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技術 患者適応性股関節インプラントに関するシステム、方法およびデバイス

出願人 コンフォーミス・インコーポレイテッド
発明者 ファリド、ハリリフィリップ、ラング
出願日 2014年3月21日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2016-504383
公開日 2016年5月23日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2016-514515
状態 拒絶査定
技術分野 補綴
主要キーワード 相互整合 垂直ステップ 理想構造 熱溶解積層法 非スパイラル 標準配置 組合せ材料 スクリュー穴
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

患者股関節治療用インプラントトライアル・インプラント、およびシステム、ならびにそのようなインプラント、トライアル・インプラント、およびシステムを作製し使用する方法を開示する。さまざまな実施形態が、患者適応性寛骨臼インプラントおよび/またはトライアル・インプラントを含んでいる。

概要

背景

従来、疾患または損傷のある関節、たとえば変形性関節症発症している関節は、標準既製品インプラントやその他の手術デバイスを用いて修復されている。人工股関節置換術は、疾患または損傷のある股関節外科的に修復する場合に常用される手順となっている。人工股関節置換術(THR)の手順には、典型的には、2種類の主要コンポーネントである大腿骨コンポーネント寛骨臼コンポーネントの埋め込みが含まれる。大腿骨コンポーネントは通常、天然大腿骨組織の管内に固定される剛性ステムによって既存の大腿骨内に着され、天然の股関節の大腿骨頭置換される骨頭ヘッド)を含んでいる。寛骨臼コンポーネントは患者寛骨臼内に固定され、大腿骨コンポーネントに対するベアリング表面の働きをする。

概要

患者の股関節治療用のインプラント、トライアル・インプラント、およびシステム、ならびにそのようなインプラント、トライアル・インプラント、およびシステムを作製し使用する方法を開示する。さまざまな実施形態が、患者適応性寛骨臼インプラントおよび/またはトライアル・インプラントを含んでいる。

目的

インプラント、またはインプラントの1つまたは複数のコンポーネントは、関節対向表面を含み得、少なくともその一部分は埋め込み後に関節表面を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

患者股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラントコンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、ロック機構、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴である、寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項2

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、ロック機構、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記寛骨臼カップ・コンポーネントは、略半球形であって取り付け機構を有しているカップ部分、および縁部分であって、前記カップ部分に前記縁部分を取り付けるように構成されている相補的取り付け機構を有しており、前記寛骨臼前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記縁を含んでいる、縁部分を備えている、寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項3

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、ロック機構、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記寛骨臼カップ・コンポーネントは、略半球形であって取り付け機構を有しているカップ部分、および縁部分であって、前記カップ部分に前記縁部分を取り付けるように構成されている相補的取り付け機構を有しており、前記寛骨臼前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記縁を含んでいる、縁部分を備え、前記カップ部分は、標準の非患者固有サイズである、寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項4

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、ロック機構、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記1つまたは複数のスクリュー穴はそれぞれ所定の患者適応性の位置および/または向きを有して、前記寛骨臼インプラント・コンポーネントが所定の位置および向きに埋め込まれると、前記1つまたは複数のスクリュー穴にそれぞれ挿入されるスクリューが安全に配置されることになる、寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項5

前記縁の少なくとも一部分が、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に実質的に適合している、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項6

前記寛骨臼窩が所定の深さまで、ならびに/または所定の位置および/もしくは向きでリーミングされた後、前記縁の少なくとも一部分が、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に実質的に適合している、請求項1に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項7

前記寛骨臼窩が所定の深さまで、ならびに/または所定の位置および/もしくは向きでリーミングされた後、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの深さが、前記寛骨臼窩の対応する深さよりもわずかに小さい、請求項6に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項8

前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記ロック機構は、インサート・コンポーネントを前記寛骨臼カップ・コンポーネントに係止するために患者適応性の所定の位置および/または向きに構成されている、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項9

前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記ロック機構は、インサート・コンポーネントを前記寛骨臼カップ・コンポーネントに係止するために患者適応性の所定の位置および/または向きに構成されており、前記ロック機構の前記患者適応性の所定の位置および/または向きは、前記寛骨臼インプラント・コンポーネントが前記寛骨臼窩に埋め込まれたときに前記インサート・コンポーネントがステムネック可動範囲最大限化する方向に向くことを可能にするように構成されている、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項10

さらに、ロック機構を有するインサート・コンポーネントを備え、前記インサート・コンポーネントの前記ロック機構は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記ロック機構と係合し、そうすることで前記インサート・コンポーネントを前記カップ・コンポーネントに対し患者適応性の所定の位置および/または向きに固定するように構成されている、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項11

さらに、ロック機構を有するインサート・コンポーネントを備え、前記インサート・コンポーネントの前記ロック機構は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記ロック機構と係合し、そうすることで前記インサート・コンポーネントを前記カップ・コンポーネントに対し患者適応性の所定の位置および/または向きに固定するように構成されており、前記インサート・コンポーネントは患者固有ではない、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項12

さらに、ロック機構を有するインサート・コンポーネントを備え、前記インサート・コンポーネントの前記ロック機構は、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの前記ロック機構と係合し、そうすることで前記インサート・コンポーネントを前記カップ・コンポーネントに対し患者適応性の所定の位置および/または向きに固定するように構成されており、前記インサート・コンポーネントは標準品のゼロ度インサートである、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項13

さらに、前記カップ・コンポーネントの前記縁の少なくとも一部分および/または前記カップ・コンポーネントの外表面の少なくとも一部分に、1つまたは複数のマークを備えている、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項14

さらに、前記カップ・コンポーネントの前記縁の少なくとも一部分および/または前記カップ・コンポーネントの外表面の少なくとも一部分に、1つまたは複数のマークを備え、前記1つまたは複数のマークは、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に対し所定の位置および/または向きを有している、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項15

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記トライアル・インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴である、寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項16

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記トライアル・インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントは、略半球形であって取り付け機構を有しているカップ部分、および縁部分であって、前記カップ部分に前記縁部分を取り付けるように構成されている相補的取り付け機構を有しており、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記縁を含んでいる、縁部分を備えている、寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項17

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記トライアル・インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントは、略半球形であって取り付け機構を有しているカップ部分、および縁部分であって、前記カップ部分に前記縁部分を取り付けるように構成されている相補的取り付け機構を有しており、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記縁を含んでいる、縁部分を備え、前記カップ部分は、標準の非患者固有サイズである、寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項18

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネントであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記トライアル・インプラント・コンポーネントは、前記患者の股関節の少なくとも一部分の画像データから抽出された少なくとも1つの患者適応性特徴を含む寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記少なくとも1つの患者適応性特徴は、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁の少なくとも一部分、1つまたは複数のスクリュー穴、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの半径、およびそれらの組合せからなる群より選択された特徴であり、前記1つまたは複数のスクリュー穴はそれぞれ所定の患者適応性の位置および/または向きを有して、寛骨臼インプラント・コンポーネントが所定の位置および/または向きに埋め込まれると、前記1つまたは複数のスクリュー穴にそれぞれ挿入されるスクリューが安全に配置されることになる、寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項19

前記縁の少なくとも一部分が、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に実質的に適合している、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項20

前記寛骨臼窩が所定の深さまで、ならびに/または所定の位置および/もしくは向きでリーミングされた後、前記縁の少なくとも一部分が、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に実質的に適合している、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項21

前記寛骨臼窩が所定の深さまで、ならびに/または所定の位置および/もしくは向きでリーミングされた後、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの深さが、前記寛骨臼窩の対応する深さよりもわずかに小さい、請求項20に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント。

請求項22

さらに、前記カップ・トライアル・コンポーネントの前記縁の少なくとも一部分および/または前記カップ・トライアル・コンポーネントの外表面の少なくとも一部分に、1つまたは複数のマークを備えている、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項23

さらに、前記カップ・トライアル・コンポーネントの前記縁の少なくとも一部分および/または前記カップ・トライアル・コンポーネントの外表面の少なくとも一部分に、1つまたは複数のマークを備え、前記1つまたは複数のマークは、前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分に対し所定の位置および/または向きを有している、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント。

請求項24

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・システムであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント、および請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネントを備えている、寛骨臼インプラント・システム。

請求項25

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・システムであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記システムは、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント、および請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネントを備え、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントは、前記カップ・トライアル・コンポーネントが前記寛骨臼窩内で位置合わせされ方向付けられたときに、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁の少なくとも一部分は前記寛骨臼窩の縁の少なくとも一部分と実質的に適合するアラインメント状態になるように、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの前記縁および/または外表面の少なくとも一部分に、前記寛骨臼窩の前記縁の少なくとも一部分に対し所定の位置および/または向きを有する1つまたは複数のマークを含み、前記寛骨臼カップ・コンポーネントは、前記寛骨臼カップ・コンポーネントの縁および/または外表面の少なくとも一部分に、前記寛骨臼カップ・トライアル・コンポーネントの縁および/または外表面の少なくとも一部分に設けられた対応するマークに実質的に適合する所定の位置および/または向きを有する1つまたは複数のマークを含んでいる、寛骨臼インプラント・システム。

請求項26

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・システムであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記システムは、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント、および患者適応性長さを有する1つまたは複数の寛骨臼カップ用スクリューを備えている、寛骨臼インプラント・システム。

請求項27

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・システムであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記システムは、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント、および前記寛骨臼窩内で所定の位置および/または向きに1つまたは複数の患者適応性のスクリュー穴を開ける案内をするように構成されている、患者適応性ジグを備えている、寛骨臼インプラント・システム。

請求項28

患者の股関節治療用の患者適応性寛骨臼インプラント・システムであって、前記股関節は寛骨臼窩を含んでおり、前記システムは、請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネント、請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネント、および患者適応性骨切除ガイドを備えている、寛骨臼インプラント・システム。

請求項29

請求項1、2、3、または4に記載の寛骨臼インプラント・コンポーネントを作製する方法。

請求項30

請求項15、16、17、または18に記載のトライアル・インプラント・コンポーネントを作製する方法。

技術分野

0001

関連出願
本願は、「Methodsand Devices Related to Patient−Adapted Hip Joint Implants」と題される米国特許仮出願第61/803,803号(2013年3月21日出願)の利益を主張し、その全開示内容を参照により本明細書に援用する。本願は、「Methods and Devices Related to Patient−Adapted Hip Joint Implants」と題される米国特許出願第13/761,818号(2013年2月7日出願)に関し、その出願の全開示内容を参照により本明細書に援用する。本開示はまた、米国特許出願公報第20120209394号として公開された米国特許出願第13/397,457号(2012年2月15日出願)に関し、その全容を参照により本明細書に援用する。本開示はまた、米国特許出願公報第20110213430号として公開された米国特許出願第13/013,435号(2011年1月25日出願)に関し、その全容を参照により本明細書に援用する。

0002

本開示は、患者適応性の(たとえば患者固有のおよび/または個別設計の)股関節インプラントインプラント・システム、ならびに関連の手術器械に関する。

背景技術

0003

従来、疾患または損傷のある関節、たとえば変形性関節症発症している関節は、標準既製品のインプラントやその他の手術デバイスを用いて修復されている。人工股関節置換術は、疾患または損傷のある股関節外科的に修復する場合に常用される手順となっている。人工股関節置換術(THR)の手順には、典型的には、2種類の主要コンポーネントである大腿骨コンポーネント寛骨臼コンポーネントの埋め込みが含まれる。大腿骨コンポーネントは通常、天然大腿骨組織の管内に固定される剛性のステムによって既存の大腿骨内に着され、天然の股関節の大腿骨頭置換される骨頭ヘッド)を含んでいる。寛骨臼コンポーネントは患者の寛骨臼内に固定され、大腿骨コンポーネントに対するベアリング表面の働きをする。

図面の簡単な説明

0004

切除後の股関節側大腿骨(パネルA)および切断した骨の表面(B)の断面図である。海綿骨または骨柱22、骨内膜骨(endosteal bone)23、および皮質骨24に概ね対応する部位を示している。
患者の切除後の股関節側大腿骨に取り付けられた、ショートステム大腿骨インプラントの図である。
患者の切除後の股関節側大腿骨に取り付けられた、ロングステムの大腿骨インプラントの図である。
患者の切除後の股関節側大腿骨に取り付けられた、大腿骨インプラントの図である。
患者の股関節側大腿骨の切除表面に取り付けられた、大腿骨インプラントの一部分の図である。
患者の股関節側大腿骨の切除表面に取り付けられた、外部スリーブを有する大腿骨インプラントの一部分(パネルA)、および外部スリーブの骨接触表面の一部分の拡大図(パネルB)である。パネルBは、骨接触表面の段梯子設計を示しており、これによってせん断力圧縮力に変換される。
切除後の股関節側大腿骨の一部分(パネルA)、および、該切除表面またはその周囲をさらにバーリングまたはミリングして、フランジ状外部スリーブとの係合を容易にした(または嵌め合いを向上させた)、切除後の股関節側大腿骨の一部分の図である。パネルBに示すように、外部スリーブの別々の部分は、切除後の大腿骨頚の対応する外部骨表面部分の形状に適合する(または形状と合致する)ように、互いに異なるようにされている。
大腿骨頭と係合する寛骨臼を含む天然の股関節の図である。
計画上のリーミング深さを示す破線を有する、寛骨臼191の図である。
寛骨臼カップと大腿骨頭とを含む人工股関節置換システムの図である。
人工股関節置換または表面置換の準備中の天然の股関節の図である。
患者の股関節に埋め込まれた股関節インプラントの図である。
患者の股関節に埋め込まれた股関節インプラントの図である。
患者の股関節に埋め込まれた股関節インプラントの図である。
股関節の寛骨臼の図である。
厚さAIインサートと、厚さAMLの金属製裏張り(金属製寛骨臼ライナー)を有する寛骨臼インプラント・コンポーネントの図である。寛骨臼インサートの直径をDAIとして示す。
患者の股関節の大腿骨頭および骨の図である。
股関節の表面置換用大腿骨頭コンポーネントの図である。
本明細書のある実施形態による患者適応性のインプラントまたはインプラント・コンポーネントを設計または選択する過程を説明するフローチャートである。
本明細書のある実施形態による1つまたは複数の患者適応性の股関節インプラントまたはインプラント・コンポーネントを設計、選択、または改造する過程を説明するフローチャートである。
本明細書のある実施形態による1つまたは複数の患者適応性の股関節インプラントまたはインプラント・コンポーネントを設計、選択、または改造する過程を説明するフローチャートである。
本明細書のある実施形態による1つまたは複数の患者適応性の股関節インプラントまたはインプラント・コンポーネントを設計、選択、または改造する過程を説明するフローチャートである。
本明細書のある実施形態による1つまたは複数の患者適応性の股関節インプラントまたはインプラント・コンポーネントを設計、選択、または改造する過程を説明するフローチャートである。
股関節を説明する図である。
大腿骨頭と大腿骨頚とが切離された図32Aの股関節の図である。
図32Bに示す大腿骨頭と大腿骨頚の切離後、残存する大腿骨頚に被さる大腿骨頚骨切りガイドを説明する図である。
切除後の大腿骨頚を示す。
寛骨臼窩および寛骨臼カップ・コンポーネントの一実施形態の斜視図である。
アラインメントマークを有する寛骨臼カップ・コンポーネントの斜視図である。
寛骨臼窩の縁と揃えられ適合している図35aの寛骨臼カップ・コンポーネントの斜視図である。
寛骨臼カップ・コンポーネントと取り付け可能な縁コンポーネントの斜視図である。
取り付けた状態の図36の寛骨臼コンポーネントの斜視図である。
寛骨臼カップ・コンポーネントと取り付け可能な縁コンポーネントの一実施形態の側面図であり、縁コンポーネントは雄側取り付け(アタッチメント)特徴を含んでいる、側面図である。
図38aの寛骨臼カップ・コンポーネントの前面図であり、雌側取り付け(アタッチメント)特徴が示されている、前面図である。
図38aの縁コンポーネントの前面図であり、マーク特徴が示されている、前面図である。
患者の骨盤に対する例示的寛骨臼ジグの一実施形態の斜視図である。
患者の骨盤に対する追加の例示的寛骨臼ジグの一実施形態の斜視図である。

実施例

0005

医師が従来の既製インプラントを用いて患者の関節を置換する場合、典型的にはそのようなインプラントの特徴のなかには特定の患者の体内特徴には適合しないものがある。このような不適合のせいで、術中や術後にあらゆる問題が生じ得る。たとえば医師は、このような不適合に対処するのに手術時間を延長し、術中に推定経験則を用いる必要もあり得る。このような不適合に関する患者側の問題としては、痛み、不快感軟部組織衝突、および関節を動かしたときの不自然さ、ならびに可動域の変化やインプラント不具合が生じる可能性が高まる、などを挙げることができる。従来のインプラント・コンポーネントを患者の関節の骨に合わせるために、医師は、単に疾患を有する骨を対象部位から取り除くのに必要な量を大幅に超えて患者の骨を除去するのが典型である。このように患者の骨を大量に除去すると、将来インプラント交換が1回しかできなくなるほど患者のボーンストックが減ってしまうことが多い。

0006

インプラント、手術ツール、および関連の方法(たとえば設計、選択、または最適化する方法)のある特定の実施形態、ならびに本明細書に記載のインプラントや手術ツール(たとえばガイドツール)を用いる方法は、股関節を含むあらゆる関節に使用可能である。さらに、本明細書に記載のさまざまな実施形態は、本明細書に記載のインプラント・コンポーネントを埋め込むために、または本明細書に記載の手術ツールを使用するために、患者の解剖学的組織構造を準備し、切除し、あるいはその他修正するための方法および手順、ならび方法および手順の設計に応用することができる。

0007

ある実施形態では、本明細書に記載のインプラントまたはインプラント・コンポーネント、または関連の方法は、患者固有の特徴と個別設計特徴組合せを含み得る。ある実施形態では、本明細書に記載のインプラントまたはインプラント・コンポーネント、または関連の方法は、患者適応性の(患者固有のまたは個別設計の)特徴と標準特徴(つまり特定の患者やインプラントまたはインプラント・コンポーネントを埋め込まれる予定の患者とは関係なく設計または選択される特徴)との組合せを含み得る。インプラント、またはインプラントの1つまたは複数のコンポーネントは、関節対向表面を含み得、少なくともその一部分は埋め込み後に関節表面を提供する。そのような関節対向表面も同様に患者固有の特徴および個別設計特徴の組合せを含み得るが、これらの特徴は患者の関節、たとえば手術により修復予定の疾患または損傷のある関節の画像データなどの患者固有のデータから取得または抽出され得る。インプラントまたはインプラント・コンポーネントは、単一の材料で作製され得る。あるいは、インプラントまたはインプラント・コンポーネントは、少なくとも2種類の異なる材料で作製され得る。たとえば、インプラントまたはインプラント・コンポーネントの関節対向表面は、セラミックスなどの材料で作製され得るが、同じインプラントまたはインプラント・コンポーネントの本体や他の部分は金属など別の材料で作製され得る。以下に詳述するように、種々のタイプの材料を用いて本明細書に記載のインプラントまたはインプラント・コンポーネントを製造することができる。さらに、本明細書に記載のインプラントまたはインプラント・コンポーネントは、モジュール式であるかまたはモジュール式部品を含み得る。

0008

さらに、術前に集めた患者固有のデータを用いて、患者の骨に1つまたは複数の最適化した外科的骨切り部(surgical cut)を設計(engineer)し、また、該患者の切除後の骨表面の1つまたは複数に個別適合する1つまたは複数の骨対向表面または小面(つまり「骨切り部(bone cut)」)を有する対応するインプラント・コンポーネントを設計(design)または選択することができる。患者の骨の外科的骨切り部を最適化(つまり個別設計)して、(1)変形矯正および体肢アラインメント、(2)骨、軟骨、または靭帯最大限温存、または(3)関節運動力学または生体力学再建または最適化、といった1つまたは複数のパラメータを改善することができる。最適化した外科的骨切り部と、随意であるがインプラント・コンポーネントの他の所望の特徴とに基づき、インプラント・コンポーネントの骨対向表面は、患者の切除後骨表面の形状に少なくとも部分的には負適合(negatively−match)するように設計または選択することができる。

0009

さらに、たとえばガイドツールを含む手術ツールなどのツールが提供される。そのようなツールも、1つまたは複数の患者適応性の(たとえば患者固有のまたは個別設計の)特徴を有し得る。手術支援に用いられ得る、本明細書では3Dガイダンス手術テンプレートとも呼ばれる3Dガイダンス手術ツールは、限定ではないが、テンプレート、ジグ、および/または3Dガイダンスモールドを含むモールドの使用を含み得る。なお、「テンプレート」「ジグ」「モールド」「3Dガイダンスモールド」、および「3Dガイダンステンプレート」という用語は、詳細な説明および添付の請求項において交換可能に用いられて、特にことわらない限りは手術ツールを表すものとする。

0010

手術ツールは、関節の一部分(たとえば関節に関する表面、関節の関節および/または非関節表面部分)と係合する少なくとも一部分(たとえば接触表面)を有するテンプレートを含み得、該一部分(たとえば接触表面)は、関節に関する該一部分(たとえば表面)と実質的に合致する(またはそれに対し実質的に負の形状である)。テンプレートはさらに、手術器械の動き誘導する少なくとも1つのガイド(たとえばガイド孔または骨切り用穴)を含み得る。テンプレートは単一コンポーネントであってもよいし、2つ以上のコンポーネントまたは部品を含んでいてもよい。2つ以上のコンポーネントまたは部品は、使用時、たとえば手術中は、可逆的または不可逆的に連結され得、そのような連結は取り付け機構であるか、または相互参照(たとえば第2のコンポーネントは第1のコンポーネントにより準備された関節の一部分に整合または相互参照している)によるものであり得る。関連の実施形態では、関節に関する表面は、関節表面、非関節表面、軟骨表面荷重ベアリング表面、非荷重表面、または骨表面であり得る。接触表面は、異なる材料(たとえば生体適合材)で作製され得る。接触表面は、変形することなく高温滅菌に耐えることができる。

0011

人工関節置換術の方法、具体的には人工股関節置換術の方法がさらに提供される。方法は、股関節の画像のデータ、および随意にたとえば股関節に関する関節表面または骨表面などの表面を取り囲むデータを含む1つまたは複数の他の関節(足首など)のデータなどの、患者固有のデータを取得することを含み得る。1つまたは複数の寛骨臼または大腿骨の寸法(たとえば、サイズ、厚さ、または湾曲、大腿骨頚体角などの諸角度も含む)、および所望の脚長包含するデータも含まれる。患者固有のデータは患者の股関節の前または後捻または回旋の角度、そして必要な修正の角度も含み得る。患者固有のデータは、股関節に関する1つまたは複数の異常(たとえば骨棘、寛骨臼突出)の情報を随意に含み得る。

0012

患者固有のデータに基づき、股関節に関する表面の少なくとも一部分に実質的に合致する少なくとも1つの接触表面を有する1つまたは複数の手術ツールが作製される。他の患者適応性特徴も患者固有のデータから抽出して手術ツールに組み込むことができ、これはたとえば、患者適応性特徴に基づき所定の位置および向きを有する1つまたは複数のガイドを手術ツールに含めて、1つまたは複数の手術器械の動きを誘導する所定パス画定することによりなされ得る。

0013

また、患者固有のデータに基づき、1つまたは複数の患者適応性特徴を含み得るインプラントを設計(design)し、選択し、かつ/または設計する(engineer)ことができる。そのようなインプラントは、単一のコンポーネントまたは複数のコンポーネントを含み得る。インプラント・コンポーネントは、1つまたは複数の患者適応性特徴を含むように設計または選択され得る。あるいは、インプラント・コンポーネントは、予め作製されたインプラント・コンポーネントのライブラリから選択してもよく、そのような選択は特定の患者固有のデータに基づいてもよいし他の患者らにも応用できる基準にしたがってもよい。

0014

患者固有のデータによって、医師は、前方、側方、または後方アプローチなどの手術アプローチを決定することもでき得る。患者固有のデータによって、医師は、患者の股関節の前捻または後捻または回旋の角度を評価し、必要な修正の角度を決定することもでき、これは手術アプローチの選択との関連で決定され得る。

0015

人工股関節置換システムの概要
患者の股関節の状態に応じて部分的または全人工股関節置換術が勧められ得る。人工股関節置換システムを設計または選択する際に考慮される典型的な事項として、骨の温存、異なるまたは患者固有の解剖学的構造(たとえば脚長、頚体角、たとえば「オフセット」や「ショートネック」ステム)、材料の選択(たとえば患者安全性の確保やインプラント安定性の向上などを目的とする)が挙げられ得る。以下の小見出しでは、人工股関節置換システムのある非限定的な市販品の例を簡単に説明する。本開示のさまざまな実施形態を改造し利用して、既存の設計やシステムを改良し、そうすることで1つまたは複数の既存のコンポーネントを含むかまたは含まなくてもよい新規の人工股関節置換システムを開発することができる。

0016

人工股関節全置換術
人工股関節全置換術は、コンポーネントを載置し支えるだけの健全な骨があることがわかっている部位で患者の損傷した股関節の関節部を置換することによって、患者の可動性を拡大し、痛みを抑えることを目的とする。人工股関節全置換術は、典型的には、変形性関節症、外傷性関節炎リューマチ性関節炎、または先天性股関節形成異常によるひどい痛みや障害のある関節、大腿骨頭の無腐性壊死、大腿骨頭や骨頚の急性外傷性骨折、関節修復、内部固定、関節固定術半関節形成術、表面置換による関節形成術、または人工股関節全置換術を含む過去の股関節手術の失敗、関節硬直の特定の事例といった症状で必要とされる。

0017

人工股関節全置換システムは、モジュール式コンポーネントを含み得る。モジュール式人工股関節置換システムの一例は、S−ROM(登録商標)Modular Hip Systemである。

0018

S−ROM(登録商標)Modular Hip Systemは、そのモジュール性により、基本的な人工股関節全置換術から極めて複雑な修正術や他の難手術まであらゆる範囲の手術場面においてソリューションとなることができる。このモジュール式システムでは、ステムの独立した骨頚とスリーブによって、傾斜角を360度調節でき、医師はステムの生体力学に影響を与えることなく最適なボーンストックに近位スリーブを設置できる。

0019

人工関節S−ROM(登録商標)は、内固定髄外生体力学の重要な二機能を分離した近位モジュール式非セメント使用(セメントレス)ステムである。多孔性被膜された近位スリーブは、残存する骨距の大部分を収容するように向け回転させて、固定を最適化することができる。刺入されたステムはそのスプラインにより大腿骨遠位側で回転安定性を得、近位側では傾斜、高さ、およびオフセットの独立した調節が可能である。多様な骨頚基部(base)長ならびに広範な大腿骨頭直径および長さによって、股関節周りで軟部組織を微調整する際にさらなる融通性が得られる。

0020

股関節インプラントおよびインプラント・コンポーネント
本開示のインプラントは、単一のコンポーネントまたは複数のコンポーネント(つまり2つ以上のコンポーネント)を含み得る。本明細書では「インプラント・コンポーネント」という用語は、(i)インプラントまたはインプラント・システムにおいて共働する2つ以上のデバイスのうちの1つ、または(ii)たとえばインプラントが単一の一体デバイスである実施形態における完全なインプラントまたはインプラント・システムを含み得る。本明細書では「適合(match)」という用語は、凸面が凹面に嵌る負適合と、一面が他面と同一である正適合(positive−match)の、一方または両方を含むものとする。

0021

本明細書に記載のインプラント・コンポーネントの例示的な患者適応性の(つまり患者固有のまたは個別設計の)特徴を表1に特定している。これらのインプラント・コンポーネントの特徴のうちの1つまたは複数は、患者の関節および随意であるが他の関連する解剖学的構造の画像から得られる電子画像データ由来の情報などの患者固有のデータ/パラメータに基づき選択または設計され得る。
表1:患者固有の情報(または、1つまたは複数の測定値かパラメータを含む患者固有のデータ)に基づき患者適応性であり得る例示的インプラント特徴

0022

従来のインプラントおよびインプラント・コンポーネントは、特定の患者の体内特徴には適合しにくい表面や寸法を有し得る。本明細書に記載の患者適応性インプラント、ガイドツール、および関連の方法は、このような短所を改善するものである。以下の2つの小見出しでは、インプラント・コンポーネントの骨対向表面および関節対向表面という具体的な2項目についての改良を説明するが、本明細書に記載の理念はインプラント・コンポーネントのどの側面(aspect)にも応用することができる。

0023

手術器械や医師の採択事項などの他の患者適応性パラメータまたは特徴も表1に含まれる。このような患者適応性パラメータまたは特徴のうちの1つまたは複数は、患者の1つまたは複数のインプラントまたはインプラント・コンポーネント、1つまたは複数の手術ガイドツールまたは器械、および手術計画を設計し、選択し、または改造するための制約データ役割を果たし得る。本明細書に記載のシステムは、これらのパラメータまたは特徴を反復的過程で処理するように構成され得、たとえば、以下に挙げる任意の2つ以上のパラメータが互いに制約データとして働いて、最適化された最終製品を得ることができる。

0024

いくつかの実施形態では、インプラントの設計は、事前設計された整形外科用インプラントヒエラルキー、たとえば仮想バーチャル)または実在するライブラリから選択でき、ここで各インプラントは一般的なサイズグループオプション解剖学的サイズのオプション、生体力学的サイズのオプション、またはそれらの任意の組合せを反映し得る。解剖学的および生体力学的サイズのオプションは、少なくともいくつかの実施形態では、整形外科用インプラント設計の互いに異なり少なくともある程度は独立した特徴の組である可能性がある。いくつかの実施形態では、最適化アルゴリズムのうちの少なくとも1つは、整形外科的手技の最適なパラメータを決定して所望の整形外科的応答を得るために、いくつかの整形外科的因子と整形外科的応答間の定義された関係を用いる。

0025

いくつかの実施形態では、最適化システムおよび方法を用いて、特定の患者に対するインプラントの解剖学的および生体力学的フィット性以外に、またはそれに加えて、整形外科的手技のパラメータを最適化することができる。たとえば、これらのシステムおよび方法は、患者治療の他の側面の最適化、たとえばカスタムメイド装具リハビリテーション計画といった追加治療の選択や最適化に用いることができる。

0026

いくつかの実施形態では、少なくとも1つの整形外科用インプラントを特定の患者の関節に埋め込むことを含む関節手順に関するパラメータを最適化するコンピューター実装方法が提供され得、該方法は、(i)特定の患者の関節の画像データおよび随意であるが患者の関連の解剖学的構造、たとえば(関連の股関節、膝関節、および足関節などの)関連の関節の画像データを含む、特定の患者の関節のモデルに少なくとも部分的には関する情報、(ii)特定の患者の関節のモデルに関連して、特定の患者の関節に関する軸線に少なくとも部分的には関する情報を含む、特定の患者に関する情報をコンピュータープロセッサーで受信すること、複数の整形外科的応答を複数の整形外科的因子に関連づける少なくとも1つの関係を定義する情報をコンピューター・プロセッサーで受信すること(ここで、整形外科的因子のうちの少なくとも1つは、整形外科的インプラントの関節に対する位置または向きのうちの1つに関するものであり、(患者の主治医が一般に異なる患者用に採択するものでも患者独自のデータまたは情報に基づき患者に特有の採択事項でも、好ましい手術アプローチや寛骨臼カップを内方化するかどうかなどの)患者の医師による採択事項が含まれる、および(iv)整形外科的因子のうちの少なくとも1つは、整形外科用インプラントの関節表面の幾何学的形状に関連し、コンピューター・プロセッサーで、特定の患者に関する受信した情報を用いること、および、少なくとも1つの関係を定義する受信した情報を用いて、自動的または半自動的に、(i)特定の患者の関節に対し提案される整形外科用インプラントの最適位置および提案される最適向きのうちの少なくとも1つ、および(ii)提案される整形外科用インプラントの最適な関節表面の幾何学的形状を決定すること、提案された整形外科用インプラントの最適な位置および向きのうちの少なくとも1つに関する情報と、提案された整形外科用インプラントの最適な関節表面の幾何学的形状に関する情報とをコンピューター・プロセッサーから出力すること、を含んでいる。さらに決定される情報として、推奨されるおよび/または必須の手術手順テップ、たとえばインプラントの設置を助ける骨切りまたは穴開け用のパス(たとえばサイズ、形状、幾何的形態、位置、および/または向き)、および/または1つまたは複数の手術ガイドツールの構成を含み得る。

0027

インプラント・コンポーネントの骨対向表面
ある実施形態では、インプラントの骨対向表面は、1つまたは複数の骨表面に対し実質的に負適合するように設計され得る。たとえば、ある実施形態では、患者適応性のインプラント・コンポーネントの骨対向表面の少なくとも一部分は、軟骨下骨、皮質骨、骨内膜骨、または骨髄の形状に対し実質的に負適合するように設計され得る。インプラントの一部分はまた、たとえば軟骨下骨または軟骨に対しインプラント・コンポーネントの骨対向表面の各部分を負適合させることによって、表面置換用に設計され得る。したがって、ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの骨対向表面は、たとえば骨切りしていない軟骨下骨または軟骨に対し負適合する表面を有することによって表面置換または切除後の骨と係合するように設計された1つまたは複数の部分、および、たとえば骨切りした軟骨下骨に対し負適合する表面を有することによって骨切り後の骨と係合するように設計された1つまたは複数の部分を含み得る。

0028

ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの骨対向表面は、本明細書ではやはり骨切り部と呼ばれる、たとえば平面または略平面である複数の表面を含む。インプラント・コンポーネントの骨対向表面の骨切り部のうちの1つまたは複数は、骨、軟骨、および他の生物学的表面のうちの1つまたは複数を含む、切除表面、置換表面、および無改変表面のうちの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の患者の関節表面に対し、実質的に負適合するように選択または設計され得る。これらの骨対向表面の特徴は、膝、股、脊椎、および肩などの関節のインプラントを含むさまざまな関節のインプラントに応用可能である。

0029

ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの対応する各セクションは、異なる厚さ(たとえばコンポーネントの骨対向表面と関節対向表面間の距離)、表面特徴、骨切り部特徴、セクション体積、またはその他の特徴を含み得る。たとえば、脛骨インプラント・コンポーネント表面の対応する外側および内側またはセクションは、異なる厚さ、セクション体積、骨切り角度、および骨切り部表面積を含み得る。厚さ、セクション体積、骨切り角度、骨切り部表面積、骨切り部の湾曲、骨切り部の数、ペグの設置、ペグ角度、およびその他の特徴のうちの1つまたは複数は、インプラント・コンポーネントの2つ以上のセクション(たとえば、外側顆内側顆の対応するセクション)間で異なり得る。あるいは、またはさらに、これらの特徴のうちの1つ、2つ以上、または全部は、インプラント・コンポーネントの対応するセクションで同じであり得る。インプラントの異なるセクションの独立した特徴を可能にするインプラント設計は、たとえば(1)変形矯正および体肢アラインメント、(2)骨、軟骨、または靭帯の温存、(3)脚長などの患者の解剖学的構造の他の特徴の温存または最適化、(4)大腿骨または寛骨臼の前捻や後捻を修正し、または所望の股関節インプラントの回旋角度を得るなど、関節の運動力学または生体力学の再建または最適化、または(5)関節線の位置または関節腔の幅の再建または最適化、を含む1つまたは複数の目標を達成するためのあらゆるオプションを可能にする。

0030

あるいは、またはさらに、インプラント・コンポーネントの対応するセクションは、同じ特徴、たとえば同じ厚さまたは少なくとも閾値厚さを含むように設計され得る。たとえば、インプラントの対応するセクションが同じ応力を受けるとき、それらの応力に応じて同じ最小の厚さを用いることができる。あるいは、またはさらに、インプラントの設計には、あるセクションの定量化できる特徴が、そのインプラント・コンポーネントの別のセクションの同じ特徴と比べて、大きい、それ以上、少ない、またそれ以下となるような、ルールを含み得る。たとえば、ある実施形態では、インプラントの設計に、対応する内側部分と比べてより厚い、または等しい厚さの外側部分を含み得る。同様に、ある実施形態では、インプラントの設計に、対応する内側部分の高さと比べてより高い、または等しい外側部分の高さを含み得る。

0031

ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの骨切り部または骨切り小面の特徴(たとえば厚さ、セクション体積、骨切り角度、表面積、またはその他の特徴)のうちの1つまたは複数は、患者適応性であり得る。たとえば、以下にさらに詳しく説明するが、患者の関節の画像データなどの患者固有のデータは、患者の解剖学的構造に適合するかまたはその患者の解剖学的構造のパラメータを最適化するインプラント・コンポーネント(および、随意であるが、対応する手術手順または手術ツール)を選択または設計するのに使用することができる。あるいは、またはさらに、インプラント・コンポーネントの1つまたは複数の側面(aspect)、たとえば1つまたは複数の骨切り部は、所定の切除骨切り部(resection cut)に適合するように選択または設計され得る。本明細書では「所定」という用語は、たとえば術前に決定される(たとえば術前に選択または設計される)という意味を含む。たとえば、所定の切除骨切り部は、術前に、随意に1つまたは複数のインプラント・コンポーネント特徴または1つまたは複数のガイドツール特徴とともに決定される、切除骨切り部を含み得る。同様に、手術ガイドツールは、所定の切除骨切り部を案内するように選択または設計され得る。

0032

インプラント・コンポーネントの関節対向表面
本明細書に記載のさまざまな実施形態では、インプラント・コンポーネントの外部関節対向表面は、1つまたは複数の患者適応性の(たとえば患者固有のまたは個別設計の)特徴を含んでいる。たとえば、ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの関節対向表面は、患者の体内構造または解剖学的構造の形状に適合するように(つまり、解剖学的構造に近いフィット性を得るように)設計され得る。関節対向表面は、たとえば、関節において対向する体内構造またはインプラント・コンポーネントと係合して関節の典型的な動きを容易にする、インプラント・コンポーネントのベアリング表面部分を含み得る。患者の体内構造は、たとえば、軟骨、骨、または1つまたは複数のその他の体内構造を含み得る。患者の体内構造は、修復予定の関節に関する1つまたは複数の異常、たとえば軟骨の摩耗、骨棘、平坦化、象牙質化、嚢胞形成骨硬化、他の関節炎もしくは先天的奇形、および特に股関節の場合は寛骨臼突出などを含み得る。

0033

たとえば、ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの関節対向表面は、患者の関節軟骨の形状に適合するように設計されているが、この形状には患者の既存の関節表面の形状および/またはその患者用に設計(design)または設計(engineer)された、計算または修正された関節表面形状が含まれ得る。たとえば、関節対向表面は、患者の既存の軟骨表面または健常な軟骨表面または計算された軟骨表面の1つまたは複数の特徴と、そのコンポーネントが置換する関節表面で実質的に正適合できる。あるいは、関節対向表面は、患者の既存の軟骨表面または健常な軟骨表面または計算された軟骨表面の1つまたは複数の特徴と、関節内の対向する関節表面で実質的に負適合できる。以下に説明するように、手術ステップ(および随意であるが患者適応性の手術ツール)を設計することによって疾患のある軟骨の形状を修正して正常またはほぼ正常な軟骨形状を再建し、この修正をコンポーネントの関節対向表面の形状に組み込むことができる。これらの修正を仮想的二次元および三次元モデル実装し、随意に検査することもできる。修正および検査は、運動力学分析または手術ステップを含み得る。

0034

ある実施形態では、あるインプラント・コンポーネントの関節対向表面は、軟骨下骨の形状に対し正適合するように設計され得る。たとえば、あるインプラント・コンポーネントの関節対向表面は、患者の既存の軟骨下骨表面または健常な軟骨下骨表面または計算された軟骨下骨表面の1つまたは複数の特徴と、そのコンポーネントが骨対向表面側で取り付けられた関節表面で実質的に正適合できる。あるいは、関節対向表面は、患者の既存の軟骨下表面または健常な軟骨下表面または計算された軟骨下表面の1つまたは複数の特徴と、関節内の対向する関節表面で実質的に負適合できる。軟骨下骨の形状を修正して、正常またはほぼ正常な関節の形状を再建し、この修正をコンポーネントの関節対向表面の形状に組み込むことができる。標準の厚さを関節対向表面に付加して、たとえば平均的軟骨厚さを反映させることができる。あるいは、可変厚さをコンポーネントに適用することができる。可変厚さは、たとえば特定の患者において測定される患者の実際のまたは健常な軟骨厚さを反映するように選択することも、または標準の参照データベースから選択することもできる。

0035

ある実施形態では、インプラント・コンポーネントの関節対向表面は、1つまたは複数の標準特徴を含み得る。コンポーネントの関節対向表面の標準形状は、典型的な健常な軟骨下骨または軟骨の形状を少なくとも部分的には反映することができる。たとえば、インプラント・コンポーネントの関節対向表面は、標準的な半径を有する湾曲、または1つまたは複数の方向の湾曲を含み得る。あるいは、またはさらに、インプラント・コンポーネントは、選択領域において標準の厚さまたは標準の最小厚さを有することができる。標準厚さはコンポーネントの関節対向表面の1つまたは複数のセクションに付加できるが、あるいは可変厚さをインプラント・コンポーネントに適用することもできる。

0036

ある実施形態は、第1のインプラント・コンポーネントに加えて、対向する関節対向表面を有する第2のインプラント・コンポーネントを含み得る。第2のインプラント・コンポーネントの骨対向表面または関節対向表面は、上述のように設計され得る。さらに、ある実施形態では、第2のコンポーネントの関節対向表面は、第1のコンポーネントの関節対向表面と少なくとも部分的には適合(たとえば実質的に負適合)するように設計できる。第1のコンポーネントの関節対向表面に対し相補形状となるように第2のコンポーネントの関節対向表面を設計することで、インプラントの摩耗が抑制され、運動力学的に最適化することができる。したがって、ある実施形態では、第1のインプラント・コンポーネントと第2のインプラント・コンポーネントの各関節対向表面は、患者の既存の解剖学的構造には適合しないが、対向するインプラント・コンポーネントの関節対向表面とは負適合または実質的に負適合する特徴を含み得る。

0037

しかし、第1のインプラント・コンポーネントの関節対向表面が患者の体内特徴に適応する特徴を含む場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された特徴を有する第2のインプラント・コンポーネントも、その患者のその体内特徴に適応することになる。例示として、第1のコンポーネントの関節対向表面が患者の軟骨の形状の一部分に適応する場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された対向する第2のコンポーネントの関節対向表面も、その患者の軟骨の形状に適応している。第1のコンポーネントの関節対向表面が患者の軟骨下骨の形状の一部分に適応する場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された対向する第2のコンポーネントの関節対向表面も、その患者の軟骨下骨の形状に適応している。第1のコンポーネントの関節対向表面が患者の皮質骨の形状の一部分に適応する場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された対向する第2のコンポーネントの関節対向表面も、その患者の皮質骨の形状に適応している。第1のコンポーネントの関節対向表面が患者の骨内膜骨の形状の一部分に適応する場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された対向する第2のコンポーネントの関節対向表面も、その患者の骨内膜骨の形状に適応している。第1のコンポーネントの関節対向表面が患者の骨髄の形状の一部分に適応する場合、第1のインプラント・コンポーネントのその特徴に適合するように設計された対向する第2のコンポーネントの関節対向表面も、その患者の骨髄の形状に適応している。

0038

対向する第2のコンポーネントの関節対向表面は、1つの面または寸法で、2つの面または寸法で、3つの面または寸法で、または複数の面または寸法で、第1のコンポーネントの関節対向表面に対し実質的に負適合し得る。たとえば、対向する第2のコンポーネントの関節対向表面は、冠状面だけで、矢状面だけで、または冠状面と矢状面の両方で、第1のコンポーネントの関節対向表面に対し実質的に負適合し得る。

0039

実質的に負適合する輪郭を対向する第2のコンポーネントの関節対向表面に作成する場合、幾何学的に考慮することで、第1のコンポーネントと第2のコンポーネント間の摩耗を抑制することができる。同様に、対向する第2のコンポーネントの関節対向表面の凸型湾曲の半径は、第1のコンポーネントの関節対向表面の凹型湾曲の半径に適合するように選択するか、または第1のコンポーネントの関節対向表面の凹型湾曲の半径よりも1つまたは複数の寸法においてわずかに小さくなるように選択され得る。こうすれば、第1のインプラント・コンポーネントと第2のインプラント・コンポーネントのそれぞれの表面の関節連結する凹凸型の湾曲間の接触表面積を最大限にできる。

0040

第2のコンポーネントの骨対向表面は、関節軟骨、軟骨下骨、皮質骨、骨内膜骨、または骨髄の形状(たとえば表面の輪郭、角度、または切除されたまたは天然の体内構造の周囲形状)に少なくとも部分的には負適合するように設計され得る。第2のコンポーネントの骨対向表面は、1つまたは複数の所定の切除骨切り部に適合する1つまたは複数の患者適応性の骨切り部を有するなど、第1のコンポーネントの骨対向表面について上述した特徴をどれでも有することができる。

0041

第1のコンポーネントと第2のコンポーネントの骨対向表面と関節対向表面の多くの組合せが可能である。表2は、利用され得る例示的な組合せを提供している。
表2:インプラントにおける患者固有(P)、個別設計(PE)、および標準(St)の特徴1の例示的組合せ








1:S=標準規格品、P=患者固有、PE=個別設計(たとえば、患者の関節表面の曲率から抽出した一定の冠状曲率)
2:1番から13番までのインプラント特徴はそれぞれ異なる例示的インプラント特徴を表している。たとえば、股関節インプラントでは、13個の特徴は、限定ではないが、以下を含み得る。(1)縁を含む寛骨臼コンポーネントの骨対向表面、(2)縁を含む寛骨臼コンポーネントの関節対向表面、(3)連結(interlock)カップまたはインサート、(4)大腿骨コンポーネントのベアリングまたは関節対向表面、(5)大腿骨コンポーネントの骨頭切除表面、(6)大腿骨コンポーネントの骨頚切除表面、(7)大腿骨頭切除角度、(8)大腿骨頚切除角度、(9)大腿骨頚体角、(10)大腿骨コンポーネントの長さおよびその結果の脚長、(11)大腿骨体内外寸法、(12)大腿骨体の前後寸法、(13)大腿骨体長さ。

0042

複数コンポーネントのインプラント
本明細書では、インプラントは1つまたは複数のインプラント・コンポーネントを含み得る。たとえば、本開示の股関節インプラントは、寛骨臼コンポーネントおよび大腿骨コンポーネントを含み得るが、大腿骨コンポーネントはさらに大腿骨頭コンポーネントおよび大腿骨体コンポーネントを含み得る。インプラントはさらに、連結カップを含み得る。

0043

複数コンポーネントのインプラントは、少なくとも2つのコンポーネントを含み得るが、これらは各々が1つまたは複数の患者適応性特徴を含んでいる。あるいは、1つまたは複数のコンポーネントを予め作製されたインプラント・コンポーネントのライブラリから選択してもよく、そのようなセクションは、本明細書に記載するような患者固有のデータに基づき得る。

0044

したがって、本明細書に記載のインプラントおよびインプラント・システムは、患者適応性のインプラント・コンポーネントおよび非患者適応性のインプラント・コンポーネントをそれぞれ任意の数だけ含んでいる。

0045

複数コンポーネントのインプラントは、それぞれ1つまたは複数の標準のまたは患者適応性の特徴を有する2つのコンポーネントを含み得、これらのコンポーネントは埋め込み後に所望の結果(たとえば解剖学的構造に近いフィット性)が達成されるように互いを受容する。たとえば、患者の股関節を修復するために設計または選択されるインプラントは、寛骨臼コンポーネントと大腿骨コンポーネントとを含み得、これらのコンポーネントのうちの一方または両方は、患者の股関節に関する寛骨臼の前捻または後捻、または大腿骨の前捻または後捻を修正するように設計および構成される1つまたは複数の患者適応性特徴を含み得る。

0046

ある実施形態では、寛骨臼コンポーネント用に設計または選択された寛骨臼の前捻角または後捻角は、大腿骨コンポーネント用に設計または選択された大腿骨の前捻角または後捻角と直接関係し同時に動作し得る。たとえば、患者には10度の寛骨臼前捻角が必要であると医師が判断した場合、この患者用に設計または選択されたインプラントの大腿骨コンポーネントは、10度の大腿骨後捻角かまたはそれ以外の角度の大腿骨後捻角を含み得る。あるいは、患者には10度の寛骨臼前捻角が必要であると医師が判断した場合、この患者用に設計または選択されたインプラントの大腿骨コンポーネントは、10度の大腿骨前捻角かまたはそれ以外の角度の大腿骨前捻角を含み得る。

0047

したがって、大腿骨コンポーネントの前捻または後捻、または寛骨臼コンポーネントの前捻または後捻は、手術アプローチ、たとえば前方アプローチ、側方アプローチ、または後方アプローチ用に適応または調節することができる。このことは、患者固有の器械(たとえば、寛骨臼リーミング用ジグまたは大腿骨頚切断ジグまたは大腿骨リーミング・ジグ)の設計に含まれ得る。また、所望の前捻角または後捻角で事前に製造または作製された大腿骨または寛骨臼インプラント・コンポーネントの選択にも含まれ得る。また、大腿骨コンポーネントまたは寛骨臼コンポーネントの設計にも含まれ得る。

0048

ある実施形態では、寛骨臼コンポーネント用に設計または選択された寛骨臼カップ角は、大腿骨コンポーネント用に設計または選択された大腿骨頚体角と直接関係し同時に動作し得る。たとえば、患者には20度の寛骨臼カップ角が必要であると医師が判断した場合、この患者用に設計または選択されたインプラントの大腿骨コンポーネントは、70度の大腿骨頚体角を含み得る。あるいは、患者には25度の寛骨臼前捻角が必要であると医師が判断した場合、この患者用に設計または選択されたインプラントの大腿骨コンポーネントは、75度の大腿骨頚体角を含み得る。

0049

寛骨臼カップ角は、患者固有のデータから抽出するかまたはそれを基に決定することができる。たとえば、寛骨臼カップ角は、患者適合性かまたは患者の解剖学的構造に適応させることができるが、特定のインプラント設計の望ましい臼蓋角と患者の天然の臼蓋角との折衷結果となる場合もある。

0050

同様に、大腿骨頚体角は、患者固有のデータから抽出するかまたはそれを基に決定することができる。たとえば、大腿骨頚体角は、患者適合性かまたは患者の解剖学的構造に適応させることができるが、特定のインプラント設計の望ましい大腿骨頚体角と患者の天然の大腿骨頚体角との折衷結果となる場合もある。

0051

ある実施形態では、寛骨臼カップ角と大腿骨頚体角は、特定のインプラント設計用に、またその特定のインプラント設計に基づき、またさらに患者固有のデータに基づいて、互いに対し相対的に調節され得る。

0052

したがって、大腿骨コンポーネント頚体角または寛骨臼コンポーネント臼蓋角は、手術アプローチ、たとえば前方アプローチ、側方アプローチ、または後方アプローチ用に適応または調節することができる。このことは、患者固有の器械(たとえば、寛骨臼リーミング用ジグまたは大腿骨頚切断ジグまたは大腿骨リーミング・ジグ)の設計に含まれ得る。また、所望の大腿骨頚体角を有して事前に製造された大腿骨インプラント・コンポーネント、または所望の寛骨臼カップ角を有して事前に製造された寛骨臼インプラント・コンポーネントの選択にも含まれ得る。また、大腿骨コンポーネントまたは寛骨臼コンポーネントの設計にも含まれ得る。

0053

同様に、ある実施形態では、寛骨臼カップの回旋角と大腿骨コンポーネントの回旋角は、特定のインプラント設計用に、またその特定のインプラント設計に基づき、またさらに患者固有のデータに基づいて、互いに対し相対的に調節され得る。

0054

同様に、ある実施形態では、寛骨臼コンポーネントの向きと大腿骨コンポーネントの向きは、特定のインプラント設計用に、またその特定のインプラント設計に基づき、またさらに患者固有のデータに基づいて、互いに対し相対的に調節され得る。

0055

例示的股関節インプラント・システムおよびインプラント・コンポーネント
ある実施形態では、股関節インプラントが提供される。インプラントは、大腿骨頭コンポーネントおよび大腿骨頚コンポーネントを有し得る大腿骨コンポーネント、および寛骨臼カップ・コンポーネントおよび寛骨臼ライナー・コンポーネントを有し得る寛骨臼コンポーネントを含み得る。大腿骨コンポーネントおよび/または寛骨臼コンポーネントは、本明細書に記載するように1つまたは複数の患者適応性特徴を含み得る。

0056

さまざまな股関節インプラントおよびインプラント・コンポーネントの構成を図面に説明している。

0057

たとえば、図3に例示するインプラントは、大腿骨頭32と大腿骨ステム33を連結するカラー31を含んでいる。カラー31は、特定の患者固有であり、または患者固有のパラメータによって患者適応性である。たとえば、カラー31または少なくともその一部分は、大腿骨の切断表面の皮質骨に適合する(たとえば、カラー31の周縁が皮質骨の周縁に適合する)ように構成されている。ある実施形態では、それに加えて、またはその代わりに、カラー31または少なくともその一部分は、大腿骨の切断骨表面の骨内膜骨に適合する(たとえば、カラー31の周縁が骨内膜骨の周縁に適合する)ように構成されている。

0058

図4に、ロングステムを有する代替の大腿骨インプラントを示す。インプラントは、大腿骨頭42と大腿骨ステム43を連結するカラー41を含んでいる。カラー41は、患者固有のパラメータによって特定の患者固有または患者適応性である。たとえば、カラー41または少なくともその一部分は、大腿骨の切断表面の皮質骨に適合する(たとえば、カラー41の周縁が皮質骨の周縁に適合する)ように構成されている。ある実施形態では、それに加えて、またはその代わりに、カラー41または少なくともその一部分は、大腿骨の切断骨表面の骨内膜骨に適合する(たとえば、カラー41の周縁が骨内膜骨の周縁に適合する)ように構成されている。

0059

図10は、患者の股関節側大腿骨の切除表面に取り付けられた、大腿骨インプラントの一部分を示している。この部分は外部スリーブ100を含んでいる。図示のように、外部スリーブ100はその外表面と周辺部を丸くされているので、点荷重の可能性が回避される。外部スリーブ100は、少なくとも部分101および部分102を含み、これらの部分はそれぞれが係合する股関節側大腿骨の部分に適合するために互いに異なる(たとえばサイズや形状)ようにされている。

0060

図11は、患者の股関節側大腿骨の切除表面に取り付けられた、外部スリーブ111を有する大腿骨インプラントの一部分(パネルA)、および外部スリーブの骨接触表面112の一部分の拡大図(パネルB)を示している。パネルBは、骨接触表面112の段梯子設計を示しており、これによってせん断力が圧縮力に変換される。

0061

図12は、切除後の股関節側大腿骨の一部分(パネルA)、および、該切除表面またはその周囲をさらにバーリングまたはミリングして、フランジ状外部スリーブ121との係合を容易にした(またはフィット性を向上させた)、切除後の股関節側大腿骨の一部分の図である。パネルBに示すように、外部スリーブ121の別々の部分(122、123)は、切除後の大腿骨頚の対応する外部骨表面部分(124、125)の形状に適合する(または合致する)ように、互いに異なるようにされている。ある実施形態では、骨表面部分はバーリングまたはミリングされている。図示のように、そのようなバーリングまたはミリングは、患者の天然の骨のサイズ、形状、および湾曲にしたがい患者固有であり、患者固有のパラメータによりさらに改造または最適化することもできる。

0062

大多数の人工股関節置換術では、大腿骨頚は大腿骨頚軸線に対しほぼ垂直な角度で切断される。本発明の一実施形態では、生体力学的軸線はスキャンやその他のデータに基づき決定される。次に、この生体力学的軸線の情報を、大腿骨頚を生体力学的軸線に対し垂直またはほぼ垂直に切断するように設計されている手術計画に入力する。

0063

大腿骨頚を生体力学的軸線に対し垂直またはほぼ垂直に切断することによって、ショートステムまたはロングステムの大腿骨コンポーネントのカラー部分接触面積および支持面積を拡大することができるので、骨支持も強化されることになる。それに加えて、好ましくも荷重をせん断タイプの応力からより圧縮的な荷重および応力に変換することができる。生体力学的軸線に対し垂直に切断すれば、圧縮応力のほうが優勢になる。

0064

(ショートネックの場合に)高位大転子または低位大腿骨頭などの介在構造機械的軸線に対し垂直な切断に干渉する場合、随意に、生体力学的軸線付近ではあるがこれらのまたはその他の干渉構造には接触しないように切断を調節することができる。

0065

図18は、大腿骨頭182と係合する寛骨臼181を含む天然の股関節を示している。

0066

図19は、計画上のリーミング深さ(たとえば2mm)を示す破線192を有する寛骨臼191を示している。

0067

図20は、寛骨臼カップ201および大腿骨頭202を含む人工股関節置換システム200を示している。ある実施形態では、寛骨臼カップ201は、厚さ(Tc)2mmまたは3mmの金属製カップ裏張りを含んでいる。寛骨臼カップ201は、さらに、厚さ(Ti)3mm、4mmもしくは5mmまたは他の所望の厚さの、たとえばUHMWPEでできたインサートを含んでいる。破線203は天然の大腿骨頭の位置または輪郭を示している。図示のように、大腿骨頭202は天然の大腿骨頭よりも小さいが、これはリーミング深さを考慮した寛骨臼カップ(裏張りおよびインサート)の総合的厚さにより生成される寛骨臼オフセットのせいである。

0068

図21は、人工股関節置換または表面置換の準備中の天然の股関節を示している。破線211は、寛骨臼カップを収容するための、所期のリーミング深さ(TR)を示している。本明細書では、所期のリーミング深さは、所定であるか、患者固有のパラメータによって決定されるか、または大腿骨頚切除レベル、(寛骨臼コンポーネントと大腿骨コンポーネントを含む)インプラントの総合的厚さ、大腿骨頚/骨体角、寛骨臼カップ位置または向きを限定ではなく含む患者固有のパラメータに合わせることができる。

0069

本明細書に含まれる図22図23は、例示的な単軸股関節インプラント・システムを示している。股関節インプラントは、概ね半球形状の寛骨臼カップ、この寛骨臼カップ内に嵌る形状の大腿骨頭、および大腿骨頭を大腿骨に固定するのを助ける描着手段(たとえば中心ペグ)を含んでいる。

0070

図22に示すように、人工股関節置換システムのインプラントは、大腿骨コンポーネント221および寛骨臼コンポーネント222を含んでいる。股関節の大腿骨頭は、ミリングまたはその他の手段により準備されて、大腿骨コンポーネント221を受ける。大腿骨コンポーネント221の外部関節対向表面部分223は、寛骨臼コンポーネント222の関節対向表面と関節連結するように構成されている。骨対向表面部分224および225は、平坦でも丸くてもよく、準備された大腿骨頭の骨表面と係合して負適合(つまり合致)する。図示のように、大腿骨コンポーネント221の関節連結部分は最小材料厚さ(MT)を有し得、この厚さは患者適応性かまたは最適化することができる。寛骨臼コンポーネント222は、厚さTcを有しかつ寛骨臼の骨表面と係合(そして合致)する裏張り(第1の寛骨臼)コンポーネント226を含んでいる。寛骨臼コンポーネント222はまた、厚さTiを有し、大腿骨コンポーネント221に対する関節連結表面を提供するインサート(第2の寛骨臼)コンポーネント227を含んでいる。インサートまたは第2の寛骨臼コンポーネントは、本明細書に詳述するように、裏張りまたは第1の寛骨臼コンポーネントに固定的にまたは取外し可能に係止する。股関節インプラント・システムはさらに中心ペグ228を含み、このペグのサイズ(たとえば長さ、幅)や形状は、患者適応性または最適化することができる。股関節インプラント・システムはまた、大腿骨コンポーネント221の位置合わせを容易にするアラインメントガイド(たとえば図示していないがkワイヤ)を使用してもよく、それによって寛骨臼コンポーネント222の位置や向きを決定することができる。

0071

図23に示すように、股関節インプラントは、大腿骨コンポーネント231および寛骨臼コンポーネント232を含んでいる。寛骨臼コンポーネント232は、第1の裏張りコンポーネント233および第2のインサート・コンポーネント234を含んでいる。大腿骨コンポーネントは、中心ペグ235を含んでいる。本明細書に記載するように、これらのコンポーネントのさまざまな特徴や部分は、患者固有のパラメータに基づき特定の患者用に改造し最適化することができる。

0072

ある実施形態では、寛骨臼カップは非金属の、たとえば架橋されて抗酸化性であるUHMWPEのベアリング表面を含んでいる。寛骨臼カップはさらに、非金属ベアリング表面を呈する非金属製コンポーネントの金属製裏張りコンポーネントを含んでいる。金属製裏張りコンポーネントの骨対向表面は、リーミングされた寛骨臼の形状に負適合している。例示的実施形態では、寛骨臼は1mmのリーミングを受け、金属製裏張りコンポーネントは厚さ2mmであり、非金属製コンポーネントは4mmである。したがって、寛骨臼カップは追加の5mmの関節腔を要する。対応する大腿骨頭コンポーネント、たとえば金属製のものは、さらに3mmの材料厚さを含んでおり、十分な関節表面を提供するために大腿骨を切除して、寛骨臼カップおよび大腿骨頭コンポーネントの総合的要件に対応しなければならない(たとえば、例示した例では、8mmの骨除去が必要になる)。各コンポーネントの材料厚さまたは総合的厚さは、骨除去量の決定に用いることができる。あるいは、所望の骨除去レベルは、まずは患者を参照してまたは参照せずに決定してから、各コンポーネントの材料厚さを抽出してもよい。材料厚さは、たとえば患者固有の有限要素解析(FEA)に基づき個々の患者用にカスタマイズすることができる。材料の選択もまた、たとえば患者固有の骨構造または骨密度のパラメータに基づき個々の患者用にカスタマイズすることができる。

0073

説明的な股関節インプラント・システムの例示的パラメータとしては、患者の寛骨臼によって強制される寛骨臼カップ・コンポーネントの形状または幾何的形態(たとえば半径)、大腿骨切除レベルや患者の骨の特徴(たとえば海綿骨の微小構造、骨密度)などによって強制される大腿骨頭コンポーネントの形状または幾何的形態(たとえばシリンダー幅および高さ)、大腿骨頭コンポーネントの中心ペグのサイズまたは形状(たとえば幅、長さ、または厚さ)が挙げられ、これらは個々の患者用に最適化または適応させることができる。

0074

図9に示すように、股関節インプラント・システムは、随意であるが、大腿骨頚をさらに支持するように構成された大腿骨スリーブを含んでいる。大腿骨インプラントは、外部スリーブ91を含んでおり、その少なくとも一部分は大腿骨の切断骨表面に載置され、別の部分は切断骨表面の周縁を越えて延出して、切断骨表面に隣接する側面の少なくとも一部分と係合する。外部スリーブ91は、患者固有のパラメータに基づき患者に適応するように構成されている。

0075

大腿骨スリーブのさまざまな態様の例は、その材料厚さ、幅つまり大腿骨頚に沿っての半径、および長さを限定ではなく含む、特定の患者の解剖学的構造または追加の患者情報に基づき設計または選択され得る。大腿骨スリーブは、準備された大腿骨表面と係合するための外表面を含んでおり、この外表面は、患者の準備された大腿骨表面の湾曲に適合する湾曲を有し、大腿骨頭シリンダー・コンポーネントが大腿骨スリーブと係合するとせん断力を圧縮力に変換するように構成されている。材料厚さは、患者固有FEAにより最適化することができる。

0076

大腿骨カラーの患者固有の設計、選択、または改造/最適化は、切断された大腿骨の形状(たとえば切断された皮質骨の形状との適合)、大転子の形状、小転子の形状、大腿骨の内膜骨、大腿骨の海綿骨(海綿骨に隣接するカラー位置の距離を含む)、海綿骨の微小構造およびマクロ構造、および骨塩量などのその他の骨質パラメータ、といったパラメータのうちの1つまたは複数に基づき得る。

0077

例示的な表面置換システムは、随意に、1つまたは複数のガイドを有する1つまたは複数の患者適応性の手術ツールを含んでいる。そのような手術ツールの1つは、大腿骨の管内に延びて大腿骨頭コンポーネントの所望のアラインメントが得られるように構成されているkワイヤを収容するガイドを含み得る。

0078

例示的患者適応性寛骨臼コンポーネント
さまざまな実施形態は、1つまたは複数の患者適応性の寛骨臼インプラント・コンポーネント(たとえば寛骨臼カップ、寛骨臼インサートまたはライナー、寛骨臼スクリュー)を含み得る。たとえば、寛骨臼カップは、たとえば本明細書に記載する技法を利用して、患者固有の情報(たとえばCT画像情報)に基づき選択および/または設計することができる。いくつかの実施形態では、患者固有の情報を利用して、リーミング後の寛骨臼窩の表面を最大限に覆うカップを設計することができ、これによってカップの固定(たとえば初期固定)が容易になり、骨の外部成長および/または内部成長の可能性が高くなり得る。たとえば、図34に例示するように、いくつかの実施形態では、寛骨臼カップ312を、骨盤300の寛骨臼窩の縁314の少なくとも一部分(およびいくつかの好ましい実施形態では実質的に全部)に実質的に適合する縁313と一緒に設計することができる。それに加えて、または代わりに、いくつかの実施形態では、カップの深さ(たとえばカップの頂点から縁313までの距離)はリーミングされた骨の対応する深さ(たとえば縁周囲の周り)よりもわずかに短くして、たとえばステムの衝突を回避し易くすることができる。

0079

寛骨臼カップ312はさらに、インサートをカップ内に係止するための所定の患者適応性位置および/または向きのロック機構を含み得る。所定の位置および/または向きは、ステムネック(stem neck)の可動範囲を最大限にする方向にインサートが向くことができるように、選択され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、標準品の(つまり患者固有でない)ゼロ度のインサートを患者適応性の寛骨臼カップと一緒に利用してもよく、インサートのカップ・ロック機構の患者適応性の位置および/または向きによって、ステムネックの可動範囲の最大限化と、衝突、摩耗による溶解、および脱臼の可能性の抑制とが可能になり得る。さらに、標準品のインサートを使用すれば、患者固有のインサートを用いるシステムと比べて、インプラント・システムにかかる費用を抑えることができる。

0080

それに加えて、いくつかの実施形態は、1つまたは複数の寛骨臼トライアル・インプラント・コンポーネントを含み得る。たとえば、患者適応性の寛骨臼カップ・トライアル317を寛骨臼カップの位置合わせおよび設置を容易にするのに用いることができる。たとえば、図35aは、例示的なカップ・トライアル317を説明しており、カップ・トライアル317は、骨盤300の寛骨臼窩の縁314の少なくとも一部分(およびいくつかの好ましい実施形態では実質的に全部)に実質的に適合する縁318を含んでいる。カップ・トライアルの縁318は、随意であるが、縁318の表面および/またはカップ・トライアル317の外表面にマーク319(たとえばレーザーマーク、溝、エッチングなど)を含み得る。いくつかの実施形態では、マークは、カップ・トライアル317が寛骨臼窩内で適切に位置合わせされ方向付けられたときに、骨盤300の寛骨臼窩の縁314の少なくとも一部分に対し所定の位置および/または向きを有し得、その結果として縁318が寛骨臼窩の縁314と実質的に適合するアラインメント状態になる。たとえば、カップ・トライアル317は、図35bに示すように、準備された寛骨臼内に設置され寛骨臼の縁314に適合するように揃えられ得る。次いで、随意であるが、医師は、寛骨臼の縁314(および、随意にその付近の骨の部分)にトライアル・カップのマーク319に揃えて印をつけることができる。トライアルはこの後取り外してよい。寛骨臼カップ312は、その縁313および外表面(たとえば多孔性コーティング)に、トライアル317のマーク319のうちの少なくともいくつかと同じマークを有し得る。寛骨臼カップ312は、埋め込まれると、まずは寛骨臼の縁の印と揃えられてから、寛骨臼に固定され得る。アラインメントマークとトライアル・カップを用いるこのような技法を用いれば、手術中の骨盤のずれに関する問題を緩和することが可能になる。そのような骨盤のずれは、解剖学的指標に基づくカップの設置確度を低下させ、摩耗、インプラントの緩み、および脱臼の可能性を高めてしまうことにもなる。

0081

さらに、いくつかの実施形態では、寛骨臼カップ312aおよび/またはカップ・トライアル317aは、複数の脱着可能に取り付けられる部分、たとえば、図36に説明するようなカップ部分315および縁部分316で形成され得る。カップ部分315は、略半球形であり得、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の標準サイズから選択され得る。縁部分316は、カップ部分315に脱着可能に取り付けられるように構成されたカップ側331と、患者固有であって、骨盤300の寛骨臼窩の縁314の少なくとも一部分(いくつかの好ましい実施形態では、実質的に全部)に適合するようにサイズ決めされ成形された縁側332とを有し得る。カップ部分315と縁部分316を脱着可能に取り付けるのに、さまざまな取り付け機構を用いることができる。たとえば、図38aに説明するように、縁部分316の縁側は、複数の固定ピン334を含み得る。図38bで説明する前面図に示すように、カップ部分315は、対応する固定ピン334を受けるようにされた複数の受け孔333を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、縁部分316の縁側332(図38cに示す前面図で説明する)は、上述したマーク319を含み得る。いくつかの実施形態では、使用時、カップ部分315と縁部分316は図37に説明するように互いに取り付けられ得、合体させた寛骨臼カップ312aおよび/またはカップ・トライアル317aは、準備された寛骨臼内に設置され寛骨臼の縁314に適合するように揃えられ得る。次いで、随意に縁部分316は除去してもよい。カップ部分が縁部分に脱着可能に取り付けられるこのような実施形態では、縁の外表面のアラインメントマーク(たとえば上述したもの)を用いてカップが正確に設置されるように正確に位置合わせすることができ、医師にとっては縁部分を取り外して半球形のカップ部分だけを使用する選択肢もある。

0082

ある実施形態では、本明細書に記載の手術計画システムおよび方法は、患者固有の情報(たとえばCT画像情報)を用いて寛骨臼カップのスクリューの位置、向き、および/または長さを事前に決定することを含み得る。たとえば、さまざまな実施形態では、1つまたは複数のスクリュー穴は、寛骨臼カップが埋め込み部位に位置決めされかつ/または揃えられたときにスクリュー穴を貫通するスクリューを最大限安全に設置できるように寛骨臼カップ内で位置合わせされかつ/または方向づけられ得る。スクリューを安全に設置することで、スクリューの設置に使用する何らかの穴開け具および/またはスクリュー自体の設置によって、埋め込み部位に近接する血管構造を不慮に傷つけてしまうことを回避できる。スクリューを最大限安全に設置するために、1つまたは複数の安全域または安全地帯をスクリュー設置に好ましいおよび/または所期の箇所として特定してもよい。そのような安全域は、たとえば、下前腸骨棘から寛骨臼中心を通り、坐骨切痕から寛骨臼中心への線の背側にある線内の領域を含み得る。安全域はまた、たとえば、骨盤の諸部分も含み得る。したがって、さまざまな実施形態では、寛骨臼カップは、安全域内で揃うように位置合わせされかつ/または方向づけられた1つまたは複数のスクリュー穴を有して設計され得、ドリルおよび/またはスクリューの長さは安全域を貫通しないように選択および/または設計され得る。

0083

さまざまな実施形態はまた、寛骨臼カップを埋め込むため組織を準備するように選択および/または設計される1つまたは複数のジグ(たとえば標準の、患者適応性の、またはそれらの組合せ)を含み得る。1つまたは複数のジグは、患者固有の情報、所定のスクリュー設置(上述した通り)、および寛骨臼カップ(たとえばカップのライナーおよび/またはカップの金属製裏張り)の所望の傾斜(version)、向きおよび/もしくは傾き(inclination)、のうちの1つまたは複数に基づいて寛骨臼スクリュー用の穴開けを案内するように、選択および/または設計され得る。ある実施形態は、寛骨臼縁、皮質骨、および寛骨臼関節表面のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に設置される、患者固有の表面を有するジグを含み得る。ジグはさらに、1つまたは複数のドリルガイド特徴を含み得るので、ジグが埋め込み部位で適切に位置合わせされかつ/または揃えられると、寛骨臼カップに(たとえば上述したような所定の位置、向き、および/または深さの)1つまたは複数のスクリュー穴を開けることが可能になる。いくつかの実施形態では、そのようなジグは、寛骨臼のリーミング前の位置合わせ用に構成され得る。随意であるが、たとえば寛骨臼の骨および/または周囲の骨の厚さに基づき患者適応性のドリルストップを選択および/または設計して、所定の深さを超えて穴開けしないようにしてもよい。

0084

それに加えて、または代わりに、さまざまな実施形態は、寛骨臼窩の少なくとも一部分に基づき患者固有の表面を有するジグを含み得る。いくつかの実施形態では、そのような寛骨臼窩ジグは、リーミング後の寛骨臼窩に嵌合するようにされた1つまたは複数の表面を含み得る。寛骨臼窩ジグは、さらに、1つまたは複数の伸長特徴を含み得、該伸長特徴は寛骨臼窩を越えて外部に伸長し、たとえば寛骨臼、坐骨仙骨、および恥骨のうちの1つまたは複数の諸部分などのその他の患者固有の表面にジグを参照(reference)させかつ/または揃えることができる患者固有の接触表面を有している。寛骨臼窩の外部に位置するそのような患者固有の接触表面は、カップのライナーおよび/またはカップの金属製裏張りの所望の傾斜(version)、傾き(inclination)および/または向きにジグを揃えるのを容易にし得る。寛骨臼窩ジグが(および、伸長特徴もあれば随意に)埋め込み部位で適切に位置合わせされかつ/または揃えられると、寛骨臼窩ジグに含まれるドリルガイドおよび/または1つまたは複数の伸長特徴を用いて、(たとえば上述したように所定の位置、向きおよび/または深さの)1つまたは複数の寛骨臼カップのスクリュー穴を開けることができる。いくつかの実施形態では、寛骨臼窩ジグはまた、たとえば医師が寛骨臼の一部分を過剰にリーミングしてしまった場合にジグを連結できる1つまたは複数のスペーサーを収容するようにされ得る。これによって、過剰にリーミングしてしまった場合でも、スクリュー穴を正確に揃えることが容易になり得る。随意であるが、たとえば寛骨臼の骨および/または周囲の骨の厚さに基づき患者適応性のドリルストップを選択および/または設計して、所定の深さを超えて穴開けしないようにしてもよい。

0085

図39および図40は、患者の骨盤300に対する例示的寛骨臼ジグの実施形態の斜視図を説明している。図示するように、寛骨臼縁ジグ301は、患者の寛骨臼303の縁と係合するようなサイズと形状の患者固有の表面302を含み得る。寛骨臼窩ジグ304も同様に、患者の寛骨臼窩305と係合するようなサイズと形状の周囲表面を有し得る。寛骨臼窩ジグ304はさらに、1つまたは複数の伸長特徴306を含み得る。伸長特徴306が寛骨臼窩ジグ304の周囲を越えて伸長しているとき、各伸長特徴306は相対距離Rよりも短い長さを有し得るが、相対距離Rとは寛骨臼窩のおよその中心から寛骨臼縁ジグ301の内壁の相対位置までの距離であって、寛骨臼窩ジグ304が寛骨臼縁ジグ301内に位置できるようになっている。図40に示すように、ドリルガイド特徴307は、寛骨臼窩ジグ304に取り付けられて、寛骨臼窩305を越えて伸長し得る。ドリルガイド特徴307は、伸長特徴306を含むか、または別構造であり得る。ドリルガイド特徴307は、寛骨臼303の一部分と係合する患者固有の表面308を含み得る。1つまたは複数のドリルガイド穴309をドリルガイド特徴307に形成することができる。ドリルガイド穴309は、上述したような所定の位置および向きを有することができ、ドリル・アセンブリ310を受けるように構成され得る。さらに、ドリル・アセンブリ310は、ドリルストップ311を含んで、ドリル深さを所定の安全な距離に制限することができる。

0086

追加の例示的股関節インプラント・システムおよび方法
図24および図25A〜25Dを参照すると、以下の各計算が、本開示の股関節インプラント・システムのいくつかの実施形態の設計または選択に関するさまざまなパラメータの決定または抽出を説明している。

0087

図24に説明するように、破線の輪郭241は天然の大腿骨頭表面を示している。大腿骨コンポーネント242は、中心ペグ243を含んでいる。大腿骨コンポーネント242は、患者の体型を含む患者固有のパラメータによって決定され得る最小材料厚さ(MMT)を有する部分244を少なくとも含んでいる。寛骨臼コンポーネントと大腿骨コンポーネントの間の所望の遊び(P)が示されている。

0088

図23に示すように、中心ペグ(たとえば上述の中心ペグ228、中心ペグ235、中心ペグ243)の幅および中心ペグの長さは、特定の患者に適応させることができる。幅は、大腿骨頚幅または大腿骨頭直径に基づき選択、改造、または設計して、所与の患者体内の生体力学的安定性に必要な骨切除または除去量対最小ペグ幅を最適化することができる。幅は、さらに、患者の人体測定データおよび一般的骨サイズに基づき調節することができる。中心ペグの長さは、大腿骨頚長さおよび大腿骨体幅に基づき選択、改造、または設計することができる。随意に、中心ペグは大腿骨体の部分内へと延在することができる。

0089

図25Aに示すように、寛骨臼は直径ADを有している。所期のリーミング深さA1が示されており、破線の輪郭(つまり所期のまたは準備された寛骨臼縁)は、寛骨臼カップと係合するリーミング後の骨表面を示している。寛骨臼軟骨厚さACも示されている。本明細書に記載するように、所期のリーミング深さおよびその結果の寛骨臼縁の寸法を用いて特定の患者に適応するリーマーを作ることができる。

0090

図25Bに示すように、寛骨臼インプラントは、厚さAIのインサートおよび厚さAMLの金属製裏張り(金属製寛骨臼ライナー)を有する。寛骨臼インサートの直径をDAIとして示す。

0091

図25Cは、患者の股関節の大腿骨頭および骨頚を示している。大腿骨軟骨厚さ(FC)を随意に測定または見積もることができる。大腿骨頭直径(FHD)および大腿骨頭半径(FH)も示されている。骨頭骨頚接合部(FNW_J)での大腿骨頚幅も示されている。

0092

図25Dは、図示の通りの大腿骨頭コンポーネント直径(FHCD)を有する大腿骨頭を示している。大腿骨頭の内側および外側から除去される骨量のためのミルの直径は、FNW_Jに合わせることができる。大腿骨頭の内側および外側の除去される骨の量を決定することができる。本明細書に記載するように、所期のミリングパラメータ(たとえばミルの直径、除去される骨の量)を用いて特定の患者に合わせたミリングツールを作ることができる。

0093

以下の例は、さまざまなインプラントのパラメータの計算を説明するものである。
患者の天然の寛骨臼直径(AD):5.8cm
患者の推定または実際の寛骨臼軟骨(AC)厚さ:2mm(ただし評価は随意とする)
金属製寛骨臼ライナー(AML)厚さ:2mm
(随意でポリエチレン製)寛骨臼インサート(AI):4mm
手術計画:所期の寛骨臼リーミング深さ(AR):2mm
結果としての患者の天然の寛骨臼関節腔のオフセット(O):
O=AML+AI−AR−AC
上記の例ではO=2mm+4mm−2mm−2mm=2mmなので、寛骨臼ベアリング表面は遠位に2mm移動されることになる。

0094

寛骨臼ベアリング表面が遠位に移動することは、その結果としての寛骨臼インサートの大腿骨対向ベアリング表面の直径および半径が、患者の天然のベアリング表面の直径および半径よりも小さくなることを意味する。典型的には、直径は、2×Oだけ小さくなり、半径は1×Oだけ小さくなり、さらに大腿骨と寛骨臼のインプラントのベアリング表面間に十分な遊びを許容する縮小/オフセットが加わる。

0095

上の例では、寛骨臼インサートの大腿骨対向ベアリング表面の直径(DAI)は、5.8cm−0.4cm=5.4cmとなる。

0096

このことは、大腿骨頭コンポーネント側の適合するベアリング表面は、この患者では、5.4cmよりもわずかに小さくなくてはならないことを意味している。適合するコンポーネントが選択され、このサイズに改造され、またはこれらの寸法に設計され得る。
患者の天然の大腿骨頭直径(FHD):5.7mm
患者の天然の大腿骨頭半径(FHR):2.85mm
患者の推定または実際の大腿骨軟骨(FC)厚さ:2mm(ただし評価は随意とする)
表面置換する大腿骨コンポーネントの最小材料厚さ(MMT):3mm
寛骨臼コンポーネントと大腿骨コンポーネントの間の所望の遊び(P):0.5mm
中心窩領域(および随意に他の大腿骨頭領域)付近の切除される骨の量(BR):
BR=(FHD−DAI)+P+MMT=(5.7cm−5.4cm)+0.1cm+0.3cm=6.5mm

0097

円筒型ミルを使用する場合、骨の内側および外側除去量は、たとえば、骨頭骨頚接合部(FNW_J)の大腿骨頚幅によって決定することができる。

0098

上の例では、この特定の患者のFNW_Jは4.4cmであり、大腿骨頭コンポーネント直径(FHCD)はFHCD=DAI−P=5.3cmであり、大腿骨頭の内側および外側からの骨除去量のための、FNW_Jと適合するミル直径は4.4cmであり、大腿骨頭の内側から除去される骨量は(5.7cm−4.4cm)/2=0.65cmであり、大腿骨頭の外側から除去される骨量は(5.7cm−4.4cm)/2=0.65cmである。

0099

上述したインプラントを選択、改造、または設計するための計算および最適化は、大腿骨側から始めて寛骨臼側へと進めることができる。したがって、残存する寛骨臼の量または深さは、所望の量の大腿骨除去または所望の大腿骨インプラント・コンポーネント厚さまたはそれらの組合せに基づき決定することができる。その結果の寛骨臼リーミングが過大になる場合は、大腿骨除去量(ミルによる内側および外側の骨除去および骨頭中心窩領域付近の骨除去も含む)と寛骨臼リーミング深さの両方を、異なるコンポーネントの所与の材料厚さに向けて互いに対して最適化することができる。材料厚さは、たとえば将来の摩耗を見越したまたは補償する手段としてのポリエチレンの、またはコンポーネントの破損を防止する手段としての金属などの材料の最小厚さを含む所望の閾値を含み得る。各コンポーネントの材料厚さは、患者固有の情報、または体重、身長性別年齢、大腿骨頭サイズ、寛骨臼サイズまたは寸法などを含むパラメータに基づき調節することができる。それに加えて、コンポーネントの厚さは、運動力学モデルおよび有限要素モデルを用いて調節することができ、これらのモデルはいずれも患者固有のパラメータ(たとえば前述のパラメータならびに骨形状、寸法、骨密度、海綿骨構造など)を含み得る。

0100

この例はポリエチレン−金属のシステムに関するが、同じ設計または選択の論理をセラミックス−金属、全ポリエチレン、または全セラミックスのシステムの設計または選択にも適用することができる。さまざまな材料の組合せが可能である。以下の例示的組合せの一部は、金属−金属のベアリングを回避するのに使用され得る。

0101

患者固有のデータの収集モデリング
上述したように、ある実施形態は、術前に収集された患者固有のデータを使って設計され作製されるインプラント・コンポーネントを含んでいる。患者固有のデータは、点、表面、または指標を含み得るが、これらは本明細書ではまとめて「参照点」と呼ばれる。ある実施形態では、参照点は、限定ではないが理想表面または理想構造などの変更表面または改変表面の抽出に選択および使用され得る。たとえば、参照点は、患者の関連の体内特徴のモデル、または1つまたは複数の患者適応性の手術ステップ、ツール、およびインプラント・コンポーネントを作製するのに使用され得る。さらに、参照点は、表面、寸法、またはその他の特徴など少なくとも1つの患者固有のまたは個別設計の特徴を有する患者適応性インプラント・コンポーネントを設計するのに使用され得る。

0102

参照点の各組グループ化して参照構造を形成し、それを用いて関節のモデルやインプラント設計を作製することができる。設計されるインプラント表面は、単一の参照点、三角形多角形、またはパラメトリック表面もしくは細別表面などのより複雑な表面、あるいは、たとえば関節軟骨、軟骨下骨、皮質骨、骨内膜骨または骨髄などの関節材料のモデルから抽出され得る。さまざまな参照点および参照構造を選択し操作して、限定ではないが理想表面または理想構造などの変更表面または改変表面を抽出することができる。

0103

参照点は、患者適応性インプラントを受ける関節上または関節内に配置され得る。たとえば、参照点は、関節内または関節上の荷重ベアリング表面または箇所、関節内の皮質、または関節の骨内膜面を含み得る。参照点はまた、関節外部にあるがその関節と関連のある表面または位置を含み得る。具体的には、参照点は、関節と機能的に関連のある表面または位置を含み得る。たとえば、股関節に関する実施形態では、参照点は、股関節から膝、足関節または足までの範囲の1つまたは複数の位置を含み得る。参照点はまた、インプラントを受ける関節と相同の表面または位置を含み得る。たとえば、膝関節、股関節、または肩関節に関する実施形態では、参照点は、対側の膝関節、股関節、または肩関節由来の1つまたは複数の表面または位置を含み得る。

0104

ある実施形態では、患者から収集した画像データ、たとえば、X線画像診断デジタルトモシンセシスコーンビームCT、非スパイラルまたはスパイラルCT、非等方性または等方性MRISPECT、PET、超音波レーザー撮像、光音響撮像のうちの1つまたは複数の画像データを用いて、患者の体内特徴の1つまたは複数、正常軟骨、疾患軟骨、軟骨欠陥、摩耗した軟骨、寛骨臼突出、骨棘および他の異常のある部位、寛骨臼壁厚さ、軟骨下骨、皮質骨、骨内膜骨、骨髄、靭帯、靭帯付着部つまり起始半月板関節唇関節包関節構造、またはこれらの構造のいずれかの間または内部の空隙またはスペースの1つまたは複数を質的または量的に測定する。質的または量的に測定した体内特徴は、長さ、幅、高さ、深さまたは厚さのうちの1つまたは複数、湾曲、たとえば二次元の湾曲(たとえば平面内かまたは平面上に突出した湾曲)、三次元の湾曲、または湾曲の半径、形状、たとえば二次元または三次元の形状、面積、たとえば表面積または表面輪郭、周囲形状、またはたとえば患者の軟骨、骨(軟骨下骨、皮質骨、骨内膜骨、またはその他の骨)、靭帯もしくはそれらの間の空隙やスペースの体積を限定ではなく含み得る。

0105

ある実施形態では、体内特徴の測定は、表3に特定する例示的測定事項のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。
表3:モデルの作製、またはインプラント・コンポーネントの選択もしくは設計に使用され得る体内特徴の例示的患者固有の測定事項

0106

ある実施形態では、患者の関節の少なくとも一部分を含むモデルは、そのモデルの一部として、そのモデルを使用して特定の患者用に設計されている1つまたは複数の切除骨切り部、1つまたは複数のドリル穴(これらはたとえば患者の大腿骨のモデル)、1つまたは複数のガイドツール、または1つまたは複数のインプラント・コンポーネントも含むかまたは表示することができる。さらに、1つまたは複数の切除骨切り部、1つまたは複数のドリル穴、1つまたは複数のガイドツール、または1つまたは複数のインプラント・コンポーネントは、特定の患者の体内特徴のモデルとは別にモデリングされ、選択または設計され得る。

0107

関節異常のモデリングおよび対処
ある実施形態では、上述の参照点または測定事項を数学関数により処理して仮想修正した特徴を抽出することができ、そのような特徴は再建された理想的または所望の特徴を表し得るので、これをもとに患者適応性インプラント・コンポーネントを設計することができる。たとえば、ある体内構造の表面や寸法など1つまたは複数の特徴をモデリング、改変、付加、変更、変形、削除、修正、またはその他操作することができる(本明細書ではまとめて、関節内の既存の表面または構造の「バリエーション」と呼ぶ)。

0108

関節または関節の各部分のバリエーションには、限定ではないが、1つまたは複数の外表面、内表面、関節対向表面、非骨切り表面、骨切り表面、改変表面、または部分表面、ならびに骨棘、軟骨下嚢胞石灰化または象牙質部位、関節平坦化、不正輪郭、正常な形状の喪失、骨硬化、その他の関節炎または先天的奇形、およびその他の特に関節に関し得る異常(たとえば股関節の寛骨臼突出)のバリエーションが含まれ得る。表面または構造は、関節のどのような表面または構造であってもまたはそれらを反映してもよく、限定ではないが、骨表面、隆線プラトー、軟骨表面、靭帯表面、または他の表面または構造が含まれ得る。抽出される表面または構造は、健常な関節表面または構造に近似していてもよいし、別のバリエーションでもよい。表面または構造は、関節の病変的変化を含むように作製され得る。表面または構造は、関節の病変的変化がすべてまたは部分的に仮想除去されたようにも作製され得る。

0109

1つまたは複数の参照点、測定値、構造、表面、モデル、またはそれらの組合せが選択または抽出されると、結果となる形状を変更、変形、または修正することができる。ある実施形態では、バリエーションを用いて、たとえば変形または修正後の関節の特徴または形状に対応する理想的なまたは最適化された特徴または形状を有するインプラント・コンポーネントを選択または設計することができる。たとえば、この実施形態の一応用例では、理想的なまたは最適化されたインプラント形状は、患者が関節炎を発症する前の関節の形状を反映している。

0110

あるいは、またはさらに、バリエーションを用いて変形または異常に対処する患者適応性手術手順を選択または設計することができる。たとえば、バリエーションは、仮想切除骨切り部、仮想ドリル穴、仮想骨除去、または患者の最終予後に望まれ得る関節の構造的サポートの仮想的構築などの関節の外科的改変を含み得る。修正は、骨棘、軟骨下骨空隙、およびその他の患者固有の欠陥または異常に対処するのに用いられ得る。骨棘の場合、骨棘を仮想的に除去した後で、インプラント・コンポーネントの骨対向表面またはガイドツールの設計を選択または設計することができる。あるいは、骨棘をインプラント・コンポーネントの骨対向表面の形状または手術ツール(たとえばガイドツール)に組み込むこともできる。

0111

骨棘および軟骨下骨の空隙に加えて、本明細書に記載の方法、手術ストラテジー、ガイドツール、およびインプラント・コンポーネントは、他のさまざまな患者固有の関節の異常または事象に対処するのに用いられ得る。ある実施形態では、修正は、たとえば関節の異常に対処し、軟骨下嚢胞を除去し、または骨端症組織、壊死組織もしくは破損組織などの、疾患または損傷のある組織(たとえば軟骨、骨、または他の種類の組織)を除去する仮想的な組織除去を含み得る。そのような実施形態では、修正は、仮想的な組織除去(たとえば異常、嚢胞、疾患、または損傷に相当する組織)を含み得るので、インプラント・コンポーネントの骨対向表面は、この組織が仮想的に除去された後で抽出され得る。ある実施形態では、インプラント・コンポーネントは、除去された組織に実質的に匹敵するかまたは関節の1つまたは複数のパラメータを最適化する厚さまたはその他の特徴を含むように選択または設計され得る。随意であるが、手術ストラテジー、または1つまたは複数のガイドツールは、修正を反映し、インプラント・コンポーネントに合致するように選択または設計され得る。

0112

本明細書に記載のある実施形態は、画像検査のデータを収集し、それを用いて、1つまたは複数の面で、患者の体肢の解剖学的軸線および機械的軸線および関連のアラインメント不良のうちの1つまたは複数を決定することを含む。患者の軸線およびアラインメント不良を仮想的に決定するのに使用され得る画像検査には、X線画像診断、デジタルトモシンセシス、コーンビームCT、非スパイラルまたはスパイラルCT、非等方性または等方性MRI、SPECT、PET、超音波、レーザー画像診断光音響画像診断のうちの1つまたは複数、造影剤を用いる各種検査などが含まれ得る。これらの検査データを用いて、解剖学的参照点または同じ関節内および異なる関節間のアラインメント角度を含む体肢アラインメントを決定すること、または正常な体肢アラインメントをシミュレートすることができる。画像データを用いて、1つまたは複数の機械的または解剖学的軸線、角度、回旋、前捻/後捻、向き、面、またはそれらの組合せを決定することができる。ある実施形態では、そのような軸線、角度、または面は、ホワイトサイド線、Blumensaat線、上顆横断線(transepicondylar line)、大腿骨体軸線、大腿骨頚軸線、臼蓋角、上方および下方寛骨臼縁(acetabular margin)に接する線、前または後寛骨臼縁(acetabular margin)に接する線、大腿骨体軸線、脛骨体軸線、横断軸線(transmalleolar axis)、後顆線(posterior condylar line)、膝関節滑車に接する線、内側または外側膝蓋面に接する線、内側および外側後顆に接するかまたは垂直な線、大腿骨の内側および外側顆の中心荷重ベアリング区域に接するかまたは垂直な線、内側および外側後顆をたとえば各中心点を通って横断する線、脛骨粗面に接するかまたは垂直な線、上述のいずれかの線に対し垂直かまたはある角度を有する線、または関節に隣接するか関節に囲まれたいずれかの骨の皮質骨に接するかまたは交わる線を含むかまたはそれらから抽出することができる。さらに、機械的軸線、角度、または面の推定は、膝関節や足関節などの2つ以上の関節から得られた画像データを用いて、たとえば大腿骨体軸線と、足首の中心点またはたとえば踝間の点などその他の点とを用いて、行うことができる。

0113

一例として、股関節の手術を企図する場合、画像検査は、股関節、膝関節、または足関節のうちの少なくとも1つかまたは複数からデータを取得することを含み得る。別の例としては、股関節の手術を企図する場合、寛骨臼中心軸線(ACA)が決定され得る。一般的に、ナビゲート式THRでは、前骨盤面(APP)を用いてカップと寛骨臼の向きを特定している。当分野では既知のように、APPは2個の上前腸骨棘(ASIS)と2個の恥骨結節を基準にしている。ACA整合(たとえば寛骨臼縁上の3点)は、APP整合よりも、患者個人に関し正確であることが示されている。

0114

同様に、これらのどの決定も、任意の所望の面、たとえば矢状面または冠状面で、2、3の寸法について行うこともできる。

0115

脚/下肢長
人工股関節置換手順では、手術後の患者の脚長がどうなるかが重要事項である。たとえば、人工股関節全置換術後の脚長が左右食い違うという周知の問題がある。そのような食い違いは、神経麻痺腰痛、および歩行異常を含む合併症と関連している。さらに、THを受ける患者は通常は下肢延長を必要とする。手術中に下肢長を測定する一般的な方法は、骨盤と大腿骨に設けられた2つの参照点の間の距離に基づいている。しかし、骨盤上の参照点の位置は事例ごとに異なり、また2つの参照点を結ぶ線は一般には下肢延長軸線と平行ではないので、手術中の下肢長と手術後の放射線透過法による計測値とが食い違うことになる。

0116

したがって、股関節インプラント・コンポーネント、および患者適応性の器械またはジグを含む手術器械は、所望の脚長、たとえば手術前に患者が患脚に有していたのと同じ脚長、所望どおりに延長された脚長、または左右の脚長の所望の均等性が実現するように選択または設計され得る。

0117

脚長は、たとえば臨床診断X線、CTスキャン、CTスカウトスキャン、またはMRIスキャン、または任意の他の技術を用いて術前に決定され得る。脚長は、当分野で既知の解剖学的指標、たとえば足関節線、膝関節線、股関節線、大腿骨頭中心の位置を用いて決定することもできる。

0118

説明すると、ベストフィットのインプラントまたはインプラント・コンポーネントが選択されるか、または患者固有のデータに基づき患者適応性インプラントまたはインプラント・コンポーネントが設計され得る。次に、インプラントの寛骨臼コンポーネントの総合的厚さが決定され得る。(計画したまたは所望の)ステム長さ、大腿骨頚長さ、大腿骨頚体角、大腿骨前捻または後捻の組合せに基づいて、大腿骨コンポーネントの総合的長さも決定され得る。

0119

次に手術手順のバーチャルシミュレーションを行う。手術アプローチは、寛骨臼から、あるいは大腿骨から開始され得る。ステムを収容するための大腿骨の骨幹または骨頚リーミングの長さ、大腿骨頭または骨頚の切除位置、大腿骨頭または骨頚の切除角度といった因子は、結果となる脚長に寄与し得る。バーチャルモデリングは、大腿骨コンポーネントと寛骨臼コンポーネントの総合的厚さまたは長さを含めた結果としての脚長が、所望の脚長、たとえば切除前の脚長または対側の脚長またはそれらの組合せ、または医師が選択したオフセットが適用されたものと同じかまたは実質的に同じになるように、上述の因子のうちの1つまたは複数を最適化し得る。

0120

患者固有のジグは、上述のシミュレーションから適応または設計され得る。たとえば、任意の切除ガイドの角度は、所望の切除角度、たとえば大腿骨頚切除角度に対応するか、または所望の切除レベルに対応するように設計され得る。説明すると、図32Cは、ある患者用に作られた大腿骨頚切除ガイドツール324を説明しているが、該ガイドツールは、たとえば上述のシミュレーションまたはその他本明細書に記載の患者固有の情報を取得するための術前解析によって求めた所定の位置で、切除後の大腿骨頚323と係合する、内部または骨対向表面325を有している。ある実施形態では、骨対向表面325は、大腿骨頚322、具体的には切除後の大腿骨頚323の1つまたは複数の骨棘に整合またはそれを参照する1つまたは複数の部分を有するように設計または選択され得る。ガイドツール324は、破線A’B’で示される切除面またはパスを画定するガイド326を含んでいる。ガイドツール324は、股関節の1つまたは複数の他の解剖学的指標(たとえば正常または異常な骨特徴、関連の軟部組織)と整合またはそれを参照する、たとえば骨対向表面または外表面部分に埋め込まれる1つまたは複数の特徴を含み得る。そのような解剖学的指標は、股関節の電子画像データを解析することによって特定され得る。バーチャルモデリングおよびシミュレーションにより、切除面またはパスA’B’を画定するガイド326の位置(向きも含む)を術前に決定して、所望の大腿骨頚体角、大腿骨ステム長さ、および所望の最終脚長を実現することができる。バーチャルモデリングおよびシミュレーションでは、所望の大腿骨頚切除レベルでの大腿骨ステムの錨着と同時に骨の温存が考慮され得るので、大腿骨頚の骨を温存しながら大腿骨ステムの錨着強度を最大限化する最終的な総合結果を達成することができる。上述のガイドツールの整合または解剖学的参照により大腿骨頚切除ガイドの位置合わせがより正確なものになるので、所定の切除面またはパスで大腿骨頚を切除することが可能になり、最終的に所望の脚長が実現することになる。切除面の決定はまた、最大限の(大腿骨頚の)骨の温存、大腿骨髄腔への十分なまたは最適化されたアクセス、および埋め込まれる大腿骨ステムの正確なアラインメントといった制約の1つまたは複数に基づいてなされ得る。ある実施形態では、脚長は、1つまたは複数の解剖学的指標(正常な、またはたとえば骨棘を含む異常な骨特徴)を参照して決定または維持され得る。

0121

たとえば図32Cに示すガイドツール324などの大腿骨頚切除ガイドは、低侵襲性前方アプローチを用いる人工股関節置換術で有用であり得る。典型的には、このアプローチでは、股関節の周りの筋肉を含む軟部組織が最初の切開後無傷のままで、医師は大腿骨頭と骨頚の接合部を露出することができる。そのようなアプローチでは、医師は、たとえばまず初回の切除で大腿骨頭を大腿骨頚から切離(たとえば図32Aおよび32B)して大腿骨を寛骨臼から切離するか、または大腿骨頭を部分的に切って残りの大腿骨を寛骨臼から切離できるようにする必要がある。次に、医師は、大腿骨ステムを埋め込む準備をする前に、再度大腿骨頚を切る必要がある。この2回目の大腿骨頚の切除は、寛骨臼からの切離および正確な解剖学的参照の不在により、不正確になり得る。したがって、既に大腿骨頭321から切離されている大腿骨頚323(あるいは、最初大腿骨頭を部分的に切った場合は残りの大腿骨頭と大腿骨頚)の所定の箇所または位置に合致または負適合する内表面325から嵌り、さらに随意であるが解剖学的参照(たとえば大腿骨の骨棘)との整合または参照を含んでいるガイドツール(たとえばツール324)は、切除ツール(たとえば手術ソー)を所定の切除面またはパスA’B’で誘導することによって、2回目の大腿骨頚切除の正確性を高める。

0122

ある実施形態では、患者適応性手術用ツールはまた、たとえば海綿骨構造などの微小解剖学的構造によって反映される骨質の1つまたは複数、生体力学的、生体運動的、および運動力学的測定値、ならびに患者の主治医による採択(たとえば寛骨臼コンポーネントの内方化または内方化リーミング、大腿骨コンポーネントまたは大腿骨ステムの外方化)などの、その他の患者固有の情報から抽出した特徴を含んでいる。

0123

したがって、人工股関節置換手術を計画する方法が提供される。ある実施形態では、方法は、本明細書に記載するような大腿骨頚の切除または大腿骨頭の部分切除(たとえば切除した大腿骨を寛骨臼から解放するため)のシミュレーションをすることを含む。ある実施形態では、大腿骨頚切除ガイドは、所望の大腿骨頚体角、大腿骨ステムの錨着、およびシミュレーションどおりの脚長結果をもたらす。シミュレーションはさらに、患者の股関節の1つまたは複数の解剖学的指標を参照またはそれと整合する患者固有の部分(たとえば内部表面もしくは表面部分、または取り付けられているかまたは取り付け可能な特徴)を含む大腿骨頚切除ガイドを設計、選択、および/または改造することを含み得る。解剖学的指標は、患者の股関節の正常(たとえば微小構造的指標)および/または異常(たとえば骨棘)な特徴を含み得る。手術計画方法はさらに、所望の手術技法またはアプローチ(たとえば低侵襲性前方アプローチ)および/または医師の採択(たとえば一般的かまたは特定の患者向け)などによる制約を含み得る。

0124

したがって、人工股関節置換術の方法が提供される。ある実施形態では、方法は低侵襲性技法を用いる。たとえば、医師は、ある患者に対し前方アプローチを用いて小さく切開して、患者の大腿骨頭を大腿骨頚から切離することを可能にし得る。そのようなアプローチは低侵襲性なので、患者の股関節に関連する筋肉や靭帯を含む軟部組織は実質的に無傷である。ある実施形態では、医師は、たとえばだいたい大腿骨頭が骨頚と接する基部の辺りでフリーハンドアプローチによって大腿骨頭を大腿骨頚から切離するか、または大腿骨頭を部分的に切除して患者の股関節の寛骨臼から大腿骨を解放する。あるいは、術前または術中に当該患者用の骨切りガイドを選択または設計してもよく、医師は、術前に計画するかまたは術中に決定され得る特定の位置で、該骨切りガイドにより大腿骨頭を大腿骨頚から切離することができる。

0125

ある実施形態では、医師は次に、本明細書に記載のような大腿骨頚骨切り/切除ガイドを、ガイドの患者固有の表面たとえば少なくともガイドの内表面が、切離された大腿骨頚の対応する部分に確実に合致するか整合するように、および/またはガイドの患者固有の部分が骨棘を含む骨異常部などの股関節の解剖学的指標を確実に参照または整合するようにガイドを位置合わせすることによって、切離された大腿骨頚の所定の位置および/または向きにガイドを係合させることにより、使用する。ある実施形態では、医師は次に、大腿骨頚骨切りガイドに一体形成されている器械ガイドの誘導で大腿骨頚を所定の位置および/または向きで切断する。あるいは、医師は、所定の位置および/または向きで大腿骨頚に係合している大腿骨頚切除ガイドに器械ガイドを取り付ける。器械ガイドは大腿骨頚切除ガイドに所定の位置および/または向きで取り付けられる。次いで大腿骨頚切除ガイドを大腿骨頚から取り外すかまたは係合したままにすることができる。器械ガイドは、術前の計画どおりに大腿骨頚を切断できるよう手術器械の動きを誘導するように構成されている。

0126

ある実施形態はまた、器械ガイドにより誘導される手術器械の動きを制限する、大腿骨頚骨切りガイドと一体形成されているかまたは別に形成されているが手術で使用される際は大腿骨頚切断ガイドに取り付けられる/連結されるかつ/またはそれを参照する、1つまたは複数のストップ特徴を提供する。1つまたは複数のストップ特徴は、たとえば股関節に関する軟部組織のサイズ、形状および/または位置などの患者固有の情報を含んで、手術中にそのような軟部組織(たとえば血管)を不慮に傷つけないように構成することができる。

0127

複数の関節表面またはインプラント・コンポーネントに変更を加える場合、相互に参照または関連して変更され得る。たとえば、股関節において、患者固有の生体運動データに基づき大腿骨頚切断部に加える変更は、それに付随する対向する寛骨臼表面の変更(たとえば対向する表面のリーミング深さなどの骨切り部、または半径などの寛骨臼コンポーネントのパラメータ)により参照されまたは関連づけられ得、たとえば、大腿骨から切除される骨量が少ない場合、コンピューター・プログラムは寛骨臼の骨をより多く除去することを選択するかまたは違うサイズの(たとえばより小さい)寛骨臼コンポーネントを選択し得る。

0128

同様に、股関節インプラントにおいて、寛骨臼コンポーネントの形状、たとえば外部または関節対向表面を変更する場合、大腿骨コンポーネントの形状の変更を伴い得る。このことは、たとえば、大腿骨頭のベアリング表面の少なくともいくつかの部分が寛骨臼の関節対向表面に負適合している場合に特に該当する。

0129

同様に、股関節インプラントにおいて、大腿骨コンポーネントの形状、たとえば外表面を変更する場合、寛骨臼コンポーネントの形状の変更を伴い得る。このことは、たとえば、寛骨臼の関節対向表面の少なくともいくつかの部分が大腿骨の関節対向表面に実質的に負適合している場合に特に該当する。たとえば、寛骨臼縁をたとえばリーミングまたは骨切りにより改変することができる。このような外科的変更およびその結果皮質骨プロファイルに生じる変更は、バーチャルシミュレーションを行って新規な結果の辺縁部を抽出することができる。抽出された骨の辺縁部または形状は、次に、改変された縁または関節辺縁もしくは端縁部と少なくとも一部分は実質的に適合するインプラントを設計または選択するのに使用され得る。

0130

ロック機構
本明細書に開示するインプラントまたはインプラント・コンポーネントは、金属やポリマー材料(たとえば抗酸化性UHMWPE)などの同種または異種の材料で作製される、少なくとも2種類の部品を有し得る。本明細書のインプラントのさまざまな実施形態は、足場または段と、足場に差し込まれ係止され得る1つまたは複数のポリマーインサートとを含み得る。一例示的実施形態は、股関節用寛骨臼カップ・インプラントであり、患者の寛骨臼に取り付けられて大腿骨頭または大腿骨インプラントを受けるように構成されている。寛骨臼インプラントは、寛骨臼/ソケットと係合する、金属製であり得る第1のコンポーネント、および大腿骨インプラントの大腿骨頭インプラントと関節連結するように構成され、たとえばプラスチックポリマーなどの非金属で作製されて非金属製の関節連結表面を提供し得る第2のコンポーネントの少なくとも2つのコンポーネントを備えている。

0131

第1の寛骨臼コンポーネントは、一般には患者の寛骨臼に沿う半球形とされ得る。ある実施形態では、第1の寛骨臼コンポーネントは、寛骨臼と係合する第1の表面、および大腿骨インプラントと係合し関節連結表面を提供する第2の表面を含んでいる。第1の表面は、1つまたは複数の患者適応性特徴(たとえばサイズ、形状、湾曲)を有するように設計または選択されるのが好ましく、患者の寛骨臼に解剖学的またはほぼ解剖学的に沿う。

0132

第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面は、ほぼ平坦であるかまたは少なくとも1つまたは複数の湾曲部分を有し得る。第2の表面の周囲(前方、後方、内側、または外側)をつなぐ壁があり得る。この壁は、インプラントのインサート・コンポーネント、たとえば第2の寛骨臼コンポーネントを受けるために内表面に沿って溝を随意に含むことができる。壁は、第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の中央へと、後側から前側に向けて内側と外側のだいたい中程まで延出して、第2の表面に半島状壁を作ることができる。この半島状壁の外に面した側に、随意であるが勾配をつけて、インプラントのインサート・コンポーネントと嵌合させることができる。半島状壁の端部に向けて、壁の両側に受容部を随意に切り込んで、インプラントのインサートの表面に形成される随意のロック部材を受けるようにできる。半島状壁に対して垂直に、第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面に1つまたは複数の溝を切り込んで、インプラントのインサートの表面から延出するノッチ部分を受けることができる。第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の一側(たとえば前側)は、インサート・コンポーネントが第1の寛骨臼コンポーネントと適切に揃って係合するのを補助するランプとして機能する少なくとも1つの傾斜表面を含み得る。

0133

関節連結コンポーネント、またはインサート・コンポーネントは、第1の表面および第2の表面を有している。インサート・コンポーネントの第1の表面は、大腿骨インプラントの凸表面と関節連結する1つまたは複数の凹表面を有することによって、対向するインプラント・コンポーネントの関節またはベアリング表面の形状または幾何的形態と揃うように成形され得る。

0134

インサート・コンポーネントの下部表面は、平坦であり得、インプラントの第1のコンポーネントの第2の表面と嵌合するように構成されている。インプラントの後側は、インプラントの内側のだいたい中程まで上がったところからインプラントの外側のだいたい中程まで下がったところまで切り取って、第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の幾何学的に適合する壁と揃えることができる。インプラントの下部表面の残りの構造は、表面の後内側に沿って延びる突起を有し得、第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の内壁の溝と係止的に嵌合する。インプラントの内側と外側の間のだいたい中程に、インプラントの後側から前側にかけて管路が形成され得、該管路は第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の半島状壁と嵌合する。この管路はインプラントの下部表面の後側から前側に、インプラントのだいたい3/4の長さを走っていてもよい。この管路の外壁は、管路の下部から上部へと内向きに傾斜して、第1の寛骨臼コンポーネントの第2の表面の傾斜した半島状壁とダブテール連結する表面を形成し得る。このダブテール接合は、インサートを第1の寛骨臼コンポーネント内で適切に揃え、インサートが完全に挿入されると第1の寛骨臼コンポーネントに係止するのを助けることができる。管路の前端部には屈曲可能なフィンガーからなるロック機構が存在し得、該機構は、インサートがインプラントの第1の寛骨臼コンポーネントに挿入されると、半島状壁内部に切り込まれた受容部内に随意にスナップ式に嵌って、インプラント・コンポーネントを第1の寛骨臼コンポーネントに係止する。インサートの下部表面の長さの3/4を走る管路に対して垂直に、第1の寛骨臼コンポーネントの上部表面に切られた少なくとも1つの溝と嵌合する少なくとも1つのノッチが存在し得る。第1の寛骨臼コンポーネントと第2の寛骨臼コンポーネント間の係合は、固定的でも可逆的でもよい。

0135

同様に、ある実施形態の大腿骨コンポーネントまたはインプラント・コンポーネントは、患者の大腿骨と係合する第1の大腿骨コンポーネント、および第1の大腿骨コンポーネントと係合し、寛骨臼インプラント・コンポーネントの関節連結表面と係合する関節連結表面を提供する第2の大腿骨コンポーネントの2つのコンポーネントを含んでいる。第1の大腿骨コンポーネントは金属製であり得るが、第2の大腿骨コンポーネントは非金属製の関節連結表面を含むかまたは提供し得る。第1の大腿骨コンポーネントと第2の大腿骨コンポーネント間の係合は、固定的でも可逆的でもよい。

0136

このように、インサートおよびインプラント・コンポーネントの壁の対向表面および管路の設計に複数のロック機構ならびにノッチおよび溝を組み込むことができ、これらはインサートが第1の寛骨臼または大腿骨コンポーネントの所定の位置に係止され関節内でさまざまな動きに対し抵抗するのを補助することができる。

0137

製造および加工
本開示のインプラントおよびインプラント・コンポーネントは、切削され、成形され、鋳造され、レーザー焼結法または電子ビーム溶融法などの付加(additive)技法により製造され、あるいはその他の方法で金属またはコバルトクロムなどの合金から作製され得る。同様に、インサート・コンポーネントは、切削され、成形され、ラピッドプロトタイピングまたは付加技法により製造され、あるいはその他の方法で超高分子量ポリエチレンなどのプラスチックポリマーから作製され得る。

0138

そのようなプラスチックポリマーの一例は、ビタミンE添加または架橋された高分子量または超高分子量ポリエチレンである。プラスチックポリマーの他の例として、当分野では、米国特許出願公報第20110112646号、同第20110109017号、同第20070004818号他に記載のものなどがある。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は一般に、分子量が約500,000を上回る、好ましくは約1,000,000よりも大きい、さらに好ましくは約2,000,000よりも大きい、分岐のない直鎖状エチレンを指す。その分子量はしばしば約8,000,000以上にもなる。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの抗酸化性架橋高分子材料は、医療機器では機器耐摩耗性を大幅に増大させるので望ましい。架橋結合の一般的な方法は、UHMWPEを電離放射線曝露することによる。他の方法は、UHMWPEにビタミンEなどの抗酸化剤を添加することも含む。

0139

セラミックコーティングを含むセラミックスなど他の既知の材料も片方または両方のコンポーネントに使用してもよく、または上述の金属、合金およびポリマーと組み合わせてもよい。当業者であれば、インプラントは、上述のまたはその他のあらゆる材料で一体として作製してもよく、または組合せ材料複合体として作製してもよいことを理解しよう。たとえば、インプラントは、1つまたは複数の表面、具体的には、金属以外の材料のコーティング(たとえばセラミックコーティングまたはプラスチックポリマーまたはインサート・コンポーネント)を含む関節対向表面またはベアリング表面を有し得るが、インプラントまたはインプラント・コンポーネントは金属製裏張りを含んでいる。たとえば、合金部品セラミック部品の2部品のインサート・コンポーネントを有するポリマー製のインプラントまたはインプラント・コンポーネント。

0140

各コンポーネントは「標準(品)」または「ブランク」としてさまざまなサイズで作製してもよいし、または患者固有のデータに基づき患者ごとに個別形成してもよい。コンピューター・モデリングを使用してもよく、バーチャルな標準品ライブラリをコンポーネントごとに作成してもよい。実際の標準品のライブラリもコンポーネントごとに蓄積できる。

0141

形状、幾何的形態たとえば(たとえば寛骨臼の)半径、M−L、A−P、S−I各寸法を含む画像データは次いで、患者の解剖学的構造の選択特徴にもっとも近似する標準コンポーネント、たとえば大腿骨コンポーネントまたは寛骨臼コンポーネントを選択するのに用いられ得る。典型的には、これらのコンポーネントは、置換予定の患者の関節構造よりも、少なくとも1つまたは複数の寸法においてわずかに大きくなるように選択される。標準コンポーネントは次いで、たとえば張り出した材料をたとえば機械加工やその他さらなる成形によって除去することによって、患者独自の解剖学的構造に合わせて改造される。

0142

したがって、図26に示すフローチャートを参照すると、第1のステップ2600では、画像データを人的にまたはコンピューター支援により解析して、インプラント・コンポーネントの設置に適した患者固有のパラメータを決定する。これらのパラメータは、患者固有の関節の解剖学的構造、寸法、形状または幾何的形態、さらには靭帯の位置、サイズ、および向きに関する情報、ならびに可能性のある軟部組織の衝突、そして随意であるが運動力学情報を含み得る。

0143

図26ではフローチャートで、特定の患者の1つまたは複数のインプラント・コンポーネント特徴および/または特徴の測定値を評価し選択および/または設計する過程、ならびに随意であるが1つまたは複数の切除骨切り部特徴および特徴の測定値を評価し選択および/または設計する過程を説明している。本明細書に記載の、または当分野では既知の適切な技法を用いて、患者の解剖学的特徴および/または特徴の測定値の1つまたは複数が取得される(2600)。それに加えて、1つまたは複数の可変インプラント・コンポーネント特徴および/または特徴の測定値が取得される(2610)。随意に、1つまたは複数の可変切除骨切り部特徴および/または特徴の測定値が取得される(2620)。さらに、1つまたは複数の可変ガイドツール特徴および/または特徴の測定値も随意に取得することができる。これらのステップはそれぞれ所望により複数回反復され得る。

0144

取得した患者の解剖学的特徴および特徴の測定値、インプラント・コンポーネント特徴および特徴の測定値、および随意の切除骨切り部特徴および/またはガイドツール特徴および/または特徴の測定値は、次に、(たとえば、患者の健常な関節特徴を維持または再建することによって)対象のパラメータの1つまたは複数の目標値または閾値を実現する、最適なインプラント・コンポーネント特徴および特徴の測定値、および随意の切除骨切り部特徴および/またはガイドツール特徴および/または特徴の測定値を決定するために評価され得る(2630)。なお、対象のパラメータとは、たとえば(1)関節の変形矯正、(2)体肢アラインメント矯正、(3)関節の骨、軟骨および/または靭帯の温存、(4)患者の解剖学的構造、たとえば滑車および滑車形状の1つまたは複数の特徴の温存、再建、または増強、(5)たとえば靭帯機能およびインプラントの衝突を含む関節運動力学の温存、再建、または増強、(6)患者の関節線の位置および/または関節間隙幅の温存、再建、または増強、ならびに(7)他の目的特徴の温存、再建、または増強、のうちの1つまたは複数を含み得る。このステップは所望により反復され得る。たとえば、評価ステップ2630は、さまざまな特徴および特徴の測定値の情報を取得(2600、2610、2620)した後、反復的に繰り返され得る。

0145

1つまたは複数の最適なインプラント・コンポーネント特徴および/または特徴の測定値が決定されると、インプラント・コンポーネントを選択(2640)、設計(2650)、または選択し設計(2640、2650)することができる。たとえば、いくつかの最適な特徴および/または特徴の測定値を有するインプラント・コンポーネントを1つまたは複数のCADソフトウェア・プログラムまたは他の専用ソフトウェアを用いて設計して、インプラント・コンポーネントの追加の特徴または特徴の測定値を最適化することができる。設計ステップでは、本明細書に記載のまたは当分野で既知の1つまたは複数の製造技法を用いて、追加の最適化された特徴および/または特徴の測定値を生成することができる。この過程は所望により反復され得る。

0146

随意に、1つまたは複数の切除骨切り部特徴および/または特徴の測定値を選択(2660)、設計(2670)、または選択しさらに設計(2660、2670)することができる。たとえば、いくつかの最適な特徴および/または特徴の測定値を有するとして選択された切除骨切りストラテジーを、さらに1つまたは複数のCADソフトウェア・プログラムまたは他の専用ソフトウェアを用いて設計して、切除骨切り部の追加の特徴または特徴の測定値を最適化することができ、その結果としてたとえば切除表面は選択および設計されたインプラント・コンポーネントの最適化骨対向表面に実質的に適合することになる。この過程は所望により反復され得る。

0147

さらに、随意であるが、1つまたは複数のガイドツール特徴および/または特徴の測定値を選択、設計、または選択しさらに設計することができる。たとえば、いくつかの最適な特徴および/または特徴の測定値を有するガイドツールを、さらに1つまたは複数のCADソフトウェア・プログラムまたは他の専用ソフトウェアを用いて設計して、ガイドツールの追加の特徴または特徴の測定値を最適化することができる。設計ステップでは、本明細書に記載のまたは当分野で既知の1つまたは複数の製造技法を用いて追加の最適化された特徴および/または特徴の測定値を生成して、たとえば選択および設計されたインプラント・コンポーネントの1つまたは複数の最適化骨対向表面に実質的に適合する1つまたは複数の切除表面を随意に補助することができる。この過程は所望により反復され得る。

0148

当業者であれば理解しようが、インプラント・コンポーネント特徴および/または特徴の測定値、切除骨切り部特徴および/または特徴の測定値、および/またはガイドツール特徴および/または特徴の測定値を選択および/または設計する過程は、たとえば患者の1つまたは複数のMRIまたはCTまたはX線画像由来の患者体内特徴に関して取得した情報に対し試験して、その特徴および/または特徴の測定値が選択されたパラメータ目標または閾値に関して最適であるかどうかを確認することができる。試験は、たとえば、インプラントの画像を患者の関節の画像に重ねることで実施され得る。同様に、荷重ベアリング測定値および/またはそのバーチャルシミュレーションも、抽出されたインプラント設計の最適化またはその他の改変に使用できる。たとえば、股関節インプラント用に提案されるインプラントを設計すると、次いでそれを生体力学モデルに仮想的に挿入するか、またはインプラントが埋め込み後に遭遇し得る荷重ベアリング条件に関して解析(またはそのバーチャルシミュレーション)することができる。これらの条件は、さまざまな理由によりインプラントの1つまたは複数の特徴が望ましくないことを示すかもしれない(つまり、インプラントの設計のせいで望ましくない解剖学的衝突点が生じる、インプラントの設計により関節の機能の仕方が望ましくない、関節の設計が周囲の解剖学的構造と多少干渉し合う、関節の設計のせいで修復後の体肢やそれを覆う皮膚に外観的に望ましくない特徴が生じる、関節の設計のFEAまたは他の荷重分析によると材料破損の危険性が高い部位がある、関節の設計のFEAまたは他の荷重分析によると設計不備の危険性が高い部位がある、関節の設計のFEAまたは他の荷重分析によると周囲のまたは支持している解剖学的構造の破損の危険性が高い部位がある、その他)。そのような場合、このような望ましくない特徴は、「実際の」測定値および/またはシミュレーションと比較してこういった解析をしなければ発見されなかったかもしれない、さらなる設計の反復および/または調整をすることで対処されるかまたは改善することができる。

0149

そのような荷重ベアリング/モデリング解析を用いて、現設計が患者の生体力学的必要性に対処するのに必要とされるよりも何らかの「過剰仕様(over−engineered)」であるとインプラント解析で指摘された箇所などで、インプラントの設計をさらに最適化またはその他調整することも可能である。そのような場合、インプラントの設計をさらに調整および/または再設計して、より正確に患者の需要に対処することができるが、それによって、インプラントのサイズまたは厚さを縮小する、(材料強度および/または可撓性の要件が変わるため)予定のインプラント・コンポーネント材料の数を増加または変更する、インプラントの推定耐用年数が延長される、摩耗が改善される、または現在インプラントの現行設計の特徴により対処されているさまざまな設計上の「制約」または制限のうちの1つまたは複数をその他改変するなどの、意外な(しかしおそらくは非常に望ましい)結果にもなり得る。

0150

インプラント・コンポーネントの最適な特徴および/または特徴の測定値、および随意であるが切除骨切り部および/またはガイドツールの最適な特徴および/または特徴の測定値が選択および/または設計されると、たとえば軟骨除去および/または関節表面の骨を切除することによって、インプラント部位を準備することができ、インプラント・コンポーネントを関節に埋め込むことができる(2680)。

0151

関節インプラント・コンポーネントの骨対向表面、および随意に切除骨切り部およびガイドツールは、関節の既存表面または切除後表面に解剖学的またはほぼ解剖学的に沿う1つまたは複数の特徴を含むように選択および/または設計され得る。さらに、関節インプラント・コンポーネントの関節対向表面、および随意に切除骨切り部およびガイドツールは、たとえば患者の既存の関節の解剖学的構造を模倣するように、患者の健常な関節の解剖学的構造を模倣するように、患者の関節の解剖学的構造を増強するように、かつ/または対向するインプラント・コンポーネントとのフィット性が最適化されるように選択および/または設計され得る。したがって、既存の関節表面と、所望の結果の関節表面の両方が評価され得る。この技法は骨内に錨着されないインプラントにとっては特に有用であり得る。

0152

当業者であれば理解しようが、医師や関係者は、体内特徴(たとえば股関節)の測定値を取得し(2600)、次いで直接所望の患者適応性特徴および/または特徴の測定値を有する関節インプラント・コンポーネントを選択(2640)、設計(2650)、または選択し設計(2640、2650)することができる。設計には、たとえば、設計と製造が含まれ得る。

0153

ステップ2640では、1つまたは複数の標準コンポーネント、たとえば大腿骨コンポーネントまたは寛骨臼コンポーネントまたは寛骨臼インサートが選択される。これらは、抽出された患者固有の関節寸法のうちの1つまたは複数よりもわずかに大きいものが選択されるので、これらを成形して患者固有の関節寸法にすることができる。あるいは、これらは、隣接するどの軟部組織構造にも干渉しないように選択する。この両方を組み合わせることも可能である。

0154

たとえばポリエチレン製のインサートおよび金属またはセラミック基体のロック機構を含むインプラント・コンポーネントが使用される場合、ロック機構の少なくとも1つまたは複数の寸法を患者固有の解剖学的構造に適応させることができる。ロック機構の全寸法を患者適応性にすることもできる。ロック特徴の位置は患者適応性であり得るが、ロック特徴の寸法、たとえば寛骨臼カップと寛骨臼インサート間は、固定であり得る。あるいは、ロック機構は事前に作製され得、この実施形態では、ロック機構の位置および寸法も事前作製のコンポーネントの選択時に考慮されるので、患者の関節の解剖学的構造に対し金属またはセラミック製裏張りをどのように改造してもロック機構が損なわれることはない。したがって、コンポーネントは、患者独自の解剖学的構造に適応した後も、ロック機構に隣接する金属またはセラミック製裏張りの最小材料厚さが維持されるように選択され得る。

0155

いくつかの実施形態では、事前製造の金属製裏張りのブランクが、その外寸が抽出された患者固有の寸法または幾何的形態よりも少なくとも1つまたは複数の方向において大きく、また随意であるが同時に靭帯に干渉しないように、選択され得る。事前製造の金属製裏張りブランクは、インサート、たとえばポリエチレン製インサート用の事前製造されたロック機構を含み得る。ロック機構は完全に事前製造してもよく、つまり患者に適合させる必要は皆無であり得る。あるいは、ロック機構は事前製造のコンポーネント、たとえば、前側ロックタブまたは特徴、および患者固有の画像データから抽出される距離だけ前側ロック特徴から離れており、患者固有の寸法に基づき後から機械加工され得る他のロック特徴、たとえば後側ロックタブまたは特徴を有し得る。この設定では、事前製造の金属製ブランクは、少なくとも前側ロック特徴は抽出された患者固有の関節寸法の範囲内であるように、選択されることになる。ある特定の実施形態では、金属製裏張りおよびインサートのすべての事前製造されたロック特徴が、抽出された患者固有の関節寸法の範囲内である。したがって、ブランクがその患者の個別の幾何的形態、形状、または寸法(たとえばサイズ、厚さ、または湾曲)に適応する場合、係止の完全性は損なわれず維持されることになる。

0156

内側インサートの事前製造されたロック特徴と外側インサートの患者固有のロック特徴あるいはその逆も含めて、あらゆる事前製造と患者適応性のロック特徴の組合せが可能なものとする。ロック特徴の他の位置も可能である。

0157

当業者であれば、標準およびカスタマイズされたコンポーネントの組合せを互いと一緒に使用してもよいことが理解できる。たとえば、標準のトレイ・コンポーネントが、患者の解剖学的構造および関節の情報に基づき特定の患者用に個別作製されたインサート・コンポーネントと一緒に使用され得る。

0158

本明細書では、インプラントまたは手術用ツールを設計または選択するステップは、インプラントまたは手術用ツールの(たとえば特定の患者由来の患者固有のデータから抽出された、その患者に適応する)1つまたは複数の特徴、測定値、または寸法を構成することと、そのインプラントを製造することの両方を含み得る。ある実施形態では、製造することは、たとえば金属、またはポリマー、または固体(たとえば粉末または塊状)または液体の形態の他の材料などの出発材料から、インプラントまたはガイドツールを作製することを含み得る。それに加えて、または代わりに、ある実施形態では、製造することは、既存のインプラント・コンポーネントまたはガイドツール、たとえば標準のブランクのインプラント・コンポーネントまたはガイドツール、または既存のインプラントまたはガイドツール(たとえばライブラリから選択)を改変すること(たとえば機械加工)を含み得る。インプラント・コンポーネントまたはガイドツールを作製または改変する製造技法は、今日または将来当分野で知られるあらゆる技法を含み得る。そのような技法としては、限定ではないが、付加的(additive)方法ならびに切削加工(subtractive)法、つまり、たとえば標準ブランクに材料を付加する方法と、たとえば標準ブランクから材料を除去する方法とが挙げられる。

0159

このためのさまざまな技術が当分野では知られており、たとえば、Wohlers Report 2009,State of the Industry Annual Worldwide Progress Report on Additive Manufacturing,Wohlers Associates,2009(ISBN 0−9754429−5−3)(ウェブサイトwww.wohlersassociates.comから入手可能)、Pham and Dimov,Rapid manufacturing,Springer−Verlag,2001(ISBN 1−85233−360−X)、Grenda,Printing the Future,The 3D Printing and Rapid PrototypingSource Book,Castle Island Co.,2009、Virtual Prototyping & Bio Manufacturing in Medical Applications,Bidanda and Bartolo(Eds.),Springer,Dec.17,2007(ISBN:10:0387334297;13:978−0387334295)、Bio−Materials and Prototyping Applications in Medicine,Bartolo and Bidanda(Eds.),Springer,Dec.10,2007(ISBN:10:0387476822;13:978−0387476827)、Liou,Rapid Prototyping and Engineering Applications:A Toolbox for Prototype Development,CRC,Sep.26,2007(ISBN:10:0849334098;13:978−0849334092)、Advanced Manufacturing Technology for Medical Applications:Reverse Engineering,Software Conversion and Rapid Prototyping,Gibson(Ed.),Wiley,January 2006(ISBN:10:0470016884;13:978−0470016886)、およびBranner et al.,“Coupled Field Simulation in Additive Layer Manufacturing,” 3rd International ConferencePMI,2008(全10ページ)に記載されているものがある。

0160

患者の解剖学的構造用の患者固有のおよび/または個別設計のインプラント・コンポーネントを形成または改変する例示的な技法を、完全網羅ではないが以下に挙げる。

0161

CNCは、コンピューター数値制御(CNC)工作機械、コンピューター駆動技法、たとえばコンピューターコード指令を指し、工作機械は1台または複数のコンピューターで駆動される。この方法の実施形態は、CADソフトウェアと連係して自動設計および製造工程を能率化することができる。

0162

CAMは、コンピューター支援製造(CAM)を指し、製品および試作品の製造と生産を効率的に管理するソフトウェアプログラミング・ツールの使用を記載するのに使用され得る。CAMは、CADと一緒に使用してCNCコードを生成し、三次元の物体を製造することができる。

0163

鋳造(ラピッドプロトタイピングされる鋳造パターンを用いる鋳造を含む)は、鋳型を用いる製造技法である。典型的には、鋳型は、製品の所望の形状のネガティブ(凹型)を含む。鋳型に液体材料注入し、たとえば放置、冷却および/または固化剤添加により硬化させる。得られた固形材料または鋳物を、次に、たとえば研磨または別の鋳物と連結するなど加工して最終製品を生成する。

0164

溶接は、2つのコンポーネントを一箇所または複数箇所で融合する製造技法である。ある実施形態では、コンポーネント接合面は金属または熱可塑性物質を含み、融合技法の一環として熱が加えられる。

0165

鍛造は、典型的には金属の製品またはコンポーネントに、典型的には熱と力を加えて成形する製造技法である。

0166

ラピッドプロトタイピングは、一般には試作品や製品の自動作製を指し、典型的には、以下に簡単に説明するEBM、SLS、SLM、SLA、DMLS、3DPFDMなどの付加製造技術および他の技術を用いる。

0167

EBM(登録商標)は、粉末ベースの付加製造技術である電子ビーム溶融(EBM(登録商標))を指す。典型的には、金属粉末連続層堆積させ真空中電子ビームで溶融させる。

0168

SLSは、粉末ベースの付加製造技術である選択的レーザー焼結(SLS)を指す。典型的には、粉末(たとえばポリマー、金属、砂または他の材料)の連続層を堆積させ、走査レーザー、たとえば二酸化炭素レーザーで溶融させる。

0169

SLMは、選択的レーザー溶融(商標)(SLM)を指し、SLSに類似の技術であるが、SLMでは粉末材料を完全に溶融させて高密度製品を形成する。

0170

SLAまたはSLは、液体ベースの付加製造技術である光造形法(SLAまたはSL)を指す。典型的には、液体合成樹脂の連続層をたとえばUVレーザー光に曝露し硬化させて各層を固化させ、下の層と結合させる。この技術は、典型的には、特定の幾何学的形状を作製するときサポート構造体を追加し除去する必要がある。

0171

DMLSは、粉末ベースの付加製造技術である直接金属レーザ焼結(DMLS)を指す。典型的には、金属粉末を堆積させ、光ファイバレーザを用いて局所的に溶融させる。この技術では複雑で確度の高い幾何学的形状を作製できる。この技術はネットシェイプ成形援助するが、ネットシェイプ成形とはこの技術で作製した製品は後処理の表面仕上げをほとんどまたは全く必要としないことを意味する。

0172

LCは、粉末ベースの付加製造技術であるLaserCusing(登録商標)(LC)を指す。LCはDMLSと似ているが、LCでは高エネルギーレーザーを用いて粉末を完全に溶融させることで高密度製品を作製する。

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