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技術 金属ナノ粒子をベースとする潤滑剤組成物

出願人 トータル・マーケティング・サービシーズ
発明者 ビュッフェ・アラン
出願日 2014年4月18日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2016-508188
公開日 2016年5月30日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2016-515663
状態 特許登録済
技術分野 潤滑剤
主要キーワード オートマチックギヤ 積層シート状物 キャメロン 金属くず 上澄み相 含ホウ素 摩擦低減特性 積層シート状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年5月30日)のものです。
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図面 (3)

課題

良好な安定性を示すと同時に、良好な耐フレーキング性を示す潤滑剤組成物を提供する。

解決手段

潤滑剤組成物は、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の分散剤と、金属ナノ粒子とを含む。分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である。金属ナノ粒子の含有量は、潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%である。金属ナノ粒子は、多層構造又は積層シート状構造の同心多面体である。金属ナノ粒子を構成する金属は、例えば、タングステンモリブデンジルコニウムハフニウム白金レニウムチタンタンタルニオブ亜鉛セリウムアルミニウムインジウムおよび錫からなる群から選択されてもよい。

概要

背景

自動車トランスミッション装置は、高荷重下で且つ高速で動作する。そのため、トランスミッション装置に用いるオイルは、部品摩耗及び疲労から極めて効率良く保護できるもの、特に、ギヤの歯をフレーキング現象から保護できるものでなければならない。

摩耗現象は、可動部品同士の摩擦時に生じる、金属表面のアブレーション(abrasion)とフレッティング(fretting)とに相当する。

一方で、フレーキング現象は、摩耗現象とは異なる。フレーキング現象は、疲労による部品の劣化に相当し、長期間使用した後になって初めて目に見えるかたちで劣化として発生する。フレーキング現象は、表面から一定の深さの箇所に亀裂が生じることで始まり、そのような亀裂が成長し、やがて表面上に通常の亀裂が入ることにより、突如として薄片が剥がれ落ちる。

フレーキング現象を防ぐには、部品の形状を適宜選択することにより接触応力を減少させたり、密着を防ぐと同時に摩擦を低減させればよい。潤滑剤は、主に自身に配合された添加剤物理化学的な反応によって、その防止プロセスに関与する。

トランスミッションオイルにフレーキングに対する保護特性を付与する添加剤として、硫黄リン、リン/硫黄またはホウ酸塩を含む耐摩耗・極圧剤が知られている。なお、潤滑剤に配合されるその他の添加剤も、部品内部の亀裂の成長に(したがって、フレーキング現象に)良くも悪くも何らかの影響を及ぼし得る。

マニュアルギヤボックスでは、シンクロナイザーが存在するので、さらなる応力が発生する。事実、シンクロナイザーに含まれるコーンリング装置は、コーンとリングとの摩擦に関して高精度な制御を必要とする。したがって、その摩擦は、ギヤを同期させるのに十分であると同時に、シンクロナイザーがブロッキングしないようにコーンとリングとの係合解除可能でなければならない。

また、コーン−リング装置は、摩擦レベル部品形状と合っていない場合にも摩耗を生じる。

ただし、その摩擦レベルは、ギヤボックスに用いるオイルに摩擦調整剤を添加することによって調節可能である。

したがって、マニュアルギヤボックスに用いるオイル中に耐摩耗・極圧剤と摩擦調整剤とが同時に存在し、互いに部品表面に作用することで、摩擦レベルおよびフレーキング現象の両方に効果を奏し得る。

また、有機モリブデン系の摩擦調整剤化合物と、有機リンおよび/または有機硫黄および/または有機リン/硫黄を含む耐摩耗・極圧剤化合物とを潤滑剤組成物(オイル)に配合することにより、特にその潤滑剤組成物(オイル)の耐摩耗特性を向上させる技術が知られている。

それ以外の化合物のなかにも、機械部品(特に、エンジンの部品)を潤滑するうえで有用と考えられる化合物が報告されている。

ナノ粒子、特に金属ナノ粒子を、潤滑剤組成物に配合する技術が報告されている。例えば、特許文献1には、金属ナノ粒子を含む潤滑剤組成物であって、その金属ナノ粒子が、特に、リチウムカリウムナトリウム、銅、マグネシウムカルシウムバリウムまたはこれらの混合物ベースとする金属ナノ粒子である、潤滑剤組成物が記載されている。

特許文献2には、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態金属水酸化物ナノ粒子を含む組成物が開示されている。同文献の組成物は、内燃エンジンの潤滑および燃焼時に生じる酸の中和に利用される。

特許文献3には、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態の金属水酸化物ナノ粒子を混合してなるグリースの製造方法が記載されている。同文献の製造方法には、泡の形成を抑えて、環境リスクを減らし、かつ、反応時間を短くできるという利点がある。

特許文献4には、過塩基性又は中性清浄剤を製造する方法が記載されている。同文献の方法は、界面活性剤と、所与の組成物を含有する有機媒体とを利用し、その組成物は、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態の金属水酸化物ナノ粒子を含む。

特許文献5には、二硫化モリブデン及び二硫化タングステン粒子を製造する方法が記載されている。同文献の方法は、表面がで覆われているプレート間に二硫化モリブデン及び二硫化タングステンの混合物を通過・加圧することで構成される。ただし、同文献には、潤滑剤組成物に関する記載がない。

特許文献6には、分散剤および二硫化タングステンナノ粒子を含むエンジンオイルであって、エンジンの寿命延ばすと共に燃料消費量を減らすことが可能なエンジンオイルが記載されている。しかし、二硫化タングステンナノ粒子の含有量が15〜34%とされている。このような含有量は、組成物を不安定にするので、潤滑剤組成物、特にトランスミッション用の潤滑剤組成物には適さない。さらに、同文献には、オイルの耐フレーキング性についてどのような記載もなく、特に、自動車のトランスミッション装置との関連での耐フレーキング性についての記載がない。

特許文献7には、金属ナノ粒子をPIBSA(ポリイソブテニルコハク酸無水物)タイプのポリマー系分散剤の存在下で有機溶剤中に配合してなる分散液であって、その金属ナノ粒子が、特に、亜鉛ジルコニウムセリウムチタンアルミニウムインジウムまたは錫をベースとする金属酸化物ナノ粒子である、金属ナノ粒子分散液が記載されている。しかし、同文献は、潤滑剤組成物の分野に関する文献ではない。特に、同文献には、少なくとも1種の基油と金属ナノ粒子とを含む潤滑剤組成物が開示されていない。また、同文献に挙げられている有機溶剤も、潤滑特性を有するものでない。また、これらの有機溶剤は引火点が100℃未満なので、使用温度が100℃以上の潤滑剤用途での使用には適さない。さらに、同文献には、機械部品の耐フレーキング性についてどのような記載もなく、特に、自動車のトランスミッション装置との関連での耐フレーキング性についての記載がない。

以上に鑑みて、それ自体が安定であると共に、フレーキング現象、特にはトランスミッション装置のフレーキング現象、より特にはギヤボックスのフレーキング現象を抑えるか又はなくすことを可能にする潤滑剤組成物、特には自動車用の潤滑剤組成物を使用することが望ましい。

また、満足のいく摩擦特性を維持しつつ、良好な耐フレーキング性を示す潤滑剤組成物、特には自動車用の潤滑剤組成物を使用することが望ましい。

概要

良好な安定性を示すと同時に、良好な耐フレーキング性を示す潤滑剤組成物を提供する。潤滑剤組成物は、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の分散剤と、金属ナノ粒子とを含む。分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である。金属ナノ粒子の含有量は、潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%である。金属ナノ粒子は、多層構造又は積層シート状構造の同心多面体である。金属ナノ粒子を構成する金属は、例えば、タングステンモリブデン、ジルコニウム、ハフニウム白金レニウム、チタン、タンタルニオブ、亜鉛、セリウム、アルミニウム、インジウムおよび錫からなる群から選択されてもよい。なし

目的

本発明の目的の一つは、上記の短所の一部又は全体を解消する潤滑剤組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の分散剤と、金属ナノ粒子と、を含む、潤滑剤組成物であって、前記分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上であり、前記金属ナノ粒子の含有量は、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%であり、かつ、前記金属ナノ粒子は、多層構造又は積層シート状構造の同心多面体である、潤滑剤組成物。

請求項2

請求項1に記載の潤滑剤組成物において、金属ナノ粒子を構成する金属が、タングステンモリブデンジルコニウムハフニウム白金レニウムチタンタンタルニオブ亜鉛セリウムアルミニウムインジウムおよび錫からなる群から選択される、潤滑剤組成物。

請求項3

請求項1または2に記載の潤滑剤組成物において、金属ナノ粒子が、MoS2、MoSe2、MoTe2、WS2、WSe2、ZrS2、ZrSe2、HfS2、HfSe2、PtS2、ReS2、ReSe2、TiS3、ZrS3、ZrSe3、HfS3、HfSe3、TiS2、TaS2、TaSe2、NbS2、NbSe2およびNbTe2からなる群から選択される(好ましくはMoS2、MoSe2、WS2およびWSe2から選択され、より好ましくはWS2である)、潤滑剤組成物。

請求項4

請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、金属ナノ粒子の含有量が、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.05〜2重量%である(好ましくは0.1〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%である)、潤滑剤組成物。

請求項5

請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、金属ナノ粒子の平均サイズが、5〜600nmである(好ましくは20〜400nm、より好ましくは50〜200nmである)、潤滑剤組成物。

請求項6

請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、分散剤が、少なくとも1つのコハク酸イミド基を有する化合物ポリオレフィンオレフィンコポリマー、少なくとも1個のスチレン単位を含むコポリマーポリアクリレート、およびこれらの誘導体から選択される、潤滑剤組成物。

請求項7

請求項1から6のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、分散剤が、少なくとも1つの置換コハク酸イミド基を有する化合物、および少なくとも2つの置換コハク酸イミド基を有して且つこれら置換コハク酸イミド基同士が当該置換コハク酸イミド基のうちの窒素原子を有する環の頂点ポリアミン基により互いに連結されている化合物から選択される、潤滑剤組成物。

請求項8

請求項1から7のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、分散剤は、重量平均分子量が2,000〜15,000ダルトンである(好ましくは2,500〜10,000ダルトン、より好ましくは3,000〜7,000ダルトンである)、潤滑剤組成物。

請求項9

請求項1から8のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、分散剤は、さらに、数平均分子量が1,000ダルトン以上である(好ましくは1,000〜5,000ダルトン、より好ましくは1,800〜3,500ダルトン、より好ましくは1,800〜3,000ダルトンである)、潤滑剤組成物。

請求項10

請求項1から9のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、分散剤の含有量が、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.1〜10重量%である、潤滑剤組成物。

請求項11

請求項1から10のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、基油が、ポリαオレフィンエステル類(好ましくは、ポリオールエステル類)、およびこれらの混合物から選択される、潤滑剤組成物。

請求項12

請求項1から11のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物において、さらに、少なくとも1種のさらなる添加剤、を含み、当該少なくとも1種のさらなる添加剤は、ポリマー粘度指数向上剤酸化防止剤、およびこれらの混合物から選択され、かつ、前記ポリマー系粘度指数向上剤は、エチレンαオレフィンとのコポリマーから選択される(特には、エチレンとプロピレンとのコポリマーから選択される)、潤滑剤組成物。

請求項13

請求項12に記載の潤滑剤組成物において、さらなる添加剤が、酸化防止剤であり、当該酸化防止剤が、ジアルキルフェニルアミン類、フェノール系酸化防止剤、およびこれらの混合物から選択される、潤滑剤組成物。

請求項14

請求項1から13のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物を含むトランスミッションオイル

請求項15

請求項1から13のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の使用であって、ギヤボックスまたはアクスル(好ましくは、自動車のギヤボックス)を潤滑するための使用。

請求項16

請求項15に記載の潤滑剤組成物の使用であって、ギヤボックスがマニュアルギヤボックスである、使用。

請求項17

請求項1から13のいずれか一項に記載の潤滑剤組成物の使用であって、機械部品(好ましくはトランスミッション装置、より好ましくはギヤボックスまたはアクスル)のフレーキングを抑えるための使用。

請求項18

請求項17に記載の潤滑剤組成物の使用であって、ギヤボックスがマニュアルギヤボックスである、使用。

請求項19

二硫化タングステンナノ粒子と、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤と、を含む、添加剤濃縮物タイプの組成物

技術分野

0001

本発明は、潤滑剤の分野、特には自動車(motor vehicles)に用いられる潤滑剤の分野、より特には自動車のトランスミッション装置(components)に用いられる潤滑剤の分野に適用可能である。本発明は、金属ナノ粒子を含む潤滑剤組成物に関する。より特に好ましくは、本発明は、高い重量平均分子量を有する分散剤と金属ナノ粒子とを含む潤滑剤組成物に関する。本発明にかかる潤滑剤組成物は、良好な安定性を示すと同時に、良好な耐フレーキング性を示す。

0002

本発明は、さらに、上記の潤滑剤組成物を用いて機械部品フレーキングを抑える方法に関する。

0003

本発明は、さらに、高い重量平均分子量を有する分散剤と金属ナノ粒子とを含む添加剤濃縮物タイプの組成物に関する。

背景技術

0004

自動車のトランスミッション装置は、高荷重下で且つ高速で動作する。そのため、トランスミッション装置に用いるオイルは、部品摩耗及び疲労から極めて効率良く保護できるもの、特に、ギヤの歯をフレーキング現象から保護できるものでなければならない。

0005

摩耗現象は、可動部品同士の摩擦時に生じる、金属表面のアブレーション(abrasion)とフレッティング(fretting)とに相当する。

0006

一方で、フレーキング現象は、摩耗現象とは異なる。フレーキング現象は、疲労による部品の劣化に相当し、長期間使用した後になって初めて目に見えるかたちで劣化として発生する。フレーキング現象は、表面から一定の深さの箇所に亀裂が生じることで始まり、そのような亀裂が成長し、やがて表面上に通常の亀裂が入ることにより、突如として薄片が剥がれ落ちる。

0007

フレーキング現象を防ぐには、部品の形状を適宜選択することにより接触応力を減少させたり、密着を防ぐと同時に摩擦を低減させればよい。潤滑剤は、主に自身に配合された添加剤物理化学的な反応によって、その防止プロセスに関与する。

0008

トランスミッションオイルにフレーキングに対する保護特性を付与する添加剤として、硫黄リン、リン/硫黄またはホウ酸塩を含む耐摩耗・極圧剤が知られている。なお、潤滑剤に配合されるその他の添加剤も、部品内部の亀裂の成長に(したがって、フレーキング現象に)良くも悪くも何らかの影響を及ぼし得る。

0009

マニュアルギヤボックスでは、シンクロナイザーが存在するので、さらなる応力が発生する。事実、シンクロナイザーに含まれるコーンリング装置は、コーンとリングとの摩擦に関して高精度な制御を必要とする。したがって、その摩擦は、ギヤを同期させるのに十分であると同時に、シンクロナイザーがブロッキングしないようにコーンとリングとの係合解除可能でなければならない。

0010

また、コーン−リング装置は、摩擦レベル部品形状と合っていない場合にも摩耗を生じる。

0011

ただし、その摩擦レベルは、ギヤボックスに用いるオイルに摩擦調整剤を添加することによって調節可能である。

0012

したがって、マニュアルギヤボックスに用いるオイル中に耐摩耗・極圧剤と摩擦調整剤とが同時に存在し、互いに部品表面に作用することで、摩擦レベルおよびフレーキング現象の両方に効果を奏し得る。

0013

また、有機モリブデン系の摩擦調整剤化合物と、有機リンおよび/または有機硫黄および/または有機リン/硫黄を含む耐摩耗・極圧剤化合物とを潤滑剤組成物(オイル)に配合することにより、特にその潤滑剤組成物(オイル)の耐摩耗特性を向上させる技術が知られている。

0014

それ以外の化合物のなかにも、機械部品(特に、エンジンの部品)を潤滑するうえで有用と考えられる化合物が報告されている。

0015

ナノ粒子、特に金属ナノ粒子を、潤滑剤組成物に配合する技術が報告されている。例えば、特許文献1には、金属ナノ粒子を含む潤滑剤組成物であって、その金属ナノ粒子が、特に、リチウムカリウムナトリウム、銅、マグネシウムカルシウムバリウムまたはこれらの混合物ベースとする金属ナノ粒子である、潤滑剤組成物が記載されている。

0016

特許文献2には、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態金属水酸化物ナノ粒子を含む組成物が開示されている。同文献の組成物は、内燃エンジンの潤滑および燃焼時に生じる酸の中和に利用される。

0017

特許文献3には、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態の金属水酸化物ナノ粒子を混合してなるグリースの製造方法が記載されている。同文献の製造方法には、泡の形成を抑えて、環境リスクを減らし、かつ、反応時間を短くできるという利点がある。

0018

特許文献4には、過塩基性又は中性清浄剤を製造する方法が記載されている。同文献の方法は、界面活性剤と、所与の組成物を含有する有機媒体とを利用し、その組成物は、少なくとも1種の基油、少なくとも1種の分散剤、および結晶形態の金属水酸化物ナノ粒子を含む。

0019

特許文献5には、二硫化モリブデン及び二硫化タングステン粒子を製造する方法が記載されている。同文献の方法は、表面がで覆われているプレート間に二硫化モリブデン及び二硫化タングステンの混合物を通過・加圧することで構成される。ただし、同文献には、潤滑剤組成物に関する記載がない。

0020

特許文献6には、分散剤および二硫化タングステンナノ粒子を含むエンジンオイルであって、エンジンの寿命延ばすと共に燃料消費量を減らすことが可能なエンジンオイルが記載されている。しかし、二硫化タングステンナノ粒子の含有量が15〜34%とされている。このような含有量は、組成物を不安定にするので、潤滑剤組成物、特にトランスミッション用の潤滑剤組成物には適さない。さらに、同文献には、オイルの耐フレーキング性についてどのような記載もなく、特に、自動車のトランスミッション装置との関連での耐フレーキング性についての記載がない。

0021

特許文献7には、金属ナノ粒子をPIBSA(ポリイソブテニルコハク酸無水物)タイプのポリマー系分散剤の存在下で有機溶剤中に配合してなる分散液であって、その金属ナノ粒子が、特に、亜鉛ジルコニウムセリウムチタンアルミニウムインジウムまたは錫をベースとする金属酸化物ナノ粒子である、金属ナノ粒子分散液が記載されている。しかし、同文献は、潤滑剤組成物の分野に関する文献ではない。特に、同文献には、少なくとも1種の基油と金属ナノ粒子とを含む潤滑剤組成物が開示されていない。また、同文献に挙げられている有機溶剤も、潤滑特性を有するものでない。また、これらの有機溶剤は引火点が100℃未満なので、使用温度が100℃以上の潤滑剤用途での使用には適さない。さらに、同文献には、機械部品の耐フレーキング性についてどのような記載もなく、特に、自動車のトランスミッション装置との関連での耐フレーキング性についての記載がない。

0022

以上に鑑みて、それ自体が安定であると共に、フレーキング現象、特にはトランスミッション装置のフレーキング現象、より特にはギヤボックスのフレーキング現象を抑えるか又はなくすことを可能にする潤滑剤組成物、特には自動車用の潤滑剤組成物を使用することが望ましい。

0023

また、満足のいく摩擦特性を維持しつつ、良好な耐フレーキング性を示す潤滑剤組成物、特には自動車用の潤滑剤組成物を使用することが望ましい。

先行技術

0024

国際公開第2007/035626号
米国特許出願公開第2011/0152142号明細書
米国特許出願公開第2006/0100292号明細書
米国特許出願公開第2009/0203563号明細書
国際公開第2011/081538号
中国特許出願公開第101691517号明細書
欧州特許出願公開第1953196号明細書

発明が解決しようとする課題

0025

本発明の目的の一つは、上記の短所の一部又は全体を解消する潤滑剤組成物を提供することである。

0026

本発明の他の目的は、安定であり且つ簡単に使用可能な潤滑剤組成物を提供することである。

0027

本発明のさらなる他の目的は、潤滑方法、特には機械部品のフレーキング現象を抑えることが可能な潤滑方法、より特には自動車のトランスミッション装置のフレーキング現象を抑えることが可能な潤滑方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0028

したがって、本発明の主題の一つは、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の分散剤と、金属ナノ粒子とを含む潤滑剤組成物であって、前記分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上であり、前記金属ナノ粒子の含有量は、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%であり、かつ、前記金属ナノ粒子は、多層構造(multilayer structure)又は積層シート状構造(in sheets)の同心多面体である、潤滑剤組成物である。

0029

本発明において、分散剤の重量平均分子量は、ASTMD5296規格準拠して算出される。

0030

出願人は、少なくとも1種の基油と金属ナノ粒子とを含む潤滑剤組成物に、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である分散剤を配合することにより、驚くべきことに、その潤滑剤組成物の安定性を向上させるだけでなく、その組成物に極めて良好な耐フレーキング性を付与できることを見出した。

0031

これにより、本発明は、金属ナノ粒子の含有量を減らすことができるだけでなく、金属ナノ粒子の含有量の減少にもかかわらず、優れた耐フレーキング性を示すことのできる潤滑剤組成物の処方を可能にする。

0032

有利なことに、本発明にかかる潤滑剤組成物を使用することにより、金属ナノ粒子が機械部品に付着残存するリスク、特に、自動車のトランスミッション装置において付着残存するリスクを、大幅に減らすか又はなくすことができる。

0033

有利なことに、本発明にかかる潤滑剤組成物は、向上した貯蔵安定性を示し、かつ、粘度も全く又は僅かしか変化しない(全く又は実質的に変化しない)。

0034

有利なことに、本発明にかかる潤滑剤組成物は、満足のいく摩擦特性を維持することができる。

0035

一実施形態において、前記潤滑剤組成物は、少なくとも1種の基油と、少なくとも1種の分散剤と、金属ナノ粒子と、から本質的に構成される潤滑剤組成物であり、その分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上であり、その金属ナノ粒子の含有量は、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%である。

0036

本発明は、さらに、前記潤滑剤組成物を含むトランスミッションオイルに関する。

0037

本発明は、さらに、前記潤滑剤組成物の使用であって、ギヤボックスまたはアクスル車軸)、好ましくは自動車のギヤボックス、より好ましくはマニュアルギヤボックスを潤滑するための使用に関する。

0038

本発明は、さらに、前記潤滑剤組成物の使用であって、機械部品、好ましくはトランスミッション装置、より好ましくはギヤボックス、さらに好ましくはマニュアルギヤボックスのフレーキングを抑えるための使用に関する。

0039

本発明は、さらに、機械部品、好ましくはトランスミッション装置、より好ましくはギヤボックスまたはアクスルのフレーキングを抑える方法であって、その機械部品を前記潤滑剤組成物に接触させる工程を少なくとも含む方法に関する。

0040

本発明は、さらに、添加剤濃縮物タイプの組成物であって、少なくとも1種の分散剤と、二硫化タングステンナノ粒子とを含み、その分散剤は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である、添加剤濃縮物タイプの組成物に関する。

図面の簡単な説明

0041

閉ループ動力循環式試験機(closed-loop power circulation bench)を示す図であって、この試験機は、模擬ギヤボックス(111)、電気モータ(112)、トルクメータ(113)、トルク生成装置(114)、トルクを受ける試験対象ギヤボックス(115)、差動装置(116)、出力シャフト(117)、入力シャフト(118)、フレーキング形成を検出するシステム(119)、第5ギヤ(120)、バックギヤ(121)、第4ギヤ(122)、第3ギヤ(123)、第2ギヤ(124)、第1ギヤ(125)、および駆動ベルト(126)を備えている図である。
本発明にかかる組成物を用いて、閉ループ動力循環式試験機で試験を600時間実施した後の、ギヤボックスのハウジング写真である。
本発明でない組成物を用いて、閉ループ動力循環式試験機で試験を400時間実施した後の、ギヤボックスのハウジングの写真である。

0042

以降で述べる百分率数値は、有効成分の質量%の数値に対応する。

0043

(金属ナノ粒子)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、金属ナノ粒子の含有量が、当該潤滑剤組成物の総重量に対して0.01〜2重量%である。

0044

「金属ナノ粒子」とは、特に、一般的に固体であり、かつ、平均サイズが600nm以下である金属粒子のことを言う。

0045

好ましくは、前記金属ナノ粒子は、当該ナノ粒子の総質量に対して、80質量%以上の少なくとも1種の金属、80質量%以上の少なくとも1種の金属合金、または80質量%以上の少なくとも1種の金属カルコゲナイド(特には、少なくとも1種の遷移金属カルコゲナイド)によって構成されている。

0046

より好ましくは、前記金属ナノ粒子は、当該ナノ粒子の総質量に対して、90質量%以上の少なくとも1種の金属、90質量%以上の少なくとも1種の金属合金、または90質量%以上の少なくとも1種の金属カルコゲナイド(特には、少なくとも1種の遷移金属カルコゲナイド)によって構成されている。

0047

さらに好ましくは、前記金属ナノ粒子は、当該ナノ粒子の総質量に対して、99質量%以上の少なくとも1種の金属、99質量%以上の少なくとも1種の金属合金、または99質量%以上の少なくとも1種の金属カルコゲナイド(特には、少なくとも1種の遷移金属カルコゲナイド)によって構成されており、かつ、残りの1質量%が不純物によって構成されている。

0048

好ましくは、前記金属ナノ粒子を構成する金属は、タングステンモリブデン、ジルコニウム、ハフニウム白金レニウム、チタン、タンタルニオブ、亜鉛、セリウム、アルミニウム、インジウムおよび錫からなる群から選択される。

0049

前記金属ナノ粒子は、球、ラメラファイバーチューブおよびフラーレン型構造の、いずれの形態であってもよい。

0050

好ましくは、本発明にかかる組成物中において使用される金属ナノ粒子は、フラーレン型構造(又はフラーレン類似構造)を有する固体の金属ナノ粒子であり、かつ、式:MXn(式中、Mは遷移金属であり、Xはカルコゲンであり、nは遷移金属Mの酸化状態に応じて2又は3である。)で表される。

0051

好ましくは、Mは、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、白金、レニウム、チタン、タンタルおよびニオブからなる群から選択される。

0052

より好ましくは、Mは、モリブデンおよびタングステンからなる群から選択される。

0053

さらに好ましくは、Mは、タングステンである。

0054

好ましくは、Xは、酸素、硫黄、セレンおよびテルルからなる群から選択される。

0055

より好ましくは、Xは、硫黄またはテルルから選択される。

0056

さらに好ましくは、Xは、硫黄である。

0057

好ましくは、本発明にかかる金属ナノ粒子は、MoS2、MoSe2、MoTe2、WS2、WSe2、ZrS2、ZrSe2、HfS2、HfSe2、PtS2、ReS2、ReSe2、TiS3、ZrS3、ZrSe3、HfS3、HfSe3、TiS2、TaS2、TaSe2、NbS2、NbSe2およびNbTe2からなる群から選択される。

0058

より好ましくは、本発明にかかる金属ナノ粒子は、WS2、WSe2、MoS2およびMoSe2からなる群から選択され、さらに好ましくはWS2およびMoS2からなる群から選択され、なおいっそう好ましくはWS2である。

0059

好ましくは、本発明にかかるナノ粒子は、フラーレン型構造を有する。

0060

原則的には、「フラーレン」という表現は、炭素原子で構成された閉凸多面体ナノ構造のことを指す。フラーレンは、六員環同士が連結してなる複数のシートで構成されたグラファイトと類似するが、五員環を含んでおり(七員環を含んでいる場合もある)、その五員環や七員環によって平面構造とはならない。

0061

フラーレン型構造の研究により、この種の構造が炭素含有物質だけでなく、積層シート状物質のどのナノ粒子によっても生成され得ること、特に、カルコゲンと遷移金属とで構成されるナノ粒子の場合に生成可能であることが判明した。このような構造は、炭素フラーレンに類似していることから、無機フラーレン又はフラーレン型構造と称される(あるいは、「無機フラーレン類似物質」とも称され、「IF」と略される)。フラーレン型構造については、特に、Tenne, R., Margulis, L., Genut M. Hodes, G. Nature 1992, 360, 444で説明されている。さらに、フラーレン型構造およびその合成方法については、特に、欧州特許出願公開第0580019号明細書にも記載されている。

0062

これらの金属ナノ粒子は、閉じた構造、特に球形状の閉じた構造を有する。なお、その真球度は、使用する合成方法によって上下する。本発明にかかるナノ粒子は、多層構造又は積層シート状構造の同心多面体であり、その構造は「オニオン」(onion)構造、あるいは、「入れ子多面体」(nested polyhedron)構造とも称される。

0063

「多層構造又は積層シート状構造の同心多面体」とは、より特に好ましくは略球(球状)の多面体であって、相異なる各層が同じ球中心を有する様々な球を構成している多面体のことを意味する。

0064

本発明にかかるナノ粒子の多層構造又は積層シート状構造は、特に好ましくは透過型電子顕微鏡TEM)によって決定することができる。

0065

本発明の一実施形態において、前記金属ナノ粒子は、2〜500層、好ましくは20〜200層、より好ましくは20〜100層を有する多層構造の金属ナノ粒子である。

0066

本発明にかかるナノ粒子の層数は、特に好ましくは透過型電子顕微鏡によって決定することができる。

0067

本発明にかかる金属ナノ粒子の平均サイズは、5〜600nmであり得て、好ましくは20〜400nm、より好ましくは50〜200nmである。本発明にかかる金属ナノ粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡で得られた画像を用いて決定することもできるし、あるいは、高分解能透過型電子顕微鏡で得られた画像を用いて決定することもできる。例えば、粒子の平均サイズは、透過型電子顕微鏡写真によって可視化された最低50個の固体粒子のサイズを測定することにより求めることができる。これら固体粒子のサイズ測定値の分布ヒストグラムにおける中央値が、本発明にかかる潤滑剤組成物中において使用される固体粒子の平均サイズとなる。

0068

本発明の一実施形態において、本発明にかかる金属ナノ粒子の一次粒子における平均直径は、10〜100nm、好ましくは30〜70nmである。

0069

本発明にかかるナノ粒子の平均直径は、特に好ましくは透過型電子顕微鏡によって決定することができる。

0070

好ましくは、前記金属ナノ粒子の含有量は、前記潤滑剤組成物の総重量に対して0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。

0071

本発明にかかる金属ナノ粒子として、例えば、Nanomaterials社から販売されているNanoLub Gear Oil Concentrate等を利用することができる。特に、NanoLub Gear Oil Concentrateは、二硫化タングステンの多層ナノ粒子を鉱油又はPAO(ポリαオレフィン)系油中に配合してなる分散液の形態で上市されている。

0072

(分散剤)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を含む。

0073

本発明において、分散剤の重量平均分子量は、ASTMD5296規格に準拠して算出する。

0074

本発明において「分散剤」とは、より特に好ましくは金属ナノ粒子が懸濁状態で維持されることを確実にする、あらゆる化合物のことを意味する。

0075

本発明の一実施形態において、前記分散剤は、少なくとも1つのコハク酸イミド基を有する化合物、ポリオレフィンオレフィンコポリマー(OCP)、少なくとも1つのスチレン単位を含むコポリマーポリアクリレート、およびこれらの誘導体から選択される。

0076

「誘導体」とは、上記の少なくとも1つの置換基を有するか又は上記の高分子鎖を含む、あらゆる化合物のことを意味する。

0077

好ましくは、本発明にかかる分散剤は、少なくとも1つのコハク酸イミド基を有する化合物から選択される。

0078

本発明の好ましい一実施形態において、前記分散剤は、少なくとも1つの置換コハク酸イミド基を有する化合物、および少なくとも2つの置換コハク酸イミド基を有して且つこれら置換コハク酸イミド基同士が当該置換コハク酸イミド基のうちの窒素原子を有する環の頂点(vertex)でポリアミン基により互いに連結されている化合物から選択される。

0079

本発明において「置換コハク酸イミド基」とは、少なくとも1つの環の炭素原子頂点が、炭素数8〜400の炭化水素基によって置換されているコハク酸イミド基のことを意味する。

0080

本発明の好ましい一実施形態において、前記分散剤は、ポリイソブチレンコハク酸イミド−ポリアミンから選択される。

0081

好ましくは、前記分散剤は、下記の式(I)又は下記の式(II)で表される置換コハク酸イミドである。

0082

0083

0084

[式中、
● xは、1〜10の整数(好ましくは、2、3、4、5または6)であり、
● yは、2〜10の整数であり、
● R1は、水素原子、炭素数2〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、O、NおよびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素数2〜20のヘテロアルキル基、炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基、あるいは、式:−(CH2)x−O−(CH2)x−OHで表される置換基であり、
● R2は、炭素数8〜400(好ましくは、炭素数50〜200)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数8〜400(好ましくは、炭素数50〜200)のアリール基、炭素数8〜400(好ましくは、炭素数50〜200)の直鎖状又は分岐鎖状のアリールアルキル基、あるいは、炭素数8〜400(好ましくは、炭素数50〜200)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルアリール基であり、
● R3およびR4は、同一又は異なり、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜25の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜12のヒドロキシ化アルケニル基、あるいは、炭素数2〜12のアミノ化アルケニル基である。]

0085

好ましくは、前記分散剤は、上記の式(I)又は上記の式(II)で表される置換コハク酸イミドのうち、R2がポリイソブテニル基である置換コハク酸イミドである。

0086

より好ましくは、前記分散剤は、上記の式(II)で表される置換コハク酸イミドのうち、R2がポリイソブテニル基である置換コハク酸イミドである。

0087

さらに好ましくは、前記分散剤は、上記の式(II)で表される置換コハク酸イミドのうち、
● R1が、式:−(CH2)x−O−(CH2)x−OHで表される置換基であり、
● R2がポリイソブテニル基であり、
● xが2であり、
● yが5である、
置換コハク酸イミドである。

0088

好ましくは、本発明にかかる分散剤は、重量平均分子量が2,000〜15,000ダルトン、より好ましくは2,500〜10,000ダルトン、さらに好ましくは3,000〜7,000ダルトンである。

0089

好ましくは、前記分散剤は、さらに、数平均分子量が1,000ダルトン以上、より好ましくは1,000〜5,000ダルトン、さらに好ましくは1,800〜3,500ダルトン、なおいっそう好ましくは1,800〜3,000ダルトンである。

0090

本発明において、分散剤の数平均分子量は、ASTMD5296規格に準拠して算出する。

0091

本発明の好ましい一実施形態において、重量平均分子量が2,000ダルトン以上である前記分散剤の含有量は、前記潤滑剤組成物の総重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。

0092

本発明にかかる分散剤として、例えば、Oronite社から販売されているOLOA13000等が挙げられる。

0093

(その他の構成成分)
(基油)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、潤滑剤基油として、鉱物由来の基油(鉱物基油)、合成由来の基油(合成基油)、天然由来の基油(天然基油;動物由来植物由来のもの)等といったあらゆるタイプの基油を、その時々の用途に応じて含み得る。

0094

本発明にかかる基油は、以下にまとめたAP分類グループ1〜5の鉱物由来又は合成由来の基油(あるいは、ATIEL分類の等価物)の、一種または混合物(基油混合物)であり得る。本発明にかかる潤滑剤組成物中において使用される基油または基油混合物は、さらに、ATIEL分類のグループ6の合成由来の基油から選択されてもよい。なお、このAPI分類は、米国石油協会から2012年9月刊行の1509 “Engine oil Licensing and Certification System” 17th editionに記載されている。

0095

0096

本発明にかかる鉱物基油には、原油常圧蒸留減圧蒸留した後、精製工程(溶剤抽出脱アスファルト溶剤脱ろう水添処理水素化分解水素化異性化水素化仕上げ等)を行うことによって得られるあらゆるタイプの基油が含まれる。

0097

本発明にかかる潤滑剤組成物中の基油は、例えば、ポリαオレフィン(PAO)、カルボン酸アルコールとの所定のエステル類(特に、ポリオールエステル類)等の合成基油であってもよい。

0098

ポリαオレフィンを基油として使用する場合、そのポリαオレフィンは、例えば、炭素数4〜32のモノマー(例えば、オクテンデセン等)から得られる、100℃における粘度(ASTMD445規格に準拠した測定値)が1.5〜15cStのポリαオレフィンとされる。また、合成基油と鉱物基油との混合物が使用されてもよい。

0099

本発明にかかる潤滑剤組成物を調製するために使用する潤滑剤基油としては、ギヤボックス(特には自動車のギヤボックス、より特にはマニュアルギヤボックス)への用途に適した特性(特に、粘度、粘度指数、硫黄分、耐酸化性等)を備えたものであれば、特定の潤滑剤基油に限定されない。

0100

好ましくは、前記基油は、引火点が150℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは190℃以上である。

0101

好ましくは、前記基油は、API分類のグループ1の基油、グループ2の基油、グループ3の基油、グループ4の基油、グループ5の基油(あるいは、ATIEL分類の等価物)、およびこれらいずれかの混合物から選択される。前記基油は、さらに、ATIEL分類のグループ6の基油から選択されてもよい。

0102

本発明の一実施形態において、前記基油は、API分類のグループ3の基油、グループ4の基油、グループ5の基油、およびこれらいずれかの混合物からなる群から選択される。

0103

本発明の好ましい一実施形態において、前記基油は、API分類のグループ4の基油とグループ5の基油との混合物である。

0104

本発明の好ましい一実施形態において、前記基油は、ポリαオレフィン(PAO)、エステル類(好ましくは、ポリオールエステル類)、およびこれらいずれかの混合物から選択される。

0105

本発明のより好ましい一実施形態において、前記基油は、少なくとも1種のポリαオレフィンと少なくとも1種のエステル(好ましくは、ポリオールエステル)との混合物である。

0106

本発明の一実施形態において、前記単一の基油または複数の基油混合物の含有量は、前記潤滑剤組成物の総質量に対して50質量%以上、好ましくは60質量%以上あるいは70質量%以上である。典型的には、前記単一の基油または複数の基油混合物の含有量は、本発明にかかる潤滑剤組成物の総重量に対して75〜99.89重量%となる。

0107

好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、100℃での動粘度が、ASTMD445規格に準拠した測定値で、SAEJ306に規定の分類に従って4〜41cSt、より好ましくは4.1〜32.5cStである。

0108

好適な粘度グレードは、SAE75WからSAE 140までの全ての粘度グレードであり、なかでもSAE 75W、SAE 75W−80およびSAE 75W−90が特に好ましい。

0109

好ましくは、本発明にかかる潤滑剤組成物は、粘度指数(VI)が、95(ASTM2270規格に準拠した測定値)を超える。

0110

好ましい一実施形態において、本発明の他の主題は、本発明にかかる潤滑剤組成物を含むトランスミッションオイルである。

0111

潤滑剤組成物について説明する全ての特性および好適な構成は、本発明にかかるトランスミッションオイルにも当てはまる

0112

(さらなる添加剤)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、さらに、トランスミッションオイルを処方するのに適した、あらゆる種類の添加剤を含み得る。例えば、そのような添加剤として、他種の(さらなる)分散剤、ポリマー粘度指数向上剤酸化防止剤腐食防止剤、摩擦調整剤、および消泡剤から選択される少なくとも1種の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は混合物の形態で、トランスミッションオイル用途において通常必要とされる含有量で配合される。

0113

前記他種の(さらなる)分散剤は、前述した重量平均分子量が2,000ダルトン以上である分散剤とは異なる種類の分散剤から選択される。

0114

前記他種の(さらなる)分散剤は、特に懸濁状態の維持、および潤滑剤組成物の使用時に発生する酸化副生成物及び燃焼残渣すす)で構成される不溶性固体不純物の除去を確実にすることができる。

0115

本発明の一実施形態において、前記他種の(さらなる)分散剤は、上記の式(I)又は上記の式(II)で表される重量平均分子量が2,000ダルトン以上である化合物とは異なるコハク酸イミド類、およびマンニッヒ塩基類からなる群から選択される。

0116

一実施形態において、本発明にかかる潤滑剤組成物は、さらに、少なくとも1種のさらなる添加剤を含み、当該少なくとも1種のさらなる添加剤は、ポリマー系粘度指数向上剤、酸化防止剤、およびこれらの混合物から選択される。

0117

前記ポリマー系粘度指数向上剤は、本発明にかかる分散剤とは異なるポリマーから選択され得る。

0118

前記ポリマー系粘度指数向上剤は、せん断安定性に優れたポリマーからなる群から選択され得て、好ましくはエチレンαオレフィンとのコポリマーからなる群から選択されて、特にはエチレン/プロピレンのコポリマーからなる群から選択される。

0119

本発明の好ましい一実施形態において、前記さらなる添加剤は、ポリマー系粘度指数向上剤であり、当該ポリマー系粘度指数向上剤は、エチレンとαオレフィンとのコポリマーから選択される。

0120

前記酸化防止剤は、含アミ系酸化防止剤(好ましくはジフェニルアミン類、特にはジアルキルフェニルアミン類、例えばオクタジフェニルアミン類、フェニル−α−ナフチルアミン類等)、フェノール系酸化防止剤ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)および誘導体]、ならびに含硫黄系酸化防止剤(硫化フェネート類)から選択され得る。

0121

本発明の好ましい一実施形態において、前記さらなる添加剤は、酸化防止剤であり、当該酸化防止剤が、ジアルキルフェニルアミン類、フェノール系酸化防止剤、およびこれらの混合物から選択される。

0122

前記摩擦調整剤は、金属元素を供給する(ただし、本発明にかかる金属ナノ粒子とは異なる)化合物であってもよいし、無灰化合物であってもよい。金属元素を供給する化合物として、Mo、Sb、Sn、Fe、Cu、Zn等の遷移金属の錯体が挙げられ、このような遷移金属錯体配位子酸素原子含有炭化水素化合物、窒素原子含有炭化水素化合物硫黄原子含有炭化水素化合物又はリン原子含有炭化水素化合物であってもよい。前者の摩擦調整剤として、例えば、モリブデンジチオカルバメート類、モリブデンジチオホスフェート類等が挙げられる。後者の無灰摩擦調整剤は、有機由来の摩擦調整剤であり、脂肪酸(fatty acids)とポリオールとのモノエステル類、アルコキシ化アミン類、アルコキシ化脂肪アミン類(alkoxylated fatty amines)、アミンホスフェート類、脂肪アルコール類(fatty alcohols)、脂肪エポキシド類(fatty epoxides)、含ホウ素脂肪エポキシド類(borated fatty epoxides)、脂肪アミン類(fatty amines)、および脂肪酸(fatty acid)のグリセロールエステル類から選択され得る。本発明において「脂肪(fatty)」とは、炭素数8〜24の炭化水素基のことを意味する。

0123

本発明の好ましい一実施形態において、前記さらなる添加剤は、摩擦調整剤であり、当該摩擦調整剤は、モリブデンジチオカルバメート類、アミンホスフェート類、および脂肪アルコール類(fatty alcohols)から選択される、一種または混合物である。

0124

前記腐食防止剤は、フェノール誘導体から選択され得て、特にはエトキシ化フェノール誘導体、そしてオルト位アルキル置換基を有するものから選択される。前記腐食防止剤は、ジメルカプトチアジアゾール誘導体であり得る。

0125

本発明の好ましい他の実施形態において、前記さらなる添加剤は、酸化防止剤とポリマー系粘度指数向上剤との混合物を含み、当該ポリマー系粘度指数向上剤は、エチレン/αオレフィンのコポリマーからなる群から選択され、特にはエチレン/プロピレンのコポリマーからなる群から選択される。

0126

本発明の好ましいさらなる他の実施形態において、前記さらなる添加剤は、アミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤とポリマー系粘度指数向上剤との混合物を含み、当該ポリマー系粘度指数向上剤は、エチレンとαオレフィンとのコポリマーから選択される。

0127

本発明の一実施形態において、質量比(金属ナノ粒子/分散剤)は、1/50〜10/1であり、好ましくは1/50〜5/1、より好ましくは1/30〜5/1、さらに好ましくは1/10〜5/1である。

0128

本発明のさらなる他の主題は、
−少なくとも1種の基油を50〜99.89%と、
−金属ナノ粒子を0.01〜2%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を0.1〜10%と、
を含む、潤滑剤組成物である。

0129

基油について説明した全ての特性および好適な構成、金属ナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、ならびに分散剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この潤滑剤組成物にも当てはまる。

0130

一実施形態において、本発明のさらなる他の主題は、
−少なくとも1種の基油を50〜99.79%と、
−金属ナノ粒子を0.01〜2%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を0.1〜10%と、
−少なくとも1種のさらなる添加剤を0.1〜10%(好ましくは2〜5%、特には3.5%)と、
を含む、潤滑剤組成物である。

0131

基油について説明した全ての特性および好適な構成、金属ナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、分散剤について説明した全ての特性および好適な構成、ならびにさらなる添加剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この潤滑剤組成物にも当てはまる。

0132

本発明のさらなる他の主題は、
−少なくとも1種の基油を50〜99.9%と、
−金属ナノ粒子を0.01〜2%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を0.1〜10%と、
から本質的に構成される、潤滑剤組成物である。

0133

基油について説明した全ての特性および好適な構成、金属ナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、ならびに分散剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この潤滑剤組成物にも当てはまる。

0134

一実施形態において、本発明のさらなる他の主題は、
−少なくとも1種の基油を50〜99.79%と、
−金属ナノ粒子を0.01〜2%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を0.1〜10%と、
−少なくとも1種のさらなる添加剤を0.1〜10%(好ましくは2〜5%、特には3.5%)と、
から本質的に構成される、潤滑剤組成物である。

0135

基油について説明した全ての特性および好適な構成、金属ナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、分散剤について説明した全ての特性および好適な構成、ならびにさらなる添加剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この潤滑剤組成物にも当てはまる。

0136

本発明のさらなる他の主題は、
−二硫化タングステンナノ粒子を1〜15%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を5〜99%と、
を含む、添加剤濃縮物タイプの組成物である。

0137

二硫化タングステンナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、ならびに分散剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この組成物にも当てはまる。好ましくは、二硫化タングステンナノ粒子は、フラーレン型構造を有する。

0138

一実施形態において、本発明は、
−二硫化タングステンナノ粒子を1〜15%と、
−重量平均分子量が2,000ダルトン以上である少なくとも1種の分散剤を15〜89%と、
−少なくとも1種のさらなる添加剤を10〜59%と、
を含む、添加剤濃縮物タイプの組成物に関する。

0139

二硫化タングステンナノ粒子について説明した全ての特性および好適な構成、分散剤について説明した全ての特性および好適な構成、ならびにさらなる添加剤について説明した全ての特性および好適な構成は、この組成物にも当てはまる。好ましくは、二硫化タングステンナノ粒子は、フラーレン型構造を有する。

0140

本発明の一実施形態では、本発明にかかる添加剤濃縮物タイプの組成物に、少なくとも1種の基油を添加することにより、本発明にかかる潤滑剤組成物が得られる。好ましくは、そのような基油は、API分類のグループ3の基油、グループ4の基油、グループ5の基油、およびこれらの混合物からなる群から選択される。

0141

本発明の好ましい一実施形態において、そのような基油は、API分類のグループ4の基油とグループ5の基油との混合物である。好ましくは、そのような基油は、ポリαオレフィン(PAO)、エステル類、およびこれらの混合物から選択される。本発明のより好ましい一実施形態において、そのような基油は、少なくとも1種のポリαオレフィンと少なくとも1種のエステル(好ましくは、ポリオールエステル)との混合物である。

0142

(部品)
本発明にかかる潤滑剤組成物は、少なくとも1つの機械部品または少なくとも1つの機械装置、具体例として、軸受、ギヤ、自在継手、トランスミッション、ピストン/リング/ライナーのシステム、カムシャフトクラッチ、マニュアルギヤボックス、オートマチックギヤボックス、アクスル、ロッカーアーム、ハウジング等を潤滑することができる。

0143

好ましい一実施形態において、本発明にかかる潤滑剤組成物は、トランスミッションの機械部品又は機械装置、クラッチの機械部品又は機械装置、マニュアルギヤボックスあるいはオートマチックギヤボックスの機械部品又は機械装置(好ましくは、マニュアルギヤボックスの機械部品又は機械装置)を潤滑する。

0144

本発明のさらなる他の主題は、機械部品、好ましくはトランスミッション装置、より好ましくはギヤボックスまたはアクスルのフレーキングを抑える方法であって、その機械部品を、前記潤滑剤組成物または前記添加物濃縮物タイプの組成物から得られた潤滑剤組成物に接触させる工程を少なくとも含む方法である。

0145

潤滑剤組成物について説明する全ての特性および好適な構成は、機械部品のフレーキングを抑える本発明にかかる方法にも当てはまる。

0146

本発明のさらなる他の主題は、本発明にかかる潤滑剤組成物の使用であって、ギヤボックスまたはアクスル、好ましくは自動車のギヤボックスを潤滑するための使用である。

0147

好ましい一実施形態において、本発明は、本発明にかかる潤滑剤組成物の使用であって、自動車のマニュアルギヤボックスを潤滑するための使用に関する。

0148

潤滑剤組成物について説明する全ての特性および好適な構成は、ギヤボックスを潤滑するための本発明にかかる使用にも当てはまる。

0149

本発明のさらなる他の主題は、本発明にかかる潤滑剤組成物の使用であって、機械部品、好ましくはトランスミッション装置、より好ましくはギヤボックスまたはアクスルのフレーキングを抑えるための使用である。

0150

好ましい一実施形態において、本発明は、本発明にかかる潤滑剤組成物の使用であって、マニュアルギヤボックスのフレーキングを抑えるための使用に関する。

0151

潤滑剤組成物について説明する全ての特性および好適な構成は、フレーキングを抑えるための本発明にかかる使用にも当てはまる。

0152

以下の実施例を参照することにより、本発明の様々な主題およびそれらの実施態様を、より良く理解することができる。なお、これらの実施例はあくまでも例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。

0153

(実施例1:本発明にかかる潤滑剤組成物の安定性の評価)
本発明にかかる潤滑剤組成物の安定性を、その組成物の上澄み相中の二硫化タングステンナノ粒子の濃度を長期にわたって監視することによって評価する。

0154

この目的のために、様々な潤滑剤組成物を下記の化合物から調製した:
−グループ3の基油;
−二硫化タングステンナノ粒子(活性物質)と油との混合物(二硫化タングステンナノ粒子:20%)(Nanomaterials社から販売されているNanoLub Gear Oil Concentrate);
−第1の分散剤[PIBコハク酸イミドタイプの分散剤(ASTMD5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=1,921Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=1,755Da)];
−第2の分散剤[PIBコハク酸イミドタイプの分散剤(ASTM D5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=1,514Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=1,328Da)];
−第3の分散剤[コハク酸イミドエステルタイプの分散剤(ASTM D5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=1,132Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=1,046Da)];
−第4の分散剤[本発明にかかるPIBコハク酸イミドタイプの分散剤(ASTM D5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=6,370Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=2,850Da)](Oronite社から販売されているOLOA13000);および
−第5の分散剤[本発明にかかるPIBコハク酸イミドタイプの分散剤(ASTM D5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=3,085Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=1,805Da)]。

0155

以下の表1に、各組成物L1〜L5を示す。なお、表中の数値は百分率の数値であり、それぞれ「質量%」を表している。

0156

0157

各組成物L1〜L5の調製手順は、以下のとおりである:
−分散剤の添加;
−二硫化タングステンナノ粒子分散液の添加;
−1時間の磁気撹拌
−基油の添加;
−60〜70℃で1時間加熱撹拌
−非加熱で一晩(約16時間)撹拌;および
−15分間の超音波浴

0158

各組成物L1〜L5について、その組成物の上澄み相中の二硫化タングステンナノ粒子の濃度を長期にわたって監視する手順は、以下のとおりである:
i)二硫化タングステンナノ粒子の量を横軸吸光度縦軸として、t=0hにおけるキャリブレーション曲線の作成に取り掛かる;
ii)上記15分間の超音波浴中での撹拌処理を経た組成物から、相異なる質量の3〜4個の試料採取する;
iii)シクロヘキサン(20mL)を添加する;
iv)吸光度を計測する(波長=490nmに固定);
v)二硫化タングステンナノ粒子の濃度(採取した試料の質量、組成物中でのナノ粒子の初期濃度、添加したシクロヘキサンの体積量、およびそのシクロヘキサンの比重から算出)を横軸として吸光度曲線プロットする(実際には、得られた曲線は、試験対象の組成物の特性を直線で表す標準直線となる);
vi)次に、組成物(100mL)を試験管に入れて、常温放置する;
vii)所定の質量分を採取して、これにシクロヘキサン(20mL)を添加する;
viii)吸光度を計測する(波長=490nmに固定);
ix)先程の標準直線に基づいて、上澄み相中のナノ粒子の濃度を算出する;および
x)工程vi)〜ix)を一定時間ごとに繰り返す。これにより、上澄み相中の二硫化タングステンナノ粒子の経時的な濃度変化を求めることができる。

0159

その結果として、以下の表2に、上澄み相中の二硫化タングステンナノ粒子の質量濃度を示す。つまり、表中の数値は百分率の数値であり、それぞれ「質量%」を表している。

0160

表中の百分率の数値が高いほど(すなわち、「1」に近いほど)、潤滑剤組成物中での二硫化タングステンナノ粒子の分散性が良好であること、つまり、その潤滑剤組成物の安定性が良好であることを意味している。

0161

0162

上記の結果から、二硫化タングステンナノ粒子(0.2重量%)と重量平均分子量が2,000ダルトン以上である分散剤とを含む本発明にかかる潤滑剤組成物L4およびL5は、二硫化タングステンナノ粒子(0.2重量%)と重量平均分子量が2,000ダルトン未満である分散剤とを含む潤滑剤組成物よりも安定性が優れていることが分かる。

0163

さらに注目すべきは、本発明にかかる潤滑剤組成物L4およびL5は安定性が長期にわたって持続する一方で、それ以外の組成物L1,L2およびL3はそうでない点である。

0164

(実施例2:本発明にかかる潤滑剤組成物の摩擦特性の評価)
二硫化タングステンナノ粒子と重量平均分子量が2,000ダルトン以上である分散剤との組合せが、潤滑剤組成物の摩擦特性にどのような影響を及ぼすのかを、キャメロンプリント往復動摩擦試験機TE−77を用いて、キャメロンプリントラボ摩擦試験法により評価する。

0165

この目的のために、2種類の潤滑剤組成物を下記の化合物から調製した:
−第1の基油[ポリαオレフィンPAO8タイプの基油(100℃での動粘度=8mm2/s)];
−第2の基油(ポリオールエステル)(Croda社から販売されているPriolube 3970);
−第1のポリマー(エチレン/プロピレンのコポリマー)(三井化学(株)社から販売されているルーカントHC600);
−第2のポリマー(ポリαオレフィン)(Exxon社から販売されているSpectrasyn 1000);
−含シリコーン系消泡剤
−二硫化タングステンナノ粒子(活性成分)と油との混合物(二硫化タングステンナノ粒子:20%)(Nanomaterials社から販売されているNanoLub Gear Oil Concentrate);
−分散剤[本発明にかかるPIBコハク酸イミドタイプの分散剤(ASTMD5296規格に準拠した測定値での重量平均分子量=6,370Da、ASTM D5296規格に準拠した測定値での数平均分子量=2,850Da)](Oronite社から販売されているOLOA13000);
−摩擦調整剤(モリブデンジチオカルバメート)(Vanderbilt社から販売されているMolyvan 855);および
−第1のパッケージ添加剤(さらなる添加剤に加えて、アミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤との混合物も含有しているパッケージ添加剤)(Lubrizol社から販売されているAnglamol 2198)。

0166

以下の表3に、組成物L6,L7を示す。なお、表中の数値は百分率の数値であり、それぞれ「質量%」を表している。

0167

0168

組成物L6は、トランスミッション、特に、自動車のギヤボックスを潤滑するために一般的に利用されている潤滑剤組成物である。

0169

組成物L6,L7については、これら2種類の組成物同士を比較できるように、100℃での動粘度を互いに同一に調整している。特に、これは、第1の基油の含有量を調整することによって行った。

0170

各組成物の摩擦係数を、キャメロンプリント往復動摩擦試験機TE−77を用いて、キャメロンプリントラボ摩擦試験法により評価した。この試験ベンチは、試験対象の潤滑剤組成物中に浸漬された円筒−平面摩擦計により構成される。試験中は、法線方向の力に対する接線方向の力を計測することにより摩擦係数を監視する。円筒(SKF 100C6)(長さ=10mm;および直径=7mm)を、試験対象の潤滑剤組成物中に浸漬された鋼製平板に押し当てる。各試験ごとに、潤滑剤組成物の温度を設定する。また、正弦波的な往復運動を、定められた周波数で加える。各試験の試験時間は、100秒間である。

0171

以下の表4に、組成物L6,L7のそれぞれを用いて得られる、様々な温度、荷重および速度での摩擦係数の平均値を示す。

0172

0173

上記の「60℃での平均摩擦係数」は、300MPa〜650MPaの様々な荷重および70mm/s〜550mm/sの様々な速度を適用して計測された、60℃での摩擦係数の平均値である。

0174

上記の「100℃での平均摩擦係数」は、300MPa〜650MPaの様々な荷重および70mm/s〜550mm/sの様々な速度を適用して計測された、100℃での摩擦係数の平均値である。

0175

上記の「650MPaの荷重下での平均摩擦係数」は、60℃〜140℃の様々な温度および70mm/s〜550mm/sの様々な速度を適用して計測された、650MPaの荷重下での摩擦係数の平均値である。

0176

上記の結果から、潤滑剤組成物中に、二硫化タングステンナノ粒子と重量平均分子量が2,000ダルトン以上である分散剤との本発明にかかる組合せが存在していても、その組成物の摩擦特性は全く変化しないか又は僅かしか変化しない(全く又は実質的に変化しない)ことが分かる。

0177

(実施例3:本発明にかかる潤滑剤組成物の耐フレーキング性の評価)
本発明にかかる潤滑剤組成物の耐フレーキング性を、閉ループ動力循環式試験機で試験を実施することによって評価する。

0178

この目的のために、本発明にかかる潤滑剤組成物L8と本発明でない組成物L9とを調製した。以下の表5に、組成物L8,L9の組成を示す。なお、表中の数値は百分率の数値であり、それぞれ「質量%」を表している。

0179

0180

第1の基油、第2の基油、第1のポリマー、第2のポリマー、消泡剤、分散剤および第1のパッケージ添加剤は、実施例2に記載したものと同一である。第2のパッケージ添加剤(Lubrizol社から販売されているAnglamol 2190)は、摩擦調整剤として亜鉛ジチオホスフェートを含有している。

0181

図1に、上記の閉ループ動力循環式試験機を示す。

0182

Renault社製のJR5ギヤボックスを動力再循環ループ(power recirculation loop)に設置し、ねじりシステムによって荷重を印加する。ここで、ギヤボックスは第3ギヤに噛合している。

0183

電気モータによって試験機を稼働させて、ギヤボックスの入力側で回転速度(回転数)=3,000rpmおよびトルク=148N・mが得られるように設定する。

0184

評価の基準、つまり、評価対象となる重要な部品は、(その部品が支持する荷重を考慮すると)出力シャフトの駆動ピニオンである。

0185

一定時間(約150時間)ごとに、ギヤボックスを分解し、目視評価(visual scoring)を行う。この目視評価は、「Chrysler(クライスラー)」スコア評価(scoring)システムによる前記駆動ピニオンの歯におけるフレーキングの有無の監視と、連続振動モニタリングによるギヤボックス動作時の当該ギヤボックスにおけるフレーキングの発生の検出とで行う。

0186

「Chrysler(クライスラー)」スコア評価システムは、試験後の前記駆動ピニオンの歯の状態を記録することで構成される。そのピニオンの全ての歯を調べてフレーキングの有無を監視し、それぞれのフレーキングレベルに応じてスコア振り当てる。

0187

以下に、「Chrysler(クライスラー)」スコア評価システムの定義を述べる:
スコア=0:一つの歯におけるフレーキング表面積FS)=0mm2である場合;
スコア=0.4:FS≦1mm2である場合;
スコア=1.3:1mm2<FS≦3mm2である場合;
スコア=4:3mm2<FS≦7mm2である場合;
スコア=12:7mm2<FS≦16mm2である場合;
スコア=36:16mm2<FS≦36mm2である場合;および
スコア=108:FS≧36mm2である場合。

0188

合計スコアは、次の式に基づいて求められる:0.4×A+1.3×B+4×C+12×D+36×E+108×F(式中、A、B、C、D、EおよびFは、同じピニオンのうち、同レベルの劣化を示す歯の数である。)。

0189

連続振動モニタリング(vibration monitoring)は、試験対象部品の近くに加速度計を配置し、動作時の振動強度を記録することで構成される。部品が劣化していると、振動強度が大きくなる。装置を停止させるための閾値を設定し、歯におけるフレーキングの発生を確認すればよい。

0190

前記ピニオンにおいて潤滑剤に起因しない対象外の劣化(それ以外の部品の劣化によって生じた金属くずに起因する劣化)が発生しないように、シャフトの軸受と前記第3ギヤのピニオンとを、通常150時間ごとに交換する。

0191

フレーキングが単独で最大12mm2に達した場合、および/または、フレーキングの表面積が合計で80mm2に達した場合、および/または、312時間経ってもフレーキングが発生しなかった場合に、試験を停止する。

0192

潤滑剤組成物L8を用いて得られる試験結果は、以下のとおりである:
−試験を600時間にわたって実施したが、ギヤボックスの部品を交換することなく、かつ、前記駆動ピニオンおよび前記第3ギヤのピニオンのいずれにもフレーキングが全く見受けられなかった;さらに、
−ハウジング内における二硫化タングステンナノ粒子の過度の付着も見受けられなかった。

0193

潤滑剤組成物L9については、125時間経ってから幾つかのフレーキングが見受けられたので、試験を停止しなければならなかった。

0194

(実施例4:本発明にかかる潤滑剤組成物の使用後安定性の評価)
本発明にかかる潤滑剤組成物中に含まれるナノ粒子について、閉ループ動力循環式試験機で試験を実施した後の、そのナノ粒子の付着リスクを評価する。

0195

この目的のために、本発明にかかる潤滑剤組成物L10と本発明でない組成物L11とを調製した。以下の表6に、組成物L10,L11の組成を示す。なお、表中の数値は百分率の数値であり、それぞれ「質量%」を表している。

0196

0197

第1の基油、第2の基油、第1のポリマー、第2のポリマー、消泡剤、分散剤および第1のパッケージ添加剤は、実施例2に記載したものと同一である。

0198

試験条件は、実施例3に記載したものと同一である。

0199

図2に示すように、本発明にかかる組成物L10を用いて試験を実施した後のハウジング内には、二硫化タングステンナノ粒子の過度の付着は見受けられなかった(符号200)。

0200

組成物L11に関して述べると、図3に示すように、この組成物L11を用いて試験を実施した後のハウジング内には、二硫化タングステンナノ粒子の過度の付着が見受けられた(符号300)。これは、軸受の潤滑孔やシンクロナイザーの潤滑孔を詰まらせる恐れがある。

実施例

0201

このように、上記の実施例から、本発明にかかる潤滑剤組成物は、良好な安定性を長期にわたって示すだけでなく、満足のいく摩擦低減特性を維持しつつ、良好な耐フレーキング性を示すことが分かる。

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