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図面 (20)

解決手段

1つの態様によれば、本発明は、サンプルにおいて誘導された誘導ラマン散乱SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出する装置に関する。装置は、サンプルにおいて、角周波数ω1およびω2での一連光パルスを第1の変調周波数で、また角周波数ω2およびω3での一連の光パルスを第2の変調周波数で、ΩRがサンプルの分子振動共鳴角周波数であるときにω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなるように、干渉させる電気光学手段を含んでいる。さらに、装置はサンプルにおける光パルスの干渉に起因する非線形光学信号の第1および第2の変調周波数での同期検波手段と、サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を同期検波に起因する電子信号から取得することを可能にする電子処理手段と、を含んでいる。

概要

背景

あらゆる化学結合は、それらに特有振動周波数を有する。これらの分子振動に関する情報を得るために、光と物質との間の干渉を用いることを意図する方法は、振動光学技術と呼ばれる。これらの技術の中で最も良く知られている技術は赤外(IR)分光法であり、ここでは、サンプル中に存在する化学結合の特定の吸収線が観察される。1928年に発見されたラマン散乱(その効果を発見した物理学者であるチャンドラシェカール・ヴェンカタラマンに因んで名付けられた)は、光線と干渉する分子振動スペクトルを得るために可視光を用いることを許可する。ラマン散乱プロセスにおいて、分子に入射する角周波数ωPのポンピング波は、角周波数ωSのストークス波と呼ばれるもの、および、角周波数ωASの反ストークス波と呼ばれるものの中へ非弾性的散乱される。発生波とポンピング波との間の周波数差は、ωP−ωS=ωAS−ωP=ΩRなどの(角周波数ΩRの)分子ラマン遷移に依存する。この過程フォトニックの観点から、ストークス波および反ストークス波は、それぞれ、基本または励起振動準位からの吸収に対応する。励起振動準位から反ストークス波を発生させるプロセスは、自発ラマン分光法実践において観察される唯一の波であるストークス波を作り出すプロセスよりも、はるかに蓋然性が低い。ストークス波のスペクトル分布の綿密な研究は、サンプル中に存在する化学結合の密度に関する情報を提供する。この自発的な非弾性散乱プロセスは、蛍光発光と比較して非常に効果がない(10−16cm2/分子に到達する蛍光色素分子の1光子実効吸収断面積と比べて、ラマン実効断面積は、約10−30cm2/分子である)。

可干渉性の反ストークスラマン散乱(CARS)および誘導ラマン散乱SRS)と呼ばれる誘導ラマン技術は、自発ラマン散乱プロセスに関連して、約107の増幅を提供する可干渉性のラマン散乱プロセスである。これらの技術(図1A参照)において、精査することを要求される振動準位の角周波数ΩRと等しくなるように角周波数差が設定される、角周波数ωPおよびωSの(または周波数νpおよびνsの)2つのレーザパルスは、解析対象媒体注入される。ポンプおよびストークスパルスを意味するこれらのパルスは、それぞれ、角周波数ΩRの振動モードを共鳴させる周波数拍動を引き起こす。CARSプロセスにおいて、この共鳴は、ポンプ光によって精査され、角周波数ωASで反ストークス散乱を誘導する。誘導ラマン散乱(SRS)は、励起(ポンプ)領域とともにポンプおよびストークス領域によって誘導された非線形領域の干渉に起因する非線形応答を利用するプロセスであり、それ故、CARSプロセスとは対照的に、ポンプおよびストークスパルスと同一周波数で観察される。それは、ポンプ光からストークス光へのエネルギーの伝達を引き起こす。このように、誘導ラマン散乱は、SRL(誘導ラマン損失)プロセスおよびSRG(誘導ラマン利得)プロセスの2つのプロセスを対象とし、これらはそれぞれポンプ光における強度損失ΔISRLおよびストークス光における強度利得ΔISRGを誘導する(図1B参照)。SRSプロセスは、例えば、N. Bloembergenによる総説に記載されている(“The stimulated Raman Effect”,American Journal of Physics,35巻:989-1023ページ,1967年)。ポンプ光の強度における低下ΔISRLおよびストークス光の強度における利得ΔISRGは、3次非線形感受率(Im(χR(3)))の虚数部に比例するということが示されている。それ故、これらの量の計測は、ラマンスペクトルの正確な計算を可能にする。最近では、振動光学技術はSRS技術により専心しており、CARS技術とは対照的に、CARSにおいて常時存在する非共鳴のバックグラウンドに依存せず、化学種濃度とともに線形である。

SRS顕微鏡法は、フェムト秒SRS分光法の分野において最近の進歩を活用する新しい技術である。2007年に、Ploetz他(“Femtosecond Stimulated Raman Microscopy”,Applied Physics B,87巻(3)号:389-393ページ,2007年)は、フェムト秒およびピコ秒パルスを供給する増幅レーザステムに基づいて、最初のSRS顕微鏡を開発した。この型のシステムは、強いSRS信号を誘導するが、生体撮像に対しては適さない。具体的には、使用される高ピーク出力(nJ程度)はサンプルにダメージを与え、低反復率(1kHz)は高速走査顕微鏡と互換性がない。

高反復率(80MHz)のピコ秒レーザシステムの使用に基づくSRS顕微鏡は、生体サンプルの画像の形成と互換性があって提案されていた(例えば、C.W.Freudiger他の“Label-free biomedical imaging with high sensitivity by stimulated Raman scattering microscopy”,Science,322巻5909号1857-1861ページ,2008年、P. Nandakumar他の“Vibrational imaging based on stimulated Raman scattering microscopy”,New Journal of Physics,11巻3号:033026(9ページ),2009年、Y. Ozeki他の“Analysis and experimental assessment of the sensitivity of stimulated Raman scattering microscopy”,Optics Express,17巻5号3651-3658ページ,2009年3月 による論説を参照)。CARS顕微鏡法において、有益な信号、すなわち反ストークス信号は、励起光とは異なる周波数で発生させられる。反ストークス信号は、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管などの超高感度検出器によって検出され得る。SRS顕微鏡法において、有益な信号は励起光と同一周波数で発生するため、検出は別の問題を引き起こす。それは、ポンプ光からエネルギーΔISRL損失を検出するか、または、ストークス光のエネルギーΔISRG利得を検出するかという問題である。実際には、ポンプ光からのエネルギー損失は、約ΔISRL/IP≒10−5−10−8である。上記で引用された論説において、検出感度を向上させるために、同期検波によって、周波数fmでストークス信号を変調し、周波数fmにおけるポンプ信号からその損失を抽出することが提案されている。

それ故、図2は、SRG構成すなわちストークス光から利得を抽出するために適した構成における、先行技術のSRS顕微鏡の概略図を示している。図2において102および104で言及されている、それぞれ角周波数ωPおよびωSでの一連のポンプおよびストークスパルスは、顕微鏡120の本体内に配置された顕微鏡対物122の焦点に位置されたサンプルSに注入される。角周波数ωPおよびωSは、角周波数差がサンプルにおいて精査することを要求される振動準位の角周波数ΩRと等しくなるように選択される。ポンプおよびストークスパルス列は、結合器114を用いて空間的に重畳され、可変遅延線(図示せず)は、サンプル中の各パルスの時間的な重畳を確実にするために提供される。
ポンプパルス列102は、変調されたパルス列106を形成するために、変調装置112を用いて変調周波数fmで振幅変調される。電子ノイズおよびレーザノイズを減らすために、変調周波数は1MHzより上となるように選択される。このように、図2において、曲線101および103は、それぞれ、変調されたパルス列106および(非変調の)ストークスパルス列104の光強度IPおよびISの時間波形を示している。集光対物124は、サンプル中のポンプおよびストークスパルスの干渉に起因する光信号を集光させる。選択された構成において、フィルタ126は、角周波数ωSでのパルス列108を選択させ、その後、この列は、例えばフォトダイオードのような光検出器128に送信される。時間の関数として計測される光強度は、曲線107によって概略的に示されている。変調周波数fmでの同期検波130は、角周波数ΩRでの分子振動を特徴付けている所望の信号ΔISRGを抽出させる。例えば二つのガルバノメーターミラーを含む走査システム116を用いて、サンプル上を励起光104、106が走査すると、サンプルの対象としている領域の画像が形成される。

しかしながら、SRS顕微鏡法は化学的特異性を制限する多くのアーティファクトに依存し、なぜならば、それらはSRS信号として解釈されうる信号を伝えるからである。とりわけ、SRS顕微鏡法は、対象の化学結合に特有ではなく且つSRS信号の正または負のオフセットとして現れるクロスカー効果(または“交差位相変調”のためのXPM)に敏感である。SRS顕微鏡法は、また、SRS信号の(SRL構成の)正または(SRG構成の)負のオフセットとして現れる2光子吸収(または“2光子吸収”のためのTPA)にも敏感である。

2光子吸収は、(図2に示されるようなSRG構成において)ポンプ光線が存在するときのみ、ストークス光の減少を誘導する瞬間的な非線形プロセスである。ストークス光において誘導される変調は、このようにして検出され、SRS信号として解釈される。SRG検出モードにおいて、TPAによるストークス光の減少は、SRGの利得計測に関して負のオフセットとして現れる。SRL検出モードにおいて、TPAによるポンプ光の減少は、SRLの損失計測に関して正のオフセットとして現れる。

光学カー効果は、それを発生させる波の強度に比例する屈折率の変化を誘導し、それを発生させている光線をフォーカスまたはデフォーカスするように導くレンズ効果を引き起こす(瞬間的な)非線形プロセスである。SRS顕微鏡法において、カー効果は、それがポンプ光子のみまたはストークス光子のみに影響を与えるときは問題ではない。具体的には、例えば(図2に示されるような)SRG構成において、ポンプ光子のみが影響を与えられるとき、カー効果は、ポンプ光によってのみ見られる変化を誘導する。しかしながら、後者は検出されないが故に、そのフォーカスは計測に影響を与えない。ストークス光子のみが影響を与えられるとき、カー効果は、ストークス光によってのみ見られる変化を誘導する。後者は変調されていないから、そのフォーカスおよび検出器で誘導されるエネルギーの変化は、時間を通して一定のままであって、それ故に変調周波数fmでのSRSの計測に影響を与えない。しかしながら、例えばSRG構成において、ストークス光の角周波数ωSでの屈折率において、角周波数ωPのポンプ光によって誘導される変化が観察される。これはクロスカー効果であって、この場合、計測されたSRS信号のそれと同一の変調を有するストークス光をフォーカスまたはデフォーカスさせる。計測オフセットは生じる。クロスカー効果の影響を減らすために、サンプルとの干渉後の計測光(SRLにおけるポンプ、SRGにおけるストークス)を集光する際に、絞りを導入しないことが重要である。このため、開口数が励起対物の開口数よりも大きい集光対物を使用することが知られている。

これらのアーティファクトは、散乱媒質とりわけ生体組織によって悪影響を及ぼされ、小さな実効ラマン断面積を有する振動結合を観察するSRS顕微鏡法の利用を妨げる。具体的には、励起対物の開口数よりも大きい開口数を有する集光対物が使用されるときでさえ、散乱は、アーティファクトの効果とりわけクロスカー効果に悪影響を及ぼす集光対物によって絞りをもたらす。

このように、図3Bないし3Dは、ヒトの皮膚から形成された組織の中の多様なスペクトル領域において、CARS、SRSおよびラマン顕微分光法により得られたスペクトルを図示しており、図3Aにはラマンスペクトルが示されている。図3Aに示されるスペクトルは、Huang他による論説(Optics Express, 19巻,23号(2011年))から複写されたものであって、ラマン画像化のための対象となる3つのスペクトル領域からなる。2750cm−1と3050cm−1との間の角周波数に対応するとともに高強度の分子振動を含む“脂質およびタンパク質”領域と呼ばれる領域と、1350cm−1と1750cm−1との間の角周波数に対応する“アミド”領域と呼ばれる領域と、850cm−1と1150cm−1との間の角周波数に対応する“指紋”領域と呼ばれる領域である。図3Bないし3Dは、それぞれ、これらの領域のそれぞれにおいて、CARS、SRSおよびラマン顕微分光法によって実行された行われたスペクトル計測結果を示している。分子振動強度が高い領域(図3B)において、SRS計測値203がラマンスペクトル201とよく対応しているように見られる一方で、CARS計測値202は、連続的な非共鳴のバックグラウンドと関連するオフセットを提示している。CARS計測値における連続的な非共鳴のバックグラウンドの効果は、2つの他の領域(図3Cおよび3Dにおける曲線212および222)においても見ることができる。さらに、オフセット(連続的なバックグラウンド)は、分子振動の強度がより低い領域におけるSRS計測値に現れることも観察されている。このように、SRS計測値に起因する曲線(図3Cおよび3Dにおける曲線213および223)は、もはやラマンスペクトル(211および221)上に重畳しない。これらの実験曲線は、分子振動の強度が低い領域におけるSRS計測値のアーティファクトの効果を説明している。

本発明は、サンプルにおいて誘導されたSRS型の共鳴非線形光学信号を検出するための独創的な方法を提供し、求められている有益なSRS信号を増加させるとともに、散乱生体媒質から形成されたサンプルに含まれるアーティファクト、とりわけクロスカー効果に起因するアーティファクトを除去させる。

概要

1つの態様によれば、本発明は、サンプルにおいて誘導された誘導ラマン散乱(SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出する装置に関する。装置は、サンプルにおいて、角周波数ω1およびω2での一連の光パルスを第1の変調周波数で、また角周波数ω2およびω3での一連の光パルスを第2の変調周波数で、ΩRがサンプルの分子振動共鳴角周波数であるときにω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなるように、干渉させる電気光学手段を含んでいる。さらに、装置はサンプルにおける光パルスの干渉に起因する非線形光学信号の第1および第2の変調周波数での同期検波手段と、サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を同期検波に起因する電子信号から取得することを可能にする電子処理手段と、を含んでいる。A

目的

ストークス波のスペクトル分布の綿密な研究は、サンプル中に存在する化学結合の密度に関する情報を提供する

効果

実績

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請求項1

サンプルにおいて誘導された誘導ラマン散乱SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出するための装置であって、ΩRが前記サンプルの分子振動共鳴角周波数である場合にω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなるように、角周波数ω1およびω2の一連光パルス(14,12)を第1の変調周波数で、角周波数ω2およびω3の一連の光パルス(12,16)を第2の変調周波数で、前記サンプルにおいて干渉させるための電気光学手段と、前記サンプルにおいて前記光パルスの干渉に起因する非線形光学信号の前記第1および第2の変調周波数での同期検波のための手段(70,80)と、前記サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を、前記同期検波に起因する電子信号から取得することを可能にする電子処理手段(80)と、を含む装置。

請求項2

前記電気光学手段は、前記角周波数ω1,ω2およびω3で一連のパルス放射するための光源(20)と、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスを、それぞれ、前記第1および第2の変調周波数で振幅変調するための手段と、を含む請求項1に記載の装置。

請求項3

前記電気光学手段は、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスを、前記変調周波数と同じであるが逆位相の変調周波数で振幅変調するための手段(32,34,36)を含む請求項2に記載の装置。

請求項4

前記電気光学手段は、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスを、互いの倍数ではない2つの異なる変調周波数で振幅変調するための手段(34,36)を含む請求項2に記載の装置。

請求項5

前記第1および第2の変調周波数は同一であり、前記電気光学手段は、前記角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射するための光源(20)と、前記角周波数ω2での前記一連のパルスを前記変調周波数で振幅変調するための手段(38)と、を含む請求項1に記載の装置。

請求項6

前記第1および第2の変調周波数は同一であり、前記電気光学手段は、前記角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射するための光源(20)と、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスと前記角周波数ω2での前記一連のパルスとの間に、前記変調周波数で変調された時間遅延を生成することを可能にする少なくとも1つの遅延線(58)と、を含む請求項1に記載の装置。

請求項7

前記電気光学手段は、前記角周波数ω1,ω2およびω3をそれぞれ中心とした一連の周波数チャープパルスを放射するための光源(20,51−53)を含む上位の請求項のいずれか一項に記載の装置。

請求項8

前記放射する光源は、前記非線形光学信号が検知されたときの前記サンプルの前記分子振動共鳴周波数を変化させるように、一方における前記角周波数ω1およびω2での前記パルスと、他方における前記角周波数ω2およびω3での前記パルスと、の間に、同一の時間シフトを生成させる遅延線をさらに含む請求項7に記載の装置。

請求項9

前記放射する光源は、前記角周波数ω2を中心とした一連の周波数チャープパルスの発生器(20,50)と、一方における前記角周波数ω2を中心としたパルスと、他方における前記角周波数ω1およびω3をそれぞれ中心としたパルスと、に分離することを可能にするダイクロイックビームスプリッター(67)と、を含む請求項6に従属する請求項7に記載の装置。

請求項10

少なくとも一部において繊維質であることを特徴とする上位の請求項のいずれか一項に記載の装置。

請求項11

サンプルにおいて誘導された誘導ラマン散乱(SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出するための方法であって、ΩRが前記サンプルの分子振動共鳴角周波数である場合にω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなるように、角周波数ω1およびω2の一連の光パルスを第1の変調周波数で、角周波数ω2およびω3の一連の光パルスを第2の変調周波数で、前記サンプルにおいて干渉させることと、前記サンプルにおいて前記光パルスの干渉に起因する非線形光学信号の前記第1および第2の変調周波数での同期検波と、前記サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を、前記同期検波に起因する電子信号から取得することを可能にする電子処理と、を含む方法。

請求項12

前記角周波数ω1,ω2およびω3で一連のパルスを放射することと、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスを、それぞれ、前記第1および第2の変調周波数で振幅変調することを含む請求項11に記載の方法。

請求項13

前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスは、前記変調周波数と同じであるが逆位相の変調周波数で振幅変調される請求項12に記載の方法。

請求項14

前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスは、互いの倍数ではない2つの異なる変調周波数で振幅変調される請求項12に記載の方法。

請求項15

前記第1および第2の変調周波数は同一であり、前記角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射することと、前記角周波数ω2での前記一連のパルスを前記変調周波数で振幅変調すること、を含む請求項11に記載の方法。

請求項16

前記第1および第2の変調周波数は同一であり、前記角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射することと、前記角周波数ω1およびω3での前記一連のパルスと前記角周波数ω2での前記一連のパルスとの間に、前記変調周波数で変調された時間遅延を生成すること、を含む請求項11に記載の方法。

請求項17

前記パルスは、前記角周波数ω1,ω2およびω3をそれぞれ中心とした周波数チャープパルスである請求項11ないし請求項16のいずれかに記載の方法。

請求項18

前記サンプルの別の分子振動共鳴周波数を特徴付ける非線形光学信号を検出するように、一方における前記角周波数ω1およびω2での前記パルスと、他方における前記角周波数ω2およびω3での前記パルスとの間に、同一の時間シフトを生成すること、をさらに含む請求項17に記載の方法。

請求項19

前記角周波数ω2を中心とした一連の周波数チャープパルスを生成することと、一方における前記角周波数ω2を中心としたパルスと、他方における前記角周波数ω1およびω3をそれぞれ中心としたパルスとに、前記パルスを分離すること、を含む請求項16に従属する請求項17に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、サンプルにおいて誘導ラマン散乱SRS)型の共鳴非線形光学信号の検出のための装置および方法に関する。本発明は、特に、生体媒質などの散乱媒質中の、顕微鏡画像化、分光法、そしてハイパースペクトル画像化に適用できる。

背景技術

0002

あらゆる化学結合は、それらに特有振動周波数を有する。これらの分子振動に関する情報を得るために、光と物質との間の干渉を用いることを意図する方法は、振動光学技術と呼ばれる。これらの技術の中で最も良く知られている技術は赤外(IR)分光法であり、ここでは、サンプル中に存在する化学結合の特定の吸収線が観察される。1928年に発見されたラマン散乱(その効果を発見した物理学者であるチャンドラシェカール・ヴェンカタラマンに因んで名付けられた)は、光線と干渉する分子振動スペクトルを得るために可視光を用いることを許可する。ラマン散乱プロセスにおいて、分子に入射する角周波数ωPのポンピング波は、角周波数ωSのストークス波と呼ばれるもの、および、角周波数ωASの反ストークス波と呼ばれるものの中へ非弾性的散乱される。発生波とポンピング波との間の周波数差は、ωP−ωS=ωAS−ωP=ΩRなどの(角周波数ΩRの)分子ラマン遷移に依存する。この過程フォトニックの観点から、ストークス波および反ストークス波は、それぞれ、基本または励起振動準位からの吸収に対応する。励起振動準位から反ストークス波を発生させるプロセスは、自発ラマン分光法実践において観察される唯一の波であるストークス波を作り出すプロセスよりも、はるかに蓋然性が低い。ストークス波のスペクトル分布の綿密な研究は、サンプル中に存在する化学結合の密度に関する情報を提供する。この自発的な非弾性散乱プロセスは、蛍光発光と比較して非常に効果がない(10−16cm2/分子に到達する蛍光色素分子の1光子実効吸収断面積と比べて、ラマン実効断面積は、約10−30cm2/分子である)。

0003

可干渉性の反ストークスラマン散乱(CARS)および誘導ラマン散乱(SRS)と呼ばれる誘導ラマン技術は、自発ラマン散乱プロセスに関連して、約107の増幅を提供する可干渉性のラマン散乱プロセスである。これらの技術(図1A参照)において、精査することを要求される振動準位の角周波数ΩRと等しくなるように角周波数差が設定される、角周波数ωPおよびωSの(または周波数νpおよびνsの)2つのレーザパルスは、解析対象媒体注入される。ポンプおよびストークスパルスを意味するこれらのパルスは、それぞれ、角周波数ΩRの振動モードを共鳴させる周波数拍動を引き起こす。CARSプロセスにおいて、この共鳴は、ポンプ光によって精査され、角周波数ωASで反ストークス散乱を誘導する。誘導ラマン散乱(SRS)は、励起(ポンプ)領域とともにポンプおよびストークス領域によって誘導された非線形領域の干渉に起因する非線形応答を利用するプロセスであり、それ故、CARSプロセスとは対照的に、ポンプおよびストークスパルスと同一周波数で観察される。それは、ポンプ光からストークス光へのエネルギーの伝達を引き起こす。このように、誘導ラマン散乱は、SRL(誘導ラマン損失)プロセスおよびSRG(誘導ラマン利得)プロセスの2つのプロセスを対象とし、これらはそれぞれポンプ光における強度損失ΔISRLおよびストークス光における強度利得ΔISRGを誘導する(図1B参照)。SRSプロセスは、例えば、N. Bloembergenによる総説に記載されている(“The stimulated Raman Effect”,American Journal of Physics,35巻:989-1023ページ,1967年)。ポンプ光の強度における低下ΔISRLおよびストークス光の強度における利得ΔISRGは、3次非線形感受率(Im(χR(3)))の虚数部に比例するということが示されている。それ故、これらの量の計測は、ラマンスペクトルの正確な計算を可能にする。最近では、振動光学技術はSRS技術により専心しており、CARS技術とは対照的に、CARSにおいて常時存在する非共鳴のバックグラウンドに依存せず、化学種濃度とともに線形である。

0004

SRS顕微鏡法は、フェムト秒SRS分光法の分野において最近の進歩を活用する新しい技術である。2007年に、Ploetz他(“Femtosecond Stimulated Raman Microscopy”,Applied Physics B,87巻(3)号:389-393ページ,2007年)は、フェムト秒およびピコ秒パルスを供給する増幅レーザステムに基づいて、最初のSRS顕微鏡を開発した。この型のシステムは、強いSRS信号を誘導するが、生体撮像に対しては適さない。具体的には、使用される高ピーク出力(nJ程度)はサンプルにダメージを与え、低反復率(1kHz)は高速走査顕微鏡と互換性がない。

0005

高反復率(80MHz)のピコ秒レーザシステムの使用に基づくSRS顕微鏡は、生体サンプルの画像の形成と互換性があって提案されていた(例えば、C.W.Freudiger他の“Label-free biomedical imaging with high sensitivity by stimulated Raman scattering microscopy”,Science,322巻5909号1857-1861ページ,2008年、P. Nandakumar他の“Vibrational imaging based on stimulated Raman scattering microscopy”,New Journal of Physics,11巻3号:033026(9ページ),2009年、Y. Ozeki他の“Analysis and experimental assessment of the sensitivity of stimulated Raman scattering microscopy”,Optics Express,17巻5号3651-3658ページ,2009年3月 による論説を参照)。CARS顕微鏡法において、有益な信号、すなわち反ストークス信号は、励起光とは異なる周波数で発生させられる。反ストークス信号は、アバランシェフォトダイオードまたは光電子増倍管などの超高感度検出器によって検出され得る。SRS顕微鏡法において、有益な信号は励起光と同一周波数で発生するため、検出は別の問題を引き起こす。それは、ポンプ光からエネルギーΔISRL損失を検出するか、または、ストークス光のエネルギーΔISRG利得を検出するかという問題である。実際には、ポンプ光からのエネルギー損失は、約ΔISRL/IP≒10−5−10−8である。上記で引用された論説において、検出感度を向上させるために、同期検波によって、周波数fmでストークス信号を変調し、周波数fmにおけるポンプ信号からその損失を抽出することが提案されている。

0006

それ故、図2は、SRG構成すなわちストークス光から利得を抽出するために適した構成における、先行技術のSRS顕微鏡の概略図を示している。図2において102および104で言及されている、それぞれ角周波数ωPおよびωSでの一連のポンプおよびストークスパルスは、顕微鏡120の本体内に配置された顕微鏡対物122の焦点に位置されたサンプルSに注入される。角周波数ωPおよびωSは、角周波数差がサンプルにおいて精査することを要求される振動準位の角周波数ΩRと等しくなるように選択される。ポンプおよびストークスパルス列は、結合器114を用いて空間的に重畳され、可変遅延線(図示せず)は、サンプル中の各パルスの時間的な重畳を確実にするために提供される。
ポンプパルス列102は、変調されたパルス列106を形成するために、変調装置112を用いて変調周波数fmで振幅変調される。電子ノイズおよびレーザノイズを減らすために、変調周波数は1MHzより上となるように選択される。このように、図2において、曲線101および103は、それぞれ、変調されたパルス列106および(非変調の)ストークスパルス列104の光強度IPおよびISの時間波形を示している。集光対物124は、サンプル中のポンプおよびストークスパルスの干渉に起因する光信号を集光させる。選択された構成において、フィルタ126は、角周波数ωSでのパルス列108を選択させ、その後、この列は、例えばフォトダイオードのような光検出器128に送信される。時間の関数として計測される光強度は、曲線107によって概略的に示されている。変調周波数fmでの同期検波130は、角周波数ΩRでの分子振動を特徴付けている所望の信号ΔISRGを抽出させる。例えば二つのガルバノメーターミラーを含む走査システム116を用いて、サンプル上を励起光104、106が走査すると、サンプルの対象としている領域の画像が形成される。

0007

しかしながら、SRS顕微鏡法は化学的特異性を制限する多くのアーティファクトに依存し、なぜならば、それらはSRS信号として解釈されうる信号を伝えるからである。とりわけ、SRS顕微鏡法は、対象の化学結合に特有ではなく且つSRS信号の正または負のオフセットとして現れるクロスカー効果(または“交差位相変調”のためのXPM)に敏感である。SRS顕微鏡法は、また、SRS信号の(SRL構成の)正または(SRG構成の)負のオフセットとして現れる2光子吸収(または“2光子吸収”のためのTPA)にも敏感である。

0008

2光子吸収は、(図2に示されるようなSRG構成において)ポンプ光線が存在するときのみ、ストークス光の減少を誘導する瞬間的な非線形プロセスである。ストークス光において誘導される変調は、このようにして検出され、SRS信号として解釈される。SRG検出モードにおいて、TPAによるストークス光の減少は、SRGの利得計測に関して負のオフセットとして現れる。SRL検出モードにおいて、TPAによるポンプ光の減少は、SRLの損失計測に関して正のオフセットとして現れる。

0009

光学カー効果は、それを発生させる波の強度に比例する屈折率の変化を誘導し、それを発生させている光線をフォーカスまたはデフォーカスするように導くレンズ効果を引き起こす(瞬間的な)非線形プロセスである。SRS顕微鏡法において、カー効果は、それがポンプ光子のみまたはストークス光子のみに影響を与えるときは問題ではない。具体的には、例えば(図2に示されるような)SRG構成において、ポンプ光子のみが影響を与えられるとき、カー効果は、ポンプ光によってのみ見られる変化を誘導する。しかしながら、後者は検出されないが故に、そのフォーカスは計測に影響を与えない。ストークス光子のみが影響を与えられるとき、カー効果は、ストークス光によってのみ見られる変化を誘導する。後者は変調されていないから、そのフォーカスおよび検出器で誘導されるエネルギーの変化は、時間を通して一定のままであって、それ故に変調周波数fmでのSRSの計測に影響を与えない。しかしながら、例えばSRG構成において、ストークス光の角周波数ωSでの屈折率において、角周波数ωPのポンプ光によって誘導される変化が観察される。これはクロスカー効果であって、この場合、計測されたSRS信号のそれと同一の変調を有するストークス光をフォーカスまたはデフォーカスさせる。計測オフセットは生じる。クロスカー効果の影響を減らすために、サンプルとの干渉後の計測光(SRLにおけるポンプ、SRGにおけるストークス)を集光する際に、絞りを導入しないことが重要である。このため、開口数が励起対物の開口数よりも大きい集光対物を使用することが知られている。

0010

これらのアーティファクトは、散乱媒質とりわけ生体組織によって悪影響を及ぼされ、小さな実効ラマン断面積を有する振動結合を観察するSRS顕微鏡法の利用を妨げる。具体的には、励起対物の開口数よりも大きい開口数を有する集光対物が使用されるときでさえ、散乱は、アーティファクトの効果とりわけクロスカー効果に悪影響を及ぼす集光対物によって絞りをもたらす。

0011

このように、図3Bないし3Dは、ヒトの皮膚から形成された組織の中の多様なスペクトル領域において、CARS、SRSおよびラマン顕微分光法により得られたスペクトルを図示しており、図3Aにはラマンスペクトルが示されている。図3Aに示されるスペクトルは、Huang他による論説(Optics Express, 19巻,23号(2011年))から複写されたものであって、ラマン画像化のための対象となる3つのスペクトル領域からなる。2750cm−1と3050cm−1との間の角周波数に対応するとともに高強度の分子振動を含む“脂質およびタンパク質”領域と呼ばれる領域と、1350cm−1と1750cm−1との間の角周波数に対応する“アミド”領域と呼ばれる領域と、850cm−1と1150cm−1との間の角周波数に対応する“指紋”領域と呼ばれる領域である。図3Bないし3Dは、それぞれ、これらの領域のそれぞれにおいて、CARS、SRSおよびラマン顕微分光法によって実行された行われたスペクトル計測結果を示している。分子振動強度が高い領域(図3B)において、SRS計測値203がラマンスペクトル201とよく対応しているように見られる一方で、CARS計測値202は、連続的な非共鳴のバックグラウンドと関連するオフセットを提示している。CARS計測値における連続的な非共鳴のバックグラウンドの効果は、2つの他の領域(図3Cおよび3Dにおける曲線212および222)においても見ることができる。さらに、オフセット(連続的なバックグラウンド)は、分子振動の強度がより低い領域におけるSRS計測値に現れることも観察されている。このように、SRS計測値に起因する曲線(図3Cおよび3Dにおける曲線213および223)は、もはやラマンスペクトル(211および221)上に重畳しない。これらの実験曲線は、分子振動の強度が低い領域におけるSRS計測値のアーティファクトの効果を説明している。

0012

本発明は、サンプルにおいて誘導されたSRS型の共鳴非線形光学信号を検出するための独創的な方法を提供し、求められている有益なSRS信号を増加させるとともに、散乱生体媒質から形成されたサンプルに含まれるアーティファクト、とりわけクロスカー効果に起因するアーティファクトを除去させる。

課題を解決するための手段

0013

第1の態様によれば、本発明は、サンプルにおいて誘導された誘導ラマン散乱(SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出するための装置に関する。前記装置は、
ΩRが前記サンプルの分子振動共鳴角周波数である場合にω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなるように、角周波数ω1およびω2の一連の光パルスを第1の変調周波数で、角周波数ω2およびω3の一連の光パルスを第2の変調周波数で、前記サンプルにおいて干渉させるための電気光学手段と、
前記サンプルにおいて前記光パルスの干渉に起因する非線形光学信号の前記第1および第2の変調周波数での同期検波のための手段と、
前記サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を、前記同期検波に起因する電子信号から取得することを可能にする電子処理手段と、を含む。

0014

このように、この新規な装置は、3つの予め設定された波長での3つの励起光を使用し、サンプルにおける第1および第2の変調周波数での対相互作用は、SRLプロセスとSRGプロセスとの両方を同時に発生させ、中短波長の光線は、それぞれのプロセスにおいてポンプ光またはストークス光としての役割を果たしている。変調周波数は、実施例にもよるが、同一であってもよいし、異なっていてもよい。両ケースにおいて、変調周波数または2つのプロセスの干渉に起因する非線形光学信号の周波数での同期検波は、アーティファクトを抑制させ、有益なSRS信号を2倍にさせる。

0015

サンプルにおいてパルス列を干渉させるための手段は、共通の焦点ボリューム上にパルス列の焦点を合わせるための手段を有利に含み、サンプルにおいて非線形光学効果を生じさせるために十分高いエネルギー密度を得ることを可能にする。

0016

記載された装置は、少なくとも一部分は繊維質であってもよい。出願人は、実施される検出方法が、さらに繊維において生じる非線形効果に起因するアーティファクトを抑制させることを示している。

0017

そのような装置の1つの応用例は、振動ラマン画像化、特に顕微鏡画像化である。それから、装置は、画像化を実行するためにサンプルに対してこの焦点ボリュームを移動させるための手段を含んでいてもよい。

0018

記載された装置の別の応用例は、ラマン分光法である。装置は、例えば、サンプルにおいて干渉するパルス列の角周波数ω1およびω3を変化させるための手段と、観察することが要求されるサンプルの分子振動共鳴角周波数ΩRを変化させるための手段と、を含んでいてもよい。

0019

記載された装置の1つの応用例は、ハイパースペクトルラマン画像化であって、様々な分子振動共鳴角周波数ΩでのサンプルのSRS画像を生成させる。

0020

画像化または分光法に関わらず、同期検波手段は、サンプル中のパルス列の干渉に起因する非線形光学信号を検出するための光学手段を含み、光学的な検出は、場合によって、
前方検出モード、後方(または落射)検出モード、または、特に生体サンプルの深層における分子振動の観察のための内視鏡的検出モードで実行される。

0021

記載された装置の第1の変形例としては、少なくとも1つのパルス列が振幅変調されている。

0022

第1の実施例において、電気光学手段は、角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射する源と、第1および第2の変調周波数で角周波数ω1およびω3での一連のパルスをそれぞれ振幅変調するための手段と、を含む。

0023

角周波数ω1およびω3での一連のパルスは、例えば、同一の変調周波数であるが逆位相の変調周波数で変調される。この場合、一方における角周波数ω1およびω2の一連の光パルスと、他方における角周波数ω2およびω3での一連の光パルスとは、サンプルにおいて変調周波数で交互に干渉し合う。同期検波手段は、例えば、角周波数ω2でサンプルから生じるパルスの光検出器を含み、電気信号の同期、アナログまたはデジタルの検出は、変調周波数で光検出器から生じる。同期検波から生じる信号は、サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける。電気処理手段は、この信号を抽出させてから利用させる。

0024

また、角周波数ω1およびω3での一連のパルスは、互いの倍数ではない2つの異なる変調周波数で振幅変調される。この場合、角周波数ω2でサンプルから生じるパルスの同期検波は、各変調周波数で実行される。同期検波によって生成される信号は、サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を抽出するために処理される。

0025

第2の実施例において、第1および第2の変調周波数は同一であって、電気光学手段は、角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射するための源と、変調周波数で角周波数ω2での一連のパルスの振幅変調するための手段と、を含む。この場合、変調周波数での同期検波は、一方において角周波数ω1でサンプルから生じるパルスと、他方において角周波数ω3でサンプルから生じるパルスと、に対して実行される。各同期検波によって生成される信号は、サンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号を抽出するために処理される。

0026

記載された装置の第2の変形例として、遅延線が少なくとも1つのパルス列の経路に導入され、パルス列の間における時間遅延の変調が実行される。

0027

より正確には、第1および第2の変調周波数は同一であって、電気光学手段は、角周波数ω1,ω2およびω3での一連のパルスを放射するための源と、角周波数ω1およびω3での一連のパルスと角周波数ω2での一連のパルスとの間において、変調周波数で変調された時間遅延を生成することを可能にする少なくとも1つの遅延線と、を含むことができる。この場合、逆位相で振幅変調された一連のパルスの場合と同様に、一方において角周波数ω1およびω2の一連の光パルスと、他方において角周波数ω2およびω3の一連の光パルスとは、サンプルにおいて変調周波数で交互に干渉し合う。

0028

第1の変形例(振幅変調)または第2の変形例(時間遅延変調)に関わらず、パルスは、例えば、角周波数ω1,ω2およびω3を中心とした角周波数を有するスペクトル的に狭いピコ秒パルス、または、角周波数ω1,ω2およびω3を中心とした角周波数を有する変異頻度チャープパルスであってもよい。

0029

ピコ秒パルスの場合、パルス列は、例えば、角周波数ω2の一連のパルスを放射するマスタレーザと、角周波数ω1(アイドラ)およびω3(信号)の一連のパルスを放射するOPOレーザと、を含むピコ秒レーザ光源によって放射される。

0030

周波数チャープパルスの場合、パルス列は、例えば、マスタレーザおよびOPOを含むフェムト秒レーザ光源によって得られ、パルスは、時間伸張器によって広げられる。

0031

周波数チャープパルスの場合、放射源は、一方における角周波数ω1およびω2でのパルスと、他方における角周波数ω2およびω3でのパルスと、の間に同一の時間シフトを生成させる遅延線をさらに含むこともでき、時間シフトの変化によって、サンプルの分子振動共鳴周波数を精査することが可能になる。

0032

記載された装置(時間遅延変調)の第2の変形例において、放射源は、角周波数ω2を中心とした一連の周波数チャープパルスの発生器と、一方における角周波数ω2を中心としたパルスと他方における角周波数ω1およびω3のそれぞれを中心としたパルスと、を分離することを可能にするダイクロイックビームスプリッタと、を含むこともできる。変調周波数で変調された時間遅延を、その後上記のように、角周波数ω1およびω3での一連のパルスと角周波数ω2での一連のパルスとの間に導入することもできる。

0033

第2の態様によれば、本発明は、第1の態様およびその変形例または実施例の全てに従って記載された装置によって実行される、サンプルにおいて誘導される誘導ラマン散乱(SRS)型の共鳴非線形光学信号を検出するための方法に関する。

0034

本発明の他の利点および特徴は、以下の図に例示される説明を読むことにより明らかになる。

図面の簡単な説明

0035

図1A(既述)は、誘導ラマン散乱(SRS)の原理を示す。
図1B(既述)は、誘導ラマン散乱(SRS)の原理を示す。
図2(既述)は、従来技術におけるSRS顕微鏡の概略図である。
図3A(既述)は、対象となる3つのスペクトル領域におけるヒト(皮膚)組織のサンプルに対するラマンスペクトルの例を示す。
図3B(既述)は、対象となる1つのスペクトル領域において従来技術のCARSによって得られた比較スペクトル計測値を示す。
図3C(既述)は、対象となる1つのスペクトル領域において従来技術のSRSによって得られた比較スペクトル計測値を示す。
図3D(既述)は、対象となる1つのスペクトル領域において従来技術のラマン顕微分光法によって得られた比較スペクトル計測値を示す。
図4は、本発明の第1の変形例の第1の例に従ってSRS検出装置の実施例(振幅変調)を示す。
図5Aは、第1の変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図5Bは、第1の変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図5Cは、第1の変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図6は、図4に示される装置の実施例において検出された信号(SRS信号およびアーティファクト)を示すテーブルである。
図7Aは、前方検出モードのための図4に示される装置の変形例を示す概略図である。
図7Bは、後方(または落射)検出モードのための図4に示される装置の変形例を示す概略図である。
図7Cは、前方繊維質検出モードのための図4に示される装置の変形例を示す概略図である。
図7Dは、内視鏡的検出モードのための図4に示される装置の変形例を示す概略図である。
図8Aは、図4に示されるような装置を使用して、非散乱サンプルで得られる第1の実験結果を示す概略図である。
図8Bは、図4に示されるような装置を使用して、非散乱サンプルで得られる第1の実験結果を示す概略図である。
図8Cは、図4に示されるような装置を使用して、非散乱サンプルで得られる第1の実験結果を示す概略図である。
図9Aおよび9Bは、図4に示されるような装置を使用して、散乱サンプルで得られる第2の実験結果を示す概略図である。
図9Cは、図4に示されるような装置を使用して、散乱サンプルで得られる第2の実験結果を示す概略図である。
図9Dは、図4に示されるような装置を使用して、散乱サンプルで得られる第2の実験結果を示す概略図である。
図9Eおよび9Fは、図4に示されるような装置を使用して、散乱サンプルで得られる第2の実験結果を示す概略図である。
図10Aは、図4に示されるような装置を使用して、生体組織から形成されたサンプルで得られる第3の実験結果を示す概略図である。
図10Bは、図4に示されるような装置を使用して、生体組織から形成されたサンプルで得られる第3の実験結果を示す概略図である。
図10Cは、図4に示されるような装置を使用して、生体組織から形成されたサンプルで得られる第3の実験結果を示す概略図である。
図11Aは、本発明の変形例を示す他の装置例である。
図11Bは、本発明の変形例を示す他の装置例である。
図12Aは、図11Aに示される装置の実施例において検出された信号(SRS信号およびアーティファクト)を示すテーブルである。
図12Bは、図11Bに示される装置の実施例において検出された信号(SRS信号およびアーティファクト)を示すテーブルである。
図13は、本発明の別の変形例(時間遅延変調)によるSRS検出装置の1つの実施例である。
図14Aは、図13に示される変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図14Bは、図13に示される変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図14Cは、図13に示される変形例によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図15は、図13に示される装置の実施例において検出された信号(SRS信号およびアーティファクト)を示すテーブルである。
図16Aは、一連のスペクトラム拡散パルスの源の1つの実施例を示す概略図である。
図16Bは、一連のスペクトラム拡散パルスの源の1つの実施例を示す概略図である。
図17Aは、スペクトラム拡散パルスを有し、第1の変形例(振幅変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図17Bは、スペクトラム拡散パルスを有し、第1の変形例(振幅変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図17Cは、スペクトラム拡散パルスを有し、第1の変形例(振幅変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図18Aは、スペクトラム拡散パルスを有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図18Bは、スペクトラム拡散パルスを有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図18Cは、スペクトラム拡散パルスを有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図19Aは、スペクトラム拡散パルスおよび時間遅延の変化を有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図19Bは、スペクトラム拡散パルスおよび時間遅延の変化を有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図19Cは、スペクトラム拡散パルスおよび時間遅延の変化を有し、第2の変形例(時間遅延変調)によるサンプル中の干渉を示す概略図である。
図20は、スペクトル拡散パルスを有し、本発明(時間遅延変調)の1つの変形例によるSRS検出装置の別の実施例である。
図21Aは、図20の例においてサンプル中の干渉を示す概略図である。
図21Bは、図20の例においてサンプル中の干渉を示す概略図である。
図21Cは、図20の例においてサンプル中の干渉を示す概略図である。

実施例

0036

図において、同一の要素は同一の参照記号によって示される。
図4は、振幅変調を実行し、本発明の1つの変形例による非線形共鳴SRS光学信号を検出するための装置の例を示している。

0037

検出装置10は、ΩRがサンプルSにおいて解析しようとする分子振動共鳴周波数である場合にω2 - ω1 = ω3 - ω2 = ΩRとなるように、角周波数ω1,ω2およびω3を中心とした一連のパルスを放射するための源20を含んでいる。パルスは、例えば、スペクトル幅が数cm−1のピコ秒パルスであるか、または以下に詳細に説明する周波数チャープパルスとすることもできる。通常、一連のパルスは、例えば数ピコ秒のパルスを含み、約1マイクロ秒の間に数十MHzの速度で、例えば80MHzの速度で放射される。

0038

1つの変形例によれば、放射源20は、角周波数ω2でのパルス列12を放射するマスタレーザ24と、OPO内の信号およびアイドラのパラメトリック発振に適した周波数逓倍パルス11をマスタレーザから受け取るOPO(光パラメトリック発振器レーザ22と、からなるレーザシステムを含んでいる。これは、アイドラおよび信号のそれぞれに対応する調整可能な角周波数ω1およびω3でのパルス列14および16を結果的にもたらす。本説明によれば、マスタレーザ24によって直接放射された“レーザ”光12およびOPOレーザ22によって放射された“アイドラ”14および“信号”16の光は、SRS画像化において直接利用可能である。具体的に、OPOのパラメトリック発振メカニズムは、OPOのパラメータを変更することによってΩが対象となる角周波数ΩRに設定される場合に、レーザ(ω2)、信号(ω3)およびアイドラ(ω1)パルスの角周波数がω2 - ω1 = ω3 - ω2 = Ωの条件を順守するということである。このため、パルス12の波長は約1064nmであり、周波数逓倍パルス13の波長は約532nmであり、アイドラおよび信号パルスの波長は、それぞれ、約1150〜2450nmの間と約690〜990nmの間とで調整可能である。角周波数ω1,ω2およびω3での3つのパルス列14,12,16がサンプル内で干渉するとき、レーザ光がストークスの役割を果たす一方で、レーザ/信号パルスの干渉において信号光がポンプの役割を果たし、レーザ光がポンプの役割を果たす一方で、レーザ/アイドラパルスの干渉においてアイドラ光がストークスの役割を果たす。

0039

図4の例において、信号およびアイドラの各チャネルでは、遅延線(それぞれ56および54)は、サンプルにおいて3つのパルス列を一時的に確実に重ねるために、3つのパルス列を一時的に同期させる。

0040

図4の例において、振幅変調は、同一の変調周波数であるが逆位相で信号およびアイドラのパルス列のそれぞれに実行され、サンプルにおいて、角周波数ω1およびω2での一連の光パルスと、角周波数ω2およびω3での一連の光パルスと、が変調周波数で交互に干渉することを可能にする。換言すれば、一定時間Tの間では角周波数ω1およびω2でのパルスのみが干渉し、続く一定時間の間では角周波数ω2およびω3でのパルスのみが干渉する。但し、ここで期間Tは変調周波数の逆数である。信号およびアイドラパルス列は、例えば、いずれも音響光学変調器(それぞれ36,34)で変調される。1MHzより好都合に高く、通常は1と40MHzとの間の周波数f1の音響光学変調器36の変調信号は、低周波数発生器30から送られる。同じ周波数f1の音響光学変調器34の変調信号は、同じ源から来るが信号およびアイドラパルス列が逆位相で変調されるように、電子遅延発生器32を用いて位相がオフセットされる。

0041

逆位相で(それぞれ角周波数ω1およびω3で)変調されたパルス列15および17を、例えば、ダイクロイックミラー64,66を用いて角周波数ω2でのレーザパルス列と合成して、その後、例えば、近赤外線(〜700−1300nm)において無彩色である顕微鏡対物42、例えば、開口数NA=0.45の顕微鏡対物を用いてサンプルS内の共通集束体に焦点を合わせる。より大きな開口数、例えば、NA=0.60の対物44は、サンプルから生じたパルス列を絞り込むことなく集束できる。サンプルから生じた角周波数ω2のパルス列18は、次に光学干渉フィルタ48でフィルタ処理され、その後、例えば、1064nmで反応するフォトダイオード70で検出する。その後、変調信号を、同期検波80によって検出し、同期検波から生じた信号を処理手段90で成形する。同期検波手段は、例えば、変調周波数f1でのアナログ同期検波を含むこともできる。あるいは、信号の同期検波を、光検出器から直接生じた信号のデジタル処理により、デジタル式に行ってもよい。好都合に、各信号およびアイドラチャネルにおいて、倍率が1の望遠鏡(図示せず)で信号およびアイドラ光の分散を調整することを可能にし、これにより対物の焦点での空間的な重なりを最適化する。例えば、倍率が3の望遠鏡69は、対物の背面の瞳を完全に埋めるために励起ビームの直径を拡大させることを可能にする。この場合、励起開口数は対物の製造者によって決められたものである。信号およびアイドラ光は、例えば、基本TEM00モードで励起され、これにより電界および磁界がいずれもこれらの信号の伝搬方向に対して垂直に延在し、3つのレーザ、信号およびアイドラ光は例えば、同一偏向方向で線形偏向されて、一様な媒体での信号の最適化を可能にする。

0042

1つの変形例によれば、モータ付台46は、装置をSRS画像化に適用するサンプル画像を形成するために、パルス列の共通焦点対物と相対してサンプルを移動させることを可能にする。集束および集光対物レンズ、また台46は、例えば、顕微鏡40の本体内に配置されている。集束対物レンズをサンプルを通って移動させるために、代わりに、励起ビームをスキャンするシステムを使用してもよい。SRS画像化の適用例において、処理手段90は、画像生成のために、さらに求められた特有信号をサンプル内での位置の関数として抽出することを可能にする。

0043

装置を分光法またはハイパースペクトル画像化に適用するために、アイドラおよび信号の角周波数ω1およびω3を変えることも可能であり、これによりSRS信号を分子振動周波数Ωの関数として精密に調査可能となる。処理手段90は、続いて求められた特徴付け信号をスペクトルを形成するための分子振動周波数Ωの関数として抽出することを可能にする。

0044

図5A〜5Cおよび図6は、本説明の変形例による検出方法の原理を図示しており、例えば、図4に示す装置を手段にして実現され、以下の記載では誘導ラマン・ゲイン対ロス検出(SRGOLD)方法と呼んでいる。

0045

図5Aは、“状態a”として表示する状態を示し、期間Tの間角周波数ω2でのパルスと角周波数ω1でのパルスとが重なる。この例におけるパルスは短パルス、例えば、ピコ秒パルスであり、一般に長さが100psより短い。図5Bは、“状態b”として表示する状態を示し、同じ期間Tの間角周波数ω2でのパルスと角周波数ω3でのパルスとが重なるが、状態aと交互に起きる。この例において、角周波数ω2−ω1とω3−ω2との差はΩRと等しいと見なされ、ここでΩRは、サンプルの分子振動モードの共鳴角周波数である。図4に示す装置で実施される方法のおかげで、図5Cに示すように、状態aおよびbはサンプル内で変調周波数f1で交互に起きる。

0046

図6は、サンプルにおいて角周波数ω3およびω2でのパルス列が干渉している間(“状態b”、列301:“SRG”)、角周波数ω1およびω2でのパルス列が干渉している間(列302:“SRL”)、状態bに対して180度位相シフトした角周波数ω1およびω2でのパルス列が干渉している間(“状態a”、列303:“SROL”)および実際に検出されたもの(列304:“SRGOLD”)で進行している物理機構を示している。

0047

まず(列301)、強度を時間の関数として曲線310で簡略して示す変調されていないレーザパルス列(12、図4)の干渉状態と、強度を時間の関数として曲線312で簡略して示す変調周波数f1で列が振幅変調された(17、図4)角周波数ω3でのパルス列、について検討する。これらの略図では、パルス列の包絡線のみを示す。この干渉において角周波数ω3(信号)でのパルスがポンプとしての役割を果たし、角周波数ω2でのレーザパルスがストークスとしての役割を果たしている。後者では、サンプル内での干渉の後に、ストークスパルスを減らしてエネルギー利得(SRG)が得られ、この利得は曲線314における強度変化ΔISRGとして簡略して示す。曲線316および318は、それぞれクロスカー効果および2−光子吸収によるアーティファクトの影響を図示している。この例において、クロスカー効果がレーザパルスの強度の増加をもたらす焦点効果として現れるものと想定し、この増加が変調周波数f1で変調されている。2−光子吸収は、変調周波数f1でのレーザパルスの強度の減少として現れる。

0048

次に、(列302)、強度を時間の関数として曲線320で簡略して示す変調されていないレーザパルス列の干渉状態と、強度を時間の関数として曲線322で簡略して示す変調周波数f1で列が振幅変調された角周波数ω1でのパルス列、について検討する。この干渉において角周波数ω1(アイドラ)でのパルスがストークスとしての役割を果たし、角周波数ω2でのレーザパルスがポンプとしての役割を果たしている。後者では、サンプル内での干渉の後に、曲線324における強度変化ΔISRLとして簡略して示す、エネルギー損失(SRL)が見られる。曲線326および328は、それぞれクロスカー効果および2−光子吸収によるアーティファクトの影響を図示している。角周波数ω3でのパルスがレーザパルスに集束させる(曲線316)クロスカー効果を生じさせると、角周波数ω1でのパルスもレーザパルスに集束させ、これにより後者の強度の増加を導き、この増加は変調周波数f1(曲線326)で変調される。上記のように、2−光子吸収は、変調周波数f1(曲線328)でのレーザパルスの強度の低下として現れる。このため、角周波数ω1およびω3でのパルス列が同相で振幅変調されると、誘導アーティファクトも同相となり、SRLおよびSRG変調は逆位相(曲線314と324を比較)となることが観察される。

0049

ここで、角周波数ω2でのレーザパルス列(曲線330、列303)が、その列が角周波数ω3でのパルス列(曲線332、列303)の変調に対して逆位相で振幅変調される、角周波数ω1でのパルス列と干渉するものと仮定する。この場合、レーザパルス列(曲線334)のSRL変調は、SRG変調(曲線314)と同相となるが、角周波数ω1(曲線336,338)でのパルス列に誘導されたアーティファクトは、角周波数ω3(曲線316,318)でのパルス列に誘導されたアーティファクトと逆位相となっている。“誘導ラマン・ゲイン対ロス検出”をSRGOLDとして命名した、本変形例による記載の方法は、角周波数ω1およびω3でのパルス列(曲線342、列304)を逆位相で振幅変調することと、変調周波数での同期検波により無変調レーザパルス列(曲線340)に誘導した変調を検出することを含んでいる。このような状況において、逆位相のアーティファクトは釣り合って(曲線346,348および列304参照)同期検波の際に消える。さらに、SRLおよびSRG信号は同相であり、以下の式に従って、同期検波(曲線344)の際に付加される。
ΔISRGOLD = ΔISRG + ΔISROL
= ΔISRG + ΔISRL x cos(180°)

0050

波長を無視して励起強度が同一であると仮定すると(サンプルに入射される角周波数ω1でのパルス強度は角周波数ω3でのパルス強度と同一である)、以下のように導くことができる。
ΔISRGOLD ≒ 2ΔISRG

0051

図4に示す検出装置10は、前方光学検出手段を含み、励起ビームは装置の空き空間を伝わる。図7Aから図7Dは、図4に示す検出手段の変形例をいくつか簡略して示す。各簡略図は部分的であり、理解に役立つ要素のみを示す。

0052

図7Aには、図4に示すものと類似した検出装置を示す。しかしながら、便宜上全ての要素を図示していない。具体的に、ブロック36は角周波数ω1でのパルス列が変調周波数f1で振幅変調されることを可能にするモジュールを表し、ブロック34は角周波数ω3でのパルス列が、角周波数ω1でのパルス列の変調とは逆位相で、変調周波数f1で振幅変調されることを可能にするモジュールを表す。以下の説明において、周波数f1と逆位相での変調を“−f1”として表す。

0053

図7Bには、図7Aに示す装置の変形例の一部を簡略して示し、この装置での光学検波は後方(または“落射”)モードにて行われる。この構成において、焦点化対物42は集束対物としての役割も果たし、検出する信号はサンプルによって後方散乱された信号である。この変形例における光学検出手段は、高速検出器70に加えて、角周波数ω2でのパルス列の反射を可能にする半透ダイクロイック板65を含むことができる。本記載による検出方法に基づいて、特に2−光子吸収および、SRS信号の集束対物としての機能を果たす対物42における変調絞り効果を誘導する、光学クロスカー効果から結果として生じるアーティファクトの効果は、上記に記載のように抑制されるが、有用なSRS信号は逓倍される。

0054

図7Cは、図7Aに示す装置の変形例の一部を簡略して示し、この装置では励起ビーム12,15,17の伝搬の少なくとも一部が繊維質モードで行われる。光学顕微鏡法の応用例において、特に光学部品が大きいため、また、光学部品の調整を容易にするために、例えば、光学繊維を介して装置内の光線を拡散させることが求められる。図7Cに示す例において、励起ビームの拡散は、焦点化対物42の上流に配置されている光学繊維60を用いて行われる。光学繊維は、例えば、単一モードの繊維である。対物61および63は、それぞれ、繊維の入口と出口で励起ビームを結合させることを可能にする。よって、本記載にて説明している検出方法は、上記にて説明したようにサンプル内での励起ビームの干渉から結果として生じるアーティファクトの影響を制限できるだけでなく、光学繊維60内での非線形作用から結果として生じる得る計測アーティファクトをも制限することを可能にする。具体的には、繊維内において拡散された光強度により、縮退4光波混合またはクロスカー効果等の非線形作用が繊維自体に現れることもあり、また、上記にて説明した同じ理由により変調周波数f1でのレーザパルスの減少を引き起し、これにより計測アーティファクトを生じる。角周波数ω1およびω3でのパルス列を同一周波数であるが逆位相で変調することにより、また、角周波数ω2での信号を検出するために同期検波を用いることにより、繊維内における非線形作用により生じるアーティファクトも抑制する。

0055

図7Dは、図7Aに示す装置の変形例の一部を簡略して示し、この装置では励起ビーム12,15,17の伝搬の少なくとも一部が繊維質モードで行われ、光学検出は内視鏡的検出モードで行われる。ここでは、例えば、サンプルSは生体媒質の深層部に対応する。検出は、後方または落射)検出モードで行われる。対象となる、サンプルによって後方散乱された角周波数ω2における非線形光学信号は、光学繊維60を通過した後にダイクロイックミラーを用いて高速検出器70へ搬送される。この検出モードでは、SRS信号の集束対物として機能する対物42による絞りに加えて、信号を光学繊維60で絞ってもよい。本記載による方法は、光学繊維による絞りの結果として生じるアーティファクトを含む、これら全てのアーティファクトを克服することを可能にする。

0056

図8A図8Cは、図4に示すような装置で、非散乱サンプルについて実施した検出方法の正当性を確認することを目的とした第1の実験結果を示す。

0057

図8Aには、クロロベンゼンレセプタクルで取得した、960と1120cm−1の間で生成された、3つのスペクトルを示す。クロスカー効果によるアーティファクト効果を確実に観察するために、角周波数ω2におけるレーザパルスの強度の50%を削減するように閉じられたダイヤフラムが検出器の上流に配置された。曲線501,502,503は、それぞれ、図6に示すような、SRG,SROLおよびSRGOLDモードを使用して生成したスペクトルを示す。より具体的に、SRGモードの曲線は角周波数ω1でのパルス列を削減して得られ、SROLモードの曲線は角周波数ω3でのパルス列を削減して得られ、SRGOLDモードの曲線は、角周波数ω1,ω3でのパルス列は逆位相で振幅変調された、角周波数ω1,ω2およびω3でのパルス列を液体レセプタクル内で干渉させて得られた。これらの実験には、結合器66(図4)の後で計測したレーザパルス列の平均光強度を90mWに設定して、角周波数ω1およびω3でのパルス列の平均光強度は50mWに設定され、これにより、アーティファクトの主な要素としてみなされる、角周波数ω1での各パルスで生成したクロスカー効果が、角周波数ω3でのパルスによって生じたクロスカー効果を正確に相殺した。この調整は、共鳴していないSRGOLD信号を、例えば、Ω=960−1で、ゼロ化することにより行うことができる。曲線501からわかるように、周波数f1における同期検波によって得た、レーザパルス列(ω2)と信号パルス列(ω3)、後者は周波数f1で振幅変調されている、とが干渉して生じたSRS信号のSRGスペクトルは、クロスカー効果と対応する負の寄生オフセットを含む。ここでカー効果は、レーザ光線にデフォーカスさせる効果として現れる。予想通り、レーザパルス列(ω2)とアイドラパルス列(ω1)、後者は逆位相の周波数f1で振幅変調されている、とが干渉して生じるSRS信号の、周波数f1における同期検波によって得たSROLスペクトル(曲線502)は、クロスカー効果に起因したSRG構成で見られたものと反対符号のオフセットを含む。SRGOLDモード(曲線503)において、レーザ信号の周波数f1での同期検波により、反対の符号を有して全スペクトル領域で相殺する、クロスカー効果に起因したアーティファクトの効果を抑制することを可能とする。これらの実験により、記載のSRGOLD方法を用いることにより、均一な媒体におけるクロスカー効果を完全に抑制できることを確認できた。

0058

図8Cは、上記のSRGOLD方法を確認する写真を示す。これらの実験では、図8Bに示すようなサンプルの共鳴時(Ω=1003cm−1)および非共鳴時(Ω=930cm−1)の一連の画像を撮像した。ここでサンプルは、2枚のスライドガラス410,412の間に配置された屈折率が1.54の指標液体411に浸水させた直径20μmのポリスチレンビーズ413を含んでいる。この実験は上記と同様に、検出器の上流に配置され、クロスカー効果を最大限検出できるように部分的に閉じたダイヤフラムを用いて行われた。レーザパルス列の平均光強度は、約160mWであり、(角周波数ω3での)信号パルス列の平均光強度は約70mWであった。(角周波数ω1での)アイドラパルス列の平均光強度を約30mWに調整することにより、アーティファクトを液体上で最小とした。図8Cには、SRG(511),SROL(512)およびSRGOLD(513)モードにおけるそれぞれ、変調されていないレーザ光線(514)と共に撮像して比較している、共鳴時のポリスチレンビーズの画像を示す。図8Cには、これらと同じ画像の非共鳴時のもの(それぞれ、画像521から524)を示す。“レーザ”画像は、ノイズの評価を可能にする参照画像であり、この画像は角周波数ω1,ω3でのパルス列を切断することによって得られる。アーティファクトは、共鳴、非共鳴時のいずれにおいてもSRGおよびSROL計測値にはっきりと存在しており、これらのアーティファクトは反対符号を有している。共鳴時のSRGOLD画像では、液体の寄与度はなくなり、ビーズからのSRS信号は、SRGおよびSROL画像(2つの寄与度は加算される)におけるものよりも強い。非共鳴時では、アーティファクトがSRGおよびSROL画像と比較して相当減少していることがわかる。液体の寄与度は全く消えている。ビーズのわずかな残存アーティファクト(SRG画像のアーティファクトと比較して10%より少ない)だけが計測された。

0059

図9A〜9Dは、生体組織の特徴により近い特徴を有する散乱サンプルで得た実験結果を示す。

0060

図9Aに示すサンプルは、図8Bに示すものと同一であるが、例えば、指標液体に浸水させたポリスチレンビーズを含んでいる容器の上に粘着テープを配置して、散乱414が施されている。今回は、装置にダイヤフラムを設けずに集束対物44の開口数が焦点対物42のそれよりも高くなるように選択された。画像505および506(図9B)には、それぞれ散乱体を有した状態と散乱体を有しない状態の集束対物の背面の瞳で得られたレーザ光線の画像を示す。破線の白円は対物の瞳の大きさを示す。散乱体が無いと、励起開口数よりも集束開口数の方が大きいためレーザ光線は絞り込まれることなかった。逆に、散乱体があると、サンプルから励起されたレーザ光線の角スペクトルを拡大させた。よって、集束対物の瞳は、ダイヤフラムの役割を果たした。このため、エネルギーの一部(約12.5%)が遮られた。図9Cおよび9Dは、SRG,SROL,SRGOLDおよびレーザ構成について、共鳴時(531〜534)と非共鳴時(541〜544)のポリスチレンビーズの画像を示す。これらの画像を得るために、電力を約50mW(レーザ)、50mW(アイドラ)および60mW(信号)とした。カラースケールは、アーティファクトを強調するように選択した。SRG(531,542)およびSROL(532,542)画像は、サンプルによる散乱に起因したクロスカー効果が検出されたことを示している。上記の実験でのように、SRGOLD画像(533,543)において液体の寄与度が消失して非共鳴時のビーズの寄与度が大幅に減少したことがわかる。

0061

ここで検討したラマン線(Ω=1003cm−1)がアーティファクトと比べて非常に強いことに注意されたい。図9Fには、上記と同一の、Ω=1034cm−1(画像551〜554)およびΩ=1041cm−1(画像561〜564)における散乱サンプルについて撮像した一連の50μmx50μm画像を示す。後者の周波数は1034cm−1でのラマン線の最大値に対してわずかにシフトしており(図9Eに示すポリスチレンのラマンスペクトル510を参照)、これにより、アーティファクトと同等の場合のラマン線のケースシミュレートするのを可能にする。この周波数については、計測値がクロスカー効果に支配されるためSRGおよびSROL画像(561,562)におけるポリスチレンビーズのコントラストは低い。これに対し、SRGOLD画像(563)におけるビーズのコントラストは、アーティファクトを減らして、SRS信号はSRGおよびSROL画像に対するものの2倍の強度としているため、はっきりしている。種々の画像は、レーザ光線および電子雑音に起因するノイズと同量のノイズの悪影響を受けていることに気づかれたい。

0062

図10A〜10Cには、本変形例によるSRGOLD方法に基づく、生物組織から取得した第1の結果を示す。生物組織は、マウス皮膚(厚さ20μmのサンプル)であった。図10Aには、観察領域白色光画像を示す。アーティファクトの補償は、白色光画像において0として示す点において非共鳴状態(1550cm−1)で実施された。この点は、任意に選択された。平均光強度は約33mW(レーザ)、40mW(アイドラ)および86mW(信号)であった。図10Bには、アミドスペクトル領域(1350〜1700cm−1)でのSRG(911,912)、SROL(912,922)、SRGOLD(913,923)スペクトルおよび参照レーザ(914,924)を示し、各スペクトルはそれぞれ、白色光画像に示す第1の点および第2の点で計測している。いずれの場合も、SRGおよびSROL計測値は非共鳴周波数(約1550cm−1)において符号が逆となり、これによりアーティファクトの存在を確認した。SRGOLDスペクトルにおけるアーティファクトの影響は低減された。

0063

図10Cには、種々の構成の:SRG,SROL,SRGOLDおよびレーザ(それぞれ、共鳴状態において571〜574と非共鳴状態において581〜584として表示した曲線)について、IIアミドと共鳴時(1450cm−1)と非共鳴時(1550cm−1)で撮った画像を示す。撮像領域は、図10Aにおける白色光画像にて破線で示している。共鳴時の場合、SRG(571)およびSROL(572)画像において組織を認識するのは難しく、SRGOLD画像(573)において白色光画像に似た組織が見られる。非共鳴時の場合、全体としてSRGOLD画像(583)はSRGおよびSROL画像よりも良好なゼロ信号を有する。これらの実験は、生物組織における散乱のSRS計測値への影響を示している。SRGOLD技術は、より良い空間的およびスペクトル的コントラストと、より良い特定性を得ることを可能にする。

0064

図4または7Aの装置を用いた記載の方法は、光信号(角周波数ω2でのパルス列)について変調周波数での同期検波を、簡単に実施することができるという利点があり、この実施には通常の市販部品を使用している。

0065

図11Aおよび11Bには、図4および7Aに示す装置の2つの変形例を示す。図12Aおよび12Bは、ぞれぞれ、図11Aおよび11Bに示す装置の実施例において検出した信号(SRS信号およびアーティファクト)を図示している表を示す。

0066

図11Aにおける例では、角周波数ω1(アイドラ)およびω3(信号)でのパルス列14および16は、互いに倍数ではない異なる変調周波数f2およびf1で振幅変調されて、これにより変調パルス列15,17を形成している。角周波数ω2(レーザ)でのパルス列12は変調されていない。このため、一方の角周波数ω2および(変調された)ω1でのパルス列と、他方の角周波数ω2および(変調された)ω3でのパルス列とがサンプル内で干渉する。上記の通り、サンプルから生じた角周波数ω2でのパルスは検出される。レーザ/信号パルスが干渉している間に関係している過程は、図12Aの列601に示すようにSRG過程である。曲線610は、変調されていないレーザパルス列を示し、曲線612は、角周波数ω3での、周波数f1にて変調されたパルス列を示す。これらの曲線において、各パルス列の包絡線のみを示している。これらの2つのパルス列の干渉によって生じるSRS信号は、変調周波数f1(曲線614)で変調される、正の強度変化ΔISRGを示す。アーティファクト(カー効果から結果として生じる寄与度が優位であると仮定される)は、同じ変調周波数f1(曲線616)で変調されて正数であると仮定される、強度変化ΔIArtifactsを示す。このため、変調周波数f1における同期検波により以下を満たす信号ΔI(f1)が得られる。
ΔI(f1) = ΔISRG + ΔIArtifacts

0067

さらに、レーザ/アイドラパルスが干渉している間に関係している過程は、図12Aの列602に示すようにSRL過程である。曲線620は、変調されていないレーザパルス列を示し、曲線622は、角周波数ω1での、周波数f2にて変調されたパルス列を示す。これらの2つのパルス列の干渉によって生じるSRL信号は、変調周波数f2(曲線624)で変調される、負の強度変化−ΔISRLを示す。アーティファクトは、同じ変調周波数f2(曲線626)で変調されて、SRG過程でのアーティファクトに起因した強度変化と同じ符号を有する、強度変化ΔIArtifactsを示す。サンプルに入射されるパルス列の平均光強度を調整することにより、両SRGおよびSRL過程において同じ値の強度変化ΔIArtifactsを得ることができる。このため、変調周波数f2における同期検波により以下を満たす信号ΔI(f2)が得られる。
ΔI(f2) = −ΔISRL + ΔIArtifacts

0068

変調周波数f1での同期検波および変調周波数f2での同期検波から生じた各信号の電子処理は、次に減算により有用な増幅SRS信号の取得を可能にするが、アーティファクトによる信号を相殺する。この方法は、同期検波から生じた各信号を加算することにより、全ての信号へのアーティファクトの寄与度を確定するためにも使用でき、別のコントラスト情報を得ることを可能にする。

0069

図11Bには、別の変形例を示し、ここでは角周波数ω1(アイドラ)およびω3(信号)におけるパルス列14および16は変調されず、代わりに角周波数ω2(レーザ)におけるパルス列12が周波数fにおいて振幅変調される。このため、一方の角周波数ω1および(変調された)ω2におけるパルス列と、他方の角周波数ω3および(変調された)ω2は、サンプル内で干渉する。上述の方法と異なり、このサンプルでは、一方の角周波数ω1においてサンプルから生じた各パルスと他方の角周波数ω2においてサンプルから生じた各パルスが検出される。このため、検出手段は、ダイクロイックミラー68で分離された2つの経路を有する。第1の経路におけるフィルタ47は、角周波数ω1における、高速光検出器71を用いて検出される、パルスのみを伝搬可能にする。第2の経路におけるフィルタ49は、角周波数ω3における、ここでも高速光検出器72を用いて検出される、パルスを伝搬可能にする。各経路では、各光検出器から生じた信号の同期検波を、変調周波数fにおいて行う。サンプル内におけるレーザ/信号パルスの干渉中に関係する過程はSRL過程であり、図12Bの列701に示す通りである。曲線710は、角周波数ω3における変調されていないパルス列を示し、曲線712はレーザパルス列を示し、後者の列は周波数fで変調されている。角周波数ω3(ポンプ)において計測されてこれらの2つのパルス列の干渉によって生じたSRL信号は、変調周波数f(曲線714)で変調される負の強度変化−ΔISRLを現す。上述の通り、各アーティファクトは同一変調周波数f(曲線716)で変調される強度変化ΔIArtifactsを現す。このため、変調周波数fにおける同期検波により以下の通り、信号ΔI(A)を得る。
ΔI(A) = -ΔISRL + ΔIArtifacts

0070

さらに、各レーザ/信号パルスの干渉中に関係する過程はSRG過程であり、図12Bの列702に示す通りである。曲線720は、角周波数ω1における変調されていないパルス列を示し、曲線722は、角周波数にω2おける周波数fで変調されているレーザパルス列を示す。今回、これらの2つのパルス列の干渉から生じる、角周波数ω1における(ストークス)パルスから計測されるSRG信号は、変調周波数f(曲線724)で変調される正の強度変化ΔISRGを現す。各アーティファクトは、SRL過程におけるアーティファクトによる強度変化と同じ符号の、同一変調周波数f(曲線726)で変調される強度変化ΔIArtifactsを現す。上述の通り、サンプルへ入射している各パルス列の平均光強度を調整することにより、SRGおよびSRL過程のいずれにおいても同一値の強度変化ΔIArtifactsを得ることができる。このため、変調周波数fにおける同期検波により以下の通り、信号ΔI(B)を得る。
ΔI(B) = ΔISRG + ΔIArtifacts

0071

変調周波数fでの、各経路における同期検波から生じた信号の電子処理は、次に減算により有用な増幅SRS信号の取得を可能にするが、アーティファクトによる信号を相殺する。この方法は、同期検波から生じた各信号を加算して、全ての信号へのアーティファクトの寄与度を確定するために使用することもできる。

0072

これまで記載した各例は、1つまたは2つのパルス列の振幅変調を実施している。本記載による方法は、また、角周波数ω2におけるレーザパルスと角周波数ω1およびω3におけるパルス列との間に導入した時間遅延の変調を用いて実施してもよい。

0073

よって、図13には、時間遅延変調を実施しているSRS検出装置に実施例を示す。図14A〜14Cには、この例におけるサンプルでの干渉を簡略して示し、図15には、図13における装置の実施例で検出した信号(SRS信号およびアーティファクト)を図示している表を示す。

0074

図13の装置において、角周波数ω1およびω3におけるパルス列に共通した経路に遅延線58が配置されている。代わりに、遅延線を(角周波数ω2の)レーザパルスの経路に配置することもできる。この遅延線は、図14Aおよび14Bを用いて説明しているように、変調周波数f1で変調された時間遅延を、角周波数ω1およびω3におけるパルスと角周波数ω2におけるパルスとの間に導入することを可能にする。遅延線は、光学経路に変化を導入することを可能にする。光学経路における変化は、2つの位置の間で機械的に得ることもできる。代わりに、遅延線は2つの光路長を生成するために2つの角度の間で交互に入れ替わる音響光学偏向器を含むこともできる。各アイドラおよび信号経路(例えば、図4における遅延線54,56参照)に固有の遅延線を調整することにより、角周波数ω1およびω3における各パルスの間に一組の遅延τを導入する。遅延線58(図13)の変調は、状態aおよびbが変調周波数f1(図14C)で交互に入れ替わるときに、時間T(図14A、状態a)の間、角周波数ω2およびω3における各パルスがサンプル内で重なるように、また、続く時間Tの間に角周波数ω1およびω2(図14B、状態b)における各パルスが重なるように、変調周波数f1で+/−Δtで変動する時間遅延の導入を可能にする。角周波数ω2におけるレーザパルスの同期検波により、次にサンプルの分子振動共鳴を特徴付ける信号の確認を可能にする。状態a(図15、列801)において、角周波数ω2(曲線810)およびω3(曲線814)における各パルスは、一時的に重なるが、角周波数ω1(曲線812)におけるパルスは一時的にシフトし、この結果、曲線816に図示するレーザパルスはSRG過程の対象となる。再び、この例において、アーティファクトは主にクロスカー効果に起因して、正の信号(曲線818)として現れるものと仮定する。状態b(図15、列802)において、角周波数ω2(曲線820)およびω1(曲線822)における各パルスは重なるが、角周波数ω3(曲線824)におけるパルスは一時的にシフトし、この結果、曲線826に図示するレーザパルスはSRL過程の対象となる。再びアーティファクトは、正の信号(曲線828)として現れる。上述の通り、サンプルへ入射するパルス列の平均光強度を調整することにより、SRGおよびSRL過程におけるアーティファクトに起因する各信号を同等にすることを可能にし、これは例えば、上記にて説明しているように共鳴していないSRGOLD信号をゼロ化することにより行われる。このため、変調周波数f1における同期検波が行われている間、角周波数にω2(図15、列803)でサンプルから生じたパルスについて、アーティファクトは相殺される(曲線838)が、有用なSRS信号は増幅される(曲線836)。図15において、曲線830,832および834は、上述のSRGOLD過程の変化を簡略して示す。角周波数ω2におけるパルス列は連続的(曲線830)に放射されるが、角周波数ω1およびω3におけるパルス列は変調された時間遅延の対象(曲線832,834)となる。遅延線の調整は変更可能であることに注意されたい。図13の例のように、ω1およびω3パルスに共通した経路において遅延線を設けること、または、角周波数ω2におけるパルスの経路に遅延線を設けることができる。この場合、各アイドラ/信号経路に固有の遅延線により、角周波数ω1およびω3における各パルスの間の遅れ2τを調整可能とする。あるいは、遅延線を専ら各アイドラ/信号経路に配置することもでき、ここでは各経路のうち一方の経路ではτ−Δtとτ+Δtとの間で、他方の経路では−τ−Δtと−τ+Δtとの間で一時的に遅延が変調される。

0075

図11A,11Bおよび13の例において採用した光学検出は、前方モード、後方(または落射)検出モードまたは内視鏡的検出モードで行われたが、上述の図7Bおよび7Dのような手段も使用できる。これらの装置でも、少なくとも一部を繊維化できる。

0076

図16〜20は、各パルスを周波数チャープとした場合の本記載方法の変形例を実施したものをより詳細に示す。

0077

図16Aおよび16Bは、スペクトラム拡散パルス列の源の実施例を簡略して示す。この源は、例えば、1064nmのパルス12を放射するNd:YVO等のマスタレーザ24および、約532nmの周波数倍増パルス11をマスタレーザから受け取るOPOレーザ22を有する、一般的に長さが200fsより短いパルスを生成する超短パルスOPO源20を含んでいる。OPOレーザは、光パラメトリック発振により角周波数ω1におけるアイドラパルス14と角周波数ω3における信号パルス16を放射する。各レーザ、信号およびアイドラ経路において、時間分散線(それぞれ、52,53,51)により、超短パルスが、通常は長さが100ピコ秒より短く、例えば、長さが数ピコ秒でありその角周波数が時間とともに中心角周波数のまわりを線形的に変化する時間的により長いパルス、に拡散されることを可能にする。このため、図16Bは、OPOから出力されるパルスを図示している。周知のように、時間分散線は拡散材料を含むことができ、例えば、ガラス製の棒またはプリズム、あるいはグレーティングコンプレッサである。

0078

図17A〜17Cには、各パルスが拡散スペクトルパルスの場合の、振幅変調に基づく本記載による方法の実施例におけるサンプル内での干渉を図示している。図5Aから5Cと比べて、各パルスは時間の関数としての傾斜した線形角周波数として現れる。しかしながら、SRGOLD方法の実施例は変更されていない。具体的に、各パルス列は所定の変調周波数で交互に干渉する。各時間において、ΩRをサンプルの分子振動共鳴周波数としたとき、状態ω2−ω1=ω3−ω2=ΩRとなることが考慮されて本記載による方法を実施可能にすることが観察される。この例において、分子振動共鳴周波数を厳密に調査可能とするように、一方の角周波数ω1およびω2におけるパルスと他方の角周波数ω2およびω3におけるパルスとの間に同一の時間シフトを、各パルス間における角周波数の変化と同等なパルス間にわずかな時間シフト、を導入することもできる。

0079

図18A〜18Cには、各パルスが拡散スペクトルパルスの場合の、時間遅延変調に基づく本記載による方法の実施例におけるサンプル内での干渉を図示している。ここでもまた、図13〜15に関連して特に記載している方法は周波数チャープパルスに適用される。特に分光法またはハイパースペクトル画像化への応用において、周波数チャープパルスを使用した場合、時間遅延を調整することで対象となる振動共鳴周波数を修正することも可能である。図18Aおよび18Bにおいては、2つの値、−Δt1と+Δt1との間で時間遅延を変調している。これは、一方の角周波数ω1とω2、また他方の角周波数ω2およびω3の間の差Ω1に対応する。図19A〜19Cにおいては、同様のパルスを示すが、2つの値、−Δt2と+Δt2との間で時間遅延を変調し、これは一方の角周波数ω1とω2、また他方の角周波数ω2およびω3の間の差Ω2に対応する。このため、時間遅延を変化させることにより振動共鳴スペクトル探ることを可能にする。

0080

図20には、本発明の別の例によるSRS検出装置の実施例を示し、時間遅延変調と拡散スペクトルパルスを実施している。この例において、パルス列放射源20は伸張器52を用いて時間に関して拡散した超短パルス列を放射し、これにより角周波数ω2を中心とした周波数チャープパルスを形成する。この装置はさらに、ダイクロイックビームスプリッタ67をさらに含み、これにより一方では角周波数ω2を中心としたパルスと、他方では各角周波数ω1およびω3を中心としたパルスを分離可能とする。そうして、角周波数ω2におけるパルス列と角周波数ω1およびにω3おけるパルス列との間の時間遅延変調が、図13等を参照して記載しているように、例えば、遅延線58を用いて可能となる。同様の同期検波方法はSRS信号の検出についても実施できる。

0081

図21A〜21Cには、図20の例におけるサンプル内での干渉を示している。図18Aから18Cに示すように、変調は、角周波数ω2におけるパルスと角周波数ω1およびω3におけるパルスとの間の時間遅延+/−Δtに対応する、状態aと状態bとの間で行われる。再び、この例では時間遅延Δtを変化させることにより対象となる振動共鳴Ωの角周波数を非常に容易に変更可能とすることが観察された。

0082

複数の詳細な実施例について記載しているが、本発明による検出装置および方法は種々の変更、改良および改善を含んでおり、これらの種々の変更、改良および改善は以下に定義した請求項等の記載の発明の範囲に含まれることは当業者に明らかであることを理解されたい。

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