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技術 組換えポリペプチドの生産

出願人 メディミューン,エルエルシー
発明者 ストライチャー,ケイティジェイコブス,ジョナサンジオーガンタスザサード,ロバート,ダブリュ.グリーンリース,リディアラナデ,コウストゥブボウエン,マイケル
出願日 2014年3月12日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2016-501560
公開日 2016年4月14日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2016-511005
状態 不明
技術分野
  • -
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図面 (14)

課題・解決手段

本明細書には、哺乳動物細胞が、修飾されたmicroRNA活性レベルを有する哺乳動物細胞培養物において組換えポリペプチド生産する方法が開示される。一実施形態では、microRNA活性レベルが増大される。別の実施形態では、microRNA活性レベルが低減される。より具体的実施形態では、哺乳動物細胞は、抑制されたmiRNA−let−7a活性レベルを有する。

概要

背景

2.背景
培養した哺乳動物細胞は、組換えポリペプチド生産に用いられることが多い。哺乳動物細胞培養物は、例えば、適正なタンパク質折り畳み、集合及び翻訳後修飾など、非哺乳動物系に対して多くの利点を提供する。しかし、依然として、大規模哺乳動物培養の生産性改善の課題、例えば、増殖レベル細胞ストレス、及び翻訳速度に関する課題などが存在する。多くの工業的細胞培養プロセスでは、大型バイオリアクター内で、細胞懸濁物として高密度で培養し、多くの場合、細胞をその最適増殖条件より多く増殖させる。これらの条件下では、アポトーシストリガーされことがあり、その結果として、細胞生存能及び生産性が低下する場合がある。そのため、多くの生産最適化戦略は、アポトーシスの防止と、培地製剤及び増殖条件の増強による細胞代謝の改変に依存している。近年の研究から、細胞生産性は、複数の重要な細胞経路を調節する鍵分子(例えば、転写因子など)の全体的遺伝子発現パターンを改変することによって増大できることが示唆されている。

microRNA(miRNA)は、植物及び動物にみいだされる約22個のヌクレオチドからなる微小な非コードRNA分子であり、遺伝子発現の重要な転写及び転写後調節因子である。miRNAは、mRNA分子内の相補的配列塩基対合することにより機能し、往々にして、遺伝子サイレンシングを起こし、細胞増殖、発生及び分化に関する調節機能などの動物及び植物における多様な生物学的経路関与している。miRNAは、細胞のホメオスタシスの維持、並びに増殖及びアポトーシスなどの重要な細胞の経路の調節に重要な役割を果たす。不適切なmiRNA発現は、癌を含む多くの疾患に関連しており、こうした疾患において、これらは、多数のタンパク質及び経路を同時に改変することにより、病因に寄与し得る。

単一のmiRNAの変化が、複数の生理学的プロセスに影響する能力は、生産細胞培養におけるmiRNA発現の修飾によって、産生細胞増殖期延長し、より高い抗体力価を生み出すと共に、生産性を高め得ることを示している(Sampson et al.(2007)“MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.”Cancer Res 67(20):9762−9770;Muller et al.(2008)“MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.”Trendsin Biotechnology 26(7):359−365;及びBarron et al.(2011)“Engineering CHO cell growth and recombinant polypeptide productivity by over expression of miR−7.”Journal of Biotechnology 151(2):204−11)。従って、研究者らは、主に、生産培養全体を通して起こる内在性miRNAの改変の分析により、哺乳動物細胞培養物中のmicroRNAの役割を調べ始めた(Muller et al.(2008)“MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.”Trends in Biotechnology 26(7):359−365;Barron et al.(2011)“Engineering CHO cell growth and recombinant polypeptide productivity by over expression of miR−7.”Journal of Biotechnology 151(2):204−11;Gammell et al.(2007)“Initial identification of low temperature and culture stage induction of miRNA expression in suspension CHO−K1 cells.”Journal of Biotechnology 130:213−218;及びHackl et al.(2010)“Next−generation sequencing of the Chinese hamster ovary microRNA transcriptome:Identification,annotation and profiling of microRNAs as targets for cellular engineering.”Journal of Biotechnology 153(1−2):62−75)。また、少数の研究において、異所的に発現したmiR又は抗miRのCHO細胞に対する作用も調査されている(Barron et al.,2011;Meleady et al.,2011;Druz et al.,2011)。しかし、治療生物製剤の生産を高めるためにこの技術を常用的に実施できるようにする前に、CHO細胞における改変miRNAの作用について、より注意深い特性決定が必要である。

概要

本明細書には、哺乳動物細胞が、修飾されたmicroRNA活性レベルを有する哺乳動物細胞培養物において組換えポリペプチドを生産する方法が開示される。一実施形態では、microRNA活性レベルが増大される。別の実施形態では、microRNA活性レベルが低減される。より具体的実施形態では、哺乳動物細胞は、抑制されたmiRNA−let−7a活性レベルを有する。

目的

哺乳動物細胞培養物は、例えば、適正なタンパク質折り畳み、集合及び翻訳後修飾など、非哺乳動物系に対して多くの利点を提供する

効果

実績

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請求項1

哺乳動物細胞培養物において組換えポリペプチド生産する方法であって、以下:(a)抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する哺乳動物細胞を得るステップ;(b)前記哺乳動物細胞を培養して、組換えポリペプチドを産生するステップ;及び(c)タンパク質回収するステップを含む方法。

請求項2

前記miRNA−let−7a活性が、microRNA阻害剤によって抑制される、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記microRNA阻害剤が、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を含む、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記哺乳動物細胞培養物が、miRNA−let−7aの合成アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記オリゴヌクレオチド阻害剤が、ヌクレアーゼ耐性を改善し、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高め、及び/又は結合親和性を増大するように、化学的に修飾される、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記哺乳動物細胞培養物が、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記哺乳動物細胞培養物が、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤で安定的にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記哺乳動物細胞培養物が、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤で一過的にトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記哺乳動物細胞培養物が、以下:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞マウス骨髄腫(NS0)、ヒト胎児由来腎臓HEK293)、ベビーハムスター(BHK)細胞、ベロ(Vero)細胞、HeLa細胞、メイディンダービーイヌ腎(MDCK)細胞、CVサル腎細胞、3T3細胞、骨髄腫細胞株、PC12、WI38細胞、サル腎線維芽細胞のCOS−7株、及びC127から選択される哺乳動物細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣細胞を含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記哺乳動物細胞が、miRNA−let−7a遺伝子ノックアウトを含む、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記組換えポリペプチドが、抗体又はその結合断片を含む、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記抗体又はその結合断片が、多重特異性抗体、完全ヒト型抗体ヒト化抗体ラクダ化抗体、キメラ抗体CDR移植抗体、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体から選択される、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記抗体又はその結合断片が、IgGIgEIgMIgDIgA及びIgYから選択されるアイソタイプを含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4から選択されるアイソタイプを含む、請求項13に記載の方法。

請求項16

前記組換えポリペプチドが、非抗体タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。

請求項17

前記組換えポリペプチドが、融合タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。

請求項18

前記組換えポリペプチドが、受容体を含む、請求項1に記載の方法。

請求項19

前記組換えポリペプチドが、細胞表面タンパク質リガンドを含む、請求項1に記載の方法。

請求項20

前記細胞表面タンパク質が、受容体を含む、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記組換えポリペプチドが、分泌タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。

請求項22

前記組換えポリペプチドが、酵素を含む、請求項1に記載の方法。

請求項23

前記細胞培養物が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大した比生産性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項24

前記細胞培養物が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大した最大生産性を有し、これは、ピーク生存細胞密度VCD)で決定される、請求項1に記載の方法。

請求項25

前記細胞培養物が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照哺乳動物細胞培養物と比較して、増大した比生産性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項26

前記細胞培養物の比生産性が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%増大している、請求項1に記載の方法。

請求項27

前記細胞培養物が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、約1%〜約30%の相対生細胞密度を有する、請求項1に記載の方法。

請求項28

アポトーシス、タンパク質翻訳又は細胞代謝の少なくとも1つの媒介因子発現が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して増大している、請求項1に記載の方法。

請求項29

HMGA2、MYC、NF2、NIRF、RAB40C、及びeIF4aから選択されるmiRNA−let−7aの少なくとも1つの標的の発現が、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して細胞培養物中で増大している、請求項24に記載の方法。

請求項30

前記哺乳動物細胞が、対照細胞培養物と比較して、miR−10a、miR−21、及びそれらの組み合わせから選択される第2のmicroRNAの増大した活性を有する、請求項2に記載の方法。

請求項31

前記哺乳動物細胞が、miR−10a、miR−21、又はそれらの組み合わせを発現することができる第2の発現ベクターでトランスフェクトされる、請求項30に記載の方法。

請求項32

前記哺乳動物細胞が、miR−16、miR−101、miR−145、及びそれらの組み合わせから選択される第2のmicroRNAの低減した活性を有する、請求項2に記載の方法。

請求項33

前記第2のmicroRNAの活性が、第2のmicroRNA阻害剤によって抑制される、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記第2のmicroRNA阻害剤が、第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を含む、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記哺乳動物細胞培養物が、第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項33に記載の方法。

請求項36

前記第2のオリゴヌクレオチド阻害剤が、ヌクレアーゼ耐性を改善し、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高め、及び/又は結合親和性を増大するように化学的に修飾されている、請求項35に記載の方法。

請求項37

前記哺乳動物細胞培養物が、前記アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤をコードする第2の発現ベクターでトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む、請求項34に記載の方法。

請求項38

組換えポリペプチドを発現するように設計された哺乳動物細胞株であって、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する哺乳動物細胞株。

請求項39

miRNA−let−7a遺伝子ノックアウトを含む、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項40

前記哺乳動物細胞が、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトされている、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項41

前記哺乳動物細胞が、miRNA−let−7aの前記アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤をコードする発現ベクターでトランスフェクトされている、請求項39に記載の哺乳動物細胞株。

請求項42

前記細胞株が、miRNA−let−7aの前記アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤で安定的にトランスフェクトされる、請求項40に記載の哺乳動物細胞株。

請求項43

前記細胞株が、miRNA−let−7aの前記アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤で一過的にトランスフェクトされる、請求項40に記載の哺乳動物細胞株。

請求項44

前記ベクターが、ウイルスベクターを含む、請求項41に記載の哺乳動物細胞株。

請求項45

前記ベクターが、レトロウイルスベクターを含む、請求項44に記載の哺乳動物細胞株。

請求項46

前記レトロウイルスベクターが、レンチウイルスベクターから選択される、請求項45に記載の哺乳動物細胞株。

請求項47

前記ベクターが、バキュロウイルスベクターを含む、請求項44に記載の哺乳動物細胞株。

請求項48

前記ベクターが、アデノウイルスベクターを含む、請求項44に記載の哺乳動物細胞株。

請求項49

前記哺乳動物細胞が、以下:チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎(HEK293)細胞、ベロ(Vero)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、HeLa細胞、CV1サル腎細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎(MDCK)細胞、3T3細胞、骨髄腫細胞株、COS細胞、PC12、WI38細胞から選択される、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項50

前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣細胞を含む、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項51

前記組換えタンパク質が、抗体又はその結合断片を含む、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項52

前記抗体又はその結合断片が、多重特異性抗体、完全ヒト型抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体から選択される、請求項51に記載の哺乳動物細胞株。

請求項53

前記抗体又はその結合断片が、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgYから選択されるアイソタイプを含む、請求項51に記載の哺乳動物細胞株。

請求項54

前記抗体又はその結合断片が、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4から選択されるアイソタイプを含む、請求項51に記載の哺乳動物細胞株。

請求項55

前記組換えポリペプチドが、非抗体タンパク質を含む、請求項38に記載の哺乳動物細胞株。

請求項56

前記組換えタンパク質が、融合タンパク質を含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項57

前記組換えタンパク質が、受容体を含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項58

前記組換えタンパク質が、細胞表面タンパク質のリガンドを含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項59

前記細胞表面タンパク質が、受容体を含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項60

前記組換えタンパク質が、分泌タンパク質を含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項61

前記組換えタンパク質が、酵素を含む、請求項55に記載の哺乳動物細胞株。

請求項62

miRNA−let−7aのアンチセンスmicroRNA阻害剤をコードする1つ又は複数のベクターと、組換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む発現系。

請求項63

miRNA−let−7aのアンチセンス阻害剤を含む細胞培地

請求項64

miRNA−let−7aのアンチセンスmicroRNA阻害剤でトランスフェクトした哺乳動物細胞を含む哺乳動物細胞培養物から産生される組換えポリペプチド。

技術分野

0001

1.技術分野
本発明は、組換えポリペプチド生産に関する。より具体的には、本発明は、例えば、1つ又は複数のmiRNAのレベルを増大又は低減することにより、組換えポリペプチド産生細胞株の生産性を高めるためのmiRNAの調節に関する。

背景技術

0002

2.背景
培養した哺乳動物細胞は、組換えポリペプチドの生産に用いられることが多い。哺乳動物細胞培養物は、例えば、適正なタンパク質折り畳み、集合及び翻訳後修飾など、非哺乳動物系に対して多くの利点を提供する。しかし、依然として、大規模哺乳動物培養の生産性改善の課題、例えば、増殖レベル、細胞ストレス、及び翻訳速度に関する課題などが存在する。多くの工業的細胞培養プロセスでは、大型バイオリアクター内で、細胞懸濁物として高密度で培養し、多くの場合、細胞をその最適増殖条件より多く増殖させる。これらの条件下では、アポトーシストリガーされことがあり、その結果として、細胞生存能及び生産性が低下する場合がある。そのため、多くの生産最適化戦略は、アポトーシスの防止と、培地製剤及び増殖条件の増強による細胞代謝の改変に依存している。近年の研究から、細胞生産性は、複数の重要な細胞経路を調節する鍵分子(例えば、転写因子など)の全体的遺伝子発現パターンを改変することによって増大できることが示唆されている。

0003

microRNA(miRNA)は、植物及び動物にみいだされる約22個のヌクレオチドからなる微小な非コードRNA分子であり、遺伝子発現の重要な転写及び転写後調節因子である。miRNAは、mRNA分子内の相補的配列塩基対合することにより機能し、往々にして、遺伝子サイレンシングを起こし、細胞増殖、発生及び分化に関する調節機能などの動物及び植物における多様な生物学的経路関与している。miRNAは、細胞のホメオスタシスの維持、並びに増殖及びアポトーシスなどの重要な細胞の経路の調節に重要な役割を果たす。不適切なmiRNA発現は、癌を含む多くの疾患に関連しており、こうした疾患において、これらは、多数のタンパク質及び経路を同時に改変することにより、病因に寄与し得る。

0004

単一のmiRNAの変化が、複数の生理学的プロセスに影響する能力は、生産細胞培養におけるmiRNA発現の修飾によって、産生細胞増殖期延長し、より高い抗体力価を生み出すと共に、生産性を高め得ることを示している(Sampson et al.(2007)“MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.”Cancer Res 67(20):9762−9770;Muller et al.(2008)“MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.”Trendsin Biotechnology 26(7):359−365;及びBarron et al.(2011)“Engineering CHO cell growth and recombinant polypeptide productivity by over expression of miR−7.”Journal of Biotechnology 151(2):204−11)。従って、研究者らは、主に、生産培養全体を通して起こる内在性miRNAの改変の分析により、哺乳動物細胞培養物中のmicroRNAの役割を調べ始めた(Muller et al.(2008)“MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.”Trends in Biotechnology 26(7):359−365;Barron et al.(2011)“Engineering CHO cell growth and recombinant polypeptide productivity by over expression of miR−7.”Journal of Biotechnology 151(2):204−11;Gammell et al.(2007)“Initial identification of low temperature and culture stage induction of miRNA expression in suspension CHO−K1 cells.”Journal of Biotechnology 130:213−218;及びHackl et al.(2010)“Next−generation sequencing of the Chinese hamster ovary microRNA transcriptome:Identification,annotation and profiling of microRNAs as targets for cellular engineering.”Journal of Biotechnology 153(1−2):62−75)。また、少数の研究において、異所的に発現したmiR又は抗miRのCHO細胞に対する作用も調査されている(Barron et al.,2011;Meleady et al.,2011;Druz et al.,2011)。しかし、治療生物製剤の生産を高めるためにこの技術を常用的に実施できるようにする前に、CHO細胞における改変miRNAの作用について、より注意深い特性決定が必要である。

先行技術

0005

Sampson et al.(2007)“MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.”Cancer Res 67(20):9762−9770
Muller et al.(2008)“MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.”Trendsin Biotechnology 26(7):359−365
Barron et al.(2011)“Engineering CHO cell growth and recombinant polypeptide productivity by over expression of miR−7.”Journal of Biotechnology 151(2):204−11
Gammell et al.(2007)“Initial identification of low temperature and culture stage induction of miRNA expression in suspension CHO−K1 cells.”Journal of Biotechnology 130:213−218
Hackl et al.(2010)“Next−generation sequencing of the Chinese hamster ovary microRNA transcriptome:Identification,annotation and profiling of microRNAs as targets for cellular engineering.”Journal of Biotechnology 153(1−2):62−75

課題を解決するための手段

0006

3.概要
本明細書には、哺乳動物細胞が、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する哺乳動物細胞培養物中で組換えポリペプチドを生産する方法が開示される。一実施形態では、miRNA−let−7a活性は、microRNA阻害剤によって抑制される。一実施形態では、microRNA阻害剤は、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を含む。別の実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、miRNA−let−7aの合成アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチド阻害剤は、ヌクレアーゼ耐性を改善し、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高め、及び/又は結合親和性を増大するように、化学的に修飾される。一実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む。哺乳動物細胞培養物は、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤で安定的又は一過的にトランスフェクトすることができる。別の実施形態では、哺乳動物細胞は、miRNA−let−7a遺伝子ノックアウトを含む。

0007

好適な哺乳動物細胞は、限定するものではないが、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウス骨髄腫(NS0)、ヒト胎児由来腎臓HEK293及び293T、293Hなどの誘導体)、ベビーハムスター(BHK)細胞、ベロ(Vero)細胞、HeLa細胞、メイディンダービーイヌ腎(MDCK)細胞、CVサル腎細胞、3T3細胞、骨髄腫細胞株、PC12、WI38細胞、サル腎線維芽細胞のCOS−7株、及びC127が挙げられる。

0008

好適な組換えポリペプチドとしては、抗体又はその結合断片及び非抗体タンパク質が挙げられる。一実施形態では、抗体又はその結合断片は、多重特異性抗体、完全ヒト型抗体ヒト化抗体ラクダ化抗体、キメラ抗体CDR移植抗体、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体から選択される。一実施形態では、抗体又はその結合断片は、IgGIgEIgMIgDIgA及びIgYから選択されるアイソタイプを含む。別の実施形態では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4から選択されるアイソタイプを含む。

0009

別の実施形態では、組換えポリペプチドは、非抗体タンパク質を含む。一実施形態では、組換えポリペプチドは、融合タンパク質を含む。別の実施形態では、組換えポリペプチドは、受容体を含む。一実施形態では、組換えポリペプチドは、細胞表面タンパク質リガンドを含む。別の実施形態では、細胞表面タンパク質は、受容体を含む。別の実施形態では、組換えポリペプチドは、分泌タンパク質を含む。別の実施形態では、組換えポリペプチドは、酵素を含む。別の実施形態では、組換えポリペプチドは、スカフォールド模倣物を含む。

0010

一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大した比生産性を有する。一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大した最大生産性を有し、これは、ピーク生存細胞密度VCD)で決定される。一実施形態では、細胞培養物は、増大した比生産性を有し、ここで、上記細胞培養物中で生存細胞個当たりの抗体の力価は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して増加している。

0011

一実施形態では、アポトーシス、タンパク質翻訳又は細胞代謝の少なくとも1つの媒介因子の発現は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して哺乳動物細胞培養物中で増大している。一実施形態では、HMGA2、MYC、NF2,NIRF、RAB40C、及びeIF4aから選択されるmiRNA−let−7aの少なくとも1つの標的の発現は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して細胞培養物中で増大している。

0012

一実施形態では、哺乳動物細胞は、対照細胞培養物と比較して、miR−10a、miR−21、及びそれらの組み合わせから選択される第2のmicroRNAの増大した活性を有する。一実施形態では、哺乳動物細胞は、miR−10a、miR−21、又はそれらの組み合わせを発現することができる発現ベクターでトランスフェクトされる。一実施形態では、哺乳動物細胞は、miR−16、miR−101、miR−145、及びそれらの組み合わせから選択される第2のmicroRNAの低減した活性を有する。一実施形態では、第2のmicroRNAの活性は、第2のmicroRNA阻害剤によって抑制される。一実施形態では、第2のmicroRNA阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤を含む。一実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む。一実施形態では、第2のオリゴヌクレオチド阻害剤は、ヌクレアーゼ耐性を改善し、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高め、及び/又は結合親和性を増大するように、化学的に修飾されている。一実施形態では、哺乳動物細胞培養物は、第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた哺乳動物細胞を含む。

0013

さらに、組換えポリペプチドを発現するように設計された哺乳動物細胞株であって、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する哺乳動物細胞;miRNA−let−7aのアンチセンスmicroRNA阻害剤をコードする1つ又は複数のベクターと、組換えタンパク質をコードするヌクレオチド配列とを含む発現系;miRNA−let−7aのアンチセンス阻害剤を含む細胞培地;並びにmiRNA−let−7aのアンチセンスmicroRNA阻害剤でトランスフェクトした哺乳動物細胞を含む哺乳動物細胞培養物から産生される組換えポリペプチドも開示される。

図面の簡単な説明

0014

4.図面の簡単な説明
累積VCDの力価/全体として計算し、mg/L/累積細胞日(CCD)として記録したラン終点比生産性(QP)を示すグラフである。
最大QPと比較した累積Qpを示すグラフである。
2日毎に測定した、抗miR−let−7a、抗miR−143及びmiR−10a修飾CHO細胞株からの組換え抗体力価(第2日に測定したベースラインレベルと比較して)を示すグラフである。
2日毎に測定した、抗miR−let−7a、抗miR−143及びmiR−10a修飾CHO細胞株のVCD(第0日に測定したベースラインレベルと比較して)を示すグラフである。
抗miR−let−7aレンチベクター又はベクター対照形質導入した親培養物のフェドバッチアセイ中に測定した2つの抗体産生細胞株からの相対VCDを示すグラフである。結果は、ベースライン(第0日)と比較した相対VCDレベルとして示す。
2日毎に評価した、抗miR−let−7a修飾培養物及び対照からの組換え抗体力価(第2日に測定したベースラインと比較して)を示すグラフである。
組換えmAbを産生する2つの細胞株における、対照に対する累積Qpの増加率(%)を示す表である。
miR−let−7aの阻害後のmiR又は抗miR修飾細胞株においてTaqMan定量PCRにより評価したCHOプロデューサ細胞における複数のmRNA標的の倍率変化を、対照株と比較して示すグラフである。バーは、平均±SDを表す。
(A)は、miR−let−7aの阻害後のRAS/GAPDH比の変化(%)を計算するのに用いられる密度測定値を、対照株と比較して示す。(B)は、親、対照、並びに抗miR−let−7a細胞株におけるRAS及びローディングコントロールGAPDHのタンパク質レベルを示すウェスタンブロットである。
抗体産生細胞株においてmiR−let−7aの調節によって改変され増殖/細胞周期、アポトーシス、ストレス耐性、代謝、及び転写/翻訳などの複数の細胞経路に関与する標的遺伝子を示すフローチャートである。
(A)は、抗miR及びGFPを発現するレンチベクターで形質導入したCHO細胞の代表的写真であり、形質導入効率が100%に近いことを示している。(B)及び(C)は、レンチウイルスで形質導入したCHO細胞における蛍光値(RFP)の2logシフトを、親細胞と比較して示す代表的FACSヒストグラムである。
親株からの代表的モノクローナル抗体の代表的逆重畳全体ES質量スペクトル還元HC及びLC質量を示す。LC 22895.9263は、LC及びHC(G0F)に対応し、50992.2014は、G0Fに対応し;51154.2639は、G1Fに対応し;51316.1579は、G2Fに対応する;(B)抗miR−let−7a修飾株からの抗体−還元HC及びLC質量。LC 22895.7493は、LC及びHC(G0F)に対応し、50992.7636は、G0Fに対応し、51154.3954は、G1Fに対応する。
親株からの代表的モノクローナル抗体の代表的逆重畳全体ESI質量スペクトル−還元HC及びLC質量を示す。LC 22895.9263は、LC及びHC(G0F)に対応し、50992.2014は、G0Fに対応し;51154.2639は、G1Fに対応し;51316.1579は、G2Fに対応する;(B)抗miR−let−7a修飾株からの抗体−還元HC及びLC質量。LC 22895.7493は、LC及びHC(G0F)に対応し、50992.7636は、G0Fに対応し、51154.3954は、G1Fに対応する。

0015

5.詳細な説明
A.概要
本明細書に記載する本発明の実施形態は、哺乳動物細胞培養物中で組換えポリペプチドを生産するための方法に関する。一実施形態では、本方法は、細胞株生産性を増大するために、microRNAの存在下で哺乳動物細胞を培養することを含む。より具体的実施形態では、microRNA活性を改変して、組換えポリペプチド生産性を増大するように哺乳動物細胞株を操作することができる。

0016

B.定義
別途定義されない限り、本明細書で用いる科学及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文面が他を指示しているのでない限り、単数形は、複数形を包含し、複数の用語は、単数形を包含する。一般に、本明細書に記載する細胞及び組織培養分子生物学、並びにタンパク質及びオリゴ−又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションに関して用いられる用語体系、及びその技術は、当分野において周知であり、かつ一般に用いられているものである。

0017

組換えDNAオリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び形質転換には標準的技術が用いられる(例えば、エレクトロポレーションリポフェクションウイルス形質導入)。酵素の反応及び精製技術は、製造業者の明細事項に従い、又は当分野で一般に達成されるように、若しくは本明細書に記載のように実施する。技術及び手順は、一般に、当分野で周知の従来の方法に従って、並びに本明細書全体を通して引用及び記述される様々な一般的及びより詳細な参照文献に記載されるように実施する。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001))を参照のこと。尚、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、並びに医学及び製剤化学に関して用いられる用語体系及びそれらの技術は、当分野で周知であり、かつ一般に用いられているものである。例えば、患者治療を目的とする化学合成化学分析薬剤調製、製剤化及び送達には標準的技術が用いられる。

0018

本開示に従って用いられるように、下記の用語は、別途記載のない限り、以下に示す意味を有すると理解されるものとする:
本明細書で用いられるとき、用語「約」は、例えば、本発明を説明するのに用いられる、組成物中のある成分の量、濃度、体積処理温度、処理時間、収率、流量、圧力及びそれらの範囲を加減するために用いられる。用語「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物若しくは使用製剤を製造するのに用いられる典型的測定及び取扱い手順によって;これらの手順における不注意による誤りによって;本方法を実施するために用いた出発材料若しくは成分の製造、供給源、若しくは純度の差、並びにその他類似の理由によって、起こり得る数値量の変動を指す。用語「約」は、特定の初期濃度若しくは混合物を有する製剤の経時変化によって異なる量、並びに特定の初期濃度若しくは混合物を有する製剤の混合又は処理により異なる量も包含する。用語「約」により加減される場合、本明細書に添付する特許請求の範囲は、そのような同等物を包含する。

0019

本明細書で用いられるとき、用語「抗体」は、抗原抗原決定基の特徴と相補的な内側表面形状及び電荷分布を有する3次元結合空間を有するポリペプチド鎖の折り畳みから形成される少なくとも1つの結合ドメインを含むポリペプチド又はポリペプチド群を指す。抗体は、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含む4量体形態をしており、各対は、1つの「軽鎖」と1つの「重鎖」とを有する。各軽/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。抗体は、オリゴクローナルポリクローナルモノクローナルキメラ、ラクダ化、CDR移植、多重特異性、二重特異性触媒ヒト化、完全ヒト、抗イディオタイプ、及び可溶性又は結合形態で標識することができる抗体、並びにエピトープ結合断片、これらの変異体若しくは誘導体であってよく、単独でも、他のアミノ酸配列と組み合わせてもよい。抗体は、任意の種に由来するものでよい。抗体という用語はさらに、限定しないが、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2単鎖抗体(svFC)、二量体可変領域(ダイアボディ)及びジスルフィド結合可変領域(dsFv)などの結合断片も包含する。特に、抗体は、免疫グロブリン分子の免疫グロブリン分子及び免疫活性断片、すなわち、抗原結合部位を含む分子を含む。抗体断片は、限定するものではないが、Fc領域又はその断片などの別の免疫グロブリンに融合してもいてもよいし、融合していなくてもよい。当業者は、限定はしないが、scFv−Fc融合物、可変領域(例えば、VL及びVH)−Fc融合物及びscFv−scFv−Fc融合物などの他の融合生成物を作製してもよいことは理解されよう。免疫グロブリン分子は、いずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであってもよい。

0020

本明細書で用いられるとき、用語「制御配列」は、それらが結合されるコード配列の発現及びプロセシングに作用又は影響するポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、宿主生物によって異なり得る。真核生物の場合、制御配列は、プロモータエンハンサーイントロン転写終結配列ポリアデニル化シグナル配列、並びに5’及び3’非翻訳UTR)領域を含み得る。本明細書で用いるとき、用語「制御配列」は、その存在が発現及びプロセシングに必要な全ての成分を含み、さらには、その存在が必要ではないが、やはり有利な別の成分、例えばリーダ配列も包含しうる。

0021

用語「遺伝子」は、広義生物学的機能に関連する任意の核酸を指すのに用いられる。従って、用語「遺伝子」は、発現に必要なコード配列及び/又は調節配列を包含する。用語「遺伝子」は、特定のゲノム配列、並びにそのゲノム配列によってコードされるcDNA又はmRNAにも適用することができる。

0022

用語「異種遺伝子」は、天然の環境の状態ではない(すなわち、人工的に改変された)生物材料をコードする遺伝子を指す。例えば、異種遺伝子は、別の種に導入された1つの種からの遺伝子を含み得る。異種遺伝子は、何らかの方法で改変された(例えば、突然変異した、複数のコピーに付加された、非ネイティブプロモータ若しくはエンハンサー配列に連結した、等)生物に対してネイティブな遺伝子も包含する。異種遺伝子は、異種遺伝子配列が、当該遺伝子と天然では結合してないか、又は天然にみいだされない染色体の一部と結合した調節エレメント(例えば、プロモータなど)と連結することができる内在性遺伝子とは区別される。

0023

用語「宿主細胞」は、ベクターなどの核酸を取り込むことができ、又は取り込んで、核酸の複製及び/又は発現、並びに任意選択で1つ又は複数のコードされた産物の生産を支持する細胞を意味する。一実施形態では、用語「宿主細胞」は、細胞培養物中の哺乳動物細胞などの真核生物細胞を指す。より具体的実施形態では、宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK293及び293T、293Hなどの誘導体)、ベロ(Vero)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、HeLa細胞、CV1サル腎細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎(MDCK)細胞、3T3細胞、骨髄腫細胞株、COS細胞(例えば、COS1及びCOS7)PC12、WI38細胞が挙げられる。宿主細胞という用語はまた、例えば、様々な細胞型若しくは細胞株の混合培養物などの細胞の組み合わせ又は混合物も包含する。

0024

用語「導入(された)」とは、異種又は単離核酸に関して言うとき、真核細胞への核酸の組込みを指し、ここで、核酸を細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミドプラスチド若しくはミトコンドリアDNA)に組み込み、自律レプリコンに変換するか、又は一過的に発現させる(例えば、トランスフェクトしたmRNA)ことができる。この用語は、「感染」、「トランスフェクション」、「形質転換」及び「形質導入」などの方法を含む。様々な方法が知られており、哺乳動物細胞に核酸を導入するのに使用することができる。

0025

用語「単離された」とは、本明細書において、核酸又はタンパク質などの生物材料に関して用いられるとき、天然に存在する環境から単離された生物材料を指す。「単離された」ポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、又は合成ポリヌクレオチドを指すこともある。単離されたポリヌクレオチドは、天然では連結されていない別のポリヌクレオチドと作動可能に連結してもよい。「単離された」という用語は、タンパク質に関して用いられるとき、その天然に存在する環境から単離されたタンパク質を指す。単離されたタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、組換えDNA、組換えRNA、若しくは合成起源又はこれらのいずれかの組み合わせに由来するものでもよい。

0026

用語「mAb」は、モノクローナル抗体を指す。

0027

用語「天然に存在する」は、生物に存在する生物材料、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド又はmicroRNA配列を指し、この場合、生物材料は、人によって意図的に修飾されていない。用語「外性」は、生物の外部に由来するか、又は人による意図的修飾、例えば、生物材料を発現させるような生物の修飾によって、生物に存在する生物材料を指す。

0028

用語「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」は、単鎖若しくは二本鎖デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチドポリマー、又はキメラあるいはこれらの類似体を指す。他に指示のない限り、核酸配列は、明示した配列に加えて、相補的配列を含む。オリゴヌクレオチドは、一般に、約200塩基以下、例えば、約10〜約100塩基の長さを有するポリヌクレオチドサブセットである。

0029

用語「作動可能に連結される」は、本明細書で用いられるとき、成分が、その意図される様式で機能することを可能にする関係性にある上記成分の位置を指す。例えば、コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合可能な条件下で達成されるように結合される。

0030

用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、全体を通して置換え可能に用いられ、ペプチド結合により互いに連結した2つ以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、抗体及び非抗体タンパク質を指すこともある。非抗体タンパク質としては、限定しないが、酵素、受容体、細胞表面タンパク質のリガンド、分泌タンパク質及び融合タンパク質又はその断片が挙げられる。非抗体タンパク質は、抗体タンパク質より低い分子量を有する傾向がある。ポリペプチドは、グリコシル化しても、しなくてもよい。タンパク質は、別のタンパク質と融合しても、しなくてもよい。ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質はまた、限定しないが、グリコシル化、脂質結合、硫酸化グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化ヒドロキシル化及びADPリボース化などの修飾を含んでもよい。ポリペプチドは、タンパク質ベース薬剤など、科学的又は商業的利点を有するものであってもよい。ポリペプチドとしては、中でも、抗体及びキメラ又は融合タンパク質などがある。

0031

「プロモータ」又は「プロモータ配列」は、適切な転写関連酵素(例えば、RNAポリメラーゼ)が、例えば、培養又は生理学的条件など、酵素が機能性である条件下に存在するとき、それが作動可能に連結された核酸配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモータは、それが転写を開始する核酸配列の上流又は下流に存在してよい。転写開始部位は、典型的には、RNAポリメラーゼの結合を促進、調節、増強、あるいはそれを担うタンパク質配列並びにタンパク質結合ドメイン共通配列)内又はこれらと隣接して存在する。

0032

用語「組換え体」は、人の介在により人工的又は合成的(すなわち、非天然で)改変された生物材料、例えば、核酸又はタンパク質を指す。

0033

本明細書で用いられるとき、「実質的に純粋な」は、優勢な種である(モルベースで、組成物中他の個々の種より多量である)生物材料を指す。一実施形態では、実質的に精製された画分は、生物材料が、存在する全高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を含む組成物である。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全高分子種の約80%超、又は約85%超、約90%超、約95%超、又は約99%超を含む。一実施形態において、生物材料は、ほぼ均質性(従来の検出方法によって組成物中に混入種を検出することができない)まで精製し、組成物は、ほぼ単一の高分子種を含む。

0034

用語「トランスフェクション」は、細胞への外来DNAの導入を指す。用語「トランスフェクト」及び「形質転換する」(並びに「トランスフェクトした」及び「形質転換した」などの文法上の同等語)は、置換え可能に用いられる。「安定なトランスフェクション」又は「安定にトランスフェクトした」という用語は、トランスフェクトした細胞のゲノムへの外来DNAの導入及び組込みを指す。「一過性トランスフェクション」又は「一過的にトランスフェクトした」という用語は、細胞への外来DNAの導入を指すが、この場合、外来DNAは、トランスフェクトした細胞のゲノムに組み込まれない。一過性トランスフェクションでは、外来DNAは、数日間、トランスフェクトした細胞の核内に存続することができ、その間、外来DNAは、染色体中の内在性遺伝子の発現を左右する調節制御を受ける。

0035

用語「ベクター」は、異種核酸配列を細胞に導入するのに用いることができる核酸、例えば、プラスミド、ウイルスベクター組換え核酸又はcDNAを指す。「発現ベクター」は、そこに組み込まれた核酸の発現、例えば、転写を促進することができるプラスミドなどのベクターである。典型的に、発現しようとする核酸は、プロモータ及び/又はエンハンサーに「作動可能に連結されて」、プロモータ及び/又はエンハンサーによる転写調節制御を受ける。

0036

C.microRNA
microRNA(miR、miRNA)は、天然に存在する微小な非コードRNAのクラスであり、長さが、約17〜約27ヌクレオチド、約19〜約25ヌクレオチド、又は長さが約21〜約23ヌクレオチド、約22ヌクレオチドで、哺乳動物細胞で発現される。miRNAは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)の3’非翻訳領域(UTR)中の不完全に相補的な配列と結合して、例えば、リボソーム結合、翻訳抑制、脱アデニル化を阻止するか、又はmRNA分解を誘導若しくは加速することにより、mRNAの翻訳を阻害することによって、哺乳動物における遺伝子発現を下方制御することができる(Ambros,V.(2001)microRNAs:tiny regulators with great potential.Cell 107(7):823−6;Buckingham,S.(2003)The major world of microRNAs,Horizon Symposia:Understanding the RNAissance.Nature Publishing Group,Nature,1−3;He et al.(2009)Let−7a elevates p21WAF1 levels by targeting of NIRF and suppresses the growth of A549 lung cancer cells.FEBSLetters 583:3501−3507)。miRNAは、発生タイミング、アポトーシス、分化、細胞増殖及び代謝を含む広範囲生物学的プロセスを調節し、miRNAの上方制御及び下方制御の両方が、様々な病状に関与している。miRNAは、共通のmRNA対照を含む多重遺伝子ファミリーを形成することが多い。

0037

microRNAの名称は、接頭辞「mir」又は「miR」を用いて付与され、その後にダッシュ及び番号が続く。大文字を使わない接頭辞「mir」は、一般にpre−miRNAを指し、大文字を使う接頭辞「miR」は、通常、成熟形態を指す。1つ又は2つのヌクレオチドを除いてほぼ同一の配列を有するmiRNAは、一般に、さらに小文字注記が付いている。

0038

miRNAは、pri−miRNAと呼ばれる大型RNAヘアピン前駆体として核内に転写される。pri−miRNAは、マイクロプロセッサ複合体により核内で処理されて、二本鎖中間体(pre−miRNAと呼ばれる)を産生するが、これは、長さが約70ヌクレオチドである。次に、pre−miRNAは、細胞質輸出され、そこで、細胞質タンパク質RNA複合体に取り込まれるが、これはRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる。この複合体結合単鎖miRNAは、miRNAと少なくとも一部が相補的な配列を含む標的mRNAに結合する。miRNA標的認識のために重要な特異性決定基は、miRNA:標的mRNA相互作用を核とする、標的5’UTR内、又はコード領域の1部分内で、成熟miRNA(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2〜7又は2〜8内)における「シード」領域と、mRNAの標的3’UTRにおける「シードマッチ部位」とのワトソンクリック型塩基対合に基づく。このようにして、各miRNAは、数百〜数千のmRNA種を調節することができる。さらに、多くのmiRNAは、同一のシードを含む高度に近縁ファミリーメンバーである。

0039

一実施形態では、miRNAは、哺乳動物細胞培養物中の組換えポリペプチド生産に関連して用いる。一実施形態では、組換えポリペプチドは、アポトーシス、タンパク質翻訳、細胞代謝、細胞増殖及び/又はストレス応答に関与するmiRNAについて修飾された活性を有する哺乳動物細胞を用いて生産する。一実施形態では、前記哺乳動物細胞又は細胞培養物は、アポトーシス、タンパク質翻訳、細胞代謝、細胞増殖及び/又はストレス応答に関与する特定のmiRNAの増大した活性又は発現を有する。別の実施形態では、前記哺乳動物細胞又は細胞培養物は、アポトーシス、タンパク質翻訳、細胞代謝、細胞増殖及び/又はストレス応答に関与する特定のmiRNAの低減した活性又は発現を有する。

0040

一実施形態では、哺乳動物細胞は、miRNA活性の増大又は低減のために操作する。本明細書で用いるとき、「miRNA活性」は、標的メッセンジャーRNAとの結合により、発生タイミング、アポトーシス、分化、細胞増殖及び代謝を含む広範囲の生物学的プロセスを調節するmiRNAの能力を指す。特定のmiRNAのmiRNA活性は、例えば、細胞又は細胞培養物中に存在する前記特定のmiRNAの量を増加することによって、増大することができる。例えば、細胞におけるmiRNA発現を増大するための方法は公知であり、限定はしないが、pri−miRNA又はpre−miRNAのトランスフェクション、miRNAオリゴヌクレオチドのトランスフェクションなどのmiRNA前駆体トランスフェクション、並びにウイルスベクターの使用及びトランスジェニック動物の作製など、ベクターを用いたmiRNAの過剰発現が挙げられる。例えば、特定のmiRNAのmiRNA活性は、単鎖miRNAオリゴヌクレオチド又はmiRNAオリゴヌクレオチド若しくはその前駆体をコードする発現ベクターで、細胞又は細胞培養物をトランスフェクトすることによって、増大することができる。一実施形態では、合成miRNAオリゴヌクレオチドで細胞をトランスフェクトする。ある実施形態では、合成miRNAオリゴヌクレオチドは、例えば、ヌクレアーゼ耐性を高める、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高める、及び/又は結合親和性を増大するために、1つ又は複数の化学修飾を含む。ある実施形態では、細胞によるオリゴヌクレオチドの取り込みを促進するために、miRNAオリゴヌクレオチドを標的物質と結合させることができる。一実施形態では、miR−10a[配列番号1(uacccuguagauccgaauuugug)]、miR−21[配列番号2−uagcuuaucagacugauguuga]及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAの活性を増大するように、細胞を修飾する。別の実施形態では、miR−10a、miR−21、及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAを過剰発現させるように、細胞を修飾する。一実施形態では、miR−10a、miR−21、及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAを、そのmiRNAの1つ又は複数を過剰発現させるように修飾されていない細胞株と比較して、少なくとも約10倍、25倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍及び約1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍以上過剰発現させるように細胞を修飾する。より具体的実施形態では、miR−10a及び/又はmiR−21を発現させることができるベクターで、安定的若しくは一時的に、細胞をトランスフェクトする。

0041

あるいは、特定のmiRNAのmiRNA活性は、例えば、細胞又は細胞培養物中に存在する特定のmiRNAの量を減少させることにより、阻害又は低減することができる。細胞又は細胞培養物中に存在する特定のmiRNAの量を減少させる方法としては、遺伝子ノックアウト又はmiRNA阻害剤の使用がある。一実施形態では、特定のmiRNAの活性は、特定のmiRNAをコードする内在性遺伝子がノックアウトされている(すなわち、miRNAをコードする遺伝子が置換又は破壊されている)、1つ又は複数の遺伝子操作された細胞を培養することによって低減される。遺伝子ノックアウトを作製する方法は公知である。別の実施形態では、細胞又は細胞培養物中の特定のmiRNAの活性は、miRNA阻害剤の存在下で細胞又は細胞培養物を培養することによって低減する。本明細書で用いられるとき、用語「miRNA阻害剤」は、標的遺伝子発現のmiRNA調節を抑制することができる分子、例えば、ネイティブ又は内在性miRNA活性を抑制することができる分子を指す。一実施形態では、miRNA阻害剤又はその前駆体をコードする発現ベクターで、安定的若しくは一時的に、哺乳動物細胞をトランスフェクトする。別の実施形態では、単鎖アンチセンスmiRNA阻害剤オリゴヌクレオチドで、哺乳動物細胞又は細胞培養物をトランスフェクトする。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、合成オリゴヌクレオチドは、例えば、ヌクレアーゼ耐性を高める、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を増大する、及び/又は結合親和性を増大するために、1つ又は複数の化学修飾を含む。一実施形態では、細胞によるオリゴヌクレオチドの取り込みを促進するために、miRNAオリゴヌクレオチドを標的物質と結合させることができる。

0042

一実施形態では、miRNA阻害剤は、細胞の標的mRNAと競合して、miRNAと密に結合することにより、miRNAを隔離し、その結果、miRNAの機能的阻害をもたらすことができる抗miRNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(抗miR)を含む。多くのmiRNAが、同一のシードを含む高度に近縁のファミリーのメンバーであるため、単一の抗miRは、1ファミリーの2つ以上のmiRNAの機能をブロックすることができる。一実施形態では、抗miRは、単一のアンチセンス単位を含む。別の実施形態では、抗miRは、複数のmiRNA標的を同時に抑制することができる単一オリゴヌクレオチドに組み込まれた複数のアンチセンス単位を含む。また別の実施形態では、様々なアイソタイプ又はファミリーメンバーターゲティングするように、2つ以上の抗miRを共トランスフェクトすることができる。さらに別の実施形態では、2つ以上のmicroRNAをターゲティングするように、2つ以上の抗miRを共トランスフェクトすることができる。ヌクレアーゼ耐性を高める、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を増大する、及び/又はアンチセンスオリゴヌクレオチドとmiRNAとの結合親和性を増大するための1つ又は複数の化学修飾は、公知であり、例えば、糖の修飾、塩基又はヌクレオチド間結合などが挙げられる。化学的に修飾された抗miRの一例は、2’−O−メチルリボース糖を含む単鎖阻害剤である。2’−O−メチルオリゴヌクレオチドは、RISC及び他のヌクレアーゼの両方による切断に対して耐性であり、非修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、より熱力学的に安定なRNA:RNA二重らせんを形成する。別の実施形態では、阻害剤は、複数のmiRNA標的を同時に抑制することができる単一オリゴヌクレオチドに組み込まれた複数のアンチセンス単位を有する単鎖2’−O−メチル修飾オリゴリボヌクレオチドを含んでよい。他の化学修飾は、糖部分の2’位での2’−O−メトキシエチル及び2’−フルオロ修飾を含む。別の実施形態では、抗miRは、糖−リン酸主鎖内にフラノース環の修飾(ときに「ロックド核酸と呼ばれることもある」)を含んでもよい。また、ヌクレアーゼ耐性は、リン酸基中の非架橋酸素原子の1つをイオウ原子で置換する、親ホスホジエステル結合ホスホチエート(PS)結合への主鎖修飾によって、又は糖部分を6員モルホリン環で置換するモルホリノオリゴマーを用いることによって、改善することもできる。

0043

別の実施形態では、miRNA阻害剤は、miRNA「スポンジ」技術を含んでもよく、これは、全miRNAシードファミリーを含む培養細胞におけるmiRNAの一過性及び/又は安定な阻害に用いることができる。miRNAスポンジは、哺乳動物細胞をトランスフェクトして、1つ又は複数の標的miRNAと相補的である複数(すなわち、少なくとも約5、少なくとも約10、又は約5〜約20)のmiRNA結合部位を含むmiRNAアンチセンス配列を発現させるのに用いることができる発現ベクターである。miRNAスポンジをコードするベクターを培養細胞にトランスフェクトすると、スポンジにより発現されたRNAが、特定のmicroRNAとの結合について、内在性mRNAと競合するため、microRNAmRNA標的を抑制解除することができる。一実施形態では、全microRNAシードファミリーを阻止するために、単一のスポンジを用いることができる。

0044

別の実施形態では、miRNA阻害剤は、miRNAマスキングアンチセンスオリゴヌクレオチド(miR−マスク)を含む。一実施形態では、miRNAマスキングアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的miRNAと直接相互作用するのではなく、標的mRNAの3’UTRにおける特定のmiRNAの結合部位と完全に相補的で、かつ、この部位と結合する単鎖オリゴヌクレオチド(例えば、化学的に修飾された2’−O−メチル−修飾オリゴヌクレオチド)を含む。このようにして、miR−マスクは、標的miRNAの結合部位へのアクセスを阻止することにより、標的遺伝子を抑制解除する。別の実施形態では、阻害剤は、前述した技術の組み合わせを含んでもよい。例えば、スポンジ/miR−マスク技術は、miRNAスポンジの作用の原理と、miRNAターゲティングのためのmiR−マスク技術を組み合わせる。

0045

一実施形態では、細胞は、以下:miR−let7a[配列番号3(ugagguaguagguuguauagu)]、miR−16[配列番号4(uagcagcacguaaauauuggcg)]、miR−101[配列番号5(uacaguacugugauaacugaa)]、miR−145[配列番号6(guccaguuuucccaggaaucccu)]、miR−143[配列番号7(ugagaugaagcacuguagcuc)]及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAの低減した活性を有する。一実施形態では、細胞は、以下:miR−let−7a、mir−16、miR−101、miR−145、miR−143、及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAを過少発現する。一実施形態では、細胞は、以下:miR−let−7a、mir−16、miR−101、miR−145、miR−143及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAの遺伝子ノックアウトを含む。別の実施形態では、以下:抗miR−let7a[配列番号8(ACTATACAACCTACTACCTCA)]、抗miR−16[配列番号9(CGCCAATATTTACGTGCTGCTA)]、抗miR−101[配列番号10(TTCGTTATCACAGTACTGTA)]、抗miR−145[配列番号11(AGGGATTCCTGGGAAAACTGGAC)guccaguuuucccaggaaucccu]、miR−143[配列番号12(GAGCTACAGTGCTTCATCTCA)]及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数の抗miRNA阻害剤を発現することができるベクターで、安定的又は一過的に、細胞をトランスフェクトする。miRNAの活性は、タンパク質及びRNAレベルでmiRNAの標的を調べることにより、定量することができる。例えば、構築物3’UTR中にmiRNA部位を含むGFP又はLuciferaseなどのmiRNAのリポータアッセイを使用することができる。一実施形態では、抗miR−let7a、抗miR−16、抗miR−101、抗miR−145、miR−143又はこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数の抗miRNA阻害剤は、阻害剤を発現するように修飾されていない細胞と比較して、約10倍、25倍、50倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、及び最大約1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍又はそれ以上過剰発現される。

0046

別の実施形態では、アポトーシス、タンパク質及び/又は細胞代謝の少なくとも1つの媒介因子の活性は、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する細胞培養物において増大又は低減する。一実施形態では、miR−10a、miR−21及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAの活性は、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する細胞培養物において増大し、及び/又はmir−16、miR−101、miR−145、miR−143及びこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAの活性は、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する細胞培養物において低減する。一実施形態では、miRNA−let−7aの少なくとも1つの標的の発現は、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する細胞培養物において増大する。一実施形態では、miRNA−let−7aの少なくとも1つの標的は、HMGA2、MYC、NF2、NIRF、RAB40C、及びeIF4aから選択される。mRNAの発現を測定する方法は、公知であり、例えば、PCR、RNase保護、サザンブロット、及びin situハイブリダイゼーションが挙げられる。

0047

別の実施形態では、2つ以上のmiRの発現を改変する(独立して、増大又は低減のいずれか)ことができ、例えば、複数の領域を一度に処理することによって、生産性を高めるように、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ又は最大5つのmiRNAの発現を哺乳動物細胞株内で改変することができる。一実施形態では、miRNA−let−7a活性を低減してもよく、また第2miRの活性を改変することもできる。一実施形態では、第2miRは、miR−21、miR−10a及び/又は抗miR−143を含み得る。

0048

D.ベクター
一実施形態では、組換えポリペプチドは、アポトーシス、タンパク質翻訳、細胞代謝、細胞増殖及び/又はストレス応答に関与する1つ又は複数のmiRNA又はその阻害剤を発現することができるベクターで、安定的又は一過的に、トランスフェクトした細胞を用いて生産する。本明細書で用いられるとき、用語「ベクター」は、目的の核酸を細胞の内部に送達するのに用いることができる物質の組成物を指す。多数のベクターが知られており、限定はしないが、直鎖ポリヌクレオチド、イオン性若しくは両親媒性化合物と結合したポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスが挙げられる。用語「ベクター」は、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルス、又は自律的に複製しないベクター若しくはプラスミドを含み得る。一実施形態では、ベクターは、ネイキッドRNAポリヌクレオチド、ネイキッドDNAポリヌクレオチド、ポリリシン結合DNA若しくはRNA、ペプチド結合DNA若しくはRNA、リポソーム結合DNAであってもよく、これらは、自律的に複製しない。一実施形態では、ベクターは、合成オリゴヌクレオチドである。適切な系に発現され、かつ宿主において生存可能であれば、あらゆるベクターを一過性トランスフェクションに用いてよいと考えられる。安定的トランスフェクションの場合には、ベクターは、一般に、宿主において複製可能である。多数の好適なベクターが知られており、市販されている。

0049

一実施形態では、ベクターは、プロモータに作動可能に連結した、miRNA若しくはmiRNA阻害剤、又はその前駆体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。「作動可能に連結した」というフレーズは、プロモータが、RNAポリメラーゼによる転写の開始及びポリヌクレオチドの発現を制御する上で、ポリヌクレオチドに関して正しい位置及び配向にあることを意味する。本明細書で用いるとき、用語「調節配列」は、調節配列と作動可能に連結した核酸配列の発現のある側面を制御する核酸配列を指す。あるケースでは、調節配列は、プロモータ(すなわち、作動可能に連結したコード領域の転写の開始を促進する調節配列)であってよく、別のケースでは、調節配列は、エンハンサー配列及び/又は他の調節エレメント、例えば、リボソーム結合部位スプライシングシグナルポリアデニル化シグナル、転写終結配列及び/又は5’フランキング転写配列を含み得る。ベクターに使用するプロモータは、構成的又は誘導的のいずれであってもよい。「構成的」プロモータは、遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結されると、細胞のほとんどの又はあらゆる生理学的条件下で(すなわち、特別な刺激は必要ない)、遺伝子産物を細胞内に産生させる。「誘導的」プロモータは、刺激(例えば、熱ショック化学物質、光など)の存在下で、作動可能に連結したポリヌクレオチドの転写のレベルを指令することができるプロモータであり、このレベルは、前記刺激の非存在下で、作動可能に連結したポリヌクレオチド配列の転写のレベルとは異なる。転写エレメントは、「内在性」又は「外性」若しくは「異種」であってよい。「内在性」転写エレメントは、特定の核酸配列に天然に連結したものである。「外性」又は「異種」調節エレメントは、核酸配列の転写が、連結した調節エレメントによって指令されるように、遺伝子操作により核酸配列と並列して配置されるものである。

0050

好適なプロモータの例として、哺乳動物細胞において遺伝子の発現を制御することがわかっているプロモータがあり、限定はしないが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモータ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−TK)プロモータ、シミアンウイルス40SV40)プロモータ若しくはラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモータなどのウイルスプロモータ、pMC1、ホスホグリセリン酸キナーゼPGK)プロモータ、U1プロモータ、及びH6プロモータが挙げられる。

0051

1つ又は複数のmiRNA又はmiRNA阻害剤をコードする以外に、ベクターは、選択マーカ遺伝子、リポータ遺伝子、又は目的の組換えポリペプチドをコードする遺伝子も含んでよい。さらに、安定的トランスフェクションに用いられる発現ベクターは、宿主細胞ゲノムへの安定的組込みのために1つ又は複数の部位を含んでもよい。

0052

一実施形態では、発現ベクターは、in vitroでベクターの送達及び作用持続時間を評価するために、1つ又は複数の選択マーカ又はリポータ遺伝子を含む。用語「選択マーカ」は、選択マーカが発現される細胞に関して、抗生物質又は他の薬剤に耐性を付与する活性を有する酵素をコードする遺伝子を指す。選択マーカの例としては、限定はしないが、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼブレオマイシンシトシンデアミナーゼジヒドロ葉酸レダクターゼヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、ヒグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ、プロマイシン−N−アセチルトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼアンピシリンネオマイシンカナマイシン、ゼオシン、及びカルベニシリンが挙げられる。

0053

用語「リポータ遺伝子」は、発現が容易に検出されるタンパク質(例えば、ルミネセンス又はフルオレセンス)をコードする遺伝子を指す。リポータ遺伝子の例としては、限定はしないが、緑色蛍光タンパク質ルシフェラーゼクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼβ−ガラクトシダーゼアルカリホスファターゼホースラディッシュペルオキシダーゼ、RFP、YFP、及びBFPが挙げられる。一実施形態では、発現ベクターは、ウイルスベクターであり、限定はしないが、アデノウイルスベクターアデノ随伴ウイルスベクターレンチウイルスベクター若しくはモロニーマウス白血病ウイルスなどのレトロウイルスベクター、並びにポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスIに由来するベクターが挙げられる。好適なベクターの例として、限定はしないが、下記の真核ベクター:pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、PXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)、及びpCS2並びにその誘導体が挙げられる。

0054

一実施形態では、組換えポリペプチドは、miR−10a、miR−21及びその前駆体又はこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のmiRNAを発現することができる1つ又は複数のベクターで、安定的又は一過的に、トランスフェクトされた哺乳動物細胞を用いて生産する。より具体的実施形態では、組換えポリペプチドは、抗miR−let7a、抗miR−16、抗miR−101、抗miR−145、抗miR−143及びその前駆体又はこれらの組み合わせから選択される1つ又は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現することができる1つ又は複数のベクターで、安定的又は一過的に、トランスフェクトされた哺乳動物細胞を用いて生産する。一実施形態では、哺乳動物細胞は、少なくとも1つのmiRNAと、少なくとも1つのmiRNA阻害剤とを発現することができる1つ又は複数のベクターで、安定的又は一過的に、トランスフェクトされている。また別の実施形態では、哺乳動物細胞は、目的の組換えポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドと組み合わせて、少なくとも1つのmiRNA及び/又は少なくとも1つのmiRNA阻害剤を発現することができる1つ又は複数のベクターで、安定的又は一過的に、トランスフェクトされている。

0055

E.トランスフェクション
本明細書に記載するベクターは、当分野では公知の方法を用いて、哺乳動物宿主細胞に導入することができる。用語「トランスフェクション」は、遺伝子改変された細胞を生産するために、外性遺伝物質を細胞に導入することを指す。例えば、物理的、化学的又は生物学的手段により、ベクターを宿主細胞に導入することができる。宿主細胞にポリペプチドを導入するための物理的方法としては、限定はしないが、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(陽荷電リポソーム媒介トランスフェクション)、パーティクルガン法、マイクロインジェクションDEAEデキストリン媒介トランスフェクション及びエレクトロポレーションなどがある。宿主細胞にベクターを導入するための生物学的方法には、例えば、ウイルスベクターなどのDNA及びRNAベクターの使用がある。宿主細胞にポリヌクレオチドを導入するための化学的方法としては、例えば、高分子複合体ナノカプセルミクロスフィアビーズなどのコロイド分散系、並びに水中油型乳剤ミセル混合ミセル、及びリポソームなどの液体ベース系が挙げられる。

0056

一実施形態では、宿主細胞は、ベクターで安定的にトランスフェクトすることができる。用語「安定的トランスフェクション」は、ベクター中のヌクレオチド配列が、哺乳動物細胞の完全なDNA配列に組み込まれ得ることを意味する。典型的には、安定的トランスフェクションの場合、選択マーカを含むベクターで宿主細胞をトランスフェクトする。一実施形態では、選択マーカは、miRNA若しくはmiRNA阻害剤又はその前駆体と同じベクター上に共発現させる。別の実施形態では、選択マーカは、個別の共トランスフェクトしたベクター上に発現させる。選択物質の存在下でのトランスフェクト細胞の増殖によって、外性遺伝物質がゲノムに組み込まれた細胞の亜集団の存続が可能になる。典型的には、選択圧力を少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、及び最大約3週間又は最大約1ヵ月間維持する。選択期間の終了時に、選択培地中で生存可能な細胞は、発現プラスミドから外性遺伝物質を組み込んでいるはずである。外性遺伝物質の組込みは、リポータの存在により確認することができ、細胞は、大規模培養のために増殖させることができる。

0057

別の実施形態では、宿主細胞は、ベクターで一過的にトランスフェクトすることができる。安定的トランスフェクションとは対照的に、一過的にトランスフェクトした遺伝物質は、トランスフェクトした細胞に、限定された期間の間だけ発現され、宿主細胞のゲノムに組み込まれない。一般に、一過性トランスフェクションは、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、及び最大約96時間の間、miRNA、抗miRNA阻害剤又はその前駆体の発現をもたらす。

0058

F.細胞培養
用語「細胞培養」は、多細胞生物又は組織外部での細胞の生育及び増殖を指す。細胞培養の増殖及び/又は生産性を改善するように、pH、温度、湿度雰囲気及び撹拌などの細胞培養条件を変更することができる。一般に、哺乳動物細胞培養物は、pHが約6.5〜約7.5、温度が約36℃〜約38℃、典型的には約37℃、そして相対湿度が約80%〜約95%で維持する。哺乳動物細胞培地は、一般に、約1%〜約10%、典型的には約5%〜約6%の二酸化炭素(CO2)雰囲気を必要とする緩衝系を含有する。哺乳動物細胞は、懸濁させて、又は固体基質に結合させて培養することができる。哺乳動物細胞は小規模培養が可能であり、例えば、実験室内で、一般に、容器内積が、容器総容積の40%以下、通常約25%である、100ml容器又は250ml容器中で培養することができる。あるいは、培養は、例えば、1000ml容器3000ml、8000ml容器、及び15000ml容器、又は例えば、製造施設において、最大1000mL、最大5000L及び最大10,000Lの容積の大型バイオリアクターを用いた大規模でも可能である。哺乳動物細胞による組換えポリペプチドの大規模生産は、連続、バッチ及びフェドバッチ培養系を含み得る。哺乳動物細胞は、例えば、マイクロキャリアを用いて、又は用いずに、流動層バイオリアクター中空糸型バイオリアクター、ローラボトル振盪フラスコ、又は撹拌タンクバイオリアクター内で培養することができ、バッチ、フェドバッチ、連続、半連続、又は潅流モードで実施してよい。大規模細胞培養は、典型的に、細胞が目的のタンパク質産物を産生する数日、又は数週間にわたって維持する。

0059

単相及び多相培養プロセスの両方で組換えポリペプチドの生産を改善するために、本明細書に記載する方法を用いてもよい。一実施形態では、細胞培養は、多相プロセスであり、この場合、細胞を初めに、細胞増殖及び生存能を最大化する環境条件下で、増殖相において培養し、次に、ポリペプチド産生を最大化する条件下で、産生相に移行する。増殖及び産生相は、1つ又は複数の移行相先行してもよいし、あるいは、移行相によって隔てられてもよい。一実施形態では、細胞培養は、少なくとも1つの増殖相と少なくとも1つの産生相を有する多相プロセスである。一実施形態では、細胞培養は、増殖相において、産生相より高い温度でインキュベートする。例えば、増殖相において、約35℃〜約38℃の第1温度で培養した後、産生期において、約29℃〜約37℃、又は約30℃〜約36℃、又は約30℃〜約34℃の第2温度で培養することができる。さらに、産生相において、例えば、カフェイン酪酸塩、及びヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)などのタンパク質産生の化学誘導物質を添加してもよい。一実施形態では、産生相において、miRNA若しくはmiRNA阻害剤の活性を増大又は低減する。一実施形態では、産生相において、miRNA若しくはmiRNA阻害剤又はそれらの前駆体をコードする発現ベクターの転写を誘導する。別の実施形態では、産生相において、miRNA若しくはmiRNAベクター又はオリゴヌクレオチド、又はそれらの阻害剤若しくは前駆体を培地に添加する。

0060

哺乳動物細胞(「宿主細胞」とも呼ばれる)は、例えば、商業又は科学的目的のポリペプチドなどの組換えポリペプチドを発現するように、遺伝子改変することができる。細胞株の遺伝子改変は、一般に、組換えポリペプチド分子で細胞をトランスフェクトする、形質転換するか、若しくは形質導入すること、及び/又は、そうでなければ、宿主細胞に目的の組換えポリペプチドを発現させるように改変すること(例えば、相同組換え及び遺伝子活性化又は組換え細胞と非組換えポリペプチドとの融合により)を含む。ポリペプチドを発現させるために細胞及び/又は細胞株を遺伝子改変する方法並びにベクターは公知である。組換えポリペプチドの生産に好適な哺乳動物の例としては、限定はしないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウス骨髄腫(NS0)、ヒト胎児由来腎臓(HEK293)、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、ベロ(Vero)細胞、HeLa細胞、メイディン・ダービー・イヌ腎(MDCK)細胞、CV1サル腎細胞、3T3細胞、NS0及びNS1などの骨髄腫細胞株、PC12、WI38細胞、COS細胞(COS−1及びCOS−7など)、並びにC127が挙げられる。一実施形態では、哺乳動物細胞株は、増大若しくは低減したレベルの1つ又は複数のmiRNAを発現させる。一実施形態では、より詳細に既述したように、異種miRNA若しくは抗miRNA阻害剤で、安定的又は一過的に、哺乳動物細胞をトランスフェクトする。より具体的実施形態では、細胞培養物中の哺乳動物細胞は、低減したmiRNA−let−7a活性を有する。一実施形態では、抗miRNA−let−7a阻害剤で哺乳動物細胞をトランスフェクトする。

0061

哺乳動物細胞は、様々な細胞培地に維持することができる。用語「細胞培地」は、例えば、哺乳動物細胞などの細胞を増殖させる栄養液を指す。細胞培地製剤は、当分野ではよく知られている。典型的には、細胞培地は、バッファー、塩、炭水化物アミノ酸ビタミン及び必須微量元素を含む。細胞培地は、血清ペプトン、及び/又はタンパク質を含有しても、しなくてもよい。培養しようとする細胞の要件及び/又は要望される細胞培養パラメータに応じて、アミノ酸、塩、糖、ビタミン、ホルモン増殖因子、バッファー、抗生物質、脂質、微量元素などの成分を追加又は濃度を増加して、細胞培地を補充してもよい。無血清及び規定培地などの様々な培地は、市販されており、限定はしないが、以下のものが挙げられる:Minimal Essential Medium(MEM,Sigma,St.Louis,Mo.);Ham’s F10 Medium(Sigma);Dulbecco’s Modified Eagles Medium(DMEM,Sigma);Minimal Essential Medium(MEM);Basal Medium Eagle(BME);RPMI−1640 Medium(Sigma);HyClone cell culture medium(HyClone,Logan,Utah);及び特定の細胞型のために製剤化される合成(CD)培地、例えば、CDR−CHO Medium(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)。前述したものなどの補助成分又は材料を市販の培地に添加することができる。一実施形態では、細胞培地は、miRNA若しくはmiRNA阻害剤オリゴヌクレオチド又はその前駆体、あるいはmiRNA若しくはmiRNA阻害剤又はその前駆体をコードする発現ベクターを含み得る。

0062

哺乳動物細胞培養物により発現される組換えポリペプチドは、細胞内に産生させてもよいし、又は培地中に分泌させてもよく、この培地から前記ポリペプチドを回収及び/又は収集することができる。さらに、組換えポリペプチドは、公知のプロセス及び販売業者から入手可能な製品を用いて、精製、又は部分精製することができる。精製したポリペプチドは、続いて、「製剤化」、例えば、バッファー交換滅菌バルパッケージし、及び/又は最終ユーザ用にパッケージすることができる。

0063

細胞培養物の生産特性は、生存細胞密度(VCD)、抗体力価、並びに比生産性(Qp)、累積生産性及びピークVCDで評価される最大生産性などの生産性を測定することによって決定することができる。

0064

一実施形態では、細胞培養物は、抑制されたmiRNA−let−7a活性を有する哺乳動物細胞を含む。一実施形態では、miRNA−let−7a活性は、microRNA阻害剤によって抑制される。一実施形態では、microRNA阻害剤は、miRNA−let−7aのアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤である。一実施形態では、哺乳動物細胞は、miRNA−let−7aのアンチセンス阻害剤をコードする複製可能な発現ベクターでトランスフェクトする。別の実施形態では、哺乳動物細胞は、miRNA−let−7aのオリゴヌクレオチド阻害剤でトランスフェクトする。一実施形態では、オリゴヌクレオチド阻害剤は、例えば、ヌクレアーゼ耐性を改善し、RISCによるmiRNA特異的切断に対する耐性を高め、及び/又は結合親和性を増大するように、化学的に修飾されている。一実施形態では、抑制されたmiRNA−let−7aを有する哺乳動物細胞は、miRNA−let−7a遺伝子ノックアウトを含む。

0065

一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大した生産性を有する。本明細書で用いるとき、用語「生産性」は、規定された期間にわたって細胞培養物により産生される組換えポリペプチドの濃度を指す。生産性は、力価、生存細胞密度(VCD)、及び生存率(%)に基づいて評価することができる。力価、VCD、及び生存率(%)を測定する方法は公知である。一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び最大約100%;約25〜約100%;約50〜約75%増大した比生産性を有する。

0066

一実施形態では、生産性は、比生産性を指す(Yoon et al.,(2006)Biphasic culture strategy for enhancing volumetric erythropoietin productivity of Chinese hamster ovary cells.Enzyme and Microbial Technology 39:362−365;Baumann et al.,(2008)Hypoxic fed−batch cultivation of Pichia pastoris increases specific and volumetric productivity of recombinant proteins.Biotechnology and Bioengineering 100(1):177−183;Brezinsky et al.,(2003)A simple method for enriching populations of transfected CHO cells for cells of higher specific productivity.Journal of Immunological Methods277:141−155;Fox et al.,(2003)Maximizing Interferon−γ production by Chinese hamster ovary cells through temperature shift optimization:experimental and modeling.Biotechnology and Bioengineering 85(2):177−184;Wurm,(2004)Production of recombinant protein therapeutics in cultivated mammalian cells.Nature Biotechnology 22(11):1393−1398;Browne and Al−Rubeai,(2009 Selection methods for high−producing mammalian cell lines.In:Al−Rubeai M,editor.Cell Line Development,Series:Cell Engineering 6,Springer Science+Business Media B.V.P.127−151)。本明細書で用いるとき、用語「比生産性」は、毎日培養中の生存細胞1個当たり産生される組換えタンパク質を指し、累積生存細胞密度の全体に対する産物濃度(力価)の傾き(mg/L/CCD)として計算することができる。一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び最大約100%;約25〜約100%;約50〜約75%増大した比生産性を有する。

0067

一実施形態では、生産性は、ピーク生存細胞密度(VCD)で決定される「最大生産性」を指す。本明細書で用いるとき、用語「最大生産性」は、培養物がその最大VCDにあるときの生産性のレベルを指し、前時点と比較した最大VCDでの力価の差を、最大時点と前時点とのVCDの差で割り、時点1から時点2までの培養日数掛け初期VCDに対する最終VCDの自然対数で割ったものとして計算される。一実施形態では、最大生産性は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%増大する。一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%若しくは200%又は約25%〜約200%増大した最大生産性を有する。

0068

一実施形態では、生産性は、累積生産性を指す。本明細書で用いるとき、用語「累積生産性」は、全増殖サイクルを通した比生産性を指し、累積生存細胞密度の全体に対する産物濃度(力価)の傾き(mg/L/CCD)として計算することができる(Renard et al.,(1988)Evidence that monoclonal antibody production kinetics is related to the integral of the viable cells curve in batch systems.Biotechnology Letters 10(2):91−96;Yoon et al.,(2006)Biphasic culture strategy for enhancing volumetric erythropoietin productivity of Chinese hamster ovary cells.Enzyme and Microbial Technology 39:362−365;Li et al.,(2010)Cell culture processes for monoclonal antibody production.mAbs2(5)466−477;Brezinsky et al.,(2003)A simple method for enriching populations of transfected CHO cells for cells of higher specific productivity.Journal of Immunological Methods277:141−155;Fox et al.,(2003)Maximizing Interferon−γ production by Chinese hamster ovary cells through temperature shift optimization:experimental and modeling.Biotechnology and Bioengineering 85(2):177−184)。一実施形態では、細胞培養物は、miRNA−let−7a活性が抑制されていない対照細胞培養物と比較して、少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%及び最大約100%;約25〜約100%;約50〜約75%増大した累積生産性を有する。

0069

一実施形態では、生産性は、培養物の比生産性、すなわち、対照細胞培養物中の組換えポリペプチドの力価と比較して、全培養物における細胞1個当たりの組換えポリペプチドの力価を指す。

0070

G.組換えポリペプチド
用語「組換えポリペプチド」は、本明細書で用いられるとき、培養した宿主細胞により産生される遺伝子改変ポリペプチド又はタンパク質を指す。本明細書で用いるとき、用語「異種」は、当該ポリペプチドを正常に発現しない宿主細胞により産生される組換えポリペプチドを指す。しかし、異種ポリペプチドは、生物に対してネイティブであるが、何らかの方法で意図的に改変されたポリペプチドも含み得る。例えば、異種ポリペプチドは、ポリペプチドを発現するベクターでトランスフェクトした宿主細胞により発現されるポリペプチドを含み得る。

0071

一実施形態では、ポリペプチドは、抗体又はその結合断片である。抗体は、オリゴクローナル、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ラクダ化、CDRグラフト、多重特異性、二重特異性、触媒、ヒト化、完全ヒト、抗イディオタイプ、及び可溶性又は結合形態で標識することができる抗体、並びにエピトープ結合断片などの断片、これらの変異体若しくは誘導体であってよく、単独でも、他のアミノ酸配列と組み合わせてもよい。抗体は、任意の種に由来するものでよい。抗体という用語はさらに、限定はしないが、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2単鎖抗体(svFC)、二量体可変領域(ダイアボディ)及びジスルフィド結合可変領域(dsFv)などの結合断片も包含する。免疫グロブリン分子は、いずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスであってもよい。

0072

別の実施形態では、組換えポリペプチドは、非抗体タンパク質である。非抗体タンパク質の例として、限定はしないが、融合タンパク質、受容体、細胞表面タンパク質のリガンド、分泌タンパク質、及び酵素が挙げられる。

0073

H.キット
miRNA若しくはmiRNA阻害剤オリゴヌクレオチド又は発現ベクター並びに、バッファー、細胞及び培地などの追加成分はいずれも、キットの形態でパッケージすることができる。典型的に、キットは、本発明の方法を実施するための指示書パッケージング材、及び容器などの用具も含む。一実施形態では、キットは、前文で詳述したように、miRNA遺伝子産物又はmiRNA阻害剤をコードする少なくとも1つの発現ベクターを含む。一実施形態では、発現ベクターは、in vitro転写又は転写/翻訳系に用いることもできるし、あるいは、一過的又は安定的に細胞をトランスフェクトするのに用いることもできる。別の実施形態では、キットは、少なくとも2つの発現ベクターを含み、その一方は、miRNA遺伝子産物又はmiRNA阻害剤をコードし、他方は、選択マーカ、リポータ遺伝子若しくは組換えポリペプチドをコードする。

0074

I.参照による組み込み
特許、特許出願、論文テキストなど、及びそれらに引用される参照文献を含む、本明細書に引用される参照文献は全て、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。

0075

J.同等物
以上記載した明細書は、当業者が本発明を実施できるようにするのに十分であると考えられる。以上の記載内容及び実施例によって、本発明の好ましい実施形態が詳細に示されると共に、本発明者らにより考慮される最良の様式が説明される。しかし、以上の記載内容がいかに詳細に文面で示され得るとしても、本発明は、様々な方法で実施することができ、本発明は、添付の請求の範囲及びその同等物に従って解釈すべきであることは理解されよう。

0076

6.実施例
改変されたmicroRNA発現が、哺乳動物細胞生産性を改善する能力を調べるために、2つの抗体産生CHO細胞株を、細胞増殖、ストレス応答、アポトーシス、及びmRNA転写などの組換えポリペプチドに関与する経路におけるmicroRNAの潜在的関与に基づき、9つの異なるmicroRNA又は抗センスmicroRNA阻害剤をコードするレンチウイルスベクターで安定的に形質導入した(表1)。

0077

A.材料及び方法
細胞培養及び形質導入
様々なモノクローナル抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(懸濁細胞株)を、50uM L−メチオニンスルホキシミン(MSX;Sigma Aldrich,St.Louis,MO)及び0.5×GS Supplement(SAFCBiosciences,Lenexa,KS)で補充したCD CHO培地(Life Technologies,Carlsbad,CA)中で増殖させた。振盪フラスコ培養物を120RPM、37℃、6%CO2及び80%湿度で維持した。miR−10a、miR−21を過剰発現するレンチウイルスベクター又はベクター対照(Open Biosystems,Huntsville,AL)、又は抗miR−let7a、−16、−101若しくは−145又はベクター対照(System Biosciences,Mountain View,CA)を用い、2〜20のMOIで、250,000個の細胞を形質導入した。形質導入した細胞を増殖させ、5ug/mLのピューロマイシン(Puromycin)を用いて2〜3週間にわたり選択した。緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)ベクター成分(それぞれ、抗miR又はmiRベクターに由来)を使用して、蛍光活性細胞選別(FACS)により細胞を収集し、フェドバッチ細胞培養のために増殖させた。形質導入効率は100%に近かった(図11A)。マーカ遺伝子発現をモニターし、これらの修飾された細胞系の使用全体を通して確認し、定量RT−PCRから、得られた安定的形質導入細胞株におけるmiR及び抗miR両方の高レベルの発現が明らかにされた(表2)。

0078

フェドバッチアッセイを125mL振盪フラスコで、3回反復して実施した。前述の補助物質を含む25mLのCD CHO培地に細胞を接種した。安定したmiR修飾CHO細胞株の作製後、生存細胞密度(VCD)(表3)、mAb力価(表4)及び改変miRNA発現から得られたQp(図1〜4)について、14日間2日毎に細胞をモニターした。ViCELLCell Viability Analyzer(Beckman Coulter,Indianapolis,IN)を用いて、生存細胞密度(VCD)、生存率(%V)及び細胞サイズをモニターした。Octetシステム(forteBIO/Pall Life Sciences,Menlo Park,CA)を用いて、抗体力価を測定した。累積Qpは、累積生存細胞密度の全体に対する産物濃度(力価)の傾き(mg/L/CCD)として計算した(Renard et al.,(1988)Evidence that monoclonal antibody production kinetics is related to the integral of the viable cells curve in batch systems.Biotechnology Letters 10(2):91−96;Yoon et al.,(2006)Biphasic culture strategy for enhancing volumetric erythropoietin productivity of Chinese hamster ovary cells.Enzyme and Microbial Technology 39:362−365;Li et al.,(2010)Cell culture processes for monoclonal antibody production.mAbs2(5)466−477;Brezinsky et al.,(2003)A simple method for enriching populations of transfected CHO cells for cells of higher specific productivity.Journal of Immunological Methods277:141−155;Fox et al.,(2003)Maximizing Interferon−γ production by Chinese hamster ovary cells through temperature shift optimization:experimental and modeling.Biotechnology and Bioengineering 85(2):177−184)。最大QPは、前時点と比較した最大VCDでの力価の差を、最大時点と前時点とのVCDの差で割り、時点1から時点2までの培養日数を掛け、初期VCDに対する最終VCDの自然対数で割ったものとして計算される。力価、累積QP及び最大QPは全て、ベースラインと比較した相対単位として表示される。

0079

RNA抽出及びリアルタイムPCR分析
miRVana miRNA Isolation Kit(Life Technologies)を用いて、製造者の指示に従い、0.5〜5×106細胞から全RNAを抽出した。Nanodrop分析により濃度を決定し、RNA 6000 Nano LabChipを用いて、Agilent 2100 BioanalyzerでRNAの質を評価した。過剰発現したmiRNAのTaqMan分析のために、 MultiscribeRT及びMegaplex RTプライマープール(Life Technologies)を用いて、製造者の指示に従い、100〜300ngの全RNAをcDNAに逆転写した。12.5μLの2×TaqMan PreAmp Master Mix、2.5μLの10×Megaplex PreAmpプライマー、7.5μLのH2O及び2.5μLのRT産物を含有する反応物中の、TaqMan PreAmp Master Mix及びMegaplex preampプライマープール(Life Technologies)を用いて、得られたcDNAを前増幅した。サイクリング後、増幅したサンプルをDNA Suspension Buffer(TEKnova,Hollister,CA)で1:4希釈した後、−20℃で保持するか、又は直ちにPCRに用いた。miR−10a及びmiR−21に特異的なTaqManアッセイ(ABI/Life Technologies,Carlsbad CA)を用いて、前増幅した物質のリアルタイムPCRを実施した。各miRNAの発現をU6 snRNAと比較して評価した。

0080

48×48ダイナミックアレイチップ(Fluidigm,South San Francisco,CA)にロードするサンプルを用意するために、反応ミックスは、2.5μLの2×Universal Master Mix(ABI/Life Technologies)、0.25μLのSampleLoading Buffer(Fluidigm)、及び2.25μLの前増幅cDNAを含有した。プライマー/プローブを用意するために、反応ミックスは、2.5μLの20×TaqMan Gene Expression Assay及び2.5μLのAssay Loading Buffer(Fluidigm)を含有した。サンプルとアッセイ試薬注入口にロードする前に、チップをIFC Controllerでプライミングした。記載したように用意した5マイクロリットルのサンプルを、ダイナミックアレイチップの各サンプル注入口にロードし、5μLの10×遺伝子発現アッセイミックスを各検出器注入口にロードした。IFCプライミング及びロード/混合ステップの完了後に、チップを、熱サイクリングのためにBioMark(商標)Real−TimePCRSystemにロードした。

0081

QuantiMiR(商標)RTキット(System Biosciences)を製造者の指示に従い用いて、抗miR発現を評価した。miR特異的フォワードプライマー及びユニバーサルリバースプライマー(System Biosciences)を用いたSYBR Green Real TimePCRのために、反応物をDNA Suspension Buffer(TEKnova)で1:10希釈した。定量PCR反応物は、1μLの希釈QuantiMircDNA、0.5μLの10uMユニバーサルリバースプライマー、1μLの10μM miRNA特異的フォワードプライマー、15μLの2×SYBR Green qPCR Mastermixバッファー及び12.5μLのRNaseフリーのH2Oを含有した。Applied Biosystems 7900リアルタイムPCR装置で熱サイクリングを実施した。増幅反応特異性を確認するために、ランの終了時に融解分析が含まれた。内部対照としてU6 snRNAを用いた。

0082

miR−let7amRNA標的の発現分析のために、SuperScript(登録商標)III First−Strand Synthesis SuperMix(Life Technologies)及びランダム六量体を製造者の指示に従い用いて、500ngの抽出された全RNAからcDNAを合成した。TaqMan Gene Expression Assays及びTaqMan PreAmp Master Mixを用いて、前増幅を実施した。反応物は、5μLのcDNA、10μLのPreAmp Master Mix及び5μLの0.2×遺伝子発現アッセイミックス(アッセイしようとする全てのプライマー/プローブから成る)を最終体積20μLで含有した。前増幅したcDNAを、過剰発現したmiRについて、前述のように、目的の標的遺伝子専用のTaqMan Gene Expression Assays及びBioMark(商標)装置(Fluidigm)を用いたTaqMan Universal Master Mix(Life Technologies)と共に、Real−TimePCRによりアッセイした。内部対照としてβ−アクチン及びGAPDHを使用し、デルタ−デルタCt方法を用いてデータを評価した。

0083

ウェスタンブロッティング
標的タンパク質改変は、miRNA修飾を含む、又は含まない溶解培養物のウェスタン分析により評価した。抗体産生CHO培養物の細胞溶解物RIPA Lysis、並びにHALTプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Pierce)を含むExtraction Buffer(Pierce)中で調製した。15マイクログラムの細胞溶解物を、還元条件下、1×MOPSランニングバッファー(Life Technologies)中の4〜12%NuPageゲル(Life Technologies)上で分離した後、PVDF膜(Life Technologies)に移した。膜をProtein−Free T20(PBS)Blocking Buffer(Thermo Scientific Pierce,Rockford,IL)中で1時間ブロックした後、1:500希釈のウサギ抗RAS(Cell Signaling,Danvers,MA)又は1:333希釈のマウス抗GAPDH(abcam,Cambridge,UK)一次抗体一緒に、4℃で一晩インキュベートした。ブロットを、PBST 0.1%+0.02%SDS中の蛍光標識二次抗体、すなわちRAS及びGAPDHのそれぞれについて、抗ウサギ800CW(LI−COR,Lincoln,NE)及び抗マウス680LT(LI−COR)において、室温で30分インキュベートした。Odyssey Imaging System(LI−COR)及びOdysseyソフトウエア(LI−COR)を用いて、蛍光シグナル及びバンド強度捕捉し、定量した。

0084

抗体忠実度完全性
miR又は抗miR修飾株由来の抗体を生産し、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製した。Agilent Zorbax Poroshell SB300 C3 75×1.0mmカラムを備えるAgilent1200シリーズ装置を用いて、逆相分離を実施した。2μgのタンパク質サンプルを還元し、カラムに注入した。カラムを90%溶媒A(H2O中の0.1%ギ酸)及び10%溶媒B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)で平衡化し、10〜60%Bの段階勾配により溶離を達成した。流速及び温度は、ラン全体を通して0.4ml/分及び35℃に維持した。

0085

Agilent 6520 LC/MS QTOF質量分析計(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)において300〜3000m/zのスキャン範囲を用い、陽イオンモード質量分析を実施した。LCとTOFとのカップリングは、デュアルネブライザー(1つのネブライザーは、LC溶出剤用で、1つのネブライザーは、内部標準質量化合物用(m/z 322.0481及びm/z 1221.9906))を用いたエレクトロスプレーイオン化(ESI)により行った。ESI質量スペクトルは、自動逆重畳積分デコンボリューション)及びタンパク質確認のために、Bioconfirmを備えるAgilent MassHunter Qualitative Analysisを用いて実施した。

0086

B.結果
抗miR−let−7aはCHO細胞生産性を増大する
miR−10a、抗miR−let−7a及び抗miR−143は、最高レベルの累積Qpを示し、対照株と比較して、それぞれ63%、71%及び53%の生産率増加を有する(図1)。累積Qpに加えて、これらのmiR修飾細胞株のそれぞれについて、各ピークVCDで計算した最大Qpも評価した。結果は、親/対照株と比較して、miR−10a、抗miR−let−7a及び抗miR−143の場合、それぞれ38%、163%及び64%の増加を示した(図2)。別のmiR修飾CHO細胞株は、有意な変化を示さないか、又は親/対照培養物と比較して、Qpの低下を示すかのいずれかであった。

0087

組換えポリペプチド力価及びVCDは、Qpの成分であるため、各miR修飾細胞株についてこれらのパラメータの変化を調べた。miR−10a、抗miR−143及び抗miR−let−7aは、対照と比較して増大したQpを示したが、それらの力価の相対的増加は、親又は対照細胞株に認められたものと同等である(図3)。さらに、抗miR−let−7aを産生する修飾CHO細胞が達した最大VCDは、親又は対照細胞株の半分に過ぎない(図4)。miR−10a及び抗miR−143修飾株は、第10日で、抗miR−let−7aより高いレベルでVCDのピークに達したが、それらの増殖は、第12日から第14日まで実質的に低下しているのに対し、抗miR−let−7aは、第14日まで比較的一定レベルに維持している。低減した細胞密度での増殖は、培養物の増殖よりもむしろ組換えポリペプチド合成に向けた細胞エネルギーの好ましい再方向付けを示すと考えられる(Browne and Al−Rubeai,(2009)Selection methodsfor high−producing mammalian cell lines.In:Al−Rubeai M,editor Cell Line Development,Series:Cell Engineering 6,Springer Science+Business Media B.V.p.127−151)。以上をまとめると、miR−let−7aの阻害によって、Qpの最も優れた増大がもたらされ、これは、評価した全てのmiR−修飾株の最長の増殖プロフィールを有する。

0088

別のmAb産生CHO細胞株でも阻害は一致した
CHO増殖及び生産性に対する抗miR−let−7aの作用が、初め試験したプロデューサ細胞株に特異的であるのか否か、又はこの作用を他の生産培養物にも一般化することができるのか否かを決定するために、より高い生産能を有し、異なるmAbを産生する別のCHO細胞株を選択した。試験した2つのmAb産生細胞株の結果は、抗miR−let−7a細胞株が、対照と比較して、経時的に同等若しくは低減したVCDを維持すると共に、同様の最終mAb力価を有し(図5及び6)、対照と比較して50%、及び68%のQp増大をもたらした点で、互いに類似していた(図7)。miR又は抗miR修飾株由来の2μgの精製抗体を還元した後、忠実度及び完全性において親株との同等性について、逆相LC/MSにより評価した。逆相LC/MSによって、抗miR修飾細胞株由来のmAb産物が、忠実度及び完全性において親株と同等であることがさらに確認された(図12A及びB)。興味深いことに、親細胞株の初期mAb産生能力と、抗miR−let−7aの導入時のQpの増加率との間に逆相関が観察された(図7)。具体的には、第2細胞株は、第1細胞株と比較して、1.6倍増大した生産能を示し、これが、より低いQpの増大(約1.4倍)に変わったが、このことは、miR修飾が、一般に、組換えポリペプチド生産に対しプラスに作用し得るが、低産生細胞株に対しては、より大きな利益を与え得ることを示唆している。

0089

CHO細胞生産性に重要な抗miR−let−7a増大標的
miR−let−7a阻害の機能的作用を理解するために、予測及び確証されたmiR−let−7aの複数の標的を調べたが、これらの標的は、無数の細胞型及び疾患背景において、増殖、ストレス耐性、及びタンパク質翻訳など多数の経路を調節することが明らかにされている(De Vito et al.,(2011)Let−7a is directEWSFLI−1 target implicated in Ewing’s Sarcoma development.PLoS ONE 6(8):1−11、Sampson et al.,(2007)MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.Cancer Res 67(20):9762−9770;Johnson et al.,(2005)RASis regulated by the let−7 microRNA family.Cell 120:635−647;Mathonnet et al.,(2007)MicroRNA inhibition of translation initiation in vitro by targeting the cap−binding complex eIF4F.Science 317(5845):1764−7)。

0090

CHO細胞におけるmiR−let−7aの具体的作用は、これまで研究されてこなかったため、生産培養物に特に関連性があると考えられる経路に関与する1群の潜在的標的を選択した。このmiR−let−7a標的群のうち、以下の3クラスの標的が、CHO細胞生産性に対する上記miRの機構に重要と考えられた:(1)mRNA分解により調節されることが以前証明されたmRNA、例えば、HMGA2、MYC、NF2、NIRF、RAB40C、PRDM1、及びIntegrin−b3など;(2)miR−let−7a翻訳阻害により調節されることが以前証明されたmRNA、例えば、RAS、IGF、及びEIF2Aなど;並びに(3)生命情報学によりmiR−let−7a標的であると推定されるmRNA、例えば、EIF4A。(Muller(2008)MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.Trendsin Biotechnology 26(7):359−365;De Vito et al.,(2011)Let−7a is directEWS−FLI−1 target implicated in Ewing’s Sarcoma development.PLoS ONE 6(8):1−11;Sampson et al.,(2007)MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.Cancer Res 67(20):9762−9770;Meng et al.,(2007)The MicroRNA let−7a modulates interleukin−6−dependent STAT−3 survival signaling in malignant human cholangiocytes.Journal of Biological Chemistry 282(11):8256−8264;Wang et al.,(2012)NIRF is frequently upregulated in colorectal cancer and its oncogenicity can be suppressed by let−7a microRNA.Cancer Letters 314:223−231;Yang et al.,(2011)Low−level expression of let−7a in gastric cancer and its involvement in tumorigenesis by targeting RAB40C.Carcinogenesis 32(5):713−722;Lin et al.,(2011)Follicular dendritic cell−induced microRNA−mediated upregulation of PRDM1 and downregulation of BCL−6 in non−Hodgkin’s B−cell lymphomas.Leukemia 25(1):145−152;Muller et al.,(2008)MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.Trends in Biotechnology 26(7):359−365;Johnson et al.,(2007)The let−7 microRNA represses cell proliferation pathways in human cells.Cancer Res 67:7713−7722;Lu et al.,(2011)Hypermethylation of let−7a−3 in epithelial ovarian cancer is associated with low insulin−like growth factor−II expression and favorable prognosis.Cancer Res 67(21):10117−10122;並びにMathonnet et al.,(2007)MicroRNA inhibition of translation initiation in vitro by targeting the cap−binding complex eIF4F.Science 317(5845):1764−7)。

0091

結果から、2つの異なるmAb産生CHO細胞株におけるmiR−let−7aの阻害によって、HMGA2、MYC、NF2、NIRF、RAB40C及びEIF4Aなどの複数のmiR−let−7a標的のmRNAレベル増大がもたらされることがわかった(図8)。PRDM1、Integrin−B3、IGF、RAS及びEIF2Aなどの他の遺伝子は、miR−let−7aの阻害後にmRNA発現レベルの変化を示さなかった(データは示してない)。以前の研究では、RASは、mRNA分解によってではなく、翻訳により阻害されることが明らかにされていることから;本発明者らが、RASタンパク質発現を測定したところ、miR−let−7aの阻害時にレベル増大を認めた(図9)。mAb産生CHO細胞株におけるmiR−let−7aの阻害によって起こるmRNA又はタンパク質変化に影響される重要な経路としては、増殖、アポトーシス、ストレス耐性、細胞代謝、並びに翻訳及び/又は分泌機序の調節が挙げられる(Muller et al.,(2008)MicroRNAs as targets for engineering of CHO cell factories.Trendsin Biotechnology 26(7):359−365;Barron et al.,(2011)Engineering CHO cell growth and recombinant protein productivity by over expression of miR−7,Journal of Biotechnology 151(2):204−11;De Vito et al.,(2011)Let−7a is directEWS−FLI−1 target implicated in Ewing’s Sarcoma development.PLoS ONE 6(8):1−11;Sampson et al.,(2007)MicroRNA Let−7a down−regulates MYC and reverts MYC−induced growth in Burkitt Lymphoma cells.Cancer Res 67(20):9762−9770;Meng et al.,(2007)The MicroRNA let−7a modulates interleukin−6−dependent STAT−3 survival signaling in malignant human cholangiocytes.Journal of Biological Chemistry 282(11):8256−8264;Wang et al.,(2012)NIRF is frequently upregulated in colorectal cancer and its oncogenicity can be suppressed by let−7a microRNA.Cancer Letters 314:223−231;Yang et al.,(2011)Low−level expression of let−7a in gastric cancer and its involvement in tumorigenesis by targeting RAB40C.Carcinogenesis 32(5):713−722)。これらの経路と、これらの経路を媒介する上でのmiR−let−7aの標的の潜在的役割とを図10にまとめて示す。

0092

本発明者らの結果は、CHO細胞におけるmiR−let−7aの阻害によって、細胞周期制御/増殖及びアポトーシス、ストレス応答、細胞代謝、及びタンパク質転写/翻訳に関連する複数の遺伝子/タンパク質に変化が起こったことを示している。具体的には、本発明者らの結果は、miR−let−7aが、CHO以外の系において細胞増殖及びアポトーシスを調節することが証明されたRAS、MYC、NF2、RAB40C、NIRF及びHMGA2を改変したことを示した(図10)。MYC及びRASは、ストレス順応させる能力及び代謝異常を解消する能力に影響を与え得るが、そのいずれも、タンパク質の適正なプロセシング及び転写因子の調節にとって重要である(図10)。高いタンパク質合成速度を有する細胞には不可欠の翻訳開始を調節する上で重要な役割を果たすeIF4aもまた、miR−let−7aにより調節されていた。

0093

C.結論
生産細胞培養に積極的に用いられる複数のmAb産生CHO細胞株におけるmiR−let−7aの阻害によって、組換えポリペプチド生産に重要な経路における複数のmRNA及びタンパク質標的の調節を通して、比生産性の増大及び好ましい増殖特性がもたらされた。以上をまとめると、本試験から得られた結果は、1つ又は複数のmicroRNAの調節が、その既存の範囲を超えて生産能力を増大する有効な手段となり得ることを示している。

0094

0095

0096

実施例

0097

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