セリンテトラヒドロ葉酸メチルトランスフェラーゼ。図1Cは、タンパク質合成のための、H218Oによる遊離アミノ酸の18O標識を表す。
図1は、同位元素標識水から選択遊離アミノ酸への標識水素(2Hまたは3H)交換経路を表す。一例として、二つのNEAA(アラニン、グリシン)及びEAA(ロイシン)を示す。図1Aにアラニン及びグリシンを示し、図1Bにロイシンを示す。略語:TA、トランスアミナーゼ;PEP−CK、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ;TCAC、トリカルボン酸サイクル;STHM、セリンテトラヒドロ葉酸メチルトランスフェラーゼ。図1Cは、タンパク質合成のための、H218Oによる遊離アミノ酸の18O標識を表す。
図2は、微小管ポリマー内への2H標識チュービュリン・ダイマーの組み込みを表す。
図3は、マウス脳内におけるチュービュリン・ダイマーと微小管の生体内交換を表す。(A)神経細胞の微小管(MT)集団を単離するためのストラテジーの概略図。(B)抗タウ列に渡って切り離した、入力(レーン1)の抗タウ及び抗MAPウエスタンブロット、タウ非関連(レーン2)及びタウ関連(レーン3)フラクションは、タウ関連MTの量的キャプチャを示す。MAP2関連MTは、非結合フラクション内にある。(C)重水(2H2O)からチュービュリン・ダイマー及び異なるMTフラクションへの2H組み込みの動特性。マウスは、種々の時間に、体内水分中、約5%の2H2Oで標識し、脳を解剖した。(A)でのように単離したMT集団を加水分解した。NCI−GC/MSによって、アラニンのC−H結合への2H組み込みを測定し(平均±標準偏差、n=3)、代謝回転フラクションとして表現した(標識期間中に新しく合成されるアラニンの%)。単一指近似曲線は、皮質におけるt1/2が約5から6時間、及び海馬におけるt1/2が約3時間であり、チュービュリン・ダイマーに対する新しいアラニンが約20%で横ばいで、タウ−及びMAP2/STOP−MT、各々に対するこの値が2分の1または3分の1であることを示す。
図4は、SOD−G93A・TGNマウスにおける進行性軸索機能障害の進行過程にある微小管運動の測定値を表す。野生型及びSOD1−G93A・TGNマウス(一群につきn=3)を、各々、2H2Oで生後7週目(A)、8.5週目(B)、及び12.5週間目(C)に標識した。座骨神経を解剖し、精製後の特異な微小管集団(成長円錐及び軸索)を加水分解した。アラニンのC−H結合への2H組み込みを、NCI−GC/MSによって測定し、フラクション合成として表現した(標識期間中に新しく合成される%、平均±SD)。動物は、48時間2H2Oで標識した(体内水分の約5%濃縮)。
図5は、野生型及びSOD1−G93A・TGNマウスの歩長の測定値に基づく、歩行足跡パターンの定量分析を表す。生後7週間目では、SOD1−G93A・TGNマウスの歩長測定値は、野生型マウスのものと区別がつかないが、生後8.0週間目には、SOD1−G93A・TGNマウスは、野生型コントロール・マウスに比べ、歩長の減少を示し始める。グラフは、各週齢の群及び各測定毎、n=3マウスに対する平均±SDを示す。
図6は、ノスカピン−MK801の組合せが、SOD1−G93A・TGNマウスにおける疾患の発症及び死を遅延させることを示す。単一薬剤及び二薬剤の療法を、病期初期段階(すなわち、症状が現れる前に)開始した(7週)。SOD1−G93A・TGNマウスは、週に3回、ノスカピン(0.2mg/kg体重)及び/またはMK−801(12mg/kg体重/日)を投与した。マウスは、腹膜内にノスカピンを、及び飲料水中にMK−801を受けた。歩長測定中、ノスカピン−MK801の組合せで処置されたマウスは、いずれの化合物単独で処置されたマウスに比べ、有意に優れて行動した。MK−801とノスカピンの組合せは、未処置のSOD1−G93A・TGNマウスと比較して、症状の発症(32日)及び死の発現を(21日まで)有意に遅延させた。グラフは、各週齢の群及び各測定毎、n=3マウスに対する平均±SDを示す。
図7は、週齢12.5のSOD1−G93A・TGNマウスの座骨神経内の微小管亜集団における、相対活力(2H標識組み込み)に対するノスカピン−MK801の組合せの影響を表す。SOD1−G93A・TGNマウスにおけるノスカピン−MK801の組合せは、無処置のマウスに比較して、微小管運動を、成長円錐において〜35%、軸索幹において50%減少させた。動物は、48時間2H2Oで標識した。グラフは、各測定値について、n=3マウスに対する平均±SDを示す。
図8は、神経細胞内における微小管集団の特異な分布を表す。
図9は、多数の異なるNMDA受容体拮抗剤を表す。
図10は、ALSのSOD1マウス・モデルへの、ノスカピン−MK801投与の18週間に渡る結果を表す。
図11は、本発明を使用することによる、第一の症状、臨床開始及び死亡に関する時間的な違いを表す。
図11は、本発明を使用することによる、第一の症状、臨床開始及び死亡に関する時間的な違いを表す。
図11は、本発明を使用することによる、第一の症状、臨床開始及び死亡に関する時間的な違いを表す。
図12は、異なる治療に対する生存の全体的な統計を表す。
図13は、治療を継続する、あるいは停止するのかを決定するための手段として、神経細胞微小管運動に対する影響(すなわち、本発明の方法によって採集されたデータ)を用いる新薬発見、開発及び許可(DDDA)プロセスを示す概略図である。
図14は、新薬発見プロセスにおける本発明の使用を例示する。
図15は、ノスカピンのみ、及び、MK801のみの、単独投与の結果を示す。
図16は、MTMA/KM−ID05が、週齢13のSOD1G93Aマウスの中央神経系(CNS)及び末梢神経系(PNS)における過活力性微小管を強力に減少させることを示す(n=3、平均±SD)。
図17は、MTMA/KM−ID05が、SOD1G93Aマウスにおける自発運動活性を改善し、疾患発症を遅延させたことを示す。治療は、徴候段階(生後10週)で開始した。マウスを、歩長測定値を用いて、自発運動活性異常について評価した(n=20、平均±SD)。
図18は、生後15週目のSOD1G93Aマウスにおける、MTMA/KM−ID05での治療の神経保護性効果を表す。(A)ニッスルのために染色された脊髄セクションであり、野生型(WT)無処置及び処置SOD1G93Aマウスの坐骨神経モータープール(矢じり)における運動神経を示す。(B)各実験群(平均±SD)における運動神経の生存。
図19は、微小管運動アッセイが、症候性SOD1G93Aマウスにおける、新規治療薬の前臨床新薬発見のためのプラットホームとして使用されることを示す。微小管運動をWT同腹仔で観察されるレベル回復させるために、種々の薬剤の効力を比較することによって、神経保護活性を測定した。パーセント神経保護は、WT同腹仔に比較した、無処置SOD1G93Aの過活力性微小管を安定させる薬剤の効力として定義した。したがって、より高い値(最高100%)は、より高い神経保護活性を表す。治療のすべては、生後10週の徴候段階(n=3マウス/群)で開始した。マウスは、脊髄運動神経の神経細胞コンパートメント内の微小管運動を測定するために、3週間の治療後(週齢13)に犠牲にした(これに、すべてのコンパートメントの平均値を平均±SDとして示す)。
図20(A)五つの神経保護性候補剤に関する生存プロット及び生存の統計分析。(B)異なる薬剤に対するSOD1G93Aマウスにおける、微小管運動対生存結果として表した、バイオマーカー予想性のグラフ(平均±SD)。
図21は、FDA認可薬リルテック(商標)に比較した、ALS−SOD1動物実験からの選択潜在的臨床薬剤を表す。
図22は、ノスカピンの構造を表す。
図23は、2H標識チュービュリンのMT媒介低速軸索内輸送が、通常の野生型(WT)同腹仔と比較して、遺伝子組換え症候性SDO1G93Aの座骨神経運動軸索内で減少していることを表す。各データ・ポイントは、30から35ml/kgの2H2Oの単一大量瞬時投与後21日に犠牲にした、週齢13のマウスのL5根及び座骨神経からの、連続的な2mmセグメントを表す。しかしながら、MTMAでの3週間に渡る治療の後、微小管運動と2H−チュービュリンの低速軸索内輸送は大いに回復するが、リルゾールでは、有意な影響は全く現れなかった。
図24は、図24に示す正常運動神経対変性運動神経に関して、神経細胞シナプス小胞カーゴ分子の分泌率を測定するための動的テクニック模範的なモデルを例示する。ゴールは、疾患の影響を受けた神経細胞における、障害性MT媒介輸送の特異なリアルタイム指標を提供することである。MTに基づく輸送系は、主要な細胞骨格系の一つであり、それに沿ってキネシン及びダイニン等のモーター・タンパク質が、力を発生させ、多くの細胞構成要素(例えば、シナプス小胞)の通行を駆動する。MT媒介軸索内輸送は、主要な神経細胞の伝達及び輸送網であり、分泌小胞カーゴ、例えば、成長因子、神経伝達物質、酵素及びグリコプロテイン等のための経路として機能する。ここでテストする基本的なストラテジーは、MT活力に障害が発生すると、輸送されてから分泌される2H標識小胞「カーゴ」の比率(すなわち、細胞質体内での合成から、シナプスからの放出までの時間)が、MT輸送系による影響を受けるため、CSFの収集によって生体内で測定可能である、ということである。重水(2H2O)のパルス投与後、MT媒介高速軸索内輸送は、CSF内への遅延動特性の出現、及び同時に、脊髄運動神経における、変性運動神経内の2H標識小胞カーゴ分子の保持が生じるため、遅くなる。
図25は、(A)(ALSの動物モデルを表す)遺伝子組換えSOD・G93Aマウスは、運動神経内の分泌分子を標識するために、重水(2H2O)が与えられる(合計n=30マウス)ことを表す。160nm小胞からなり、MT媒介軸索内輸送に基づく最高速移動輸送物質は、トランスゴルジ網(TGN)から形質膜軸索終末)へ、約250mm/日、すなわち約3μm/sの速度を持つと報告されている。したがって、小胞は、約1.2日で、3cmの軸索の細胞体から終末へ移動すると予想される(1mの軸索を持つヒト被験者においては、これは、約4から5日かかるであろう)。一連の時点(24時間、48時間、72時間、5日及び10日)で、マウス(n=6/時点)から、CSF(5から7マイクロリットル/マウス)及びプラズマ(100マイクロリットル/マウス)を採集する。運動神経分泌小胞成長因子(例えばニューレグリン−1[NueR−1])及びグリコプロテイン・クロモグラニンB[Chr−B]を、市販の抗体を使用して、免疫沈降によってCSFから単離する。(B)30から35ml/kgの2H2Oの腹腔内パルス投与後、標識後24時間、48時間及び72時間、5日及び10日に、週齢13の野生型(WT)及び症候性SOD1・G93AマウスからCSFを採集した。CSF試料は、第一に、プロテインA/Gビーズを用いて、IgG免疫枯渇させてから、ニューレグリン−1抗体ビーズへの逐次結合によって分別した。溶出液は、16時間110℃において、6NのHClで処置することによって加水分解した。タンパク質由来アミノ酸は、ペンタフルオロベンジル誘導体誘導体化させ、ニューレグリン−1から解放されたアラニン内への2H組み込みを、GC/MSによって測定した。同じプロトコルを用いて、グリコプロテイン・クロモグラニン−B[Chr−B]は、クロモグラニン−B[Chr−B]抗体への逐次結合によって、ニューレグリン−1[NeuR−1]非結合物質からキャプチャする。(C)経時変化は、週齢13の通常の野生型(WT)及び遺伝子組換え症候性SOD1G93AマウスにおけるCSFニューレグリン−1[NeuR−1]及びクロモグラニン−B[Chr−B]内へ2H標識の出現を示す。CSF、血液及び/または尿からの単離後の分泌タンパク質(ニューレグリン−1[NeuR−1]及びクロモグラニンB[Chr−B])は、16時間110℃において、6NのHClで処置することによって加水分解する。他に詳細に説明するように、タンパク質由来のアミノ酸は、ペンタフルオロベンジル誘導体へ誘導体化させ、2H2Oから誘導体化アラニンへの2H組み込みを、GC/MSによって測定する。[以下の各文献は参照によって本文に援用される。Fanara,P. et al. In vivo measurement of microtubule dynamics using stable isotope labeling with heavy water.Effect of taxanes. J.Biol.Chem.279,49940−49947(2004);Fanara P. et al.Stabilization of hyperdynamic microtubule is neuroprotective in ALS. J.Biol.Chem.282,23465−23472,(2007),Fanara et al.Cerebrospinal fluid−based kinetic biomarkers of axonal transport in monitoring neurodegeneration. J Clin Invest.122,3159−3169(2012)]。2H濃縮は、アラニン誘導体の(M+1)質量アイソトポマー天然存在度に対する増加パーセントとして計算する。これらの結果は、遺伝子組換えSOD1G93Aマウスが、MT媒介高速軸索内輸送の緩徐化を示すモデルと一貫している。
図26は、通常の野生型(WT)及び遺伝子組換え症候性SOD1G93Aマウスにおける脊髄腰部運動神経からの、シナプス小胞を含むニューレグリン−1[NeuR−1]及びクロモグラニン−B[Chr−B]のMT輸送媒介分泌率を測定するためのパルス2H2O標識方法を示す。(A)シナプス小胞は、シナプス小胞単離キットシグマ)を用いて、脊髄腰部から単離した。抗シナプトフィジン抗体を使用する免疫ブロット分析は、最初に、濃縮シナプス小胞フラクションの存在を調べ、濃縮ステップを確認するために使用した。抗シナプトフィジン抗体には、小胞膜結合タンパク質シナプトフィジンに対する特異性がある[Gingel. et al. The synaptic vesicle protein Synaptophasyn:purification and characterization of its channel activity. Biophys.J.,83,3223−3229,(2002)、これは、参照によって本文に援用される]。(B)30から35ml/kgの2H2Oの腹腔内パルス投与後、標識後24、48及び72時間に、週齢13の野生型(WT)及び症候性SOD1・G93Aマウスから脊髄腰部を採集した(n=3、平均±SD)。脊髄腰部からの濃縮シナプス小胞フラクションは、ニューレグリン−1抗体ビーズへの逐次結合によって分別した。溶出液は、16時間110℃において、6NのHClで処置することによって加水分解した。タンパク質由来のアミノ酸は、ペンタフルオロベンジル誘導体へ誘導体化させ、ニューレグリン−1から解放されたアラニン内への2H組み込みを、GC/MSによって測定した。同じプロトコルを用いて、グリコプロテイン・クロモグラニン−B[Chr−B]は、クロモグラニン−B[Chr−B]抗体への逐次結合によって、ニューレグリン−1[NeuR−1]非結合物質からキャプチャする。経時変化は、週齢13の野生型(WT)及び遺伝子組換え症候性SOD1G93Aマウスの脊髄腰部からの、シナプス小胞を含む2H標識ニューレグリン−1[NeuR−1]及び2H標識クロモグラニン−B[Chr−B]の貯留動特性を示す。これらの結果は、同じカーゴ分子2H標識ニューレグリン−1[NeuR−1]及び2H標識クロモグラニン−B[Chr−B]の、CSF内への出現動特性における遅延と一貫している。これらのデータは、遺伝子組換えSOD1G93Aマウスが、MT媒介高速軸索内輸送の緩徐化を示すことを確証する。
図27は、MTMAノスカピンでの処置後の、シナプス小胞を含む2H標識ニューレグリン−1[NeuR−1]及び2H標識クロモグラニン−B[Chr−B]の正規化MT媒介高速軸索内輸送速度を表す。MTMAノスカピン(100mg/kg/d及び200mg/kg/d)での3週間の処置後、30から35ml/kgの2H2O・CSFの腹腔内パルス投与を行い、週齢13の野生型(WT)及び症候性SOD1・G93Aマウスから、各々、24時間、48時間及び72時間にCSF及び脊髄腰部を採集した。CSF分泌率と、シナプス小胞を含む2H標識ニューレグリン−1[NeuR−1]または2H標識クロモグラニン−B[Chr−B]の神経細胞貯留動特性は、上記のように測定した(図23及び図24)。これらの結果は、遺伝子組換えSOD1G93Aマウスが高速軸索内輸送の緩徐化を示す、及びノスカピンが、遺伝子組換えSOD1G93Aマウスにおけるこの遅延高速軸索内輸送を改善するモデルと一貫している。薬剤の神経保護作用は、経時変化、すなわち、採取された体液または組織内の標識分泌シナプス小胞「カーゴ」分子の出現の程度またはパターンを正常化するそれら薬剤の能力を比較することによって評価される。
図28は、パーキンソン病(PD)の二つの前臨床モデルにおける、変更された微小管(MT)代謝回転の具体例を表す。(A)(週齢8のC57bl/6マウスが、1日に4回2時間間隔で、20mg/kgを注射された)急性MPTP中毒PDモデルは、最後の(第四)MPTP注入後3及び7日の線条体及び黒質内に、過活力性のタウ関連MT及び低温安定(CS)MTを示す(群につきn=4、週齢8のオス、平均±SD、*P<0.001)。(B)生体内MT活力は、遺伝子組換えアルファーシヌクレインA53T・PDマウス(−/−/SNCAA53T)における、病期の発症前(4及び10ヵ月)及び症候(15ヵ月)期に、黒質及び線条体内で測定した。タウ関連MT及び低温安定(CS)MTは、発症前のこれらの健康な状態で並外れた活力があり、病気の進行と共に運動は増加し続けた(群につきn=3、平均±SD、*P<0.001)。
図29は、MTMAノスカピンで処置後のMPTP注入PDマウス・モデルにおける、症状の後退との、微小管(MT)代謝回転の正規化相関を表す。(A)ノスカピンでの処置は、過活力性MTを減少させた(群につきn=4、週齢8のオス、平均±SD)。ノスカピンは、最後のMPTP注入後7日に投与した。治療は、10日間行われ、治療の最終日(第四のMPTP注入後17日)に、一パルスの2H2O標識を投与した。(B及びC)ノスカピンでの治療は、MPTP注入マウスにおける症状を後退させる。ノスカピンは、最後のMPTP注入後7日に投与した。治療は、10日間行われ、治療の最終日(第四のMPTP注入後17日)に、一パルスの2H2O標識を投与した。神経筋強度は、握力試験(B)及び格子吊り試験(C)を用いて測定した。握力試験は、前足による引きの張力ピークグラム単位の力)を測定した。その試験は、最後(第四)のMPTP注入の1日前と、注入後(0日目)の1、2、3、4、5、7及び17日に実行した(各時点につきオスで、n=10)。吊り試験は、最後(第四)のMPTP注入後17日に実行した。成功パーセンテージを、吊り下がり最長時間/300秒X100として記録した(各時点につきオスで、n=10)。
図30は、症候性ALS、PD及びHD前臨床モデルにおける神経細胞カーゴ・タンパク質輸送速度の差別的な遅延を表す。(A)アミロイド前駆体タンパク質(sAPPα)の2H−クロモグラニン−B[Chr−B]、2H−ニューレグリン−1[NeuR−1]及び2H−分泌非アミロイド形成N末端フラグメントの出現、Tmax及び消滅時間における遅延は、同齢野生型コントロールに比べ、症候性ALS・SOD1G93AマウスのCSFで、観察された(各時点につきn=10マウスで、二重に)。2H−アルファ・シヌクレイン(αSyn)のCSF分泌動特性には、同齢野生型コントロールに比較して、変化がなかった。(B)2H−Chr−B、2H−sAPPα及び2H−αSynの出現、Tmax及び消滅時間における遅延は、同齢野生型コントロールに比べ、症候性PD・MPTP注入マウスからのCSFで、観察された(各時点につきn=10マウスで、二重に)。2H−NeuR−1のCSF分泌動特性は、同齢野生型コントロールに比べ、変わらなかった。(C)2H−sAPPα及び2H−NeuR−1の出現、Tmax及び消滅時間における遅延は、同齢野生型コントロールに比べ、症候性HD・R6/2マウスのCSFで、観察された(各時点につきn=10マウスで、二重に)。2H−Chr−B及び2H−αSynのCSF分泌動特性は、同齢野生型コントロールに比べ、変わらなかった。
図31は、MTMAノスカピンでの処置後の、ALS及びPD前臨床モデルの両方における神経細胞カーゴ・タンパク質の正規化輸送速度を表す。(A)ノスカピンまたはリルゾールで3週間処置した後の症候性ALS・SOD1G93Aマウスにおける2H−Chr−B、2H−NeuR−1、2H−αSyn及び2H−sAPPαのCSFに基づく分泌動特性(出現、Tmax及び消滅)(各時点につきn=10マウスで、二重に)。ノスカピンは、同齢野生型コントロールのCSF内で観察されるレベルへ、症候性ALS・SOD1G93Aにおける2H−Chr−B、2H−NeuR−1及び2H−sAPPαの輸送速度を正常化したが、リルゾールの効果は、非常に少ないものであった。2H−αSynの通常の動特性は、ノスカピン治療によって悪影響を受けることはなかった(*P<0.001)。(B)ノスカピンでの治療は、症候性PD・MPTP注入マウスにおける2H−Chr−B、2H−sAPPα及び2H−αSynの分泌動態を正常化した(各時点につきn=10マウスで、二重に)。2H−NeuR−1の通常の動特性は、ノスカピン治療によって悪影響を受けることはなかった(*P<0.001)。ノスカピンは、最後のMPTP注入後7日に投与し、治療は10日間行った。一パルスの2H2O標識は、治療の最終日(第四最終MPTP注入後17日)に投与した。
図32は、パーキンソン病の患者(PD)のCSF内での、神経細胞カーゴ・タンパク質の輸送速度における差別的な遅延を表す。(A)コントロール非PDボランティア及びPD対象者におけるプラズマ体内水分2H濃縮の減少である。体内2H2O濃縮は、7日目にピークに達し、それから約7日の半減期減衰した。これは、ヒトにおける体内水分の既知の代謝回転率に一貫していた。(B)2H2Oの経口投与を開始した後(7日間の標識期間中)、1人のPD患者(PD6084)に対して、3、9、21及び38日目に)4回の腰椎穿刺LP)を実施した。11人のPD対象者に対して、(15、21、22または23日目に)単一LPを実施した。6人のコントロール・ボランティアに比較して、PD対象者からCSF内には、神経細胞2H−Chr−B、2H−αSyn及び2H−sAPPαの出現時間に遅延が観察されたが、2H−NeuR−1に対する遅延はなかった(平均±SD、反復試料準備及び分析の技術的な複製によって生成)。実線及び破線は、各々、コントロール及びPDボランティアのデータに対する近似曲線を表す。
図33は、CSF内の放出カーゴ・タンパク質の輸送活力に関するモデル及び動態学解釈を例示する。(A)主に生成される神経細胞の細胞体から、CSF中へ放出される神経終末へ、分泌移動を行うことになる新しく合成されたカーゴ・タンパク質である。MTに基づく輸送動特性は、生体内代謝標識後の、CSF中への新合成2H標識神経細胞カーゴ・タンパク質の出現及び消滅のタイミングに基づく。2H−Chr−B及び2H−NeuR−1のCSF内への出現と、それからの消滅の動特性に関する、コントロール及びPD対象者間の違いをまとめる。実線及び破線は、各々、コントロール及びPDボランティアのデータに対する近似曲線を表す。(B)2H標識カーゴ・タンパク質のCSFの出現とそれからの消滅の遅延動特性は、CSFタンパク質濃度には関係がなかった。
図34は、パーキンソン病の診断のための、クロモグラニンB輸送動特性の識別特性を例示する。同じ一団(パーキンソン病痴呆)と、一団(早期アルツハイマー病)とを分離させるための比較。パーキンソン病(PD)及びパーキンソン病痴呆(PDD)対アルツハイマー病(AD)の患者における選択カーゴ・タンパク質のCSFに基づく軸索内輸送動特性を変更する。選択カーゴ・タンパク質クロモグラニンBの軸索内輸送欠乏の動特性は、2H2O標識後のCSF採取時(X軸)に、AD及び健常コントロール対象者に比較した、PD患者におけるCSF中への出現遅延の増加として示される(「誕生日」からの遅れ、Y軸)。認知機能障害に対する以下の臨床診断検査、a)PDDにおける軽症認知障害(MCI)をモニターするための、MoCA(モントリオール認知評価)試験、及びb)ADにおける進行型認知機能障害をモニターするための、MMSE(ミニメンタルステート検査)試験を実行した。
図35は、(ADに比較した)パーキンソン病痴呆の診断のための、プロエンケファリンA輸送動特性の識別特性を例示する。パーキンソン病痴呆(PDD)及びアルツハイマー病(AD)対パーキンソン病(PD)患者における、選択カーゴ・タンパク質のCSFに基づく軸索内輸送動特性を修正する。選択カーゴ・タンパク質プロエンケファリンAの軸索内輸送欠乏の動特性は、2H2O標識後のCSF採取時(X軸)に、痴呆のないPD及び健常コントロール対象者に比較した、痴呆を伴うPD及びADにおけるCSF中への出現遅延の増加として示される(「誕生日」からの遅れ、Y軸)。認知機能障害に対する以下の臨床診断検査、a)PDDにおける軽症認知障害(MCI)をモニターするための、MoCA(モントリオール認知評価)試験、及びb)ADにおける進行型認知機能障害をモニターするための、MMSE(ミニメンタルステート検査)試験を実行した。
図36は、(ADと比較した)パーキンソン病痴呆の診断のための、神経分泌タンパク質VGF輸送動特性の識別特性を例示する。パーキンソン病痴呆(PDD)及びアルツハイマー病(AD)対パーキンソン病(PD)患者における、選択カーゴ・タンパク質のCSFに基づく軸索内輸送動特性を変更する。選択カーゴ・タンパク質、神経分泌タンパク質VGFの軸索内輸送欠乏の動特性は、2H2O標識後のCSF採取時(X軸)に、痴呆のないPD及び健常コントロール対象者に比較した、痴呆を伴うPD及びADにおけるCSF中への出現遅延の増加として示される(「誕生日」からの遅れ、Y軸)。認知機能障害に対する以下の臨床診断検査、a)PDDにおける軽症認知障害(MCI)をモニターするための、MoCA(モントリオール認知評価)試験、及びb)ADにおける進行型認知機能障害をモニターするための、MMSE(ミニメンタルステート検査)試験を実行した。
図37は、(ADと比較した)パーキンソン病痴呆の診断のための、クラステリン軸索内輸送動特性の識別特性を例示する。パーキンソン病痴呆(PDD)及びアルツハイマー病(AD)対パーキンソン病(PD)患者における、選択カーゴ・タンパク質のCSFに基づく軸索内輸送動特性を変更する。選択カーゴ・タンパク質クラステリンの軸索内輸送欠乏の動特性は、2H2O標識後のCSF採取時(X軸)に、痴呆のないPD及び健常コントロール対象者に比較した、痴呆を伴うPD及びADにおけるCSF中への出現遅延の増加として示される(「誕生日」からの遅れ、Y軸)。認知機能障害に対する以下の臨床診断検査、a)PDDにおける軽症認知障害(MCI)をモニターするための、MoCA(モントリオール認知評価)試験、及びb)ADにおける進行型認知機能障害をモニターするための、MMSE(ミニメンタルステート検査)試験を実行した。
図38は、アルツハイマー病と比較させた、パーキンソン病及びパーキンソン病痴呆の診断バイオマーカーリストする表で、疾患特定動特性識別特性に対する選択カーゴ・タンパク質の輸送速度の遅延差である。アルツハイマー病(AD)患者に比較して、パーキンソン病(PD)及びパーキンソン病痴呆(PDD)における特異な神経細胞の亜集団内に高度に発現される選択カーゴ・タンパク質のCSFに基づく軸索内輸送動特性を変更する。
図39は、パーキンソン病(PD)及びパーキンソン病痴呆(PDD)の診断バイオマーカーをまとめるベン図である。選択カーゴ・タンパク質の変更CSFに基づく軸索内輸送動特性は、アルツハイマー病(AD、合計6)患者から、パーキンソン病(PD)及びパーキンソン病痴呆(PDD、5PD中の3)を区別する。

0038

運動神経細胞、運動神経疾患、痴呆を伴う運動神経疾患の生化学及び細胞生物学
長さが細胞体直径の数桁倍に到達可能な、軸索樹状突起間プロセスの存在を特徴とする神経細胞の高度に非対称形態構造が、そのようなプロセスを維持する細胞骨格の能力、また、非常に長い距離に渡って、細胞小器官、小胞またはタンパク質サブユニット及びコンプレックス(「カーゴ」)の輸送を支持する細胞骨格の能力によって判定される。主要な細胞骨格系の一つは、微小管に基づく輸送系であり、これに沿って、キネシン及びダイニン・モーター・タンパク質は、力を生じ、多くの細胞構成要素(例えば、シナプス小胞)の通行を推進する。微小管(MT)媒介軸索内輸送は、主な神経細胞の通信及び輸送網であり、成長因子(例えば、ニューレグリン−1[NueR−1])、神経伝達物質(例えば、アセチルコリン[Ach])、ニューロペプチド(例えば、プロエンケファリン)、酵素(例えば、アセチルコリンエステラーゼ[AChE])及びグリコプロテイン(例えば、クロモグラニンB[Chr−B])を含む種々のタイプの分泌神経伝達物質のための経路として機能する。「カーゴ」分子は、それらの主要な生成部位である運動神経の細胞体から、神経終末へ移動し、そこでシナプス間隙内へ放出される。脳脊髄液(CSF)は、神経細胞から分泌されるニューロペプチド、酵素及びグリコプロテインのための媒体である。分泌成長因子(例えば、ニューレグリン−1[NueR−1])、神経伝達物質(例えば、アセチルコリン[Ach])、ニューロペプチド(例えば、プロエンケファリン)、酵素(例えば、アセチルコリンエステラーゼ[AChE])及びグリコプロテイン(例えば、クロモグラニンB[Chr−B])も放出され、血液または尿中を循環する。血液、尿または腰部CSF内の成長因子、神経伝達物質、ニューロペプチド、酵素またはグリコプロテインの生体内動特性測定値は、MT機能の直接指数として使用してもよい。これにより、高速軸索内輸送における治療によって誘発された改善、及び神経系の分泌機能をモニタリングすることが可能である。ALSのような運動神経疾患、糖尿病性神経障害を含む種々の神経病及びパーキンソン病は、軸索内輸送障害及び分泌機能変化などの変化を共有する病状である。

0039

微小管(「MT」)は、神経細胞内に豊富にあり、そこで、軸索突起(軸索及び樹状突起)の形成を促進し、安定性を与える。それらは、神経細胞の形態構造の主要な決定要素であり、軸索突起(軸索及び樹状突起)の形成を促進し、安定性を与える。(「微小管運動」として知られる)軸索微小管の組立及び分解プロセスは、神経細胞形態構造を決定し維持する能力の基礎をなす。また、神経細胞の構造安定性に必要なこのプロセスは、神経細胞内のシグナル経路をも代表する。微小管運動は、主に、微小管関連タンパク質(MAP)によって規制されている。神経細胞のMAPは、特有極性分布を持ち、微小管の安定化において突出した役割を演ずる。

0040

運動神経のような神経細胞は、神経細胞微小管の複数の特異な集団を持ち、これらは、通常、結合相手のMAPによって分類される。「神経細胞微小管」は、チュービュリンのポリマーからなるタンパク質構造を意味し、生細胞内に、単独で、ペアで、トリプレットで、あるいは複数の束で発生する。「チュービュリン」は、微小管の主要なタンパク質成分を意味する。チュービュリンは、二つの球状ポリペチド、アルファ−チュービュリン及びベーターチュービュリン(α−及びβ−チュービュリン)からなるダイマーである。微小管は、ダイマー、α−及びβ−チュービュリンから組み立てられる。

0041

神経細胞微小管は、異なる神経細胞コンパートメント(例えば、細胞体、樹状突起と軸索)内に、及び異なるMAP(例えば、タウ、MAP2及びSTOP)に関連して存在する。微小管は、神経分化、及び、遠隔シナプスへの神経伝達物質の軸索媒介長距離輸送確立及び維持するために必要である。

0042

一般に、神経細胞微小管には、主な三つの種類、(「軸索遠位」または「軸索先端」としても既知である)成長円錐微小管(「タウ−MT」としても本文及び図面で言及する)、樹枝状微小管(「MAP−2・MT」としても本文で言及する)、及び、小丘及び軸索幹微小管(「STOP−MT」としても本文及び図面で言及する)がある。総じて、用語は、各カテゴリーに結合する微小管関連タンパク質からのものである。「MAP」または「微小管関連タンパク質」は、微小管への結合と同時に、それの機能及び/または作用を変化させるタンパク質である。したがって、例えば、成長円錐及び軸索遠位微小管のキャプチャは、タウ抗体への親和性結合を使用することによって実行される。それから、タウ非結合物質(樹枝状微小管)は、MAP2抗体への親和性結合によってキャプチャされるため、MAP2非結合フラクション中には、小丘及び軸索幹微小管(STOP−MT)のみが残留することになる。代替的に、STOP−MTは、他のMT亜集団に比較して特有な、寒冷温度及びミリモル濃度のCaCl2での解重合抵抗するという特性を利用することによって、直接単離できる。

0043

本文中で用いる「タウ」または「タウ・タンパク質」あるいは「タウMAP」は、脳から単離される微小管関連タンパク質(MAP)の主要な種類である。神経細胞において、タウは、軸索成長円錐内に高度に濃縮される。タウ・タンパク質は、インヴィトロ・チュービュリン重合核形成イニシエーション)プロセスを促進する。タウは、脳内における動的な軸索成長円錐微小管の代謝回転あるいは組み立ての調節因子である、と知られている。化学修飾タウ・タンパク質も、アルツハイマー病に見られる神経原線維濃縮体及び糸屑構造物の形成及び/または組成に関わるようである。

0044

本文中で用いる「MAP2」または「微小管関連タンパク質−2」は、神経細胞樹枝状微小管内に高度に濃縮される高分子微小管関連タンパク質である。特定な状況下では、MAP2は、微小管へのチュービュリンの組み立てに必要であり、組立後の微小管を安定させ、それらの運動を規制する。

0045

本文中で用いる「STOP」または「安定細管限定ポリペプチド」は、神経細胞Ca2+−カルモジュリン規制微小管関連タンパク質である。STOPは、寒冷温度、ミリモルのカルシウムまたは薬剤によって誘発されるインヴィトロ分解に対して、際限なく微小管を安定させる。

0046

「神経細胞低温安定微小管」は、薬剤及び寒冷温度の両方によって誘発される分解に対して安定な、軸索微小管の豊富な亜集団を意味する。薬剤及び寒冷温度による微小管分解に対する耐性は、主に、STOPとのポリマー会合による。
本発明の概要

0047

本文で開示の発明は、以下のものに関する。(1)微小管運動の直接的な測定のための新規同位元素標識技術の使用による、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患に対する新規治療標的の発見。言い換えれば、神経細胞微小管の活動性(すなわち、チュービュリン・ダイマーからの微小管に特有な亜集団の組み立て及び分解の比率);(2)神経細胞微小管の運動は、同位元素標識技術の使用によって、生きている動物またはヒト対象者で測定できる、また、動物またはヒト対象者に身体症状の発現または神経機能の喪失が起こる前でさえも、ALS、PD及びHD等の運動神経疾患において著しく変化する、という発見;(3)ALS、PD及びHD等の運動神経疾患における神経細胞微小管の修正活動性は、限定せずに、ノスカピン、ノコダゾール、タキサン及び他の薬剤を含む特定な薬剤の投与によって調製できる、という発見。この場合の薬剤は、単独で、または、他の神経細胞系、受容体または経路を標的とする薬剤との組合せで投与される。;(4)ALS、PD及びHD等の確証または初期運動神経疾患を患う動物またはヒト対象者への、神経細胞内の微小管の運動を調整する薬剤の、単独で、あるいは薬剤の組合せでの投与は、運動神経疾患における神経機能の喪失を、著しく遅延させることができる、あるいは予防できる、という発見。これは、運動神経疾患の兆候及び症状の遅発、兆候及び症状の進行の緩徐化、及び、死の遅延(すなわち、寿命延長)を含むため、神経保護性治療の成功を意味する。;(5)ALS、PD及びHD等の確証または初期運動神経疾患を患う動物またはヒト対象者における、神経保護性治療を提供することを意図した薬剤投与への反応においての、神経細胞微小管運動のモニタリングは、個々の対象者における、あるいは運動神経疾患を患う対象者の薬剤試験における最適治療方針について、適量、薬剤、薬剤の組合せ、療法、処置タイミング、治療期間または他の局面の識別を可能にする、という発見(すなわち、診断モニタリング)。

0048

要約すると、本文で開示の発明は、以下のことを説明する。痴呆の有無に関係のない運動神経疾患に対する新規治療標的(神経細胞内の微小管の活動性の修正);痴呆の有無に関係のない確証、初期または潜伏運動神経疾患を患う対象者における、この治療標的の活性状態測定方法;痴呆の有無に関係のない運動神経疾患を患っている対象者における神経細胞微小管運動を調整する薬剤の発見;運動神経疾患を患っている対象者に対して、単独で、あるいは組合せで、そのような薬剤を投与することが、症状の遅延及び寿命の延長を含む著しい神経保護性治療を提供できる、という発見;運動神経疾患を患う対象者における神経細胞微小管運動の、治療的処置への反応のモニタリングは、個々の対象者に対する、または、薬剤試験に対する薬剤療法及び治療方針の最適化のための診断モニタリングを可能にする、という発見。

0049

ALS及びPDにおける神経保護ストラテジーの使用は、相当なアピールを持つ。しかし、これまで、このアプローチには、ALS及びPDのリスクがある患者の識別手段の欠如、前臨床疾患活性を反映する実験マーカーの欠如、実証神経保護剤の欠如、及び治療の最適タイミング、用量または療法を認知不能という、固有の問題があった。散発性及び家族性ALS及びPDのほとんどのタイプに対する特異性生化学マーカーの欠如は、また、リスクのある個人の前臨床的識別を排除していた。本発明は、ALS(SOD1−G93A・TGNマウス)及びPD(MTP注入及び遺伝子組換えアルファーシヌクレインA53Tマウス)の確立動物モデルにおける、異常な微小管運動の生化学的測定を開示する。これは、疾患の真の生化学的発症が、臨床的欠乏の進展先行することを、初めて証明した。したがって、神経細胞微小管運動の測定は、神経細胞の死につながる最終的な種々症状を予防する神経保護性化合物の使用のための「治療の窓」を提供する可能性がある。ALS及びPD等の運動神経疾患の発症には、多因子病原性下流経路が関わっているので、疾病進行速度を遅らせて余命延ばすためには、組合せのアプローチが必要な場合もある。

0050

本発明は、ALS及びPD等の運動神経疾患では神経細胞微小管運動に著しい変化があるため、小丘及び軸索幹(構造的)微小管の微小管運動を調整することによって、初期、確証または潜伏運動神経疾患を患う対象者における運動神経細胞機能の喪失を最小にできる、という発見に関する。これは、微小管、運動神経細胞及び運動神経疾患を調整する効力に関して、痴呆の有無に関係のない運動神経疾患の治療に用いるための組成物、また、(例えば、診断モニタリングを介しての)候補剤及び最適な治療法のスクリーニング方法などの、種々の応用につながる。加えて、本発明は、運動神経細胞機能を維持するために、運動神経細胞生理学的に異なる箇所に作用することによって相乗効果を得る複数の組成物を用いる、運動神経細胞機能及び疾患の調整に関する。

0051

したがって、本発明は、また、運動神経細胞内の微小管運動を調整する効力のある組成物、及び、そのような候補剤のスクリーニング方法に関する。加えて、本発明は、運動神経疾患を治療、寛解、あるいは予防する組成物、単一化合物と化合物の組合せとの両方を提供する。

0052

本発明は、運動神経疾患を患っている動物またはヒト対象者の末梢神経内に存在する、大きく伸長して安定な微小管ポリマーの組立て及び分解の比率を、初めて測定することに基づいている。理論に束縛されることなく、いくつかの運動神経疾患は、栄養素及び他の重要な要素の軸索突起に沿った輸送を担う重要な細胞内細胞骨格構成要素の機能障害から、発症するように見える。本文に開示の発見は、運動神経疾患を患う動物の末梢神経における神経細胞微小管運動を直接的に測定するための新規同位元素質量分析技術の使用によるもので、軸索突起内の微小管ポリマーの著しく上昇した代謝回転(すなわち、劣化及び再生の一定な状態)に関する。この上昇した代謝回転は、(軸索突起それ自体の安定性を維持するのに必要な栄養素及び他の成分を含む)分子の流れを混乱させるように見える。したがって、出願人は、新しい基本メカニズムの発見を本文に開示する。それは、運動神経疾患を患っている対象者における、軸索突起(または「軸索投射」)の安定性を制御する微小管の代謝回転の上昇であり、軸索不安定性、その結果として生じる運動神経疾患に関連する症状も含んで、初めて詳細に記録される。

0053

通常のマウスにおいては、座骨神経内の構造微小管は、チュービュリン・ダイマーからの、非常に低い速度の組立て及び分解、すなわち代謝回転を示す(図1及び図3を参照)。対照的に、SODマウスにおける座骨神経内の同じ構造微小管は、極端な不安定性または極端な動態を示す(図4を参照)。重要な点は、この座骨神経内の構造微小管の安定性の喪失が、これらの動物で行動兆候または症状が観察可能になる前に存在する、ということである。このことは、疾患発病学的に、二次的因子と言うよりも、むしろ一次的なものであることを確証させる。したがって、SODマウスの運動神経細胞内の軸索内輸送の後の喪失に至る前に先立って発生する、ALSの軸索機能障害は、これらの神経細胞内で通常、軸索微小管ポリマーを安定に維持するコントロール・プロセスの失敗によるように思える。

0054

したがって、組立て及び分解の速度(すなわち、「運動」)を規制することによって微小管を調整する薬剤は、ALS、PD及び他の運動神経疾患の中心的な病因を解決するかもしれない。微小管調節剤は既知であるが、ALS、パーキンソン病及び糖尿病性神経障害などの運動神経疾患に対する潜在的治療用途としては、認められていない。出願人による、ALSのSOD遺伝子導入マウス・モデルにおける動特性に基づく軸索機能障害の識別は、微小管運動の潜在的変調剤に対して、潜在的に新しい治療的役割を付与した。

0055

微小管系との相互作用が既知である薬剤の、単独で、あるいは他の神経細胞受容体、経路または系に作用する薬剤との組合せでの、生きている動物への、その後の投与結果は、微小管運動が、運動神経疾患に対する新しい基本的な治療標的である、という発見を確証させた。特に、SOD1G93A・TGNマウスへのノスカピン−MK801の組合せ投与は、疾患症状の発症を遅らせ生存期間を延ばした(図6を参照)ばかりでなく、正常状態の方へ神経細胞微小管運動を減少させた(図7を参照)。異常な微小管運動の部分的な正常化(生化学的測定)と、臨床疾患の部分的な改善(機能神経学的結果)との間の相関関係は、微小管運動と運動神経疾患との原因論的な関連をサポートする。また、更なる治療的改善(すなわち、変化した微小管運動を完全に正常化する薬剤が識別可能かどうか)の余地を示唆する。

0056

本文に薬剤活性のバイオマーカーとして概説される、SOD遺伝子導入マウスの座骨神経内の微小管運動のアッセイの使用は、また、ALS、パーキンソン病及び糖尿病性神経障害を含む運動神経疾患に対する新しい種類の治療の迅速な最適化をも可能にする。薬剤の一般的なスクリーニングまたは特殊な種類のスクリーニングを用いることで、症状の診断を、あるいは死を待つよりも、最適投薬量、化合物、療法などを、発症前SOD遺伝子導入マウスで迅速に(例えば、数日あるいは数週間内に)テストできる。

0057

本発明は、さらに、神経病変、または、ALS、パーキンソン病、ハンチントン病及び糖尿病性神経障害などの運動神経疾患の患者における、微小管運動の測定方法を提供する。フェーズIあるいはII臨床試験は、原則として、微小管運動の定量化のために、坐骨神経の神経生検を含む。したがって、ALS等の運動神経疾患に対する確証的なバイオマーカー、すなわち、ALS患者が共有する疾病の病原であるために、薬剤処置の標的及び薬剤有効性の測定基準となる測定可能な生化学的な異常の利用性は、ALS(及び他の運動神経疾患)に対する種々の薬剤をテストするための、複数の特有な利点を提供する。効果のない薬剤は、貴重な臨床試験時間、資金及び患者リソースの浪費を回避するために、迅速に識別される。用量の最適化、患者の層別化及びサブグループの分析は、動特性バイオマーカーが運動神経疾患臨床試験に提供する他の用途である。

0058

本発明は、さらに、別個のカーゴ分子の軸索内輸送での欠乏を、特有の神経細胞及び神経細胞亜集団の機能障害へ、また、特有の神経疾患へ関連付ける(仮説による)標的方法を提供する。特に、中枢神経系の異なる領域に分布されることが既知であるカーゴ分子を、運動神経疾患と痴呆を伴う運動神経疾患に関連させることは可能である。例として、運動機能特殊化した神経細胞亜集団(例えば、脊髄、脳幹、運動皮質連合野基底神経節)内に分布及び高度に発現することが分かっているカーゴ分子(タンパク質、成長因子、神経伝達物質、ニューロペプチド、酵素またはグリコプロテイン)を選択し、CSF内でのそれらの輸送速度の動特性を調べることによって、それら運動神経の機能状態を確認できる。他の実施例として、陳述記憶または顕在記憶に特殊化した神経細胞亜集団(例えば、中央側頭葉間脳、海馬)、あるいは非陳述または潜在記憶に特殊化した神経細胞亜集団(例えば、線条体、新皮質扁桃体小脳)内に分布及び高度に発現する分子(タンパク質、成長因子、神経伝達物質、ニューロペプチド、酵素またはグリコプロテイン)を選択し、CSF内でのそれらの輸送速度の動特性を調べることによって、本発明は、専門医が、神経細胞の細胞機能を、記憶障害に関わる中枢神経系の領域に関連付けることを可能にする。

0059

本発明は、さらに、ALS、PD、HD及び他の運動神経疾患の前臨床モデルからのCSFにおける、新しいカーゴ分子(タンパク質、成長因子、神経伝達物質、ニューロペプチド、酵素またはグリコプロテイン)を発見し、それらの輸送動特性を、運動神経疾患及び痴呆を伴う運動神経疾患に冒された中枢神経系の未知の領域の機能障害へ相関させる無監督の(非仮説の、偏見のない)方法を提供する。
同位元素標識前駆体の投与

0060

本発明の方法における第一のステップとして、同位元素標識前駆体が生体系へ投与される。「生体系」は、細胞、細胞系、疾患の動物モデル、モルモットウサギイヌネコ、他のペット動物、マウス、ネズミ非ヒト霊長類及びヒトを含むが、これらに限定されるものではない。「個人」は、脊椎動物、通常、哺乳類、特にヒトである。「哺乳類」は、限定せずに、哺乳綱のいずれのメンバーをも含むことを意味する。例えば、ヒトと、チンパンジー、他の類人猿及び種属などの非ヒト霊長類、ウシヒツジブタヤギ及びウマ等の家畜、イヌ及びネコ等の飼いならされた哺乳類、マウス、ネズミ及びモルモット等の齧歯動物を含む実験動物である。用語は、特定の年齢性別を意味しない。したがって、に関係なく、成人及び新生対象者、胎児も含むことを意図している。総じて、本文中で用いる「被験者」は、脊髄運動神経細胞微小管運動における変化に関して、及び/または運動神経疾患症状の改変に関して評価される個人である。

0061

被験生体系からは、種々の生体試料が採取されるが、概して、本文に関しては、運動神経細胞試料が使用される。運動神経細胞試料は、例えば、坐骨神経または末梢神経組織、及び脳の運動皮質から試料を含むが、これらに限定されるものではない。

0062

分子流動率の測定における第一のステップは、生体系へ同位元素標識前駆体分子を投与することを伴う。同位元素標識前駆体分子の投与モードは、同位元素標識前駆体分子の吸収特性、及び各化合物が標的とする特異性生合成プールに応じて異なってもよい。前駆体は、生体内分析のために直接、実験動物及びヒトを含む生物に投与されてもよい。

0063

通常、適切な投与モードは、生合成プール内に、及び/または少なくとも一時的な期間、そのようなプールを供給するレザバー内に、定常状態量の前駆体を生成するものである。一般的に、血管内投与または経口投与ルートが、ヒトを含む生物へ、そのような前駆体を投与するために用いられる。他の投与ルート、例えば、皮下または筋肉内投与も、オプションとして徐放性前駆体組成物と共に使用するのに適切である。注入組成物は、通常、無菌医薬賦形剤内に調製される。同位元素標識前駆体分子を投与する経路の選択は、本技術分野の技術範囲内に該当する。

0064

同位元素標識前駆体分子は、安定同位元素または放射性同位元素であってもよい。適用可能な同位元素標識は、有機系内に存在する元素の2H、13C、15N、18O、3H、14C、35S、32P、125I、131I、あるいは他の同位元素を含むが、これらに限定されるものではない。

0065

一つの実施形態における同位元素標識は、2Hである。

0066

前駆体分子は、関心「モノマー」または「サブユニット」へ取り込める、同位元素標識を持ついずれの分子であってもよい。または、モノマーそれ自体であってもよい。同位元素標識前駆体分子を形成するために、本文で開示のすべての前駆体分子を修正する同位元素標識を使用してもよい。「同位元素標識サブストレート」は、生体系内の関心分子への取り込みが可能な、いずれの同位元素標識前駆体分子をも含む。同位元素標識サブストレートの実施例は、2H2O、3H2O、2Hグルコース、2H標識アミノ酸、2H標識有機分子、13C標識有機分子、14C標識有機分子、13CO2、14CO2、15N標識有機分子及び15NH3を含むが、これらに限定されるものではない。

0067

前駆体分子全体が、一つ以上のチュービュリン・ダイマー・サブユニット内へ取り込まれてもよい。代替的に、前駆体分子の一部が、チュービュリン・ダイマー・サブユニット内へ取り込まれてもよい。

0068

タンパク質前駆体分子は、本技術において既知である、いずれのタンパク質前駆体分子であってもよい。これらの前駆体分子は、CO2、NH3、グルコース、乳酸塩、H2O、アセテート及び脂肪酸を含むが、これらに限定されるものではない。

0069

タンパク質の前駆体分子は、また、一つ以上のアミノ酸を含んでもよい。前駆体は、いずれのアミノ酸であってもよい。前駆体分子は、単独の、あるいは多数の重水素を入れたアミノ酸であってもよい。例えば、前駆体分子は、一つ以上の13C−リシン、15N−ヒスチジン、13C−セリン、13C−グリシン、2H−ロイシン、15N−グリシン、13C−ロイシン、2H5−ヒスチジン及び、いずれのジュウテリウムアミノ酸であってもよい。標識アミノ酸は、例えば、無希釈で、あるいは非標識アミノ酸で希釈されて投与されてもよい。すべての同位元素標識前駆体は、例えば、Cambridge Isotope Labs(アンドーバー、マサチューセッツ州)から、市販のものを購入してもよい。

0070

タンパク質前駆体分子は,また、翻訳後または翻訳前修正アミノ酸に対する、いずれの前駆体を含んでもよい。これらの前駆体は、グリシン、セリンまたはH2O等のメチル化前駆体、H2OまたはO2等のヒドロキシル化前駆体、ホスフェート、H2OまたはO2等のリン酸化前駆体、脂肪酸、アセテート、H2O、エチルアルコールケトン体、グルコースまたはフラクトース等のプレニル化前駆体、CO2、O2、H2Oまたはグルコース等のカルボキシル化前駆体、アセテート、エチルアルコール、グルコース、フラクトース、乳酸塩、アラニン、H2O、CO2またはO2等のアセチル化前駆体、グリコシル化前駆体、及び本技術において既知である他の翻訳後修飾を含むが、これらに限定されるものではない。

0071

遊離アミノ酸内に存在する標識の程度は、実験的に判定してもよい、あるいは、アミノ酸内の標識部位の数に基づいて推定されてもよい。例えば、標識として水素同位元素が使用される場合、体内水分中の2H2Oに曝露中、遊離アミノ酸のC−H結合内に、または、より具体的にtRNA−アミノ酸内に存在する標識が識別されてもよい。非必須アミノ酸の各々のC−H結合の総数は既知であり、例えば、アラニンでは4、グリシンでは2である。

0072

タンパク質に対する前駆体分子は、水(例えば、重水)であってもよい。タンパク質のO−H及びN−H結合は水溶液中で不安定であるため、C−H結合の水素原子は、2H2Oからタンパク質合成を測定するために有用な、アミノ酸の水素原子である。そのように、2H2OからO−HまたはN−H結合への2H標識の交換は、遊離アミノ酸からのタンパク質の合成なしで発生する。C−H結合は、特異的酵素触媒中間代謝反応中に、H2Oから遊離アミノ酸へ組み込まれる。したがって、2H2O投与後のタンパク結合アミノ酸のC−H結合内の2H標識の存在は、そのタンパク質が、2H2O曝露期間中に遊離型であったアミノ酸から構築されたこと、例えば、タンパク質が新しく合成されたことを意味する。分析的には、使用されるアミノ酸誘導体は、すべてのC−H結合を含まなければならないが、すべての汚染潜在性N−H及びO−H結合は取り除かなければならない。

0073

体内水分からの水素原子(例えば、ジウテリウムまたはトリチウム)は、遊離アミノ酸へ組み込ませてもよい。標識水からの2Hまたは3Hは、中間代謝反応を介して、細胞内の遊離アミノ酸へ入ることができるが、ペプチド結合内に存在する、あるいは転移RNAに結合しているアミノ酸へ2Hまたは3Hは入ることはできない。遊離必須アミノ酸は、急速可逆性アミノ基転位反応を介して、体内水分からの単一水素原子を、α−炭素C−H結合へ組み込んでもよい。遊離非必須アミノ酸は、もちろん、非常に多くの代謝的に交換可能なC−H結合を含むため、新しく合成されたタンパク質内で、2H2Oからの、分子単位の、より高い同位体濃縮値を示すことが予期される。

0074

業者には、体内水分からの標識水素原子が、他の生化学的経路を介して、他のアミノ酸へ組み込まれてもよいことは明らかである。例えば、水からの水素原子は、クエン酸回路内の前駆体α−ケトグルタル酸の合成を介して、グルタミン酸塩へ組み込まれてもよいことは、本技術において既知である。グルタミン酸塩は、順に、グルタミンプロリン及びアルギニンのための生化学前駆体であることが既知である。もう一つの実施例として、体内水分からの水素原子は、翻訳後修飾アミノ酸、例えば、3−メチルヒスチジン内のメチル基ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシリジン内のヒドロキシル基などへ組み込まれてもよい。他のアミノ酸合成経路は、当業者に既知である。

0075

酸素原子(H218O)も、酵素触媒反応を介して、18O2からアミノ酸へ組み込まれてもよい(ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジンまたは他の翻訳後修飾アミノ酸を含む)。例えば、アミノ酸のカルボン酸部分への酸素交換が、酵素触媒反応中に発生してもよい。アミノ酸への標識酸素取込みは、当業者には既知である。

0076

標識水からの水素及び酸素標識も、翻訳後修飾を介してアミノ酸へ組み込まれてもよい。一つの実施形態における翻訳後修飾は、翻訳後修飾前の生合成経路を介して、標識水素または酸素をすでに含んでいてもよい。もう一つの実施形態における翻訳後修飾は、翻訳後修飾ステップ(例えば、メチル化、ヒドロキシル化、リン酸化、プレニル化、硫酸化、カルボキシル化、アセチル化、グリコシル化または他の既知の翻訳後修飾)の前、あるいは後のいずれにおいても、体内水分からの遊離交換標識水素に関わる代謝誘導体からの、標識水素、酸素、炭素または窒素組み入れてもよい。

0077

対象者への投与に適切なタンパク質前駆体は、上記説明のタンパク質内に見られる標準アミノ酸に加えて、H2O、CO2、NH3及びHCO3を含むが、これらに限定されるものではない。

0078

水は、タンパク質や他の生体分子の前駆体である(U.S.Patent Application No.10/279,399を参照、その全文が、参照により本文へ援用される)。そのように、標識水は、本文に教示の方法における前駆体として機能してもよい。「同位元素標識水」は、水素または酸素のいずれかの、一つ以上の特定な重同位元素で標識された水を含む。同位元素標識水の具体的な実施例は、2H2O、3H2O及びH218Oを含む。

0079

H2Oの利用性は、(H2Oが細胞の内容物の約70%、または>35モル濃度を占めるので)多分、細胞内の生合成反応を決して制限することはないが、H2Oからの水素及び酸素原子は、生合成経路に関わる多くの反応に化学量論的に関与する。例えば、R−CO−CH2−COOH+NADPH+H2O→R−CH2CH2COOH(脂肪酸合成)。

0080

結果として、H−またはO−同位元素標識水の形態で提供される同位元素標識は、合成経路の一部としすなわち、急速に交換可能な、酵素触媒反応を必要としない)、または安て、生体分子へ組み込まれる。水素の取込みは、分子内の不安定な位置へ(定な位置へ(すなわち、急速に交換不可能な、酵素触媒作用を必要とする)の、二つの経路で発生可能である。酸素組み込みは、安定な位置で発生する。

0081

細胞水からの生体分子内のC−H結合への水素組込ステップのいくつかは、生合成反応順序に明確に定義された酵素触媒ステップ中にのみ発生し、熟した最終生成分子内に入ってしまったら、不安定な(組織内の溶媒水と交換可能な)ものではない。例えば、グルコースのC−H結合は、溶液中での交換は不可能である。対照的に、以下のC−H位置の各々は、特異な酵素反応逆転中に体内水分との交換が起こる。クレブス回路内のオキザロ酢酸スクシナート配列、及び乳酸塩/ピルビン酸塩反応におけるC−1及びC−6;グルコース-6-リン酸/フラクトース−6−ホスフェート反応におけるC−2;グリセルアルデヒド−3−ホスフェート/ジヒドロキシアセトン−リン酸反応におけるC−3及びC−4;3−ホスホグリセリン酸/グリセルアルデヒド−3−ホスフェート反応及びグルコース-6-リン酸/フラクトース−6−ホスフェート反応におけるC−5。

0082

分子の特異な非不安定な位置に共有結合で組み込まれた、水からの標識水素または酸素原子は、そのことによって、その分子の「生合成の歴史」を啓示している。すなわち、標識取込みは、細胞水中に同位元素標識水が存在していた期間中に、その分子が合成されたことを意味する。

0083

これらの生体分子内の(非共有結合で関連する、あるいは交換可能な共有結合で存在する)不安定な水素は、分子の生合成の歴史を啓示しない。しかし、不安定な水素原子は、非標識水(H2O)での温置によって(すなわち、2Hまたは3Hが最初に組み込まれたと同じ非酵素性交換反応の逆転によって)、簡単に取り除くことができる。

0084

結果として、生合成の歴史を反映しないが、非合成交換反応を介して組み込まれる汚染潜在性水素標識は、実践では、豊富な自然H2Oでの温置によって、簡単に取り除くことができる。

0085

図1は、同位元素標識水から選択遊離アミノ酸への標識水素(2Hまたは3H)交換経路を表す。それらアミノ酸は、その後、微小管のサブユニットであるチュービュリン・ダイマーへ組み込まれる。図2は、微小管へのチュービュリン・ダイマーの組み込みを表す。図3は、神経細胞微小管集団を単離して測定する実験計画を表す。

0086

生体分子への標識水素原子の組み込みを量的に測定するために、分析方法が利用できる(例えば、3Hに対しては、液体シンチレーション計数;2H及び18Oに対しては、質量スペクトロメトリー、レーザー分光、NMR分光法、または本技術において既知である他の方法)。同位元素標識水組み込みの理論に関する更なる議論については、参照によって本文に援用される例えば、Jungas RL. Biochemistry. 1968 7:3708−17を参照する。

0087

標識水は、容易に購入可能である。例えば、2H2Oは、Cambridge Isotope Labs(アンドーバー、マサチューセッツ州)から購入してもよい。また、3H2Oは、例えば、New England Nuclear, Inc.から購入してもよい。「二重水」は、一つ以上の2H同位元素が組み込まれた水に言及する。概して、2H2Oは非放射性があるため、放射性3H2Oに比べ、毒性の懸念が少ない。2H2Oは、例えば、全体水分に対するパーセントとして、例えば、消費全体水分の1%(例えば、一日につき3リットルの消費水に対しては、30マイクロリットルの2H2Oの消費となるよう)投与してもよい。3H2Oを利用する場合は、当業者が容易に判定可能な無毒性量で投与する。

0088

本発明の技術を用いれば、2H2Oの(例えば、全体水分の1から10%が標識される)比較的高度な体内水分濃縮が、比較的安価に達成できる。この水濃縮は、毒性の証拠なしにヒト及び実験動物で、これらのレベルが数週間あるいは数ヶ月間維持されるほど比較的一定で安定である。多数の(>100人の)ヒト対象者でのこの所見は、2H2Oの高用量での前庭毒性に関する以前の懸念とは反対である。出願人の一人は、(例えば、少ない分割用量での最初の投与によって)体内水分濃縮の急速な変化が阻止される限り、2H2Oの高度体内水分濃縮が、毒性なしで維持できることを発見した。例えば、市販の2H2Oの価格が安いため、比較的に低い費用で、1から5%の範囲に濃縮を長期に渡って維持可能である(例えば、計算によれば、10%の遊離ロイシン濃縮での2H−ロイシンの12時間の標識によるその期間のロイシン前駆体プールにおける7から8%の濃縮に比べ、2%の2H2O濃縮での2ヵ月の標識によるアラニン前駆体プールにおける7から8%の濃縮に対するコストが低いことが分かる)。

0089

H218Oの投与に対する比較的高度で比較的恒常的な体内水分濃縮も、18O同位元素が有毒でなく重要な健康リスクを生じないため、達成可能である。

0090

同位元素標識水は、連続的な同位元素標識水投与、不連続な同位元素標識水投与、または同位元素標識水投与の単一の、あるいは複数の投与を介して、投与してもよい。連続的な同位元素標識水投与においては、同位元素標識水は、個人に比較的恒常的な水濃縮を維持するのに十分な期間に渡って、個人へ投与される。連続法については、定常状態濃度を達成するのに十分な期間(例えば、ヒトで3から8週間、齧歯動物で1から2週間)、標識水が最適に投与される。

0091

不連続な同位元素標識水投与においては、同位元素標識水は、1回以上、量を測定してから投与される。その後、同位元素標識水への投与は中断され、体水分プールからの同位元素標識水のウオッシュアウトを生じさせる。その時、標識解除の経時変化をモニターしてもよい。水は、生体分子内で検出可能なレベルに達するのに十分な期間、最適に投与される。

0092

同位元素標識水は、本技術において既知である種々の方法で、個人または組織内へ投与されてもよい。例えば、同位元素標識水は、経口的に、非経口的に、皮下に、血管内に(例えば、静脈注入動脈注入)、または腹膜内に投与されてもよい。2H2O及びH218Oは、Isotec, Inc.(マイアミズバーグ、オハイオ州)及びCambridge Isotopes, Inc.(アンドーバー、マサチューセッツ州)を含む複数の販売会社から購入できる。投与される同位元素標識水の同位体含有量は、約0.001%から約20%の範囲に及び、生体分子の同位体含有量を測定するために使用する器具分析感度に依存する。一つの実施形態においては、4%の2H2O飲料水が経口的に投与される。もう一つの実施形態においては、50mlの2H2Oが、ヒトへ経口的に投与される。

0093

標識水が投与される個人は、哺乳類であってよい。一つのバリエーションでは、個人は、齧歯動物、霊長類ハムスター、モルモット、イヌまたはブタを含む実験動物でもよいが、これらに限定されるものではない。薬剤、候補薬剤リード薬剤、またはそれらの組合せの投与を伴うバリエーションでは、個人は、容認動物疾患モデルを含む実験動物等の哺乳類またはヒトであってもよい。食品添加物産業的または職業的化学薬品環境汚染物または化粧品の投与を伴うバリエーションでは、個人は、限定せずに、齧歯動物、霊長類、ハムスター、モルモット、イヌまたはブタ等の実験動物であってもよい。
一つ以上の注目標的チュービュリンあるいは微小管ポリマー分子の採取

0094

本発明の方法を実践する際の一つの態様においては、タンパク質は、本技術において既知である方法によって、生体系から採取する。概して、試料は、被験者の種々の部位(例えば、脳の運動皮質、座骨神経、末梢神経)から採取可能な、運動神経細胞を含むが、座骨神経が特に有用である。

0095

複数の微小管ポリマー及び/または遊離チュービュリン・ダイマー・サブユニットは、神経生物学の分野における周知の技術を用いて、生体系から得られる。一つ以上の生体試料は、神経組織等の、一つ以上の体液または組織であってよい。タンパク質は、神経細胞等の特定な細胞群、あるいは他の成長または非成長細胞から採取してもよい。タンパク質は、また、本技術において既知である標準的な生化学的方法を用いて、生体試料から採取され、オプションとして、部分的に精製あるいは単離されてもよい。より詳細には、異なる微小管フラクション(タウ−MT、STOP−MT等)は、PCT/US2005/028069に概説されているように単離される。

0096

生物学的試料採集の頻度は、異なる要因に応じて、変更できる。そのような要因は、試料採集の容易さ及び安全性、タンパク質の合成及び分解あるいは除去速度、及び、細胞、動物またはヒトへ投与された治療候補剤の半減期を含むが、これらに限定されるものではない。

0097

タンパク質は、アッセイ条件に応じて、一つ以上の生体試料から部分的に精製及び/または単離されてもよい。概して、微小管ポリマー及び/またはチュービュリン・ダイマー・サブユニットは、試料中に存在する他の構成要素に応じて、当業者に既知である種々の方法で単離または精製されてもよい。標準的な精製法は、電気泳動的、分子的、免疫学的及びクロマトグラフ的技術を含み、例えば、イオン交換疎水性、親和性及び逆位相HPLCクロマトグラフィー高速性能液体クロマトグラフィーFPLC)、化学的抽出、薄層クロマトグラフィーガスクロマトグラフィー及びクロマトフォーカシングを含む。例えば、いくつかのタンパク質は、標準抗体カラムを用いて精製されてもよい。限外濾過及び透析濾過技術も、タンパク質濃度に関連して、有用である。適切な精製技術の一般的なガイダンスについては、Scopes,R., Protein Purification, Springer−Verlag, NY(1982)を参照する。必要な精製度は、系のアッセイ及び構成要素に応じて異なる。いくつかの例においては、精製は全く必要でない。

0098

もう一つの実施形態におけるタンパク質は、加水分解されてもよい、あるいは劣化させて、より小さな分子を形成させてもよい。加水分解法は、本技術において既知である、いずれの方法をも含み、例えば、化学的加水分解(酸加水分解など)及び生化学的加水分解(ペプチダーゼ分解など)を含むが、これらに限らない。加水分解または壊変は、タンパク質の精製及び/または単離の前に、あるいはその後に実行してもよい。タンパク質は、また、従来の精製法によって、部分的に精製されてもよい、あるいはオプションとして単離されてもよい。従来の精製法は、HPLC、FPLC、ガスクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、及び/または、当業者に既知の、化学化合物及び/または生化学化合物を分離する他のいずれの方法をも含む。

分析

0099

タンパク質の同位体濃縮は、本技術において既知である、例えば、NMR、レーザー分光、液体シンチレーション計数、ガイガーカウンター及び質量スペクトロメトリー等の、種々の方法によって測定できる。質量スペクトロメトリーを用いる方法については、本発明で使用可能な、複数の異なるタイプの質量スペクトロメータがある。限定せずに、例えば、ガスクロマトグラフ質量スペクトロメトリー(GC-MS)、同位体比質量スペクトロメトリー、GC同位体比MS、GC同位体比熱分解MS、液体クロマトグラフィーMS、エレクトロスプレー電離MS、マトリックス支援レーザ脱離飛行時間MS、フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴MS、及びサイクロイドMSがある。

0100

質量スペクトロメータは、タンパク質などの分子を、急速に移動するガス状イオンへ転換し、それらの質量対電荷比に基づいて、分別を行う。したがって、同位元素、イオンの同位体族またはイオン・フラグメントの分布は、複数のタンパク質内の同位体濃縮を測定するのに利用可能である。

0101

通常、質量スペクトロメータは、電離手段と質量分析器を含む。本技術においては、多数の異なるタイプの質量分析器が既知である。これらは、磁気セクタアナライザー、エレクトロスプレー電離、四極子、イオン・トラップ飛行時間質量分析器、及びフーリエ変換分析器を含むが、これらに限定されるものではない。

0102

質量スペクトロメータは、また、多数の異なるイオン化法を含んでもよい。これらは、電子衝撃、化学的電離、及び電界イオン化等の気相電離源、また、電界脱着、高速原子衝撃、マトリックス支援レーザ脱離あるいは電離、及び表面増強レーザ脱離あるいは電離等の脱離源を含むが、これらに限定されるものではない。

0103

加えて、最初に前駆体イオンを分離させ、それから気相フラグメント・イオンを分離及び測定するために、二つ以上の質量分析器が結合されてもよい(MS/MS)。これらの機器は、最初のシリーズのタンパク質のイオン・フラグメントを生成し、それから、最初のイオンの二次フラグメントを生成する。

0104

異なるイオン化法も、本技術において既知である。一つの重要な進歩は、タンパク質を含む大きな不揮発性巨大分子の電離技術の開発であった。このタイプの技術は、エレクトロスプレー電離(ESI)及びマトリックス支援レーザ脱離を含んでいる。これらは、MSが、液体クロマトグラフィー及びキャピラリーゾーン電気泳動などの、強力な試料分離導入技術との組合せで適用されることを可能にした。

0105

加えて、質量スペクトロメータは、ガスクロマトグラフィー(GC)及び高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)等の分離手段に結合することも可能である。ガスクロマトグラフィー質量スペクトロメトリー(GC/MS)においては、ガスクロマトグラフからのキャピラリーカラムは、直接質量スペクトロメータに結合するが、オプションとして、ジェット分離器を使用してもよい。そのようなアプリケーションでは、ガスクロマトグラフィー(GC)カラムは、混合試料ガスから試料構成要素を分離し、分離構成要素は、イオン化されて、質量スペクトロメータ内で化学的に分析される。

0106

概して、タンパク質に対するベースライン質量アイソトポマー度数分布を測定するためには、そのような試料は、同位元素標識前駆体の注入前に採取される。そのような測定は、細胞、組織または生物における、タンパク質の質量アイソトポマーの自然発生頻度を確立する一つの手段である。細胞、組織または生物が、類似環境履歴を持つ対象集団の一部である場合、集団アイソトポマー度数分布は、そのような背景に対しての判定に使用されてもよい。加えて、そのようなベースライン・アイソトポマー度数分布は、同位元素の既知の平均天然存在度を用いて推定してもよい。例えば、自然環境では、有機炭素中に存在する13Cの天然存在度は、1.11%である。そのようなアイソトポマー度数分布の測定方法を、以下に記す。典型的に、タンパク質の試料は、同位元素標識前駆体の投与前に、及び投与後に採取される。

0107

一つの実施形態においては、相対及び絶対質量アイソトポマー存在度が測定される。測定質量スペクトルピークの高さ、または代替的に、ピーク下の面積は、親(0質量同位元素)アイソトポマーに対する比率として表現されてもよい。試料中のアイソトポマーの存在度に対して相対及び絶対値を提供する計算手段が、本発明の目的のために、そのようなデータを説明するのに用いられてもよいことは明らかである。

0108

一つの実施形態においては、微小管ポリマー等のタンパク質の標識対非標識比が計算される。それから、注目分子(例えば、チュービュリン・ダイマー、微小管ポリマー)の標識及び非標識比が計算される。専門医は、最初に、測定過剰モル比を、分子の単離アイソトポマー種属に対して判定する。専門医は、それから、過剰率の測定内部パターンを理論パターンと比較する。そのような理論パターンは、参照により本文に全文を援用するU.S.Patents Nos.5,338,686、5,910,403及び6,010,846に説明があるように、二項または多項分布関係を用いて計算できる。計算は、質量アイソトポマー分布分析MIDA)を含んでもよい。質量アイソトポマー分布分析(MIDA)組合せアルゴリズムのバリエーションは、当業者に既知である多数の異なるソースで論じられている。その方法は、さらに、参照により本文に全文を援用するHellerstein and Neese(1999)やChinkes, et al.(1996)、及びKelleher and Masterson(1992)、及び、U.S.Patent Application No.10/279,399において考察されている。

0109

上記の引用文献に加えて、その方法を実行する計算ソフトウェアが、カリフォルニア大学バークレー校のMarc Hellerstein教授から一般公開されている。

0110

理論パターンへの過剰モル比の比較は、関心分子に対して生成された表を用いて、あるいは確証関係を用いた図式で実行できる。これらの比較から、値p等の値が決定される。これは、前駆体サブユニット・プール内におけるサブユニットの質量同位体濃縮の確率を表す。それから、この濃縮は、値AX*等の値を決定するために使用される。この値は、各質量アイソトポマーについて新しく合成されたタンパク質の濃縮を表し、すべてのアイソトポマーが新しく合成された場合に存在が予期されるアイソトポマー過剰率を明らかにする。

0111

それから、フラクション存在度が計算される。(元素に対する)個々の同位元素または(分子に対する)質量アイソトポマーのフラクション存在度は、その特定な同位元素または質量アイソトポマーが代表する、総存在度に対する比率である。これは、相対存在度とは区別される。相対存在度の場合は、最も豊富な種属が値100を与えられ、100に対して、他の全ての種属が正規化され、パーセント相対存在度として表される。質量アイソトポマーMxについては、以下の式で表すことができる。

0112

Mxのフラクション存在度=Ax=、この場合、0からnは、存在度が生じる最小質量(M0)の質量アイソトポマーに対する公称質量の範囲である。

0113

△フラクション存在度(濃縮または消耗)=





この場合、下付き文字eは濃縮に言及し、bはベースライン、すなわち天然存在度に言及する。

0114

前駆体投与期間中に実際に新しく合成されたポリマーのフラクションを判定するためには、測定過剰モル比(EMX)を、各々の質量アイソトポマーに対する新しく合成されたバイオポリマー(例えば、微小管)の濃縮を表す算出濃縮値、AX*、に比較して、すべてのアイソトポマーが新しく合成された場合に存在が予期されるアイソトポマー過剰率を明らかにする。

0115

一つの実施形態においては、分子流動率が計算される。微小管の重合及び/または解重合速度の測定方法は、前駆体プール内における微小管の質量同位元素標識サブユニットの割合を計算すること、及び、この割合を、少なくとも一つの質量同位元素標識サブユニットを含む微小管の予想頻度を計算するために使用することを含む。この予想頻度を、それから、実際の、実験的に測定したアイソトポマー頻度に比較する。これらの値から、選択組み込み期間中に、加えた同位元素標識前駆体から形成された微小管の割合が判定できる。したがって、そのような期間中の合成速度も測定される。恒常的な濃度の系では、または、その系の濃度変化が測定可能である、あるいは、前記期間中の濃度変化が既知である場合、本技術において既知である計算を用いることにより、分解速度も分かる。それから、前駆体と生成物との関係を適用する。連続的標識方法については、同位体濃縮は、漸近(例えば、可能な最大)濃縮に比較し、動態パラメータ(例えば、合成速度)が、前駆体生成物方程式から計算される。フラクション合成速度(ks)は、連続的標識前駆体生成物式を適用することによって計算してもよい。
ks=[−ln(1−f)]/t、
この場合、f=フラクション合成=生成物濃縮/漸近前駆体/濃縮及びt=研究対象系への標識投与の接触時間である。

0116

不連続な標識方法については、同位元素濃縮の低下速度が計算され、サブユニットの動態パラメータが、指数減衰方程式から計算される。この方法を実践する際は、微小管は、通常、微小管の複数の質量同位元素標識サブユニットを含む質量アイソトポマーで濃縮される。微小管のこれらの高い質量アイソトポマー(例えば、3または4の質量同位元素標識チュービュリン・ダイマーを含むタンパク質)は、天然質量同位元素標識前駆体(例えば、2H2O)の存在度が比較的に低いため、外因性前駆体(例えば、2H2O)を欠いた状態では、無視してもよい量が形成される。しかし、前駆体組み込み期間中(例えば、細胞、組織、器官または生物への2H2Oの投与中)は、多量に形成される。微小管は、順次の時点で、細胞、組織、器官または生物から採取され、高質量アイソトポマーの相対度数を測定する、または、微小管からのサブユニットの高質量アイソトポマーの相対度数を測定するために、質量スペクトロメトリーによって分析される。高質量アイソトポマーは、第一の時点の前に、ほとんど排他的に合成されるので、二つの時点間のその減衰は、サブユニットの崩壊速度の直接的な測定値となる。複数の質量同位元素標識サブユニットを含まない質量アイソトポマーの崩壊速度も計算できるため、本文に説明の方法にも使用できる。

0117

通常、第一の時点は、投与モードに応じて、前駆体(例えば、2H2O)投与の終了後、少なくとも2から3時間後になる。これは、質量同位元素標識サブユニット(例えば、微小管ポリマーのための標識チュービュリン・ダイマー)の割合が、前駆体投与以降、その最高レベルから実質的に減衰していることを保証するためである。一つの実施形態においては、以降の時点は、典型的に、第一の時点後の、1から4時間であるが、このタイミングは、バイオポリマー・プールの置換速度に依存する。

0118

微小管の崩壊速度は、同位元素標識サブユニットに対する崩壊曲線から判定される。本ケースでは、崩壊曲線が複数の時点によって定義される場合、崩壊動特性は、曲線を、指数関数的崩壊曲線に適合させることによって決定でき、それから、崩壊定数を決定する。

0119

分解速度定数(kd)は、指数関数的、あるいは他の動特性崩壊曲線に基づき計算されてもよい。
kd=[−lnf]/t.
運動神経疾患の変調剤に対するスクリーニング方法

0120

本発明は、運動神経疾患の変調剤に対するスクリーニング方法を提供する(図4から7、図10を参照)。この文脈における「変調剤」は、活性に対する作用薬及び拮抗剤を意味し、拮抗剤が特に有用である。変調剤は、逆機能活性が抑制され、患者の関連副作用も最小になるよう、選択される。

0121

本発明の一部は、運動神経細胞内の微小管運動に影響を与える生化学的経路が、運動神経疾患の治療に通じるという発見に関する。したがって、一つの実施形態においては、本発明は、軸索微小管運動を修正する薬剤を識別するための、候補剤のスクリーニング方法を提供する。したがって、運動神経疾患の症状を治療する、予防する、あるいは寛解させることができる。

0122

概して、本発明で使用される候補剤には、三つの種類がある。第一のクラスは、微小管運動を調整する効力が評価される一般的な候補剤からなる。より詳細には、軸索幹微小管と成長円錐及び/またはMAP2微小管とを区別する能力である。つまり、本発明が要約するように、これらの二つのプールの微小管は、非常に異なるチュービュリン交換動態性を示し、軸索微小管を優先して安定化させる薬剤が、特に有用である。したがって、微小管運動、すなわち運動神経細胞機能障害を変更する(例えば、修正する)薬剤に対する、候補剤ライブラリのスクリーニングが行われる。

0123

第二に、経路特定候補剤がテストできる。この実施形態においては、微小管交換動態性に影響を及ぼす疑いがある、あるいは影響を及ぼすと知られている薬剤が、本文に概説するように、運動神経細胞系でテストされる。

0124

加えて、運動神経疾患に関連すると知られているが、概して、微小管に対してではなく神経細胞系に作用すると信じられている多数の生化学的イベントがある。いくつかのケースでは、これらの生化学的イベントは、運動神経細胞レベルで発生している。他のケースでは、これらのイベントは、CNS及び末梢神経系(PNS)疾患両方の進行に影響を及ぼす後期段階イベントと関係している。例えば、後期段階パーキンソン病では、運動神経活性に混乱が生じることもある。同様に、後期段階ALSでは、小膠細胞賦活化が発生する。したがって、本文に概説するものを含む併用療法アプローチは、非常に有用である。したがって、本発明は、神経保護活性の示度としての微小管運動を用いて、これらの病状に関わることが既知である薬剤の、及び薬剤の組合せの評価方法を提供する。これらの追加の経路は、小膠細胞賦活化に関連する炎症、酸化ストレスに関連する経路、及び本技術において既知である他のものをも含む。
一般的な候補剤

0125

一つの実施形態においては、候補剤は、運動神経細胞内の微小管活性を調整する効力に対してスクリーニングされる。本文で用いる「候補剤」または「候補薬剤」は、例えば、バイオ治療効果のある抗体及び酵素を含むタンパク質、既知の薬剤及び候補薬剤を含む小有機分子多糖、脂肪酸、ワクチン核酸などの、本文に概説するように、活性の有無に関してスクリーニングできる、いずれの分子をも表す。この文脈において、「一般的な」候補剤は、微小管、運動神経細胞及び/または運動神経疾患の調整に関連するとは知られていないものである。

0126

候補剤には、多数の化学的種類がある。一つの実施形態における候補剤は、有機分子であり、通常、100を超え約2,500ダルトン未満の分子量を持つ小さな有機化合物である。特に、100を超え約2,000ダルトン未満の分子量を持つ小さな有機化合物が有用であり、約1500ダルトンより少なければ、より有効であり、約1000のダルトンよりも少なければ、もっと有効であり、500ダルトンよりも少なければ、更に有効である。候補剤は、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基からなり、特に水素結合、典型的に、アミンカルボニルヒドロキシルまたはカルボキシル基の少なくとも一つ、通常、少なくとも二つの化学官能基を含む。候補剤は、しばしば、上記の官能基の一つ以上で置換された環状炭素または複素環構造及び/または芳香族あるいはポリ芳香族構造からなる。候補剤は、生体分子の中にも発見される。例えば、ペプチドサッカライド、脂肪酸、ステロイドプリンピリミジン誘導体構造類似体、または、それらの組合せを含む。

0127

候補剤は、合成あるいは天然化合物のライブラリを含む多種多様なソースから入手できる。例えば、多数の手段が、多種多様な有機化合物及び生体分子のランダムな合成及び誘導合成に利用可能である。例えば、ランダムなオリゴヌクレオチド及びペプチドの発現及び/または合成を含む。代替的に、細菌性菌性の)植物と動物性抽出物の形態に天然化合物のライブラリは、利用できるか、すぐに生成した。加えて、天然の、あるいは合成のライブラリ及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段を介して、容易に修正できる。既知の薬物は、例えば、構造類似体を生成するための、アシル化アルキル化エステル化アミド化などの誘導的な、あるいはランダムな化学修飾を受けさせてもよい。

0128

候補生理活性薬剤は、タンパク質でもよい。本文の「タンパク質」は、少なくとも二つの共有結合アミノ酸を意味し、タンパク質、ポリペチド、オリゴペプチド及びペプチドを含む。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸及びペプチド結合、または合成ペプチド模倣構造から形成されてもよい。したがって、本文中で用いる「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然アミノ酸及び合成アミノ酸の両方を意味する。例えば、ホモフェニルアラニンシトルリン及びノルロイシンは、本発明の目的において、アミノ酸と考える。「アミノ酸」は、また、プロリン及びヒドロキシプロリン等のイミノ酸残基をも含む。側鎖は、(R)または(S)配位のどちらでもよい。特に有用な実施形態におけるアミノ酸は、(S)またはL−配位である。非天然の側鎖を使用する場合は、例えば、生体内壊変を阻止する、あるいは遅延させるために、非アミノ酸置換基を使用してもよい。

0129

候補生理活性剤は、天然に存在するタンパク質、あるいは天然に存在するタンパク質のフラグメントでもよい。したがって、例えば、タンパク質を含む細胞抽出物、またはタンパク質細胞抽出物のランダムなダイジェスト、あるいは誘導ダイジェストが使用されてもよい。このように、本文で説明の系におけるスクリーニングのために、原核及び真核タンパク質のライブラリが構築されてもよい。この実施形態に有用なものは、細菌性、菌性、ウイルス性タンパク質、及び哺乳類タンパク質のライブラリであり、後者が特に有用であり、特にヒト・タンパク質が有用である。

0130

候補剤は、タンパク質の一種類である抗体であってもよい。用語「抗体」は、本技術において既知である抗体の全長、及び抗体フラグメントを含む。例えば、Fab、Fab2、単鎖抗体(例えばFv)、キメラ抗体ヒト化抗体及びヒト抗体など、組換えDNA技術を用いて、抗体全体の修正によって生成した、あるいは合成デノボ、及び、それらの誘導体を含む。

0131

候補生理活性剤は、核酸でもよい。本文の「核酸」または「オリゴヌクレオチド」あるいは文法的に同等な表現は、一緒に共有結合された少なくとも二つのヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は、通常、ホスホジエステル結合を含む。しかし、いくつかのケースでは、下記に概説するように、代替性バックボーンを持つ可能性のある核酸類似物を含む。それらは、例えば、リンアミド(Beaucage, et al.,Tetrahedron,49(10):1925(1993)及び以下の文献;Letsinger,J.Org.Chem.,35:3800(1970);Sprinzl,et al.,Eur.J.Biochem.,81:579(1977);Letsinger, et al., Nucl.AcidsRes.,14:3487(1986);Sawai, et al., Chem.Lett.,805(1984),Letsinger, et al., J.Am.Chem.Soc.,110:4470(1988);and Pauwels, et al., Chemica Scripta,26:141(1986))、ホスホロチオネート(Mag, et al., Nucleic Acids Res.,19:1437(1991)及びU.S.Patent No.5,644,048)、リンジチオ酸塩(Briu, et al., J.Am.Chem.Soc.,111:2321(1989))、O−メチルフォスフォルアミダイトリンケージ(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach,Oxford University Pressを参照する。)、及びペプチド核酸バックボーン及びリンケージ(参照により全文が援用されるEgholm, J.Am.Chem.Soc.,114:1895(1992);Meier, et al., Chem.Int.Ed.Engl.,31:1008(1992);Nielsen, Nature,365:566(1993);Carlsson, et al., Nature,380:207(1996)を参照する。)からなる。他の類似核酸は、ポジティブなバックボーン(Denpcy, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6097(1995))、非イオン性バックボーン(U.S.Patent Nos.5,386,023、5,637,684、5,602,240、5,216,141及び4,469,863、Kiedrowshi, et al.,Angew.Chem.Intl.Ed.English,30:423(1991);Letsinger, et al., J.Am.Chem.Soc.,110:4470(1988);Letsinger, et al., Nucleoside & Nucleotide,13:1597(1994);Chapters 2 and 3,ASC Symposium Series580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cook;Mesmaeker, et al., Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.,4:395(1994);Jeffs, et al., J.Biomolecular NMR,34:17(1994);Tetrahedron Lett.,37:743(1996))及び非リボース・バックボーンを持つものを含み、U.S.Patent Nos.5,235,033 及び 5,034,506、及び Chapters 6 and 7, ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cookに説明されているもの、及びペプチド核酸を含む。一つ以上の炭素環式糖を含む核酸も核酸の定義内に含まれる(Jenkins, et al., Chem.Soc.Rev.,(1995)pp.169−176を参照する。)。複数の核酸類似物は、Rawls,C & E News,June 2,1997、35ページに説明されている。これらの参照文献は、参照によって本文に援用される。リボース−ホスフェート・バックボーンのこれらの修正は、標識等の追加部分の添加を容易にする、あるいは生理的環境内のそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために行われてもよい。加えて、天然に存在する核酸と類似物との混合物を作成することもできる。代替的に、異なる核酸類似物の混合物、及び天然に存在する核酸と類似物との混合物を作成してもよい。核酸は、指定に応じて、一本鎖でも二重鎖であってもよい。あるいは二重鎖及び一本鎖配列の両方を部分的に含んでもよい。例えば、制限フラグメント、ウイルス、プラスミド染色体などを含む。核酸は、DNA、ゲノム及びcDNAの両方、RNAまたは、核酸がデオキシリボ及びリボヌクレオチドのいずれの組合せをも含むハイブリッド、及び塩基のいずれの組合せでもでもよい。例えば、ウラシルアデニンチミンシトシングアニンイノシンキサンチンヒポキサンチンイソシトシンイソグアニン、4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシンアジリジニルシトシン、プソイドイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル5−ブロムウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルプソイドウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルエオシン、5−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシンと2,6−ジアミノプリン等を含む。本発明の文脈においては、ヌクレオシド(リボースと塩基)及びヌクレオチド(リボース、塩基及び少なくとも一つのホスフェート)は、本文に特に明記しない限り、入れ替え可能に使用される。

0132

先にタンパク質に関して概説したように、核酸候補生理活性剤は、天然に存在する核酸、ランダムな核酸及び/または合成核酸でもよい。例えば、先にタンパク質に関して概説したように、原核または真核ゲノムのダイジェストが使用されてもよい。加えて、これにはRNAが含まれる。
経路に基づく候補剤のスクリーニング

0133

先に概説したように、一般的な候補剤に加えて、本発明は、微小管活性、運動神経細胞機能障害及び/または運動神経疾患の変調剤に対するスクリーニング用途を見いだす。本文の「微小管活性」は、種々の微小管生物学的活性の一つを意味し、例えば、微小管重合及び/または解重合の速度、一つの細胞位置から他の箇所への細胞構成要素の輸送を維持する能力、微小管の細胞骨格機能などを含むが、これらに限らない。

0134

概して、スクリーニングが行われる、経路に基づく候補剤には、二つのタイプがあって、微小管活性に関わると知られている、あるいはその疑いがあるもの、及び、運動神経疾患に関連する他の生化学的イベントに関わるものである。

0135

したがって、本発明のいくつかの実施形態は、経路に基づく候補剤のスクリーニングを利用する。
微小管標的調節剤(MTMA)

0136

一つの実施形態においては、微小管標的調節剤がテストされる。本文の「微小管標的調節剤」または「MTMA」は、微小管重合及び/または解重合の速度に影響を及ぼすと以前から認識されている、あるいは提案されている薬剤を意味し、より詳細には、微小管不安定性(すなわち、運動)を減少させる、あるいは減速させるものを指す。

0137

一つの実施形態におけるMTMAは、オピオイド及びオピオイド誘導体である。オピオイドには、大きく四つの種類があり、体内で生成される内因性オピオイドペプチドモルヒネ原型オピオイド)及びコデイン等のアヘンアルカロイドヘロイン及びオキシコドン等の半合成オピオイド、及び、アヘンアルカロイドとは無関係な構造を持つペチジン及びメサドン等の完全合成オピオイドである。

0138

一つの実施形態におけるMTMAは、アヘンアルカロイドである。一つの実施形態におけるアヘンアルカロイドは、例えば、その全文が参照により本文へ援用されるU.S.Patent No.6,376,516に概説されているノスカピンまたはノスカピン誘導体である。ノスカピンは、鎮痛性あるいは鎮痙性活性を欠くアヘンアルカロイドであり、他のオピオイド(例えば、モルヒネ)に反して、麻薬あるいは常用性化合物ではない。さらに、パクリタキセル、ノコダゾール、ビンブラスチン及びコルヒチン等の他の微小管相互作用薬剤とは対照的に、ノスカピンは、生体外及び生細胞内の両方において、総チュービュリン・ポリマー質量に影響を及ぼすことなく、また、微小管組み立ての恒常的なダイマー/ポリマー平衡を変更することなく微小管運動を修正する。ノスカピンは、脳血液関門を透過し、CNS組織(脳及び脊髄)とPNSにおいても長い半減期を持つ。したがって、我々は、ノスカピンを、我々が発見した微小管運動の変化などの、細胞骨格異常に関連するCNS及びPNS疾患のための潜在的微小管相互作用化学療法剤として識別した(図4から図7を参照)。ノスカピンは、現在、抑制剤としてヒト用途に利用可能である。MTMAとして有用な他のアヘンアルカロイドは、フェナントレンイソキノリン及びパパベリンである。

0139

加えて、カンナビノイドは、単独で、または他の薬剤との組合せで、スクリーニングに使用できる。カンナビノイドは、CB1及びCB2受容体を含む生体内因性カンナビノイド受容体を活性化させる一群の化学薬品である。現在、カンナビノイドには、三つの一般的なタイプがある。ハーバル・カンナビノイドは、比類なく大麻植物内に生じる。内因性カンナビノイドは、ヒト及び他の動物の体内で生成される。合成カンナビノイドは、実験室で生成される類似化合物である。適切な薬剤は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではないものであって、アナンダミド及びアナンダミド類似物、ドコサテトラエンイルエタノールアミド及びホモ−γ−リノエンイルエタノールアミド、2−アラキドノイグリセロール(2−AG)、パルミトイルエタノールアミド及びオレアミド等のエンドカンナビノイド、テトラヒドロカンナビノール(THC)、特にマリノール(Δ9−THC)、カンナビジオール(CDB)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロールカンナビクロメン、カンナビシクロール、カンナビバロールテトラヒドロカンナビバリン、カンナビジバリン、カンナビクロメバリン、カンナビゲロバリン、カンナビゲロールモノエチルエーテル、CP−55940、HU−210 100、SR−144526、及びナビロンである。

0140

他の、経路に基づく候補剤は、イオン、特にカルシウム及びナトリウムの細胞内濃度を標的とするものである。カルシウム細胞内濃度は、微小管形成及び安定性に関わるということが知られているため、細胞内カルシウムを(特に細胞内カルシウム濃度を減少させることによって)調整する薬剤は、スクリーニングで特に注目すべきである。
イオン・チャネル拮抗剤

0141

L−グルタミン酸経路、主要な興奮性神経伝達物質に関わるリガンド開口型イオン・チャネル(イオノトロピック型受容体)には、三つの主なタイプがある。それらは、NMDA、AMPA及びカイニン酸受容体であり、各変調剤は、本発明における経路スクリーニングに有用である。
NMDA受容体拮抗剤

0142

NMDA受容体は、最初、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)による選択的活性化によって識別された。NMDA受容体は、NR1サブユニット及びNR2サブユニットのアセンブリからなり、四つの別個の遺伝子産物(NR2A−D)の一つであり得る。機能チャネルを形成には、両サブユニットの発現が必要である。NR1及びNR2サブユニットが接合する箇所に、グルタミン酸結合ドメインが形成される(それゆえ、両サブユニットの発現が必要)。グルタミン酸に加えて、NMDA受容体は、受容体が機能するための結合に、共アゴニスト、グリシンが必要である。グリシン結合部位は、NR1サブユニット上に存在する。NR2Bサブユニットも、NMDA受容体の機能を調整する調節分子、ポリアミンに対する結合部位を持つ。グルタミン酸結合(NMDA)部位に加えて、NMDA受容体上には、調節化合物に対する多重結合部位がある。効率的なNMDA受容体の活性化には、NMDAのみでなく、グリシンも必要である。活性化は、ポリアミンの結合によっても調整できる。結合部(グルタミン酸、グリシン、ポリアミン)の各々は、受容体及び亜型選択化合物の生成のための潜在的標的として使用されている。

0143

NMDA阻害剤は、競合的または非競合的阻害剤のいずれであってもよく、結合部位のいずれにも結合できる。したがって、適切なNMDA受容体拮抗剤は、アマンタジンケタミンデキストロメトルファン(3−メトキシ−17−メチル−9(アルファ),13(アルファ),14(アルファ)−モルヒナン臭化水素酸塩一水和物)、ジゾシルピン(MK−801としても既知である)、AP−7(2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸)、APV(AP−5とも呼ばれる、2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、DCKA(5,7−ジクロロキヌレン酸、グリシン部位に作用)、ハーコセライド(アセトアミド−N−ベンジル−3−メトキシプロピオナートとそのメタボライト、H−209)、ホモキノリン酸、(R)−AP5、(R)−CPP−エン、PBPD、メマンチン、ケタミン、L−701−324、L−689,560、GV196771A、Ro25−6981、イフェンプロジル、Co−101676、GW468816(グリシン部位拮抗剤)を含むが、これらに限定されるものではない。

0144

これらの阻害剤のいくつかを図6に示す。

0145

ジゾシルピンは、特に興味深い。ジゾシルピンは、イオン・チャネルNMDA受容体を介しての神経細胞へのカルシウムの過度な流入を減少させるカルシウム・チャネル遮断薬として識別されている。また、グルタミン酸作動性NMDA受容体亜型の競合的拮抗薬としても分類され、脳血液関門を透過する。グルタミン酸誘発興奮毒性は、複雑で多因子性であるが、神経細胞の損傷及び死をもたらす末端イベントの主成分である。それは、NMDA受容体を介してのカルシウムの過度な流入を伴う。
酸化ストレスの変調剤

0146

MTMA及び受容体拮抗剤に加えて、他の経路選択剤は、運動神経細胞内の酸化ストレスに影響を与えるものを含む。これらは、ビタミンEプロシステイン、N−アセチルシステインリポ酸、及び種々のタイプのニトロン等の、一般的な酸化防止剤を含む。
小膠細胞活性化

0147

神経炎症は、最近、運動神経疾患の有意な一因となっている。例えば、ALS組織の特徴は、散発性及び家族性ALSの両方で、あるいはSOD遺伝子導入マウス・モデル等で観察される炎症性変化である。そのような変化は、非常に多数の活性小膠細胞星状細胞蓄積を含む。腫瘍壊死因子(TNF)等の炎症誘発性サイトカインは、ALSにおいて、強く上方制御される。腫瘍壊死因子(TNF−R1)に対する受容体は、疾患の徴候段階だけでなく、発症前後期にも上昇する。TNFは、その影響が複数の共同刺激サイトカイン及びケモカインによって強化されるが、ALSの神経炎症に対する主要なドライバーとして作用する。これらの変化は、また、パーキンソン病を含む他の運動神経疾患、及び糖尿病性神経障害を含む種々の末梢神経障害でも観察される。

0148

ALSに対する有効性がテストされている複数の候補抗炎症剤がある。例えば、限定せずに、ミノサイクリン及びサリドマイドがある。

0149

したがって、本発明は、これらの薬剤の、他の候補剤とのテスト方法を提供する。他の候補剤は、特に、上記にいくつかリストした微小管標的調節剤(MTMA)、(同様に上記にいくつかリストした)イオン・チャネル拮抗剤、酸化防止剤、銅キレート剤、一酸化窒素阻害剤及びパーオキシナイトライトのスカベンジャー、及び神経栄養因子などである。
雑多な薬剤

0150

加えて、抗グルタミン酸剤、他の抗炎症剤及び他の抗痙攣剤のすべてがテスト可能である。もちろん、本発明は、いかなる特定の種類の化合物や、特定な化合物によって制限されることはない。本発明の方法は、いかなる化合物、あるいは化合物のどんな組合せにも使用できることを想定している。
医薬組成物

0151

本文に概説するように、運動神経疾患、特にALSを治療するのに使用できる種々の医薬組成物がある。一つの実施形態における医薬組成物は、本文に概説するように、MTMA薬剤及び医薬担体からなる。この実施形態においては、ノスカピンが特に有用である。

0152

多くの実施形態おける医薬組成物は、二つの異なる薬剤からなる。本文に概説した二つのタイプの神経保護剤の、いずれの組合せも可能である。いくつかのケースでは、治療のために、三つの神経保護剤が組み合わされる。

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