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技術 病的な石灰化および骨化を治療するための組成物および方法

出願人 イエールユニバーシティ
発明者 ブラドックデメトリオスアルブライトロナルド
出願日 2014年2月12日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2015-558092
公開日 2016年3月24日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2016-509023
状態 特許登録済
技術分野 酵素・酵素の調製 化合物または医薬の治療活性 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 初期定常状態 時間的継続 双極子力 密封チャンバー 静電環境 直角双曲線 最高分解能 脳反応
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、NPP1もしくはその変異体のレベルもしくは活性モジュレートすることによって、またはNPP1のヒドロラーゼ活性と同様のATPヒドロラーゼ活性を呈するように改変された変異NPP4のレベルもしくは活性をモジュレートすることによって、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患および障害治療するための組成物および方法を含む。

概要

背景

発明の背景
異所性組織ミネラル化は、慢性関節疾患および急性致死性新生児症候群を含めた、多くのヒト疾患と関連している。不要な組織石灰化を阻止するために、組織ミネラル化を促進する因子および組織ミネラル化を阻害する因子を緊密にバランスのとれた状態にしておかなければならない。異所性石灰化と関連した疾患のヒト同類および動物モデルについての遺伝子解析により、異所性組織ミネラル化の重要な調節因子として細胞外無機ピロホスフェート(PPi)および無機ホスフェート(Pi)のバランスが同定された(Terkeltaub, 2001, Am. J. Phys. Cell Phys., 281:C1-C11(非特許文献1))。3つの細胞外酵素である組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNAP)、進行性硬直タンパク質(ANK)、およびエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)の作用により、哺乳類におけるPiおよびPPiの濃度がそれぞれ1〜3mMおよび2〜3μMに緊密に制御される。PPiはバイオミネラル化の調節因子であり、非晶質リン酸カルシウムからの塩基性リン酸カルシウムの形成を阻害する。

異所性石灰化の疾患は、乳児の超希少致死性疾患から、ヒト集団の大きな割合における老化と関連した一般的病気までに及ぶ。乳児全身性動脈石灰化(GACI)とも称されるIIACは、非血縁の同類の非常に小さなコホートに存在している希少なかつ致死性の異所性石灰化の形態であり(およそ200件の報告された事例)、筋性動脈の内弾性膜の石灰化および筋肉血管内膜(myointimal)増殖による狭窄を特徴とする。これらの患者臨床提示は変動するものの、この疾病新生児期において、通常6ヶ月齢までに死亡をもたらす。OPLLは、脊柱靱帯異所性骨化による脊髄圧迫によって引き起こされるヒト脊髄症の一般的形態である(Stapleton et al., 2011. Neurosurgical Focus 30:E6(非特許文献2))。この疾患は、頸椎で最も高頻度に起こり、集団全体の1.9〜4.3%の有病率を有する日本人集団において最初に記載された。また疾患提示は変動するが、数年にわたっていくつかの遺伝子およびタンパク質が病因調査の有望な標的として浮上している。

ヒトNPPファミリーは、ホスホジエステル結合加水分解する7つの細胞外グリコシル化タンパク質(すなわち、NPP1、NPP2、NPP3、NPP4、NPP5、NPP6、およびNPP7)からなる(Bollen et al., 2000, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 35:393-432(非特許文献3);Stefan et al., 2005, TrendsBiochem. Sci. 30:542-550(非特許文献4);Goding et al., 2003, Biochim. Biophys. Acta 1638:1-19(非特許文献5))。この酵素は、それらが発見された順序番号付けされている。NPPは、細胞膜エクスポートされるが、フーリン(furin)によって切断されかつ細胞外液中に放出されるNPP2を除いて、細胞表面酵素である(Jansen et al., 2005, J. Cell Sci. 118:3081-3089(非特許文献6))。この酵素は、配列および構造に関する高度の相同性を有するが、ヌクレオチドから脂質までを包含する多様な基質特異性を呈する。

NPP1(PC-1としても知られる)は、骨芽細胞および軟骨細胞ミネラル沈着マトリックス小胞に位置する2型細胞外膜結合型糖タンパク質であり、細胞外ヌクレオチド(主に、ATP)をAMPおよびPPiに加水分解する(Bollen et al., 2000, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 35:393-432(非特許文献3);Terkeltaub, 2006, Purinergic signaling 2:371-377(非特許文献7))。PPiは、新生ヒドロキシアパタイトHA結晶に結合することによって異所性組織ミネラル化の強力な阻害物質として機能し、それによってこれらの結晶の将来的な増大が阻止される(Terkeltaub, 2006, Purinergic signaling 2:371-377(非特許文献7);Addison et al., 2007, J. Biol. Chem. 282:15872-15873(非特許文献8))。NPP1はヌクレオチドトリホスフェートNTP)の加水分解によりPPiを生成し、ANKは細胞内PPiを細胞外空間輸送し、かつTNAPはPPiのPiへの直接加水分解によりPPiを除去する(図1)。

NPP2は、リゾホスホコリンからリゾホスファチジン酸LPA)を生成するリゾホスホリパーゼ-D酵素である(Umezu-Goto et al., 2002, J. Cell Biol. 158:227-233(非特許文献9))。NPP4は、ジアデノシントリホスフェート(Ap3A)ヒドロラーゼおよび血管表面の表面上の強力な凝血促進因子であることが最近示された(Albright et al., 2012, Blood 120:4432-4440(非特許文献10))。NPP5は依然として特徴決定されておらず、NPP6およびNPP7は両方とも脂質基質を加水分解し、NPP6はリゾホスホリパーゼ-C酵素であり、NPP7はアルカリスフィンゴミエリナーゼである(Duan et al., 2003, J. Biol. Chem. 278:38528-36(非特許文献11);Sakagami et al., 2005, J. Biol. Chem. 23084-93(非特許文献12))。

この膜結合型タンパク質ファミリーにおける生物学的に活性なNPPタンパク質についての相当量の産生および精製の欠如により、それらの研究および特徴決定はこれまで阻まれてきた。大規模なタンパク質の産生および精製に関して、可溶性NPP4およびNPP1のための発現系は実証されていない。NPP4における、酵素のAp3AからATPへの酵素活性を変更する変異は報告されていない。

細胞外ヌクレオチドは、細胞表面上のプリン受容体に結合することによって、パラクリンおよびオートクリン細胞シグナル伝達関与し、血小板凝集(Offermanns, 2006,Circ. Res. 99:1293-1304(非特許文献13))、骨の発達および再形成(Terkeltaub, 2006, Purinergic Signalling 2:371-377(非特許文献6))、ならびに糖尿病および肥満などの内分泌障害(Omatsu-Kanbe et al., 2002, Exper. Physiol. 87:643-652(非特許文献14);Schodel et al., 2004, Biochem. Biophys. Res. Comm. 321:767-773(非特許文献15))を含めた広範な生理的応答をもたらす。細胞表面に存在しているP2Xプリン受容体は、主にATPに結合するイオンチャネルであり、一方でP2Y受容体は、より幅広いヌクレオチドと相互作用する細胞表面Gタンパク質共役受容体である。プリン作動性シグナル伝達を駆動する細胞外プリン基質の濃度は、脱顆粒または細胞溶解によるエクトヌクレオチドの放出、エクトヌクレオチド合成の速度、および外酵素によるエクトヌクレオチドの代謝によって決定される。

血小板凝集は、細胞外ADP血小板P2Y1およびP2Y12プリン受容体との相互作用により誘導され、急速なカルシウム流入、それに続くさらなる血小板の活性化、脱顆粒、および不可逆形状変化をもたらして、増大する血栓拡張させる。血管内皮細胞上の膜結合型CD39および血小板微小環境における可溶性ホスホヒドロラーゼによる細胞外ADPの代謝により、ADPはAMPおよびPiに急速に分解され、ADPの凝集バースト(burst)の拡張は、活性化脱顆粒血小板のすぐ近くにある血小板に制限される。AMPは、膜結合型CD73によって、血管緊張モジュレートし、白血球接着を減少させ、かつ血栓形成を制限する強力な抗血栓シグナル伝達分子であるアデノシンにさらに代謝される。血小板有芯顆粒(dense core granule)の放出により、高濃度のADPが血栓微小環境に噴き出され、血小板凝集がさらに刺激される。

血小板有芯密顆粒は高濃度のジヌクレオチドAp3Aも含有し、それは、血小板の脱顆粒があると、100μMを超える局所濃度に達し得る。止血におけるAp3Aの役割が十分に定義されたことはないが、Ap3Aは、血栓微小環境に放出されて血小板凝集を持続させ得る、より安定な「化学的マスクされた」ADPに相当すると長く考えられてきた。Ap3A加水分解活性は、ウシおよびブタの両方の内皮細胞の血管表面で同定されている。

病的石灰化および/または病的骨化と関連した疾患および障害治療するための新規組成物および方法が当技術分野において必要である。そのような組成物および方法は、他の生理的過程を不必要に妨げるべきではない。本発明は、この必要性を満たす。

概要

本発明は、NPP1もしくはその変異体のレベルもしくは活性をモジュレートすることによって、またはNPP1のヒドロラーゼ活性と同様のATPヒドロラーゼ活性を呈するように改変された変異NPP4のレベルもしくは活性をモジュレートすることによって、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患および障害を治療するための組成物および方法を含む。

目的

本研究は、NPP4およびNPP1による基質判別分子基盤を記載し、骨ミネラル化および血小板凝集を支配するそれらの生理的役割についての洞察を提供し、かつ脳卒中保護と関連したNPP1多型が作用し得る明らかなメカニズムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

それを必要とする対象において、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患または障害治療または予防する方法であって、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)ポリペプチドおよびその断片、誘導体変異体、または変異体断片、ならびに、NPP1ポリペプチドおよびその断片、変異体、または変異体断片の活性化因子からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質を含む組成物の治療的有効量を該対象に投与する工程を含み、それによって、該疾患または該障害が該対象において治療または予防される、方法。

請求項2

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、可溶性組換えNPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP1膜貫通ドメイン欠如している、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、IgGFcドメインを含む、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較して実質的に同じATP加水分解活性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、SEQID NO: 1と比較して、Ser 532、Tyr 529、Tyr 451、Ile 450、Ser 381、Tyr 382、Ser 377、Phe 346、Gly 531、Ser 289、Ser 287、Ala 454、Gly 452、Gln 519、Glu 526、Lys 448、Glu 508、Arg 456、Asp 276、Tyr 434、Gln 519、Ser 525、Gly 342、Ser 343、およびGly 536からなる群より選択される少なくとも1つの位置に変異を有する、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、ポリアスパラギン酸ドメインを含む、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記ポリアスパラギン酸ドメインが、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP2膜貫通ドメインを含む、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記少なくとも1種の作用物質が急性的にまたは慢性的に投与される、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記少なくとも1種の作用物質が局所的に、限局的に、または全身的に投与される、請求項1に記載の方法。

請求項14

NPP1の前記活性化因子が、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の発現;およびNPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の活性からなる群より選択される少なくとも1つを活性化する、請求項1に記載の方法。

請求項15

NPP1の前記活性化因子が、化学的化合物タンパク質ペプチドペプチド模倣体、および小分子化学的化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。

請求項17

前記疾患または前記障害が、特発性乳児動脈石灰化(IIAC)、後縦靱帯骨化症(OPLL)、低リン酸血症くる病変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。

請求項18

それを必要とする対象において、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患または障害を治療する方法であって、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-4(NPP4)ポリペプチドおよびその断片、誘導体、変異体、または変異体断片、ならびに、NPP4ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体の活性化因子からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質を含む組成物の治療的有効量を該対象に投与する工程を含む、方法。

請求項19

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、可溶性組換えNPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片である、請求項18に記載の方法。

請求項20

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、SEQID NO: 3と比較して、D335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、およびT323からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項21

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のATP加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項22

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のNPP1様加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項23

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較してATPに対する該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の基質選択性または加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項24

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のAp3A加水分解活性を減少させる少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項25

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のAp3A加水分解活性を減少させかつ該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のATP加水分解活性を実質的に増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項18に記載の方法。

請求項26

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP4膜貫通ドメインを欠如している、請求項18に記載の方法。

請求項27

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、IgGFcドメインを含む、請求項18に記載の方法。

請求項28

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、ポリアスパラギン酸ドメインを含む、請求項18に記載の方法。

請求項29

前記ポリアスパラギン酸ドメインが、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記少なくとも1種の作用物質が急性的にまたは慢性的に投与される、請求項18に記載の方法。

請求項31

前記少なくとも1種の作用物質が局所的に、限局的に、または全身的に投与される、請求項18に記載の方法。

請求項32

NPP4の前記活性化因子が、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の発現;およびNPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の活性からなる群より選択される少なくとも1つを活性化する、請求項18に記載の方法。

請求項33

NPP4の前記活性化因子が、化学的化合物、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、および小分子化学的化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記対象がヒトである、請求項18に記載の方法。

請求項35

前記疾患または前記障害が、特発性乳児動脈石灰化(IIAC)、後縦靱帯骨化症(OPLL)、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。

請求項36

エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)ポリペプチド、NPP1ポリペプチド断片、NPP1ポリペプチド誘導体、変異NPP1ポリペプチド、および変異NPP1ポリペプチド断片からなる群より選択される少なくとも1種の作用物質を含む、組成物。

請求項37

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、可溶性組換えNPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片を含む、請求項36に記載の組成物。

請求項38

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP1膜貫通ドメインを欠如している、請求項36に記載の組成物。

請求項39

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、IgGFcドメインを含む、請求項36に記載の組成物。

請求項40

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する、請求項36に記載の組成物。

請求項41

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と実質的に同じATP加水分解活性を有する、請求項36に記載の組成物。

請求項42

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する、請求項36に記載の組成物。

請求項43

前記変異NPP1ポリペプチドまたはその断片が、SEQID NO: 1と比較して、Ser 532、Tyr 529、Tyr 451、Ile 450、Ser 381、Tyr 382、Ser 377、Phe 346、Gly 531、Ser 289、Ser 287、Ala 454、Gly 452、Gln 519、Glu 526、Lys 448、Glu 508、Arg 456、Asp 276、Tyr 434、Gln 519、Ser 525、Gly 342、Ser 343、およびGly 536からなる群より選択される少なくとも1つの位置に変異を有する、請求項36に記載の組成物。

請求項44

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、ポリアスパラギン酸ドメインを含む、請求項36に記載の組成物。

請求項45

前記ポリアスパラギン酸ドメインが、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む、請求項44に記載の組成物。

請求項46

前記NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP2膜貫通ドメインを含む、請求項36に記載の組成物。

請求項47

エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-4(NPP4)ポリペプチド、NPP4ポリペプチド断片、NPP4ポリペプチド誘導体、変異NPP4ポリペプチド、および変異NPP4ポリペプチド断片からなる群より選択される少なくとも1種の作用物質を含む、組成物。

請求項48

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、可溶性組換えNPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片である、請求項47に記載の組成物。

請求項49

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、SEQID NO: 3と比較して、D335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、およびT323からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む、請求項47に記載の組成物。

請求項50

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のATP加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項47に記載の組成物。

請求項51

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のNPP1様加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項47に記載の組成物。

請求項52

前記変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較してATPに対する該変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の基質選択性を増加させる少なくとも1つの変異を含む、請求項47に記載の組成物。

請求項53

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、NPP4膜貫通ドメインを欠如している、請求項47に記載の組成物。

請求項54

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、IgGFcドメインを含む、請求項47に記載の組成物。

請求項55

前記NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が、ポリアスパラギン酸ドメインを含む、請求項47に記載の組成物。

請求項56

前記ポリアスパラギン酸ドメインが、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む、請求項55に記載の組成物。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2013年11月15日に提出された米国特許仮出願第61/904,786号および2013年2月13日に提出された第61/764,297号に対する優先権を主張するものであり、それらの出願のすべては参照により全体として本明細書に組み入れられる。

背景技術

0002

発明の背景
異所性組織ミネラル化は、慢性関節疾患および急性致死性新生児症候群を含めた、多くのヒト疾患と関連している。不要な組織石灰化を阻止するために、組織ミネラル化を促進する因子および組織ミネラル化を阻害する因子を緊密にバランスのとれた状態にしておかなければならない。異所性石灰化と関連した疾患のヒト同類および動物モデルについての遺伝子解析により、異所性組織ミネラル化の重要な調節因子として細胞外無機ピロホスフェート(PPi)および無機ホスフェート(Pi)のバランスが同定された(Terkeltaub, 2001, Am. J. Phys. Cell Phys., 281:C1-C11(非特許文献1))。3つの細胞外酵素である組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNAP)、進行性硬直タンパク質(ANK)、およびエクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)の作用により、哺乳類におけるPiおよびPPiの濃度がそれぞれ1〜3mMおよび2〜3μMに緊密に制御される。PPiはバイオミネラル化の調節因子であり、非晶質リン酸カルシウムからの塩基性リン酸カルシウムの形成を阻害する。

0003

異所性石灰化の疾患は、乳児の超希少致死性疾患から、ヒト集団の大きな割合における老化と関連した一般的病気までに及ぶ。乳児全身性動脈石灰化(GACI)とも称されるIIACは、非血縁の同類の非常に小さなコホートに存在している希少なかつ致死性の異所性石灰化の形態であり(およそ200件の報告された事例)、筋性動脈の内弾性膜の石灰化および筋肉血管内膜(myointimal)増殖による狭窄を特徴とする。これらの患者臨床提示は変動するものの、この疾病新生児期において、通常6ヶ月齢までに死亡をもたらす。OPLLは、脊柱靱帯異所性骨化による脊髄圧迫によって引き起こされるヒト脊髄症の一般的形態である(Stapleton et al., 2011. Neurosurgical Focus 30:E6(非特許文献2))。この疾患は、頸椎で最も高頻度に起こり、集団全体の1.9〜4.3%の有病率を有する日本人集団において最初に記載された。また疾患提示は変動するが、数年にわたっていくつかの遺伝子およびタンパク質が病因調査の有望な標的として浮上している。

0004

ヒトNPPファミリーは、ホスホジエステル結合加水分解する7つの細胞外グリコシル化タンパク質(すなわち、NPP1、NPP2、NPP3、NPP4、NPP5、NPP6、およびNPP7)からなる(Bollen et al., 2000, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 35:393-432(非特許文献3);Stefan et al., 2005, TrendsBiochem. Sci. 30:542-550(非特許文献4);Goding et al., 2003, Biochim. Biophys. Acta 1638:1-19(非特許文献5))。この酵素は、それらが発見された順序番号付けされている。NPPは、細胞膜エクスポートされるが、フーリン(furin)によって切断されかつ細胞外液中に放出されるNPP2を除いて、細胞表面酵素である(Jansen et al., 2005, J. Cell Sci. 118:3081-3089(非特許文献6))。この酵素は、配列および構造に関する高度の相同性を有するが、ヌクレオチドから脂質までを包含する多様な基質特異性を呈する。

0005

NPP1(PC-1としても知られる)は、骨芽細胞および軟骨細胞ミネラル沈着マトリックス小胞に位置する2型細胞外膜結合型糖タンパク質であり、細胞外ヌクレオチド(主に、ATP)をAMPおよびPPiに加水分解する(Bollen et al., 2000, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 35:393-432(非特許文献3);Terkeltaub, 2006, Purinergic signaling 2:371-377(非特許文献7))。PPiは、新生ヒドロキシアパタイトHA結晶に結合することによって異所性組織ミネラル化の強力な阻害物質として機能し、それによってこれらの結晶の将来的な増大が阻止される(Terkeltaub, 2006, Purinergic signaling 2:371-377(非特許文献7);Addison et al., 2007, J. Biol. Chem. 282:15872-15873(非特許文献8))。NPP1はヌクレオチドトリホスフェートNTP)の加水分解によりPPiを生成し、ANKは細胞内PPiを細胞外空間輸送し、かつTNAPはPPiのPiへの直接加水分解によりPPiを除去する(図1)。

0006

NPP2は、リゾホスホコリンからリゾホスファチジン酸LPA)を生成するリゾホスホリパーゼ-D酵素である(Umezu-Goto et al., 2002, J. Cell Biol. 158:227-233(非特許文献9))。NPP4は、ジアデノシントリホスフェート(Ap3A)ヒドロラーゼおよび血管表面の表面上の強力な凝血促進因子であることが最近示された(Albright et al., 2012, Blood 120:4432-4440(非特許文献10))。NPP5は依然として特徴決定されておらず、NPP6およびNPP7は両方とも脂質基質を加水分解し、NPP6はリゾホスホリパーゼ-C酵素であり、NPP7はアルカリスフィンゴミエリナーゼである(Duan et al., 2003, J. Biol. Chem. 278:38528-36(非特許文献11);Sakagami et al., 2005, J. Biol. Chem. 23084-93(非特許文献12))。

0007

この膜結合型タンパク質ファミリーにおける生物学的に活性なNPPタンパク質についての相当量の産生および精製の欠如により、それらの研究および特徴決定はこれまで阻まれてきた。大規模なタンパク質の産生および精製に関して、可溶性NPP4およびNPP1のための発現系は実証されていない。NPP4における、酵素のAp3AからATPへの酵素活性を変更する変異は報告されていない。

0008

細胞外ヌクレオチドは、細胞表面上のプリン受容体に結合することによって、パラクリンおよびオートクリン細胞シグナル伝達関与し、血小板凝集(Offermanns, 2006,Circ. Res. 99:1293-1304(非特許文献13))、骨の発達および再形成(Terkeltaub, 2006, Purinergic Signalling 2:371-377(非特許文献6))、ならびに糖尿病および肥満などの内分泌障害(Omatsu-Kanbe et al., 2002, Exper. Physiol. 87:643-652(非特許文献14);Schodel et al., 2004, Biochem. Biophys. Res. Comm. 321:767-773(非特許文献15))を含めた広範な生理的応答をもたらす。細胞表面に存在しているP2Xプリン受容体は、主にATPに結合するイオンチャネルであり、一方でP2Y受容体は、より幅広いヌクレオチドと相互作用する細胞表面Gタンパク質共役受容体である。プリン作動性シグナル伝達を駆動する細胞外プリン基質の濃度は、脱顆粒または細胞溶解によるエクトヌクレオチドの放出、エクトヌクレオチド合成の速度、および外酵素によるエクトヌクレオチドの代謝によって決定される。

0009

血小板凝集は、細胞外ADP血小板P2Y1およびP2Y12プリン受容体との相互作用により誘導され、急速なカルシウム流入、それに続くさらなる血小板の活性化、脱顆粒、および不可逆形状変化をもたらして、増大する血栓拡張させる。血管内皮細胞上の膜結合型CD39および血小板微小環境における可溶性ホスホヒドロラーゼによる細胞外ADPの代謝により、ADPはAMPおよびPiに急速に分解され、ADPの凝集バースト(burst)の拡張は、活性化脱顆粒血小板のすぐ近くにある血小板に制限される。AMPは、膜結合型CD73によって、血管緊張モジュレートし、白血球接着を減少させ、かつ血栓形成を制限する強力な抗血栓シグナル伝達分子であるアデノシンにさらに代謝される。血小板有芯顆粒(dense core granule)の放出により、高濃度のADPが血栓微小環境に噴き出され、血小板凝集がさらに刺激される。

0010

血小板有芯密顆粒は高濃度のジヌクレオチドAp3Aも含有し、それは、血小板の脱顆粒があると、100μMを超える局所濃度に達し得る。止血におけるAp3Aの役割が十分に定義されたことはないが、Ap3Aは、血栓微小環境に放出されて血小板凝集を持続させ得る、より安定な「化学的マスクされた」ADPに相当すると長く考えられてきた。Ap3A加水分解活性は、ウシおよびブタの両方の内皮細胞の血管表面で同定されている。

0011

病的石灰化および/または病的骨化と関連した疾患および障害治療するための新規組成物および方法が当技術分野において必要である。そのような組成物および方法は、他の生理的過程を不必要に妨げるべきではない。本発明は、この必要性を満たす。

先行技術

0012

Terkeltaub, 2001, Am. J. Phys. Cell Phys., 281:C1-C11
Stapleton et al., 2011. Neurosurgical Focus 30:E6
Bollen et al., 2000, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 35:393-432
Stefan et al., 2005, TrendsBiochem. Sci. 30:542-550
Goding et al., 2003, Biochim. Biophys. Acta 1638:1-19
Jansen et al., 2005, J. Cell Sci. 118:3081-3089
Terkeltaub, 2006, Purinergic signaling 2:371-377
Addison et al., 2007, J. Biol. Chem. 282:15872-15873
Umezu-Goto et al., 2002, J. Cell Biol. 158:227-233
Albright et al., 2012, Blood 120:4432-4440
Duan et al., 2003, J. Biol. Chem. 278:38528-36
Sakagami et al., 2005, J. Biol. Chem. 23084-93
Offermanns, 2006,Circ. Res. 99:1293-1304
Omatsu-Kanbe et al., 2002, Exper. Physiol. 87:643-652
Schodel et al., 2004, Biochem. Biophys. Res. Comm. 321:767-773

0013

発明の簡単な概要
一局面において、本発明は、それを必要とする対象において、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患または障害を治療または予防する方法を含み、該方法は、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)ポリペプチドおよびその断片、誘導体変異体、または変異体断片、ならびに、NPP1ポリペプチドおよびその断片、変異体、または変異体断片の活性化因子からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質を含む組成物の治療的有効量を該対象に投与する工程を含み、それによって、該疾患または該障害が該対象において治療または予防される。

0014

別の局面において、本発明は、それを必要とする対象において、病的石灰化または病的骨化と関連した疾患または障害を治療する方法を含み、該方法は、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-4(NPP4)ポリペプチドおよびその断片、誘導体、変異体、または変異体断片、ならびに、NPP4ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体の活性化因子からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質を含む組成物の治療的有効量を該対象に投与する工程を含む。

0015

さらに別の局面において、本発明は、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)ポリペプチド、NPP1ポリペプチド断片、NPP1ポリペプチド誘導体、変異NPP1ポリペプチド、および変異NPP1ポリペプチド断片からなる群より選択される少なくとも1種の作用物質を含む組成物を含む。

0016

さらに別の局面において、本発明は、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-4(NPP4)ポリペプチド、NPP4ポリペプチド断片、NPP4ポリペプチド誘導体、変異NPP4ポリペプチド、および変異NPP4ポリペプチド断片からなる群より選択される少なくとも1種の作用物質を含む組成物を含む。

0017

上記の局面のいずれかについてまたは本明細書において記述される本発明の他の任意の局面についての様々な態様において、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片には、可溶性組換えNPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片が含まれる。本明細書において挙げられる局面についてのある特定の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、NPP1膜貫通ドメインを欠如している。本明細書において挙げられる局面についての他の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、IgGFcドメインを含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較して実質的に同じATP加水分解活性を有する。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、SEQID NO: 1と比較して、Ser 532、Tyr 529、Tyr 451、Ile 450、Ser 381、Tyr 382、Ser 377、Phe 346、Gly 531、Ser 289、Ser 287、Ala 454、Gly 452、Gln 519、Glu 526、Lys 448、Glu 508、Arg 456、Asp 276、Tyr 434、Gln 519、Ser 525、Gly 342、Ser 343、およびGly 536からなる群より選択される少なくとも1つの位置に変異を有する。

0018

上記の局面のいずれかについてまたは本明細書において記述される本発明の他の任意の局面についての様々な態様において、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、ポリアスパラギン酸ドメインを含む。本明細書において挙げられる局面についてのある特定の態様において、ポリアスパラギン酸ドメインは、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む。本明細書において挙げられる局面についての他の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、NPP2膜貫通ドメインを含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、NPP1の活性化因子は、NPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の発現;およびNPP1ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の活性からなる群より選択される少なくとも1つを活性化する。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、NPP1の活性化因子は、化学的化合物、タンパク質、ペプチドペプチド模倣体、および小分子化学的化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。

0019

本明細書において挙げられる局面についてのある特定の態様において、少なくとも1種の作用物質が急性的にまたは慢性的に投与される。本明細書において挙げられる局面についての他の態様において、少なくとも1種の作用物質が、局所的に、限局的に、または全身的に投与される。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、対象はヒトである。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、疾患または障害は、特発性乳児動脈石灰化(IIAC)、後縦靱帯骨化症(OPLL)、低リン酸血症くる病変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化からなる群より選択される少なくとも1つである。

0020

上記の局面のいずれかについてまたは本明細書において記述される本発明の他の任意の局面についての様々な態様において、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、可溶性組換えNPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片である。本明細書において挙げられる局面についてのある特定の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、SEQID NO: 3と比較して、D335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、およびT323からなる群より選択される少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についての他の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4またはその断片と比較して変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のATP加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4またはその断片と比較して変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のNPP1様加水分解活性を増加させる少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4またはその断片と比較してATPに対する変異NPP4ポリペプチドの基質選択性を増加させる少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4またはその断片と比較して酵素のAp3A加水分解活性を減少させる少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4またはその断片と比較して酵素のATP加水分解活性を実質的に増加させかつ酵素のAp3A加水分解活性を減少させる少なくとも1つの変異を含む。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、NPP4膜貫通ドメインを欠如している。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、IgGFcドメインを含む。

0021

上記の局面のいずれかについてまたは本明細書において記述される本発明の他の任意の局面についての様々な態様において、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片は、ポリアスパラギン酸ドメインを含む。本明細書において挙げられる局面についてのある特定の態様において、ポリアスパラギン酸ドメインは、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含む。本明細書において挙げられる局面についての他の態様において、NPP4の活性化因子は、NPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の発現;およびNPP4ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは変異体断片の活性からなる群より選択される少なくとも1つを活性化する。本明細書において挙げられる局面についてのさらに他の態様において、NPP4の活性化因子は、化学的化合物、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、および小分子化学的化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。

図面の簡単な説明

0022

本発明の好ましい態様についての以下の詳細な説明は、添付の図面と合わせて読んだ場合によりよく理解されるであろう。本発明を図解する目的のために、現在好ましい態様が図面に示されている。しかしながら、本発明は、図面に示される態様の正確な編成および手段に限定されるわけではないことが理解されるべきである。
無機ピロホスフェート(PPi)および無機ホスフェート(Pi)の細胞外バランスを調節するタンパク質を図示した説明図である。無機ピロホスフェート(PPi)は、NPP1による細胞外ヌクレオチドトリホスフェート(NTP)の切断、またはAnkによる細胞内から細胞外空間へのPPiの輸送によって生成される。TNAPはPPiを分解して、Piを生成する。
図2A〜2Bを含む図2は、NPP1のクローニングストラテジーを図示した一連の説明図である。図2A:NPP1はNPP2由来シグナルペプチドで置き換えられており、そのようにして、それは分泌タンパク質として発現し得る。膜貫通領域のいずれかの側にあるNPP1断片(1および2によって示される)を、別個PCR増幅し、かつNPP2シグナルペプチド配列(3によって、矢印によって示される)で置換する。図2B:本研究において用いられたドメイン構造様式および発現タンパク質の概略図。NPP1はII型膜貫通タンパク質であり、一方でNPP4はI型膜貫通タンパク質である。タンパク質は、ドメイン構造様式を図解するために色付けされた略図によって表されており、膜貫通ドメインは1として示され、ソマトメジンBドメインは2として示され、触媒ドメインは3として示され、ヌクレアーゼドメインは4として示され、かつNPP4のシグナルペプチドは5として示されている。発現されるNPP1タンパク質は、タンパク質の両ソマトメジンBドメイン、触媒ドメイン、およびヌクレアーゼドメインを含有する、タンパク質の細胞外配列全体を含む、ヒト配列の残基96〜925からなる。分泌されるNPP4タンパク質も、ヒト配列のアミノ酸16〜407を含む、タンパク質の細胞外部分全体からなる。
バキュロウイルスにおけるNPP1の発現および精製を図示したゲル写真である。バキュロウイルス細胞にNPP1ウイルスを感染させ、およびインキュベーションの2日後に細胞外培地回収し、濃縮し、かつニッケルカラム上に流した。緩衝液洗浄後、タンパク質をイミダゾール溶出し、および5ml画分を回収しかつSDS-PAGEゲルに流した(E1〜E9)。
哺乳類細胞におけるNPP1の発現および精製を図示したゲルの写真である。哺乳類のグリコシル化を有するNPP1を発現させるために、バキュロウイルスに関して記載されている類似した発現および精製の手順を用いて、NPP1をHEK293腎臓細胞内で産生した。精製されたタンパク質のSDS-PAGEゲルが図示されている。アミノ酸解析によって決定される、NPP1ストック溶液の濃度は2.15mg/mlである。
図5A〜5Eを含む図5は、ATPの切断および加水分解を査定する実験の結果を図解している。図5Aは、NPP1によるATP切断についてのHPLC解析を図示したグラフである(nM NPP1、500μM ATPを補充され、(下から上へ)3、6、および30分間の時点で抑えられた)。NPP1によるATP加水分解の酵素産物をHPLCによって確認した。図5Bは、NPP1およびNPP4の間でのATP加水分解の比較を図示したグラフである。NPP1およびNPP4(38%の配列同一性共有する)のATP加水分解活性の比較により、NPP1のみがATPを加水分解することが明らかとなり、NPPファミリーの調整された基質特異性が明らかとなっている。図5Cは、NPP1による定常状態のATP切断を査定する実験の結果を図示したグラフである。200nMのNPP1を混合した後の吸光度259nmでモニターしたATP切断についての時間経過を用いて、各ATP濃度における初速度(initial rate velocity)を導き出しており、かつデータを直角双曲線適合させる。データを通る滑らかな線は、双曲線に対する最良適合であり、KM=144.5(±36.0)μMおよびkcat=468(±48)分間-1=7.8(±0.8)s-1をもたらしている。図5D:時間経過の吸光度変化についての最良線形適合から得られた、NPP1およびNPP4の初期定常状態のAp3A基質切断速度のAp3A濃度依存性。データを通る滑らかな線は、双曲線に対する最良適合であり、NPP1に関してKM=20(±3)μMおよびkcat=7.2(±0.3)s-1 NPP-1を有し、一方でNPP4に関してKM=685(±108)μMおよびkcat=8.0(±0.1)s-1 NPP-1を有する。図5E:ヌクレオチドモノホスフェートによる、NPP4切断活性の阻害。データ点を通る実線は、直角双曲線に対する最良適合を表す。符号:AMP:マゼンタ色のダイヤ、CMP:黒色四角GMP:青色の円。最も強い阻害から最も弱い阻害までの、結果として生じたIC50は、AMP 129±73μM、CMP 322±39μM、UMP 2.11±0.37mM(明確にするために示されていない)、およびGMP 2.98±0.38mMである。
図6A〜6Cを含む図6は、NPP4-AMP構造および他のNPP触媒ドメインとの比較に関する一連の説明図である。結合した酵素産物(AMP)とのNPP4の3次元構造を、X線結晶学によって1.5Å分解能に対して決定した。図6A:原子タイプによって色付けされたスティック形態のAMPとともに、タンパク質はリボンとして呈示されている。活性部位亜鉛イオン球体として図示されている。図6B:ヒトNPP4と他のNPP触媒ドメインとのCα-トレースの重ね合わせにより、最高度の構造的保存(赤色、示されているように、4つすべての分子に関して0.68Åのrmsd)が、中心β-シートコアおよび亜鉛イオン付近の活性部位にわたって生じており、触媒トレオニンが位置するα-ヘリックス、および疎水性溝付近に主鎖を含むことが明らかとなっている。中程度の類似性の領域は黄色(1.33Åのrmsd)であり、最低の類似性のものは青緑色(2.51Åのrmsd)である。ccp4プログラムSuperposeを用いて、保存されたサブドメインを重ねた(赤色−黄色、1.17Åのrmsd)。活性部位付近の高度の構造的保存にもかかわらず、種々のNPPは多種多様な基質特異性を呈示し得る。4つの重ね合わせられた触媒ドメインは、ヒトNPP4(ここに提示されている)、マウスNPP1(4B56)、マウスNPP2(3NKN)、および細菌NPP(2GSU)由来である。脂質基質に対応するために、NPP2は、他のすべてのNPP触媒ドメインにおいて見出される領域を欠いており、したがってマウスNPP2内の8残基リンカー(残基272〜279)はこの比較図において除かれた。NPP4の触媒ドメイン全体とNPP1、NPP2、および細菌NPPのものとの重ね合わせにより、それぞれ1.54Å、1.43Å、および1.43Åのrmsd値がもたらされている。図6C:AMPとのNPP4産物複合体。オミットmFo-DFc相違密度がそれぞれに対して示されており、3σに等高線が引かれている。結合ポケット内のリガンドおよび水分子は、電子密度マップ算出には含まれなかった。PyMOLを用いて、すべての分子画像を生成した(Molecular Graphics System,バージョン1.2r3pre, Schrodinger,LLC)。
図7A〜7Dを含む図7は、NPP4触媒部位における基質の塩基認識を図解している。図7A:NPP4の活性部位は、5'ヌクレオチド含有基質に対するその特異性をもたらす、あらかじめ形成された疎水性の溝を含有する。NPP4-AMP複合体において、アデニン環は、ポケットの一方の壁にあるTyr154と積み重なり、一方で反対の壁に沿ったPhe71の先端からの好ましいVDW相互作用を受ける。適合を呈示するために、NPP4の分子表面(網状)およびAMPのVDW表面(半透明の形状)が示されている。図7B:強調された重要な残基および結合した金属イオンを有する活性部位におけるAMPの位置付け。2個の結合した亜鉛イオン(球体)は異なる役割を果たし、Zn2は、基質に対する求核攻撃のためにThr70(緑色)を活性化する働きをし、一方でZn1は、基質のホスフェート基を極めて接近したところに静電的に引き入れる。ヌクレオチドのTyr154およびPhe71はシアン色である。図7C:産物が結合している場合に、非常にわずかな変化しかないことを図解する、NPP4-AMP複合体とアポNPP4との重ね合わせ。アポ構造のZn1で結合しているクエン酸陰イオンは、視覚的に明確にするために除かれている。図7D:両方がヌクレオチド結合のための溝を保有する、それらの活性部位のこの半分以内にある類似した形状を図解する、NPP4-AMPおよびNPP1-AMP複合体の重ね合わせ。
NPP4によるAp3A加水分解の非限定的な酵素メカニズムを図解したスキームである。Gijsbersらによってもともとは提案されたAPに対する活性部位相同性に基づく、Ap3AのNPP4加水分解に対して提案される反応メカニズム。結晶構造が得られている、該メカニズムにおける工程は枠で囲まれている。
図9A〜9Fを含む図9は、NPP1およびNPP4の基質判別の分子基盤についての非限定的なモデリングを図解している。各酵素に対するAMP共結晶構造に基づき、AMP様配向で結合しているATPのモデルが、NPP1(左の列)およびNPP4(右の列)に対して示されている。図9A:NPP1において、ATPのγ-ホスフェートは3個のリジン残基によって同時に安定化され、そのうちの2個は、ポケットの上縁裏打ちし、かつ静電気学により基質が存在している場合のみ規則正しくなる。この3分割されたリジン立爪(lysine claw)の結果として、結合したATPのγ-ホスフェートは、好ましく電荷安定化され、かつ近接したチロシン環とともにこれら2個のリジンの長い疎水性の側鎖から構成される誘導性適合蓋によって、溶媒から大いに遮蔽される。対照的に、NPP4は、同様に結合しているATPに対して、より低い電荷安定化、蓋メカニズムがないより開いた構造様式、および電荷反発のための2個の近隣のアスパラギン酸残基を有する、あまり好都合ではないγ-ホスフェート環境を与える。結果として、ATPがこの配向でNPP4に非常に頻繁に結合する可能性は低い。図9Aおよび9B:AMP共結晶構造からモデル化された、結合しているATPのスティック図。図9Cおよび9D:同じではあるが、近隣の帯電した側鎖(示されているように、正または負)の先端を有する分子表面としてのもの。図9Eおよび9F:約90°回転させた。配列アラインメントにより、ヒトNPP1は、マウスNPP1構造に由来する特質のすべてを保持することが示されている。
図10A〜10Bを含む図10は、血小板凝集におけるNPP1の効果を図解した一連のグラフである。光透過性凝集能測定を用いて、多血小板血漿における、増加する濃度のNPP1およびNPP4、ならびに80μM Ap3Aに応答した血小板凝集を査定した。データは、経時的な(x軸)光透過率(y軸)のパーセントとしてグラフで示されている。図10A:NPP1の非存在下において、80μM Ap3Aは、急速な解離が後に続く、凝集の一次波を引き出しただけであり、このパターンは、300pMおよび500pMの濃度でのNPP1の添加に関して同様に観察された。対照的に、80uM Ap3Aの存在下での1nM NPP1は、凝集の測定可能な二次波を刺激した。図10B:NPP4は、Ap3A単独または1nM NPP4を含有するAp3Aのいずれかの存在下において、一次凝集を呈した。20nM NPP4およびより高い濃度の存在下では、著明な二次血小板凝集があった。この知見は、生理的濃度のAp3Aの存在下において、いずれかのタンパク質が、低いnM濃度で血小板凝集を直接刺激し得ることを示唆している。
ヒトNPP4内にドッキングされたAp3Aの例証的なモデルである。
Ap3Aに結合しているNPP4の不活性形態を含むタンパク質結晶を図解した一連の写真である。

0023

発明の詳細な説明
本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片、および変異NPP4ポリペプチドまたはその断片が、病的な石灰化および/または骨化を伴う疾患および障害の治療に有用であるという発見に関する。

0024

したがって、ある特定の態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関し、一方で他の態様において、本発明は、変異NPP4ポリペプチド、その断片、または誘導体のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。さらに他の態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片のレベルまたは活性、および変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。

0025

ある特定の態様において、本発明は、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP1)ポリペプチド、およびその断片、誘導体、変異体、または変異体断片からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質の血栓形成促進活性を排除しかつ/または低下させ、一方でATP加水分解活性を保持する方法に関する。他の態様において、本発明は、少なくとも1種の作用物質が、エクトヌクレオチドピロホスフェート/ホスホジエステラーゼ-1(NPP4)ポリペプチド、およびその断片、誘導体、変異体、または変異体断片からなる群より選択される、該少なくとも1種の作用物質の血栓形成促進活性を排除しかつ/または低下させ、一方でまたATP加水分解活性を増加させる方法に関する。さらに他の態様において、本発明の方法は、血栓形成促進状態と関連した意図せぬリスクを誘導することなく、異所性ミネラル化を安全に治療することを可能にする。

0026

様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体は、対応する野生型NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体は、対応する野生型NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体と比較して実質的に同じATP加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体は、対応する野生型NPP1ポリペプチド、その断片、または誘導体と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する。

0027

様々な態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法には、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片の活性またはレベルの増加が望ましい、障害および疾患を治療または予防するための組成物および方法が含まれる。様々な態様において、障害および疾患には、病的石灰化および/または病的骨化を伴う疾患および障害が含まれる。本発明の組成物および方法によって治療可能な、病的石灰化および/または病的骨化を伴う疾患および障害には、特発性乳児動脈石灰化(IIAC)、後縦靱帯骨化症(OPLL)、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0028

他の態様において、本発明は、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法には、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の活性またはレベルの増加が望ましい、障害および疾患を治療または予防するための組成物および方法が含まれる。様々な態様において、障害および疾患には、病的石灰化および/または病的骨化を伴う疾患および障害が含まれる。本発明の組成物および方法によって治療可能な、病的石灰化および/または病的骨化を伴う疾患および障害には、特発性乳児動脈石灰化(IIAC)、後縦靱帯骨化症(OPLL)、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0029

止血および骨発達の両方とも、プリン作動性シグナルの細胞外代謝によって調節される、精密にバランスのとれた必須の生理的過程である。本明細書において記載されるように、NPP1およびNPP4によるプリン作動性シグナル代謝についての役割および原子的詳細をよりよく理解するために、NPP4対NPP1を構造的および酵素的に特徴決定する手段として、解決される対象となる最初のヒトNPPであるNPP4の高分解能構造を決定した。NPP1は、低いnM濃度でAp3Aを加水分解することが示され、かつ低いnM濃度でのNPP1またはNPP4のいずれかは、ヒトPRPにおける不可逆的血小板凝集をインビトロで促進した。

0030

加えて、生理的レベルのAp3Aの存在下における血小板凝集に対するNPP1の効果を直接測定した。ヌクレオチド含有基質のほぼ同様のセットの標的化を可能にする、高度の配列同一性および相同性、ならびに共有される構造特質にもかかわらず、これら2種の酵素は、それらの生物学的機能の中心となる個別の基質特異性を説明する重要な構造差も保有する。NPP1は、ヒト血中で報告される生理的濃度では血小板凝集を誘導し得ないことが見出されたが、血管内皮上に低いnM濃度で局在する場合、血小板凝集を刺激し得た。本研究は、NPP4およびNPP1による基質判別の分子基盤を記載し、骨ミネラル化および血小板凝集を支配するそれらの生理的役割についての洞察を提供し、かつ脳卒中保護と関連したNPP1多型が作用し得る明らかなメカニズムを提供する。

0031

いかなる理論によっても限定されることを望むことなく、本研究は、先行技術において提案されたメカニズムと比較して、NPP1における多型が血栓性脳卒中に対して保護的である代替的メカニズムを示唆する。本明細書において記載されるデータは、先行技術において提案される機能獲得型変異ではなく、Ap3A加水分解が血栓微小環境において減少する機能喪失型変異が、これらの多型が脳卒中保護を与えるメカニズムに寄与するという考えを支持する。この差異は、治療された個体において血栓形成促進状態の意図せぬ副作用を誘導することなく、異所性骨ミネラル化に対する治療剤として有用であるNPP1およびNPP4タンパク質の変更を設計する際に重要な役割を果たす。ある特定の態様において、脳毛細血管におけるNPP1活性の減少は、大脳毛細血管床におけるADP濃度の減少をもたらし、血小板凝集および血栓形成を減少させる。

0032

さらに、血栓形成促進酵素としてのNPP1の認識により、NPP1またはNPP4を用いた組換え酵素補充療法(enzyme replacement therapy)は、組換えNPP1および/またはNPP4酵素で治療された患者に重大な血栓症リスクを与えることが示唆される。血栓形成促進状態にある患者は、冠状動脈および/または肺動脈の血栓症による、ならびに大脳動脈血栓症が原因の脳卒中による突然死のリスクがある。本明細書において実証されるように、本発明者らは、組換え非改変NPP1酵素で治療された患者は、これらの意図せぬ影響のリスクが増加しているという考えを支持する生化学的および生理学的な論拠を確立した。血栓症におけるNPP1の役割についての本発明者らの認識により、該酵素の血栓形成促進活性を排除しかつ/または改善する、NPP1および/またはNPP4における特異的点変異を誘導し、一方で該酵素がPPiを生成し得る能力を保持することに関する論拠が確立される。ある特定の態様において、本明細書において提案される、NPP1およびNPP4における特異的改変により、組換えNPP4およびNPP1酵素の使用による、GACI、および異所性ミネラル化の他の疾患の治療のための安全な治療法を確立するという目標が達成される。

0033

定義
別様に定義されていない限り、本明細書において用いられるすべての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと同様のまたは同等の任意の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料が記載される。

0034

本明細書において使用する場合、以下の用語のそれぞれは、本章におけるそれと関連した意味を有する。

0035

「1つ(a)」および「1つ(an)」という詞は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)のを指すために本明細書において用いられる。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。

0036

量、時間的継続期間などの測定可能な値を指す場合に本明細書において用いられる「約」は、指定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらに一層より好ましくは±0.1%の変動を包含することを意図され、というのはそのような変動は、開示される方法を実施するのに適切であるからである。

0037

本明細書において使用する場合、「Ap3P」という用語は、アデノシン-(5')-トリホスホ-(5')-アデノシンまたはその塩を指す。

0038

本明細書において使用する場合、「NPP」という用語は、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼを指す。

0039

「疾患」とは、動物恒常性を維持できず、かつ疾患が改善されない場合には動物の健康が悪化し続ける、動物の健康の状態である。

0040

動物における「障害」とは、動物は恒常性を維持し得るが、動物の健康の状態は、該障害の非存在下にそれがあるよりも好ましくない、健康の状態である。治療されずに放置されると、障害は、動物の健康の状態のさらなる減少を必ずしも引き起こすわけではない。

0041

疾患もしくは障害の症状の重症度、そのような症状が患者によって経験される頻度、またはその両方が低下した場合、疾患または障害は「軽減」される。

0042

生物、組織、細胞、またはそれらの構成要素の文脈において用いられる場合、「異常な」という用語は、少なくとも1つの観察可能なまたは検出可能な特徴(例えば、年齢、処理、日時など)の点で、「正常な」(予想される)それぞれの特徴を呈示するそうした生物、組織、細胞、またはそれらの構成要素とは異なるそうした生物、組織、細胞、またはそれらの構成要素を指す。1種の細胞または組織のタイプについて正常であるかまたは予想される特徴は、異なる細胞または組織のタイプに対して異常であり得る。

0043

「単離された」とは、天然状態から変更されたかまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きた動物に天然に存在している核酸またはポリペプチドは「単離されて」いないが、その天然状態の共存している材料から部分的にまたは完全に分離された同じ核酸またはポリペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸もしくはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在し得る、または例えば宿主細胞などの非天然環境に存在し得る。

0044

本明細書において使用する場合、「実質的に精製された」とは、他の構成要素を本質的に含んでいないことを指す。例えば、実質的に精製されたポリペプチドとは、それがその天然に存在する状態において通常関連している他の構成要素から分離されているポリペプチドである。

0045

本明細書において用いられる「試料」または「生物学的試料」とは、対象から単離された生物学的材料を意味する。生物学的試料は、対象における生理的または病的な過程mRNA、ポリペプチド、または他のマーカーを検出するのに適した任意の生物学的材料を含有し得、かつ、個体から得られた体液、組織、細胞性および/または非細胞性材料を含み得る。

0046

本明細書において使用する場合、「野生型」という用語は、天然に存在する供給源から単離された遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子とは、集団において最も高頻度に観察されるものであり、したがって該遺伝子の「正常な」または「野生型」形態と任意に意図される。対照的に、「改変された」または「変異体」という用語は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に、配列および/または機能特性(すなわち、変更された特徴)の改変を呈示する遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する変異体は単離することができ、これらは、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に、それらが変更された特徴(変更された核酸配列を含む)を有するという事実によって同定されることが留意される。

0047

本明細書において使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基、関連した天然に存在する構造変種、およびペプチド結合により連結されたそれらの天然に存在しない合成類似体から構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば自動ポリペプチド合成機を用いて合成され得る。本明細書において使用する場合、「タンパク質」という用語は、典型的に、大きなポリペプチドを指す。本明細書において使用する場合、「ペプチド」という用語は、典型的に、短いポリペプチドを指す。ポリペプチド配列を表すために従来的表記法が本明細書において用いられ、ポリペプチド配列の左側端アミノ末端であり、かつポリペプチド配列の右手端はカルボキシル末端である。

0048

本明細書において使用する場合、アミノ酸は、下記に表示されるように、それらの正式名称によって、それらに対応する3文字コードによって、またはそれらに対応する1文字コードによって表される。

0049

アミノ酸配列変種」という用語は、天然型配列ポリペプチドとある程度異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。普通、アミノ酸配列変種は、天然型ポリペプチドに対して少なくとも約70%の相同性、少なくとも約80%の相同性、少なくとも約90%の相同性、または少なくとも約95%の相同性を保有する。アミノ酸配列変種は、天然型アミノ酸配列のアミノ酸配列内のある特定の位置に置換、欠失、および/または挿入を保有する。

0050

本明細書において使用する場合、本明細書において用いられる「保存的変動」または「保存的置換」という用語は、別の生物学的に類似した残基によるアミノ酸残基の置き換えを指す。保存的な変動または置換は、ペプチド鎖の形状を変化させる可能性が低い。保存的な変動または置換の例には、別のものに対するイソロイシンバリンロイシン、もしくはメチオニンなどの1個の疎水性残基の置き換え、またはリジンに対するアルギニンアスパラギン酸に対するグルタミン酸、もしくはアスパラギンに対するグルタミンなど、別のものに対する1個の極性残基の置換が含まれる。

0051

本明細書において使用する場合、「ドメイン」という用語は、疎水性、極性、球状、およびらせん状のドメインまたは特性など、しかしながらそれらに限定されない共通の物理化学的特質を共有する分子または構造の一部を指す。結合ドメインの具体的な例には、DNA結合ドメインおよびATP結合ドメインが含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0052

「核酸」はポリヌクレオチドを指し、ポリリボヌクレオチドおよびポリデオキシリボヌクレオチドを含む。本発明に従った核酸は、ピリミジンおよびプリン塩基、それぞれ好ましくはシトシンチミン、およびウラシル、ならびにアデニンおよびグアニンの任意のポリマーまたはオリゴマーを含み得る。(すべての目的のためにその全体として本明細書に組み入れられる、Albert L. Lehninger, Principles of Biochemistry, 793-800(Worth Pub. 1982)を参照されたい)。実際に、本発明は、これらの塩基のメチル化ヒドロキシメチル化、またはグルコシル化形態など、任意のデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはペプチド核酸構成要素、およびそれらの任意の化学的変種を企図する。ポリマーまたはオリゴマーは、組成において不均一もしくは均一であり得、かつ天然に存在する供給源から単離され得、または人工的にもしくは合成的に産生され得る。加えて、核酸は、DNAもしくはRNA、またはそれらの混合物であり得、かつホモ二重鎖ヘテロ二重鎖、および混成状態を含めた、一本鎖または二本鎖の形態で恒久的にまたは過渡的に存在し得る。

0053

オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、長さが少なくとも2個、好ましくは少なくとも8、15、もしくは25個のヌクレオチドに及ぶ核酸であるが、最高50、100、1000、もしくは5000個のヌクレオチド長であり得、またはポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする化合物であり得る。ポリヌクレオチドには、天然供給源から単離され得る、組換えにより産生され得る、または人工的に合成され得る、デオキシリボ核酸(DNA)もしくはリボ核酸(RNA)、またはそれらの模倣体の配列が含まれる。本発明のポリヌクレオチドのさらなる例は、ペプチド核酸(PNA)であり得る。(参照によりその全体として本明細書によって組み入れられる、米国特許第6,156,501号を参照されたい)。本発明は、ある特定のtRNA分子において同定されかつ三重らせんの状態で存在すると仮定されているフーグスティーン塩基対などの非伝統的塩基対がある状況も包含する。「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において代替可能に用いられる。ヌクレオチド配列DNA配列(例えば、A、T、G、およびC)によって本明細書において表される場合、これは、「U」が「T」を置き換える、対応するRNA配列(例えば、A、U、G、C)も含むと理解される。

0054

本明細書において使用する場合、「ポリヌクレオチド」は、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の、cDNA、RNA、DNA/RNA混成物アンチセンスRNAリボザイムゲノムDNA、合成形態、および混合ポリマーを含み、かつ非天然のもしくは誘導体化された、合成の、または半合成ヌクレオチド塩基を含有するように化学的にまたは生化学的に改変され得る。また、1個もしくは複数個のヌクレオチドの欠失、挿入、置換、または他のポリヌクレオチド配列への融合を含むがそれらに限定されない、野生型または合成の遺伝子の変更が企図される。

0055

「単離された核酸」とは、天然に存在する状態でそれに隣接する配列から分離されている核酸セグメントまたは断片、例えば、断片に通常近接している配列、例えばそれが天然に存在するゲノムにおいて断片に近接した配列から引き離されているDNA断片を指す。該用語は、天然には核酸に付随している他の構成要素、例えば天然には細胞内でそれに付随しているRNAまたはDNAまたはタンパク質から、実質的に精製されている核酸にも適用される。したがって、該用語は、例えば、ベクター中に、自己複製プラスミド中もしくはウイルス中に、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA内に組み入れられている、あるいは他の配列から独立して別個の分子として(例えば、PCRまたは制限酵素消化によって産生されたcDNA、またはゲノム断片もしくはcDNA断片として)存在する組換えDNAを含む。それは、さらなるポリペプチド配列をコードする混成遺伝子の一部である組換えDNAも含む。

0056

対立遺伝子」とは、細胞内、個体内、または集団内の遺伝子配列(遺伝子など)の1つの特異的形態を指し、該特異的形態は、遺伝子の配列内の少なくとも1つ、高頻度には2つ以上の変種部位の配列において、同じ遺伝子の他の形態とは異なる。異なる対立遺伝子間で異なるこれらの変種部位における配列は、「変種」、「多型」、または「変異」と称される。

0057

本明細書において使用する場合、「変更」、「欠損」、「変動」、または「変異」という用語は、細胞内の遺伝子における、それがコードするポリペプチドの機能、活性、発現(転写または翻訳)、または立体構造に影響を及ぼす変異を指す。本発明によって包含される変異は、コードされたタンパク質の発現の完全な欠如を含めた、コードされたポリペプチドの機能、活性、発現、または立体構造の増強または妨害をもたらす、細胞内の遺伝子の任意の変異であり得、かつ例えばミスセンスおよびナンセンス変異、挿入、欠失、フレームシフト、ならびに未成熟終結を含み得る。そのように限定されることなく、本発明によって包含される変異は、mRNAのスプライシングを変更し得(スプライシング部位変異)、またはリーディングフレームシフトを引き起こし得る(フレームシフト)。

0058

本明細書において用いられる「抗体」という用語は、抗原上の特異的エピトープに特異的に結合し得る免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然供給源または組換え供給源に由来する無傷免疫グロブリンであり得、かつ無傷免疫グロブリンの免疫反応性部分であり得る。本明細書における抗体は、例えばポリクローナル抗体モノクローナル抗体細胞内抗体(「イントラボディ」)、Fv、Fab、およびF(ab)2、ならびに一本鎖抗体(scFv)、ラクダ抗体などの重鎖抗体合成抗体キメラ抗体、およびヒト化抗体を含めた多様な形態で存在し得る(Harlow et al., 1999, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。

0059

本明細書において使用する場合、「免疫アッセイ法」とは、標的分子を検出および定量化するための、標的分子に特異的に結合し得る抗体を用いる任意の結合アッセイ法を指す。

0060

本明細書において用いられる「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能する、タンパク質のクラスとして定義される。B細胞によって発現される抗体は、BCR(B細胞受容体)または抗原受容体と称されることもある。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーは、IgA、IgG、IgMIgD、およびIgEである。IgAは、唾液涙液母乳消化管分泌物、ならびに気道および尿生殖路粘液分泌物など、身体分泌物中に存在している主要な抗体である。IgGは最もよく見られる循環抗体である。IgMは、ほとんどの対象における主要な免疫応答において産生される主たる免疫グロブリンである。それは、凝集(agglutination)、補体結合(complement fixation)、および他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、かつ細菌およびウイルスに対する防御において重要である。IgDは、公知の抗体機能を有しないが、抗原受容体として働き得る免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲン曝露されると、肥満細胞および好塩基球から仲介因子の放出を引き起こすことによって即時の過感受性を仲介する免疫グロブリンである。

0061

「コードする」とは、ヌクレオチドの規定配列(すなわち、rRNA、tRNA、およびmRNA)またはアミノ酸の規定配列のいずれか、およびそれからもたらされる生物学的特性を有する生物学的過程において、他のポリマーおよび高分子の合成のための鋳型として働く、遺伝子、cDNA、またはmRNAなどのポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特異的配列固有の特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳により、細胞または他の生物学的システムにおいてタンパク質が産生される場合、タンパク質をコードする。mRNA配列と同一でありかつ配列表において通常提供されるヌクレオチド配列であるコード鎖、および遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として用いられる非コード鎖の両方は、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードすると称され得る。

0062

本明細書において用いられる「コード配列」という用語は、転写されかつ/または翻訳されて、mRNAおよび/もしくはポリペプチド、またはそれらの断片を産生し得る、核酸もしくはその相補体、またはそれらの一部の配列を意味する。コード配列は、ゲノムDNAまたは未成熟一次RNA転写物におけるエクソンを含み、それは細胞の生化学的機構によって一つに接続されて、成熟mRNAを提供する。アンチセンス鎖はそのような核酸の相補体であり、コード配列はそこから推定され得る。対照的に、本明細書において用いられる「非コード配列」という用語は、インビボでアミノ酸に翻訳されない、またはtRNAがアミノ酸を置くように相互作用しないもしくは置こうと試みない、核酸もしくはその相補体、またはそれらの一部の配列を意味する。非コード配列は、ゲノムDNAまたは未成熟一次RNA転写物におけるイントロン配列、およびプロモーターエンハンサーサイレンサーなどの遺伝子関連配列の両方を含む。

0063

抗体に関して本明細書において用いられる「特異的に結合する」という用語は、試料における、特異的抗原を認識するが、他の分子を実質的に認識しないまたは結合しない抗体を意味する。例えば、1つの種由来の抗原に特異的に結合する抗体は、1つまたは複数の種由来のその抗原にも結合し得る。しかし、そのような種間反応性それ自体は、特異的であるものとしての抗体の分類を変更しない。別の例において、抗原に特異的に結合する抗体は、該抗原の異なる対立遺伝子形態にも結合し得る。しかしながら、そのような交差反応性それ自体は、特異的であるものとしての抗体の分類を変更しない。ある場合には、「特異的結合」または「特異的に結合」という用語を、抗体、タンパク質、またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関連して用いて、該相互作用が、該化学種上にある特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを意味し得、例えば抗体は、全般的にタンパク質というよりもむしろ特異的なタンパク質構造を認識しかつ結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識された「A」および該抗体を含有する反応において、エピトープA(または遊離した標識されていないA)を含有する分子の存在は、該抗体に結合している標識されたAの量を低下させると考えられる。

0064

本明細書において使用する場合、「相補的」または「相補性」という用語は、塩基対合則によって関連付けされたポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチドの配列)に関連して用いられる。例えば、「A-G-T」という配列は「T-C-A」という配列に相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対合則に従って合致している「部分的」であり得る。または、核酸間で「完全な」または「全くの」相補性があり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に対して重大な影響を有する。これは、増幅反応において、ならびに核酸間の結合に依存する検出法において特に重要である。

0065

本明細書において使用する場合、核酸に適用される「断片」という用語は、より大きな核酸の部分配列を指す。核酸の「断片」は、長さが少なくとも約15個のヌクレオチド、例えば少なくとも約50個のヌクレオチド〜約100個のヌクレオチド、少なくとも約100個〜約500個のヌクレオチド、少なくとも約500個〜約1000個のヌクレオチド、少なくとも約1000個のヌクレオチド〜約1500個のヌクレオチド、約1500個のヌクレオチド〜約2500個のヌクレオチド、または約2500個のヌクレオチド(およびその間にある任意の整数値)であり得る。本明細書において使用する場合、タンパク質またはペプチドに適用される「断片」という用語は、より大きなタンパク質またはペプチドの部分配列を指す。タンパク質またはペプチドの「断片」は、長さが少なくとも約20個のアミノ酸、例えば長さが少なくとも約50個のアミノ酸、長さが少なくとも約100個のアミノ酸、長さが少なくとも約200個のアミノ酸、長さが少なくとも約300個のアミノ酸、または長さが少なくとも約400個のアミノ酸(およびその間にある任意の整数値)であり得る。

0066

相同な」とは、2種のポリペプチド間または2種の核酸分子間の配列類似性または配列同一性を指す。2種の比較された配列の両方における位置が、同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占有される場合、例えば2種のDNA分子のそれぞれにおける位置がアデニンによって占有される場合には、該分子はその位置において相同である。2種の配列間の相同性のパーセントは、比較された位置の数で割った、該2種の配列によって共有される合致している位置または相同な位置の数×100の関数である。例えば、2種の配列における10個の位置のうちの6個が合致しているかまたは相同である場合には、該2種の配列は60%相同である。例として、ATTGCCおよびTATGGCというDNA配列は、50%の相同性を共有する。一般的に、最大の相同性を与えるように2種の配列を整列させた場合に比較がなされる。

0067

教材」には、その用語が本明細書において用いられる場合、本明細書において挙げられる様々な疾患または障害を同定または軽減または治療するための、キットにおける本発明の核酸、ペプチド、および/または化合物の有用性を伝えるために用いられ得る刊行物、記録、図表、または他の任意の表現媒体が含まれる。任意でまたは代替的に、教材は、対象の細胞または組織における疾患または障害を同定または軽減する1つまたは複数の方法を記載し得る。キットの教材は、例えば、本発明の核酸、ポリペプチド、および/もしくは化合物を含有する容器貼付され得、または核酸、ポリペプチド、および/もしくは化合物を含有する容器とともに出荷され得る。代替的に、受容者が教材および化合物を協調的に用いることを意図して、教材は容器とは別個に出荷され得る。

0068

本明細書において用いられる「モジュレートする」という用語は、治療もしくは化合物の非存在下での対象におけるmRNA、ポリペプチド、もしくは応答の活性および/もしくはレベルと比較した、ならびに/または他の点では同一であるが治療されていない対象におけるmRNA、ポリペプチド、もしくは応答の活性および/もしくはレベルと比較した、対象におけるmRNA、ポリペプチド、もしくは応答の活性および/もしくはレベルの検出可能な増加または減少を仲介することを意味する。該用語は、天然のシグナルまたは応答を活性化し、阻害し、かつ/または別様に影響を及ぼし、それによって、対象、好ましくはヒトにおける有益な治療応答が仲介されることを包含する。

0069

本明細書において使用する場合、「治療」または「治療する」という用語は、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する可能性を治癒する、癒す、軽減する、緩和する、変更する、是正する、改善する、向上させる、または影響を及ぼすことを目的とした、患者への治療剤、すなわち本発明内で有用な化合物の(単独での、または別の薬学的作用物質と組み合わせての)適用または投与、あるいは(例えば、診断またはエクスビボ適用のための、)疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する可能性を有する患者由来の単離された組織または細胞株への治療剤の適用もしくは投与として定義される。そのような治療を、ゲノム薬理学の分野から得られた知識に基づいて特別に調整し得るかまたは改変し得る。

0070

本明細書において使用する場合、「予防する」または「予防」という用語は、何も生じていない場合には障害もしくは疾患の発症がないこと、または障害もしくは疾患の発症がすでにある場合にはさらなる障害もしくは疾患の発症がないことを意味する。障害または疾患と関連した症状の一部またはすべてを予防するものの能力も考慮される。

0071

本明細書において使用する場合、「患者」、「個体」、または「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳類を指す。非ヒト哺乳類には、例えばヒツジ、ウシ、ブタ、イヌネコ、およびネズミ哺乳類などの家畜およびペットが含まれる。好ましくは、患者、個体、または対象はヒトである。

0072

本明細書において使用する場合、「有効量」、「薬学的有効量」、および「治療的有効量」という用語は、所望の生物学的結果を提供する、作用物質の非毒性であるが十分な量を指す。その結果とは、疾患の兆候、症状、もしくは原因の低下および/もしくは軽減、または生物学的システムの他の任意の所望の変更であり得る。任意の個々の症例における適切な治療量は、ルーチン的実験を用いて当業者によって決定され得る。

0073

本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物学的活性または特性を無効にせずかつ比較的非毒性である、担体または希釈剤などの材料を指し、すなわち該材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれを含有する組成物の構成要素のいずれとも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。

0074

本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される塩」という言葉は、無機酸、無機塩基有機酸、無機塩基、それらの溶媒和物水和物、および包接化合物を含めた、薬学的に許容される非毒性の酸および塩基から調製された、投与される化合物の塩を指す。適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。無機酸の例には、サルフェートハイドロゲンサルフェート、塩酸臭化水素酸ヨウ化水素酸硝酸炭酸硫酸、およびリン酸(ハイドロゲンホスフェートおよびジハイドロゲンホスフェートを含む)が含まれる。適切な有機酸は、脂肪酸シクロ脂肪酸(cycloaliphatic)、芳香族酸アラリフティック(araliphatic)酸、複素環酸、カルボン酸、およびスルホン酸類の有機酸より選択され得、その例には、ギ酸酢酸プロピオン酸コハク酸グリコール酸グルコン酸乳酸リンゴ酸酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸グルクロン酸マレイン酸フマル酸ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸フェニル酢酸マンデル酸エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸エタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸パントテン酸トリフルオロメタンスルホン酸2-ヒドロキシエタンスルホン酸p-トルエンスルホン酸スルファニル酸シクロヘキシルアミノスルホン酸ステアリン酸アルギン酸β-ヒドロキシ酪酸サリチル酸ガラクタル酸、およびガラクツロン酸が含まれる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩には、例えばカルシウム塩マグネシウム塩カリウム塩ナトリウム塩、および亜鉛塩など、例えばアルカリ金属塩アルカリ土類金属塩、および遷移金属塩を含めた金属塩が含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩には、例えばN,N'-ジベンジルエチレン-ジアミンクロプロカインコリンジエタノールアミンエチレンジアミンメグルミンN-メチルグルカミン)、およびプロカインなどの塩基性アミンから作られた有機塩も含まれる。これらの塩のすべては、例えば適切な酸または塩基と化合物とを反応させることによって、対応する化合物から調製され得る。

0075

本明細書において使用する場合、「組成物」または「薬学的組成物」という用語は、本発明内で有用な少なくとも1種の化合物と薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は、患者への化合物の投与を容易にする。静脈内投与経口投与エアロゾル投与、吸入投与直腸投与内投与、経皮投与鼻腔内投与口腔投与、舌下投与非経口投与髄腔内投与胃内投与、眼内(ophthalmic)投与、肺内投与、および局部投与を含むがそれらに限定されない、化合物を投与する多数の技術が当技術分野において存在する。

0076

本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明内で有用な化合物を、それがその意図される機能を果たし得るように、患者内にまたは患者に運ぶまたは輸送する際に伴う、液体もしくは固体充填剤、安定剤、分散剤懸濁化剤、希釈剤、賦形剤増粘剤、溶媒、または封入材料など、薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味する。典型的に、そのような構築物は、一方の臓器または身体の部分から、別の臓器または身体の部分に運ばれるかまたは輸送される。各担体は、本発明内で有用な化合物を含めた、製剤の他の成分と適合性であり、かつ患者に有害でないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として働き得る材料のいくつかの例には、ラクトースグルコース、およびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプンセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウムエチルセルロース、およびセルロースアセテートなどのその誘導体;粉状トラガカント麦芽ゼラチンタルクココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油綿実油サフラワー油ゴマ油オリーブ油トウモロコシ油、および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコールグリセリンソルビトールマンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオールオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル寒天水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤界面活性剤;アルギン酸;発熱物質含水等張生理食塩水リンゲル液エチルアルコールリン酸緩衝液;ならびに薬学的製剤において採用される他の非毒性の適合性物質が含まれる。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される担体」には、本発明内で有用な化合物の活性と適合性でありかつ患者にとって生理学的に許容される、任意のおよびすべてのコーティング剤抗菌剤および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤なども含まれる。補助活性化合物も組成物内に組み込まれ得る。「薬学的に許容される担体」には、本発明内で有用な化合物の薬学的に許容される塩がさらに含まれ得る。本発明の実践において用いられる薬学的組成物内に含まれ得る他のさらなる成分は、当技術分野において公知であり、かつ例えば参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences(Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記載されている。

0077

値域:本開示を通して、本発明の様々な局面は値域形式で提示され得る。値域形式での記載は、単に利便性および簡潔性のためのものであり、本発明の範囲に対する確固たる限定として見なされるべきではないことが理解されるべきである。したがって、値域の記載は、すべての考え得る部分値域、ならびにその値域内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1〜6などの値域の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分値域、ならびにその値域内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。このことは、値域の幅にかかわらず適用される。

0078

説明
ヒトNPP4についての現在の高分解能構造決定により、NPP1との詳細な構造−機能比較研究が可能となった。これらの膜結合型細胞表面酵素は、細胞外プリン作動性シグナルの代謝ならびにヌクレオチド再取り込みに関与している。両方の外酵素は、ヌクレオチド含有基質の標的化を説明する、2個の結合した亜鉛イオンに近接した疎水性の狭い溝を保有し、そこでは、ヌクレオチド塩基が溝内で結合しかつ加水分解によりヌクレオチドモノホスフェートが産物の1つとして産出される。アデニンは両酵素にとって最も好ましい塩基タイプであり、かつ結合しているAMP分子産物とそれぞれとの共結晶構造により、結合部位のその領域におけるそれらの機能的類似性が強調される。両酵素は、Ap3Aを加水分解し得るが、ATPに対して驚くほど異なる応答を呈することが見出された。

0079

NPP4およびNPP1は、ATPに対するそれらの応答において大きく異なる。NPP1はATPをAMPおよびPPiにすぐに加水分解し、その後者は骨外性ミネラル化の強力な阻害物質であり、かつNPP1の変異体は、前に概説されている、骨または軟組織の石灰化を伴う疾患に関与し得る。観察された産物を産出するために、ATPは、NPP1-AMP共結晶構造において見られる同じ配向でNPP1に結合するはずである。全く対照的に、NPP4は、たとえそれがNPP1と非常に類似した様式でAMPに結合するとしても、ごくゆっくりとしかATPを切断しない。これらの2種の酵素の重ね合わせにより、AMPのように結合している場合の、ATPの末端ホスフェートのエリアにおける重要な構造差が明らかとなっている。ATP複合体エネルギー最小化シミュレーションにより、NPP1は、誘導性適合による電荷安定化を提供する3分割されたリジン立爪の存在により、ATPのγ-ホスフェートに好ましい環境を提供することが明らかとなっている。基質の非存在下において、結合ポケットの上部隆起を裏打ちする2個のリジン(Lys260およびLys510、マウスによる番号付け)は、それらが不規則であるNPP1-AMP産物複合体(4GTW)において、またはそれらが高いB因子を呈しかつ溶媒中に伸びているNPP1-バナデート複合体(4B56)において実証されているように可動性である。ATP基質結合があると、高度に負のγ-ホスフェートは、これらのリジンを静電的に引き付けるはずであり、それは、結合ポケットの床面にある固定Lys237とともに、末端ホスフェートを正電荷で効果的に包み込む働きをするはずである。PPiはさらにより負に帯電しているため、これは、産物安定化により加水分解も促進し得る。これらのリジン残基が、ATPのNPP1加水分解において果たす役割はこれまで解されておらず、NPP4との詳細な構造比較の中で明るみに出た。

0080

NPP4の対応する領域の重ね合わせにより、それは、同様に結合しているATPにとって著しく好都合さが低いことが示されており、より開き、より少ない正帯電残基を含有し、かつATPのγ-ホスフェートに極めて接近した活性部位に突き出るAsp335などの負帯電残基を取り入れ局所構造様式を有する。NPP4がγ-ホスフェートの領域において好ましくない環境を提供するという観察と一致して、切断不能なATP類似体との共結晶化の試みにより、認識可能な結合がないことが明らかとなった。同様に、ATPまたは切断可能なATP類似体との共結晶化の試みにより、結晶が増大するのにかかる数日にわたってAMP複合体が産出され、ATP結合は弱いものの、それは時折、加水分解されるのに極めて十分に接近するようになることが示されている。AMP産物分子は同一の条件下で結合し得、よい強い親和性を反映している。Zn1の隣のホスフェート基は、定義により、ホスホジエステルから、より多くの負電荷を持つ末端ホスフェートに変換されるため、産物阻害はNPP反応の固有の特質である可能性がある。本データは、NPP4がATPをインビボで効果的に加水分解する可能性は低いことを示しており、NPP1が、骨再形成および細胞外石灰化を調節するプリン作動性シグナルを代謝する主要な細胞外酵素であるという見解を支持する。

0081

対照的に、NPP4およびNPP1は両方とも、Ap3AをAMPおよびADPに加水分解し、NPP4のものよりおよそ30倍緊密な、Ap3Aに対するNPP1のミカエリス定数を有する。このより高い親和性は、同一濃度のAp3Aにおいて、血小板凝集を誘発するのに要されるより低い濃度のNPP1に反映されている(図10)。血小板活性化があると、循環血小板の高密度顆粒内貯蔵された高濃度のAp3Aが放出される。いかなる理論によっても限定されることを望むことなく、生理的濃度のAp3Aの加水分解を介して血小板凝集を誘導し得る、脳血管内皮上のNPP4を同定することによって、血管結合型NPPは大脳血小板凝集に寄与し得る。Ap3Aは、ADPよりも全血中で有意により長い寿命を有し、かつADPの「化学的にマスクされた」供給源として働くことによって、安定な血栓形成を支援すると長く仮説を立てられてきた。

0082

Ap3AをADPにすぐに加水分解し得るNPP1の能力は、NPP1が止血において役割を果たし得るかどうかという疑問を起こさせる。本研究において、NPP1は、低いnM濃度でAp3A加水分解が可能であることが示されており、かつ低いnM濃度でのNPP1またはNPP4のいずれかは、ヒトPRPにおける不可逆的血小板凝集をインビトロで促進する。本作業は、いずれかの酵素が、血栓形成促進環境において低いnM濃度で存在している場合、インビボでの血小板凝集に重大に寄与し得ることを暗示している。

0083

最近、NPP1における多型は、鎌状赤血球貧血を有する小児患者において脳卒中保護を与えることが同定された。本結果は、脳卒中に対して保護的な、NPP1における多型が、血栓微小環境においてAp3A加水分解を減少させる機能喪失型変異に相当することを示唆している。脳毛細血管におけるNPP1活性の減少は、大脳毛細血管床におけるADP濃度の減少をもたらすと考えられ、したがって血小板凝集および血栓形成の減少を説明する直接的メカニズムを提供する。

0084

ヒトNPP1におけるK173Q変異は触媒ドメインにはないが、膜を貫通する領域付近のソマトメジンB-2ドメインにおいてむしろ見出される(図2B)。NPP1触媒ドメイン内の機能喪失型変異は、新生児期を越えてのヒト生存に適合性ではなく、脳卒中保護についてスクリーニングされた集団におけるそれらの非存在と一致している。いかなる理論によっても限定されることを望むことなく、NPP1 K173Q変異は、IDDM-2において観察されたK121Q変異と同様のNPP1血清濃度を増加させ得るが、とりわけ速度論的および凝集能測定のデータに照らして考えた場合、NPP1の機能獲得という仮説は、これらの血清中増加によって支持されない。K121Q多型におけるNPP1血清濃度(28pM)は、インビトロにおけるNPP1誘導性血小板凝集の活性化に要されるものをはるかに下回り、かつATPおよびAp3Aの両方に対するNPP1のミカエリス定数は、K121Q多型によって誘導される4pM増加よりもほぼ106高く、該増加がPPiまたはADP全身濃度のいずれかに影響を与える可能性は低いことが示唆される。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むことなく、NPP1 K173Q多型に起因する変化に対して考え得るメカニズムは、血管内皮由来のNPP1のエクトドメインシェディング(ectodomain shedding)を増加させ得、それが、このタンパク質の血清レベル、およびこの時点で露出された血管内皮上でのNPP1活性の喪失の両方の増加を説明すると考えられる。加えて、K173Q変異がNPP1触媒活性を損なう手段は依然として不明瞭なままであるが、本知見は、脳卒中に対して保護的なNPP1多型は、PPi濃度を増加させる機能獲得型変異よりも、大脳毛細血管床の内皮表面でのAp3A加水分解を減少させる機能喪失型変異に相当する可能性がより高いという考えを支持する。

0085

いくつかの態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片のATP加水分解レベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。他の態様において、本発明は、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のATP加水分解レベルまたは活性を誘導しかつ増加させる組成物および方法に関する。

0086

いくつかの態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片のAp3A加水分解レベルまたは活性を減少させるための組成物および方法に関する。他の態様において、本発明は、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のAp3A加水分解レベルまたは活性を減少させるための組成物および方法に関する。

0087

本発明の方法には、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片の活性またはレベルの増加が望ましい、障害および疾患を治療または予防する方法が含まれる。したがって、いくつかの態様において、本発明の組成物は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片の活性化因子に関する。様々な態様において、障害および疾患には、IIAC、OPLL、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0088

様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較して実質的に同じATP加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP1ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する。

0089

他の態様において、本発明の方法には、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の活性またはレベルの増加が望ましい障害および疾患を治療または予防する方法が含まれる。したがって、いくつかの態様において、本発明の組成物は、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の活性化因子に関する。様々な態様において、障害および疾患には、IIAC、OPLL、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、本発明は、変異NPP4ポリペプチドまたはその断片の酵素活性をヒドロラーゼに、つまりNPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片の同じ酵素活性を有する酵素に変更するための組成物および方法に関する。

0090

様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する。他の態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較して実質的に増加したATP加水分解活性を有する。さらに他の態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP4ポリペプチドまたはその断片は、対応する野生型NPP4ポリペプチドまたはその断片と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に増加したATP加水分解活性を有する。

0091

さらなる態様において、本発明は、NPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、変異体、または変異体断片、および変異NPP4ポリペプチドまたはその断片のレベルまたは活性を増加させるための組成物および方法に関する。

0092

NPP1治療的活性化因子組成物および方法
本発明は、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を増加させるNPP1活性化因子組成物および方法を含む。様々な態様において、本発明のNPP1活性化因子組成物および治療の方法は、NPP1ポリペプチド、NPP1mRNA、NPP1酵素活性、NPP1基質結合活性、その変異体、またはそれらの組み合わせの量を増加させる。様々な態様において、病的な石灰化または骨化の減少が治療成果を向上させ得る疾患および障害には、IIAC、OPLL、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0093

様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1は、対応する野生型NPP1と比較してより低いAp3A加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1は、対応する野生型NPP1と比較して実質的に同じATP加水分解活性を有する。様々な態様において、本発明の方法内で有用な変異NPP1は、対応する野生型NPP1と比較してより低いAp3A加水分解活性および実質的に同じATP加水分解活性を有する。様々な態様において、変異NPP1は、Ser 532、Tyr 529、Tyr 451、Ile 450、Ser 381、Tyr 382、Ser 377、Phe 346、Gly 531、Ser 289、Ser 287、Ala 454、Gly 452、Gln 519、Glu 526、Lys 448、Glu 508、Arg 456、Asp 276、Tyr 434、Gln 519、Ser 525、Gly 342、Ser 343、およびGly 536からなる群より選択される少なくとも1つの位置に変異を有する。いかなる理論によっても限定されることを望むことなく、本発明内で企図される変異は、本発明者らによるNPP4についての高分解能構造決定によって、およびNPP1によるATP加水分解を容易にする、NPP1におけるリジン立爪についての正しい解釈によって情報を与えられている(図6〜9)。

0094

本明細書において提供される開示に基づき、NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1またはその変異体の転写、翻訳、またはその両方を含めた、発現の増加が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本発明の教示を一度備えると、NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1またはその変異体の活性(例えば、酵素活性、基質結合活性など)の増加が含まれることも解するであろう。したがって、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を増加させることには、NPP1ポリペプチドまたはその変異体の量を増加させること、およびNPP1またはその変異体をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく;かつそれには、NPP1ポリペプチドまたはその変異体の任意の活性を増加させることも同様に含まれる。本発明の組成物および方法は、NPP1もしくはその変異体を選択的に活性化し得、またはNPP1もしくはその変異体、および非限定的な例として変異NPP4などの別の分子の両方を活性化し得る。

0095

本明細書において報告される3次元構造を含めた、本明細書において提供される開示に基づき、NPP1活性またはその変異体のレベルの増加には、ATPに対するこの酵素の親和性(Km)を増加させるかまたはNPP1によるATPのPPiへの代謝回転率(kcat)を増加させる、ミカエリスメンテン定数の変更をもたらすための、NPP1における特異的残基の操作が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本発明の教示および本明細書において報告される3次元構造を一度備えると、本明細書において含有されかつ記載される開示、知見、および知識によって可能となる、NPP1の活性部位内の残基の置換によって、これが達成され得ることも解するであろう。したがって、この効果の変異は、本出願による技術の方法として主張される。

0096

当業者であれば、本発明の教示および本明細書において報告される3次元構造を一度備えると、NPP1またはその変異体の血栓形成促進活性を減少させることには、Ap3Aに対するNPP1の親和性(Km)を減少させるか、またはNPP1によるAp3AのADPへの代謝回転率(kcat)を減少させる、この酵素のミカエリス−メンテン定数の変更をもたらすための、NPP1における特異的残基の操作が包含されることも解するであろう。したがって、この効果を達成する変異は、本出願による技術の方法として主張される。当業者であれば、本発明の教示、ならびに図9および11において詳述されるNPP1内にドッキングされたAp3Aの分子を含めた、本明細書において報告される3次元構造を一度備えると、本明細書において含有されかつ記載される開示、知見、NPP1の分子構造、ならびに図6〜7、9、および11において図示される、Ap3Aに結合しているNPP1のモデルの分子構造の使用、ならびに他の知識によって可能となる、Ap3Aのアデニン結合ポケットを低下させるかまたは排除するアミノ酸の占有空間を増加させるアミノ酸への、NPP4のアデニン結合ポケットを裏打ちするアミノ酸の置換または変更によって、これが達成され得ることも解するであろう。したがって、この効果への変異は、本出願による技術の方法として主張される。

0097

したがって、本発明は、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、またはNPP1の発現もしくは活性の活性化因子の投与による、疾患または障害の予防および治療に関する。一態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は可溶性である。別の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は組換えNPP1ポリペプチドである。一態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体には、NPP1膜貫通ドメインを欠如しているNPP1ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体には、NPP1膜貫通ドメインが除去され、かつ非限定的な例としてNPP2などの別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP1ポリペプチドが含まれる。

0098

いくつかの態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は、IgGFcドメインを含む。他の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は、NPP1ポリペプチドに骨を標的にさせるための、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含むポリアスパラギン酸ドメインを含む。いくつかの態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は、IgG Fcドメインと、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含むポリアスパラギン酸ドメインとを含む。他の態様において、NPP1タンパク質またはその変異体は、ヌクレアーゼドメインを除去するようにトランケートされている。特定の態様において、NPP1タンパク質またはその変異体は、SEQID NO: 1に対する残基約524〜残基約885のヌクレアーゼドメインを除去するようにトランケートされ、SEQ ID NO: 1に対する残基約186〜残基約586の触媒ドメインのみが残され、これが、該タンパク質の触媒活性を失わないようにすることに役立つ。

0099

NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1またはその変異体の量の増加(例えば、NPP1、その断片、またはその変異体の投与による、NPP1タンパク質発現を増加させることによるなど)が包含されることは当業者によって理解されるであろう。加えて、当業者であれば、NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1活性の増加が含まれることを解するであろう。したがって、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を増加させることには、NPP1、その断片、またはその変異体の投与、ならびにNPP1またはその変異体をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく;かつそれには、NPP1またはその変異体の任意の活性を増加させることも同様に含まれる。

0100

NPP1またはその変異体のレベルまたは活性の増加は、本明細書において開示されるもの、ならびに当技術分野において周知の方法または将来開発されることになる方法を含めた、多種多様な方法を用いて査定され得る。つまり、ルーチン的に仕事をする人であれば、本明細書において提供される開示に基づき、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を増加させることは、本明細書において記載される基質および産物の代謝回転に対するミカエリス・メンテン反応速度論を変更する、NPP1もしくはその変異体をコードする核酸(例えば、mRNA)のレベル、NPP1ポリペプチドもしくはその変異体のレベル、ならびに/または対象から得られた生物学的試料における活性のレベルを査定する方法を用いて容易に査定され得ることを解するであろう。

0101

当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、本発明が、病的な石灰化または骨化に対して、全体的に(例えば、全身的に)または部分的に(例えば、局所的に、組織、臓器)治療されているかまたは治療され得る対象において有用であることを理解するであろう。一態様において、本発明は、病的な石灰化または骨化を治療または予防することにおいて有用である。当業者であれば、本明細書において提供される教示に基づき、本明細書において記載される組成物および方法によって治療可能な疾患および障害には、石灰化または骨化の減少がプラスの治療成果を促進すると考えられる任意の疾患または障害が包含されることを解するであろう。

0102

当業者であれば、NPP1またはその変異体を直接活性化することに加えて、それ自体がNPP1またはその変異体の量または活性を低くさせる分子の量または活性を低くさせることは、NPP1またはその変異体の量または活性を増加させる働きをし得ることに気づくであろう。したがって、活性化因子には、化学的化合物、タンパク質、ペプチド模倣体、抗体、リボザイム、およびアンチセンス核酸分子が含まれ得るが、それらに限定されると見なされるべきではない。当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、活性化因子には、NPP1またはその変異体のレベル、酵素活性、または基質結合活性を増加させる化学的化合物が包含されることを容易に解するであろう。加えて、化学の技術分野における当業者に周知であるように、活性化因子には、化学的に改変された化合物および誘導体が包含される。

0103

本明細書において提供される開示に基づき、NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1またはその変異体の転写、翻訳、またはその両方を含めた、発現の増加が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本発明の教示を一度備えると、NPP1またはその変異体のレベルの増加には、NPP1またはその変異体の活性(例えば、酵素活性、基質結合活性など)の増加が含まれることも解するであろう。したがって、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を増加させることには、NPP1ポリペプチドまたはその変異体の量を増加させること、NPP1またはその変異体をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく;かつそれには、NPP1ポリペプチドまたはその変異体の任意の活性を増加させることも同様に含まれる。本発明の活性化因子組成物および方法は、NPP1もしくはその変異体を選択的に活性化し得、またはNPP1もしくはその変異体、および非限定的な例としてNPP4などの別の分子の両方を活性化し得る。

0104

したがって、本発明は、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、またはNPP1の発現もしくは活性の活性化因子の投与に関する。一態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は可溶性である。別の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体は組換えポリペプチドである。一態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体には、NPP1膜貫通ドメインを欠如しているNPP1ポリペプチドまたはその変異体が含まれる。別の態様において、NPP1ポリペプチドまたはその変異体には、NPP1膜貫通ドメインまたはその変異体が除去され、かつ非限定的な例としてNPP2などの別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP1ポリペプチドまたはその変異体が含まれる。

0105

さらに、当業者であれば、本開示および本明細書において例示される方法を授かった場合、NPP1活性化因子には、本明細書において詳細に記載されるかつ/または当技術分野において公知であるNPP1の活性化についての生理学的結果など、薬理学の技術分野における周知の基準によって同定され得る、将来発見されるような活性化因子が含まれることを解するであろう。したがって、本発明は、本明細書において例示または開示される任意の特定のNPP1活性化因子または変異NPP1活性化因子に限定されるわけでは決してなく、むしろ本発明は、当技術分野において公知であるようなおよび将来発見されるような、ルーチン的に仕事をする人によって有用であると理解されるそうした活性化因子を包含する。

0106

天然に存在する供給源(例えば、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、スチテラオウランティウム(Stylotella aurantium)など)から活性化因子を獲得することを含むがそれに限定されない、NPP1活性化因子を同定および産生するさらなる方法が当業者に周知である。代替的に、NPP1活性化因子は化学的に合成され得る。さらに、ルーチン的に仕事をする人であれば、本明細書において提供される教示に基づき、NPP1活性化因子は、哺乳類タンパク質発現系、昆虫細胞タンパク質発現系、および酵母タンパク質発現系を含むがそれらに限定されない、組換えタンパク質発現系から獲得され得ることを解するであろう。NPP1活性化因子または変異NPP1活性化因子を化学的に合成するための、およびそれらを天然供給源から獲得するための組成物および方法は、当技術分野において周知でありかつ当技術分野において記載されている。

0107

当業者であれば、活性化因子は、小分子化学物質、タンパク質、タンパク質をコードする核酸構築物、またはそれらの組み合わせとして投与され得ることを解するであろう。細胞または組織にタンパク質またはタンパク質をコードする核酸構築物を投与するための、多くのベクターならびに他の組成物および方法が周知である。したがって、本発明は、NPP1またはその変異体の活性化因子であるタンパク質またはタンパク質をコードする核酸を投与する方法を含む(Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York;Ausubel et al., 1997, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York)。

0108

当業者であれば、それ自体がNPP1またはその変異体の量または活性を減らす分子の量または活性を減らすことは、NPP1またはその変異体の量または活性を増加させる働きをし得ることに気づくであろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドとは、mRNA分子のある部分に相補的であるDNAまたはRNA分子である。細胞内に存在している場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、既存のmRNA分子にハイブリダイズしかつ遺伝子産物への翻訳を阻害する。細胞内でアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させる方法がそうであるように(Inoue、米国特許第5,190,931号)、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子の発現を阻害することは、当技術分野において周知である(Marcus-Sekura, 1988, Anal. Biochem. 172:289)。本発明の方法は、NPP1またはその変異体の量または活性の減少を引き起こす分子の量を減らすためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を含み、それによって、NPP1またはその変異体の量または活性は増加する。当業者に周知の方法によって合成されかつ細胞に提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本発明において企図される。一例として、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10個〜約100個、より好ましくは約15個〜約50個のヌクレオチド長であるように合成され得る。非改変アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して生物学的活性を向上させる改変アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成がそうであるように、核酸分子の合成は当技術分野において周知である(米国特許第5,023,243号)。

0109

同様に、遺伝子の発現は、遺伝子のプロモーターまたは他の調節エレメントへのアンチセンス分子のハイブリダイゼーションによって阻害され得、それによって該遺伝子の転写は影響を受ける。関心対象の遺伝子と相互作用するプロモーターまたは他の調節エレメントの同定のための方法は、当術分野において周知であり、酵母ツーハイブリッドシステムなどの方法を含む(Bartel and Fields, eds., The Yeast Two Hybrid System, Oxford University Press, Cary, N.C.)。

0110

代替的に、NPP1またはその変異体のレベルまたは活性を減らすタンパク質を発現する遺伝子の阻害は、リボザイムの使用によって達成され得る。遺伝子発現を阻害するためにリボザイムを用いることは、当業者に周知である(例えば、Cech et al., 1992, J. Biol. Chem. 267:17479;Hampelet al., 1989, Biochemistry 28:4929;Altmanら、米国特許第5,168,053号を参照されたい)。リボザイムとは、他の一本鎖RNA分子を切断し得る能力を有する触媒RNA分子である。リボザイムは配列特異的であることが知られており、したがって特異的ヌクレオチド配列を認識するように改変され得(Cech, 1988, J. Amer. Med. Assn. 260:3030)、特異的mRNA分子の選択的切断が可能となる。本開示および本明細書に組み入れられる参照文献を提供されれば、分子のヌクレオチド配列を考慮して、当業者であれば、過度な実験なしで、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムを合成し得るであろう。

0111

当業者であれば、NPP1活性化因子、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、または活性NPP1ポリペプチド断片は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで投与され得ることを解するであろう。当業者であれば、適切な投与は、急性的(例えば、1日、1週間、または1ヶ月などの短い期間にわたる)または慢性的(例えば、数週間、数ヶ月、もしくは1年、またはそれ以上の長い期間にわたる)であり得ることも解するであろう。さらに、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、または活性NPP1ポリペプチド断片は、それらが同時に、互いの前および/または後に投与され得るという点において時間的な意味で、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで投与され得る。当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、または活性NPP1ポリペプチド断片を用いて、病的な石灰化または骨化を治療し得るかまたは予防し得ること、および活性化因子を、単独で、または別のNPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、もしくはNPP1活性化因子との任意の組み合わせで用いて、治療結果をもたらし得ることを解するであろう。

0112

本明細書において詳述される方法を含めた本開示を備えた場合、本発明は、一度確立された疾患または障害の治療に限定されるわけではないことが当業者によって解されるであろう。特に、疾患または障害の症状は、対象にとって損害となる時点まで現れている必要はなく、実際に、疾患または障害は、治療が施される前に対象において検出される必要はない。つまり、本発明が有益性を提供し得る前に、疾患または障害からの重大な病状が生じる必要はない。したがって、本明細書においてより十分に記載されるように、本発明は、本明細書における他の箇所で論じられるNPP1ポリペプチド、その断片、誘導体、もしくは変異体、またはNPP1活性化因子もしくは変異NPP1活性化因子を、疾患または障害の発生前に対象に投与して、それによって疾患または障害が発症するのを予防することができるという点において、対象において疾患および障害を予防するための方法を含む。

0113

当業者であれば、本明細書における開示を備えた場合、対象における疾患または障害の予防には、疾患または障害に対する予防対策として、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、またはNPP1活性化因子を対象に投与することが包含されることを解するであろう。一態様において、NPP1ポリペプチドは可溶性である。別の態様において、NPP1ポリペプチドは組換えNPP1ポリペプチドである。一態様において、NPP1ポリペプチドには、NPP1膜貫通ドメインを欠如しているNPP1ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP1ポリペプチドには、NPP1膜貫通ドメインが除去され、かつ非限定的な例としてNPP2などの別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP1ポリペプチドが含まれる。

0114

いくつかの態様において、NPP1ポリペプチドはIgGFcドメインを含む。他の態様において、NPP1ポリペプチドは、NPP1ポリペプチドに骨を標的にさせるための、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含むポリアスパラギン酸ドメインを含む。いくつかの態様において、NPP1ポリペプチドは、IgG Fcドメインと、約2個〜約20個またはそれ以上の連続したアスパラギン酸残基を含むポリアスパラギン酸ドメインとを含む。他の態様において、NPP1タンパク質は、ヌクレアーゼドメインを除去するようにトランケートされている。特定の態様において、NPP1タンパク質は、SEQID NO: 1に対する残基約524〜残基約885のヌクレアーゼドメインを除去するようにトランケートされ、SEQ ID NO: 1に対する残基約186〜残基約586の触媒ドメインのみが残され、これが、該タンパク質の触媒活性を失わないようにすることに役立つ。

0115

本明細書における他の箇所でより十分に論じられるように、NPP1のレベルまたは活性を増加させる方法には、NPP1活性を増加させるだけでなく、NPP1をコードする核酸の発現を増加させるための広く多量な技術が包含される。加えて、本明細書における他の箇所で開示されるように、当業者であれば、本明細書において提供される教示を一度備えると、本発明は、NPP1の発現および/または活性の増加により疾患または障害が調整、治療、または予防される、多種多様な疾患または障害を予防する方法を包含することを理解するであろう。さらに、本発明は、将来発見されるそのような疾患または障害の治療または予防を包含する。

0116

本発明は、本発明の方法を実践するための、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、NPP1活性化因子、またはNPP1様ATPヒドロラーゼ活性を呈するように改変された変異NPP4ポリペプチドの投与を包含し、当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、適切なNPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、またはNPP1活性化因子を製剤化する方法および対象に投与する方法を理解するであろう。しかしながら、本発明は、任意の特定の投与の方法または治療レジメンに限定されるわけではない。このことは、NPP1ポリペプチド、組換えNPP1ポリペプチド、変異NPP1ポリペプチド、活性NPP1ポリペプチド断片、またはNPP1活性化因子を投与する方法は、薬理学の技術分野における当業者によって決定され得ることが、病的な石灰化または骨化についての当技術分野において認識されているモデルを用いた実践化を含めた、本明細書において提供される開示を授かった当業者によって解されるであろう場合にとりわけあてはまる

0117

NPP4治療的活性化因子組成物および方法
様々な態様において、本発明は、NPP4のレベルまたは活性を増加させるNPP4活性化因子組成物および方法を含む。様々な態様において、本発明のNPP4活性化因子組成物および治療の方法は、NPP4ポリペプチドの量、NPP4mRNAの量、NPP4酵素活性の量、NPP4基質結合活性の量、またはそれらの組み合わせを増加させる。様々な態様において、病的な石灰化または骨化の減少が治療成果を向上させ得る疾患および障害には、IIAC、OPLL、低リン酸血症性くる病、変形性関節症、および、アテローム性動脈硬化プラークの石灰化が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0118

本明細書において報告される3次元構造を含めた、本明細書において提供される開示に基づき、NPP4またはその変異体のATP加水分解活性の増加には、ATPに対するこの酵素の親和性を増加させる(Kmを増加させる)、またはNPP4によるATPのPPiへの代謝回転率を増加させる(kcatを増加させる)、ミカエリス−メンテン定数の変更に影響を及ぼすための、NPP4における特異的アミノ酸の操作が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本明細書において報告される3次元構造を含めた、本発明の教示を一度備えると、図9において図示される2種の酵素の活性部位についての詳細な解析、およびNPP1におけるリジン立爪のNPP4内での再現を含むがそれらに限定されない、本明細書において含有されかつ記載される開示、知見、および知識によって可能となる、NPP4の活性部位へのNPP1の活性部位内の残基の置換によって、これが達成され得ることも解するであろう。したがって、この効果の変異は、本出願による技術の方法として主張される。

0119

当業者であれば、本発明の教示および本明細書において報告される3次元構造を一度備えると、NPP4またはその変異体の血栓形成促進活性を減少させることには、Ap3Aに対するNPP4の親和性を減少させる(Kmを減少させる)、またはNPP1によるAp3AのADPへの代謝回転率を減少させる(kcatを減少させる)、この酵素のミカエリス−メンテン定数の変更が包含されることも解するであろう。当業者であれば、本発明の教示、ならびにNPP4内にドッキングされたAp3Aの分子を含めた、本明細書において報告される3次元構造を一度備えると、本明細書において含有されかつ記載される開示、知見、NPP4の分子構造、ならびに図6〜7、9、および11において詳述される、Ap3Aに結合しているNPP4のモデルの分子構造、ならびに他の知識によって可能となる、NPP4内のAp3Aのアデニン結合ポケットを低下させるかまたは排除するアミノ酸の占有空間を増加させるアミノ酸への、NPP4のアデニン結合ポケットを裏打ちするアミノ酸の置換または変更によって、これが達成され得ることも解するであろう。したがって、この効果の変異は、本出願による技術の方法として主張される。

0120

本明細書において提供される開示に基づき、NPP4のレベルの増加には、転写、翻訳、またはその両方を含めた、NPP4発現の増加が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本発明の教示を一度備えると、NPP4のレベルの増加には、NPP4活性(例えば、酵素活性、基質結合活性など)の増加が含まれることも解するであろう。したがって、NPP4のレベルまたは活性を増加させることには、NPP4ポリペプチドの量を増加させること、およびNPP4をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく;かつそれには、NPP4ポリペプチドの任意の活性を増加させることも同様に含まれる。本発明のNPP4活性化因子組成物および方法は、NPP4を選択的に活性化し得、またはNPP4、および非限定的な例としてNPP1などの別の分子の両方を活性化し得る。

0121

したがって、本発明は、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4の発現もしくは活性の活性化因子を含めたNPP4の投与による、疾患または障害の予防および治療に関する。一態様において、NPP4は可溶性である。別の態様において、NPP4は組換えNPP4ポリペプチドである。一態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。一態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの細胞質ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。さらに別の態様において、NPP4は、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変されている。一態様において、本明細書における他の箇所で記載されるように変異NPP4ポリペプチドは、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変され、IgGFcおよび/またはポリアスパラギン酸ドメインに融合している。一態様において、変異NPP4ポリペプチドは、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。様々な態様において、変異NPP4ポリペプチドは、非限定的な例として、SEQNO ID: 3に対するD335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、またはT323などの、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。

0122

NPP4のレベルの増加には、NPP4の量の増加(例えば、NPP4またはその変異体もしくは断片の投与による、NPP4タンパク質発現を増加させることによるなど)が包含されることは当業者によって理解されるであろう。加えて、当業者であれば、NPP4のレベルの増加には、NPP4活性の増加が含まれることを解するであろう。したがって、NPP4のレベルまたは活性を増加させることには、NPP4またはその変異体もしくは断片の投与、ならびに、NPP4をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく、かつそれには、NPP4の任意の活性を増加させることも同様に含まれる。

0123

NPP4のレベルまたは活性の増加は、本明細書において開示されるものならびに当技術分野において周知の方法または将来開発されることになる方法を含めた、多種多様な方法を用いて査定され得る。つまり、ルーチン的に仕事をする人であれば、本明細書において提供される開示に基づき、NPP4のレベルまたは活性を増加させることは、NPP4をコードする核酸(例えば、mRNA)のレベル、NPP4ポリペプチドのレベル、および/または対象から得られた生物学的試料におけるNPP4活性のレベルを査定する方法を用いて容易に査定され得ることを解するであろう。

0124

当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、本発明が、病的な石灰化または骨化に対して、全体的に(例えば、全身的に)または部分的に(例えば、局所的に、組織、臓器)治療されている対象または治療され得る対象において有用であることを理解するであろう。一態様において、本発明は、病的な石灰化または骨化を治療または予防することにおいて有用である。当業者であれば、本明細書において提供される教示に基づき、本明細書において記載される組成物および方法によって治療可能な疾患および障害には、石灰化または骨化の減少がプラスの治療成果を促進すると考えられる任意の疾患または障害が包含されることを解するであろう。

0125

当業者であれば、NPP4を直接活性化することに加えて、それ自体がNPP4の量または活性を減らす分子の量または活性を減らすことは、NPP4の量または活性を増加させる働きをし得ることに気づくであろう。したがって、NPP4活性化因子には、化学的化合物、タンパク質、ペプチド模倣体、抗体、リボザイム、およびアンチセンス核酸分子が含まれ得るが、それらに限定されると見なされるべきではない。当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、NPP4活性化因子には、NPP4のレベル、酵素活性、または基質結合活性を増加させる化学的化合物が包含されることを容易に解するであろう。加えて、化学の技術分野における当業者に周知であるように、NPP4活性化因子には、化学的に改変された化合物および誘導体が包含される。

0126

本明細書において提供される開示に基づき、NPP4のレベルの増加には、転写、翻訳、またはその両方を含めた、NPP4発現の増加が包含されることは当業者によって理解されるであろう。当業者であれば、本発明の教示を一度備えると、NPP4のレベルの増加には、NPP4活性(例えば、酵素活性、基質結合活性など)の増加が含まれることも解するであろう。したがって、NPP4のレベルまたは活性を増加させることには、NPP4ポリペプチドの量を増加させること、NPP4をコードする核酸の転写、翻訳、またはその両方を増加させることが含まれるが、それらに限定されるわけではなく;かつそれには、NPP4ポリペプチドの任意の活性を増加させることも同様に含まれる。本発明のNPP4活性化因子組成物および方法は、NPP4を選択的に活性化し得、またはNPP4、および非限定的な例としてNPP1などの別の分子の両方を活性化し得る。したがって、本発明は、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4の発現もしくは活性の活性化因子の投与に関する。一態様において、NPP4は可溶性である。別の態様において、NPP4は組換えNPP4ポリペプチドである。一態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。一態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの細胞質ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。さらに別の態様において、NPP4は、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変されている。一態様において、本明細書における他の箇所で記載されるように、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変されたNPP4は、IgGFcおよび/またはポリアスパラギン酸ドメインに融合している。一態様において、変異NPP4ポリペプチドは、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。様々な態様において、NPP4ポリペプチドは、非限定的な例として、SEQID NO: 3に対するD335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、またはT323などの、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。

0127

さらに、当業者であれば、本開示および本明細書において例示される方法を授かった場合、NPP4活性化因子には、本明細書において詳細に記載されるかつ/または当技術分野において公知であるNPP4の活性化についての生理学的結果など、薬理学の技術分野における周知の基準によって同定され得る、将来発見されるような活性化因子が含まれることを解するであろう。したがって、本発明は、本明細書において例示または開示される任意の特定のNPP4活性化因子に限定されるわけでは決してなく、むしろ本発明は、当技術分野において公知であるようなおよび将来発見されるような、ルーチン的に仕事をする人によって有用であると理解されるそうした活性化因子を包含する。

0128

天然に存在する供給源(例えば、ストレプトマイセス属シュードモナス属、スチロテラ・オウランティウムなど)から活性化因子を獲得することを含むがそれに限定されない、NPP4活性化因子を同定および産生するさらなる方法が当業者に周知である。代替的に、NPP4活性化因子は化学的に合成され得る。さらに、ルーチン的に仕事をする人であれば、本明細書において提供される教示に基づき、NPP4活性化因子は、組換え生物から獲得され得ることを解するであろう。NPP4活性化因子を化学的に合成するための、およびそれらを天然供給源から獲得するための組成物および方法は、当技術分野において周知でありかつ当技術分野において記載されている。

0129

当業者であれば、活性化因子は、小分子化学物質、タンパク質、タンパク質をコードする核酸構築物、またはそれらの組み合わせとして投与され得ることを解するであろう。細胞または組織にタンパク質またはタンパク質をコードする核酸構築物を投与するための、多くのベクターならびに他の組成物および方法が周知である。したがって、本発明は、NPP4の活性化因子であるタンパク質またはタンパク質をコードする核酸を投与する方法を含む(Sambrook et al., 2012, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York;Ausubel et al., 1997, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York)。

0130

当業者であれば、それ自体がNPP4の量または活性を減らす分子の量または活性を減らすことは、NPP4の量または活性を増加させる働きをし得ることに気づくであろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドとは、mRNA分子のある部分に相補的であるDNAまたはRNA分子である。細胞内に存在している場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、既存のmRNA分子にハイブリダイズしかつ遺伝子産物への翻訳を阻害する。細胞内でアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させる方法がそうであるように(Inoue、米国特許第5,190,931号)、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子の発現を阻害することは、当技術分野において周知である(Marcus-Sekura, 1988, Anal. Biochem. 172:289)。本発明の方法は、NPP4の量または活性の減少を引き起こす分子の量を減らすためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を含み、それによってNPP4の量または活性は増加する。当業者に周知の方法によって合成されかつ細胞に提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本発明において企図される。一例として、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10個〜約100個、より好ましくは約15個〜約50個のヌクレオチド長であるように合成され得る。非改変アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して生物学的活性を向上させる改変アンチセンスオリゴヌクレオチドの合成がそうであるように、核酸分子の合成は当技術分野において周知である(Tullis、1991、米国特許第5,023,243号)。

0131

同様に、遺伝子の発現は、遺伝子のプロモーターまたは他の調節エレメントへのアンチセンス分子のハイブリダイゼーションによって阻害され得、それによって該遺伝子の転写は影響を受ける。関心対象の遺伝子と相互作用するプロモーターまたは他の調節エレメントの同定のための方法は、当術分野において周知であり、酵母ツーハイブリッドシステムなどの方法を含む(Bartel and Fields, eds., The Yeast Two Hybrid System, Oxford University Press, Cary, N.C.)。

0132

代替的に、NPP4のレベルまたは活性を減らすタンパク質を発現する遺伝子の阻害は、リボザイムの使用によって達成され得る。遺伝子発現を阻害するためにリボザイムを用いることは、当業者に周知である(例えば、Cech et al., 1992, J. Biol. Chem. 267:17479;Hampelet al., 1989, Biochemistry 28:4929;Altmanら、米国特許第5,168,053号を参照されたい)。リボザイムとは、他の一本鎖RNA分子を切断し得る能力を有する触媒RNA分子である。リボザイムは配列特異的であることが知られており、したがって特異的ヌクレオチド配列を認識するように改変され得(Cech, 1988, J. Amer. Med. Assn. 260:3030)、特異的mRNA分子の選択的切断が可能となる。本開示および本明細書に組み入れられる参照文献を提供されれば、分子のヌクレオチド配列を考慮して、当業者であれば、過度な実験なしでアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムを合成し得るであろう。

0133

当業者であれば、NPP4活性化因子、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、または活性NPP4ポリペプチド断片は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで投与され得ることを解するであろう。当業者であれば、適切な投与は、急性的(例えば、1日、1週間、または1ヶ月などの短い期間にわたる)または慢性的(例えば、数週間、数ヶ月、もしくは1年、またはそれ以上の長い期間にわたる)であり得ることも解するであろう。さらに、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、または活性NPP4ポリペプチド断片は、それらが同時に、互いの前および/または後に投与され得るという点において時間的な意味で、単独でまたはそれらの任意の組み合わせで投与され得る。当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、または活性NPP4ポリペプチド断片を用いて、病的な石灰化または骨化を治療し得るかまたは予防し得ること、および活性化因子を、単独で、または別のNPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、もしくはNPP4活性化因子との任意の組み合わせで用いて、治療結果をもたらし得ることを解するであろう。

0134

本明細書において詳述される方法を含めた本開示を備えた場合、本発明は、一度確立された疾患または障害の治療に限定されるわけではないことが当業者によって解されるであろう。特に、疾患または障害の症状は、対象にとって損害となる時点まで現れている必要はなく、実際に、疾患または障害は、治療が施される前に対象において検出される必要はない。つまり、本発明が有益性を提供し得る前に、疾患または障害からの重大な病状が生じる必要はない。したがって、本明細書においてより十分に記載されるように、本発明は、本明細書における他の箇所で論じられるNPP4ポリペプチド、またはその断片、誘導体、もしくは変異体、あるいはNPP4活性化因子を、疾患または障害の発生前に対象に投与して、それによって疾患または障害が発症するのを予防することができるという点において、対象において疾患および障害を予防するための方法を含む。

0135

当業者であれば、本明細書における開示を備えた場合、対象における疾患または障害の予防には、疾患または障害に対する予防対策として、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4活性化因子を含めたNPP4を対象に投与することが包含されることを解するであろう。一態様において、NPP4は可溶性である。別の態様において、NPP4は組換えNPP4ポリペプチドである。一態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4膜貫通ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの膜貫通ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。一態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインを欠如しているNPP4ポリペプチドが含まれる。別の態様において、NPP4には、NPP4細胞質ドメインが除去され、かつ別のポリペプチドの細胞質ドメインで置き換えられているNPP4ポリペプチドが含まれる。さらに別の態様において、NPP4は、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変されている。一態様において、本明細書における他の箇所で記載されるように、NPP1様ATP加水分解活性を呈するように改変されたNPP4は、IgGFcおよび/またはポリアスパラギン酸ドメインに融合している。一態様において、変異NPP4ポリペプチドは、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。様々な態様において、変異NPP4ポリペプチドは、非限定的な例として、SEQID NO: 3に対するD335、S92、D264、L265、S330、Q331、K332、またはT323などの、NPP4ポリペプチドの基質選択性をAp3AからATPに変化させる少なくとも1つの変異を含む。

0136

本明細書における他の箇所でより十分に論じられるように、NPP4のレベルまたは活性を増加させる方法には、NPP4活性を増加させるだけでなく、NPP4をコードする核酸の発現を増加させるための広く多量な技術が包含される。加えて、本明細書における他の箇所で開示されるように、当業者であれば、本明細書において提供される教示を一度備えると、本発明は、NPP4の発現および/または活性の増加により疾患または障害が調整、治療、または予防される、多種多様な疾患または障害を予防する方法を包含することを理解するであろう。さらに、本発明は、将来発見されるそのような疾患または障害の治療または予防を包含する。

0137

本発明は、本発明の方法を実践するための、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4活性化因子を含めたNPP4の投与を包含し、当業者であれば、本明細書において提供される開示に基づき、適切なNPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4活性化因子を製剤化する方法および対象に投与する方法を理解するであろう。しかしながら、本発明は、任意の特定の投与の方法または治療レジメンに限定されるわけではない。このことは、NPP4ポリペプチド、組換えNPP4ポリペプチド、変異NPP4ポリペプチド、活性NPP4ポリペプチド断片、またはNPP4活性化因子を投与する方法は、薬理学の技術分野における当業者によって決定され得ることが、病的な石灰化または骨化についての当技術分野において認識されているモデルを用いた実践化を含めた、本明細書において提供される開示を授かった当業者によって解されるであろう場合にとりわけあてはまる。

0138

当業者であれば、せいぜいルーチン実験、本明細書において記載される具体的な手順、態様、特許請求の範囲、および実施例の多くの同等物を用いることを認識するであろうまたは究明し得るであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内にありかつそれに付随する特許請求の範囲によって網羅されると見なされた。例えば、当技術分野において認識されている代替物による、およびせいぜいルーチン実験を用いた、反応時間、反応サイズ/容量、および溶媒、触媒などの実験試薬、圧力、大気条件、例えば窒素大気、および還元剤/酸化剤を含むがそれらに限定されない反応条件の改変は、本出願の範囲内にあると理解されるべきである。

0139

値および値域が本明細書において提供される場合にはいつでも、これらの値および値域によって包含されるすべての値および値域は、本発明の範囲内に包含されることを意味することが理解されなければならない。さらに、これらの値域内に入るすべての値、ならびに値の値域の上限または下限も、本出願によって企図される。

0140

以下の実施例は、本発明の局面をさらに例証する。しかしながら、それらは、本明細書において明示される本発明の教示または開示の限定では決してない。

0141

ここで本発明は、以下の実施例を参照して記載される。これらの実施例は、例証のみの目的のために提供されるものであり、本発明は、これらの実施例に限定されるわけではなく、むしろ本明細書において提供される教示の結果として明白であるすべての変動を包含する。

0142

クローニングおよび発現
NPP1およびNPP4は、個別の膜内ドメインを有して細胞表面に局在する膜貫通型タンパク質である。例えば、NPP1はII型配向にあり、一方でNPP4はI型配向にある。対照的に、NPP2は、プレプロタンパク質として合成され、タンパク質分解プロセシングの後、フーリンによる細胞外ドメインの切断後に可溶性タンパク質として分泌される(Jansen et al., 2005, J. Cell Sci. 118:3081-3089)。バキュロウイルス内で可溶性組換えタンパク質としてNPP4を発現させるために、該タンパク質構築物から細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを除いた。対照的に、可溶性細胞外タンパク質としてNPP1を発現させるために、NPP1の膜貫通ドメインをNPP2の膜貫通ドメインと交換し、それにより、バキュロウイルス培養物の細胞外液中に可溶性組換えNPP1の蓄積がもたらされた。

0143

膜貫通ドメインを除くことによって、NPP1を可溶性にし得る。ヒトNPP1(NCBIアクセッションNP_006199)を、その膜貫通領域(例えば、残基77〜98)を対応するヒトNPP2のサブドメイン(NCBIアクセッションNP_001124335、例えば、残基12〜30)で置き換えることによって、可溶性組換えタンパク質を発現するように改変した。改変したNPP1配列を、TEVプロテアーゼ切断部位、それに続くC末9-HISタグを保有する改変型pFastbacHTベクター中にクローン化し、および昆虫細胞内でクローン化しかつ発現させ、ならびに以前に記載されているように両タンパク質をバキュロウイル系で発現させ(Albright et al., 2012, Blood 120:4432-4440;Saunders et al., 2011, J. Biol. Chem. 18:994-1004;Saunders et al., 2008, Mol. Cancer Ther. 7:3352-3362)、細胞外液中に可溶性組換えタンパク質の蓄積をもたらした(図2〜3)。

0144

配列
NPP1アミノ酸配列(NCBIアクセッションNP_006199)(SEQID NO: 1)

NPP2アミノ酸配列(NCBIアクセッションNP_001124335)(SEQ ID NO: 2)

NPP4アミノ酸配列(NCBIアクセッションAAH18054.1)(SEQ ID NO: 3)

0145

精製
タンパク質をニッケルアフィニティーカラムによって精製し、かつイミダゾールを用いた溶出後に、C末ヒスチジンタグを、タバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼを用いて該タンパク質から切り除いた。ヒスチジンタグの切断後に、ニッケルカラムでの第2ラウンドの精製を実施して、C末ヒスチジンタグ、および第1ラウンドの精製中にニッケルカラムと非特異的に結び付いた夾雑タンパク質を除去した。可溶性NPP1は素通り中に溶出し、かつ回収され、かつスピン濃縮によって濃縮される。精製全体により、1Lの細胞培養物あたりおよそ2mgの純タンパク質がもたらされる(図3〜4)。同様の一般的精製スキームが、NPPファミリーのいくつかのメンバーについての生化学的、生物物理学的、および生理学的研究のために記載されている(Albright et al., 2012, Blood 120:4432-4440;Saunders et al., 2011, J. Biol. Chem. 18:994-1004;Saunders et al., 2008, Mol. Cancer Ther. 7:3352-3362)。当技術分野およびタンパク質精製の科学において経験のある者に公知であるように、IgGのFcドメインを含有するタンパク質の精製も、プロテインAまたはプロテインGカラムへの結合によって達成され得る。

0146

NPP1のための哺乳類発現系
NPP1はグリコシル化タンパク質であり、昆虫細胞の糖類部分は、哺乳類宿主からの強い免疫原性反応を誘導すると予想される。動物を組換えNPP1で処理することによって免疫反応を誘導する可能性を低下させるために、哺乳類発現系を用いて、昆虫細胞グリコシル化パターンを哺乳類グリコシル化パターンで置き換えた。同一のNPP1構築物を哺乳類発現ベクター中にクローン化し、その後にHEK293細胞への安定なトランスフェクションが続くことによって、HEK293哺乳類腎臓細胞株内でタンパク質を発現させた。His抗体に対する免疫ブロットによって、安定なクローンを同定した。強く発現するクローンを拡張し、本明細書における他の箇所で記載されるバキュロウイルス精製スキームにおいて記載されるように、培養培地を回収しかつ処理した。タンパク質の全収率は、培養培地1Lあたりおよそ1.5mgであり、かつ試料の純度は95%超であった(図4)。

0147

NPP1およびNPP4のATP加水分解活性
NPP1の細胞外可溶性ドメインが酵素的に活性のあることを証明するために、NPP1についての定常状態のミカエリス−メンテン酵素定数を、ATPを基質として用いて決定した。加えて、NPPファミリーメンバー間の基質特異性を例証するために、NPP1のATP加水分解を、NPP1と38%の配列同一性を有するタンパク質であるNPP4と直接比較した。NPP1がATPを切断したことを証明するために、酵素反応についてのHPLC解析を用い、かつ該反応の基質および産物の素性を、ATP、AMP、およびADP標準物質を用いることによって確認した(図5)。ATP基質はNPP1の存在下で経時的に分解し、酵素産物AMPの蓄積を有する(図5)。種々の濃度のATP基質を用いて、NPP1に関する初速度をATPの存在下で導き出し、かつデータを曲線に適合させて、酵素速度定数を導き出した(図5C)。NPP4とNPP1との間の相当な配列同一性にもかかわらず、NPP4はATP加水分解活性を有さず、一方でNPP1はATPをAMPおよびPPiにすぐに加水分解した(図5C)。生理的pHにおいて、NPP1の反応速度定数は、Km=144μMおよびkcat=7.8s-1である。

0148

HPLCプロトコール
NPP1およびNPP4によるATP切断を測定するために、および産物同定のために用いられたHPLCプロトコールを、文献から改変した(Stocchi et al., 1985, Anal. Biochem. 146:118-124)。50mM Tris pH8.0、140mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、および1mM CaCl2緩衝液中に種々の濃度のATPを含有する反応を、0.2〜1μM NPP1の添加によって開始させ、かつ等量の3Mギ酸または0.5N KOHによって種々の時点で抑え、かつ氷酢酸によってpH6に再酸性化した。抑えられた反応液を体系的に希釈し、HPLCシステム(Waters, Milford MA)にロードし、かつ基質および産物を254または259nmにおけるUV吸光度によってモニターした。基質および産物を、0%〜10%(または20%)のメタノール勾配を有する15mM酢酸アンモニウムpH6.0溶液を用いて、5μm 250×4.6mm HPLCカラムのC18(Higgins Analytical, Mountain View, CA)で分離した。産物および基質を、それらの対応するピーク統合および式に従って定量化した。

式中、[基質]0は、初回基質濃度である。式で用いられるAMP、ADP、およびATPの吸光係数は、15.4mM-1cm-1であった。254nmでモニターした場合、反応と同じ日に流した基質および産物の標準物質を用いて、統合された産物/基質ピーク面積を濃度に変換した。

0149

マウスモデル
TTWマウスは、Institute of Cancer Research系統マウス(ICR, Japan)の同胞交配の中で発見され、多発性進行性異常石灰化を発症しかつ最終的に重度奇形および関節強直で死亡する。これらのマウスは、特異的な脊柱および関節の異常により、OPLLおよび変形性関節症の両方についての確立された動物モデルとして働く。異所性組織ミネラル化表現型を説明する遺伝子欠損は、NPP1をおよそ350個のアミノ酸トランケートする、NPP1における位置568での未成熟終止コドングリシンから終止へ)にあることが突き止められている。C57BL/6J-Enpp1asj/Grsr、つまりNPP1asjマウスであるTTWマウスの変種は、バリンのアラニンへの点変異をもたらす、エクソン7、位置737におけるNPP1タンパク質コード領域に点変異を有し、かつ12週目に脊柱の関節炎、および7ヶ月齢までにこわばってかつ曲げることができなくなる多くの関節の変形性関節症を呈する。これらのマウスモデルは、変形性関節症を含めた異所性石灰化のヒト疾患を模倣する貴重試薬であり、かつ本研究の仮説を検証するための適切な動物モデルである。

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