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技術 バクテリオファージT4DNAパッケージングマシンを用いた遺伝子およびタンパク質のインビトロおよびインビボ送達

出願人 ザ・キャソリック・ユニバーシティ・オブ・アメリカ
発明者 ラオ,ヴェニガラ
出願日 2014年1月31日 (8年0ヶ月経過) 出願番号 2015-560808
公開日 2016年3月24日 (5年10ヶ月経過) 公開番号 2016-508732
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理
主要キーワード 補強ケージ 単一タイプ 段階付 頭部バンド ピンアセンブリ 線状繊維 表面格子 へばり
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2016年3月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

T4DNAパッケージングマシンの頭部にパッケージングされた1つまたはそれ以上のDNA分子と、T4 DNAパッケージングマシンの頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質と、T4 DNAパッケージングマシンの頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質とを含む、T4 DNAパッケージングマシンが記載される。このようなT4 DNAパッケージングマシンを作製および使用する方法も記載される。

概要

背景

標的細胞内への遺伝子およびタンパク質送達は、機構を理解するためにも新規生物医学的療法を探究するためにも不可欠である。例えば、癌やAIDSのような複雑な遺伝性および感染性疾患の将来の治療法は、遺伝子およびタンパク質の適切な組合せでの送達を含み得る。現在のところ、遺伝子およびタンパク質の両方を標的細胞内へ効率的に送達し得るプラットフォームは存在しない。

概要

T4DNAパッケージングマシンの頭部にパッケージングされた1つまたはそれ以上のDNA分子と、T4 DNAパッケージングマシンの頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質と、T4 DNAパッケージングマシンの頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質とを含む、T4 DNAパッケージングマシンが記載される。このようなT4 DNAパッケージングマシンを作製および使用する方法も記載される。

目的

本発明は、以下の工程を含む方法であって、当該工程が、個体の細胞をT4DNAパッケージングマシンに曝し、それによって上記T4 DNAパッケージングマシンを上記細胞に結合させる工程であり、上記T4 DNAパッケージングマシンが、上記T4 DNAパッケージングマシンにパッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子を含み、頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質が存在し、上記頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質が存在し、工程(a)によって上記細胞内での上記T4 DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションが起こり、上記細胞内での上記T4 DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションによって上記パッケージングされたDNAが上記細胞のそれぞれのサイトゾルに放出され、上記パッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子が上記細胞のそれぞれのサイトゾルに放出されることによって上記DNAの1つまたはそれ以上の分子が上記細胞のそれぞれの核に入り、上記DNAの1つまたはそれ以上の分子が細胞のそれぞれの核に入ることによって上記DNAの転写および上記DNAによってコードされるタンパク質の過剰発現が起こる、方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

以下の工程を含む方法であって、該工程が、(a)個体の細胞をT4DNAパッケージングマシンに曝し、それによって該T4DNAパッケージングマシンを該細胞に結合させる工程であり、該T4DNAパッケージングマシンが、該T4DNAパッケージングマシンにパッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子を含み、該頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質が存在し、該頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質が存在し、工程(a)によって該細胞内での該T4DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションが起こり、該細胞内での該T4DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションによって該パッケージングされたDNAが該細胞のそれぞれのサイトゾルに放出され、該パッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子が該細胞のそれぞれのサイトゾルに放出されることによって該DNAの1つまたはそれ以上の分子が該細胞のそれぞれの核に入り、該DNAの1つまたはそれ以上の分子が前記細胞のそれぞれの核に入ることによって、該DNAの転写および該DNAによってコードされるタンパク質過剰発現が起こる、方法。

請求項2

工程(a)が、哺乳類被検体への筋肉内注射を行うことを含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記T4DNAパッケージングマシンが、gp17パッケージングモーターを含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記1つまたはそれ以上のDNA分子が、2つまたはそれ以上の異なる遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記2つまたはそれ以上の異なる遺伝子が、ルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子である、請求項4に記載の方法。

請求項6

以下の工程を含む方法であって、該工程が、(a)T4DNAパッケージングマシンの頭部を1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質に曝し、それによって該1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質を該頭部にディスプレイする工程であり、該T4頭部の内部に1つまたはそれ以上のDNA分子がパッケージングされ、該頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質が存在する、方法。

請求項7

前記方法が、工程(a)の前に、以下の工程:(b)T4DNAパッケージングマシンの頭部を1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質に曝し、それによって該1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質を該頭部にディスプレイする工程、を実施することを含む、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記方法が、工程(b)の前に、以下の工程:(c)前記1つまたはそれ以上のDNA分子を前記T4DNAパッケージングマシンにパッケージングするためにATP加水分解からのエネルギーを用いる工程、を実施することを含む、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記方法が、工程(b)の前に、以下の工程:(d)空のファージT4頭部の頂点ポータルタンパク質gp20にgp17パッケージングモーターサブユニットを結合させ、それによって前記T4DNAパッケージングマシンのgp17パッケージングモーターを形成する工程、を実施することを含む、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記1つまたはそれ以上のDNA分子が、2つまたはそれ以上の異なる遺伝子を含む、請求項6に記載の方法。

請求項11

前記2つまたはそれ以上の異なる遺伝子が、ルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子である、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記T4DNAパッケージングマシンが個体の細胞に特異的に結合すると、前記1つまたはそれ以上のDNA分子の少なくとも1つの遺伝子が該細胞によってタンパク質として転写、翻訳および発現される、請求項6に記載の方法。

請求項13

請求項6に記載の方法に従って作製された、T4DNAパッケージングマシン。

請求項14

T4DNAパッケージングマシンを含む産物であって、該T4DNAパッケージングマシンの頭部にパッケージングされた1つまたはそれ以上のDNA分子と、該T4DNAパッケージングマシンの該頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質と、該T4DNAパッケージングマシンの該頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質と、を含む、産物。

請求項15

前記T4DNAパッケージングマシンが、gp17パッケージングモーターを含む、請求項14に記載の産物。

請求項16

前記1つまたはそれ以上のDNA分子が、2つまたはそれ以上の異なる遺伝子を含む、請求項14に記載の産物。

請求項17

前記2つまたはそれ以上の異なる遺伝子が、ルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子である、請求項16に記載の産物。

技術分野

0001

この出願は、2013年12月4日に出願された「In Vitro and In Vivo Delivery of Genes and Proteins Using the Bacteriophage T4 DNA Packaging Machine」という名称の米国非仮特許出願第14/096,238号の優先権の利益を請求し、この米国非仮特許出願は、2013年3月8日に出願された「In Vitro and In Vivo Delivery of Genes and Proteins Using the Bacteriophage T4 DNA Packaging Machine」という名称の米国仮特許出願第61/774,895号の優先権の利益を請求するものであり、これらの出願の全体を参照により援用する。

0002

この出願は、以下の米国特許および米国特許出願、すなわち、2007年3月1日に出願された「Liposome-Bacteriophage Complex as Vaccine Adjuvant」という名称の米国仮特許出願第60/904,168号、2008年2月29日に出願された「Liposome-Bacteriophage Complex as Vaccine Adjuvant」という名称の米国特許出願第12/039,803号であり、現在は、2012年4月3日に発行された米国特許第8,148,130号、2004年12月17日に出願された「Methodsand Compositions Comprising Bacteriophage Nanoparticles」という名称の米国特許出願第11/015,294号、2003年12月17日に出願された「Methods and Compositions Comprising Bacteriophage Nanoparticles」という名称の米国仮特許出願第60/530,527号、2010年4月9日に出願された「Promiscuous DNA Packaging Machine From Bacteriophage T4」という名称の米国仮特許出願第61/322,334号、2011年4月8日に出願された「Protein and Nucleic Acid Delivery Vehicles, Components and Mechanisms Thereof」という名称の米国特許出願第13/082,466号、および2012年11月29日に出願された「Designing a Soluble Full-LengthHIV-1 GP41 Trimer」という名称の米国仮特許出願第61,731,147号も参照し、その内容および開示の全体を参照により本明細書に援用する。

0003

政府の利益に関する陳述)
米国政府は、国立衛生研究所による助成金契約第NIAID U01−AI08086号およびAI081726号に従って本発明において権利を有する。

0004

本発明は、概して、タンパク質および核酸送達成分、組成物機構ならびにその送達の方法に関する。

背景技術

0005

標的細胞内への遺伝子およびタンパク質の送達は、機構を理解するためにも新規生物医学的療法を探究するためにも不可欠である。例えば、癌やAIDSのような複雑な遺伝性および感染性疾患の将来の治療法は、遺伝子およびタンパク質の適切な組合せでの送達を含み得る。現在のところ、遺伝子およびタンパク質の両方を標的細胞内へ効率的に送達し得るプラットフォームは存在しない。

発明が解決しようとする課題

0006

本出願は、本明細書中に記載のような従来技術の欠点を克服する。

課題を解決するための手段

0007

第1の広い局面によれば、本発明は、以下の工程を含む方法であって、当該工程が、個体の細胞をT4DNAパッケージングマシンに曝し、それによって上記T4 DNAパッケージングマシンを上記細胞に結合させる工程であり、上記T4 DNAパッケージングマシンが、上記T4 DNAパッケージングマシンにパッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子を含み、頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質が存在し、上記頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質が存在し、工程(a)によって上記細胞内での上記T4 DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションが起こり、上記細胞内での上記T4 DNAパッケージングマシンのインターナリゼーションによって上記パッケージングされたDNAが上記細胞のそれぞれのサイトゾルに放出され、上記パッケージングされたDNAの1つまたはそれ以上の分子が上記細胞のそれぞれのサイトゾルに放出されることによって上記DNAの1つまたはそれ以上の分子が上記細胞のそれぞれの核に入り、上記DNAの1つまたはそれ以上の分子が細胞のそれぞれの核に入ることによって上記DNAの転写および上記DNAによってコードされるタンパク質の過剰発現が起こる、方法を提供する。

0008

第2の広い局面によれば、本発明は、以下の工程を含む方法であって、当該工程が、T4DNAパッケージングマシンの頭部を1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質に曝し、それによって上記1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質を上記頭部にディスプレイする工程であり、上記T4頭部の内部に1つまたはそれ以上のDNA分子がパッケージングされ、上記頭部上にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質が存在する、方法を提供する。

0009

第3の広い局面によれば、本発明は、T4DNAパッケージングマシンを含む産物であって、上記T4 DNAパッケージングマシンが、上記T4 DNAパッケージングマシンの頭部にパッケージングされた1つまたはそれ以上のDNA分子と、上記T4 DNAパッケージングマシンの上記頭部上にディスプレイされた1つまたはそれ以上のHoc融合タンパク質と、上記T4 DNAパッケージングマシンの上記頭部にディスプレイされた1つまたはそれ以上のSoc融合タンパク質とを含む、産物を提供する。

図面の簡単な説明

0010

図1は、本発明の一実施形態に係るバクテリオファージT4DNAパッケージングマシンの概略図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るプロ遺伝子送達のための実験デザインを概略的に示す図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る精製されたT4頭部のクライオ電子顕微鏡写真である。
図4は、MluI線状化pEGFP−C1プラスミドDNA(上のパネル)およびBamHI線状化psiCHECK2プラスミドDNA(下のパネル)の、DNAの比率を増加させた時の、Hoc−Soc−T4頭部内へのパッケージングを示す顕微鏡写真である。矢印412および矢印414は、本発明の一実施形態に係るパッケージングされたDNAを示す。
図5は、本発明の一実施形態に係る2つのプラスミド、すなわち、コンカテマー化された(concatemerized)ルシフェラーゼDNAおよびPCR増幅されたルシフェラーゼ発現カセットのパッケージングを示す顕微鏡写真である。
図6は、本発明の一実施形態に係るT4頭部上の細胞透過ペプチドCPP)のインビトロでのアセンブリを示す顕微鏡写真である。
図7は、本発明の一実施形態に係るCPP装飾T4頭部を用いたルシフェラーゼDNAの哺乳類細胞内への用量依存的送達を示すグラフである。
図8は、ルシフェラーゼDNA送達量がCPPのコピー数の増加に伴って増加する様子を示すグラフである。
図9は、Hoc−CPP装飾頭部がSoc−CPP頭部よりも効率的に遺伝子を送達する様子を示すグラフである。
図10は、本発明の一実施形態に係る、Hoc−TおよびSoc−T CPPの両方で頭部が装飾されたときに遺伝子送達量が最も高かったことを示すグラフである。
図11は、送達のためのHoc−CPPで装飾されたかまたは装飾されていない、eGFP DNAパッケージ頭部と、CPPの存在下/非存在下でのHEK293T細胞とを示す一連の顕微鏡写真である。
図12は、プラスミド、コンカテマーまたはPCR産物としてパッケージングされて送達されたルシフェラーゼ遺伝子発現を示すグラフである。
図13は、T4、AAV−DJおよびリポフェクタミンの送達効率の比較を表すグラフである。
図14は、GGドメインを通じたT4頭部上のDEC205mAbのディスプレイを示す顕微鏡写真である。
図15は、ルシフェラーゼ遺伝子をコントロールHep3B細胞内へは送達せずにDC2.4細胞内へ送達するターゲティングした送達を示すグラフである。
図16は、ディスプレイされたDEC205mAbの存在下または非存在下で緑色蛍光タンパク質(GFP)頭部が形質導入されたDC2.4細胞の一連の位相差顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真である。
図17は、Soc結合部位に対するβ−ガラクトシダーゼSoc分子の種々の比率でT4頭部に4量体β−ガラクトシダーゼをディスプレイする顕微鏡写真である。
図18は、図17の各レーンに対応するディスプレイされたβ−ガラクトシダーゼのX−gal切断活性を示す顕微鏡写真である。
図19は、機能的β−ガラクトシダーゼをDC2.4細胞内へ送達するβ−ガラクトシダーゼおよびCPPがディスプレイされたT4頭部の一連の顕微鏡写真である。
図20は、機能的β−ガラクトシダーゼをDC2.4細胞内へ送達するβ−ガラクトシダーゼおよびDEC205mAbがディスプレイされたT4頭部の一連の顕微鏡写真である。
図21は、送達に用いられる、内部にルシフェラーゼおよびGFP DNAがパッケージングされ、外部にβ−ガラクトシダーゼおよびCPPがディスプレイされたT4頭部の一連の顕微鏡写真である。
図22は、送達に用いられる、内部にルシフェラーゼおよびGFP DNAがパッケージングされ、外部にβ−ガラクトシダーゼおよびDEC205mAbがディスプレイされたT4頭部の一連の顕微鏡写真である。
図23は、pLuciプラスミドがパッケージングされ、外面がリガンドで装飾されていないかまたはDEC205mAb、CD40LもしくはCPPで装飾されたT4頭部を筋肉内注射したマウスを示す一連の画像である。
図24は、T4頭部内へのパッケージングのために用いられたルシフェラーゼ発現カセットであって、アデノ随伴ウイルス(AAV)からの逆方向末端反復配列(ITR)を有さないものと有するものとの概略図である。
図25は、発現カセットにITRが隣接する場合にルシフェラーゼシグナルがより長時間にわたってとどまる様子を示す一連の画像である。
図26は、樹状細胞内へのターゲティングした送達のさらなる解析の一連の画像である。
図27は、リガンドなし群およびCD40L群の両方が同レベルの抗ルシフェラーゼ抗体を誘導したことを示すELISA滴定のグラフである。
図28は、5つの群のマウスに対して図29に示す種々の製剤を用いて筋肉経路によって行ったワクチン接種を示すフローチャートである。
図29は、5つの群のマウスに筋肉内経路によるワクチン接種を行うために用いられた種々の製剤の概要を示す表である。
図30は、本発明に記載の手順に従って行われたELISAアッセイの結果を示す棒グラフである。
図31は、本発明に記載の手順に従って行われたエリスポットアッセイの結果を示す棒グラフである。

0011

本明細書中に援用されそして本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示し、上に挙げた一般的な記載および下に挙げる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明することに供する。

0012

(定義)
用語の定義が当該用語の一般的に使用される意味から逸脱する場合、特に表示のない限り、出願人は、以下に提供された定義を利用することを意図する。

0013

本発明の目的のために、用語「結合」、用語「結合する」および用語「結合された」は、化学的および物理的結合のいずれものタイプを言い、そしてこれらとしては、限定されないが、共有結合水素結合静電結合生物学的テザー膜貫通付着、細胞表面付着および発現が挙げられる。

0014

本発明の目的のために、用語「生物学的試料」および用語「生物学的標本」は、インビトロまたはインビボでのヒト、動物微生物または植物の一部または全部のいずれかを言う。その用語には、限定されないが、ヒト、動物、微生物または植物の組織片、細胞または組織培養物、ヒト、動物、微生物または植物細胞の懸濁液またはその単離物、ヒトまたは動物の生検血液試料細胞含有流体および分泌物のような、ヒト、動物、微生物または植物由来物質が挙げられる。

0015

本発明の目的のために、用語「カプシド」および用語「カプシド殻」は、タンパク質のいくつかの構造サブユニットを含むウイルスのタンパク質殻を言う。カプシドはウイルスの核酸コア包む単数形または複数形の用語「プレヘッド」、「プロヘッド」または「プロカプシド」、「不完全頭部」または「不完全に充填された頭部」、「完全頭部」および「ファージ頭部」は、ウイルスのカプシド殻の成熟の異なる段階を言う。「プレヘッド」は、会合当初の正確な大きさのカプシド殻または等尺性カプシドを言い、多くの場合、単一タイプタンパク質サブユニットタンパク質スカフォールド周り重合している。タンパク質スカフォールドが取り除かれてカプシド殻の内部に空間が作られると、その構造は、プロヘッドまたはプロカプシドと言われる。不完全頭部、完全頭部およびファージ頭部は全て成熟の段階に達したカプシドを言い、この段階では、それらは、DNAと会合した、より大きくより安定した粒子になる。用語「不完全頭部」は、DNAの一部のみがその中にパッケージングされた成熟カプシド殻を言うか、または一旦DNAが完全に充填された後、DNAが殻から放出され、DNAのほんの一部のみが後に残された成熟カプシド殻も言い得る。用語「完全頭部」は、DNAが完全に充填された成熟カプシド殻を言う。完全頭部はバクテリオファージゲノムの105%まで充填し得る。これは、T4バクテリオファージに関して、約165〜170kbである。同様に、他のウイルスのカプシドもまた、それらのゲノム量よりも多くを収容するようにパッケージングされ得る。カプシドは、エンベロープに包まれたものでも包まれていないものでもあり得る。HK97のようなバクテリオファージ内のカプシドの成熟プロセスは、例えば、Lataら、2000年(参考文献42)に記載されている。

0016

本発明の目的のために、用語「免疫応答」は、抗原または免疫原に対する動物の免疫系の特定の応答を言う。免疫応答は、抗体の生産および細胞性免疫を含み得る。

0017

本発明の目的のために、用語「免疫」は、感染生物または物質に対する、ヒトを含む被検動物抵抗の状態を言う。感染生物または物質は広く定義され、そして寄生生物毒性物質癌細胞および他の細胞、ならびに細菌およびウイルスを含むと理解され得る。

0018

本発明の目的のために、用語「免疫化条件」は免疫応答に影響する因子を言い、ヒトを含む被検動物に送達される免疫原またはアジュバントの量および種類、送達の方法、接種の数、接種の間隔、被検動物の種類およびその体調を含む。「ワクチン」は、免疫を誘導し得る医薬製剤を言う。

0019

本発明の目的のために、用語「免疫化用量」は、免疫応答を促進するために必要な抗原または免疫原の量を言う。この量は、種々のアジュバントの存在および有効性で変動し得る。この量は、動物および抗原、免疫原および/またはアジュバントで変動し得るが、一般的に一接種あたり約0.1μg/ml以下と約100μgとの間であり得る。免疫化用量は、統計的に有効な宿主動物免疫化およびチャレンジ研究を行うことによるような、当業者に周知な方法によって容易に決定される。

0020

本発明の目的のために、用語「免疫原」および用語「免疫原性」は、単独でまたはアジュバントと一緒に免疫応答を誘導し得る物質または材料(抗原を含む)を言う。天然および合成物質の両方が免疫原であり得る。免疫原は一般的に、タンパク質、ペプチド多糖類核タンパク質リポタンパク質合成ポリペプチド、あるいはタンパク質、ペプチド、多糖類、核タンパク質、リポタンパク質または合成ポリペプチドに結合したハプテンあるいは他の細菌、ウイルスまたは原生動物画分である。「免疫原」、または「免疫原性」である組成物は、アジュバントを付随しなければ免疫応答を生じない(または治療上効果のない免疫応答のみ引き起こす)物質(例えば、小ペプチド)を含むことが理解され得る。本発明の目的のために、そのような免疫原は「アジュバント必須」免疫原と言われる。

0021

本発明の目的のために、用語「個体」は哺乳類を言う。例えば、用語「個体」は、ヒト個体を言い得る。

0022

本発明の目的のために、用語「免疫原性量」は、動物にて臨床的に検出可能な防御応答を惹起する、目的の抗原調製物の量または生物毒素の量である。

0023

本発明の目的のために、用語「首部タンパク質」および用語「尾部タンパク質」は、ウイルス粒子、特にバクテリオファージの首部または尾部のいずれかの部分のアセンブリに関与するタンパク質を言う。尾状バクテリオファージはカウドウイルス目に属し、3つの科を含む:サイフォウイルス科は、長い柔軟な尾部を有し、そして尾状ウイルスの大部分を構成する。ミオウイルス科は、長い剛性の尾部を有し、そして細菌宿主へのファージ付着の際に収縮する尾鞘によって完全に特徴付けられる。尾状ウイルスの最小の科はポドウイルス(短い足のような尾部を持つファージ)である。例えば、T4バクテリオファージでは、gp10は、gp11と会合して基盤の尾部ピンを形成する。尾部ピンアセンブリは、尾部アセンブリの第1段階である。バクテリオファージT4の尾部は、剛性のチューブ囲み、そして多タンパク質基盤内で終結する収縮性からなり、そこへファージの長いおよび短い尾部繊維が付着している。一旦頭部にDNAがパッケージングされると、タンパク質gp13、gp14およびgp15が会合して、パッケージングされた頭部を封止する首部を構築する。gp13タンパク質がDNAパッケージング後にポータルタンパク質gp20と直接相互作用し、そして次いでgp13プラットフォーム上でgp14およびgp15が会合する。T4バクテリオファージ内の首部および尾部タンパク質は、限定されないが、タンパク質gp6、gp25、gp53、gp8、gp10、gp11、gp7、gp29、gp27、gp5、gp28、gp12、gp9、gp48、gp54、gp3、gp18、gp19、gp13、gp14、gp15およびgp63が挙げられ得る。T4バクテリオファージおよび他のウイルス内の首部および尾部アセンブリタンパク質の局面は、例えば、Rossmannら、2004年(参考文献41)にさらに記載されている。

0024

本発明の目的のために、用語「天然に生じるものではない」または「単離された」は、目的の成分が、自然界で天然に付随し、そして自然界で見られるような少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的には含まないことを言う。

0025

本発明の目的のために、用語「パッケージングマシン」は、コンパートメントモーター、およびモーターをコンパートメントへ連結する成分または任意の他の付着機構を含む完全なパッケージング単位を言う。例えば、T4パッケージングマシンは、殻(主にgp23からなるプロカプシド)、頂点ポータルタンパク質(12量体gp20)およびgp17パッケージングモーターを含む。T4DNAパッケージングマシンは、例えば、Zhangら、2011年にさらに記載されている。

0026

本発明の目的のために、用語「パッケージングモーター」は、化学エネルギーを使用し、核酸の機械的な転移を進めそして核酸をコンパートメント内にパッケージし得る分子モーターまたは分子マシンを言う。例えば、T4バクテリオファージ内のパッケージングモーターは、ATP加水分解エネルギーを使用し、DNAをカプシド殻内に転移させそしてパッケージングする。パッケージングモーターは、1つまたはそれ以上のタンパク質サブユニットを含むタンパク質複合体であり得、そして核酸をパッケージングすることを助ける酵素活性を有し、それは、限定されないが、ATPアーゼヌクレアーゼ、およびトランスロカーゼが挙げられる。例えば、T4バクテリオファージパッケージングモーターは、巨大なターミナーゼタンパク質、5量体遺伝子産物(gp)17を言う。用語「パッケージングモーター」はまた、実際のモーターの活性を制御するかまたは高めるさらなるタンパク質を包含することもまた考えられ得る。例えば、T4パッケージングモーターは、小さいターミナーゼタンパク質gp16もまた含み得る。T4DNAパッケージングモーターは、例えば、Sunら、2008年にさらに記載されている。

0027

本発明の目的のために、用語「ペプチド様」は、短鎖ペプチド、ならびにタンパク質、リポタンパク質および糖タンパク質を言うが、便宜上、非タンパク質性分子、例えばアミノ酸含有分子もまた含み得る。ある実施形態では、ペプチド様治療剤は、他の薬剤に加えて、ビタミンステロイドアジドチミジン、および遊離プリマキンをさらに含み得る。1つの有用なペプチド類は、インターロイキンコロニー刺激因子およびインターフェロンのような免疫調整剤である。別の有用なクラスのタンパク質は、ワクチンに使用されるような抗原および免疫原である。

0028

本発明の目的のために、用語「精製された」は、成分が比較的純粋な状態にあること、例えば、少なくとも約90%の純度または少なくとも約95%の純度もしくは少なくとも約98%の純度を言う。

0029

本発明の目的のために、用語「ターゲティングリガンド」は、樹状細胞および抗原提示細胞のような細胞の表面にディスプレイされたタンパク質またはレセプターを言う。抗原提示細胞または樹状細胞へのターゲティングリガンドの結合は、細胞活性化および種々の下流効果の誘導に必要である。

0030

本発明の目的のために、用語「ターゲティング分子」は、開発中の薬を作用させようとする目的の病状に関与する、天然に存在する細胞構造または分子構造を言う。

0031

本発明の目的のために、用語「ウイルス粒子」は、ウイルスおよびウイルス様生物を言う。

0032

(説明)
細胞内への組換え遺伝子およびタンパク質の送達は、分子生物学およびバイオテクノロジー中核をなす。遺伝子を送達するために多数の方法、少し例を挙げると、エレクトロポレーション(Neumannら、2011年(参考文献1))、ウイルスベクター(Kay、2011年(参考文献2))およびマイクロインジェクション(Demayoら、2012年(参考文献3))が開発されている一方で、タンパク質送達はそれほど一般的ではない(Yanら、2010年;Kaczmarczykら、2011年(参考文献4および参考文献5))。しかしながら、遺伝子およびタンパク質の両方を効率的に送達することができるプラットフォームは現在のところ存在しない。ゲノミクスおよびタンパク質ネットワークデータベース爆発的に発展する中で、標的細胞内への遺伝子およびタンパク質の送達は、機構を理解するためにも新規な生物医学的療法を探究するためにも不可欠である。例えば、癌やAIDSのような複雑な遺伝性および感染性疾患の将来の治療法は、遺伝子およびタンパク質の適切な組合せでの送達を含み得、これを本明細書中では「プロ遺伝子送達」と言う。

0033

一実施形態において、本発明は、標的細胞内への哺乳類の遺伝子およびタンパク質の効果的な送達のために独自に設計された、カスタマイズされたバクテリオファージを提供する。本発明の方法および組成物は、効果的なワクチン療法および遺伝子治療のために用いられ得る。

0034

一実施形態において、本発明は、高容量のプロ遺伝子送達媒体を提供するためにファージT4DNAパッケージングマシンを用いる。尾状ファージは、カプシド内部の強く負に帯電したDNAゲノムを結晶密度(>500mg/ml)近くまで凝縮するために、強力な分子マシンを用いる。これらのマシンは、DNA圧縮に抵抗する静電反発力および曲げエネルギーに対抗するために、80pNという大きい力を発生させる(Smithら、2001年(参考文献6))。最も速く(大体2000bp/秒までのパッケージング速度)、最も強力な(出力密度、大体5000kW/m3)(Fullerら、2007年(参考文献7))パッケージングマシンの1つであるファージT4パッケージングマシンは、2つの必須成分、すなわち、空のプロヘッドと、巨大なターミナーゼタンパク質gp17の5つのサブユニットで構成される分子モーターとからなる(Casjens、2011年(参考文献8);Raoら、2008年(参考文献9);Sunら、2008年(参考文献10))(図1)。図1において、112は、12量体ポータル頂点116に会合した5量体モーター114をリボンモデル118で示すファージT4パッケージングマシンの構造モデルである(Sunら、2004年(参考文献10);Fokineら、2004年(参考文献11))。

0035

図1に示すように、ファージT4頭部カプソメア表面図120;リボンモデル122)は、2つの外部カプシドタンパク質、つまり、Hoc(高抗原性外部カプシドタンパク質;155コピー/頭部)とSoc(小さい外部カプシドタンパク質;870コピー/頭部)とで装飾されている(Fokineら、2004年(参考文献11))。カプソメアの表面図120は、主要なカプシドタンパク質gp23 124と、Soc3量体126と、Hoc繊維128との配置を示す。カプソメアのリボンモデル122は、gp23 130、Soc132およびHoc134のリボンモデルを示す。HocおよびSocについてのナノモル親和性結合部位は、プロヘッドがカプシドタンパク質gp23における主要な立体構造変化である「拡張」を経た後に現れる(Blackら、1994年(参考文献12))。オタマジャクシ形状のSoc(9kDa)は、準3回軸において3量体として会合し、隣接するカプソメアを噛んで(champing)、殻の周りに補強ケージを形成する(Qinら、2010年(参考文献13))(120、122およびSoc3量体リボンモデル136を参照。Soc3量体リボンモデル136は、露出したN末端およびC末端を示す(Qinら、2010年(参考文献13))。それぞれが一列に並んだ4つのドメインを有し、そのうちの3つのドメインはIgG様である、Hoc(41kDa)の長さ約180Åの線状繊維が、6量体カプソメアの中心で会合する(Fokineら、2011年(参考文献14))(120、122およびHoc繊維138を参照。Hoc繊維138は、当該繊維の先端にて露出したN末端を示す。(Fokineら、2011年(参考文献14))。C末端Hocドメイン4は、カプシドに結合するが、その構造はまだ解明されていないため、繊維の基部における塊140として示している。Hocは、ファージの細菌への付着を容易にする。SocおよびHocは、ファージ感染には必須ではないが、ウイルスに生存上の利点を提供する(Ishiiら、1977年(参考文献15))。SocのN末端およびC末端は、136および138によって示すように、良好に露出し、カプシド表面上の外来タンパク質の効率的なディスプレイを可能にする(Liら、2006年(参考文献16);Sathaliyawalaら、2006年(参考文献17))。

0036

最近、パッケージングされた頭部を蓄積する、首部なし(13am)尾部なし(10am)hocおよびsoc欠失変異体が構築された(Zhangら、2011年(参考文献18))。従来のアセンブリ経路においては、パッケージングモーターはプロヘッド上で会合し、頭部成熟および(頭部一杯の)ゲノムパッケージングの後、モーターは解離する。次いで、首部タンパク質gp16、gp14およびgp15が、ポータルに付着し、パッケージングされた頭部を封鎖する。尾部および尾部繊維が、首部に付着し、感染性ビリオンを生産する(Leimanら、2010年(参考文献19))。首部なし変異体において、パッケージングされた頭部は、不安定になり、大体6MPaつまりシャンパンボトル内の圧力の10倍よりも高いと見積もられる内圧により、DNAを放出する(Smithら、2001年(参考文献6);Landerら、2006年(参考文献20))。予想外に、パッケージングモーターは、この完全に成熟した、空になったファージ頭部上で再会合し、任意のDNAで再充填することができることが発見された(Zhangら、2011年(参考文献18))。このため、T4パッケージングマシンは、乱雑であり、会合する頭部もパッケージングするDNAも識別しない。

0037

これらの発見は、ファージパッケージングマシンを、哺乳類細胞内へ遺伝子およびタンパク質を送達するように構成変更することが可能かどうかという疑問を提起した。考えられるところでは、各頭部は、内部にいくつかの遺伝子を大体170kbまでパッケージし、外部にいくつかのタンパク質を大体1,025分子までディスプレイし、そして全「ペイロード」を細胞内へ送達することができるであろう。このような系は、その容量が大きいという理由だけではなく、T4が非感染性、非毒性で、先在する免疫を有さない点でも、魅力的であろう。本明細書中に開示された実施形態は、レポーター遺伝子、ワクチン遺伝子、機能酵素およびターゲティングリガンドの組合せがT4頭部に組み込まれ、哺乳類細胞内へほとんど100%の効率まで送達され得ることを示している。開示された実施形態は、送達がインビトロおよびインビボの両方で抗原提示樹状細胞にターゲティングされ得ることをさらに実証している。T4頭部の内部にパッケージングされたペスト菌由来組換えF1−V遺伝子と外部にディスプレイされたF1−Vタンパク質とを含有する「プライムブーストペストワクチン単回投与で免疫化されたマウスは、頑強な抗体および細胞性免疫応答を惹起し、これによって、新規なワクチン療法および遺伝子治療につながり得る、他にない、ファージに基づいた哺乳類遺伝子およびタンパク質送達系を初めて確立した。

0038

好適な実施形態において、T4によるプロ遺伝子送達を定量解析するために、詳細な実験スキームを開発した。図2に示すように、工程200において、まず、空のファージ頭部202の12量体ポータル(gp20)にgp17サブユニットを結合させることによって、T4DNAパッケージングマシンを会合させた。工程210において、ATPによって刺激されて、マシンは、DNAを頭部212内に大体170kbまでパッケージし、頭部214を作る。工程220においては、222に示すように、カプシド表面にSoc融合タンパク質が付加され、ディスプレイされた。工程230においては、232に示すように、カプシド表面を装飾するためにHoc融合タンパク質が付加された。次いで、頭部粒子232が、非特異的に(一般送達、工程240)または宿主レセプター244を通じて(ターゲティングされた送達、工程250)、細胞234に結合し、インターナライズされる(工程260)。表面にディスプレイされたβ−ガラクトシダーゼ262のようなタンパク質と、被包されたDNA、すなわちルシフェラーゼ遺伝子264を含むDNA264および緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を含むDNA266とが、工程270においてサイトゾル268内に放出される。DNA264および266は、工程280において核272に入り、強力なCMVプロモーター(図示せず)下での転写(282)とルシフェラーゼ(286)およびGFP(288)タンパク質の過剰発現(284)とを開始させる。

0039

(T4プロ遺伝子粒子はインビトロで効率的に会合される)
別の実施形態によれば、図3に見られるように、まず、10am13amhoc−soc−変異体を感染させた大腸菌細胞から首部なし頭部を単離した。これらの頭部の大部分、大体90%は、ウイルスゲノム自発的に放出し、それはDNアーゼIで消化された。空になった頭部は、大体8kbのDNAを内部に保持し、残りの大体162kbの空間が、外来DNAのために利用可能であった。頭部を、CsCl勾配遠心分離およびイオン交換クロマトグラフィーによって精製し、gp17と混合して、機能的パッケージングマシンを再構成した。これらのマシンは、バルクおよび単一分子アッセイによって示されるように、頭部を高効率で再充填した。クライオ電子顕微鏡によって、マシンの大部分が能動的にDNAをカプシドで包んでいることが分かった。単一(図4)もしくは複数のプラスミド、大体80kbの長い連結されたDNA(大体170kbまで)または2.3kbの短いPCR増幅されたDNA(図5)が、効率的にパッケージングされた。図5のレーン1に沿って、ルシフェラーゼが矢印512によって示され、eGFPが矢印514によって示されている。レーン2ではコンカテマー化されたDNAが矢印516によって示されており、レーン3のPCR増幅されたルシフェラーゼ発現カセットが矢印518によって示されている。矢印520、矢印522および矢印524は、頭部内に存在する8kbのT4 DNAを示している。図4に示すように、DNAと頭部の比率が大体30:1であったとき、平均して、1頭部あたり10分子までのプラスミドDNAがパッケージングされた。2つ(またはそれ以上)のプラスミドDNAが存在しているときは、その両方がほぼ等しい頻度でパッケージングされた(図5、レーン1)。次いで、Soc融合組換え体およびHoc融合組換え体を反応混合物に加えることによって、外来ペプチド(細胞透過ペプチド;CPP)とタンパク質(β−ガラクトシダーゼ、DEC205mAb、CD40リガンド等)とを、表面に配列した(図6)。図6において、矢印612は、結合したSoc−TおよびSoc−Pを示し、矢印614は、結合したHoc−TおよびHoc−Pを示し、コントロールレーンは、精製された頭部を示す。カプシドに結合したSocおよびHocは、結合部位に対するSocまたはHoc融合タンパク質分子の比率を変えることによって、単純な1次をたどった(図6および図7)。比率が20:1のとき、ほとんど全てのカプシド結合部位が占有された。

0040

遺伝子操作したT4粒子が遺伝子を哺乳類細胞内へ効率的に送達した)
本発明の初期実験は、HEK293T細胞内へのルシフェラーゼ遺伝子のT4送達が非常に不十分であることを示した。しかしながら、粒子をCPP−Tat(CPP−T)またはCPP−Antp(CPP−P)で装飾した場合は(図6)、細胞ライセート中の高いルシフェラーゼ活性出現によって示されるように、送達は効率的であった(図7図8図9および図10)。CPPは、付着したカーゴ分子細胞膜通過を容易にする塩基性アミノ酸富む、20〜30アミノ酸ペプチドである。TatおよびAntpは、それぞれ、HIV−1トランスアクチベータータンパク質、ショウジョウバエアンテナペディアホメオボックスタンパク質のCPPを言う(Frankelら、1988年(参考文献21);Joliotら、1991年(参考文献22))。ルシフェラーゼ活性は、1細胞あたり105頭部で最大に達した(図7)。活性は、早くも5時間後までに出現し、約16時間後までにピークに達し、少なくとも30時間は持続した。

0041

ルシフェラーゼ活性はCPPのコピー数の増加に伴って増加した(図8)が、所与のコピー数のとき、CPP−TはCPP−Pよりも3.3倍効率が良かった(図9)。これは、おそらく、Hoc融合CPPがカプシド表面から大体180Å離れて位置しており(Hoc繊維の高さ)、それにより、カプシド壁にほとんどへばりついた状態のSoc−CPPと比較すると、哺乳類細胞の細胞膜に接触するのにより長いリーチを有しているためであろう(Qinら(参考文献13)、2010年;Fokineら、2011年(参考文献14))(図1)。Hoc−CPPとSoc−CPPとを組み合わせることによって、送達効率がさらに1.9倍高まった(図10)。送達効率は、パッケージングされたDNAがプラスミドであろうと、短いPCR増幅DNAであろうと、または、長いコンカテマーに連結されていようと、ほぼ同じであった(図12)。別のプラスミド、pEGFP−C1を用いた並行実験でも同様の結果が得られ、ほとんど100%の細胞が緑色蛍光を示した(図11)。図11においては、Hoc−CPPで装飾されなかった(パネル1112)かまたはHoc−CPPで装飾された(パネル1114)かのどちらかであるeGFP DNAパッケージ頭部が、送達に用いられている。パネル1116およびパネル1118は、HEK293T細胞の位相差顕微鏡写真であり、パネル1116がCPPの非存在下、パネル1118がCPPの存在下である。パネル1120およびパネル1122は、HEK293T細胞の蛍光顕微鏡写真であり、パネル1120がCPPの非存在下、パネル1122がCPPの存在下である。

0042

プロヘッドまたは等尺性ファージ頭部も送達媒体として用いることができるが、完全に成熟した空になったファージ頭部が、極めて安定していて大量に生産可能(培養液リットルあたり大体5×1013粒子)であり、最適な頭部であった。インヒビターを用いた予備実験は、T4頭部送達が、エネルギー依存的でアクチン重合を必要とするがクラスリンカベオリンを必要としないエンドサイトーシス経路によって媒介されていることを示した。1細胞あたり106頭部粒子の比率までであっても、T4送達後に著しい毒性は観察されなかった。

0043

T4送達効率は、1細胞あたり105発光単位という多さに近づいており、非常に高いと評価された(図13)。この効率が、現在利用可能な2つの最も効率的なトランスフェクション系であるリポフェクタミンおよびAAVと比較してどうかを判定するために、これらの系のそれぞれに最適な条件下で、ルシフェラーゼ遺伝子をHEK293T細胞内に送達した。データは、T4効率は、リポフェクタミンと同様であったが、これまでに報告されている最も効率的なAAVベクターであるAAV−DJベクターよりも大体3.3倍高かったことを示した(Grimmら、2008年(参考文献23))(図13)。

0044

(T4による遺伝子およびタンパク質の樹状細胞内へのターゲティングされた送達)
T4送達が特定の細胞にターゲティングされ得るかどうかをテストするために、抗原提示樹状細胞を選択した。樹状細胞は、ワクチン取込みならびに体液性および細胞性免疫応答の誘導にとって重要である(Steinmanら、2007年(参考文献24))。本発明の開示された実施形態における仮説は、カプシド格子上に樹状細胞特異リガンドをディスプレイすることによって、T4が樹状細胞を捕らえることが可能になり、付着カーゴのエンドサイトーシスおよび送達につながるというものである。この仮説をテストするために、樹状細胞特異的なDEC205レセプター(Bonifazら、2004年(参考文献25);Jiangら、1995年(参考文献26))およびCD40(参考文献27)をそれぞれ認識したCD40リガンド(CD40L)のDEC205mAbをT4頭部にディスプレイした。まず、頭部にルシフェラーゼおよび/またはeGFP遺伝子をパッケージし、Hoc−GG融合タンパク質とDEC205mAbと共にインキュベートした。GG融合物は、ストレプトマイセス由来の、プロテインGの2つの直列に連結した122アミノ酸IgG結合ドメインを含んでおり(Akerstromら、1985年(参考文献28))、これらは、Hocを通じてT4頭部に付着すると、Fc領域を捕らえ、レセプター結合Fab領域が良好に露出した状態で頭部上にDEC205mAbのアレイを形成した(図14および図19)。図14において、Hoc−GG、Soc−GGおよびDEC205mAbバンドに、矢印1412および矢印1414(Hoc−GG)、矢印1416および矢印1418(Soc−GG)、DEC205mAb(1420、1422、1424および1426)が付けられている。これらの粒子は、パッケージングされたルシフェラーゼ遺伝子をマウスDC2.4細胞内に効率的に送達した(Shenら、1997年(参考文献29))が、レセプターを欠いているHep3B細胞のような非特異的細胞内へはそうすることができなかった(図15)。送達効率は、いくつかの独立した実験においてほとんど100%であった(図16)。図16において、1612および1614は、それぞれ、ディスプレイされたDEC205mAbの非存在下でGFP頭部が形質導入されたDC2.4細胞の位相差顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真である。1616および1618は、それぞれ、ディスプレイされたDEC205mAbの存在下でGFP頭部が形質導入されたDC2.4細胞の位相差顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真である。ルシフェラーゼ遺伝子およびeGFP遺伝子の両方が同じ頭部にパッケージングされた場合、HEK293T細胞では、ルシフェラーゼシグナルおよび緑色蛍光シグナルの両方の存在によって示されるように、頭部は両方の遺伝子を100%近い効率で送達したが、コントロール細胞では、そうではなかった。HocのN末端に融合させたディスプレイされたCD40Lを用いても同様の結果が得られた。

0045

開示された実施形態では、159kDaの大腸菌β−ガラクトシダーゼをモデルタンパク質として用いた樹状細胞内へのタンパク質送達もテストした。β−ガラクトシダーゼが4量体としてのみ機能するため、これはストリンジェントなテストである(Jacobsonら、1994年(参考文献30))。従って、Soc融合タンパク質を、多量体化して500kDaよりも大きい複合体とし、T4頭部に効率的にディスプレイさせなければならず(図17)、結果として得られた頭部は、β−ガラクトシダーゼ活性を示した(図18)。図17における矢印1712は、結合したβ−ガラクトシダーゼSocを示し、40:0レーンは、頭部の非存在下でβ−ガラクトシダーゼSocの非特異的結合を示さないコントロールレーンである。次いで、Hoc融合CPP−TまたはDEC205mAbを、同じ頭部に装飾した(図19および図20;パネル1912およびパネル2012)。これらの頭部は、樹状細胞と共にインキュベートすると、青色X−galの出現によって示されるように、それらの細胞のほとんど100%内へのβ−ガラクトシダーゼの送達を示した(図19および図20;パネル1918およびパネル2018)。ターゲティングリガンドを含まない(図19および図20;パネル1916およびパネル2016)かまたは可溶性酵素のみを含む(図19および図20;パネル1914およびパネル2014)コントロール粒子は、不十分なシグナル〜シグナルなしを示した。

0046

T4が遺伝子およびタンパク質の両方を同時に細胞内に送達できるかどうかを確かめるために、頭部にまずルシフェラーゼおよびeGFPプラスミドをパッケージし、表面をSoc融合物としてのβ−ガラクトシダーゼとHoc融合物としてのCPP(図21)またはDEC205mAb(図22)とで装飾し、全ペイロードが樹状細胞内に送達され得るかどうかをテストした。図21において、パネル2112は、CPPを含まないコントロールのパッケージングされた頭部を形質導入したDC2.4細胞の位相差顕微鏡写真を示し、パネル2114は、CPPを含まないコントロールのパッケージングされた頭部を形質導入したDC2.4細胞の蛍光顕微鏡写真を示し、パネル2116は、β−ガラクトシダーゼ活性のためにX−galで染色したDC2.4細胞を示し、パネル2118は、FITC標識抗体での染色後のeGFPの蛍光画像であり、パネル2120は、ローダミン標識抗体での染色後のルシフェラーゼの蛍光画像であり、パネル2122は、eGFPおよびルシフェラーゼの合成蛍光画像である。図22において、パネル2212は、DEC205mAbを含まないコントロールのパッケージングされた頭部を形質導入したDC2.4細胞の位相差顕微鏡写真を示し、パネル2214は、DEC205mAbを含まないコントロールのパッケージングされた頭部を形質導入したDC2.4細胞の蛍光顕微鏡写真を示し、パネル2216は、β−ガラクトシダーゼ活性についてX−galで染色したDC2.4細胞を示し、パネル2218は、FITC標識抗体での染色後のeGFPの蛍光画像であり、パネル2220は、ローダミン標識抗体での染色後のルシフェラーゼの蛍光画像であり、パネル2222は、eGFPおよびルシフェラーゼの合成蛍光画像である。図21および図22に示すように、ほとんど100%の細胞が、3つのマーカーの全てについて強いシグナルを示し、T4ナノ粒子が2つの異なる遺伝子も巨大な多量体複合体も樹状細胞内へ効率的に送達したことを実証した。炭疽菌由来の防御抗原、ペスト菌由来のF1−V融合タンパク質、HIV−1由来のgp140エンベロープ3量体を含む、頭部にディスプレイされた一連の他のタンパク質を用いても、同じことが観察された。

0047

(インビボT4送達)
別の実施形態において、マウスモデルを用いてインビボT4送達をテストした。4つの群のマウスに、ルシフェラーゼプラスミドがパッケージングされたT4頭部を筋肉内注射した。第1の群には、ディスプレイされたリガンドを含まない頭部を与え、第2、第3および第4の群には、それぞれ、DEC205mAb、CD40LおよびCPP−Tがディスプレイされた頭部を与えた。注射後の異なる時点で、マウスに生物発光基質D−ルシフェリンを注射し、全身撮像した。予想外に、ディスプレイされたリガンドを含まない頭部を与えた第1の群において強いルシフェラーゼシグナルが観察された(図23)。これらの同じ粒子は、インビトロでは非常に不十分な送達を示していた(図7および図11のパネル1112)。さらに、シグナルは注射から早くも6時間後までに現れており、筋肉細胞がT4ナノ粒子を取り込み、送達されたDNAを注射部位で効率的に発現したことを示唆していた。経時的解析は、標準のルシフェラーゼ発現カセットを用いるとルシフェラーゼシグナルが少なくとも14日間にわたり、カセットにAAV逆方向末端反復配列が隣接している場合は少なくとも30日間にわたることを示した(ITRが送達された遺伝子のDNA複製を開始させる)(Asokanら、2012年(参考文献31))(図24および図25)。他方で、DEC205mAbおよびCD40Lがディスプレイされた粒子は、弱いルシフェラーゼシグナル〜ルシフェラーゼシグナルなしを示し、シグナルは急速に消滅した。16時間後までに注射部位に残っているシグナルはほとんどなくなった(図23、パネル3およびパネル4、パネル5およびパネル6を、パネル1およびパネル2と比較)。これらのデータは、DEC205mAbまたはCD40LがディスプレイされたT4粒子を取り込んだ樹状細胞が体の他の部分、例えばリンパ節および脾臓に移動し、それによってシグナルが生物発光イメージング感度未満まで希釈されたことを示唆していた(以前の研究において同様の観察がなされた(Yangら、2008年)(参考文献32))。CPPがディスプレイされた群も同様にふるまった(図23、パネル7およびパネル8)が、これが樹状細胞の移動によるものであったのかどうか、かつ/または、他の種類の細胞も関与していたかどうかについては、さらなる調査が必要である。シグナルの欠乏が送達の欠乏ではなく樹状細胞の移動によるものであることをさらに確認するために、リガンドを含まないかまたはディスプレイされたCD40Lを含む頭部を用いて同量のルシフェラーゼDNAをマウスに送達することによって、別のコントロール実験を行った(図26、パネル2)。図26において、パネル1は、同量のpITR-ルシフェラーゼがリガンドで装飾されなかった(レーンI)かまたはCD40で装飾された(レーンII)T4頭部にパッケージングされたものを示す。レーンMは、分子サイズ標準を示す。図26のパネル2において、ディスプレイされたリガンドを含まないT4頭部の注射部位で強いルシフェラーゼシグナルが見られた。図26のパネル3において、樹状細胞特異リガンドCD40LがディスプレイされたT4頭部の注射部位ではシグナルは見られなかった。また、樹状細胞をターゲティングした群は、加えて、強い細胞性免疫応答を惹起した(下記参照)。総合すると、上記のデータは、T4送達がインビボで効率的であり、いずれにせよ送達を筋肉に局在させることができた(シグナルペプチドを付着させることによって体内分泌させることもできたが)が、その一方で、ターゲティング群においては、遺伝子産物およびそれに由来するペプチドが移動するが、重要なことには、樹状細胞と相互作用するT細胞やB細胞のような細胞に提示されるということを実証している(Steinmanら、2007年)(下記参照)。

0048

(単回投与のT4送達されたペストワクチンが頑強な体液性および細胞性免疫応答を誘導した)
理想的なワクチンは、免疫系の体液性(Th2)および細胞性(Th1)両方の腕を刺激する(Rappuoliら、2007年(参考文献33))。ワクチンを両方の形態、つまり抗原および発現可能なDNAとして送達することによって、免疫系をプライムおよびブーストし(「プライムブースト」ワクチン)、Th1およびTh2応答を刺激し得る(Davtyanら、2009年(参考文献34))。このことは、これまでの方法では効果的なワクチンがまだ開発されていないHIV−1、マラリアおよびTBのような複雑な感染病原体と闘うために特に重要であり得る。

0049

ペスト菌によって起こる、黒死病としても知られるペストも、抗体および細胞性免疫応答の誘導が必要であり得る(Smileyら、2008年(参考文献35))。ペストワクチンの2つの主要な候補は、被膜タンパク質(capsular protein)(Caf1またはF1、16kDa)と、3型分泌系の主要成分である低カルシウム応答V抗原(LcrVまたはV、37kDa)である(Williamsonら、2009年(参考文献36))。F1およびV組換えタンパク質を含む現在のペストワクチンは、強い抗体応答を惹起するが、細胞性免疫応答は不十分である(Doら、2008年(参考文献37))。これは、従来のサブユニットワクチン遭遇する共通の問題である(Carlaら、2010年(参考文献38))。本発明の開示された実施形態では、F1−V DNAとF1−Vタンパク質との両方を送達するT4ナノ粒子が免疫応答の質を変えられるかどうかをテストした。さらに、T4送達された遺伝子は数週間にわたって過剰発現され続けるため、開示された実施形態では、強い免疫応答を誘導するのに単回投与のワクチンが十分であるかどうかもテストした。

0050

上記2つのテストを実施するために、可溶性単量体F1−V融合タンパク質を生産する変異F1−V遺伝子を、強力なCMVプロモーターの制御下でクローニングした。次いで、変異F1−Vタンパク質をSocのN末端に融合し、融合タンパク質をカプシド表面にディスプレイした。マウスの群を、種々の組合せの単回投与のF1−Vワクチンで、筋肉内投与により免疫化した(図28および図29)。プライムブーストワクチン接種(群5)のために、マウスに、大体25μgのF1−V DNAがパッケージングされ、かつ大体30μgのF1−Vタンパク質がディスプレイされたT4頭部(大体5×1011粒子)と、1頭部あたり大体100コピーのDEC205mAbとを注射した。コントロール群は、ナイーブと、ミョウバンをアジュバントとしたF1−Vタンパク質と、F1−V DNAがパッケージングされた頭部と、F1−Vタンパク質がディスプレイされた頭部とを含んでいた。T4ワクチン投与された群のいずれにもアジュバントは含まれなかった。免疫化から4週間後の血清のELISAは、全ての群において強い抗体応答が誘導されたことを示した。マウスの中には、7.5×104という高いエンドポイント力価を達成したものもあった(図30)。しかし、強い細胞性応答が惹起されたのは、上記群のうちの2つ、すなわち、T4DNA群およびF1−V DNAとF1−Vタンパク質との両方を樹状細胞に送達したT4プライムブースト群のみであった(図31)。実際に、後者の群は最も強いIFNγ応答を生じさせた。予想外に、この群からの脾細胞は、FI−V抗原での刺激がなくてもエリスポットの高い頻度(incidence)を示した(図31;群5における赤色の刺激なしの縦棒をその他の群のものと比較)。カウントはF1−V刺激によってさらに増加した(図31)。これらの結果は、樹状細胞内へのT4ワクチン送達がF1−Vの過剰発現と長期間にわたる免疫系への提示とを誘導し、それがまたT細胞の継続刺激につながるという仮説と一致する。

0051

上記の結果は、プライムブーストワクチン接種のためのT4プロ遺伝子送達の応用を実証するものである。アジュバントなしの単回投与のT4ワクチンが免疫系の両方の腕を刺激しただけでなく、従来のワクチンとは異なり、T4ワクチン投与された動物における免疫系は免疫化後数週間にわたって活性化されたままである。このため、T4は、有効なプライムブーストワクチンの将来の開発のための良好なプラットフォームであると思われる。

0052

結論
上記の一連の実験によって、他にないタイプの遺伝子およびタンパク質送達プラットフォームとしてのファージT4DNAパッケージングマシンが確立された。よく理解された構造的および機構的特徴図1)、すなわち、170kbの容量の頭部と、乱雑なパッケージングモーターと、1,025分子の容量の表面格子と、末端が露出したSocタンパク質と、標的細胞を捕らえるための大体180Åの長さのHoc繊維とを有して、T4は、多種多様な用途のためにナノ粒子を遺伝子操作するための多くの選択肢を提供する。たいていの場合特徴が1つであり、容量が限られている既存の系とは異なり、T4の応用例は、遺伝子およびタンパク質の単純なインビトロ送達から、病気を治療するために遺伝子、タンパク質、多量体複合体およびターゲティング分子の組合せを必要とする複雑なインビボ送達にまで及ぶ。これらの広範囲の応用例を実証するために、一連の重要な実験を選択した。データは、T4が、単一または複数の遺伝子を、プラスミド、PCR増幅されたDNAまたはコンカテマー化されたDNAとして効率的に送達したことを示す。同時に、単一または複数のタンパク質が、短いペプチド、完全長のタンパク質または巨大な多量体複合体として送達された。異なる課題を実行するためにナノ粒子の異なる部分を遺伝子操作したが、所望の結果を生み出すために統合した。例えば、一部分(Hoc)を、ナノ粒子に特定の細胞をターゲティングするのに割り当て、その一方で、別の部分(Soc)を、過渡的に新しい機能を発現するように、さらに別の部分(カプシド内部)を、長時間にわたって抗原を過剰発現させるように、設計した。このため、T4は、組換えDNAおよびタンパク質分子の送達のための高度な系を提供する。

0053

ファージT4プラットフォームは、それをいかなる研究室にも容易に適応可能にするいくつかの技術的利点がある。T4は、細菌由来であるので、非感染性、非毒性であって、先在する免疫を持たない。T4プラットフォームの2つの主要成分である頭部とパッケージングモーター(gp17)は、比較的容易に、大腸菌から大量に(培養液1リットルあたり、大体5×1013頭部または5mgのgp17)調製することができる。どちらも非常に安定しており、少なくとも2年間−70℃で貯蔵した後も活性を保持する。アセンブリ工程は、比較的簡単であり、1つのチューブ内で行われ、約3時間のうちに完了し、各工程が定量化可能である。図示したように、遺伝子およびタンパク質の異なる組成を有する一連のカスタマイズされたナノ粒子を1回の実験で調製することができた。

0054

T4プロ遺伝子送達は、有用な生物医学的療法を開発するための新たな道を提供する。開示された実施形態は、強い抗体および細胞性免疫応答を惹起する、肺ペストに対するプライムブーストワクチン接種手法を実証した。この手法は、HIV−1、マラリアおよびTBのような感染病原体に対する有効なワクチンを開発するために広く用いることができる。外部にディスプレイされたリコンビナーゼおよびターゲティング分子と、内部にパッケージングされたゲノムDNAおよびsiRNA遺伝子とを送達するT4頭部は、癌治療において、アポトーシスの誘導によって癌細胞を殺すためかまたはある特定の癌遺伝子遮断することによって癌表現型反転させるために用いることができる(Leuschnerら、2011年(参考文献39))。T4送達は、c−Myc、Klf4、Sox2およびOct3/4のような転写因子遺伝子およびタンパク質を送達するとともに、長いゲノムDNAのインビボ送達によって欠陥遺伝子を機能的遺伝子に置き換えることによって、多能性幹細胞の安全で効率的な再プログラミングを可能にし得る(Mikiら、2012年(参考文献40))。

0055

(実施例1)
(10−アンバー13−アンバー hoc(高抗原性外部カプシドタンパク質)−del soc(小さい外部カプシドタンパク質)−del 頭部の精製)
10−アンバー13−アンバー.hoc−del.soc−del変異体を標準の遺伝子交雑によって構築した。この変異体を感染させた大腸菌P301(sup−)細胞(500mL)を、10μg/mLDNアーゼIおよびクロロホルム(1mL)を含む40mLのPi−Mgバッファ(26mM Na2HPO4/68mM NaCl/22mM KH2PO4/1mM MgSO4、pH7.5)中で溶解し、37℃で30分間インキュベートした。ライセートを低速(6,000×gで10分間)および高速(35,000×gで45分間)で2回遠心分離し、最終的な頭部ペレットを200μLのTris−Mgバッファ(10mM Tris−HCl、pH7.5/50mM NaCl/5mM MgCl2)中で再懸濁し、CsCl密度勾配遠心分離法によって精製した。5mLの勾配の底から約1/3に沈降した主要頭部バンドを抽出し、Tris−Mgバッファに対して一晩透析した。頭部をDEAEセファロースクロマトグラフィーによってさらに精製した(Neumannら、2011年)。ピーク頭部画分を濃縮し、−80℃で貯蔵した。

0056

(実施例2)
(インビトロDNAパッケージング)
インビトロDNAパッケージングアッセイを前述の手順によって行った(Kay、2011年)。反応混合物は、30mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、3mM MgCl2および1mMATPを含有するバッファを用いて、精製されたHoc−Soc−頭部[または、記載されている場合は野生型(WT)頭部](大体2×1010粒子)と、精製されたgp17(大体1.5μM)と、DNA(大体300ng)とを含んでいた。DNAは、制限酵素での消化によって生産された線状化された分子であった。例として、eGFP発現カセットを含むMluI−線状化された4.7kbpEGFP−C1プラスミドおよびルシフェラーゼ発現カセットを含むBamHI線状化6.2kb psiCHECK2プラスミドが挙げられる。いくつかの実験においては、発現カセットに対応するPCR増幅した2.3kbのDNAまたは大体80kbの連結されたプラスミドコンカテマーをパッケージング基質として用いた。パッケージングされていないDNAを消化するためにDNアーゼIを添加することによってパッケージング反応を終了させた。カプシドに包まれたDNアーゼI抵抗性DNAをプロテイナーゼKでの処理によって放出させ、アガロースゲル電気泳動によって解析した。パッケージングされたDNAをQuantity Oneソフトウェアによって定量化した。各実験は、必須のパッケージング成分、すなわち、頭部、gp17、ATPまたはDNAのうちの1つが欠如した1〜数個ネガティブコントロールを含んでいた。パッケージング効率とは、パッケージング反応において用いられた頭部粒子の数あたりのパッケージングされたDNA分子の数として定義される。

0057

(実施例3)
(インビトロでのHoc−Soc−T4頭部上のディスプレイ)
インビトロでの融合タンパク質のT4カプシド上のディスプレイを、記載のように実行した(Demayoら、2012年;Yanら、2010年)。ルシフェラーゼおよび/またはeGFPDNAを上記のようにパッケージングした後、Hoc−Soc−T4頭部(2〜3×1010粒子)を、同じチューブ内のSocおよび/またはHoc融合タンパク質と共に、Soc融合物については4℃、Hoc融合物については37℃で、30分間インキュベートした。DEC205mAbのディスプレイのために、HocまたはSoc融合GGドメインとmAbとを同時に反応混合物に添加した。カプシド上のそれぞれの結合部位に対する融合タンパク質の比率を調節した。カプシド上の結合部位は、融合タンパク質によって占有され、反応混合物に含まれる1つのタンパク質またはタンパク質の組合せで頭部を装飾している。頭部を34,000×gで45分間遠心沈殿させ、20mM Tris−HCl(pH8.0)および100mM NaClで2回洗浄することによって結合していないタンパク質を除去した。頭部ペレットを、形質導入のためにOpti-MEMで、または、SDS/PAGE解析のためにPBS(pH7.4)で、再懸濁させた。ゲルクーマシーブルーR250で染色し、タンパク質バンドレーザーデンシトメトリーによって定量化した。Hoc、Soc、gp23*およびgp18(主な尾鞘タンパク質;70kDa)バンドの密度をレーンごとに別々に測定し、1カプシドあたりの結合HocまたはSoc分子の数を、gp23*の既知のコピー数(1頭部あたり930コピー)またはgp18の既知のコピー数(1ファージあたり138コピー)を用いて算出した。1カプシドあたりの結合Soc分子数(Y)と結合反応における結合していないタンパク質の濃度(X)とを関係付け飽和結合曲線は、S字状ではなく、隣接するHocまたはSoc結合部位間に協同性がないことを示した。見かけのKd(会合定数)とBmax(1カプシドあたりの結合したSocの最大コピー数)とを、GraphPad PRISM-4ソフトウェアにプログラムされているように、式Y=BmaxX/(Kd+X)を用いて決定した。

0058

(実施例4)
(T4頭部のための遺伝子送達)
細胞(HEK293TおよびHep3Bについては1ウェルあたり2×105細胞、DC2.4については1ウェルあたり1.5×105細胞)を24ウェルプレート播種し、5%(vol/vol)CO2中で37℃で一晩インキュベートした。次いで、培地を500μLのopti-MEM培地と交換し、100μLの遺伝子操作されたT4頭部(HEK293TもしくはHep3B細胞については2×1010頭部またはDC2.4細胞については1.5×1010頭部あるいは図に示された通り)を各ウェルに直接添加した。24時間のインキュベーション後、ルシフェラーゼ発現を標準のプロトコルに従って定量化した。わずか2時間のインキュベーション後に培地を変更した場合は、ルシフェラーゼシグナルの有意な差は観察されなかった。次いで、細胞をPBSで洗浄し、1ウェルあたり160μLの受動溶解バッファを添加して室温で30分間振盪することによって溶解した。各ライセートの20μLアリコートを96ウェルホワイトプレートに移し、100μLのLARIIバッファと混合した。発光シグナルルミノメーターによって検出した。並行して、β−アクチンを用いたウエスタンブロッティングによって同量の細胞ライセートをβ−アクチンについて解析し、アッセイごとに同数の細胞が取り込まれたことを確認した。

0059

(実施例5)
(T4頭部によるタンパク質送達)
β−ガラクトシダーゼSocをHoc−Soc−T4頭部と共に4℃で45分間インキュベートした。Hoc−TまたはHoc−GGおよびDEC205mAbを同じ反応チューブに添加し、さらに45分間、4℃でインキュベートした。頭部を34,000×gで45分間遠心沈殿させ、上記のようにバッファで2回洗浄することによって結合していないタンパク質を除去した。頭部ペレットを、形質導入のためにopti-MEMに、または、β−ガラクトシダーゼ活性の測定のためにPBSに、再懸濁した。後者については、X−Galをチューブに添加し、室温で10分間インキュベートした。上記のように送達を行い、β−ガラクトシダーゼ活性を、β−ガラクトシダーゼ染色キットを用いてX−Galで染色することによって、頭部の添加から3時間後または24時間後に顕微鏡法可視化した。

0060

(実施例6)
(単一分子光ピンセットDNAパッケージング)
光ピンセットパッケージングを用いた単一パッケージングマシンによるパッケージングを前述の手順に従って行った(Kaczmarczykら、2011年;Smithら、2001年)。精製した頭部(4×109粒子)を、パッケージングバッファ(50mM Tris−HCl、pH7.6/100mM NaCl/5mM MgCl2)からなる10μLの反応容量中で、1mMATP−γ−Sの存在下で、精製したgp17(1μM)および125bpの「プライミング」DNA(0.44μM)と混合した。37℃で30分間インキュベートした後、T4ファージ抗体被覆ポリスチレンビーズ(1.5μL)(直径0.79μm、Spherotech社)を添加した。PCR増幅した10kbの一端をビオチン標識したλDNAを、ストレプトアビジン被覆ポリスチレンビーズ(直径0.86μm、Spherotech社)に添加し、37℃で30分間インキュベートすることによって、DNAビーズを調製した。較正済みデュアルトラップ光ピンセットを用いて、100Hzで、パッケージングが5pNの一定の力に対して起こるようにした「フォースフィードバック」モードで、計測値を得た。1mM ATPをフローセル内注入することによって、テザー形成およびパッケージングを開始させた。53nmの持続長、1,200pN/nmの伸長弾性係数および0.34nmの塩基対あたりの距離を仮定したミミズ鎖モデルを用いて、計測された力およびビーズ間伸びから、DNAの輪郭長を算出した。0.1秒(10データ点)のスライディングウィンドウにわたる輪郭fDNAのリニアフィットからDNAパッケージングの速度を決定した。

0061

(実施例7)
(単一分子蛍光DNAパッケージング)
蛍光標識オリゴヌクレオチドの単一分子パッケージングを前述の基本的手順に従って行った(Neumannら、1982年)。個々のT4パッケージングマシンを、PEG表面不動態化カバーガラスに付着させたT4ファージ抗体を通じて固定化した。結合していない頭部を洗い流し、パッケージングバッファ中のATPおよび39bpのCy5 DNAを、[50mM Tris−HClバッファ、pH8.0/5%(wt/vol)PEG/5mM MgCl2/1mMスペルミジン/1mMプトレシン/60mM NaCl、および酸素スカベンジャー系(0.8%デキストロース/0.1mg/mLグルコースオキシダーゼ/0.02mg/mLカタラーゼ、および3mMトロロクス)]に流し込んだ。単一マシンによるCy5 DNAのパッケージングを、CCDカメラによって100ミリ秒時間分解能で撮像した。

0062

(実施例8)
組換えプラスミドの構築)
細胞透過ペプチド(CPP)組換え遺伝子の全てを、2回のPCRによって増幅した。1回目のPCRは、HocまたはSoc遺伝子を12アミノ酸リンカーおよびCPPの一部を含む配列に融合することによって行った。このPCR産物を、CPP配列の残りと適切な制限部位とを含む末端プライマーを用いる2回目のPCRのためのテンプレートとして用いた。結果として得られた制限酵素部位−CPP−リンカー−Hoc/Soc−制限酵素部位を含む断片を、アガロースゲル電気泳動によって精製し、適切な制限酵素で消化し、同じ制限酵素で消化したゲル精製pET−28bベクターDNAと連結させた。Hoc融合DNA断片の挿入の結果、ヘキサヒスチジン配列をN末端に含む23アミノ酸ベクター配列とのインフレーム融合が生じた。Soc融合DNA断片の挿入の結果、ヘキサヒスチジン配列をC末端に含む8アミノ酸ベクター配列とのインフレーム融合が生じた。組換え構築物の残り(GGドメイン、β−ガラクトシダーゼ)については、SocおよびHocを個別に適切なプライマーで増幅した。精製したPCR産物を適切な制限酵素で消化した。3つの制限酵素消化断片(Hoc−GGについては、GGドメイン、pET−28bおよびHoc;Soc−GGについては、GGドメイン、pET−28bおよびSoc;βgal−Socについては、β−ガラクトシダーゼ、pET−28bおよびSoc)を一方向性に連結して適切な融合産物を生成した。組換えDNAの挿入の結果、ヘキサヒスチジン配列をN末端に含む23アミノ酸ベクター配列とのインフレーム融合が生じ、Soc融合物の場合には、2つ目のヘキサヒスチジンタグ組換え体のC末端に付加された。連結されたDNAを大腸菌XL10ゴールド細胞に形質転換し、形質転換細胞からアルカリ溶解によってミニプレッププラスミドDNAを調製し、各クローンの配列をDNA塩基配列決定法によって確認した。次いで、組換えタンパク質のIPTG誘導過剰発現のために、組換えDNAを発現株大腸菌RIPLに形質転換した。

0063

(実施例9)
(組換えタンパク質の精製)
組換えタンパク質を、以下に説明する基本的プロトコルに従って精製した。組換えクローンを内部に持つBL21(DE3)RIPL細胞を、1mMIPTGで30℃にて2時間誘導した。細胞を、遠心分離(4,000×gで4℃にて15分間)によって回収し、50mLのHisTrap結合バッファ(50mM Tris−HCl、pH8.0/20mMイミダゾール/300mM NaCl)中で再懸濁した。細胞をフレンチプレスを用いて溶解し、Hisタグが付いた融合タンパク質を含む可溶性画分を34,000×gで20分間遠心分離することによって単離した。上清をHisTrapカラムにロードし、バッファを含む50mM イミダゾールで洗浄し、タンパク質を20〜500mMの直線イミダゾール勾配で溶出させた。ピーク画分を濃縮し、20mM Tris−HCl(pH8.0)および100mM NaClを含むバッファ中でHi-Load 16/60 Superdex-200(プレップグレードゲルろ過カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。ピーク画分を濃縮し、−80℃で貯蔵した。

0064

(実施例10)
(DEC205モノクローナル抗体(mAb)の精製)
DEC−205に対してラットIgG2aモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞株HB−290をATCCから入手し、5%(vol/vol)CO2中、10%(vol/vol)FBSを補ったRPMI1640で、37℃に増殖させた。mAbは、プロテインGカラム上でアフィニティークロマトグラフィーによって上清から精製した。細胞培地を低速で遠心分離して細胞破片を除去し、上清のバッファ組成物を、タンジェンシャルフローろ過システムを通すことによって20mMリン酸ナトリウム(pH7)に対して調節した。次いで、試料をプロテインGカラムにロードし、mAbを0.1Mグリシン−HCl(pH2.8)で溶出させた。溶出液中和し、mAbの機能を保存するために、mAb画分を80μLの1M(pH9)を含有するチューブに回収した。

0065

(実施例11)
(アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター生産)
今回の研究では、8つの異なる天然の血清型からハイブリッドカプシドを作成するためにDNAファミリーシャッフリングによって遺伝子操作されたAAV血清型DJキットを用いた(Fullerら、2007年)。AAV−DJベクターは、天然の血清型と比較して、広範囲の組織および細胞型にわたって、著しく高い感染率を示した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子をAAVベクターにクローニングし、3つのプラスミドを用いたHEK293T細胞への同時トランスフェクションによりルシフェラーゼ−AAVを生産した。トランスフェクションの70時間後に、AAVを回収し、製造業者説明書に従って精製した。QuickTiterTM AAV定量化キットによってAAV力価を決定した。

0066

(実施例12)
間接免疫蛍光顕微鏡法)
細胞(HEK293Tについては1ウェルあたり4×105細胞、DC2.4については1ウェルあたり3×105細胞)を2チャンバースライドに播種し、5%(vol/vol)CO2インキュベーター内で、37℃で一晩インキュベートした。形質導入から24時間後に、細胞をPBS(pH7.4)で洗浄し、上記のようにβ−ガラクトシダーゼ活性を調べるためにX−Gal染色した。次いで、細胞を4%(vol/vol)パラホルムアルデヒドでさらに固定し、0.1%Surfact-Amps X-100で透過処理した。ヤギ抗ルシフェラーゼ一次抗体(1:1,000希釈)またはマウス抗GFP一次抗体(1:2,000希釈)と共に37℃で1時間インキュベートした後、細胞を、それぞれ、ローダミン標識したウサギ抗ヤギ二次抗体(1:1,000希釈、KPL社)またはFITC標識したウサギ抗マウス二次抗体(1:2,000希釈)で探索した。倒立型AX10 Observer Dl顕微鏡で細胞を撮像し、β−ガラクトシダーゼ活性、eGFP蛍光およびローダミン蛍光を呈する細胞の画像を順次取得し、AxiovisionTMソフトウェアで解析した。

0067

(実施例13)
(ELISA)
96ウェルプレートの各ウェルを、コーティングバッファ(0.05M炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム、pH9.6)で希釈した0.1μgのタンパク質で、4℃で一晩被覆した。次いで、プレートをPBS(pH7.4)中の3%(wt/vol)BSAで、37℃で1時間遮断した。等容量の血清試料を希釈バッファ(PBS、pH7.4、1%BSAを含む)で連続的に希釈し、各ウェルに添加した。37℃で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファPBS−T(0.1%ツイーン20を含むPBS、pH7.4)で洗浄した。希釈バッファ中で1:2,000に希釈したヒツジ抗マウスIgG−HRP(Invitrogen社)を二次抗体として用いた。二次抗体と共に37℃で1時間インキュベートした後、TMB Microwell Peroxidase Substrate Systemを用いて発色させ、TMB BlueSTOP(KPL社)溶液を添加することによって反応を停止させた。波長650nmでのOD値をELISAリーダーによって読み取った。

0068

(実施例14)
(エリスポット)
合計55匹の5〜6週齢のBalb/cJマウスに、Fl−V DNAおよび/またはタンパク質を含むファージT4頭部粒子を筋肉内経路(i.m.)でワクチン接種した。21日目に、各ワクチン接種群における3匹のマウスから脾臓を摘出し、それぞれのマウスから脾細胞を単離し、群ごとにプールした。脾細胞(1mLあたり106)を3連で平板培養し、5μg/mLのFl−V、組換えマウスIFN−γまたは培地で刺激し、37℃で24時間インキュベートした。マウスIFN−γエリスポットキットを用いて、製造業者の説明書に従って、単一細胞脾臓懸濁液中のIFN−γ発現細胞相対数を測定した。Immunospot Series 1 Analyzer Elispot Readerは、1ウェルあたりのスポット形成細胞数を定量化する。

0069

(実施例15)
(動物のライブイメージング系)
約2〜5×1011の頭部粒子を、各Balb/cJマウスに筋肉内経路(i.m.)で注射した。注射から6時間後、10時間後、16時間後、30時間後、50時間後、14日後および30日後に、マウスに30μgのRediJect D-Luciferin Ultraを腹腔内(i.p.)注射し、5分後に、マウスにイソフルオラン下で軽く麻酔をかけた後、IVIS 200生物発光および蛍光全身イメージングワークステーション(Caliper社)を用いてマウスのインビボイメージングを行った。生物発光スケールは、図に示されるが、放射輝度(radiance intensity)に基づいて段階付られた「強い」(赤色)から「最も強くない」(紫色)にわたっている。

0070

(実施例16)
統計的解析
結果を平均±SDとして表す。2つの群の間の統計的比較を、スチューデントt検定によって評価し、多重比較のためにANOVAによって補正した。P<0.05の値であれば統計的有意性を示していると考えた。

0071

本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、添付の特許請求の範囲において定められるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載の実施形態に対する多くの変形、改変および変更が可能である。したがって、本発明は、記載の実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言およびその等価物により規定される全ての範囲を有することが意図される。

0072

参考文献
以下の参考文献は、上記および/または本発明と共に用いられ得る技術を記載するために言及したものであり、そして以下の参考文献の内容および開示は参照により本明細書中に援用される:
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0073

本願において引用した全ての文書、特許、学術文献および他の資料は、参照により本明細書中に援用される。

実施例

0074

本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、添付の特許請求の範囲において定められるように、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載の実施形態に対する多くの変形、改変および変更が可能である。したがって、本発明は、記載の実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲の文言およびその等価物により規定される全ての範囲を有することが意図される。

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