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技術 高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板及びその製造方法

出願人 宝山鋼鉄股分有限公司
発明者 宋鳳明温東輝李自剛胡暁萍楊阿娜李建業
出願日 2013年12月24日 (8年0ヶ月経過) 出願番号 2015-554025
公開日 2016年4月14日 (5年8ヶ月経過) 公開番号 2016-511326
状態 特許登録済
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 微視構造 超低炭素 重量損失量 非金属不純物 耐海水腐食性 微量合金元素 技術方案 電気化学的腐食
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この項目の情報は公開日時点(2016年4月14日)のものです。
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図面 (2)

課題・解決手段

本発明は、高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板であって、その化学成分の重量百分率含有量が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、更に、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%Ti中の一種又は多種を選択的に添加し、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0であり、降伏強度が350〜500MPaであり、伸び率が20%以上であり、相対的腐食速度が27%以下であり、同時に優れた衝撃靭性及び比較的に低い降伏比を有する。更に、当該耐候性鋼板を製造する方法を提供した。

概要

背景

耐候性鋼は耐大気腐食性鋼とも呼ばれ、例えば、中国特許CN1609257に開示された「針状組織の高強度耐候性鋼及びその生産方法」、中国特許CN1986864に開示された「高強度低合金耐大気腐食性鋼及びその生産方法」及び日本特許JP04235250Aに開示された「高耐食性鋼板(High corrosion resistant steel sheet)」、米国特許US6315946に開示された「超低炭素ベイナイトの耐候性鋼(Ultra low carbon bainitic weathering steel)」などが挙げられる。上記特許に係る鋼種は、何れも伝統的なCOR-TEN鋼系の鋼種に属し、成分系は、Cu-P-Cr-Ni系又はCr-Mn-Cu系に属する。他の微量合金元素補助的に添加すると共に、所定の圧延工程条件下で異なる組織形態が得られて、所要機械的性質及び耐食性を達成する。合金成分として、低Cr耐候性鋼であり、Crの含有量は一般的に0.7%以下であり、Al含有量は0.1%を超えない。

しかしながら、P、Reに依存して耐食性を向上させる場合、Pの偏析による割れやRe含有量の制御困難などの問題が存在する。更に耐大気腐食性を高めるために、研究者は他の耐食性元素の含有量を大幅に増加することで、高合金型耐候性鋼を開発することを目指した。例えば、日本特許JP01079346Aに開示された「耐海水腐食性鋼」、日本特許JP05302148Aに開示された「高耐食性強磁性型制振合金」及び日本特許JP10025550Aに開示された「腐食鋼」、日本特許JP2000336463に開示された「土中用耐食鋼(Corrosion resistant steel in the soil)」及び日本特許JP2002285298に開示された「建築土木構造用Cr含有耐腐食鋼(Cr-Containing corrosion resistant steel for building and construction structure)」などが挙げられる。

上記の五つ特許に係る鋼種は、何れも比較的に高いAl、Cr成分を含有すると共に、他の合金元素を配合することで、特定の機械的性質を実現する。ただし、始めの二つの特許は、高Al系耐候性鋼に関するものであり、特許JP01079346Aの鋼において、Alの含有量は、7〜20%に達し、特許JP05302148Aの鋼において、高Alの含有量の以外に、通常の耐候性鋼のレベルを遥かに超えるSi、Crを含有する。最後の三つの特許において、成分系は何れも高Cr系耐候性鋼であり、Crの含有量は一般的に7%以上であり、大部分9〜14%の範囲内である。特許JP10025550Aにおいて、0.45〜0.65%に達するCを含有している。また、上記特許には、更に含有量が異なるCo、W、Mo、B、Zrなどの成分を含有する。上記特許を代表とする高Al系、高Cr系耐候性鋼において、合金成分の含有量が非常に高いので、製鋼、鋼の圧延の生産難易度を増加させる一方、コストも大幅に増加させる。

先行技術の耐候性鋼は、良好な機械的性質を保証する一方、一般的に相対的腐食速度も高くなく、さらに鋼種の総合的な機械的性質をも保証できない。また、ある方面の機械的性質が優れただけで、鉄道車輌などの耐食性向上への用鋼の要求を満足できないし、使用期限が短く、維持費が高い。

概要

本発明は、高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板であって、その化学成分の重量百分率含有量が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、更に、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%Ti中の一種又は多種を選択的に添加し、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0であり、降伏強度が350〜500MPaであり、伸び率が20%以上であり、相対的腐食速度が27%以下であり、同時に優れた衝撃靭性及び比較的に低い降伏比を有する。更に、当該耐候性鋼板を製造する方法を提供した。

目的

本発明の目的は、先行技術に存在する上記問題を解決するための、高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

化学成分の重量百分率含有量が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0であり、鋼板降伏強度が350〜500MPaであり、相対的腐食速度が27%以下であり、-40℃条件下のシャルピー衝撃エネルギーが60J以上であり、伸び率が20%以上であることを特徴とする高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板

請求項2

更にNb、Ti及びVの中の一種又は多種を含み、重量百分率で、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%であることを特徴とする請求項1に記載の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板。

請求項3

1)溶錬、炉外精錬連続鋳造:下記の成分で溶錬、炉外精錬、連続鋳造を行ってスラブを製造し、化学成分の重量百分率含有量が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0である;2)スラブの加熱:上記工程1)で得られたスラブを加熱し、加熱温度が1220℃以上である;3)圧延粗圧延及び仕上げ圧延二段階で圧延工程を制御し、仕上げ圧延の最終圧延温度が720〜800℃である;4)冷却:圧延後の鋼板を冷却し、冷却速度が10〜40℃/sである;5)卷取、仕上げ:鋼板を460〜520℃範囲内に制御して卷取った後、室温まで再度冷却し、仕上げにより高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼が得られる;工程を含み、得られる鋼板の降伏強度が350〜500MPaであり、相対的な腐食速度が27%以下であり、-40℃条件下のシャルピー衝撃エネルギーが60J以上であり、伸び率が20%以上であることを特徴とする高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の製造方法。

請求項4

上記溶鋼の化学成分が、更にNb、Ti及びVの中の一種又は多種を含み、重量百分率で、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%であることを特徴とする請求項3に記載の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は耐候性鋼の製造分野に関するものであり、特に高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

耐候性鋼は耐大気腐食性鋼とも呼ばれ、例えば、中国特許CN1609257に開示された「針状組織の高強度耐候性鋼及びその生産方法」、中国特許CN1986864に開示された「高強度低合金耐大気腐食性鋼及びその生産方法」及び日本特許JP04235250Aに開示された「高耐食性鋼板(High corrosion resistant steel sheet)」、米国特許US6315946に開示された「超低炭素ベイナイトの耐候性鋼(Ultra low carbon bainitic weathering steel)」などが挙げられる。上記特許に係る鋼種は、何れも伝統的なCOR-TEN鋼系の鋼種に属し、成分系は、Cu-P-Cr-Ni系又はCr-Mn-Cu系に属する。他の微量合金元素補助的に添加すると共に、所定の圧延工程条件下で異なる組織形態が得られて、所要機械的性質及び耐食性を達成する。合金成分として、低Cr耐候性鋼であり、Crの含有量は一般的に0.7%以下であり、Al含有量は0.1%を超えない。

0003

しかしながら、P、Reに依存して耐食性を向上させる場合、Pの偏析による割れやRe含有量の制御困難などの問題が存在する。更に耐大気腐食性を高めるために、研究者は他の耐食性元素の含有量を大幅に増加することで、高合金型耐候性鋼を開発することを目指した。例えば、日本特許JP01079346Aに開示された「耐海水腐食性鋼」、日本特許JP05302148Aに開示された「高耐食性強磁性型制振合金」及び日本特許JP10025550Aに開示された「腐食鋼」、日本特許JP2000336463に開示された「土中用耐食鋼(Corrosion resistant steel in the soil)」及び日本特許JP2002285298に開示された「建築土木構造用Cr含有耐腐食鋼(Cr-Containing corrosion resistant steel for building and construction structure)」などが挙げられる。

0004

上記の五つ特許に係る鋼種は、何れも比較的に高いAl、Cr成分を含有すると共に、他の合金元素を配合することで、特定の機械的性質を実現する。ただし、始めの二つの特許は、高Al系耐候性鋼に関するものであり、特許JP01079346Aの鋼において、Alの含有量は、7〜20%に達し、特許JP05302148Aの鋼において、高Alの含有量の以外に、通常の耐候性鋼のレベルを遥かに超えるSi、Crを含有する。最後の三つの特許において、成分系は何れも高Cr系耐候性鋼であり、Crの含有量は一般的に7%以上であり、大部分9〜14%の範囲内である。特許JP10025550Aにおいて、0.45〜0.65%に達するCを含有している。また、上記特許には、更に含有量が異なるCo、W、Mo、B、Zrなどの成分を含有する。上記特許を代表とする高Al系、高Cr系耐候性鋼において、合金成分の含有量が非常に高いので、製鋼、鋼の圧延の生産難易度を増加させる一方、コストも大幅に増加させる。

0005

先行技術の耐候性鋼は、良好な機械的性質を保証する一方、一般的に相対的腐食速度も高くなく、さらに鋼種の総合的な機械的性質をも保証できない。また、ある方面の機械的性質が優れただけで、鉄道車輌などの耐食性向上への用鋼の要求を満足できないし、使用期限が短く、維持費が高い。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、先行技術に存在する上記問題を解決するための、高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板及びその製造方法を提供することである。当該高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の降伏強度は350〜500MPaであり、相対的腐食速度は27%以下であり、-40℃条件下のシャルピー衝撃エネルギーは60J以上であり、伸び率は20%以上である。主に鉄道車輌製造業コンテナー製造業及び橋梁エンジニアリング室外ガントリーなどの分野に用いられる。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を実現するために、本発明は下記の技術方案を採用する。
高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板であって、その化学成分の重量百分率含有量(wt%)が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0である。

0008

また、本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板において、更にNb、Ti及びVの中の一種又は多種を含み、重量百分率で、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%である。

0009

本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板において、降伏強度が350〜500MPaで、耐候性鋼の高強度の要求を満たす。Q345Bに対する耐大気腐食性として、その相対的な腐食速度は、27%以下に下がって、現在のQ345Bに対する通常の耐候性鋼の腐食速度が55%未満であると規定されたレベルより遥かに低く、耐大気腐食性が現在の基礎の上に1倍増加された。また、-40℃条件下のシャルピー衝撃エネルギーは60J以上であり、伸び率は20%以上である。

0010

耐候性鋼は、大気雰囲気の条件下、鋼における各合金元素の間の相互作用により、表面にα-FeOOHを主成分とする緻密なさび層が形成され、それが熱力学的に安定で、鋼の電気化学的腐食陰極還元過程関与しない。さび層内の銅、クロムなどの元素の富化によって、さび層にイオン選択透過性が付与され、鋼の耐大気腐食性を顕著に高める。従って、本発明は、主要な耐食性合金元素の相互作用による耐食性の向上の原理に基づいて、異なるAl、Crの成分の配合によって、Al/Cr比を0.5〜8.0に制御すると共に、適当な他の合金元素を配合して、Al-Cr成分系の耐大気腐食性鋼を設計し、鋼の降伏強度が350〜500MPaに達して、耐候性鋼の高強度の要求を満たした。Q345B鋼に対する耐大気腐食性として、本発明の鋼種の相対的腐食速度が27%以下に下がって、Q345B鋼に対する伝統的な高耐候性鋼の腐食速度が55%を超えないとの規定レベルより遥かに低く、耐大気腐食性が1倍増加された。本発明の鋼種は、良好な機械的性質を保証すると共に、相対的腐食速度が1倍減少されて、鉄道車輌などの耐食性向上への用鋼の要求を満足し、使用期限を延長させ、維持費を低減させる。同時に、本発明の鋼種は、現在の通常の熱間連続圧延の耐候性鋼の基に、圧延温度を適切に制御する以外に、適当な冷却速度を補助して、優れた総合性能を得ると共に、規模化工業生産を容易に実現することができる。また、Alは、地殻中における含有量が酸素及びケイ素に次ぐ第三位元素であり、埋蔵量豊富である。主な耐食性元素として、Alを選択することにより、貴重な希有資源の消耗を減少させて、資源節約役割を果たす。

0011

本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の成分の設計は、以下である。
Al:Alは、一般的に製鋼工程において、脱酸素剤として鋼に添加される。微量Alは、結晶粒微細化に有利であり、同時に鋼材の強靭性を改善できる。同時に、Alは良好な酸化防止性を有し、空気に暴露されると、表面に耐食性の酸化層を形成できる。低炭素鋼に、適量のAlを添加すると、鋼の耐大気腐食性を高めることができる。Alを添加した後、鋼の腐食性電位が高くなると共に、AlとO(酸素)が表面に緻密なAl2O3薄膜を形成でき、薄膜内に耐食性が優れた物質の相であるα-Al2O3、AlFeO3、AlFe3などの物質が含まれて、耐食性を向上することができる。しかしながら、Alが高すぎると、鋼中のフェライト脆性を増加させて、鋼靭性の低下を引き起こすため、その含有量を0.4〜4%に制御する。

0012

Cr:Crは、鋼のパシベーション性の改善に対して顕著な効果を奏し、鋼表面に緻密なパッシベーション膜又は保護性さび層の形成を促進でき、それがさび層内での富化により、さび層が腐食性媒質に対する選択透過性を効率的に高めることができる。同時に、Al含有鋼にCrを添加すると、塑性、靭性を効率的に高めることができ、且つCrとAlの配合により、鋼の耐大気腐食性を顕著に向上させ、所定のAlとCr含有量の条件下、Al/Cr比の増加につれて、鋼の腐食速度が低下する傾向がある。しかしながら、Crの含有量が高すぎると、鋼板製造コストが増加すると共に、溶接及び靭性に不利である。鋼板性能に対するAl、Crの異なる含有量の影響を総合的に考慮して、Al/Cr比を0.5〜8.0に制御する。

0013

C:Cは鋼における重要な強化元素であり、鋼板の強度を顕著に高めることができるが、多すぎると、鋼板の溶接、靭性及び塑性に不利である。低C設計によれば、パーライト組織及び他の炭化物の形成を制限し、鋼の微視構造が均一相組織であり、異相間の電位差による一次電池の腐食を防止し、鋼の耐食性を向上させる。よって、その含有量を0.02〜0.07%に限定する。

0014

Si:Siの含有量を0.2〜1.0%に限定する。Siは、鋼に高い固溶度を有して、鋼におけるフィライト体積分率を増加し、結晶粒を微細化することができるため、靭性の向上に有利であるが、含有量が高すぎると、溶接性の低下を引き起こすので、上限値を1.0%に制御する。

0015

Mn:Mnは強い固溶強化作用を有すると共に、鋼の相変態温度を顕著に低下させ、鋼の微視組織を微細させる重要な強靭化元素であるが、Mnの含有量が多すぎると焼入れ性を増加して、溶接性及び溶接熱影響領域の靭性を悪化させるため、その含有量を0.2〜2.2%に制御する。

0016

S:Sの存在によって鋼の耐大気腐食性が悪化される。Pは鋼の耐大気腐食性を効率的に高めることができるが、Pの含有量が高すぎると、鋼の靭性及び塑性を低下させる。同時に、Pの存在により偏析が容易に発生するため、本発明の鋼種設計において、極めて低いS、Pの含有量を採用し、その範囲をP≦0.01%、S≦0.006%に制御する。

0017

Ni:Niは鋼の強度を高めると共にその靭性を改善できる元素であり、焼入れ性を高めて、Cuの赤熱脆性によるチェック割れを効率的に防止できる。Niが貴金属元素であるため、コストの要素から考慮すると共に、Niの含有量が高すぎると酸化膜粘着性が増加され、鋼中に圧入すると表面に熱間圧延欠陥が形成されるので、その含有量を0.2〜1.2%に限定する。

0018

Cu:CuはNと大体同じ作用を有し、固溶及び沈殿強化作用を有する。Niとの適切な配合比によって、鋼の耐大気腐食性を顕著に高めることができるが、高すぎると溶接性に不利であり、熱間圧延の際にチェック割れが容易に発生するため、その含有量を0.20〜0.50%に制御する。

0019

Nb:Nbは強い炭化物形成元素であり、形成された微細な炭化物顆粒組織を微細化し、析出強化作用を発生して鋼板の強度を顕著に高めるが、Nbが多すぎると溶接性に不利であるため、選択的に添加できるが、0.06%以下に制御したほうがいい。

0020

Ti及びV:0.01〜0.10%のTiを添加することは、主にスラブ再加熱過程オーステナイト結晶粒子成長を抑制すると共に、再結晶の圧延制御過程でフェライトの結晶粒子の成長を抑制して、鋼の靭性を高めるためである。Al含有低炭素鋼に、同時に微量なV又はTiを添加すると、腐食速度を顕著に低下させる。よって、選択的に添加したVの量を0.02〜0.1%の範囲内に制御する。

0021

N:鋼におけるAl元素はNと結合して、容易にAlNを形成して、鋼における窒化物の数量を顕著に増加させる。AlNが非金属不純物として鋼に独立に存在する場合、鋼基体連続性破壊する。特にAlNの含有量が多くて、富化分布になる場合、その危害程度が深くて、Nの含有量を0.0050%以下に制御すべきである。

0022

本発明の鋼種における上記化学成分の範囲を制御する以外に、本発明のもう一つの肝心な技術は、当該高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の生産工程プロセスの選択及び制御にある。その基本的な工程プロセスは以下の通りである。

0023

溶錬→炉外精錬連続鋳造→スラブの再加熱→圧延制御→冷却制御→卷取→仕上げ納品

0024

本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の製造方法は、具体的に下記の工程を含む。

0025

1)溶錬、炉外精錬、連続鋳造
下記の成分で溶錬、炉外精錬、連続鋳造を行ってスラブを製造した。即ち、化学成分の重量百分率含有量が、C:0.02〜0.07%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.2〜2.2%、P≦0.01%、S≦0.006%、Cu:0.2〜0.5%、Cr:0.5〜3.5%、Ni:0.2〜1.2%、Al:0.4〜4.0%、N≦0.005%であり、残部がFe及び他の不可避的不純物であり、且つAl/Crが0.5〜8.0である。

0026

又は、溶鋼の化学成分には、更にNb、Ti及びVの中の一種又は多種を含み、重量百分率比で、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.01〜0.10%、V:0.02〜0.10%である。

0027

2)スラブの加熱:工程1)で得られたスラブを加熱し、加熱温度は1220℃以上である。

0028

3)圧延:粗圧延(rough rolling)及び仕上げ圧延(finish rolling)の二段階で圧延工程を制御し、仕上げ圧延の最終圧延温度は720〜800℃である。

0029

4)冷却:圧延後の鋼板を冷却し、冷却速度は10〜40℃/sである。
5)卷取、仕上げ:鋼板を460〜520℃範囲内に制御して卷取った後、室温まで再度冷却し、仕上げにより上記の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼を得ることができる。

0030

本発明の鋼種は、比較的多いAlを含む。Alはフェライトの形成を促進する元素であり、その連続冷却曲線CCT曲線)は、図1のように示す。図1から分かるように、鋼種のオーステナイト化温度は1150℃以上である。オーステナイトにおける微量合金元素の炭窒化物の溶解行動及び加熱過程におけるオーステナイトの結晶粒子の成長行動を総合的に考慮すると、本発明では特にスラブを1220℃以上で再度加熱し、二段階の圧延制御工程を採用する。

0031

本発明の鋼の所要の性能を得るために、鋼の基体組織をフェライト+ベイナイトに制御すべきである。CCT曲線から、本発明の鋼種が非常に広いフェライト領域を有することが分かる。優れた総合性能を獲得し、再結晶の結晶粒子の微細化効果を保証するために、950℃以上の累積変形量を80%以上とし、仕上げ圧延の最終圧延温度を750℃以上とした(製品の厚さの増加は最終圧延温度を適当に低減できる)。結晶粒子の微細化効果を保証するために、最終圧延温度を720〜800℃に制御した。最終圧延温度が800℃を超えると、結晶組織が急速に成長・粗大化になり、温度が低すぎると圧延力が高すぎてエネルギー消耗が増加する。

0032

連続冷却曲線から分かるように、冷却速度が50℃/s以下であれば、フェライト+ベイナイト組織を得ることができる。急速冷却による組織の微細化及び相変態の完成時間を考慮して、短い時間内に大部分のフェライトからベイナイトへの相変態を完成しようとすれば、冷却速度を10℃/s以上に制御すべきである。冷却速度が高すぎると、組織相変態温度が低下し、鋼におけるフェライト組織の含有量も低くなって、鋼の可塑性が悪化するため、冷却速度を40℃/s以下に制御すべきである。従って、本発明の鋼種の圧延後の冷却速度を10〜40℃/s範囲内に制御する。

0033

卷取温度は、鋼の相変態温度及び鋼板組織を組み合わせて確定する。図1から分かるように、鋼のマルテンサイトの相変態開始温度は、約460℃であり、冷却停止温度がこの温度より低いと大量のマルテンサイトが形成される。強度は向上されるが、鋼材の靭性及び塑性はひどく低下される。冷却停止温度が520℃を超えると、フェライト+ベイナイトを得ることができないため、鋼種を460〜520℃範囲内で卷取るべきであり、後に室温まで冷却する。

0034

本発明の高耐食性高強度のAl含有の耐候性鋼板において、その化学成分の配合比及び機械的性質は、表1に示したように、近似の鋼種と化学成分、性能の対照を行った(表1を参照)。

0035

ただし、対照特許1:中国特許CN101376953Aであり、これは超低炭素成分であり、同時にMnの含有量が極めて低く、所定量のN、Caを含まなければならない。

0036

対照特許2:日本特許JP2002363704であり、その成分において、3〜20%のMnを必須とし、Cu、Ni、Mo、Nb、V、Ti、Zr及びMg+Caなどの元素中の一種又は多種を選択的に添加する。

0037

対照特許3:日本特許JP2002285298であり、その成分において、Nを必須とし、同時に4〜9%のCrを添加し、Cu、Ni、Mo、Nb、V、Ti、Ca及びMg、Reなどの元素中の一種又は多種を選択的に添加する。

0038

0039

表1から分かるように:
対照特許1、2は、何れも高耐食性の耐候性鋼である。ただし、対照特許1は、降伏強度700MPa以上の鋼種であり、超低炭素成分(C:0.002%〜0.005%)を要求し、Mn、Alの含有量が何れも0.05%以下であり、製鋼の難易度が大きく、同時にCrの含有量(4.5〜5.5%)も本実施例に要求される0.5〜3.5%の含有量の範囲より高い。且つ、所定量のNを添加しなければならないため、本発明と顕著な差異がある。

0040

対照特許2の鋼種において、Cr、Al成分の範囲がより広く、その上限値は何れも本発明の鋼種のCr、Al成分の含有量要求を遥かに超える。これは本発明において非常に不利な作用を発揮する。例えば、高すぎるAlは、鋼種におけるフェライトの脆性を増加させて鋼靭性の低下を引き起こし、高すぎるCrは同時に溶接性及び靭性に不利である。且つ、Cr、Alの配合比も大きな不利をもたらし、本発明の成分設計の要求に合致していない。特に、Mnの含有量を3〜20%と要求するが、本発明の鋼種におけるMnの含有量は2.2%以下であり、本発明の鋼種におけるMn成分の含有量を明らかに超えており、同時にMo、Zrなどの合金元素を添加することを要求している。当該対照特許2の鋼種において、降伏強度の範囲が250MPa〜650MPaであり、下限値が250 MPaまで低くなり、保護範囲が広い。また、他の耐食性、降伏比、伸び率、-40℃シャルピー衝撃エネルギーなどの他の方面の総合的なデータもない。従って、対照特許1と2の二つの特許は、本発明と明らかに異なる。

0041

対照特許3に係る鋼種において、Crの含有量は4〜9%であり、本発明の鋼におけるCrの含有量0.5〜3.5%より遥かに高く、同時に10%までのCu及びNiを含有することを要求する。また、対照特許3に係る鋼種において、更に0.02%のN、0.01〜1.0%のMo、0.005〜0.05%のMg、0.001〜0.1%の希土類元素成分を含み、これらの元素の添加により、製造コスト及び製造難易度を増加させる一方、鋼板の溶接性及び靭性にも不利である。本発明には上記含有量の元素成分を含有する必要がない。

0042

また、本発明の鋼の機械的性質に対する要求も、対照特許の各種鋼と異なる。本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板が要求する降伏強度は350〜500MPaであるが、対照特許1の鋼の降伏強度は700MPa以上であり、対照特許2の鋼強度の範囲は比較的広く、対照特許1〜3の鋼には、いずれも低温靭性に対する性能データがない。

発明の効果

0043

先行技術に比べて、本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板は下記の利点及び有益な効果を有する。

0044

1. 本発明の鋼種の降伏強度は350MPa〜500MPaであり、高強度の耐候性鋼に属し、車輌部品自体の重さを低減する要求を満たす。

0045

2. 適量のAl及びCrの添加により、本発明の鋼種が優れた耐大気腐食性を有することが保証され、特に、AlとCrの配合比を制御することにより、優れた機械的性質を保証すると共に、本発明の鋼種の耐大気腐食性が、伝統的な耐候性鋼より1倍以上増加され、伝統的な高強耐候性鋼を取り替えて、鉄道車輌、コンテナー、橋梁及び室外ガントリーなどの分野に応用することができ、使用コスト及び維持費を節減した。

0046

3. 本発明の鋼種は優れた冷間曲げ加工性及び低温靭性を有し、-40℃の条件下の衝撃エネルギーが60J以上であり、半分サンプルの衝撃エネルギーも40J以上であり、ひいては60Jを超える(表3を参照)。

0047

4. 本発明の鋼種は、圧延制御と冷却制御(TMCP)の生産プロセスで生産され、圧延後の熱処理を必要としないし、熱間圧延の状態で納品することができ、納品周期を効率的に保証し、生産コストを節減した。

図面の簡単な説明

0048

図1は本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板のCCT曲線(計算)を示す。

実施例

0049

以下、具体的な実施例に基づいて、本発明を更に説明する。
本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼板の化学成分の重量百分率比含有量(その化学成分の配合比は表2を参照)の要求に基づいて、実験室で、500kgの真空誘導炉で本発明の鋼を溶錬した。鋼スラブの加熱温度は1220℃以上であり、最終圧延温度は、720〜800℃であり、巻取温度は460〜520℃であり、続いて室温まで空気冷却した。実施例の鋼に関連する機械的性質は表3を参照する。

0050

0051

0052

普通炭素鋼Q345B及び高強度耐候性鋼Q450NQR1を対照サンプルとして、鉄道用耐候性鋼周期浸漬腐食実験方法(TB/T2375-93)に準じて、72時間の周期浸漬循環腐食実験を行った。サンプルの単位面積の腐食による重量損失量に基づいて、平均腐食速度を求めて、ひいては鋼種の相対的腐食速度を求めた。9種類の実施例の鋼種(A-G)及び対照鋼の耐大気腐食性は、表4に示した。

0053

0054

本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼の成分設計範囲及び圧延工程の制御により得られた実施例の鋼の降伏強度は、350〜500MPaであり、伸び率は20%以上である。同時に優れた衝撃靭性及び比較的低い降伏比を有する。耐大気腐食性の対照結果から分かるように、伝統的な高強度耐候性鋼の性能要求(相対的腐食速度≦55%)に比べて、本発明の鋼種の耐大気腐食性は1倍以上増加し、相対的腐食速度は27%以下であった。従って、本発明の高耐食性高強度のAl含有耐候性鋼種は、伝統的な耐候性鋼及び現在の高強度耐候性鋼を完全に取り替えて、大気環境条件下に広く適用し、鉄道車輌、コンテナー製造及び橋梁及び室外ガントリーなどの分野の需要を満たすことができる。

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