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課題・解決手段

本発明は、ベータ遮断薬アルドステロンアンタゴニスト利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬投与適格な被検体を同定するための方法に関する。本方法は、心不全罹患している被検体からの試料において、GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチンミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、sST2(可溶性ST2)、PlGF、sFlt−1、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定することに基づく。さらに、本方法は、こうして決定した量を基準量と比較する工程を含む。さらに本発明は、本発明の方法を実施するために適合させたキットおよびデバイスを想定する。本発明はまた、本明細書に開示する少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するためのシステム、および本明細書に開示する方法を実施する際に使用する試薬およびキットに関する。

概要

背景

近代医療の目的は、個人化または個別化された治療計画を提供することである。それらは、患者の個々のニーズまたはリスクを考慮に入れた治療計画である。個人化または個別化された治療計画は、有望な治療計画を決断することが要求される際の方策すら考慮されるべきである。

心不全(HF)は主要な増大しつつある重大な健康問題である。米国で約500万人の患者がHFを伴なっており、米国で毎年500,000人を超える患者がHFを伴なうと初めて診断され、毎年250,000人を超える患者が主因としてのHFで死亡していると推定される。心不全(HF)は先進国における罹病および死亡の主因のひとつである。集団高齢化および心血管疾患患者長命化のため、HFの発病率および有病率は増大している。

心不全は、心室が血液を充満または排出する能力および血液/酸素の供給に対する身体の代謝要求を確保する能力を損なう何らかの構造性または機能性の心臓障害から生じる可能性のある、複雑な臨床症候群である。そのような場合、身体は要求される供給を維持するために、心筋構造変化(たとえば肥大;最終的には線維症アポトーシス壊死に至る)および神経液性刺激交感神経系およびレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系活性化)によって供給不足代償しようとする。HFは種々の重症度分類される。

ひとつの分類法は、いわゆるNYHA(New York Heart Association)分類である。心不全患者は、NYHAクラスI、II、IIIおよびIV、またはAmerican College of Cardiology and the American Heart Association(ACCAHA)ステージA、B、CおよびDに分類される。患者はその健康を完全には回復することができないと予想され、治療的処置の必要がある。NYHAクラスIの患者は、心血管疾患の明らかな症状をもたないが、既に機能障害客観的証拠を備えている。NYHAクラスIIの患者は、身体活動がわずかに制限される。NYHAクラスIIIの患者は、身体活動の顕著な制限を示す。NYHAクラスIVの患者は、不快感なしにいかなる身体活動も行なうことができない。彼らは静止時に心不全の症状を示す。

この機能分類法は、American College of Cardiology and the American Heart Association (参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2001; 38; 2101-2113, 2005年に更新, 参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2005; 46; el-e82)による、より最近の分類法によって補足される。4つのステージA、B、CおよびDが規定される。心不全ステージB、CまたはDを伴なう患者は、心臓に構造および機能の変化が既に生じている。患者はその健康を完全には回復することができないと予想され、治療的処置の必要がある。

急性および慢性心不全にについての投薬および治療ガイドラインESCGuidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failureに記載されている(European Heart Journal (2008) 29, 2388-2442)。得られる治療選択肢はHFを伴なう患者の罹病率および死亡率を低下させることができるが、これらの治療を受けるのに適格な患者の相対数は依然として不満足なほど低い(O'Donoghue M. & Braunwald E., Nat. Rev. Cardiol. 2010; 7: 13-20)。さらに、治療に適格な患者において、治療は主に原疾患ならびにHFの徴候および症状により、薬物の最大忍容性にまでガイドおよび調整されてきた(たとえば、NYHAステージ、ACC/AHAステージ、またはうっ血スコアにより)。

ナトリウム利尿ペプチドマーカー、たとえばB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、またはそれのアミノ末端フラグメントであるN末端proBNP(NT−proBNP)の測定が、収縮期HFを伴なう患者の診断およびリスク層別化のための重要なツールとして浮上した(O'Donoghue M. & Braunwald E., Nat. Rev. Cardiol. 2010; 7: 13-20)。BNP/NT−proBNPガイドによるHF療法は、治療強化が必要な患者を同定でき、そのような強化のタイミングを指示することができる。しかし、BNP/NT−proBNPガイドによるHF療法は、患者に有益な可能性がある薬物の種類は指示しない。

たとえば、NYHAクラスII、IIIまたはIVの重篤症候性HFを伴なう患者の心血管疾患の治療に対するスピロノラクトン(spironolactone)の有益な効果は周知であるが、これらの薬物は重篤な副作用(たとえば、高カリウム血症不整脈突然死低血圧症勃起不全、筋衰弱性、女性化乳房症、および胃炎)についても知られている。Williams et al. 2006 Clin. Cardiol. 29, 149-153。特に、高カリウム血症を発現するリスクは脅威である(D.N. Juurlink et.al. NEJM 2004; 351 543)。

言い換えると、原疾患、臨床判定、およびBNP/NT−proBNPガイドによるHF療法だけでは、治療選択または治療強化についての十分な情報が得られない。特定の治療を強化し、または逆に特定の治療もしくはその強化を避けるために、さらに新たなバイオマーカー、特に治療に対する応答予測できるものまたは適切な治療の選択を補助するものが必要とされている。

したがって、特定の心不全治療が有益であると思われる被検体または逆に特定の心不全治療から害を受けると思われる被検体を同定できるバイオマーカーが必要とされている。
IGFBP系は細胞の増殖および分化において重要な役割を果たす。IGF結合タンパク質7(=IGFBP−7)は、内皮細胞血管平滑筋細胞線維芽細胞、および上皮細胞により分泌されることが知られている30−kDaのモジュール状の糖タンパク質である(Ono, Y., et al., Biochem Biophys Res Comm 202 (1994) 1490-1496)。その文献では、この分子FSTL2;IBP 7;IGF結合タンパク質関連タンパク質I;IGFBP 7;IGFBP 7v;IGFBP rP1;IGFBP7;IGFBPRP1;インスリン様増殖因子結合タンパク質7;インスリン様増殖因子結合タンパク質7前駆体;MAC25;MAC25タンパク質;PGI2刺激因子;およびPSFまたはプロスタサイクリン刺激因子とも呼ばれている。低レベルのIGFB−7はランダムヒト血清中に検出され、血清レベルの増大はインスリン抵抗性と関連することが認められた(Lopez-Bermejo, A., et al., J. Clinical Endocrinology and Metabolism 88 (2003) 3401-3408, Lopez-Bermejo, A., et al., Diabetes 55 (2006) 2333-2339)。

US20100285491には、心不全の評価におけるIGFBP−7の使用が開示されている。それにはさらに、HFに罹患している患者のための治療計画を選択するのにマーカーIGFBP−7を使用できることが開示されている。さらに、HF患者の経過観察に際してIGFBP−7レベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であると主張されている。

WO2008/015254には、心不全治療、好ましくはスピロノラクトンを含めたアルドステロンアンタゴニストなどの医薬を用いる薬物ベースの治療に適格な被検体を同定する、GDF−15検出ベースの方法が開示されている。好ましくは、さらにTnTまたはNTproBNPの検出がなされている。さらに、好ましくは基準量(好ましくは1200pg/ml)より多いGDF−15の量は心不全治療に適格な被検体の指標である。しかし、その文書にはどの薬物治療考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

ミメカンオステオグリシン(osteoglycin)とも呼ばれる)は、細胞外マトリックス多機能性成分である。ミメカンは、コラーゲン原線維形成、すなわち発生、組織修復および転移に際して必須であるプロセスの調節に関与することが示された(Tasheva et al., Mol. Vis. 8 (2002) 407-415)。それは骨形成に際してTGF−ベータ−1またはTGF−ベータ−2との組合わせで役割を果たす。ラットおよびヒトの心臓組織におけるトランスクリプトーム解析により、拡張性心筋障害におけるミメカンと左心室質量および細胞外リモデリングとの高い相関性が明らかになった(Petretto, E. et al., Nature Genetics 40 (2008) 546-552)。

WO2011/012268には、個体から得られた体液試料中のミメカンを心不全の評価のために使用することが開示されている。それはさらに、マーカーであるミメカンをHFに罹患している患者のための治療計画の選択に使用することに関する。さらに、それにはHF患者の経過観察に際してミメカンのレベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であることが開示されている。しかし、その文書には、どの薬物治療を考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

エンドスタチンは、最初はネズミ血管内皮腫からXVIII型コラーゲンの20kDAタンパク質分解フラグメントとして単離された(O'Reilly, M.S. et al., Cell 88 (1997) 277-285)。コラーゲンは、組織構造統合性の維持に主要な役割を果たす超分子凝集体を形成する特徴的な三重らせん立体構造をもつ、細胞外マトリックスタンパク質ファミリーを表わす。過度のコラーゲン沈着は線維症をもたらして、周囲組織の正常な機能を攪乱する。エンドスタチンは、種々のタンパク質分解酵素の作用によりコラーゲンXVIIIのアルファ1鎖から放出される(Ortega, N. and Werb, Z., Journal of Cell Science 115 (2002) 4201-4214)。エンドスタチンは血管形成および血管増殖の強力な阻害剤である。しかし、その文献には、どの薬物治療を考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

WO2010/124821には、心不全を評価するためにエンドスタチンを測定することが開示されている。それはさらに、マーカーであるエンドスタチンをHFに罹患している患者のための治療計画の選択に使用することに関する。さらに、HF患者の経過観察に際してエンドスタチンのレベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であると主張されている。

GDF−15(増殖分化因子15)はトランスフォーミング増殖因子−βサイトカインスーパーファミリーメンバーであり、最初はマクロファージ阻害性サイトカイン−1(MIC−1)として同定され、後に胎盤性トランスフォーミング増殖因子−βとも命名された(Bootcov 1997, Proc Natl Acad Sci 94:11514-11519; Tan 2000, Proc Natl Acad Sci 97:109-114)。GDF−15は心血管事象の強力な予測子および心血管合併症の指標として記載された(Brown, D. A. et al., 2002 The Lancet, 359: 2159-2163; US2003/0232385; Kempf 2006,Circ Res 98: 351-360)。Kempfらは、GDF−15の循環レベルがCHFの重症度に関係があり、慢性心不全を伴なう患者において死亡のリスクを予測することを示した(Clinical Chemistry 53:2; 284-291 (2007); Am Coll Cardiol, 2007; 50:1054-1060)。

WO2012/025355には、トロポニンTおよびGDF−15の検出をベースとする、スピロノラクトンのようなアルドステロンアンタゴニストの投与を受けている心不全患者における治療モニタリングおよび治療適合のための方法が開示されている。その文書にはさらに、トロポニンT、NT−proBNPおよびGDF15の検出により心不全患者における治療のモニタリングまたは適合が可能になることが開示されている。

WO2010/0070411には、GDF−15、NT−proANP、NT−proBNPおよび心臓トロポニンの検出をベースとする、心不全に罹患している見掛け上は安定な被検体をモニタリングする方法が開示されている。さらにそれには、心不全に罹患しておりその生理状態が変化しつつある見掛け上は安定な被検体に、どの治療/投薬を適用すべきであるかを診断および/または決断する方法が開示されている。

WO2009/047283には、BNP、cTnT、および少なくとも1種類の炎症マーカーオステオポンチン(OPN)、GDF−15、CRPの決定により、心筋梗塞後の被検体のリモデリングプロセスでどの治療または併用治療を適用すべきであるかを診断する方法が開示されている。それには≧500pg/mlのオステオポンチンレベルACE阻害薬アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、およびアルドステロンアンタゴニストの指標として記載されている。

Kubo et al. 2011 (Circulation J, 75, 919-926)には、BNPおよびトロポニンベースの検出をベースとする、肥大性心筋障害に罹患している患者における臨床悪化を予測するためのリスク予測が開示されている。評価された患者の多くは心不全に罹患していた。肥大性心筋障害を伴なう患者をモニタリングするために、それら2種類のマーカーの組合わせ測定が有用な可能性があると推論されている。

Fonarow et al. 2008 (Am J Cardiol, 101, 231-237)には、BNPおよびトロポニンの検出をベースとする、心不全に罹患している患者における死亡率予測が開示されている。
Mentz et al. 2011 (Circ J, 75(9):2031-7)には、NTproBNP検出をベースとする、心不全患者における治療のガイダンスおよびモニタリングのための方法が開示され、その際、治療は利尿薬、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、スピロノラクトン、ナイトレートまたはジゴキシンによる治療から選択される。

Boehm et al. 2011 (Clin Res Cardiol, 100:973-981)は、NTproBNP検出をベースとする、心不全患者における治療のガイダンスおよびモニタリングのための方法を概説している。それは、心不全治療をガイドするためにBNPをトロポニンと組み合わせる可能性についても述べている。

概要

本発明は、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための方法に関する。本方法は、心不全に罹患している被検体からの試料において、GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、sST2(可溶性ST2)、PlGF、sFlt−1、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定することに基づく。さらに、本方法は、こうして決定した量を基準量と比較する工程を含む。さらに本発明は、本発明の方法を実施するために適合させたキットおよびデバイスを想定する。本発明はまた、本明細書に開示する少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するためのシステム、および本明細書に開示する方法を実施する際に使用する試薬およびキットに関する。なし

目的

近代医療の目的は、個人化または個別化された治療計画を提供する

効果

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請求項1

少なくとも1種類の医薬投与適格な被検体を同定するための方法であって、a)心不全罹患している被検体からの試料において少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、b)ステップa)で決定した量を基準量と比較し、それにより前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定すること;を含み、前記医薬はベータ遮断薬であり、前記バイオマーカーはIGFBP7(IGF結合タンパク質7)またはミメカンである、前記方法。

請求項2

ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための方法であって、a)心不全に罹患している被検体からの試料において、GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、PlGF、sFlt−1、sST2(可溶性ST2)、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;およびb)ステップa)で決定した量を基準量(単数または複数)と比較し、それにより前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定すること;を含み、特に、i)バイオマーカーはオステオポンチンであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬および/またはベータ遮断薬である;ii)バイオマーカーはエンドスタチンであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである;iii)バイオマーカーはsFlt−1であり、医薬はアルドステロンアンタゴニスト、レニン−アンギオテンシン系の阻害薬および/またはベータ遮断薬である;iv)バイオマーカーはPlGFであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストおよび/またはアルドステロンアンタゴニストである;v)バイオマーカーは心臓トロポニンであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である;vi)バイオマーカーはBNPタイプペプチドであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬および/またはベータ遮断薬である;vii)バイオマーカーは尿酸であり、医薬は利尿薬および/またはレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である;viii)バイオマーカーはGDF−15であり、医薬は利尿薬および/またはレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である;ix)バイオマーカーはsST2であり、医薬はアルドステロンアンタゴニストおよび/またはベータ遮断薬である;x)バイオマーカーはIGFBP7であり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である;xi)バイオマーカーはP1NPであり、医薬はベータ遮断薬である;xii)バイオマーカーはシスタチンCであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである;xiii)バイオマーカーはプレアルブミンであり、医薬は利尿薬である;xiv)バイオマーカーはトランスフェリンであり、医薬は利尿薬である;ならびに/あるいはxv)バイオマーカーはPlGFおよびsFlt−1であり、医薬はアルドステロンアンタゴニストであり、その際、PlGFの量−対−sFlt−1の量(またはその逆)の比を計算し、その比を基準量で計算する、前記方法。

請求項3

投与が、前記少なくとも1種類の医薬の投与開始、またはより高い投与量での前記少なくとも1種類の医薬の投与である、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

被検体がヒトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

試料が血液、血清または血漿である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、・バイオマーカーはIGFBP7、P1NP、sFlt−1および/またはオステオポンチンであり、医薬はベータ遮断薬である;・バイオマーカーはエンドスタチンおよび/またはsFlt−1であり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである;・バイオマーカーは尿酸、プレアルブミン、トランスフェリンおよび/またはGDF−15であり、医薬は利尿薬である;および/または、・バイオマーカーはsFlt−1および/またはIGFBP7であり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であり;基準量と比較して減少した少なくとも1種類のバイオマーカーの量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量と比較して増加した少なくとも1種類のバイオマーカーの量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である、前記方法。

請求項7

請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、・バイオマーカーはミメカン、BNPタイプペプチド、および/またはsST2であり、医薬はベータ遮断薬である;・バイオマーカーはオステオポンチン、心臓トロポニン、BNPタイプのペプチド、尿酸、および/またはGDF−15であり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である;および/または、・バイオマーカーはsST2、シスタチンCおよび/またはPlGFであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストであり;基準量と比較して増加した少なくとも1種類のバイオマーカーの量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量と比較して減少した少なくとも1種類のバイオマーカーの量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である、前記方法。

請求項8

バイオマーカーがIGFBP−7である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、当該方法はベータ遮断薬およびアルドステロンアンタゴニストの投与に適格な被検体を同定するためのものである、前記方法。

請求項9

請求項8に記載の方法であって、ステップa)で決定したIGFBP7の量を、ステップb)で、i)単一の基準量、またはii)ベータ遮断薬の投与に適格な被検体を同定するためのIGFBP7の基準量およびアルドステロンアンタゴニストの投与に適格な被検体を同定するためのIGFBP7の基準量と比較する、前記方法。

請求項10

請求項8および9に記載の方法であって、基準量と比較して減少した試験試料中のバイオマーカーの量はベータ遮断薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量と比較して増加したバイオマーカーの量はベータ遮断薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、基準量と比較して増加した試験試料中のバイオマーカーの量はアルドステロンアンタゴニストの投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量と比較して減少したバイオマーカーの量はアルドステロンアンタゴニストの投与に適格ではない被検体の指標である、前記方法。

請求項11

被検体がACCAH分類に従った心不全ステージB、CまたはDに罹患している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための、心不全に罹患している被検体の試料における、i)GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、sST2(可溶性ST2)、sFlt−1、PlGF、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカー、および/またはii)GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、sFlt−1、PlGF、sST2(可溶性ST2)、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択されるバイオマーカーに特異的に結合する検出剤の使用。

請求項13

請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法を実施するために適合させたデバイスであって、a)GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、オステオポンチン、sFlt−1、PlGF、sST2(可溶性ST2)、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択されるマーカーに特異的に結合する検出剤を含む分析ユニットであって、心不全に罹患している被検体の試料においてマーカーの量を決定するために適合させた前記ユニット;および、b)決定した量を基準量と比較し、それによりベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための分析ユニットであって、基準量を備えたデータベースおよび比較を実施するためのコンピューター実装されたアルゴリズムを含む前記ユニット;を含む、前記デバイス。

技術分野

0001

本発明は、ベータアドレナリン受容体遮断薬(ベータ遮断薬)、アルドステロンアンタゴニスト利尿薬、およびアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)(後の2つはレニン−アンギオテンシン系の阻害薬と総称される)からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬投与適格な被検体を同定するための方法に関する。本方法は、心不全罹患している被検体からの試料において、GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン(endostatin)、ミメカン(mimecan)、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド尿酸ガレクチン−3(Galectin-3)(Gal3)、可溶性ST2(sST2)、PlGF、sFlt−1、P1NP、シスタチンC(Cystatin C)、プレアルブミン(Prealbumin)、およびトランスフェリン(Transferrin)からなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定することに基づく。さらに、本方法は、こうして決定した量を基準量と比較する工程を含む。さらに本発明は、本発明の方法を実施するために適合させたキットおよびデバイスを想定する。本発明はまた、本明細書に開示する少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するためのシステム、および本明細書に開示する方法を実施する際に使用する試薬およびキットに関する。

背景技術

0002

近代医療の目的は、個人化または個別化された治療計画を提供することである。それらは、患者の個々のニーズまたはリスクを考慮に入れた治療計画である。個人化または個別化された治療計画は、有望な治療計画を決断することが要求される際の方策すら考慮されるべきである。

0003

心不全(HF)は主要な増大しつつある重大な健康問題である。米国で約500万人の患者がHFを伴なっており、米国で毎年500,000人を超える患者がHFを伴なうと初めて診断され、毎年250,000人を超える患者が主因としてのHFで死亡していると推定される。心不全(HF)は先進国における罹病および死亡の主因のひとつである。集団高齢化および心血管疾患患者長命化のため、HFの発病率および有病率は増大している。

0004

心不全は、心室が血液を充満または排出する能力および血液/酸素の供給に対する身体の代謝要求を確保する能力を損なう何らかの構造性または機能性の心臓障害から生じる可能性のある、複雑な臨床症候群である。そのような場合、身体は要求される供給を維持するために、心筋構造変化(たとえば肥大;最終的には線維症アポトーシス壊死に至る)および神経液性刺激交感神経系およびレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系活性化)によって供給不足代償しようとする。HFは種々の重症度分類される。

0005

ひとつの分類法は、いわゆるNYHA(New York Heart Association)分類である。心不全患者は、NYHAクラスI、II、IIIおよびIV、またはAmerican College of Cardiology and the American Heart Association(ACCAHA)ステージA、B、CおよびDに分類される。患者はその健康を完全には回復することができないと予想され、治療的処置の必要がある。NYHAクラスIの患者は、心血管疾患の明らかな症状をもたないが、既に機能障害客観的証拠を備えている。NYHAクラスIIの患者は、身体活動がわずかに制限される。NYHAクラスIIIの患者は、身体活動の顕著な制限を示す。NYHAクラスIVの患者は、不快感なしにいかなる身体活動も行なうことができない。彼らは静止時に心不全の症状を示す。

0006

この機能分類法は、American College of Cardiology and the American Heart Association (参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2001; 38; 2101-2113, 2005年に更新, 参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2005; 46; el-e82)による、より最近の分類法によって補足される。4つのステージA、B、CおよびDが規定される。心不全ステージB、CまたはDを伴なう患者は、心臓に構造および機能の変化が既に生じている。患者はその健康を完全には回復することができないと予想され、治療的処置の必要がある。

0007

急性および慢性心不全にについての投薬および治療ガイドラインESCGuidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failureに記載されている(European Heart Journal (2008) 29, 2388-2442)。得られる治療選択肢はHFを伴なう患者の罹病率および死亡率を低下させることができるが、これらの治療を受けるのに適格な患者の相対数は依然として不満足なほど低い(O'Donoghue M. & Braunwald E., Nat. Rev. Cardiol. 2010; 7: 13-20)。さらに、治療に適格な患者において、治療は主に原疾患ならびにHFの徴候および症状により、薬物の最大忍容性にまでガイドおよび調整されてきた(たとえば、NYHAステージ、ACC/AHAステージ、またはうっ血スコアにより)。

0008

ナトリウム利尿ペプチドマーカー、たとえばB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、またはそれのアミノ末端フラグメントであるN末端proBNP(NT−proBNP)の測定が、収縮期HFを伴なう患者の診断およびリスク層別化のための重要なツールとして浮上した(O'Donoghue M. & Braunwald E., Nat. Rev. Cardiol. 2010; 7: 13-20)。BNP/NT−proBNPガイドによるHF療法は、治療強化が必要な患者を同定でき、そのような強化のタイミングを指示することができる。しかし、BNP/NT−proBNPガイドによるHF療法は、患者に有益な可能性がある薬物の種類は指示しない。

0009

たとえば、NYHAクラスII、IIIまたはIVの重篤症候性HFを伴なう患者の心血管疾患の治療に対するスピロノラクトン(spironolactone)の有益な効果は周知であるが、これらの薬物は重篤な副作用(たとえば、高カリウム血症不整脈突然死低血圧症勃起不全、筋衰弱性、女性化乳房症、および胃炎)についても知られている。Williams et al. 2006 Clin. Cardiol. 29, 149-153。特に、高カリウム血症を発現するリスクは脅威である(D.N. Juurlink et.al. NEJM 2004; 351 543)。

0010

言い換えると、原疾患、臨床判定、およびBNP/NT−proBNPガイドによるHF療法だけでは、治療選択または治療強化についての十分な情報が得られない。特定の治療を強化し、または逆に特定の治療もしくはその強化を避けるために、さらに新たなバイオマーカー、特に治療に対する応答予測できるものまたは適切な治療の選択を補助するものが必要とされている。

0011

したがって、特定の心不全治療が有益であると思われる被検体または逆に特定の心不全治療から害を受けると思われる被検体を同定できるバイオマーカーが必要とされている。
IGFBP系は細胞の増殖および分化において重要な役割を果たす。IGF結合タンパク質7(=IGFBP−7)は、内皮細胞血管平滑筋細胞線維芽細胞、および上皮細胞により分泌されることが知られている30−kDaのモジュール状の糖タンパク質である(Ono, Y., et al., Biochem Biophys Res Comm 202 (1994) 1490-1496)。その文献では、この分子FSTL2;IBP 7;IGF結合タンパク質関連タンパク質I;IGFBP 7;IGFBP 7v;IGFBP rP1;IGFBP7;IGFBPRP1;インスリン様増殖因子結合タンパク質7;インスリン様増殖因子結合タンパク質7前駆体;MAC25;MAC25タンパク質;PGI2刺激因子;およびPSFまたはプロスタサイクリン刺激因子とも呼ばれている。低レベルのIGFB−7はランダムヒト血清中に検出され、血清レベルの増大はインスリン抵抗性と関連することが認められた(Lopez-Bermejo, A., et al., J. Clinical Endocrinology and Metabolism 88 (2003) 3401-3408, Lopez-Bermejo, A., et al., Diabetes 55 (2006) 2333-2339)。

0012

US20100285491には、心不全の評価におけるIGFBP−7の使用が開示されている。それにはさらに、HFに罹患している患者のための治療計画を選択するのにマーカーIGFBP−7を使用できることが開示されている。さらに、HF患者の経過観察に際してIGFBP−7レベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であると主張されている。

0013

WO2008/015254には、心不全治療、好ましくはスピロノラクトンを含めたアルドステロンアンタゴニストなどの医薬を用いる薬物ベースの治療に適格な被検体を同定する、GDF−15検出ベースの方法が開示されている。好ましくは、さらにTnTまたはNTproBNPの検出がなされている。さらに、好ましくは基準量(好ましくは1200pg/ml)より多いGDF−15の量は心不全治療に適格な被検体の指標である。しかし、その文書にはどの薬物治療考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

0014

ミメカン(オステオグリシン(osteoglycin)とも呼ばれる)は、細胞外マトリックス多機能性成分である。ミメカンは、コラーゲン原線維形成、すなわち発生、組織修復および転移に際して必須であるプロセスの調節に関与することが示された(Tasheva et al., Mol. Vis. 8 (2002) 407-415)。それは骨形成に際してTGF−ベータ−1またはTGF−ベータ−2との組合わせで役割を果たす。ラットおよびヒトの心臓組織におけるトランスクリプトーム解析により、拡張性心筋障害におけるミメカンと左心室質量および細胞外リモデリングとの高い相関性が明らかになった(Petretto, E. et al., Nature Genetics 40 (2008) 546-552)。

0015

WO2011/012268には、個体から得られた体液試料中のミメカンを心不全の評価のために使用することが開示されている。それはさらに、マーカーであるミメカンをHFに罹患している患者のための治療計画の選択に使用することに関する。さらに、それにはHF患者の経過観察に際してミメカンのレベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であることが開示されている。しかし、その文書には、どの薬物治療を考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

0016

エンドスタチンは、最初はネズミ血管内皮腫からXVIII型コラーゲンの20kDAタンパク質分解フラグメントとして単離された(O'Reilly, M.S. et al., Cell 88 (1997) 277-285)。コラーゲンは、組織構造統合性の維持に主要な役割を果たす超分子凝集体を形成する特徴的な三重らせん立体構造をもつ、細胞外マトリックスタンパク質ファミリーを表わす。過度のコラーゲン沈着は線維症をもたらして、周囲組織の正常な機能を攪乱する。エンドスタチンは、種々のタンパク質分解酵素の作用によりコラーゲンXVIIIのアルファ1鎖から放出される(Ortega, N. and Werb, Z., Journal of Cell Science 115 (2002) 4201-4214)。エンドスタチンは血管形成および血管増殖の強力な阻害剤である。しかし、その文献には、どの薬物治療を考慮すべきか、あるいは投薬調整または治療強化を考慮すべきかどうかは開示されていない。

0017

WO2010/124821には、心不全を評価するためにエンドスタチンを測定することが開示されている。それはさらに、マーカーであるエンドスタチンをHFに罹患している患者のための治療計画の選択に使用することに関する。さらに、HF患者の経過観察に際してエンドスタチンのレベル増大は有効なHF治療についての陽性指標であると主張されている。

0018

GDF−15(増殖分化因子15)はトランスフォーミング増殖因子−βサイトカインスーパーファミリーメンバーであり、最初はマクロファージ阻害性サイトカイン−1(MIC−1)として同定され、後に胎盤性トランスフォーミング増殖因子−βとも命名された(Bootcov 1997, Proc Natl Acad Sci 94:11514-11519; Tan 2000, Proc Natl Acad Sci 97:109-114)。GDF−15は心血管事象の強力な予測子および心血管合併症の指標として記載された(Brown, D. A. et al., 2002 The Lancet, 359: 2159-2163; US2003/0232385; Kempf 2006,Circ Res 98: 351-360)。Kempfらは、GDF−15の循環レベルがCHFの重症度に関係があり、慢性心不全を伴なう患者において死亡のリスクを予測することを示した(Clinical Chemistry 53:2; 284-291 (2007); Am Coll Cardiol, 2007; 50:1054-1060)。

0019

WO2012/025355には、トロポニンTおよびGDF−15の検出をベースとする、スピロノラクトンのようなアルドステロンアンタゴニストの投与を受けている心不全患者における治療モニタリングおよび治療適合のための方法が開示されている。その文書にはさらに、トロポニンT、NT−proBNPおよびGDF15の検出により心不全患者における治療のモニタリングまたは適合が可能になることが開示されている。

0020

WO2010/0070411には、GDF−15、NT−proANP、NT−proBNPおよび心臓トロポニンの検出をベースとする、心不全に罹患している見掛け上は安定な被検体をモニタリングする方法が開示されている。さらにそれには、心不全に罹患しておりその生理状態が変化しつつある見掛け上は安定な被検体に、どの治療/投薬を適用すべきであるかを診断および/または決断する方法が開示されている。

0021

WO2009/047283には、BNP、cTnT、および少なくとも1種類の炎症マーカーオステオポンチン(OPN)、GDF−15、CRPの決定により、心筋梗塞後の被検体のリモデリングプロセスでどの治療または併用治療を適用すべきであるかを診断する方法が開示されている。それには≧500pg/mlのオステオポンチンレベルACE阻害薬、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、およびアルドステロンアンタゴニストの指標として記載されている。

0022

Kubo et al. 2011 (Circulation J, 75, 919-926)には、BNPおよびトロポニンベースの検出をベースとする、肥大性心筋障害に罹患している患者における臨床悪化を予測するためのリスク予測が開示されている。評価された患者の多くは心不全に罹患していた。肥大性心筋障害を伴なう患者をモニタリングするために、それら2種類のマーカーの組合わせ測定が有用な可能性があると推論されている。

0023

Fonarow et al. 2008 (Am J Cardiol, 101, 231-237)には、BNPおよびトロポニンの検出をベースとする、心不全に罹患している患者における死亡率予測が開示されている。
Mentz et al. 2011 (Circ J, 75(9):2031-7)には、NTproBNP検出をベースとする、心不全患者における治療のガイダンスおよびモニタリングのための方法が開示され、その際、治療は利尿薬、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、スピロノラクトン、ナイトレートまたはジゴキシンによる治療から選択される。

0024

Boehm et al. 2011 (Clin Res Cardiol, 100:973-981)は、NTproBNP検出をベースとする、心不全患者における治療のガイダンスおよびモニタリングのための方法を概説している。それは、心不全治療をガイドするためにBNPをトロポニンと組み合わせる可能性についても述べている。

0025

US20100285491
WO2008/015254
WO2011/012268
WO2010/124821
US2003/0232385
WO2012/025355
WO2010/0070411
WO2009/047283

先行技術

0026

J. Am. Coll. Cardiol. 2001; 38; 2101-2113
J. Am. Coll. Cardiol. 2005; 46; el-e82
European Heart Journal (2008) 29, 2388-2442
O'Donoghue M. & Braunwald E., Nat. Rev. Cardiol. 2010; 7: 13-20
Williams et al. 2006, Clin. Cardiol. 29, 149-153
D.N. Juurlink et.al. NEJM 2004; 351 543
Ono, Y., et al., Biochem Biophys Res Comm 202 (1994) 1490-1496
Lopez-Bermejo, A., et al., J. Clinical Endocrinology and Metabolism 88 (2003) 3401-3408
Lopez-Bermejo, A., et al., Diabetes 55 (2006) 2333-2339
Tasheva et al., Mol. Vis. 8 (2002) 407-415
Petretto, E. et al., Nature Genetics 40 (2008) 546-552
O'Reilly, M.S. et al., Cell 88 (1997) 277-285
Ortega, N. and Werb, Z., Journal of Cell Science 115 (2002) 4201-4214
Bootcov 1997, Proc Natl Acad Sci 94:11514-11519
Tan 2000, Proc Natl Acad Sci 97:109-114
Brown, D. A. et al., 2002, The Lancet, 359: 2159-2163
Kempf 2006,Circ Res 98: 351-360
Kempf et al. Clinical Chemistry 53:2; 284-291 (2007)
Kempf et al. Am Coll Cardiol, 2007; 50:1054-1060
Kubo et al. 2011, Circulation J, 75, 919-926
Fonarow et al. 2008, Am J Cardiol, 101, 231-237
Mentz et al. 2011, Circ J, 75(9): 2031-2037
Boehm et al. 2011, Clin Res Cardiol, 100: 973-981

発明が解決しようとする課題

0027

本発明の基礎となる研究の観点において、有利なことに、GDF−15、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、ガレクチン−3、可溶性ST2、PlGF、sFlt−1、P1NP、シスタチンC、プレアルブミンおよび/またはトランスフェリンの決定によって特定の心不全治療が有益であると思われる被検体を同定できることが示された。たとえば、ベータ遮断薬およびアルドステロンアンタゴニストの投与が特定のグループの患者のみに有益であり、他のグループにはその投与が有益ではないであろうということが示された。上記バイオマーカーの量を決定することにより、その治療が有益であると予想される被検体と、その治療が有益ではない被検体または有益な効果が無い状態での不必要な強化/増量のためその治療から副作用もしくは害すら受けると予想される被検体とを鑑別できる。

0028

本発明の基礎となる技術的課題は上記のニーズに応じるための手段および方法を提供することであるとみることができる。

課題を解決するための手段

0029

この技術的課題は、以下の特許請求の範囲および明細書に示す態様により解決される。

図面の簡単な説明

0030

図1マーカーレベルに基づくアルドステロンアンタゴニストの追加/増量の効果。
図2:マーカーレベルに基づくβ−遮断薬の追加/増量の効果。
図3:マーカーレベルに基づく利尿薬の追加/増量の効果。
図4:マーカーレベルに基づくレニン−アンギオテンシン系の阻害薬の追加/増量の効果。

0031

本発明は、心不全治療のための少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための、下記を含む方法に関する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した少なくとも1種類のバイオマーカーの量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それにより前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定すること。

0032

好ましくは、前記少なくとも1種類の医薬は、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される。

0033

好ましくは、前記少なくとも1種類のバイオマーカーは、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、ミメカン、オステオポンチン、エンドスタチン、sFlt−1(可溶性fms様チロシンキナーゼ1)、PlGF(胎盤性増殖因子)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、GDF−15(増殖分化因子15)、sST2(可溶性ST2)、Gal3(ガレクチン−3)、P1NP(プロコラーゲン1型N末端プロペプチド)、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される。

0034

したがって、本発明は、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための、下記を含む方法に関する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、ミメカン、オステオポンチン、エンドスタチン、sFlt−1(可溶性fms様チロシンキナーゼ1)、PlGF(胎盤性増殖因子)、心臓トロポニン、BNPタイプペプチド、尿酸、GDF−15(増殖分化因子15)、sST2(可溶性ST2)、Gal3(ガレクチン−3)、P1NP(プロコラーゲン1型N末端プロペプチド)、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それにより前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定すること。

0035

本発明方法の好ましい態様において、少なくとも1種類の医薬はアルドステロンアンタゴニストである。この場合、少なくとも1種類のバイオマーカーはIGFBP7、エンドスタチン、尿酸、BNPタイプペプチド、心臓トロポニン、sFlt−1、PlGF、sST2、Gal−3およびシスタチンCから選択される。好ましくは、上記バイオマーカーのうち1種類のみの量を決定する。しかし、2種類以上の組合わせのバイオマーカーの量を決定することも考慮する。好ましい組合わせは、s−Flt−1とIGFBP7;s−Flt−1と心臓トロポニン;s−Flt−1とGal−3;心臓トロポニンとGal−3;心臓トロポニンとIGFBP7;IGPBP7とGal−3;およびこれらのマーカーとBNPタイプペプチドの組合わせである。特に好ましい組合わせは、IGFBP7とミメカンである。さらなる好ましい組合わせは、PlGFとsFlt−1の組合わせである。さらに、PlGFの量−対−sFlt−1の量(またはsFlt−1−対−PlGFの量)の比を計算することを想定する。この場合、計算した比を基準比と比較する。

0036

本発明方法の他の好ましい態様において、少なくとも1種類の医薬はベータ遮断薬である。この場合、少なくとも1種類のバイオマーカーは、好ましくはIGFBP7、GDF−15、エンドスタチン、ミメカン、BNPタイプペプチド、心臓トロポニン、オステオポンチン、sFlt−1およびP1NPからなる群から選択される。好ましくは、1種類のバイオマーカーのみの量を決定する。しかし、2種類以上の組合わせのバイオマーカーの量を決定することも考慮する。好ましい組合わせは、GDF−15とエンドスタチン;GDF−15と心臓トロポニン;GDF−15とミメカン;GDF−15とsST2;エンドスタチンと心臓トロポニン;エンドスタチンとミメカン;エンドスタチンとIGFBP7;ミメカンと心臓トロポニン;ミメカンとIGFBP7;心臓トロポニンとIGFBP7である。特に好ましい組合わせは、エンドスタチンとsFlt−1である。さらなる好ましい組合わせは、エンドスタチンとPlGFである。

0037

本発明方法の他の好ましい態様において、少なくとも1種類の医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である。この場合、少なくとも1種類のバイオマーカーは、好ましくはオステオポンチン、GDF−15、BNPタイプのペプチド、sFlt−1、心臓トロポニン、Gal−3、尿酸、またはIGFBP7である。好ましくは、1種類のバイオマーカーの量を決定する。しかし、2種類以上の組合わせのバイオマーカーの量を決定することも考慮する。好ましい組合わせは、心臓トロポニンとGal−3、心臓トロポニンと尿酸、およびGal−3と尿酸である。さらなる好ましい組合わせは、オステオポンチンとsFlt−1、sFlt−1と心臓トロポニン、およびオステオポンチンと心臓トロポニンである。

0038

本発明方法の他の好ましい態様において、少なくとも1種類の医薬は利尿薬である。この場合、少なくとも1種類のバイオマーカーは、好ましくはGDF−15、エンドスタチン、ミメカン、BNPタイプのペプチド、尿酸、オステオポンチン、IGFBP−7、Gal−3、トランスフェリン、プレアルブミンからなる群から選択される。好ましくは、1種類のバイオマーカーのみの量を決定する。しかし、2種類以上の組合わせのバイオマーカーの量を決定することも考慮する。好ましい組合わせは、GDF−15とエンドスタチン;GDF−15とBNPタイプのペプチド;GDF−15とミメカン;GDF−15とGal−3;エンドスタチンとBNPタイプのペプチド;エンドスタチンとミメカン;エンドスタチンとGal−3;ミメカンとBNPタイプのペプチド;ミメカンとGal−3;BNPタイプのペプチドとGal−3;BNPタイプのペプチドと尿酸;BNPタイプのペプチドとIGFBP−7;BNPタイプのペプチドとオステオポンチンである。特に尿酸とGDF−15の組合わせを想定する。

0039

したがって、本発明は特に下記の方法を想定する:
アルドステロンアンタゴニストの投与に(すなわち、初回投与または強化、特に、より高い用量での投与に)適格な被検体を同定するための、下記を含む方法を考慮する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、IGFBP7、エンドスタチン、尿酸、BNPタイプのペプチド、心臓トロポニン、sFlt−1、PlGF、sST−2、Gal−3およびシスタチンCからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それにより前記アルドステロンの投与に適格な被検体を同定すること。

0040

ある態様において、PlGFおよびsFlt−1の量をステップa)で決定し、PlGFの量−対−sFlt−1の量(またはsFlt−1−対−PlGFの量)の比をさらなるステップa1)で計算し、こうして比較した比をステップb)で基準比と比較する。

0041

したがって、この方法は下記の工程を含むことができる:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、PlGFおよびsFlt−1の量を決定すること;
a1)PlGFの量−対−sFlt−1の量(またはその逆)の比を計算すること;
b)ステップa1)で計算した比を基準比と比較し、それにより前記アルドステロンの投与に適格な被検体を同定すること。

0042

同様に、ベータ遮断薬の投与に(すなわち、初回投与または投与強化、特に、より高い用量での投与に)適格な被検体を同定するための、下記を含む方法を考慮する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、IGFBP7、GDF−15、エンドスタチン、ミメカン、BNPタイプのペプチド、心臓トロポニン、オステオポンチン、sFlt−1およびP1NPからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それによりベータ遮断薬の投与に適格な被検体を同定すること。

0043

さらに、レニン−アンギオテンシン阻害薬の投与に(すなわち、初回投与または投与強化、特に、より高い用量での投与に)適格な被検体を同定するための、下記を含む方法を想定する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、オステオポンチン、GDF−15、BNPタイプのペプチド、sFlt−1、心臓トロポニン、Gal−3、尿酸およびIGFBP7からなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それによりレニン−アンギオテンシンの投与に適格な被検体を同定すること。

0044

本発明はまた、利尿薬の投与に(すなわち、初回投与または投与強化に)適格な被検体を同定するための、下記を含む方法を考慮する:
a)心不全に罹患している被検体からの試料において、IGFBP7、心臓トロポニン、エンドスタチン、ミメカン、BNPタイプのペプチド、尿酸、オステオポンチン、Gal−3、プレアルブミンおよびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの量を決定すること;および、
b)ステップa)で決定した量(単数または複数)を基準量(単数または複数)と比較し、それにより利尿薬の投与に適格な被検体を同定すること。

0045

好ましくは、被検体が少なくとも1種類の医薬の投与に適格であると同定するさらなるステップc)を実施することにより、被検体を少なくとも1種類の医薬の投与に適格であると同定することを含む。

0046

ある態様において、少なくとも1種類のバイオマーカーの量は、試料を各マーカーに特異的に結合する作用剤と接触させ、それにより前記作用剤と前記マーカーの間に複合体を形成させ、形成された複合体の量を検出し、それにより前記マーカーの量を測定することにより測定される。バイオマーカーが尿酸である場合、前記バイオマーカーのレベルは、前記バイオマーカーを変換できる、たとえば尿酸を酸化できる、酵素または化合物と試料を接触させることにより測定できる。酵素は、尿酸から5−ヒドロキシイソ尿酸への酸化を触媒するウリカーゼ(EC 1.7.3.3)であってもよい。化合物はリンタングステン酸であってもよい。

0047

下記のバイオマーカー−医薬の組合わせが最も好ましい態様である:
本発明の方法、使用、キット、システムおよびデバイスの好ましい態様において、バイオマーカーはIGFBP−7であり、医薬はベータ遮断薬である。

0048

他の好ましい態様において、バイオマーカーはミメカンであり、医薬はベータ遮断薬である。
他の好ましい態様において、バイオマーカーはオステオポンチンであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である。医薬がベータ遮断薬であることも想定される。

0049

他の好ましい態様において、バイオマーカーはエンドスタチンであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである。
他の好ましい態様において、バイオマーカーはsFlt−1であり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである。バイオマーカーがsFlt−1であり、医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であることも好ましい。さらに、医薬がベータ遮断薬であることも想定される。

0050

他の好ましい態様において、バイオマーカーはPlGFであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである。
他の好ましい態様において、バイオマーカーは心臓トロポニンであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である。

0051

他の好ましい態様において、バイオマーカーはBNPタイプペプチドであり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である。バイオマーカーがBNPタイプペプチドであり、医薬がベータ遮断薬であることも好ましい。

0052

他の好ましい態様において、バイオマーカーは尿酸であり、医薬は利尿薬である。バイオマーカーが尿酸であり、医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であることも好ましい。

0053

他の好ましい態様において、バイオマーカーはGDF−15であり、医薬は利尿薬である。バイオマーカーがGDF−15であり、医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であることも好ましい。

0054

他の好ましい態様において、バイオマーカーはsST2であり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである。バイオマーカーがsST2であり、医薬がベータ遮断薬であることも好ましい。

0055

他の好ましい態様において、バイオマーカーはP1NPであり、医薬はベータ遮断薬である。
他の好ましい態様において、バイオマーカーはシスタチンCであり、医薬はアルドステロンアンタゴニストである。

0056

他の好ましい態様において、バイオマーカーはプレアルブミンであり、医薬は利尿薬、たとえばループ利尿薬である。
他の好ましい態様において、バイオマーカーはIGFBP7であり、医薬はレニン−アンギオテンシン系の阻害薬である。

0057

さらなる好ましいバイオマーカー/医薬の組合わせを実施例に開示する。
前記の本発明方法は、好ましくはエクスビボ法またはインビトロ法である。さらに、本方法は前記に明記した工程に追加した工程を含むことができる。たとえば、さらなる工程は、試料の前処理または本方法により得られた結果の評価に関するものであってもよい。本方法は手動で実施でき、あるいは自動化により支援できる。好ましくは、ステップ(a)および/または(b)の全部または一部を自動化により支援できる;たとえば、ステップ(a)における決定に適したロボット装置およびセンサー装置、あるいはステップ(b)におけるコンピューター実装した比較および/またはその比較に基づく評価。

0058

したがって、本発明は、同様に好ましくは、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための、下記のものを含むシステムに関する:
a)被検体からの試料の一部を、GDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプのペプチド、尿酸、ガレクチン−3(Gal−3)、可溶性ST2(sST2)、PlGF、sFlt−1、P1NP、シスタチンC、プレアルブミン、およびトランスフェリンからなる群から選択される少なくとも1種類のバイオマーカーに対する特異的結合親和性を含むリガンド(または2種類以上のバイオマーカーの量を決定する場合は複数のリガンド)とインビトロで接触させるように構成された分析ユニット
b)リガンド(単数または複数)と接触させた被検体からの試料の一部からの信号を検出するように構成された分析ユニット;
c)プロセッサーを備え、かつ前記の分析ユニット類と作動可能な状態で連絡した、コンピューティングデバイス;および、
d)プロセッサーが実行できる複数の指令、すなわち実行した際に少なくとも1種類のバイオマーカーの量を計算し、少なくとも1種類のバイオマーカーの量を基準量(または2種類以上のマーカーの量を決定する場合は複数の基準量)と比較し、それにより少なくとも1種類の医薬の投与に適格である被検体を同定するための指令を含む、非一過性の(non-transient)機械可読媒体

0059

明細書中で用いる用語“同定する”は、ある被検体が少なくとも1種類の医薬の投与に適格であると予想されるか否かを評価することを意味する。少なくとも1種類の医薬の投与に適格である被検体はその少なくとも1種類の医薬の投与が有益であると予想され、これに対し、少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体は前記少なくとも1種類の医薬の投与から副作用もしくは害を受ける可能性があることを理解すべきである。特に、前記少なくとも1種類の医薬の投与により被検体の死亡のリスクが低下すれば、および/または特に試料を入手した後18か月または3年のウインドウ期間内の被検体の入院のリスクが低下すれば、前記被検体にはその少なくとも1種類の医薬の投与が有益である。好ましくは、上記のリスク(単数または複数)が5%、より好ましくは10%、よりさらに好ましくは15%、最も好ましくは20%低下する。好ましくは、本明細書中で述べる入院は心不全によるものでなければならない。

0060

これと対照的に、少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体には前記少なくとも1種類の医薬の投与が有益ではないであろう(特に、有意には有益ではないであろう)。特に、前記少なくとも1種類の医薬の投与により被検体の死亡のリスクが低下しない(特に、有意には低下しない)ならば、および/または特に試料を入手した後18か月または3年のウインドウ期間内の被検体の入院のリスクが低下しない(特に、有意には低下しない)ならば、および/または不都合な作用のリスクが増大すれば、その被検体には前記少なくとも1種類の医薬の投与が有益ではない。この場合、前記医薬を投与しなければ、不必要な医療費を避けることができる。さらに、投与から生じる可能性がある有害な副作用を避けることができる。

0061

したがって、少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定することにより、被検体にその投与(すなわち、初回投与または投与強化、特に、より高い用量での投与)が有益であると予想されるか否かを評価できる。したがって、本発明はまた、本明細書の他の箇所に述べる工程に基づいて、少なくとも1種類の医薬の投与が有益であると予想される被検体を同定する方法に関する。

0062

業者に理解されるように、ある被検体が少なくとも1種類の医薬の投与に適格であるかどうかの評価は、通常は評価される被検体の100%について正確であることを意図しない。ただし、この用語は、統計学的に有意部分の被検体(たとえば、コホート試験におけるコホート)について評価が正確であることを要求する。ある部分が統計学的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計学的評価ツール、たとえば信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントt検定(Student’s t-test)、マンホイットニー検定(Mann-Whitney test)などを用いて、さらなる労苦なしに当業者が判定できる。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983にある。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p値は、好ましくは0.1、0.05、0.01、0.005または0.0001である。より好ましくは、集団の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の被検体を本発明方法によって適正に同定できる。

0063

本発明に関して、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、利尿薬、およびレニン−アンギオテンシン系の阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体が同定される。

0064

本発明方法に関する“投与”とは、(i)その少なくとも1種類の医薬の投与を開始すべきである(したがって、治療に加えるべきである)こと、または(ii)その少なくとも1種類の医薬をより高い用量で投与すべきである(したがって、増量すべきである)ことを意味する。

0065

本明細書中で用いる用語“用量”は、一日量を表わす。
最初の例(i)では、被検体は前記少なくとも1種類の医薬を以前に投与されていないはずである。したがって、前記少なくとも1種類の医薬は試験試料を入手する前には被検体に投与されていないはずである。好ましくは、前記少なくとも1種類の医薬は、試験試料を入手する前の少なくとも3か月間、より好ましくは少なくとも6か月間は、被検体に投与されていない。

0066

後の例(ii)では、被検体は前記少なくとも1種類の医薬で既に治療されているはずである(試料を入手する前に)。好ましくは、試験試料を入手する前に、少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも2か月間、よりさらに好ましくは少なくとも6か月間、最も好ましくは少なくとも1年間、被検体は前記少なくとも1種類の医薬で治療されていた。好ましくは、前記少なくとも1種類の医薬の用量はこの期間中に変更されなかった。

0067

検査される被検体が前記少なくとも1種類の医薬で既に治療されており、被検体がより高い用量での前記医薬の投与に適格であるか(否か)、すなわちより高い用量の前記少なくとも1種類の医薬による治療を継続すべきであるかどうかを評価することが特に好ましい。したがって、前記少なくとも1種類の医薬の用量を増加すべきであるかどうかを評価できる。

0068

まとめると、少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体は、前記少なくとも1種類の医薬の投与の開始に適格であり、あるいはより高い用量での前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格であり、これに対し、少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体は、前記少なくとも1種類の医薬の投与の開始に適格ではなく(試験試料を入手する前に被検体が前記医薬で治療されていなかった場合)、あるいはより高い用量での前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない(試験試料を入手する前に被検体が前記医薬で治療されていた場合)。したがって、ある被検体が前記医薬の投与に適格であれば、その医薬の投与を開始することができ、あるいはその医薬の用量を増加することができる。しかし、ある被検体が前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格でなければ、その医薬の投与を開始すべきではなく、あるいはより高い用量に増量すべきではない。したがって、被検体が前記医薬の投与に適格でなければ、試験試料を入手する前に被検体が前記医薬で治療されていた場合には、用量を変更せずに、特に用量を増加せずに、前記治療を継続すべきである。同様に好ましくは、ある医薬の投与に適格ではない被検体にはより低い用量の前記医薬を投与してもよい。

0069

本発明に関して述べる医薬は当技術分野で周知である;たとえばHeart Disease, 2008, 8th Edition, Eds. Braunwald, Elsevier Sounders, chapter 24、またはESCGuidelines for the diagnosis and treatment of acute and chronic heart failure (European Heart Journal (2008) 29, 2388-2442)に記載されている。

0070

ベータ遮断薬(しばしばベータアドレナリン遮断薬と呼ばれる)は、特にβ-アドレナリン受容体上において、内因性カテコールアミン類であるエピネフリン(アドレナリン)およびノルエピネフリンノルアドレナリン)の作用を遮断する。好ましくは、ベータ遮断薬はセブトロール(cebutolol)、アルプレノロール(alprenolol)、アテノロール(atenolol)、ベタキソロール(betaxolol)、ビソプロロール(bisoprolol)、ブプラノロール(bupranolol)、カラゾロール(carazolol)、カルテオロール(carteolol)、カルベジロール(carvedilol)、セリプロロール(celiprolol)、メチプラノロール(metipranolol)、メトプロロール(metoprolol)、ナドロール(nadolol)、ネビボロール(nebivolol)、オキシプレノロール(oxprenolol)、ペンブトロール(penbutolol)、ピンドロール(pindolol)、プロプラノロール(propanolol)、ソタロール(sotalol)、タニロロール(tanilolol)、およびチモロール(timolol)からなる群から選択される。最も好ましいベータ遮断薬はアテノロール、カルベジロール、メトプロロール、およびビソプロロールである。

0071

アルドステロンアンタゴニストは利尿薬のクラスに属し、ミネラロコルチコイド受容体においてアルドステロンの作用に拮抗する。それらはしばしば慢性心不全の管理のために補助療法として他の薬物と組み合わせて用いられる。好ましくは、アルドステロンアンタゴニストはエプレレノン(eplerenone)、スピロノラクトン(spironolactone)、カンレノン(canrenone)、メキシレノン(mexrenone)、プロレノン(prorenone)からなる群から選択される。特に好ましいアルドステロンアンタゴニストは、スピロノラクトン(7α−アセチルチオ−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21,17−カルボラクトン)またはエプレレノン(eplerenone)である。

0072

利尿薬は、尿によるナトリウムおよび水の排出を増加させる利尿薬である。特に好ましい利尿薬は、ループ利尿薬またはチアジド系利尿薬である。
好ましくは、ループ利尿薬はそれらの有効性および迅速な作用開始のため用いられる。それらは腎臓上行性ヘンレ係蹄(ascending loop of Henle)に作用する。好ましくは、ループ利尿薬はフロセミド(furosemide)、アゾセミド(azosemide)、ブメタニド(bumetanide)、ピレタニド(piretanide)、トラセミド(torasemide)、エタクリン酸(ethacrynic acid)、エトゾリン(etozolin)の群から選択される。特に、ループ利尿薬はフロセミドである。

0073

好ましくは、チアジド系利尿薬はヒドロクロロチアジド(hydrochlorthiazide)およびクロルタリドン(chlortalidon)の群から選択される。特に好ましいチアジド系利尿薬はヒドロクロロチアジドである。

0074

レニン−アンギオテンシン系(RAS)の阻害薬には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト)、および直接的レニン阻害薬が含まれる。好ましくは、阻害薬はACE阻害薬である。同様に好ましくは、阻害薬はアンギオテンシンII受容体遮断薬である。

0075

好ましくは、ACE阻害薬はベナゼプリル(benazepril)、カプトプリル(captopril)、シラザプリル(cilazapril)、エナラプリル(enalapril)、ホシプリル(fosinopril)、リシノプリル(lisinopril)、モエキシプリル(moexipril)、ペリンドプリル(perindopril)、キナプリル(quinapril)、ラミプリル(ramipril)、スピラプリル(spirapril)、およびトランドラプリル(trandolapril)からなる群から選択される。特に好ましいACE阻害薬は、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、またはトランドラプリルである。

0076

好ましくは、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストはロサルタン(losartan)、バルサルタン(valsartan)、イルベサルタン(irbesartan)、カンデサルタン(candesartan)、オルメサルタン(olmesartan)、テルミサルタン(telmisartan)、およびエプロサルタン(eprosartan)からなる群から選択される。特に好ましいARBはバルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、またはテルミサルタンである。

0077

好ましい直接的レニン阻害薬はアリスキレン(aliskiren)である。
本明細書中で前記に述べたように、検査される被検体は、試験試料を入手した時点で既に前記少なくとも1種類の医薬で治療されていてもよい。したがって、本発明方法を実施することにより、より高い用量、すなわち試験試料を入手する前に投与された前記医薬の用量より高い用量の前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体が同定される。好ましくは、日用量をより高くすべきである。本発明に関して、用量を最高で500%またはそれ以上増加させることが考慮される。好ましくは、試験試料を入手する前に投与された用量より少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、よりさらに好ましくは少なくとも100%、または最も好ましくは少なくとも200%、用量を高くすべきである。

0078

前記方法に関して本明細書中で用いる用語“被検体(subject)”は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。本発明に関して、被検体が心不全(HF)に罹患していることを想定する。

0079

本明細書中で用いる用語“心不全”は、心臓の収縮期および/または拡張期機能障害であって、当業者に既知の心不全の顕性徴候が付随するものに関する。好ましくは、本明細書中で心不全は慢性心不全をも表わす。本発明による心不全には、顕性および/または進行性の心不全が含まれる。顕性心不全において、被検体は当業者に既知の心不全の症状を示す。

0080

HFは種々の重症度に分類できる。
NYHA(New York Heart Association)分類法によれば、心不全患者はNYHAクラスI、II、IIIおよびIVに属するものとして分類される。心不全を伴なう患者は、既にその心膜、心筋、冠動脈循環または心臓弁に構造および機能の変化が生じている。患者はその健康を完全には回復できないと予想され、治療処置の必要がある。NYHAクラスIの患者は、心血管疾患の明らかな症状をもたないが、既に機能障害の客観的証拠を備えている。NYHAクラスIIの患者は、身体活動がわずかに制限される。NYHAクラスIIIの患者は、身体活動の顕著な制限を示す。NYHAクラスIVの患者は、不快感なしにいかなる身体活動も行なうことができない。彼らは静止時に心不全の症状を示す。

0081

この機能分類法は、American College of Cardiology and the American Heart Association (参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2001; 38;2101-2113, 2005年に更新, 参照:J. Am. Coll. Cardiol. 2005; 46;el-e82)による、より最近の分類法によって補足される。4つのステージA、B、CおよびDが規定される。ステージAおよびBはHFではないが、“実際に”HFを発症する前に患者を早期同定するのに役立つと考えられる。ステージAおよびBの患者は、HFを発症するリスク因子をもつ者と定義するのが最良である。たとえば、冠動脈疾患高血圧症または糖尿病を伴なう患者であってまだ左心室(LV)機能障害、肥大、または心室の幾何学的変形を呈していない者はステージAとみなされ、これに対し、無症候性ではあるがLV肥大および/またはLV機能障害を呈している患者はステージBと表示されるであろう。次いでステージCは根源となる構造性の心疾患に関連する現在または過去のHFの症状を伴なう患者を表わし(HFを伴なう患者の大部分)、ステージDは真に難治性のHFを伴なう患者を示す。

0082

本明細書中で用いる用語“心不全”は、特に、前記のACC/AHA分類のステージB、CおよびDを表わす。これらのステージでは、被検体は心不全の典型的な症状を示す。したがって、心不全に罹患している被検体は、ACC/AHAクラス分類のステージB、CまたはD、特にステージCまたはDに罹患している。同様に好ましくは、被検体をNYHAクラスII、IIIまたはIV、特にクラスIIIまたはIVに属すると分類することもできる。

0083

好ましくは、本発明に関して被検体は腎機能障害を伴なわない。好ましくは、被検体は腎不全に罹患していてはならず、特に被検体は急性、慢性および/または末期の腎不全に罹患していてはならない。さらに、被検体は、好ましくは腎性高血圧症に罹患していてはならない。被検体が腎機能障害を示すかどうかを評価する方法は当技術分野で周知である。腎障害は、適切であると思われるいずれか既知の手段により診断できる。特に、腎機能糸球体濾過速度GFR)により評価できる。たとえば、GFRはコックグロフト−ゴールト(Cockgroft-Gault)式またはMDRD式により計算できる(Levey 1999, Annals of Internal Medicine, 461-470)。GFRは、単位時間当たり腎糸球体毛細血管からボーマン嚢内へ濾過される体液体積である。臨床において、これは腎機能を判定するためにしばしば用いられる。コックグロフト−ゴールト式またはMDRD式などの式から得られるすべての計算値は、イヌリン血漿注入することによって“真の”GFRではなく推定値を与える。イヌリンは糸球体濾過後に腎臓により再吸収されないので、それの排出速度は糸球体フィルターを通る水および溶質濾過速度正比例する。しかし、臨床実務では、クレアチニンクリアランスがGFRの測定に用いられる。クレアチニンは内因性分子であり、体内で合成され、糸球体によって自由に濾過される(ただし、尿細管によってもごく少量排出される)。したがって、クレアチニンクリアランス(CrCl)はGFRに近似する。GFRは一般にミリリットル/分(mL/分)で記録される。男性についてGFRの正常範囲は97〜137mL/分であり、女性についてGFRの正常範囲は88〜128ml/分である。したがって、特に、腎機能障害を示していない被検体のGFRはこの範囲内にあると考えられる。さらに、その被検体は、好ましくは0.9mg/dlより下、より好ましくは1.1mg/dlより下、最も好ましくは1.3mg/dlより下の血中クレアチニンレベル(特に、血清クレアチニンレベル)をもつ。

0084

好ましくは、被検体はACS(acute coronary syndrome(急性冠動脈症候群))に罹患していない。本明細書中で用いる用語“ACS”は、STEMI(ST-elevation myocardial infarction(ST上昇心筋梗塞));NSTEMI(non ST-elevation myocardial infarction(非ST上昇型心筋梗塞))および不安定狭心症を含む。検査される被検体がACS歴をもたないことをさらに想定する。特に、被検体は本発明方法の実施前1か月の期間内(より厳密には、試料の入手前1か月の期間内)にACSに罹患していてはならない。

0085

前記のように、検査される被検体を本発明方法に関して述べる医薬で治療することができる。好ましくは、被検体を利尿薬、ベータ遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、および/またはレニン−アンギオテンシン系の阻害薬で治療する。この場合、本発明方法はより高い用量の医薬の投与に適格な被検体を同定でき、あるいはより高い用量の医薬の投与に適格ではない(好ましくは、用量を変更せずにその治療を継続できる)被検体を同定できる。

0086

用語“試料”は、体液の試料、分離した細胞の試料、または組織もしくは臓器からの試料を表わす。体液の試料は周知の手法により得ることができ、好ましくは血液、血漿、血清または尿の試料、より好ましくは血液、血漿または血清の試料を含む。組織または臓器の試料は、いずれかの組織または臓器から、たとえば生検により得ることができる。分離した細胞は、体液または組織もしくは臓器から、遠心分離またはセルソーティングなどの分離法により得ることができる。好ましくは、細胞、組織または臓器の試料は、本明細書中で述べるペプチドを発現または産生する細胞、組織または臓器から得られる。

0087

本明細書中で用いる用語“BNPタイプペプチド”は、pre−proBNP、proBNP、NT−proBNP、およびBNPを含む。pre−proペプチド(pre−proBNPの場合は134個のアミノ酸)は短いシグナルペプチドを含み、それが酵素により開裂除去されてproペプチド(proBNPの場合は108個のアミノ酸)を放出する。このproペプチドがさらに開裂して、N末端proペプチド(NT−proペプチド;NT−proBNPの場合は76個のアミノ酸)と活性ホルモン(BNPの場合は32個のアミノ酸)になる。好ましくは、本発明によるBNPタイプペプチドは、NT−proBNP、BNP、およびそのバリアントである。BNPは活性ホルモンであり、それぞれの不活性カウンターパートNT−proBNPより短い半減期をもつ。BNPは血中で代謝され、これに対しNT−proBNPは無傷分子として血中を循環し、そのまま排出される。NT−proBNPのインビボ半減期は、BNPの半減期である20分より120分長い(Smith 2000, J Endocrinol. 167: 239-46.)。予備分析ではNT−proBNPはより堅牢であり、試料を中央検査室へ容易に運搬できる(Mueller 2004, Clin Chem Lab Med 42: 942-4.)。血液試料を室温で数日間保存でき、あるいは回収損失なしに郵送または輸送できる。これと対照的に、BNPを室温または4℃で48時間保存すると、少なくとも20%の濃度損失が生じる(Mueller前掲; Wu 2004, Clin Chem 50: 867-73.)。したがって、目的とするタイムコースまたは特性に応じて、活性形または不活性形のナトリウム利尿ペプチドのいずれかの測定が有利である可能性がある。本発明による最も好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT−proBNPまたはそのバリアントである。前記で簡単に考察したように、本発明に従って述べるヒトNT−proBNPは、好ましくはヒトNT−proBNP分子のN末端部分に対応する長さ76個のアミノ酸を含むポリペプチドである。ヒトのBNPおよびNT−proBNPの構造は先行技術において既に詳細に記載されている;たとえば、WO 02/089657、WO 02/083913、またはBonow 前掲。好ましくは、本発明に用いるヒトNT−proBNPは、EP 0 648 228 B1に開示されるヒトNT−proBNPである。これらの先行技術文献を、それらに開示される特定のNT−proBNPおよびそのバリアントの特定の配列に関して本明細書に援用する。本発明に従って述べるNT−proBNPは、さらに、前記で考察したヒトNT−proBNPについての特定の配列の対立遺伝子バリアントおよび他のバリアントを包含する。具体的には、アミノ酸レベルで、ヒトNT−proBNPと、好ましくはヒトNT−proBNPの全長にわたって、少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一であるバリアントポリペプチドが想定される。2つのアミノ酸配列間の同一度は前記に従って決定できる。同様に包含されるのは、ヒトNT−proBNPのアミノ酸配列と比較してアミノ酸の欠失置換および/または付加をもつバリアントポリペプチドであり、ただし、それらのポリペプチドがNT−proBNP特性をもつ限りにおいてである。本明細書中で述べるNT−proBNP特性は、免疫学的および/または生物学的特性である。好ましくは、NT−proBNPバリアントはヒトNT−proBNPのものに匹敵する免疫学的特性(すなわち、エピトープ組成)をもつ。したがって、それらのバリアントは、ナトリウム利尿ペプチドの量を決定するために用いる前記の手段またはリガンドによって特異的に認識されるはずである。生物学的および/または免疫学的NT−proBNP特性は、Karl et al. (Karl 1999, Scand J Clin Lab Invest 230:177-181)、Yeo et al. (Yeo 2003, Clinica Chimica Acta 338:107-115)に記載されるアッセイにより検出できる。

0088

用語“増殖分化因子−15”または“GDF−15”は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)サイトカインスーパーファミリーのメンバーであるポリペプチドに関係する。用語ポリペプチド、ペプチドおよびタンパク質は本明細書全体において互換性をもって用いられる。GDF−15は最初はマクロファージ阻害性サイトカイン1としてクローニングされ、後に胎盤性トランスフォーミング増殖因子−15、胎盤性骨形態形成タンパク質非ステロイド系抗炎症薬活性化遺伝子1、および前立腺由来因子としても同定された(Bootcov前掲; Hromas, 1997 Biochim Biophys Acta 1354:40-44; Lawton 1997, Gene 203:17-26; Yokoyama-Kobayashi 1997, J Biochem (Tokyo), 122:622-626; Paralkar 1998, J Biol Chem 273:13760-13767)。他のTGF関連サイトカインと同様に、GDF−15は不活性前駆タンパク質として合成され、それがジスルフィド結合ホモダイマー化を受ける。N末端pro−ペプチドがタンパク質分解開裂されると、GDF−15が約28kDaのダイマータンパク質として分泌される(Bauskin 2000, Embo J 19:2212-2220)。GDF−15のアミノ酸配列は、WO99/06445, WO00/70051, WO2005/113585, Bottner 1999, Gene 237: 105-111, Bootcov 前掲, Tan 前掲Baek 2001, Mol Pharmacol 59: 901-908, Hromas 前掲, Paralkar 前掲, Morrish 1996, Placenta 17:431-441 または Yokoyama-Kobayashi 前掲に開示されている。本明細書中で用いるGDF−15は、前記特定のGDF−15のバリアントをも包含する。そのようなバリアントは、少なくとも前記特定のGDF−15ポリペプチドと同じ本質的な生物学的および免疫学的特性をもつ。特に、それらを本明細書に述べるものと同じ特異的アッセイ法、たとえばそのGDF−15ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出できれば、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。好ましいアッセイを付随する実施例に記載する。さらに、下記のことを理解すべきである:本発明に従って述べるバリアントは少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換および/または付加のため異なるアミノ酸配列をもつはずであり、その際、バリアントのアミノ酸配列はなお、その特定のGDF−15ポリペプチドのアミノ配列と、好ましくはヒトGDF−15のアミノ酸配列と、より好ましくはその特定のGDF−15の、たとえばヒトGDF−15の全長にわたって、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%,または少なくとも約99%、同一である。2つのアミノ酸配列間の同一度は前記に従って決定できる。前記に述べたバリアントは、対立遺伝子バリアント、または他のいずれかの種特異的ホモログ(homolog)、パラログ(paralog)もしくはオルソログ(ortholog)であってもよい。さらに、本明細書中で述べるバリアントには、その特定のGDF−15ポリペプチドまたは前記タイプのバリアントの、フラグメントが含まれる;ただし、これらのフラグメントが前記に述べた本質的な免疫学的および生物学的特性をもつ限りにおいてである。そのようなフラグメントは、たとえばGDF−15ポリペプチドの分解生成物であってもよい。さらに、翻訳後修飾、たとえばリン酸化またはミリスチル化のため異なるバリアントが含まれる。

0089

インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP)系は、細胞の増殖および分化に際して重要な役割を果たす。それは2種類のリガンドであるIGF−IおよびIGF−II、2種類の受容体である1型および2型IGF受容体、ならびに1995年現在で6種類のIGF結合タンパク質(IGFBP)であるIGFBP−1〜−6を含む(Jones, J.I., et al., Endocr. Rev. 16 (1995) 3-34)。最近、IGFBPファミリーは、IGFBPと有意の構造類似性をもつIGFBP関連タンパク質(IGFBP−rP)を含むように拡張された(Hwa, V., et al., Endocr. Rev 20 (1999) 761-787)。したがって、IGFBPスーパーファミリーは、IGFに対する高い親和性をもつ6種類の一般的IGFBP、ならびにIGFBPの保存されたアミノ末端ドメインを共有するだけでなくIGFおよびインスリンに対してもある程度の親和性を示す少なくとも10種類のIGFBP−rPを含む。IGFBP−rPは、多様な細胞機能、たとえば細胞増殖、細胞の接着および移動ならびに細胞外マトリックスの合成を制御する、一群システインリッチタンパク質である。さらに、これらのタンパク質は、組織の増殖および分化、リプロダクション、血管形成、創傷修復、炎症、線維形成、および腫瘍形成などの生物学的プロセスに関与している可能性がある(Hwa, V., et al., Endocr. Rev 20 (1999)761-787)。

0090

IGF結合タンパク質7(=IGFBP7)は、内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、および上皮細胞により分泌されることが知られている30−kDaのモジュール状の糖タンパク質である(Ono, Y., et al., Biochem Biophys Res Comm 202 (1994) 1490-1496)。その文献では、この分子はFSTL2;IBP 7;IGF結合タンパク質関連タンパク質I;IGFBP 7;IGFBP 7v;IGFBP rP1;IGFBP7;IGFBPRP1;インスリン様増殖因子結合タンパク質7;インスリン様増殖因子結合タンパク質7前駆体;MAC25;MAC25タンパク質;PGI2刺激因子;およびPSFまたはプロスタサイクリン刺激因子とも呼ばれている。ノーザンブロット研究により、この遺伝子が心臓、脳、胎盤、肝臓骨格筋、および膵臓を含めたヒト組織に広く発現することが明らかになった(Oh, Y., et al., J. Biol. Chem. 271 (1996) 30322-30325)。

0091

IGFBP7は、最初は、正常な軟髄膜(leptomeningeal)細胞および哺乳動物上皮細胞にそれらのカウンターパート腫瘍細胞と比較して差別発現する遺伝子として同定され、髄膜腫関連cDNA(MAC25)と命名された(Burger, A.M., et al., Oncogene 16 (1998) 2459-2467)。発現したタンパク質は、腫瘍由来接着因子(後にアンギオモジュリン(angiomodulin)と名称変更された)(Sprenger, C.C., et al., Cancer Res 59 (1999) 2370-2375)、およびプロスタサイクリン刺激因子(Akaogi, K., et al., Proc Natl Acad Sci USA 93 (1996) 8384-8389)として、独立して精製された。それはさらに、T1Al2、すなわち乳癌においてダウンレギュレートされる遺伝子として報告された(StCroix, B., et al., Science 289 (2000) 1197-1202)。

0092

IGFBP7mRNAの差別発現が、心疾患、腎疾患炎症性疾患(US 6,709,855;Scios Inc.)および人工血管疾患(US 2006/0,003,338)を含めた種々の疾患に罹患している患者において測定された。

0093

IGFBP7のホルモン結合特性を調べるための多種多様なアッセイ法が記載され、使用されている。低親和性IGF結合は、競合親和性架橋アッセイにより分析された。組換えヒトmac25タンパク質は、IGF−Iおよび−IIを特異的に結合する(Oh, Y., et al., J. Biol. Chem. 271 (1996) 20322-20325; Kim, H.S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA94 (1997) 12981-12986.)。IGFBP活性は、このタンパク質が放射性標識IGFを結合する能力をウェスタンリガンドブロット法で測定することによっても検出できる。

0094

好ましくは、用語“IGFBP7”はヒトIGFBP7を表わす。このタンパク質の配列は当技術分野で周知であり、たとえばGenBank(NP_001240764.1)によりアクセスできる。本明細書中で用いるIGFBP7は、好ましくはその特定のIGFBP7ポリペプチドのバリアントも包含する。用語”バリアント“の説明については前記を参照されたい。

0095

循環型IGFBP7の免疫学的決定は最近行なわれた。低レベルのこの分析物がランダムなヒト血清において検出され、血清レベル増大がインスリン抵抗性と関連してみられた(Lopez-Bermejo, A., et al., J. Clinical Endocrinology and Metabolism 88 (2003) 3401-3408, Lopez-Bermejo, A., et al., Diabetes 55 (2006) 2333-2339)。

0096

用語“心臓トロポニン”は、前記の特定のトロポニン類の、すなわち好ましくはトロポニンIの、より好ましくはトロポニンTの、バリアントをも包含する。そのようなバリアントは、少なくともそれらの特定の心臓トロポニンと同じ本質的な生物学的および免疫学的特性をもつ。特に、それらを本明細書中で述べるものと同じ特異的アッセイ、たとえばそれらの心臓トロポニンを特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出できれば、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明に従って述べるバリアントは少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失および/または付加のため異なるアミノ酸配列をもつはずであり、その際、バリアントのアミノ酸配列はなお、好ましくは、特定のトロポニンのアミノ配列と、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、同一であることを理解すべきである。バリアントは、対立遺伝子バリアント、または他のいずれかの種特異的なホモログ、パラログもしくはオルソログであってもよい。さらに、本明細書中で述べるバリアントには、特定の心臓トロポニンまたは前記タイプのバリアントの、フラグメントが含まれる;ただし、これらのフラグメントが前記の本質的な免疫学的および生物学的特性をもつ限りにおいてである。好ましくは、心臓トロポニンバリアントはヒトのトロポニンTまたはトロポニンIのものに匹敵する免疫学的特性(すなわち、エピトープ組成)をもつ。したがって、バリアントは心臓トロポニンの濃度を測定するために用いる前記の手段またはリガンドによって特異的に認識できるはずである。したがって、バリアントは心臓トロポニンの濃度を測定するために用いる前記の手段またはリガンドによって特異的に認識できるはずである。そのようなフラグメントは、たとえばトロポニンの分解生成物であってもよい。さらに、翻訳後修飾、たとえばリン酸化またはミリスチル化のため異なるバリアントが含まれる。好ましくは、トロポニンIおよびそれのバリアントの生物学的特性は、インビボおよびインビトロでアクトミオシンATPアーゼ阻害する能力または血管形成を阻害する能力であり、それらは、たとえばMoses et al. 1999 PNAS USA 96 (6): 2645-2650)により記載されたアッセイに基づいて検出できる。好ましくは、トロポニンTおよびそれのバリアントの生物学的特性は、トロポニンCおよびIと複合体を形成する能力、カルシウムイオンを結合する能力、またはトロポミオシンに結合する能力である:好ましくは、トロポニンC、IおよびTの複合体、またはトロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンTバリアントにより形成された複合体として存在する場合。低濃度の循環型心臓トロポニンを種々の状態の被検体において検出できることが知られているが、それらのそれぞれの役割および割合を理解するためにはさらなる研究が必要である(Masson et al., Curr Heart Fail Rep (2010) 7:15-21)。

0097

マーカーであるエンドスタチンは当技術分野で周知である。エンドスタチンは、最初にネズミ血管内皮腫からXVIII型コラーゲンの20kDAタンパク質分解フラグメントとして単離された(O'Reilly, M.S. et al., Cell 88 (1997) 277-285)。コラーゲンは、組織構造統合性の維持に主要な役割を果たす超分子凝集体を形成する特徴的な三重らせんコンホメーションをもつ、細胞外マトリックスタンパク質のファミリーを表わす。過度のコラーゲン沈着は線維症をもたらして、周囲組織の正常な機能を攪乱する。コラーゲンXVIIIは、中央三重らせんドメインに多数の介在配列をもち、主に基底膜にあるC末端ユニークな非三重らせんドメインをもつ、マルチプレキシン(Multiplexin)ファミリーのコラーゲンのメンバーである。短いイソ形のコラーゲンXVIIIのヒト型アルファ1鎖(SwissProt:P39060)の配列は、たとえばWO2010/124821に開示されており、これをそれの開示内容全体について本明細書に援用する。

0098

エンドスタチンは、種々のタンパク質分解酵素の作用によりコラーゲンXVIIIのアルファ1鎖から放出される(詳細については、Ortega, N. and Werb, Z., Journal of Cell Science 115 (2002) 4201-4214を参照−この報文の記載全体を本明細書に援用する)。本明細書中で用いるエンドスタチンは、WO2010/124821に開示されるようにコラーゲンXVIIIのアミノ酸位置1337からアミノ酸位置1519までの範囲のコラーゲンXVIIIフラグメントにより表わされる。コラーゲンXVIIIのアルファ鎖のC末端のヒンジ領域は、幾つかのプロテアーゼ感受性部位を含み、好中球エラスターゼカテプシンおよびマトリックスメタロプロテイナーゼを含めた多数の酵素がコラーゲン鎖をこの領域で開裂することによりエンドスタチンを生成することが知られている。これらのプロテアーゼはエンドスタチンのみを放出するわけではなく、エンドスタチン配列を含む他のより大きなフラグメントも放出する可能性がある。当業者に明らかなように、そのようなより大きなフラグメントもエンドスタチンに対する免疫アッセイにより測定されるであろう。

0099

オステオポンチン(本明細書中で“OPN”とも呼ぶ)は、骨シアロタンパク質I(bone sialoprotein I)(BSP−1またはBNSP)、初期Tリンパ球活性化(early T-lymphocyte activation)(ETA−1)、分泌型リンタンパク質1(secreted phosphoprotein 1)(SPP1)、2ar、およびリケッチア抵抗性(Rickettsia resistance)(Ric)としても知られ、広範囲(extensive)二次構造欠如する高負電荷の細胞外マトリックスタンパク質であるポリペプチドである。それは約300個のアミノ酸(マウスでは297個;ヒトでは314個)から構成され、33−kDaの原始型(nascent)タンパク質として発現する;機能的に重要な開裂部位もある。OPNは翻訳後修飾を受ける可能性があり、これにより見掛け分子量が約44kDaに増大する。オステオポンチンの配列は当技術分野で周知である(ヒト オステオポンチン:UniProt P10451,GenBankNP_000573.1)。オステオポンチンは、正常な血漿、尿、乳汁および胆汁中にみられる(US 6,414,219; US 5,695,761; Denhardt, D.T. and Guo, X.,FASEB J. 7 (1993) 1475-1482; Oldberg, A., et al., PNAS 83 (1986) 8819-8823; Oldberg, A., et al., J. Biol. Chem. 263 (1988) 19433-19436; Giachelli, CM., et al., TrendsCardiovasc. Med. 5 (1995) 88-95)。ヒトOPNのタンパク質およびcDNAが単離および配列決定された(Kiefer M. C, et al., Nucl. Acids Res. 17 (1989) 3306)。OPNは、細胞接着走化性、マクロファージ指向性インターロイキン−10において機能する。OPNは多数のインテグリン受容体相互作用することが知られている。OPN発現増大が多数のヒト癌において報告されており、それのコグネイト受容体(av−b3、av−b5、およびav−blインテグリン類、ならびにCD44)が同定された。Irby, R.B., et al., Clin. Exp. Metastasis 21 (2004) 515-523によるインビトロ研究は、内因性OPN発現(安定トランスフェクションによるもの)および外因性OPN(培地に添加されたもの)の両方ともインビトロでヒト結腸癌細胞運動性および浸潤能を増強することを示す。

0100

エンドスタチンは血管形成および血管増殖の強力な阻害剤である。エンドスタチンとサイトカインネットワークの関係は判定されていないが、エンドスタチンは広範な遺伝子の発現を変更できることが知られている(Abdollahi, A. et al., MoI. Cell 13 (2004) 649-663)。

0101

本明細書中で用いるエンドスタチンは、好ましくは特定のエンドスタチンポリペプチドのバリアントをも包含する。用語“バリアント”の説明については前記を参照されたい。
ミメカンは、ロイシンリッチ反復配列をもつ小プロテオグリカンであり、298個のアミノ酸を含む前駆体である。ミメカンの別名はOGN、オステオグリシン、OG、OIF、SLRR3Aである。

0102

ミメカンは、構造関連コアタンパク質をもつ分泌型の小ロイシンリッチプロテオグリカン(small leucine rich proteoglycan)(SLRP)ファミリーのメンバーである。すべてのSLRPが共有する共通の特徴は、コアタンパク質のC末端側半分にある縦列ロイシンリッチ反復配列(leucine-rich repeat)(LRR)単位である。しかしN末端領域において、各クラスのSLRPは、保存されたスペーシングを備えたシステインクラスターを含むLRR N−ドメインと呼ばれるユニークドメインをもつ。クラスIII SLRPは6つのカルボキシル側LRRを含み、これにはミメカン、エピフィカン(epiphycan)、およびオプチシン(opticin)が含まれる。

0103

クラスIおよびIIのメンバー、たとえばデコリン(decorin)、ビグリカン(biglycan)、ルーメカン(lumecan)およびフィブロモジュリン(fibromodulin)についてのマウスノックアウト体からの機能試験は、SLRP欠損マウスが異常なコラーゲン原線維形成に起因する広範な一連欠陥を呈することを示し、これはこれらのSLRPがコラーゲンマトリックス樹立および維持に重要な役割を果たすことを示唆する(Ameye, L. and Young, M.F., Glycobiology 12 (2002) 107R-116R)。クラスIIIミメカンはコラーゲン細線維の異常も引き起こした(Tasheva, E.S. et al., MoI. Vis. 8 (2002) 407-415)。

0104

ミメカンは細胞外マトリックスの多機能成分である。それは多様な他のタンパク質(IGF2、IKBKG、IFNBl、INSR、CHUK、IKBKB、NFKBIA、ILl 5、Cd3、レチノイン酸APP、TNF、リポ多糖、c−abl癌遺伝子1、受容体型チロシンキナーゼ、v−src肉腫ウイルス癌遺伝子)に結合する。これらの多様な結合活性は、ミメカンが多くの組織において多様な機能を発揮する能力に寄与している可能性がある。

0105

ミメカンは角膜、骨、皮膚、およびさらに他の組織に見出された。それの発現パターンは種々の病的状態で変化する。ミメカンの生物学的役割に関するデータの量は増加しているにもかかわらず、それの機能はまだ明らかではない。ミメカンは、発生、組織修復、および転移に際して必須のプロセスであるコラーゲン原線維形成の調節に関与することが示された(Tasheva et al., MoI. Vis. 8 (2002) 407-415)。それは骨形成に際してTGF−ベータ−1またはTGF−ベータ−2との組合わせで役割を果たす。

0106

ヒトミメカンポリペプチドの配列は当技術分野で周知であり、たとえばGenBank寄託番号NP_054776.1GI:7661704でアセスできる。さらに、その配列はWO2011/012268に開示されている。本明細書中で用いるミメカンは、好ましくは特定のミメカンポリペプチドのバリアントをも包含する。用語“バリアント”の説明については前記を参照されたい。本発明に関して、ミメカンは、好ましくはWO2011/012268の記載に従って決定される。

0107

本明細書中で用いる用語“可溶性Flt−1”または“sFlt−1”(可溶性fms様チロシンキナーゼ−1)は、可溶性形態VEGF受容体Flt1であるポリペプチドを表わす。それはヒト臍帯静脈内皮細胞調整培地中で同定された。内因性の可溶性Flt1(sFlt1)受容体は、クロマトグラフィー的および免疫学的に組換えヒトsFlt1に類似し、それに匹敵する高い親和性で[125I]VEGFを結合する。ヒトsFlt1は、インビトロでKDR/Flk−1の細胞外ドメインと共にVEGF安定化された複合体を形成することが示されている。好ましくは、sFlt1はヒトsFlt1を表わす。より好ましくは、ヒトsFlt1はGenbank寄託番号P17948,GI:125361に示されるFlt−1のアミノ酸配列から推論できる。マウスsFlt1のアミノ酸配列はGenbank寄託番号BAA24499.1,GI:2809071に示されている。

0108

本明細書中で用いる用語“sFlt−1”は、上記の特定のsFlt−1ポリペプチドのバリアントをも包含する。そのようなバリアントは、少なくともその特定のsFlt−1ポリペプチドと同じ本質的な生物学的および免疫学的特性をもつ。特に、それらを本明細書に述べるものと同じ特異的アッセイ法、たとえばそのsFlt−1ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイにより検出できれば、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。用語“バリアント”のより詳細な説明については前記を参照されたい。

0109

本明細書中で用いる用語“PlGF”(胎盤増殖因子)は、胎盤由来増殖因子を表わし、それは149アミノ酸長さのポリペプチドであり、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)の血小板由来増殖因子様の領域に対して高度に相同性である(53%の同一性)。VEGFと同様に、PlGFはインビトロおよびインビボで血管形成活性をもつ。たとえば、トランスフェクションしたCOS−1細胞に由来するPlGFの生物学的および機能的な特性解明により、それはインビトロで内皮細胞増殖を刺激することができるグリコシル化されたダイマー状の分泌タンパク質であることが明らかになった(Maqlione1993, Oncogene 8(4):925-31)。好ましくは、PlGFはヒトPlGF、より好ましくはGenebank寄託番号P49763,GI:17380553(Genebankは米国NCBIからwww.ncbi.nlm.nih.gov/entrezで入手できる)に示されるアミノ酸配列をもつヒトPlGFを表わす。

0110

本発明方法に関して、特にヒトのペプチドまたはポリペプチドの量を決定することを想定する。
尿酸は被検生物におけるプリン代謝最終産物である。IUPAC名は7,9−ジヒドロ−3H−プリン−2,6,8−トリオンである。この化合物はしばしばウレート、リチン酸(Lithic acid)、2,6,8−トリオキシプリン、2,6,8−トリヒドロキシプリン、2,6,8−トリオキソプリン、1H−プリン−2,6,8−トリオールとも呼ばれる(化合物の式C5H4N4O3,PubChemCID 1175,CAS番号69−93−2)。

0111

尿酸測定は、腎不全、痛風白血病乾癬飢餓または他の消耗状態を含めた多数の腎障害および代謝障害の、および細胞毒を投与されている患者の、診断および治療に用いられる。尿酸の酸化が、このプリン代謝産物を定量決定するための2つの方法の基礎となる。1方法は、リンタングステン酸をアルカリ性溶液中でタングステンブルー還元し、これを測光法で測定するものである。PraetoriusおよびPoulsonが記載する第2の方法は、尿酸を酸化するために酵素ウリカーゼを用いる;この方法では化学的酸化に固有干渉が排除される(Praetorius E, Poulsen H. Enzymatic Determination of Uric Acid with Detailed Directions. Scandinav J Clin Lab Investigation 1953;3:273-280)。ウリカーゼは、尿酸消費のUV測定を伴なう方法に、または比色アッセイが得られる他の酵素と組み合わせて使用できる。他の方法は、Townら(TownMH, Gehm S, Hammer B, Ziegenhorn J. J Clin Chem Clin Biochem 1985;23:591)が開発した比色法である。試料をまず、アスコルビン酸オキシダーゼおよび清澄化系を含有する試薬混合物と共にインキュベートする。この試験系では、試料中に存在するアスコルビン酸があればそれを予備反応で排除することが重要である;これにより、後続のPOD指示薬反応との何らかのアスコルビン酸干渉が除かれる。開始試薬を添加すると、ウリカーゼによる尿酸の酸化が開始する。

0112

本発明に関して、尿酸は適切と思われるいずれかの方法により決定できる。好ましくは、このバイオマーカーは前記方法により決定される。より好ましくは、尿酸は前記の比色法のわずかな改変を適用することにより決定される。この反応では、ペルオキシドペルオキシダーゼ(POD)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、および4−アミノフェナゾンの存在下で反応して、キノンジイミン色素を形成する。生じた赤色の強度は尿酸濃度に比例し、測光法で決定される。

0113

ガレクチン−3(Gal−3)は、構造的にユニークな、ベータ−ガラクシド結合レクチンファミリーのメンバーである。ガレクチン−3の発現は、マクロファージ、好中球およびマスト細胞を含めた上皮細胞および炎症細胞と関連づけられた。ガレクチン−3は心不全において重要である多様な生物学的プロセスに関与することが示唆され、これには筋線維芽細胞増殖、線維形成、組織修復、心臓リモデリングおよび炎症が含まれる。ガレクチン−3は約30kDaであり、すべてのガレクチン類と同様に、β−ガラクトシド類の特異的結合を可能にするアミノ酸約130個の炭水化物−認識−結合ドメイン(carbohydrate-recognition-binding domain)(CRD)を含む。ガレクチン−3は単一遺伝子LGALS3によりコードされる。それは、アミノ酸約130個の単一C末端CRDに連結した短いアミノ酸セグメントの縦列反復配列をもつN末端ドメイン(合計110〜130個のアミノ酸)を含む。それは、核、細胞質ミトコンドリア、細胞表面、および細胞外空間に発現する。このタンパク質は、下記の生物学的プロセスに関与することが示された:細胞接着、細胞の活性化および化学誘引、細胞の増殖および分化、細胞周期、ならびにアポトーシス。ガレクチン−3レベルの増大は、急性非代償性心不全および慢性心不全の両集団において、より高い死亡リスクと有意に関連することが見出された(たとえば、DeFilippi C, Christenson R, Shah R, et al. (2009). Clinical validation of a novel assay for galectin-3 for risk assessment in acutely destabilized heart failureを参照)。

0114

ガレクチン−3のタンパク質配列は当技術分野で周知である;たとえば、uniprot寄託番号P17931(バージョン5,2008年11月25日)、GenBank寄託番号NP_002297.2 NM_002306.3を参照。

0115

ST2は、機械的ストレス条件下で心臓線維芽細胞および心筋細胞により産生されるIL−1受容体ファミリーのメンバーである。ST2はインターロイキン−1受容体ファミリーのメンバーであり、膜結合イソ形および可溶性イソ形(sST2)の両方で存在する。本発明に関しては、可溶性ST2の量を測定すべきである(参照:Dieplinger et al. (Clinical Biochemistry, 43, 2010: 1169 to 1170)。インターロイキン1受容体様1またはIL1RL1としても知られるST2は、ヒトにおいてIL1RL1遺伝子によりコードされる。ヒトST2ポリペプチドの配列は当技術分野で周知であり、たとえばGenBankによりアクセスできる;参照:NP_003847.2GI:27894328。可溶性ST2(sST2)は、IL−33を結合し、そうでなければ心臓保護性である細胞膜結合型ST2によるIL−33のシグナル伝達作用を阻止することにより、デコイ受容体として機能すると考えられる。

0116

マーカーであるシスタチンCは、当技術分野で周知である。シスタチンCはCST3遺伝子によりコードされ、すべての有核細胞によって一定速度で産生され、ヒトにおける産生速度は全生涯にわたって著しく一定である。循環からの排除はほぼすべて糸球体濾過による。この理由で、シスタチンCの血清濃度は1〜50年齢範囲では筋量および性別とは無関係である。したがって、血漿および血清中のシスタチンCはより感度の高いGFRマーカーとして提唱された。ヒトシスタチンCポリペプチドの配列はGenbankによりアセスできる(たとえば、寄託番号NP_000090.1を参照)。このバイオマーカーは、粒子増強型イムノタービデメトリーアッセイにより決定できる。ヒトシスタチンCは、抗シスタチンC抗体でコートしたラテックス粒子と共に凝集する。この凝集体をタービディメトリーにより決定する。

0117

マーカーであるプレアルブミンは当業者に周知である。それは肝細胞で合成されるトリプトファンリッチタンパク質であり、55000ダルトンモル質量をもつ。アノードへのそれの拡散速度が大きいため、8.6のpHでアルブミンの前に相対量<2.5%の電気泳動バンドが現われる。それの機能は、低分子量のレチノール結合タンパク質(21000ダルトン未満のモル質量)を結合して輸送し、それらの糸球体濾過を阻止することである。循環型プレアルブミンのうち30〜50%がレチノール結合タンパク質により複合体形成する。さらに、それはチロキシン(T4)を結合して輸送するにもかかわらず、このホルモンに対するそれの親和性はチロキシン結合グロブリンのものより低い。ヒト プレアルブミンポリペプチドの配列はGenbank(たとえば、寄託番号NP_000362.1を参照)によりアセスできる。プレアルブミンの決定には多様な方法、たとえば放射免疫拡散RID)、ネフェメメトリーおよびタービディメトリーを利用できる。

0118

トランスフェリン(しばしば、セロトランスフェリン(Serotransferrin)またはベータ−1金属結合グロブリンとも呼ばれる)は、分子量79570ダルトンをもつ糖タンパク質である。それは、N−グリコシド連結した2つのオリゴ糖鎖を含むポリペプチド鎖からなる。トランスフェリンは鉄結合性輸送タンパク質であり、1つのアニオン(通常はバイカーボネート)の結合に付随して2つのFe3+イオンを結合できる。トランスフェリンの決定には、放射免疫拡散、ネフェメメトリーおよびタービディメトリーを含めた多様な方法を利用できる。トランスフェリンの配列は当技術分野で周知である;たとえば、Schaeffer et al. Gene 56:109-116(1987)、またはUniprot寄託番号P02787、特にバージョン178を参照)。

0119

P1NP(プロコラーゲン1型N末端プロペプチド)は、骨形成のマーカーである。それは1型コラーゲン沈着の特異的指標である。それはトリマー型構造体として放出されるが、分解してモノマーになる。好ましくは、総P1NP量(総プロコラーゲン1型N末端プロペプチド)を測定する。

0120

本明細書中に述べるペプチドまたはポリペプチド、特にGDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプのペプチド、Gal3(ガレクチン−3)、sST2(可溶性ST2)、sFlt−1、PlGF、P1NP、シスタチンC、またはプレアルブミンの量の決定は、量または濃度を、好ましくは半定量的または定量的に測定することに関する。測定は直接的または間接的に行なうことができる。

0121

尿酸の量を決定する方法は本明細書中で先に記載した。バイオマーカーがペプチドまたはポリペプチド、たとえばGDF−15(増殖分化因子15)、エンドスタチン、ミメカン、IGFBP7(IGF結合タンパク質7)、心臓トロポニン、BNPタイプのペプチド、尿酸、Gal3(ガレクチン−3)、またはsST2(可溶性ST2)、sFlt−1、PlGF、P1NP、シスタチンC、またはプレアルブミンである場合、下記を適用する:
直接測定は、ペプチドまたはポリペプチド自体から得られる信号であってその強度が試料中に存在するペプチドの分子数直接相関する信号に基づいて、ペプチドまたはポリペプチドの量または濃度を測定することに関する。そのような信号 −本明細書中で時には強度信号と呼ぶ− は、たとえばペプチドまたはポリペプチドの特異的な物理的または化学的特性強度値を測定することによって得ることができる。間接測定には、二次成分(すなわち、そのペプチドまたはポリペプチド自体ではない成分)または生物学的読出し系、たとえば測定可能細胞応答、リガンド、標識、または酵素反応生成物から得られる信号を測定することが含まれる。

0122

本発明によれば、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、試料中のペプチドの量を決定するためのあらゆる既知手段により達成できる。それらの手段には、イムノアッセイ、および標識分子を多様なサンドイッチ、競合その他のアッセイ様式で利用できる方法が含まれる。そのようなアッセイ法は、好ましくは、決定すべきペプチドまたはポリペプチドを特異的に認識する検出剤、たとえば抗体に基づく。検出剤は、ペプチドまたはポリペプチドの存在または非存在の指標となる信号を直接的または間接的に発することができるべきである。さらに、信号強度を、好ましくは試料中に存在するポリペプチドの量に直接的または間接的(たとえば、反比例)に相関させることができる。さらに他の適切な方法は、ペプチドまたはポリペプチドに特異的な物理的または化学的特性、たとえばそれの厳密な分子質量またはNMRスペクトルを測定することを含む。それらの方法は、好ましくはバイオセンサー、イムノアッセイに連携した光学機器バイオチップ分析機器、たとえば質量分析計NMR分析器、またはクロマトグラフィー機器を含む。さらに、方法にはマイクロプレートELISAベースの方法、全自動またはロボット式イムノアッセイ(たとえば、Elecsys(商標分析器で得られる)、CBA(酵素によるコバルト結合アッセイ(Cobalt Binding Assay);たとえば、Roche−Hitachi(商標)分析器で得られる)、およびラテックス凝集アッセイ(たとえば、Roche−Hitachi(商標)分析器で得られる)が含まれる。

0123

好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、下記のステップを含む:(a)その強度がペプチドまたはポリペプチドの量の指標となる細胞応答を誘発できる細胞を、適切な期間、そのペプチドまたはポリペプチドと接触させ、(b)細胞応答を測定する。細胞応答を測定するために、試料または処理済み試料を、好ましくは細胞培養物に添加し、細胞内または細胞外応答を測定する。細胞応答には、測定可能なレポーター遺伝子発現、または物質、たとえばペプチド、ポリペプチドもしくは小分子の分泌を含めることができる。この発現または物質は、ペプチドまたはポリペプチドの量に相関する強度信号を発すべきである。

0124

同様に好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、試料中のペプチドまたはポリペプチドから得られる特異的な強度信号を測定するステップを含む。前記のように、そのような信号は、質量スペクトルにみられるペプチドもしくはポリペプチドに特異的なm/z変数で観察される信号強度、またはペプチドもしくはポリペプチドに特異的なNMRスペクトルであってもよい。

0125

ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、好ましくは下記のステップを含むことができる:(a)ペプチドを特異的リガンドと接触させ、(b)(場合により)結合していないリガンドを分離し、(c)結合したリガンドの量を測定する。

0126

好ましい態様によれば、これらの接触、分離および測定のステップは、本明細書に開示するシステムの分析ユニットにより実施できる。若干の態様によれば、それらの工程は前記システムの単一の分析ユニットにより、または互いに作動可能な状態で連絡する2以上の分析ユニットにより実施できる。たとえば、特定の態様によれば、本明細書に開示するシステムは、接触および分離のステップを実施するための第1分析ユニット、ならびに第1分析ユニットに輸送ユニット(たとえば、ロボットアーム)によって作動可能な状態で接続して測定ステップを実施する第2分析ユニットを含むことができる。

0127

結合したリガンド、特にリガンドまたはリガンド/ペプチド複合体は、強度信号を発するであろう。本発明による結合には、共有結合および非共有結合の両方が含まれる。本発明によるリガンドは、本明細書に記載するペプチドまたはポリペプチドに結合するいずれかの化合物、たとえばペプチド、ポリペプチド、核酸、または小分子であってもよい。好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、たとえば前記のペプチドまたはポリペプチドに対する受容体または結合パートナー、およびそのフラグメント(前記ペプチドに対する結合ドメインを含むもの)、ならびにアプタマー、たとえば核酸アプタマーまたはペプチドアプタマーが含まれる。そのようなリガンドを作成する方法は当技術分野で周知である。たとえば、適切な抗体またはアプタマーの同定および作成は供給業者によっても提供される。当業者は、より高い親和性または特異性を備えたそのようなリガンドの誘導体を開発する方法に精通している。たとえば、核酸、ペプチドまたはポリペプチドにランダム変異を導入することができる。これらの誘導体を、次いで当技術分野で既知のスクリーニング法、たとえばファージディスプレー法に従って、結合について試験することができる。本明細書中で述べる抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、ならびに抗原またはハプテンを結合できるそのフラグメント、たとえばFv、FabおよびF(ab)2フラグメントが含まれる。本発明には、一本鎖抗体、および目的とする抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列をヒト−アクセプター抗体の配列と組み合わせたヒト化ハイブリッド抗体も含まれる。ドナー配列は通常は少なくともドナー抗原結合性アミノ酸残基を含むであろうが、ドナー抗体の他の構造関連および/または機能関連アミノ酸残基も含むことができる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知である幾つかの方法で作成できる。好ましくは、リガンドまたは作用剤は前記のペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する。本発明による特異的結合は、リガンドまたは作用剤が、分析すべき試料中に存在する他のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質的に結合(それらと“交差反応”)すべきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合されるペプチドまたはポリペプチドは、他のいずれかの関連ペプチドまたはポリペプチドより少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高い、よりさらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合されるべきである。非特異的結合は、たとえばウェスタンブロット上でのそれのサイズに従って、または試料中での相対的に高いそれの存在量によって、それをなお明白に識別および測定できるならば許容できる。リガンドの結合は、当技術分野で周知であるいずれかの方法により測定できる。好ましくは、その方法は半定量的または定量的である。ポリペプチドまたはペプチドの決定に適したさらに他の手法を以下に記載する。

0128

第1に、リガンドの結合は、直接的に、たとえばNMRまたは表面プラズモン共鳴により測定できる。リガンド結合の測定は、好ましい態様によれば、本明細書に開示するシステムの分析ユニットにより実施される。その後、測定した結合の量を、本明細書に開示するシステムのコンピューティングデバイスにより計算することができる。第2に、リガンドが、目的とするペプチドまたはポリペプチドの酵素活性基質としても作用するならば、その酵素反応生成物を測定してもよい(たとえば、プロテアーゼの量は開裂した基質の量をたとえばウェスタンブロットで測定することにより測定できる)。あるいは、リガンドが酵素特性そのものを示す場合があり、その“リガンド/ペプチドまたはポリペプチド”複合体、すなわちそれぞれペプチドまたはポリペプチドが結合したリガンドを、強度信号の発生により検出可能にする適切な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のためには、好ましくは基質の量は飽和状態である。反応前に基質を検出可能な標識で標識化することもできる。好ましくは、適切な期間、試料を基質と接触させる。適切な期間は、検出可能な量、好ましくは測定可能な量の生成物が生成するのに必要な時間を表わす。生成物の量を測定する代わりに、一定の(たとえば、検出可能な)量の生成物が出現するのに必要な時間を測定することができる。第3に、リガンドの検出および測定を可能にする標識にリガンドを共有結合または非共有結合させてもよい。標識化は、直接法または間接法により実施できる。直接標識化は、標識をリガンドに直接(共有または非共有)結合させることを伴なう。間接標識化は、二次リガンドを一次リガンドに(共有または非共有)結合させることを伴なう。二次リガンドは一次リガンドに特異的に結合すべきである。この二次リガンドは、適切な標識とカップリングさせることができ、および/または二次リガンドに結合する三次リガンドのターゲットレセプター)であってもよい。二次、三次またはよりさらに高次のリガンドの使用は、信号を増強するためにしばしば採用される。適切な二次およびより高次のリガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジンビオチン系(Vector Laboratories,Inc.)を含めることができる。リガンドまたは基質に、当技術分野で既知である1以上のタグを“タグ付け”することもできる。その際、そのようなタグはより高次のリガンドにとってのターゲットであってもよい。適切なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、His−タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼFLAG、GFP、myc−タグ、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質などが含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは好ましくはN末端および/またはC末端にある。適切な標識は、適切な検出法により検出できるいずれかの標識である。代表的な標識には、金粒子ラテックスビーズアクリダン(acridan)エステルルミノールルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(たとえば、常磁性および超常磁性標識を含む“磁性ビーズ”)、および蛍光標識が含まれる。酵素活性標識には、たとえば西洋わさびペルオキシダーゼアルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼルシフェラーゼ、およびその誘導体が含まれる。検出に適した基質には、ジ−アミノ−ベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;既製原液としてRoche Diagnosticsから入手できる)、CDP−Star(商標)(Amersham Biosciences)、ECF(商標)(Amersham Biosciences)が含まれる。適切な酵素−基質の組合わせは、有色反応生成物、蛍光または化学発光を生じることができ、それらを当技術分野で既知の方法に従って測定できる(たとえば、感光性フィルムまたは適切なカメラシステムを用いて)。酵素反応の測定については、前記に挙げた基準を同様に適用する。代表的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(たとえば、GFPおよびそれの誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッドフルオレセイン、およびAlexa色素(たとえば、Alexa 568)が含まれる。さらに他の蛍光標識を、たとえばMolecular Probes(オレゴン州)から入手できる。蛍光標識としての量子ドットの使用も考慮される。代表的な放射性標識には、35S、125I、32P、33Pなどが含まれる。放射性標識は、いずれか既知の適切な方法、たとえば感光性フィルムまたはホスフォイメージャー(phosphor imager)により検出できる。本発明による適切な測定法には、下記のものも含まれる:沈降法(特に免疫沈降法)、電気化学発光電気的に発生する化学発光)、RIAラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(electrochemiluminescence sandwich immunoassay)(ECLIA)、解離増強型ランタニド蛍光イムノアッセイ(dissociation-enhanced lanthanide fluoro immuno assay)(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、タービディメトリー(濁度測定)、ネフェロメトリー比濁分析)、ラテックス増強型タービディメトリーもしくはネフェロメトリー、または固相免疫試験。当技術分野で周知であるさらに他の方法(たとえば、ゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウェスタンブロット法、および質量分析)を、単独で、または前記の標識法もしくは他の検出法と組み合わせて使用できる。

0129

ペプチドまたはポリペプチドの量は、同様に好ましくは下記により決定できる:(a)前記に明記したペプチドまたはポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、そのペプチドまたはポリペプチドを含む試料と接触させ、そして(b)支持体に結合しているペプチドまたはポリペプチドの量を測定する。好ましくは核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群から選択されるリガンドは、好ましくは固体支持体上に固定化された形態で存在する。固体支持体を作成するための材料は当技術分野で周知であり、特に市販のカラム材料ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シートデュラサイト(duracyte)、反応トレーウェルおよび壁、プラスチックチューブなどを含む。リガンドまたは作用剤を多種多様なキャリヤーに結合させることができる。周知のキャリヤーの例には、ガラス、ポリスチレンポリ塩化ビニルポリプロピレンポリエチレンポリカーボネートデキストランナイロンアミロース天然および改質セルロースポリアクリルアミドアガロース、および磁鉄鉱が含まれる。本発明の目的に関して、キャリヤーの性質は可溶性または不溶性のいずれであってもよい。それらのリガンドを固定/固定化するのに適した方法は周知であり、イオン性疎水性共有結合性の相互作用などが含まれるが、これらに限定されない。本発明に従ってアレイとして“懸濁アレイ”を用いることも考慮される(Nolan 2002, TrendsBiotechnol. 20(1): 9-12)。そのような懸濁アレイには、キャリヤー、たとえばマクイロビーズまたはマイクロスフェアが懸濁状態で存在する。アレイは、種々のリガンドを保有する、おそらく標識された種々のマクイロビーズまたはマイクロスフェアからなる。そのようなアレイを調製する方法、たとえば固相化学および光不安定保護基に基づくものが一般に知られている(US 5,744,305)。

0130

好ましくは、本明細書中で述べる個々のバイオマーカーの量は実施例のセクションの記載に従って決定される。
本明細書中で用いる用語“量”は、バイオマーカーの絶対量、そのバイオマーカーの相対量または濃度、およびそれらに相関するかまたはそれらから誘導できるいずれかの数値またはパラメーターを包含する。そのような数値またはパラメーターは、それらのペプチドから直接測定により得られるあらゆる特異的な物理的または化学的特性からの強度信号値、たとえば質量スペクトルまたはNMRスペクトルにおける強度値を含む。さらに、本明細書の他の箇所に明記する間接測定により得られるすべての数値またはパラメーター、たとえばペプチドに応答した生物学的読出し系から決定される応答レベル、または特異的に結合したリガンドから得られる強度信号が包含される。前記の量またはパラメーターに相関する数値はあらゆる標準数学操作によっても得られることを理解すべきである。本発明の好ましい態様によれば、“量”の決定は開示するシステムにより行なわれ、それによればそのシステムの1以上の分析ユニットにより実施される接触および測定の工程に基づいてコンピューティングデバイスが“量”を決定する。

0131

本明細書中で用いる用語“比較する”は、分析すべき試料が含むバイオマーカー、特にペプチドまたはポリペプチドの量を、本明細書の他の箇所に明記する適切な基準源と比較することを包含する。本明細書中で用いる比較するとは、対応するパラメーターまたは数値の比較を表わすことを理解すべきである;たとえば、絶対量を絶対基準量と比較し、一方で濃度を基準濃度と比較し、あるいは試験試料から得られる強度信号を標準試料の同じタイプの強度信号と比較する。本発明方法のステップ(b)に述べる比較は、手動で、またはコンピューター支援により実施できる。したがって、本発明方法のステップ(b)に述べる比較は、(たとえば、本明細書に開示するシステムの)コンピューティングデバイスにより実施できる。たとえばその量と基準の数値を互いに比較し、その比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータープログラムによって自動的に実施できる。その評価を行なうコンピュータープログラムは、目的とする評価を適切な出力フォーマットで提供するであろう。コンピューター支援による比較のために、決定した量の数値を、データベースに記憶された適切な基準に対応する数値とコンピュータープログラムにより比較することができる。コンピュータープログラムはさらに比較の結果を評価することができ、すなわち目的とする評価を適切な出力フォーマットで自動的に提供する。コンピューター支援による比較のために、決定した量の数値を、データベースに記憶された適切な基準に対応する数値とコンピュータープログラムにより比較することができる。コンピュータープログラムはさらに比較の結果を評価することができ、すなわち目的とする評価を適切な出力フォーマットで自動的に提供する。その結果は、好ましくは、本明細書の他の箇所に述べる少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体を同定するための補助として採用できる。

0132

本明細書中で用いる用語“基準量”(または基準比)は、好ましくは、被検体を本発明の方法に関して述べるその少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体のグループまたはその少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体のグループのいずれかに配属できる量を表わす。したがって、基準量(または基準比)は、少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の同定を可能にすべきである。

0133

そのような基準量(または比)は、これらのグループを互いに分離する閾値量であってもよい。同定は、計算“量”(または比)と基準または閾値との比較に基づいて、本明細書に開示するシステムのコンピューティングデバイスにより提供できる。たとえば、システムのコンピューティングデバイスは、被検体の同定を指示する言語、記号または数値の形の指標を提供できる。

0134

個々の被検体に適用できる基準量(または基準比)は、種々の生理学的パラメーター、たとえば年齢、性別または亜集団に応じて、および本明細書中で述べるポリペプチドまたはペプチドの決定に用いる手段に応じて、異なる可能性がある。適切な基準量は、試験試料と一緒に、すなわち同時または逐次に分析される標準試料から決定できる。

0135

基準量(または比)は、原則として、統計の標準法を適用することにより、被検体のコホートにつき前記のように特定のバイオマーカーについての平均(averageまたはmean)値に基づいて計算できる。特に、ある事象(またはそうではないこと)を診断することを目的とした方法などの試験の精度は、それの受信者操作特性(receiver-operating characteristics)(ROC)によって最も良く記述できる(特に、Zweig 1993, Clin. Chem. 39:561-577を参照)。ROCグラフは、決定閾値観察データ全範囲にわたって連続的に変化させることから得られる感度と特異度のすべての対のプロットである。診断方法の臨床性能は、それの精度、すなわちそれが被検体を特定の予後または診断に正確に配属する能力に依存する。ROCプロットは、区別を行なうのに適した全範囲の閾値について感度を1−特異度に対してプロットすることにより、2つの分布間のオーバーラップを指示する。y軸には感度、または真の陽性画分があり、これは真の陽性試験結果の数と偽陰性試験結果の数の積に対する真の陽性試験結果の数の比として定義される。これは、ある疾患または状態の存在下での陽性度とも言われている。それは専ら罹患サブグループから計算される。x軸には偽陽性画分、または1−特異度があり、これは真の陰性結果の数と偽陽性結果の数の積に対する偽陽性結果の数の比として定義される。それは特異度の指数であり、完全に非罹患サブグループから計算される。真の陽性画分と偽陽性画分は2つの異なるサブグループからの試験結果を用いて完全に分離して計算されるので、ROCプロットはそのコホートにおけるその事象の罹病率とは無関係である。ROCプロット上の各点は、特定の決定閾値に対応する感度/−特異度の対を表わす。完全識別を伴なう試験(結果の2つの分布にオーバーラップがない)は、上左隅を通るROCプロットをもち、その際、真の陽性画分は1.0、すなわち100%(完全感度)であり、偽陽性画分は0(完全特異度)である。識別されない試験についての理論的プロット(2グループについての結果が同一分布)は、下左隅から上右隅への45°の対角線である。大部分のプロットはこれら両極端の間にある。ROCプロットが完全に45°の対角線の下側にあれば、これは“陽性度”についての基準を“より大”から“より小”に逆転することによって容易に対処され、あるいはその逆も成り立つ。定性的に、プロットが上左隅に近づくほど、その試験の全般的精度は高くなる。希望する信頼区間に応じて、本明細書に述べる投与に適格な被検体を同定できる閾値を、それぞれ感度と特異度の適正なバランスROC曲線から導くことができる。したがって、好ましくはそのコホートについて前記のようにROCを確立し、それから閾値量を導くことにより、前記の本発明方法に使用する基準、すなわち本明細書に述べる投与に適格な被検体またはその投与に適格ではない被検体を識別できる閾値を作成できる。診断方法のための希望する感度および特異度に応じて、ROCプロットによって適切な閾値を導くことができる。

0136

診断アルゴリズム、すなわちある医薬の投与を開始すべきか否か、または医薬の用量を増加させる(“増量する(uptritrate)”)べきか否かを実施例のセクションに開示する。以下に好ましい診断アルゴリズムをまとめる:
少なくとも1種類の医薬がベータ遮断薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがエンドスタチン、ミメカン、GDF−15、心臓トロポニンおよび/またはBNPタイプのペプチドであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0137

より好ましくは、検査される被検体は既にベータ遮断薬で治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0138

少なくとも1種類の医薬がベータ遮断薬であり、かつバイオマーカーがIGFBP7、P1NP、sFlt−1またはオステオポンチンであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記ベータ遮断薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記ベータ遮断薬の投与に適格ではない被検体の指標である。特に、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記ベータ遮断薬の投与に適格な被検体の指標である。

0139

より好ましくは、検査される被検体は既にベータ遮断薬で治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。特に、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記ベータ遮断薬の投与に適格な被検体の指標である。

0140

少なくとも1種類の医薬がアルドステロンアンタゴニストであり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがIGFBP7、心臓トロポニン、Gal−3、シスタチンC、PlGF、GDF−15および/またはsST2であれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0141

より好ましくは、検査される被検体は既にアルドステロンアンタゴニストで治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬(単数または複数)の投与に適格ではない被検体の指標である。

0142

PlGFの量−対−sFlt−1の量の比を決定するのであれば、下記の診断アルゴリズムを適用する:
好ましくは、基準比と比較して増大した試験試料中のPlGFの量−対−sFlt−1の量の比はそのアルドステロンアンタゴニストの投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準比と比較して低下した比はそのアルドステロンアンタゴニストの投与に適格ではない被検体の指標である。

0143

より好ましくは、検査される被検体は既にアルドステロンアンタゴニストで治療されている。この場合、基準比と比較して増大した試験試料中のPlGFの量−対−sFlt−1の量の比はより高い用量での前記アルドステロンアンタゴニストの投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準比と比較して低下した比はより高い用量での前記アルドステロンアンタゴニストの投与に適格ではない被検体の指標である。

0144

少なくとも1種類の医薬がアルドステロンアンタゴニストであり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがエンドスタチン、尿酸および/またはsFlt−1であれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0145

より好ましくは、検査される被検体は既にアルドステロンアンタゴニストで治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0146

少なくとも1種類の医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがGDF−15、心臓トロポニン、尿酸、BNPタイプのペプチドおよび/またはオステオポンチンであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0147

より好ましくは、検査される被検体は既にレニン−アンギオテンシン系の阻害薬で治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0148

少なくとも1種類の医薬が利尿薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーが、IGFBP7、エンドスタチン、ミメカン、GDF−15、プレアルブミン、トランスフェリン、BNPタイプのペプチド、および尿酸からなる群から選択されれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量(単数または複数)と比較して増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標である。

0149

より好ましくは、検査される被検体は既に利尿薬で治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、基準量(単数または複数)と比較して減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより低い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標である。

0150

少なくとも1種類の医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがsFlt−1および/またはIGFBP7であれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量と比較して増加した試験試料中のバイオマーカーの量は前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、および/または基準量と比較して増加したバイオマーカーの量は前記医薬の投与に適格な被検体の指標である。

0151

より好ましくは、検査される被検体は既にレニン−アンギオテンシン系の阻害薬で治療されている。この場合、基準量と比較して増加したバイオマーカーの量はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、および/または基準量と比較して減少したバイオマーカーの量はより高い用量での前記医薬の投与に適格な被検体の指標である。

0152

基準量を、前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから、および/または前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導くことも好ましい。

0153

この場合、好ましい診断アルゴリズムは下記のものである:
少なくとも1種類の医薬がベータ遮断薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがエンドスタチン、ミメカン、GDF−15、心臓トロポニンおよび/またはBNPタイプのペプチドであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量はその少なくとも1種類の医薬の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、ならびに/あるいは基準量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0154

少なくとも1種類の医薬がベータ遮断薬であり、かつバイオマーカーがIGFBP7、P1NP、sFlt−1および/またはオステオポンチンであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、IGFBP7、P1NP、sFlt−1および/またはオステオポンチンについての基準量は、そのベータ遮断薬の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のIGFBP7、P1NP、sFlt−1および/またはオステオポンチンの量は、前記ベータ遮断薬の投与に適格な被検体の指標であり、ならびに/あるいは基準量はその少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量と比較して本質的に同一であるかまたは増加した試験試料中のIGFBP7、P1NP、sFlt−1および/またはオステオポンチンの量は、前記ベータ遮断薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0155

少なくとも1種類の医薬がアルドステロンアンタゴニストであり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがIGFBP7、シスタチンC、心臓トロポニン、Gal−3、PlGF、GDF−15および/またはsST2であれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0156

少なくとも1種類の医薬がアルドステロンアンタゴニストであり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがエンドスタチン、尿酸および/またはsFlt−1であれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量は前記少なくとも1種類の医薬(すなわち、アルドステロンアンタゴニスト)の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは増加した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0157

より好ましくは、検査される被検体は既にアルドステロンアンタゴニストで治療されている。この場合、基準量(単数または複数)と比較して増加したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標であり、および/または基準量(単数または複数)と比較して減少したバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)はより高い用量での前記医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0158

少なくとも1種類の医薬がレニン−アンギオテンシン系の阻害薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーがGDF−15、心臓トロポニン、尿酸、BNPタイプのペプチドおよび/またはオステオポンチンであれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、これらのバイオマーカー(単数または複数)についての基準量(単数または複数)は、前記レニン−アンギオテンシン系の阻害薬の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量と比較して本質的に同一であるかまたは増加した試験試料中の両バイオマーカーの量は、前記レニン−アンギオテンシン系の阻害薬の投与に適格な被検体の指標であり、および/または基準量は前記レニン−アンギオテンシン系の阻害薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、i)心臓トロポニンについての基準量と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中の心臓トロポニンの量、あるいはii)基準量と比較して本質的に同一および/または減少した試験試料中の両バイオマーカーの量は、前記レニン−アンギオテンシン系の阻害薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

0159

少なくとも1種類の医薬が利尿薬であり、かつ少なくとも1種類のバイオマーカーが、エンドスタチン、ミメカン、GDF−15、プレアルブミン、トランスフェリン、BNPタイプのペプチド、および尿酸からなる群から選択されれば、好ましくは下記を適用する:
好ましくは、基準量は前記少なくとも1種類の医薬(すなわち、利尿薬)の投与に適格であることが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格な被検体の指標であり、ならびに/あるいは基準量は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではないことが分かっている被検体または被検体グループから導かれ、その際、基準量(単数または複数)と比較して本質的に同一であるかまたは減少した試験試料中のバイオマーカー(単数または複数)の量(単数または複数)は前記少なくとも1種類の医薬の投与に適格ではない被検体の指標である。

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